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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059320
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20240423BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240423BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240423BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20240423BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20240423BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20240423BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240423BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H05B33/10
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/04
H05B33/12 Z
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
G09F9/00 338
G09F9/30 365
G09F9/30 309
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166932
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 有親
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107DD89
3K107EE46
3K107EE49
3K107FF15
3K107GG14
3K107GG56
3K107GG57
5C094AA02
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA07
5C094DA13
5C094FA01
5C094FA02
5C094GB10
5C094JA08
5G435AA01
5G435BB05
5G435CC09
5G435HH02
5G435KK05
5G435KK10
(57)【要約】
【課題】 表示品位を向上させることが可能な表示装置の製造方法を提供することにある。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置の製造方法は、下電極と、前記下電極を覆う有機層と、前記有機層を覆う上電極と、を含む複数の表示素子を形成し、前記複数の表示素子を個別に封止する第1封止層を形成し、前記複数の表示素子のうち、不良を有する表示素子があるか否かを検査し、前記検査することによって前記不良を有する表示素子が確認された場合、前記不良を有する表示素子を封止する前記第1封止層を貫通するリペア孔を形成する、ことを含む。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下電極と、前記下電極を覆う有機層と、前記有機層を覆う上電極と、を含む複数の表示素子を形成し、
前記複数の表示素子を個別に封止する第1封止層を形成し、
前記複数の表示素子のうち、不良を有する表示素子があるか否かを検査し、
前記検査することによって前記不良を有する表示素子が確認された場合、前記不良を有する表示素子を封止する前記第1封止層を貫通するリペア孔を形成する、
ことを含む表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記複数の表示素子を形成することは、
前記下電極を形成し、
前記下電極を覆う前記有機層を形成し、
前記有機層を覆う前記上電極を形成すること、を含む、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記下電極を形成した後に、前記下電極と重なる画素開口を有するリブを形成し、
前記リブを形成した後に、隣り合う前記画素開口の間において前記リブの上に配置される隔壁を形成する、
ことをさらに含む請求項2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記リペア孔は、前記画素開口と重なり、
前記リペア孔の面積は、前記画素開口の面積よりも小さい、
請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記リペア孔を形成した後、前記第1封止層を覆い、前記リペア孔を満たす樹脂層を形成する、
ことをさらに含む請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記リペア孔は、前記上電極をさらに貫通する、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記リペア孔は、前記有機層をさらに貫通する、
請求項6に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1封止層を形成した後、前記第1封止層を覆う樹脂層を形成する、ことをさらに含み、
前記リペア孔は、前記樹脂層および前記第1封止層を貫通する、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂層を形成した後、前記樹脂層を覆う第2封止層を形成する、ことをさらに含み、
前記リペア孔は、前記第2封止層、前記樹脂層、および前記第1封止層を貫通する、
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記リペア孔を形成した後、前記第2封止層を覆い、前記リペア孔を満たす接着層を形成する、
ことをさらに含む請求項9に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記リペア孔は、前記不良を有する表示素子に向けてレーザ光を照射することによって形成される、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極とを備えている。
【0003】
上記のような表示装置を製造するにあたり、表示装置の表示品位を向上させるために輝点状態の表示素子を非発光としたい要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、表示品位を向上させることが可能な表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置の製造方法は、下電極と、前記下電極を覆う有機層と、前記有機層を覆う上電極と、を含む複数の表示素子を形成し、前記複数の表示素子を個別に封止する第1封止層を形成し、前記複数の表示素子のうち、不良を有する表示素子があるか否かを検査し、前記検査することによって前記不良を有する表示素子が確認された場合、前記不良を有する表示素子を封止する前記第1封止層を貫通するリペア孔を形成する、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
図2図2は、副画素のレイアウトの一例を示す図である。
図3図3は、図2中のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
図4図4は、表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、表示装置の製造工程の一部を示す概略的な断面図である。
図6図6は、図5に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図7図7は、図6に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図8図8は、図7に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図9図9は、図8に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図10図10は、図9に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図11図11は、図10に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図12図12は、図11に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図13図13は、リペア孔に適用し得る構造の他の例を示す概略的な断面図である。
図14図14は、第2本実施形態に係る表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、表示装置の製造工程の一部を示す概略的な断面図である。
図16図16は、図15に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zは、第1方向Xと第2方向Yを含む平面に対して法線方向である。また、第1方向Xと第2方向Yを含む平面と平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0010】
各実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAと、を有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形、あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SP1,SP2,SP3を含んでいる。一例では、副画素SP1は青色であり、副画素SP2は緑色であり、副画素SP3は赤色である。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素を含んでもよい。
【0014】
副画素SP1,SP2,SP3は、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子DEと、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば、薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子DEに接続されている。
【0016】
表示素子DEは、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は青色の波長域の光を放つ表示素子DEを備え、副画素SP2は緑色の波長域の光を放つ表示素子DEを備え、副画素SP3は赤色の波長域の光を放つ表示素子DEを備えている。
【0017】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限られない。画素回路1は、例えば、より多くの薄膜トランジスタおよびキャパシタを備えてもよい。
【0018】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。図2に示す例においては、副画素SP1と副画素SP2とが第1方向Xに並んでいる。副画素SP1と副画素SP3も第1方向Xに並んでいる。さらに、副画素SP2と副画素SP3とが第2方向Yに並んでいる。
【0019】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2,SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは、図2に示す例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0020】
表示領域DAには、リブ5および隔壁6が配置されている。リブ5は、副画素SP1において画素開口AP1を有し、副画素SP2において画素開口AP2を有し、副画素SP3において画素開口AP3を有している。
【0021】
図2に示す例においては、画素開口AP1の面積が画素開口AP2の面積よりも大きい。画素開口AP1の面積は、画素開口AP3の面積よりも大きい。さらに、画素開口AP3の面積は、画素開口AP2の面積よりも小さい。
【0022】
隔壁6は、隣り合う副画素SP1,SP2,SP3の境界に配置されている。隔壁6は、平面視において、リブ5と重なっている。隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yと、を有している。
【0023】
複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う画素開口AP2と画素開口AP3との間、および第2方向に隣り合う2つの画素開口AP1の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う画素開口AP1と画素開口AP2との間、および第1方向Xに隣り合う画素開口AP1と画素開口AP3との間にそれぞれ配置されている。
【0024】
図2に示す例においては、第1隔壁6xおよび第2隔壁6yが互いに接続されている。これにより、隔壁6は全体として画素開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状である。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において、開口を有するということもできる。
【0025】
副画素SP1は、画素開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1、および有機層OR1を備えている。副画素SP2は、画素開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2、および有機層OR2を備えている。副画素SP3は、画素開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3、および有機層OR3を備えている。
【0026】
下電極LE1、上電極UE1、および有機層OR1は、副画素SP1の表示素子DE1を構成する。下電極LE2、上電極UE2、および有機層OR2は、副画素SP2の表示素子DE2を構成する。下電極LE3、上電極UE3,および有機層OR3は、副画素SP3の表示素子DE3を構成する。表示素子DE1,DE2,DE3は、後述するキャップ層をさらに含んでもよい。
【0027】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて、副画素SP1の画素回路1(図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて、副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて、副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0028】
図2に示す例において、コンタクトホールCH2,CH3は、第2方向Yに隣り合う画素開口AP2と画素開口AP3との間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。コンタクトホールCH1は、第2方向Yに隣り合う2つの画素開口AP1の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。他の例として、コンタクトホールCH1,CH2,CH3の少なくとも一部が第1隔壁6xと重なっていなくてもよい。
【0029】
図3は、図2中のIII-III線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SL、および電源線PLなどの各種回路および配線を含む。
【0030】
回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。図3に示す断面には表れていないが、上述のコンタクトホールCH1,CH2,CH3はいずれも有機絶縁層12に設けられている。
【0031】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、図3に示す例において、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。リブ5は、上述の画素開口AP1,AP2,AP3を有している。
【0032】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62と、を含む。上部62も下部61と同様に、導電性を有してもよい。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、図3に示す例においては、上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0033】
有機層OR1は、画素開口AP1を通じて、下電極LE1を覆っている。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下電極LE1と向かいあっている。有機層OR2は、画素開口AP2を通じて、下電極LE2を覆っている。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下電極LE2と向かいあっている。有機層OR3は、画素開口AP3を通じて、下電極LE3を覆っている。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下電極LE3と向かいあっている。
【0034】
図3に示す例においては、上電極UE1の上にキャップ層CP1が配置され、上電極UE2の上にキャップ層CP2が配置され、上電極UE3の上にキャップ層CP3が配置されている。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3が発する光の光学特性を調整する。
【0035】
有機層OR1、上電極UE1、およびキャップ層CP1の一部は、上部62の上に位置している。この一部は、有機層OR1、上電極UE1、およびキャップ層CP1の他の部分と離間している。
【0036】
同様に、有機層OR2、上電極UE2、およびキャップ層CP2の一部は上部62の上に位置し、この一部は有機層OR2、上電極UE2、およびキャップ層CP2の他の部分と離間している。
【0037】
さらに、有機層OR3、上電極UE3、およびキャップ層CP3の一部は上部62の上に位置し、この一部は有機層OR3、上電極UE3、およびキャップ層CP3の他の部分と離間している。
【0038】
副画素SP1には封止層SE1が配置され、副画素SP2には封止層SE2が配置され、副画素SP3には封止層SE3が配置されている。本実施形態において、封止層SE1,SE2,SE3は、第1封止層に相当する。
【0039】
封止層SE1は、副画素SP1を囲う隔壁6のうち副画素SP1寄りの部分やキャップ層CP1を連続的に覆っている。封止層SE2は、副画素SP2を囲う隔壁6のうち副画素SP2寄りの部分やキャップ層CP2を連続的に覆っている。封止層SE3は、副画素SP3を囲う隔壁6のうち副画素SP3寄りの部分やキャップ層CP3を連続的に覆っている。
【0040】
封止層SE1,SE2,SE3の端部(周縁部)は、上部62の上に位置している。図3に示す例においては、左方の隔壁6の上部62の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、および封止層SE1と、この上部62の上に位置する有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、および封止層SE3とが離間している。
【0041】
また、右方の隔壁6の上部62の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、および封止層SE1と、この上部62の上に位置する有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、および封止層SE2とが離間している。
【0042】
隔壁6は、隣り合う副画素SP1,SP2,SP3の境界に配置されている。より具体的には、第2隔壁6y(図中左方)の下部61は、有機層OR1と有機層OR3との間、上電極UE1と上電極UE3との間、キャップ層CP1とキャップ層CP3との間に位置している。
【0043】
同様に、第2隔壁6y(図中右方)の下部61は、有機層OR1と有機層OR2との間、上電極UE1と上電極UE2との間、キャップ層CP1とキャップ層CP2との間に位置している。封止層SE1,SE2,SE3は、複数の表示素子DE1,DE2,DE3を個別に封止している。
【0044】
封止層SE1,SE2,SE3は、樹脂層13によって覆われている。樹脂層13は、封止層14(第2封止層)によって覆われている。表示装置DSPは、封止層14と向かいあう基板16をさらに備えている。基板16は、透明な接着層15によって、封止層14と接着されている。封止層14は、接着層15によって覆われている。
【0045】
有機絶縁層12および樹脂層13は、有機絶縁材料で形成されている。接着層15としては、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)を用いることができる。
【0046】
リブ5、封止層SE1,SE2,SE3、および封止層14は、例えば、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン酸窒化物(SiON)などの無機絶縁材料で形成されている。
【0047】
下電極LE1,LE2,LE3は、例えば、銀(Ag)で形成された中間層と、この中間層の上面および下面をそれぞれ覆う一対の導電性酸化物層と、を有している。各導電性酸化物層は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、またはIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)などの透明な導電性酸化物で形成することができる。
【0048】
上電極UE1,UE2,UE3は、例えば、マグネシウムと銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。例えば、下電極LE1,LE2,LE3はアノードに相当し、上電極UE1,UE2,UE3はカソードに相当する。
【0049】
有機層OR1,OR2,OR3は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、および電子注入層の積層構造を有している。有機層OR1,OR2,OR3は、それぞれ複数の発光層を含んでもよい。
【0050】
キャップ層CP1,CP2,CP3は、例えば、透明な複数の薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、複数の薄膜として、無機材料によって形成された薄膜および有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。
【0051】
また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1,UE2,UE3の材料とは異なり、また、封止層SE1,SE2,SE3の材料とも異なる。なお、キャップ層CP1,CP2,CP3は、省略されてもよい。
【0052】
隔壁6には、共通電圧が供給される。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて、画素電圧が供給される。
【0053】
有機層OR1,OR2,OR3は、電圧の印加に応じて発光する。より具体的には、下電極LE1と上電極UE1との間に電位差が形成されると、有機層OR1の発光層が青色の波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2との間に電位差が形成されると、有機層OR2の発光層が緑色の波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3との間に電位差が形成されると、有機層OR3の発光層が赤色の波長域の光を放つ。
【0054】
基板16は、例えば、偏光板などの光学素子、保護フィルム、カバーガラスまたはタッチパネルである。基板16は、光学素子、保護フィルム、カバーガラスおよびタッチパネルなどの機能が異なる2種類以上の要素を接着層で貼り合わせた積層体であってもよい。
【0055】
続いて、表示装置DSPの製造方法について説明する。
図4は、表示装置DSPの製造方法の一例を示すフローチャートである。図5乃至図12は、それぞれ表示装置DSPの製造工程の一部を示す概略的な断面図である。図5乃至図12においては、基板10および回路層11等を省略している。
【0056】
表示装置DSPの製造においては、まず、基板10の上に回路層11および有機絶縁層12が形成される(工程PR1)。
【0057】
工程PR1の後、図5に示すように、有機絶縁層12の上に下電極LE1,LE2,LE3が形成され(工程PR2)、下電極LE1,LE2,LE3を覆うリブ5が形成され(工程PR3)、リブ5の上に配置される隔壁6が形成される(工程PR4)。画素開口AP1,AP2,AP3は、工程PR4の前に形成されてもよいし、工程PR4の後に形成されてもよい。
【0058】
続いて、複数の表示素子DE1,DE2,DE3を形成するための工程が実施される。本実施形態においては、表示素子DE1が最初に形成され、表示素子DE2が次に形成され、表示素子DE3が最後に形成される場合を想定する。ただし、表示素子DE1,DE2,DE3の形成順は、この例に限られない。
【0059】
表示素子DE1の形成にあたっては、図6に示すように、画素開口AP1を通じ下電極LE1に接触する有機層OR1、有機層OR1を覆う上電極UE1、上電極UE1を覆うキャップ層CP1が蒸着によって順に形成されるとともに、キャップ層CP1および隔壁6を連続的に覆う封止層SE1がCVD(Chemical Vapor Deposition)によって、形成される(工程PR5)。
【0060】
これら有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1および封止層SE1は、少なくとも表示領域DAの全体に対して形成され、副画素SP1だけでなく、副画素SP2,SP3にも配置されている。有機層OR1、上電極UE1、およびキャップ層CP1は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。
【0061】
図4に示すフローチャートにおいて、工程PR5の後、有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、および封止層SE1がパターニングされる(工程PR6)。このパターニングにおいては、図7に示すように、封止層SE1の上にレジストRが配置される。レジストRは、副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部とを覆っている。
【0062】
その後、レジストRをマスクとしたエッチングにより、図8に示すように、有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、および封止層SE1のうちレジストRから露出した部分が除去される。このエッチングは、例えば、封止層SE1、キャップ層CP1、上電極UE1、および有機層OR1に対して順に実施されるウェットエッチングおよびドライエッチングを含む。
【0063】
図8に示した工程の後、レジストRが除去される。これにより、副画素SP1に表示素子DE1および封止層SE1が形成され、副画素SP2,SP3に表示素子および封止層が形成されていない基板を得ることができる。
【0064】
表示素子DE2は、表示素子DE1と同様の手順で形成される。すなわち、工程PR6の後、画素開口AP2を通じて下電極LE2に接触する有機層OR2、有機層OR2を覆う上電極UE2、上電極UE2を覆うキャップ層CP2が蒸着によって順に形成されるとともに、キャップ層CP2および隔壁6を連続的に覆う封止層SE2がCVDによって形成される(工程PR7)。
【0065】
これら有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、および封止層SE2は、少なくとも表示領域DAの全体に対して形成され、副画素SP2だけでなく、副画素SP1,SP3にも配置される。
【0066】
工程PR7の後、有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、および封止層SE2がウェットエッチングおよびドライエッチングによりパターニングされる(工程PR8)。このパターニングの流れは、工程PR6と同様である。
【0067】
工程PR8を経ると、図9に示すように、副画素SP1に表示素子DE1および封止層SE1が形成され、副画素SP2に表示素子DE2および封止層SE2が形成され、副画素SP3に表示素子および封止層が形成されていない基板を得ることができる。
【0068】
表示素子DE3は、表示素子DE1,DE2と同様の手順で形成される。すなわち、工程PR8の後、画素開口AP3を通じて下電極LE3に接触する有機層OR3、有機層OR3を覆う上電極UE3、上電極UE3を覆うキャップ層CP3が蒸着によって順に形成されるとともに、キャップ層CP3および隔壁6を連続的に覆う封止層SE3がCVDによって形成される(工程PR9)。
【0069】
これら有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、および封止層SE3は、少なくとも表示領域DAの全体に対して形成され、副画素SP3だけでなく、副画素SP1,SP2にも配置される。
【0070】
工程PR9の後、有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、および封止層SE3がウェットエッチングおよびドライエッチングによりパターニングされる(工程PR10)。このパターニングの流れは、工程PR6,PR8と同様である。
【0071】
工程PR10を経ると、図10に示すように、副画素SP1に表示素子DE1および封止層SE1が形成され、副画素SP2に表示素子DE2および封止層SE2が形成され、副画素SP3に表示素子DE3および封止層SE3が形成された基板を得ることができる。
【0072】
工程PR10の後、複数の表示素子DE1,DE2,DE3を検査する工程が実施される(工程PR11)。複数の表示素子DE1,DE2,DE3の検査は、例えば、複数の表示素子DE1,DE2,DE3の各々に電圧を印加し、有機層OR1,OR2,OR3を発光させることで実施される。
【0073】
工程PR11の検査によって、複数の表示素子DE1,DE2,DE3のうち、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3があるか否かの確認が実施される(工程PR12)。工程PR11の検査において、例えば、輝点状態の表示素子DE1,DE2,DE3が確認された場合、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3があると判定される(工程PR12のYES)。
【0074】
ここで、輝点状態とは、信号線SLを通じて画素回路1(図1に示す)に供給される信号(画素電圧)によらずに、常に高輝度で表示素子が発光する状態を意味する。このような輝点状態の表示素子は、表示装置DSPの表示品位の低下の一つとなり得る。
【0075】
不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3がないと判定された場合(工程PR12のNo)、樹脂層13、封止層14、および接着層15が順に形成され、接着層15の上に基板16が配置される(工程PR14)。
【0076】
ここで、少なくとも1つの表示素子DE1が不良を有する場合を想定する。不良を有する表示素子DE1があると判定された場合(工程PR12のYes)、図11に示すように、少なくとも封止層SE1を貫通するリペア孔OPが形成される(工程PR13)。
【0077】
リペア孔OPは、封止層SE1を貫通する貫通孔P1を少なくとも有している。リペア孔OPは、キャップ層CP1、上電極UE1、有機層OR1、および下電極LE1と重なる。
【0078】
リペア孔OPは、図11に示す例において、画素開口AP1と重なる位置に形成されている。リペア孔OPの深さは、画素開口AP1と重なる部分における封止層SE1の厚さと実質的に等しい。
【0079】
リペア孔OPの面積は、図11に示す例において、画素開口AP1の面積よりも小さい。リペア孔OPは、例えば、図11に示すように、封止層SE1に向けてレーザ光70を照射することによって形成される。レーザ光70は、一例では、YAGレーザから照射されるが、この例に限られない。
【0080】
工程PR13を経ると、図11に示すように、リペア孔OPが形成された基板を得ることができる。リペア孔OPが形成されることによって、リペア孔OPを介して表示素子DE1に水分が浸入する。
【0081】
図11に示す例においては、リペア孔OPを通じてキャップ層CP1が露出している。このため、水分はキャップ層CP1から有機層OR1に向けて浸入し得る。この水分は、例えば、大気中の水分であってもよい。また、この水分は、工程PR13以降の洗浄工程で用いられる洗浄液に含まれるものであってもよい。さらには、工程PR13以降にリペア孔OPを通じて表示素子DE1に水分を浸入させるための工程が実施されてもよい。
【0082】
表示素子DE1に水分が浸入することによって、有機層OR1が劣化し、不良を有する表示素子DE1が輝点状態から発光しない滅点状態へ変化し、輝点状態が解消される。
【0083】
リペア孔OPが形成された後、図12に示すように、樹脂層13、封止層14および接着層15が順に形成され、接着層15の上に基板16が配置される(工程PR14)。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0084】
封止層SE1の上に樹脂層13が形成される際、樹脂層13の一部がリペア孔OPを満たす。このため、樹脂層13は、リペア孔OPに位置する充填部131を有する。樹脂層13に含まれる水分がリペア孔OPを通じて浸入し、表示素子DE1が滅点状態となってもよい。
【0085】
図13は、リペア孔OPに適用し得る構造の他の例を示す概略的な断面図である。リペア孔OPは、図13に示す例において、封止層SE1,キャップ層CP1、上電極UE1、および有機層OR1を貫通している。言い換えると、リペア孔OPは、封止層SE1に形成された貫通孔P1と、キャップ層CP1に形成された貫通孔P2と、上電極UE1に形成された貫通孔P3と、有機層OR1に形成された貫通孔P4と、を有している。
【0086】
リペア孔OPは、他の例として、封止層SE1,キャップ層CP1、および上電極UE1を貫通し、有機層OR1を貫通していなくてもよい。言い換えると、リペア孔OPは、封止層SE1に形成された貫通孔P1、キャップ層CP1に形成された貫通孔P2、上電極UE1に形成された貫通孔P3を有し、有機層OR1に形成された貫通孔P4を有していなくてもよい。
【0087】
リペア孔OPは、さらに他の例として、封止層SE1およびキャップ層CP1を貫通し、有機層OR1および上電極UE1を貫通していなくてもよい。言い換えると、リペア孔OPは、封止層SE1に形成された貫通孔P1およびキャップ層CP1に形成された貫通孔P2を有し、上電極UE1に形成された貫通孔P3および有機層OR1に形成された貫通孔P4を有していなくてもよい。
【0088】
リペア孔OPを深くすることよって、水分が有機層OR1に入りやすくなる。その結果、不良を有する表示素子DE1を確実に非発光とすることができる。ただし、リペア孔OPが下電極LE1を貫通すると、有機絶縁層12やその下方の回路層11に水分が浸入し得る。そのため、リペア孔OPは、下電極LE1を貫通しないほうが好ましい。
【0089】
本実施形態においては、表示素子DE1が不良を有する場合を想定したが、表示素子DE2,DE3が不良を有する場合においても同様に、工程PR13においてリペア孔OPが形成される。
【0090】
表示素子DE2が不良を有する場合、少なくとも封止層SE2を貫通するリペア孔OPが形成される。表示素子DE3が不良を有する場合、少なくとも封止層SE3を貫通するリペア孔OPが形成される。
【0091】
また、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3が複数ある場合には、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3の各々に対して、リペア孔OPが形成される。
【0092】
仮に輝点状態の表示素子DE1,DE2,DE3が存在すると、その表示色が常にユーザに視認されることとなり、表示装置DSPの表示品位が低下する。これに対し、本実施形態に係る表示装置DSPの製造方法においては、検査の工程にて不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3が確認された場合、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3を覆う封止層SE1,SE2,SE3にリペア孔OPが形成される。
【0093】
これにより、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3が輝点状態から滅点状態に変化する。その結果、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3による表示装置DSPの表示品位の低下が抑制される。
【0094】
本実施形態において、封止層SE1,SE2,SE3は、複数の表示素子DE1,DE2,DE3を個別に封止している。より具体的には、リブ5の上に配置される隔壁6は、隣り合う副画素SP1,SP2,SP3の画素開口AP1,AP2,AP3の間に位置している。隣り合う有機層OR1,OR2,OR3、上電極UE1,UE2,UE3、およびキャップ層CP1,CP2,CP3は、隔壁6によって分断されている。
【0095】
これにより、リペア孔OPから浸入した水分が、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3から隣り合う正常な表示素子DE1,DE2,DE3へ浸入することを抑制できる。また、リブ5は無機絶縁材料によって形成されているため、水分がリブ5を介して隣り合う正常な表示素子DE1,DE2,DE3へ浸入することも抑制できる。
【0096】
その結果、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3に加えて隣り合う正常な表示素子DE1,DE2,DE3までもが滅点状態となり、表示領域DAにいわゆるダークスポットが生じることを抑制できる。言い換えると、本実施形態であれば、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3を選択的に非発光とすることができる。
【0097】
以上のように、本実施形態の構成によれば、表示品位を向上させることが可能な表示装置DSPの製造方法を提供することができる。その他にも、本実施形態からは種々の好適な効果を得ることができる。
【0098】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態に係る表示装置DSPの構成のうち、特に言及しない部分については第1実施形態と同様のものを適用できる。
【0099】
図14は、本実施形態に係る表示装置DSPの製造方法の一例を示すフローチャートである。図15および図16は、それぞれ表示装置DSPの製造工程の一部を示す概略的な断面図である。図15および図16においては、基板10および回路層11等を省略している。
【0100】
本実施形態における工程PR1乃至工程PR10は、第1実施形態と同様である。本実施形態においては、工程PR10の後、封止層SE1,SE2,SE3を覆う樹脂層13、および封止層14が順に形成される(工程PR21)。
【0101】
工程PR21の後、複数の表示素子DE1,DE2,DE3を検査する工程が実施される(工程PR22)。工程PR22の検査においては、第1実施形態における工程PR11と同様に、複数の表示素子DE1,DE2,DE3のうち、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3があるか否かの確認が実施される(工程PR23)。
【0102】
工程PR22の検査において、例えば、輝点状態の表示素子DE1,DE2,DE3が確認された場合、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3があると判定される(工程PR23のYES)。不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3がないと判定された場合(工程PR23のNo)、封止層14の上に接着層15が形成され、接着層15の上に基板16が配置される(工程PR25)。
【0103】
ここで、表示素子DE1が不良を有する場合を想定する。不良を有する表示素子DE1があると判定された場合(工程PR23のYes)、図15に示すようにリペア孔OPが形成される(工程PR24)。
【0104】
本実施形態において、リペア孔OPは、封止層14、樹脂層13、および封止層SE1を貫通している。言い換えると、リペア孔OPは、樹脂層13を貫通する貫通孔P5と、封止層14を貫通する貫通孔P6と、封止層SE1を貫通する貫通孔P1と、を有している。リペア孔OPは、キャップ層CP1、上電極UE1、有機層OR1、および下電極LE1と重なる。
【0105】
リペア孔OPは、図15に示す例において、画素開口AP1と重なる位置に形成されている。リペア孔OPの深さは、画素開口AP1と重なる部分における、封止層14、樹脂層13、および封止層SE1の厚さの合計と実質的に等しい。リペア孔OPの面積は、図15に示す例において、画素開口AP1の面積よりも小さい。
【0106】
工程PR24を経ると、図15に示すように、リペア孔OPが形成された基板を得ることができる。リペア孔OPが形成されることによって、リペア孔OPを介して水分が浸入する。表示素子DE1に水分が浸入することによって、有機層OR1が劣化し、表示素子DE1が非発光となる。これにより、表示素子DE1の輝点状態が解消される。
【0107】
リペア孔OPが形成された後、図16に示すように、封止層14の上に接着層15が形成され、接着層15の上に基板16が配置される(工程PR25)。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0108】
封止層14の上に接着層15が形成される際、接着層15の一部がリペア孔OPを満たす。このため、接着層15は、リペア孔OPに位置する充填部151を有する。接着層15に含まれる水分がリペア孔OPを通じて浸入し、表示素子DE1が滅点状態となってもよい。
【0109】
本実施形態においては、封止層14が形成された後にリペア孔OPが形成されているが、リペア孔OPは、封止層14が形成される前に形成されてもよい。
【0110】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、リペア孔OPは、キャップ層CP1に形成された貫通孔P2をさらに有してもよいし、キャップ層CP1に形成された貫通孔P2および上電極UE1に形成された貫通孔P3をさらに有してもよい。
【0111】
リペア孔OPは、他の例として、キャップ層CP1に形成された貫通孔P2、上電極UE1に形成された貫通孔P3、および有機層OR1に形成された貫通孔P4をさらに有してもよい。
【0112】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すわなち、本実施形態に係る表示装置DSPの製造方法においても、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3を覆う封止層SE1,SE2,SE3を貫通するリペア孔OPが形成される。これにより、有機層OR1,OR2,OR3を水分が劣化させ、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3を輝点状態から発光しない滅点状態へ変化させることができる。
【0113】
これにより、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3による表示装置DSPの表示品位の低下を抑制することができる。その結果、本実施形態であれば、表示品位を向上させることが可能な表示装置DSPの製造方法を提供することができる。
【0114】
上述の各実施形態において、リペア孔OPは、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3を覆う封止層SE1,SE2,SE3に1つ形成される場合を説明したが、リペア孔OPは、不良を有する表示素子DE1,DE2,DE3を覆う封止層SE1,SE2,SE3の各々に対して複数形成されてもよい。上述の本実施形態において、リペア孔OPは、レーザ光70によって形成されるが、リペア孔OPは、機械的手段によって形成されてもよい。
【0115】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置およびその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置およびその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0116】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0117】
また、上述の各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0118】
1…画素回路、2…画素スイッチ、3…駆動トランジスタ、4…キャパシタ、5…リブ、
6…隔壁、10…基板、11…回路層、12…有機絶縁層、13…樹脂層、14…封止層、15…接着層、16…基板、AP1,AP2,AP3…画素開口、CP1,CP2,CP3…キャップ層、DA…表示領域、DE1,DE2,DE3…表示素子、DSP…表示装置、GL…走査線、LE1,LE2,LE3…下電極、OP…リペア孔、OR1,OR2,OR3…有機層、PL…電源線、PX…画素、SA…周辺領域、SE1,SE2,SE3…封止層、SP1,SP2,SP3…副画素、UE1,UE2,UE3…上電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16