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特開2024-59328無線給電システム、無線送電装置、および移動体
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  • 特開-無線給電システム、無線送電装置、および移動体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059328
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】無線給電システム、無線送電装置、および移動体
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20240423BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20240423BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20240423BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240423BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20240423BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20240423BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240423BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20240423BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/70
H02J50/40
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/90
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166944
(22)【出願日】2022-10-18
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度 国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的イノベーション創造プログラム「ドローン駐機時近距離WPTのkW級大電力化、高効率化、受電部小型・軽量化」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾林 秀一
(72)【発明者】
【氏名】兼清 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】渡部 明
(72)【発明者】
【氏名】中小路 元
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA10
5G503FA06
5G503GB08
5H105AA01
5H105BA09
5H105BB10
5H105CC07
5H105CC19
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA20
5H125AC12
5H125AC25
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】 搬送物に関わらず高効率で無線給電できる無線給電システムを実現する。
【解決手段】 実施形態によれば、無線給電システムは、水平面回転翼により飛行可能な移動体と、無線送電装置とで構成される。前記移動体は、環状の脚部と、環状の受電コイルとを備える。脚部は、前記移動体の垂直方向の最下部に位置する。受電コイルは、脚部内に設けられる。前記無線送電装置は、筐体と、環状の送電コイルとを備える。筐体は、前記移動体が前記無線送電装置に着陸した場合に前記脚部が載置される水平な着陸面を含む。送電コイルは、前記筐体内の、前記着陸面の下部に設けられる。前記移動体が前記無線送電装置に着陸した場合、前記第1送電コイルの少なくとも一部と前記受電コイルの少なくとも一部とは、前記着陸面を介して対向する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面回転翼により飛行可能な移動体と、無線送電装置とで構成される無線給電システムであって、
前記移動体は、
前記移動体の垂直方向の最下部に位置する環状の脚部と、
前記脚部内に設けられた環状の受電コイルと、を備え、
前記無線送電装置は、
前記移動体が前記無線送電装置に着陸した場合に前記脚部が載置される水平な着陸面を含む筐体と、
前記筐体内の、前記着陸面の下部に設けられた環状の第1送電コイルと、を備え、
前記移動体が前記無線送電装置に着陸した場合、前記第1送電コイルの少なくとも一部と前記受電コイルの少なくとも一部とは、前記着陸面を介して対向する、
無線給電システム。
【請求項2】
前記無線送電装置は、前記移動体が前記無線送電装置に着陸した場合に少なくとも一部が前記受電コイルの内側に位置し、上方から下方に向かって水平方向の断面の外側形状が大きくなる錐体をさらに具備し、
前記錐体の垂直方向の最下部と前記着陸面とは、概ね同一の垂直方向の高さに位置する、
請求項1に記載の無線給電システム。
【請求項3】
前記錐体の内部は、前記筐体の内部と連結され、
前記無線送電装置は、前記着陸面の垂直方向の位置を少なくとも含む、前記錐体の内部から前記筐体の内部まで上下方向に連続した空間に配置される磁性体をさらに具備し、
前記磁性体の少なくとも一部は、前記環状の第1送電コイルの内側に位置する、
請求項2に記載の無線給電システム。
【請求項4】
前記無線送電装置は、前記錐体の側面の内周に沿って設けられた環状の第2送電コイルをさらに具備し、
前記移動体が前記無線送電装置に着陸した場合、前記第2送電コイルの少なくとも一部と前記受電コイルの少なくとも一部とは、前記錐体の側面を介して対向する、
請求項2に記載の無線給電システム。
【請求項5】
前記錐体は、前記錐体の上面の少なくとも一部に配置されたアルミ板を含む、
請求項2に記載の無線給電システム。
【請求項6】
前記無線送電装置は、前記筐体の上面上で、且つ前記着陸面の外周に配置され、前記上面から上方に特定の高さを有するリムをさらに具備する、
請求項2に記載の無線給電システム。
【請求項7】
前記特定の高さは、前記錐体の高さよりも高く、
前記リムの前記錐体に対向する面は、上方から下方へ向かって、前記錐体の方向へ近づく傾きを有する、
請求項6に記載の無線給電システム。
【請求項8】
前記脚部の内側形状と、前記着陸面の前記第1送電コイルと対向する環状部分の内側形状とは概ね相似であり、
前記脚部が前記着陸面に載置されている場合、前記脚部の内側形状の第1方向の幅は、前記着陸面の内側形状の前記第1方向の幅と概ね同一であり、
前記第1方向は、前記着陸面と平行である、
請求項1に記載の無線給電システム。
【請求項9】
前記受電コイルの内側形状と、前記第1送電コイルの内側形状とは概ね相似であり、
前記脚部が前記着陸面に載置されている場合、前記環状の受電コイルの第1方向の幅は、前記環状の第1送電コイルの前記第1方向の幅と概ね同一であり、
前記第1方向は、前記着陸面と平行である、
請求項1に記載の無線給電システム。
【請求項10】
前記第1送電コイルは、前記脚部が前記着陸面に載置された場合、前記受電コイルを介して前記移動体に電力を伝送可能である、
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の無線給電システム。
【請求項11】
無線送電装置であって、
水平面回転翼により飛行可能な移動体が前記無線送電装置に着陸した場合に、前記移動体の垂直方向の最下部に位置する環状の脚部が載置される水平な着陸面を含む筐体と、
前記筐体内の、前記着陸面の下部に設けられた環状の送電コイルと、を具備し、
前記移動体が前記無線送電装置に着陸した場合、前記送電コイルの少なくとも一部は、前記脚部内に設けられた環状の受電コイルの少なくとも一部と、前記着陸面を介して対向する、
無線送電装置。
【請求項12】
水平面回転翼により飛行可能な移動体であって、
前記移動体の垂直方向の最下部に位置する環状の脚部と、
前記脚部内に設けられた環状の受電コイルと、具備し、
前記脚部が無線送電装置の水平な着陸面に載置された場合、前記受電コイルの少なくとも一部は、前記着陸面の下部に設けられた環状の送電コイルの少なくとも一部と、前記着陸面を介して対向する、
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線給電システム、無線送電装置、および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の回転翼(例えば、ロータ、またはプロペラ)で飛行する移動体が利用されている。複数の回転翼で飛行する移動体は、ドローン、あるいはマルチコプタードローンとも称される。ドローンでは、複数の回転翼それぞれの回転数を制御することで、飛行する方向が制御される。
【0003】
ドローンには、駆動源である電池が搭載される。ドローンの長距離移動を可能とするために、飛行経路の中継地点および目的地点には、充電のためのポートが配置される。ポートに着陸したドローンには、例えば、無線で電力が供給される。給電のための手間を軽減するために、ドローンに対して無線での電力供給が可能な無線給電システムが開発されている。
【0004】
無線給電システムは、例えば、ポートに設置された無線送電装置と、ドローンが備える無線受電装置とによって構成される。無線送電装置は、ドローンがポート(例えば、無線送電装置の上部)に着陸した場合に、無線受電装置に電力を供給する。これにより、供給された電力を用いて、ドローンに搭載された電池を充電できる。
【0005】
ドローンにはさらに、搬送物が搭載されることがある。搬送物は、目的地点に配送する物品、飛行中に使用する機材(例えば、カメラ用ジンバル)、等である。例えば、搬送物が大型である場合には、ドローンがポートに着陸した際に、搬送物とポートとが干渉し得る。搬送物とポートとが干渉した場合、ドローンの無線受電装置とポートの無線送電装置とは、給電に適した位置関係ではなくなる。そして、給電の効率が損なわれるか、あるいは給電ができなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-135880号公報
【特許文献2】特開2005-278318号公報
【特許文献3】特開2019-201451号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】幸尾・岡、「地面近くでホバリングするヘリコプタロータに関する実験」、航空宇宙技術研究所報告、1966年8月、TR-113
【非特許文献2】井星他、「有限な斜面上でホバリングするロータの地面効果とブレードフラッピング運動」、日本航空宇宙学会論文集、2002年、Vol.50、No.582、p.264-271
【非特許文献3】Naohiro Iboshi他、「Ground Effectof a Rotor Hovering above a Confined Area」、Frontiers in Aerospace Engineering、2014年2月、Vol.3、Issue 1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一形態は、搬送物に関わらず高効率で無線給電できる無線給電システム、無線送電装置、および移動体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、無線給電システムは、水平面回転翼により飛行可能な移動体と、無線送電装置とで構成される。前記移動体は、環状の脚部と、環状の受電コイルとを備える。脚部は、前記移動体の垂直方向の最下部に位置する。受電コイルは、脚部内に設けられる。前記無線送電装置は、筐体と、環状の送電コイルとを備える。筐体は、前記移動体が前記無線送電装置に着陸した場合に前記脚部が載置される水平な着陸面を含む。送電コイルは、前記筐体内の、前記着陸面の下部に設けられる。前記移動体が前記無線送電装置に着陸した場合、前記第1送電コイルの少なくとも一部と前記受電コイルの少なくとも一部とは、前記着陸面を介して対向する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る無線送電装置と移動体とを含む無線給電システムの構成例を示す(a)側面図および(b)上面図。
図2】実施形態に係る無線給電システムにおいて、誘導機構を実現する構成例を示す図。
図3図1の一部の具体的な構成例を示す図。
図4】実施形態に係る無線給電システムに含まれる移動体の構成例を示す(a)上面図、(b)正面図、および(c)側面図。
図5】実施形態に係る無線給電システムに含まれる無線送電装置と移動体における給電のための構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る無線送電装置と移動体とを含む無線給電システムの構成例を示す(a)側面図および(b)上面図である。無線給電システム1は、無線送電装置3から移動体2に電力を無線(ワイヤレス)で供給するためのシステムである。無線給電システム1は、移動体2と無線送電装置3とによって構成される。図1は、移動体2が無線送電装置3に着陸した状態を例示している。
【0013】
(移動体2)
移動体2は、水平面回転翼により飛行可能な移動体である。移動体2は、例えば、複数の回転翼(例えば、ローター、またはプロペラ)を有するマルチコプタードローンである。以下では、無線送電装置3が電力を伝送する対象の移動体2を、ドローン2とも称する。
【0014】
ドローン2は、例えば、ドローン本体201、受電処理装置205、および回転翼Pを備える。
【0015】
ドローン本体201は、主として、非金属材料により構成されている。この非金属材料は、例えば、カーボン、プラスチック、ガラス繊維、またはカーボンとプラスチックの混合である。なお、ドローン本体201の一部(例えば、結合部、ねじ等)は、金属材料で構成されていてもよい。ドローン本体201の四隅には、モーターにより駆動される回転翼Pがそれぞれ設けられている。
【0016】
ドローン本体201は、天板202、脚部203および204、並びに受電コイル206を含む。
【0017】
天板202は、例えば、水平面を有する部材である。天板202の裏面には、受電処理装置205が配置されている。
【0018】
脚部203は、天板202と脚部204とを連結する上下方向の脚部である。つまり、脚部203の一端は天板202に連結され、脚部203の他端は脚部204と連結される。
【0019】
脚部204は、ドローン2の垂直方向の最下部(すなわち、底面)に位置する環状の脚部である。脚部204は、ドローン2が無線送電装置3に向かって降下した場合に、無線送電装置3上の充電用の位置に当接(嵌合)する部材である。脚部204は、スキッドとも称される。脚部204は、天板202に概ね平行である。脚部204は、受電処理装置205の下方に位置する。脚部204は、図1(b)に示すように、例えば、非真円形の環状である。
【0020】
脚部203および204は、ドローン本体201のフレームとも称される。脚部203および204は、例えば、筒状である。脚部203および204の内部は、例えば、中空である。これにより、脚部203および204を軽量化できる。なお、脚部203および204の内部は中空でなくてもよい。脚部203および204は、非金属材料により構成される。この非金属材料は、例えば、カーボン、プラスチック、ガラス繊維、またはカーボンとプラスチックの混合である。なお、脚部203および204の一部に金属材料が含まれていてもよい。
【0021】
ドローン本体201の内側(すなわち、天板202と、脚部203および204とによって囲まれた内側)には、搬送物5が搭載されてもよい。搬送物5は、目的地点に配送する物品、飛行中に使用する機材(例えば、カメラ用ジンバル)、等である。搬送物5は、例えば、天板202から吊り下げられる。
【0022】
受電コイル206は、環状の脚部204内で巻回されたコイルであり、環状である。なお、受電コイル206は、任意の形状のドローン2の脚部の垂直方向の最下部、または最下部に近い位置に搭載されてもよい。受電コイル206は、磁界結合方式(電磁誘導)により、無線送電装置3によって伝送される電力を受け取る。受電コイル206は、配線を介して受電処理装置205に接続されている。受電コイル206は、受け取った電力を、受電処理装置205に送出する。
【0023】
受電処理装置205は、受電コイル206から電力を受け取り、受け取った電力を使用する装置である。受電処理装置205は受電回路と負荷とを含む。受電回路は、受電コイル206を介して無線送電装置3から無線で電力を受け取る回路である。負荷は、受電回路が受け取った電力を使用する電気機器である。電気機器は、例えば、電力を蓄積する蓄電池(充電池)、または電力を消費する機器である。蓄電池はリチウムイオン電池等の2次電池である。電力を消費する機器は、例えば、ドローン2の回転翼Pを駆動するモーター、モーターの駆動を制御する制御装置、および移動を制御するコンピュータを含む。
【0024】
このように、受電コイル206と受電処理装置205とは、無線送電装置3によって伝送された電力を受け取って、使用する無線受電装置として機能する。
【0025】
(無線送電装置3)
無線送電装置3は、ドローン2に電力を無線で伝送する装置である。無線送電装置3は、例えば、ドローン2が飛行する飛行経路の中継地点および目的地点それぞれに設けられるポートに設置される。これにより、無線送電装置3は、ポートに着陸したドローン2に対して、電力を伝送できる。
【0026】
無線送電装置3は、例えば、筐体300、錐体301、送電コイル302、1つ以上の磁性体303、送電回路306、ダミーループ307、および1つ以上のリム308を備える。
【0027】
筐体300は、無線送電装置3の垂直方向の最下部に位置する土台である。筐体300は、例えば、筐体300上の中央に位置する錐体301と連結される。連結された錐体301と筐体300との内部には、空間が設けられる。この空間には、例えば、送電コイル302、1つ以上の磁性体303、送電回路306、およびダミーループ307が格納される。筐体300は、例えば、錐体301と連結される部分に開口部を有する直方体である。
【0028】
筐体300の上面304の一部は、ドローン2が着陸可能な着陸面305として用いられる。より詳しくは、筐体300の上面304は、ドローン2が無線送電装置3に着陸した場合にドローン2の脚部204が載置される着陸面305を含む水平面である。
【0029】
着陸面305は、例えば、図1(b)に示すように、非真円形の環状である。より詳しくは、着陸面305の第1送電コイル302と対向する環状部分の内側形状および外側形状は、非真円形の環状である。着陸面305の内側形状は、例えば、長方形である。着陸面305の外側形状は、内側形状と短辺と長辺の比が概ね等しい長方形である。着陸面305の内側形状および外側形状は、ドローン2の脚部204が載置可能な形状であればよく、長方形に限らず、楕円、四角形、三角形、五角形等であってもよい。また、着陸面305の内側形状および外側形状の辺や角は、丸みをおびていてもよい。
【0030】
また、着陸面305の内側形状は、脚部204の内側形状と概ね相似である。脚部204が着陸面305上に載置されている場合、脚部204の内側形状の第1方向の幅は、着陸面305の内側形状の第1方向の幅と概ね同一である。第1方向は、着陸面305と平行である。なお、図1(b)に示した第1方向は一例であって、第1方向は着陸面305と平行な任意の方向である。
【0031】
錐体301は、上方から下方に向かって、水平方向の断面の外側形状が大きくなる形状を有する。なお、上方および下方は、垂直方向の上下を意味する。錐体301は、例えば、筐体300の上面304上の中央に位置する。錐体301の垂直方向の最下部は、着陸面305と概ね同一の垂直方向の高さに位置する。錐体301は、ドローン2が無線送電装置3(より詳しくは、着陸面305)に着陸した場合に、少なくとも一部がドローン2の環状の脚部204に囲まれた内側に位置する。換言すると、錐体301の少なくとも一部は、ドローン2が無線送電装置3に着陸した場合に、ドローン2の巻回された受電コイル206に囲まれた内側に位置する。
【0032】
図1では、錐体301は、一例として、直方体の上に正方形錐台が載せられた基本形状を有し、且つその角や辺が丸みをおびた形状として示されている。錐体301の上側の形状は、上方から下方に広がるスロープになっている。
【0033】
筐体300および錐体301は、一例として、非金属材料により構成されている。この非金属材料は、例えば、カーボン、プラスチック、カーボンとプラスチックの混合、ガラス、ガラス繊維とプラスチックの混合、または繊維強化プラスチック(FRP)である。筐体300および錐体301は、例えば、概ね一定の厚みの板状部材により構成される。また、筐体300および錐体301のそれぞれは、立体の一体型の構成であってもよい。あるいは、筐体300および錐体301が、立体の一体型の構成であってもよい。
【0034】
図1では、錐体301の上面が、開口部を有しておらず、非金属材料の面を形成している例を示している。なお、錐体301の上面には、開口部が設けられてもよい。この開口部には、ドローン2の天板202から吊り下げられた搬送物5が収納されてもよい。その場合、収納された搬送物5が保護されるように、錐体301の内側に壁面が設けられてもよい。
【0035】
さらに、錐体301の上面の少なくとも一部に、アルミ板が配置されてもよい。これにより、ドローン2の天板202から吊り下げられた搬送物5に対して、特に金属で構成される搬送物5に対して、無線送電装置3の近傍に生じる磁界による渦電流で損失や発熱が発生することを防止できる。
【0036】
なお、ドローンが無線送電装置3に着陸するとは、ドローン2が自動運転や操縦者による操縦により無線送電装置3の上方から降下し、充電用の位置に停止することである。充電用の位置は、ドローン2が無線送電装置3の上方から降下し、且つ錐体301がドローン2の脚部204の内側に入り、且つドローン2の脚部204が着陸面305に載置された位置である。錐体301の水平方向の断面の外側形状(あるいは、着陸面305の内側形状)が、脚部204の内側形状と概ね相似であることにより、脚部204が特定の向きで、着陸面305上にセルフアラインで載置される。概ね相似するとは、脚部204が着陸面305上に特定の向きで載置される程度に形状が近似していれば、完全な相似でなくてもよいことを意味する。また、セルフアラインは、ドローン2が無線送電装置3に降下する際に、多少の水平方向の位置ずれ、角度ずれ、またはこれらの両方がある場合でも、脚部204の内側形状と錐体301の水平方向の断面の外側形状とが同じ向きになるように、ドローン2が誘導されることを意味する。セルフアラインにより、着陸面305と脚部204との間の位置ずれおよび角度ずれは生じない、あるいは生じにくい。したがって、脚部204は、着陸面305(すなわち、充電用の位置)に適切に載置される。
【0037】
以下では、ドローン2の脚部204が着陸面305上にあることを、単に、ドローン2が無線送電装置3に着陸する、とも称する。なお、ドローン2は、人または機械によって着陸面305上に載置されてもよい。
【0038】
内部が連結された錐体301と筐体300とは、送電コイル302、1つ以上の磁性体303、送電回路306、およびダミーループ307を内蔵する。図1の例では、筐体300の内部に、送電コイル302、1つ以上の磁性体303の一部、送電回路306、およびダミーループ307が設けられる。
【0039】
送電コイル302は、磁界結合方式により、ドローン2に電力を伝送するためのコイルである。送電コイル302の少なくとも一部は環状であり、筐体300内の、着陸面305の下部で巻回される。巻回された送電コイル302の内側形状と、巻回された受電コイル206の内側形状とは概ね相似である。概ね相似するとは、ドローン2の脚部203が着陸面305上に載置され、送電コイル302と受電コイル206とが対向した場合に、閾値以上の結合係数(コイル間効率)で電力を伝送できれば、完全な相似でなくてもよいことを意味する。ドローン2の脚部203が着陸面305上に載置されている場合、巻回された受電コイル206の第1方向の幅は、巻回された送電コイル302の第1方向の幅と概ね同一である。前述した通り、第1方向は、着陸面305と平行である。
【0040】
送電コイル302は、ドローン2が筐体300の上方から降下して、錐体301がドローン2の脚部204の内側に入った後、着陸面305に載置された場合に、受電コイル206を介して、ドローン2に電力を伝送可能である。図1(a)に示すように、送電コイル302の少なくとも一部は、ドローン2が着陸面305(すなわち、充電用の位置)に着陸したときに、ドローン2の受電コイル206の少なくとも一部と対向する。送電コイル302は、受電コイル206と対向する場合に、ドローン2に効率良く電力を伝送できる。送電コイル302の少なくとも一部を着陸面305の下部に配置することにより、ドローン2が着陸面305に着陸したときに、送電コイル302と受電コイル206とは高い結合係数で結合する。なお、送電コイル302が巻回される回数(巻数)と、受電コイル206が巻回される回数とは、例えば、各コイルに用いられる巻線の太さ、送電の電圧(電位)と受電の電圧との関係、等に基づいて決定される。送電コイル302と受電コイル206とが変圧器として機能するように、巻数が決定されてもよい。
【0041】
磁性体303は、送電コイル302とドローン2の受電コイル206との間の結合係数を向上させ、それにより、給電効率を向上させるための部材である。磁性体303は、例えば、フェライトである。
【0042】
磁性体303は、着陸面305の垂直方向の位置を少なくとも含む、錐体301の内部から筐体300の内部までの上下方向に連続した空間に配置される。磁性体303の周囲は、環状の送電コイル302で囲まれている。つまり、環状の送電コイル302の内側を、磁性体303が上下方向に貫通している。
【0043】
また、磁性体303は、ドローン2が着陸面305に着陸したときの、ドローン2の受電コイル206の垂直方向の位置を少なくとも含む、錐体301の内部から筐体300の内部までの上下方向に連続した空間に配置される。ドローン2が着陸面305に着陸した場合、磁性体303の周囲は、環状の受電コイル206で囲まれている。つまり、ドローン2が着陸面305に着陸した場合、環状の受電コイル206の内側を、磁性体303が上下方向に貫通している。
【0044】
磁性体303の上端は、例えば、錐体301の上面と概ね同じ高さに位置するか、あるいは錐体301の上面よりも低い。磁性体303の下端は、例えば、筐体300の底面と概ね同じ高さに位置するか、あるいは筐体300の底面よりも高い。例えば、磁性体303の下端を着陸面305よりも下方の位置に固定して、磁性体303の上端を錐体301の上面と概ね同じ高さに位置させることにより、錐体301の高さを低く抑えることができる。したがって、例えば、ドローン2の内部にカメラ用ジンバルなどの大型の搬送物5が搭載されている場合にも、搬送物5が錐体301と干渉することなく、ドローン2が無線送電装置3に着陸できる(すなわち、ドローン2の脚部204を着陸面305に適切に載置できる)。
【0045】
1つ以上の磁性体303は、例えば、1つの筒状(パイプ状)の磁性体303として実現される。あるいは、図1(b)に示すように、1つ以上の磁性体303は、例えば、筒の一部を形成するようにそれぞれ配置された複数の磁性体303として実現されてもよい。筒の一部を形成するようにそれぞれ配置された複数の磁性体303は、例えば、周面方向の一部が欠けた(すなわち、周面方向に隙間がある)筒状の磁性体303を構成する。筒状の磁性体303である場合、筒の厚みは、送電コイル302に流す電流により発生する磁界が磁性体303を通過する際の磁束密度が、磁性体303の総断面積を勘案した飽和磁束密度を超えない程度の厚みであればよい。これにより、磁界特性を犠牲にすることなく、磁性体303を中空としない場合と比較して、軽量で低コスト化を図ることができる。なお、断面を一定の形状とすることで、磁性体303の製造を容易にしてもよい。また、磁性体303が筒状でなく、内部が磁性体材料で埋められていても問題はない。
【0046】
磁性体303は、例えば、任意の固定手段を介して、錐体301および筐体300に対して固定される。
【0047】
送電回路306は、送電コイル302へ交流電流を供給する。これにより、送電コイル302では交番磁界が発生する。交流電流は、例えば、9kHz帯、85kHz帯、または6.78MHz帯である高周波の交流電流である。
【0048】
ダミーループ307は、送電コイル302で発生した交番磁界のうち、無線送電装置3から外側へ漏洩する磁界(漏洩磁界)の影響を低減するための回路である。ダミーループ307には、漏洩磁界により誘導される電流が流れる。これにより、漏洩磁界を打ち消す方向の磁界が誘起され、無線送電装置3から遠方へ輻射する放射エミッションを低減できる。
【0049】
リム308は、着陸面305に異物が混入することを防止する部材(防塵部材)である。例えば、着陸面305に混入した金属の異物は、給電の際に発熱する可能性がある。そのため、リム308を設けることにより、着陸面305への異物の混入を防止する。リム308は、図1(a)に示すように、例えば、側面(すなわち、垂直方向の断面)が台形である四角柱である。あるいは、リム308は、側面が三角形である三角柱であってもよい。リム308は、筐体300の上面304上で、且つ着陸面305の外周に配置される。リム308は、上面304から上方に特定の高さを有する。この特定の高さは、例えば、錐体301の垂直方向の高さよりも高い。
【0050】
リム308は、例えば、錐体301に対向する面308a(以下、前面308aと称する)と、前面308aと向かい合う面308b(以下、背面308bと称する)とを備える。前面308aは、例えば、上方から下方へ向かって錐体301の方向へ近づく傾きを有する。これにより、リム308は、ドローン2の脚部204(スキッド)がリム308の前面308aに接することにより、脚部204を着陸面305の上方に誘導して、着陸面305上に正しく載置させるための誘導機構を有する。リム308の位置、高さ、および形状は、この誘導機構を実現するように設計され得る。これにより、ドローン2の無線送電装置3への着陸を容易にすることができる。さらに、例えば、図2に示すように、ドローン2の脚部204(スキッド)の図2中の右側がリム308の前面308aに接する際に、脚部204の図2中の左側が錐体301の側面であって、前面308aと同じ方向の傾きを有する側面301aに接するようにすることにより、脚部204の右側と左側の両方が、図2における左側へ誘導される。なお、リム308の背面308bは、垂直な面であってもよいし、傾きを有する面であってもよい。
【0051】
図3をさらに参照して、図1(a)に示したA1の部分について、より具体的に説明する。
【0052】
ドローン2の脚部204は、脚部204に沿って巻回された受電コイル206を内蔵する。受電コイル206を内蔵する脚部204内の隙間には、受電コイル206が脚部204内の垂直方向の下部に固定されるように、梱包材204aが詰められていてもよい。ドローン2が着陸面305に着陸したとき、巻回された受電コイル206は、磁性体303の周囲を囲んでいる。
【0053】
磁性体303は、着陸面305の垂直方向の位置を少なくとも含む、錐体301の内部から筐体300の内部までの上下方向に連続した空間に配置される。磁性体303は、例えば、フェライトブロックが貼付された非金属の板状の部材として実現される。磁性体303の上端は、着陸面305よりも上方に位置する。磁性体303の下端は、着陸面305よりも下方に位置する。
【0054】
磁性体303は、支持爪311と支持用ブロック312とにより、錐体301および筐体300に対して固定される。より具体的には、磁性体303の上端は、支持爪311に係着される。磁性体303の下端は、例えば、ボルトおよびナット313により、支持用ブロック312に固定される。
【0055】
送電コイル302は、第1送電コイル302aと第2送電コイル302bの少なくともいずれかを含む。
【0056】
第1送電コイル302aは、筐体300内の、着陸面305の下部で巻回される。したがって、巻回された第1送電コイル302aは、非真円形の環状に配置される。巻回された第1送電コイル302aの内側に、磁性体303の少なくとも一部が位置する。第1送電コイル302aの少なくとも一部は、ドローン2が着陸面305に着陸したときに、磁性体303の周囲を巻回した状態で、ドローン2の受電コイル206の少なくとも一部と、脚部204および着陸面305を介して対向する。
【0057】
第2送電コイル302bは、錐体301内で、錐体301の側面301sの内周に沿って巻回される。したがって、巻回された第2送電コイル302bは、非真円形の環状に配置される。巻回された第2送電コイル302bの内側に、磁性体303の少なくとも一部が位置する。第2送電コイル302bの少なくとも一部は、ドローン2が着陸面305に着陸したときに、磁性体303の周囲を巻回した状態で、ドローン2の受電コイル206の少なくとも一部と、脚部204および側面301sを介して対向する。
【0058】
なお、第1送電コイル302aは、例えば、第2送電コイル302bよりも優先して、無線送電装置3に設けられる。
【0059】
図4は、ドローン2の構成例を示す(a)上面図、(b)正面図、および(c)側面図である。なお、図4(a)では、ドローン2の天板202、受電処理装置205、および回転翼Pの図示は省略されている。
【0060】
図4に示すように、ドローン2の脚部203と脚部204とは連結され、ドローン本体201のフレームを構成する。
【0061】
脚部204は、ドローン2が無線送電装置3に着陸した場合に、着陸面305に載置される。図4(a)に示すように、脚部204は、非真円形の環状である。より詳しくは、脚部204の内側形状および外側形状は、非真円形の環状である。脚部204の内側形状は、例えば、長方形である。脚部204の外側形状は、内側形状と短辺と長辺の比が概ね等しい長方形である。脚部204の内側形状および外側形状は、無線送電装置3の上部が挿入可能な形状であればよく、長方形に限らず、楕円、四角形、三角形、五角形等であってもよい。なお、脚部204の内側形状および外側形状の辺や角は、丸みをおびていてもよい。また、図4(b)および(c)に示すように、脚部204はドローン2の垂直方向の最下部に位置する。
【0062】
受電コイル206は、図4(a)に示すように、環状の脚部204内において、脚部204の形状に沿って巻回されている。したがって、巻回された受電コイル206は、非真円形の環状に配置される。受電コイル206は、脚部204に内蔵されるので、ドローン2の垂直方向の略最下部に位置する。
【0063】
以上の構成により、ドローン2が着陸面305に着陸している間、無線送電装置3はドローン2に対して無線で電力を伝送可能である。ドローン2の受電コイル206は、ドローン2の最下部にあって、着陸面305に載置される脚部204に内蔵される。また、無線送電装置3の送電コイル302の少なくとも一部は、着陸面305の下部に設けられる。
【0064】
ドローン2が着陸面305に着陸した場合、送電コイル302と受電コイル206とは、磁性体303の周囲を巻回した状態で、脚部204および着陸面305を介して対向する。この状態において、送電回路306が送電コイル302に高周波電流を供給した場合、交番磁界が発生する。交番磁界により生ずる磁束のうち、多くの磁束は、磁性体303を通過する。この磁束による電磁誘導作用により、受電コイル206に、高周波電流と同一周波数の交流電流が流れる。この交流電流が受電コイル206から受電処理装置205に送出される。交流電流は、受電処理装置205において、必要に応じて直流に変換され、あるいは周波数変換され、ドローン2に搭載されている電気機器に供給される。
【0065】
また、電力供給のための受電コイル206と送電コイル302とがドローン2の最下部にある脚部204から下方に設けられ、錐体301の高さを低くすることができるので、例えば、ドローン本体201内に搭載される搬送物5が無線送電装置3(錐体301および筐体300)と干渉する可能性を低減できる。したがって、無線給電システム1では、搬送物5に関わらず高効率で無線給電できる。
【0066】
次いで、無線給電システム1における給電のための構成について具体的に説明する。
【0067】
図5は、無線送電装置3とドローン2における給電のための構成例を示すブロック図である。無線送電装置3は、送電回路306と送電コイル302とを備える。ドローン2は、受電コイル206と受電処理装置205とを備える。
【0068】
送電回路306は、高周波の電流を発生させる回路である。送電回路306は、直流電源503、インバータ504、および受動素子回路505を含む。直流電源503は、直流電力を生成する。インバータ504は、直流電源503によって生成された直流電力から交流電流を生成する。受動素子回路505は、例えば、ローパスフィルタと送電共振器とを備える。ローパスフィルタは、互いに直列に接続された2つのインダクタと、これらインダクタの間に並列に接続されたキャパシタとを含む。ローパスフィルタは、インバータ504等の出力波形が有する高調波を低減すると共に、当該インバータ504の出力インピーダンスと、送電共振器とのインピーダンスの調整変換を行う。
【0069】
送電コイル302は、受動素子回路505を介して入力された交流電流に基づく交番磁界を発生させる。ドローン2が筐体300の着陸面305に着陸した場合、発生した交番磁界は、ドローン2の受電コイル206に結合する。これにより、送電コイル302は、受電コイル206を介して、ドローン2に電力を伝送可能である。なお、送電に用いられる周波数によっては、送電コイル302との共振周波数を送電に用いる周波数に近付けるため、送電コイル302に直列もしくは並列、または直並列に接続された少なくとも1つのキャパシタを設けることが考えられる。
【0070】
受電コイル206は、送電コイル302による近傍磁界を介した電磁誘導により、高周波電流を受信する。なお、送電に用いられる周波数によっては、受電コイル206との共振周波数を送電に用いる周波数に近付けるため、受電コイル206に直列もしくは並列、または直並列に接続された少なくとも1つのキャパシタを設けることが考えられる。
【0071】
受電処理装置205は、受電回路512と電池/電気機器513とを含む。受電回路512は、受動素子回路514、整流回路515、および平滑回路516を含む。受動素子回路514は、例えば、互いに直列に接続された2つのインダクタと、これらインダクタの間に並列に接続されたキャパシタとを備える。整流回路515は、受動素子回路514から入力された交流電流を整流する。整流回路515は、例えば、4つのダイオードによるダイオードブリッジで構成される。受動素子回路514は、受電共振器とローパスフィルタとを含む。ローパスフィルタは、整流回路515から受電共振器へ反射する高調波成分を低減すると共に、整流回路515およびそれ以降の回路に対するインピーダンスと、受電共振器とのインピーダンスの調整変換を行う。整流回路515で整流された電力信号は、平滑回路516で平滑化され、電池/電気機器513に供給される。平滑回路516は、例えば、コンデンサにより構成される。電池/電気機器513は、充電池、またはモーター等の電気機器のような負荷である。
【0072】
以上の構成により、無線送電装置3は、筐体300の着陸面305に着陸したドローン2に対して、無線で電力を供給できる。
【0073】
以上説明したように、実施形態に係る無線給電システム1によれば、搬送物に関わらず高効率で無線給電できる。無線給電システム1は、水平面回転翼により飛行可能な移動体(ドローン)2と、無線送電装置3とで構成される。移動体2は、環状の脚部204と、環状の受電コイル206とを備える。脚部204は、移動体2の垂直方向の最下部に位置する。受電コイル206は、脚部204内に設けられる。無線送電装置3は、筐体300と、環状の送電コイル302とを備える。筐体300は、移動体2が無線送電装置3に着陸した場合に脚部204が載置される水平な着陸面305を含む。送電コイル302は、筐体300内の、着陸面305の下部に設けられる。移動体2が無線送電装置3に着陸した場合、送電コイル302の少なくとも一部と受電コイル206の少なくとも一部とは、着陸面305を介して対向する。
【0074】
これにより、電力供給のための受電コイル206と送電コイル302とが、移動体2の垂直方向の最下部にある脚部204から下方に設けられるので、例えば、移動体2の内部に搭載される搬送物5が、無線送電装置3(より詳しくは、錐体301および筐体300)と干渉する可能性を低減できる。したがって、無線給電システム1では、搬送物5に関わらず高効率で無線給電できる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1…無線給電システム、2…移動体(ドローン)、3…無線送電装置、5…搬送物、201…ドローン本体、202…天板、203,204…脚部、205…受電処理装置、206…受電コイル、P…回転翼、300…筐体、301…錐体、302…送電コイル、303…磁性体、304…上面、305…着陸面、306…送電回路、307…ダミーループ、308…リム。
図1
図2
図3
図4
図5