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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059338
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】航空機の投下装置および航空機
(51)【国際特許分類】
   B64D 1/02 20060101AFI20240423BHJP
   F16H 27/06 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B64D1/02
F16H27/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166958
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】白井 竜弥
(72)【発明者】
【氏名】神▲徳▼ 隆博
(72)【発明者】
【氏名】正木 陽
(72)【発明者】
【氏名】平井 瑞生
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA41
3J062AC06
3J062BA12
3J062CE04
3J062CE13
3J062CE24
(57)【要約】
【課題】機体におけるスペース効率を向上させ得る投下装置を提供する。
【解決手段】航空機の投下装置100は、環状に形成され、外周部に複数の投下物Sを保持する搬送体1と、搬送体1が巻き掛けられ、機体201の床面に対して垂直の軸心X1回りに回転することで、搬送体1を所定の搬送経路Rに沿って走行させて投下物Sを投下孔203まで搬送する駆動輪2と、搬送体1が巻き掛けられ、搬送体1を搬送経路Rに沿ってガイドする従動輪3とを備えている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の機体に搭載され、前記機体の床に形成された投下孔から投下物を投下する、航空機の投下装置であって、
環状に形成され、外周部に複数の前記投下物を保持する搬送体と、
前記搬送体が巻き掛けられ、前記機体の床面に対して垂直なまたは斜めの第1軸回りに回転することで、前記搬送体を所定の搬送経路に沿って走行させて前記投下物を前記投下孔まで搬送する駆動輪と、
前記搬送体が巻き掛けられ、前記搬送体を前記搬送経路に沿ってガイドするガイド体とを備えている、航空機の投下装置。
【請求項2】
請求項1に記載の航空機の投下装置において、
前記駆動輪を間欠回転させる間欠回転機構をさらに備えている、航空機の投下装置。
【請求項3】
請求項2に記載の航空機の投下装置において、
前記駆動輪は、前記ガイド体よりも前記投下孔に近い位置に設けられている、航空機の投下装置。
【請求項4】
請求項2に記載の航空機の投下装置において、
前記間欠回転機構は、ゼネバ機構である、航空機の投下装置。
【請求項5】
請求項1に記載の航空機の投下装置において、
前記ガイド体を変位させて前記搬送体のテンションを調整するテンション調整部をさらに備えている、航空機の投下装置。
【請求項6】
請求項1に記載の航空機の投下装置において、
前記搬送体は、前記第1軸と同じ方向の延伸方向に延びて形成され外側面に前記投下物が保持される複数の板状部材が、前記延伸方向に直交する前記板状部材の幅方向に順に連結されて形成されており、
前記複数の板状部材は、互いに前記延伸方向と同じ方向の第2軸回りに回転自在に連結されている、航空機の投下装置。
【請求項7】
請求項6に記載の航空機の投下装置において、
前記搬送体の前記板状部材に設けられ、前記延伸方向および前記幅方向に直交する第3軸回りに回転自在な第1ローラと、前記第1ローラと接して前記板状部材の前記延伸方向の変位を規制する第1支持部材とを有する第1規制機構をさらに備えている、航空機の投下装置。
【請求項8】
請求項7に記載の航空機の投下装置において、
前記搬送体の前記板状部材に設けられ、前記延伸方向に延びる第4軸回りに回転自在な第2ローラと、前記第2ローラと接して前記板状部材の前記延伸方向および前記幅方向に直交する面直方向の変位を規制する第2支持部材とを有する第2規制機構をさらに備えている、航空機の投下装置。
【請求項9】
請求項8に記載の航空機の投下装置において、
前記第2規制機構の前記第2支持部材は、前記搬送経路における前記駆動輪への巻き掛け前後に位置する直線部分に対応して設けられている、航空機の投下装置。
【請求項10】
請求項8に記載の航空機の投下装置において、
前記第2規制機構の前記第2支持部材は、前記搬送経路における直線部分および曲線部分のうち前記直線部分に対応して設けられている、航空機の投下装置。
【請求項11】
請求項6に記載の航空機の投下装置において、
前記搬送体の内周側に設けられ、前記投下孔の位置の前記板状部材を識別する識別機構をさらに備えている、航空機の投下装置。
【請求項12】
請求項1に記載の航空機の投下装置において、
前記搬送体、前記駆動輪および前記ガイド体を前記投下孔と合わせて覆うカバーをさらに備えている、航空機の投下装置。
【請求項13】
請求項1に記載の航空機の投下装置において、
前記搬送体は、前記投下物を上方から押える上側保持部と、前記投下物を下方から支持する下側保持部とを有する保持機構を備え、
前記保持機構は、前記下側保持部による支持を解除して、前記投下物を前記投下孔から投下する、航空機の投下装置。
【請求項14】
投下物の投下孔が床に形成された機体と、
前記機体内に搭載される請求項1に記載の投下装置とを備えている航空機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、航空機の投下装置および航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、機体からソノブイ等の投下物を投下する投下装置が知られている。この投下装置は、いわゆるロータリ式の投下装置であり、外周面に複数の投下物を保持した円形の回転体が回転することで、投下物を投下孔まで搬送して投下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0330320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した特許文献1の投下装置では、投下物の数を増やすと、回転体が大径化し、機体における投下装置のスペース効率が悪化してしまう問題がある。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、機体におけるスペース効率を向上させ得る投下装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された航空機の投下装置は、航空機の機体に搭載され、前記機体の床に形成された投下孔から投下物を投下するものである。この航空機の投下装置は、搬送体と、駆動輪と、ガイド体とを備えている。前記搬送体は、環状に形成され、外周部に複数の前記投下物を保持する。前記駆動輪は、前記搬送体が巻き掛けられ、前記機体の床面に対して垂直なまたは斜めの第1軸回りに回転することで、前記搬送体を所定の搬送経路に沿って走行させて前記投下物を前記投下孔まで搬送する。前記ガイド体は、前記搬送体が巻き掛けられ、前記搬送体を前記搬送経路に沿ってガイドする。
【0007】
また、ここに開示された航空機は、投下物の投下孔が床に形成された機体と、前記機体内に搭載される請求項1に記載の投下装置とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
ここに開示された航空機の投下装置によれば、機体におけるスペース効率を向上させることができる。
【0009】
ここに開示された航空機によれば、機体におけるスペース効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、機体に搭載された投下装置のカバーの内部を示す平面図である。
図2図2は、機体に搭載された投下装置のカバーの内部を示す側面図である。
図3図3は、搬送体の板状部材を示す正面図である。
図4図4は、搬送体の板状部材を示す背面図である。
図5図5は、板状部材および駆動輪を示す側面図である。
図6図6は、間欠回転機構を模式的に示す平面図である。
図7図7は、第1規制機構および第2規制機構を示す図である。
図8図8は、ローラユニットを示す正面図である。
図9図9は、第1規制機構および第2規制機構を示す図である。
図10図10は、搬送経路の直線部分および曲線部分を説明する図である。
図11図11は、変形例に係る板状部材および駆動輪を示す図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、機体201に搭載された投下装置100のカバー9の内部を示す平面図である。図2は、機体201に搭載された投下装置100のカバー9の内部を示す側面図である。
【0013】
図1および図2に示すように、投下装置100は、航空機200の機体201に搭載され、機体201の床202に形成された投下孔203から複数の投下物Sを順に投下する。この例では、投下物Sは、ソノブイである。投下装置100は、搬送体1と、駆動輪2と、従動輪3とを備えている。なお、投下物Sは、発煙弾、発音弾、無人航空機またはドローンであってもよい。
【0014】
搬送体1は、環状に形成され、外周部に複数の投下物Sを保持する。つまり、搬送体1は、複数の投下物Sを保持して搬送する無端状部材である。搬送体1は、機体201の床面に垂直な軸心X1の方向に視た形状が環状となっている。搬送体1は、駆動輪2および従動輪3に巻き掛けられることで、搬送経路Rを形成する。
【0015】
駆動輪2は、搬送体1が巻き掛けられ、機体201の床面に対して垂直な軸心X1回りに回転することで、搬送体1を所定の搬送経路Rに沿って走行させて投下物Sを投下孔203まで搬送する。この例では、駆動輪2は、スプロケットである。また、この例では、駆動輪2は両方向に回転可能であり、搬送体1は搬送経路Rにおいて両方向に走行可能である。軸心X1は、第1軸の一例である。
【0016】
従動輪3は、搬送体1が巻き掛けられ、搬送体1を搬送経路Rに沿ってガイドする。従動輪3は、ガイド体の一例である。この例では、複数の従動輪3、より詳しくは、5つの従動輪3が設けられている。つまり、5つの従動輪3が搬送経路Rに沿って配置されている。5つの従動輪3のそれぞれを区別して説明する場合には、第1従動輪31、第2従動輪32、第3従動輪33、第4従動輪34および第5従動輪35と称する。
【0017】
このように、環状の搬送体1が駆動輪2と複数の従動輪3とに巻き掛けられることで、搬送体1の平面視形状、即ち、搬送体1を軸心X1方向に視た形状が、搬送経路Rの形状となる。搬送体1の平面視形状、即ち、搬送経路Rの形状は、従動輪3の数や位置を変更することによって、様々な形状に変更され得る。そのため、従来のように円形の回転体で搬送する形態に比べて、搬送体1の長さを長くした場合でも、搬送体1の平面視形状の如何によっては搬送体1の占有面積が縮小され得る。つまり、搬送体1の長さを長くすることで、即ち、搬送経路Rの距離を長くすることで、搬送体1が保持し得る投下物Sの数が増え、その場合でも、搬送体1ひいては投下装置100の占有面積を縮小することが可能である。したがって、機体201におけるスペース効率が向上する。
【0018】
図3は、搬送体1の板状部材11を示す正面図である。図4は、搬送体1の板状部材11を示す背面図である。図5は、板状部材11および駆動輪2を示す側面図である。
【0019】
この例の搬送体1は、複数の板状部材11が環状に連結されて形成されている。具体的に、板状部材11は、軸心X1と同じ方向の延伸方向D1に延びて形成され、外側面11aに投下物Sが保持されている。板状部材11の外側面11aが搬送体1の外周部に相当し、板状部材11の内側面11bが搬送体1の内周部に相当する。そして、複数の板状部材11は、延伸方向D1に直交する板状部材11の幅方向D2に順に連結されている。複数の板状部材11は、互いに延伸方向D1と同じ方向の軸心X2回りに回転自在に連結されている。
【0020】
具体的に、板状部材11の延伸方向D1における両端部には、幅方向D2に突出する突片12aが形成されている。この2つの突片12aは、板状部材11の同じ側部に設けられている。また、板状部材11の延伸方向D1における両端部には、幅方向D2に切除された切欠き12bが設けられている。この2つの切欠き12bは、板状部材11における突片12aとは反対の側部に設けられている。2つの切欠き12bのそれぞれは、突片12aと対応する位置に形成されている。
【0021】
隣り合う一方の板状部材11の突片12aが、他方の板状部材11の切欠き12bに嵌り、両者がピン12cによって連結されることで、板状部材11同士が幅方向D2に連結される。つまり、ピン12cが軸心X2と一致している。こうして、複数の板状部材11は、互いにピン12cを中心に回転自在に連結される。このように、搬送体1では、複数の板状部材11が回転自在に連結されているので、搬送体1の平面視形状が容易に変更され得る。
【0022】
搬送体1は、投下物Sを保持する保持機構15を有している。具体的には、複数の板状部材11のそれぞれが、保持機構15を有する。保持機構15は、上側保持部16、第1下側保持部17および第2下側保持部18を有している。
【0023】
図3等に示すように、上側保持部16は、投下物Sを上方から押さえる。上側保持部16は、板状部材11の外側面11aに設けられている。より具体的に、上側保持部16は、板状部材11の延伸方向D1における上端部に設けられている。上側保持部16は、投下物Sの上面を下方へ押し付ける。上側保持部16は、例えば、スライダまたは穴と締結部材の組合せ等により、延伸方向D1における位置が可変に構成されている。そのため、様々な長さの投下物Sに対応し得る。
【0024】
第1下側保持部17は、投下物Sを下方から支持する。具体的に、第1下側保持部17は、板状部材11の延伸方向D1における下端部において、延伸方向D1と幅方向D2に垂直な方向に外側面11aから突出するように設けられる例えば板部材である。第1下側保持部17は、投下物Sの下面と接することで、投下物Sが下方へ脱落するのを防止する。つまり、保持機構15では、投下物Sが上側保持部16と第1下側保持部17とで延伸方向D1に挟持されている。第1下側保持部17は、下側保持部の一例である。
【0025】
第2下側保持部18は、投下物Sの下端部の側面を保持する。具体的に、第2下側保持部18は、板状部材11の外側面11aに設けられている。第2下側保持部18は、板状部材11の延伸方向D1における下端部、より詳しくは、第1下側保持部17よりも上方に設けられている。第2下側保持部18は、筒状、この例では、円筒状に形成されている。第2下側保持部18の内径は、投下物Sの下端部が挿入し得る大きさに形成されている。投下物Sの下端部が第2下側保持部18に挿入されることで、投下物Sの下端部が保持される。これにより、投下物Sが板状部材11に安定して保持される。
【0026】
保持機構15は、第1下側保持部17による支持を解除することで、投下物Sを投下孔203から投下する。図5に示すように、投下物Sを保持した板状部材11は、投下孔203の上方位置まで移動すると、後述する間欠回転機構5によって一時停止する。この一時停止時に、支持解除のためのアクチュエータの駆動または手動によって、第1下側保持部17による支持が解除される。例えば、第1下側保持部17は、スライド動作または回転動作を行うことによって投下物Sの支持を解除する。
【0027】
第1下側保持部17による支持が解除されると、投下物Sが自重によって落下し投下孔203から投下される。その際、投下物Sは、第2下側保持部18の内側を通過しながら落下する。そのため、投下物Sの姿勢が第2下側保持部18によって保持されるので、確実に投下物Sを投下孔203から投下させることができる。これは、特に、ソノブイ等の延伸方向D1に長い投下物Sを投下する場合に有効である。このように、第2下側保持部18は、投下物Sの投下時の姿勢を適切に維持する機能も有する。
【0028】
図5に示すように、投下装置100は、駆動輪2を回転駆動させるアクチュエータ4と、駆動輪2を間欠回転させる間欠回転機構5とをさらに備えている。
【0029】
アクチュエータ4は、例えば、電動モータである。つまり、アクチュエータ4は、連続的な回転運動を行う。アクチュエータ4から延びるシャフト41は、軸心X5を有しており、間欠回転機構5に連結されている。アクチュエータ4の連続回転は、シャフト41を介して間欠回転機構5に伝達される。
【0030】
間欠回転機構5は、アクチュエータ4から伝達された連続回転を間欠回転運動に変換する。つまり、間欠回転機構5は、アクチュエータ4と駆動輪2との間に連結されており、連続回転を間欠回転、換言すると断続回転に変換して駆動輪2へ伝達する。
【0031】
図6は、間欠回転機構5を模式的に示す平面図である。この例の間欠回転機構5は、ゼネバ機構、より詳しくは、外部ゼネバ機構である。具体的に、間欠回転機構5は、互いに係合するピン歯車51およびゼネバ歯車52を有している。ピン歯車51は原動車であり、ゼネバ歯車52は従動車である。ピン歯車51は、シャフト41に連結されており、軸心X5回りに連続回転する。ピン歯車51には、ピン51aが設けられている。ゼネバ歯車52は、軸心X1を有するシャフト21に連結されている。ゼネバ歯車52には、放射状に形成され、ピン51aが出入りするスロット52aが、複数、この例では6つ設けられている。
【0032】
間欠回転機構5では、ピン歯車51の回転に伴ってピン51aが例えば図6に示す実線の矢印の方向に連続回転する。ピン51aがゼネバ歯車52のスロット52aに入り込むと、ゼネバ歯車52がピン51aの回転によって図6に示す破線の矢印の方向に回転する。ピン51aがスロット52aから抜け出ると、ゼネバ歯車52は停止する。このように、ゼネバ歯車52は、ピン歯車51のピン63がスロット52aに入っている間のみ回転する。つまり、ゼネバ歯車52は、ピン歯車51が1回転する間、所定の角度回転した後は停止している。この例では、6つのスロット52aが設けられているので、ゼネバ歯車52は、ピン歯車51が1回転するごとに、60度ずつ回転する。こうして、間欠回転機構5では、ピン歯車51が軸心X5回りに連続回転する一方、ゼネバ歯車52が軸心X1回りに間欠回転する。
【0033】
図5に示すように、シャフト21には、駆動輪2が連結されている。この例では、2つの駆動輪2が連結されている。つまり、2つの駆動輪2は、軸心X1方向、即ち延伸方向D1に配列されている。2つの駆動輪2には、ゼネバ歯車52の間欠回転がシャフト21を介して伝達される。こうして、駆動輪2は、間欠回転機構5によって間欠回転し、搬送体1を間欠的に走行させる。そのため、各板状部材11が、投下孔203の上方位置に到達した際に一時停止する。このように、駆動輪2を間欠回転させることにより、投下物Sを投下孔203の位置に精度良く停止させ得る。
【0034】
図4にも示すように、板状部材11の内側面11bには、2つの溝13が形成されている。2つの溝13は、2つの駆動輪2のそれぞれの歯と歯の間の部分が噛み合う部分である。2つの溝13は、延伸方向D1に配列されている。溝13は、幅方向D2に延びている。また、板状部材11の側部には、2つの切欠き14が形成されている。2つの切欠き14は、幅方向D2において板状部材11の同じ側部に設けられており、2つの溝13のそれぞれに対応する位置に設けられている。この2つの切欠き14は、2つの駆動輪2のそれぞれの歯が噛み合う部分である。駆動輪2が板状部材11の溝13および切欠き14に噛み合って間欠回転することで、搬送体1が間欠的に走行する。こうして、投下物Sが間欠的に搬送される。
【0035】
駆動輪2の歯と板状部材11の切欠き14との間には、いわゆるガタであるバックラッシが設けられている。このバックラッシにより、搬送体1の搬送方向の切換時には投下物Sの停止位置にずれが生じる。そのため、このずれが投下孔203の孔径に対して許容範囲に収まるように、バックラッシの量が設定されている。これにより、投下物Sの停止位置精度を適切に確保することができる。
【0036】
この例では、駆動輪2は、例えば図1に示すように、5つの従動輪3よりも投下孔203に近い位置に設けられている。具体的に、駆動輪2は、投下孔203の近傍に設けられている。こうすることで、搬送体1と駆動輪2との間のガタ等によって生じ得る投下物Sの投下孔203に対する位置ずれが抑制される。そのため、投下物Sを投下孔203の位置に精度良く停止させ得る。
【0037】
また、図5に示すように、投下装置100は、識別機構7をさらに備えている。識別機構7は、搬送体1の内周側に設けられ、投下孔203の位置まで走行した板状部材11を識別する。具体的に、識別機構7は、複数の板状部材11のうち、投下物Sを保持した板状部材11を識別する。こうした板状部材11を識別することで、例えば、投下物Sを保持した板状部材11に対してのみ、第1下側保持部17による支持を解除することができる。そのため、投下物Sを保持していない板状部材11に対しては無視できるので、無駄のない投下動作を行うことが可能である。
【0038】
例えば、識別機構7は、板状部材11の内側面11bに貼られる識別用バーコードと、その識別用バーコードを読み取る読取装置とで構成される。また、識別機構7は、板状部材11の内側面11bに設けられるストライカと、そのストライカが接触することによって作動するリミットスイッチとで構成されてもよい。
【0039】
図7は、第1規制機構6Aおよび第2規制機構6Bを示す図である。図8は、ローラユニット61を示す正面図である。図9は、第1規制機構6Aおよび第2規制機構6Bを示す図である。図10は、搬送経路Rの直線部分RSおよび曲線部分RCを説明する図である。
【0040】
投下装置100は、第1規制機構6Aおよび第2規制機構6Bをさらに備えている。第1規制機構6Aおよび第2規制機構6Bは、搬送体1の変位を規制することで搬送体1に適切な搬送動作をさせる規制機構である。
【0041】
図9に示すように、第1規制機構6Aは、搬送体1の延伸方向D1の変位を規制する。第1規制機構6Aは、板状部材11の延伸方向D1における両端部に設けられている。第1規制機構6Aは、第1ローラ62と、第1支持部材66とを有している。第1ローラ62は、板状部材11に設けられ、延伸方向D1および幅方向D2に直交する軸心X3回りに回転自在なローラである。第1支持部材66は、第1ローラ62と接して板状部材11の延伸方向D1の変位を規制する。
【0042】
図7に示すように、第2規制機構6Bは、搬送体1の延伸方向D1および幅方向D2に直交する面直方向D3の変位を規制する。第2規制機構6Bは、第1規制機構6Aと同様、板状部材11の延伸方向D1における両端部に設けられている。第2規制機構6Bは、第2ローラ63と、第2支持部材67とを有している。第2ローラ63は、板状部材11に設けられ、延伸方向D1に延びる軸心X4回りに回転自在なローラである。第2支持部材67は、第2ローラ63と接して板状部材11の面直方向D3の変位を規制する。
【0043】
具体的に、第1ローラ62および第2ローラ63は、板状部材11の内側面11bに取り付けられている。第1ローラ62および第2ローラ63は、板状部材11の内側面11bにおいて延伸方向D1における両端部に取り付けられている。図8に示すように、この例では、第1ローラ62および第2ローラ63はローラユニット61としてユニット化されている。ローラユニット61は、ベース板64と、1つの第1ローラ62と、2つの第2ローラ63とを有している。ベース板64は、板状部材11の内側面11bに固定されている。第1ローラ62および第2ローラ63は、ベース板64に取り付けられている。より詳しくは、ベース板64では、幅方向D2、即ち搬送体1の走行方向に、第2ローラ63、第1ローラ62および第2ローラ63の順に設けられている。
【0044】
第1支持部材66は、搬送経路Rに沿って延びる板状部材である。板状部材11の上端部に設けられた第1規制機構6Aでは、第1ローラ62が第1支持部材66の下面に接することで、搬送体1の上方への変位が規制される。板状部材11の下端部に設けられた第1規制機構6Aでは、第1ローラ62が第1支持部材66の上面に接することで、搬送体1の下方への変位が規制される。こうして、搬送体1の延伸方向D1の変位が規制される。
【0045】
第2支持部材67は、搬送経路Rに沿って延び、第2ローラ63をガイドするレールである。この例では、第2支持部材67は第1支持部材66に設けられている。具体的に、板状部材11の上端部に設けられた第2規制機構6Bでは、第2支持部材67は第1支持部材66の下面に設けられ、板状部材11の下端部に設けられた第2規制機構6Bでは、第2支持部材67は第1支持部材66の上面に設けられている。第2ローラ63が第2支持部材67によってガイドされることで、搬送体1の面直方向D3の変位が規制される。この例では、第2ローラ63は、搬送体1の面直方向D3に間隔をあけて設けられた2つの第2支持部材67の間でガイドされる。
【0046】
この例では、第1支持部材66は、実質的に搬送経路Rの全体に設けられ、第2支持部材67は、搬送経路Rにおいて部分的に設けられている。図10に示すように、搬送経路Rは、複数の直線部分RSと複数の曲線部分RCとで形成されている。複数の直線部分RSのそれぞれを区別して説明する場合には、第1直線部分RS1、第2直線部分RS2、第3直線部分RS3および第4直線部分RS4と称する。複数の曲線部分RCのそれぞれを区別して説明する場合には、第1曲線部分RC1、第2曲線部分RC2、第3曲線部分RC3および第4曲線部分RC4と称する。
【0047】
具体的に、第1支持部材66は、直線部分RSおよび曲線部分RCの両方に対応して設けられている。一方、第2支持部材67は、搬送経路Rにおける直線部分RSおよび曲線部分RCのうち直線部分RSに対応して設けられている。つまり、搬送経路Rにおける直線部分RSでは、図7に示すように、第1支持部材66および第2支持部材67の両方が設けられ、曲線部分RCでは、図9に示すように、第1支持部材66のみが設けられている。
【0048】
このような構成によれば、直線部分RSにおいては、搬送体1の延伸方向D1および面直方向D3の変位が規制されるため、搬送体1を滑らかに直線走行させることができる。曲線部分RCにおいては、搬送体1の延伸方向D1の変位は規制するが、搬送体1の面直方向D3の変位は規制しない。曲線部分RCにおいて、搬送体1の面直方向D3の変位を規制した場合、搬送体1が第2支持部材67に対して引っ掛かる虞があるが、この例では、それを未然に防止できる。これにより、曲線部分RCにおいて、搬送体1を滑らかに走行させることができる。
【0049】
また、この例では、第2支持部材67は、搬送経路Rにおける駆動輪2への巻き掛け前後に位置する直線部分RS、即ち、第1直線部分RS1および第4直線部分RS4に対応して設けられる。そのため、前述したように、第1直線部分RS1および第4直線部分RS4において搬送体1の面直方向D3の変位が規制されるので、駆動輪2に対する搬送体1の巻き掛け角が維持される。これにより、搬送体1と駆動輪2との噛み合いが適切に維持される。
【0050】
図10に示すように、投下装置100は、従動輪3を変位させて搬送体1のテンションを調整する第1テンション調整部81および第2テンション調整部82をさらに備えている。第1テンション調整部81および第2テンション調整部82は、テンション調整部の一例である。
【0051】
この例では、第1テンション調整部81は、第1従動輪31を変位させて、第1直線部分RS1および第2直線部分RS2に対応する搬送体1のテンションを調整する。より詳しくは、第1テンション調整部81は、第1直線部分RS1と同じ方向に第1従動輪31を変位させる。こうすることで、駆動輪2に対する搬送体1の巻き掛け角に影響を与えない。
【0052】
第2テンション調整部82は、第2従動輪32を変位させて、第2直線部分RS2および第3直線部分RS3に対応する搬送体1のテンションを調整する。つまり、第2テンション調整部82は、搬送体1における駆動輪2からできるだけ離れた部分のテンションを調整する。こうすることで、駆動輪2に対する搬送体1の巻き掛け角に影響を一層与えずに済む。
【0053】
また、図1および図2に示すように、投下装置100は、カバー9を備えている。カバー9は、搬送体1、駆動輪2および複数の従動輪3を投下孔203と合わせて覆うものである。つまり、カバー9は、機体201内を、投下孔203を含めた投下装置100の空間と、作業者の居住空間とに区画する。こうすることで、投下物Sを投下する際、作業者の居住空間と機体201の外部とが投下孔203を介して連通することが回避される。そのため、居住空間の圧力が適切に維持される。カバー9は、単なる投下装置100の保護を目的としたものでもよいが、好ましくは成層圏以下における機体内と機体外との差圧に耐える耐圧機能を備えたものでもよい。
【0054】
このように、投下装置100は、環状に形成され、外周部に複数の投下物Sを保持する搬送体1と、搬送体1が巻き掛けられ、軸心X1回りに回転することで、搬送体1を搬送経路Rに沿って走行させて投下物Sを投下孔203の位置まで搬送する駆動輪2と、搬送体1が巻き掛けられ、搬送体1を搬送経路Rに沿ってガイドする従動輪3とを備えている。そのため、従動輪3の数や位置を変更することによって、搬送経路Rを様々な形状に変更することができる。そのため、従来のように円形の回転体で搬送する形態に比べて、搬送体1の長さを長くした場合でも、搬送体1の占有面積を減少させることが可能である。つまり、搬送体1の長さを長くすることで、保持し得る投下物Sの数が増え、その場合でも、搬送体1ひいては投下装置100の占有面積を減少させることが可能である。したがって、機体201におけるスペース効率が向上する。
【0055】
また、投下装置100には、駆動輪2を間欠回転させる間欠回転機構5が設けられているため、投下物Sを投下孔203の位置に精度良く停止させることができる。
【0056】
さらに、投下装置100では、駆動輪2が、従動輪3よりも投下孔203に近い位置に設けられている。そのため、搬送体1と駆動輪2との間のガタ等によって生じ得る投下物Sの投下孔203に対する位置ずれを抑制することができる。したがって、投下物Sを投下孔203の位置に精度良く停止させることができる。
【0057】
また、間欠回転機構5としてゼネバ機構を用いるようにしたため、比較的簡易な構成により、駆動輪2を間欠回転させることができる。
【0058】
また、投下装置100は、従動輪3を変位させて搬送体1のテンションを調整する第1テンション調整部81および第2テンション調整部82を備えている。そのため、搬送体1と駆動輪2との噛み合いを良好に保つことができる。
【0059】
また、搬送体1は、外側面11aに投下物Sが保持される複数の板状部材11が、幅方向D2に順に連結されて形成されている。複数の板状部材11は、互いに軸心X2回りに回転自在に連結されている。この構成では、投下物Sを保持する複数の板状部材11同士が連結されることで搬送体1を形成しているので、例えば搬送体1をチェーンで構成する場合と比較して、搬送体1を軽量化することができる。また、複数の板状部材11が回転自在に連結されているので、搬送体1の平面視形状、即ち搬送経路Rの形状を容易に変更することができる。
【0060】
また、投下装置100は、搬送体1の板状部材11に設けられ、軸心X3回りに回転自在な第1ローラ62と、第1ローラ62と接して板状部材11の延伸方向D1の変位を規制する第1支持部材66とを有する第1規制機構6Aを備えている。そのため、比較的簡易な構成により、搬送体1の延伸方向D1の変位を規制することができる。したがって、搬送体1の捻じれ等の不安定挙動を抑制することができ、搬送体1と駆動輪2との噛み合いを良好に保つことができる。
【0061】
また、投下装置100は、搬送体1の板状部材11に設けられ、軸心X4回りに回転自在な第2ローラ63と、第2ローラ63と接して板状部材11の面直方向D3の変位を規制する第2支持部材67とを有する第2規制機構6Bを備えている。そのため、比較的簡易な構成により、搬送体1の面直方向D3の変位を規制することができる。したがって、搬送体1の捻じれ等の不安定挙動を抑制することができ、搬送体1と駆動輪2との噛み合いを良好に保つことができる。
【0062】
また、第2支持部材67は、搬送経路Rにおける駆動輪2への巻き掛け前後に位置する直線部分RSに対応して設けられている。そのため、第1直線部分RS1および第4直線部分RS4において搬送体1の面直方向D3の変位が規制されるので、駆動輪2に対する搬送体1の巻き掛け角を適切に維持することができる。これにより、搬送体1と駆動輪2との噛み合いを良好に保つことができる。
【0063】
また、第2支持部材67は、搬送経路Rにおける直線部分RSおよび曲線部分RCのうち直線部分RSに対応して設けられている。そのため、曲線部分RCにおいては、搬送体1の面直方向D3の変位は規制されない。仮に、曲線部分RCにおいて搬送体1の面直方向D3の変位を規制した場合、搬送体1が第2支持部材67に対して引っ掛かる虞がある。ところが、この例では、それを未然に防止することができる。これにより、曲線部分RCにおいて、搬送体1を滑らかに走行させることができる。
【0064】
また、投下装置100には、搬送体1の内周側に設けられ、投下孔203の位置の板状部材11を識別する識別機構7が設けられている。そのため、例えば、投下物Sを保持した板状部材11を識別することで、投下物Sを保持した板状部材11に対してのみ、第1下側保持部17による支持を解除することができる。つまり、投下物Sを保持した板状部材11に対してのみ、第1下側保持部17による支持を解除することができる。したがって、無駄のない投下動作を行うことが可能である。
【0065】
また、投下装置100には、搬送体1、駆動輪2および従動輪3を投下孔203と合わせて覆うカバー9が設けられている。そのため、機体201内を、投下孔203を含めた投下装置100の空間と、作業者の居住空間とに区画することができる。そのため、投下物Sを投下する際、作業者の居住空間と機体201の外部とが投下孔203を介して連通することを回避することができる。したがって、居住空間の圧力を適切に維持することができる。そのため、飛行高さに関係なく、投下動作を行うことができる。
【0066】
また、搬送体1は、投下物Sを上方から押える上側保持部16と、投下物Sを下方から支持する第1下側保持部17とを有する保持機構15を備えている。保持機構15は、第1下側保持部17による支持を解除して、投下物Sを投下孔203から投下させる。この構成では、上側保持部16と第1下側保持部17とで投下物Sが挟持されるので、投下物Sを安定して保持することができる。また、第1下側保持部17による支持を解除するだけで投下物Sが投下されるので、投下動作を簡易に行うことができる。
【0067】
《変形例》
前記実施形態の変形例について、図面を参照しながら説明する。図11は、変形例に係る板状部材11および駆動輪2を示す図5相当図である。この変形例は、前記実施形態の投下装置100において、駆動輪2が床面に対して斜めの軸心X1回りに回転するものである。ここでは、前記実施形態と異なる点について説明する。
【0068】
この例の投下装置100は、前記実施形態と同様のアクチュエータ4および間欠回転機構5を備えている。即ち、アクチュエータ4から延びるシャフト41が間欠回転機構5に連結され、間欠回転機構5がアクチュエータ4と駆動輪2との間に設けられている。間欠回転機構5は、アクチュエータ4から伝達された連続回転を間欠回転に変換して駆動輪2へ伝達する。
【0069】
間欠回転機構5においては、ピン歯車51が、軸心X5を有するシャフト41に連結され、ゼネバ歯車52が、軸心X6を有するシャフト23に連結されている。間欠回転機構5では、ピン歯車51が軸心X5回りに連続回転する一方、ゼネバ歯車52が軸心X6回りに間欠回転する。この例では、軸心X6は床面に対して垂直な軸心である。ゼネバ歯車52の間欠回転は、一対のかさ歯車25,26を介して、駆動輪2に伝達される。
【0070】
具体的に、シャフト23には、一方のかさ歯車25が連結されている。他方のかさ歯車26は、軸心X1を有するシャフト24に連結され、かさ歯車25と噛み合っている。シャフト24には、2つの駆動輪2も連結されている。つまり、2つの駆動輪2は、軸心X1方向に配列されている。こうして、2つの駆動輪2には、シャフト23、一対のかさ歯車25,26およびシャフト24を介して、ゼネバ歯車52の間欠回転が伝達される。例えば、床面に対する軸心X1の傾斜角θは、45度以上90度未満である。搬送体1の板状部材11は、前記実施形態と同様、軸心X1と同じ方向の延伸方向D1に延びて形成されている。つまり、板状部材11ひいては搬送体1が、床面に対して軸心X1と同様に傾いている。この例においても、前記実施形態と同様、2つの駆動輪2が板状部材11の溝13等と噛み合って間欠回転することで、搬送体1が間欠的に走行する。こうして、投下物Sが間欠的に搬送され、投下孔205から投下される。なお、この例の投下孔205は、軸心X1と同様、床面に対して斜めの方向に板状部材11の下端付近まで延びている。
【0071】
このように構成された投下装置100においても、搬送体1の平面視形状、即ち、搬送経路Rの形状は、従動輪3の数や位置を変更することによって、様々な形状に変更され得る。そのため、搬送体1の長さを長くした場合でも、搬送体1の平面視形状の如何によっては搬送体1の占有面積を縮小することができる。したがって、機体201におけるスペース効率が向上する。その他の構成、作用および効果は、前記実施形態と同様である。
【0072】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0073】
例えば、従動輪3の数や位置は前述したものに限られない。例えば、従動輪3の数は、1つ以上であればよい。
【0074】
また、従動輪3の大きさは、前述した形態に限られず、様々な大きさを採用することができる。
【0075】
また、ガイド体として、従動輪3以外のもの、例えば、湾曲状に形成された板状部材を用いるようにしてもよい。
【0076】
また、アクチュエータ4を省略して、手動で間欠回転機構5のピン歯車51を回転させるようにしてもよい。また、アクチュエータ4による駆動と手動とを切り替え可能に形成するようにしてもよい。
【0077】
また、間欠回転機構5は、前記実施形態のように機械式のものに限られない。例えば、アクチュエータとして、間欠回転可能なサーボモータやステッピングモータを用いるようにしてもよい。この場合、アクチュエータに、間欠回転機構を兼用させることができる。
【0078】
また、搬送体1を滑らかに走行させることができれば、第2支持部材67を搬送経路Rにおける曲線部分RCにも設けるようにしてもよい。
【0079】
また、間欠回転機構5として、いわゆる内部ゼネバ機構を用いるようにしてもよい。
【0080】
また、間欠回転機構5として、いわゆるカム機構を用いるようにしてもよい。例えば、内接パラレルインデックスカムが用いられる。
【0081】
また、間欠回転機構5として、いわゆる間欠歯車機構を用いるようにしてもよい。
【0082】
また、間欠回転機構5の間欠回転をシャフト21ではなく伝達歯車機構を介して駆動輪2に伝達するようにしてもよい。
【0083】
また、搬送体1は、駆動輪2の歯が噛み合う溝13および切欠き14を有する構成としたが、次のように構成してもよい。例えば、搬送体1は、駆動輪2の歯が噛み合う履板を有するようにしてもよい。履板は、例えば、板状部材11の延伸方向D1における両端に設けられる。また、別の例として、搬送体1は、駆動輪2の歯が噛み合う結合リンクを有するようにしてもよい。結合リンクは、例えば、板状部材11の延伸方向D1における両端に設けられ、隣り合う板状部材11同士を連結する。また、別の例として、搬送体1は、駆動輪2の歯が噛み合うチェーンを有するようにしてもよい。チェーンは、例えば、板状部材11の延伸方向D1における両端に設けられる。駆動輪2は、チェーンのリンク同士を繋いでいるピンと噛み合う。なお、前述した履板、結合リンクおよびチェーンは、板状部材11の両端ではなく、板状部材11の2つの溝13と同様の位置に設けるようにしてもよい。
【0084】
以上のように、本開示の技術の第1の側面に係る航空機200の投下装置100は、航空機200の機体201に搭載され、機体201の床202に形成された投下孔203から投下物Sを投下するものであって、環状に形成され、外周部に複数の投下物Sを保持する搬送体1と、搬送体1が巻き掛けられ、機体201の床面に対して垂直なまたは斜めの第1軸である軸心X1回りに回転することで、搬送体1を所定の搬送経路Rに沿って走行させて投下物Sを投下孔203まで搬送する駆動輪2と、搬送体1が巻き掛けられ、搬送体1を搬送経路Rに沿ってガイドするガイド体である従動輪3とを備えている。
【0085】
この構成によれば、従動輪3の数や位置を変更することによって、搬送経路Rを様々な形状に変更することができる。そのため、搬送体1の長さを長くした場合でも、搬送体1の占有面積を減少させることができる。つまり、可能である。つまり、搬送体1の長さを長くすることで、保持し得る投下物Sの数が増え、その場合でも、搬送体1ひいては投下装置100の占有面積を減少させることが可能である。したがって、機体201におけるスペース効率を向上させることができる。また、投下物Sの保持数を増加させつつも、投下装置100の大型化を抑制することができる。
【0086】
また、本開示の技術の第2の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1の側面に係る航空機200の投下装置100において、駆動輪2を間欠回転させる間欠回転機構5をさらに備えている。
【0087】
この構成によれば、投下物Sを投下孔203の位置に精度良く停止させることができる。
【0088】
また、本開示の技術の第3の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1または第2の側面に係る航空機200の投下装置100において、駆動輪2は、従動輪3よりも投下孔203に近い位置に設けられている。
【0089】
この構成によれば、投下物Sを投下孔203の位置に一層精度良く停止させることができる。
【0090】
また、本開示の技術の第4の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1乃至第3の側面の何れか1つに係る航空機200の投下装置100において、間欠回転機構5は、ゼネバ機構である。
【0091】
この構成によれば、比較的簡易な構成により、駆動輪2を間欠回転させることができる。
【0092】
また、本開示の技術の第5の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1乃至第4の側面の何れか1つに係る航空機200の投下装置100において、従動輪3を変位させて搬送体1のテンションを調整するテンション調整部81,82をさらに備えている。
【0093】
この構成によれば、搬送体1と駆動輪2との噛み合いを良好に保つことができる。
【0094】
また、本開示の技術の第6の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1乃至第5の側面の何れか1つに係る航空機200の投下装置100において、搬送体1は、軸心X1と同じ方向の延伸方向D1に延びて形成され外側面11aに投下物Sが保持される複数の板状部材11が、延伸方向D1に直交する板状部材11の幅方向D2に順に連結されて形成されている。複数の板状部材11は、互いに延伸方向D1と同じ方向の第2軸である軸心X2回りに回転自在に連結されている。
【0095】
この構成によれば、投下物Sを保持する複数の板状部材11同士が連結されることで搬送体1を形成するため、比較的軽量な搬送体1を提供することができる。また、複数の板状部材11が回転自在に連結されているので、搬送体1の平面視形状、即ち搬送経路Rの形状を容易に変更することができる。
【0096】
また、本開示の技術の第7の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1乃至第6の側面の何れか1つに係る航空機200の投下装置100において、搬送体1の板状部材11に設けられ、延伸方向D1および幅方向D2に直交する第3軸である軸心X3回りに回転自在な第1ローラ62と、第1ローラ62と接して板状部材11の延伸方向D1の変位を規制する第1支持部材66とを有する第1規制機構6Aをさらに備えている。
【0097】
この構成によれば、第1ローラ62が第1支持部材66と接するという比較的簡易な構成により、搬送体1の延伸方向D1の変位を規制することができる。したがって、搬送体1の捻じれ等の不安定挙動を抑制することができ、搬送体1と駆動輪2との噛み合いを良好に保つことができる。
【0098】
また、本開示の技術の第8の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1乃至第7の側面の何れか1つに係る航空機200の投下装置100において、搬送体1の板状部材11に設けられ、延伸方向D1に延びる第4軸である軸心X4回りに回転自在な第2ローラ63と、第2ローラ63と接して板状部材11の延伸方向D1および幅方向D2に直交する面直方向D3の変位を規制する第2支持部材67とを有する第2規制機構6Bをさらに有している。
【0099】
この構成によれば、第2ローラ63が第2支持部材67と接するという比較的簡易な構成により、搬送体1の面直方向D3の変位を規制することができる。したがって、搬送体1の捻じれ等の不安定挙動を抑制することができ、搬送体1と駆動輪2との噛み合いを良好に保つことができる。
【0100】
また、本開示の技術の第9の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1乃至第8の側面の何れか1つに係る航空機200の投下装置100において、第2規制機構6Bの第2支持部材67は、搬送経路Rにおける駆動輪2への巻き掛け前後に位置する直線部分RSに対応して設けられている。
【0101】
この構成によれば、搬送経路Rにおける駆動輪2への巻き掛け前後に位置する直線部分RSにおいて搬送体1の面直方向D3の変位が規制されるので、駆動輪2に対する搬送体1の巻き掛け角を適切に維持することができる。これにより、搬送体1と駆動輪2との噛み合いを良好に保つことができる。
【0102】
また、本開示の技術の第10の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1乃至第9の側面の何れか1つに係る航空機200の投下装置100において、第2規制機構6Bの第2支持部材67は、搬送経路Rにおける直線部分RSおよび曲線部分RCのうち直線部分RSに対応して設けられている。
【0103】
この構成によれば、曲線部分RCにおいては、搬送体1の面直方向D3の変位は規制されない。仮に、曲線部分RCにおいて搬送体1の面直方向D3の変位を規制した場合、搬送体1が第2支持部材67に対して引っ掛かる虞がある。ところが、この技術によれば、それを未然に防止することができる。これにより、曲線部分RCにおいて、搬送体1を滑らかに走行させることができる。
【0104】
また、本開示の技術の第11の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1乃至第10の側面の何れか1つに係る航空機200の投下装置100において、搬送体1の内周側に設けられ、投下孔203の位置の板状部材11を識別する識別機構7をさらに備えている。
【0105】
この構成によれば、例えば、投下物Sを保持した板状部材11を識別することで、投下物Sを保持した板状部材11に対してのみ、第1下側保持部17による支持を解除することができる。したがって、無駄のない投下動作を行うことが可能である。
【0106】
また、本開示の技術の第12の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1乃至第11の側面の何れか1つに係る航空機200の投下装置100において、搬送体1、駆動輪2および従動輪3を投下孔と合わせて覆うカバー9をさらに備えている。
【0107】
この構成によれば、カバー9によって、機体201内が、投下孔203を含めた投下装置100の空間と、作業者の居住空間とに区画される。そのため、投下物Sを投下する際、作業者の居住空間と機体201の外部とが投下孔203を介して連通することを回避することができる。したがって、居住空間の圧力を適切に維持することができる。そのため、飛行高さに関係なく、投下動作を行うことができる。
【0108】
また、本開示の技術の第13の側面に係る航空機200の投下装置100は、第1乃至第12の側面の何れか1つに係る航空機200の投下装置100において、搬送体1は、投下物Sを上方から押える上側保持部16と、投下物Sを下方から支持する下側保持部17とを有する保持機構15を備えている。保持機構15は、下側保持部17による支持を解除して、投下物Sを投下孔から投下する。
【0109】
この構成によれば、この構成では、上側保持部16と第1下側保持部17とで投下物Sが挟持されるので、投下物Sを安定して保持することができる。また、第1下側保持部17による支持を解除するだけで投下物Sが投下されるので、投下動作を簡易に行うことができる。
【0110】
また、本開示の技術の第14の側面に係る航空機200は、投下物Sの投下孔203が床202に形成された機体201と、機体201内に搭載される第1乃至第13の側面の何れか1つに係る投下装置100とを備えている。
【0111】
この構成によれば、第1の側面に係る航空機200の投下装置100と同様、機体201におけるスペース効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0112】
200 航空機
201 機体
202 床
203,205 投下孔
100 投下装置
1 搬送体
11 板状部材
11a 外側面
15 保持機構
16 上側保持部
17 第1下側保持部(下側保持部)
2 駆動輪
3 従動輪(ガイド体)
5 間欠回転機構
6A 第1規制機構
6B 第2規制機構
62 第1ローラ
63 第2ローラ
66 第1支持部材
67 第2支持部材
7 識別機構
81 第1テンション調整部(テンション調整部)
82 第2テンション調整部(テンション調整部)
9 カバー
D1 延伸方向
D2 幅方向
D3 面直方向
S 投下物
R 搬送経路
RS 直線部分
RC 曲線部分
X1 軸心(第1軸)
X2 軸心(第2軸)
X3 軸心(第3軸)
X4 軸心(第4軸)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11