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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059382
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/50 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B66B1/50 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167036
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友宏
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502MA24
3F502MA25
3F502MA31
(57)【要約】
【課題】非接触で乗りかごに関する操作を実行可能なエレベータにおいて乗客が挿し込んだ物体が偶発的に操作入力部に触れてしまうのを抑制しつつ誤検知も抑制可能なエレベータを提供する。
【解決手段】エレベータ(図1参照)10は、乗りかご(図1参照)20に関する非接触で行う機能を有する延長機能付き操作盤50を備え、光を照射することにより物体の有無を検知するセンサ部54と、センサ部54が設けられた操作パネル51とを含み、センサ部54は操作パネル51に設けられた窪み部52に設置され、センサ部54における光の照射方向は窪み部52から外側に向かう方向であり且つ操作パネル51の前面51Fの直交方向である水平方向Zに対して傾斜する方向となるように設定される。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ用乗りかごに関する操作を非接触で行う機能を有する操作入力部を備えるエレベータであって、
前記操作入力部は、光を照射することにより物体の有無を検知する非接触式センサと、前記非接触式センサが設置される本体部とを含み、前記非接触式センサは前記本体部に設けられた窪み部に設置され、前記非接触式センサにおける光の照射方向は前記窪み部から外側に向かう方向であり且つ前記本体部の主面の直交方向に対して傾斜する方向となるように設定されている、
エレベータ。
【請求項2】
前記窪み部は、奥側よりも手前側の幅が広くなるように形成されている、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記窪み部は、溝状に形成されている、
請求項1または2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記非接触式センサにおける光の照射方向は、斜め上方となるように設定される、
請求項1または2に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに関し、特に、エレベータの非接触式操作に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかご内や乗場には、かご操作盤や乗場操作盤が設置される。かご操作盤や乗場操作盤には、行先階の数字などを表示した行先階釦や上下釦などの乗りかごに関する操作を行うための操作釦が設けられている。乗客は、例えば、行先階釦を操作することで、昇降路を移動するかごの行先階を制御装置に(呼び)登録する。この行先階釦には、押釦やタッチパネルのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)といった接触式のものが広く採用されている。
【0003】
また、近年、公共施設等に設置されるエレベータにおいて、衛生面への配慮から、かごに関する操作を非接触で行うことが可能な非接触式操作盤も導入されつつある。この種のかご操作盤では、乗客が光電センサなどの非接触式センサに手などの物体を近づけて検知させることによって操作を行うように構成されている。
【0004】
この点に関し、特許文献1には、光電センサを構成する投光部および受光部を筒体の中で直径方向に互いに対向するように配置し、投光部の発する光を指が遮ることによって非接触で操作を検知できるようにしたエレベータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3037379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のエレベータでは、細い筒体内に指などの物体を挿し込んで操作を行う必要があり、指を筒体内に挿し込んだときに筒体に指が触れてしまいやすく非接触で操作を行いにくいという問題がある。
【0007】
本発明は、非接触で乗りかごに関する操作を実行可能なエレベータにおいて乗客が挿し込んだ物体が偶発的に操作入力部に触れてしまうのを抑制しつつ誤検知も抑制可能なエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエレベータは、エレベータ用乗りかごに関する操作を非接触で行う機能を有する操作入力部を備えるエレベータであって、操作入力部は、光を照射することにより物体の有無を検知する非接触式センサと、非接触式センサが設置される本体部とを含み、非接触式センサは本体部に設けられた窪み部に設置され、非接触式センサにおける光の照射方向は窪み部から外側に向かう方向であり且つ本体部の主面の直交方向に対して傾斜する方向となるように設定されているものである。
【0009】
本発明のエレベータにおいて、窪み部は、奥側よりも手前側の幅が広くなるように形成されてもよい。
【0010】
また、本発明のエレベータにおいて、窪み部は、溝状に形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明のエレベータにおいて、非接触式センサにおける光の照射方向は、斜め上方となるように設定してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るエレベータによれば、操作入力部の本体部に設けられた窪み部内に非接触式センサが配置され、同センサが照射する光の照射方向が窪み部内から外側に向かう方向であり、且つ、本体部における主面の直交方向に対して傾斜するように設定される。このように光の照射方向を上記直交方向に対して傾くように取り付けることで、上記直交方向に光を照射する場合よりも外側から挿し込まれる物体を窪み部内の外側寄りの位置や窪み部に近接する外側空間で検知することができる。このため、窪み部内の深い位置まで物体を挿し込む必要がなく、窪み部内の壁面に物体が触れるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るエレベータの全体構成図である。
図2図1に含まれる乗りかご内に設置された一般利用者用操作盤および延長機能付き操作盤の配置構成を示す図とともに同図に含まれる延長機能付き操作盤と手摺の配置構成を示す部分拡大図を併せて模式的に示す図である。
図3図2に含まれる一般利用者用操作盤の全体構成と同操作盤の一部である行先階操作領域を拡大して示す図である。
図4図2に含まれる延長機能付き操作盤の前面側の構成と同前面側の構成に示されるA-A線で切断したときの断面構成とを併せて示す図である。
図5図5(a)~図5(c)は図4に示す延長機能付き操作盤のセンサ部における検知領域の第1変形例~第3変形例を図4の一部に含まれるA-A線で切断したときの断面構成と同様に各々示す図である。
図6図4に示す延長機能付き操作盤の第4変形例の構成を示す図である。
図7図4に示す延長機能付き操作盤の第5変形例の構成を示す図である
図8図4に示す延長機能付き操作盤の第6変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態であるエレベータ10について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、図中に示す「X」は駆動シーブ16Aの軸方向と直交する方向と略平行をなす水平方向Xを示し、「Y」は略鉛直方向である上下方向「Y」を示し、「Z」は駆動シーブ16Aの軸方向と略平行をなす水平方向Zを示すものとする。
【0015】
図1に示すように、エレベータ10は、昇降路12の最上部に機械室14を有するトラクション式エレベータであって、例えば、病院や介護施設など公共の建物に設置される。エレベータ10は、機械室14に設置された巻上機16の駆動シーブ16A及びそらせ車16Bに架け渡された主ロープ19の両端に各々吊り下げられた乗りかご20およびカウンターウェイトWを備える。
【0016】
そして、機械室14には、エレベータ10の運転を統括的に制御する制御装置15も備えられている。制御装置15は、乗りかご20内に設置されている一般利用者用操作盤(後段にて詳述)や延長機能付き操作盤(後段にて詳述)、各階の乗場26に設置されている呼び釦(不図示)を介して行われる行先階の登録操作に基づいて巻上機16の駆動を制御し乗りかご20を昇降させる。
【0017】
巻上機16のモータ(不図示)からの回転動力が、動力伝達機構(不図示)を介して駆動シーブ16Aに伝達され、駆動シーブ16Aが回転駆動されるとこれに伴って主ロープ19が走行し、主ロープ19に吊り下げられた乗りかご20が、ガイドレール(不図示)に案内されて昇降路12を上下方向Yに沿って移動する。
【0018】
エレベータ10が設置された建物には、異なる階毎に乗場26A,26B,26C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は適宜「乗場26」と表記)が設けられており、エレベータ10の運転中、乗りかご20は、現在、着床している階の乗場(図1では、乗場26A)から、次の行先階の乗場(例えば、乗場26C)までの昇降移動を繰り返す。
【0019】
図2は、乗りかご20のかご内の様子を示す図である。図2に示すように、乗りかご20は左右両開き式のかご扉22A,22Bが正面側の乗降口22に設置されている。かご扉22A,22Bは、制御装置15を介して開閉動作が制御される。また、かご扉22A,22Bに隣接する袖壁20-1には、一般利用者用操作盤30が設置されている。乗りかご20の側壁20-2には、延長機能付き操作盤(操作入力部)50が設置される。
【0020】
この延長機能付き操作盤50は、車椅子利用者や、視覚障害者など一般利用者よりも乗降に時間を要する利用者が使用することを想定して設置されている操作盤である。このため、延長機能付き操作盤50は、車椅子利用者が操作を行いやすいよう、やや低い位置に、横長となるように設けられている。また、延長機能付き操作盤50の直下方には、手摺20Lが設置されている。本実施形態において、手摺20Lは、延長機能付き操作盤50よりも長さγmmだけ水平方向Zに突き出すように側壁20-2に設置されている。本実施形態では一例として長さγは80mmであるが、長さγの大きさは80mm未満でもよいし、80mmより大きくてもよい。
【0021】
また、図2に示すように、本実施形態において、延長機能付き操作盤50は側壁20-2から厚みtだけ突き出すように設置されているが、側壁20-2に延長機能付き操作盤50を埋め込むことで厚みtによって生じる段差を解消し側壁20-2と同一平面を構成するように設置してもよい。
【0022】
図3は、一般利用者用操作盤30の全体構成と同操作盤30の一部構成を拡大して示す図である。なお、図3では、後述する透光部33Cを黒色で塗りつぶして示すことにより透光部33Cが発光している状態を模式的に示している。
【0023】
図3に示すように、一般利用者用操作盤30は、前面を構成する操作パネル30Aを有し、この操作パネル30Aの中央部に行先階操作領域30Bが設けられている。行先階操作領域30Bの直上方には乗りかご20の現在位置や昇降状態について表示する表示部34が設けられている。
【0024】
図3に示すように、行先階操作領域30Bには、かご20の行先階を決定する入力操作を行う機能を有する押釦31A,31B,31C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は押釦「31」と表記)と、非接触式のセンサ部32A,32B,32C,…(以下、特に区別する必要が無い場合はセンサ部「32」と表記)とが各々隣り合うように上下方向Yに沿って配置される。水平方向Zにおいて隣接する押釦31とセンサ部32は各々同じ階の乗場26を行先階として(呼び)登録するための入力操作を行う機能を有する。
【0025】
各押釦31は、乗場26がある各階に対応しており、正面視において円状の外観形状を有する。本実施形態では、1階から8階が行先階となり得る構成になっており、例えば、押釦31Bは、2階を行先階として決定するための操作を受けつける役割を有する。センサ部32は、前面が保護プレート35A,35B,35C,…(以下、特に区別する必要がない場合は保護プレート「35」と表記)に覆われた反射型光電センサにより各々構成される。センサ部32は、照射した照射光が物体に遮られたときに生じる反射光を受光することにより物体の有無を検出する機能を有する。
【0026】
また、押釦31は、行先階登録を受け付けたことを利用者に報知する機能も有する。より具体的には、図3に示すように、押釦31A,31B,31C,…の正面側に行先階を示す数字の形をした透光部33A,33B,33C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は「透光部33」と表記)が設けられており、押釦31内部に設けられた不図示のランプが点灯することによって透光部33が発光可能に構成される。そして、押釦31を押すことにより、或いは、センサ部32が手などの物体を検出することにより行先階の(呼び)登録が行われると透光部33が点灯するように構成される。
【0027】
これにより、押釦31やセンサ部32を介して入力操作を行った際に、行先階の登録がなされているか否かを利用者が目視確認することができる。本実施形態では、押釦31を用いる例を挙げているが、押釦31の代りにタッチセンサなどを用いてもよい。
【0028】
図3に示すように、操作パネル30Aにおける行先階操作領域30Bの直下方には、かご扉22A,22B(図2参照)を戸開させるための戸開釦36と、かご扉22A,22Bを戸閉させるための戸閉釦38とが各々設けられている。一般利用者用操作盤30には表示部34と行先階操作領域30Bの間に、故障時などに外部の管理センターなどに連絡するための非常通報釦EM1が設けられている。また、図3に破線で示すように、一般利用者用操作盤30には各種音声案内を行うためのスピーカSPも内蔵されている。
【0029】
続いて、図4を用いて延長機能付き操作盤50の構成について説明を行う。図4は、延長機能付き操作盤50の構成を示す図である。図4において、後述する透光部55Cに黒色を付して示すことにより透光部55Cの発光状態を模式的に示している。また、図4においてハッチングを付して検知領域Pを示すとともに、同図に示すA-A線で切断したときの窪み部52周辺の構成を丸囲みの中に一部ハッチングを省略して示している。
【0030】
図4に示すように、延長機能付き操作盤50は、横長長方形状の外観を有する操作パネル(本体部)51を有し、同パネル51における前面(主面)51Fの中央部に正面視において長溝状に形成された窪み部52が設けられている。
【0031】
また、窪み部52の直下方には、故障時などに外部の管理センターなどに連絡するための非常通報釦EM2、かご扉22A,22B(図2参照)を戸開させるための戸開釦56と、かご扉22A,22Bを戸閉させるための戸閉釦58が設けられている。窪み部52の直上方には、上述した表示部34と同様の機能および構成を備える表示部59が設けられる。
【0032】
図4に示すように、窪み部52は、底面を構成する傾斜部52A、奥側壁面を構成する側壁部52B、上側壁面を構成する天井部52Cを有し、奥側よりも手前側の方が上下方向Yにおける幅が幅広となる外観形状を有する。より具体的には、傾斜部52Aは奥側から手前側に向かって斜め下方に傾斜するように形成され、側壁部52Bは底面側から上方に向かって手前側にやや傾斜するように形成される。そして、天井部52Cは、奥側の側壁部52Bから手前側に向かって徐々に曲率が大きくなるように湾曲している。
【0033】
なお、本実施形態では、窪み部52は奥側よりも手前側の方が幅広となる外観形状を備えているが、上下方向Yにおける窪み部52の幅は奥側と手前側で同じ大きさとなるように形成してもよい。
【0034】
上述した傾斜部52Aには、センサ部(非接触式センサ)54A,54B,54C…(以下、特に区別する必要が無い場合はセンサ部「54」と表記)がX方向に沿って等間隔で配置されている。また、各センサ部54の直上方に位置する側壁部52Bには、上述した透光部33と同一構成を備える透光部55A,55B,55C…(以下、特に区別する必要が無い場合は透光部「55」と表記)が各々設けられている。ここで、センサ部54の構成は、上述したセンサ部32とほぼ同一であるため、以下の説明ではセンサ部32と構成の共通する部分については適宜説明を省略しつつ、構成の異なる部分について主に説明を行うものとする。
【0035】
センサ部54は、窪み部52の奥側から手前側に向かって斜め上方に光を照射し、その光が所定の検知領域Pにおいて乗客の手などの物体によって遮られることにより生じる反射光の有無を検知する機能を有する。ここで、センサ部54の照射する光の照射方向は、操作パネル51における前面51Fと直交する方向(換言すると、Z方向)に対して上方に傾斜するよう構成される。
【0036】
これにより、前面51Fに直交する方向に光を照射する場合よりも操作パネル51の前面51Fから突出する距離αを抑制しつつ検知領域Pを広く設定できる。この結果、乗客の手荷物や乗客の身体の一部が検知領域Pを偶発的に横切るなどにより誤って操作がなされるのを低減できる。
【0037】
また、本実施形態のように窪み部52において手前側に向かって下方に傾斜する傾斜部52Aにセンサ部54を配置した場合には、乗客がセンサ部54を視認しやすく、操作を行うために手をかざすべきセンサ部54を見つけやすいという利点もある。
【0038】
本実施形態では、センサ部54が窪み部52の傾斜部52Aに配置され斜め上方に光を照射することで物体の有無を検知しているが、センサ部54を天井部52Cに配置し斜め下方に向かって光を照射することで物体の有無を検知するようにしてもよい。
【0039】
また、センサ部54に極めて近接した位置で物体が検知される場合には、乗客の身体の一部や荷物などが偶発的にセンサ部54に近接ないし接触している場合などが想定される。
【0040】
そこで、センサ部54の検知領域Pは、センサ部54の感度などを調節することによりセンサ部54からの距離βが0mm≦β≦20mmとなる範囲では物体を検知しないように設定してもよい。これにより、乗客の意図しない操作が検知されてしまうことを抑制できるという利点もある。
【0041】
また、検知領域Pを窪み部52内から外側に向かって距離αだけ僅かに突き出すように設定することで、センサ部54に手などを乗客がかざしたときに窪み部52の奥の方まで手を挿し込まなくても操作を検出しやすくなる。このため、操作を乗客が行う際に操作パネル51に誤って触れてしまうのを防止できる。
【0042】
本実施形態のように手摺20Lを操作パネル51周辺に設置する場合には、距離αの大きさを手摺20Lの位置よりも乗りかご20のかご室内中央側に検知領域Pが突き出さないように設定すればよい。この場合には、手摺20Lによって乗客や荷物の操作パネル51側への移動が規制される操作パネル51に近接した空間にのみ検知領域Pを設定することとなるため誤検知の発生を抑制できる。
【0043】
さらに、距離αは0mm<α≦50mmとなるように設定するのが好ましく、より好ましく0mm<α≦30mmとなるように設定するのが好適である。この場合には、操作パネル51からの突き出す長さがわずかであるため、偶発的な誤検知を完全に防ぐことはできないものの誤検知の発生頻度をさらに抑制することができる。
【0044】
図4に示すように、窪み部52は、奥側の側壁部52Bおよび上面側の天井部52Cが奥側から手前側に向かって斜め上方に傾斜するように形成される。これにより、窪み部52の手前側の位置では傾斜部52Aと天井部52Cとの距離が窪み部52の奥側よりも長く形成される。このため、検知領域Pを上下方向に広く設定しても照射する光が窪み部52の天井部52Cによって遮られることがなく同天井部52Cに反射されることにより誤検知が発生するのを防ぐことができる。
【0045】
本実施形態のエレベータ10によれば、延長機能付き操作盤50の操作パネル51に設けられた窪み部52内にセンサ部54が配置され、センサ部54が照射する光の照射方向が窪み部52内から外側に向かう方向であり、且つ、操作パネル51における前面51Fに直交する方向、すなわち水平方向Zに対して傾斜するように設定される。
【0046】
このように光の照射方向を水平方向Zに対して傾くように取り付けることで、水平方向Zに平行に光を照射する場合よりも外側から挿し込まれる物体を窪み部52内の外側寄りの位置や窪み部52に近接する外側空間で検知しやすい。
【0047】
このため、窪み部52内の深い位置まで手などの物体を挿し込む必要がなく、非接触で操作を行うときに窪み部52内の壁面に乗客の手などの物体が偶発的に触れてしまうのを抑制できる。
【0048】
続いて、図5(a)~図5(c)を用いて上述したセンサ部54における検知領域Pの第1変形例~第3変形例である検知領域P1~P3について説明を行う。図5(a)~図5(c)は、第1変形例~第3変形例におけるセンサ部54周辺の断面構成を図4に含まれるA―A線で切断したときのセンサ部54周辺の断面構成と同様に示す図である。なお、図5(a)~図5(c)において、ハッチングを付して検知領域P1~P3を各々示すとともに煩雑な図示を避けるため一部の断面ハッチングを省略して示している。以下の説明において、上記実施形態における延長機能付き操作盤50と構成が同一の部分については適宜説明を省略しつつ同一の符号を付して示すとともに、構成が異なる部分について主に説明を行うものとする。
【0049】
上記実施形態では、センサ部54の検知領域Pが斜め上方に向かって傾斜し距離αだけ操作パネル51よりも突き出すように設定された検知領域Pとする例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5(a)は、延長機能付き操作盤50のセンサ部54における検知領域Pの第1変形例である検知領域P1を示す図である。図5(a)に示すように、検知領域P1は、検知領域が操作パネル51より外側に突き出さないように設定される場合を示すものである。この場合には、検知領域P1が窪み部52内にとどまり操作パネル51から突出しないため誤検知の発生をより抑制することが可能である。
【0050】
また、図5(b)は、延長機能付き操作盤50のセンサ部54における検知領域Pの第2変形例である検知領域P2を示す図である。図5(b)に示すように検知領域P2は、センサ部54における光の照射位置を窪み部52の外側寄り、換言すると、手前側の位置から上下方向Yよりも少しだけ外側上方に向かって傾斜するようにセンサ部54の光の照射方向を設定する。
【0051】
これにより、検知領域P2を全体的に窪み部52の手前側、換言すると外側寄りの位置に設定することができる。このため、窪み部52のより手前側の位置で物体を検出することが可能となるため乗客が手をセンサ部54にかざすときに窪み部52内の壁面やセンサ部54などに手などが触れてしまうことをより効果的に防ぐことができる。
【0052】
また、上記実施形態では、図4に示すように窪み部52の下側および上側部分が各々傾斜面と湾曲面で構成される例を挙げているが、窪み部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、図5(c)は、延長機能付き操作盤50のセンサ部54における検知領域Pの第3変形例である検知領域P3を示す図である。
【0053】
この第3変形例の場合には、図5(c)に示すように、窪み部52の代わりに窪み部53が操作パネル51に設けられる。この窪み部53は、奥側の方が手前側よりも上下方向Yの幅が狭くなる等角台形状の断面形状を有する。より具体的には、窪み部53は、底面を構成する傾斜部53A,奥側壁面を構成する側壁部53B、上側壁面を構成する天井部53Cを含み、傾斜部53Aおよび天井部53Cが上下対称となる傾斜面を構成する。そして、側壁部53Bに透光部55が設けられ、傾斜部53Aにセンサ部54が設けられる。
【0054】
図5(c)に示すように、センサ部54の検知領域P3は、図5(b)に示す場合と同様に窪み部53の手前側寄りの位置とし、同位置から操作パネル51の直交方向である水平方向Zに対して外側に向かって上方に傾斜するように設定される。この場合にも、窪み部53は、奥側より手前側の方が上下方向Yにおける幅が広くなるように形成されるため、乗客が操作を行うときに指先などが窪み部53の壁面などに誤って触れてしまうのを抑制することができる。
【0055】
次に、図6図8を用いて上述した延長機能付き操作盤50の第4変形例~第6変形例である延長機能付き操作盤(操作入力部)60,70,80について説明を行う。以下の説明では、延長機能付き操作盤60,70,80において延長機能付き操作盤50と構成が同一の部分については適宜説明を省略しつつ同一の符号を付して示すとともに、構成が異なる部分について主に説明を行うものとする。
【0056】
図6は、第4変形例に係る延長機能付き操作盤60の全体構成図と同全体構成に含まれる押釦61A周辺の部分拡大図とを併せて示す図である。図6に示すように、延長機能付き操作盤60は、操作パネル51に設けられた窪み部52に上述したセンサ部54に代えて押釦61A,61B,61C,・・・(以下、特に区別する必要が無い場合は押釦「61」と表記)が配置されている。
【0057】
各押釦61は、上述した押釦31と同一の構成を備えるとともに下部にセンサ部(非接触式センサ)64A,64B,64C,・・・(以下、特に区別する必要がない場合はセンサ部「64」と表記)を内蔵している。このセンサ部64は、上述したセンサ部32と同一の機能および構成を備える。また、各押釦61は、内蔵する各センサ部64の上部に透光部65A,65B,65C,・・・(以下、特に区別する必要がない場合は透光部「65」と表記)が設けられている。各透光部65は、上述した透光部55と同一の機能および構成を備える。
【0058】
上記構成により、押釦61を押下することにより行先階の入力操作を行うことができるとともに押釦61に内蔵されたセンサ部64に乗客が手をかざすことによっても同様の入力操作を非接触で行うことができる。この場合においても、上記実施形態における延長機能付き操作盤50と同様の効果を得ることができる。
【0059】
図7は、第5変形例に係る延長機能付き操作盤70の全体構成を示す図である。図7に示すように、延長機能付き操作盤70は、操作パネル51に設けられた窪み部52に押釦73A,73B,73C,・・・(以下、特に区別する必要がない場合は押釦「73」と表記)とセンサ部(非接触式センサ)74A,74B,74C,・・・(以下、特に区別する必要がない場合はセンサ部「74」と表記)とが各行先階に対応して各々配置されている。押釦73およびセンサ部74は、上述した押釦31およびセンサ部64と同一の構成および機能を備える。さらに、押釦73およびセンサ部74の直上方には透光部55が設けられている。この場合においても、上記実施形態における延長機能付き操作盤50と同様の効果を得ることができる。
【0060】
図8は、第6変形例に係る延長機能付き操作盤80の全体構成を示す図である。図8に示すように、延長機能付き操作盤80は、窪み部82の形状が異なる点を除き延長機能付き操作盤50と同一の構成を具備する。延長機能付き操作盤80では、行先階ごとに窪み部82-1,82-2,82-3,・・・(以下、窪み部「82」と適宜表記する)が設けられている。各窪み部82は、仕切り壁L-1,L-2,L-3,…により隣接する窪み部82と区画されている。この場合においても、上記実施形態における延長機能付き操作盤50と同様の効果を得ることができる。
【0061】
上記実施形態では、延長機能付き操作盤50,60,70,80に窪み部52や窪み部82を設け、同窪み部52,82にセンサ部54,64,74を設ける例を挙げて操作入力部について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一般利用者用操作盤30に窪み部52や窪み部82に相当する窪み部を設け、同窪み部内にセンサ部54を設けることにより操作入力部としてもよい。この場合にも上記実施形態における延長機能付き操作盤50,60,70,80と同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、上記実施形態では、行先階登録の操作を非接触で行うセンサ部54などを例に挙げて説明しているが、戸開釦56や戸閉釦58など他の操作を行う押釦をセンサ部54と同様の構成を備えたセンサ部で構成し、窪み部52,82と同様の構成を具備する窪み部内に配置するようにしてもよい。この場合においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0064】
10 エレベータ
20 乗りかご
22A,22B かご扉
30 一般利用者用操作盤
50,60,70,80 延長機能付き操作盤(操作入力部)
52,53,82 窪み部
51 操作パネル(本体部)
54,54A,54B,54C センサ部(非接触式センサ)
64,64A,64B,64C センサ部(非接触式センサ)
74,74A,74B,74C センサ部(非接触式センサ)
P,P1,P2,P3 検知領域
X,Z 水平方向
Y 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ用乗りかごに関する操作を非接触で行う機能を有する非接触式センサを含むとともに接触を伴う操作によっても前記乗りかごに関する操作を実行可能に構成された非接触式操作機能付き操作部を有する操作盤を備え、前記非接触式操作機能付き操作部は前記操作盤に設けられた窪み部の奥側から手前側に向かって斜め下方に傾斜する傾斜面に設けられており、前記非接触式操作機能付き操作部は前記操作盤における主面の直交方向に対して上方に傾斜する向きに光を照射し照射した光が所定の検知領域で物体に遮られることによって生じる反射光を検知するように構成される、
エレベータ。
【請求項2】
エレベータ用乗りかごに関する操作を行う機能を有するエレベータであって、
前記操作を非接触で行う機能を有する非接触式センサが設置された窪み部を有する操作盤を備え、前記窪み部は奥側壁面と前記奥側壁面から手前側に向かって斜め下方に傾斜するように設けられた底面と前記奥側壁面から手前側に向かう上側壁面とを含み、前記奥側壁面には前記操作の内容を示す表示部が設けられ、前記表示部の直下方に位置する前記底面には前記操作の内容を実行する機能を有する前記非接触式センサが設けられ、前記非接触式センサは前記操作盤における主面の直交方向に対して上方に傾斜する向きに光を照射し照射した光が所定の検知領域で物体に遮られることによって生じる反射光を検知するように構成される、
エレベータ。
【請求項3】
前記非接触式操作機能付き操作部には、前記乗りかごに関する操作の内容を表示する表示部が設けられている、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記所定の検知領域は、前記非接触式センサに近接する領域では物体を検知しないように設定されている、
請求項1または2に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記窪み部は、長溝状に形成されている、
請求項1または2に記載のエレベータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明のエレベータは、エレベータ用乗りかごに関する操作を非接触で行う機能を有する非接触式センサを含むとともに接触を伴う操作によっても乗りかごに関する操作を実行可能に構成された非接触式操作機能付き操作部を備え、非接触式操作機能付き操作部は操作盤に設けられた窪み部の奥側から手前側に向かって斜め下方に傾斜するように傾斜面に設けられており、非接触式操作機能付き操作部は操作盤における主面の直交方向に対して上方に傾斜する向きに光を照射し照射した光が所定の検知領域で物体に遮られることによって生じる反射光を検知するように構成されるものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明のエレベータは、エレベータ用乗りかごに関する操作を行う機能を有するエレベータであって、操作を非接触で行う機能を有する非接触式センサが設置された窪み部を有する操作盤を備え、窪み部は奥側壁面と奥側壁面から手前側に向かって斜め下方に傾斜するように設けられた底面と奥側壁面から手前側に向かう上側壁面とを含み、奥側壁面には操作の内容を示す表示部が設けられ、表示部の直下方に位置する底面には操作の内容を実行する機能を有する非接触式センサが設けられ、非接触式センサは操作盤における主面の直交方向に対して上方に傾斜する向きに光を照射し照射した光が所定の検知領域で物体に遮られることによって生じる反射光を検知するように構成されるものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、本発明のエレベータにおいて、非接触式操作機能付き操作部には、乗りかごに関する操作の内容を表示する表示部が設けられてもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、本発明のエレベータにおいて、所定の検知領域は、非接触式センサに近接する領域では物体を検知しないように設定されてもよい。
さらに、本発明のエレベータにおいて、窪み部は、長溝状に形成されてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
図4に示すように、窪み部52は、底面を構成する傾斜部52A、奥側壁面を構成する側壁部52B、上側壁面を構成する天井部52Cを有し、奥側よりも手前側の方が上下方向Yにおける幅が幅広となる外観形状を有する。より具体的には、傾斜部52Aは奥側から手前側に向かって斜め下方に傾斜するように形成され、側壁部52Bは底面側から上方に向かって手前側にやや傾斜するように形成される。そして、天井部52Cは、奥側の側壁部52Bから手前側に向かって徐々に曲率が変化するように湾曲している。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ用乗りかごに関する操作を非接触で行う機能を有する非接触式センサを含むとともに接触を伴う操作によっても前記乗りかごに関する操作を実行可能に構成された非接触式操作機能付き操作部を有する操作盤を備え、前記非接触式操作機能付き操作部は前記操作盤に設けられた窪み部の奥側から手前側に向かって斜め下方に傾斜する傾斜面に設けられ、前記窪み部の上面は前記窪み部の奥側から手前側に向かって斜め上方に傾斜するように設けられており、前記非接触式操作機能付き操作部は前記操作盤における主面の直交方向に対して上方に傾斜する向きに光を照射し照射した光が所定の検知領域で物体に遮られることによって生じる反射光を検知するように構成される、
エレベータ。
【請求項2】
前記非接触式操作機能付き操作部には、前記乗りかごに関する操作の内容を表示する表示部が設けられている、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記所定の検知領域は、前記非接触式センサに近接する領域では物体を検知しないように設定されている、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記窪み部は、長溝状に形成されている、
請求項1に記載のエレベータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明のエレベータは、エレベータ用乗りかごに関する操作を非接触で行う機能を有する非接触式センサを含むとともに接触を伴う操作によっても乗りかごに関する操作を実行可能に構成された非接触式操作機能付き操作部を備え、非接触式操作機能付き操作部は操作盤に設けられた窪み部の奥側から手前側に向かって斜め下方に傾斜するように傾斜面に設けられ、窪み部の上面は窪み部の奥側から手前側に向かって斜め上方に傾斜するように設けられており、非接触式操作機能付き操作部は操作盤における主面の直交方向に対して上方に傾斜する向きに光を照射し照射した光が所定の検知領域で物体に遮られることによって生じる反射光を検知するように構成されるものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】