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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059358
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】傾斜測定器および傾斜測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 9/04 20060101AFI20240423BHJP
   G01C 9/06 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01C9/04
G01C9/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166987
(22)【出願日】2022-10-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り JECA FAIR 2022 ~第70回電設工業展~、令和4年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】592205883
【氏名又は名称】北陸電気工事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522408337
【氏名又は名称】ヨコゴ送配電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 敏光
(72)【発明者】
【氏名】高橋 要
(72)【発明者】
【氏名】森下 茂和
(72)【発明者】
【氏名】土田 新平
(72)【発明者】
【氏名】横越 繁佳
(57)【要約】      (修正有)
【課題】テーパ形状をなす柱体の中心軸の鉛直方向に対する傾斜を測定可能なものであって簡易な構成の傾斜測定器を提供する。
【解決手段】傾斜測定器1は、傾斜を測定する測定部と、端末2との間でデータを送受信する測定器通信部と、測定器制御部とを備え、測定器制御部は、測定部に、設定されたゼロ点を基準として繰り返し傾斜を測定させてその度に測定データを得る測定手段と、測定データを得る度に、測定器通信部に測定データを端末2に対して送信させる測定データ送信手段と、測定器通信部に、端末2の入力部からの入力に応じて端末2から送信されるゼロ点の補正データを受信させる補正データ受信手段と、補正データによりゼロ点を補正する補正手段とを有しており、補正データは、測定部が柱体Pの側面の勾配角と同じ角度だけ傾いた状態をゼロ点とするもので、柱体Pの複数のテーパ比に対応するものがあらかじめ設定されており、その中から選択される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパ形状をなす柱体の中心軸の鉛直方向に対する傾斜を測定するための傾斜測定器であって、
傾斜を測定する測定部と、表示部および入力部を有する端末との間でデータを送受信する測定器通信部と、各部を制御する測定器制御部とを備えるものであり、
前記測定器制御部は、
前記測定部に、設定されたゼロ点を基準として繰り返し傾斜を測定させてその度に測定データを得る測定手段と、
前記測定手段が前記測定データを得る度に、前記測定データを前記端末の前記表示部に表示させるために、前記測定器通信部に前記測定データを前記端末に対して送信させる測定データ送信手段と、
前記測定器通信部に、前記端末の前記入力部からの入力に応じて前記端末から送信されるゼロ点の補正データを受信させる補正データ受信手段と、
前記補正データによりゼロ点を補正する補正手段とを有しており、
前記補正データは、前記測定部が前記柱体の側面の勾配角と同じ角度だけ傾いた状態をゼロ点とするものであって、前記柱体の複数のテーパ比に対応するものがあらかじめ設定されており、その中から選択されるものであることを特徴とする傾斜測定器。
【請求項2】
テーパ形状をなす柱体の中心軸の鉛直方向に対する傾斜を測定するための傾斜測定システムであって、
傾斜を測定するための傾斜測定器と、前記傾斜測定器の測定結果に基づく情報を表示するための複数の端末と、前記傾斜測定器および前記端末を制御する制御部とを備え、
前記傾斜測定器は、傾斜を測定する測定部と、前記端末との間でデータを送受信する測定器通信部とを備えるものであり、
前記端末は、画像を表示する表示部と、操作入力を受け付ける入力部と、前記傾斜測定器との間でデータを送受信する端末通信部とを備えるものであり、
前記制御部は、
前記測定部に、設定されたゼロ点を基準として繰り返し傾斜を測定させてその度に測定データを得る測定手段と、
前記測定手段が前記測定データを得る度に、前記測定データを前記端末の前記表示部に表示させるために、前記測定器通信部に前記測定データを前記端末に対して送信させる測定データ送信手段と、
前記端末の前記端末通信部に、前記測定データを受信させる測定データ受信手段と、
前記端末の前記表示部に、前記測定データに基づく情報を表示させる表示手段と、
前記端末の前記入力部に、ゼロ点の補正データについての入力を受け付けさせる補正データ受付手段と、
一の前記端末の前記入力部に前記補正データについての入力があったときに、その前記端末の前記端末通信部に、前記補正データを前記傾斜測定器に対して送信させる補正データ送信手段と、
前記測定器通信部に、前記補正データを受信させる補正データ受信手段と、
前記補正データによりゼロ点を補正する補正手段とを有しており、
前記補正データは、前記測定部が前記柱体の側面の勾配角と同じ角度だけ傾いた状態をゼロ点とするものであって、前記柱体の複数のテーパ比に対応するものがあらかじめ設定されており、その中から前記入力部への入力により選択されるものであることを特徴とする傾斜測定システム。
【請求項3】
前記傾斜測定器を前記柱体に取り付けるための取付具を備え、
前記取付具は、前記測定部を前記柱体の側面に沿った状態で支持する支持部を有しており、
前記支持部は、前記測定部が前記柱体に対して所定の向きとなるように案内する案内部を有しており、
前記補正データは、前記測定部が、前記柱体に対して所定の向きであるときに前記柱体側に向けて前記柱体の側面の勾配角と同じ角度だけ傾いた状態をゼロ点とするものであることを特徴とする請求項2記載の傾斜測定システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパ形状をなす柱体の中心軸の鉛直方向に対する傾斜を測定するための傾斜測定器および傾斜測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱を設置する際には、電柱が地面に対して垂直となるように、すなわち、鉛直方向に沿うように、測定器によって鉛直方向に対する傾斜を測定しながら作業が行われる。ただし、一般に、電柱は上側に向けて先細りとなるテーパ形状をなす柱体なので、電柱の側面の傾斜ではなく、電柱の中心軸の傾斜を測定しなければならない。
【0003】
たとえば、特許文献1に示す傾斜検出装置は、柱体の側面の径方向対称位置に一対の傾斜センサーを取り付けて、両傾斜センサーによる検出角度の差をとることで、柱体の側面の勾配を打ち消して、柱体の中心軸の傾斜角度を検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6116403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の傾斜検出装置は、複数の傾斜センサーを必要とするため、費用が高くなることや制御が複雑になることが問題であった。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みたものであり、テーパ形状をなす柱体の中心軸の鉛直方向に対する傾斜を測定可能なものであって簡易な構成の傾斜測定器および傾斜測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の傾斜測定器は、テーパ形状をなす柱体の中心軸の鉛直方向に対する傾斜を測定するための傾斜測定器であって、傾斜を測定する測定部と、表示部および入力部を有する端末との間でデータを送受信する測定器通信部と、各部を制御する測定器制御部とを備えるものであり、前記測定器制御部は、前記測定部に、設定されたゼロ点を基準として繰り返し傾斜を測定させてその度に測定データを得る測定手段と、前記測定手段が前記測定データを得る度に、前記測定データを前記端末の前記表示部に表示させるために、前記測定器通信部に前記測定データを前記端末に対して送信させる測定データ送信手段と、前記測定器通信部に、前記端末の前記入力部からの入力に応じて前記端末から送信されるゼロ点の補正データを受信させる補正データ受信手段と、前記補正データによりゼロ点を補正する補正手段とを有しており、前記補正データは、前記測定部が前記柱体の側面の勾配角と同じ角度だけ傾いた状態をゼロ点とするものであって、前記柱体の複数のテーパ比に対応するものがあらかじめ設定されており、その中から選択されるものであることを特徴とする。なお、端末から送信されるゼロ点の補正データは、実際にゼロ点を補正するための計算に用いられるデータそのものであってもよいし、どのようにゼロ点を補正するのかを表す情報であってもよい。後者である場合、実際にゼロ点を補正するための計算に用いられるデータそのものは、傾斜測定器において求められる。
【0008】
本発明の傾斜測定システムは、テーパ形状をなす柱体の中心軸の鉛直方向に対する傾斜を測定するための傾斜測定システムであって、傾斜を測定するための傾斜測定器と、前記傾斜測定器の測定結果に基づく情報を表示するための複数の端末と、前記傾斜測定器および前記端末を制御する制御部とを備え、前記傾斜測定器は、傾斜を測定する測定部と、前記端末との間でデータを送受信する測定器通信部とを備えるものであり、前記端末は、画像を表示する表示部と、操作入力を受け付ける入力部と、前記傾斜測定器との間でデータを送受信する端末通信部とを備えるものであり、前記制御部は、前記測定部に、設定されたゼロ点を基準として繰り返し傾斜を測定させてその度に測定データを得る測定手段と、前記測定手段が前記測定データを得る度に、前記測定データを前記端末の前記表示部に表示させるために、前記測定器通信部に前記測定データを前記端末に対して送信させる測定データ送信手段と、前記端末の前記端末通信部に、前記測定データを受信させる測定データ受信手段と、前記端末の前記表示部に、前記測定データに基づく情報を表示させる表示手段と、前記端末の前記入力部に、ゼロ点の補正データについての入力を受け付けさせる補正データ受付手段と、一の前記端末の前記入力部に前記補正データについての入力があったときに、その前記端末の前記端末通信部に、前記補正データを前記傾斜測定器に対して送信させる補正データ送信手段と、前記測定器通信部に、前記補正データを受信させる補正データ受信手段と、前記補正データによりゼロ点を補正する補正手段とを有しており、前記補正データは、前記測定部が前記柱体の側面の勾配角と同じ角度だけ傾いた状態をゼロ点とするものであって、前記柱体の複数のテーパ比に対応するものがあらかじめ設定されており、その中から前記入力部への入力により選択されるものであることを特徴とする。なお、各手段が複数の端末に種々の動作をさせる場合については、各端末が制御部を有しており各端末においてそれぞれ各手段がその端末を動作させる場合と、システムが1つの制御部を有しておりその各手段が複数の端末を動作させる場合の両方を含む。また、端末から送信されるゼロ点の補正データは、実際にゼロ点を補正するための計算に用いられるデータそのものであってもよいし、どのようにゼロ点を補正するのかを表す情報であってもよい。後者である場合、実際にゼロ点を補正するための計算に用いられるデータそのものは、傾斜測定器において求められる。
【0009】
また、本発明の傾斜測定システムは、前記傾斜測定器を前記柱体に取り付けるための取付具を備え、前記取付具は、前記測定部を前記柱体の側面に沿った状態で支持する支持部を有しており、前記支持部は、前記測定部が前記柱体に対して所定の向きとなるように案内する案内部を有しており、前記補正データは、前記測定部が、前記柱体に対して所定の向きであるときに前記柱体側に向けて前記柱体の側面の勾配角と同じ角度だけ傾いた状態をゼロ点とするものであってもよい。なお、傾斜測定器が、測定部を含む全ての構成要素が一体になったものである場合、支持部は傾斜測定器を支持するものといえる。また、案内部は、支持部に表示された図形や文字からなるものであって、測定部を所定の向きとすることを促すものであってもよいし、支持部に形成された構造物からなるものであって、測定部が所定の向きでない場合に測定部と干渉して支持部が測定部を支持できないようにするものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の傾斜測定器および傾斜測定システムによれば、傾斜測定器の測定部を、所定の向きでテーパ形状をなす柱体の側面に沿って取り付け、端末の入力部において柱体のテーパ比に対応したゼロ点の補正データについて入力されてゼロ点が補正されれば、柱体の中心軸の鉛直方向に対する傾斜を測定することができる。これは、柱体の中心軸が鉛直方向を向いている場合に、柱体の側面に沿って取り付けられた測定部は、柱体の側面の勾配角と同じ角度だけ傾いた状態となるので、補正データによりこの状態がゼロ点とされることで、すなわち柱体の中心軸が鉛直方向を向いている場合がゼロ点とされ、そこからの傾斜を測定できるものである。このように、単一の測定部で傾斜の測定が可能であるから、費用が抑えられ、制御も簡易なものとなる。
【0011】
そして、特に本発明の傾斜測定システムによれば、複数の端末を備えており、一の端末において行われたゼロ点の補正が他の端末において反映されるので、各端末の使用者間で、柱体の傾斜についての情報を容易に共有することができる。
【0012】
さらに、本発明の傾斜測定システムにおいて、傾斜測定器を柱体に取り付けるための取付具を備え、取付具が、測定部を柱体の側面に沿った状態で支持する支持部を有しており、支持部が、測定部が柱体に対して所定の向きとなるように案内する案内部を有しているものであれば、案内部に従って測定部を支持部に支持させるだけで、容易に傾斜の測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の傾斜測定システムの全体を示す説明図である。
図2】柱体の形状の説明図である。
図3】傾斜測定器および端末の構成を示す説明図である。
図4】傾斜測定器の外観および取付具の説明図である。
図5】測定器制御プログラムおよび端末制御プログラムの処理を表すフローチャートである。
図6】(a)は端末に表示される2D画面を示し、(b)は傾斜補正ボタンを押したときに表示されるリストを示す。
図7】端末に表示される3D円柱画面を示す。
図8】端末に表示される3Dボックス画面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な内容について説明する。本発明の傾斜測定器および傾斜測定システムは、テーパ形状をなす柱体の中心軸の鉛直方向に対する傾斜を測定するためのものであり、ここでは電柱を設置するために用いられる場合を示す。
【0015】
一般的な電柱は、コンクリート製のものであって、図2に示すように、断面円形で上側に向けて先細りとなるテーパ形状をなす柱体Pからなる。柱体Pのテーパの程度は、テーパ比α=(D’-D)/Lにより表される(D’:柱体の下端の直径、D:柱体の上端の直径、L:柱体の長さ)。電柱として最も多く用いられているのは、α=1/75の柱体Pである。その他、α=1/110や、α=1/160の柱体Pが用いられる場合もある。以下においては、α=1/75の柱体Pに基づいて説明する。
【0016】
このような柱体Pを地面に対して垂直となるように、すなわち、鉛直方向に沿うように設置するには、柱体Pの中心軸Aの向きが鉛直方向に一致しなければならない。そのために、測定器によって鉛直方向に対する傾斜を測定しながら設置作業が行われる。ただし、図2に示すように、柱体Pの側面は、鉛直方向に対して勾配角θだけ傾斜しているので、柱体Pの側面の傾斜ではなく、柱体Pの中心軸Aの傾斜を測定しなければならない。なお、柱体Pの側面に沿って取り付けられた物体(たとえば傾斜測定器1)は、水平面に対して柱体P側に勾配角θだけ傾いた状態となる。また、勾配角θについて、たとえばα=1/75のとき、θ≒0.382°となる。
【0017】
そこで、本発明の傾斜測定器を含む本発明の傾斜測定システムが用いられる。図1に示すように、本発明の傾斜測定システムは、傾斜を測定するための傾斜測定器1と、傾斜測定器1の測定結果に基づく情報を表示するための複数の端末2と、傾斜測定器1を柱体Pに取り付けるための取付具3を備える。
【0018】
傾斜測定器1は、図3に示すように、傾斜を測定する測定部11と、端末2との間でデータを送受信する測定器通信部12と、各部を制御する測定器制御部13と、これらが収容された筐体14を備える。
【0019】
筐体14は、樹脂製で略直方体形のものであって、幅と奥行きに比べて高さが低い、平べったい形状のものである。筐体14の上面には、この傾斜測定器1を起動停止する電源ボタン15と、気泡式の水準器16が設けられている。電源ボタン15は、測定器制御部13に接続されている。さらに、図4に示すように、筐体14の上面は略長方形であるが、その一方の短辺の近傍には、その短辺の方を向いた矢印状のマークからなる確認部17が付されている。確認部17が付された短辺側を、この筐体14(傾斜測定器1)の前側とする。
【0020】
測定器制御部13は、傾斜測定器1(測定部11および測定器通信部12)を制御するための測定器制御プログラムが実行されるPLCなどのハードウェア(コンピュータ)からなり、プログラムの命令を順番に実行するCPUや、プログラムやプログラムの実行に必要なデータおよび処理結果などを保存しておく記憶装置を構成要素とするものであって、測定器制御プログラムがハードウェアを測定器制御部13として機能させるともいえる。
【0021】
測定部11は、2軸式のデジタル水準器からなるものであって、測定器制御部13の指令に基づいて、設定されたゼロ点を基準として傾斜を測定し、その結果を出力するものである。2軸式であるので、直交する2軸、いわゆるX方向およびY方向についての傾斜が測定される。また、測定部11は方位磁針の機能も有しており、X方向およびY方向の方位も併せて測定される。傾斜測定器1を起動した初期状態では、筐体14を水平な面に載置した状態をゼロ点として、その状態からの筐体14(傾斜測定器1)の傾きが測定される。
【0022】
測定器通信部12は、測定器制御部13の指令に基づいて、端末2と通信するものである。傾斜測定器1の測定器通信部12と端末2の端末通信部23とは、無線通信により直接接続される。
【0023】
端末2は、図3に示すように、スマートフォンまたはタブレットからなるものであり、画像を表示する表示部としてのディスプレイ21と、操作入力を受け付ける入力部としてのタッチパネル22と、傾斜測定器1との間でデータを送受信する端末通信部23と、各部を制御する端末制御部24を備える。複数の端末2の全てが同じハードウェアからなるものである必要はなく、たとえば、タブレットからなる端末2とスマートフォンからなる端末2が混在していてもよい。
【0024】
端末制御部24は、端末2(ディスプレイ21、タッチパネル22および端末通信部23)を制御するための端末制御プログラムが実行されるハードウェア(コンピュータ)からなり、プログラムの命令を順番に実行するCPUや、プログラムやプログラムの実行に必要なデータおよび処理結果などを保存しておく記憶装置を構成要素とするものであって、端末制御プログラムがハードウェアを端末制御部24として機能させるともいえる。
【0025】
なお、測定器制御部13と端末制御部24とを併せてこの傾斜測定システムの制御部10と称する。
【0026】
ディスプレイ21とタッチパネル22とは、一体に形成されており、ディスプレイ21に表示されるボタンや画像自体が、タッチパネル22により入力部として機能する。また、入力部として、タッチパネル22の他に機械的なボタンなどの操作機構を有していてもよい。
【0027】
端末通信部23は、端末制御部24の指令に基づいて、傾斜測定器1と通信するものである。上記のとおり、端末2の端末通信部23と傾斜測定器1の測定器通信部12とは、無線通信により直接接続される。
【0028】
取付具3は、図4に示すように、傾斜測定器1を支持する支持部31と、支持部31を柱体Pに固定するためのベルト32を有している。支持部31は、略長方形で上面視した傾斜測定器1と略同じ大きさの支持板311と、支持板311の一方の長辺から支持板311に対して直交するように垂下する基準部312と、支持板311の他の3辺から上側に向けて延びる立設片313を有する。基準部312は、上面視してV字状で、支持板311の外周側に向けて開口する向きとなっている。立設片313は、その幅が各辺の長さより短く、その高さは傾斜測定器1の高さより低いものである。そして、支持板311の一方の短辺の近傍には、その短辺の方を向いた矢印状のマークからなる案内部314が付されている。案内部314は、傾斜測定器1に付された確認部17と同じマークである。ベルト32は、基準部312に取り付けられており、柱体Pに巻き付けて支持部31を固定するものである。
【0029】
この取付具3を柱体Pに取り付ける際には、基準部312の上下に延びる両開口縁部を柱体Pの側面に沿わせて、ベルト32によって固定する。これにより、支持板311は柱体Pの側面に直交する向きとなる。すなわち、支持板311は、柱体Pの中心軸Aに直交する面に対して、柱体Pの側面の勾配角と同じ角度だけ中心軸A側に傾いた状態となる。そして、傾斜測定器1を支持部31に載せると、傾斜測定器1の側面に立設片313が係止して、支持部31に対して傾斜測定器1が固定される。この際に、傾斜測定器1の確認部17と取付具3の案内部314の向きを一致させると、傾斜測定器1の前側が、柱体Pを上面視したときの反時計回り方向前方を向くことになり、この傾斜測定器1の向きが、柱体Pに対する所定の向きである。よって、案内部314は、傾斜測定器1が柱体Pに対して所定の向きとなるように案内するものである。このようにして、取付具3により、傾斜測定器1が、柱体Pに対して所定の向きであって柱体P側に向けて柱体Pの側面の勾配角θと同じ角度だけ傾いた状態で支持される。
【0030】
続いて、このように構成した本発明の傾斜測定システムによって、テーパ形状をなす柱体Pの中心軸Aの鉛直方向に対する傾斜を測定する際の具体的な流れについて説明する。前提として、柱体Pに取付具3が取り付けられており、取付具3の支持部31に傾斜測定器1が所定の向きとなるように支持されていて、傾斜測定器1は電源ボタン15が押されて起動しており、全ての端末2も起動しているものとする。
【0031】
この傾斜測定システムにおいては、制御部10、すなわち測定器制御部13と端末制御部24が、それぞれ傾斜測定器1と端末2を制御するものである。より詳しくは、測定器制御部13においては、測定器制御プログラムにより種々のステップが実行され、測定器制御部13が種々の手段として機能して、傾斜測定器1を様々に動作させる。また、端末制御部24においては、端末制御プログラムにより種々のステップが実行され、端末制御部24が種々の手段として機能して、端末2を様々に動作させる。言い換えれば、測定器制御部13および端末制御部24が種々の手段を有しており、それらの種々の手段により傾斜測定器1と端末2を様々に動作させるものである。なお、端末2は複数あるが、各端末2がそれぞれ端末制御部24を有しており、各端末2が独立して制御されている。
【0032】
まず、図5のフローチャートに示すように、傾斜測定器1において、測定器制御プログラムにより、初期値読込ステップSa1が実行されて、測定器制御部13が初期値読込手段131として機能する。初期値読込手段131は、予め設定されたゼロ点についての情報を測定器制御部13の記憶装置から読み込む。上記のとおり、傾斜測定器1を起動した初期状態では、筐体14を水平な面に載置した状態がゼロ点となっている。
【0033】
次に、傾斜測定器1において、測定器制御プログラムにより、測定ステップSa2が実行されて、測定器制御部13が測定手段132として機能する。測定手段132は、測定部11に、初期値読込手段131で読み込まれたゼロ点を基準として傾斜を測定させて、測定データを得る。上記のとおり、筐体14を水平な面に載置した状態がゼロ点となっており、その状態からの筐体14(傾斜測定器1)の傾きが測定される。また、測定データは、X方向およびY方向の傾きの値および方位からなり、測定器制御部13の記憶装置に保存される。
【0034】
次に、傾斜測定器1において、測定器制御プログラムにより、測定データ送信ステップSa3が実行されて、測定器制御部13が測定データ送信手段133として機能する。測定データ送信手段133は、測定手段132が測定データを得る度に、測定データを全ての端末2の表示部(ディスプレイ21)に表示させるために、記憶装置に保存された測定データを読み込み、測定器通信部12に測定データを全ての端末2に対して送信させる。
【0035】
次に、全ての端末2において、端末制御プログラムにより、測定データ受信ステップSb1が実行されて、端末制御部24が測定データ受信手段241として機能する。測定データ受信手段241は、それぞれの端末2の端末通信部23に、測定データを受信させる。受信された測定データは、端末制御部24の記憶装置に保存される。
【0036】
次に、全ての端末2において、端末制御プログラムにより、表示ステップSb2が実行されて、端末制御部24が表示手段242として機能する。表示手段242は、記憶装置に保存された測定データを読み込み、それぞれの端末2のディスプレイ21に、測定データに基づく情報を表示させる。
【0037】
ここで、表示手段242により端末2に表示される画面は、図6(a)に示すものである。この画面は、測定データを2D表示するものなので、2D画面100とよぶ。2D画面100の中央部には、傾斜表示部101が設けられており、気泡式の水準器を模して傾斜の測定データが表示されている。円形の図にはX方向とY方向の傾斜が併せて表示され、北が三角形の印で表示されている。円形の図の左側と上側の長方形の図にはそれぞれX方向の傾斜とY方向の傾斜が独立して表示されている。また、併せてX方向とY方向の傾斜の値も表示されている。さらに、図の下側にはスライダ102が設けられており、スライダ102を動かすことで、傾斜表示部101の図を任意の向きに回転させることができる。また、傾斜表示部101の左上側には、電池状態表示部103と、通信状態表示部104が設けられている。電池状態表示部103は、傾斜測定器1の電池残量を表示するものである。通信状態表示部104は、傾斜測定器1と端末2との通信状態(接続の有無)を表示するものである。さらに、傾斜表示部101の上側には、0°調整ボタン105、傾斜補正ボタン106、操作ロックボタン107の3つのボタンが設けられている。0°調整ボタン105および傾斜補正ボタン106は、何れもゼロ点の補正データについての入力をするためのものであり、詳細はフローチャートに沿って追って説明する。操作ロックボタン107は、押すことにより、画面を固定状態として、操作ロックボタン107を押すこと以外の操作ができないようにして、誤操作を防止するものである。操作ロックボタン107をもう一度押すと、画面の固定状態が解除され、他の操作ができるようになる。また、傾斜表示部101の下側には、3D画面遷移ボタン108が設けられている。3D画面遷移ボタン108は、2D画面100から、測定データを3D表示する画面に切り替えるためのものであり、詳細はフローチャートに沿って追って説明する。
【0038】
次に、端末2において、端末制御プログラムにより、補正データ受付ステップSb3が実行されて、端末制御部24が補正データ受付手段243として機能する。補正データ受付手段243は、全ての端末2の入力部(タッチパネル22)に、ゼロ点の補正データについての入力を受け付けさせる。より詳しくは、0°調整ボタン105または傾斜補正ボタン106を押すことが、ゼロ点の補正データについての入力となる。0°調整ボタン105を押すと、そのときの測定部11(傾斜測定器1)の状態をゼロ点とするものであり、それを表す情報が補正データとなって、端末制御部24の記憶装置に保存される。一方、傾斜補正ボタン106については、図6(b)に示すように、ボタンを押すと、「1/75」、「1/110」、「1/160」、「傾斜なし」という4つの選択肢のリスト106aが表示され、「傾斜なし」以外を選択することで、ゼロ点の補正データについての入力となる。「1/75」、「1/110」および「1/160」は、柱体Pのテーパ比を表しており、電柱として多く用いられているものが予め設定されている。何れかを選択すると、測定部11(傾斜測定器1)が柱体Pに対して所定の向きであってかつテーパ比に対応した柱体Pの側面の勾配角と同じ角度だけ傾いた状態をゼロ点とするものであり、それを表す情報が補正データとなって、端末制御部24の記憶装置に保存される。なお、0°調整ボタン105と傾斜補正ボタン106の何れが押された場合においても、補正データは、実際にゼロ点を補正するための計算に用いられるデータそのものではなく、どのようにゼロ点を補正するのかを表す情報である。
【0039】
次に、端末2において、端末制御プログラムにより、補正データ送信ステップSb4が実行されて、端末制御部24が補正データ送信手段244として機能する。補正データ送信手段244は、一の端末2のタッチパネル22に補正データについての入力があったときに、記憶装置に保存された補正データを読み込み、その端末2の端末通信部23に、補正データを傾斜測定器1に対して送信させる。
【0040】
次に、傾斜測定器1において、測定器制御プログラムにより、補正データ受信ステップSa4が実行されて、測定器制御部13が補正データ受信手段134として機能する。補正データ受信手段134は、測定器通信部12に、補正データを受信させる。受信された補正データは、測定器制御部13の記憶装置に保存される。
【0041】
次に、補正データ受信手段134が補正データを受信した場合、傾斜測定器1において、測定器制御プログラムにより、補正ステップSa5が実行されて、測定器制御部13が補正手段135として機能する。補正手段135は、補正データによりゼロ点を補正する。より詳しくは、端末2において0°調整ボタン105が押された場合、補正データは、そのときの測定部11(傾斜測定器1)の状態をゼロ点とすることを表す情報であり、端末2において傾斜補正ボタン106が押された場合、補正データは、測定部11(傾斜測定器1)が柱体Pに対して所定の向きであってかつ選択されたテーパ比に対応した柱体Pの側面の勾配角と同じ角度だけ傾いた状態をゼロ点とすることを表す情報である。何れの場合においても、補正手段135は、補正データが表すようにゼロ点を補正するための計算に用いられるデータを求める(または、予め記憶装置に保存されたものを読み込む)。そして、補正手段135は、そのデータに基づいてゼロ点を補正する。補正されたゼロ点についての情報は、測定器制御部13の記憶装置に保存される。
【0042】
そして、補正手段135がゼロ点を補正した場合または補正データ受信手段134が補正データを受信しなかった場合、測定器制御プログラムの処理は、測定ステップSa2に戻り、再び測定部11に傾斜を測定させる。この際、補正手段135によりゼロ点が補正されていれば、その補正されたゼロ点に基づいて測定が行われる。すなわち、測定手段132は、測定部11に、設定されたゼロ点(初期状態のゼロ点または補正されたゼロ点)を基準として繰り返し傾斜を測定させてその度に測定データを得るものである。
【0043】
次に、端末2において、端末制御プログラムにより、切替受付ステップSb5が実行されて、端末制御部24が切替受付手段245として機能する。切替受付手段245は、全ての端末2の入力部(タッチパネル22)に、それぞれの端末2に表示される画面の切り替えについての入力を受け付けさせる。より詳しくは、2D画面100において、3D画面遷移ボタン108を押すと、2D画面100から後述の3D円柱画面200への切り替えが受け付けられる。また、後述の3D円柱画面200において、ボックス画面遷移ボタン208を押すと、3D円柱画面200から後述の3Dボックス画面300への切り替えが受け付けられ、2D画面遷移ボタン209を押すと、3D円柱画面200から2D画面100への切り替えが受け付けられる。さらに、後述の3Dボックス画面300において、円柱画面遷移ボタン308を押すと、3Dボックス画面300から3D円柱画面200への切り替えが受け付けられ、2D画面遷移ボタン309を押すと、3Dボックス画面300から2D画面100への切り替えが受け付けられる。
【0044】
次に、端末2において、端末制御プログラムにより、表示切替ステップSb6が実行されて、端末制御部24が表示切替手段246として機能する。表示切替手段246は、一の端末2のタッチパネル22に画面の切り替えについての入力があったときに、各画面(2D画面100、3D円柱画面200、3Dボックス画面300)において押されたボタンに応じて、その端末2の画面を切り替える。画面が切り替わるのは、切替受付手段245が入力を受け付けた端末2のみであり、他の端末2の画面は切り替わらない。
【0045】
ここで、2D画面100において3D画面遷移ボタン108を押すことで切り替わって端末2に表示される画面は、図7に示すものである。この画面は、測定データを3Dの円柱の形で表示するものなので、3D円柱画面200とよぶ。3D円柱画面200の中央部には、傾斜表示部201が設けられており、地面に立設する円柱が3Dで表されていて、傾斜の測定データが円柱の傾きで表示されている。円柱は、斜め上方視したものと上面視したものの2つが表示される。地面には、東西南北が表示される。また、図の下側のスライダ202、傾斜表示部201の左上側の電池状態表示部203および通信状態表示部204ならびに傾斜表示部101の上側の0°調整ボタン205、傾斜補正ボタン206および操作ロックボタン207の3つのボタンについては、2D画面100と同じである。さらに、傾斜表示部201の下側には、ボックス画面遷移ボタン208と2D画面遷移ボタン209が設けられている。上記のとおり、ボックス画面遷移ボタン208は、3D円柱画面200から、後述の3Dボックス画面300に切り替えるためのものであり、2D画面遷移ボタン209は、3D円柱画面200から、2D画面100に切り替えるためのものである。
【0046】
また、3D円柱画面200においてボックス画面遷移ボタン208を押すことで切り替わって端末2に表示される画面は、図8に示すものである。この画面は、測定データを3Dのボックスの形で表示するものなので、3Dボックス画面300とよぶ。3Dボックス画面300の中央部には、傾斜表示部301が設けられており、地面に載置されたボックス(立方体)が3Dで表されていて、傾斜の測定データがボックスの傾きで表示されている。ボックスは、斜め上方視したものと側面視したものの2つが表示される。地面には、東西南北が表示される。また、図の下側のスライダ302、傾斜表示部301の左上側の電池状態表示部303および通信状態表示部304ならびに傾斜表示部301の上側の0°調整ボタン305、傾斜補正ボタン306および操作ロックボタン307の3つのボタンについては、2D画面100と同じである。さらに、傾斜表示部301の下側には、円柱画面遷移ボタン308と2D画面遷移ボタン309が設けられている。上記のとおり、円柱画面遷移ボタン308は、3Dボックス画面300から、3D円柱画面200に切り替えるためのものであり、2D画面遷移ボタン309は、3Dボックス画面300から、2D画面100に切り替えるためのものである。
【0047】
そして、端末制御プログラムの処理は、測定データ受信ステップSb1に戻り、再びそれぞれの端末2の端末通信部23に測定データを受信させる。続いて表示ステップSb2が実行されて、それぞれの端末2のディスプレイ21に測定データに基づく情報を表示させる。すなわち、端末2のディスプレイ21には、常に傾斜測定器1による最新の測定結果が表示される。
【0048】
このように構成された本発明の傾斜測定システムによれば、取付具3の案内部314に従って傾斜測定器1を支持部31に支持させるだけで、傾斜測定器1が柱体Pに対して所定の向きとなり、かつ傾斜測定器1が柱体Pの側面に沿った状態となる。そして、端末2のタッチパネル22において柱体Pのテーパ比に対応したゼロ点の補正データについて入力されれば、ゼロ点が補正されて、容易に柱体Pの中心軸Aの鉛直方向に対する傾斜を測定することができる。これは、柱体Pの中心軸Aが鉛直方向を向いている場合に、柱体Pの側面に沿って取り付けられた傾斜測定器1は、柱体Pの側面の勾配角と同じ角度だけ傾いた状態となるので、補正データによりこの状態がゼロ点とされることで、すなわち柱体Pの中心軸Aが鉛直方向を向いている場合がゼロ点とされ、そこからの傾斜を測定できるものである。このように、単一の傾斜測定器1で傾斜の測定が可能であるから、費用が抑えられ、制御も簡易なものとなる。また、複数の端末2を備えており、一の端末2において行われたゼロ点の補正が他の全ての端末2において反映されるので、各端末2の使用者間で、柱体Pの傾斜についての情報を容易に共有することができる。さらに、端末2のディスプレイ21に表示される2D画面100、3D円柱画面200および3Dボックス画面300の何れにおいても、傾斜表示部101,201,301の図を、端末2ごとにそれぞれ独立して任意の向きに回転させることができる。よって、たとえば、柱体Pの設置作業において、合図者と重機のオペレータがそれぞれ端末2を所持している場合に、両者間で確実に柱体Pの傾斜についての情報を共有することができるとともに、それぞれがディスプレイ21に表示された図を見やすいように回転させられるので、利便性が高い。
【0049】
なお、この傾斜測定システムを、テーパ形状をなす柱体Pの傾斜の測定以外に用いてもよい。たとえば、直方体形の筐体を有する路上変圧器などを地面に設置する場合に、筐体の水平出しのために用いてもよい。この場合、取付具3は用いられず、傾斜測定器1を筐体の上に載置する。そして、端末2のディスプレイ21に表示される画面を3Dボックス画面300にすれば、筐体の状態を直感的に把握することができる。また、何らかの設置作業などにおいて、対象物の目標となる傾斜角度と同じ傾斜をなす物体が存在するような場合には、傾斜測定器1をその物体に当接させて目標となる傾斜状態としたうえで、端末2のタッチパネル22の0°調整ボタン105を押し、そのときの傾斜測定器1の状態をゼロ点として、それを目標に作業を行ってもよい。
【0050】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、測定器制御プログラムおよび端末制御プログラムは、図5のフローチャートで示したものに対して、処理の順序が異なるもの、一部の処理を除外したもの、または他の処理を付加したものであってもよい。また、この傾斜測定システムは、サーバを有するものであって、傾斜測定器の測定器通信部と端末の端末通信部とが、インターネットによりサーバを介して接続されるものであってもよい。さらに、サーバが傾斜測定器および端末の一部または全部を制御する制御部を有していてもよい。また、全ての端末において同じ画面が表示されるものでなくてもよい。たとえば、一部の端末において表示内容が追加または一部省略されていてもよく、端末ごとに画面の表示内容に応じて操作できることが異なっていてもよい。さらに、取付具は、測定部を柱体の側面に沿った状態で支持できるものであれば、どのような構造のものであってもよい。また、この傾斜測定システムは、取付具を有さないものであってもよく、その場合、柱体に対して傾斜測定器をどのような手段で取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 傾斜測定器
2 端末
3 取付具
11 測定部
12 測定器通信部
13 測定器制御部(制御部)
21 ディスプレイ(表示部)
22 タッチパネル(入力部)
23 端末通信部
24 端末制御部(制御部)
31 支持部
132 測定手段
133 測定データ送信手段
134 補正データ受信手段
135 補正手段
241 測定データ受信手段
242 表示手段
243 補正データ受付手段
244 補正データ送信手段
314 案内部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8