(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059337
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】水素循環システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240423BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240423BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04746
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166956
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 将也
(72)【発明者】
【氏名】正木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福山 了介
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB04
5H127AC09
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA57
5H127BA59
5H127BA60
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127DC18
5H127EE18
(57)【要約】
【課題】水素循環システムを小規模化すること。
【解決手段】水素循環システム51において、水素循環路72には、逆止弁55と、分岐路53とが設けられている。逆止弁55は、ルーツポンプ10と第1の気液分離器64との間に設けられている。逆止弁55は、水素の流れる方向を規制する。分岐路53は、ルーツポンプ10と逆止弁55との間から分岐する第1分岐部531と、第1分岐部531からルーツポンプ10を跨いで水素循環路72に接続される第2分岐部532とを有する。ルーツポンプ10と分岐路53とを含む閉ループQには、水素と水分とを分離させる第2の気液分離器39が設けられている。第2分岐部532には、水素の流れを閉ループQに切り替える切替弁52が設けられている。切替弁52は、制御部54によって制御されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池に水素を供給する水素供給路と、
前記燃料電池から排出された水素を前記水素供給路に戻す水素循環路と、
前記水素循環路に設けられ、前記燃料電池から排出された水素と水分とを分離させる第1の気液分離器と、
前記水素循環路に設けられ、前記第1の気液分離器から排出された水素を吸入し、前記水素供給路に向けて水素を吐出するポンプと、
前記ポンプを制御する制御部と、を有する水素循環システムにおいて、
前記水素循環路には、
前記ポンプと前記第1の気液分離器との間に設けられ、水素の流れる方向を規制する逆止弁と、
前記ポンプと前記逆止弁との間から分岐するように前記水素循環路に接続される第1分岐部と、前記第1分岐部から前記ポンプを跨いで前記水素循環路に接続される第2分岐部とを繋ぐ分岐路と、が設けられ、
前記ポンプと前記分岐路とを含む閉ループには、水素と水分とを分離させる第2の気液分離器が設けられ、
前記第2分岐部には、水素の流れを前記閉ループに切り替える切替弁が設けられ、
前記切替弁は、前記制御部によって制御されている水素循環システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記燃料電池から前記水素供給路に水素を戻す場合、前記ポンプの駆動によって前記燃料電池から排出された水素を前記水素供給路に戻すように前記切替弁を制御し、
前記燃料電池から前記水素供給路に水素を戻さない場合、所定の時間だけ前記ポンプの駆動によって前記閉ループに水素が流れるように前記切替弁を制御し、前記所定の時間経過後に前記ポンプを停止する請求項1に記載の水素循環システム。
【請求項3】
前記第2の気液分離器は、前記水素循環路における前記ポンプの吸入側、又は前記分岐路に設けられている請求項2に記載の水素循環システム。
【請求項4】
前記第2の気液分離器は、前記ポンプと一体的に設けられている請求項3に記載の水素循環システム。
【請求項5】
前記第2の気液分離器には排水路が接続されるとともに、前記排水路には、当該排水路を開閉する開閉弁が設けられている請求項3に記載の水素循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1の燃料電池システムは、燃料電池システムの運転停止時に、ルーツ式水素循環ポンプの凍結を抑制するための制御を実行する。
特許文献1に開示の燃料電池システムは、燃料電池と、気液分離器と、ルーツ式水素循環ポンプと、制御部と、を有する。ルーツ式水素循環ポンプの凍結を抑制するため、燃料電池システムの停止時、制御部は、ルーツ式水素循環ポンプを第1回転数で駆動させる。さらに、制御部は、予め定められた時間経過後に、第1回転数よりも低い第2回転数でルーツ式水素循環ポンプを駆動させる。
【0003】
第1回転数でルーツ式水素循環ポンプが駆動すると、ルーツ式水素循環ポンプの吸入側の残留水が低減する。これにより、気液分離器が低温時に凍結する可能性を減らすことができる。また、予め定められた時間経過後、第1回転数より低い第2回転数でルーツ式水素循環ポンプが駆動することで、吸入側の残留水を巻き上げることが抑制されるとともに、ルーツ式水素循環ポンプに残留する水を規定量以下に低減できる。これにより、低温時のルーツ式水素循環ポンプの凍結を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃料電池システムの停止時、ルーツ式水素循環ポンプが第1回転数又は第2回転数で駆動するため、燃料電池システム全体を水素が流れる。このため、特許文献1では、ルーツ式水素循環ポンプの凍結を抑制するために、燃料電池システム全体に水素を流す必要がある。よって、特許文献1は、ルーツ式水素循環ポンプの凍結を抑制するためのシステムが大規模化している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための水素循環システムは、燃料電池と、前記燃料電池に水素を供給する水素供給路と、前記燃料電池から排出された水素を前記水素供給路に戻す水素循環路と、前記水素循環路に設けられ、前記燃料電池から排出された水素と水分とを分離させる第1の気液分離器と、前記水素循環路に設けられ、前記第1の気液分離器から排出された水素を吸入し、前記水素供給路に向けて水素を吐出するポンプと、前記ポンプを制御する制御部と、を有する水素循環システムにおいて、前記水素循環路には、前記ポンプと前記第1の気液分離器との間に設けられ、水素の流れる方向を規制する逆止弁と、前記ポンプと前記逆止弁との間から分岐するように前記水素循環路に接続される第1分岐部と、前記第1分岐部から前記ポンプを跨いで前記水素循環路に接続される第2分岐部とを繋ぐ分岐路と、が設けられ、前記ポンプと前記分岐路とを含む閉ループには、水素と水分とを分離させる第2の気液分離器が設けられ、前記第2分岐部には、水素の流れを前記閉ループに切り替える切替弁が設けられ、前記切替弁は、前記制御部によって制御されている。
【0007】
これによれば、制御部による切替弁の制御により、水素の流れを閉ループに切り替えることができる。すると、閉ループに残留する水素は、閉ループを流れて第2の気液分離器に流入する。第2の気液分離器により、水素から水分が分離される。水分の分離された水素は、乾燥ガスとして、閉ループを流れる。逆止弁により、乾燥ガスの水素循環路での逆流が抑制されるため、乾燥ガスは閉ループを流れる。その結果、閉ループを流れる乾燥ガスにより、ポンプが乾燥される。例えば、ポンプを乾燥させるため、水素を、水素循環路から水素供給路及び燃料電池にまで戻して燃料電池システム全体に流す場合と比べると、水素循環システムを小規模化できる。
【0008】
水素循環システムについて、前記制御部は、前記燃料電池から前記水素供給路に水素を戻す場合、前記ポンプの駆動によって前記燃料電池から排出された水素を前記水素供給路に戻すように前記切替弁を制御し、前記燃料電池から前記水素供給路に水素を戻さない場合、所定の時間だけ前記ポンプの駆動によって前記閉ループに水素が流れるように前記切替弁を制御し、前記所定の時間経過後に前記ポンプを停止してもよい。
【0009】
これによれば、制御部によって切替弁を制御することにより、水素を水素供給路に戻すときは、閉ループに水素を流さないようにできる。このため、水素供給路に戻す水素の量が減ることを抑制できる。一方、水素を水素供給路に戻さないときは、閉ループに水素を流すことができる。このため、ポンプの駆動によって流れる水素の全てを閉ループに流すことができる。よって、水分の分離された水素により、ポンプを効率良く乾燥できる。さらに、制御部は、所定の時間経過後にポンプを停止させる。このため、ポンプを無駄に駆動させることを無くして、無駄な電力消費を抑制できる。
【0010】
水素循環システムについて、前記第2の気液分離器は、前記水素循環路における前記ポンプの吸入側、又は前記分岐路に設けられていてもよい。
これによれば、ポンプには、第2の気液分離器によって水分の分離された水素が流入する。このため、ポンプを乾燥させやすい。
【0011】
水素循環システムについて、前記第2の気液分離器は、前記ポンプと一体的に設けられていてもよい。
これによれば、例えば、第2の気液分離器がポンプと別体である場合と比べて、水素循環システムを小規模化しやすい。
【0012】
水素循環システムについて、前記第2の気液分離器には排水路が接続されるとともに、前記排水路には、当該排水路を開閉する開閉弁が設けられていてもよい。
これによれば、第2の気液分離器に水分が溜まり続けることを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水素循環システムを小規模化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態のルーツポンプを示す断面図である。
【
図2】第1の実施形態の水素循環システムを示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態のロータ及びロータ室を示す断面図である。
【
図4】乾燥モードでの水素循環システムを説明するための図である。
【
図5】第2の実施形態のルーツポンプを示す部分断面図である。
【
図6】第2の実施形態の水素循環システムを示すブロック図である。
【
図7】第2の実施形態のロータ及びロータ室を示す断面図である。
【
図8】乾燥モードでの水素循環システムを説明するための図である。
【
図9】別例の水素循環システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
水素循環システムを具体化した第1の実施形態の
図1~
図4にしたがって説明する。
図1及び
図2示すように、水素循環システム51は、燃料電池システム60に設けられている。燃料電池システム60は、燃料電池車に搭載されている。燃料電池システム60は、酸素及び水素を用いて発電する。
【0016】
<ルーツポンプの全体>
まず、水素循環システム51及び燃料電池システム60が有するポンプとしてのルーツポンプ10について説明する。
【0017】
図1に示すように、ルーツポンプ10は、筒状のハウジング11を有する。ハウジング11は、モータハウジング12と、ギアハウジング13と、ロータハウジング14と、第1カバー部材15と、第2カバー部材40と、を有する。モータハウジング12、ギアハウジング13、ロータハウジング14、第1カバー部材15、及び第2カバー部材40の各々は、金属製である。
【0018】
モータハウジング12は、ギアハウジング13と連結されている。また、ロータハウジング14は、ギアハウジング13と連結されている。第1カバー部材15は、ロータハウジング14と連結されている。第2カバー部材40は、第1カバー部材15と連結されている。
【0019】
モータハウジング12は、板状の底壁12aと、底壁12aの外周部から筒状に延びる周壁12bと、を有する。ギアハウジング13は、板状の底壁13aと、底壁13aの外周部から筒状に延びる周壁13bと、を有する。ギアハウジング13の底壁13aには、一対の第1凹部13cが形成されている。一対の第1凹部13cの各々は、ギアハウジング13の内底面から円形状に凹む。
【0020】
ロータハウジング14は、板状の底壁14aと、底壁14aの外周部から筒状に延びる周壁14bと、を有する。ロータハウジング14の底壁14aには、一対の第2凹部14cが形成されている。一対の第2凹部14cの各々は、底壁14aの端面から円形状に凹む。一対の第2凹部14cの各々は、一対の第1凹部13cの各々と同軸上に位置している。第1カバー部材15は、板状である。第1カバー部材15は、内壁面15aと外壁面15bと、を有する。第2カバー部材40は、筒状である。
【0021】
ギアハウジング13の底壁13aとモータハウジング12の周壁12bとが突き合わされている。ロータハウジング14の底壁14aとギアハウジング13の周壁13bとが突き合わされている。第1カバー部材15とロータハウジング14の周壁14bとが突き合わされている。第2カバー部材40と第1カバー部材15とが突き合わされている。
【0022】
ハウジング11には、ギア室24が画定されている。ギア室24は、ギアハウジング13の底壁13a、ギアハウジング13の周壁13b、及びロータハウジング14の底壁14aによって画定されている。
【0023】
ハウジング11には、ロータ室25が画定されている。ロータ室25は、ロータハウジング14の底壁14a、ロータハウジング14の周壁14b、及び第1カバー部材15によって画定されている。ハウジング11は、一対のロータ室端面26を有する。一対のロータ室端面26のうちの一方は、ロータハウジング14の底壁14aの内壁面14eによって形成されるとともに、一対のロータ室端面26のうちの他方は、第1カバー部材15の内壁面15aによって画定されている。一対のロータ室端面26は、ロータ室25を挟んで互いに反対側に位置する。
【0024】
ハウジング11には、モータ室12cが画定されている。モータ室12cは、モータハウジング12の底壁12a、モータハウジング12の周壁12b、及びギアハウジング13の底壁13aによって画定されている。
【0025】
ハウジング11には、気液分離室41が画定されている。気液分離室41は、第1カバー部材15の外壁面15bと、第2カバー部材40の内面によって画定されている。
ルーツポンプ10は、回転軸16としての駆動軸16a及び従動軸16bを有する。駆動軸16a及び従動軸16bは、金属製である。駆動軸16aと従動軸16bは平行である。回転軸16の軸心Lの延びる方向を軸方向とする。駆動軸16aは、ギアハウジング13の底壁13a及びロータハウジング14の底壁14aを貫通している。従動軸16bは、ロータハウジング14の底壁14aを貫通している。
【0026】
一対の第1軸受31は、ギアハウジング13の底壁13aに配置されている。一対の第1軸受31の一方は、一方の第1凹部13cに圧入されているとともに、一対の第1軸受31の他方は、他方の第1凹部13cに圧入されている。一対の第2軸受32は、ロータハウジング14の底壁14aに配置されている。一対の第2軸受32の一方は、一方の第2凹部14cに圧入されているとともに、一対の第2軸受32の他方は、他方の第2凹部14cに圧入されている。第3軸受33は、モータハウジング12の底壁12aに配置されている。駆動軸16aは、一方の第1軸受31、一方の第2軸受32及び第3軸受33を介してハウジング11に回転可能に支持されている。従動軸16bは、他方の第1軸受31、及び他方の第2軸受32を介してハウジング11に回転可能に支持されている。
【0027】
第1シール部材17aは、ギアハウジング13の底壁13aに設けられている。第1シール部材17aは、一方の第1凹部13cに圧入されている。第1シール部材17aは、駆動軸16aとギアハウジング13の底壁13aとの間をシールする。第1シール部材17aは、ギア室24とモータ室12cとの間をシールする。一対の第2シール部材17bは、ロータハウジング14の底壁14aに設けられている。一対の第2シール部材17bの各々は、第2凹部14cに圧入されている。第2シール部材17bは、回転軸16と底壁14aとの間をシールする。第2シール部材17bは、ギア室24とロータ室25との間をシールする。
【0028】
ルーツポンプ10は、駆動軸16aを回転させる電動モータ50を有する。電動モータ50は、モータ室12cに収容されている。電動モータ50は、駆動軸16aを回転させる。
【0029】
ルーツポンプ10は、動力伝達機構Gを有する。動力伝達機構Gは、駆動ギア18と従動ギア19と、を有する。駆動ギア18は、駆動軸16aに固定されている。従動ギア19は、従動軸16bに固定されている。駆動ギア18及び従動ギア19は、ギア室24に収容されている。したがって、動力伝達機構Gは、ハウジング11に収容されている。従動ギア19は、駆動ギア18と噛み合って回転する。従動軸16bは、動力伝達機構Gによって駆動軸16aと逆方向に回転する。
【0030】
ルーツポンプ10は、第2の気液分離器39を有する。なお、第1の気液分離器64については後述する。第2の気液分離器39はルーツポンプ10と一体的に設けられている。第2の気液分離器39は、気液分離室41と、気液分離室41に配置された分離筒42と、吸入口43と、を有する。分離筒42は、円筒状である。吸入口43は、第2カバー部材40に形成されている。吸入口43は、分離筒42に対向している。気液分離室41には、吸入口43を経由して水素が流入する。吸入口43から気液分離室41に流入した水素は、分離筒42に衝突する。分離筒42に対する水素の衝突により、水素に含まれる水分が、水素から分離される。したがって、第2の気液分離器39は、水素から水分を分離する。
【0031】
なお、第2の気液分離器39による気液分離は、分離筒42に対する水素の衝突による分離方式に限らない。例えば、気液分離室41に流入した水素を遠心筒の周囲を周回させて、水素に含まれる水分を遠心分離する方式でもよい。要は、水素から水分を分離できれば、第2の気液分離器39による気液分離の方式は任意である。
【0032】
図3に示すように、ルーツポンプ10は、ポンプ部38を有する。ポンプ部38は、ロータ室25と、一対のロータ22と、一対の回転軸16と、吸入孔45と、吐出孔46と、を有する。吸入孔45は、第1カバー部材15に形成されている。吐出孔46は、ロータハウジング14の周壁14bに形成されている。吸入孔45は、第2の気液分離器39の気液分離室41とロータ室25とを連通させる。気液分離室41の水素は、吸入孔45を経由してロータ室25に吸入される。ロータ室25に吸入された水素は、吐出孔46を経由してロータ室25外へ吐出される。
【0033】
一対のロータ22の各々は、二葉まゆ形のロータである。一対のロータ22は、駆動ロータ20と、従動ロータ21である。駆動ロータ20は、駆動ギア18によって回転されるロータである。従動ロータ21は、従動ギア19によって回転されるロータである。一対のロータ22は、ロータ室25に収容されている。駆動ロータ20は、駆動軸16aに取り付けられている。従動ロータ21は、従動軸16bに取り付けられている。従動ロータ21は、駆動ロータ20とともに回転する。したがって、駆動ロータ20と従動ロータ21は、ロータ室25内で互いに逆方向へ回転される一対のロータ22である。
【0034】
図1及び
図3に示すように、ロータ22は、一対のロータ端面22cを有する。一対のロータ端面22cは、ロータ22の軸方向の両端面である。一方のロータ端面22cは、底壁14aの内壁面14eにクリアランスを介して対向するとともに、他方のロータ端面22cは、第1カバー部材15の内壁面15aにクリアランスを介して対向する。したがって、ロータ22とロータ室25の内面との間には、回転軸16の軸方向へのクリアランスが画定されている。
【0035】
ルーツポンプ10では、ロータ室25内で、駆動ロータ20と従動ロータ21が互いに逆方向へ回転すると、気液分離室41の水素は、吸入孔45を経由してロータ室25に吸入される。吸入された水素は、ロータ22の先端部によって閉じ込められる。閉じ込められた水素は、閉じ込められたまま、吐出孔46に向けて送られる。閉じ込められた水素は、吐出孔46から吐出される。
【0036】
上記ルーツポンプ10の駆動は、制御部54によって制御される。制御部54は、ルーツポンプ10の駆動と、駆動の停止とを切り替える。
<燃料電池システム>
次に、上記ルーツポンプ10を有する燃料電池システム60について説明する。
【0037】
図2に示すように、燃料電池システム60は、ルーツポンプ10と、切替弁52と、分岐路53と、制御部54と、逆止弁55と、燃料電池61と、水素タンク62と、エアコンプレッサ63と、第1の気液分離器64と、水素供給路71と、水素循環路72と、空気供給路73と、を有する。なお、燃料電池システム60に含まれる水素循環システム51は、燃料電池61と、水素供給路71と、水素循環路72と、第1の気液分離器64と、第2の気液分離器39を有するルーツポンプ10と、切替弁52と、分岐路53と、制御部54と、逆止弁55と、を有する。さらに、水素循環システム51は、排水路65と、電磁弁66とを有していてもよい。
【0038】
燃料電池61は、複数の電池セルが積層されることにより構成された燃料電池スタックである。燃料電池61は、例えば、固体高分子型燃料電池である。燃料電池61は、図示しないアノード極と、カソード極と、電解質膜と、を有する。燃料電池61は、アノード極に供給される燃料ガスとしての水素と、カソード極に供給される酸化剤ガスとしての酸素と、を化学反応させることにより発電する。燃料電池61では、水素と酸素とが化学反応することにより生成水が発生する。
【0039】
水素タンク62は、燃料電池61に供給するための水素を貯留する。水素供給路71は、燃料電池61のアノード極と水素タンク62とを接続する配管である。水素供給路71は、燃料電池61に水素を供給する。水素タンク62に貯留された水素は、水素供給路71を経由して燃料電池61のアノード極に供給される。したがって、水素供給路71には、燃料電池61に供給される水素が流れる。水素供給路71には、開閉弁71a及び圧力調整弁71bが設けられている。開閉弁71aは、水素供給路71を開閉させる。圧力調整弁71bは、燃料電池61に供給される水素の圧力を調整する。
【0040】
エアコンプレッサ63は、大気中の空気を燃料電池61に供給する。空気供給路73は、エアコンプレッサ63と燃料電池61のカソード極とを接続する配管である。空気供給路73は、燃料電池61に酸素を供給する。大気中の酸素を含む空気は、エアコンプレッサ63によって、空気供給路73を経由して燃料電池61のカソード極に供給される。
【0041】
水素循環路72は、水素供給路71と燃料電池61とを接続する。水素循環路72は、配管である。水素循環路72の第1端721は、燃料電池61のアノード極に接続されている。水素循環路72の第2端722は、水素供給路71に接続されている。水素循環路72は、燃料電池61から排出された水素を水素供給路71に戻すために設けられている。
【0042】
水素循環路72には、第1の気液分離器64と、ルーツポンプ10と、切替弁52と、逆止弁55とが設けられている。ルーツポンプ10のポンプ部38は、水素循環路72上において、燃料電池61のアノード極から排出された水素を吸入して吐出する。ルーツポンプ10のポンプ部38は、水素循環路72を流れる水素を水素供給路71に送る。したがって、ルーツポンプ10は、水素循環路72で水素を流すために水素循環路72に設けられている。水素循環路72において、ルーツポンプ10によって水素が流れる方向を、水素の流れ方向Jとする。
【0043】
水素循環路72は、第1流路72aと、第2流路72bと、第3流路72cと、第4流路72dと、を有する。第1流路72aは、燃料電池61のアノード極と第1の気液分離器64とを接続する。第1流路72aの一端としての第1端721は、燃料電池61のアノード極に接続されるとともに、第1流路72aの他端は第1の気液分離器64に接続されている。したがって、流れ方向Jにおいて、第1の気液分離器64は、燃料電池61の下流に設けられている。また、第1の気液分離器64は、水素循環路72に設けられている。
【0044】
第1の気液分離器64には、第1流路72aを経由して、燃料電池61のアノード極から排出された水素が流入する。第1の気液分離器64は、水素に含まれる水分である生成水を水素から分離する。したがって、第1の気液分離器64は、燃料電池61から排出された水素と水分とを分離させる。第1の気液分離器64による気液分離の方式は、分離筒に対する水素の衝突による分離方式でもよいし、遠心筒の周囲に水素を周回させる遠心分離方式でもよい。要は、水素から水分を分離できれば、第1の気液分離器64による気液分離の方式は任意である。
【0045】
第2流路72bは、第1の気液分離器64とルーツポンプ10とを接続する。第2流路72bの一端は第1の気液分離器64に接続されるとともに、第2流路72bの他端は、ルーツポンプ10の吸入口43に接続されている。このため、第2流路72bは、ルーツポンプ10の吸入側となる第2の気液分離器39に接続されている。第2の気液分離器39の気液分離室41には、第2流路72b及び吸入口43を経由して、第1の気液分離器64で水分の分離された水素が流入する。したがって、第2の気液分離器39は、水素循環路72におけるルーツポンプ10の吸入側に設けられている。そして、上記したように、吸入口43から気液分離室41に流入した水素に含まれる水分は、分離筒42に対する水素の衝突により、水素から分離される。
【0046】
第3流路72cは、ルーツポンプ10と切替弁52とを接続する。第3流路72cの一端は、ルーツポンプ10の吐出孔46に接続されるとともに、第3流路72cの他端は、切替弁52に接続されている。したがって、第3流路72cは、ポンプ部38の吐出孔46と切替弁52とに接続されている。よって、ルーツポンプ10は、第1の気液分離器64から排出された水素を第2流路72b及び吸入口43を経由して吸入するとともに、第3流路72cを経由して水素供給路71に向けて水素を吐出する。
【0047】
水素循環路72において、第2流路72bは、流れ方向Jにおける第3流路72cよりも上流である。このため、第2流路72bに接続された第2の気液分離器39は、水素循環路72において、第3流路72cに接続されたポンプ部38よりも上流に設けられている。
【0048】
切替弁52は、三方弁である。切替弁52は、第1ポート52aと、第2ポート52bと、第3ポート52cと、を有する。第1ポート52aには、第3流路72cの他端が接続されている。第2ポート52bには、第4流路72dが接続されている。したがって、第4流路72dは、切替弁52と水素供給路71とを接続する。詳細には、第4流路72dの一端は、切替弁52の第2ポート52bに接続されるとともに、第4流路72dの他端は水素供給路71に接続されている。第4流路72dと水素供給路71とは合流箇所Hによって接続されている。したがって、切替弁52は、流れ方向Jにおけるルーツポンプ10より下流、かつ水素供給路71と水素循環路72との合流箇所Hより上流に設けられている。切替弁52の第3ポート52cには、分岐路53が接続されている。分岐路53は、後述する。
【0049】
切替弁52は、第1ポート52aを第2ポート52bに連通させる第1位置P1と、第1ポート52aを第3ポート52cに連通させる第2位置P2とに切り替え可能である。切替弁52が第1位置P1に切り替えられると、第1ポート52aから切替弁52に流入した水素は、第2ポート52bを経由して第4流路72dに流れる。切替弁52が第2位置P2に切り替えられると、第1ポート52aから切替弁52に流入した水素は、第3ポート52cを経由して分岐路53に流れる。第1位置P1又は第2位置P2の切替弁52の切り替えは、制御部54によって行われる。したがって、切替弁52は、制御部54によって制御されている。
【0050】
燃料電池61の発電時、燃料電池61から水素供給路71に水素を戻す場合、制御部54は、切替弁52を第1位置P1に切り替える。燃料電池61の発電停止時、つまり、燃料電池61から水素供給路71に水素を戻さない場合、ルーツポンプ10によって、水素を分岐路53に流すため、制御部54は、切替弁52を第2位置P2に切り替える。したがって、切替弁52は、切替弁52に流入した水素を水素供給路71に流す第1位置P1と、切替弁52に流入した水素を分岐路53に流す第2位置P2とに、制御部54によって切り替え可能である。言い換えると、制御部54は、切替弁52に流入した水素を水素供給路71に戻す第1位置P1と、切替弁52に流入した水素を分岐路53に流す第2位置P2とに、切替弁52を切り替える。
【0051】
分岐路53は、切替弁52と第2流路72bとを接続する配管である。分岐路53の第1端53aは、切替弁52の第3ポート52cに接続されるとともに、分岐路53の第2端53bは、第2流路72bに接続されている。分岐路53は、第2端53bから第1端53aに向かうに従い第2流路72bから分岐している。分岐路53において、第2端53bを含む端部は、第2流路72bから分岐する第1分岐部531である。第1分岐部531は、水素循環路72における第2流路72bに接続されている。
【0052】
分岐路53は、第1端53aから第2端53bに向かうに従い切替弁52から分岐している。分岐路53において、第1端53aを含む端部は、切替弁52を介して水素循環路72から分岐する第2分岐部532である。したがって、第2分岐部532は、切替弁52を介して水素循環路72に接続されている。第2分岐部532は、第1分岐部531からルーツポンプ10を跨いで水素循環路72に接続されている。
【0053】
詳細に説明すると、第1分岐部531を含む第2端53bは、水素循環路72の第2流路72bにおいて、流れ方向Jにおけるルーツポンプ10より上流、かつ逆止弁55より下流に接続されている。したがって、第1分岐部531は、ルーツポンプ10と逆止弁55との間から分岐するように水素循環路72に接続されている。分岐路53には、第2位置P2にある切替弁52を経由して水素が流れる。分岐路53を流れる水素は、水素循環路72の流れ方向Jにおけるルーツポンプ10の上流に戻される。
【0054】
切替弁52が第2位置P2にあるとき、水素循環システム51には、切替弁52と分岐路53とを含む閉ループQが形成される。閉ループQは、水素循環路72における第1分岐部531から切替弁52までの部分と、その部分に設けられたルーツポンプ10と、切替弁52と、分岐路53における第2分岐部532から第1分岐部531までの部分と、から形成されている。したがって、閉ループQが形成されると、ルーツポンプ10から吐出された水素は、水素循環路72の第3流路72cから切替弁52に流入した後、第2分岐部532から分岐路53に流入する。分岐路53に流入した水素は、第1分岐部531から水素循環路72の第2流路72bに流入した後、ルーツポンプ10に流入する。よって、第2分岐部532には、水素の流れを閉ループQに切り替える切替弁52が設けられている。
【0055】
閉ループQを形成する水素循環路72の一部分には、ルーツポンプ10が設けられている。ルーツポンプ10には、第2の気液分離器39が一体に設けられている。したがって、閉ループQには、水素と水分とを分離させる第2の気液分離器39が設けられている。
【0056】
燃料電池61から水素供給路71に水素を戻す場合、切替弁52が第1位置P1に切り替えられると、水素は、閉ループQに流れない。一方、燃料電池61から水素供給路71に水素を戻さない場合、切替弁52が第2位置P2に切り替えられると、水素は、閉ループQを流れる。
【0057】
逆止弁55は、水素循環路72の第2流路72bに設けられている。逆止弁55は、第2流路72bにおいて、流れ方向Jにおける燃料電池61及び第1の気液分離器64より下流、かつルーツポンプ10より上流に設けられている。さらに、逆止弁55は、分岐路53の第1分岐部531、つまり第2端53bより上流に設けられている。したがって、分岐路53は、水素循環路72での流れ方向Jにおけるルーツポンプ10より上流、かつ逆止弁55より下流と、切替弁52とを接続する。ルーツポンプ10が備える第2の気液分離器39は、水素循環路72において、流れ方向Jにおける逆止弁55より下流、かつ切替弁52より上流に設けられている。
【0058】
逆止弁55は、水素循環路72での流れ方向Jへの水素の流れを可能にする一方で、水素循環路72での流れ方向Jと逆方向への水素の流れを阻止する。したがって、逆止弁55は、ルーツポンプ10と第1の気液分離器64との間に設けられているとともに、水素循環路72での水素の流れる方向を規制する。
【0059】
排水路65の第1端65aは、ルーツポンプ10の第2の気液分離器39に接続されている。具体的には、排水路65の第1端65aは、第2カバー部材40の底部に接続されている。排水路65の第2端65bは、第1の気液分離器64に接続されている。この場合、ルーツポンプ10の第2の気液分離器39は、第1の気液分離器64よりも上方に配置されているとともに、排水路65は、第2の気液分離器39から第1の気液分離器64に向けて鉛直又は下り傾斜して設けられている。
【0060】
電磁弁66は、排水路65を開閉する開閉弁である。電磁弁66は、開位置と閉位置とを取る。電磁弁66の開位置では、気液分離室41に溜まった水分は、第2カバー部材40の底部から排水路65に排出される。排水路65に排出された水分は、第1の気液分離器64に排出される。電磁弁66の閉位置では、気液分離室41から水分は排出されずに、気液分離室41に溜まる。
【0061】
制御部54は、燃料電池車を制御する車両ECUである。制御部54は、燃料電池システム60を制御するとともに、水素循環システム51を制御する。
制御部54は、プロセッサと記憶部とを有している。記憶部は、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部54は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部54は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0062】
制御部54は、水素循環システム51のルーツポンプ10、切替弁52及び電磁弁66を制御する。制御部54は、ルーツポンプ10、切替弁52及び電磁弁66と信号接続されている。制御部54は、ルーツポンプ10を駆動させる、又はルーツポンプ10の駆動を停止させる。制御部54は、切替弁52を第1位置P1又は第2位置P2に切り替える。制御部54は、電磁弁66を開閉させる。
【0063】
<燃料電池の発電時>
燃料電池61に発電させるため、燃料電池61に対し、水素供給路71を経由して水素タンク62から水素が供給される。燃料電池61の発電時は、燃料電池61から排出された水素を水素供給路71に戻す場合である。この場合、開閉弁71aは開かれるとともに、圧力調整弁71bによって水素の圧力が調整される。また、エアコンプレッサ63が駆動されて、燃料電池61に対し、空気供給路73を経由してエアコンプレッサ63から圧縮された空気が供給される。また、制御部54は、ルーツポンプ10を駆動させる。
【0064】
水素循環システム51では、制御部54は、切替弁52を第1位置P1に切り替えている。このとき、切替弁52と分岐路53とは連通しない。また、燃料電池61の発電時、制御部54は、電磁弁66を閉じている。燃料電池61では、燃料電池セルによって発電されるとともに、酸素と水素との反応により生成水が発生する。
【0065】
図2の矢印に示すように、燃料電池61の発電時、ルーツポンプ10の駆動により、燃料電池61のアノード極から排出された水素は、第1流路72aを経由して第1の気液分離器64に流入する。また、燃料電池61で発生した生成水は、水素とともに燃料電池61から水素循環路72に排出される。第1の気液分離器64では、当該第1の気液分離器64に流入した水素から水分が分離される。
【0066】
第1の気液分離器64によって水分の分離された水素は、第2流路72b、逆止弁55及び吸入口43を経由して第2の気液分離器39の気液分離室41に流入する。第2の気液分離器39の気液分離室41に流入した水素は、分離筒42に向けて噴射される。分離筒42に水素が衝突することにより、水素から水分の一部が分離される。
【0067】
第2の気液分離器39によって水分の分離された水素は、吸入孔45を経由してポンプ部38のロータ室25に流入する。ロータ室25に流入した水素は、ロータ22の先端部によって閉じ込められる。閉じ込められた水素は、閉じ込められたまま、吐出孔46に向けて送られる。
【0068】
ポンプ部38に流入した水素には、水分が残留している場合がある。水素に残留した水分は、ロータ端面22cとロータハウジング14の内壁面14eとの間のクリアランスや、ロータ端面22cと第1カバー部材15の内壁面15aとの間のクリアランスに侵入することがある。
【0069】
閉じ込められた水素は、吐出孔46からロータ室25の外へ吐出される。これにより、ルーツポンプ10のポンプ部38は、水素を第3流路72cに吐出する。第3流路72cに吐出された水素は、第3流路72cを経由して切替弁52の第1ポート52aから切替弁52に流入する。切替弁52に流入した水素は、第1位置P1の切替弁52により、第2ポート52bを経由して第4流路72dに流入する。第1位置P1にある切替弁52により、水素は、分岐路53に流入しない。閉ループQに水素が流れることはなく、燃料電池61から排出された水素は、ルーツポンプ10の駆動によって水素供給路71に戻される。
【0070】
切替弁52を経由して第4流路72dに流入した水素は、合流箇所Hから水素供給路71に流入する。水素供給路71に流入した水素は、水素供給路71を経由して燃料電池61のアノード極に供給される。これにより、ルーツポンプ10のポンプ部38は、水素循環路72を流れる水素を水素供給路71に送る。
【0071】
<乾燥モード>
燃料電池車がキーオフされると、開閉弁71aが閉じられて、燃料電池61に対する水素の供給が停止される。また、エアコンプレッサ63の駆動が停止されて、燃料電池61に対する圧縮された空気の供給が停止される。その結果、燃料電池61による発電が停止される。
【0072】
燃料電池車がキーオフされると、制御部54は、ポンプ部38を乾燥させる乾燥モードを実行する。乾燥モードが実行されると、制御部54は、切替弁52を第2位置P2に切り替える。すると、切替弁52を介して、水素循環路72の第3流路72cと分岐路53とが連通する。また、燃料電池61による発電が停止されても、制御部54は、電磁弁66を閉じている。また、ルーツポンプ10は、制御部54によって駆動される。
【0073】
図4の矢印Yに示すように、乾燥モードの実行時、ルーツポンプ10の駆動により、水素循環路72に残留する水素は、吸入口43を経由して第2の気液分離器39の気液分離室41に流入する。第2の気液分離器39の気液分離室41に流入した水素は、分離筒42に向けて噴射される。分離筒42に水素が衝突することにより、水素から水分の一部が分離される。第2の気液分離器39を通過した後の水素は、第2の気液分離器39を通過する前と比べると、含まれる水分の量が減少する。乾燥モード時に、第2の気液分離器39を通過した後の水素を「乾燥ガス」と記載する。
【0074】
乾燥ガスは、吸入孔45を経由してポンプ部38のロータ室25に流入する。ロータ室25に流入した乾燥ガスは、ロータ22とロータ室25の内面との間のクリアランスに侵入する。そして、ロータ室25に流入した乾燥ガスは、吐出孔46からロータ室25の外へ吐出される。したがって、ルーツポンプ10のポンプ部38は、吸入した水素を乾燥ガスとして第3流路72cに吐出する。第3流路72cに吐出された乾燥ガスは、第3流路72cを経由して切替弁52の第1ポート52aから切替弁52に流入する。第2位置P2の切替弁52により、切替弁52に流入した乾燥ガスは、第3ポート52cを経由して分岐路53に流入する。つまり、第2位置P2にある切替弁52により、乾燥ガスは、第4流路72dに流入しない。このため、乾燥ガスは、水素供給路71に戻されない。
【0075】
分岐路53に流入した乾燥ガスは、分岐路53を経由することにより、水素循環路72におけるルーツポンプ10より上流、かつ逆止弁55より下流にて第2流路72bに戻される。このとき、逆止弁55により、乾燥ガスは、流れ方向Jと逆方向へ流れることが阻止される。つまり、水素循環路72の第2流路72bに戻された乾燥ガスが、第1の気液分離器64及び燃料電池61に逆流することが阻止される。
【0076】
水素循環路72に戻された乾燥ガスは、ルーツポンプ10の第2の気液分離器39に再び流入する。そして、乾燥モードの実行時、乾燥ガスは、ルーツポンプ10の第2の気液分離器39及びポンプ部38と、切替弁52と、分岐路53とを上記順序で繰り返し流れる。つまり、乾燥モードの実行時、乾燥ガスは、閉ループQを流れる。このため、乾燥モードの実行時、水素は水素供給路71に戻されない。したがって、燃料電池61から水素供給路71に水素を戻さない場合、ルーツポンプ10の駆動によって閉ループQに水素が流れる。
【0077】
第2の気液分離器39を乾燥ガスが通過する度、水素から水分が除去されるため、第2の気液分離器39のポンプ部38は、乾燥ガスにより乾燥される。乾燥モードの実行時に、ルーツポンプ10と、切替弁52と、分岐路53とに乾燥ガスを流す所定の時間を「乾燥時間」とする。乾燥時間は、ルーツポンプ10の駆動によって閉ループQに乾燥ガスが流れている時間である。
【0078】
また、乾燥時間は、ポンプ部38から水分を除去して、ポンプ部38を乾燥するために必要とされる時間である。乾燥時間は、ルーツポンプ10の回転軸16における単位時間当たりの回転数や、ロータ室25の容積、ロータ22の大きさ等に応じて決まる。例えば、回転軸16における単位時間当たりの回転数が少ないほど、乾燥時間は長くなる。また、ロータ室25の容積や、ロータ22が大きいほど、乾燥時間は長くなる。したがって、ロータ室25の容積と、ロータ22の大きさと、回転軸16の回転数を予め決定しておくことで、乾燥時間が設定される。制御部54は、乾燥モードの実行の開始時点に、切替弁52を第1位置P1から第2位置P2に切り替えるとともに、乾燥モードの実行の開始時点からの経過時間を計測する。制御部54は、計測した経過時間が、所定の時間である乾燥時間に到達すると、切替弁52を第1位置P1に戻すとともに、ルーツポンプ10の駆動を停止する。つまり、制御部54は、乾燥モードの実行を終了する。したがって、燃料電池61から水素供給路71に水素を戻さない場合、制御部54は、所定の時間である乾燥時間だけルーツポンプ10の駆動によって閉ループQに水素が流れるように切替弁52を制御するとともに、乾燥時間経過後に、ルーツポンプ10を停止する。
【0079】
制御部54は、乾燥モードの実行時、所定間隔おきに又は任意に電磁弁66を開かせる。
[第1の実施形態の作用]
乾燥モードの実行時、ルーツポンプ10の第2の気液分離器39によって乾燥ガスが生成される。乾燥ガスは、ポンプ部38に流入する。また、ポンプ部38から吐出された乾燥ガスは、切替弁52によって分岐路53を流れるとともに、分岐路53から水素循環路72に戻される。このとき、逆止弁55は、水素循環路72に戻された乾燥ガスが燃料電池61及び第1の気液分離器64に向けて逆流することを阻止する。これにより、閉ループQに乾燥ガスが流れる。そして、乾燥ガスが、閉ループQを所定の時間、繰り返し流れる。これにより、ポンプ部38では、ロータ22とロータ室25との間のクリアランスに乾燥ガスが侵入することにより、クリアランスに侵入した水分が除去されるとともに、ロータ室25内が乾燥される。
【0080】
したがって、その後、燃料電池車が低温下に長時間停車される等、低温下で燃料電池システム60の停止状態が長時間継続した場合であっても、ロータ端面22cとロータ室端面26との間で水分が凍結することを抑制できる。
【0081】
[第1の実施形態の効果]
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)乾燥モードの実行時、第2の気液分離器39により、水素から水分を分離した乾燥ガスを生成できるとともに、その乾燥ガスを、切替弁52及び分岐路53によって水素循環路72の第2流路72bに戻すことができる。そして、切替弁52が第2位置P2にある間、乾燥ガスを閉ループQに流すことができる。その結果、乾燥ガスにより、ルーツポンプ10のポンプ部38を乾燥できる。例えば、ルーツポンプ10から吐出された水素を、水素循環路72から水素供給路71及び燃料電池61にまで戻した後、再びポンプ部38に流して、ポンプ部38を乾燥させる場合と比べると、水素循環システム51を小規模化できる。
【0082】
その結果として、乾燥モードの実行後、燃料電池車が低温下に長時間停車される等、低温下で燃料電池システム60の停止状態が長時間継続した場合であっても、ロータ端面22cとロータ室端面26との間で水分が凍結することを抑制できる。その結果、低温下での燃料電池システム60の再起動時に、凍結によってロータ22がロックして燃料電池システム60が起動できなくなることを抑制できる。さらに、ロータ端面22cとロータ室端面26との間で水分が凍結することを抑制するために、ロータ端面22cとロータ室端面26との間のクリアランスを広げる必要がないため、ルーツポンプ10のポンプ性能の低下もない。結果として、ルーツポンプ10によって水素供給路71に戻される水素の量も減らないため、燃料電池61の発電効率の低下を抑制できる。
【0083】
さらに、ポンプ部38を乾燥させるために要する時間も短縮できる。さらには、燃料電池61を発電させたとき、ポンプ部38に残留する水分が、水素循環路72から水素供給路71を経由して燃料電池61に戻されることを抑制できるため、水分によって燃料電池61の発電効率が低下することを抑制できる。
【0084】
(1-2)水素循環システム51は、逆止弁55を有する。切替弁52及び分岐路53を経由して乾燥ガスが水素循環路72に戻されたとき、逆止弁55は、水素循環路72に戻された水素の逆流を阻止できる。このため、逆止弁55によって閉ループQを維持できるとともに、燃料電池61のアノード極や、第1の気液分離器64に水素が侵入することを抑制できる。
【0085】
(1-3)乾燥モードの実行時、制御部54による切替弁52及びルーツポンプ10の制御により、乾燥ガスを、閉ループQに所定の乾燥時間だけ流すことができる。このため、制御部54による切替弁52及びルーツポンプ10の制御により、ポンプ部38を好適に乾燥できるとともに、無駄な電力消費を抑制できる。
【0086】
(1-4)燃料電池61の発電時、制御部54によって切替弁52を第1位置P1に制御することにより、水素を水素供給路71に戻すことができる。このため、燃料電池61の発電時には、閉ループQに水素が流れないようにできる。よって、燃料電池61の発電時、水素供給路71に戻す水素の量が減ることを抑制できるため、燃料電池61の発電効率の低下を抑制できる。
【0087】
(1-5)乾燥モードの実行時、制御部54によって切替弁52を第2位置P2に制御することにより、閉ループQに水素を流すことができる。このため、ルーツポンプ10の駆動によって流れる水素の全てを閉ループQに流すことができる。よって、乾燥ガスにより、ルーツポンプ10のポンプ部38を効率良く乾燥できる。
【0088】
(1-6)第2の気液分離器39は、ルーツポンプ10と一体に設けられている。例えば、第2の気液分離器39をルーツポンプ10とは別体として設ける場合と比べて、水素循環システム51を小規模化しやすい。
【0089】
(1-7)第2の気液分離器39には、排水路65が接続されるとともに、排水路65には電磁弁66が設けられている。乾燥モードの実行時、制御部54は、所定間隔おきに又は任意に電磁弁66を開かせる。このため、第2の気液分離器39で分離された水分を気液分離室41から排出できる。その結果、乾燥モードの実行時、気液分離室41に水分が溜まり続けることを抑制できる。
【0090】
(1-8)水素循環路72での流れ方向Jにおいて、第2の気液分離器39は、ルーツポンプ10の吸入側、つまり、ポンプ部38より上流に位置する。このため、乾燥モードの実行時、ルーツポンプ10では、第2の気液分離器39によって水分の分離された水素が、ポンプ部38に流入する。よって、乾燥モードの実行時、ポンプ部38を効率良く乾燥できる。
【0091】
(第2の実施形態)
以下、水素循環システムを具体化した第2の実施形態を
図5~
図8にしたがって説明する。なお、第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0092】
図5、
図6及び
図7に示すように、吸入孔14dは、ロータハウジング14の周壁14bに形成されている。吸入孔14dには、水素循環路72の第2流路72bが接続されている。吐出孔15cは、第1カバー部材15に形成されている。また、第2カバー部材40には、吐出口44が形成されている。吐出口44には、水素循環路72の第3流路72cが接続されている。第3流路72cは、ポンプ部38の吐出口44と切替弁52とに接続されている。水素循環路72において、第2流路72bは、流れ方向Jにおける第3流路72cよりも上流である。このため、第2流路72bに接続されたポンプ部38は、第3流路72cに接続された第2の気液分離器39よりも上流である。また、ルーツポンプ10が備える第2の気液分離器39は、水素循環路72において、流れ方向Jにおける逆止弁55より下流、かつ切替弁52より上流に設けられている。
【0093】
<燃料電池の発電時>
燃料電池61による発電時、ルーツポンプ10の駆動により、燃料電池61のアノード極から排出された水素は、第1流路72a、第1の気液分離器64、第2流路72b、逆止弁55及び吸入孔14dを経由してポンプ部38のロータ室25に流入する。ポンプ部38のロータ室25に流入した水素は、吐出孔15cを経由して第2の気液分離器39の気液分離室41へ吐出される。第2の気液分離器39の気液分離室41へ流入した水素は、気液分離後、吐出口44を経由して第3流路72cに吐出される。その後、水素は、第1位置P1にある切替弁52の第1ポート52aから切替弁52に流入する。切替弁52に流入した水素は、第1位置P1の切替弁52により、第2ポート52bを経由して第4流路72dに流入する。第1位置P1にある切替弁52により、水素は、分岐路53に流入しない。したがって、閉ループQに水素が流れることはなく、切替弁52に流入した水素は、切替弁52の第2ポート52bを経由して、第4流路72d、合流箇所H及び水素供給路71を流れる。つまり、燃料電池61から排出された水素は、ルーツポンプ10の駆動によって水素供給路71に戻される。そして、水素は、燃料電池61のアノード極に供給される。
【0094】
<乾燥モード>
図8の矢印Yに示すように、乾燥モードの実行時、ルーツポンプ10の駆動により、水素循環路72に残留する水素は、吸入孔14dを経由してポンプ部38のロータ室25に流入する。ロータ室25に流入した水素は、ロータ22とロータ室25の内面との間のクリアランスに侵入する。そして、ロータ室25に流入した水素は、吐出孔15cからロータ室25の外へ吐出される。ルーツポンプ10のポンプ部38は、流入した水素を第2の気液分離器39に吐出する。第2の気液分離器39に流入した水素は、分離筒42に向けて噴射される。分離筒42に水素が衝突することにより、水素から水分の一部が分離される。第2の気液分離器39を通過した後の水素は、第2の気液分離器39を通過する前と比べると、含まれる水分の量が減少する。第2の気液分離器39を通過した後の水素を「乾燥ガス」と記載する。
【0095】
乾燥ガスは、吐出口44を経由して乾燥ガスとして第3流路72cに吐出される。第3流路72cに流入した乾燥ガスは、第3流路72cを経由して切替弁52の第1ポート52aから切替弁52に流入する。第2位置P2の切替弁52により、切替弁52に流入した乾燥ガスは、第3ポート52cを経由して分岐路53に流入する。つまり、第2位置P2にある切替弁52により、乾燥ガスは、第4流路72dに流入しない。
【0096】
分岐路53に流入した乾燥ガスは、分岐路53を経由することにより、水素循環路72におけるルーツポンプ10より上流、かつ逆止弁55より下流にて第2流路72bに戻される。このとき、逆止弁55により、乾燥ガスは、流れ方向Jと逆方向へ流れることが阻止される。つまり、水素循環路72の第2流路72bに戻された乾燥ガスが、第1の気液分離器64及び燃料電池61に逆流することが阻止される。
【0097】
水素循環路72に戻された乾燥ガスは、ルーツポンプ10のポンプ部38に再び流入する。ロータ室25に流入した乾燥ガスは、ロータ22とロータ室25の内面との間のクリアランスに侵入する。そして、ロータ室25に流入した乾燥ガスは、吐出孔15cからロータ室25の外へ吐出される。そして、乾燥モードの実行時、乾燥ガスは、ルーツポンプ10のポンプ部38及び第2の気液分離器39と、切替弁52と、分岐路53とを上記順序で繰り返し流れる。つまり、乾燥モードの実行時、乾燥ガスは、閉ループQを流れる。このため、乾燥モードの実行時、水素は水素供給路71に戻されない。したがって、燃料電池61から水素供給路71に水素を戻さない場合、ルーツポンプ10の駆動によって閉ループQに水素が流れる。
【0098】
第2の気液分離器39を乾燥ガスが通過する度、水素から水分が除去されるとともに、第2の気液分離器39がより乾燥される。これにより、ポンプ部38では、ロータ22とロータ室25との間のクリアランスに乾燥ガスが侵入することにより、クリアランスの侵入した水分が除去されるとともに、ロータ室25内が乾燥される。
【0099】
上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1-1)~(1-7)と同様の効果を得ることができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0100】
○第2の気液分離器39に排水路65は接続されていなくてもよい。この場合、電磁弁66も割愛される。この場合、第2の気液分離器39の気液分離室41に溜まった水分は、第2カバー部材40の底部から第2の気液分離器39の外へ直接排出される。
【0101】
○第2の気液分離器39に接続された排水路65について、排水路65の第2端65bは、第1の気液分離器64ではなく、排水タンクに接続されていてもよい。そして、電磁弁66が開かれたとき、第2の気液分離器39の気液分離室41に溜まった水分を、排水路65を経由して排水タンクに排出してもよい。
【0102】
○ルーツポンプ10は、第2の気液分離器39を一体に有していなくてもよい。この場合、第1の実施形態では、第2の気液分離器39は、第2流路72bにおいて、流れ方向Jにおける逆止弁55より下流、かつルーツポンプ10より上流に設けられる。第2の実施形態では、第2の気液分離器39は、第3流路72cにおいて、流れ方向Jにおけるルーツポンプ10より下流、かつ切替弁52より上流に設けられる。
【0103】
○燃料電池61の発電時であっても、制御部54は、一時的に、切替弁52を第2位置P2に切り替えて閉ループQに水素を流すようにしてもよいし、乾燥モードの実行時に、制御部54は、一時的に、切替弁52を第1位置P1に切り替えて閉ループQに水素を流さないようにしてもよい。
【0104】
○
図9に示すように、第2の気液分離器39は、分岐路53に設けられていてもよい。第2の気液分離器39は、実施形態のような形態に限らず、適宜変更してもよい。
乾燥モードの実行開始時、ルーツポンプ10の駆動により、水素循環路72に残留する水素は、ルーツポンプ10のポンプ部38から第3流路72cに吐出される。第3流路72cに排出された水素は、第3流路72cを経由して切替弁52の第1ポート52aから切替弁52に流入する。第2位置P2の切替弁52により、切替弁52に流入した水素は、第3ポート52cを経由して分岐路53に流入する。その後、水素は、分岐路53を流れて第2の気液分離器39に流入する。第2の気液分離器39により、水素から水分の一部が分離される。第2の気液分離器39を通過した後の水素は、乾燥ガスとして分岐路53を流れて水素循環路72に戻される。
【0105】
水素循環路72に戻された乾燥ガスは、ルーツポンプ10に再び流入する。そして、乾燥モードの実行時、乾燥ガスは、ルーツポンプ10のポンプ部38と、切替弁52と、分岐路53と、第2の気液分離器39と、を上記順序で繰り返し流れる。つまり、乾燥モードの実行時、乾燥ガスは、閉ループQを流れる。
【0106】
○ポンプは、スクリューポンプや、スクロールポンプであってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
[態様1]燃料電池と、前記燃料電池に水素を供給する水素供給路と、前記燃料電池から排出された水素を前記水素供給路に戻す水素循環路と、前記水素循環路に設けられ、前記燃料電池から排出された水素と水分とを分離させる第1の気液分離器と、前記水素循環路に設けられ、前記第1の気液分離器から排出された水素を吸入し、前記水素供給路に向けて水素を排出するポンプと、前記ポンプを制御する制御部と、を有する水素循環システムにおいて、前記水素循環路には、前記ポンプと前記第1の気液分離器との間に設けられ、水素の流れる方向を規制する逆止弁と、前記ポンプと前記逆止弁との間から分岐するように前記水素循環路に接続される第1分岐部と、前記第1分岐部から前記ポンプを跨いで前記水素循環路に接続される第2分岐部とを繋ぐ分岐路と、が設けられ、前記ポンプと前記分岐路とを含む閉ループには、水素と水分とを分離させる第2の気液分離器が設けられ、前記第2分岐部には、水素の流れを前記閉ループに切り替える切替弁が設けられ、前記切替弁は、前記制御部によって制御されていることを特徴とする水素循環システム。
【0107】
[態様2]前記制御部は、前記燃料電池から前記水素供給路に水素を戻す場合、前記ポンプの駆動によって前記燃料電池から排出された水素を前記水素供給路に戻すように前記切替弁を制御し、前記燃料電池から前記水素供給路に水素を戻さない場合、所定の時間だけ前記ポンプの駆動によって前記閉ループに水素が流れるように前記切替弁を制御し、前記所定の時間経過後に前記ポンプを停止する[態様1]に記載の水素循環システム。
【0108】
[態様3]前記第2の気液分離器は、前記水素循環路における前記ポンプの吸入側、又は前記分岐路に設けられている[態様1]又は[態様2]に記載の水素循環システム。
[態様4]前記第2の気液分離器は、前記ポンプと一体的に設けられている[態様1]~[態様3]のいずれか一つに記載の水素循環システム。
【0109】
[態様5]前記第2の気液分離器には排水路が接続されるとともに、前記排水路には、当該排水路を開閉する開閉弁が設けられている[態様1]~[態様4]のいずれか一つに記載の水素循環システム。
【符号の説明】
【0110】
Q…閉ループ、10…ポンプとしてのルーツポンプ、39…第2の気液分離器、51…水素循環システム、52…切替弁、53…分岐路、54…制御部、55…逆止弁、61…燃料電池、64…第1の気液分離器、65…排水路、66…電磁弁、71…水素供給路、72…水素循環路、531…第1分岐部、532…第2分岐部。