(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059384
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】クレードル、並びに、クレードル及び入力デバイスを含むシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/98 20140101AFI20240423BHJP
A63F 13/24 20140101ALI20240423BHJP
【FI】
A63F13/98
A63F13/24
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167039
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 健
(72)【発明者】
【氏名】太田 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】内田 望
(57)【要約】 (修正有)
【課題】グリップとグリップから伸びている被トラッキング部とを有している入力デバイスを安定的に支持するためのクレードルを提供する。
【解決手段】クレードル10は、グリップの後部を支持することのできる後支持壁11aと、後支持壁11aから前方に離れて位置し、入力デバイスのグリップの前部を支持することのできる前支持壁11bと、後支持壁11aと前支持壁11bとに対して左右方向の外側に位置し、被トラッキング部を支持することのできるサイド支持壁11cとを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップと前記グリップから伸びている被トラッキング部とを有している入力デバイスを支持するためのクレードルであって、
前記グリップの後部を支持することのできる後支持部と、
前記後支持部から前方に離れて位置し、前記入力デバイスの前記グリップの前部を支持することのできる前支持部と、
前記後支持部と前記前支持部とに対して左右方向の外側に位置し、前記被トラッキング部を支持することのできるサイド支持部と
を有しているクレードル。
【請求項2】
グリップと前記グリップから伸びている被トラッキング部とを有している入力デバイスを支持するためのクレードルであって、
前記グリップの後部を支持することのできる後支持部と、
前記後支持部に対して左右方向の外側に位置し、平面視において左右方向における外側に向かって膨らむように湾曲し、前記被トラッキング部を支持するサイド支持部と
を有しているクレードル。
【請求項3】
前記後支持部から前方に位置し、前記グリップの前部を支持できる前支持部を更に有している
請求項2に記載されるクレードル。
【請求項4】
前記後支持部と前記前支持部との間に凹部が形成されている
請求項1又は3に記載されるクレードル。
【請求項5】
前記凹部の底部に、開口が形成されている
請求項4に記載されるクレードル。
【請求項6】
前記サイド支持部は、前記後支持部と前記前支持部とを接続し、前記クレードルの平面視において左右方向における外側に膨らむように、湾曲している
請求項1に記載されるクレードル。
【請求項7】
前記後支持部と前記サイド支持部とを含み、前記入力デバイスの1つである右手用の入力デバイスを支持するクレードル右部と、
前記後支持部と前記サイド支持部とを含み、前記入力デバイスの別の1つである左手用の入力デバイスを支持するクレードル左部と、
を有している請求項1又は2に記載されるクレードル。
【請求項8】
前記サイド支持部は、左右方向での中心に向かって下がるように傾斜した支持面を有している
請求項7に記載されるクレードル。
【請求項9】
前記後支持部と前記前支持部は、前記入力デバイスと前記クレードルの平面視において前記グリップが斜めに配置されるように、形成されている
請求項7に記載されるクレードル。
【請求項10】
前記クレードル右部と前記クレードル左部は全体として環状である
請求項7に記載されるクレードル。
【請求項11】
請求項1又は2に記載されるクレードルと、
前記入力デバイスとを含む
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クレードル、並びに、クレードル及び入力デバイスを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
入力デバイスに発光部を設け、カメラによって発光部を検知することによって、入力デバイスの位置や姿勢をトラッキングする技術がある。下記特許文献1には、ゲーム操作用の入力デバイスが開示されている。この入力デバイスは、グリップと、グリップから伸びている湾曲した被トラッキング部とを有している。被トラッキング部に複数の発光部が設けられている。この入力デバイスは、例えばユーザが頭部に装着するヘッドマウントディスプレイに搭載されたカメラによって撮影され、その映像から、入力デバイスの位置や姿勢が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入力デバイスの不使用時に、入力デバイスを支持するためのクレードルが利用されることがある。特許文献1のような入力デバイスについても、被トラッキング部を含めて、入力デバイスの全体を安定的に支持することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示で提案するクレードルの一例は、グリップと前記グリップから伸びている被トラッキング部とを有する入力デバイスを支持する。前記クレードルは、前記グリップの後部を支持することのできる後支持部と、前記後支持部から前方に離れて位置し、前記入力デバイスの前記グリップの前部を支持することのできる前支持部と、前記後支持部と前記前支持部とに対して左右方向の外側に位置し、前記被トラッキング部を支持することのできるサイド支持部とを有している。このクレードルによれば、入力デバイスを安定的に支持できる。
【0006】
本開示で提案するクレードルの別の例は、グリップと前記グリップから伸びている被トラッキング部とを有している入力デバイスを支持する。前記クレードルは、前記グリップの後部を支持することのできる後支持部と、前記後支持部に対して左右方向の外側に位置し、平面視において左右方向における外側に向かって膨らむように湾曲し、前記被トラッキング部を支持するサイド支持部とを有している。このクレードルによっても、入力デバイスを安定的に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示で提案するクレードルの一例を示す斜視図である。
【
図6】
図1で示すクレードルと入力デバイスとを含むシステムの斜視図である。
【
図11】
図8で示すXI-XI線での断面図である。
【
図13】
図2で示すXIII-XIII線でのシステムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示で提案するクレードル、及び、クレードルと入力デバイスとを含むシステムについて図面を参照しながら説明する。本開示では、これらの一例として、クレードル10(
図1参照)及びシステムS(
図6参照)について説明する。
【0009】
以下では、
図1等で示すY1、Y2方向をそれぞれ前方及び後方と称し、X1、X2方向をそれぞれ右方及び左方と称し、Z1、Z2方向をそれぞれ上方及び下方と称する。
【0010】
[入力デバイスの概要]
システムSは、
図6で示すように、右手用の入力デバイス70Rと、左手用の入力デバイス70Lとを含んでいる。これらは、実質的に左右対称の外形状を有している。以下では、これら2つの入力デバイス70R・70Lに共通する説明においては、2つの入力デバイスについて符号「70」を用いる。
図14で示すように、入力デバイス70は、ユーザが片手で握るためのグリップ71、及びグリップ71から伸びている被トラッキング部72・73を有している。
【0011】
図14で示すように、グリップ71は、その上部(前部)に、ユーザが指で動かすための複数の操作部材を有している。例えば、グリップ71の上部の前側にはトリガーボタン81が配置される。また、グリップ71の上部の上面には、操作スティック82、操作ボタン83A・83B・83C(
図7参照)を有している。さらに、グリップ71は、その中途部に、サイドボタン84(
図14参照)を有してよい。
【0012】
図14で示すように、グリップ71の下部(後部)に端子71aが設けられていてよい。端子71aは、例えば、入力デバイス70が内蔵しているバッテリを充電するための端子であってよい。端子71aは、例えば、グリップ71の下部の前側に設けられていてよい。
【0013】
図6で示すように、入力デバイス70は、その外表面に、複数の発光部Hを有している。発光部Hは、被トラッキング部72・73の表面に配置される。各発光部Hの位置には、発光素子(具体的には、Light Emitting Diode)が配置されていてよい。ユーザの頭部に装着したヘッドマウントディスプレイに搭載されたカメラで、入力デバイス70が撮像される。その画像に表れる発光部Hの位置や大きさに基づいて、入力デバイス70の位置や姿勢が算出される。この算出は、ヘッドマウントディスプレイ自体や、ヘッドマウントディスプレイと通信する情報処理装置において実行されてよい。
【0014】
図7で示すように、入力デバイス70は、後被トラッキング部72を有している。また、入力デバイス70は、サイド被トラッキング部73を有してもよい。後被トラッキング部72は、グリップ71の下部(後部)に接続している。後被トラッキング部72は、例えば、環状であってよい。入力デバイス70を後側から見たときに、後被トラッキング部72の内側にグリップ71が位置している。ユーザは後被トラッキング部72の内側に手を差し込んでグリップ71を握ることで、入力デバイス70を操作できる。
【0015】
図7で示すように、サイド被トラッキング部73は、グリップ71に対して、左右方向における外側に位置している。具体的には、右手用の入力デバイス70Rにおいて、サイド被トラッキング部73は、グリップ71に対して右方に位置している。また、左手用の入力デバイス70Lにおいて、サイド被トラッキング部73は、グリップ71に対して左方に位置している。サイド被トラッキング部73は、グリップ71の上部(前部)から左右方向における外側に向かって伸び、後側に湾曲し、後被トラッキング部72の側部に接続している。
図4に示すように、サイド被トラッキング部73の幅W73は、入力デバイス70の側面視において、後被トラッキング部72に近づくに従って徐々に大きくなっていてよい。
【0016】
被トラッキング部72・73の形状は、図で示す例に限られない。例えば、サイド被トラッキング部73は、グリップ71には接続しているものの、後被トラッキング部72に接続していなくてもよい。反対に、サイド被トラッキング部73は、後被トラッキング部72には接続しているものの、グリップ71に接続していなくてもよい。更に他の例として、後被トラッキング部72は環状でなくてもよい。例えば、後被トラッキング部72は円弧状であってもよい。
【0017】
[クレードル]
図2で示すように、クレードル10は、右手用の入力デバイス70Rを支持するクレードル右部10Rと、左手用の入力デバイス70Lを支持するクレードル左部10Lとを有している。クレードル右部10Rとクレードル左部10Lは、クレードル10の左右方向での中心線C1に対して、対称の形状を有している。
【0018】
図1で示すように、クレードル右部10Rとクレードル左部10Lのそれぞれは、グリップ71の後部(下部)を支持することのできる後支持壁11aと、後支持壁11aから前方に離れて位置し、グリップ71の前部(上部)を支持することのできる前支持壁11bとを有している。また、クレードル右部10Rとクレードル左部10Lのそれぞれは、前支持壁11bと後支持壁11aとに対して左右方向の外側に位置し、被トラッキング部72・73を支持することのできるサイド支持壁11cとを有している。すなわち、クレードル右部10Rは、前支持壁11bと後支持壁11aとに対して右方に位置するサイド支持壁11cを有している。クレードル左部10Lは、前支持壁11bと後支持壁11aとに対して左方に位置するサイド支持壁11cを有している。クレードル10のこの構造によると、入力デバイス70を安定的に支持できる。
【0019】
図1で示すように、後支持壁11aと前支持壁11bとの間には、凹部Eが形成されている。凹部Eは、クレードル右部10Rの前支持壁11b、後支持壁11a、及びサイド支持壁11cの内側、並びに、クレードル左部10Lの前支持壁11b、後支持壁11a、及びサイド支持壁11cの内側に形成されている。1つの凹部Eがクレードル右部10Rとクレードル左部10Lとに跨がって形成されている。クレードル10が入力デバイス70を支持しているとき、グリップ71は、平面視において、この凹部Eの内側に位置している。これにより、ユーザは、グリップ71を握ったまま、入力デバイス70をクレードル10に置いたり、クレードル10から取り外したりできる。
【0020】
図1で示すように、凹部Eの底部には、開口11dが形成されている。開口11dは、クレードル10の底部を貫通している。この構造によると、ユーザがグリップ71を握ったまま、入力デバイス70をクレードル10に置くときに、クレードル10の底部と手が干渉することを、効果的に抑えることができる。図で示す例では、左右方向に細長い1つの開口11dが、クレードル右部10Rとクレードル左部10Lとに跨がって形成されている。これとは異なり、クレードル右部10Rとクレードル左部10Lのそれぞれに開口が形成されてもよい。
【0021】
図2で示すように、サイド支持壁11cは、クレードル10の平面視において、左右方向における外側に膨らむように湾曲している。すなわち、右側のサイド支持壁11cは右方に膨らむように湾曲し、左側のサイド支持壁11cは左方に膨らむように湾曲している。被トラッキング部72・73も湾曲しており、サイド支持壁11cは、被トラッキング部72・73に沿うように湾曲している。この構造により、クレードル10は、被トラッキング部72・73をより安定的に支持できる。
【0022】
サイド支持壁11cは、前支持壁11bと、後支持壁11aとに接続している。すなわち、サイド支持壁11cは、後支持壁11aから前支持壁11bまで、湾曲しながら伸びている。これによれば、被トラッキング部72・73の広い範囲を支持できるようになり、入力デバイス70の支持安定性を更に向上できる。
【0023】
図2で示すように、後支持壁11a、サイド支持壁11c、及び前支持壁11bは全体として、略半円形であってよい。すなわち、クレードル右部10Rの支持壁11a・11c・11bは、クレードル10の中心線C1に対して右方に規定された点X1を中心として湾曲している。クレードル左部10Lの支持壁11a・11c・11bは、クレードル10の中心線C1に対して左方に規定された点X2を中心として湾曲している。そして、クレードル右部10Rの前支持壁11bとクレードル左部10Lの前支持壁11bは相互に接続している。クレードル右部10Rの後支持壁11aとクレードル左部10Lの後支持壁11aも相互に接続している。クレードル右部10Rの支持壁11a・11c・11bと、クレードル左部10Lの支持壁11a・11c・11bは、全体として左右方向に細長い環状である。これらは、全体として上方に開いた腕形状であってよい。
【0024】
支持壁11a・11c・11bは、グリップ71の前面71d(
図14)、サイド被トラッキング部73の下縁73a(
図14)、後被トラッキング部72の最下部の前縁72a(
図14)、及びグリップ71の最後部71c(
図14)に沿って配置される。
【0025】
図3で示すように、後支持壁11aには、グリップ71の後部に設けられている端子71aと電気的に接続するための端子部12が形成されている。端子部12には、複数の端子12aと、磁石12bとが設けられてよい。一方、入力デバイス70の端子71aには、アダプタ91(
図15参照)が取り付けられてよい。アダプタ91は、複数の端子91aと、磁性体91b(
図13参照)とを有している。アダプタ91は、磁力によって、端子部12に取り付けられる。そして、端子部12の端子12a(
図3及び
図13参照)と、入力デバイス70の端子71aは、アダプタ91の端子91a(
図15及び
図13参照)を介して電気的に接続する。
図8に示すように、クレードル10にはケーブルBが接続されている。ケーブルBは左右の前支持壁11bの間に接続されていてよい。
なお、図で示す例とは異なり、端子部12は、グリップ71の端子71aと直接的に電気的に接続するように構成されてよい。すなわち、端子部12は、アダプタ91を利用することなく、グリップ71の端子71aと接続するように構成されてよい。
【0026】
図3で示すように、磁石12bは、例えば、複数の端子12aを取り囲む環状であってよい。また、磁石12bは、クレードル10の表面(端子部12の表面)から露出していてよい。これにより、磁石12bと磁性体91bとの間に発生する磁力を、十分に確保できる。また、
図13で示すように、磁石12bと磁性体91bとの間には隙間が確保されていてよい。これにより、磁石12bと磁性体91bとが接する構造に比して、入力デバイス70のクレードル10からの取り外しをスムーズに行うことができる。
【0027】
図3で示すように、後支持壁11aには、グリップ71の後部をガイドするガイド面11eが形成されている。ガイド面11eは、左右方向の外側に向くように傾斜している。すなわち、右側の後支持壁11aに設けられているガイド面11eは、斜め上方且つ右方に向くように傾斜している。反対に、左側の後支持壁11aに設けられているガイド面11eは、斜め上方且つ左方に向くように傾斜している。端子部12は、ガイド面11eに形成されている。端子部12は、ガイド面11eと同様に、上方且つ左右方向の外側に向くように傾斜している。
これにより、若干傾斜した姿勢で入力デバイス70をクレードル10に載せることができ、入力デバイス70の脱着作業をスムーズ化できる。また、入力デバイス70の重さを、湾曲したサイド支持壁11cで受けることができる。その結果、入力デバイス70の支持姿勢を安定化できる。
【0028】
図3及び
図13で示すように、後支持壁11aは、ガイド面11eから、更に上方に伸びているガイド壁11fを有している。グリップ71の後部が端子部12に載せられているとき、ガイド壁11fはグリップ71の後面に沿って立つ。このガイド壁11fによって、グリップ71の後部をガイド面11e及び端子部12に配置する作業を容易化できる。なお、入力デバイス70をクレードル10に載せているとき、端子部12がグリップ71を支持し、ガイド面11eはグリップ71の後部には接していなくてもよい。これとは異なり、ガイド面11eはグリップ71の後部に接していてもよい。
【0029】
図3で示すように、ガイド面11eには凹部11gが形成されている。端子部12は、この凹部11gの内側に形成されている。この構造によると、入力デバイス70以外の装置(例えば、携帯電話)を、端子部12に接続し、充電することを防止できる。
【0030】
凹部11gは、上方だけでなく、前方にも開口している。言い換えれば、端子部12の左側、右側、及び後側には凸部又は壁が形成されているものの、端子部12の前側には、そのような凸部等が形成されていない。この形状によれば、入力デバイス70をクレードル10から取り外すときに、アダプタ91が前支持壁11aに引っかかることを抑えることができ、入力デバイス70の取り外し作業をスムーズに行うことができる。
【0031】
図11に示すように、クレードル右部10Rとクレードル左部10Lのそれぞれのサイド支持壁11cは、その上縁に沿った支持面11hを有している。支持面11hは、クレードル10の内側に向かって下がるように、傾斜している。図で示す例では、クレードル右部10Rの支持面11hは、中心線C1より右方に規定さている点X1(
図2参照)に向かって下がるように、傾斜している。一方、クレードル左部10Lの支持面11hは、中心線C1より左方に規定さている点X2(
図2参照)に向かって下がるように、傾斜している。支持面11hには、被トラッキング部72・73の縁が接している。支持面11hの傾斜によって、左右方向の外側への入力デバイス70の位置ずれを、防ぐことができる。
【0032】
図2で示すように、クレードル10の平面視において、サイド支持壁11cは円弧状に湾曲している。支持面11hは、点X1・X2(
図2参照)を中心とする円周における90度よりも大きな角度範囲に亘って、被トラッキング部72・73に接している。これにより、入力デバイス70の位置をより安定させることができる。
【0033】
サイド支持壁11cは、支持面11hよりも上方に伸びている部分を有していない。そのため、被トラッキング部72・73の外面はサイド支持部11cによって覆われていない。サイド支持壁11cの上縁は、クレードル10の側面視において、実質的に水平面に沿って伸びていてよい。
【0034】
図11で示すように、サイド支持壁11cには、クッション層11iが設けられていてよい。このクッション層11iの表面が支持面11hとして機能していてよい。これによれば、入力デバイス70の表面をクッション層11iによって保護できる。クッション層11iは、サイド支持壁11cの他の部分よりも柔らかい材料で形成される。例えば、サイド支持壁11cは、例えば、エンジニアプラスチック(例えば、ABS樹脂)で形成される。一方、クッション層11iは、例えば、エラストマーで成形される。クッション層11iはゴムで成形されていてもよい。
【0035】
図12及び
図13で示すように、クッション層11iは、後支持壁11aのガイド面11e、及び前支持壁11bの後述するガイド凹部11jにも設けられていてもよい。
図2で示すように、このクッション層11iは、前支持壁11bから後支持壁11aまで伸びている円弧状であったり、環状であってもよい。(
図2においてパターンが付された領域が、クッション層11iを表している。)
【0036】
図9及び
図10で示すように、サイド支持壁11cの外面11kは、上方且つ左右方向の外側に向かって広がるように傾斜している。また、入力デバイス70を正面視或いは背面視したとき、被トラッキング部72・73の側部の外面72b・73bは、上方且つ左右方向の外側に向かって伸びている。これにより、クレードル10と入力デバイス70の視覚的な一体感が増し、クレードル10が目立つことを抑えることができる。
【0037】
サイド支持壁11cの外面11kと、被トラッキング部72・73の外面72b・73bは、共通の円弧Ar1(
図9及び
図10)に沿って湾曲していてよい。これにより、クレードル10と入力デバイス70の視覚的な一体感を更に増すことができる。これらは、実質的に面一に配置されてよい。
【0038】
図8で示すように、前支持壁11bの前面11mは、上方且つ前方に向かって広がるように傾斜している。また、クレードル10及び入力デバイス70を側面視したとき、入力デバイス70の前面(グリップ71の前面71d)も、上方且つ前方に向かって伸びている。これにより、クレードル10と入力デバイス70の視覚的な一体感が増し、クレードル10が目立つことを抑えることができる。
【0039】
前支持壁11bの前面11mと、グリップ71の前面71dは、共通の円弧Ar2に沿って湾曲していてよい。これにより、クレードル10と入力デバイス70の視覚的な一体感を更に増すことができる。これらは、実質的に面一に配置されてよい。
【0040】
図8で示すように、後支持壁11aの後面11nも、上方且つ後方に向かって広がるように傾斜していてよい。クレードル10及び入力デバイス70を側面視したとき、入力デバイス70の下部の下面(後面)72cも、上方且つ後方に向かって伸びていてよい。これにより、クレードル10と入力デバイス70の視覚的な一体感を更に増すことができる。
【0041】
図12で示すように、クレードル10の前支持壁11bは、グリップ71の前側に配置されたトリガーボタン81の前側を覆うように形成されている。前支持壁11bには、トリガーボタン81との干渉を回避するガイド凹部11j(
図1参照)が形成されている。入力デバイス70がクレードル10上に配置されているとき、前支持壁11bはトリガーボタン81に接触していない。これにより、トリガーボタン81に無用な負荷が作用することを抑えることができている。
【0042】
また、入力デバイス70がクレードル10上に配置されているとき、グリップ71も前支持壁11bに接触していなくてもよい。より具体的には、
図12で示すように、トリガーボタン81が配置される開口の縁の上側(グリップ71の前面71dの下縁71e)と、前支持壁11bの上縁11p(
図1参照)との間に、僅かな隙間が形成されていてよい。入力デバイス70は、クレードル10上に配置されているとき、後支持壁11aとサイド支持壁11cとだけで支持されていてよい。
【0043】
入力デバイス70がクレードル10上で僅かに動き、被トラッキング部72・73がサイド支持壁11cから僅かに浮き上がると、グリップ71の前面71dの下縁71eを前支持壁11bの上縁11pが支持することとなる。
【0044】
図1で示すように、ガイド凹部11jは、トリガーボタン81の縁81a(
図14参照)に沿って形成されているガイド面11qを有している。ガイド面11qは、トリガーボタン81の右縁、左縁、及び下縁を取り囲むように形成されている。入力デバイス70をクレードル10上に配置しているとき、ガイド面11qとトリガーボタン81との間にも隙間が確保されてよい。入力デバイス70をクレードル10上に配置するときに、ガイド面11qは、トリガーボタン81の位置をガイドする。
【0045】
入力デバイス70をクレードル10上に配置するときに、まず、グリップ71の後部を後支持部11aに配置する。このとき、端子71aがアダプタ91を介してクレードル10の端子部12に電気的に接続する。また、トリガーボタン81をガイド凹部11jに配置する。このとき、トリガーボタン81の位置はガイド面11qによって案内される。ユーザがグリップ71から手を離すと、入力デバイス70は自重により、左右方向における外側に傾き、被トラッキング部72・73がサイド支持壁11c上で支持される。その一方で、グリップ71の前面71dの下縁71e(
図12参照)と、前支持壁11bの上縁との間には、僅かな隙間が確保される。
【0046】
クレードル10と入力デバイス70とを平面視したときに、グリップ71が斜めに配置されるように、前支持壁11bと後支持部11aは形成されている。詳細には、左右の入力デバイス70のグリップ71の間の距離が後方に向かって大きくなるように、前支持壁11bと後支持部11aは形成されている。
【0047】
例えば、
図2で示すように、後支持壁11aに形成されている端子部12は、前支持壁11bに形成されているガイド凹部11jよりも、左右方向における外側に位置する。すなわち、クレードル右部10Rにおいては、端子部12はガイド凹部11jよりも右方に位置している。クレードル左部10Lにおいては、端子部12はガイド凹部11jよりも左方に位置している。前支持壁11bと後支持部11aのこのような配置によって、ユーザは、左右の入力デバイス70のグリップ71を握ったまま、それらをクレードル10にスムーズに配置したり、或いは左右の入力デバイス70をクレードル10から取り外すことができる。
【0048】
クレードル10は、重りを内蔵していてもよい。重りは、例えば、1又は複数の金属板であってよい。クレードル10は、支持壁11a・11b・11cの内面を構成する内側ケース13(
図11参照)と、支持壁11a・11b・11cの外面を構成する外側ケース14(
図11参照)とで構成される。それらのケース13・14の間に重り21(
図4参照)が配置されてよい。重り21は、例えば、クレードル10の後部が前部よりも重くなるように配置されてよい。こうすることによって、磁力によって端子部12に吸着している入力デバイス70の端子71aを、クレードル10からスムーズに取り外すことができる。
【0049】
また、クレードル10は、ボトムケース15(
図11参照)を有してよい。このボトムケース15にも、例えば、環状の重り22が配置されてよい。
【0050】
(1)クレードル10は、グリップ71の後部を支持することのできる後支持壁11aと、後支持壁11aから前方に離れて位置し、入力デバイス70のグリップ71の前部を支持することのできる前支持壁11bと、後支持壁11aと前支持壁11bとに対して左右方向の外側に位置し、被トラッキング部72・73を支持することのできるサイド支持壁11cとを有している。このクレードル10によると、被トラッキング部72・73を含めて入力デバイス70を安定的に支持できる。
【0051】
(2)クレードル10は、グリップ71の後部を支持することのできる後支持壁11aと、後支持壁11aに対して左右方向の外側に位置し、平面視において左右方向における外側に向かって膨らむように湾曲し、被トラッキング部72・73を支持するサイド支持壁11cとを有している。このクレードル10によっても、被トラッキング部72・73を含めて入力デバイス70を安定的に支持できる。
【0052】
(3)(2)において、クレードル10は、後支持壁11aから前方に位置し、グリップ71の前部を支持できる前支持壁11bを更に有している。
【0053】
(4)(1)~(3)において、後支持壁11aと前支持壁11bとの間に凹部Eが形成されている。これによると、ユーザは、グリップ71を握ったまま、入力デバイス70をクレードル10に置いたり、クレードル10から取り外したりできる。
【0054】
(5)(4)において、凹部Eの底部に、開口11dが形成されている。この構造によると、グリップ71を握っているユーザの手が、クレードル10と干渉することを効果的に抑えることができる。
【0055】
(6)(1)~(5)において、サイド支持壁11cは、後支持壁11aと前支持壁11bとを接続し、クレードル10の平面視において左右方向における外側に膨らむように、湾曲している。これによると、入力デバイス70を、より安定的に支持できる。
【0056】
(7)(1)~(6)において、クレードル10は右手用の入力デバイス70を支持するクレードル右部10Rと、左手用の入力デバイス70を支持するクレードル左部10Lとを有している。これによると、左右の入力デバイス70を安定的に支持できる。
【0057】
(8)(7)において、サイド支持壁11cは、左右方向での中心に向かって下がるように傾斜した支持面11hを有している。これによると、左右方向の外側への入力デバイス70の位置ずれを抑えることができる。
【0058】
(9)(7)又は(8)において、後支持壁11aと前支持壁11bは、入力デバイス70とクレードル10の平面視においてグリップ71が斜めに配置されるように、形成されている。これによると、入力デバイス70のクレードル10への脱着作業を容易化できる。
【0059】
(10)(1)~(9)において、クレードル右部10Rとクレードル左部10Lは全体として環状である。これによると、クレードル10の形状を簡単化できる。
【0060】
(11)システムSは、(1)~(10)のクレードル10と、入力デバイス70とを含む。
【符号の説明】
【0061】
10:クレードル、10L:クレードル左部、10R:クレードル右部、11a:後支持部、11b:前支持壁、11c:サイド支持部、11d:開口、11e:支持面
11f:ガイド壁、11g:凹部、11h:支持面、11i:クッション層、11j:ガイド凹部、11k:外面、11m:前面、11n:後面、11p:上縁、11q:ガイド面、12:端子部、12a:端子、12b:磁石、13:内側ケース、14:外側ケース
15:ボトムケース、21・22:重り、70・70L・70R:入力デバイス、71:グリップ、71a:端子、71c:最後部、71d:前面、71e:下縁、72:後被トラッキング部、72a:前縁、72b:外面、72c:後面、73:サイド被トラッキング部、73a:下縁、91:アダプタ、91a:端子、91b:磁性体、E:凹部、H:発光部、S:システム。