(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059365
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/10 20060101AFI20240423BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20240423BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F04B49/10 311
F04D29/00 B
F04D15/00 F
F04D15/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167003
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】飯見 一真
(72)【発明者】
【氏名】大槻 祥平
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】加代 将士
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【テーマコード(参考)】
3H020
3H130
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA05
3H020BA03
3H020BA06
3H020BA21
3H020CA04
3H020CA08
3H020EA03
3H020EA10
3H020EA16
3H130AA03
3H130AB22
3H130AB60
3H130AB66
3H130AB70
3H130AC06
3H130BA85H
3H130BA85J
3H130BA87H
3H130BA87J
3H130BA90H
3H130BA90J
3H130BA91H
3H130BA91J
3H130DD01Z
3H130DF01X
3H130DF03X
3H130DG02Z
3H130DG03Z
3H130DG04Z
3H130ED05H
3H130ED05J
3H145AA06
3H145AA16
3H145AA23
3H145BA07
3H145BA36
3H145BA41
3H145CA06
3H145CA25
3H145CA28
3H145DA31
3H145DA47
3H145EA02
3H145EA04
3H145EA14
3H145EA42
(57)【要約】
【課題】ポンプ装置の停止中における通水流量を検出することができる給水装置を提供すること。
【解決手段】給水装置1は、吸込配管11と、吐出配管20と、吸込配管11及び吐出配管20に接続されるポンプ装置14と、吸込配管11及び吐出配管20を接続するバイパス管17と、吸込配管11若しくは吐出配管20の実流量を検出可能か、又は、吸込配管11、吐出配管20、ポンプ装置14及びバイパス管17のいずれか2つを流れる実流量を検出可能な1以上の流量検出部22と、流量検出部22で検出された流量から、ポンプ装置14の停止中における通水流量を求めるプロセッサ67と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込配管と、
吐出配管と、
前記吸込配管及び前記吐出配管に接続されるポンプ装置と、
前記吸込配管及び前記吐出配管を接続するバイパス管と、
前記吸込配管若しくは前記吐出配管の実流量を検出可能か、又は、前記吸込配管、前記吐出配管、前記ポンプ装置及び前記バイパス管のいずれか2つを流れる実流量を検出可能な1以上の流量検出部と、
前記流量検出部で検出された流量から、前記ポンプ装置の停止中における通水流量を求めるプロセッサと、
を備える、給水装置。
【請求項2】
メモリを備え、
前記プロセッサは、求めた前記ポンプ装置の停止中における通水流量と日時とを紐付けて前記メモリに記憶する、請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記流量検出部は、前記ポンプ装置の二次側及び前記吐出配管にそれぞれ設けられる、請求項1に記載の給水装置。
【請求項4】
前記ポンプ装置の停止中における通水流量を表示する表示部を備える、請求項1に記載の給水装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記表示部による前記ポンプ装置の停止中における通水流量の表示の有無を選択可能な、請求項4に記載の給水装置。
【請求項6】
通信端末と通信可能な通信部を備え、
前記プロセッサは、前記通信部を制御して前記ポンプ装置の停止中における通水流量を含む流量情報を前記通信端末に送信する、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直結給水式の給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から配水支管等を介して配水本管に接続される直結給水式の給水装置が知られている。このような給水装置は、例えば、ポンプ装置の二次側の圧力が始動圧力以下となると、ポンプ装置が始動し、そして、ポンプ装置の二次側の流量が停止流量となると、ポンプ装置を停止する。このような給水装置として、パドル式の流量センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した給水装置は、配水本管の平均圧がポンプ装置の始動圧力よりも大きいと、ポンプ装置の運転回数や運転時間が短くなる。また、給水装置は、バイパス管による給水が義務付けられており、ポンプ停止中において、バイパス管給水が可能に形成される。しかしながら、ポンプ装置の運転間隔が長くなると、バイパス管給水によって通水される流路以外の流路において、水が滞留し、水が新鮮でなる虞や、ポンプ装置の部品が固着する虞がある。これらの問題を回避するために、時期をみてポンプ装置を強制的に運転することも行われている。しかしながら、ポンプ装置を強制運転するタイミングは任意であり、強制運転するタイミングによっては、ポンプ装置の二次側の給水先において水が使用されておらず、給水先において水の吐出がないと、水の循環が成されない場合がある。
【0005】
そこで、ポンプ装置の停止中における通水流量と日時等の情報を得ることで、ポンプ装置の強制運転のタイミングを好適なタイミングとすることも考えられている。しかしながら、従来の給水装置では、ポンプ装置の停止中における通水流量を検出することが困難であった。
【0006】
そこで本発明は、ポンプ装置の停止中における通水流量を検出することができる給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、給水装置は、吸込配管と、吐出配管と、前記吸込配管及び前記吐出配管に接続されるポンプ装置と、前記吸込配管及び前記吐出配管を接続するバイパス管と、前記吸込配管若しくは前記吐出配管の実流量を検出可能か、又は、前記吸込配管、前記吐出配管、前記ポンプ装置及び前記バイパス管のいずれか2つを流れる実流量を検出可能な1以上の流量検出部と、前記流量検出部で検出された流量から、前記ポンプ装置の停止中における通水流量を求めるプロセッサと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポンプ装置の停止中における通水流量を検出することができる給水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る給水装置の構成を一部省略して示す正面図。
【
図2】同給水装置の構成を一部省略して示す側面図。
【
図3】同給水装置の構成を、
図2中、III-III線断面で示す説明図。
【
図4】同給水装置の構成を、
図2中、IV-IV線断面で示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る給水装置1を、
図1乃至
図6を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る給水装置1の構成を一部省略して示す正面図であり、
図2は、給水装置1の構成を一部省略して示す側面図である。
図3は、給水装置1の構成を、
図2中、III-III線断面で、一部省略して示す説明図であり、
図4は、給水装置1の構成を、
図2中、IV-IV線断面で、一部省略して示す説明図である。
図5は、給水装置1の構成を示すブロック図であり、
図6は、給水装置1の回路構成を示す説明図である。
【0011】
給水装置1は、配水支管(水道分管)を介して配水本管(水道本管)に接続される直結給水式給水装置である。
図1乃至
図4、
図6に示すように、給水装置1は、例えば、吸込配管11と、吸込配管11に設けられた逆流防止装置12と、吸込配管11の二次側に設けられ、流路を複数に分岐する分岐管13と、分岐管13の二次側にそれぞれ設けられた複数のポンプ装置14と、複数のポンプ装置14にそれぞれ設けられた複数の吐出管15と、複数の吐出管15を合流させる合流管16と、分岐管13及び合流管16に設けられたバイパス管17と、各吐出管15及びバイパス管17にそれぞれ設けられた複数の逆止弁18と、合流管16又はバイパス管17に接続された蓄圧装置19と、合流管16に接続された吐出配管20と、ポンプ装置14の一次側及び/又は二次側に設けられた圧力検出部21と、ポンプ装置14の一次側及び/二次側に複数設けられた流量検出部22と、吸込配管11及び吐出配管20に設けられた開閉弁23と、制御盤24と、を備える。
【0012】
また、給水装置1は、ベース25と、ベース25に設けられたフレーム26と、フレーム26を覆うカバー27と、を備えている。給水装置1は、ベース25上及びフレーム26に上述の各構成部品が固定され、カバー27でベース25、フレーム26及び各構成部品を覆うことで、ユニットを構成する。
【0013】
吸込配管11は、給水装置1の一次側の水道分管や受水槽等と接続される。
逆流防止装置12は、二次側の水が一次側に逆流することを防止する逆流防止回路を内部に有する。逆流防止装置12は、例えば、内部の一次側及び二次側にそれぞれ逆止弁を有するとともに、一次側及び二次側の逆止弁の間の中間室に逃がし弁を有する、減圧式逆流防止装置である。逆流防止装置12は、例えば、漏れを検出する漏水検出器を有していても良い。
【0014】
分岐管13は、吸込配管11に接続され、吸込配管11の二次側の流路を構成し、当該流路を複数に分岐する。分岐管13は、例えば、本実施形態においてはポンプ装置14と同数の二つに分岐する。
【0015】
ポンプ装置14は、モータ14aと、ポンプ14bと、を備えている。ポンプ装置14は、例えば、回転軸が重力方向に沿って延びる縦型ポンプである。
【0016】
モータ14aは、回転軸を介してポンプ14bと接続される。モータ14aは、制御盤24に電気的に接続される。ポンプ14bは、モータ14aにより駆動される。ポンプ14bは、単段又は多段のポンプである。ポンプ14bは、一次側が分岐管13に接続され、二次側に吐出管15が接続される。例えば、ポンプ14bは、下端に吸込口が形成され、ポンプ14bの上端側の側面に吐出口が形成される。
【0017】
吐出管15は、ポンプ14bの吐出口に接続され、ポンプ14bの吐出口から水平に延出するとともに、吐出口に隣接する位置において下方に例えば90°曲折し、重力方向に沿って延設される。吐出管15は、例えば、複数の管を組み合わせることで構成される。
【0018】
合流管16は、各ポンプ14bに接続された吐出管15を合流させる。
【0019】
バイパス管17は、ポンプ装置14の一次側及び二次側を連続する。即ち、バイパス管17は、吸込配管11及び吐出配管20を接続し、ポンプ装置14を介さずに、配水本管(配水支管)の圧力によって、ポンプ装置14の停止時に、吸込配管11から吐出配管20へと水を通水する。バイパス管17は、例えば、分岐管13及び合流管16に接続され、分岐管13及び合流管16をバイパスする。
【0020】
逆止弁18は、各ポンプ14bの二次側であって、且つ、合流管16の一次側、例えば、各吐出管15に設けられる。また、逆止弁18は、例えば、バイパス管17に設けられる。
【0021】
蓄圧装置19は、合流管16、バイパス管17又は吐出配管20に流体的に接続されるアキュムレータである。
【0022】
吐出配管20は、合流管16に接続されるとともに、給水装置1の二次側の給水配管と接続される。
【0023】
圧力検出部21は、信号線を介して制御盤24に接続され、検出した圧力を信号に変換し、制御盤24に送信する圧力センサである。圧力検出部21は、ポンプ装置14の一次側及び/二次側の少なくとも一方に設けられる。本実施形態において、圧力検出部21は、ポンプ装置14の一次側及び二次側にそれぞれ設けられる。例えば、一方の圧力検出部21は、吸込配管11であって、逆流防止装置12の一次側に設けられ、他方の圧力検出部21は、吐出配管20に設けられる。
【0024】
流量検出部22は、信号線を介して制御盤24に接続され、検出した実流量を信号に変換し、制御盤24に送信する流量センサである。流量検出部22は、羽根車41と、羽根車41の回転を検出する検出部42と、を備える。
【0025】
羽根車41は、吐出管15内を流れる水の水流によって回転可能に、吐出管15に設けられる。流量検出部22は、ポンプ14bの一次側、又は、二次側に設けられる。例えば、羽根車41は、回転軸と複数の羽根により構成される。
【0026】
検出部42は、例えば、羽根車41の回転軸に設けられた磁石と、磁石の回転を検出するセンサにより構成される。検出部42は、信号線を介して制御盤24に接続される。
【0027】
流量検出部22は、吸込配管11又は吐出配管20に設けられるか、又は、
図6に実線及び二点鎖線で示すように、吸込配管11、各吐出管15、バイパス管17及び吐出配管20のいずれか2箇所以上に設けられる。流量検出部22は、ポンプ装置14の駆動時における全流量及びポンプ装置14の停止中において通水される流量を、直接検出又は制御盤24の処理により求めることができる位置及び数に設定される。
【0028】
本実施形態において、
図6に示すように、流量検出部22は、各吐出管15及び吐出配管20に設けられる例を示すなお、以下の説明において、吐出配管20に設けられる流量検出部22を第1流量検出部22Aとし、各吐出管15に設けられる流量検出部22を第2流量検出部22Bとし、バイパス管17に設けられる流量検出部22を第3流量検出部22Cとし、吸込配管11に設けられる流量検出部22を第4流量検出部22Dとして、説明する場合もある。また、第1流量検出部22Aは、吐出配管20であって、開閉弁23の一次側に設けられる。また、第4流量検出部22Dは、吸込配管11であって、逆流防止装置12の二次側に設けられる。
【0029】
開閉弁23は、手動により開閉可能な、例えば、ボール弁である。即ち、開閉弁23は、流路を仕切る仕切り弁である。開閉弁23は、吸込配管11及び吐出配管20に設けられる。
【0030】
制御盤24は、給水装置1を制御する制御装置である。制御盤24は、筐体60、通信部61、入力部62、インターフェース63、表示部64、設定部65、メモリ66、プロセッサ67及び可変速駆動制御部68を備える。制御盤24は、筐体60内に各構成要素が収容されることで、制御盤として、カバー27内に配置される。制御盤24は、筐体60内に、各構成を実装するか、又は、各構成に接続される制御基板を備える。制御盤24は、一例として、全ての構成を筐体60内に実装してもよく、また他の例として、可変速駆動制御部68をインバータボックスに収容してモータ14aのモータケーシングに設け、その他の構成を筐体60内に設ける構成であってもよい。
【0031】
通信部61は、プロセッサ67により制御され、無線通信技術を用いて、通信端末100などの外部装置と通信可能な任意の通信インターフェースである。通信部61は、例えば、通信モジュール又は通信基板等として実装されていてもよい。通信モジュールは、例えばコネクタを介して制御盤24の制御基板に着脱自在に設けられてもよい。具体的には、通信部61は、例えば、Bluetooth(登録商標)(例えば、Bluetoothe Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう))、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信技術、及び、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)等の携帯電話回線を含めた汎用無線通信技術やsigfox(登録商標)等の専用無線通信技術等を含む遠距離無線通信技術等の無線通信技術を用いて、可変速駆動制御部68及び通信端末100等の外部装置に接続できる。
【0032】
例えば、通信部61は、制御盤24の識別情報を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する。また、例えば、通信部61は、当該アドバタイズパケットを受信する通信端末100から接続要求を受けると、通信端末100との間の通信を接続してもよい。なお、可変速駆動制御部68を筐体60外に設ける場合には、通信部61は、可変速駆動制御部68と通信してもよい。通信部61は、プロセッサ67に電気的に接続され、通信端末100との間の通信を接続可能な通信手段の一例である。
【0033】
入力部62は、例えば、ボタンを含む操作パネル、タッチパネル、キーボード、マウス、等のユーザ入力を受け付ける装置と、圧力センサ、マイクロフォン、カメラなどのセンサとの、少なくともいずれかを有する。入力部62は、パラメータ設定、各運転モードの設定等の任意のユーザからの指令であるユーザ入力を受け付ける装置である。
【0034】
インターフェース63は、各圧力検出部21及び各流量検出部22や、外部端末等が電気的に接続可能な端子又は回路である。また、インターフェース63は、給水装置1が他のセンサ等を有する場合には、該センサが電気的に接続される。
【0035】
表示部64は、情報を表示可能に形成される。また、表示部64は、外部に警報を発報する報知手段(報知部)である。表示部64は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイなどの表示デバイスを有する。なお、表示部64は、表示デバイスに代えて、又は、表示デバイスに加えて、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)点灯部等を有していても良い。表示部64は、例えば、流量情報を表示可能に形成される。ここで、流量情報とは、ポンプ装置14の停止中において、給水装置1を通水した流量の情報を少なくとも含む。また、表示部64は、例えば、入力部62による外部入力、設定部65による設定、プロセッサ67により実行されるプログラム、又は、通信端末100から送信された指令等に基づいたプロセッサ67の制御により、流量情報の表示の有無が選択可能に構成される。例えば、表示部64は、該表示を有に選択された場合に流量情報を表示し、該表示を無に選択された場合に流量情報を表示しない。
【0036】
設定部65は、制御に関するパラメータのうち、読み出しパラメータを取得するための電気的な接続状態を物理的に設定する入力部である。設定部65としては、例えば、ディップスイッチ又はジャンパーピン等が適宜用いられてもよい。このような設定部65は、例えば、ポンプ台数、給水方式種別等といった読み出しパラメータが割り付けられていてもよい。
【0037】
例えば、ポンプ台数の読み出しパラメータとは、ポンプ14bの台数であり、給水方式種別の読み出しパラメータとは、例えば、直結給水方式や受水槽方式等である。これら読み出しパラメータは、給水装置1の出荷時や設置時に設定される。また、読み出しパラメータはこれらに限定されず、種々設定可能である。なお、設定部65を設けず、入力部62の設定により読み出しパラメータを取得する構成としてもよい。
【0038】
なお、このような、ディップスイッチ又はジャンパーピンや、読み出しパラメータの割り付けは、設定部65及び可変速駆動制御部68の制御操作基板の双方に設ける構成であってもよく、給水装置1が複数のポンプ装置14を有する場合には、設定部65にのみ設ける構成であってもよく、また、給水装置1が単数のポンプ装置14を有する場合には、可変速駆動制御部68の制御操作基板のみに設ける構成であってもよい。
【0039】
メモリ66は、データの読出及び書込が可能である。メモリ66は、プロセッサ67によって使用されるデータ、ポンプ14bの運転データやポンプ14bの制御に用いる各種データやプログラム等を格納する。メモリ66は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)(登録商標)、ROM(Read only memory)又はNAND型フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。また、メモリ66は、フラッシュメモリを搭載したSSD(Solid State Drive)を含む。
【0040】
メモリ66に格納されるデータとしては、例えば、制御盤24を識別する識別情報、コード、テーブルなどが適宜記憶される。運転データとしては、給水装置1の運転状態を示す運転データのうちの定期的に取得される積算値に関する積算運転データ、各流量検出部22で検出された実流量、及び、積算流量等が記憶される。また、メモリ66には、ポンプ14bの制御や補正に要する外部パラメータ及び内部パラメータが記憶される。
【0041】
外部パラメータは、制御目標に関するデータである。外部パラメータとしては、例えば、駆動を開始できる水道分管の圧力等の吸込圧力である。例えば、製造工程における給水装置1の試運転時や、給水装置1の設置後に、作業員が、制御盤24の入力部62を操作するか、又は、外部端末をインターフェース63に接続し、外部端末を操作して、各外部パラメータの初期値を設定する。
【0042】
内部パラメータとしては、例えば、可変速駆動制御部68の出力が始動から最高周波数まで達する加速時間、可変速駆動制御部68の出力が最高周波数か、又は、所定の周波数から停止するまでの時間である減速時間等の、ポンプ装置14の自動運転に用いられる定数である。なお、ポンプ装置14が複数台設けられる場合には、内部パラメータは、停止しているポンプを起動して増台するときの遅延時間である増台遅延時間、運転中のポンプを停止して減台するときの遅延時間である減台遅延時間、増台時又は減台時の上限の周波数である上限周波数及び増台時又は減台時の下限の周波数である下限周波数などの定数を含む。
【0043】
内部パラメータは、キャリア周波数、最低周波数、最高周波数、インバータ種別、モータ定格電流、過電流保護レベルなど、モータ定格やインバータメーカ及びインバータ定格などにより決定される。「キャリア周波数」は、インバータのパルス幅変調(PWM)制御に用いられるスイッチング制御信号を生成するための比較器に入力される一定周期のキャリア(三角波)と、変調波(所望の波形)とのうち、キャリアが持つ周波数である。「最低周波数」は、インバータが運転時に出力可能な最低の周波数である。「最高周波数」は、インバータが運転時に出力可能な最高の周波数である。「インバータ種別」は、インバータの種類又は形式である。「モータ定格電流」は、モータ14aの定格電流である。「過電流保護レベル」は、可変速駆動制御部68のスイッチング素子の電流値に基づいて、当該スイッチング素子を過電流から保護する動作を開始する際の、当該電流値である。
【0044】
また、メモリ66は、不揮発性メモリに加え、電源遮断時に消去してもよいデータが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。
【0045】
プロセッサ67は、統括制御部である。プロセッサ67は、典型的にはマイコンであるが、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ67は、例えば、通信制御、表示制御、ポンプ制御などの任意の処理を行う。
図2に示すように、プロセッサ67は、例えば、インターフェース63等を介して、各圧力検出部21、各流量検出部22に接続され、通信部61及び無線通信部57を介して、各可変速駆動制御部68のインバータユニットに接続される。
【0046】
プロセッサ67は、求めた通水流量をメモリ66に日時と紐付けて記憶する。具体例として、プロセッサ67は、各流量検出部22で検出された実流量をメモリ66に記憶するとともに、ポンプ装置14の停止中に給水装置1を通水した流量(以下、停止時通水流量)を求め、求めた停止時通水流量を日時と紐付けてメモリ66に記憶するとともに、表示部64を制御して表示部64に表示する。なお、プロセッサ67は、入力部62による外部入力、設定部65による設定、プロセッサ67により実行されるプログラム、又は、通信端末100から送信された指令等に基づいて、表示部64によるポンプ装置14の停止中における通水流量の表示の有無を選択する。また、プロセッサ67は、停止中の期間が所定の期間となったときに、全ての又はいずれかのポンプ装置14を強制的に駆動する強制運転を行う。
【0047】
プロセッサ67は、例えば、処理回路とメモリとを含む。プロセッサ67は、例えば、不揮発性のEEPROM領域67aと、揮発性のDRAM領域67bとを含む。また、プロセッサ67は、メモリ66又はEEPROM領域67aに保存されたプログラムを実行することで、通信制御部67c、処理部67d及びポンプ制御部67e等として機能し得る。なお、プロセッサ67内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
【0048】
プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、主にパラメータの処理に関する処理プログラム、ポンプ制御プログラム(例、自動運転プログラム)などが適宜、記憶される。なお、プログラムは、例えば、電源投入時に、設定部65の接続状態に基づいてメモリ66からプロセッサ67に取得されてEEPROM領域67aに格納される構成であってもよい。また、プログラムは、メモリ66に記憶され、EEPROM領域67aに記憶されず、プロセッサ67がメモリ66に記憶されたプログラムを実行する構成であってもよい。
【0049】
また、例えば、読み出しパラメータは、電源投入時に、設定部65の接続状態に基づいてメモリ66からプロセッサ67に取得されてEEPROM領域67aに格納される。なお、読み出しパラメータがEEPROM領域67aに記憶されず、プロセッサ67がメモリ66に記憶された読み出しパラメータを取得する構成であってもよい。
【0050】
DRAM領域67bは、プロセッサ67に設けられ、運転データが記憶される。なお、運転データは、DRAM領域67b内に設けた専用レジスタに格納してもよい。運転データとしては、例えば、吐出し圧力、瞬時流量、出力電流、運転周波数、出力電圧、消費電力等が挙げられる。
【0051】
通信制御部67cは、通信部61を制御して、通信端末100との無線通信を行う。例えば、通信制御部67cは、アドバタイズパケットを送信した通信端末100に接続要求を送信する。また、通信制御部67cは、通信部61を介して、給水装置1の接続を確立するための何らかのデータを送信することや、操作者の操作に応じて、通信端末100にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、通信制御部67cは、通信端末100と制御盤24との接続を確立するための何らかのデータ、例えば制御盤24及び通信端末100がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、アドバタイザとしての給水装置1からのリクエスト、を受信することもあり得る。
【0052】
通信制御部67cは、通信部61を介して、通信部61と通信端末100との間で通信を接続した場合、圧力検出部21及び流量検出部22を含む各種センサの検出信号、各種運転データ及び外部パラメータを通信端末100へ送信する。
【0053】
処理部67dは、各パラメータに関する処理を実行する。ポンプ制御部67eは、各種センサからの検出信号に基づいて、給水装置1の運転状態を示す運転データを取得し、当該運転データをメモリ66、EEPROM領域67a及び/又はDRAM領域67bに記憶する。なお、運転データの取得は、積算値のように、給水装置1の運転実態に応じて、運転データを算出することを含んでもよい。
【0054】
また、ポンプ制御部67eは、メモリ66又はEEPROM領域67aに保存されたポンプ制御のためのプログラムと、各パラメータとに基づき、最新の検出信号等に応じてインバータ制御信号を生成する。なお、生成したインバータ制御信号は、例えば、可変速駆動制御部68に送信される。
【0055】
可変速駆動制御部68は、例えば、パワー素子基板と、コンデンサ基板と、リアクトルと、ノイズフィルタ基板と、制御操作基板と、を備える。また、例えば、可変速駆動制御部68は、筐体60内に収納される。可変速駆動制御部68は、筐体60内に収容された、パワー素子基板、コンデンサ基板、リアクトル及びノイズフィルタ基板の各回路や素子等の実装品によって、インバータユニット(インバータ)を構成する。
【0056】
パワー素子基板は、発熱する素子が実装された基板である。パワー素子基板は、例えば、モータケーブルによってポンプ装置14のモータ14aに電気的に接続される。パワー素子基板は、例えば、プロセッサと、コンバータ回路を含むコンバータ部と、インバータ回路を含むインバータ部と、を備える。なお、パワー素子基板は、プロセッサのメモリとは別に、記憶媒体としてのメモリを有していてもよい。また、パワー素子基板は、一つの基板にプロセッサ、コンバータ部及びインバータ部等の複数の実装品(電子部品)を実装する構成であってもよく、複数の基板に単数又は複数の実装品が実装される構成であってもよい。
【0057】
プロセッサは、モータ14aを駆動するための制御回路である。プロセッサは、典型的にはマイコンであるが、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、DSC(Digital Signal Controller)またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。
【0058】
プロセッサは、例えば、処理回路と、メモリと、を含む。プロセッサは、例えば、不揮発性のEEPROM領域と、揮発性のDRAM領域等のメモリと、を含む。プロセッサは、メモリ又はEEPROM領域に保存されたプログラムを実行することで、処理部としての通信制御部及び周波数制御部等として機能し得る。なお、プロセッサ内の構成や各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
【0059】
プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、主にパラメータの処理に関する処理プログラム、ポンプ制御プログラム(例、自動運転プログラム)、周波数制御プログラムなどが適宜、記憶される。なお、プログラムは、例えば、制御盤24の各種メモリや通信端末100から取得し、パワー半導体素子のメモリやEEPROM領域に格納される構成であってもよく、電源投入時に、予め格納されたパワー半導体素子のメモリからプロセッサに取得されてEEPROM領域に格納される構成であってもよい。また、プログラムは、メモリに記憶され、EEPROM領域に記憶されず、プロセッサがパワー半導体素子のメモリに記憶されたプログラムを実行する構成であってもよい。
【0060】
また、例えば、電源投入時に、ポンプ台数、給水方式種別等といった読み出しパラメータがメモリからプロセッサに取得されてEEPROM領域に格納される構成としてもよい。なお、読み出しパラメータがEEPROM領域に記憶されず、プロセッサがメモリに記憶された読み出しパラメータを取得する構成であってもよい。
【0061】
例えば、ポンプ台数の読み出しパラメータとは、ポンプ14bの台数であり、給水方式種別の読み出しパラメータとは、例えば、受水槽方式や直結給水方式等である。これら読み出しパラメータは、給水装置1の出荷時や設置時に設定される。なお、本実施形態において、給水装置1が直結給水方式であることから、給水方式種別の読み出しパラメータは、直結給水方式が設定される。また、読み出しパラメータはこれらに限定されず、種々設定可能である。なお、制御操作基板を設けず、または、制御操作基板で設定後に、読み出しパラメータを制御盤24の他の構成要素や通信端末100から取得する構成としてもよい。
【0062】
DRAM領域は、プロセッサに設けられ、運転データが記憶される。なお、運転データは、DRAM領域内に設けた専用レジスタに格納してもよい。運転データとしては、例えば、吸い込み圧力、吐出し圧力、瞬時流量、出力電流、運転周波数、中間電圧、出力電圧、消費電力等が挙げられる。
【0063】
周波数制御部は、例えば、受信したインバータ制御信号をインバータユニットへ出力し、モータ14aを制御する。これにより、周波数制御部は、目標圧力一定運転等により、ポンプ14bを制御する。
【0064】
なお、周波数制御部は、例えば、メモリ又はプロセッサのEEPROM領域に保存されたポンプ制御のためのプログラムと、各パラメータと、圧力検出部21及び流量検出部22を含む各センサからの最新の検出信号等と、に応じてインバータ制御信号を生成し、インバータ制御信号を、インバータユニットへ出力し、モータ14aを制御する構成としてもよい。
【0065】
コンバータ部は、例えば、ダイオードや制御回路等を含むコンバータ回路により構成される整流装置である。インバータ部は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やIPM(Intelligent Power Module)等のパワー半導体素子や制御回路等を含むインバータ回路により構成される周波数発生装置である。
【0066】
コンデンサ基板は、例えば、非電解型の平滑コンデンサが実装される。平滑コンデンサは、例えば誘電体にプラスチックフィルムを用いたフィルムコンデンサである。
【0067】
リアクトルは、高調波抑制対策用に設けられる。リアクトルは、例えば、コンバータ部の一次側に設けられる交流リアクトルである。なお、リアクトルは、交流リアクトルに加え、コンバータ部の二次側に設けられる直流リアクトルを有する構成であってもよい。
【0068】
ノイズフィルタ基板は、可変速駆動制御部の電気回路上のノイズを除去する。例えば、ノイズフィルタ基板は、パワー素子基板の一次側(入力側)のノイズを除去する入力側ノイズフィルタや、パワー素子基板の二次側(出力側)のノイズを除去する出力側ノイズフィルタ等を含む。
【0069】
具体例として、ノイズフィルタ基板は、電源ラインへ流れるノイズ、モータとインバータ部との間のケーブルやプリント配線等から放射されるノイズ、モータからの漏れ電流によるグランドノイズ、雷サージ等をフィルタリングするノイズフィルタを構成する。なお、ノイズフィルタ基板は、これらのいずれか、または選択した複数のノイズを除去する構成であってもよく、上述以外のノイズを除去する構成であってもよい。
【0070】
制御操作基板は、例えば、運転状況、故障状況、設定状況等、各種情報を表示する表示部と、各種設定を変更する押しボタンスイッチ等の操作部と、各種入出力信号を接続する端子と、を備える。例えば、制御操作基板の操作部は、制御に関するパラメータのうち、読み出しパラメータを取得するための電気的な接続状態を物理的に設定する入力部である。具体例として、制御操作基板は、ディップスイッチ又はジャンパーピン等が適宜用いられる。制御操作基板は、例えば、ポンプ台数、給水方式種別等といった読み出しパラメータが割り付けられている。
【0071】
このような可変速駆動制御部68は、内部において、パワー素子基板に搭載されたプロセッサ、コンバータ部、インバータ部、コンデンサ基板に搭載された平滑コンデンサ、及び、ノイズフィルタ基板によってインバータユニットが構成される。そして、インバータユニットは、電源に接続される。
【0072】
ここで、電源は、例えば三相電源である。電源から流れる電流は、コンバータ部によって直流に変換され、平滑コンデンサにて整流され、インバータ部にて可変電圧可変周波数の交流に変換され、モータ14aに入力される。
【0073】
可変速駆動制御部68は、インバータユニットにより、制御盤24からの駆動指令としてのインバータ制御信号に応じた所定の周波数を出力することで、モータ14aを所定の回転速度で回転させる。可変速駆動制御部68は、プロセッサ、インバータユニット及び/又は各種処理回路によって、運転データとしての、出力電流の検出、周波数の検出、回転速度の検出、出力電圧の検出、中間電圧の検出、出力の検出のうち、少なくとも、可変速駆動制御及び高押込状態の判断に用いる情報を検出する。また、可変速駆動制御部68は、これら検出した情報(運転データ)を、メモリ又はプロセッサのEEPROM領域に保存してもよく、また、制御盤24の可変速駆動制御部68以外の構成、例えば、メモリ66又はEEPROM領域67aに送信してもよい。
【0074】
このように構成された給水装置1のプロセッサ67は、インバータ制御信号を生成し、可変速駆動制御部68によってモータ14aを制御する。例えば、プロセッサ67は、ポンプ装置14を駆動して、プロセッサ67は、メモリ66に記憶された各種パラメータやプログラムを実行することで、供給処理及び保護処理を行う機能を発揮する。また、プロセッサ67により、流量検出部22で検出した実流量をメモリ66に記憶する。また、プロセッサ67は、複数の流量検出部22で検出した実流量からポンプ装置14の停止中における通水の流量を求め、メモリ66に記憶するとともに、選択的に表示部64に表示する。
【0075】
次に、プロセッサ67が行うポンプ装置14の停止中における通水の流量を求める処理について説明する。また、本説明においては、給水装置1は、
図6に実線で示すように、流量検出部22として、第1流量検出部22A及び2つの第2流量検出部22Bを有する例を説明する。
【0076】
先ず、プロセッサ67は、可変速駆動制御部68の制御状況から、ポンプ装置14の停止中であることを判定すると、第1流量検出部22Aで検出した実流量を、ポンプ装置14の停止時における通水の流量を停止時通水流量として、メモリ66に記憶する。また、プロセッサ67は、例えば、各第2流量検出部22Bで検出した、各ポンプ14bを通水した流量をメモリ66に記憶するとともに、停止時通水流量から各ポンプ14bを通水した流量を減算し、バイパス管17を通水した流量を求め、メモリ66に記憶する。
【0077】
また、プロセッサ67は、例えば、入力部62による外部指令により、又は、入力部62により予め設定された指令により、又は、メモリ66に予め記憶されたプログラムにより、表示部64に求めた停止時通水流量を表示する。なお、プロセッサ67は、停止時通水流量に加え、又は、変えて、各ポンプ14bを通水した流量及びバイパス管17を通水した流量を表示部64に表示してもよい。
【0078】
また、プロセッサ67は、流量検出部22により検出した実流量、及び、流量検出部22による検出若しくは流量検出部22で検出した実流量に基づく算出等により求めた停止時通水流量を取得した日時を併せてメモリ66に記憶する。これらのように、プロセッサ67は、ポンプ装置14の停止時に給水装置1を通水する流量情報を検出する処理が行われる。なお、プロセッサ67が記憶する流量情報は、例えば、ポンプ装置14が駆動しているときに流量検出部22で検出した実流量及び該実流量に紐付けた日時の情報を含む。
【0079】
また、プロセッサ67は、ポンプ装置14の駆動情報や停止時通水流量を含む流量情報から、給水装置1の二次側において通水流量が多くなる時間帯等を求め、ポンプ装置14の強制運転のタイミングを通水流量が多くなる時間帯に設定する。そして、プロセッサ67は、ポンプ装置14の停止している期間が所定の期間となったときであって、通水流量が多くなる時間帯に、ポンプ装置14の強制運転を行う。
【0080】
また、プロセッサ67は、日時に紐付けた流量情報や強制運転のタイミングを、通信端末100と無線接続することにより、適宜通信端末100に送信してもよい。
【0081】
このような通信端末100との通信を伴う形態は、給水システムとして、制御盤24と通信端末100とを備えた管理システムや、給水装置1及び通信端末100を備えた管理システムを構成する。また、このような給水システムの形態は、制御盤24と、通信端末100に実行されるプログラムとを備えた管理システムや、給水装置1と、通信端末100に実行されるプログラムとを備えた管理システムを構成してもよい。
【0082】
あるいは、このような給水システムの形態は、制御盤24に実行される第1プログラムと、通信端末100に実行される第2プログラムとを備えた管理システムや、給水装置1に実行される第1プログラムと、通信端末100に実行される第2プログラムとを備えた管理システムを構成してもよい。ここで、「管理システム」の用語は、適宜、「システム」、「処理システム」又は「パラメータ処理システム」のように言い換えてもよい。同様に、「・・・に実行されるプログラム」の用語は、適宜、「・・・に搭載されるプログラム」又は「・・・に内蔵されるプログラム」のように言い換えてもよい。
【0083】
また、給水装置1として、制御盤24を有さず、ポンプ装置14を一台備え、制御盤24の構成を可変速駆動制御部68が有する構成としてもよく、このような構成の給水装置1とする場合においては、給水システムは、可変速駆動制御部68及び通信端末100を備える構成、又は、一台のポンプ装置14を有する給水装置1及び通信端末100を備える構成とすればよい。
【0084】
次に、このような給水装置1とデータ通信を行う通信端末100の例について、以下説明する。通信端末100は、管理サーバ、プログラマブルコントローラ、情報処理や入力処理を行う処理端末等である。通信端末100は、例えば、PC、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォン、携帯端末)、ゲーム機等が挙げられるが、これらに限定されず、専用の通信機器であってもよい。
【0085】
このような通信端末100は、
図5に例示するように、通信部101、入力部102、表示部103、メモリ104及びプロセッサ105を備える。
【0086】
通信部101は、プロセッサ105により制御され、例えば、無線通信技術を用いて、給水装置1等の外部装置と通信可能な任意の通信インターフェースである。具体的には、通信部101は、例えば、Bluetooth(登録商標)(例えば、Bluetoothe Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう))、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信技術、及び、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)等の携帯電話回線を含めた汎用無線通信技術やsigfox(登録商標)等の専用無線通信技術等を含む遠距離無線通信技術等の無線通信技術を用いて給水装置1の制御盤24に接続できる。また、通信部101は、無線通信に加え、USBなどの有線通信技術を用いて、他の外部装置に接続できる構成であってもよい。具体例として、通信部101は、BLE規格に基づいて、給水装置1の制御盤24と無線通信を行う。なお、通信部101は、前述したBLE規格の通信とは別に、基地局及びネットワークを介して管理サーバや他の通信端末に通信可能なモバイル端末の通常の通信インターフェースを含んでもよい。例えば、通信部101は、プロセッサ105により制御され、機能パラメータ、内部パラメータ、外部パラメータ等のデータや、目標圧力一定制御を行うための各種プログラム、及び、これらデータやプログラムを変更する変更指示を制御盤24の通信部61に送信する。
【0087】
入力部102は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、通信端末100に内蔵されてもよいし、通信端末100に外付けされてもよい。入力部102は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどであってもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ここで、ユーザ入力とは、例えば、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下、マイクロフォンによって捉えられる音声等を含む。
【0088】
表示部103は、プロセッサ105の処理に応じて、画像及び/又は音声を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。表示部103は、音声、楽曲などを出力するためのスピーカを含んでもよい。「表示部」は「出力部」と読み替えてもよい。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。表示デバイスは、コンテンツを含む表示データを表示する。なお、表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。表示部103は表示手段の一例である。
【0089】
メモリ104は、プロセッサ105が各処理を実現するために当該プロセッサ105によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ105によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ104は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。例えば、通信端末100のプログラムには、予め全ての内部パラメータに関する名称、単位、設定可能範囲などのデータが記憶されており、制御盤24に誤った数値が入力されることを阻止できる。
【0090】
プロセッサ105は、典型的にはCPUであるが、マイコン、FPGA、DSP、GPU(Graphics Processing Unit)またはその他の汎用または専用のプロセッサ等であってもよい。プロセッサ105は、通信部101を介して給水装置1との間で無線通信を行い、給水装置1を管理する処理を実行するものである。プロセッサ105は、メモリ104に保存されたプログラムを実行することで、通信制御部105a及び処理部105bとして通信端末100を機能し得る。なお、プロセッサ105内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。当該通信制御部105a及び処理部105bは、第1受信手段、第1変更手段、第1送信手段、第2受信手段、第2変更手段及び第2送信手段の一例である。
【0091】
通信制御部105aは、通信部101を制御して、給水装置1との無線通信を行う。例えば、通信制御部105aは、アドバタイズパケットを送信した制御盤24に接続要求を送信する。また、通信制御部105aは、通信部101を介して、給水装置1との接続を確立するための何らかのデータを送信することや、操作者の操作に応じて、給水装置1にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、通信制御部105aは、通信端末100と給水装置1との接続を確立するための何らかのデータ、例えば給水装置1及び通信端末100がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、アドバタイザとしての給水装置1からのリクエスト、を受信することもあり得る。
【0092】
通信制御部105aは、通信部101を介して、例えば、対象装置が自動運転モードのとき、通信端末100と通信部61及び/又は無線通信部57との間で通信を接続した場合、各種運転データや各種パラメータ等を制御盤24から受信する。
【0093】
処理部105bは、給水装置1の点検、メンテナンス、管理、パラメータ閲覧・変更、プログラム更新など、作業員の作業に応じた情報処理を実行する。
【0094】
処理部105bは、例えば、各種運転データ及び外部パラメータを通信部101が受信すると、当該受信した内容の一部分を表示部103に表示させ、操作者のスクロール操作に応じて、当該表示させる一部分を変更する。
【0095】
このように構成された給水装置1によれば、実流量を検出可能な単数又は複数の流量検出部22を有し、流量検出部22で検出した流量からポンプ装置14の停止における通水流量を検出することができる。このように、給水装置1は、ポンプ装置14の停止中の流量を監視することができる。
【0096】
即ち、配水本管に接続される給水装置1において、配水本管の平均圧がポンプ装置14の始動圧力よりも高い場合に、ポンプ装置14の運転回数や運転時間が短くなる。しかしながら、直結給水式の給水装置1は、バイパス管17を通る給水が義務付けられており、ポンプ装置14の停止中において、バイパス管17を通る給水が可能である。そして、ポンプ装置14の停止時間が長くなると、バイパス管17を通る給水によって通水される流路以外の流路において、水が滞留し、水が新鮮でなくなる虞や、長く水が滞留することによりポンプ14bの部品が固着する虞がある。
【0097】
しかしながら、実施形態の給水装置1は、通水流量の情報、及び、検出した通水流量の日時等の情報を得ることができる。このため、ポンプ装置14の停止状況下による、給水装置1の通水状況の確認が可能となり、且つ、ポンプ装置14の停止状態における、給水装置1を設置するマンションやビル等における使用水量の把握が可能となる。
【0098】
即ち、給水装置1は、ポンプ装置14の停止状態における流量監視が可能となる。よって、給水装置1は、プロセッサ67によって、停止時通水流量を含む通水流量やポンプ装置14の停止時間を監視し、これら通水流量や停止時間に基づいて、ポンプ装置14を強制的に駆動する強制運転等、各種制御を行うことが可能となる。これにより、給水装置1は、水滞留防止及びポンプ14bの固着防止等を行うことができる。
【0099】
また、例えば、給水装置1における各ポンプ装置14を通る流路やバイパス管17を通る流路の通水流量を検出することにより、逆止弁18の故障等のエラー判定も可能となる。即ち、プロセッサ67は、ポンプ装置14の停止中において、2台のポンプ装置14の一方の流量検出部22で通水を検出したときに、通水を検出した流量検出部22が設けられたポンプ装置14の二次側に設けられた逆止弁18が開放状態、即ち、逆流していると判定することもできる。
【0100】
上述したように本発明の実施形態に係る給水装置1によれば、ポンプ装置14の停止中における流量監視が可能となる。
【0101】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、給水装置1は、流量検出部22として、第1流量検出部22A及び2つの第2流量検出部22Bを有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、給水装置1は、流量検出部22として、第1流量検出部22A又は第4流量検出部22Dのみを有する構成としてもよい。例えば、第1流量検出部22A又は第4流量検出部22Dのみを有する構成とした場合には、給水装置1は、プロセッサ67により、ポンプ装置14の停止中における全流量を検出することができる。
【0102】
また、給水装置1は、流量検出部22として、2つの第2流量検出部22B及び第3流量検出部22Cを有する構成とし、全流量を2つの第2流量検出部22B及び第3流量検出部22Cで検出した流量の合算値とし、ポンプ装置14の停止中において通水した流量は、各流量検出部22が設けられた流路における実流量から求めることができる。
【0103】
また、給水装置1は、2つの第2流量検出部22B及び第4流量検出部22Dを有する構成としてもよく、この構成の場合には、上述した第1流量検出部22A及び2つの第2流量検出部22Bを有する構成と略同じ値を検出することができる。
【0104】
また、給水装置1は、第1流量検出部22A及び第3流量検出部22Cを有する構成としてもよく、この構成の場合には、全流量及びバイパス管17の通水流量を検出するとともに、全流量及びバイパス管17の通水流量の減算値から2台のポンプ装置14を通水した流量をプロセッサ67が求めることができる。
【0105】
また、給水装置1は、第1流量検出部22A、2つの第2流量検出部22B、第3流量検出部22C及び第4流量検出部22Dのうち3つ以上(2つの第2流量検出部22Bを含む場合には4つ)又は全てを有する構成としてもよい。流量検出部22の数が多くなるほど、検出する全流量やポンプ装置14の停止中における通水流量(停止時通水流量)の検出精度が向上できる。
【0106】
即ち、給水装置1は、流量検出部22により少なくともいずれかの流路上で実流量を検出可能とし、必要があれば、実流量を検出できない流路においては、検出した実流量から通水した流量を検出する構成としてもよい。また、高い精度で通水流量を求めたい流路においては、流量検出部22を設けることで、より高い精度で流量を検出することが可能となる。
【0107】
また、給水装置1は、流量検出部22で検出した通水流量から各号機のポンプ装置14の積算流量、停止時間又は時間当たりの平均流量を求め、複数のポンプ装置14のうち、いずれかのポンプ装置14を選択的に強制運転してもよい。例えば、選択的に強制運転するポンプ装置14は、プロセッサ67が求めた各号機のポンプ装置14の積算流量、停止時間又は時間当たりの平均流量、及び、メモリ66に記憶された強制運転を行うための閾値を比較して選択してもよい。
【0108】
また、上述した例では、給水装置1が逆流防止装置(逆流防止回路)12を1つ有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、逆流防止装置12のメンテナンスによる断水を回避するために、給水装置1は、主回路及び副回路となる2つの逆流防止装置(逆流防止回路)を並列に有する構成としてもよい。例えば、副回路となる逆流防止装置は、メンテナンス緊急時用であるため、主回路の逆流防止装置と同流量が通水可能な回路や口径とする必要があるか等の選定を要する。この場合に、上述したように、ポンプ装置14の停止中の通水流量の情報から、メンテナンスを行う時間体に、主回路に用いる逆流防止装置と同じ回路や口径とするか否かの判断とすることもできる。
【0109】
また、上述した例では、給水装置1は、ポンプ装置14を2台有する構成を説明したがこれに限定されず、ポンプ装置14は、1台であってもよく、3台以上であってもよい。
【0110】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0111】
1…給水装置、11…吸込配管、12…逆流防止装置(逆流防止回路)、13…分岐管、14…ポンプ装置、14a…モータ、14b…ポンプ、15…吐出管、16…合流管、17…バイパス管、18…逆止弁、19…蓄圧装置、20…吐出配管、21…圧力検出部、22…流量検出部、22A…第1流量検出部、22B…第2流量検出部、22C…第3流量検出部、22D…第4流量検出部、23…開閉弁、24…制御盤、25…ベース、26…フレーム、27…カバー、41…羽根車、42…検出部、57…無線通信部、60…筐体、61…通信部、62…入力部、63…インターフェース、64…表示部、65…設定部、66…メモリ、67…プロセッサ、67a…EEPROM領域、67b…DRAM領域、67c…通信制御部、67d…処理部、67e…ポンプ制御部、68…可変速駆動制御部、100…通信端末、101…通信部、102…入力部、103…表示部、104…メモリ、105…プロセッサ、105a…通信制御部、105b…処理部。