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特開2024-59378再資源化原料ペレット、並びに、その製造装置及び製造方法
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  • 特開-再資源化原料ペレット、並びに、その製造装置及び製造方法 図1
  • 特開-再資源化原料ペレット、並びに、その製造装置及び製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059378
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】再資源化原料ペレット、並びに、その製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/04 20060101AFI20240423BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20240423BHJP
【FI】
B29B17/04
B09B3/35
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167017
(22)【出願日】2022-10-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)発行日 令和4年1月24日 刊行物 週刊循環経済新聞 令和4年1月24日付No.1569 1面広告欄 日報ビジネス株式会社 (2)掲載日 令和4年1月26日 掲載アドレス https://www.youtube.com/watch?v=ij7O9p4mvsM&t=4s (3)発行日 令和4年1月24日 刊行物 週刊循環経済新聞 令和4年1月24日付No.1569 2面 日報ビジネス株式会社 (4)発行日 令和4年2月21日 刊行物 週刊循環経済新聞 令和4年2月21日付No.1573 1面広告欄 日報ビジネス株式会社 (5)発行日 令和4年3月21日 刊行物 週刊循環経済新聞 令和4年3月21日付No.1577 1面広告欄 日報ビジネス株式会社 (6)発行日 令和4年5月24日 刊行物 株式会社MSCのパンフレット カーボンニュートラル次世代型ウッド減容機 ケミカル型エネルギープラスチック減容機 MSC-CP-S/Tseries (7)展示日 令和4年5月25日 展示会名、開催場所 2022 NEW環境展(N-EXPO 2022)、東京ビッグサイト
(71)【出願人】
【識別番号】316007388
【氏名又は名称】株式会社MSC
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】麦谷 貴司
【テーマコード(参考)】
4D004
4F401
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004BA03
4D004CA14
4D004CA23
4D004CB16
4F401BA02
4F401BA03
4F401CA20
4F401CA59
4F401CA79
4F401CA84
4F401CB26
(57)【要約】
【課題】ケミカルリサイクルに適した再資源化原料ペレット、並びに、その製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】再資源化原料ペレットの製造装置1は、ケミカルリサイクル用の再資源化原料ペレットを製造するものであり、本体部10の内部に供給された再資源化原料を押圧することにより圧縮して押し出す圧縮押し出し手段30を備える。圧縮押し出し手段30は、例えば、本体部10の内部から外部に貫通する貫通孔31Aが設けられた排出部材31と、本体部10の内部の再資源化原料を貫通孔31Aの内部に押圧すると共に、貫通孔31Aから本体部10の外部に圧縮した圧縮原料を押し出す押圧部材32と、排出部材31を加熱して、圧縮原料の中心部は溶融せずに表面を溶融する加熱手段34とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケミカルリサイクル用の再資源化原料ペレットの製造装置であって、
再資源化原料を内部に保持する本体部と、
前記本体部の内部の再資源化原料を押圧することにより圧縮して押し出す圧縮押し出し手段とを備え、
前記圧縮押し出し手段は、
前記本体部の内部から外部に貫通する複数の貫通孔が設けられた排出部材と、
前記本体部の内部の再資源化原料を前記貫通孔の内部に押圧すると共に、前記貫通孔から前記本体部の外部に圧縮した圧縮原料を押し出す押圧部材と、
前記押圧部材を前記貫通孔の長さ方向に移動させる押圧部材移動手段と、
前記排出部材を加熱して、前記圧縮原料の中心部は溶融せずに表面を溶融する加熱手段とを有する
ことを特徴とする再資源化原料ペレットの製造装置。
【請求項2】
更に、前記圧縮押し出し手段から押し出された圧縮原料を所定の長さに切断する切断手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の再資源化原料ペレットの製造装置。
【請求項3】
前記本体部の上には、前記本体部の内部に再資源化原料を供給する供給部が配設されており、前記供給部は、再資源化原料を案内する中空状の案内部を有し、前記案内部の内部には、再資源化原料を本体部の内部に押し込むためのスクリューが配設されたことを特徴とする請求項1記載の再資源化原料ペレットの製造装置。
【請求項4】
前記貫通孔の直径は15mm以上100mm以下であることを特徴とする請求項1記載の再資源化原料ペレットの製造装置。
【請求項5】
前記排出部材は、前記貫通孔の長さ方向に複数連結可能とされたことを特徴とする請求項1記載の再資源化原料ペレットの製造装置。
【請求項6】
ケミカルリサイクル用の再資源化原料ペレットの製造方法であって、
複数の貫通孔が設けられた排出部材に対し、押圧部材を前記貫通孔の長さ方向に移動させて、再資源化原料を前記貫通孔の内部に押圧すると共に、前記貫通孔の前記押圧部材の反対側から圧縮した圧縮原料を押し出し、かつ、前記排出部材を加熱することにより、前記圧縮原料の中心部は溶融せずに表面を溶融することを特徴とする再資源化原料ペレットの製造方法。
【請求項7】
ケミカルリサイクル用の再資源化原料ペレットであって、プラスチックを含む再資源化原料を圧縮したものであり、周縁部表面は、溶融された後に冷却固化された溶融固化物よりなり、中心部は、溶融されていない圧縮体よりなることを特徴とする再資源化原料ペレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルリサイクルに適した再資源化原料ペレット、並びに、その製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2017年の中国の廃棄物輸入受入の禁止措置や、バーゼル条約の改正によって、日本国内での廃棄物の適正処理やリサイクルが緊急の課題となっている。そうした中で、2022年プラスチック資源循環法が施行され、循環型社会形成を推し進める機運が高まっている。環境負荷の観点や資源の有効活用の観点から、再資源化の中でも、国内のサーマルリカバリーは国際的な非難を集め、忌避されるようになってきている。しかしながら、マテリアルリサイクルは原料の品質が制限されるために広がりに限界があり、代替案としてケミカルリサイクルが国内で推進されている。
【0003】
再資源化に際しては、再資源化の前工程として、収集してきた廃棄物を運搬や再資源化用の設備への投入に適した形状に減容しペレット化する必要がある。この減容体はRPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel)、又は、RDF(Refuse Derived Fuel)としてJIS規格で規定され、主にサーマルリカバリー原料として用いられてきた。これらRPF又はRDFの製造方法としては、スクリュー方式(例えば、特許文献1参照)又はリングダイ方式(例えば、特許文献2参照)がある。
【0004】
しかしながら、これらの方式により得られる原料ペレットは、ケミカルリサイクル、特に油化による炭化水素製造工程や、EUPプロセス(Ebara Ube Process)を主とする国内でのガス化水素製造工程において、原料の規格として適していない。これらの方式では、ペレットの中心部まで溶融しており、ガス化炉内における燃焼速度が遅すぎるために、十分に油化やガス化がなされず、炉内部に残留する恐れがあるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-112437号公報
【特許文献2】特開2012-50956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、ケミカルリサイクルに適した再資源化原料ペレット、並びに、その製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の再資源化原料ペレットの製造装置は、ケミカルリサイクル用の再資源化原料ペレットを製造する装置であって、再資源化原料を内部に保持する本体部と、本体部の内部の再資源化原料を押圧することにより圧縮して押し出す圧縮押し出し手段とを備え、圧縮押し出し手段は、本体部の内部から外部に貫通する複数の貫通孔が設けられた排出部材と、本体部の内部の再資源化原料を貫通孔の内部に押圧すると共に、貫通孔から本体部の外部に圧縮した圧縮原料を押し出す押圧部材と、押圧部材を貫通孔の長さ方向に移動させる押圧部材移動手段と、排出部材を加熱して、圧縮原料の中心部は溶融せずに表面を溶融する加熱手段とを有するものである。
【0008】
本発明の再資源化原料ペレットの製造方法は、ケミカルリサイクル用の再資源化原料ペレットを製造する方法であって、複数の貫通孔が設けられた排出部材に対し、押圧部材を貫通孔の長さ方向に移動させて、再資源化原料を貫通孔の内部に押圧すると共に、貫通孔の押圧部材の反対側から圧縮した圧縮原料を押し出し、かつ、排出部材を加熱することにより、圧縮原料の中心部は溶融せずに表面を溶融することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の再資源化原料ペレットは、ケミカルリサイクル用のものであって、プラスチックを含む再資源化原料を圧縮したものであり、周縁部表面は、溶融された後に冷却固化された溶融固化物よりなり、中心部は、溶融されていない圧縮体よりなるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の貫通孔が設けられた排出部材と、再資源化原料を貫通孔の内部に押圧すると共に、貫通孔から本体部の外部に圧縮した圧縮原料を押し出す押圧部材と、排出部材を加熱する加熱手段とを有するようにしたので、圧縮され、かつ、中心部は溶融されておらず表面が溶融された再資源化原料ペレットを容易に得ることができる。よって、得られた再資源化原料ペレットをケミカルリサイクルの処理装置に投入した際に、再資源化原料ペレットの表面が溶けると、ペレット全体が散り散りにほぐれ、ガス化速度等の処理速度を大幅に短縮することができる。
【0011】
また、従来のスクリュー方式やリングダイ方式に比べて再資源化原料と装置とが高圧で接触する面積が少なく、排出部材の貫通孔と押圧部材に限定されるので、硬度の高い金属を使用する箇所を少なくすることができ、装置を安価とすることができる。更に、排出部材の貫通孔及び押圧部材は容易に取り換えることができるので、長期間の稼働が可能となり、ランニングコストも低減することができる。加えて、装置全体を簡単な構成とすることができ、同じ吐出量で比較した場合、設備全体を小さく抑えることができるので、省電力化及び小スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る再資源化原料ペレットの製造装置の全体構成を表す部分断面図である。
図2図1に示した再資源化原料ペレットの製造装置の先端側端部の構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る再資源化原料ペレットの製造装置1の全体構成を部分的に断面にして表すものである。図2は、再資源化原料ペレットの製造装置1の先端側端部の構成を表すものである。この再資源化原料ペレットの製造装置1は、例えば、廃棄物等の再資源化原料を圧縮してペレット化するものであり、廃棄物等の再資源化原料を再資源化する際に、再資源化原料を運搬や再資源化設備への投入に適した形状に圧縮・減容しペレット化する前工程において用いるものである。
【0015】
特に、この再資源化原料ペレットの製造装置1は、ケミカルリサイクル用の再資源化原料ペレットを製造するものであり、中でも、再資源化原料を油化又はガス化することにより再資源化する場合の再資源化原料ペレットを製造するのに適したものである。なお、ケミカルリサイクルは、再資源化原料を化学的に処理し、他の化学物質に転換して再利用するリサイクル手法である。ガス化により再資源化する方法としては、例えば、EUPプロセスが挙げられる。再資源化原料の材料としては、例えば、プラスチック、又は、プラスチックを含む廃材が挙げられる。
【0016】
この再資源化原料ペレットの製造装置1は、例えば、再資源化原料を内部に保持する本体部10と、本体部10の内部に再資源化原料を供給する供給部20と、本体部10の内部の再資源化原料を押圧することにより圧縮して押し出す圧縮押し出し手段30と、圧縮押し出し部30から押し出された圧縮原料を所定の長さに切断して再資源化原料ペレットとする切断手段40とを備えている。この再資源化原料ペレットの製造装置1は、例えば、載置台50の上に載置されている。
【0017】
本体部10は、例えば、内部に再資源化原料を保持する保持部11を有しており、保持部11の上部には開口が設けられている。保持部11の上には、開口に対応して供給部20が配設されている。供給部20は、例えば、中空状であり、上部及び下部に開口が設けられ、再資源化原料を本体部10の内部に案内する案内部21を有している。案内部21の内部には、例えば、螺旋状に羽根が設けられたスクリュー22が配設されており、スクリュー22の先端部は、本体部10の内部に挿入されていることが好ましい。スクリュー22は、スクリュー回転モータ23により再資源化原料を本体部10の内部に挿入する方向に回転駆動するように構成されている。これにより、案内部21に投入された再資源化原料を本体部10の内部に押し込むことができるようになっている。
【0018】
圧縮押し出し手段30は、例えば、本体部10の内部から外部に貫通する複数の貫通孔31Aが設けられた排出部材31と、少なくとも先端側が貫通孔31Aに挿入されることにより、本体部10の内部の再資源化原料を貫通孔31Aの内部に押圧すると共に、貫通孔31Aから本体部10の外部に圧縮した圧縮原料を押し出す押圧部材32と、押圧部材32を貫通孔31Aの長さ方向に移動させる押圧部材移動手段33と、排出部材31を加熱して、圧縮原料の中心部は溶融せずに表面を溶融する加熱手段34とを有している。
【0019】
排出部材31は、例えば、本体部10の側部に配設され、全体が焼き入れ等の処理により硬度を向上させた鋼材で構成されると共に、内部の再資源化原料との接触部位、すなわち、貫通孔31Aの表面については、耐摩擦性能を高めるために合金工具鋼以上の硬度を持つ鋼材により構成されていることが好ましい。貫通孔31Aは、例えば、円柱状であり、直径は15mm以上100mm以下とすることが好ましい。原料の圧縮率を高く維持すると共に、ケミカルリサイクルの処理に適しているからである。排出部材31は、例えば、貫通孔31Aの長さ方向に複数連結可能とされていることが好ましい。排出部材31の連結数を変えて排出部材31の合計長さを調整することにより、再資源化原料に応じた加熱温度と加熱時間を調整することができるからである。なお、複数の排出部材31を連結する場合には、同一の排出部材31について各貫通孔31Aの位置を合わせて連結する。なお、図2では、貫通孔31Aを分かりやすくするために梨地を付して示している。
【0020】
押圧部材32は、本体部10の内部において、排出部材31と対向して配設されている。押圧部材32は、各貫通孔31Aに個別に対応して、少なくとも先端側が各貫通孔31Aに個別に挿入される複数の挿入部32Aと、各挿入部32Aを支持し、一体として移動させる支持部32Bとを有している。各挿入部32Aは、例えば、全体が焼き入れ等の処理により硬度を向上させた鋼材で構成されると共に、先端の再資源化原料との接触部については、高い硬度と靭性を併せ持つ特殊鋼等の鋼材により構成されていることが好ましい。各挿入部32Aの形状は、各貫通孔31Aの形状に対応して形成され、例えば、円柱状とされている。支持部32Bは、例えば、各挿入部32Aの排出部材31と反対側に配設されている。押圧部材32は、押圧部材移動手段33により貫通孔31Aの長さ方向に往復移動されることにより、すなわち、貫通孔31Aに対し挿入又は取り出す方向に往復移動されることにより、本体部10の内部の再資源化原料を貫通孔31Aの内部に押し込むようになっている。これにより、再資源化原料は、5分の1から30分の1程度の容積に圧縮される。
【0021】
押圧部材移動手段33は、どのような機構により構成してもよいが、例えば、回転運動を往復運動に変換するクランク機構により構成することができる。具体的には、例えば、駆動モータ33Aにより伝達輪33Bを回転させて伝達輪33Bの回転軸に取り付けられたクランクシャフト33Cを回し、クランクシャフト33Cと押圧部材32とを連接する連接棒33Dにより押圧部材32をガイド部33Eに沿って往復移動させるようにしてもよい。なお、本体部10の下部には、ゴム等よりなる耐震部材を取り付けることが好ましい。
【0022】
加熱手段34は、排出部材31を加熱することができればどのような構成でもよいが、例えば、ヒーターが挙げられる。加熱手段34は、例えば、排出部材31の外周に配設されている。排出部材31は、例えば、金属により構成されており熱伝導率が高いので、加熱手段34により排出部材31の一部を加熱することにより、排出部材31の全体の温度が上昇するようになっている。排出部材31の温度は、再資源化原料の種類や配合、水分量や粒径等により最適な温度範囲が異なるため調整が必要であるが、概ね100℃以上220℃以下、より好ましくは140℃以上200℃以下とすることが好ましい。
【0023】
切断手段40は、例えば、排出部材31の先端部に配設されている。切断手段40は、例えば、排出部材31の先端部に沿って移動する切断刃41と、切断刃41を移動させる切断刃移動手段42とを有している。切断刃移動手段42は、例えば、空圧シリンダー等の動力シリンダーにより構成することができる。切断手段40は、例えば、排出部材31から押し出される圧縮原料を50mmから300mm程度の長さに切断するように制御されることが好ましい。再資源化原料の輸送過程における利便性及び、ケミカルリサイクルの処理に適しているからである。
【0024】
この再資源化原料ペレットの製造装置1は、次のようにして用いられ、再資源化原料ペレットを製造することができる。まず、再資源化原料を供給部20に供給する。再資源化原料の供給は、例えば、図示しない定量供給機により所定量ずつ供給することが好ましい。供給部20に供給された再資源化原料は、スクリュー22により本体部10の内部に押し込まれる。本体部10の内部では、複数の貫通孔31Aが設けられた排出部材31に対し、押圧部材32を貫通孔31Aの長さ方向に往復移動させて、再資源化原料を貫通孔31Aの内部に押圧する。これにより、貫通孔31Aの内部に押圧した再資源化原料を、貫通孔31Aの押圧部材32の反対側から圧縮された圧縮原料として押し出す。また、排出部材31を加熱することにより、圧縮原料の中心部は溶融せずに周縁部の表面を溶融する。貫通孔31Aから押し出された圧縮原料は、切断手段40により、所定の長さに切断する。
【0025】
これにより、本実施の形態に係る再資源化原料ペレットが得られる。この再資源化原料ペレットは、プラスチックを含む再資源化原料を圧縮したものであり、周縁部表面は、溶融された後に冷却固化された溶融固化物よりなり、中心部は、溶融されていない圧縮体よりなるものである。この再資源化原料ペレットは、ケミカルリサイクル用に適している。形状は、例えば、円柱状であり、直径は15mm以上100mm以下であることが好ましく、長さは50mmから300mm程度であることが好ましい。
【0026】
なお、本実施の形態の再資源化原料ペレットの製造装置1を用い、再資源化原料であるプラスチック容器包装、化学繊維製衣類、プラスチック製大型家具、海洋プラスチック、農業ポリフィルム、人口芝、プラスチックを含む建築系木質廃材、アルミニウムつきプラスチック、鉄粒入りプラスチックなどについて、それぞれ、再資源化原料ペレットを製造したところ、いずれも、5分の1から30分の1程度に圧縮され、かつ、中心部は溶融されておらず周縁部の表面が溶融された再資源化原料ペレットが得られた。
【0027】
このように、本実施の形態によれば、複数の貫通孔31Aが設けられた排出部材31と、再資源化原料を貫通孔31Aの内部に押圧すると共に、貫通孔31Aから本体部10の外部に圧縮した圧縮原料を押し出す押圧部材32と、排出部材31を加熱する加熱手段34とを有するようにしたので、圧縮され、かつ、中心部は溶融されておらず表面が溶融された再資源化原料ペレットを容易に得ることができる。よって、得られた再資源化原料ペレットをケミカルリサイクルの処理装置に投入した際に、再資源化原料ペレットの表面が溶けると、ペレット全体が散り散りにほぐれ、ガス化速度等の処理速度を大幅に短縮することができる。
【0028】
また、従来のスクリュー方式やリングダイ方式に比べて再資源化原料と装置とが高圧で接触する面積が少なく、排出部材31の貫通孔31Aと押圧部材32に限定されるので、硬度の高い金属を使用する箇所を少なくすることができ、装置を安価とすることができる。更に、排出部材31の貫通孔31A及び押圧部材32は容易に取り換えることができるので、長期間の稼働が可能となり、ランニングコストも低減することができる。加えて、装置全体を簡単な構成とすることができ、同じ吐出量で比較した場合、設備全体を小さく抑えることができるので、省電力化及び小スペース化を図ることができる。
【0029】
更にまた、圧縮原料を所定の長さに切断する切断手段40を備えるようにすれば、再資源化原料ペレットを容易に適切な長さとすることができる。
【0030】
加えてまた、再資源化原料を案内する案内部21を設け、案内部21の内部に、再資源化原料を本体部10の内部に押し込むためのスクリュー22を配設するようにすれば、本体部10の内部に再資源化原料を押し込むことができ、押圧部材32により容易に排出部材31の貫通孔31Aの内部に再資源化原料を押圧することができ、再資源化原料を圧縮することができる。
【0031】
更にまた、排出部材31を貫通孔31Aの長さ方向に複数連結可能とすれば、排出部材31の連結数を変えて排出部材31の合計長さを調整することにより、再資源化原料に応じた加熱温度と加熱時間を調整することができる。
【0032】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、全ての構成要素を備えていなくてもよく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
【0033】
また、上記実施の形態では、排出部材31及び押圧部材32を対にして1つずつ設ける場合について図面に示したが、排出部材31及び押圧部材32を対にして複数ずつ例えば並べて設けるようにしてもよい。この場合、押圧部材移動手段33及び切断手段40は、共通にしてもよく、また、個別に設けるようにしてもよい。
【0034】
更に、上記実施の形態では、押圧部材移動手段33をクランク機構により構成する場合について説明したが、油圧シリンダー等の動力シリンダーにより構成するようにしてもよい。
【0035】
加えて、上記実施の形態では、本願発明はケミカルリサイクル用の再資源化原料ペレット、並びに、その製造装置及び製造方法として適していることを説明したが、サーマルリカバリー用の再資源化ペレット、並びに、その製造装置及び製造方法への利用も可能である。また、本願発明は、その他種々の減容用途に転用することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1…再資源化原料ペレットの製造装置、10…本体部、11…保持部、20…供給部、21…案内部、22…スクリュー、23…スクリュー回転モータ、30…圧縮押し出し手段、31…排出部材、31A…貫通孔、32…押圧部材、32A…挿入部、32B…支持部、33…押圧部材移動手段、33A…駆動モータ、33B…伝達輪、33C…クランクシャフト、33D…連接棒、33E…ガイド部、34…加熱手段、40…切断手段、41…切断刃、42…切断刃移動手段、50…載置台
図1
図2