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特開2024-59361筆記具の替芯パッケージ及び替芯セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059361
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】筆記具の替芯パッケージ及び替芯セット
(51)【国際特許分類】
   B43K 19/14 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B43K19/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166991
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】梶塚 孝士
(72)【発明者】
【氏名】橋本 千嘉
(72)【発明者】
【氏名】深沢 直人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和則
(57)【要約】
【課題】脱プラスチック化を図ると共に、製造コストの高騰を抑えた筆記具の替芯パッケージ及び替芯セットを提供すること。
【解決手段】紙基材により波状に形成された中しん3と、中しんの両面に貼着された紙基材によるライナ4,5とを備えた段ボールによる平板体2で構成され、中しんとライナの間に形成された直線状空間部を替芯収容室8として、当該替芯収容室内に筆記具の替芯Lが収容される。平板体2の端部には、替芯収容室8の替芯取出し口9が形成され、替芯取出し口を覆うラベルシール10が平板体2に貼着されて、替芯取出し口9を封緘している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材により波状に形成された中しんと、前記中しんの両面に貼着された紙基材によるライナとを備えた段ボールによる平板体で構成され、
前記中しんとライナの間に形成された直線状空間部を替芯収容室として、当該替芯収容室内に筆記具の替芯を収容したことを特徴とする筆記具の替芯パッケージ。
【請求項2】
前記平板体の端部には、前記替芯収容室の替芯取出し口が形成され、前記替芯取出し口を覆うラベルシールが、前記平板体に貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の筆記具の替芯パッケージ。
【請求項3】
前記替芯収容室の一部には、替芯を収容しない空き室の替芯収容室が設定され、前記替芯は小分けした複数本の替芯を組として、前記空き室となる替芯収容室を除いて、間欠的に前記替芯収容室に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の筆記具の替芯パッケージ。
【請求項4】
前記平板体には、平板体の面に直行する方向に圧縮閉鎖部が施されることで、前記替芯収容室を形成する前記直線状空間部の一方を閉塞したことを特徴とする請求項1に記載の筆記具の替芯パッケージ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の筆記具の替芯パッケージと、当該筆記具の替芯パッケージから取り出された複数本の替芯を収容可能な替芯ケースとを含むことを特徴とする筆記具の替芯セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、筆記具の替芯を比較的多量に収容可能な替芯パッケージと、当該パッケージから小分けされた替芯を収容可能な替芯ケースを含む替芯セットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、シャープペンシル用の替芯は、細長く成形された樹脂製の替芯ケース内に、数十本単位で収容されて提供されており、これを利用するユーザーは替芯が使い終わった際には、樹脂製の替芯ケースを廃棄処分することになる。
しかし、近年において海洋に流出するマイクロプラスチックの問題が注目されており、使い捨てを前提としたプラスチックの使用を控えるなど、地球環境問題に対する取り組みの機運が高まっている。
【0003】
そこで、環境保護を目的として、紙を素材とした替芯ケースについて、いくつかの提案がなされている。
特許文献1には、紙素材による円筒状本体の下端に、円盤状の底板を取り付け、円筒状本体の上部に天板を備えた紙素材による円筒状の蓋体を回動可能に取り付けた替芯ケースが開示されている。
この替芯ケースによると、円筒状本体側に形成された切り欠きと、蓋体の天板に形成された切り欠きを一致させることで、切り欠きを介して円筒状本体内に収容された替芯を取り出すことができる。
【0004】
特許文献2には、外ケース内に替芯を収容する中ケースが上下動可能に挿入され、中ケース上端に回動開閉する蓋が形成された替芯ケースが開示されている。
この替芯ケースにおいては、回動開閉する蓋の上端に、外ケースの一部に係止する舌片が設けられており、中ケースの上昇に伴う外ケースへの前記舌片の係止作用により、開閉蓋を開くように構成されている。そして、前記外ケースと中ケースはそれぞれ紙素材を利用して折り曲げ成形されている。
【0005】
特許文献3には、替芯を収容した紙製の角筒状の内ケースと、この内ケースを覆う紙製の角筒状の外ケースとにより構成した替芯容器が開示されている。
内ケースの天面パネルの隅角部には芯取出し口が形成され、外ケースには内ケースの天面パネルを覆うことができるヒンジ開閉部が形成されている。従って、ヒンジ開閉部を開くことによって、内ケースの芯取り出し口から替芯を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平7-23587号公報
【特許文献2】特開平10-109492号公報
【特許文献3】特開平11-180090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した紙を素材とした替芯ケースにおいては、いずれも内ケースと外ケースなどの二つ以上の部材を組み合わせて構成されており、これらを多量生産するには、前記した内ケースと外ケースとなる紙素材を折り曲げ成形するなどの自動機が必要であり、これにより替芯ケースの製造コストの高騰は免れないものとなる。
また、シャープペンシル用の替芯は、替芯ケース内に数十本(例えば40本)程度の単位で収容されて提供されており、この替芯が使い終われば、替芯ケースも廃棄処理されることになる。従って、替芯ケースの製造コストに見合う十分な利用実績を果たすことなく替芯ケースは廃棄されるものとなる。
【0008】
この発明は、前記した実情に着目してなされたものであり、筆記具の替芯を比較的多量に収容可能な替芯パッケージを、プラスチック材料の減量に寄与するために、いわゆる段ボールを用いて構成すると共に、前記替芯パッケージから小分けして取り出された一単位(例えば40本)の替芯を、替芯ケースに移して利用可能にしようとするものである。
これにより、脱プラスチック化を図ると共に、製造コストの高騰を抑えた筆記具の替芯パッケージ及び替芯セットを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係る筆記具の替芯パッケージは、紙基材により波状に形成された中しんと、前記中しんの両面に貼着された紙基材によるライナとを備えた段ボールによる平板体で構成され、前記中しんとライナの間に形成された直線状空間部を替芯収容室として、当該替芯収容室内に筆記具の替芯を収容したことを特徴とする。
【0010】
この場合、前記平板体の端部には、前記替芯収容室の替芯取出し口が形成され、前記替芯取出し口を覆うラベルシールが、前記平板体に貼着されていることが望ましい。
【0011】
そして、好ましくは前記替芯収容室の一部には、替芯を収容しない空き室の替芯収容室が設定され、前記替芯は小分けした複数本の替芯を組として、前記空き室となる替芯収容室を除いて、間欠的に前記替芯収容室に収容される。
【0012】
また、前記平板体には、平板体の面に直行する方向に圧縮閉鎖部が施されることで、前記替芯収容室を形成する前記直線状空間部の一方が閉塞された状態になされる。
【0013】
一方、この発明に係る筆記具の替芯セットは、前記した筆記具の替芯パッケージと、当該筆記具の替芯パッケージから取り出された複数本の替芯を収容可能な替芯ケースとを含む形態で提供される。
【発明の効果】
【0014】
前記したこの発明に係る筆記具の替芯パッケージは、波状に形成された中しんの両面に、ライナを貼着した段ボールによる平板体により構成される。そして、中しんとライナの間に形成された直線状空間部を替芯収容室として、前記替芯収容室内に筆記具の替芯を収容した状態で提供される。
【0015】
従って、替芯パッケージから小分けして取り出した一定量の替芯を、既存の替芯ケースに詰め替えて利用することができるので、小分けした替芯を収容する替芯ケースが、たとえ樹脂素材により成形されたものであっても、これが使い捨てされることなく、継続して利用されるものとなる。
【0016】
また、前記した替芯ケースを所持していない場合には、前記した替芯パッケージと替芯ケースとを含む替芯セットを入手することで、同様の効果を得ることができる。これにより、脱プラスチック化を図ることができる共に、製造コストの高騰を抑えた筆記具の替芯パッケージ及び替芯セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明に係る替芯パッケージを示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
図2】同じく替芯パッケージを示し、(A)は正面側から見た斜視図、(B)は上部の端面図、(C)は下部の端面図である。
図3】替芯パッケージを構成する平板体の組立て例を示し、(A)は中しんとライナの接合前の状態を、(B)は接合した状態を、(C)は圧縮閉塞部等を施した状態を示す。
図4】替芯パッケージに替芯を充填する状態を示した斜視図である。
図5】替芯パッケージに替芯を充填した好ましい態様を示し、(A)は斜視図、(B)は替芯パッケージの下部の端面図である。
図6】替芯パッケージから替芯を取り出す状態を示し、(A)は背面図、(B)は背面側から見た斜視図である。
図7】替芯パッケージから替芯ケースに替芯を詰め替える状態を、替芯ケースを手前にした状態で示した斜視図である。
図8】同じく替芯パッケージを手前にした状態で示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明に係る筆記具の替芯パッケージ及び替芯セットについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
先ず、図1図6は筆記具の替芯パッケージについて示しており、図1及び図2は替芯パッケージ全体の外観構成を示している。この替芯パッケージ1は、紙を素材とした段ボールを矩形状に成形した平板体2により構成されている。
この段ボールによる平板体2を構成する各部材の例が図3に示されており、平板体2は図3(A)に示すように紙基材により波状に形成された中しん3と、前記中しん3の両面に配置される紙基材による表ライナ4と、裏ライナ5により構成される。
【0019】
そして、図3(B)に示すように表ライナ4と裏ライナ5は、中しん3を中央にして貼り合わされることで、両面段ボールによる平板体2が形成される。また、前記平板体2の一端部(上端部)寄りには、図3(C)に示すように中しん3に施された波状のパターンを横切る方向に、圧縮閉鎖部6が形成されており、この圧縮閉鎖部6は、平板体2の表裏両面から平板体2を圧縮して凹ませた状態で、直線状に形成されている。
【0020】
圧縮閉鎖部6の成形においては、圧縮閉鎖部6を形成するための上下に対峙する治具の一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との位置を、直線方向において互いにずらすこと、すなわち凹と凸が互いに対峙するように配置することで、圧縮閉塞部6の長手方向に沿って、前後に向かって効果的に凹凸痕を付与することができる。
これにより、中しん3を中央とした表ライナ4と裏ライナ5が剥がれにくくなり、長期にわたり圧縮閉鎖部6の形態を維持させることができる。
なお、前記圧縮閉鎖部6は、後で説明する互いに平行状態に形成される多数の直線状空間部による替芯収容室8の各一方(上部)を閉塞するものとなる。
【0021】
また、前記した圧縮閉鎖部6の上部中央には、丸孔状に形成された吊り下げ孔7が貫通状態で形成されており、これは替芯パッケージ1を文具店などで陳列販売する際に、商品吊り下げ用のバーフックに吊り下げるために用いられる。
なお、前記圧縮閉鎖部6と吊り下げ孔7とは、平板体2に対して同時に成形加工することができる。
【0022】
図4及び図5は、前記した段ボールによる平板体2内に形成された替芯収容室に替芯を収容する状態、及び替芯収容室に収容された替芯の好ましい配列状態の例を示している。
この実施の形態においては、前記した波状に形成された中しん3と、表裏のライナ4,5との間に形成された直線状空間部を替芯収容室8として利用している。
すなわち、替芯パッケージ1を吊り下げ孔7を利用して吊り下げた状態において、前記した圧縮閉鎖部6から下側の領域において、垂直方向に配列された多数の直線状空間部が、替芯収容部8〔図5(B)参照〕となる。
そして、吊り下げられた状態の替芯パッケージ1における平板体2の下端部が、替芯Lの挿入口を兼ねる替芯取出し口9となる。
【0023】
この替芯パッケージ1の実施の形態においては、前記替芯収容室8の一部には、替芯Lを収容しない空き室の替芯収容室が設定され、前記替芯Lは小分けした複数本(例えば40本)のシャープペンシル用の替芯を組として、前記空き室となる替芯収容室を除いて、間欠的に前記替芯収容室8に収容される(図5参照)。
そして、図示例においては、1つの替芯パッケージ1に4組の替芯Lが収容されるものとなる(図4参照)。
【0024】
図1に戻り、前記した替芯収容室8の表側(表ライナ4)から裏側(裏ライナ5)に沿って、ラベルシール10が貼り付けられており、このラベルシール10によって平板体2の下端部に形成された替芯取出し口9を封緘している。これにより、替芯収容室8に収容した4組の替芯Lの飛散を防いでいる。
【0025】
前記ラベルシール10には、前記した4組の替芯Lの収容位置にそれぞれ対応して、図1(B)に示す替芯パッケージ1の裏側において、糊付けされていないフラップ10aが形成されている。このフラップ10aに続いて、ミシン目で囲まれた糊付けされた剥離部10bが短冊状に形成されている。そして、ミシン目で囲まれた剥離部10bは、図1(A)に示すように替芯パッケージ1の表側にまで続いている。
従って、ユーザーはラベルシール10に形成されたいずれかのフラップ10aをつまんで、剥離部10bを引き剥がすことで、一組(40本)の替芯Lを替芯パッケージ1から取り出すことができる。
なお、図6は、替芯パッケージ1を裏面にした状態で、向かって右側の組の替芯Lを、取り出す例を示している。
【0026】
これにより、替芯パッケージ1から小分けした一組の替芯Lを、既存の替芯ケースに詰め替えて利用することができるので、小分けした替芯を収容する替芯ケースが、たとえ樹脂素材により成形されたものであっても、これが使い捨てされることなく、継続して利用されるものとなる。
【0027】
図7及び図8は、ユーザーが前記した替芯ケースを所持していない場合を想定して、前記した替芯パッケージ1と替芯ケース11とを、替芯セットとして提供する例を示している。
この例に示す替芯ケース11は、替芯パッケージ1から小分けした一組の替芯L(40本)を収容することができ、かつ図7に示すように替芯ケース11に形成された替芯収容口の幅寸法W1は、替芯パッケージ1に小分けして収容された状態の一組の替芯Lの全体の幅寸法W2に対して、広口となる関係(W1>W2)に設定されている。
【0028】
そして、この替芯ケース11は、カバー部材11aに対して裏側のケース本体部11bが、前方に向かってスライド可能となるようにカバー部材11aに取り付けられている。 前記ケース本体部11bを前方に向かってスライドさせた場合には、ケース本体部11bの先端が、背面側に反るようにして変形し、替芯収容口が開口するように動作する。
【0029】
前記した替芯セットによると、図7に示すように替芯パッケージ1に対して、替芯ケース11を斜め下に位置させて、替芯パッケージ1から替芯ケース11側に替芯Lを滑らすようにして、開口した状態の替芯収容口に注ぎ込むことで、一組の替芯Lの全数を替芯ケース11側に円滑に移し替えることができる。
なお、前記した替芯ケース11については、本出願人において先に出願をしており、これは、特開2022-96637号として公開されている。
【0030】
以上の説明で明らかなとおり、この発明に係る筆記具の替芯パッケージ及び替芯セットによると、脱プラスチック化を図ることができる共に、製造コストの高騰を抑えることができるなど、前記した発明の効果の欄に記載した作用効果を得ることができる。
なお、前記した実施の形態においては、替芯パッケージ1として、シャープペンシルの替芯を収容する例に基づいて説明したが、この発明に係る替芯パッケージは、シャープペンシルの替芯に限らず、例えばボールペンの替芯(ボールペンリフィル)を収容するものであっても、同様の作用効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 替芯パッケージ
2 平板体
3 中しん
4 表ライナ
5 裏ライナ
6 圧縮閉鎖部
7 吊り下げ孔
8 替芯収容室
9 替芯取出し口
10 ラベルシール
10a フラップ
10b 剥離部
11 替芯ケース
11a カバー部材
11b ケース本体部
L 替芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8