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特開2024-59271情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059271
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20240423BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166853
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】521564630
【氏名又は名称】Ring-ndx株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003546
【氏名又は名称】弁理士法人伊藤IP特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 貴弘
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC27
5L050CC27
(57)【要約】
【課題】集合住宅に対する所定の管理情報をユーザにより好適に提供する。
【解決手段】本開示の情報処理装置は、集合住宅に対する所定の管理情報をユーザに提供する情報処理装置である。そして、この情報処理装置は、集合住宅を維持管理するための所定の管理規約に基づいて予め定められた静的な情報である静的情報を取得することと、集合住宅の居住者に関する情報又は/及び集合住宅の設備に関する情報であって、経時的に変化する動的な情報である動的情報を取得することと、管理情報として、静的情報と動的情報とを組み合わせてユーザに提供することと、を実行する制御部を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅に対する所定の管理情報をユーザに提供する情報処理装置であって、
前記集合住宅を維持管理するための所定の管理規約に基づいて予め定められた静的な情報である静的情報を取得することと、
前記集合住宅の居住者に関する情報又は/及び前記集合住宅の設備に関する情報であって、経時的に変化する動的な情報である動的情報を取得することと、
前記管理情報として、前記静的情報と前記動的情報とを組み合わせて前記ユーザに提供することと、
を実行する制御部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記管理情報は、前記集合住宅の修繕計画に関する情報であって、
前記制御部は、
ネットワークを介した仮想空間上で前記集合住宅の定期総会を開催するための仮想会議室へアクセスするための情報を前記ユーザに提供することを、更に実行し、
経時的に変化する前記集合住宅の設備のうち、前記動的情報として取得した前記集合住宅の現在の設備外観画像に基づく3次元設備外観モデルを前記仮想会議室に表示させるとともに、
前記静的情報として取得した前記集合住宅の長期修繕計画に基づいて定められる前記集合住宅の修繕後の設備に関する3次元オブジェクトを、前記3次元設備外観モデルに重畳表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記仮想会議室で開催される前記定期総会において、該定期総会の議題に対する前記ユーザからの所定の反応を取得することと、
前記定期総会の議題に紐づけられたデータであってブロックチェーンにおいて取引可能なノンファンジブルトークンを含んだ議事録データに、前記反応を記録することと、を更に実行する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記管理情報は、前記集合住宅の防災マニュアルに関する情報であって、
前記制御部は、
前記静的情報として、前記防災マニュアルについて前記管理規約に基づいて標準的に定められた標準防災情報を取得し、
前記動的情報として、前記集合住宅の居住者に関する所定のパーソナルデータ又は/及び前記集合住宅の居住者が居住する居室内の状態データを取得し、
前記防災マニュアルに関する情報として、前記標準防災情報に基づく緊急時の複数の避難経路のうち、前記パーソナルデータ又は/及び前記状態データに応じた避難経路を選択して前記ユーザに提供する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
ネットワークを介した仮想空間において、選択された前記避難経路を用いて避難訓練を実施するための仮想訓練へアクセスするための情報を前記ユーザに提供することを、更に実行する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
集合住宅に対する所定の管理情報をユーザに提供する情報処理方法であって、
コンピュータが、
前記集合住宅を維持管理するための所定の管理規約に基づいて予め定められた静的な情報である静的情報を取得することと、
前記集合住宅の居住者に関する情報又は/及び前記集合住宅の設備に関する情報であって、経時的に変化する動的な情報である動的情報を取得することと、
前記管理情報として、前記静的情報と前記動的情報とを組み合わせて前記ユーザに提供することと、
を実行する情報処理方法。
【請求項7】
前記管理情報は、前記集合住宅の修繕計画に関する情報であって、
前記コンピュータが、
ネットワークを介した仮想空間上で前記集合住宅の定期総会を開催するための仮想会議室へアクセスするための情報を前記ユーザに提供することを、更に実行し、
経時的に変化する前記集合住宅の設備のうち、前記動的情報として取得した前記集合住宅の現在の設備外観画像に基づく3次元設備外観モデルを前記仮想会議室に表示させるとともに、
前記静的情報として取得した前記集合住宅の長期修繕計画に基づいて定められる前記集合住宅の修繕後の設備に関する3次元オブジェクトを、前記3次元設備外観モデルに重畳表示させることを実行する、
請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記管理情報は、前記集合住宅の防災マニュアルに関する情報であって、
前記コンピュータが、
前記静的情報として、前記防災マニュアルについて前記管理規約に基づいて標準的に定められた標準防災情報を取得することと、
前記動的情報として、前記集合住宅の居住者に関する所定のパーソナルデータ又は/及び前記集合住宅の居住者が居住する居室内の状態データを取得することと、
前記防災マニュアルに関する情報として、前記標準防災情報に基づく緊急時の複数の避難経路のうち、前記パーソナルデータ又は/及び前記状態データに応じた避難経路を選択して前記ユーザに提供することと、を実行する、
請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項9】
集合住宅に対する所定の管理情報をユーザに提供する情報処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記集合住宅を維持管理するための所定の管理規約に基づいて予め定められた静的な情報である静的情報を取得することと、
前記集合住宅の居住者に関する情報又は/及び前記集合住宅の設備に関する情報であって、経時的に変化する動的な情報である動的情報を取得することと、
前記管理情報として、前記静的情報と前記動的情報とを組み合わせて前記ユーザに提供することと、
を実行させる情報処理プログラム。
【請求項10】
前記管理情報は、前記集合住宅の修繕計画に関する情報であって、
前記コンピュータに、
ネットワークを介した仮想空間上で前記集合住宅の定期総会を開催するための仮想会議室へアクセスするための情報を前記ユーザに提供することを、更に実行させ、
経時的に変化する前記集合住宅の設備のうち、前記動的情報として取得した前記集合住宅の現在の設備外観画像に基づく3次元設備外観モデルを前記仮想会議室に表示させるとともに、
前記静的情報として取得した前記集合住宅の長期修繕計画に基づいて定められる前記集合住宅の修繕後の設備に関する3次元オブジェクトを、前記3次元設備外観モデルに重畳表示させることを実行させる、
請求項9に記載の情報処理プログラム。
【請求項11】
前記管理情報は、前記集合住宅の防災マニュアルに関する情報であって、
前記コンピュータに、
前記静的情報として、前記防災マニュアルについて前記管理規約に基づいて標準的に定められた標準防災情報を取得することと、
前記動的情報として、前記集合住宅の居住者に関する所定のパーソナルデータ又は/及び前記集合住宅の居住者が居住する居室内の状態データを取得することと、
前記防災マニュアルに関する情報として、前記標準防災情報に基づく緊急時の複数の避難経路のうち、前記パーソナルデータ又は/及び前記状態データに応じた避難経路を選択して前記ユーザに提供することと、を実行させる、
請求項9に記載の情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅に対する所定の管理情報をユーザに提供する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マンション等の集合住宅では、居住者(区分所有者)によって管理組合が結成され、集合住宅の設備維持や修繕等の管理が実施されている。
【0003】
また、近年、インターネットを介した情報配信に関して多くの技術が開発されていて、例えば、利用者に対して建築物の情報等に基づく各種サービスを提供することが知られている。
【0004】
ここで、特許文献1には、利用者が居住する建築物を特定し、その建築物の所在地、間取り、外観、築年数等の建築物情報と、利用者を識別するために用いられている識別子と、を紐付けて、情報を提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-024917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マンション等の集合住宅を長期的に維持・管理していくためには、その設備の適切な維持・管理や、管理組合による適切な運営が必要である。しかしながら、長期的な観点で見ると状況が経時的に変化していくため、集合住宅を長期的に維持・管理していくことは容易ではなかった。
【0007】
ここで、特許文献1に記載の技術によれば、インターネットを介した情報配信によって、利用者に適切な情報を提供できるようにも思われる。しかしながら、特許文献1に記載の提供装置によって提供される情報は、例えば、転居用の建築物に関する情報や、建築物で利用可能な取引対象(例えば、家具)に関する情報であって、マンション等の集合住宅を長期的に維持・管理していくための情報ではない。
【0008】
本開示の目的は、集合住宅に対する所定の管理情報をユーザにより好適に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の情報処理装置は、集合住宅に対する所定の管理情報をユーザに提供する情報処理装置である。そして、この情報処理装置は、前記集合住宅を維持管理するための所定の管理規約に基づいて予め定められた静的な情報である静的情報を取得することと、前記集合住宅の居住者に関する情報又は/及び前記集合住宅の設備に関する情報であって、経時的に変化する動的な情報である動的情報を取得することと、前記管理情報として、前記静的情報と前記動的情報とを組み合わせて前記ユーザに提供することと、を実行する制御部を備える。
【0010】
上記の情報処理装置では、マンション等の集合住宅を長期的に維持・管理していくための情報が、管理情報としてユーザに提供される。このとき、予め定められた静的情報と、経時的に変化する動的情報と、が組み合わされてユーザに提供されるため、上記の管理情報をユーザにより好適に提供することができる。
【0011】
そして、本開示において、前記管理情報は、前記集合住宅の修繕計画に関する情報であって、前記制御部は、ネットワークを介した仮想空間上で前記集合住宅の定期総会を開催するための仮想会議室へアクセスするための情報を前記ユーザに提供することを、更に実行し、経時的に変化する前記集合住宅の設備のうち、前記動的情報として取得した前記集合住宅の現在の設備外観画像に基づく3次元設備外観モデルを前記仮想会議室に表示させるとともに、前記静的情報として取得した前記集合住宅の長期修繕計画に基づいて定められる前記集合住宅の修繕後の設備に関する3次元オブジェクトを、前記3次元設備外観モデルに重畳表示させてもよい。ここで、上記のユーザとは、上記の集合住宅の管理組合に属する居住者(区分所有者)や、管理会社、施工業者、アドバイザー(マンション管理士)等である。そして、これらユーザが、上記の仮想会議室で開催される定期総会に参加し得る。これによれば、仮想会議室で開催される定期総会に参加するユーザは、ネットワーク上の仮想空間で、集合住宅の現在の設備外観と、長期修繕計画に沿って更新される設備外観と、を併せて確認しながら議論することができる。これにより、従来までは文字や2次元の図面で提供されていた集合住宅の修繕計画に関する情報が、現実を模した仮想空間上で提供されることになるため、ユーザに対して集合住宅の修繕計画に関する情報をより好適に提供することができ、定期総会をより円滑に進めることが可能になる。
【0012】
そして、この場合、前記制御部は、前記仮想会議室で開催される前記定期総会において、該定期総会の議題に対する前記ユーザからの所定の反応を取得することと、前記定期総会の議題に紐づけられたデータであってブロックチェーンにおいて取引可能なノンファンジブルトークンを含んだ議事録データに、前記反応を記録することと、を更に実行してもよい。これによれば、定期総会の議題に対するユーザからの全ての反応(例えば、定期総会の議題に対する意見や、同意、反対の意思等)の履歴を時間軸に記録することが可能となり、議事の状況が、改ざん不可能なブロックチェーンのシステムによる、トレーサビリティを有することになる。そのため、定期総会の議題に対するユーザからの上記の反応が無かったことにされず、例えば、定期総会の議題に対するユーザからの貢献の真価が定まった時点から過去にさかのぼって、その価値の源泉を評価することが可能となる。
【0013】
また、本開示において、前記管理情報は、前記集合住宅の防災マニュアルに関する情報であって、前記制御部は、前記静的情報として、前記防災マニュアルについて前記管理規約に基づいて標準的に定められた標準防災情報を取得し、前記動的情報として、前記集合住宅の居住者に関する所定のパーソナルデータ又は/及び前記集合住宅の居住者が居住する居室内の状態データを取得し、前記防災マニュアルに関する情報として、前記標準防災情報に基づく緊急時の複数の避難経路のうち、前記パーソナルデータ又は/及び前記状態データに応じた避難経路を選択して前記ユーザに提供してもよい。これによれば、各居住者の属性等に応じてパーソナライズした形で情報が提供されることになり、ユーザに対して集合住宅の防災マニュアルに関する情報をより好適に提供することができる。
【0014】
そして、この場合、前記制御部は、ネットワークを介した仮想空間において、選択された前記避難経路を用いて避難訓練を実施するための仮想訓練へアクセスするための情報を前記ユーザに提供することを、更に実行してもよい。これによれば、仮想訓練に参加するユーザは、ネットワーク上の仮想空間で、選択された上記の避難経路を確認しながら避難の練習を行うことができる。
【0015】
また、本開示は、コンピュータによる情報処理方法の側面から捉えることができる。すなわち、本開示の情報処理方法は、集合住宅に対する所定の管理情報をユーザに提供する情報処理方法であって、コンピュータが、前記集合住宅を維持管理するための所定の管理規約に基づいて予め定められた静的な情報である静的情報を取得することと、前記集合住宅の居住者に関する情報又は/及び前記集合住宅の設備に関する情報であって、経時的に変化する動的な情報である動的情報を取得することと、前記管理情報として、前記静的情報と前記動的情報とを組み合わせて前記ユーザに提供することと、を実行する。
【0016】
この場合、前記管理情報は、前記集合住宅の修繕計画に関する情報であって、前記コンピュータが、ネットワークを介した仮想空間上で前記集合住宅の定期総会を開催するための仮想会議室へアクセスするための情報を前記ユーザに提供することを、更に実行し、経時的に変化する前記集合住宅の設備のうち、前記動的情報として取得した前記集合住宅の現在の設備外観画像に基づく3次元設備外観モデルを前記仮想会議室に表示させるとともに、前記静的情報として取得した前記集合住宅の長期修繕計画に基づいて定められる前記集合住宅の修繕後の設備に関する3次元オブジェクトを、前記3次元設備外観モデルに重畳表示させることを実行してもよい。また、前記管理情報は、前記集合住宅の防災マニュアルに関する情報であって、前記コンピュータが、前記静的情報として、前記防災マニュアルについて前記管理規約に基づいて標準的に定められた標準防災情報を取得することと、前記動的情報として、前記集合住宅の居住者に関する所定のパーソナルデータ又は/及び前記集合住宅の居住者が居住する居室内の状態データを取得することと、前記防災マニュアルに関する情報として、前記標準防災情報に基づく緊急時の複数の避難経路のうち、前記パーソナルデータ又は/及び前記状態データに応じた避難経路を選択して前記ユーザに提供することと、を実行してもよい。
【0017】
また、本開示は、情報処理プログラムの側面から捉えることができる。すなわち、本開示の情報処理プログラムは、集合住宅に対する所定の管理情報をユーザに提供する情報処理プログラムであって、コンピュータに、前記集合住宅を維持管理するための所定の管理規約に基づいて予め定められた静的な情報である静的情報を取得することと、前記集合住宅の居住者に関する情報又は/及び前記集合住宅の設備に関する情報であって、経時的に変化する動的な情報である動的情報を取得することと、前記管理情報として、前記静的情報と前記動的情報とを組み合わせて前記ユーザに提供することと、を実行させる。
【0018】
この場合、前記管理情報は、前記集合住宅の修繕計画に関する情報であって、前記コンピュータに、ネットワークを介した仮想空間上で前記集合住宅の定期総会を開催するための仮想会議室へアクセスするための情報を前記ユーザに提供することを、更に実行させ、経時的に変化する前記集合住宅の設備のうち、前記動的情報として取得した前記集合住宅の現在の設備外観画像に基づく3次元設備外観モデルを前記仮想会議室に表示させるとともに、前記静的情報として取得した前記集合住宅の長期修繕計画に基づいて定められる前記集合住宅の修繕後の設備に関する3次元オブジェクトを、前記3次元設備外観モデルに重畳表示させることを実行させてもよい。また、前記管理情報は、前記集合住宅の防災マニュアルに関する情報であって、前記コンピュータに、前記静的情報として、前記防災マニュアルについて前記管理規約に基づいて標準的に定められた標準防災情報を取得することと、前記動的情報として、前記集合住宅の居住者に関する所定のパーソナルデータ又は/及び前記集合住宅の居住者が居住する居室内の状態データを取得することと、前記防災マニュアルに関する情報として、前記標準防災情報に基づく緊急時の複数の避難経路のうち、前記パーソナルデータ又は/及び前記状態データに応じた避難経路を選択して前記ユーザに提供することと、を実行させてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、集合住宅に対する所定の管理情報をユーザにより好適に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態における、情報処理システムに含まれるサーバおよびユーザ端末の構成要素をより詳細に示した図である。
図3】第1実施形態における情報処理システムの動作の流れを例示する図である。
図4】第1実施形態における仮想会議室の態様を例示する図である。
図5】第1実施形態において、静的情報と動的情報とを組み合わせてユーザに提供される管理情報を説明するための図である。
図6】第1実施形態の変形例における情報処理システムの概略構成を示す図である。
図7】第1実施形態の変形例における、情報処理システムに含まれるユーザ端末の構成要素をより詳細に示した図である。
図8】第1実施形態の変形例における情報処理システムの動作の流れを例示する図である。
図9】第2実施形態における情報処理システムの動作の流れを例示する図である。
図10】標準防災情報に基づく緊急時の複数の避難経路、およびこれら避難経路のうちサーバによって選択された避難経路を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0022】
<第1実施形態>
第1実施形態における情報処理システムの概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る情報処理システム100は、ネットワーク200と、サーバ300と、ユーザ端末400と、を含んで構成される。なお、本開示の情報処理システムは、マンション等の集合住宅に対する所定の管理情報をユーザに提供するシステムであって、該管理情報のユーザへの提供がサーバ300によって実行される。また、上記のユーザは、例えば、上記の集合住宅に居住する居住者等である。
【0023】
ネットワーク200は、例えば、IPネットワークであって、サーバ300とユーザ端末400との間を通信可能に接続する。ネットワーク200は、IPネットワークであれば、無線であっても有線であっても無線と有線の組み合わせであってもよく、例えば、無線による通信であれば、ユーザ端末400は、無線LANアクセスポイント(不図示)にアクセスし、LANやWANを介してサーバ300と通信してもよい。また、ネットワーク200は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網や、光回線、ADSL回線、衛星通信網などであってもよい。
【0024】
サーバ300は、ネットワーク200を介して、ユーザ端末400と接続される。なお、図1において、説明を簡単にするために、サーバ300は1台、ユーザ端末400は4台示してあるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0025】
サーバ300は、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、メインフレーム、その他電子機器であってもよい。すなわち、サーバ300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されている。
【0026】
また、サーバ300は、本実施形態に係る情報処理システム100専用のソフトウェアやハードウェア、OS等を設けずに、クラウドサーバによるSaaS(Software as a Service)、Paas(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)を適宜用いてもよい。
【0027】
ユーザ端末400は、情報処理システム100を利用するユーザ(例えば、居住者等)が保有する電子機器であって、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、携帯端末、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ等、その他端末機器であってもよい。
【0028】
次に、図2に基づいて、主にサーバ300とユーザ端末400の構成要素の詳細な説明を行う。図2は、第1実施形態における、情報処理システム100に含まれるサーバ300およびユーザ端末400の構成要素をより詳細に示した図である。
【0029】
サーバ300は、機能部として通信部301、記憶部302、制御部303を有しており、補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各機能部等が制御されることによって、各機能部における所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0030】
ここで、通信部301は、サーバ300をネットワーク200に接続するための通信インタフェースである。通信部301は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。サーバ300は、通信部301を介して、ユーザ端末400や、その他の外部装置と通信可能に接続される。
【0031】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部303によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部303において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。また、記憶部302は、その他の外部装置等から送信されたデータを記憶し、記憶部302には、後述する静的情報、動的情報などが記憶される。なお、サーバ300は、通信部301を介してユーザ端末400から送信されたデータも取得する。
【0032】
制御部303は、サーバ300が行う制御を司る機能部である。制御部303は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。制御部303は、更に、第1取得部3031と、第2取得部3032と、提供部3033と、の3つの機能部を有して構成される。各機能部は、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0033】
第1取得部3031は、マンション等の集合住宅を維持管理するための所定の管理規約に基づいて予め定められた静的な情報である静的情報を取得する。ここで、上記の管理規約は、集合住宅毎に予め定められるものであって、例えば、行政によって公表されているマンション標準管理規約に基づいて定められ得る。そして、このような管理規約は、外部装置等における管理データベースに格納され、第1取得部3031は、該外部装置等から送信された管理規約に基づいて予め定められた情報を取得することで静的情報を取得し、これをサーバ300の記憶部302に記憶させる。なお、本実施形態における静的情報の詳細は、後述する図3に基づいて説明する。
【0034】
第2取得部3032は、マンション等の集合住宅の居住者に関する情報又は/及び集合住宅の設備に関する情報であって、経時的に変化する動的な情報である動的情報を取得する。ここで、集合住宅の居住者に関する情報とは、居住者の家族構成やその年齢、健康状態、また、居室内の状態等であって、これらは、経時的に変化する動的な情報である。また、集合住宅の設備に関する情報とは、集合住宅の外壁や外構、照明、給排水設備、エレベーターの状態等であって、これらは、経時的に変化する動的な情報である。そして、このような情報は、外部装置等における管理データベースに格納され、第2取得部3032は、該外部装置等から送信されたこのような情報を取得することで動的情報を取得し、これをサーバ300の記憶部302に記憶させる。なお、本実施形態における動的情報の詳細は、後述する図3に基づいて説明する。
【0035】
提供部3033は、マンション等の集合住宅に対する管理情報として、上記の静的情報と上記の動的情報とを組み合わせて、情報処理システム100を利用するユーザ(例えば、居住者等)に提供する。そうすると、情報処理システム100を利用するユーザは、ユーザ端末400を介して管理情報を取得することができる。なお、提供部3033が実行する処理の詳細は、後述する図3に基づいて説明する。
【0036】
ここで、本実施形態におけるユーザ端末400は、機能部として通信部401、入出力部402、記憶部403を有している。通信部401は、ユーザ端末400をネットワーク200に接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。入出力部402は、通信部401を介して外部から送信されてきた情報等を表示させたり、通信部401を介して外部に情報を送信する際に当該情報を入力したりするための機能部である。記憶部403は、サーバ300の記憶部302と同様に主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。
【0037】
入出力部402は、更に、表示部4021、操作入力部4022、画像・音声入出力部4023を有している。表示部4021は、各種情報を表示する機能を有し、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等により実現される。操作入力部4022は、ユーザからの操作入力を受け付ける機能を有し、具体的には、タッチパネル等のソフトキーあるいはハードキーにより実現される。画像・音声入出力部4023は、静止画や動画等の画像の入力を受け付ける機能を有し、具体的には、Charged-Coupled Devices(CCD)、Metal-oxide-semiconductor(MOS)あるいはComplementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)等のイメージセンサを用いたカメラにより実現される。また、画像・音声入出力部4023は、音声の入出力を受け付ける機能を有し、具体的には、マイクやスピーカーにより実現される。
【0038】
情報処理システム100を利用するユーザは、このように構成されたユーザ端末400を用いて、上記の管理情報を取得することができる。ここで、サーバ300は、上記の管理情報を閲覧するためのインタフェースをユーザ端末400に提供してもよい。そうすると、上記のユーザは、ユーザ端末400に表示されるインタフェースを介して、上記の管理情報をサーバ300から取得することができる。
【0039】
そして、制御部303が、第1取得部3031、第2取得部3032、および提供部3033の処理を実行することで、本開示に係る制御部として機能する。
【0040】
ここで、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れについて説明する。図3は、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れを例示する図である。図3では、本実施形態における情報処理システム100における各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。
【0041】
本実施形態では、情報処理システム100は、マンション等の集合住宅の修繕計画に関する情報を、管理情報としてユーザに提供する。
【0042】
本実施形態では、先ず、サーバ300は、管理データベースから静的情報を取得するとともに、これを記憶部302に記憶させる(S101)。本実施形態では、サーバ300は、静的情報として、集合住宅の長期修繕計画に基づいて定められる集合住宅の修繕後の設備に関する3次元オブジェクトを取得する。ここで、他の外部装置の管理データベースには、管理対象の集合住宅の長期修繕計画や、これに基づく修繕後の設備に関する3次元オブジェクトが格納されていて、サーバ300は、管理データベースにアクセスすることで、静的情報を取得することができる。
【0043】
次に、サーバ300は、管理データベースから動的情報を取得するとともに、これを記憶部302に記憶させる(S102)。本実施形態では、サーバ300は、動的情報として、集合住宅の現在の設備外観画像に基づく3次元設備外観モデルを取得する。なお、上記の管理データベースには、この3次元設備外観モデルが格納されていて、サーバ300は、管理データベースにアクセスすることで、動的情報を取得することができる。
【0044】
そして、サーバ300は、管理情報としてユーザに提供する情報であるユーザ提供情報を生成する(S103)。
【0045】
ここで、本実施形態では、サーバ300は、管理情報として集合住宅の修繕計画に関する情報をユーザに提供する際に、先ず、ネットワークを介した仮想空間上で集合住宅の定期総会を開催するための仮想会議室へアクセスするための情報をユーザに提供し、該仮想会議室において、集合住宅の修繕計画に関する情報をユーザに提供する。
【0046】
なお、このような仮想会議室は、例えば、周知の所定のアプリを介して実現され得る。そして、サーバ300は、仮想会議室のネットワーク上のサイトアドレスや、仮想会議室に入室するためのID、パスワード等の情報をユーザに提供する。そうすると、ユーザは、ユーザ端末400に予めインストールされた所定のアプリを起動し、サーバ300から送信されたこれら情報を入力することで、仮想会議室に入室することができる。
【0047】
そして、仮想会議室に入室したユーザは、ユーザ端末400の表示部4021に表示されたネットワーク上の仮想空間において、集合住宅の定期総会を開催することができる。
【0048】
ここで、図4は、本実施形態における仮想会議室の態様を例示する図である。図4に示すように、集合住宅の定期総会に参加するユーザは、仮想会議室においてユーザアバターとして表示される。なお、集合住宅の定期総会に参加するユーザとは、例えば、集合住宅の管理組合に属する居住者(区分所有者)や、管理会社、施工業者、アドバイザー(マンション管理士)等である。
【0049】
そして、図4には、サーバ300が動的情報として取得した3次元設備外観モデルが併せて表示されている。図4に示す例では、3次元設備外観モデルとして、集合住宅の現在の外壁を表す外壁モデルと、集合住宅の現在の外構を表す外構モデルと、が表示されている。なお、これらモデルは、上述したように、集合住宅の現在の設備外観画像に基づいて作成され、他の外部装置の管理データベースに格納されるが、このような3次元コンピュータグラフィックスは、例えば、周知のフォトグラメトリ技術を用いて作成され得る。
【0050】
また、上記の3次元設備外観モデルは、集合住宅の現在の設備外観画像に基づいて作成されるため、例えば、実際の外構フェンスが破損している場合には、図4に示すように、外構モデルにおいてもフェンスの破損部位が再現され得る。
【0051】
そして、図3に戻って、サーバ300は、集合住宅の修繕計画に関する情報をユーザ提供情報として生成するとき、上記の静的情報と上記の動的情報とを組み合わせて、ユーザ提供情報を生成する。詳しくは、サーバ300は、静的情報として取得した集合住宅の長期修繕計画に基づいて定められる集合住宅の修繕後の設備に関する3次元オブジェクトが、上記の3次元設備外観モデルに重畳表示されるように、ユーザ提供情報を生成する。
【0052】
サーバ300は、生成したユーザ提供情報を、情報処理システム100を利用するユーザのユーザ端末400に送信し(S104)、該ユーザ端末400が該情報を取得する(S105)。なお、上記のユーザとは、例えば、集合住宅の管理組合に属する居住者(区分所有者)や、管理会社、施工業者、アドバイザー(マンション管理士)等である。
【0053】
ここで、図5は、本実施形態において、静的情報と動的情報とを組み合わせてユーザに提供される管理情報を説明するための図である。図5に示す例では、修繕後の3次元オブジェクトとして、集合住宅の長期修繕計画に基づいて更新される外塀モデルが表示されている。なお、本実施形態では、仮想会議室で開催される定期総会の議題の一つが長期修繕計画に沿った外構の更新であって、該長期修繕計画では、フェンスを外塀に更新する外構工事が計画されている。そして、上記の3次元オブジェクトは、例えば、定期総会に参加する施工業者によって、3次元CADモデルとして予め作成され、他の外部装置の管理データベースに格納されている。
【0054】
そうすると、サーバ300は、仮想会議室において、静的情報として取得した3次元オブジェクトを、動的情報として取得した3次元設備外観モデルに重畳表示させて、ユーザに提供する。
【0055】
そして、仮想会議室で開催される定期総会に参加するユーザは、ネットワーク上の仮想空間で、集合住宅の現在の設備外観と、長期修繕計画に沿って更新される設備外観と、を併せて確認しながら議論することができる。これにより、従来までは文字や2次元の図面で提供されていた集合住宅の修繕計画に関する情報が、現実を模した仮想空間上で提供されることになるため、ユーザに対して集合住宅の修繕計画に関する情報をより好適に提供することができ、定期総会をより円滑に進めることが可能になる。
【0056】
以上に述べた情報処理システム100によれば、集合住宅の修繕計画に関する情報(集合住宅に対する所定の管理情報)をユーザにより好適に提供することができる。
【0057】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態の変形例における情報処理システム100について、図6から図8に基づいて説明する。図6は、本変形例における情報処理システムの概略構成を示す図である。本変形例に係る情報処理システム100は、ネットワーク200と、サーバ300と、ユーザ端末400と、ブロックチェーンを用いてデータを管理する分散データベース500と、を含んで構成される。なお、本変形例では、仮想会議室で開催される定期総会の議題に紐づけられたデータであってブロックチェーンにおいて取引可能なノンファンジブルトークン(非代替性トークン;Non-Fungible Token:NFT)を含んだ議事録データとして、分散データベース500が管理される。
【0058】
図6に示すように、ユーザ端末400は分散データベース500に参加して、各端末がノードとして直接通信することで、分散型の管理台帳として議事録データが管理される。
【0059】
そして、図7は、本変形例における、情報処理システム100に含まれるユーザ端末400の構成要素をより詳細に示した図である。
【0060】
ユーザ端末400は、機能部として制御部404を有し、ユーザ端末400が行う制御を司る機能部である制御部404は、更に、取得部4041と、更新部4042と、の2つの機能部を有して構成される。
【0061】
取得部4041は、仮想会議室で開催される定期総会の議題情報が記録されたブロックチェーンをサーバ300から取得する。そして、取得部4041は、取得したブロックチェーンをユーザ端末400の記憶部403に記憶させる。そして、このようにして、上記のブロックチェーンが複数のユーザ端末400によって分散管理されることで、議事録データが分散データベース500で管理されることになる。なお、本変形例で用いられるブロックチェーンは、コントラクト機能を実装するブロックチェーンであって、例えば、イーサリアム(Ethereum)である。これによれば、中央集権的な管理が不在であっても、ユーザ端末400によって、議事録データが記録されたブロックチェーンが分散管理される。そのため、後述する定期総会の議題に対するユーザからの所定の反応が無かったことにされない。これによれば、ブロックチェーンの「時系列性」と「改ざん不可能性」といった利点を活用し、定期総会の議題に対するユーザからの貢献の真価が定まった時点から過去にさかのぼって、その価値の源泉を評価することが可能となる。
【0062】
更に、取得部4041は、定期総会の議題に対するユーザからの所定の反応を取得する。ここで、上記の反応とは、例えば、定期総会の議題に対する意見や、同意、反対の意思等である。これら反応がユーザ端末400の操作入力部4022を介して文字入力された場合、取得部4041は、そのテキストデータを取得する。また、これら反応がユーザ端末400の画像・音声入出力部4023を介して音声入力された場合、取得部4041は、周知の技術を用いて音声認識を行いテキスト化し、テキストデータを生成したうえでそれを取得する。
【0063】
更新部4042は、取得部4041によって取得された上記の反応を、議事録データに記録する。詳しくは、更新部4042は、複数のユーザ端末400によって分散管理されている上記のブロックチェーンに、上記の反応に関する情報を追加する。ここで、分散データベース500に参加しているユーザ端末400は、何れもブロックチェーンの更新権限を有する端末となり得る。そして、分散データベース500に参加しているユーザ端末400のうちの或る端末が、上記の反応に関する情報をブロックチェーンに追加する更新を行ったときには、その更新情報が他のユーザ端末400にブロードキャストされる。つまり、定期総会の議題に対する議事録データが、分散データベース500に参加している全てのユーザ端末400にブロードキャストされる。そうすると、定期総会の議題に対するユーザからの全ての反応の履歴を時間軸に記録することが可能となり、議事の状況が、改ざん不可能なブロックチェーンのシステムによる、トレーサビリティを有することになる。
【0064】
ここで、本変形例における情報処理システム100の動作の流れについて説明する。図8は、本変形例における情報処理システム100の動作の流れを例示する図である。図8では、本変形例における情報処理システム100における各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。なお、図8に示す各処理において、上記の図3に示した処理と実質的に同一の処理については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0065】
図8に示す例では、サーバ300は、ユーザ端末400にユーザ提供情報を送信した後に、仮想会議室で開催される定期総会で議論される議題情報を取得する(S106)。なお、第1実施形態の説明で述べた管理データベースには、この議題情報が格納されていて、サーバ300は、管理データベースにアクセスすることで、議題情報を取得することができる。
【0066】
そして、サーバ300は、取得した議題情報が記録されたブロックチェーンを生成する(S107)。そして、このブロックチェーンを、ネットワーク200を介してユーザ端末400に送信することで、議題情報をユーザに閲覧可能に提供する。そうすると、送信されたブロックチェーンが、ユーザ端末400に記憶される(S108)。
【0067】
そして、ユーザ端末400では、定期総会の議題に対する意見や、同意、反対の意思等のユーザからの反応がブロックチェーンに記録される(S109)。そして、このようなブロックチェーンへの記録が行われると、その更新情報が他のユーザ端末400にブロードキャストされる(S110)。
【0068】
これにより、定期総会の議題に対するユーザからの全ての反応の履歴を時間軸に記録することが可能となり、議事の状況が、改ざん不可能なブロックチェーンのシステムによる、トレーサビリティを有することになる。そのため、定期総会の議題に対するユーザからの所定の反応が無かったことにされず、例えば、定期総会の議題に対するユーザからの貢献の真価が定まった時点から過去にさかのぼって、その価値の源泉を評価することが可能となる。
【0069】
以上に述べた情報処理システム100によれば、集合住宅の修繕計画に関する情報(集合住宅に対する所定の管理情報)をユーザにより好適に提供することができ、且つ、定期総会の議事録データを好適に保護することができる。
【0070】
<第2実施形態>
第2実施形態における情報処理システム100について、図9および図10に基づいて説明する。上記の第1実施形態では、情報処理システム100が、マンション等の集合住宅の修繕計画に関する情報を、管理情報としてユーザに提供する例について説明した。これに対して、本実施形態では、情報処理システム100が、マンション等の集合住宅の防災マニュアルに関する情報を、管理情報としてユーザに提供する例について説明する。
【0071】
ここで、図9は、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れを例示する図である。図9では、本実施形態における情報処理システム100における各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。なお、図9に示す各処理において、上記の図3に示した処理と実質的に同一の処理については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0072】
図9に示す例では、サーバ300は、静的情報として、防災マニュアルについて管理規約に基づいて標準的に定められた標準防災情報を取得する(S101)。ここで、上記の管理規約は、例えば、行政によって公表されているマンション標準管理規約に基づいて定められ得るものであって、その中には、標準的な防災活動が定められている。したがって、この標準的な防災活動に基づいて、標準防災情報が集合住宅毎に予め定められ得る。なお、この標準防災情報には、緊急時の避難経路等が含まれ得る。また、このような標準防災情報は、他の外部装置の管理データベースに格納され、サーバ300は、管理データベースにアクセスすることで情報を取得することができる。
【0073】
そして、サーバ300は、動的情報として、集合住宅の居住者に関する所定のパーソナルデータ又は/及び集合住宅の居住者が居住する居室内の状態データを取得する(S102)。ここで、上記のパーソナルデータとは、居住者の家族構成やその年齢、健康状態等であって、上記の状態データとは、居室内の間取りやレイアウト、ベランダの状況等である。そして、このような情報は、集合住宅の居住者によって、ユーザ端末400を介して入力され得る。したがって、サーバ300は、ユーザ端末400から送信された情報を取得することで、上記のパーソナルデータや上記の状態データを取得することができる。
【0074】
更に、サーバ300は、集合住宅の防災マニュアルに関する情報をユーザ提供情報として生成するとき、標準防災情報に基づく緊急時の複数の避難経路のうち、パーソナルデータ又は/及び状態データに応じた避難経路を選択して、ユーザ提供情報を生成する(S103)。これについて、図10に基づいて説明する。
【0075】
図10は、標準防災情報に基づく緊急時の複数の避難経路、およびこれら避難経路のうちサーバ300によって選択された避難経路を例示する図である。図10(a)には、集合住宅の各居住者が居住する各居室に対して予め定められた複数の避難経路が例示されている。例えば、各居室に対しては、玄関から共用廊下と階段を経由して避難する経路と、窓からベランダの避難はしごを経由して避難する経路と、が予め定められている。また、図10(a)には、パーソナルデータとして、家族構成と年齢が例示されている。
【0076】
そうすると、サーバ300は、各居住者に対する標準防災情報に基づく複数の避難経路から、各居住者のパーソナルデータに応じた避難経路を選択する。例えば、図10(b)に示すように、居住者Aは、70才と比較的高齢であるため、このパーソナルデータを考慮すると避難はしごを経由した避難は困難であるとして、玄関から共用廊下と階段を経由して避難する経路が選択される。また、居住者Bは、4人家族で家族構成に子供が含まれることおよび居室が6階であることから、このパーソナルデータを考慮すると避難はしごを経由した避難は困難であるとして、玄関から共用廊下と階段を経由して避難する経路が選択される。一方、居住者Cは、単身で20才であることや居室が2階であること、また、階段の混雑緩和等を考慮して、避難はしごを経由した経路が選択される。
【0077】
このように、本実施形態によれば、各居住者の属性等に応じてパーソナライズした形で情報が提供されることになり、ユーザに対して集合住宅の防災マニュアルに関する情報をより好適に提供することができる。
【0078】
なお、サーバ300は、ネットワークを介した仮想空間において、選択された上記の避難経路を用いて避難訓練を実施するための仮想訓練へアクセスするための情報をユーザに提供することを、更に実行してもよい。
【0079】
この場合、上記の仮想訓練は、例えば、所定のアプリを介して実現され得る。そして、サーバ300は、仮想訓練のネットワーク上のサイトアドレスや、仮想訓練に参加するためのID、パスワード等の情報をユーザに提供する。そうすると、ユーザは、ユーザ端末400に予めインストールされた所定のアプリを起動し、サーバ300から送信されたこれら情報を入力することで、仮想訓練に参加することができる。
【0080】
これにより、仮想訓練に参加するユーザは、ネットワーク上の仮想空間で、選択された上記の避難経路を確認しながら避難の練習を行うことができる。
【0081】
以上に述べた情報処理システム100によれば、集合住宅の防災マニュアルに関する情報(集合住宅に対する所定の管理情報)をユーザにより好適に提供することができる。
【0082】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0083】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。例えば、第1取得部3031及び第2取得部3032をサーバ300とは別の演算処理装置に形成してもよい。このとき当該別の演算処理装置はサーバ300と好適に協働可能に構成される。また、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0084】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0085】
100・・・情報処理システム
200・・・ネットワーク
300・・・サーバ
301・・・通信部
302・・・記憶部
303・・・制御部
400・・・ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
図10