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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059301
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】架台の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20240423BHJP
   E04D 13/00 20060101ALI20240423BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20240423BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
E04D13/00 J
H02S20/23 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166901
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】522225538
【氏名又は名称】イーソルテック合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100181593
【弁理士】
【氏名又は名称】庄野 寿晃
(72)【発明者】
【氏名】小林 修一
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108KS06
2E108LL01
2E108MM01
2E108NN01
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】架台の設置作業の作業効率を向上させることができる架台の施工方法を提供する。
【解決手段】架台1の施工方法は、家屋の屋根の上に葺かれている瓦Qの一つである瓦Q2に開口Q2を形成する開口形成工程と、開口Q2を通して、屋根の下地である野地板Gに架台1のベース10を固定するベース固定工程と、開口Q2を通して、ベース10に第1固定金具である第1L字金具30を取り付ける第1固定金具取付工程と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋の屋根の上に葺かれている屋根瓦に開口を形成する開口形成工程と、
前記開口を通して、前記屋根の下地に架台のベースを固定するベース固定工程と、
前記開口を通して、前記ベースに第1固定金具を取り付ける第1固定金具取付工程と、
を備える、
架台の施工方法。
【請求項2】
前記ベース固定工程では、第1方向に延伸する第1溝を有する前記ベースを前記屋根の下地に固定し、
前記第1固定金具取付工程では、前記第1溝に前記第1方向にスライド可能に嵌め込まれたスライド部材に前記第1固定金具を取り付ける、請求項1に記載の架台の施工方法。
【請求項3】
前記スライド部材を前記第1方向にスライドさせて、前記スライド部材に取り付けられた前記第1固定金具の位置を調整する位置調整工程を備える、請求項2に記載の架台の施工方法。
【請求項4】
前記第1固定金具取付工程では、上端部に切り欠き穴を有する前記第1固定金具を取り付け、
留め具を前記切り欠き穴に挿入して、前記第1固定金具に第2固定金具を取り付け、前記切り欠き穴に前記留め具を挿入する位置により、前記第2固定金具を取り付ける高さを調節する第2固定金具取付工程を備える、請求項1に記載の架台の施工方法。
【請求項5】
前記第1固定金具取付工程では、柱状に形成されている前記第1固定金具を取り付け、
前記第1固定金具に設置対象を固定する固定ユニットを取り付けることで、前記ベースに対する前記設置対象の高さを高くする固定ユニット取付工程を備える、請求項1に記載の架台の施工方法。
【請求項6】
前記屋根の下地に固定された前記ベース上に補修材を敷き均して補修する補修工程を備える、請求項1に記載の架台の施工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、家屋の屋根の瓦を取り外し、野地板に設置物取付金具を取り付けた後、開口が形成された瓦を取り付ける架台の施工方法が開示されている。設置物取付金具には、瓦の開口を通して、ソーラーパネルを固定する固定部材が取り付けられる。瓦の開口は、水漏れを防ぐために、固定部材が隙間なく嵌まる形状及び大きさである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6034218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の架台の施工方法では、設置物取付金具を取り付ける前に、設置物取付金具の設置位置の瓦を取り外す必要がある。そして、設置物取付金具を取り付けた後に、開口が形成された瓦を元の瓦の位置に取り付ける必要がある。さらに、設置物取付金具と、瓦の開口と、の位置合わせを厳密に行う必要がある。このため、家屋の屋根面に対するソーラーパネルを固定する架台の施工作業の作業効率に課題があり、作業効率の向上が望まれる。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、架台の設置作業の作業効率を向上させることができる架台の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係る架台の施工方法は、
家屋の屋根の上に葺かれている屋根瓦に開口を形成する開口形成工程と、
前記開口を通して、前記屋根の下地に架台のベースを固定するベース固定工程と、
前記開口を通して、前記ベースに第1固定金具を取り付ける第1固定金具取付工程と、
を備える。
【0007】
前記ベース固定工程では、第1方向に延伸する第1溝を有する前記ベースを前記屋根の下地に固定し、
前記第1固定金具取付工程では、前記第1溝に前記第1方向にスライド可能に嵌め込まれたスライド部材に前記第1固定金具を取り付けてもよい。
【0008】
前記スライド部材を前記第1方向にスライドさせて、前記スライド部材に取り付けられた前記第1固定金具の位置を調整する位置調整工程を備えてもよい。
【0009】
前記第1固定金具取付工程では、上端部に切り欠き穴を有する前記第1固定金具を取り付け、
留め具を前記切り欠き穴に挿入して、前記第1固定金具に第2固定金具を取り付け、前記切り欠き穴に前記留め具を挿入する位置により、前記第2固定金具を取り付ける高さを調節する第2固定金具取付工程を備えてもよい。
【0010】
前記第1固定金具取付工程では、柱状に形成されている前記第1固定金具を取り付け、
前記第1固定金具に設置対象を固定する固定ユニットを取り付けることで、前記ベースに対する前記設置対象の高さを高くする固定ユニット取付工程を備えてもよい。
【0011】
前記屋根の下地に固定された前記ベース上に補修材を敷き均して補修する補修工程を備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る架台の施工方法においては、瓦に開口を形成し、その開口を通して、屋根の下地にベースを固定する。このため、本発明に係る架台の施工方法は、設置物取付金具の設置位置の瓦を取り付けたまま行うことができる。さらに、本発明に係る架台の施工方法においては、ベースと、瓦の開口と、の位置合わせが容易である。この結果、本発明に係る架台の施工方法は、架台の施工作業の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1に係る架台の施工方法における架台の正面図である。
図2】実施の形態1に係るベース及び第1固定金具を設置した状態を示す正面図である。
図3】実施の形態1に係るベース及び第1固定金具の右側面図である。
図4】実施の形態1に係るベース及び固定金具の斜視図である。
図5】実施の形態1に係るベースの平面図である。
図6】実施の形態1に係るスライド金具を示す分解斜視図である。
図7図3のIII-III’断面を示す断面図である。
図8】実施の形態1に係る架台の斜視図である。
図9】実施の形態1に係る固定金具の斜視図である。
図10】実施の形態1に係る固定ユニットの分解斜視図である。
図11】実施の形態1に係る固定ユニットの分解正面図である。
図12図11のXI-XI’断面を示す断面図である。
図13】実施の形態1に係る固定ユニットに太陽光パネルを設置した状態を示す斜視図である。
図14】実施の形態1に係る架台の施工方法を示すフローチャート図である。
図15】実施の形態1に係る開口を形成した瓦の斜視図である。
図16】実施の形態1に係るベース及び第1固定金具を設置した状態を示す斜視図である。
図17】実施の形態1に係るベース及び第1固定金具を設置した状態を示す平面図である。
図18】実施の形態1に係るベース及び第1固定金具を設置した状態を示す右側面図である。
図19】実施の形態1に係る架台の変形例の斜視図である。
図20】実施の形態1に係る架台の変形例の分解斜視図である。
図21】実施の形態1に係る架台の変形例の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る架台1について、図を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0015】
架台1は、例えば、図1及び図2に示すように、瓦Qにより形成される屋根面Rの面上に設置される設置対象としての太陽光パネルPを支持するために用いられる。瓦Qは、家屋の屋根の上に葺かれている屋根瓦である。瓦Qにより形成される屋根面Rは、傾斜し、+X軸方向に向かうほど低い。なお、本実施の形態1において、架台1が取り付けられる家屋は、軒と、軒よりも上方に配置される棟とを有する建造物である。図1及び図2の架台1が設置された屋根面Rの瓦Qの尻から頭へ向かう方向を+X軸方向とする。瓦Qの谷心から桟山へ向かう方向を+Y軸方向とする。+X軸方向および+Y軸方向に直交する方向を+Z軸方向とする。
【0016】
実施の形態1に係る架台1は、図1から図3に示すように、ベース10と、スライド金具20(スライド部材)と、第1固定金具である第1L字金具30と、第2固定金具である第2L字金具40と、固定ユニット50と、第1留め具B1と、第2留め具B2と、第3留め具B3と、第4留め具B4と、を備える。
【0017】
ベース10は、家屋の屋根の下地の一つである野地板Gに取り付けられる。ベース10には、図3及び図4に示すように、第1溝10aが形成されている。ベース10は、耐環境性、耐久性及び強度に優れた素材で形成されればよく、例えば、ステンレスなどの金属により形成されているが、これに限られない。ベース10は、例えば、金属等の合金又は複合材で作成されてもよい。このベース10は、第1溝10aが設けられている第1溝形成部分11と、第1溝形成部分11から+Y軸方向及び-Y軸方向に張り出されて形成されている板状のフランジ部分14とを有する。
【0018】
第1溝形成部分11には、第1溝10aがX軸方向と同一の方向である第1方向D1に沿って形成されている。この第1溝形成部分11は、内側に第1溝10aを形成する一対の側壁部11aを有する。一対の側壁部11aのそれぞれの対向面には、スライド金具20の一部が嵌まる一対の第2溝12が形成されている。
【0019】
第2溝12は、第1方向D1(X軸方向)に沿って延びるように形成されていると共に、そのYZ断面がL字形状に形成されている。第2溝12には、図5及び図6に示すように、スライド規制部13が形成されている。なお、本実施の形態1においては、スライド規制部13は、第2溝12のそれぞれに形成されていることで、2つ形成されている。しかしながら、これに限られない。スライド規制部13は、第2溝12の一方に形成されていてもよい。
【0020】
スライド規制部13は、ベース10に対するスライド金具20の第1方向D1へのスライドを規制するために形成されている。本実施の形態1においては、スライド規制部13は、ベース10に対するスライド金具20の+X軸方向へのスライドを規制する。
【0021】
フランジ部分14には、4つ留め具挿入用孔14aがZ軸方向に貫通して形成されている。さらに、ベース10には、4つ留め具挿入用孔14aに加えて、第1溝10aの底面に、留め具挿入用孔14bが形成されている。留め具挿入用孔14aは、図4及び5に示すように、屋根面取付け用留め具60が挿入される円孔である。
【0022】
留め具挿入用孔14bは、ベース10をZ軸方向に貫通して形成されている。
【0023】
スライド金具20(スライド部材)は、図6に示すように、ベース10の第1溝10aに対して第1方向D1にスライド可能に嵌め込まれている。スライド金具20は、例えば、ステンレスより形成されており、具体的には、ベース10と同じ素材の金属より形成されている。このスライド金具20には、ネジ孔20aと、一対の嵌込部20bと、が形成されている。
【0024】
ネジ孔20aは、第1留め具B1がねじ込まれると共に、内周面が雌ネジ面に形成されている。このネジ孔20aは、スライド金具20をZ軸方向に貫通して形成されている。
【0025】
嵌込部20bは、ベース10が有する側壁部11aに形成されている第2溝12に嵌まる部分である。嵌込部20bは、図3に示すように、そのYZ断面がL字形状に形成されている。
【0026】
第1L字金具30は、図1に示すように、+Y軸方向から見てL字形状の金具である。第1L字金具30は、上端部が屋根面Rよりも上方に位置するように形成されている。第1L字金具30は、図6に示すように、第1留め具B1によって、スライド金具20に設置される。第1L字金具30は、例えば、ステンレスより形成されており、具体的には、ベース10及びスライド金具20と同じ素材の金属より形成されている。第1L字金具30は、底面部31と、第1側壁部32と、を有する。
【0027】
底面部31は、XY面と平行な板状に形成されている。底面部31には、図7に示すように、第1留め具B1が挿入される第1孔31aが形成されている。
【0028】
第1孔31aには、第1留め具B1の先端が底面部31の上面側から差し込まれるように、第1留め具B1がねじ込まれる。第1孔31aは、底面部31をZ軸方向に貫通して形成されている。
【0029】
第1側壁部32は、図6から図8に示すように、底面部31に立設され、YZ面と平行な板状に形成されている。第1側壁部32の上端部には、第2留め具B2が挿入される切り欠き穴32aが形成されている。第1側壁部32の切り欠き穴32aは、第1側壁部32をX軸方向に貫通して形成されている。第1側壁部32の切り欠き穴32aは、第2留め具B2の頭部がZ軸方向に通過しない大きさに形成されている。
【0030】
第2固定金具である第2L字金具40は、図1に示すように、第2留め具B2によって、第1L字金具30に設置される。第2L字金具40は、例えば、ステンレスより形成されており、具体的には、ベース10、スライド金具20、及び第1L字金具30と同じ素材の金属より形成されている。第2L字金具40は、例えば、従来からある金具であるLアングルである。第2L字金具40は、-Y軸方向から見て、上下が逆となったL字形状の形状になるように配置されている。しかしながら、これに限られない。第2L字金具40は、YZ面と平行な板状部分と、XZ面と平行な板状部分と、を有する形状に形成されていればよい。第2L字金具40には、第2側壁部41と、上面部42と、が形成されている。図8及び図9では、Y軸方向の幅の短い第2L字金具40が1つの第1L字金具30で支持されている。しかしながら、これに限られない。第2L字金具40は、第1方向D1に交わる第2方向D2に延伸し、複数の第1L字金具30で支持されてもよい。
【0031】
第2側壁部41は、YZ面と平行な板状に形成されている。第2側壁部41には、図8に示すように、第2留め具B2が挿入される第2孔41aが形成されている。
【0032】
第2孔41aには、第2留め具B2の先端が第2側壁部41の+X軸方向の側面から差し込まれるように、第2留め具B2がねじ込まれる。第2孔41aは、第2側壁部41をX軸方向に貫通して形成されている。
【0033】
上面部42は、XZ面と平行な板状に形成されている。上面部42は、第2側壁部41の上端(+Y側端部)から-X軸方向に立設され、第2側壁部41に対して直角になるように形成されている。上面部42には、第3留め具B3が挿入される第3孔42aが形成されている。
【0034】
第3孔42aには、第3留め具B3の先端が上面部42の-Y軸方向の側面から差し込まれるように、第3留め具B3がねじ込まれる。第3孔42aは、上面部42をY軸方向に貫通して形成されている。
【0035】
固定ユニット50は、図1に示すように、太陽光パネルPを固定する。固定ユニット50は、第3留め具B3によって第2L字金具40に設置される。固定ユニット50は、例えば、ステンレスより形成されており、具体的には、ベース10、スライド金具20、第1L字金具30、及び第2L字金具40と同じ素材の金属より形成されている。固定ユニット50は、受け部材51と、固定ユニット本体52とを有する。
【0036】
受け部材51は、固定ユニット本体52を受ける金具である。受け部材51には、図9に示すように、固定ユニット本体52が嵌め込まれる溝51aがY軸方向と同一の方向である第2方向D2に沿って形成されている。溝51aの底面には、図10から図12に示すように、第3留め具B3が挿入される第4孔51eと、第4留め具B4が挿入されるネジ孔51fとがZ軸方向に貫通して形成されている。受け部材51には、載置部となる載置面51bと受圧面51cとが形成されている。
【0037】
第4孔51eは、内周面が雌ネジ面に形成されていない孔である。
【0038】
ネジ孔51fは、内周面が雌ネジ面に形成されている孔である。
【0039】
載置面51b(載置部)は、溝51aを内側に形成する一対の側壁部51-1、51-2のうちの一方の側壁部51-1から延設されている延設部51-3の上面(+Z軸方向側の面)に設けられている。載置面51bには、図13に示すように、太陽光パネルPが載置される。また、載置面51bは、概ねXY平面に平行な面から構成され、一部が凹んで形成されている。載置面51bにおいて凹んで形成されている部分は、凹み部51dとして形成されている。
【0040】
受圧面51cは、固定ユニット50に固定される太陽光パネルPの重みを受ける面である。この受圧面51cは、側壁部51-1の+X軸方向側の面に形成され、YZ平面に平行な面に形成されている。
【0041】
固定ユニット本体52は、図10から図12に示すように、第4留め具B4によって、受け部材51に固定される金具である。固定ユニット本体52は、側壁部52-1、52-2と、連結板部52-3、52-4と、延設部52-5、52-6とを有する。
【0042】
側壁部52-1、52-2は、YZ平面に平行な板状に形成されている。側壁部52-1は、受け部材51の側壁部51-1との間に隙間を有しつつ、側壁部51-1に重なって設けられている。側壁部52-2は、受け部材51の側壁部51-2との間に隙間を有しつつ、側壁部51-2に重なって設けられている。
【0043】
連結板部52-3、52-4は、XY平面に平行な板状に形成されている。この連結板部52-3、52-4は、側壁部52-1、52-2を連結する。連結板部52-4よりも上側(+Z軸方向側)に配置されている連結板部52-3と、側壁部52-1、52-2との内側には、Y軸方向に延びる溝が形成される。連結板部52-3には、第3留め具B3が挿入される孔が形成されている。同様に、連結板部52-4にも、第3留め具B3が挿入される孔が形成されている。
【0044】
延設部52-5は、側壁部52-1の上端(+Z軸方向側の端部)から延設されている。延設部52-5の下面(-Z軸方向側の面)は、載置面51bに対して太陽光パネルPを押さえつつ固定する面として機能する。また、延設部52-5は、その延設方向の長さ(X軸方向の長さ)が、受け部材51の延設部51-3の延設方向の長さ(X軸方向の長さ)よりも短く形成されている。
【0045】
延設部52-6は、側壁部52-2の上端(+Z軸方向側の端部)から、延設部52-5の延設方向とは反対の方向に延設されている。延設部52-6の下面(-Z軸方向側の面)は、太陽光パネルPを押さえつつ固定する面として機能する。
【0046】
このように構成されている固定ユニット本体52において、連結板部52-3、52-4のそれぞれには、Z軸方向に貫通する第5孔52a、第6孔52bが形成されている。第1留め具B1の+Z軸方向側の頭部の一部は、これらの第5孔52a、第6孔52bを通じて外部に露出する。また、第5孔52a、第6孔52bは、第3留め具B3の頭部がZ軸方向に通過しない大きさに形成されている。
【0047】
図7に示す第1留め具B1は、例えば、ボルトやネジから構成されている。第1留め具B1は、軸心回りに回転することでスライド金具20及び第1L字金具30に取り付けられる。この第1留め具B1は、図1に示す第3留め具B3による受け部材51と固定ユニット本体52との固定を維持しつつ、図7に示すスライド金具20と第1L字金具30との固定が解除可能に、スライド金具20及び第1L字金具30に取り付けられている。また、第1留め具B1は、その下端がベース10の第1溝10a内に突出するように、スライド金具20及び第1L字金具30に取り付けられている。
【0048】
第1留め具B1は、スライド金具20のネジ孔20aにねじ込まれ、固定される。第1留め具B1は、スライド金具20及び第1L字金具30を固定するためにワッシャ、及びナットを使わないため、コストを抑えることができる。この第1留め具B1は、その軸心がZ軸と平行に設けられている。
【0049】
図8に示す第2留め具B2は、例えば、ボルトやネジ、ワッシャ、及びナットから構成されている。第2留め具B2は、ボルトやネジがワッシャ及びナットに対して軸心回りに回転することで第1L字金具30及び第2L字金具40に取り付けられる。この第2留め具B2は、その軸心がX軸と平行に設けられている。
【0050】
図10から図12に示す第3留め具B3は、例えば、ボルトやネジ、ワッシャ、及びナットから構成されている。第3留め具B3は、ボルトやネジがワッシャ及びナットに対して軸心回りに回転することで第2L字金具40及び受け部材51に取り付けられる。この第3留め具B3は、その軸心がZ軸と平行に設けられている。
【0051】
第4留め具B4は、例えば、ボルトやネジから構成されている。第4留め具B4は、軸心回りに回転することで固定ユニット50に取り付けられる。この第4留め具B4は、その軸心がZ軸と平行に設けられている。
【0052】
次に、架台1の施工方法、及びその工程について説明する。架台1の施工方法は、図14に示すように、開口形成工程(ステップS101)と、ベース固定工程(ステップS102)と、補修工程(ステップS103)と、位置調整工程(ステップS104)と、第1固定金具取付工程(ステップS105)と、第2固定金具取付工程(ステップS106)と、固定ユニット取付工程(ステップS107)と、を備える。以下、架台1の施工方法をフローチャートを用いて説明する。
【0053】
予めに、ユーザは、図1に示す屋根面R上に設置する太陽光パネルPの位置を決める。ユーザは、屋根面Rが傾斜しているため、太陽光パネルPが屋根面Rの傾斜に沿うように、太陽光パネルPの位置を決める。ユーザは、例えば、太陽光パネルPの下端がY軸と平行になるように、太陽光パネルPの位置を決める。さらに、ユーザは、例えば、屋根面Rの傾斜に沿って、複数の太陽光パネルPを並べるように、複数の太陽光パネルPの位置を決めることができる。
【0054】
そして、ユーザは、太陽光パネルPを支持する架台1を設ける位置を決める。ユーザは、例えば、太陽光パネルPの下端に複数の架台1を設けることを決める。さらに、ユーザは、例えば、太陽光パネルPの下端に設けられた架台1が、太陽光パネルPの下方に設けられる他の太陽光パネルPの上端を押さえつつ固定するように、架台1を設ける位置を決めることができる。以下、架台1を設ける位置にある瓦Qを瓦Q1とする。瓦Q1は、他の瓦Qと同様に、家屋の屋根の上に葺かれている屋根瓦である。
【0055】
次に、開口形成工程(ステップS101;図14)において、ユーザは、図15に示すように、瓦Q1を切削して開口Q2を形成する。ユーザは、例えば、ディスクグラインダーを用いて開口Q2を形成する。ユーザは、ディスクグラインダーの刃を瓦Q1の上面(+Z軸方向側面)から下方(-Z軸方向)へと押しつけて、瓦Q1を切削する。しかしながら、これに限られない。ユーザは、瓦Q1を切削して開口Q2を形成することができればよい。ユーザは、例えば、ポータブルグラインダーを用いて開口Q2を形成してもよい。
【0056】
ユーザは、瓦Q1をZ軸方向に貫通するように、開口Q2を形成する。ユーザは、図1に示すように、ベース10を通すことができる大きさになるように、開口Q2を形成する。ユーザは、図15に示すように、2対の辺がそれぞれY軸、X軸に平行な矩形となるように開口Q2を形成する。しかしながら、これに限られない。ユーザは、瓦Q1の形状に合わせて、例えば、台形や、四辺が歪んだ矩形となるように、開口Q2を形成してもよい。
【0057】
次に、ベース固定工程(ステップS102;図14)において、ユーザは、図15に示す開口Q2を通して、瓦Q1の下の野地板Gにおいて、ベース10の位置決めをする。ユーザは、図2から図4に示すように、第1溝10aが第1方向D1に沿う向きになるように、ベース10を配置する。そして、ユーザは、図4及び図5に示すように、ベース10の留め具挿入用孔14aに屋根面取付け用留め具60を挿入する。さらに、ユーザは、図1に示すように、野地板Gに屋根面取付け用留め具60を固定する。これにより、ユーザは、開口Q2を通して、図16から図18に示すように、屋根の下地である野地板Gにベース10を固定する。
【0058】
補修工程(ステップS103;図14)において、ユーザは、図18に示す屋根面取付け用留め具60により屋根の下地の一つである野地板Gに空いた隙間を塞ぐために、屋根の下地に固定されたベース10上に補修材(図示なし)を敷き均して補修する。
【0059】
位置調整工程(ステップS104;図14)において、ユーザは、図6及び図7に示す開口Q2を通して、スライド金具20と、第1L字金具30と、の位置合わせを行う。このスライド金具20は、ベース10の第1溝10aに嵌め込まれている。第1留め具B1の先端が、このスライド金具20の上面から突出している。そして、第1固定金具取付工程(ステップS105;図14)において、ユーザは、図6及び図7に示す第1L字金具30の底面部31の第1孔31aに第1留め具B1を挿入し、第1L字金具30をスライド金具20に取り付ける。これにより、ユーザは、スライド金具20及びベース10に第1L字金具30を取り付ける。ユーザは、第1留め具B1を緩め、図6及び図7に示すように、スライド金具20を第1方向D1にスライドさせて、スライド金具20に取り付けられた第1L字金具30の位置を調整することができる。
【0060】
スライド金具20に取り付けられた第1L字金具30の上端は、図1に示すように、開口Q2から瓦Q1の上方に突出する。
【0061】
第2固定金具取付工程(ステップS106;図14)において、ユーザは、図8に示すように、第2側壁部41が第1L字金具30の第1側壁部32と接するように第2L字金具40を配置する。さらに、ユーザは、第2側壁部41の第2孔41aと、第1側壁部32の切り欠き穴32aと、が連通するように、第2L字金具40を位置合わせする。そして、ユーザは、切り欠き穴32a、及び第2孔41aに第2留め具B2を挿入し、第1L字金具30と、第2L字金具40、とを固定する。これにより、ユーザは、第1L字金具30に第2L字金具40を取り付ける。ユーザは、切り欠き穴32aに第2留め具B2を挿入する位置により、第2L字金具40を取り付ける高さを調整することができる。
【0062】
ユーザは、第2L字金具40と、受け部材51と、の位置合わせを行う。ユーザは、図9に示すように、溝51aが第2方向D2に沿う向きになるように、受け部材51を配置する。そして、固定ユニット取付工程(ステップS107;図14)において、ユーザは、図1に示すように、第3孔42a、及び第4孔51eに第3留め具B3を挿入し、第2L字金具40と、固定ユニット50の受け部材51と、を固定する。これにより、ユーザは、第2L字金具40に設置対象である太陽光パネルPを固定する固定ユニット50を取り付ける。
【0063】
最後に、ユーザは、図13に示すように、受け部材51の載置面51bに太陽光パネルPを載置する。載置面51bに太陽光パネルPが載置されたとき、図13に示すように、受け部材51の受圧面51cが、太陽光パネルPの重みを受ける。そして、ユーザは、固定ユニット本体52の延設部52-5が太陽光パネルPの上面を押さえつつ固定するように、固定ユニット本体52を配置する。さらに、ユーザは、図10から図12に示すように、受け部材51のネジ孔51f、及び、固定ユニット本体52の第5孔52aに第4留め具B4を挿入する。受け部材51と固定ユニット本体52は、第4留め具B4により、互いに固定される。
【0064】
以上、説明したように、本実施の形態1に係る架台1の施工方法においては、瓦Q1に開口Q2を形成し、開口Q2を通して、ベース10及び第1L字金具30を取り付ける。その結果、ベース10及び第1L字金具30と、瓦Q1の開口Q2と、の位置合わせを容易に行うことができる。これにより、架台の設置作業の作業効率を向上させることができる。
【0065】
また、本実施の形態1に係る架台1の施工方法においては、ベース10上に補修材を敷き均して、野地板Gに屋根面取付け用留め具60を固定したことにより生じる隙間を補修する。その結果、第1L字金具30と、瓦Q1の開口Q2と、の間に生じる隙間から雨水が瓦Qの下の野地板Gに漏れても、雨水が野地板Gよりも下に侵入しない。そして、雨水の野地板Gに漏れる量が増加しても、補修材により雨水が侵入する可能性を抑制することができるため、瓦Q1の開口Q2を大きくすることができる。これにより、第1L字金具30を瓦Q1の開口Q2に通すことが容易になり、架台の設置作業の作業効率を向上させることができる。
【0066】
実施の形態1に係る架台1の施工方法においては、ユーザが、図6に示すベース10に対してスライド金具20を第1方向D1における任意の位置で取り付けることにより、図1に示す第1方向D1における太陽光パネルPの位置決めを行うことができる。これにより、実施の形態1に係る架台1の施工方法は、架台の設置作業の作業効率を向上させることができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0068】
本実施の形態1では、屋根面取付け用留め具60は、野地板Gに固定されている。しかしながら、これに限られない。屋根面取付け用留め具60は、野地板G、及び屋根の下地の一つである垂木Wに固定されてもよい。
【0069】
本実施の形態1では、固定ユニット50は、第1L字金具30に取り付けられた第2L字金具40に固定されている。しかしながら、これに限られない。固定ユニット50は、第1L字金具30に直接固定される構造を有してもよい。
【0070】
本実施の形態1では、第2L字金具40と、受け部材51と、固定ユニット本体52は、第3留め具B3及び第4留め具B4により固定されている。しかしながら、これに限られない。第2L字金具40と、受け部材51と、固定ユニット本体52は、一つの留め具により固定されてもよい。
【0071】
本実施の形態1では、受け部材51と、第2L字金具40と、が、第3留め具B3により固定されている。しかしながら、これに限られない。受け部材51と、第2L字金具40と、の間にスペーサーを設けてもよい。受け部材51と第2L字金具40は、スペーサーを挟んで第3留め具B3により固定される。この架台1の施工方法では、受け部材51の高さを調節することにより、架台の設置作業の作業効率を向上させることができる。スペーサーは、例えば、U字形状に形成されている。しかしながら、これに限られない。スペーサーは、受け部材51と第2L字金具40との間の距離を調節することができればよい。スペーサーは、例えば、環状であってもよい。
【0072】
本実施の形態1では、第1固定金具は、図1に示すように、+Y軸方向から見てL字形状の第1L字金具30である。そして、固定ユニット50は、第1L字金具30に取り付けられた第2L字金具40に載置される。しかしながら、これに限られない。例えば、第1固定金具は、図19に示すように、柱状に形成されている中継部材70であってもよく、固定ユニット50が、中継部材70に載置されてもよい。
【0073】
中継部材70は、図19及び図20に示すように、スライド金具20に固定され、受け部材51を支持することで、ベース10に対する固定ユニット50の位置を高くするために用いられる金具である。中継部材70は、図21に示すように、第1留め具B1がねじ込まれる第7孔70aが形成されている。さらに、中継部材70は、第3留め具B3がねじ込まれている第8孔70bが形成されている。
【0074】
そして、固定ユニット取付工程(ステップS107;図14)において、ユーザは、図20及び図21に示すように、第8孔70bにねじ込まれている第3留め具B3を第4孔51eに挿入し、中継部材70と、固定ユニット50の受け部材51と、を固定する。ユーザは、図19に示すように、中継部材70に太陽光パネルPを固定する固定ユニット50取り付けることで、ベース10に対する太陽光パネルPの高さを高くすることができる。
【0075】
本実施の形態1では、太陽光パネルPは、図1に示すように、固定ユニット50により固定される。しかしながら、これに限られない。太陽光パネルPは、例えば、第1L字金具30に取り付けられたレールの上に載置され、レールの端部に設けられた太陽光パネルPを固定するエンドクランプにより支持されてもよい。
【0076】
本実施の形態1では、架台1の設置対象は、太陽光パネルPである。しかしながら、これに限られない。架台1の設置対象は、太陽光パネルP以外のものであってもよい。架台1の設置対象は、例えば、パラボラアンテナなどのアンテナ、又は、太陽熱温水器であってもよい。
【0077】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0078】
1,2,3 架台、10 ベース、10a 第1溝、11 第1溝形成部分、11a 側壁部、12 第2溝、13 スライド規制部、14 フランジ部分、14a,14b 留め具挿入用孔、20 スライド金具(スライド部材)、20a ネジ孔、20b 嵌込部、30 第1L字金具、31 底面部、31a 第1孔、32 第1側壁部、32a 切り欠き穴、40 第2L字金具、41 第2側壁部、41a 第2孔、42 上面部、42a 第3孔、50 固定ユニット、51 受け部材、51-1,51-2 側壁部、51-3 延設部、51a 溝、51b 載置面、51c 受圧面、51d 凹み部、51e 第4孔、51f ネジ孔、52 固定ユニット本体、52-1,52-2 側壁部、52-3,52-4 連結板部、52-5,52-6 延設部、52a 第5孔、52b 第6孔、60 屋根面取付け用留め具、70 中継部材、70a 第7孔、70b 第8孔、B1 第1留め具、B2 第2留め具、B3 第3留め具、B4 第4留め具、G 野地板、W 垂木、P 太陽光パネル、Q,Q1 瓦、Q2 開口、R 屋根面、D1 第1方向、D2 第2方向。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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