(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005931
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】海況情報提供装置、海況情報提供システム、海況情報提供プログラム、及び海況情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G01P 13/00 20060101AFI20240110BHJP
B63B 49/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01P13/00 E
B63B49/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106410
(22)【出願日】2022-06-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】522264076
【氏名又は名称】株式会社メタシステム研究所
(71)【出願人】
【識別番号】518128218
【氏名又は名称】オーシャンソリューションテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 生太
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】小田 謙太郎
(72)【発明者】
【氏名】水上 陽介
【テーマコード(参考)】
2F034
【Fターム(参考)】
2F034AA04
2F034AB01
2F034AC03
(57)【要約】
【課題】水深の異なる層間で潮流が近似している領域を容易に見い出すことができる技術を提供する。
【解決手段】第1層潮流データ取得部110aは、第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、第1層における面内分布を表す第1層潮流データ210を取得する。第2層潮流データ取得部110bは、第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、第2層における面内分布を表す第2層潮流データ220を取得する。層間潮流差算出部110fは、第1層潮流データ210と第2層潮流データ220とを用いて、第1層ベクトル量と第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の面内分布を表す層間潮流差データ290を算出する。表示制御部110gは、層間潮流差データ290が表す差分ベクトル量の面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させる層間潮流差表示制御を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データを取得する第1層潮流データ取得部と、
前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データを取得する第2層潮流データ取得部と、
前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出する層間潮流差算出部と、
前記層間潮流差データが表す前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させる層間潮流差表示制御を行う表示制御部と、
を備える、海況情報提供装置。
【請求項2】
前記第2層よりも海底に近い深層における潮流の方向及び速度を表す深層ベクトル量の、前記深層における面内分布を表す深層潮流データを取得する深層潮流データ取得部、
をさらに備え、
前記表示制御部が、前記深層潮流データが表す前記深層ベクトル量の前記面内分布を可視化した深層潮流分布図を、海底の起伏を表現した前記地図に重ねて表示させる深層潮流表示制御をさらに行う、
請求項1に記載の海況情報提供装置。
【請求項3】
前記第1層潮流データ取得部によって取得される前記第1層潮流データには、将来の予測値としての前記第1層ベクトル量の前記面内分布が含まれ、
前記第2層潮流データ取得部によって取得される前記第2層潮流データには、将来の予測値としての前記第2層ベクトル量の前記面内分布が含まれ、
前記海況情報提供装置が、
前記表示制御部によって表示される前記地図上の海洋における局所領域の指定をユーザから受け付ける局所領域指定受け付け部、
をさらに備え、
前記局所領域指定受け付け部で前記局所領域の指定が受け付けられた場合に、
(i)前記層間潮流差算出部が、前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記局所領域についての将来のn(但し、n≧は2以上の自然数とする。)単位期間分の前記層間潮流差データを算出し、
(ii)前記表示制御部が、前記局所領域についての将来のn単位期間分の前記層間潮流差データを用いて、前記局所領域についての前記層間潮流差分布図が前記局所領域の前記地図に重ねられた局所潮流差画像を前記単位期間別に作成し、作成した将来のn単位期間分の前記局所潮流差画像を表示させる局所潮流差画像表示制御を行う、
請求項1に記載の海況情報提供装置。
【請求項4】
少なくとも前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記局所領域における将来のn単位期間の漁獲量を前記単位期間ごとに予測する漁獲量予測部、
をさらに備え、
前記表示制御部が、前記局所潮流差画像表示制御において、前記漁獲量予測部の予測結果を前記局所潮流差画像と一緒に前記単位期間別に、将来のn単位期間分、表示させる、
請求項3に記載の海況情報提供装置。
【請求項5】
海水温度の前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す海水温度データであって、将来の予測値としての前記海水温度の前記面内分布を含む前記海水温度データを取得する海水温度データ取得部、
をさらに備え、
前記表示制御部が、前記局所潮流差画像表示制御において、将来のn単位期間分の、前記局所領域における前記海水温度の前記面内分布を表す局所海水温度分布画像を前記単位期間別に作成し、作成した前記局所海水温度分布画像を前記局所潮流差画像と一緒に前記単位期間別に、将来のn単位期間分、表示させる、
請求項3に記載の海況情報提供装置。
【請求項6】
前記表示制御部が、前記局所潮流差画像表示制御において、将来のn単位期間分の、前記局所領域における前記第1層ベクトル量の前記面内分布を表す局所潮流分布画像を前記単位期間別に作成し、作成した前記局所潮流分布画像を前記局所潮流差画像と一緒に前記単位期間別に、将来のn単位期間分、表示させる、
請求項3に記載の海況情報提供装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の海況情報提供装置と、
前記海況情報提供装置の前記第1層潮流データ取得部に前記第1層潮流データを提供するとともに、前記海況情報提供装置の前記第2層潮流データ取得部に前記第2層潮流データを提供するデータ提供装置と、
を備える、海況情報提供システム。
【請求項8】
コンピュータを、
海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データを取得する第1層潮流データ取得部、
前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データを取得する第2層潮流データ取得部、
前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出する層間潮流差算出部、
前記層間潮流差データが表す前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させる層間潮流差表示制御を行う表示制御部、
として機能させる、海況情報提供プログラム。
【請求項9】
(A)海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データであって、将来の予測値としての前記第1層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第1層潮流データを、船舶の出港の前に、コンピュータの記憶装置に格納しておくステップと、
(B)前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データであって、将来の予測値としての前記第2層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第2層潮流データを、前記船舶の出港の前に、前記記憶装置に格納しておくステップと、
(C)出港後の前記船舶において、前記コンピュータが、前記記憶装置に格納されている前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出し、算出した前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させるステップと、
(D)前記コンピュータが、前記ステップ(C)で表示させた前記地図上における局所領域の指定を船員から受け付けるステップと、
(E)前記コンピュータが、前記ステップ(D)で指定を受け付けた前記局所領域における将来のn(但し、n≧は2以上の自然数とする。)単位期間分の前記層間潮流差データを、前記記憶装置に格納されている前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて算出し、算出した将来のn単位期間分の前記層間潮流差データを用いて、前記局所領域についての前記層間潮流差分布図が前記局所領域の前記地図に重ねられた局所潮流差画像を前記単位期間別に作成し、作成した将来のn単位期間分の前記局所潮流差画像を表示させるステップと、
を含む、海況情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海況情報提供装置、海況情報提供システム、海況情報提供プログラム、及び海況情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
漁獲を行う際に、海中における水深の異なる複数の層の潮流を確認したい場合がある。なお、本明細書において“層”とは、海洋における、厚さを有する水平な層状の仮想領域を指すものとする。
【0003】
例えば、巻き網漁は、網を敷こうとする場所において、水深の異なる層間での潮流の方向及び速度に大きな変化がないことを確認した上で行われる。これは、層間で潮流の方向又は速度が大きく異なっている場合があり、そのような場合には、海中で網を適切に敷くことが難しいためである。
【0004】
特許文献1に開示されているように、海中における複数の層の潮流を計測する手段としては、船舶に搭載される潮流計測装置が知られている。この潮流計測装置は、船舶の真下の、複数の層の潮流の方向及び速度を計測し、計測された潮流の方向及び速度を層別にグラフで表示する機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る潮流計測装置では、船舶の真下における局所的な潮流しか調べることができない。従って、漁場の候補とした場所へ実際に船舶で出向き、その場所において層間で潮流が近似しているか否かを確認する必要がある。このため、層間で潮流が近似している漁場の探索に時間がかかる場合がある。
【0007】
本発明の目的は、水深の異なる層間で潮流が近似している領域を容易に見い出すことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る海況情報提供装置は、
海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データを取得する第1層潮流データ取得部と、
前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データを取得する第2層潮流データ取得部と、
前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出する層間潮流差算出部と、
前記層間潮流差データが表す前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させる層間潮流差表示制御を行う表示制御部と、
を備える。
【0009】
前記第2層よりも海底に近い深層における潮流の方向及び速度を表す深層ベクトル量の、前記深層における面内分布を表す深層潮流データを取得する深層潮流データ取得部、
をさらに備え、
前記表示制御部が、前記深層潮流データが表す前記深層ベクトル量の前記面内分布を可視化した深層潮流分布図を、海底の起伏を表現した前記地図に重ねて表示させる深層潮流表示制御をさらに行ってもよい。
【0010】
前記第1層潮流データ取得部によって取得される前記第1層潮流データには、将来の予測値としての前記第1層ベクトル量の前記面内分布が含まれ、
前記第2層潮流データ取得部によって取得される前記第2層潮流データには、将来の予測値としての前記第2層ベクトル量の前記面内分布が含まれ、
前記海況情報提供装置が、
前記表示制御部によって表示される前記地図上の海洋における局所領域の指定をユーザから受け付ける局所領域指定受け付け部、
をさらに備え、
前記局所領域指定受け付け部で前記局所領域の指定が受け付けられた場合に、
(i)前記層間潮流差算出部が、前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記局所領域についての将来のn(但し、n≧は2以上の自然数とする。)単位期間分の前記層間潮流差データを算出し、
(ii)前記表示制御部が、前記局所領域についての将来のn単位期間分の前記層間潮流差データを用いて、前記局所領域についての前記層間潮流差分布図が前記局所領域の前記地図に重ねられた局所潮流差画像を前記単位期間別に作成し、作成した将来のn単位期間分の前記局所潮流差画像を表示させる局所潮流差画像表示制御を行ってもよい。
【0011】
少なくとも前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記局所領域における将来のn単位期間の漁獲量を前記単位期間ごとに予測する漁獲量予測部、
をさらに備え、
前記表示制御部が、前記局所潮流差画像表示制御において、前記漁獲量予測部の予測結果を前記局所潮流差画像と一緒に前記単位期間別に、将来のn単位期間分、表示させてもよい。
【0012】
海水温度の前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す海水温度データであって、将来の予測値としての前記海水温度の前記面内分布を含む前記海水温度データを取得する海水温度データ取得部、
をさらに備え、
前記表示制御部が、前記局所潮流差画像表示制御において、将来のn単位期間分の、前記局所領域における前記海水温度の前記面内分布を表す局所海水温度分布画像を前記単位期間別に作成し、作成した前記局所海水温度分布画像を前記局所潮流差画像と一緒に前記単位期間別に、将来のn単位期間分、表示させてもよい。
【0013】
前記表示制御部が、前記局所潮流差画像表示制御において、将来のn単位期間分の、前記局所領域における前記第1層ベクトル量の前記面内分布を表す局所潮流分布画像を前記単位期間別に作成し、作成した前記局所潮流分布画像を前記局所潮流差画像と一緒に前記単位期間別に、将来のn単位期間分、表示させてもよい。
【0014】
本発明に係る海況情報提供システムは、
上述した本発明に係る海況情報提供装置と、
前記海況情報提供装置の前記第1層潮流データ取得部に前記第1層潮流データを提供するとともに、前記海況情報提供装置の前記第2層潮流データ取得部に前記第2層潮流データを提供するデータ提供装置と、
を備える。
【0015】
本発明に係る海況情報提供プログラムは、
コンピュータを、
海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データを取得する第1層潮流データ取得部、
前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データを取得する第2層潮流データ取得部、
前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出する層間潮流差算出部、
前記層間潮流差データが表す前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させる層間潮流差表示制御を行う表示制御部、
として機能させる。
【0016】
本発明に係る海況情報提供方法は、
(A)海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データであって、将来の予測値としての前記第1層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第1層潮流データを、船舶の出港の前に、コンピュータの記憶装置に格納しておくステップと、
(B)前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データであって、将来の予測値としての前記第2層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第2層潮流データを、前記船舶の出港の前に、前記記憶装置に格納しておくステップと、
(C)出港後の前記船舶において、前記コンピュータが、前記記憶装置に格納されている前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出し、算出した前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させるステップと、
(D)前記コンピュータが、前記ステップ(C)で表示させた前記地図上における局所領域の指定を船員から受け付けるステップと、
(E)前記コンピュータが、前記ステップ(D)で指定を受け付けた前記局所領域における将来のn(但し、n≧は2以上の自然数とする。)単位期間分の前記層間潮流差データを、前記記憶装置に格納されている前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて算出し、算出した将来のn単位期間分の前記層間潮流差データを用いて、前記局所領域についての前記層間潮流差分布図が前記局所領域の前記地図に重ねられた局所潮流差画像を前記単位期間別に作成し、作成した将来のn単位期間分の前記局所潮流差画像を表示させるステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、差分ベクトル量の面内分布を可視化した層間潮流差分布図が地図に重ねられて表示される。このため、第1層と第2層との層間で潮流が近似している領域を容易に見い出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る海況情報提供システムの構成を示す概念図。
【
図2】第1実施形態に係る海況情報提供装置の構成を示す概念図。
【
図3】第1実施形態に係る海況情報提供装置の機能を示す概念図。
【
図4】第1実施形態に係る層間潮流差表示制御によって表示装置に表示される画面を例示する概念図。
【
図5】第1実施形態に係る局所潮流差画像表示制御によって表示装置に表示される画面を例示する概念図。
【
図6】第1実施形態に係る海況情報提供装置の利用方法を示すフローチャート。
【
図7】第2実施形態に係る海況情報提供装置の機能の一部を示す概念図。
【
図8】第2実施形態に係る深層潮流表示制御によって表示装置に表示される画面を例示する概念図。
【
図9】第3実施形態に係る海況情報提供装置の機能の一部を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、実施形態に係る海況情報提供システムについて説明する。図中、同一又は対応する部分に同一の符号を付している。
【0020】
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態に係る海況情報提供システム500は、海況に関するデータである海況データ200を配信するデータ配信サーバ400と、通信回線NEを通じてデータ配信サーバ400に接続されたデータ提供装置300と、船舶FSに設置される海況情報提供装置100とを備える。
【0021】
データ提供装置300は、データ配信サーバ400から海況データ200を取得し、取得した海況データ200を海況情報提供装置100に与える。海況情報提供装置100は、データ提供装置300から与えられた海況データ200を用い、船舶FSの航行中、ユーザである船員FPに対して、海況に関する情報(以下、海況情報と記す。)を提供する。
【0022】
なお、船舶FSの出港の後は、船内の海況情報提供装置100と、船外のデータ提供装置300との間で通信を確立することが難しい場合がある。そこで、データ提供装置300は、船舶FSの出港の前に、予測値を含む最新の海況データ200を海況情報提供装置100に与える。このため、海況情報提供装置100は、船舶FSの航行中、データ提供装置300との通信が断たれたオフラインの状態で、海況情報の提供が可能である。
【0023】
本実施形態では、船舶FSが巻き網漁を行う漁船である場合について、例示的に述べる。海況情報提供装置100によって船員FPに提供される海況情報は、漁場の見当をつけるために用いられる。以下、海況情報提供装置100の構成を具体的に説明する。
【0024】
図2に示すように、海況情報提供装置100は、既述のデータ提供装置300から海況データ200を受信するためのハードウエアである通信装置120と、受信した海況データ200を格納するための記憶装置150とを備える。
図2には、既に記憶装置150に海況データ200が格納されている状態を示す。
【0025】
海況データ200には、第1層潮流データ210、第2層潮流データ220、海水温度データ230、及び月齢データ240が含まれる。
【0026】
第1層潮流データ210は、海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、第1層における面内分布を表す。第1層潮流データ210には、船舶FSの出港の際の第1層ベクトル量の面内分布のみならず、将来の予測値、即ち出港後における予測値としての第1層ベクトル量の面内分布も含まれる。
【0027】
第2層潮流データ220は、第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、第2層における面内分布を表す。第2層潮流データ220には、船舶FSの出港の際の第2層ベクトル量の面内分布のみならず、将来の予測値、即ち出港後における予測値としての第2層ベクトル量の面内分布も含まれる。
【0028】
なお、本明細書において“第1層”及び“第2層”とは、それぞれ海洋における、厚さを有する水平な層状の仮想領域を指す。本実施形態では、第1層の厚さ方向の中心部の水深は、1m以上5m以下である。第2層の厚さ方向の中心部の水深は、20m以上40m以下である。
【0029】
海水温度データ230は、海水温度の第1層及び第2層に平行な面内分布を表す。海水温度データ230には、出港の際の海水温度の面内分布のみならず、将来の予測値、即ち出港後における予測値としての海水温度の面内分布も含まれる。本実施形態では、海水温度データ230は、第1層における海水温度の面内分布を表す。また、月齢データ240は、出港の際及び将来の月齢を表す。
【0030】
また、記憶装置150には、地図を表す地図データ151、漁獲量を推定するための学習済モデル152、及び海況情報を提供する処理の手順を規定した海況情報提供プログラム153が予め記憶されている。
【0031】
また、海況情報提供装置100は、潮流の状況や海水温度の面内分布等が地図に重ねられて表示される表示装置130と、表示装置130に表示される地図上において漁場の候補とする領域を指定するといった、各種の入力操作を船員FPが行うための入力装置140とを備える。表示装置130及び入力装置140は、グラフィカルユーザインタフェースを構成している。
【0032】
また、海況情報提供装置100は、海況情報提供プログラム153を実行するプロセッサ110を備える。以下、プロセッサ110が海況情報提供プログラム153を実行することにより実現される機能について説明する。
【0033】
図3に示すように、海況情報提供装置100は、記憶装置150から第1層潮流データ210を取得する第1層潮流データ取得部110a、記憶装置150から第2層潮流データ220を取得する第2層潮流データ取得部110b、記憶装置150から海水温度データ230を取得する海水温度データ取得部110c、記憶装置150から月齢データ240を取得する月齢データ取得部110d、及び記憶装置150から地図データ151を取得する地図データ取得部110eを有する。
【0034】
また、海況情報提供装置100は、第1層潮流データ210と第2層潮流データ220とを用いて、層間潮流差データ290を算出する層間潮流差算出部110fを有する。層間潮流差算出部110fは、第1層潮流データ210が表す第1層ベクトル量と、同じ時刻の第2層潮流データ220が表す第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量を算出する。その差分ベクトル量の、第1層及び第2層に平行な面内分布を表すデータが層間潮流差データ290である。
【0035】
また、海況情報提供装置100は、層間潮流差算出部110fによって算出された層間潮流差データ290を可視化して表示装置130に表示させる表示制御部110gを有する。具体的には、表示制御部110gは、層間潮流差データ290が表す差分ベクトル量の面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図データ151が表す地図に重ねて表示させる層間潮流差表示制御を行う。
【0036】
図4に、層間潮流差表示制御によって表示装置130に表示される画面を例示する。層間潮流差分布図は、海洋の、格子状に画定される各座標における差分ベクトル量を、線分で表現した画像である。線分の方向は、第1層ベクトル量と第2層ベクトル量との差の方向を表す。線分の長さは、差分ベクトル量の大きさを表す。
【0037】
層間潮流差データ290は、上記各座標に対して差分ベクトル量を対応付けたデータ構造を有する。このため、層間潮流差データ290が表す座標を、地図データ151が表す座標と対応させることにより、層間潮流差分布図を、地図データ151が表す地図に重ねて表示することが可能である。なお、各座標における差分ベクトル量を初期値とし、その初期値の時間変化の模様をシミュレーションで示してもよい。
【0038】
図4に例示する画面(以下、大域的層間潮流差分布表示画面と記す。)では、船舶FSが出港から帰港までの間に移動しうる大域的な領域における、差分ベクトル量の面内分布が視認可能に表現されている。このため、船員FPは、海洋において、差分ベクトル量が相対的に小さい領域を容易に見い出すことができる。
【0039】
既述のとおり、巻き網漁の漁場としては、差分ベクトル量が相対的に小さい領域が好ましい。つまり、
図4に例示する大域的層間潮流差分布表示画面によれば、漁場の候補とする領域(以下、局所領域と記す。)に実際に船舶FSで出向くことなく、漁場の候補とする局所領域の見当を容易につけることができる。
【0040】
図3に戻り、説明を続ける。海況情報提供装置100は、上述のようにして見当がつけられた局所領域の指定を船員FPから受け付ける局所領域指定受け付け部110hも有する。具体的には、局所領域指定受け付け部110hは、表示制御部110gによって上記大域的層間潮流差分布表示画面に表示される地図上の海洋における所望の局所領域の指定を船員FPから受け付ける。
【0041】
つまり、船員FPは、
図4に示す地図に表されている海洋において、漁場の候補とする局所領域を、
図2に示す入力装置140を用いて指定する。局所領域指定受け付け部110hは、その指定を受け付ける。
【0042】
また、海況情報提供装置100は、漁獲量を予測する漁獲量予測部110iも有する。漁獲量予測部110iは、局所領域指定受け付け部110hで局所領域の指定が受け付けられた場合に、その局所領域の漁獲量を予測する。
【0043】
具体的には、漁獲量予測部110iは、第1層潮流データ210、第2層潮流データ220、及び海水温度データ230を用いて、局所領域の指定がなされた当日の局所領域についての漁獲量と、その当日を基準とした将来のn(但し、n≧は2以上の自然数とする。)単位期間の局所領域における漁獲量と、を単位期間ごとに予測する。
【0044】
ここで“単位期間”とは、予め定められた、単位となる期間を意味する。本実施形態では、単位期間は1日とする。また、nは5とする。つまり、漁獲量予測部110iは、当日及び将来の5日分の局所領域における漁獲量を日別に予測する。
【0045】
漁獲量予測部110iは、
図2に示す学習済モデル152を用いて、漁獲量の予測を行う。即ち、
図2に示す学習済モデル152は、局所領域を特定する地理データ、第1層潮流データ210、第2層潮流データ220、及び海水温度データ230を用いて、漁獲量を推定するための機械学習を行ったものである。
【0046】
漁獲量予測部110iは、局所領域指定受け付け部110hで局所領域の指定が受け付けられた場合に、その局所領域を特定する地理データと、第1層潮流データ210、第2層潮流データ220、及び海水温度データ230とを学習済モデル152に入力する。学習済モデル152は、入力された地理データが表す局所領域の日ごとの漁獲量の予測結果を、当日分及び将来の5日分、出力する。
【0047】
また、局所領域指定受け付け部110hで局所領域の指定が受け付けられた場合、既述の層間潮流差算出部110fは、第1層潮流データ210と第2層潮流データ220とを用いて、局所領域の指定がなされた当日の、局所領域についての層間潮流差データ290と、その当日を基準とした将来の5日分の局所領域についての層間潮流差データ290とを、日ごとに算出する。
【0048】
そして、表示制御部110gは、層間潮流差算出部110fによって算出された、局所領域についての当日及び将来の5日の層間潮流差データ290を可視化して表示装置130に表示させる局所潮流差画像表示制御を行う。
【0049】
図5に、局所潮流差画像表示制御によって表示装置130に表示される画面を例示する。表示装置130の画面には、指定された局所領域の地
図660が表示される。
【0050】
また、表示装置130の画面には、本日及び将来の5日分の局所潮流差画像610が、日別に表示される。局所潮流差画像610は、局所領域についての上記層間潮流差分布図を、局所領域の地図に重ねた画像である。なお、ここで「本日」とは、
図4に示した大域的層間潮流差分布表示画面において局所領域の指定がなされた当日を意味する。
【0051】
このように、表示制御部110gは、局所潮流差画像表示制御において、層間潮流差算出部110fによって算出された、局所領域についての本日及び将来の5日分の層間潮流差データ290を用いて、局所潮流差画像610を日別に作成し、作成した本日及び将来の5日分の局所潮流差画像610を表示させる。
【0052】
また、表示装置130の画面には、本日及び将来の5日分の局所潮流分布画像620も、日別に表示される。局所潮流分布画像620は、局所領域における第1層ベクトル量の面内分布を表す画像である。
【0053】
このように、表示制御部110gは、局所潮流差画像表示制御において、第1層潮流データ210を用いて、局所潮流分布画像620を日別に作成し、作成した本日及び将来の5日分の局所潮流分布画像620を、局所潮流差画像610と一緒に、日別に表示させる。
【0054】
また、表示装置130の画面には、本日及び将来の5日分の局所海水温度分布画像630も、日別に表示される。局所海水温度分布画像630は、局所領域における海水温度の面内分布を表す画像である。
【0055】
このように、表示制御部110gは、局所潮流差画像表示制御において、海水温度データ230を用いて、局所海水温度分布画像630を日別に作成し、作成した本日及び将来の5日分の局所海水温度分布画像630を、局所潮流差画像610及び局所潮流分布画像620と一緒に、日別に表示させる。
【0056】
また、表示装置130の画面には、本日及び将来の5日分の漁獲高指標画像640も、日別に表示される。漁獲高指標画像640は、漁獲量予測部110iによって予測された漁獲量をアイコンの数で表した画像である。アイコンの数が多いほど、予測される漁獲量が多いことを意味する。
【0057】
このように、表示制御部110gは、局所潮流差画像表示制御において、漁獲量予測部110iの予測結果を用いて、漁獲高指標画像640を日別に作成し、作成した本日及び将来の5日分の漁獲高指標画像640を、局所潮流差画像610、局所潮流分布画像620、及び局所海水温度分布画像630と一緒に、日別に表示させる。
【0058】
また、表示装置130の画面には、本日及び将来の5日分の月齢表示画像650も、日別に表示される。月齢表示画像650は、月齢を可視化した画像である。
【0059】
このように、表示制御部110gは、局所潮流差画像表示制御において、月齢データ240を用いて、月齢表示画像650を日別に作成し、作成した本日及び将来の5日分の月齢表示画像650を、局所潮流差画像610、局所潮流分布画像620、局所海水温度分布画像630、及び漁獲高指標画像640と一緒に、日別に表示させる。
【0060】
以上のように、表示制御部110gは、局所潮流差画像表示制御において、局所潮流差画像610、局所潮流分布画像620、局所海水温度分布画像630、漁獲高指標画像640、及び月齢表示画像650を、一覧表600の形態で表示させる。
【0061】
図3に戻り、説明を続ける。以上説明したように、表示制御部110gは、層間潮流差表示制御及び局所潮流差画像表示制御を行う。以下では、層間潮流差表示制御によって、
図4に示す大域的層間潮流差分布表示画面が表示装置130に表示されるモードを、大域表示モードという。また、局所潮流差画像表示制御によって、
図5に示す一覧表600が表示装置130に表示されるモードを、一覧表表示モードという。
【0062】
海況情報提供装置100は、大域表示モードと一覧表表示モードとの切り換えの指示を受け付ける表示モード切り換え部110jを有する。船員FPは、入力装置140を用いて、大域表示モードと一覧表表示モードとの切り換えを指示することができる。
【0063】
以下、
図6を参照し、本実施形態に係る海況情報提供装置100の利用方法について説明する。
【0064】
図6に示すように、船舶FSの出港前に、データ提供装置300が、海況情報提供装置100の記憶装置150に、海況に関する物理量の将来の予測値を含む海況データ200を格納しておく(ステップS1)。なお、このステップS1は、本開示に係るステップ(A)及び(B)の一例である。
【0065】
船舶FSの出港後、船員FSは、漁場の見当をつけるために、入力装置140を用いて大域表示モードを選択する(ステップS2)。すると、表示モード切り換え部110jによって大域表示モードの選択が受け付けられる。
【0066】
これを契機として、層間潮流差算出部110fが、船舶FSが出港から帰港までの間に移動しうる大域的な領域についての層間潮流差データ290を算出する。そして、その層間潮流差データ290を用いて、表示制御部110gが、
図4に示した大域的層間潮流差分布表示画面を表示装置130に表示させる。なお、このステップS2は、本開示に係るステップ(C)の一例である。
【0067】
船員FSは、表示装置130に表示された大域的層間潮流差分布表示画面を見て、差分ベクトル量が相対的に小さい領域を、漁場の候補である局所領域として、入力装置140を用いて指定する(ステップS3)。また、船員FSは、入力装置140を用いて一覧表表示モードを選択する。
【0068】
すると、局所領域指定受け付け部110hによって局所領域の指定が受け付けられ、表示モード切り換え部110jによって一覧表表示モードの選択が受け付けられる。なお、この局所領域の指定の受け付けは、本開示に係るステップ(D)の一例である。
【0069】
次に、表示制御部110gが、局所領域の指定及び一覧表表示モードの選択の受け付けを契機として、
図5に示した一覧表600を表示装置130に表示させる。なお、この一覧表600の表示は、本開示に係るステップ(E)の一例である。
【0070】
船員FSは、表示装置130に表示された一覧表600によって、ステップS3で指定した局所領域の、当日及び将来の5日分の海況を確認する(ステップS4)。船員FSは、ステップS4での確認の結果、ステップS3で指定した局所領域を漁場として採用しない場合は(ステップS5;NO)、漁場の別の候補を探すべく、入力装置140を用いて表示モードを一覧表表示モードから大域表示モードに切り換え、ステップS2に戻る。
【0071】
一方、船員FSは、ステップS4での確認の結果、ステップS3で指定した局所領域を漁場として採用する場合は(ステップS5;YES)、本フローを終了する。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、層間潮流差表示制御によって実現される大域表示モードにおいて、
図4に示したように、差分ベクトル量の面内分布を可視化した大域的層間潮流差分布表示画面が表示される。このため、船員FSは、大域的層間潮流差分布表示画面をみて、第1層と第2層との層間で潮流が近似している領域を容易に見い出すことができる。つまり、漁場の候補とする領域に船舶FSで実際に出向くことなく、漁場の候補とする局所領域の見当をつけることができる。
【0073】
また、局所潮流差画像表示制御によって実現される一覧表表示モードにおいては、
図5に示したように、漁場の候補として指定した局所領域の当日及び将来の5日分の海況を表す一覧表600が表示される。このため、船員FSは、指定した局所領域を漁場として採用してよいか否かを、一覧表600をみることで容易に判断できる。
【0074】
また、船舶FSの出港前に、将来の予測値としての第1層ベクトル量の面内分布を含む第1層潮流データ210、将来の予測値としての第2層ベクトル量の面内分布を含む第2層潮流データ220、及び将来の予測値としての海水温度の面内分布を含む海水温度データ230等が海況情報提供装置100の記憶装置150に格納される。このため、海況情報提供装置100は、船舶FSの航行中、データ提供装置300との通信が断たれたオフラインの状態で、海況情報の提供が可能である。
【0075】
[第2実施形態]
海況情報提供装置100は、海底に近い深層の潮流の状況を表示する機能をさらに備えてもよい。以下、その具体例を述べる。
【0076】
図7に示すように、本実施形態に係る海況情報提供装置100は、深層潮流データ250を取得する深層潮流データ取得部110kをさらに備える。深層潮流データ取得部110kは、記憶装置150から深層潮流データ250を取得する。つまり、本実施形態では、出港前に海況情報提供装置100の記憶装置150に格納される既述の海況データ200に、深層潮流データ250が含まれる。
【0077】
深層潮流データ250は、第2層よりも海底に近い深層における潮流の方向及び速度を表す深層ベクトル量の、深層における面内分布を表す。深層潮流データ250には、出港の際の深層ベクトル量の面内分布のみならず、将来の予測値、即ち出港後における予測値としての深層ベクトル量の面内分布も含まれる。
【0078】
本実施形態では、表示制御部110gは、深層潮流データ250を可視化して表示させる深層潮流表示制御をさらに行う。具体的には、表示制御部110gは、深層潮流表示制御において、深層潮流データ250が表す深層ベクトル量の面内分布を可視化した深層潮流分布図を、海底の起伏を表現した地図に重ねて表示させる。
【0079】
図8に、深層潮流表示制御によって表示装置130に表示される画面を模式的に示す。深層潮流分布図は、海洋の各座標における深層ベクトル量を矢印又は線分で表現した画像である。矢印又は線分の方向は、潮流の方向を表す。矢印又は線分の長さは、潮流の速度を表す。
図8に示すように、深層ベクトル量の面内分布は、海底の起伏を表現した地図に重ねられて表示される。
【0080】
深層潮流データ250は、上記各座標に対して深層ベクトル量を対応付けたデータ構造を有する。このため、深層潮流データ250が表す座標を、地図データ151が表す座標と対応させることにより、深層潮流分布図を、地図データ151が表す地図に重ねて表示することが可能である。なお、各座標における深層ベクトル量を初期値とし、その初期値の時間変化の模様をシミュレーションで示してもよい。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、船員FPは、深層における潮流の分布を確認することができる。深層における潮流の状況も、
図4に示した大域的層間潮流差分布表示画面と同様、漁場の選定の判断要素となりうる。本実施形態によれば、船員FPは、
図4に示した大域的層間潮流差分布表示画面のみならず、深層における大域的な潮流の分布も考慮することで、より適切に漁場の見当をつけることができる。
【0082】
なお、船員FPは、漁場の候補として指定した局所領域についての深層における潮流の状況を確認することもできる。局所領域についての深層における潮流の状況を表す画像を、
図5に示した一覧表600に含めて提示してもよい。
【0083】
また、既述のとおり、深層潮流分布図が重ねて表示されている地図においては、海底の起伏が表現されている。このため、船員FPは、
図8に例示する画像によって、海底からの隆起部分に潮流が当たる箇所を容易に見い出すことができる。
【0084】
例えば、
図8に例示する画像によれば、領域FRにおいて、深層の潮流が海底からの隆起部分に当たっていることが一目瞭然である。このような領域FRには、上昇流が形成されるので、恰好の漁場となることが多い。このようにして、漁場の候補となる領域FRを容易に見い出すことができる。
【0085】
[第3実施形態]
第1実施形態では、
図4に例示したように、大域表示モードにおいて、第1層と第2層との層間での差分ベクトル量を可視化して表示した。さらに、第3層における潮流も考慮に入れてもよい。以下、その具体例を述べる。
【0086】
図9に示すように、本実施形態に係る海況情報提供装置100は、第3層潮流データ260を取得する第3層潮流データ取得部110lをさらに備える。第3層潮流データ取得部110lは、記憶装置150から第3層潮流データ260を取得する。つまり、本実施形態では、出港前に海況情報提供装置100の記憶装置150に格納される既述の海況データ200に、第3層潮流データ260が含まれる。
【0087】
第3層潮流データ260は、第2層よりも水深の深い第3層における潮流の方向及び速度を表す第3層ベクトル量の、第3層における面内分布を表す。第3層潮流データ260には、出港の際の第3層ベクトル量の面内分布のみならず、将来の予測値としての第3層ベクトル量の面内分布も含まれる。
【0088】
また、本実施形態に係る海況情報提供装置100は、第2層潮流データ220と第3層潮流データ260とを用いて、第2層間潮流差データ280を算出する第2層間潮流差算出部110mを有する。第2層間潮流差算出部110mは、第2層潮流データ220が表す第2層ベクトル量と、同じ時刻の第3層潮流データ260が表す第3層ベクトル量との差である差分ベクトル量を算出する。その差分ベクトル量の、第2層及び第3層に平行な面内分布を表すデータが第2層間潮流差データ280である。
【0089】
本実施形態に係る表示制御部110gは、
図4に例示したように層間潮流差データ290を可視化して表示装置130に表示させる機能のみならず、第2層間潮流差算出部110mによって算出された第2層間潮流差データ280を可視化して表示装置130に表示させる機能も有する。
【0090】
層間潮流差データ290を可視化して表示装置130に表示させる状態と、第2層間潮流差データ280を可視化して表示装置130に表示させる状態とが、船員FPの操作によって切り換えられてもよいし、層間潮流差データ290及び第2層間潮流差データ280を可視化して一緒に表示させてもよい。
【0091】
以上、第1-第3実施形態について説明した。以下に述べる変形も可能である。
【0092】
図6には、船舶FSの出港前に、すべての海況データ200を海況情報提供装置100の記憶装置150に予め格納しておく手法を例示した。即ち、第1実施形態では、第1層潮流データ取得部110a、第2層潮流データ取得部110b、海水温度データ取得部110c、及び月齢データ取得部110dの各々が、記憶装置150から海況データ200を取得することとした。この手法によれば、船舶FSの出港後、海況情報提供装置100を、データ提供装置300との通信が断たれたオフラインの状態で利用できる。
【0093】
但し、海況データ200の一部又は全部を、船舶FSの出港後、データ提供装置300と海況情報提供装置100との通信が確立された時点で、データ提供装置300から海況情報提供装置100に送信するようにしてもよい。即ち、第1層潮流データ取得部110a、第2層潮流データ取得部110b、海水温度データ取得部110c、及び月齢データ取得部110dの少なくともいずれかは、データ提供装置300から海況データ200を取得してもよい。
【0094】
図5には、“単位期間”が1日である場合を例示したが、“単位期間”は1日未満の数時間、例えば6時間であってもよいし、2日以上の期間であってもよい。また、
図5には、将来の5単位期間分の海況の予測状況を提示する構成を例示したが、5単位期間未満、例えば3単位期間分の海況の予測状況を提示してもよいし、5単位期間以上、例えば、7単位期間分の海況の予測状況を提示してもよい。
【0095】
図2に示した海況情報提供プログラム153を、既存のスマートフォン、タブレット、その他のコンピュータにインストールすることで、そのコンピュータに海況情報提供装置100の機能を実現させることもできる。海況情報提供プログラム153は、通信ネットワークを介して配布してもよいし、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納して配布してもよい。
【符号の説明】
【0096】
100…海況情報提供装置、
110…プロセッサ、
110a…第1層潮流データ取得部、
110b…第2層潮流データ取得部、
110c…海水温度データ取得部、
110d…月齢データ取得部、
110e…地図データ取得部、
110f…層間潮流差算出部、
110g…表示制御部、
110h…局所領域指定受け付け部、
110i…漁獲量予測部、
110j…表示モード切り換え部、
110k…深層潮流データ取得部、
110l…第3層潮流データ取得部、
110m…第2層間潮流差算出部、
120…通信装置、
130…表示装置、
140…入力装置、
150…記憶装置、
151…地図データ、
152…学習済モデル、
153…海況情報提供プログラム、
200…海況データ、
210…第1層潮流データ、
220…第2層潮流データ、
230…海水温度データ、
240…月齢データ、
250…深層潮流データ、
260…第3層潮流データ、
280…第2層間潮流差データ、
290…層間潮流差データ、
300…データ提供装置、
400…データ配信サーバ、
500…海況情報提供システム、
600…一覧表、
610…局所潮流差画像、
620…局所潮流分布画像、
630…局所海水温度分布画像、
640…漁獲高指標画像、
650…月齢表示画像、
660…局所領域の地図、
NE…通信回線、
FP…船員(ユーザ)、
FR…領域、
FS…船舶。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明に係る海況情報提供装置は、
海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データであって、将来の予測値としての前記第1層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第1層潮流データを取得する第1層潮流データ取得部と、
前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データであって、将来の予測値としての前記第2層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第2層潮流データを取得する第2層潮流データ取得部と、
前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出する層間潮流差算出部と、
前記層間潮流差データが表す前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させる層間潮流差表示制御を行う表示制御部と、
前記表示制御部によって表示される前記地図上の海洋における局所領域の指定をユーザから受け付ける局所領域指定受け付け部と、
を備え、
前記局所領域指定受け付け部で前記局所領域の指定が受け付けられた場合に、
(i)前記層間潮流差算出部が、前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記局所領域についての将来のn(但し、nは2以上の自然数とする。)単位期間分の前記層間潮流差データを算出し、
(ii)前記表示制御部が、前記局所領域についての将来のn単位期間分の前記層間潮流差データを用いて、前記局所領域についての前記層間潮流差分布図が前記局所領域の前記地図に重ねられた局所潮流差画像を前記単位期間別に作成し、作成した将来のn単位期間分の前記局所潮流差画像を表示させる局所潮流差画像表示制御を行う。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明に係る海況情報提供プログラムは、
コンピュータを、
海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データであって、将来の予測値としての前記第1層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第1層潮流データを取得する第1層潮流データ取得部、
前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データであって、将来の予測値としての前記第2層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第2層潮流データを取得する第2層潮流データ取得部、
前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出する層間潮流差算出部、
前記層間潮流差データが表す前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させる層間潮流差表示制御を行う表示制御部、
前記表示制御部によって表示される前記地図上の海洋における局所領域の指定をユーザから受け付ける局所領域指定受け付け部、
として機能させ、
前記局所領域指定受け付け部で前記局所領域の指定が受け付けられた場合に、
(i)前記層間潮流差算出部が、前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記局所領域についての将来のn(但し、nは2以上の自然数とする。)単位期間分の前記層間潮流差データを算出し、
(ii)前記表示制御部が、前記局所領域についての将来のn単位期間分の前記層間潮流差データを用いて、前記局所領域についての前記層間潮流差分布図が前記局所領域の前記地図に重ねられた局所潮流差画像を前記単位期間別に作成し、作成した将来のn単位期間分の前記局所潮流差画像を表示させる局所潮流差画像表示制御を行う。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明に係る海況情報提供方法は、
(A)海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データであって、将来の予測値としての前記第1層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第1層潮流データを、船舶の出港の前に、コンピュータの記憶装置に格納しておくステップと、
(B)前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データであって、将来の予測値としての前記第2層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第2層潮流データを、前記船舶の出港の前に、前記記憶装置に格納しておくステップと、
(C)出港後の前記船舶において、前記コンピュータが、前記記憶装置に格納されている前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出し、算出した前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させるステップと、
(D)前記コンピュータが、前記ステップ(C)で表示させた前記地図上における局所領域の指定を船員から受け付けるステップと、
(E)前記コンピュータが、前記ステップ(D)で指定を受け付けた前記局所領域における将来のn(但し、nは2以上の自然数とする。)単位期間分の前記層間潮流差データを、前記記憶装置に格納されている前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて算出し、算出した将来のn単位期間分の前記層間潮流差データを用いて、前記局所領域についての前記層間潮流差分布図が前記局所領域の前記地図に重ねられた局所潮流差画像を前記単位期間別に作成し、作成した将来のn単位期間分の前記局所潮流差画像を表示させるステップと、
を含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
具体的には、漁獲量予測部110iは、第1層潮流データ210、第2層潮流データ220、及び海水温度データ230を用いて、局所領域の指定がなされた当日の局所領域についての漁獲量と、その当日を基準とした将来のn(但し、nは2以上の自然数とする。)単位期間の局所領域における漁獲量と、を単位期間ごとに予測する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データであって、将来の予測値としての前記第1層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第1層潮流データを取得する第1層潮流データ取得部と、
前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データであって、将来の予測値としての前記第2層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第2層潮流データを取得する第2層潮流データ取得部と、
前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出する層間潮流差算出部と、
前記層間潮流差データが表す前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させる層間潮流差表示制御を行う表示制御部と、
前記表示制御部によって表示される前記地図上の海洋における局所領域の指定をユーザから受け付ける局所領域指定受け付け部と、
を備え、
前記局所領域指定受け付け部で前記局所領域の指定が受け付けられた場合に、
(i)前記層間潮流差算出部が、前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記局所領域についての将来のn(但し、nは2以上の自然数とする。)単位期間分の前記層間潮流差データを算出し、
(ii)前記表示制御部が、前記局所領域についての将来のn単位期間分の前記層間潮流差データを用いて、前記局所領域についての前記層間潮流差分布図が前記局所領域の前記地図に重ねられた局所潮流差画像を前記単位期間別に作成し、作成した将来のn単位期間分の前記局所潮流差画像を表示させる局所潮流差画像表示制御を行う、
海況情報提供装置。
【請求項2】
少なくとも前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記局所領域における将来のn単位期間の漁獲量を前記単位期間ごとに予測する漁獲量予測部、
をさらに備え、
前記表示制御部が、前記局所潮流差画像表示制御において、前記漁獲量予測部の予測結果を前記局所潮流差画像と一緒に前記単位期間別に、将来のn単位期間分、表示させる、
請求項1に記載の海況情報提供装置。
【請求項3】
海水温度の前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す海水温度データであって、将来の予測値としての前記海水温度の前記面内分布を含む前記海水温度データを取得する海水温度データ取得部、
をさらに備え、
前記表示制御部が、前記局所潮流差画像表示制御において、将来のn単位期間分の、前記局所領域における前記海水温度の前記面内分布を表す局所海水温度分布画像を前記単位期間別に作成し、作成した前記局所海水温度分布画像を前記局所潮流差画像と一緒に前記単位期間別に、将来のn単位期間分、表示させる、
請求項1に記載の海況情報提供装置。
【請求項4】
前記表示制御部が、前記局所潮流差画像表示制御において、将来のn単位期間分の、前記局所領域における前記第1層ベクトル量の前記面内分布を表す局所潮流分布画像を前記単位期間別に作成し、作成した前記局所潮流分布画像を前記局所潮流差画像と一緒に前記単位期間別に、将来のn単位期間分、表示させる、
請求項1に記載の海況情報提供装置。
【請求項5】
前記第2層よりも海底に近い深層における潮流の方向及び速度を表す深層ベクトル量の、前記深層における面内分布を表す深層潮流データを取得する深層潮流データ取得部、
をさらに備え、
前記表示制御部が、前記深層潮流データが表す前記深層ベクトル量の前記面内分布を可視化した深層潮流分布図を、海底の起伏を表現した前記地図に重ねて表示させる深層潮流表示制御をさらに行う、
請求項1に記載の海況情報提供装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の海況情報提供装置と、
前記海況情報提供装置の前記第1層潮流データ取得部に前記第1層潮流データを提供するとともに、前記海況情報提供装置の前記第2層潮流データ取得部に前記第2層潮流データを提供するデータ提供装置と、
を備える、海況情報提供システム。
【請求項7】
コンピュータを、
海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データであって、将来の予測値としての前記第1層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第1層潮流データを取得する第1層潮流データ取得部、
前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データであって、将来の予測値としての前記第2層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第2層潮流データを取得する第2層潮流データ取得部、
前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出する層間潮流差算出部、
前記層間潮流差データが表す前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させる層間潮流差表示制御を行う表示制御部、
前記表示制御部によって表示される前記地図上の海洋における局所領域の指定をユーザから受け付ける局所領域指定受け付け部、
として機能させ、
前記局所領域指定受け付け部で前記局所領域の指定が受け付けられた場合に、
(i)前記層間潮流差算出部が、前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記局所領域についての将来のn(但し、nは2以上の自然数とする。)単位期間分の前記層間潮流差データを算出し、
(ii)前記表示制御部が、前記局所領域についての将来のn単位期間分の前記層間潮流差データを用いて、前記局所領域についての前記層間潮流差分布図が前記局所領域の前記地図に重ねられた局所潮流差画像を前記単位期間別に作成し、作成した将来のn単位期間分の前記局所潮流差画像を表示させる局所潮流差画像表示制御を行う、
海況情報提供プログラム。
【請求項8】
(A)海洋の第1層における潮流の方向及び速度を表す第1層ベクトル量の、前記第1層における面内分布を表す第1層潮流データであって、将来の予測値としての前記第1層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第1層潮流データを、船舶の出港の前に、コンピュータの記憶装置に格納しておくステップと、
(B)前記第1層よりも水深の深い第2層における潮流の方向及び速度を表す第2層ベクトル量の、前記第2層における面内分布を表す第2層潮流データであって、将来の予測値としての前記第2層ベクトル量の前記面内分布を含む前記第2層潮流データを、前記船舶の出港の前に、前記記憶装置に格納しておくステップと、
(C)出港後の前記船舶において、前記コンピュータが、前記記憶装置に格納されている前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて、前記第1層ベクトル量と前記第2層ベクトル量との差である差分ベクトル量の、前記第1層及び前記第2層に平行な面内分布を表す層間潮流差データを算出し、算出した前記差分ベクトル量の前記面内分布を可視化した層間潮流差分布図を、地図に重ねて表示させるステップと、
(D)前記コンピュータが、前記ステップ(C)で表示させた前記地図上における局所領域の指定を船員から受け付けるステップと、
(E)前記コンピュータが、前記ステップ(D)で指定を受け付けた前記局所領域における将来のn(但し、nは2以上の自然数とする。)単位期間分の前記層間潮流差データを、前記記憶装置に格納されている前記第1層潮流データと前記第2層潮流データとを用いて算出し、算出した将来のn単位期間分の前記層間潮流差データを用いて、前記局所領域についての前記層間潮流差分布図が前記局所領域の前記地図に重ねられた局所潮流差画像を前記単位期間別に作成し、作成した将来のn単位期間分の前記局所潮流差画像を表示させるステップと、
を含む、海況情報提供方法。