(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059306
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】血液浄化装置および血液浄化装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240423BHJP
A61M 1/36 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61M1/16 111
A61M1/36 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166911
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾上 慶次
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD27
4C077EE01
4C077GG02
4C077HH03
4C077HH20
4C077HH21
4C077KK19
(57)【要約】
【課題】実運用時において装置全体の温度上昇を低減可能な血液浄化装置を提供する。
【解決手段】血液浄化装置は、血管回路を構成するチューブ内の気泡を検知するセンサと、気泡が検知されたことに基づきチューブを閉塞するクランプとを備える。クランプは、第1の位置から第2の位置に移動することによりチューブを閉塞する押圧部材と、押圧部材を第1の位置から第2の位置に移動させるアクチュエータとを含む。血液浄化装置は、アクチュエータを動作させるための電源と、電源からアクチュエータに供給される電力を制御する制御装置400とをさらに備える。制御装置400は、予め定められた指示を受け付けると、予め定められた時間、アクチュエータに供給される電力を第1の電力に制御し、予め定められた時間経過した後に気泡が検知されると、アクチュエータに供給される電力を第1の電力よりも小さい第2の電力に制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管回路を構成するチューブ内の気泡を検知するセンサと、
前記気泡が検知されたことに基づき前記チューブを閉塞するクランプとを備え、前記クランプは、第1の位置から第2の位置に移動することにより前記チューブを閉塞する押圧部材と、前記押圧部材を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるアクチュエータとを含み、
前記アクチュエータを動作させるための電源と、
前記電源から前記アクチュエータに供給される電力を制御する制御装置とをさらに備え、
前記制御装置は、
予め定められた指示を受け付けると、予め定められた時間、前記アクチュエータに供給される電力を第1の電力に制御し、
前記予め定められた時間経過した後に前記気泡が検知されると、前記アクチュエータに供給される電力を前記第1の電力よりも小さい第2の電力に制御する、血液浄化装置。
【請求項2】
前記電源と前記アクチュエータとの間に設けられたスイッチング素子をさらに備え、
前記制御装置は、
前記予め定められた指示を受け付けると、前記予め定められた時間、デューティ比を第1の値として前記スイッチング素子の動作を制御し、
前記予め定められた時間した後は、前記気泡が検知されると、前記デューティ比を前記第1の値のよりも小さい第2の値として前記スイッチング素子の動作を制御する、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記第1の値は、70%以上の値である、請求項2に記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記第2の値は、50%以下の値である、請求項3に記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記押圧部材は、金属製またはセラミック製である、請求項1から4のいずれか1項に記載の血液浄化装置。
【請求項6】
前記チューブの延在方向における前記押圧部材の幅は、3mm以下である、請求項5に記載の血液浄化装置。
【請求項7】
前記押圧部材の温度を測定するセンサをさらに備え、
前記制御装置は、前記温度の上昇幅に応じて前記予め定められた時間の長さを設定する、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項8】
血管回路を構成するチューブをクランプによって閉塞可能な血液浄化装置の制御方法であって、前記クランプは、前記チューブを閉塞する押圧部材と、前記押圧部材を移動させるアクチュエータとを含み、
前記チューブ内の気泡を検知するステップと、
予め定められた指示を受け付けたことに基づき、予め定められた時間、前記アクチュエータに供給される電力を第1の電力に制御するステップと、
前記予め定められた時間経過した後に前記気泡が検知されると、前記アクチュエータに供給される電力を前記第1の電力よりも小さい第2の電力に制御するステップとを備える、血液浄化装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血液浄化装置および血形浄化装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透析および濾過の少なくとも一方により血液を浄化する血液浄化装置が知られている。たとえば、特開2019-169号公報(特許文献1)には、血管回路を構成するチューブを閉塞可能なクランプユニットを備えた透析装置が開示されている。
【0003】
当該クランプユニットは、クランプと、チューブ内の気泡を検知する気泡検知センサとを含む。クランプは、アクチュエータの一種であるソレノイドと、ソレノイドの出力軸(プランジャー)とを有する。出力軸の動作により、チューブを閉塞状態(流路を遮断した状態)とすることができる。詳しくは、チューブは、クランプによって一部が押し潰されることにより閉塞する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クランプのアクチュエータを動作させると、血液浄化装置内において熱が発生する。血液浄化装置では、装置の温度の上限値が規格によって定められている。よって、上限値(たとえば、48度)を超えるような熱の蓄積を防止する必要がある。
【0006】
熱の蓄積を抑制するため、PWM(Pulse Width Modulation)制御等によりアクチュエータに供給する電力を低減することが考えられる。しかしながら、アクチュエータに供給する電力を低減すると、アクチュエータを動作させてもチューブを閉塞することができないといった状況が起こりえる。
【0007】
本開示は、上記の問題点に鑑みされたものであって、その目的は、実運用時において装置全体の温度上昇を低減可能な血液浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に従うと、血液浄化装置は、血管回路を構成するチューブ内の気泡を検知するセンサと、気泡が検知されたことに基づきチューブを閉塞するクランプとを備える。クランプは、第1の位置から第2の位置に移動することによりチューブを閉塞する押圧部材と、押圧部材を第1の位置から第2の位置に移動させるアクチュエータとを含む。血液浄化装置は、アクチュエータを動作させるための電源と、電源からアクチュエータに供給される電力を制御する制御装置とをさらに備える。制御装置は、予め定められた指示を受け付けると、予め定められた時間、アクチュエータに供給される電力を第1の電力に制御する。制御装置は、予め定められた時間経過した後に気泡が検知されると、アクチュエータに供給される電力を第1の電力よりも小さい第2の電力に制御する。
【0009】
本開示の他の局面に従うと、血管回路を構成するチューブをクランプによって閉塞可能な血液浄化装置の制御方法であって、クランプは、チューブを閉塞する押圧部材と、押圧部材を移動させるアクチュエータとを含む。血液浄化装置の制御方法は、チューブ内の気泡を検知するステップと、予め定められた指示を受け付けたことに基づき、予め定められた時間、アクチュエータに供給される電力を第1の電力に制御するステップと、予め定められた時間経過した後に気泡が検知されると、アクチュエータに供給される電力を第1の電力よりも小さい第2の電力に制御するステップとを備える。
【発明の効果】
【0010】
上記の開示によれば、実運用時において装置全体の温度上昇を低減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】血液浄化装置の全体構成の概略を表す図である。
【
図4】血液浄化装置内における機器ユニットの裏面側を示した斜視図である。
【
図5】血液浄化装置に含まれる制御ユニットの例を示した図である。
【
図6】実運用に先立ち行われる前処理の流れを説明するためのフロー図である。
【
図7】前処理後における実運用での処理の流れを説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態の血液浄化装置について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下では、「ユーザ」は、典型的には、医師、看護師等の医療従事者を指す。また、以下では、互いに直交するX軸とY軸とZ軸との3軸から構成されるXYZ座標系を用いて説明する。
【0013】
<A.全体構成>
図1は、血液浄化装置の斜視図である。
図1に示されるように、血液浄化装置1は、本体2と、表示装置3とを備える。表示装置3は、本体2に取り付けられている。表示装置3は、本体2の上部に取り付けられている。本体2には、血液回路を構成するチューブが接続される。表示装置3は、典型的には、ディスプレイにタッチパネルが重畳されたタッチスクリーンである。
【0014】
本体2は、機器ユニット100を備える。機器ユニット100は、血管回路を構成するチューブ(
図2参照)を閉塞する機能を有する。機器ユニット100は、動脈側ユニット110と、静脈側ユニット120とを含む。本体2は、制御装置400(
図5参照)と、複数のポンプとをさらに含んでいる(
図2参照)。
【0015】
動脈側ユニット110の一部と、静脈側ユニット120の一部とは、外部に露出している。すなわち、動脈側ユニット110の一部と、静脈側ユニット120の一部とは、血液浄化装置1のコンソール側に設置されている。なお、本例では、動脈側ユニット110と、静脈側ユニット120とは、コンソールにおいて、Y軸方向に300mm以内の所定の距離だけ離れて配置されている。
【0016】
図2は、血液浄化装置1の全体構成の概略を表す図である。
図2に示すように、血液浄化装置1は、本例では、補充液ポンプ31と、透析液ポンプ32と、排液ポンプ33と、血液ポンプ34と、血液濾過器50と、注射器60と、機器ユニット100と、制御装置400(
図5参照)とを備える。
【0017】
機器ユニット100は、上述したように、動脈側ユニット110と、静脈側ユニット120とを含む。動脈側ユニット110は、クランプ111と、気泡検知センサ113と、クランプ114と、気泡検知センサ115とを有する。静脈側ユニット120は、クランプ121と、気泡検知センサ123とを有する。なお、クランプは、「バルブ」とも称される。
【0018】
血液濾過器50は、血液から不要または有毒な物質を除去する。血液濾過器50は、中空糸膜を有する。血液濾過器50は、中空糸膜の内側に血液を流す。一例として中空糸膜の内側から外側へ圧力をかけることにより、水分、血液中の老廃物、サイトカイン等の中分量物質が、血液濾過器50内において中空糸膜の内側領域から外側領域へと移動する。これにより、血液が浄化される。
【0019】
補充液ポンプ31は、補液または置換液とも称される補充液41を血液回路(流路)に供給する。透析液ポンプ32は、透析液42を血液回路に供給する。詳しくは、透析液ポンプ32は、透析液を血液濾過器50の中空糸膜の外側領域に供給する。排液ポンプ33は、血液濾過器50内の中空糸膜の外側領域に移動した物質(血液中の物質)を含む排液(透析液の排液)を排液容器43に送る。排液ポンプ33は、「濾過ポンプ」とも称される。血液ポンプ34は、血液回路において、血液を循環させる。血液ポンプ34は、血液を血液濾過器50に送る。
【0020】
補充液ポンプ31と、透析液ポンプ32と、排液ポンプ33と、血液ポンプ34と、機器ユニット100との動作は、制御装置によって制御される。
【0021】
注射器60は、血液回路と血液濾過器50とにおいて血液が凝固するのを防ぐため、ユーザの操作に基づき、抗凝固薬を血液回路に供給する。また、血液浄化装置1では、生理食塩水44が動脈側の血液回路に供給可能である。具体的には、血液浄化装置1では、生理食塩水44を血液ポンプ34の上流側に供給可能である。
【0022】
(動脈側ユニット110)
動脈側ユニット110は、動脈側の血管回路(詳しくは、動脈側ラインLa)を閉塞可能である。動脈側ユニット110によって、透析液による自動プライミングと、自動返血と、緊急補液とを行うことができる。
【0023】
クランプ111と、気泡検知センサ113とは、動脈側ユニット110において、上流側から下流側に向かって、この順に並んで配置されている。気泡検知センサ115と、クランプ114とは、動脈側ユニット110において、生理食塩水44から下流側に向かって、この順に並んで配置されている。
【0024】
気泡検知センサ113は、動脈側ラインLaを構成するチューブ90a内の気泡を検知する。気泡検知センサ113は、典型的には、超音波方式のセンサである。気泡検知センサ113は、動脈側ラインLaを構成するチューブ90a内に流れる液体に超音波を照射することにより、液体の透過率と気泡の透過率との差を検出する。これにより、気泡検知センサ113によって、気泡の有無が検出される。なお、チューブ90aおよび後述するチューブ90s,90vは、たとえば、ポリ塩化ビニル(PVC)、シリコン(Si)等の可撓性のチューブで形成される。
【0025】
クランプ111は、動脈側ラインLaを構成するチューブ90aを押し潰すことにより、動脈側ラインLaの流路を閉塞する。これにより、気泡検知センサ113よりも上流側において、チューブ90a内での送液を停止させることができる。クランプ111は、動脈側ラインLaを構成するチューブ90aを開くことにより、動脈側ラインLaの流路を開放する。これにより、気泡検知センサ113よりも上流側において、チューブ90a内での送液を開始することができる。
【0026】
なお、制御装置400(
図5参照)は、後述するソレノイド111b(
図4)の動作を、ソレノイド111bに対して設けられたリミットスイッチ(図示せず)を用いて検出することにより、動脈側ラインLaを構成するチューブ90aが閉塞されているか否かを判断する。
【0027】
気泡検知センサ115は、気泡検知センサ113と同様の構成を有する。気泡検知センサ115は、生理食塩水44とチューブ90aとを接続するチューブ90s内の気泡の有無を検知する。チューブ90sは、分岐管99によってチューブ90aと接続されている。
【0028】
クランプ114は、生理食塩水を用いたプライミングと、返血工程とにおいて、制御装置によって開閉する。クランプ114は、気泡検知センサ115によって気泡が検知されると、チューブ90sを押し潰すことにより流路を閉塞する。なお、制御装置400(
図5参照)は、後述するソレノイド114b(
図4)の動作を、ソレノイド114bに対して設けられたリミットスイッチ(図示せず)を用いて検出することにより、チューブ90sが閉塞されているか否かを判断する。
【0029】
(静脈側ユニット120)
静脈側ユニット120は、静脈側の血管回路(詳しくは、静脈側ラインLv)を閉塞可能である。気泡検知センサ123と、クランプ121とは、静脈側ユニット120において、上流側から下流側に向かって、この順に並んで配置されている。
【0030】
気泡検知センサ123は、静脈側ラインLvを構成するチューブ90v内の気泡を検知する。気泡検知センサ123は、気泡検知センサ113,115と同様の構成を有する。
【0031】
クランプ121は、気泡検知センサ113、気泡検知センサ115、および気泡検知センサ123による気泡の検出結果に応じて制御される。クランプ121は、気泡が所定量よりも多く検出された場合に、静脈側ラインLvを構成するチューブ90vを押し潰すことにより、静脈側ラインLvの流路を閉塞する。これにより、気泡検知センサ123よりも上流側において、チューブ90v内での送液を停止させることができる。
【0032】
なお、制御装置400(
図5参照)は、後述するソレノイド121b(
図4)の動作を、ソレノイド121bに対して設けられたリミットスイッチ(図示せず)を用いて検出することにより、静脈側ラインLvを構成するチューブ90vが閉塞されているか否かを判断する。
【0033】
なお、
図2においては、後希釈方式の装置構成を例に挙げて説明しているが、これに限定されず、本開示の処理は前希釈方式の装置にも適用可能である。
【0034】
<B.要部構成>
図3は、動脈側ユニット110の外観図である。
図3に示されるように、動脈側ユニット110は、少なくとも、押圧片114aと、蓋部117と、ヒンジ118と、ロック機構119とを含む。クランプ114(
図2)は、押圧片114aを含む。なお、押圧片は、チューブを閉塞する部材(押圧部材)であって、「押し子」とも称される。押圧片は、チューブに対して圧力を加える加圧部材でもある。
【0035】
蓋部117は、ヒンジ118を中心に回動する。蓋部117が閉じられた状態で、ロック機構119によるロックがなされる。この状態において、チューブ90sに生理食塩水を流すことができる。気泡検知センサ115によって気泡が検知等されると、押圧片114aがX軸の正方向に移動する。これにより、分岐管99によって動脈側ラインLaに接続されているチューブ90sが閉塞状態となる。詳しくは、押圧片114aは、デフォルト位置である収容位置(第1の位置)から突出位置(第2の位置)に移動することにより、チューブ90sを閉塞する。逆に、押圧片114aは、突出位置から収容位置に移動することにより、チューブ90sの閉塞状態を解除する。
【0036】
ロック機構119によるロックがなされた状態において、チューブ90aに液体が流れる。クランプ111(
図2)は、動脈側ラインLaを構成するチューブ90aを閉塞させる押圧片(図示せず)を含む。気泡検知センサ113によって気泡が検知等されると、当該押圧片がX軸の正方向に移動する。これにより、チューブ90aが閉塞状態となる。なお、静脈側ユニット120についても、動脈側ユニット110と同様に、図示しない、クランプ121を構成する押圧片と、蓋部と、ヒンジと、ロック機構とを含む。
【0037】
各押圧片は、固く、かつ熱伝導性の高い材質で構成されている。各押圧片は、典型的には、金属製である。各押圧片は、セラミック製であってもよい。
【0038】
本例では、各チューブ90a,90s,90vの延在方向における押圧片の幅(
図3におけるY方向の幅)は、細いことが好ましい。たとえば、当該幅は、3mm以下であることが好ましい。
【0039】
図4は、血液浄化装置1内における機器ユニット100の裏面側を示した斜視図である。
図4に示されるように、血液浄化装置1は、機器ユニット100と、引出機構200とを備える。
【0040】
引出機構200は、本体2と機器ユニット100との各々に取り付けられている。詳しくは、引出機構200は、可動部材210と、固定部材260とを備える。可動部材210は、図示しないネジで機器ユニット100に取り付けられている。固定部材260は、図示しないネジで本体2に取り付けられている。可動部材210は、鉛直部位211と、水平部位212とを含む。
【0041】
固定部材260と可動部材210(詳しくは、水平部位212)とは、互いに係合し、かつX軸の正方向に延在している。可動部材210は、固定部材260に対してX軸方向(X軸の正方向および負方向)にスライド可能である。
【0042】
機器ユニット100は、上述したように、動脈側ユニット110と、静脈側ユニット120とを備える。動脈側ユニット110は、ソレノイド111bと、ソレノイド114bとを含む。詳しくは、クランプ111(
図2参照)は、ソレノイド111bを含む。クランプ114は、ソレノイド114bを含む。
【0043】
ソレノイド111bは、図示しないプランジャー(可動鉄芯)を有する。制御装置が、ソレノイド111bに電流を流すことにより、当該プランジャーがX軸の方向に移動する。これにより、対応する押圧片(図示せず)をX軸の正方向に移動させることができる。
【0044】
ソレノイド114bは、ソレノイド111bと同様に、図示しないプランジャーを有する。制御装置が、ソレノイド114bに電流を流すことにより、当該プランジャーがX軸の正方向に移動する。これにより、押圧片114a(
図3参照)をX軸の方向に移動させることができる。
【0045】
静脈側ユニット120は、ソレノイド121bを含む。詳しくは、クランプ121(
図2参照)は、ソレノイド121bを含む。ソレノイド121bは、図示しないプランジャーを有する。制御装置が、ソレノイド121bに電流を流すことにより、当該プランジャーがX軸の正方向に移動する。これにより、図示しない押圧片をX軸の正方向に移動させることができる。
【0046】
<C.制御ユニット>
(c1.機器構成)
以下では、3つのソレノイド111b,114b,121bのうち、押圧片114a(
図3)を動作させるソレノイド114bに着目して説明する。具体的には、以下では、ソレノイド114bのプランジャーを動作させる制御ユニットに着目して説明する。
【0047】
図5は、血液浄化装置1に含まれる制御ユニットの例を示した図である。
図5に示されるように、制御ユニット500は、電子回路300と制御装置400とを備える。
【0048】
電子回路300は、直流電源310と、スイッチング素子320と、ダイオード330と、コンデンサ340と、チョークコイル350と、負荷としてのソレノイド114bとを含む。制御装置400は、デューティ比設定部410と、PWM(Pulse Width Modulation)ジェネレータ420とを含む。
【0049】
直流電源310は、所定の電圧の直流を電子回路300内に供給する。なお、血液浄化装置1は、図示しない降圧回路およびAC/DCコンバータにより、商用電源の交流を直流に変換する。これにより、直流電源310が構成されている。
【0050】
ダイオード330と、コンデンサ340と、ソレノイド114bとは、並列に接続されている。スイッチング素子320は、ダイオード330と、コンデンサ340と、ソレノイド114bとに直列に接続されている。チョークコイル350は、コンデンサ340と、ソレノイド114bと直列に接続されている。なお、チョークコイル350は、ノイズを取り除く目的で設置されている。
【0051】
スイッチング素子320は、本例では、MOS型の電界効果トランジスタである。スイッチング素子320は、ソース(S)側とドレイン(D)側とに接続されたボディー(寄生)ダイオード321を有する。ボディーダイオード321は、ソース(S)とドレイン(D)と間のpn接合により形成される。
【0052】
スイッチング素子320のドレイン(D)側の端子は、直流電源310の正極と配線によって接続されている。スイッチング素子320のソース(S)側の端子は、ダイオード330のカソード(K)側と配線によって接続されている。スイッチング素子320のソース(S)側の端子は、チョークコイル350とさらに接続されている。チョークコイル350は、スイッチング素子320とは反対側において、ソレノイド114b(詳しくは、コイル)とコンデンサ340とに配線によって接続されている。
【0053】
ダイオード330のアノード(A)は、直流電源の負極と配線によって接続されている。直流電源の負極は、コンデンサ340と、ソレノイド114b(詳しくは、コイル)とに配線によって接続されている。スイッチング素子320のゲート(G)側の端子は、制御装置400に接続されている。
【0054】
制御装置400のデューティ比設定部410は、予め定められたプログラムに基づき、デューティ比を設定する。デューティ比設定部410は、設定したデューティ比をPWMジェネレータ420に通知する。PWMジェネレータ420は、デューティ比設定部410から受け取ったデューティ比のパルス信号を生成する。PWMジェネレータ420は、生成されたパルス信号をスイッチング素子320のゲート(G)に入力する。
【0055】
なお、デューティ比は、パルス信号のオン状態の時間を、パルス信号の周期(オン状態の時間とオフ状態の時間との和)で割った値である。パルス信号の周期は、予め定められているものとする。
【0056】
スイッチング素子320のゲート(G)にパルス信号が入力されると、当該パルス信号のデューティ比に応じた電力が、負荷であるソレノイド114bに供給される。詳しくは、ソレノイド114bのコイル(図示せず)にデューティ比に応じた大きさの電流が流れる。
【0057】
本例では、制御ユニット500は、デューティ比を変更することにより、負荷であるソレノイド114bに供給する電力の大きさを変更する。詳しくは、制御ユニット500は、デューティ比を変更することにより、ソレノイド114bのコイルに流す電流の大きさ(電流値)を変更する。
【0058】
制御ユニット500は、ソレノイド114bのコイルに流す電流値を変更することにより、プランジャーを移動させる力を制御することができる。すなわち、制御ユニット500は、チューブ90s(
図3)に対する押圧片114aの押圧力を変更することができる。このように、制御ユニット500は、パルス信号のデューティ比を変更することにより、チューブ90sを閉塞するための力を変更する。変更の具体例については、後述する。
【0059】
なお、上記においては、スイッチング素子320としてMOS型の電界効果トランジスタを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。スイッチング素子320は、接合型の電界効果トランジスタであってもよい。スイッチング素子320は、電界効果トランジスタに限定されず、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等のバイポーラトランジスタであってもよい。スイッチング素子320として、各種の素子を用いることができる。
【0060】
詳しくは、血液浄化装置1は、制御ユニット500とは別に、ソレノイド111bのプランジャーを動作させる制御ユニット(図示せず)と、ソレノイド121bのプランジャーを動作させる制御ユニット(図示せず)とを備える。これらの制御ユニットの構成は、
図5に示した制御ユニット500の構成と同一である。このため、ここでは繰り返し説明は行わない。
【0061】
また、これに限らず、各ソレノイド114b,111b,121b用に、3つのデューティ比設定部410と、3つのPWMジェネレータ420とを備えるように、制御装置400を構成してもよい。3つのスイッチング素子を1または複数の制御装置400で制御する構成であればよい。
【0062】
(c2.制御の具体例)
次に、
図5に示した制御ユニット500を用いた制御の具体例について説明する。本例では、チューブ90s(
図3)を新品に交換した後、実運用(患者への使用)の前に、押圧片114aを用いてチューブ90sに癖を付ける処理を実行する。
【0063】
(1)前処理
図6は、実運用に先立ち行われる前処理の流れを説明するためのフロー図である。
図6に示されるように、ステップS1において、所定の操作を受け付ける。所定の操作は、たとえば、血液浄化装置1に対するユーザの入力操作である。入力操作としては、たとえば、表示装置3のタッチパネルに対するタッチ操作である。タッチ操作としては、前処理の実行を指示する画像(アイコン等)の選択操作である。表示装置3への操作に限られず、所定の操作は、たとえば、動脈側ユニット110の蓋部117を閉じる操作であってもよい。この場合、図示しないセンサを用いて制御装置400が蓋部117の開閉を検知可能なように血液浄化装置1を構成しておけばよい。チューブ90sの交換を制御装置400が検知できる構成であればよい。
【0064】
血液浄化装置1は、所定の操作を受け付けると、ステップS2において、制御装置400のデューティ比設定部410(
図5)は、PWMジェネレータ420で生成されるパルス信号のデューティ比を100%に設定する。
【0065】
制御装置400は、デューティ比が100%に設定された後、デューティ比が100%のパルス信号(この場合は、常時オン状態の信号)をスイッチング素子320のゲート(G)に入力する。これにより、制御装置400は、ソレノイド114bを動作させる。その結果、押圧片114aによるチューブ90sの押圧が開始する(ステップS3)。デューティ比が100%であるため、最大の押圧力でチューブ90sが押圧される。
【0066】
ステップS4において、制御装置400は、予め定められた時間(以下、「時間Td」とも称する)が経過したか否かを判断する。具体的には、制御装置400は、パルス信号の発振開始後、時間Tdが経過したか否かを判断する。
【0067】
時間Tdは、たとえば、0.5分から10分の間の固定の時間とすることができる。時間Tdは、たとえば、実験により、血液浄化装置1の製造メーカによって定めることができる。チューブ90sの素材(組成)あるいは種類に応じて、時間Tdを個別に定めてもよい。
【0068】
時間Tdの定め方としては、たとえば、押圧片114aの表面温度の情報を用いることもできる。この場合、動脈側ユニット110に、押圧片114aの表面温度を測定する温度センサ(図示せず)を備えておく。制御装置400は、表面温度が所定の温度だけ上昇するまでの時間を、上述した時間Tdに設定する。所定の温度としては、2℃から30℃の間の温度とすることができる。
【0069】
時間Tdが経過していないと判断された場合(ステップS4においてNO)、制御装置400は、時間Tdが経過するまで、デューティ比が100%のパルス信号をスイッチング素子320に送り続ける。時間Tdが経過したと判断された場合(ステップS4においてYES)、制御装置400は、チューブ90sの押圧を終了する。具体的には、制御装置400は、スイッチング素子320のゲート(G)に送るパルス信号の生成を終了する。以上により、一連の前処理が終了する。
【0070】
チューブ90sは、クランプ114の押圧片114aによって、最大圧力で所定の箇所が押し潰される。このため、当該箇所には、癖が生じる。一旦、癖が生じると、以降の実運用においては、当該箇所を押し潰し易くなる。
【0071】
なお、上記においては、押圧片114aを用いてチューブ90sに癖を付ける局面を例に挙げて説明したが、チューブ90aとチューブ90vに対しても、交換時に、同様の癖をつけるための前処理が実行される。
【0072】
また、上記においては、前処理時におけるデューティ比を100%に設定しているが、これに限定されるものではない。デューティ比は、70%以上であることが好ましい。なお、制御装置400は、デューティ比に応じて、時間Tdを設定すればよい。
【0073】
(2)実運用
上述したように、前処理において、各チューブ90sに対する癖付けが行われている。このため、実運用では、前処理のときよりも小さい力で各チューブ90sを閉塞可能となる。このため、実運用では、以下の処理が実行される。
【0074】
図7は、前処理後における実運用での処理の流れを説明するためのフロー図である。
図7に示されるように、制御装置400は、実運用(通常運転)が開始されると、ステップS11において、デューティ比設定部410(
図5)は、PWMジェネレータ420で生成されるパルス信号のデューティ比を50%に設定する。
【0075】
ステップS12において、制御装置400は、気泡検知センサ115からの信号に基づき、気泡が検知されたか否かを判断する。制御装置400は、気泡が検知された場合(ステップS12においてYES)、ステップS13において、チューブ90sを押圧する。詳しくは、制御装置400は、デューティ比が50%のパルス信号をスイッチング素子320のゲート(G)に入力する。これにより、制御装置400は、ソレノイド114bを動作させる。制御装置400は、気泡が検知されていない場合(ステップS12においてNO)、処理をステップS12に戻す。
【0076】
なお、上記においては、気泡が検知されたことに基づき、押圧片114aを用いてチューブ90sを閉塞する局面を例に挙げて説明した。チューブ90aとチューブ90vに対しても、同様の処理がなされる。
【0077】
具体的には、気泡検知センサ113が気泡を検知すると、デューティ比を50%とした力でクランプ111(
図2)のソレノイド111b(詳しくは、プランジャー)が動作する。これにより、対応する押圧片が当該力に応じた力でチューブ90aを閉塞する。同様に、静脈側の気泡検知センサ123が気泡を検知すると、デューティ比を50%とした力でクランプ121(
図2)のソレノイド121b(詳しくは、プランジャー)が動作する。これにより、対応する押圧片が当該力に応じた力でチューブ90vを閉塞する。
【0078】
このように、チューブ90a,90vに対しても癖付けが行われているため、実運用時においては、前処理のときよりも小さい力で各チューブ90a,90vを閉塞可能となる。
【0079】
なお、実運用時のデューティ比の例として、上記においては、50%を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。デューティ比を50%未満としてもよい。実運用におけるデューティ比は、前処理での癖の付き具合、チューブの材質等により決定することができる。
【0080】
<D.小括>
(1)以下では、主として、押圧片114aを用いてチューブ90sを閉塞するクランプ114に着目して小括する。なお、チューブ90a,90vを閉塞するクランプ111,121に関してもクランプ114と同様に小括できる。繰り返しの説明となるため、以下では3つのクランプ111,114,121のうち、クランプ114に着目して記載する。
【0081】
血液浄化装置1は、血管回路を構成するチューブ90s内の気泡を検知する気泡検知センサ115と、気泡が検知されたことに基づきチューブ90sを閉塞するクランプ114とを備える。クランプ114は、収容位置から突出位置に移動することによりチューブ90sを閉塞する押圧片114aと、押圧片114aを収容位置から突出位置に移動させるソレノイド114bとを含む。
【0082】
血液浄化装置1は、ソレノイド114bを動作させるための直流電源310と、直流電源310からソレノイド114bに供給される電力を制御する制御装置400と、直流電源310とソレノイド114bとの間に設けられたスイッチング素子320とをさらに備える。
【0083】
血液浄化装置1は、実運用に先立ち前処理を行う。制御装置400は、血液浄化装置1が所定の操作を受け付けることにより予め定められた指示を受け付けると、前処理として、予め定められた時間(時間Td)、ソレノイド114bに供給される電力を第1の電力に制御する。具体的には、制御装置400は、上記予め定められた指示を受け付けると、時間Td、デューティ比を第1の値(本例では、100%)としてスイッチング素子320の動作を制御する。この後、血液浄化装置1は、実運用に入る。
【0084】
制御装置400は、時間Td経過した後に気泡が検知されると、ソレノイド114bに供給される電力を上記第1の電力よりも小さい第2の電力に制御する。具体的には、制御装置400は、時間Tdした後は、気泡が検知されると、デューティ比を第1の値のよりも小さい第2の値(本例では、50%)としてスイッチング素子320の動作を制御する。
【0085】
このように、前処理においてチューブ90sに予め癖を付けておくことができる。それゆえ、実運用時において気泡が検知された場合には、前処理よりも小さな力でチューブ90sを押圧しても、チューブ90sを閉塞可能となる。そこで、気泡が検知された場合には、チューブ90sを閉塞するために、デューティ比を前処理のときよりも小さな値とすることが可能となる。その結果、前処理を行なわない構成に比べて、実運用時において血液浄化装置1の温度上昇を低減可能となる。
【0086】
この点について、前処理を行わない構成(比較例)を挙げて説明すると、以下のとおりである。一般的なチューブでは、デューティ比を70%程度に設定することにより、新品であっても閉塞が可能である。しかしながら、デューティ比が50%を超えると、ソレノイドで発生する熱量が大きくなってしまい、血液浄化装置の温度上昇を抑制できない。
【0087】
しかしながら、本例の血液浄化装置1によれば、前処理においてチューブ90sに癖を付けているため、実運用時におけるデューティ比を比較例に比べて小さくすることができる。それゆえ、本例の血液浄化装置1によれば、前処理を行わない比較例に比べて、実運用時(気泡が検知されうる局面)における、血液浄化装置1の温度上昇を低減することが可能となる。
【0088】
特に、医療経済上の観点からは、安価なチューブを使用することが求められている。このような安価なチューブは、高価なチューブに比べて、一般的に温度感度が高い。血液浄化装置の温度の仕様範囲(典型的には、10℃~38℃)に低温側の温度(たとえば、10℃)などでは、チューブの閉塞するために、仕様範囲の高温側以外の温度に比べて、10%から50%程度大きな力が必要となる。
【0089】
それゆえ、安価なチューブが使用されることを考慮すると、血液浄化装置の製造メーカは、高価なチューブを使用する場合よりも、出力の大きなソレノイドを血液浄化装置に搭載しておくことが必要となる。詳しくは、上記の比較例においては、デューティ比を70%にした状態であっても、低温側で十分にチューブを閉塞できるだけのソレノイドおよび直流電源を設けておく必要がある。
【0090】
しかしながら、本例の血液浄化装置1では、前処理において、デューティ比を70%以上(好ましくは100%)とし、かつ時間Tdにわたり、チューブ90sを押圧する。このため、実運用時における血液浄化装置1の周囲温度が低くても、比較例に比べて小さな力でチューブ90sを閉塞することができる。このため、血液浄化装置1は、比較例に比べて、出力の大きなソレノイドを搭載しておく必要がなくなる。
【0091】
(2)以下では、押圧片114aに着目して説明する。なお、チューブ90a,90vを閉塞する各押圧片(図示せず)に関しても押圧片114aと同様に小括できる。繰り返しの説明となるため、以下では3つの押圧片のうち、押圧片114aに着目して記載する。
【0092】
押圧片114aは、金属製またはセラミック製である。それゆえ、押圧片114aは、同じ形状の樹脂製の押圧片に比べて強度が強い。したって、チューブ90sの延在方向における押圧片114aの幅を、樹脂製の押圧片に比べて短くできる。たとえば、チューブ90sの延在方向における押圧片114aの幅を、3mm以下にできる。
【0093】
したがって、樹脂製の押圧片を用いた場合に比べて、チューブ90sを閉塞するための力を小さくすることができる。すなわち、ソレノイド114bで生じる力を小さくすることができる。また、チューブ90sの延在方向における押圧片114aの幅が上記のように狭いため、樹脂製の押圧片のように幅を広くせざるを得ない構成に比べて、チューブ90sに癖を付け易くなる。
【0094】
なお、押圧片114aを金属等の熱伝導のよい材質で形成した場合、樹脂製の場合に比べて、ソレノイド114bで発生した熱が押圧片114aを介してチューブ90sに伝達し易い。しかしながら、本例の血液浄化装置1では、上述したように、運用時の熱の発生を低減可能であるため、比較例において押圧片を金属製等とした場合に比べて、チューブへの熱の影響を抑えることが可能となる。
【0095】
<E.変形例>
(1)上記においては、1つのスイッチング素子を用いて1つのソレノイドに供給される電力(詳しくは、ソレノイドのコイルに流す電流)を変化させた。具体的には、スイッチング素子のゲートに入力するパルス信号のデューティ比を前処理時と実運用時とで異ならせた。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0096】
1つのソレノイドに対して、前処理時は、第1の直流電源から電力を供給し、実運用時は第2の直流電源から電力(第1の直流電源の電力よりも小さな電力)を供給するように、血液浄化装置1を構成してもよい。この場合には、
図5に示したようなスイッチング素子320およびデューティ比の制御は不要となる。
【0097】
(2)上記においては、チューブを閉塞するためのアクチュエータとして、ソレノイドを例に挙げて説明したが、アクチュエータはソレノイドに限定されない。押圧片を移動させることが可能なアクチュエータであればよい。
【0098】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0099】
1 血液浄化装置、2 本体、3 表示装置、31 補充液ポンプ、32 透析液ポンプ、33 排液ポンプ、34 血液ポンプ、41 補充液、42 透析液、43 排液容器、44 生理食塩水、50 血液濾過器、60 注射器、90a,90s,90v チューブ、99 分岐管、100 機器ユニット、110 動脈側ユニット、111,114,121 クランプ、111b,114b,121b ソレノイド、113,115,123 気泡検知センサ、114a 押圧片、117 蓋部、118 ヒンジ、119 ロック機構、120 静脈側ユニット、200 引出機構、210 可動部材、260 固定部材、300 電子回路、310 直流電源、320 スイッチング素子、321 ボディーダイオード、330 ダイオード、340 コンデンサ、350 チョークコイル、400 制御装置、410 デューティ比設定部、420 PWMジェネレータ、500 制御ユニット、La 動脈側ライン、Lv 静脈側ライン。