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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059357
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】農業又は園芸ハウス用換気装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A01G9/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166986
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】522408326
【氏名又は名称】緒方 伸哉
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【弁理士】
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】緒方 伸哉
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029MA01
2B029NA30
2B029PA03
(57)【要約】
【目的】 極めて低コストに且つ簡単に製造、設置することができ、設置後の装置の運営コストもほぼゼロにするか低減化でき、そのメンテナンスも低負担化できる、農業又は園芸ハウス用の換気のための装置を提供する。
【構成】 農業ハウス又は園芸ハウスの屋根の1つ又は複数箇所に設けられた開口部の周囲又は縁部を覆うか対向するように配置される中空状ベースであって、前記屋根に対しその上側に固定される中空状ベースと、前記中空状ベースに対して上空側に延びるように取り付けられハウス室内からの空気を前記開口部及び前記中空状ベースの中空部分を介して上空側に流通可能とする煙突とを備えた農業又は園芸ハウス用の換気装置であり、前記煙突は例えば2kg以下の軽量で且つ少なくとも外面側が布などの柔らかい素材で構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業ハウス又は園芸ハウスの屋根の1つ又は複数箇所に設けられた開口部の周囲又は縁部を覆うように又は前記周囲又は縁部に対向するように配置される中空状のベースであって、前記屋根に対しその上側に固定される中空状ベースと、
前記中空状ベースに対して上空側に延びるように取り付けられ、ハウス室内からの空気を前記開口部及び前記中空状ベースの中空部分を介して上空側に流通可能とする煙突と、
を備えたことを特徴とする農業又は園芸ハウス用換気装置。
【請求項2】
前記煙突は、2kg以下の軽量に構成され、且つ少なくとも外面側が布などの柔らかい素材により構成されている、請求項1に記載の農業又は園芸ハウス用換気装置。
【請求項3】
前記煙突は、前記ハウスの一部又は地盤面の側に固定された紐又はワイヤなどの細長い素材から成る繋ぎ止め部により、風で飛ばされたときでも一定距離以上は飛ばないように構成されている、請求項1に記載の農業又は園芸ハウス用換気装置。
【請求項4】
前記煙突は、布により形成された略筒状(略筒状は、断面円形状に限らず断面楕円形状又は断面多角形状のものを含む。)の中空体と、前記中空体を略筒状に保持するためにその内側に所定距離毎に取り付けられた複数個のリング(リングは、円形状のものに限らず楕円形状又は多角形状のものを含む。)と、前記中空体の内側において前記複数個のリングが前記各リングと直交する方向に互いに所定距離を介して保持されるように前記中空体に対し着脱可能に取り付けられる棒状体とから構成されており、前記棒状体を取り外したとき前記中空体は前記リングが取り付けられた状態のままジャバラ状に伸縮可能となる、請求項1に記載の農業又は園芸ハウス用換気装置。
【請求項5】
前記中空状ベースには、その中空部分を戸外に対し閉塞する閉塞位置と同開放する開放位置との間で移動又は変位可能に構成された蓋が備えられている、請求項1に記載の農業又は園芸ハウス用換気装置。
【請求項6】
前記中空状ベースにはその中空部分を戸外に対し閉塞可能な蓋が備えられており、前記蓋には、前記蓋を前記中空状ベースの中空部分を戸外に対し閉塞する閉塞位置と同開放する開放位置との間で移動又は変位させるようにユーザーが操作するための、紐又はワイヤなどの細長い素材から成る引っ張り部が備えられている、請求項1に記載の農業又は園芸ハウス用換気装置。
【請求項7】
前記中空状ベースには、前記煙突を取り外した後の前記中空状ベースの上側部分を覆うキャップを取り付けるためのキャップ取付部が備えられている、請求項1に記載の農業又は園芸ハウス用換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業ハウス又は園芸ハウス用の換気のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より図10に示すようなハウスが農業又は園芸用に建築され使用されている。図10に示す従来例においては、両端部が地盤に固定された、ハウスの躯体(骨組)となる複数の湾曲状の金属製パイプ31と、これらと直交する、ハウスの躯体(骨組)となる直線状の金属製パイプ32と、これらに固定される塩化ビニールフィルムなどから成る透明シート(ビニールシート)33とにより、略ドーム状(又はカマボコ状)のハウス30が構成されている。なお、このようなハウス30の長手方向の各端部34側には作業者が出入りするための開口部及び開閉ドア(図示省略)などが設けられている。
【0003】
また従来より、このような農業用又は園芸用のハウスにおいては、特に夏季は室内が高温となるため、その対策として、室内の空気を戸外に排出し外気を室内に取り入れるための換気装置が備えられることが少なくない(例えば特許文献1参照)。図11は、このような従来の換気装置の一例を示すものである。図11の従来例では、ハウスの屋根に複数の開口部(空洞部)を形成し、前記各開口部の室内側に換気及び排熱等のためのモーターなどの駆動機構を含む電気機器本体35を設置すると共に、ハウスの屋根の前記各開口部の上方側(すなわち上空側)に前記下方の電気機器本体からの動力により回転されるファンを含む換気扇35aを設置することが提案されている(なお図11は、株式会社花ごころ(住所:愛知県名古屋市中川区高畑1-52)が販売している「熱エコファン」という商品のパンフレットから引用した図である)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-185116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図11に示すような従来の農業又は園芸ハウス用換気装置を設置するためには、重量の大きい電気機器本体35をハウスの屋根に設置するための大型取付金具と換気扇35aを駆動するモーター等が必要となるため製造コストが高くなる、重量の大きい電気機器本体35をハウスの屋根に設置するための設置工事やモーター等に電源を供給するための電気配線工事などが必要となるため設置のための工事が面倒でありメンテナンスにも大きな負担がかかってしまうなどの問題点があった。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目して為されたものであって、極めて低コストに且つ簡単に製造、設置することができ、また設置後の装置の運営コストもほぼゼロにするか低減化でき、さらに装置のメンテナンスも低負担化・低コスト化できる、農業又は園芸ハウス用の換気のための装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決するための本発明による農業又は園芸ハウス用換気装置は、農業ハウス又は園芸ハウスの屋根の中の1つ又は複数箇所に設けられた開口部の周囲又は縁部を覆うように又は前記周囲又は縁部に対向するように配置される中空状ベースであって前記屋根に対しその上側に固定される中空状ベースと、前記中空状ベースに対して上空側に延びるように取り付けられ、ハウス室内からの空気を前記開口部及び前記中空状ベースの中空部分を介して上空側に流通可能とする煙突と、を備えたものである。
【0008】
また、本発明による農業又は園芸ハウス用換気装置においては、前記煙突を、例えば2kg以下の軽量に構成し且つ少なくとも外面側を布などの柔らかい素材により構成するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明による農業又は園芸ハウス用換気装置においては、前記煙突を、前記ハウスの一部又は地盤面の側に固定された紐又はワイヤなどの細長い素材から成る繋ぎ止め部により、風で飛ばされたときでも一定距離以上は飛ばないように構成してもよい。
【0010】
また、本発明による農業又は園芸ハウス用換気装置においては、前記煙突を、布により形成された略筒状(略筒状は、断面円形状に限らず断面楕円形状又は断面多角形状のものを含む。)の中空体と、前記中空体を略筒状に保持するためにその内壁面側に所定距離毎に取り付けられた複数個のリング(リングは、円形状のものに限らず楕円形状又は多角形状のものを含む。)と、前記中空体の内壁面側において前記複数個のリングが前記各リングと直交する方向に互いに所定距離を介して保持されるように前記中空体に対し着脱可能に取り付けられる棒状体とから構成されており、前記棒状体を取り外したとき前記中空体は前記リングが取り付けられた状態のままジャバラ状に伸縮可能となるように構成してもよい。
【0011】
また、本発明による農業又は園芸ハウス用換気装置において、前記中空状ベースには、その中空部分を戸外に対し閉塞する閉塞位置と同開放する開放位置との間で移動又は変位可能に構成された蓋が備えられているようにしてもよい。
【0012】
また、本発明による農業又は園芸ハウス用換気装置において、前記中空状ベースにはその中空部分を戸外に対し閉塞可能な蓋が備えられており、前記蓋には、前記蓋を前記中空状ベースの中空部分を戸外に対し閉塞する閉塞位置と同開放する開放位置との間で移動又は変位させるようにユーザーが操作するための、紐又はワイヤなどの細長い素材から成る引っ張り部を備えるようにしてもよい。
【0013】
さらに、本発明による農業又は園芸ハウス用換気装置において、前記中空状ベースに、前記煙突を取り外した後の前記中空状ベースの上側部分を覆うキャップを取り付けるためのキャップ取付部を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、農業ハウス又は園芸ハウスの屋根の1つ又は複数箇所に開口部を設けて、この開口部の上方に中空状ベースを配置して屋根に固定し、この中空状ベースの外周面側に煙突を備えるようにしている。よって、本発明においては、特に夏季などにおいて、前記煙突内の空気は、その上方側の空気が下方側の空気よりもより高温で低密度となるため浮力により上昇する結果、このような煙突内における空気の上昇と連動して、太陽光の照射等により熱せられた前記ハウス内における屋根の近傍の空気は、前記開口部及び前記中空状ベースの中空部分を介して前記煙突の内部に引き込まれて流入、上昇し(煙突効果)、その後、上空側に排出される。よって、本発明においては、夏季において、前記煙突内の空気を加温する太陽光の照射等の自然エネルギーだけで(すなわち、従来のように商用電源やバッテリーなどは必要としないで)、煙突効果により、ハウス内の太陽光等で加温された空気を煙突を介して上空側に排出させ、以ってハウス内を換気することができるようになる。したがって、本発明によれば、図11に示すような従来例と比較して、農業又は園芸ハウス用換気装置を、極めて低コストに且つ簡単に製造、設置することができ、また設置後の装置の運営コストもほぼゼロにするか低減化でき、さらに装置のメンテナンスも低負担化・低コスト化できる、などの効果が得られるようになる。
【0015】
また、本発明において、前記煙突を例えば2kg以下の軽量とし且つ少なくとも外面側を布などの柔らかい素材により構成するようにしたときは、ハウスの屋根への煙突の設置作業を容易に行なうことができ、また、強風により煙突が飛んだ場合でも、そのように飛んだ煙突が建物等を破壊等するなどの虞れをを無くすか又は低減化することができる。
【0016】
また、本発明において、紐又はワイヤなどの細長い素材から成る繋ぎ止め部の一端部を前記煙突側に固定し、同他方の端部を前記ハウスの一部又は地盤面の側に固定するようにしたときは、強風により煙突が飛んだ場合でも、そのように飛んだ煙突が一定距離以上は移動しないようにして、その回収、確保を容易にすることができる。
【0017】
また、本発明において、前記煙突を、布により形成された略筒状(略筒状は、断面円形状に限らず断面楕円形状又は断面多角形状のものを含む。)の中空体と、前記中空体を略筒状に保持するためにその内側に所定距離毎に取り付けられた複数個のリング(リングは、円形状のものに限らず楕円形状又は多角形状のものを含む。)と、前記中空体の内側において前記複数個のリングが前記各リングと直交する方向(前記中空体の長手方向)に互いに所定距離を介して保持されるように前記中空体に対し着脱可能に取り付けられる棒状体とにより構成するようにしたときは、前記棒状体を取り外したとき前記中空体は前記リングが取り付けられた状態のままジャバラ状に伸縮可能となる。よって、本発明によれば、前記中空体を運搬するときは、前記棒状体を取り外して前記中空体をジャバラのように縮めておくことができるので、前記中空体の運搬をより効率化、低コスト化することができる。
【0018】
また、本発明において、前記中空状ベースに、その中空部分を戸外に対し閉塞する閉塞位置と同開放する開放位置との間で移動又は変位可能に構成された蓋を備えるようにしたときは、例えば雨天のときは前記蓋を前記閉塞位置に移動又は変位させて、雨等がハウス内に入り込むことを有効に防ぐことができるようになる。
【0019】
また、本発明において、前記中空状ベースにその中空部分を戸外に対し閉塞可能な蓋を備え、前記蓋には、前記蓋を前記中空状ベースの中空部分を戸外に対し閉塞する閉塞位置と同開放する開放位置との間で移動又は変位させるようにユーザーが操作するための、紐又はワイヤなどの細長い素材から成る引っ張り部を備えるようにしたときは、ユーザーが前記引っ張り部を操作する(例えば引っ張る)だけで容易に前記蓋を開閉動作させることができる。
【0020】
さらに、本発明において、前記中空状ベースに、前記煙突を取り外した後の前記中空状ベースの上側部分を覆うキャップを取り付けるためのキャップ取付部を備えるようにしたときは、台風などの強い風雨又は強い寒波等が予想されるとき、作業者は、容易に屋根上で前記キャップを前記中空状ベースに取り付けて前記中空状ベースを塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は本発明の実施形態による農業又は園芸ハウス用換気装置を示す正面図、(b)はその側面図である。
図2】本実施形態における中空状ベースを示す斜視図である。
図3】本実施形態における中空状ベースを示す斜視図である。
図4】本実施形態における中空状ベースを示す斜視図である。
図5】本実施形態における中空状ベースの躯体用パイプへの取り付け部分を拡大して示す斜視図である。
図6】本実施形態における中空状ベースと煙突を示す斜視図である。
図7】本実施形態における煙突を示す斜視図である。
図8】本実施形態における中空状ベースと煙突との接続構造を示す斜視図である。
図9】本実施形態における中空状ベースと煙突との接続構造を示す斜視図である。
図10】従来の農業又は園芸ハウスの一例を示す図である。
図11】従来の農業又は園芸ハウス用換気装置の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。まず、図1(a)は本発明の実施形態による農業又は園芸ハウス用換気装置を示す正面図、同(b)はその側面図である。
【0023】
図1(a)及び(b)において、1は地盤面、30は農業又は園芸用のハウス、31はこの農業又は園芸用のハウス30の躯体(骨格)を構成する円弧状のパイプ、32はこれらの複数の円弧状パイプ31を互いに連結する直線状のパイプ(ハウス30の屋根などに備えられている)、11は前記各パイプ31及び32の交差する部分に取り付け固定される中空状ベース、21は煙突である。この図1に示すハウス30は、図10に示す従来例のハウス30と同一の形態に係るものである。本実施形態では、図10のハウス30の屋根の中の符号a~eで示す部分に当たる箇所のビニールシートの一部に、それぞれ、開口部(空洞部。図示省略)が形成されている。そして、これらの各開口部の上側に、それぞれ、中空状ベース11及び煙突21が備えられている。このように中空状ベース11及び煙突21を備えた本実施形態では、図1に示すように、煙突効果により、ハウス30内において太陽光の照射等により加温されたハウス内の空気(特にハウスの屋根の近傍の空気)が、前記屋根中の各開口部及び前記各中空状ベース11の中空部分を介して、前記各煙突21内に引き寄せられて、その下方から流入し(図1(a)の矢印A参照)、前記煙突21内を上昇して前記煙突21の上端部から上空に排出される。
【0024】
次に、図2図4は本実施形態における中空状ベースを示す斜視図である。図2図4において、10は農業又は園芸用ハウスの躯体(骨組)として使用され得る躯体用パイプ(図10の符号31,32のパイプなどに使用され得るもの)、11は中空の筒状に形成された、塩化ビニル樹脂などから成るプラスチック製(軽量化のためにはプラスチック製が望ましいが金属製でもよい)の中空状ベース、12は前記中空状ベース11に対しその中空部分を戸外に対し閉塞する閉塞位置と同解放する開放位置との間で回動可能に構成された開閉蓋、13は前記開閉蓋12を前記中空状ベース11に対して回動(前記中空状ベース11の中空部分を閉塞又は又は解放するための回動)可能とするために取り付けられた回動軸(前記開閉蓋12側にも固定されている)、14は前記回動軸13により回動可能とされた前記開閉蓋12を回動させるために作業者(ユーザー)が引っ張る紐(引っ張り部)である。
【0025】
本実施形態において、前記中空状ベース11は、例えばその高さ方向のサイズは約30cm、直径(外径)は約29-30cm、重量は約3.5kgに構成されているが、これらは一例に過ぎず、このようなサイズ又は重量に限られない。また、前記開閉蓋12は、戸外が寒いとき又は雨天のときなどに、前記中空状ベース11の開口部を閉じて、戸外からの冷たい空気や雨がハウス30内に侵入しないようにするためのものである。さらに、前記紐(引っ張り部)14に関して、例えば、本実施形態において、前記回動軸13に対し、前記開閉蓋12を常時は解放位置に付勢するスプリング(図示省略)を備えると共に前記紐(引っ張り部)14が引っ張られて前記開閉蓋12が閉塞位置まで回動するとその位置で一時的に固定する機構(周知のラッチ機構など)を備えており、これにより、前記紐(引っ張り部)14を作業者(ユーザー)が引っ張ることで、前記開閉蓋12が閉塞位置まで回動されて一時的に固定されたり又は逆に前記固定が解除されて開放位置まで回動されるようになっている。
【0026】
また、図2図5において、15は前記中空状ベース11を前記ハウス30の躯体用に用いられ得る各パイプ10に固定するための取付金具である。この取り付け金具15は、前記中空状ベース11の下端部の外壁面の外周側に沿う4箇所にそれぞれ互いに等間隔で配置、固定されている。前記取付金具15は、前記中空状ベース11の下端部を、図示のように互いに交差する2本の金属製パイプ10に対し、ボルト等で締め付け固定するものである。作業者は、ハウス30の屋根上で、例えば図10の円弧状のパイプ31と直線状のパイプ32との2本のパイプが交差する各部分(例えば図10の符号a~eで示す5箇所の各部分)の1つ又は複数に対し、前記取付金具15を使用して前記中空状ベース11を取り付け固定する。なお前記取付金具15は周知の取り付け用金具の構成と略同様であるため詳細な説明は省略する。
【0027】
次に、図6図9を参照して本実施形態における煙突の構成を説明する。図6図9において、21は柔軟な素材(柔軟な素材は、軽量化及び安全性のため布製が望ましいがプラスチック製シートなどでもよい)により形成された略円筒状の煙突、21aは前記柔軟な素材から成る煙突21を図示横方向において円筒状に保持するためのプラスチック製(軽量化及び安全性のためプラスチック製が望ましいが金属製などでもよい)の複数個の支持リング、21cは前記柔軟な素材から成る煙突21を図示縦方向において略細長い円筒状に保持するためのプラスチック製(軽量化及び安全性のためプラスチック製が望ましいが金属製などでもよい)の複数個の直線状支持棒である。
【0028】
本実施形態において、前記煙突21は、例えば、その直径(内径)は約29-32cm、その高さ方向のサイズは伸ばしたときが約90-100cm、同縮めたときが約30-45cm、重量は約600gに構成されているが、これらは一例に過ぎず、このようなサイズ又は重量に限られない。また、前記複数個の支持リング21aは、前記煙突21の内壁面側に対し、前記煙突21の内部において図示横方向(略水平方向)に配置され、さらに図示縦方向において互いに等間隔で配置されて固定されている。また前記複数個の支持棒21cは、前記煙突21の内壁面側に対し、前記煙突21の内部においてその長手方向が図示縦方向(略垂直方向)となるように配置され、さらに図示横方向における円周状に互いに等間隔となるように配置されて固定されている。
【0029】
次に、図8及び図9を参照して本実施形態における前記煙突21を前記中空状ベース11に取り付けるための方法・構成等を説明する。図8及び図9において、22は前記煙突21の下端部21b又はその近傍部分を前記中空状ベース11の上端部側に一時的に又は着脱可能に固定するために使用される固定用リング(軽量化等のため軽量の金属製又はプラスチック製が望ましい)である。この固定用リング22を使用して前記煙突21を前記中空状ベース11に取り付けるときは、例えば、作業者がハウス30の屋根上で、前記固定用リング22を予め取り付けた煙突21の下端部21bの内壁面側を、前記中空状ベース11の上端部の外周面側に配置し、その後、前記固定用リング22を従来より周知の締め付け金具(図示省略)により当該固定用リング22の直径が小さくなるようにネジ等で締め付けることにより、前記煙突21を前記中空状ベース11に取り付け固定する。
【0030】
また本実施形態においては、図示は省力しているが、紐又はワイヤなどの細長い素材から成る繋ぎ止め部(図示省略)を用意し、この繋ぎ止め部の一方の端部を前記煙突21側に固定すると共に、同他方の端部を前記ハウス30の一部(図10の各パイプ31,32の一部)側又は地盤面1側に固定するようにしている。このような繋ぎ止め部は、台風などの強風により前記煙突21がハウス30の屋根から外れて飛んでしまった場合でも、前記繋ぎ止め部により当該繋ぎ止め部の長さの距離以上には飛ばないようにして、ユーザーが前記煙突21を容易に回収、確保できるようにするためのものである。
【0031】
さらに本実施形態においては、図示は省力しているが、前記中空状ベース11に、前記煙突21を取り外した後の前記中空状ベース11の上側部分(特に空洞部)を覆うキャップ(図示省略)を取り付けるためのキャップ取付部(図示省略)を備えるようにしている。なお、本実施形態において、前記キャップ(図示省略)は、例えば、前記中空状ベース11の上端部を覆う円形状の蓋でその下端部の内壁面側に螺旋状凹凸部が形成されたものである。他方、前記キャップ取付部(図示省略)は、例えば、前記中空状ベース11の上端部の外周面に形成された螺旋状凹凸部であって、前記キャップの下端の内壁面側に形成された螺旋状凹凸部と嵌合し得る螺旋状凹凸部である。このようなキッャプは、強い台風又は強い寒波などが予想されるとき、そのための事前の対策として、作業者が屋根の上で、前記煙突21を取り外して前記キャップを取り付けるようにし、これにより、台風等による雨水や冷たい外気がハウス30内に浸入しないようにするためのものである。
【0032】
以上に説明したように、本実施形態においては、農業ハウス又は園芸ハウス30の屋根の1つ又は複数箇所に開口部(空洞部)を設けておき、この開口部の上方に中空状ベース11を配置して屋根側(躯体用の各パイプ31,32など)に固定し、この中空状ベース11の外周面側に煙突21を備えるようにしたので、特に夏季などにおいて、前記煙突21内の空気は、その上方側の空気が下方側の空気よりもより高温で低密度となるため浮力により上昇する結果、この煙突内における空気の上昇と連動して、太陽光の照射等により熱せられた前記ハウス内における屋根の近傍の空気は、前記開口部及び前記中空状ベースの中空部分を介して前記煙突の内部に引き込まれて流入、上昇し(煙突効果)、その後、上空側に排出される。よって、本実施形態によれば、夏季において、前記煙突21内の空気を加温する太陽光の照射等の自然エネルギーだけで(すなわち、従来のように商用電源やバッテリーなどは必要としないで)、煙突効果により、ハウス30内の太陽光等で加温された空気を前記煙突21を介して上空側に排出させて、ハウス30内を換気することができるようになる。
【0033】
また、本実施形態においては、前記煙突21を例えば2kg以下の軽量とし且つ少なくとも外面側を布などの柔らかい素材により構成するようにしたので、ハウス30の屋根への煙突21の設置作業を容易に行なうことができ、また強風により煙突21が飛んだ場合でも、そのように飛んだ煙突21が建物等を破壊等するなどの虞れを無くすか又は低減化することができる。
【0034】
また、本実施形態においては、前述のように、紐又はワイヤなどの細長い素材から成る繋ぎ止め部(図示省略)を用意し、この繋ぎ止め部を、前記煙突21側と、前記ハウス30の一部(図10の各パイプ31,32の一部)側又は地盤面1側とに固定するようにしたので、強風により煙突21が飛んだ場合でも、そのように飛んだ煙突21が一定距離以上は飛ばない(移動しない)ようにし、飛んだ煙突21の回収等を容易にすることができる。
【0035】
また、本実施形態においては、前記煙突21を、柔らかい布により形成された略筒状の中空体(例えば図6の符号21で示すような布部分)と、前記中空体を略筒状に保持するためにその内側に所定距離毎に取り付けられた複数個の支持リング21aと、前記中空体の内側において前記複数個の支持リング21が前記各支持リング21aと直交する方向(図示縦方向)に保持されるように互いに所定距離を介して前記中空体に対し着脱可能に取り付けられる支持棒21cとにより構成しているので、前記支持棒21cを取り外したとき前記中空体は前記支持リング21aが取り付けられた状態のままジャバラ状に伸縮可能となる。よって、本実施形態によれば、前記布製中空体及び支持リング21aを運搬するときは、前記支持棒21cを取り外して前記中空体をジャバラのように縮めておくことができるので、前記中空体及び支持リング21aの運搬をより効率化、低コスト化することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、前記中空状ベース11に、その中空部分を戸外に対し閉塞する閉塞位置と同開放する開放位置との間で移動又は変位可能に構成された開閉蓋12を備えるようにしたので、例えば雨天のとき又は外気が冷たいときは前記開閉蓋12を前記閉塞位置に移動又は変位させることができ、これにより雨や冷気などがハウス30内に入り込むことを有効に防ぐことができるようになる。
【0037】
また、本実施形態においては、前記中空状ベース11にその中空部分を閉塞可能な開閉蓋12を備え、前記開閉蓋12には、前記開閉蓋12を前記中空状ベース11の中空部分を戸外に対し閉塞する閉塞位置と同開放する開放位置との間で移動又は変位させるようにユーザーが操作するための紐(引っ張り部)14を備えるようにしたので、ユーザーが前記紐(引っ張り部)14を操作する(例えば引っ張る)だけで容易に前記開閉蓋12を開閉動作させることができるようになる。
【0038】
さらに、本実施形態においては、前述のように、前記中空状ベース11に、前記煙突21を取り外した後の前記中空状ベース11の上側部分(特に空洞部)を覆うキャップ(図示省略)を取り付けるためのキャップ取付部(図示省略)を備えるようにしたので、台風などの強い風雨又は強い寒波等が予想されるとき、作業者は容易に、屋根上で前記キャップを前記中空状ベース11の上端側に取り付けて前記中空状ベース11を確実に塞ぐことができるようになる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態においては、図10に示す略ドーム状(カマボコ状)の屋根を有する農業又は園芸用ハウスを前提に説明したが、本発明においては、これに限られることなく、三角形状の屋根形状を有する農業又は園芸用ハウスに対しても適用可能である。また、前記実施形態では、略筒状の煙突21は断面円形状のものとしたが、本発明では、前記煙突は断面円形状に限らず例えば断面楕円形状又は断面多角形状のものであってもよい。さらに前記実施形態では、前記の煙突21を断面円形状に支持する支持リング21aを円形状のものとしたが、本発明では、前記支持リングは円形状に限らず例えば楕円形状又は多角形状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 地盤面、
11 中空状ベース
12 中空状ベースの開閉蓋
13 回動軸
14 紐(引っ張り部)
15 取付金具
21 煙突
21a 煙突の支持リング
21b 煙突の下端部
21c 煙突の支持棒
22 固定用リング
30 農業又は園芸ハウス
31 円弧状のパイプ
32 直線状のパイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11