(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059276
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】非空気圧タイヤおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B60C 7/00 20060101AFI20240423BHJP
B29D 30/02 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B60C7/00 H
B29D30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166866
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】玉井 健太郎
【テーマコード(参考)】
3D131
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
3D131AA30
3D131BA02
3D131BB19
3D131BC05
3D131BC31
3D131BC36
3D131BC42
3D131CC03
3D131LA28
4F215AH21
4F215VA01
4F215VC08
4F501TA01
4F501TB07
4F501TV27
(57)【要約】
【課題】支持構造体の耐久性を向上させることが可能な非空気圧タイヤを提供する。
【解決手段】非空気圧タイヤは、支持構造体と、支持構造体よりもタイヤ径方向Xの外側に位置しており、タイヤ周方向に沿って延びているトレッドと、を備える。支持構造体は、内側環状部20と、内側環状部20のタイヤ径方向Xの外側に内側環状部20と同軸に配置されている外側環状部30と、内側環状部20と外側環状部30とを連結し、タイヤ周方向に沿って配列されている複数のスポークと、を備える。外側環状部30は、弾性材料31の中に金属板32が埋設されており、金属板32は、エポキシ樹脂の硬化物33が表面に存在している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体と、前記支持構造体よりもタイヤ径方向外側に位置しており、タイヤ周方向に沿って延びているトレッドと、を備え、
前記支持構造体は、内側環状部と、前記内側環状部のタイヤ径方向外側に前記内側環状部と同軸に配置されている外側環状部と、前記内側環状部と前記外側環状部とを連結し、タイヤ周方向に沿って配列されている複数のスポークと、を備え、
前記内側環状部および前記外側環状部の少なくとも一方は、弾性材料の中に金属板が埋設されており、
前記金属板は、エポキシ樹脂の硬化物が表面に存在している、非空気圧タイヤ。
【請求項2】
前記金属板は、算術平均粗さRaが0.50μm以上5.00μm以下である、請求項1に記載の非空気圧タイヤ。
【請求項3】
前記弾性材料は、ポリウレタン樹脂である、請求項1または2に記載の非空気圧タイヤ。
【請求項4】
請求項1に記載の非空気圧タイヤを製造する方法であって、
前記金属板の表面にエポキシ樹脂を含む塗膜を形成する工程と、
前記塗膜が表面に形成された金属板を前記弾性材料の前駆体の中に配置した状態で、前記エポキシ樹脂および前記弾性材料の前駆体を硬化させることにより、それぞれ前記内側環状部および前記外側環状部を得る工程と、を含む、非空気圧タイヤの製造方法。
【請求項5】
前記塗膜は、膜厚が5.0μm以上20.0μm以下である、請求項4に記載の非空気圧タイヤの製造方法。
【請求項6】
前記金属板の表面を粗面化する工程をさらに含み、
前記粗面化された金属板の表面に前記塗膜を形成する、請求項4または5に記載の非空気圧タイヤの製造方法。
【請求項7】
前記弾性材料の前駆体は、熱硬化性ポリウレタン樹脂である、請求項4または5に記載の非空気圧タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非空気圧タイヤおよび非空気圧タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両からの荷重を支持する支持構造体と、支持構造体よりもタイヤ径方向外側に位置し、タイヤ周方向に沿って延びているトレッドと、を備える非空気圧タイヤが知られている。ここで、支持構造体は、内側環状部と、内側環状部のタイヤ径方向外側に内側環状部と同軸に配置されている外側環状部と、内側環状部と外側環状部とを連結し、タイヤ周方向に沿って配列されている複数のスポークと、を備える。このとき、非空気圧タイヤの耐久性、車両の乗り心地、低燃費性等を考慮して、非空気圧タイヤの耐クリープ性を向上させることが望まれている。
【0003】
特許文献1では、内側環状部および外側環状部は、弾性材料を含む基材の中に、曲げ弾性率が1GPa以上である繊維強化プラスチックが埋設されている。また、スポークは、弾性材料を含む基材の中に、引張弾性率が50GPa以上である繊維強化プラスチックが埋設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、繊維強化プラスチックは、通常、シート状の繊維がプラスチックを介して積層されているため、層間剥離が発生する虞があった。そこで、繊維強化プラスチックの代わりに、金属板を使用することが考えられるが、弾性材料との接着性が低いため、支持構造体の耐久性が低くなることが課題となっている。
【0006】
本発明は、支持構造体の耐久性を向上させることが可能な非空気圧タイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、非空気圧タイヤにおいて、支持構造体と、前記支持構造体よりもタイヤ径方向外側に位置しており、タイヤ周方向に沿って延びているトレッドと、を備え、前記支持構造体は、内側環状部と、前記内側環状部のタイヤ径方向外側に前記内側環状部と同軸に配置されている外側環状部と、前記内側環状部と前記外側環状部とを連結し、タイヤ周方向に沿って配列されている複数のスポークと、を備え、前記内側環状部および前記外側環状部の少なくとも一方は、弾性材料の中に金属板が埋設されており、前記金属板は、エポキシ樹脂の硬化物が表面に存在している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、支持構造体の耐久性を向上させることが可能な非空気圧タイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の非空気圧タイヤの一例を示す側面図である。
【
図2】
図1の外側環状部の構造を示すII-II断面図である。
【
図4】
図3に示す部分を斜めから見た非空気圧タイヤの一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1に、本実施形態の非空気圧タイヤの一例を示す。非空気圧タイヤ1は、支持構造体10と、トレッド50と、を備える。ここで、支持構造体10は、車両からの荷重を支持する。また、トレッド50は、支持構造体10よりもタイヤ径方向Xの外側に位置しており、タイヤ周方向Cに沿って延びている。また、支持構造体10は、内側環状部20と、内側環状部20のタイヤ径方向Xの外側に内側環状部20と同軸に配置されている外側環状部30と、内側環状部20と外側環状部30とを連結し、タイヤ周方向Cに沿って配列されている複数のスポーク40と、を備える。なお、非空気圧タイヤ1の構造の詳細については、後述する。
【0012】
図2に、外側環状部30の構造を示す。外側環状部30は、弾性材料31の中に金属板32が埋設されており、金属板32は、エポキシ樹脂の硬化物33が表面の全面に存在している。このため、弾性材料31と金属板32との接着性が高くなり、支持構造体10の耐久性が高くなる。これは、金属板の表面に存在するヒドロキシ基とエポキシ樹脂の硬化物が有するヒドロキシ基との間で水素結合が形成されるためであると推測される。ここで、弾性材料とエポキシ樹脂の硬化物との間には、高分子鎖同士の絡み合いが存在することに加え、水素結合が形成されるため、弾性材料とエポキシ樹脂の硬化物との間の接着性は高い。
【0013】
なお、エポキシ樹脂の硬化物33は、金属板32の表面の全面に存在していなくてもよく、金属板32の表面の一部に存在していてもよい。
【0014】
弾性材料31としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂が挙げられる。
【0015】
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリ塩化ビニルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等が挙げられる。
【0016】
架橋ゴムを構成するゴムとしては、天然ゴムおよび合成ゴムのいずれを使用することもできる。合成ゴムとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(水添NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0017】
その他の樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれを使用することもできる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0018】
これらの中でも、エポキシ樹脂の硬化物との接着性の観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。ここで、ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂の硬化物との間には、水素結合が形成されるため、ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂の硬化物との間の接着性は高い。
【0019】
なお、弾性材料31は、発泡材料であってもよい。
【0020】
金属板32は、環状であり、外側環状部30の全周に亘って埋設されている。金属板32を構成する金属としては、特に限定されないが、炭素鋼の全般を使用することができるが、特に炭素含有率が比較的高い鋼が好ましい。炭素鋼としては、例えば、JISによりばね鋼として規定される構造用普通鋼、構造用合金鋼、高炭素鋼、ピアノ線用鋼等が挙げられる。金属板32のビッカース硬さ(HV)は、特に限定されないが、例えば、HV400以上HV500以下である。
【0021】
金属板32の算術平均粗さRaは、0.50μm以上5.00μm以下であることが好ましく、1.60μm以上4.00μm以下であることがさらに好ましい。金属板32の算術平均粗さRaが0.50μm以上5.00μm以下であると、金属板32とエポキシ樹脂の硬化物33との接着性が高くなる。
【0022】
金属板32の厚みは、特に限定されないが、例えば、1.00mm以上3.00mm以下である。また、外側環状部30の幅に対する金属板32の幅の比は、特に限定されないが、例えば、95%以下である。
【0023】
外側環状部30は、例えば、環状の金属板の表面にエポキシ樹脂を含む塗膜を形成した後、塗膜が表面に形成された金属板を弾性材料の前駆体の中に配置した状態で、エポキシ樹脂および弾性材料の前駆体を硬化させることにより得られる。このとき、エポキシ樹脂および弾性材料の前駆体を硬化させる際に、円筒状の金型を使用することにより、外側環状部30を成形する。
【0024】
金属板の表面にエポキシ樹脂を含む塗膜を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、金属板の表面にエポキシ樹脂を含む塗布液を塗布した後、乾燥させる方法等が挙げられる。塗布液を塗布する際には、例えば、刷毛、スプレー等を使用することができる。
【0025】
塗布液としては、エポキシ樹脂を含んでいれば、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂系接着剤の希釈液等が挙げられる。ここで、エポキシ樹脂系接着剤は、エポキシ樹脂を主成分として含む接着剤である。エポキシ樹脂系接着剤の市販品としては、例えば、Chemlok(登録商標) 210(Parker LOAD製)等が挙げられる。
【0026】
塗膜の膜厚は、5.0μm以上20.0μm以下であることが好ましく、6.0μm以上10.0μm以下であることがさらに好ましい。
【0027】
なお、金属板の表面を粗面化した後、粗面化された金属板の表面にエポキシ樹脂を含む塗膜を形成してもよい。これにより、金属板とエポキシ樹脂の硬化物との接着性が高くなる。金属板の表面を粗面化する方法としては、特に限定されないが、例えば、バフ処理等が挙げられる。
【0028】
弾性材料の前駆体としては、特に限定されないが、例えば、熱硬化性ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂の硬化物との接着性が高くなるため、熱硬化性ポリウレタン樹脂が好ましい。熱硬化性ポリウレタン樹脂は、例えば、末端にイソシアネート基を有するポリウレタン等が挙げられる。末端にイソシアネート基を有するポリウレタンは、例えば、p-フェニレンジイソシアネートおよびポリテトラメチレングリコールを反応させることにより得られる。末端にイソシアネート基を有するポリウレタンの市販品としては、例えば、アジプレンLFP-E560(ランクセス製)等が挙げられる。なお、熱硬化性ポリウレタン樹脂を硬化剤と混合して使用してもよい。硬化剤としては、例えば、1,4-ブタンジオール等のジオール等が挙げられる。硬化剤の市販品としては、例えば、バイブラキュアA250(ランクセス製)等が挙げられる。
【0029】
内側環状部20は、弾性材料の中にガラス繊維が埋設されている。ガラス繊維としては、特に限定されないが、公知のガラス繊維を使用することができる。
【0030】
なお、内側環状部20は、ガラス繊維の代わりに、エポキシ樹脂の硬化物が表面の全面に存在している金属板が弾性材料の中に埋設されていてもよい。この場合、内側環状部20および外側環状部30を構成する弾性材料は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、内側環状部20および外側環状部30に埋設されている金属板を構成する金属は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0031】
一方、内側環状部20および外側環状部30の構成を逆にしてもよい。すなわち、内側環状部20は、弾性材料の中に、エポキシ樹脂の硬化物が表面の全面に存在している金属板が埋設されており、外側環状部30は、弾性材料の中にガラス繊維が埋設されている構成としてもよい。
【0032】
非空気圧タイヤ1は、例えば、加硫接着剤を用いて、支持構造体10と、トレッド用ゴム組成物と、を加硫接着させることにより得られる。
【0033】
例えば、まず、支持構造体10の外側環状部30の外周面を粗面化する。これにより、支持構造体10とトレッド50との接着性が高くなる。外側環状部30の外周面を粗面化する方法としては、特に限定されないが、例えば、バフ処理等が挙げられる。このとき、外側環状部30の外周面の算術平均粗さRaは、特に限定されないが、例えば、2μm以上18μm以下である。
【0034】
次に、粗面化された外側環状部30の外周面に加硫接着剤を塗布し、乾燥させる。このとき、加硫接着剤の乾燥膜厚は、特に限定されないが、例えば、1μm以上23μm以下である。
【0035】
次に、加硫接着剤が塗布された外側環状部30の外周面にトレッド用ゴム組成物を巻き付けた後、加硫接着させる。トレッド用ゴム組成物は、例えば、天然ゴムおよびカーボンブラックを含み、硫黄、シリカ等をさらに含んでいてもよい。ここで、トレッド用ゴム組成物は、天然ゴムとともに、または、天然ゴムの代わりに、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等の合成ゴムを含んでいてもよい。
【0036】
以下、非空気圧タイヤ1の構造の詳細について説明する。
図1は、非空気圧タイヤ1をタイヤ回転軸(タイヤ子午線)と平行な方向、すなわち、
図1で紙面表裏方向に沿う方向から側面視した側面図である。
図1に示す非空気圧タイヤ1は、無荷重状態である。
図3は、
図1のII-II断面図である。
図4は、
図3に示す部分を斜めから見た非空気圧タイヤ1の一部斜視図である。
【0037】
図1、4において、Cは、タイヤ周方向を示している。
図1~4において、Xは、タイヤ径方向を示している。
図2~4において、Yは、タイヤ幅方向を示している。
図1において、タイヤ幅方向Yは、紙面表裏方向である。
図3において、Eは、タイヤ赤道面を示している。
図3において、タイヤ周方向Cは、紙面表裏方向である。
【0038】
タイヤ周方向Cは、タイヤ回転軸周りの方向であって、非空気圧タイヤ1が回転する方向と同一の方向である。タイヤ径方向Xは、タイヤ回転軸に垂直な方向である。タイヤ幅方向Yは、タイヤ回転軸と平行な方向である。
図3、4においては、タイヤ幅方向Yの一方側をY1として示し、タイヤ幅方向Yの他方側をY2として示している。
図3に示すタイヤ赤道面Eは、タイヤ回転軸に直交する面であり、かつ、タイヤ幅方向Yの中心に位置する面である。
【0039】
なお、内側環状部20および外側環状部30の厚みとは、タイヤ径方向Xの寸法である。また、内側環状部20および外側環状部30の幅とは、
図3に示すタイヤ幅方向Yの寸法である。
【0040】
内側環状部20は、非空気圧タイヤ1の内周部を構成するタイヤ周方向Cに沿った環状の部分である。内側環状部20の厚みおよび幅は、ユニフォミティを向上させるために一定に設定される。内側環状部20の内周側の空間に、図示しないタイヤホイールが配置される。そのタイヤホイールのリムの外周部に、内側環状部20の内周部が嵌合して装着される。内側環状部20がリムに装着されて、非空気圧タイヤ1は、タイヤホイールに装着される。内側環状部20の内周面には、リムとの嵌合のために、凸部、溝等で構成される嵌合部が設けられる場合がある。
【0041】
内側環状部20は、上記タイヤホイールの回転をスポーク40および外側環状部30に伝達する。内側環状部20の厚みは、スポーク40に回転力を十分に伝達する機能を満たしつつ、軽量化および耐久性も得られる観点から決定される。内側環状部20の厚みは、特に限定されないが、例えば、
図3に示すタイヤ断面高さHの2%以上7%以下であることが好ましく、3%以上6%以下であることがより好ましい。
【0042】
内側環状部20の内径は、非空気圧タイヤ1が装着されるタイヤホイールのリムの寸法や車両の用途等に応じて決定される。例えば、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、内側環状部20の内径は、例えば、250mm以上500mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。
【0043】
内側環状部20の幅は、非空気圧タイヤ1が装着される車両の用途や車軸の長さ等に応じて適宜決定される。例えば、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、内側環状部20の幅は、100mm以上300mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。
【0044】
外側環状部30は、非空気圧タイヤ1の外周部を構成するタイヤ周方向Cに沿った環状の部分である。外側環状部30は、内側環状部20の外周側に、内側環状部20と同心状に配置される。外側環状部30の厚みおよび幅は、ユニフォミティを向上させるために一定に設定される。
【0045】
外側環状部30は、内側環状部20およびスポーク40の回転を、トレッド50を介して路面に伝達する。外側環状部30の厚みは、スポーク40から路面に回転力を十分に伝達する機能を満たしつつ、軽量化および耐久性も得られる観点から決定される。外側環状部30の厚みは、特に限定されないが、例えば、
図3に示すタイヤ断面高さHの2%以上7%以下であることが好ましく、2%以上5%以下であることがより好ましい。
【0046】
外側環状部30の内径は、非空気圧タイヤ1が装着されるタイヤホイールのリムの寸法や車両の用途等に応じて適宜決定される。例えば、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、外側環状部30の内径は、420mm以上750mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。
【0047】
外側環状部30の幅は、非空気圧タイヤ1が装着される車両の用途等に応じて適宜決定される。例えば、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、外側環状部30の幅は、100mm以上300mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。
【0048】
複数のスポーク40は、内側環状部20と外側環状部30とを連結する。複数のスポーク40で連結された内側環状部20と外側環状部30とは、互いに同心状に配置される。複数のスポーク40のそれぞれは、タイヤ周方向Cに沿って各々独立して配列される。
図1に示すように、複数のスポーク40は、非空気圧タイヤ1が無荷重状態では、側面視した場合においてタイヤ径方向Xと略平行でラジアル方向に直線状に延びている。
【0049】
図3および
図4に示すように、本実施形態の複数のスポーク40は、複数の第1のスポーク41と、複数の第2のスポーク42と、を含む。第1のスポーク41および第2のスポーク42のいずれも、その延在方向は、タイヤ周方向Cに沿った方向で見た場合において、タイヤ径方向Xとは平行ではない。第1のスポーク41は、タイヤ軸方向、すなわち、タイヤ幅方向Yの一方側へ傾斜している。第2のスポーク42は、第1のスポーク41とは反対側へ傾斜している。第1のスポーク41と第2のスポーク42とは、タイヤ周方向Cに交互に配置されている。
【0050】
詳しくは、
図3および
図4に示すように、第1のスポーク41は、外側環状部30のタイヤ幅方向Yの一方側であるY1側から、内側環状部20のタイヤ幅方向Yの他方側であるY2側へ向かって傾斜して延びている。第2のスポーク42は、外側環状部30のタイヤ幅方向Yの他方側であるY2側から、内側環状部20のタイヤ幅方向Yの一方側であるY1側へ向かって傾斜して延びている。
【0051】
第1のスポーク41および第2のスポーク42の傾斜角度は同じである。このため、タイヤ周方向Cに隣接する第1のスポーク41と第2のスポーク42とは、タイヤ周方向Cに沿う方向から見た場合、略X字状に配置されている。
図3に示すように、第1のスポーク41および第2のスポーク42は、タイヤ幅方向Yに対して角度θで傾斜しており、その角度θは、例えば、30°以上60°以下であることが好ましい。
【0052】
図3に示すように、タイヤ周方向Cに沿う方向から見た状態での第1のスポーク41および第2のスポーク42のそれぞれは、タイヤ赤道面Eに対して対称な同一形状である。したがって、以下においては、第1のスポーク41および第2のスポーク42を区別する必要がなく、まとめて説明できる場合には、第1のスポーク41および第2のスポーク42を、スポーク40と総称する。
【0053】
スポーク40は、板状であって、内側環状部20から外側環状部30に向けて、上記のように角度θの角度で斜めに延びている。
図4に示すように、スポーク40は、タイヤ周方向に沿った板厚tが、板幅wよりも小さく、板厚tの方向がタイヤ周方向Cに沿っている。すなわち、スポーク40は、タイヤ径方向Xおよびタイヤ幅方向Yの面内に沿って延びる板状に形成されている。なお、ここでいう板幅wは、
図3にも示すように、スポーク40をタイヤ周方向Cに沿う方向から見た場合での、スポーク40が延在する傾斜方向に直交する方向の寸法である。本実施形態においては、全てのスポーク40の板厚tは同じである。また、全てのスポーク40の板幅wは同じである。
【0054】
スポーク40は、長尺板状であるため、板厚tを薄くしても、板幅wを広く設定することによってスポーク40の耐久性を向上させることができる。さらに、板厚tを薄くしてスポーク40の数を増やすことにより、非空気圧タイヤ1全体の剛性を維持しつつ、タイヤ周方向Cに隣接するスポーク40の間の間隔を小さくできる。これによって、スポーク40によるタイヤ転動時の接地圧が分散し、接地圧を小さくできる。
【0055】
なお、スポーク40は、側面視においてタイヤ径方向Xと平行であるが、スポーク40は、側面視においてタイヤ径方向Xと交差するようにタイヤ径方向Xに対し斜めに配置されてもよい。
【0056】
図3および
図4に示すように、第1のスポーク41は、内側環状部20のタイヤ幅方向Y2側に接続する第1の内側接続部411と、外側環状部30のタイヤ幅方向Y1側に接続する第1の外側接続部412と、を有する。第2のスポーク42は、内側環状部20のタイヤ幅方向Y1側に接続する第2の内側接続部421と、外側環状部30のタイヤ幅方向Y2側に接続する第2の外側接続部422と、を有する。第1の外側接続部412および第2の外側接続部422のそれぞれは、本実施形態における、外側環状部30に接続されるスポーク40の接続部の一例である。
【0057】
図3に示すように、第1のスポーク41の第1の内側接続部411は、内側環状部20に近付くにつれてタイヤ幅方向Yに沿って広がる形状を有している。第1の内側接続部411のタイヤ幅方向Y2側の側面411aは、内側環状部20のタイヤ幅方向Y2側の端部20bまでなだらかに湾曲しながら延びている。第1の内側接続部411のタイヤ幅方向Y1側の側面411bは、内側環状部20のタイヤ赤道面Eの位置までタイヤ幅方向Y1側に向かって湾曲して延びている。
【0058】
第1のスポーク41の第1の外側接続部412は、第1の内側接続部411と同様の形状であって、外側環状部30に近付くにつれてタイヤ幅方向に沿って広がる形状を有している。第1の外側接続部412のタイヤ幅方向Y1側の側面412aは、外側環状部30のタイヤ幅方向Y1側の端部30aまで、なだらかに湾曲しながら延びている。第1の外側接続部412のタイヤ幅方向Y2側の側面412bは、外側環状部30のタイヤ赤道面Eの位置まで、タイヤ幅方向Y2側に向かって湾曲して延びている。
【0059】
第1の内側接続部411は、内側環状部20のタイヤ幅方向Y2側の半分の領域に設けられている。第1の外側接続部412は、外側環状部30のタイヤ幅方向Y1側の半分の領域に設けられている。
【0060】
図3に示すように、第2のスポーク42の第2の内側接続部421は、内側環状部20に近付くにつれて、タイヤ幅方向Yに沿って広がる形状を有している。第2の内側接続部421のタイヤ幅方向Y1側の側面421aは、内側環状部20のタイヤ幅方向Y1側の端部20aまで、なだらかに湾曲しながら延びている。第2の内側接続部421のタイヤ幅方向Y2側の側面421bは、内側環状部20のタイヤ赤道面Eの位置まで、タイヤ幅方向Y2側に向かって湾曲して延びている。
【0061】
第2のスポーク42の第2の外側接続部422は、第2の内側接続部421と同様の形状であって、外側環状部30に近付くにつれて、タイヤ幅方向に沿って広がる形状を有している。第2の外側接続部422のタイヤ幅方向Y2側の側面422aは、外側環状部30のタイヤ幅方向Y2側の端部30bまで、なだらかに湾曲しながら延びている。第2の外側接続部422のタイヤ幅方向Y1側の側面422bは、外側環状部30のタイヤ赤道面Eの位置まで、タイヤ幅方向Y1側に向かって湾曲して延びている。
【0062】
第2の内側接続部421は、内側環状部20のタイヤ幅方向Y1側の半分の領域に設けられている。第2の外側接続部422は、外側環状部30のタイヤ幅方向Y2側の半分の領域に設けられている。
【0063】
上述したように、本実施形態の全てのスポーク40の板厚tは同じである。板厚tの寸法は特に限定されないが、スポーク40が内側環状部20および外側環状部30からの回転力を十分受けつつ、荷重を受けた際には適度に撓み変形が可能なようにする上で、1mm以上30mm以下であることが好ましく、5mm以上25mm以下であることがより好ましい。
【0064】
上述したように、本実施形態の全てのスポーク40の板幅wは同じである。スポーク40の板幅wは特に限定されないが、内側環状部20および外側環状部30からの回転力を十分受けつつ、荷重を受けた際には適度に撓み変形が可能なようにする上で、5mm以上25mm以下であることが好ましく、10mm以上20mm以下であることがより好ましい。また、板幅wは、耐久性を向上させつつ接地圧を分散させ得る観点から、板厚tの110%以上であることが好ましく、115%以上であることがより好ましい。
【0065】
スポーク40の数としては、車両からの荷重を十分支持しつつ、軽量化が可能で、動力伝達性および耐久性の向上をともに図ることを可能とする観点から、80個以上300個以下であることが好ましく、100個以上200個以下であることがより好ましい。
【0066】
スポーク40は、下記に挙げる弾性材料によって形成することができる。まず、その弾性材料の特性としては、十分な耐久性を確保しながら、適度な剛性を付与する観点から、JIS K7312:1996に準じて行う引張試験を行い、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが、3MPa以上12MPa以下が好ましい。
【0067】
スポーク40において、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが3MPaを下回る場合、十分な剛性が得られず、タイヤ周方向Cに隣接するスポーク40どうしが接触する可能性がある。一方、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが12MPaを上回る場合、過度に剛性が高くなり、乗り心地が悪化する。
【0068】
スポーク40の母材として用いられる弾性材料としては、熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂が挙げられる。
【0069】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリ塩化ビニルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等が例示される。
【0070】
架橋ゴムを構成するゴム材料としては、天然ゴムおよび合成ゴムのいずれを使用することもできる。合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(水添NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等が例示される。ゴム材料は、必要に応じて、二種以上を併用してもよい。
【0071】
その他の樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0072】
スポーク40には、上記の弾性材料のうち、成形、加工性およびコストの観点から、ポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。なお、弾性材料としては、発泡材料を使用することもできる。すなわち、上記の熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂を発泡させたものを使用することができる。
【0073】
なお、スポーク40の母材として用いられる弾性材料は、補強繊維により補強されていてもよい。補強繊維としては、長繊維、短繊維、織布、不織布等が挙げられる。補強繊維の種類としては、レーヨンコード、ナイロン-6,6等のポリアミドコード、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルコード、アラミドコード、ガラス繊維コード、カーボンファイバー、スチールコード等が挙げられる。
【0074】
なお、弾性材料の補強は、補強繊維による補強に限らない。例えば、粒状フィラーの添加による補強が行われてもよい。添加される粒状フィラーとしては、カーボンブラック、シリカ、アルミナ等のセラミックス、その他の無機材料のフィラー等が挙げられる。
【0075】
ところで、上述した内側環状部20および外側環状部30は、スポーク40と同じ樹脂材料で形成されることが好ましく、その場合には、例えば、注型成形法によって、内側環状部20、外側環状部30およびスポーク40を一体成形することができる。
【0076】
トレッド50は、外側環状部30の外周面に設けられており、非空気圧タイヤ1の最外周部分を構成する。トレッド50は、路面に接地する踏面51を外周面に有する。トレッド50の踏面51には、従来の空気入りタイヤと同様にして、複数の溝および陸部で形成されるトレッドパターンが設けられる。
【0077】
なお、トレッド50は、成分や特性が異なる複数の加硫ゴム層が積層された構成(例えば、2層あるいは3層)であってもよい。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で、上記の実施形態を適宜変更してもよい。
【0079】
なお、本発明の実施形態の構成は、以下の通りである。
【0080】
(1)支持構造体と、前記支持構造体よりもタイヤ径方向外側に位置しており、タイヤ周方向に沿って延びているトレッドと、を備え、前記支持構造体は、内側環状部と、前記内側環状部のタイヤ径方向外側に前記内側環状部と同軸に配置されている外側環状部と、前記内側環状部と前記外側環状部とを連結し、タイヤ周方向に沿って配列されている複数のスポークと、を備え、前記内側環状部および前記外側環状部の少なくとも一方は、弾性材料の中に金属板が埋設されており、前記金属板は、エポキシ樹脂の硬化物が表面に存在している、非空気圧タイヤ。
【0081】
(2)前記金属板は、算術平均粗さRaが0.50μm以上5.00μm以下である、(1)に記載の非空気圧タイヤ。
【0082】
(3)前記弾性材料は、ポリウレタン樹脂である、(1)または(2)に記載の非空気圧タイヤ。
【0083】
(4)(1)から(3)のいずれか一項に記載の非空気圧タイヤを製造する方法であって、前記金属板の表面にエポキシ樹脂を含む塗膜を形成する工程と、前記塗膜が表面に形成された金属板を前記弾性材料の前駆体の中に配置した状態で、前記エポキシ樹脂および前記弾性材料の前駆体を硬化させることにより、それぞれ前記内側環状部および前記外側環状部を得る工程と、を含む、非空気圧タイヤの製造方法。
【0084】
(5)前記塗膜は、膜厚が5.0μm以上20.0μm以下である、(4)に記載の非空気圧タイヤの製造方法。
【0085】
(6)前記金属板の表面を粗面化する工程をさらに含み、前記粗面化された金属板の表面に前記塗膜を形成する、(4)または(5)に記載の非空気圧タイヤの製造方法。
【0086】
(7)前記弾性材料の前駆体は、熱硬化性ポリウレタン樹脂である、(4)から(6)のいずれか一項に記載の非空気圧タイヤの製造方法。
【実施例0087】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。なお、内側環状部および外側環状部を使用して、弾性材料と金属板との間の接着力を直接測定することが困難であるため、内側環状部および外側環状部を模した試験片を使用して、弾性材料と金属板との間の接着力を測定した。
【0088】
[実施例1]
幅8~10mm、長さ120mm、厚み0.9mm、ビッカース硬さ(HV)470の炭素工具鋼(SK85)板の一方の端部から長さ10mmの接着領域を、粒度#80のサンディングベルトおよびベルトサンダーを用いて、算術平均粗さRaが3.95μmとなるように、バフ処理した。次に、接着領域をエアーブローした後、エタノールで脱脂洗浄した。次に、エポキシ樹脂系接着剤Chemlok(登録商標) 210(Parker LOAD製)をメチルエチルケトンで1.5倍に希釈した後、SK85板の接着領域に刷毛で塗布し、室温で10分間乾燥させることにより、膜厚8.8μmの塗膜を形成した。次に、幅8~10mm、長さ120mm、厚み5mmの金型に、熱硬化性ポリウレタン樹脂および硬化剤の混合液を注型し、SK85板の接着領域が熱硬化性ポリウレタン樹脂および硬化剤の混合液と接するように配置した後、130℃のオーブンを使用して、エポキシ樹脂系接着剤および熱硬化性ポリウレタン樹脂を16時間熱硬化させ、試験片を得た。このとき、熱硬化性ポリウレタン樹脂として、アジプレンLFP-E560(ランクセス製)を使用し、硬化剤として、バイブラキュアA250(ランクセス製)を使用した。
【0089】
[実施例2~5]
SK85板の接着領域の算術平均粗さRaを、それぞれ3.29μm、2.65μm、2.40μm、1.60μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、試験片を得た。
【0090】
[実施例6]
SK85板の接着領域をバフ処理しなかった以外は、実施例1と同様にして、試験片を得た。
【0091】
[比較例1]
SK85板の接着領域にエポキシ樹脂系接着剤(希釈液)を塗布しなかった以外は、実施例3と同様にして、試験片を得た。
【0092】
[比較例2]
SK85板の接着領域にエポキシ樹脂系接着剤(希釈液)を塗布しなかった以外は、実施例6と同様にして、試験片を得た。
【0093】
[接着領域の算術平均粗さRa]
接触式の表面粗さ計を用いて、接着領域の算術平均粗さRaを測定した。
【0094】
[塗膜の膜厚]
塗布したエポキシ樹脂系接着剤の乾燥重量を乾燥比重および塗布面積で除して、塗膜の膜厚を計算した。
【0095】
[引張せん断接着強さ試験]
引張せん断接着強さ試験方法(JIS6180準拠)により、SK85板と熱硬化性ポリウレタン樹脂の硬化物との接着力[N/100mm2]を測定した。
【0096】
表1に、試験片の作製条件および接着力の測定結果を示す。
【表1】
【0097】
表1から、実施例1~6の試験片は、接着力が高いことがわかる。これに対して、比較例1の試験片は、SK85板の接着領域にエポキシ樹脂系接着剤(希釈液)を塗布しなかったため、SK85板の接着領域をバフ処理した実施例1~5と対比して、接着力が低い。また、比較例2の試験片は、SK85板の接着領域にエポキシ樹脂系接着剤(希釈液)を塗布しなかったため、SK85板の接着領域をバフ処理しなかった実施例6と対比して、接着力が低い。