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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059274
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4093 20060101AFI20240423BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G05B19/4093 J
B23Q15/00 301J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166860
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】505049593
【氏名又は名称】岩田工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】田路 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】小野 哲
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269BB03
3C269BB07
3C269CC02
3C269EF63
3C269JJ20
3C269MN16
(57)【要約】
【課題】ワークのバリ取りや面取りを行う際の作業負荷を低減する。
【解決手段】加工装置は、加工部と、設定部と、制御部と、を備える。加工部は、載置面に沿ったX軸方向及びY軸方向と、Z軸方向とに加工具を移動させるよう構成される。設定部は、カメラ及びレーザ照射器を用いた光切断法により、載置面に固定されたワークの外面における加工面の縁部を認識すると共に、縁部に沿った加工経路を設定する。制御部は、加工部を制御し、加工経路に沿って加工具を移動させることで、ワークにおける加工面の縁部のバリ取り又は面取りを行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に固定されたワークの加工を行うよう構成される加工装置であって、
前記載置面に沿ったX軸方向と、前記載置面に沿っており、且つ、前記X軸方向と直交するY軸方向と、前記X軸方向及び前記Y軸方向に直交するZ軸方向とに加工具を移動させるよう構成された加工部と、
カメラ及びレーザ照射器を用いた光切断法により、前記ワークの外面における加工面の縁部を認識すると共に、前記縁部に沿った加工経路を設定するよう構成された設定部と、
前記加工部を制御し、前記加工経路に沿って前記加工具を移動させることで、前記ワークにおける前記加工面の前記縁部のバリ取り又は面取りを行うよう構成された制御部と、
を備える加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加工装置であって、
前記加工面の前記縁部は、異なる方向に直線状に延びる第1及び第2区間と、これらの区間の交点とを含んでおり、
前記第1区間は、前記交点に向かって第1方向に延び、
前記第2区間は、前記交点に向かって第2方向に延び、
前記第1区間を前記第1方向に延長した線の端を、第1転換点とし、
前記第2区間を前記第2方向に延長した線の端を、第2転換点とし、
前記第1及び第2区間に沿った前記加工経路は、前記交点から前記第1転換点まで延びる区間と、前記第1転換点から前記第2転換点まで延びる区間と、前記第2転換点から前記交点まで延びる区間とを含む
加工装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の加工装置であって、
前記光切断法により前記ワークの高さを計測すると共に、前記ワークの高さに基づき、前記カメラ及び前記レーザ照射器の前記Z軸方向の位置であるZ軸測定位置を定める調整部をさらに備え、
前記設定部は、前記カメラ及び前記レーザ照射器を前記Z軸測定位置に移動させ、前記Z軸測定位置に位置する前記カメラ及び前記レーザ照射器により、前記加工面の前記縁部を認識すると共に、前記加工経路を設定する
加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多関節のロボットやNC加工装置により、ワークのバリ取りを行う技術が知られている(例えば、特許文献1)。ロボットによりバリ取りを行う場合には、ロボット対しティーチングを行い、バリ取りを行う箇所や、加工具を移動させる加工経路をロボットに認識させる必要がある。また、NC加工装置によりバリ取りを行う場合には、ワークの3DモデルやCAMデータに基づきNCプログラムを事前に準備する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-104829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、形状の異なる多数のワークのバリ取りを行う場合には、各ワークに対応してティーチング作業を行ったり、NCプログラムを準備したりする必要があり、作業負荷が大きかった。
【0005】
本開示の一態様では、ワークのバリ取りや面取りを行う際の作業負荷を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、載置面に固定されたワークの加工を行うよう構成される加工装置であって、加工部と、設定部と、制御部と、を備える。加工部は、載置面に沿ったX軸方向と、載置面に沿っており、且つ、X軸方向と直交するY軸方向と、X軸方向及びY軸方向に直交するZ軸方向とに加工具を移動させるよう構成される。設定部は、カメラ及びレーザ照射器を用いた光切断法により、ワークの外面における加工面の縁部を認識すると共に、縁部に沿った加工経路を設定するよう構成される。制御部は、加工部を制御し、加工経路に沿って加工具を移動させることで、ワークにおける加工面の縁部のバリ取り又は面取りを行うよう構成される。
【0007】
上記構成によれば、ワークの加工面の縁部に沿った加工経路を自動的に設定し、該加工経路に沿って加工具を移動させることで、ワークのバリ取り又は面取りが行われる。このため、ワークのバリ取りや面取りを行う際の作業負荷を低減できる。
【0008】
本開示の一態様では、加工面の縁部は、異なる方向に直線状に延びる第1及び第2区間と、これらの区間の交点とを含んでいてもよい。第1区間は、交点に向かって第1方向に延びてもよい。第2区間は、交点に向かって第2方向に延びてもよい。第1区間を第1方向に延長した線の端を、第1転換点としてもよい。第2区間を第2方向に延長した線の端を、第2転換点としてもよい。第1及び第2区間に沿った加工経路は、交点から第1転換点まで延びる区間と、第1転換点から第2転換点まで延びる区間と、第2転換点から交点まで延びる区間とを含んでもよい。
【0009】
上記構成によれば、加工面の縁部における第1及び第2区間の交点周辺(換言すれば、角部周辺)におけるバリ取り又は面取りを、円滑に行うことができる。
本開示の一態様は、光切断法によりワークの高さを計測すると共に、ワークの高さに基づき、カメラ及びレーザ照射器のZ軸方向の位置であるZ軸測定位置を定める調整部をさらに備えてもよい。設定部は、カメラ及びレーザ照射器をZ軸測定位置に移動させ、Z軸測定位置に位置するカメラ及びレーザ照射器により、加工面の縁部を認識すると共に、加工経路を設定してもよい。
【0010】
上記構成によれば、加工面の縁部を認識する際の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】加工装置の斜視図である。
図2】加工装置の斜視図である。
図3】加工装置の斜視図である。
図4】加工装置の上面図である。
図5】自動加工処理のフローチャートである。
図6】ワークの一例を示す斜視図である。
図7】加工面の角部に設けられる加工経路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0013】
[1.概要]
本実施形態の加工装置1は、ワーク6のバリ取り又は面取りを自動的に行うよう構成される(図1~4、6参照)。すなわち、加工装置1は、鉛直方向に延びる主軸を中心に回転する加工具34を、三次元の直交座標系を形成するX軸、Y軸、及びZ軸の各方向に移動させることで、ワーク6のバリ取り又は面取りを行うNC加工装置としての機能を有する。
【0014】
また、加工装置1は、光切断法によりワーク6の外面における上部に位置する部分である加工面60と、加工面60の縁部60Aとを認識すると共に、縁部60Aに沿った加工経路61を設定する機能を有する(図6参照)。なお、本実施形態では、一例として、加工経路61は、加工面60の縁部60Aの全区間に対応して設定される。しかし、これに限らず、加工経路61は、加工面60の縁部60Aの一部に対応するように設定されても良い。また、一例として、加工面60は、水平又は略水平な平面となっている。しかし、これに限らず、水平ではない平面を加工面60としても良いし、曲面を加工面60としても良い。また、一例として、加工面60はワーク6の外面の上部に限らず、ワーク6の外面の側部等に位置する部分が、加工面として認識されても良い。
【0015】
そして、加工装置1は、加工経路61に沿って加工具34を移動させ、ワーク6の加工面60の縁部60Aを切削することで、自動的に縁部60Aのバリ取り又は面取りを行う。加工装置1は、作業台2と、加工部3と、認識部4と、制御部5とを備える。
【0016】
[2.作業台]
作業台2は、加工装置1の下部を構成しており、作業台2の上面には、加工部3と、認識部4とが固定されている(図1~4参照)。
【0017】
また、作業台2の上面には、ワーク6を固定するよう構成された固定部20が配置されている。固定部20は、水平な平面をなす載置面21を有する。また、載置面21は、X軸及びY軸に平行であると共に、Z軸に直交する。固定部20は、一例として電磁石を有しており、磁力によりワーク6を載置面21に固定する。なお、この外にも、固定部20は、例えば、電磁石以外の位置決め具によりワーク6を載置面21に固定しても良い。
【0018】
[3.加工部]
加工部3は、X軸ガイド部31と、Y軸ガイド部30と、Z軸ガイド部32と、駆動部33とを備える(図1~4参照)。
【0019】
X軸ガイド部31は、作業台2の上面に固定されており、該上面の上方でX軸方向に延びる2つの第1及び第2ガイド31A、31Bを有する。第1及び第2ガイド31A、31Bは、Y軸方向に間隔を空けて並んでおり、第1及び第2ガイド31A、31Bの間に固定部20が設けられる。
【0020】
Y軸ガイド部30は、作業台2の上方に位置し、Y軸方向に延びた状態で、X軸ガイド部31における第1ガイド31Aの上部から第2ガイド31Bの上部に懸架されている。Y軸ガイド部30は、当該Y軸ガイド部30に内蔵された図示しないサーボモータにより、第1及び第2ガイド31A、31B上をX軸方向に移動するよう構成されている。
【0021】
Z軸ガイド部32は、作業台2の上方に位置し、Z軸方向に延びた状態で、Y軸ガイド部30の側面に設けられている。Z軸ガイド部32は、当該Z軸ガイド部32に内蔵された図示しないサーボモータにより、Y軸ガイド部30の側面上をY軸方向に移動するよう構成されている。
【0022】
駆動部33は、作業台2の上方に位置し、載置面21に直交するZ軸方向に延びた状態で、Z軸ガイド部32の側面に設けられている。駆動部33は、図示しないサーボモータにより、Z軸ガイド部32の側面上をZ軸方向に移動するよう構成されている。また、駆動部33の下部にはスピンドルが設けられており、スピンドルの下端に、切削用の刃が設けられた加工具34が装着される。そして、駆動部33の内部に設けられた図示しないスピンドルモータにより、加工具34は、Z軸方向に延びる主軸を中心に回転する。なお、スピンドルの下端には、複数の種類の加工具34を装着可能となっている。
【0023】
つまり、加工部3は、X軸ガイド部31、Y軸ガイド部30、及びZ軸ガイド部32により、駆動部33の下端に取り付けられた加工具34を、X軸方向と、Y軸方向と、Z軸方向とに移動させるよう構成されている。
【0024】
[4.認識部]
認識部4は、Y軸ガイド部40と、Z軸ガイド部41と、支持部42と、レーザ照射器43と、カメラ44と、画像処理部45とを備える(図1~4参照)。
【0025】
Y軸ガイド部40は、作業台2の上面に固定されており、該上面の上方でY軸方向に延びるガイド40Aを有する。ガイド40Aは、加工部3のX軸ガイド部31よりも上方に位置する。
【0026】
Z軸ガイド部41は、作業台2の上方に位置し、Z軸方向に延びた状態で、Y軸ガイド部40のガイド40Aの側面に設けられている。Z軸ガイド部41は、当該Z軸ガイド部41に内蔵された図示しないサーボモータにより、ガイド40Aの側面上をY軸方向に移動するよう構成されている。
【0027】
支持部42は、作業台2の上方に位置し、Z軸ガイド部41の側面からX軸方向に突出するように設けられている。支持部42は、図示しないサーボモータにより、Z軸ガイド部41の側面上をZ軸方向に移動するよう構成されている。
【0028】
また、支持部42におけるZ軸ガイド部41の付近には、レーザ照射器43が設けられていると共に、支持部42の先端にはカメラ44が設けられている。レーザ照射器43及びカメラ44は、作業台2の上方に位置する。
【0029】
つまり、認識部4は、Y軸ガイド部40、及びZ軸ガイド部41により、支持部42を、Y軸方向と、Z軸方向とに移動させるよう構成されている。そして、支持部42を移動させることで、カメラ44及びレーザ照射器43の位置が変化する。また、カメラ44及びレーザ照射器43は、Y軸方向に移動する際、載置面21の上方を通過する。
【0030】
画像処理部45は、CPU、ROM/RAM等のメモリ、及びHDDやフラッシュメモリ等の記憶媒体等を備えるコンピュータを有している。画像処理部45は、メモリに記憶されているプログラムに従い動作することで、支持部42を移動させると共に、レーザ照射器43及びカメラ44を制御する。なお、画像処理部45により実現される各種制御は、プログラムの実行によって実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、1つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。
【0031】
[5.光切断法について]
上述したように、画像処理部45は、光切断法により、載置面21に固定されたワーク6の加工面60及びその縁部60Aを認識すると共に、縁部60Aに沿った加工経路61を設定する(図6参照)。
【0032】
具体的には、支持部42の先端に位置するカメラ44は、Z軸方向に沿って下方を向いており、レーザ照射器43は、カメラ44の下方に向けてビームを照射するよう、その向きが調整されている(図1~4参照)。
【0033】
そして、光切断法による測定の際には、画像処理部45は、載置面21の上方に位置する支持部42(換言すれば、カメラ44及びレーザ照射器43)を、載置面21を横切るようにY軸方向に移動させる。この時、画像処理部45は、レーザ照射器43によりビームをワーク6に向けて照射し、カメラ44の受光素子により反射したビームを受光する。これにより、画像処理部45は、ワーク6の外面の位置を計測し、計測結果に基づきワーク6の加工面60及びその縁部60Aを認識する。
【0034】
[6.制御部]
制御部5は、CPU、ROM/RAM等のメモリ、及びHDDやフラッシュメモリ等の記憶媒体等を備えるコンピュータを有しており、メモリに記憶されているプログラムに従い動作する(図1参照)。制御部5は、加工部3に接続されていると共に、例えばイーサネット(登録商標)を介して認識部4の画像処理部45に接続されており、これらの部位を制御する。また、制御部5は、図示しない表示部及び操作部をさらに備え、操作部を介して作業者からの操作を受け付けると共に、表示部を介して、作業者に対し各種情報を表示する。
【0035】
また、制御部5は、NC制御を行い、ワーク6のバリ取り又は面取りを行う。具体的には、制御部5は、メモリに記憶されているNCプログラムに従い、加工部3のサーボモータを制御し、加工具34をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に移動させると共に、駆動部33のモータを制御し、加工具34を回転駆動する。
【0036】
[7.自動加工処理]
次に、ワーク6のバリ取り又は面取りを自動的に行う自動加工処理について説明する(図5参照)。
【0037】
S100では、加工装置1における作業台2の固定部20の載置面21に、ワーク6が固定される。
続くS105では、制御部5は、図示しない操作部を介して、作業者から、ワーク6のバリ取り又は面取りの開始指示を受け付ける。具体的には、制御部5は、操作部を介して、作業者から、ワーク6を切削する量を定める操作を受け付ける。切削量が少ない場合にはバリ取りが行われ、切削量が多い場合には面取りが行われる。そして、制御部5は、認識部4の画像処理部45に対し、光切断法によるワーク6の加工面60の認識を指示するコマンドを送信する。
【0038】
S110では、上記コマンドを受信した画像処理部45は、支持部42(換言すれば、カメラ44及びレーザ照射器43)のZ軸方向の位置を、予め定められた調整位置に移動させ、その後、載置面21をY軸方向に横切るように支持部42を移動させる。この時、画像処理部45は、光切断法によりワーク6の加工面60を認識し、認識結果に基づき加工面60のZ軸方向の位置(換言すれば、ワーク6の高さ)を計測する。そして、画像処理部45は、ワーク6の高さに基づき、支持部42とワーク6との間のZ軸方向の距離が所定値となる場合の支持部42のZ軸方向の位置であるZ軸測定位置を算出する。
【0039】
続くS115では、画像処理部45は、Z軸測定位置に支持部42を移動させ、その後、載置面21を横切るように支持部42をY軸方向に移動させる。この時、画像処理部45は、光切断法によりワーク6の加工面60及びその縁部60Aを認識し、S120に移行する。
【0040】
S120では、画像処理部45は、ワーク6の加工面60の縁部60Aに沿った加工経路61を設定し、S125に移行する。
S125では、画像処理部45は、S115で設定した加工経路61に対し平滑化処理を行う。具体的には、画像処理部45は、例えば、移動平均による加工経路61の平滑化を行っても良い。これにより、バリの影響により、ワーク6の加工面60の縁部60Aとは異なる形状の加工経路61が算出されるのを抑制できる。
【0041】
S130では、画像処理部45は、加工経路61からNC制御用のパラメータを算出することで、加工経路61をNC制御用のデータに変換し、続くS135にて、制御部5に対しNC制御用のデータを送信する。
【0042】
S140では、制御部5は、NC制御用のデータに基づきNCプログラムを生成する。この時、バリ取り又は面取りに使用する加工具34のサイズ(例えば、径等)に応じて、該データが示す加工経路61をオフセットする工具径補正が行われる。オフセットされた加工経路61は、加工面60の縁部60Aのバリ取り又は面取りを行う際に、実際に加工具34が移動する経路となる。そして、オフセットされた加工経路61に沿って加工具34を移動させるNCプログラムが生成される。
【0043】
無論、NCプログラムの生成方法は、これに限らず、例えば、画像処理部45又は制御部5にて、画像処理部45にて生成された加工経路61に対し同様のオフセットを行い、オフセット後の加工経路61がNC制御用のデータに変換されても良い。そして、制御部5にて、該データに基づきNCプログラムを生成しても良い。
【0044】
S145では、制御部5は、NCプログラムに基づき、ワーク6における加工面60の縁部60Aのバリ取り又は面取りを行う。具体的には、制御部5は、駆動部33により加工具34を回転させると共に、NCプログラムが示す加工経路61に沿って加工具34を移動させ、ワーク6の縁部60Aを切削する。そして、制御部5は、加工具34が加工経路61の終点に到達すると、本処理を終了する。
【0045】
[8.角部周辺の加工経路]
ワーク6の加工面60の縁部60Aに、角部60Bが存在する場合が想定される(図7参照)。つまり、縁部60Aは、異なる方向に直線状に延びる第1及び第2区間62、63と、これらの区間の交点64とを含んでおり、該交点64の周辺に角部60Bが形成されている場合が想定される。なお、第1区間62は、交点64に向かって第1方向に延び、第2区間63は、交点64に向かって第2方向に延びる。また、第1及び第2区間62、63の角度は、図7では一例として90°となっているが、これに限らず、例えば、該角度は、90°未満であっても良いし、90°よりも大きくても良い。
【0046】
そして、このような場合には、加工経路61における角部60B周辺に、加工面60の縁部60Aから離間した位置を通過する付帯区間61Aが設けられても良い。具体的には、第1区間62を第1方向に延長した線の端を、第1転換点65とし、第2区間63を第2方向に延長した線の端を、第2転換点66とする。なお、第1及び第2転換点65、66は、角部60Bの付近に位置する。
【0047】
そして、付帯区間61Aは、第1及び第2区間62、63の交点64から第1転換点65まで延びる区間と、第1転換点65から第2転換点66まで延びる区間と、第2転換点66から交点64まで延びる区間とを含む。付帯区間61Aに沿って進行する加工具34は、第1区間62を通過した後、第1転換点65、第2転換点66を順次通過し、その後、第2区間63に進入する。
【0048】
自動加工処理において加工経路61に付帯区間61Aを設けるタイミングは、適宜選択できるが、一例として、S120にて付帯区間61Aが設けられても良い。すなわち、画像処理部45は、ワーク6の加工面60の認識結果に基づき、加工面60の縁部60Aの角部60Bを検出し、角部60Bの周辺に付帯区間61Aを設けても良い。また、例えば、S125にて、平滑化処理が行われた後の段階で、付帯区間61Aが設けられても良い。
【0049】
この外にも、例えば、画像処理部45にて、NC制御用のデータが示す加工経路61に基づき加工面60の縁部60Aの角部60Bを検出し、該データを加工することで、角部60Bの周辺に付帯区間61Aを設けても良い。
【0050】
また、例えば、制御部5にて、NCプログラムが示す加工経路61に基づき加工面60の縁部60Aの角部60Bを検出し、NCプログラムを加工することで、角部60Bの周辺に付帯区間61Aを設けても良い。
【0051】
また、例えば、上述したオフセットがなされる前の加工経路61に対し付帯区間61Aが設けられても良いし、オフセットがなされた後の加工経路61に対し付帯区間61Aが設けられても良い。
【0052】
[9.効果]
(1)上記実施形態によれば、ワーク6の加工面60の縁部60Aに沿った加工経路61を自動的に設定し、加工経路61に沿って加工具34を移動させることで、ワーク6のバリ取り又は面取りが行われる。このため、ティーチング作業を行ったり、3DモデルやCAMデータに基づきNCプログラムを準備したりする必要がなくなり、ワーク6のバリ取りや面取りを行う際の作業負荷を低減できる。
【0053】
また、多関節のロボットは剛性が低く、このようなロボットを用いてバリ取り又は面取りを行う場合には、面取りの深さが大きくなると(例えば、C1以上になると)、加工面の均一性が低下したり、加工面の表面粗さや面粗度が悪化したりする恐れがある。
【0054】
これに対し、上記実施形態では、多関節のロボットではなく、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に移動可能なガイド部30~32により、加工具34を動作させる。このため、面取りの深さが大きい場合であっても、良好に面取りを行うことができる。
【0055】
さらに、ワーク6が、十分な加工処理が施されていない場合や、黒皮により形成される黒皮面や、溶断により形成される溶断面や、バンドソーによる切断により形成される切断面を有する場合には、ワーク6の形状にばらつきが生じている可能性が高い。これに対し、上記実施形態では、ワーク6の形状に応じて加工経路61が自動的に設定される。このため、ワーク6の形状にばらつきが生じている場合であっても、良好にバリ取りや面取りを行うことができる。
【0056】
(2)また、加工面60の縁部60Aに角部60Bが存在する場合には、加工経路61における角部60B周辺に付帯区間61Aが設けられる。そして、バリ取り又は面取りを行う際、加工具34は、第1区間62を通過した後、第1転換点65、第2転換点66を順次通過し、その後、第2区間63に進入する。このため、加工具34が、第1区間62を通過した後、直ちに第2区間63に進入する場合に比べ、加工面60の縁部60Aにおける角部60B周辺におけるバリ取り又は面取りを、円滑に行うことができる。
【0057】
(3)また、自動加工処理では、ワーク6の高さが計測され、該高さに基づきZ軸測定位置が算出される。そして、支持部42をZ軸測定位置に配置した状態で、光切断法によりワーク6の加工面60及びその縁部60Aが認識され、加工経路61が設定される。このため、加工面60及びその縁部60Aを認識する際の精度が向上する。
【0058】
[10.他の実施形態]
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0059】
[11.文言の対応関係]
自動加工処理のS110が調整部の一例に相当し、S115、S120が設定部の一例に相当する。
【符号の説明】
【0060】
1…加工装置、2…作業台、20…固定部、21…載置面、3…加工部、30…Y軸ガイド部、31…X軸ガイド部、31A、31B…第1、第2ガイド、32…Z軸ガイド部、33…駆動部、34…加工具、4…認識部、40…Y軸ガイド部、40A…ガイド、41…Z軸ガイド部、42…支持部、43…レーザ照射器、44…カメラ、45…画像処理部、5…制御部、6…ワーク、60…加工面、60A…縁部、61…加工経路、61A…付帯区間、62、63…第1、第2区間、64…交点、65、66…第1、第2転換点。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7