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  • 特開-液状油を含む乾燥物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059381
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】液状油を含む乾燥物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20240423BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240423BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240423BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240423BHJP
   A23L 29/10 20160101ALI20240423BHJP
   A23D 7/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/06
A61Q19/00
A61Q1/00
A23L5/00 L
A23L29/10
A23D7/00 504
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167029
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】591071104
【氏名又は名称】株式会社高研
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 舞
【テーマコード(参考)】
4B026
4B035
4C083
【Fターム(参考)】
4B026DC06
4B026DG07
4B026DG11
4B026DH05
4B026DK10
4B026DL03
4B026DP01
4B026DX04
4B026DX10
4B035LC03
4B035LE05
4B035LG04
4B035LG12
4B035LG25
4B035LG27
4B035LG54
4B035LP21
4B035LP24
4C083AA122
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC132
4C083AC582
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD352
4C083BB01
4C083BB13
4C083CC02
4C083DD33
4C083DD50
4C083EE01
4C083FF10
(57)【要約】
【課題】簡便な操作で再乳化ができ、油性成分を大量に含んでいる乾燥物を提供すること。
【解決手段】液晶及び/又はαゲル構造を有するO/Wエマルションを乾燥した乾燥物であれば、上記課題を解決できることを確認して、本発明を完成した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5~80重量%の液状油を含む、液晶及び/又はαゲル構造を有するO/Wエマルションの乾燥物。
【請求項2】
前記液状油の重量%が10~80である、請求項1に記載の乾燥物。
【請求項3】
前記液状油の重量%が50~80である、請求項2に記載の乾燥物。
【請求項4】
液晶及び/又はαゲル構造を誘導する界面活性剤を含む、請求項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
【請求項5】
前記乾燥物は凍結乾燥物又は噴霧乾燥物である、請求項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
【請求項6】
前記界面活性剤が、アルキルリン酸エステル塩である、請求項4に記載の乾燥物。
【請求項7】
さらに、増粘剤、賦形剤及び保湿剤を含む、請求項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
【請求項8】
リポソームを含有しない、請求項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
【請求項9】
多価アルコールの含有量が重量比で25%以下である、請求項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
【請求項10】
前記エマルションの粒子径は10nm以上である、請求項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
【請求項11】
固形油分を含有しない、請求項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状油を含む、液晶及び/又はαゲル構造を有するO/Wエマルションの乾燥物に関する。
【0002】
(従来の乾燥物)
従来の凍結乾燥物として、固形油分を用いた乾燥物並びにデキストリンや糖類などの賦形剤を含む凍結乾燥物が知られている。
【0003】
(固形油分を用いた乾燥物)
特許文献1は、「融点50℃以上の脂溶性物質と界面活性剤を水に分散し、凍結乾燥した乾燥物」を開示している。
特許文献2は、「固形油分と液状油分を融点以上で混合し、融点以上に加熱した水に分散後、融点未満に冷却し、乾燥した乾燥物」を開示している。
【0004】
(デキストリンや糖類などの賦形剤に吸収させた凍結乾燥物)
特許文献3は、「油性成分よりもシクロデキストリンの含有量が多い、油性成分、乳化剤、シクロデキストリンを含む凍結乾燥物」を開示している。
特許文献4は、「油性成分よりデキストリンの含有量が多い、ビタミンC・E誘導体含有オリブ油を界面活性剤にて水に乳化し、デキストリンを混合して凍結乾燥した凍結乾燥物」を開示している。
特許文献5は、「マルトースは油性成分と同等かそれ以上含まれる、脂肪乳剤にマルトースを含有させて凍結乾燥した凍結乾燥物」を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3459453
【特許文献2】特許第4189921
【特許文献3】特開2005-75783
【特許文献4】特開2010-265229
【特許文献5】特許第2626247
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固形油分を用いた乾燥物に関し、融点の高い固形油分を使用しているため、水で再溶解が困難である。
デキストリンや糖類などの賦形剤を含む凍結乾燥物に関し、液状油よりも賦形剤を多く配合する必要があった。すなわち、乾燥物には多量の油を含有することができない。
【0007】
従来の凍結乾燥物(特に、凍結乾燥化粧品)は、水溶性成分を主体とした組成でしか作製できなかった。しかし、保湿面では油性成分が重要であり、その点で凍結乾燥化粧品は劣っていた。
一般的な化粧品では、油性成分と水溶性成分を乳化してエマルションを作製するが、凍結や乾燥といった状態変化に弱く、安定的なエマルションの作製は困難であった。ただし、エマルションのサイズを非常に細かくするナノエマルションにおいては、凍結乾燥することができたが、ナノエマルション化するには超高圧乳化分散機のような特殊な設備が必要であり、簡単に作製するのは難しい。
また、凍結乾燥化粧品は、乾燥物に水や溶解液を入れて溶かして使用する必要があるが、装置は用いず、手で混ぜたり、容器を振ったりして溶かすことから、簡単な操作で再乳化できる必要があった。
以上により、簡便な操作で再乳化ができ、油性成分を大量に含んでいる乾燥物の要望があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、様々な乳化法を検討したところ、液晶及び/又はαゲル構造を有するO/Wエマルションを乾燥した乾燥物であれば、本課題を解決できることを確認して、本発明を完成した。本発明は、以下の通りである。
1.0.5~80重量%の液状油を含む、液晶及び/又はαゲル構造を有するO/Wエマルションの乾燥物。
2.前記液状油の重量%が10~80である、前項1に記載の乾燥物。
3.前記液状油の重量%が50~80である、前項2に記載の乾燥物。
4.液晶及び/又はαゲル構造を誘導する界面活性剤を含む、前項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
5.前記乾燥物は凍結乾燥物又は噴霧乾燥物である、前項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
6.前記界面活性剤が、アルキルリン酸エステル塩である、前項4に記載の乾燥物。
7.さらに、増粘剤、賦形剤及び保湿剤を含む、前項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
8.リポソームを含有しない、前項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
9.多価アルコールの含有量が重量比で25%以下である、前項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
10.前記エマルションの粒子径は10nm以上である、前項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
11.固形油分を含有しない、前項1~3のいずれか1に記載の乾燥物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の0.5~80重量%の液状油を含む、液晶及び/又はαゲル構造を有するO/Wエマルションの乾燥物は、以下のいずれか1以上の効果を有する。
(1)多量の液状油を有することができる(液状油を主成分とすることができる)。
(2)油が染み出すことはなく、固形物(乾燥物)として長期間保存することができる。
(3)水で溶解後も、エマルション状態を維持することができる。
(4)ナノエマルション化する必要がない。
(5)リポソームを含む必要はない。
(6)エマルション状態の安定化に必要な多価アルコールの配合量が少なくて良い。
(7)固形油分を含有する必要がない。
(8)酸化や分解しやすい液状油を安定的に長期間保存することができる。
(9)保湿性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】O/Wエマルションの凍結乾燥物
図2】偏光顕微鏡観察結果
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の対象)
本発明は、0.5~80重量%の液状油を含む、液晶及び/又はαゲル構造を有するO/Wエマルションの乾燥物(以後、「本発明の乾燥物」と略する場合がある)に関する。
【0012】
(液状油)
本発明の液状油は、常温で液体状態で存在することができれば特に限定されないが、例えば、一般に化粧品として使用される植物油、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、フッ素油等であれば特に限定されず使用できる。具体的な例示として、スクワラン、コメヌカ油、オリーブ果実油、ホホバ種子油、レチノール、トコフェロール等である。
なお、固形油分は、常温で固体状態で存在する油である。
【0013】
(液状油の含有量)
本発明の乾燥物の液状油の含有量は、0.5~80重量%である。しかし、本発明の乾燥物の液状油の含有量は、従来の乾燥物の液状油の含有量と比較して、乾燥物の主成分とすることができる。例えば、乾燥物での重量%として、10~80重量%、好ましくは50~80重量%、より好ましくは50~75重量%とすることができる。
【0014】
(本発明の乾燥物の特性)
本発明の乾燥物の乾燥前のO/Wエマルションは、液晶及び/又はαゲル構造を有する。さらに、本発明の乾燥物を水で溶解した状態のO/Wエマルションは、乾燥前のO/Wエマルションと同様に液晶及び/又はαゲル構造を有する。
液晶及び/又はαゲル構造の確認方法として、偏光顕微鏡により、クロスニコル下でマルテーゼクロス像を確認する等を例示することができる。
【0015】
本発明の乾燥物は、以下のいずれか1以上の効果を有する。
(1)多量の液状油を有することができる(液状油を主成分とすることができる)。
(2)油が染み出すことはなく、固形物(乾燥物)として長期間保存することができる。例えば、乾燥物として、常温では3年以上又は40℃で6カ月以上保存することができる。
(3)水で溶解後も、エマルション状態を維持することができる。詳しくは、本発明の乾燥物は、水での溶解と乾燥を複数回繰り返しても、エマルション状態を維持することができる。
(4)ナノエマルション化する必要がない。すなわち、超高圧乳化分散機のような特殊な設備を使用する必要はない。
(5)リポソームを含む必要はない。本発明の乾燥物は、リポソームを含まずに、水で溶解後のエマルション状態を維持することができる。
(6)多価アルコールの配合量が少なくて良い。本発明の乾燥物は、多価アルコールの配合量が25%以下であっても、水で溶解後のエマルション状態を維持することができる。
(7)固形油分を含有する必要がない。本発明の乾燥物は、固形油分を含まずに、水で溶解後のエマルション状態を維持することができる。
(8)酸化や分解しやすい液状油を安定的に長期間保存することができる。本発明の乾燥物は、長期間水と触れることで分解するような液状油でも、水を除去することで安定的に保存することができる。また、瓶に充填して凍結乾燥後、窒素置換することで酸化を抑制することができる。
(9)保湿性に優れる。本発明の乾燥物は、従来の乾燥物より液状油を豊富に含むため、水で溶解後に肌に塗布することで、より保湿感を得られる。
【0016】
(液晶及び/又はαゲル構造)
本発明の乾燥物における「液晶及び/又はαゲル構造」とは、界面活性剤が形成する会合体の一種であり、規則構造を持ち、さらに、αゲル構造は親水部に多量の水を保持した両親媒性分子の結晶と定義されている。加えて、両親媒性分子が六方晶に配列しており、固体結晶とは異なり分子の回転自由度を持つという特徴がある。
【0017】
(液晶及び/又はαゲル構造を誘導する界面活性剤)
本発明の「液晶及び/又はαゲル構造を誘導する界面活性剤」は、液状油を含む油相と水相を乳化(O/Wエマルション化)させ、さらに液晶及び/又はαゲル構造を誘導することができる界面活性剤であれば、特に限定されない。
例えば、一般に化粧品として使用される界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を例示することができる。
具体的には、アルキルリン酸エステル塩(リン酸セチル塩、ヘキシルデシルリン酸アルギニン)、ステアロイルメチルタウリンNa、PPG-2セテス-12、アラキデス-20、ステアルトリモニウムクロリド、ステアリン酸ポリグリセリル等を例示することができる。
加えて、界面活性剤と高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等)を組み合わせて、液晶及び/又はαゲル構造を誘導することができる。
また、本発明の乾燥物における液晶及び/又はαゲル構造を誘導する界面活性剤の配合量(含有量)は、0.5~50重量%、好ましくは0.8~30重量%、より好ましくは0.8~10重量%である。
【0018】
(増粘剤)
本発明の乾燥物で使用する「増粘剤」は、従来公知の増粘剤である、キサンタンガム、カルボマー等の水溶性増粘剤やセタノール、ベヘニルアルコール等の油溶性増粘剤を使用することができる。
また、本発明の乾燥物に水を加えて溶解後にクリーミングする場合は、該乾燥物に増粘剤を含むことが好ましい。
また、本発明の乾燥物における増粘剤の配合量(含有量)は、0.01~20重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1.0~8.0重量%である。
【0019】
(保湿剤)
本発明の乾燥物で使用する「保湿剤」は、従来公知の保湿剤である、ヒアルロン酸Na、アルギン酸Na等の多糖類、ムチン、水溶性プロテオグリカン等の糖タンパク質、コラーゲン、加水分解シルク等のタンパク質、アルギニン、プロリン等のアミノ酸等を使用することができる。
また、本発明の乾燥物における保湿剤の配合量(含有量)は、0.01~20重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.8~5.0重量%である。
【0020】
(賦形剤)
本発明の乾燥物で使用する「賦形剤」は、乾燥物にしたときの流動性や賦形性を維持するために、従来公知の賦形剤である、マンニトール、ソルビトール等の糖アルコール類やスクロース、ラフィノース、トレハロース等の糖類等を使用することもできる。
また、本発明の乾燥物における賦形剤の配合量(含有量)は、5~80重量%、好ましくは10~70重量%、より好ましくは20~50重量%である。
【0021】
(多価アルコールの含有量)
本発明の乾燥物の多価アルコールの含有量は、25重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%、最も好ましくは10重量%以下である。
【0022】
(乳化方法)
本発明の乾燥物の製造過程での乳化方法は、特に限定されず、公知の乳化方法により製造することができる。例えば、下記の実施例に記載したように、水相と油相を公知のホモミキサー等で攪拌することで、実施することができる。
特に、本発明の乾燥物の製造過程での乳化方法は、超高圧乳化分散機等を使用せずに実施することができる。
【0023】
(凍結乾燥物又は噴霧乾燥物)
本発明の乾燥物における、「液晶及び/又はαゲル構造を有するO/Wエマルション」を乾燥する方法は特に限定されず、凍結乾燥方法又は噴霧乾燥方法を例示することができる。
【0024】
(凍結乾燥方法)
凍結乾燥方法は、液晶及び/又はαゲル構造を有するO/Wエマルションを凍結させた後、減圧乾燥を行うものであるが、自体公知の凍結乾燥の手法を用いることができる。凍結乾燥方法は、急速、緩慢凍結等がある。減圧乾燥は、減圧することにより凍結物の沸点を下げて、低い温度で凍結物の水分を昇華させることにより凍結物内を乾燥させる。
減圧乾燥は、開始時の温度を-40℃~-15℃とし、経時的に常温まで温度を上げることにより行うことができる。
具体的には、-30℃に冷却した凍結乾燥機内に、液晶及び/又はαゲル構造を有するO/Wエマルションを充填した容器を静置し、該溶液を凍結させた後に、-30℃から常温まで経時的に温度を上げながら減圧乾燥を70~120時間行う。
【0025】
(噴霧乾燥方法)
噴霧乾燥方法は、液晶及び/又はαゲル構造を有するO/Wエマルションを、スプレードライヤー槽内に噴霧し、ミストとなり温風により乾燥し、乾燥物(平均粒子径1~100μmの粒子)を形成する。
【0026】
(用途)
本発明の乾燥物の用途は限定されないが、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品等に使用することができる。具体的には、凍結乾燥化粧品を例示することができる。
【0027】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、下記の実施例は本発明についての具体的認識を得る一助とみなすべきものであり、本発明の範囲は下記の実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例0028】
(液状油を含むO/Wエマルション及び該O/Wエマルション乾燥物の製造)
特定の液状油量を含むO/Wエマルション及び該O/Wエマルション乾燥物の製造方法は、以下の通りである。また、O/Wエマルションでの液状油の配合量(含有量)及びO/Wエマルション乾燥物での液状油の配合量(含有量)は表1に記載の通りである。
油相と水相(参照:下記表1)に分けて、それぞれを加温(80℃)で溶解後、温度を維持しながら油相と水相を混合し、ディスパーサーで撹拌した。該加温を停止して、撹拌しながら室温まで放冷し、O/Wエマルションを得た。
界面活性剤は、O/Wエマルションに、αゲル構造を誘導するリン酸セチルを使用した。
さらに、得られたO/Wエマルションを容器に充填して-40℃~-30℃で凍結後、減圧下で常温まで経時的に温度を上げて凍結乾燥を行い、水分を除去してO/Wエマルション乾燥物を得た。
加えて、該O/Wエマルション乾燥物は、液状油を多量に含んでいたが、油が染み出すことはなく、固形物(乾燥物)として長期間保存することができた(参照:図1)。
【0029】
【表1】
【実施例0030】
(液状油を含むO/Wエマルション及び該O/Wエマルション乾燥物の製造)
実施例1の製造方法と同様に、以下の表2に記載の油相と水相を使用して、O/Wエマルション及び該O/Wエマルション乾燥物を製造した。
なお、界面活性剤は、O/Wエマルションに、液晶構造(ラメラ液晶構造)を誘導するヘキシルデシルリン酸アルギニンを使用した。
加えて、該O/Wエマルション乾燥物は、油が染み出すことはなく、固形物(乾燥物)として長期間保存することができた。
【0031】
【表2】
【実施例0032】
(液状油を含むO/Wエマルション及び該O/Wエマルション乾燥物の製造)
実施例1の製造方法と同様に、以下の表3に記載の油相と水相を使用して、O/Wエマルション及び該O/Wエマルション乾燥物を製造した。
加えて、該O/Wエマルション乾燥物は、液状油を多量に含んでいたが、油が染み出すことはなく、固形物(乾燥物)として長期間保存することができた。
【0033】
【表3】
【実施例0034】
(液状油を含むO/Wエマルション及び該O/Wエマルション乾燥物の製造)
実施例1の製造方法と同様に、以下の表4に記載の油相と水相を使用して、O/Wエマルション及び該O/Wエマルション乾燥物を製造した。
加えて、該O/Wエマルション乾燥物は、液状油を多量に含んでいたが、油が染み出すことはなく、固形物(乾燥物)として長期間保存することができた。
【0035】
【表4】
【実施例0036】
(液晶及び/又はαゲル構造の確認)
上記実施例3で製造したO/Wエマルション及び上記実施例3で製造したO/Wエマルション乾燥物532.8mgに水6000mgを加えて溶かした溶液(水で溶解後のO/Wエマルション)を、それぞれ、スライドガラスに滴下し、カバーガラスを被せて偏光顕微鏡で観察した(図2)。
同様に、上記実施例4で製造したO/Wエマルション及びO/Wエマルション乾燥物を溶かした溶液(水で溶解後のO/Wエマルション)でも観察した。
各観察画像(図2中のマルテーゼクロス像)により、O/Wエマルション及びO/Wエマルション乾燥物を溶解した溶液(水で溶解後のO/Wエマルション)は、液晶及び/又はαゲル構造を有していることを確認した。
【実施例0037】
(O/Wエマルション乾燥物の安定性の確認)
上記実施例3及び実施例4で製造したO/Wエマルション乾燥物の安定性を以下の方法で確認した。
上記実施例3及び実施例4で製造したO/Wエマルション乾燥物を水により溶解したところエマルション状態を維持していた。さらに、乾燥物は常温では3年以上、40℃では6ヶ月以上、油が染み出すことはなく、固形物(乾燥物)として保存することができた。
一方、同程度の液状油を配合しかつ液晶及び/又はαゲル構造を有していないエマルションは、乾燥物にならない、もしくは油が染み出して固形物(乾燥物)として長期間保存することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
簡便な操作で再乳化ができ、油性成分を大量に含んでいる乾燥物を提供することができる。
図1
図2