(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059383
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】光学センサユニット、レーザ誘導方式の搬送車、および、結露防止方法
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240423BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240423BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240423BHJP
H01L 31/12 20060101ALI20240423BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B66F9/24 P
G05D1/02 K
B65G1/00 521A
H01L31/12 E
B65G1/00 501D
G01S7/481 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167037
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 健次
(72)【発明者】
【氏名】大西 哲郎
【テーマコード(参考)】
3F022
3F333
5F889
5H301
5J084
【Fターム(参考)】
3F022BB02
3F022LL06
3F022NN32
3F022QQ00
3F333AA02
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3F333DB10
3F333FD14
3F333FD15
3F333FE04
3F333FE05
5F889BA02
5F889BB03
5F889BC11
5F889CA10
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5F889FA10
5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5J084AA04
5J084AA10
5J084AC02
5J084AD07
5J084BA03
(57)【要約】
【課題】冷凍倉庫用のレーザ誘導方式の搬送車に搭載される光学センサの透光ケースの結露を防止するための新規な構成および方法を提供する。
【解決手段】光学センサユニット3は、レーザ誘導方式の自動走行のために冷凍倉庫用の搬送車に搭載される。光学センサユニット3は、光学センサ4、冷却ケース5、および、チャンバ6を備える。光学センサ4の下部は、チャンバ6に収容されている。外気が、チャンバ6内のファン30によって、冷やされた冷却ケース5内に取り込まれ、冷却ケース5によって冷却されて除湿される。冷却除湿された空気が、チャンバ6内に導入され、光学センサ4の発熱によって温められる。除湿かつ加温された空気が、ファン30によって、チャンバ6の吹出口61から光学センサ4の透光ケース44の外面にその全周に渡って吹き付けられる。ヒータ31が、冷却除湿された空気を温めるためにチャンバ6内に設けられてもよい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車を冷凍倉庫内においてレーザ誘導方式で自動走行させるために当該搬送車に搭載される光学センサユニットであって、
光学センサと、
空気を冷却して除湿するために用いられる冷却ケースと、
前記光学センサの下部を収容するチャンバと、を備え、
前記光学センサは、
レーザ光を投光するとともに反射された前記レーザ光を受光する投受光部と、
前記投受光部を水平に回転させる回転駆動部と、
前記レーザ光に対して透過性を有し、前記投受光部の周囲を覆い、前記チャンバの上面から前記チャンバの外に出ている筒状の透光ケースと、を備え、
前記冷却ケースは、
空気を当該冷却ケース内に取り込むための吸気口と、
空気を当該冷却ケース内から前記チャンバ内へ導出するための導出口と、を有し、
前記チャンバは、
前記冷却ケースの前記導出口と連通する導入口と、
空気を前記チャンバ内から前記透光ケースの外面に当該外面の全周に渡って供給するための吹出口と、を有し、
前記光学センサユニットは、さらに、
空気を、前記吸気口から前記冷却ケース内に取り込み、前記冷却ケース内から前記チャンバ内に流入させ、前記吹出口から前記透光ケースの前記外面へ吹き付けるために、前記チャンバ内に配置されたファンを備える、
光学センサユニット。
【請求項2】
前記冷却ケースによって冷却されて除湿された空気を温めるために、前記チャンバ内に配置されたヒータをさらに備える、
請求項1に記載の光学センサユニット。
【請求項3】
前記チャンバは、その内部空間を下室と上室とに仕切る仕切りを備え、
前記下室は、前記導入口を有し、かつ、前記ヒータを収容し、
前記上室は、前記吹出口を有し、かつ、前記光学センサの前記下部を収容し、
前記ファンは、前記仕切りに設けられ、前記ヒータによって温められた空気が前記下室から前記ファンを通過して前記上室へ流れる、
請求項2に記載の光学センサユニット。
【請求項4】
前記光学センサは、その前記下部に、前記回転駆動部を収容する下部ハウジングを備える、
請求項3に記載の光学センサユニット。
【請求項5】
前記冷却ケースは、環状であり、前記チャンバを囲み、前記チャンバに隣接して設けられ、
前記吸気口は、前記冷却ケースの外周面に形成され、
前記導出口は、前記冷却ケースの内周面に形成され、
前記冷却ケースは、さらに、前記吸入口から前記導出口まで螺旋状に延在する流路を当該冷却ケースの内部に有している、
請求項1に記載の光学センサユニット。
【請求項6】
前記冷却ケースは、金属からなる、
請求項1に記載の光学センサユニット。
【請求項7】
前記冷却ケースは、アルミニウムからなる、
請求項6に記載の光学センサユニット。
【請求項8】
請求項1に記載の光学センサユニットを備え、当該光学センサユニットを用いてレーザ誘導方式で冷凍倉庫内を自動走行する冷凍倉庫用の搬送車。
【請求項9】
請求項8に記載の冷凍倉庫用の搬送車が、冷凍室から、当該冷凍室よりも温度が高い前室へ移動する際に、当該搬送車の前記光学センサユニットの前記透光ケースが結露するのを防止する結露防止方法であって、
前記搬送車が前記冷凍室内で自動走行している間に、前記冷却ケースが前記冷凍室の空気で冷やされること、
前記冷凍室から前記前室へ移動する際に前記ファンを作動させておき、外気を、冷やされた前記冷却ケース内に取り込み、当該冷却ケースによって冷却して除湿すること、
前記冷凍室から前記前室へ移動する際に、前記チャンバ内の空気を前記光学センサの発熱によって温めること、
前記冷凍室から前記前室へ移動する際に、前記チャンバ内の空気を、前記ファンによって、前記吹出口から前記透光ケースの前記外面に吹き付けること、を備える、
結露防止方法。
【請求項10】
前記搬送車は、前記チャンバ内に配置されたヒータをさらに備え、
前記結露防止方法は、
前記冷凍室から前記前室へ移動する際に前記ヒータを作動させておき、前記チャンバ内の空気を前記ヒータによって温めること、をさらに備える、
請求項9に記載の結露防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車を冷凍倉庫内においてレーザ誘導方式で自動走行させるために当該搬送車に搭載される光学センサユニット、および、当該光学センサユニットを備える冷凍倉庫用のレーザ誘導方式の搬送車に関する。また、本発明は、当該光学センサユニットの透光ケースの結露を防止するための結露防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AGV、AGFといった自動走行可能な搬送車には、例えば、LiDARなどの光学センサが搭載されている。搬送車は、当該光学センサを用いて倉庫内を自動で走行する。
【0003】
この種の光学センサは、例えば、
図10A-Cの通り、レーザ光を投光する投光部41およびレーザ光を受光する受光部42を備える。さらに、光学センサは、投光部41および受光部42を、中心軸線AX(
図10A参照)の周りに水平に360度回転させる回転駆動部(図示略)をさらに備える。なお、投光部41および受光部42は、レーザ光に対して透過性を有する筒状の透光ケース44内に配置されている。
【0004】
光学センサは、上記構成により、レーザ光を搬送車の周囲360°に渡って投光することができる。レーザ光は、倉庫内に設置された複数の光反射板によって反射され、その反射されたレーザ光が受光部42によって受光される。光学センサは、受光部42の受光結果および三角測量の原理に基づいて、倉庫内における搬送車の位置をリアルタイムベースで演算する。搬送車は、演算された位置に基づいて、所定の経路に沿って自動走行する。このような自動走行は、レーザ誘導方式と呼ばれている(特許文献5参照)。
【0005】
レーザ誘導方式の搬送車を冷凍倉庫内で走行させる搬送システムがある。冷凍倉庫は、一般的には、温度が0°未満の冷凍室と、温度が0℃~10℃程度の前室とを備える。搬送車は、冷凍室と前室との間を頻繁に往来する。
【0006】
冷凍室と前室との間にかなりの温度差がある。搬送車が冷凍室から前室へ移動する際、搬送車の周囲の温度が上昇し、冷凍室で冷やされた透光ケース44の外面が結露したり、霜がついたりすることがある。この結露や霜が邪魔になって、レーザ光が適切に周囲に投光されない、及び/又は、レーザ光が適切に受光されない事態が生じ、結果的に、搬送車が自動走行できなくなる恐れがある。
【0007】
冷凍倉庫における搬送の分野では、搬送車に搭載されている光学センサ、レーザマーカー、バーコードスキャナなどに対する様々な結露対策が講じられている(特許文献1-4等参照)。
【0008】
例えば、
図10Aでは、温風が、ハーフケース6’内に導入され、ハーフケース6’と光学センサとによって規定される環状の隙間を通って、透光ケース44の外面に吹き付けられる。この温風の吹付けによって、透光ケース44の外面を、常に0℃程度に(前室での露点温度より高く)なるように温めている。これは、冷凍室で冷やされた透光ケース44の外面が外気の露点温度より高くなるまでは結露が生じる。
【0009】
図10Bでは、ヒータ線90が透光ケース44に巻き付けられて、透光ケース44の外面を、常に0℃程度に(前室での露点温度より高く)なるように温めている。これは、透光ケース44の外面を効率的に温めることができる。ただし、ヒータ線90が受光部42の受光面を横切るので、受光部42によるレーザ光の受光量が若干減り、光反射板検出最大距離の低下をもたらし得る。
【0010】
図10Cでは、光学センサ内に内蔵のヒータ91が、透光ケース44を温めている。これは、透光ケース44の外面を効率的に温めることはできない。ヒータ91の発熱温度を上げすぎると、光学センサの構成部品が故障し得る。
【0011】
透光ケースの結露を防止する様々な方法が考えられている。近年では、-30℃といった非常に低温の冷凍室と前室との間で搬送車を往来させることもある。搬送車の安定した自動走行のために、透光ケースの結露を確実に防止することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平03-23200号公報
【特許文献2】実開平06-53917号公報
【特許文献3】特開2001-063992号公報
【特許文献4】特開平07-277698号公報
【特許文献5】特開2020-134180号公報
【特許文献6】特開平08-167732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、冷凍倉庫用のレーザ誘導方式の搬送車に搭載される光学センサの透光ケースの結露を防止するための新規な構成および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、搬送車を冷凍倉庫内においてレーザ誘導方式で自動走行させるために当該搬送車に搭載される光学センサユニットが提供され、
光学センサと、
空気を冷却して除湿するために用いられる冷却ケースと、
前記光学センサの下部を収容するチャンバと、を備え、
前記光学センサは、
レーザ光を投光するとともに反射された前記レーザ光を受光する投受光部と、
前記投受光部を水平に回転させる回転駆動部と、
前記レーザ光に対して透過性を有し、前記投受光部の周囲を覆い、前記チャンバの上面から前記チャンバの外に出ている筒状の透光ケースと、を備え、
前記冷却ケースは、
空気を当該冷却ケース内に取り込むための吸気口と、
空気を当該冷却ケース内から前記チャンバ内へ導出するための導出口と、を有し、
前記チャンバは、
前記冷却ケースの前記導出口と連通する導入口と、
空気を前記チャンバ内から前記透光ケースの外面に当該外面の全周に渡って供給するための吹出口と、を有し、
前記光学センサユニットは、さらに、
空気を、前記吸気口から前記冷却ケース内に取り込み、前記冷却ケース内から前記チャンバ内に流入させ、前記吹出口から前記透光ケースの前記外面へ吹き付けるために、前記チャンバ内に配置されたファンを備える。
【0015】
前記光学センサユニットは、前記冷却ケースによって冷却されて除湿された空気を温めるために、前記チャンバ内に配置されたヒータをさらに備えてよい。
【0016】
前記チャンバは、その内部空間を下室と上室とに仕切る仕切りを備えてよい。前記下室は、前記導入口を有し、かつ、前記ヒータを収容してよい。前記上室は、前記吹出口を有し、かつ、前記光学センサの前記下部を収容してよい。前記ファンは、前記仕切りに設けられてよく、前記ヒータによって温められた空気が前記下室から前記ファンを通過して前記上室へ流れる。
【0017】
前記光学センサは、その前記下部に、前記回転駆動部を収容する下部ハウジングを備えてよい。
【0018】
前記冷却ケースは、環状であり、前記チャンバを囲み、前記チャンバに隣接して設けてよい。前記吸気口は、前記冷却ケースの外周面に形成されてよい。前記導出口は、前記冷却ケースの内周面に形成されてよい。前記冷却ケースは、さらに、前記吸入口から前記導出口まで螺旋状に延在する流路を当該冷却ケースの内部に有してよい。
【0019】
前記冷却ケースは、金属からなってよく、より具体的にはアルミニウムからなってよい。
【0020】
本発明の別の態様によれば、冷凍倉庫用のレーザ誘導方式の搬送車が提供される。当該搬送車は、上記の光学センサユニットを備え、当該光学センサユニットを用いてレーザ誘導方式で冷凍倉庫内を自動走行する。
【0021】
さらに、本発明の別の態様によれば、上記搬送車が、冷凍室から、当該冷凍室よりも温度が高い前室へ移動する際に、当該搬送車の前記光学センサユニットの前記透光ケースが結露するのを防止する結露防止方法が提供され、
前記搬送車が前記冷凍室内で自動走行している間に、前記冷却ケースが前記冷凍室の空気で冷やされること、
前記冷凍室から前記前室へ移動する際に前記ファンを作動させておき、外気を、冷やされた前記冷却ケース内に取り込み、当該冷却ケースによって冷却して除湿すること、
前記冷凍室から前記前室へ移動する際に、前記チャンバ内の空気を前記光学センサの発熱によって温めること、
前記冷凍室から前記前室へ移動する際に、前記チャンバ内の空気を、前記ファンによって、前記吹出口から前記透光ケースの前記外面に吹き付けること、を備える。
【0022】
上記搬送車が前記ヒータを備える場合、前記結露防止方法は、前記冷凍室から前記前室へ移動する際に前記ヒータを作動させておき、前記チャンバ内の空気を前記ヒータによって温めること、をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、例示の搬送システムの概略平面図である。
【
図2】
図2は、例示のレーザ誘導方式の搬送車の概略側面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の光学センサユニットを概略的に示す。
【
図5】
図5は、
図4の光学センサユニットを通過する気流を概略的に示す。
【
図6】
図6は、第2実施形態の光学センサユニットを概略的に示す。
【
図7】
図7Aは、外付けのヒータと透光ケースの位置関係を例示する概略横断面図であり、
図7Bは、外付けのヒータと透光ケースの位置関係を例示する概略部分縦断面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態の光学センサユニットを概略的に示す。
【
図9】
図9A,
図9Bは、外付けヒータグループと透光ケースの位置関係を例示する概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態が説明される。なお、図面に示される構成要素は、必ずしも正確な寸法や比率ではなく、その機能または動作を表すにすぎない。
【0025】
図1は、搬送システムを概略的に示す。冷凍倉庫1と、冷凍倉庫1内を自動走行するレーザ誘導方式の搬送車2が設けられている。
【0026】
冷凍倉庫1は、0℃未満の(例えば、-20℃以下、具体的には約-30℃)の冷凍室10と、0℃以上の(例えば、0℃~10℃)の前室11とを備える。冷凍室10と前室11とは、通過口を有する壁12によって仕切られている。シートシャッター13が通過口に設けられている。シートシャッター13は、冷気が冷凍室10から前室11へ流れるのを防ぐ。搬送車2が通過口を通って冷凍室10と前室11との間を移動する際に、シートシャッター13が開く。なお、シートシャッター13が開いているときに、冷凍室10内の温度上昇を抑制するために、不図示のエアカーテン装置が設けられている。
【0027】
搬送車2が冷凍倉庫1内においてレーザ誘導方式で自動走行できるようにするために、レーザ光を反射する多数の光反射板14が冷凍倉庫1内に設けられている。
【0028】
図2は、自動走行可能な搬送車2を例示する。搬送車2は、実施形態では、無人フォークリフト(AGF)である。これに代えて、搬送車2は、フォークリフトタイプ以外の他の無人搬送車(AGV)でもよく、また有人無人運転切替可能な搬送車でもよい。
【0029】
搬送車2は、走行輪20を有する車両本体21と、車両本体21に対して水平方向に移動可能に設けられたマスト22と、マスト22に対して昇降可能に設けられたフォーク23とを備えている。フォーク23は、マスト22の水平移動によって、符号23’で示した位置をとることができる。また、フォーク23は、マスト22に沿って上昇することにより、符号23”で示した位置をとることもできる。
【0030】
さらに、搬送車2は、光学センサユニット3を備える。光学センサユニット3は、搬送車2をレーザ誘導方式で自動走行させるために搬送車2に搭載されるものである。光学センサユニット3は、特許文献5の通り、レーザスキャナ装置とも呼ばれることがある。光学センサユニット3は、車両本体21の最上部に配置されている。
【0031】
光学センサユニット3は、LiDAR(light detection and ranging)などの光学センサ4を備える(
図3)。
図3では、光学センサ4のみが示され、後述の結露防止のための構成は省略されている。光学センサ4は、投受光部40を備える。投受光部40は、レーザ光を投光する投光部41(投光素子)と、光反射板14によって反射されたレーザ光を受光する受光部42(受光素子)と、投光部41および受光部42が水平を向くようにこれらを支持する支持部材などを含む。投光部41は、受光部42よりも上方に位置している。投受光部40と光反射板14とは、同じ高さにある。
【0032】
さらに、光学センサ4は、投受光部40(したがって、投光部41および受光部42)を、上下方向にのびる中心軸線AXの周りに水平に360度回転させる回転駆動部43を備える。回転駆動部43は、投受光部40よりも下方に位置している。回転駆動部43は、特許文献5と同様に、投受光部40を所定の回転数(rpm)で高速回転させるモータや、投受光部40の回転角度を検出するエンコーダなどを含む。
【0033】
光学センサ4は、さらに、投受光部40の周囲を覆う筒状の透光ケース44を備える。すなわち、投受光部40は、筒状の透光ケース44の中空部分に位置している。透光ケース44は、具体的には円筒状である。
図3のように、透光ケース44は、上向きに少し窄まったような形など略円筒状でもよい。透光ケース44は、例えばポリカーボネート等のプラスチックで構成されてよく、投光部41のレーザ光に対して透過性を有する。したがって、投光部41はレーザ光を透光ケース44の外に投光でき、受光部42は透光ケース44を通過したレーザ光(反射光)を受光することができる。
【0034】
光学センサ4は、透光ケース44の下方に設けられ、上述の回転駆動部43、搬送車2の位置を特定するための位置特定部(演算回路)、光学センサ4の構成要素へ電力を供給する電源等を収容する下部ハウジング45を備える。また、光学センサ4は、透光ケース44の上に設けられて透光ケース44の上部をカバーする上部カバー46をさらに備える。透光ケース44は下部ハウジング45に取り付けられており、透光ケース44の内部と下部ハウジング45の内部とは互いに連通している。
【0035】
光学センサ4は、投光部41にレーザ光を投光させながら、回転駆動部43に投受光部40を水平に360度回転させ続けることにより、レーザ光を搬送車2の周囲に渡って投光する。レーザ光は、冷凍倉庫1内のいくつかの光反射板14によって反射される。受光部42は、その反射されたレーザ光を受光する。
【0036】
搬送車2が走行経路上のどの位置にあっても、受光部42が少なくとも3つの光反射板14によって反射されたレーザ光を検出できるように、光反射板14の数および配置が決められている。そして、光学センサ4の位置特定部が、反射されたレーザ光の検出および三角測量の原理に基づいて、冷凍倉庫1内における搬送車2の位置を、リアルタイムベースで演算する。これによって、搬送車2は、冷凍倉庫1内をレーザ誘導方式で自動走行することができる。この技術自体は、例えば特許文献5などの通り周知である。
【0037】
図4は、第1実施形態に係る光学センサユニット3を示し、光学センサ4と、透光ケース44の結露を防止するための構造とがユニット化されている。光学センサユニット3は、さらに、後述の通り、空気を冷却して除湿するために用いられる冷却ケース5と、冷却ケース5と連通するように設けられ、光学センサ4の下部を収容するチャンバ6とを備える。さらに、光学センサユニット3は、ファン30および少なくとも1つのヒータ31を備える。
【0038】
冷却ケース5は、環状、具体的に円環状を有しており、チャンバ6を囲み、チャンバ6の外周面に隣接して配置されている。冷却ケース5は、光学センサユニット3(したがって、これが搭載された搬送車2)の周囲の空気(外気)を当該冷却ケース5内に取り込むための吸気口50を有する。吸気口50は、冷却ケース5の外周面に形成されて、大気に開放されている。
【0039】
冷却ケース5は、さらに、当該冷却ケース5内の空気をチャンバ6内へ導出するための導出口51を有する。導出口51は、冷却ケース5の内周面に形成されており、後述のチャンバ6の導入口60と連通している。
【0040】
冷却ケース5は、さらに、その内部に、吸気口50と導出口51と繋ぐ流路52を有する。この流路52は、環状の冷却ケース5の内部を、例えば2~3周するように、外側の吸気口50から内側の導出口51まで螺旋状(渦状)に延在している。螺旋状の流路52を規定するために、冷却ケース5内には流路壁53が設けられている。
【0041】
後述の通り、冷却ケース5は、冷やされた状態で使用される。したがって、冷却ケース5は、冷えやすいようにするために、熱伝導率の高い材料からなる。例えば、冷却ケース5は、金属製であり、より具体的にはアルミニウム製である。
【0042】
チャンバ6は、例えば、上面及び底面を有する筒状、具体的には円筒形状である。チャンバ6は、光学センサ4の下部を収容している。したがって、下部ハウジング45はチャンバ6に収容されているが、透光ケース44はチャンバ6の上面から出ている。
【0043】
チャンバ6は、冷却ケース5の導出口51と連通し、冷却ケース5内を通過した空気をチャンバ6内に導入するための導入口60を有する。導入口60は、チャンバ6の外周面の下部に形成されている。
【0044】
チャンバ6は、その上面において、空気をチャンバ6内から透光ケース44の外面に当該外面の全周に渡って供給するための環状の吹出口61を有する。実施形態では、チャンバ6は、光学センサ4と共に吹出口61を規定している。具体的には、チャンバ6の上面に円形状の孔が形成されており、吹出口61は、当該円形状の孔に挿通されるように配置された光学センサ4(下部ハウジング45)の外周面と当該円形状の孔の縁とによって、円環状に規定されている。こうして、吹出口61が、光学センサ4を囲むように形成されて、空気が、後述の通り、チャンバ6の吹出口61を通じて吹き出されて、透光ケース44の外面全体に供給されるようになっている。
【0045】
チャンバ6は、さらに、その内部空間を下室62と上室63とに仕切る仕切り64をさらに備える。下室62は、上述の導入口60を有する。上室63は、上述の吹出口61を有し、光学センサ4の下部を収容している。センサ台65が上室63内に設けられており、光学センサ4がセンサ台65上に配置され固定されている。これにより、空気が吹出口61へ流れるための空間が下部ハウジング45の周りに形成されている。
【0046】
ファン30は、チャンバ6内に配置されている。ファン30は、具体的には仕切り64に取り付けられている。ファン30が作動すると、光学センサユニット3の周囲の空気(外気)が吸気口50を通じて冷却ケース5内に取り込まれ、チャンバ6内に導入され、それから、チャンバ6の吹出口61から吹き出されて、透光ケース44の外面に吹き付けられる。より具体的には、空気は、吸気口50、流路52、導出口51,導入口60、下室62、ファン30、上室63、吹出口61を順に通って、透光ケース44の外面に一様に吹き付けられる。このようにして、ファン30は、吸気口50から、冷却ケース5およびチャンバ6を通過して、吹出口61から透光ケース44へ向かう気流を生じさせる。
【0047】
ヒータ31は、チャンバ6内に配置されて、ヒータブラケット32に支持されている。ヒータ31は、具体的には下室62に配置されている。実施形態では、ヒータ31が2つ設けられているが、その数は任意である。ヒータ31は、冷却ケース5からチャンバ6(下室62)へ流れてきた空気を温める(加熱する)ための発熱体である。ヒータ31は、例えば遠赤外線を放射するシリコンラバーヒータであるが、シリコンラバーヒータ以外のヒータでも当然よい。
【0048】
ファン30およびヒータ31は、搬送車2のバッテリから給電される。
【0049】
以下、
図5を参照して、透光ケース44の結露を防止するための光学センサユニット3の動作が説明される。以下では、冷却ケース5は、冷凍室10の温度程度(例えば、-25℃~-30℃)に冷やされているものとして説明される。
【0050】
例えば前室11の外気といった、冷やされた冷却ケース5よりも温度の高い空気が、ファン30によって、吸気口50から冷却ケース5内に取り込まれる(矢印R1参照)。それから、取り込まれた空気は、冷却ケース5内の流路52を導出口51に向かって通過する。この間に、空気は、冷えた冷却ケース5によって、冷却ケース5の温度程度に冷却され、結果的に除湿され、その含有水分量は減る。流路52は、上述の通り螺旋状に延在しているので、空気が冷却除湿されるのに十分な距離が確保されている。
【0051】
次いで、冷却除湿された空気は、導出口51および導入口60を通じて、チャンバ6の下室62に流入する(矢印R2参照)。冷却除湿された空気は、下室62内で旋回している間に(矢印R3参照)、ヒータ31によって温められる。冷却除湿された空気は、前室11の外気の露点温度(例えば0度程度)より高い温度に昇温する。
【0052】
次いで、除湿かつ加温された空気は、ファン30を通って上室63へ流入し(矢印R4参照)、吹出口61に向かって上昇し光学センサ4の下部の周りを通過する(矢印R5参照)。なお、ファン30を通過する空気は、ヒータ31によって温められているので、ファン30は、低温対応の特殊なファンでなくても良い。また、光学センサ4自体も作動中に発熱するので、この発熱によっても空気は温められる。
【0053】
次いで、除湿かつ加温された空気は、環状の吹出口61を通って、透光ケース44の外面全体に渡って一様に吹き付けられる。乾燥した空気が、透光ケース44に吹き付けられるので、透光ケース44が冷えていても結露しない。というのも、透光ケース44が冷却ケース5と同様に冷凍室10の温度だとしても、透光ケース44へ吹き付けられる空気は、冷凍室10と同程度の温度の冷却ケース5によって除湿乾燥されており、結露するだけの水分を含有していないからである。
【0054】
吹き付けられる空気が、前室11の空気の露点温度以下だと、前室11の空気と接触したときに霧が発生する恐れがある。光学センサユニット3では、吹き付けられる空気が、ヒータ31および光学センサ4の発熱によって前室11の空気の露点温度よりも高い温度にまで温められている。したがって、吹き付けられる当該空気が前室11の空気と接触したとしても、この際に上述のような霧は発生しない。
【0055】
なお、冷却ケース5に霜が付着するが、搬送車2が前室11を自動走行している際に前室11の空気で温められて融解して水となり、自然と吸気口50から流れ出て排出される。もしくは、冷却ケース5やチャンバ6の底面に、ファン30による吸気に影響しないような小さい孔を形成して、その孔から、水が排出されるようにしてもよい。
【0056】
このように、光学センサユニット3は、透光ケース44の結露や霧の発生を防止して、レーザ光の安定した投受光を、したがってレーザ誘導方式の安定した自動走行を保障する構成となっている。
【0057】
以下、冷凍倉庫の搬送システムにおいて、搬送車2に搭載された光学センサユニット3の透光ケース44の結露を防止する具体的な結露防止方法が説明される。
【0058】
光学センサユニット3を搭載した搬送車2が、冷凍室10で自動走行して荷役作業をする。この搬送車2の冷凍室10内での自動走行および荷役作業中に、冷却ケース5が、冷凍室10の空気によって自然と冷凍室10の温度に冷やされる。
【0059】
次いで、冷凍室10の搬送車2が前室11へ移動する少し前に、搬送車2は、ファン30およびヒータ31を作動させる。なお、上述の通り、搬送車2の冷凍倉庫1内における位置情報は光学センサ4によってリアルタイムベースで演算され特定されている。荷役作業に関する情報は搬送車2に記憶されている。したがって、これらの情報に基づいて、搬送車2が冷凍室10から前室11へ移動する前にファン30およびヒータ31を作動させるタイミングを取ることができる。
【0060】
そして、ファン30およびヒータ31を作動させている状態で、搬送車2が、シートシャッター13が開いた通過口を通って冷凍室10から前室11へ移動する。搬送車2が前室11へ移動する際に、搬送車2の周りの外気が、ファン30によって、吸気口50から冷却ケース5内に取り込まれる。冷凍室10と前室11とには温度差がある。搬送車2が前室11に移動するにつれて、冷凍室10の空気よりも温度の高い前室11の空気が冷却ケース5内に取り込まれ始める。
【0061】
そして、この取り込まれた空気が、冷凍室10の温度に冷やされた冷却ケース5によって冷却ケース5の温度(冷凍室10の温度)程度に上述の通り冷却されて除湿される。そして、この除湿冷却された空気が、チャンバ6内において、ヒータ31および光学センサ4の発熱によって、前室11の空気の露点温度より高い温度に温められる(搬送車2は、光学センサ4を用いて自動走行しているので、光学センサ4も発熱している)。そして、除湿かつ加温された空気が、ファン30によって、吹出口61から透光ケース44の外面のその全周に渡って一様に吹付けられる。これによって、搬送車2が冷凍室10から前室11へ移動する際に、結露が透光ケース44に生じることが、および、霧が生じることが、上述の説明の通り防止される。
【0062】
搬送車2が前室11に入ってしばらくすると、透光ケース44が前室11の温度程度になるので、搬送車2は、ファン30およびヒータ31を作動停止させる。冷却ケース5は、前室11の空気によって温められる。冷却ケース5に付着している霜は、上述の通り前室11の空気によって温められて水になり、排出される。
【0063】
次いで、搬送車2は前室11から冷凍室10へ移動する。そして、搬送車2が冷凍室10で自動走行して荷役作業をする間に、冷却ケース5が冷凍室10の空気で再び冷やされる。次いで、搬送車2が冷凍室10から前室11へ移動する際に、同様のことが行われて結露の発生が防止される。以上が、搬送車2が冷凍室10と前室11とを往来する度に繰り返される。
【0064】
この結露防止方法によれば、冷却ケース5は、搬送車2が冷凍室10にいる間に自然に冷やされるので、冷却ケース5を繰り返し使用できる。したがって、光学センサユニット3自体は、特許文献6のような、頻繁に交換を要するシリカゲル(特許文献6の従来技術参照)や、電力を要するペルチェ素子等を含む冷却器(特許文献6の実施形態参照)を、除湿のために備える必要がない利点がある。
【0065】
なお、搬送車2が短時間だけ冷凍室10に入って出てくる場合がある。この場合、冷却ケース5は十分に冷えないが、透光ケース44も冷えないので、結露の問題はない。
【0066】
チャンバ6内のヒータ31は必須でない。搬送システムの構成や環境にもよるが、ヒータ31が無くても、光学センサ4の発熱のみによってチャンバ内6の乾燥空気を温めて、結露を防止できる場合もある。
【0067】
以下で、第2実施形態および第3実施形態の光学センサユニット3が説明される。第1実施形態と同一の構成には同一の符号が付され、同一の構成および効果の説明は省略される。
【0068】
図6の通り、光学センサユニット3は、外付けのヒータ装置7をさらに備える。ヒータ装置7は、少なくとも1つのヒータ70を備える。この実施形態では、3つのヒータ70(a),70(b),70(c)が設けられている。以下では、各ヒータに共通の構成を説明するときには、符号「70」が使用され、個々のヒータの構成を説明するときには、「70(a)」,「70(b)」,「70(c)」が使用されて区別される。
【0069】
ヒータ70は、透光ケース44の外面を温める(加熱する)ために熱を輻射する発熱体である。ヒータ70は、
図6,
図7A,
図7Bの通り、板状(面状)である。さらに、ヒータ70は、環状、より具体的には円環状である。このような環状かつ板状のヒータ70は、実施形態では、遠赤外線を放射するシリコンラバーヒータでよい。ヒータ70は、シリコンラバーヒータ以外のヒータでも当然よい。ヒータ70は、筒状の透光ケース44を囲むように水平に配置されている。環状のヒータ70及び筒状の透光ケース44は、同芯状に配置されている。環状のヒータ70は、実施形態のように円環状に限らず、例えば四角環状といった多角環状でもよく、中空部分を有するものであればその輪郭形状は問わない。
【0070】
図7A,
図7Bの通り、ヒータ70は、その環状の内側にある透光ケース44と接触しないように水平に配置されている。したがって、
図7Aの通り、ヒータ70と透光ケース44との間に環状、具体的には円環状の隙間Gが形成される。環状のヒータ70の内径は、隙間Gが形成されるように、筒状の透光ケース44の外径よりも大きく設定されている。チャンバ6の吹出口61からの空気(矢印R6)が隙間Gを通過できるように、隙間Gの位置および大きさが決められている。
【0071】
ヒータ70は、投光部41および受光部42とは異なる高さに水平に配置されており、したがって、投光部41によるレーザ光の投光および受光部42によるレーザ光の受光を遮らない。具体的には、ヒータ70(a)は、投光部41より下方あり、かつ、受光部42より上方に位置している。ヒータ70(b)は、透光ケース44の最下部に、したがって、受光部42より下方に位置している。ヒータ70(c)は、透光ケース44の最上部に、したがって、投光部41より上方に位置している。
【0072】
ヒータ70(a)は、上面および下面の双方から熱を輻射するように構成されている。ヒータ70(b)は、少なくとも上面から熱を輻射するように構成されている。ヒータ70(c)は、少なくとも下面から熱を輻射するように構成されている。光学センサ4のレーザ光は、遠赤外線とは異なる波長である。すなわち、ヒータ70の輻射熱は遠赤外線であり、光学センサ4のレーザ光は例えば近赤外線であり、両者の電磁波としての波長は互いに異なる。したがって、ヒータ70の輻射熱が、光学センサ4の機能に、したがってレーザ誘導方式の自動走行に干渉しない。
【0073】
図6の通り、棒状のヒータブラケット71が、ヒータ70(a)の下に設けられ、ヒータ70(a)とヒータ70(b)との間で上下に延在して、ヒータ70(a)を下方から支持して位置決めしている。ヒータブラケット71は、実施形態では2つ設けられている。
図6の通り、ヒータブラケット71は、受光部42の受光面の幅よりも十分に小さい幅を有している。したがって、ヒータブラケット71が、受光部42によるレーザ光(反射光)の受光に影響を及ぼさない。ヒータ70(b)は、チャンバ6上に配置されている。別のヒータブラケット72が、上部カバー46に取り付けられて、ヒータ70(c)を、上方から保持して位置決めしている。したがって、ヒータブラケット71,72は、投光部41とは同じ高さに存在せず、レーザ光の投光を遮らない。
【0074】
なお、ヒータ70は、搬送車2のバッテリから給電される。ヒータ70(a)への給電線(図示略)は、ヒータブラケット71の1つを伝ってヒータ70(a)に接続される。また、ヒータ70(c)への給電線は、ヒータブラケット71の1つを伝い、そこからさらに上方に引かれて、ヒータ70(c)に接続される。
【0075】
これらの給電線は、受光部42の高さに存在するものの、受光部42の受光面よりも十分に小さい幅を有しているので、受光部42によるレーザ光の受光に影響を及ぼさない。ヒータ70(c)への給電線は、投光部41の高さにも存在する。搬送車2は、
図2の通り、マスト22や昇降されたフォーク23”などレーザ光を遮断する要素があり、周囲360°のうち、レーザ誘導方式の自動走行で使用されない角度範囲がある。したがって、ヒータ70(c)への給電線は、マスト22が存在するこの角度範囲内に位置していれば、レーザ誘導方式の自動走行に干渉することはない。
【0076】
ファン30およびヒータ31と違って、ヒータ70は、搬送車2が冷凍倉庫1内で走行し荷役作業をしている間、常時ONにされて発熱し(例えば80℃で発熱し)、透光ケース44の外面を、輻射熱および温められた周囲の空気によって温めて、常に0℃程度(前室11での露点温度より高い温度)にする。また、このヒータ70によって、吹出口61から透光ケース44へ吹き付けられる空気(気流R6)は、さらに加熱される。
【0077】
ヒータ70がレーザ光の投受光を遮らないので、ヒータ70がレーザ誘導方式の自動走行の精度を低下させない。しかも、ヒータ70が、透光ケース44を囲い、透光ケース44の近くで、輻射熱および周囲の加熱された空気の双方で透光ケース44の外面をその全周に渡って温めているので、非常に効率的である。ヒータ70は透光ケース44に接触せず、隙間Gが設けられているので、ヒータ70自体の発熱温度を透光ケース44の耐熱温度以上にすることが可能である。
【0078】
なお、レーザ誘導方式の自動走行において、透光ケース44が投光部41の高さで結露することは、投射されたレーザ光の拡散をもたらすので許容できるものではない。一方、透光ケース44が受光部42の高さで結露することはある程度許容できる。周囲の空気が温められると、
図7Bの通り、ヒータ70(a)と透光ケース44との間の隙間Gを通過する温められた上昇気流R7が発生して、結露を特に嫌う透光ケース44の投光部41の高さ部分をその全周に渡って温めてくれることも利点である。
【0079】
ヒータ70(c)も、結露を特に嫌う透光ケース44の投光部41の高さ部分を温めていることも利点である。上記の通り、搬送車2が冷凍室10と前室11との間を移動する際にエアカーテン装置がエアカーテン(下降気流)を形成するが、これが搬送車2に上方から当てられる。ヒータ70(c)は、このエアカーテンを遮る役割もあり、透光ケース44が当該エアカーテンによって温度低下したり、吹出口61からの気流R6が拡散されたりするのを抑制する。
【0080】
輻射熱(遠赤外線)、ヒータ70(a),(c)への給電線、および、ヒータブラケット71,72が、レーザ誘導方式の自動走行に影響を与えないことも上述の通りである。
【0081】
図8は、第3実施形態の光学センサユニット3を示す。第3実施形態では、ヒータ70からの輻射熱を反射するための熱反射板73が、投光部41より上方に、第2実施形態のヒータ70(c)の代わりに設けられている。熱反射板73は、上部カバー46に取り付けられて、上部カバー46から水平に張り出して、庇状に配置されており、ヒータ70の真上に位置している。熱反射板73は、ヒータ70の外径より大きい外径を有する。熱反射板73は、例えば、少なくともその下面がアルミ箔で構成され、それによって、その下方に配置されたヒータ70からの輻射熱を反射する。
【0082】
第3実施形態では、熱反射板73が、ヒータ70からの輻射熱を下方に反射するので、輻射熱の拡散を抑制し、輻射熱のロスを抑制できる。さらに、ヒータ70(a)と熱反射板73との間に、熱が篭り、上記の気流R6,R7がたまるので、透光ケース44の投光部41の高さ部分をさらに効率的に温めることができる。つまり、第3実施形態は、第2実施形態よりも電力(バッテリ)消費を低減しつつも、透光ケース44を第2実施形態と同程度に効率的に温めることができる。また、庇状に配置された熱反射板73は、上記のエアカーテン(下降気流)を遮り、ヒータ70および透光ケース44がエアカーテンによって温度低下するのを防止する。
【0083】
第3実施形態の変形例として、第2実施形態のヒータ70(c)が、追加されて、熱反射板73の下方で投光部41の上方に位置するように、熱反射板73に保持されてよい。
【0084】
ヒータ70[70(a),70(b),70(c)]は、それぞれ、例えば
図9A,
図9Bの通り、外付けのヒータグループ74[74(a),74(b),74(c)]に置き換えられてもよい。ヒータグループ74は、透光ケース44を温めるために熱を輻射する複数(2以上)のヒータ75からなる。ヒータ75は、それぞれ、板状であり、水平に配置されている。ヒータ75は、ヒータ70と同様に、シリコンヒータなどの発熱体である。
【0085】
図9Aは、ヒータグループ74を例示する。
図9Aのヒータグループ74は、180°の円弧状の2つのヒータ75からなる。この2つの円弧状のヒータ75は、透光ケース44の周りを囲むように円環状に並べられており、協働して透光ケース44の外面をその全周に渡って温める。円弧状のヒータ75の数は、2つに限らず、3つ以上の円弧状のヒータが用いられて円環状に並べられてもよい。
【0086】
図9Bのヒータグループ74は、矩形状の4つのヒータ75からなる。この4つの矩形状のヒータ75が透光ケース44の周りを囲むように四角環状に並べられて、協働して透光ケース44の外面をその全周に渡って温める。当然ながら、透光ケース44の周りを囲むヒータ75の数、形状、および配列は、上記の態様に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0087】
1 冷凍倉庫
10 冷凍室
11 前室
2 搬送車
3 光学センサユニット
30 ファン
31 ヒータ(チャンバ内のヒータ)
4 光学センサ
40 投受光部
43 回転駆動部
44 透光ケース
45 下部ハウジング
5 冷却ケース
50 吸気口
51 導出口
52 流路
6 チャンバ
60 導入口
61 吹出口
62 下室
63 上室
64 仕切り
7 外付けヒータ装置