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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059282
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】分散剤及び水系コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 23/52 20220101AFI20240423BHJP
   C09K 23/42 20220101ALI20240423BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240423BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20240423BHJP
   C09D 7/45 20180101ALI20240423BHJP
【FI】
C09K23/52
C09K23/42
C09D201/00
C09D5/02
C09D7/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166875
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】北村 匠
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CC022
4J038CG001
4J038CG072
4J038CJ032
4J038DF012
4J038MA08
4J038MA10
4J038NA04
4J038NA24
(57)【要約】
【課題】優れた分散性を発揮し、水系コーティング剤に添加してもこれから得られるコーティング膜の耐水性が低下しない分散剤を提供することを目的とする。
【解決手段】スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)並びに、
アルコール、カルボン酸、アミン及びアミドからなる群より選ばれ少なくとも1種の活性水素化合物(炭素数4~18)のアルキレンオキシド(炭素数2~4;付加モル数3~50モル)付加体(B)からなり、
活性水素化合物が炭素数4~18の分岐アルキル鎖を有することを特徴とする分散剤を用いる。スチレン-マレイン酸アンモニウム塩共重合体を構成するスチレン単位(s)とマレイン酸アンモニウム塩単位(m)との構成モル比(s:m)は80:20~40:60が好ましい。スチレン-マレイン酸アンモニウム塩共重合体(A)とポリオキシアルキレン化合物(B)との含有重量比(A:B)は10:90~90:10が好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)並びに、
アルコール、カルボン酸、アミン及びアミドからなる群より選ばれ少なくとも1種の活性水素化合物(炭素数4~18)のアルキレンオキシド(炭素数2~4;付加モル数3~50モル)付加体(B)からなり、
活性水素化合物が炭素数4~18の分岐アルキル鎖を有することを特徴とする分散剤。
【請求項2】
スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体を構成するスチレン単位(s)とマレイン酸アンモニウム塩単位(m)との構成モル比(s:m)が80:20~40:60である請求項1に記載の分散剤。
【請求項3】
スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)と活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B)との含有重量比(A:B)が10:90~90:10である請求項1又は2に記載の分散剤。
【請求項4】
活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B)にエチレンオキシド単位が含まれ、エチレンオキシド単位の含有量がアルキレンオキシド単位の全モル数に対して50~100モル%である請求項1又は2に記載の分散剤。
【請求項5】
水系コーティング剤及び請求項1又は2に記載された分散剤を含有してなることを特徴する水系コーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散剤及び水系コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
分散剤として、「揮発性有機化合物(VOC)含有量が低い混合物であって、
I 少なくとも一つのエチレン性不飽和、フェニル基含有モノマーと少なくとも一つのα,β-不飽和モノカルボン酸および/または少なくとも一つのα,β-不飽和ジカルボン酸の、および場合によってはそれらの誘導体の、少なくとも50%塩化されたコポリマー10重量%から80重量%と、
II 末端OH末端基を含有し、少なくとも25モル%まではエチレンオキシドから合成される少なくとも一つの水溶性の線状ポリエーテル1重量%から30重量%と、
III 脂肪族ジカルボン酸の、および≦2000g/molの数平均分子量を好ましくは有する成分IIの水溶性ポリエーテルの少なくとも一つの、または≦2000g/molの数平均分子量を好ましくは有する成分IIの少なくとも一つの水溶性ポリエーテルを含むポリエーテルの混合物の、少なくとも一つのエステル化生成物5重量%から80重量%と、
IV ≦2000g/molの数平均分子量を好ましくは有する成分IIの水溶性ポリエーテルの少なくとも一つで、または≦2000g/molの数平均分子量を好ましくは有する成分IIの少なくとも一つの水溶性ポリエーテルを含有するポリエーテルの混合物で、3個から5個のカルボキシル基を含有する少なくとも一つの脂肪族カルボン酸をエステル化することによって得ることができる、少なくとも一つのスターポリマー3重量%から80重量%と
から構成され、成分IからIVの前記重量%の合計が、常に100重量%である必要があり、ならびに成分I-IVの前記重量%が、それぞれの場合、成分I-IVの前記総重量に基づく混合物(請求項1)」;
「成分Iが、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム塩の形態、好ましくはナトリウムまたはカリウム塩の形態であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の混合物(請求項4)」;
「スチレン、ベンジル(メタ)アクリラート、およびフェニルアクリラート(該フェニルラジカルは、場合によっては1回から4回、置換されている可能性がある)を含む群から選択された少なくとも一つのモノマー、好ましくは場合によっては置換されているスチレンが、前記エチレン性不飽和、フェニル基含有モノマーとして使用されたことを特徴とする、請求項5に記載の混合物(請求項6)」;
「アクリル酸またはメタクリル酸が、α,β-不飽和モノカルボン酸、および少なくとも一つのジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸および/または無水マレイン酸を含む群から選択される)として、ならびに場合によっては、それらのそれぞれの誘導体、好ましくはエステルまたはアミドとして使用され、少なくとも一つのC-Cアルキルアクリラートおよび/またはC-Cアルキルメタクリラートが、α,β-不飽和ジカルボン酸および/またはその環式無水物として使用されていることを特徴とする、請求項5または6に記載の混合物(請求項7)」;
並びに「顔料を分散させるための、請求項21または22に記載の使用(請求項23)」が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2011-511142号公報(WO2009/098025号パンフレット)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の分散剤では顔料に対する分散性が不十分な場合があり、またこれを添加した水系コーティング組成物から得られるコーティング膜の耐水性が低下するという問題がある。
本発明は、優れた分散性を発揮し、水系コーティング剤に添加してもこれから得られるコーティング膜の耐水性が低下しない分散剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の分散剤の特徴は、スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)並びに、
アルコール、カルボン酸、アミン及びアミドからなる群より選ばれ少なくとも1種の活性水素化合物(炭素数4~18)のアルキレンオキシド(炭素数2~4;付加モル数3~50モル)付加体(B)からなり、
活性水素化合物が炭素数4~18の分岐アルキル鎖を有する点を要旨とする。
【0006】
本発明の水系コーティング組成物の特徴は、水系コーティング剤及び上記の分散剤を含有してなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の分散剤は、優れた分散性を発揮し、これを添加した水系コーティング組成物から得られるコーティング膜の耐水性を低下させない。
【0008】
本発明の水系コーティング組成物は、上記の分散剤を含有するので、優れた分散性を発揮し、耐水性に優れたコーティング膜が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)>
スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)は、スチレン単位(s)及びマレイン酸有機アンモニウム塩単位(m)を構成単位とする共重合体であれば制限はなく、公知の方法で製造される共重合体が使用でき、たとえば、スチレン-無水マレイン酸共重合体を加水分解して有機アミンで中和して得たものが使用できる。
【0010】
スチレン―無水マレイン酸共重合体は、公知の方法で製造できる他、市場からも容易に入手でき、たとえば、XIRANE 1000(スチレン-無水マレイン酸樹脂、重量平均分子量5000、スチレン50モル%、無水マレイン酸50モル%、POLYSCOPE POLYMERS B.V.)、XIRANE 2000(スチレン-無水マレイン酸樹脂、重量平均分子量6500、スチレン67モル%、無水マレイン酸33モル%、POLYSCOPE POLYMERS B.V.)、XIRANE 3000(スチレン-無水マレイン酸樹脂、重量平均分子量10000、スチレン75モル%、無水マレイン酸25モル%、POLYSCOPE POLYMERS B.V.)、XIRANE 4000(スチレン-無水マレイン酸樹脂、重量平均分子量10000、スチレン80モル%、無水マレイン酸20モル%、POLYSCOPE POLYMERS B.V.)等が挙げられる。
【0011】
有機アミンとしては、炭素数2~18のモノアミンが含まれ、一級アミン(エチルアミン、モノエタノールアミン、ブチルアミン、プロピルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ベンジルアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール及びオレイルアミン等);二級アミン(ジエチルアミン、メチルエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、メチルヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン等);並びに三級アミン(トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン及びトリシクロヘキシルアミン等)が挙げられる。
【0012】
スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体を構成するスチレン単位(s)とマレイン酸有機アンモニウム塩単位(m)との構成モル比(s:m)は、80:20~40:60が好ましく、さらに好ましくは70:30~45:55、特に好ましくは67:33~50:50である。この範囲であると、さらに分散性及び耐水性が良好となる。
【0013】
スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、3千~2万が好ましく、さらに好ましくは4千~1万5千、特に好ましくは6千~1万2千である。この範囲であると、さらに分散性及び耐水性が良好となる。
【0014】
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエッションクロマトグラフィ(GPC)により測定でき、たとえば、以下の条件で測定できる。
【0015】
測定装置 ;HLC-8420GPC(東ソー株式会社、「HLC」は同社の登録商標である。)
カラム ;TSKgelガードカラム α、TSKgel α6000、TSKgel α4000(東ソー株式会社、「TSKgel」は同社の登録商標である。)を直列に繋いだもの
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;ECOSEC Elite-WS(東ソー株式会社、「ECOSEC」は同社の登録商標である。)
カラム温度 40℃
溶 媒 ;メタノール:イオン交換水:酢酸ナトリウム=800:1200:15(重量比)
流 速 :0.8ml/分
標準物質 ;TSKgel標準ポリエチレンオキシド(東ソー株式会社、「TSKgel」は同社の登録商標である。)
サンプル :0.4重量%溶離液溶液
【0016】
<活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B)>
炭素数4~18の活性水素化合物としては、アルコール、カルボン酸、アミン及びアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種であって、活性水素化合物が炭素数4~18の分岐アルキル基を有し、かつ、炭素数2~4のアルキレンオキシドと共に化学反応して活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体を構成できるものであれば制限がない。
【0017】
アルコールとしては、炭素数4~18の分岐モノオールが含まれ、分岐1級アルコール(2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、3-エチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-1-ブタノール、4,4-ジメチル-1-ペンタノール、2,4,4-トリメチル-1-ペンタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2,2,4-トリメチル-1-ヘキサノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、2-メチル-1-ウンデカノール、12-メチル-1-トリデカノール、イソトリデカノール、2-ヘキシル-1-デカノール、イソヘキサデカノール、2-オクチル-1-デカノール、2-ヘキシル-1-ウンデカノール、2-ヘキシル-1-ドデカノール、2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチルオクタノール、2,2,4,8,10,10-ヘキサメチルウンデカン-5-オール及びイソオクタデカノール等);並びに分岐2級アルコール(2-ペンタノール、7-テトラデカノール、3-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-3-ペンタノール、2,2,4-トリメチル-2-ペンタノール及び7-エチル-2-メチル-4-ウンデカノール等)等が挙げられる。
【0018】
カルボン酸としては、炭素数4~18の分岐モノカルボン酸が含まれ、2,2-ジメチルプロパン酸、2-メチルブタン酸、4-メチルペンタン酸、3,3-ジメチルブタン酸、2-メチルヘキサン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸、2-メチルペンタデカン酸及び2-メチルヘプタデカン酸等が挙げられる。
【0019】
アミンとしては、炭素数4~18の分岐モノアミンが含まれ、分岐1級アミン(イソブチルアミン、イソペンチルアミン、ネオペンチルアミン及び2-メチルブチルアミン等);並びに分岐2級アミン(メチルイソブチルアミン、メチルイソペンチルアミン、メチルネオペンチルアミン及び2-メチルブチルエチルアミン等)等が挙げられる。
【0020】
アミドとしては、炭素数4~18の分岐モノアミドが含まれ、2,2-ジメチルプロパン酸アミド、イソブタン酸アミド、2-メチルブタン酸アミド、4-メチルペンタン酸アミド、3,3-ジメチルブタン酸アミド、2-メチルヘキサン酸アミド、3,5,5-トリメチルヘキサン酸アミド、2-エチルヘキサン酸アミド、2-メチルペンタデカン酸アミド及び2-メチルヘプタデカン酸アミド等が挙げられる。
【0021】
炭素数2~4のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドが含まれる。これらのうち、分散性の観点から、エチレンオキシド単位が主体的に含まれることが好ましく、この含有量(モル%)は、アルキレンオキシド単位の全モル数に対して、50~100が好ましく、さらに好ましくは60~100、特に好ましくは80~100である。
【0022】
アルキレンオキシド(炭素数2~4)の付加モル数は、活性水素化合物1モルに対して、3~50の整数が好ましく、さらに好ましくは5~45の整数、特に好ましく9~40の整数である。この範囲であると、分散性がさらに良好となる。
【0023】
活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B)は、公知のアルキレンオキシド付加反応により得られる他に、市場からも入手でき、商品名として、エマルミンシリーズ(アルコールのアルキレンオキシド付加体、三洋化成工業株式会社、「エマルミン」は同社の登録商標である。)、サンノニックシリーズ(アルコールのアルキレンオキシド付加体、三洋化成工業株式会社、「サンノニック」は同社の登録商標である。)、ナロアクティーシリーズ(アルコールのアルキレンオキシド付加体、三洋化成工業株式会社、「ナロアクティー」は同社の登録商標である。)、ピュアミールシリーズ(アミンのアルキレンオキシド付加体、三洋化成工業株式会社、「ピュアミール」は同社の登録商標である。)、イオネットシリーズ(カルボン酸のアルキレンオキシド付加体、三洋化成工業株式会社、「イオネット」は同社の登録商標である。)、ブラウノンシリーズ(アルコール、アミン又はアミドのアルキレンオキシド付加体、青木油脂工業株式会社、「ブラウノン」は同社の登録商標である。)、ファインサーフシリーズ(アルコールのアルキレンオキシド付加体、青木油脂工業株式会社、「ファインサーフ」は同社の登録商標である。)、セフティカットシリーズ(アルコールのアルキレンオキシド付加体、青木油脂工業株式会社)、ワンダーサーフシリーズ(アルコールのアルキレンオキシド付加体、青木油脂工業株式会社、「ワンダーサーフ」は同社の登録商標である。)、及びノニオンシリーズ(アルコール又はカルボン酸のアルキレンオキシド付加体、日油株式会社)等が挙げられる。
【0024】
スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)とポリオキシアルキレン化合物(B)との含有重量比(A:B)は、10:90~90:10が好ましく、さらに好ましくは20:80~80:20、特に好ましくは25:75~75:25である。この範囲であると、さらに分散性及び耐水性が良好となる。
【0025】
本発明の分散剤は、スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)並びに活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B)のみから構成されるが、本発明の効果を阻害しない範囲で、添加剤(消泡剤、粘弾性調整剤、湿潤剤、造膜調整剤等)及び/又は溶剤を含有させることができる。
【0026】
消泡剤としてはSNデフォーマー399、同1311及び同1315(サンノプコ株式会社)等、粘弾性調整剤としてはSNシックナー612、同621N、同617及び同618(サンノプコ株式会社)等、湿潤剤としてはSNウエット125、同126、同366、同S、同FST2、同L、同996,同980及び同984(サンノプコ株式会社)等、造膜調整剤としてはキョーワノールM(KHネオケム株式会社、「キョーワノール」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。溶剤としては水、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及びポリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0027】
本発明の分散剤は、スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)並びに活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B)が均一混合されていれば製法に何ら制限はなく、添加剤及び/又は溶剤を含有する場合もこれらが均一に混合されていれば足りる。製造しやすさの観点から、溶剤を用いて製造することが好ましい。また、製造には加熱や冷却を伴っても構わない。なお、活性水素化合物が分岐アルキル基を有するアミンである場合、スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)と活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B)とを混合する際(混合した後も同様である。)、スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A)の塩を形成している有機アミンとアルキレンオキシド付加体(B)との間で、これらの一部又は全部が塩交換しても構わない。
【0028】
本発明の分散剤は水系コーティング剤(水系塗料及び水系インク等)用として好適であり、水系コーティング剤に適用する場合、分散剤の含有量(重量%)は、水系コーティング剤の重量に基づいて、0.01~10が好ましく、さらに好ましくは0.05~5である。この範囲であると、さらに優れた分散性を発揮する。
【0029】
水系コーティング剤としては、水系樹脂(エマルション又はディスパージョン)、顔料、水及び必要により添加剤等を含有することが好ましい。
【0030】
水系樹脂としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリルスチレン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びフッ素樹脂等が挙げられる。これらのうち、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
【0031】
顔料としては、無機顔料(炭酸カルシウム、酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ及びフェライト等)及び有機顔料(カーボンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、イソインドリンエロー等)が挙げられる。添加剤としては、消泡剤、分散剤(本発明の分散剤を除く。)、レベリング剤、湿潤剤及び粘弾性調整剤等が挙げられる。
【0032】
本発明の水系コーティング組成物は、上記分散剤、顔料、水及び必要により添加剤を用いて水系分散体を調製した後(グラインディング工程)、水系分散体、水系樹脂及び必要により添加剤を均一混合することにより(レットダウン工程)、製造できる。なお、上記分散剤はレッドダウン工程で添加してもよい。また、上記分散剤や水系樹脂等はあらかじめ溶剤で希釈してから用いてもよい。
【0033】
本発明の分散剤は、水系コーティング剤以外にも適用でき、水系顔料ペーストや水系セラミック用スラリー等にも好適である。
【実施例0034】
以下、特記しない限り、「部」は重量部を、「%」は重量%を意味する。
<製造例1>
水600部、スチレン-無水マレイン酸樹脂(1:XIRANE 1000、重量平均分子量5000、スチレン50モル%、無水マレイン酸50モル%、POLYSCOPE POLYMERS B.V.)226部及び有機アミン(1:2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、東京化成工業株式会社)174部を約25℃で撹拌した後、還流条件下で100℃まで昇温し、100℃で24時間撹拌した。その後約25℃まで冷却し、スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A1:重量平均分子量6千)の40%水溶液(黄色液状)を得た。
【0035】
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエッションクロマトグラフィ(GPC)により上記の条件で測定した(以下、同じである。)。
【0036】
<製造例2>
「スチレン-無水マレイン酸樹脂(1)226部」を「スチレン-無水マレイン酸樹脂(1)175部」に変更したこと及び「有機アミン(1)174部」を「有機アミン(2:トリエタノールアミン、東京化成工業株式会社)225部」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、スチレン-無水マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A2:重量平均分子量6千)の40%水溶液(黄色液状)を得た。
【0037】
<製造例3>
水600部、スチレン-無水マレイン酸樹脂(2:XIRANE 2000、重量平均分子量6500、スチレン67モル%、無水マレイン酸33モル%、POLYSCOPE POLYMERS B.V.)250部及び有機アミン(3:ジエタノールアミン、東京化成工業株式会社)150部を約25℃で撹拌した後、還流条件下で100℃まで昇温し、100℃で24時間撹拌した。その後約25℃まで冷却し、スチレン-マレイン酸アンモニウム塩共重合体(A3:重量平均分子量8千)の40%水溶液(黄色液状)を得た。
【0038】
<製造例4>
スチレン104部(1モル部)と無水マレイン酸98部(1モル部)とをメチルエチルケトン200部で溶解してモノマー溶液を調製し、油溶性アゾ重合開始剤(V-601、和光純薬富士フィルム株式会社)0.8部(3.5×10-3モル部)をメチルエチルケトン100部に溶解させ、開始剤溶液を調製した。
80℃のメチルエチルケトン478部を攪拌しながら、これにモノマー溶液及び開始剤溶液を3時間かけ滴下し、滴下終了後さらに80℃で3時間反応を継続させた。その後にメチルエチルケトンを留去して、スチレン-無水マレイン酸共重合体(3:黄褐色固体、スチレン50モル%、無水マレイン酸50モル%、重量平均分子量8千)を得た。
【0039】
「スチレン-無水マレイン酸樹脂(1)」を「スチレン-無水マレイン酸共重合体(3)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A4:重量平均分子量1万)の40%水溶液(黄色液状)を得た。
【0040】
<製造例5>
油溶性アゾ重合開始剤(V-601、和光純薬富士フィルム株式会社)を0.8部(3.5×10-3モル部)から0.5部(2.2×10-3モル部)に変更したこと以外、製造例4と同様にして、スチレン-無水マレイン酸共重合体(4:黄色固体、スチレン50モル%、無水マレイン酸50モル%、重量平均分子量1万)を得た。
【0041】
「スチレン-無水マレイン酸樹脂(1)」を「スチレン-無水マレイン酸樹脂(4)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、スチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A5:重量平均分子量1万2千)の40%水溶液を得た。
【0042】
<製造例6>
耐圧反応容器に、アルコール(1:ファインオキソコール180、2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチルオクタノール、水酸基価207mgKOH/g、日産化学株式会社、「ファインオキソコール」はKHネオケム株式会社の登録商標である。}271部(1モル部)を投入し、撹拌しつつ100℃まで昇温し、窒素ガスを用いて、ゲージ圧で0.2MPaになるまで加圧し0.1MPaになるまで排出する操作を3回繰り返した(以下、この窒素ガスを用いる操作を「窒素ガス置換」と略する。)。その後、同温度にて、エチレンオキシド(EO)1762部(40モル部)を3時間かけて滴下し、さらに同温度にて1時間攪拌を続け、さらに同温度にて2時間攪拌を続け、活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B1:2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチルオクタノール/EO40モル付加体)を得た。
【0043】
<製造例7>
アルコール(1)271部(1モル部)をアルコール(2:ファインオキソコール180T、2-オクチルデカノール及び2-ヘキシルドデカノールの混合物(以下、分岐オクタデカノールと略記します。)、水酸基価209mgKOH/g、日産化学株式会社}268部(1モル部)に変更したこと以外、製造例6と同様にして、活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B2:分岐オクタデカノール/EO40モル付加体)を得た。
【0044】
<製造例8>
耐圧反応容器に、アルコール(3:3,5,5-トリメチル―1―ヘキサノール、水酸基価389mgKOH/g、東京化成工業株式会社}144部(1モル部)を投入し、撹拌しつつ100℃まで昇温し、「窒素ガス置換」の後、同温度にて、エチレンオキシド(EO)352部(8モル部)を2時間かけて滴下し、さらに同温度にて1時間攪拌を続け、次いでプロピレンオキシド(PO)116部(2モル部)を2時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続け、活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B3:3,5,5-トリメチル―1―ヘキサノール/EO8モル/PO2モルブロック付加体)を得た。
【0045】
<実施例1>
製造例1で調製したスチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A1)の40%水溶液100部、製造例5で調製した活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B1)40部及び水126部を均一混合して、本発明の分散剤(1)(30%水溶液、含有重量比(A1:B1)=50:50)を得た。
【0046】
<実施例2>
製造例1で調製したスチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A1)の40%水溶液100部、製造例7で調製した活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B2)40部及び水126部を均一混合して、本発明の分散剤(2)(30%水溶液、含有重量比(A1:B2)=50:50)を得た。
【0047】
<実施例3>
製造例1で調製したスチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A1)の40%水溶液100部、製造例8で調製した活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B3)40部及び水126部を均一混合して、本発明の分散剤(3)(30%水溶液、含有重量比(A1:B3)=50:50)を得た。
【0048】
<実施例4>
製造例2で調製したスチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A2)の40%水溶液100部、活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B4:ブラウノンEH-11、2-エチルヘキシルアルコール/EO11モル付加体、青木油脂工業株式会社、「ブラウノン」は同社の登録商標である。)40部及び水126部を均一混合して、本発明の分散剤(4)(30%水溶液、含有重量比(A2:B4)=50:50)を得た。
【0049】
<実施例5>
製造例2で調製したスチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A2)の40%水溶液100部、活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B4)120部及び水313部を均一混合して、本発明の分散剤(5)(30%水溶液、含有重量比(A2:B4)=25:75)を得た。
【0050】
<実施例6>
製造例2で調製したスチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A2)の40%水溶液100部、活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B4)13部及び水64部を均一混合して、本発明の分散剤(5)(30%水溶液、含有重量比(A2:B4)=75:25)を得た。
【0051】
<実施例7>
製造例3で調製したスチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A3)の40%水溶液100部、活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B5:ブラウノンEH-30、2-エチルヘキシルアルコール/EO30モル付加体、青木油脂工業株式会社、「ブラウノン」は同社の登録商標である。)40部及び水126部を均一混合して、本発明の分散剤(7)(30%水溶液、含有重量比(A3:B5)=50:50)を得た。
【0052】
<実施例8>
製造例4で調製したスチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A4)の40%水溶液100部、活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B6:ファインサーフFO-160、イソステアリルアルコール/EO16モル付加体、青木油脂工業株式会社、「ファインサーフ」は同社の登録商標である。)40部及び水126部を均一混合して、本発明の分散剤(8)(30%水溶液、含有重量比(A4:B6)=50:50)を得た。
【0053】
<実施例9>
製造例5で調製したスチレン-マレイン酸有機アンモニウム塩共重合体(A5)の40%水溶液100部、活性水素化合物のアルキレンオキシド付加体(B7:セフティカット ID―1087、イソデシルアルコール/EO9モル付加体、青木油脂工業株式会社)40部及び水126部を均一混合して、本発明の分散剤(9)(30%水溶液、含有重量比(A5:B7)=50:50)を得た。
【0054】
<比較例>
特許文献1(特表2011-511142号公報号公報)の実施例の記載に基づいて、比較用の湿潤分散剤(W&D1)を得た。
【0055】
<評価1>酸化チタンスラリーの分散性
水30部、評価試料(分散剤)1部及び消泡剤(SNデフォーマー399、サンノプコ株式会社)0.1部を撹拌しながら、酸化チタン(タイペークPFC105、石原産業株式会社、「タイペーク」は同社の登録商標である。)70部を徐々に添加し、添加終了からさらに5分間撹拌して、分散スラリーを調製した。ついで分散スラリーを25℃の水槽に15分間静置した後、TVB15粘度計(東機産業株式会社、25℃、60rpm)で粘度を測定した。その後、評価試料0.1部を追加し、5分間混合してから、25℃の水槽に分散スラリーを15分間静置した後、同様に粘度測定するという作業をスラリー粘度が100mPa・s以下になるまで繰り返し、消費した評価試料(分散剤)の合計量から添加量(評価試料の消費量×100/水及び酸化チタンの合計量;%)を算出し、下表に示した。この添加量が小さいほど、分散性が良好であることを意味する。
【0056】
【表1】
【0057】
<評価2>アクリルスチレンエマルションカラーペーストの分散性及び耐水性
1.アクリルスチレンエマルションカラーペースト及び塗工試料(1)の調製
カーボンブラック30部(MA-8、三菱ケミカル株式会社)、評価試料(分散剤)20部、水35部及びガラスビーズ(直径2mm)をガラス瓶に入れ、ペイントシェーカーで180分間振とうさせ、カラーペーストを作成した後、カラーペースト20部とアクリルスチレンエマルション80部(アクロナル7659、BASF社、濃度50重量%、「ACRONAL」はビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標である。)とを均一混合して水系コーティング組成物(1;アクリルスチレンエマルションカラーペースト)を調製した後、これをガラス板の上に6ミルアプリケータを用いて塗工し、40℃で3時間乾燥させて、塗工試料(1)を調製した。
【0058】
2.分散性
塗工試料(1)それぞれについて、グロスメータにてグロス値(60°)を測定し、下表に示した。この値が大きいほど、分散性が良好であることを意味する。
【0059】
【表2】
【0060】
3.耐水性
塗工試料(1)それぞれについて、25℃の水に2時間浸漬させた後、コーティング膜外観を目視で確認した。その結果、実施例1~9で調製した分散剤を用いた塗工試料について、水への浸漬前後で変化はなかったが、比較例で調製した分散剤を用いた塗工試料については、水への浸漬後、コーティング膜が剥離した。
【0061】
<評価3>アクリルエマルション塗料の分散性及び耐水性
1.アクリルエマルション塗料及び塗工試料(2)の調製
表3に記載した原料組成にて、インペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーを用いて、グラインディング及びレットダウンして、水系コーテイング組成物(2;アクリルエマルション塗料)を調製した。引き続き、水系コーティング組成物(2)をガラス板の上に6ミルアプリケータを用いて塗工し、25℃で24時間乾燥させて、塗工試料(2)を調製した。
【0062】
【表3】
【0063】
※1 増粘剤、サンノプコ株式会社
※2 酸化チタン、石原産業株式会社、「タイペーク」は同社の登録商標である。
※3 消泡剤、サンノプコ株式会社
※4 アクリルエマルション、BASF社、「ACRONAL」はビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標である。
※5 造膜調整剤、KHネオケム株式会社、「キョーワノール」は同社の登録商標である。
※6 増粘剤、サンノプコ株式会社
※7 消泡剤、サンノプコ株式会社
【0064】
2.分散性
1)グロス値による分散性
塗工試料(2)それぞれについて、グロスメータにてグロス値(60°)を測定し、下表に示した。この値が大きいほど、分散性が良好であることを意味する。
【0065】
【表4】
【0066】
2)貯蔵による分散性
水系コーティング組成物(2)を200mLのガラス瓶に180mL入れ、40℃で2週間静置下にて貯蔵した後、外観を目視で確認した。その結果、実施例1~9で調製した分散剤を用いた水系コーテイング組成物は貯蔵前後で変化はなかったが、比較例で調製した分散剤を用いた水系コーテイング組成物は貯蔵後に上層(透明層)と下層とに分離が確認された。
【0067】
3.耐水性
塗工試料(2)それぞれについて、25℃の水に48時間浸漬させた後、コーティング膜外観を目視で確認した。その結果、実施例1~9で調製した分散剤を用いた塗工試料について、水への浸漬前後で変化はなかったが、比較例で調製した分散剤を用いた塗工試料については、水への浸漬後コーティング塗膜が剥離した。
【0068】
<評価4>エポキシエマルション塗料の分散性及び耐水性
1.エポキシエマルション塗料の調製
表5の原料組成にて、インペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザー(日本精器株式会社、モデルED)を用いて、グラインディング及びレットダウンしてベースを調製した。
このベース84部と硬化剤(Beckopox EH 613w/80WA、ポリアミンエマルション、ダイセル・オルネクス株式会社、不揮発分80%、アミン価230mgKOH/g、「Beckopox」はオルネクス ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの登録商標である。)16部をインペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーにて15~25℃、2000rpm、5分間混合して水系コーティング組成物(3;エポキシエマルション塗料)を得た。引き続き、水系コーティング組成物(3)をガラス板の上に6ミルアプリケータを用いて塗工し、25℃で24時間乾燥させて、塗工試料(3)を調製した。
【0069】
【表5】
【0070】
※8 増粘剤、サンノプコ株式会社
※9 湿潤剤、サンノプコ株式会社
※10 水系溶剤、ザ ダウ ケミカルコンパニー、「ダワノール」は同社の登録商標である。
※11 タルク、日本タルク株式会社
※12 酸化チタン、石原産業株式会社、「タイペーク」は同社の登録商標である。
※13 リン酸亜鉛、東邦顔料工業株式会社、「エキスパート」は同社の登録商標である。
※14 水系エポキシ樹脂、ダイセル・オルネクス株式会社、固形分53%、樹脂固形分当たりのエポキシ当量520g/eq、「Beckopox」はオルネクス ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの登録商標である。
【0071】
2.分散性
塗工試料(3)それぞれについて、グロスメータにてグロス値(60°)を測定し、下表に示した。この値が大きいほど、分散性が良好であることを意味する。
【0072】
【表6】
【0073】
3.耐水性
塗工試料(3)それぞれについて、40℃の水に72時間浸漬させた後、コーティング膜外観を目視で確認した。その結果、実施例1~9で調製した分散剤を用いた塗工試料について、水への浸漬前後で変化はなかったが、比較例で調製した分散剤を用いた塗工試料については、水への浸漬後コーティング膜に膨れが発生した。
【0074】
本発明の分散剤は、比較用の分散剤に比べ、分散性に優れ、本発明の分散剤を用いた水系コーティング組成物は、比較用の分散剤を用いた水系コーティング組成物に比べ、耐水性に優れ、水系コーティング組成物を塗布して得られたコーティング膜の外観を損なうことがなかった。