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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059368
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ガス消費型発電システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240423BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20240423BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240423BHJP
   H01M 8/04664 20160101ALI20240423BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20240423BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/0438
H01M8/04746
H01M8/04664
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167006
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】白木 壮哉
(72)【発明者】
【氏名】南 和徹
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AB23
5H127AC02
5H127AC14
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA34
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB19
5H127DB76
5H127DB90
5H127DC83
5H127GG04
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】ガス消費型発電システムの制御装置がガス不使用条件が満たされたと判定するのに要する期間をできるだけ短くしながら、ガスメーターが非漏洩条件を満たすと判定しない場合には同様の判定を行うことができるガス消費型発電システムを提供する。
【解決手段】ガス消費型発電システムSであって、制御装置22は、処理対象期間内に行われた全ての待機処理の間に発生した連続ガス不使用期間の全てに含まれる、設定判定用期間以上の長さである基準期間の累積数が、設定回数以上の目標回数になる場合にガス不使用条件が満たされたと判定し、基準期間の累積数は、待機処理が行われている間に発生した連続ガス不使用期間の夫々について、連続ガス不使用期間から所定のマージン期間を減算した残りの期間に含まれる基準期間の数を計数し、連続ガス不使用期間の夫々に含まれる基準期間の数を累積することで導出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを消費して発電するガス消費型発電部と、情報を出力できる情報出力部と、制御装置とを備え、前記ガス消費型発電部に供給される前記燃料ガスは、ガスメーターを経由して供給される供給ガス、又は、前記ガスメーターを経由して供給される前記供給ガスを改質して得られるガスであり、
前記ガスメーターは、前記供給ガスの通流量が第1設定判定量以下となる状態が設定判定用期間以上連続する又は前記設定判定用期間での前記供給ガスの積算通流量が第2設定判定量以下になるという非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じないときには、警報作動する又は前記供給ガスの供給遮断を行うように構成され、
前記制御装置は、前記漏洩判定用期間と同じ長さ又はそれよりも短い長さの所定の処理対象期間内に、少なくとも前記ガス消費型発電部での発電用に供給される前記供給ガスの量については前記ガスメーターが前記非漏洩条件を満たすと判定する量にする待機状態に移行して、当該待機状態を継続する待機処理を含む漏洩判定回避処理を行うように構成されているガス消費型発電システムであって、
前記制御装置は、前記ガスメーターを経由して供給される前記供給ガスを消費するガス消費装置の動作状態を監視し、
前記制御装置は、前記処理対象期間内に所定のガス不使用条件が満たされなかった場合、前記ガスメーターによる前記警報作動又は前記供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は前記供給ガスの使用を控えることを促す情報を前記情報出力部から利用者に対して出力する情報出力処理を行うように構成され、
前記制御装置は、前記処理対象期間内に行われた全ての前記待機処理の間に発生した、前記ガス消費装置での前記供給ガスの消費がない又は所定量以下である期間が連続する連続ガス不使用期間の全てに含まれる、前記設定判定用期間以上の長さである基準期間の累積数が、前記設定回数以上の目標回数になる場合に前記ガス不使用条件が満たされたと判定し、
前記基準期間の前記累積数は、前記待機処理が行われている間に発生した前記連続ガス不使用期間の夫々について、当該連続ガス不使用期間から所定のマージン期間を減算した残りの期間に含まれる前記基準期間の数を計数し、前記連続ガス不使用期間の夫々に含まれる前記基準期間の数を累積することで導出されるガス消費型発電システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記漏洩判定回避処理を行っている間に前記ガス不使用条件が満たされた場合、前記漏洩判定回避処理を終了し、前記ガス消費型発電部での発電用に供給される前記供給ガスの量については前記ガスメーターが前記非漏洩条件を満たさないと判定する量にして前記ガス消費型発電部での発電を行う発電状態にさせる請求項1に記載のガス消費型発電システム。
【請求項3】
前記ガス消費型発電部は、前記燃料ガスが供給されるアノード及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部を有する請求項1又は2に記載のガス消費型発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスを消費して発電するガス消費型発電部と、情報を出力できる情報出力部と、制御装置とを備えるガス消費型発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるマイコンメーター等のガスメーターは、都市ガス等の供給ガスの通流量がゼロ又は少ないことを示す非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じないときには、警報作動する又は供給ガスの供給遮断を行うように構成されている。
【0003】
特許文献1(特開2016-42411号公報)には、ガス消費型発電システムが燃料ガス(例えば都市ガス等の供給ガスを改質して得られるガス)消費しない期間を意図的に作り出すことで、ガスメーターが上述したように警報作動する又は供給ガスの供給遮断を行うことを回避しようとする技術が記載されている。例えば、特許文献1に記載のガス消費型発電システムは、27日毎(即ち、漏洩判定用期間である30日の経過時点より3日前)に1日間停止するように制御される。停止している1日間はガス消費型発電システムでの供給ガスの使用は行われないため、その1日間に、都市ガス等の供給ガスの通流量がゼロ又は少ないことを示す非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じたとガスメーターが判定することが期待される。
【0004】
尚、ガス消費型発電システムが備えるガス消費型発電部が供給ガスを消費しない期間を意図的に作り出して上記非漏洩条件を満たす状態にさせようとしても、ガス消費型発電部に併設されている給湯用の熱源機などでガスが消費された場合、上記非漏洩条件が満たされない状態になる。そのような問題に対処するため、ガスメーターが非漏洩条件が満たされたと判定するか否かを推定するために、ガス消費型発電システムの制御装置でも、ガスメーターで判定している非漏洩条件に対応する所定のガス不使用条件を設定し、そのガス不使用条件が満たされたか否かを判定することが好ましい。そして、ガス消費型発電システムの制御装置が、所定の期間内にガス不使用条件が満たされない場合には、ガス消費型発電システムの利用者に対してガスの消費を抑制するようなメッセージを発することが好ましい。特許文献2(特開2017-22078号公報)には、ガス消費型発電システム(燃料電池部を備えるエネルギ供給システム)の制御装置が、ガス消費型発電部及び給湯用の熱源部でのガス消費を監視しておき、特定の期間内に所定のガス不使用条件(即ち、ガス消費型発電部及び給湯用の熱源部でガスが消費されない状態の継続時間である非供給継続時間が所定時間を経過していること)が満たされなかった場合にはガス消費を控えることを促すメッセージを情報出力部から利用者に対して出力することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-42411号公報
【特許文献2】特開2017-22078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2には記載されていないが、例えば、給湯用の熱源部から、ガス燃焼を停止したことを示す信号と、ガス燃焼を開始したことを示す信号とをガス消費型発電システムの制御装置に送信させることができる。それにより、ガス消費型発電システムの制御装置は、自身が動作を制御するガス消費型発電部でガスを消費しなかった時間帯だけでなく、自身が動作を制御していない給湯用の熱源部でガスを消費しなかった時間帯も把握できる。
【0007】
但し、ガス消費型発電システムの制御装置が給湯用の熱源部からガス燃焼を停止したことを示す信号を受信するタイミングと給湯用の熱源部での実際のガス燃焼停止タイミングとの間にはタイムラグが生じ、且つ、ガス消費型発電システムの制御装置が給湯用の熱源部からガス燃焼を開始したことを示す信号を受信するタイミングと給湯用の熱源部での実際のガス燃焼開始タイミングとの間にはタイムラグが生じる。そのため、ガス消費型発電システムの制御装置が把握できる、ガス消費型発電部でガスを消費せず且つ給湯用の熱源部でガスを消費しなかったと推定できる時間帯(即ち、特許文献2の「非供給継続時間」に相当)は、ガスメーターが判定する実際のガス不使用時間帯と相違してしまう。
【0008】
そのため、ガスメーターが非漏洩条件を満たす(即ち、ガス漏洩が発生していない)と判定しないのに、ガス消費型発電システムの制御装置がガス漏洩が発生していないと判定することを避けるためには、ガスメーターが要求する非漏洩条件よりも厳しい条件(例えば、ガスの不使用が連続する期間が所定のマージン分だけ更に長いこと等)が満たされた場合に、ガス漏洩が発生していないと判定することが好ましい。但し、そのような条件を設定するということは、ガス消費型発電システムの制御装置がガス不使用条件が満たされたと判定するのに要する期間が長くなることを意味する。つまり、例えばガス不使用条件が満たされるようにガス消費型発電システムでの発電を停止する期間が長くなり、ガス消費型発電システムの利用者のメリットが大きく棄損されることを意味する。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガス消費型発電システムの制御装置がガス不使用条件が満たされたと判定するのに要する期間をできるだけ短くしながら、ガスメーターが非漏洩条件を満たすと判定しない場合には同様の判定を行うことができるガス消費型発電システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係るガス消費型発電システムの特徴構成は、燃料ガスを消費して発電するガス消費型発電部と、情報を出力できる情報出力部と、制御装置とを備え、前記ガス消費型発電部に供給される前記燃料ガスは、ガスメーターを経由して供給される供給ガス、又は、前記ガスメーターを経由して供給される前記供給ガスを改質して得られるガスであり、
前記ガスメーターは、前記供給ガスの通流量が第1設定判定量以下となる状態が設定判定用期間以上連続する又は前記設定判定用期間での前記供給ガスの積算通流量が第2設定判定量以下になるという非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じないときには、警報作動する又は前記供給ガスの供給遮断を行うように構成され、
前記制御装置は、前記漏洩判定用期間と同じ長さ又はそれよりも短い長さの所定の処理対象期間内に、少なくとも前記ガス消費型発電部での発電用に供給される前記供給ガスの量については前記ガスメーターが前記非漏洩条件を満たすと判定する量にする待機状態に移行して、当該待機状態を継続する待機処理を含む漏洩判定回避処理を行うように構成されているガス消費型発電システムであって、
前記制御装置は、前記ガスメーターを経由して供給される前記供給ガスを消費するガス消費装置の動作状態を監視し、
前記制御装置は、前記処理対象期間内に所定のガス不使用条件が満たされなかった場合、前記ガスメーターによる前記警報作動又は前記供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は前記供給ガスの使用を控えることを促す情報を前記情報出力部から利用者に対して出力する情報出力処理を行うように構成され、
前記制御装置は、前記処理対象期間内に行われた全ての前記待機処理の間に発生した、前記ガス消費装置での前記供給ガスの消費がない又は所定量以下である期間が連続する連続ガス不使用期間の全てに含まれる、前記設定判定用期間以上の長さである基準期間の累積数が、前記設定回数以上の目標回数になる場合に前記ガス不使用条件が満たされたと判定し、
前記基準期間の前記累積数は、前記待機処理が行われている間に発生した前記連続ガス不使用期間の夫々について、当該連続ガス不使用期間から所定のマージン期間を減算した残りの期間に含まれる前記基準期間の数を計数し、前記連続ガス不使用期間の夫々に含まれる前記基準期間の数を累積することで導出される点にある。
ここで、前記ガス消費型発電部は、前記燃料ガスが供給されるアノード及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部を有していてもよい。
【0011】
上記特徴構成によれば、制御装置は、処理対象期間内に所定のガス不使用条件が満たされなかった場合、ガスメーターによる警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は供給ガスの使用を控えることを促す情報を情報出力部から利用者に対して出力する情報出力処理を行うように構成される。その結果、利用者は、ガスメーターによる警報作動又は供給遮断の可能性が高いこと又は供給ガスの使用を控える必要があること認識できる。
【0012】
また、ガスメーターは、例えば、供給ガスの不使用が設定判定用期間だけ継続する状態が漏洩判定用期間の間に設定回数だけ生じれば、警報作動することもなく、且つ、供給ガスの供給遮断を行うこともない。この場合であれば、ガス消費型発電システムの制御装置は、ガス不使用条件が満たされるか否かを判定する際に、連続ガス不使用期間に含まれる基準期間の累積数を、その連続ガス不使用期間からマージン期間を減算せずに計上してもよいところを、敢えて連続ガス不使用期間からマージン期間を減算した残りの期間に含まれる基準期間の累積数を計上している。そのため、単にマージン期間を減算せずに連続ガス不使用期間に含まれる基準期間の数を累積した場合よりも、本特徴構成の方が、連続ガス不使用期間の夫々に含まれる基準期間の数を累積した値は少なくなる。つまり、ガスメーターが非漏洩条件を満たすと判定しない場合には、ガス消費型発電システムの制御装置も、その非漏洩条件よりも厳しいガス不使用条件を満たすと判定しない可能性が高まる。
【0013】
更に、連続ガス不使用期間に含まれる基準期間毎にマージンが設けられるのではなく、連続ガス不使用期間毎に一つのマージン期間が設けられる条件設定になっている。つまり、連続ガス不使用期間に含まれる基準期間毎にマージンが設けられる場合と比べて、連続ガス不使用期間により多くの基準期間を計上できる。その結果、連続ガス不使用期間に含まれる基準期間毎にマージン期間が設けられる場合と比べて、より短い一つの連続ガス不使用期間又は合計期間がより短い複数の連続ガス不使用期間で、ガス不使用条件が満たされる可能性が高まる。つまり、ガス消費型発電システムの制御装置がガス不使用条件が満たされたと判定するのに要する期間は比較的短くなる。
従って、ガス消費型発電システムの制御装置がガス不使用条件が満たされたと判定するのに要する期間をできるだけ短くしながら、ガスメーターが非漏洩条件を満たすと判定しない場合には同様の判定を行うことができるガス消費型発電システムを提供できる。
【0014】
本発明に係るガス消費型発電システムの別の特徴構成は、前記制御装置は、前記漏洩判定回避処理を行っている間に前記ガス不使用条件が満たされた場合、前記漏洩判定回避処理を終了し、前記ガス消費型発電部での発電用に供給される前記供給ガスの量については前記ガスメーターが前記非漏洩条件を満たさないと判定する量にして前記ガス消費型発電部での発電を行う発電状態にさせる点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、漏洩判定回避処理を行っている間にガス不使用条件が満たされた場合、漏洩判定回避処理を終了して、ガス消費型発電部での発電を行う発電状態にさせる。つまり、ガス不使用条件が満たされるまでの期間、即ち、漏洩判定回避処理の実施期間が短ければ、ガス消費型発電部での発電を行う発電状態を再開させるまでの期間も短くなり、ガス消費型発電システムの利用者のメリットが大きく棄損されることを回避できる。本特徴構成の場合、例えば、連続ガス不使用期間に含まれる基準期間毎にマージンが設けられるのではなく、連続ガス不使用期間毎に一つのマージン期間が設けられる条件設定になっているため、連続ガス不使用期間に含まれる基準期間毎にマージン期間が設けられる場合と比べて、より短い一つの連続ガス不使用期間又は合計期間がより短い複数の連続ガス不使用期間で、ガス不使用条件が満たされる可能性が高まる。そのため、漏洩判定回避処理の実施期間が長くなり過ぎることがなくなるので、利用者のメリットが大きく棄損されることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ガス消費型発電システムの構成を示す図である。
図2】制御装置の漏洩判定回避処理に関する動作を説明するフローチャートである。
図3】連続ガス不使用期間の一例を示す図である。
図4】連続ガス不使用期間の別の一例を示す図である。
図5】連続ガス不使用期間を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係るガス消費型発電システムSについて説明する。
図1は、ガス消費型発電システムSの構成を示す図である。ガス消費型発電システムSは、燃料ガスを消費して発電するガス消費型発電部としての燃料電池部FCと、情報を出力できる情報出力部28と、制御装置22とを備える。つまり、本実施形態のガス消費型発電部は、燃料ガスが供給されるアノード8及び酸素ガスが供給されるカソード9を有する燃料電池部FCを有する。
【0018】
アノード8に供給される燃料ガスは、ガスメーター1を経由して供給される供給ガス、又は、ガスメーター1を経由して供給される供給ガスを改質部7で改質して得られるガスである。例えば、供給ガスが炭化水素を含む都市ガスなどの原燃料ガスである場合、ガスメーター1を経由して供給される原燃料ガスが改質部7に供給される。尚、図示は省略するが、供給ガスが水素である場合、改質部7等を設けることなく、ガスメーター1を経由して供給される水素が燃料ガスとしてアノード8に供給される。
以下の説明では、ガスメーター1から供給される供給ガスが、炭化水素を含む都市ガスなどの原燃料ガスである場合について説明する。
【0019】
改質部7は、ガスメーター1を経由して、原燃料ガス流路L1b(L1)を介して供給される例えば都市ガス等の炭化水素を含む原燃料ガスを水蒸気改質して水素を含む改質ガス(燃料ガス)を生成する。改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの単位時間当たりの流量は原燃料流量調節部5によって調節される。そして、原燃料流量調節部5によって流量が調節された原燃料ガスは、吸着部6を経由して、改質部7に供給される。
【0020】
また、改質部7には、水タンク14に貯えられている水が水ポンプ16及び水流路L10を介して供給され、その水が原燃料ガスの水蒸気改質に用いられる。尚、図示は省略するが、供給される水を気化させる気化器を設けてもよい。
原燃料流量調節部5の動作は制御装置22が制御する。
【0021】
吸着部6は、改質部7よりも上流側で原燃料ガスを吸着可能な吸着材6aとその吸着材6aの温度を調節可能な温度調節部6bとを有する。吸着材6aは、温度が低い場合には原燃料ガスを吸着し、温度が高い場合には吸着している原燃料ガスを脱離する。そのため、制御装置22は、例えば電気ヒーターなどを用いて実現される温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから原燃料ガスを脱離させることができる。例えば、吸着材6aは活性炭やゼオライトを用いて実現でき、その場合、吸着材6aの温度を凡そ100℃~200℃以上にすることで、吸着していた原燃料ガスを脱離させることができる。尚、吸着材6aとして例えば銀ゼオライト等を用い、都市ガスから硫黄分を除去するための脱硫剤を兼ねる構成としてもよい。
温度調節部6bの動作は制御装置22が制御する。
【0022】
改質部7で生成された改質ガスは改質ガス流路L2を介して燃料電池部FCに供給される。また、酸素ガス(空気)が空気流路L4を介して燃料電池部FCに供給される。燃料電池部FCのカソード9に供給される空気の単位時間当たりの流量は空気流量調節部15によって調節される。燃料電池部FCは、改質部7で生成される改質ガス(燃料ガス)が供給されるアノード8と、酸素ガスが供給されるカソード9と、それらの間に設けられる電解質層10とを有する。例えば、電解質層10は固体酸化物を使用して構成され、その場合には、燃料電池部FCは固体酸化物形の発電セルを有する。
空気流量調節部15の動作は制御装置22が制御する。
【0023】
アノード8から排出されるアノード排出ガスはアノード排出ガス流路L3を介して燃焼部11に供給される。カソード9から排出されるカソード排出ガスはカソード排出ガス流路L5を介して燃焼部11に供給される。例えば、アノード排出ガス流路L3は、アノード8から燃焼部11へ供給されるアノード排出ガスが流れるアノード排出ガス配管である。また、例えば、カソード排出ガス流路L5は、カソード9から燃焼部11へ供給されるカソード排出ガスが流れるカソード排出ガス配管である。
【0024】
燃焼部11は、アノード8から排出されるアノード排出ガスに含まれる燃焼成分を燃焼させる。尚、燃焼部11には、カソード9から排出されるカソード排出ガスも供給され、そのカソード排出ガスに含まれる酸素が燃焼に利用される。そして、燃焼部11で発生した燃焼熱が、改質部7による原燃料ガスの水蒸気改質に利用される。また、改質部7に水蒸気を供給するための気化器が設けられている場合には、燃焼熱が気化器に供給されて水の気化に利用される。
【0025】
燃焼部11から排出される排出燃焼ガスは、排出燃焼ガス流路L6を介して熱交換器12に供給される。また、熱交換器12には、湯水循環路L7を流れる湯水が供給される。そして、熱交換器12で、排出燃焼ガスと湯水との熱交換が行われる。本実施形態では、この熱交換によって、排出燃焼ガスが冷却され、湯水循環路L7を流れる湯水が加熱される。
【0026】
湯水循環路L7は、貯湯タンク17と熱交換器12との間で湯水を循環させる。貯湯タンク17には、相対的に低温の湯水がその下部に貯えられ、相対的に高温の湯水がその上部に貯えられるように、即ち、温度成層を形成する状態で湯水が貯えられる。具体的に説明すると、湯水循環路L7は、貯湯タンク17から熱交換器12へ湯水を移送する往路と、熱交換器12から貯湯タンク17へ湯水を移送する復路とで構成され、往路の途中に設けられる循環ポンプ18とを有する。
【0027】
このような構成により、貯湯タンク17の下部から湯水循環路L7の往路を介して熱交換器12に供給される湯水はその熱交換器12で加熱され、加熱後の湯水は湯水循環路L7の復路を介して貯湯タンク17の上部に供給される。復路の途中に、熱交換器12から貯湯タンク17へ移送される湯水の温度を測定する温度測定部19が設けられる。本実施形態では、制御装置22は、復路を流れて貯湯タンク17に流入する湯水の温度(温度測定部19で測定される湯水の温度)が所定の貯湯目標温度(例えば65℃など)になるように循環ポンプ18の動作を制御する。このようにして、貯湯タンク17に温度成層を形成する状態で湯水が貯湯、即ち、蓄熱される。
【0028】
貯湯タンク17の下部には、貯湯タンク17に上水を供給するための給水路L8a(L8)が接続され、貯湯タンク17の上部には、貯湯タンク17で貯えている湯水を排出するための出湯路L9が接続される。出湯路L9の途中には給水路L8b(L8)が接続され、貯湯タンク17から出湯される湯水に上水を混合することができる。貯湯タンク17から出湯される湯水に混合する上水の量は、給水路L8bの途中に設けられる調節弁21によって調節される。例えば、制御装置22は、温度測定部20によって測定される混合後の湯水の温度が所定温度(例えば30℃)になるように、調節弁21の動作を制御する。そして、混合後の湯水は熱源装置4を介して、利用者へと供給される。
【0029】
熱源装置4は、ガスメーター1を経由して供給される原燃料ガスを燃焼してその燃焼熱により湯水を加熱するガス消費装置2として機能する。例えば、情報受付部23が利用者から40℃の湯水の要求を受け付けている場合、制御装置22は、熱源装置4によって湯水を40℃に加熱した上で利用者に供給する。
【0030】
燃焼部11から排出される排出燃焼ガスには水蒸気も含まれている。そのため、排出燃焼ガスを熱交換器12で冷却した場合、水蒸気が凝縮する。そして、その凝縮水は水回収路L11へと流入する。回収された凝縮水は、水精製器13を経由して、水タンク14に供給される。水精製器13は、回収した凝縮水に含まれる不純物を除去するための機器である。例えば、水精製器13は、イオン交換樹脂等を充填しており、回収した凝縮水に含まれる電解質のイオン(例えば、イオン化して溶存している塩類やアンモニアなど)を例えばH、OHと交換することで、回収水した凝縮水に含まれる電解質の濃度を相対的に低くさせる(即ち、電気伝導度を低くさせる)機能を果たす。
【0031】
ガスメーター1は、原燃料ガスの通流量がゼロ又は少ないことを示す非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間(例えば、過去30日間など)の間に設定回数(例えば、30回など)生じないときには、警報作動する又は原燃料ガスの供給遮断を行うように構成されている。例えば、ガスメーター1は、原燃料ガスの通流量が第1設定判定量以下となる状態が設定判定用期間(例えば2分など)以上連続する又は設定判定用期間(例えば2分など)での原燃料ガスの積算通流量が第2設定判定量以下になるという非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数(例えば30回など)生じないときには、警報作動する又は原燃料ガスの供給遮断を行うように構成されている。
【0032】
ガスメーター1が判定する非漏洩条件で参照される漏洩判定用期間、設定判定用期間、設定回数などの数値を、情報記憶部24に記憶しておいてもよい。
【0033】
図1に例示した構成では、ガスメーター1からは、原燃料ガス流路L1b(L1)を介してガス消費型発電システムSの改質部7に原燃料ガスが供給され、原燃料ガス流路L1c(L1)を介してガス消費型発電システムSの熱源装置4に原燃料ガスが供給される。熱源装置4は、ガス消費型発電システムSが備える装置又はガス消費型発電システムSに付随する装置であり、後述するように、ガス消費型発電システムSの制御装置22は、熱源装置4の動作状態(即ち、ガスの燃焼動作)を監視できる。また、ガスメーター1からは、原燃料ガス流路L1a(L1)を介してガスコンロやガス燃焼式ファンヒーター等のガス消費装置2としてのガス機器3にも原燃料ガスは供給される。そのため、ガスメーター1は、例えば改質部7及び熱源装置4及びガス機器3の全てでの原燃料ガスの消費に関して非漏洩条件を満たす状態が発生したか否かを判定する。そして、ガスメーター1は、そのような非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じていれば、異常なしと判定して、漏洩判定用期間の計時をゼロにリセットする。
【0034】
ガス消費型発電システムSの制御装置22は、ガスメーター1が、非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じたと判定するように、少なくとも燃料電池部FCでの発電用に供給される原燃料ガスの量についてはガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量にすることを設定タイミングで実施する。具体的には、制御装置22は、漏洩判定用期間(例えば30日間など)と同じ長さ又はそれよりも短い長さの所定の処理対象期間(例えば27日間など)内に、少なくとも燃料電池部FCでの発電用に供給される原燃料ガスの量についてはガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量にする待機状態に移行して、当該待機状態を継続する待機処理を含む漏洩判定回避処理を行う。
【0035】
例えば、制御装置22は、待機処理において、原燃料流量調節部5の動作を停止して、改質部7によるガスメーター1からの原燃料ガスの受け取りを停止し、空気流量調節部15の動作を停止してカソード9への空気の供給を停止する。そして、制御装置22は、待機処理において、発電を停止、即ち燃料電池部FCからの電流の取り出しを行わない。尚、制御装置22は、待機処理において、水ポンプ16を動作させて改質部7に水を供給し続けてもよい。
【0036】
そして、制御装置22は、漏洩判定用期間と同じ長さ又はそれよりも短い長さの所定の処理対象期間内に所定のガス不使用条件が満たされなかった場合、ガスメーター1による警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は原燃料ガスの使用を控えることを促す情報を情報出力部28から利用者に対して出力する情報出力処理を行う。例えば、情報出力部28は、音声情報や文字情報を出力できる装置(例えばリモコン装置など)であり、それらの情報を音声情報や文字情報で利用者に報知してもよい。
【0037】
制御装置22は、処理対象期間(例えば27日間など)内に行われた全ての待機処理の間に発生した、熱源装置4(ガス消費装置2)での原燃料ガスの消費がない又は所定量以下である期間が連続する連続ガス不使用期間の全てに含まれる、設定判定用期間(例えば2分など)以上の長さである基準期間の累積数が、設定回数(例えば30回など)以上の目標回数(例えば32回など)になる場合にガス不使用条件が満たされたと判定する。例えば、基準期間は、設定判定用期間と同じ長さ(例えば2分など)に設定されてもよい。
【0038】
全ての連続ガス不使用期間に含まれる基準期間の累積数は、待機処理が行われている間に発生した連続ガス不使用期間の夫々について、当該連続ガス不使用期間から所定のマージン期間(例えば1秒~300秒など)を減算した残りの期間に含まれる基準期間(例えば2分など)の数を計数し、連続ガス不使用期間の夫々に含まれる基準期間の数を累積することで導出される。
【0039】
制御装置22は、基準期間及びマージン期間の値については、情報受付部23が利用者から受け付けた値又は予め情報記憶部24に記憶されている値を参照できる。
【0040】
図2は、制御装置22の漏洩判定回避処理に関する動作を説明するフローチャートである。
工程#10において制御装置22は、漏洩判定回避処理の開始タイミングであるか否かを判定する。具体的には、制御装置22は、処理対象期間において、漏洩判定回避処理を行っていない間は原燃料ガスの供給を受けて燃料電池部FCで発電運転を行っている。そして、制御装置22は、漏洩判定回避処理の開始タイミングになった場合、工程#11に移行して、漏洩判定回避処理を開始する。
【0041】
例えば、制御装置22は、処理判定期間が27日間である場合、処理判定期間中の25日目の午前0時になった場合に漏洩判定回避処理の開始タイミングになったと判定するといった動作を行うことができる。そして、制御装置22は、処理判定期間中の25日目の午前0時になった場合、燃料電池部FCで発電運転を行う発電状態から、少なくとも燃料電池部FCでの発電用に供給される原燃料ガスの量についてはガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量にする待機状態(例えば発電停止状態)に移行して、当該待機状態を継続する待機処理を含む漏洩判定回避処理を開始する。
【0042】
制御装置22は、漏洩判定回避処理の待機処理を行っている間、ガスメーター1を経由して供給される原燃料ガスを消費するガス消費装置2としての熱源装置4の動作状態(即ち、ガスの燃焼動作)を監視している。例えば、熱源装置4が備えるガス燃焼器(図示せず)から、ガス燃焼を停止したことを示す信号と、ガス燃焼を開始したことを示す信号とを制御装置22に送信させることができる。それにより、制御装置22は、漏洩判定回避処理により自身が動作を制御する燃料電池部FCでガスを例えば消費しなかった時間帯だけでなく、自身が動作を制御していない給湯用の熱源装置4でガスを消費しなかった時間帯も把握できる。
【0043】
但し、ガス消費型発電システムSの制御装置22が給湯用の熱源装置4からガス燃焼を停止したことを示す信号を受信するタイミングと給湯用の熱源装置4での実際のガス燃焼停止タイミングとの間にはタイムラグが生じ、且つ、ガス消費型発電システムSの制御装置22が給湯用の熱源装置4からガス燃焼を開始したことを示す信号を受信するタイミングと給湯用の熱源装置4での実際のガス燃焼開始タイミングとの間にはタイムラグが生じる。つまり、ガス消費型発電システムSの制御装置22が把握できる、燃料電池部FCでガスを消費せず且つ給湯用の熱源装置4でガスを消費しなかったと推定できる時間帯は、ガスメーター1が判定する実際のガス不使用時間帯と相違してしまう。そのため、制御装置22は、ガスメーター1が非漏洩条件が満たされたか否かを判定するのとは別に、処理対象期間内に所定のガス不使用条件が満たされたか否かを独自に判定する。
【0044】
図3は、待機処理を行っている待機期間に発生した連続ガス不使用期間の一例を示す図である。図示するように、制御装置22は、処理対象期間に待機処理を行っている。そして、制御装置22は、熱源装置4でのガスの消費状態を監視し、図示するような長さの連続ガス不使用期間の発生を検知している。この場合、制御装置22は、図3に示した一つの連続ガス不使用期間によってガス不使用条件が満たされるか否かを判定する。
【0045】
尚、連続ガス不使用期間の長さは様々であり、待機処理を行って燃料電池部FCでのガス消費を抑制していたとしても、熱源装置4でガス燃焼が行われれば、連続ガス不使用期間は途絶してしまう。図4は、待機処理を行っている待機期間に発生した連続ガス不使用期間の別の一例を示す図である。図示するように、制御装置22は、処理対象期間に待機処理を行っている。そして、制御装置22は、熱源装置4でのガスの消費状態を監視し、図示するような長さの複数の連続ガス不使用期間の発生を検知している。この場合、制御装置22は、図4に示した各連続ガス不使用期間によってガス不使用条件が満たされるか否かを判定する。
【0046】
図5は、連続ガス不使用期間を説明する図である。図示するように、制御装置22は、待機処理が行われている間に発生した連続ガス不使用期間の夫々について、当該連続ガス不使用期間から所定のマージン期間を減算した残りの期間に含まれる基準期間の数を計数する。図5の例では、一つの連続ガス不使用期間に四つの基準期間が含まれている。このようにして、制御装置22は、図3及び図4に示したような連続ガス不使用期間の夫々に含まれる基準期間の数を累積することで、全ての連続ガス不使用期間に含まれる基準期間の累積数を導出する。
【0047】
工程#12において制御装置22は、漏洩判定回避処理の終了タイミングであるか否かを判定する。例えば、制御装置22は、上述したガス不使用条件が満たされた場合に、漏洩判定回避処理の終了タイミングであると判定する。つまり、制御装置22は、上述したガス不使用条件が満たされない場合、待機処理を継続し、待機処理を行っている待機期間にガス不使用条件が満たされたか否かの判定を継続する。尚、制御装置22は、待機処理が行われ続けることを回避するために、所定期間が経過した場合(例えば処理対象期間が満了した場合等)には漏洩判定回避処理の終了タイミングであると判定してもよい。
【0048】
そして、制御装置22は、漏洩判定回避処理の終了タイミングである場合、工程#13に移行して漏洩判定回避処理を終了する。制御装置22は、ガス不使用条件が満たされた状態で漏洩判定回避処理が終了した場合、待機処理を終了して、燃料電池部FCでの発電用に供給される原燃料ガスの量についてはガスメーター1が非漏洩条件を満たさないと判定する量にして燃料電池部FCでの発電を行う発電状態にさせる。それに対して、制御装置22は、ガス不使用条件が満たされない状態で処理対象期間が満了することで漏洩判定回避処理が終了した場合、待機処理を継続したまま、ガスメーター1による警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は原燃料ガスの使用を控えることを促す情報を情報出力部28から利用者に対して出力する情報出力処理を行う。
【0049】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、ガス消費型発電システムSの構成について具体的に説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、ガス消費型発電部が燃料電池部FCである場合を例示したが、ガス消費型発電部は他の構成であってもよい。例えば、ガス消費型発電部が、ガスメーター1を経由して供給される供給ガス(例えば都市ガス、水素など)、又は、ガスメーター1を経由して供給される供給ガス(例えば都市ガスなど)を改質部7で改質して得られるガス(例えば水素など)を燃料として動作するガスエンジンと、そのガスエンジンによって駆動される発電機とを備える構成であってもよい。
【0050】
<2>
上記実施形態では、制御装置22が、上述したガス不使用条件が満たされた場合に漏洩判定回避処理の終了タイミングであると判定する例について説明したが、制御装置22が漏洩判定回避処理の終了タイミングであると判定する条件は適宜変更可能である。例えば、制御装置22は、漏洩判定回避処理を開始してからの待機処理の継続期間が所定の処理期間に達した場合に、漏洩判定回避処理の終了タイミングであると判定してもよい。但し、その一つの処理期間は、マージン期間及び一つの基準期間の和で算出される期間以上である必要がある。つまり、その待機処理の処理期間には少なくとも一つの基準期間が計上されることが期待されるため、そのような待機処理を複数回行えばよい。
【0051】
<3>
上記実施形態において、制御装置22は、待機処理を行っている間、温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから原燃料ガスを脱離させてもよい。
【0052】
例えば、制御装置22は、待機処理において、改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの量をゼロにして、即ち、非漏洩条件を満たすとガスメーター1が判定する状態にして燃料電池部FCでの発電を停止させている間、温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから原燃料ガスを脱離させてもよい。この場合、待機処理中に吸着材6aから脱離された原燃料ガスが改質部7を経てアノード8へと拡散する。そのため、漏洩判定回避処理の待機処理中に、外部からアノード8などに空気等が侵入することが抑制される。
【0053】
或いは、制御装置22は、待機処理において、温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから脱離させた原燃料ガスを用いて改質部7で改質ガスの生成を行いながら燃料電池部FCでの発電を行わせてもよい。この場合、制御装置22は、待機処理において、改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの量をゼロにし、即ち、非漏洩条件を満たすとガスメーター1が判定する状態にし、温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから脱離させた原燃料ガスを用いて改質部7で改質ガスの生成を行いながら燃料電池部FCでの発電を行わせる。吸着材6aから脱離させた原燃料ガスは拡散して改質部7に供給されるが、改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの量をゼロにしていれば、ガスメーター1は非漏洩条件を満たすと判定する。そして、改質部7は、吸着材6aから脱離させた原燃料ガスを用いて改質ガスの生成を行うことができるので、制御装置22は、燃料電池部FCからの電流の取り出し(発電)を行うことができる。但し、この待機処理で行われる発電継続は、燃料電池部FCの発電電力を、例えば燃料電池部FCを動作させるために必要な、水ポンプ16、循環ポンプ18、原燃料流量調節部5、空気流量調節部15、制御装置22、温度調節部6b、パワーコンディショナ(図示せず)などの機器のみに供給するアイドリング状態での発電継続である。
【0054】
<4>
上記実施形態では、制御装置22が、待機処理において、改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの量をゼロにする場合の例(即ち、ガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量にする場合の例)を説明したが、ガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定するのであれば、改質部7はガスメーター1から原燃料ガスを受け取ってもよい。そして、制御装置22は、待機処理において、ガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量の原燃料ガスを改質部7でガスメーター1から受け取って改質ガスの生成を行いながら燃料電池部FCでの発電を行わせてもよい。
【0055】
この場合、制御装置22は、待機処理において、ガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量の原燃料ガスを改質部7でガスメーター1から受け取る。例えば、上述した例のように、ガスメーター1が、原燃料ガスの通流量が第1設定判定量以下となる状態が第1設定判定用期間以上連続する場合に非漏洩条件を満たすと判定する場合であれば、制御装置22は、この待機処理において、原燃料流量調節部5の動作を制御して改質部7への原燃料ガスの通流量を第1設定判定量以下にした状態で、改質部7によるガスメーター1からの原燃料ガスの受け取りを継続させればよい。或いは、ガスメーター1が、第2設定判定用期間での原燃料ガスの積算通流量が第2設定判定量以下となる場合などに非漏洩条件を満たす状態が生じたと判定する場合であれば、制御装置22は、この待機処理において、原燃料流量調節部5の動作を制御して第2設定判定用期間と同じ期間での原燃料ガスの積算通流量を第2設定判定量以下にした状態で、改質部7によるガスメーター1からの原燃料ガスの受け取りを継続させればよい。そして、改質部7は、ガスメーター1から受け取る原燃料ガスを用いて改質ガスの生成を行うことができるので、制御装置22は、燃料電池部FCからの電流の取り出し(発電)を行うことができる。但し、この待機処理で行われる発電継続は、上述したのと同様のアイドリング状態での発電継続である。
【0056】
更に、制御装置22は、待機処理において、ガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量の原燃料ガスを改質部7でガスメーター1から受け取り、且つ、温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから脱離させた原燃料ガスを用いて、改質部7で改質ガスの生成を行いながら燃料電池部FCでの発電を行わせてもよい。
【0057】
<5>
上記実施形態では、幾つかの数値例を記載したが、それらの値は例示目的で記載したものであり適宜変更可能である。
【0058】
<6>
上記実施形態では、ガス消費装置2としての熱源装置4が利用者へ湯水を供給する給湯用途に用いられる場合について説明したが、ガス消費装置2としての熱源装置4は、例えば床暖房装置及び浴室暖房乾燥装置などに供給する熱媒体を加熱する暖房用の熱源装置4であってもよい。
【0059】
<7>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、ガス消費型発電システムの制御装置がガス不使用条件が満たされたと判定するのに要する期間をできるだけ短くしながら、ガスメーターが非漏洩条件を満たすと判定しない場合には同様の判定を行うことができるガス消費型発電システムに利用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 :ガスメーター
4 :熱源装置(ガス消費装置 2)
8 :アノード
9 :カソード
22 :制御装置
28 :情報出力部
FC :燃料電池部(ガス消費型発電部)
S :ガス消費型発電システム
図1
図2
図3
図4
図5