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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005939
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】容器体
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A47J27/00 103R
A47J27/00 103H
A47J27/00 103J
A47J27/00 103N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106422
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】中井 智彦
(72)【発明者】
【氏名】木野 伸哉
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA57
4B055CA19
4B055CA22
4B055CA90
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、外観が損なわれるおそれを低減することができる容器体を提供することである。
【解決手段】本発明に係る容器体100は、本体111aと、前記本体の上側に配置され、外側から視認可能な状態となり得る肩部材111cと、前記肩部材の内側に配置され、前記肩部材に固定される第1内側部品111eと、を備え、前記肩部材は、前記本体に対して係止されておらず、前記第1内側部品は、前記本体に対して係止されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の上側に配置され、外側から視認可能な状態となり得る肩部材と、
前記肩部材の内側に配置され、前記肩部材に固定される第1内側部品と、を備え、
前記肩部材は、前記本体に対して係止されておらず、
前記第1内側部品は、前記本体に対して係止されている
容器体。
【請求項2】
前記第1内側部品は、前記本体に対して爪係止構造によって係止されている
請求項1に記載の容器体。
【請求項3】
前記本体の内側に配置され、前記肩部材に固定される第2内側部品をさらに備える
請求項1または2に記載の容器体。
【請求項4】
前記第2内側部品は、前記本体の底部に締結されている
請求項3に記載の容器体。
【請求項5】
前記第1内側部品は、前記本体に対して係止されている状態において前記本体の側壁部の内面に接触するリブを有する
請求項1または2に記載の容器体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器体に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「炊飯鍋を収容する炊飯器本体と、該炊飯器本体に開閉可能に取り付けられ前記炊飯鍋の開口部を閉塞する蓋体とを備える炊飯器。」が提案されている(例えば、特開2006-314700号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-314700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような炊飯器などの容器体では、外側から視認可能な状態となり得る肩部材が本体の上側に配置されると共に、本体に対する係止を可能にする係止部が肩部材に形成されて肩部材が本体に対して係止されて固定される。しかし、肩部材に係止部が形成される場合、肩部材の形状が比較的複雑となる。この結果、肩部材の成形時において肩部材にヒケやウエルドラインなどが生じやすくなり、容器体の外観が損なわれるおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、外観が損なわれるおそれを低減することができる容器体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る容器体は、
本体と、
前記本体の上側に配置され、外側から視認可能な状態となり得る肩部材と、
前記肩部材の内側に配置され、前記肩部材に固定される第1内側部品と、を備え、
前記肩部材は、前記本体に対して係止されておらず、
前記第1内側部品は、前記本体に対して係止されている。
【0007】
上記構成によれば、第1内側部品に係止部を形成して肩部材に係止部を形成しないようにし、第1内側部品を本体に対して係止させることができる。第1内側部品に係止部を形成することで第1内側部品の形状が比較的複雑になり、第1内側部品にヒケやウエルドラインなどが生じやすくなるが、第1内側部品は肩部材の内側に配置されて隠される。このため、この容器体では、外観が損なわれるおそれを低減することができる。
【0008】
本発明では、
前記第1内側部品は、前記本体に対して爪係止構造によって係止されていると好適である。
【0009】
上記構成によれば、例えば容器体をメンテナンスなどする時に、できるだけ容易に係止状態を解除することができる。
【0010】
本発明では、
前記本体の内側に配置され、前記肩部材に固定される第2内側部品がさらに備えられると好適である。
【0011】
上記構成によれば、肩部材、第1内側部品および第2内側部品を一体構造にし、第1内側部品および第2内側部品によって結果的に肩部材の重量が増すようにすることができる。このため、この容器体では、本体と肩部材との間に隙間ができるだけ生じないようにすることができる。したがって、この容器体では、外観が損なわれるおそれをより低減することができる。
【0012】
本発明では、
前記第2内側部品は、前記本体の底部に締結されていると好適である。
【0013】
上記構成によれば、本体と肩部材との間に隙間がより生じないようにすることができる。このため、この容器体では、外観が損なわれるおそれをより低減することができる。
【0014】
本発明では、
前記第1内側部品は、前記本体に対して係止されている状態において前記本体の側壁部の内面に接触するリブを有すると好適である。
【0015】
上記構成によれば、本体が内方に凹むことをできるだけ抑制することができる。このため、この容器体では、外観が損なわれるおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の斜視図である。なお、本図では、蓋体が閉じられた状態が示されている。
図2】本発明の実施の形態に係る炊飯器を左右方向の中心を通るように前後方向に沿って切断した縦断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る肩部材の上方斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る制御回路基板支持部材の上方斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る胴体の上方斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係る保護枠のフランジ部、制御回路基板支持部材および電源回路基板支持部材の嵌合状態を示す上方斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係る保護枠のフランジ部、制御回路基板支持部材および電源回路基板支持部材の嵌合状態を示す下方斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係る筐体を電源回路基板支持部材のビス受け部の第2ビス孔を通るように前後方向に沿って切断した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の構造>
本発明の実施の形態に係る炊飯器100は、誘導加熱式の圧力炊飯器であって、図1および図2に示されるように、主に、本体110、内鍋130、蓋体140およびヒンジ機構150等から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0018】
1.本体
本体110は、図1図2および図8に示されるように、主に、筐体111、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、保温ヒータHT、フェライトコア組立体(図示せず)、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、操作パネル117、電源回路基板118、制御回路基板119および自動巻取式電源コードユニット120等から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0019】
(1)筐体
筐体111は、図1図2および図8に示されるように、主に、胴体111a、肩部材111c、保護枠111d、制御回路基板支持部材111eおよび電源回路基板支持部材111f等から構成されている。以下、これらの構成要件について詳述する。なお、筐体111は、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、フェライトコア組立体、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、電源回路基板118、制御回路基板119および自動巻取式電源コードユニット120等を収容している。
【0020】
(1-1)胴体
胴体111aは、図1図2図5および図8に示されるように、側壁Aaおよび底壁Abから形成されている。側壁Aaは、平面視において略方形状を呈する囲い壁であって、図1図2および図8に示されるように本体110の側面を覆っている。また、図5に示されるように、側壁Aaの前側上端には爪受け部Aa1が3つ形成されている。この爪受け部Aa1および制御回路基板支持部材111eの爪部Ecによって、制御回路基板支持部材111eが胴体111aに対して係止されている(図2参照)。なお、本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、肩部材111cは胴体111aに対して係止されていない。底壁Abは、図2図5および図8に示されるように、略方形状の板部材であって、側壁Aaの下端から内側に延びており、側壁Aaの下側の開口を覆っている。また、この底壁Abには、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口Ab1(図2および図5参照)、および、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口(図示せず)が形成されている。なお、図2に示されるように、吸気口Ab1の直上には、送風ファン115が配設されている。この送風ファン115が駆動されると、吸気口Ab1を通って外部の空気が筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口から系外に排出される。また、図5に示されるように、底壁Abの前部の左右部(吸気口Ab1の左右側)には第1ビス孔Ab2が形成されている。この第1ビス孔Ab2と電源回路基板支持部材111fのビス受け部Fbの第2ビス孔Fb1が重なった状態で第1ビス孔Ab2の下側からビスが螺入されることで、電源回路基板支持部材111fが底壁Abに締結される。また、図5および図8に示されるように、底壁Abの前後方向中間部の左右部および後部の左右部には上方に延びるビス受け部Acが形成されており、このビス受け部Acには第2ビス孔Ac1が形成されている。この第2ビス孔Ac1と保護枠111dの内鍋収容部Daのビス受け部のビス孔が重なった状態で第2ビス孔Ac1の下側からビスが螺入されることで、保護枠111dの内鍋収容部Daが底壁Abに締結される。
【0021】
(1-2)肩部材
肩部材111cは、図1および図2に示されるように、胴体111aの上側に配置されており、蓋体140が閉じられた状態でも一部が外側から視認可能である。また、肩部材111cは、図3に示されるように、前枠部Ca、後枠部Cb、第1ビス受け部(図示せず)および第2ビス受け部(図示せず)から形成されている。前枠部Caは、平面視において略半月状を呈しており、図3に示されるように、後枠部Cbの前側に形成されている。前枠部Caの上側には操作パネル117が配置される。後枠部Cbは、平面視において略方形状を呈しており、図3に示されるように、前枠部Caの後側に形成されている。なお、図3に示されるように、後枠部Cbの中央部には開口Cb1が形成されている。この開口Cb1は、内鍋130の挿入口としての役目を担う。また、図3に示されるように、後枠部Cbのうち開口Cb1の左右側には、下側に凹む凹部Cb2が形成されている。内鍋130が、開口Cb1に挿通されて保護枠111dの内鍋収容部Daに収容される時、内鍋130の取っ手部が、この凹部Cb2に嵌め込まれる。また、後枠部Cbの下面には、保護枠111dのフランジ部Dbが取り付けられている(図2参照)。第1ビス受け部は、平面透視において制御回路基板支持部材111eの基体部Eaの第1ビス孔Ea1と重なる位置に形成されている。この第1ビス受け部には第1ビス孔が形成されている。第2ビス受け部は、平面透視において制御回路基板支持部材111eのビス受け部Ebと重なる位置に形成されている。この第2ビス受け部には第2ビス孔が形成されている。
【0022】
(1-3)保護枠
保護枠111dは、内鍋130の外周を保護すると共に肩部材111cの形状を保持する役目を担う部材であって、図2に示されるように、主に、内鍋収容部Daおよびフランジ部Dbから構成されている。
【0023】
内鍋収容部Daは、内鍋130の外周を覆う椀状の部位である(図2参照)。図2に示されるように、内鍋収容部Daの上側にフランジ部Dbが配置され、内鍋収容部Daおよびフランジ部Dbが互いに連結される。なお、図示しないが、内鍋収容部Daには、平面透視において胴体111aの底壁Abのビス受け部Acと重なる位置にビス受け部が形成されている。このビス受け部にはビス孔が形成されており、上述の通り、このビス孔と胴体111aの底壁Abのビス受け部Acの第2ビス孔Ac1が重なった状態で第2ビス孔Ac1の下側からビスが螺入されることで、内鍋収容部Daが胴体111aの底壁Abに締結される。また、図2に示されるように、内鍋収容部Daの底壁の中央部には、サーミスタ114を通すための開口が形成されている。
【0024】
フランジ部Dbは、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のエンジニアリングプラスチック等から形成されており、上述の通り、肩部材111cの後枠部Cbの下面に取り付けられている。なお、エンジニアリングプラスチックは、汎用樹脂に比べてその剛性が高く、耐熱性に優れるため、汎用樹脂よりも熱変形しにくい性質を有する。また、フランジ部Dbは、図6および図7に示されるように、基体部Dcおよび支持部Ddから形成されている。基体部Dcは、平面視において略方形状を呈している(図6および図7参照)。なお、図6および図7に示されるように、基体部Dcの中央部には開口Dc1が形成されている。この開口Dc1は、内鍋130の挿入口としての役目を担う。支持部Ddは、図6および図7に示されるように、フランジ部Dbの前側左右端から前側に延びている。なお、図6に示されるように、支持部Ddにはビス孔Dd1が形成されている。このビス孔Dd1は、平面透視において制御回路基板支持部材111eの基体部Eaの第1ビス孔Ea1と重なっている。
【0025】
(1-4)制御回路基板支持部材
制御回路基板支持部材111eは、ポリプロピレン(PP)等の汎用樹脂等から形成されており、肩部材111cの前枠部Caの内側且つ操作パネル117の下側に配置され(図2および図8参照)、蓋体140の開閉状態に関わらず外側から視認不可能である。また、制御回路基板支持部材111eは、図4図6および図7に示されるように、基体部Ea、ビス受け部Eb、爪部EcおよびリブEdから形成されている。基体部Eaは、平面視において略半月状を呈しており(図4および図6参照)、制御回路基板119を支持する役目を担っている。なお、図4に示されるように、基体部Eaの左右端部には第1ビス孔Ea1が形成されている。ビス受け部Ebは、図4および図6に示されるように、基体部Eaの前端部から上方に延びている。図4および図6に示されるように、このビス受け部Ebには第2ビス孔Eb1が形成されている。爪部Ecは、胴体111aの側壁Aaの3つの爪受け部Aa1に対して係止可能となるように基体部Eaに3つ形成されている(図4および図6参照)。リブEdは、図4図6および図7に示されるように、基体部Eaの外縁から外方に延びる突起部分である。このリブEdは、制御回路基板支持部材111eが胴体111aに対して係止されている状態において胴体111aの側壁Aaの内面に接触し、胴体111aの側壁Aaを外側に張り出すようにして胴体111aの側壁Aaの形状を保持している。
【0026】
(1-5)電源回路基板支持部材
電源回路基板支持部材111fは、ポリプロピレン(PP)等の汎用樹脂等から形成されており、胴体111aの内側(より詳細には、胴体111aおよび保護枠111dの内鍋収容部Daの間)に配置され(図2および図8参照)、蓋体140の開閉状態に関わらず外側から視認不可能である。また、電源回路基板支持部材111fは、図6図8に示されるように、基体部Faおよびビス受け部Fbから形成されている。基体部Faは、電源回路基板118を支持する役目を担っている。なお、図示しないが、基体部Faには、平面透視において制御回路基板支持部材111eの基体部Eaの第1ビス孔Ea1と重なる位置に第1ビス孔が形成されている。ビス受け部Fbは、図7および図8に示されるように、基体部Eaの下端から下方に延びている。ビス受け部Fbには第2ビス孔Fb1が形成されており、第2ビス孔Fb1は、平面透視において胴体111aの底壁Abの第1ビス孔Ab2と重なっている。そして、上述の通り、胴体111aの底壁Abの第1ビス孔Ab2およびこの第2ビス孔Fb1が重なった状態で胴体111aの底壁Abの第1ビス孔Ab2の下側からビスが螺入されることで、電源回路基板支持部材111fが胴体111aの底壁Abに締結される。
【0027】
(肩部材、保護枠のフランジ部、制御回路基板支持部材および電源回路基板支持部材の締結構造)
ここで、肩部材111c、保護枠111dのフランジ部Db、制御回路基板支持部材111eおよび電源回路基板支持部材111fの締結構造について説明する。まず、肩部材111c、保護枠111dのフランジ部Db、制御回路基板支持部材111eおよび電源回路基板支持部材111fが嵌合した状態(肩部材111cは示されていないが図6および図7参照)で、電源回路基板支持部材111fの基体部Faの第1ビス孔の下側からビスが螺入される。そして、このビスが、制御回路基板支持部材111eの基体部Eaの第1ビス孔Ea1、保護枠111dのフランジ部Dbの支持部Ddのビス孔Dd1、肩部材111cの第1ビス受け部の第1ビス孔の順でさらに螺入されていくことで、肩部材111c、保護枠111dのフランジ部Db、制御回路基板支持部材111eおよび電源回路基板支持部材111fが締結されて一体となる。なお、肩部材111cおよび制御回路基板支持部材111eは、肩部材111cの第2ビス受け部の第2ビス孔および制御回路基板支持部材111eのビス受け部Ebの第2ビス孔Eb1に螺入されるビスによっても締結される。以上より、本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、制御回路基板支持部材111eが肩部材111cに固定され、制御回路基板支持部材111eおよび保護枠111dのフランジ部Dbを介して電源回路基板支持部材111fが肩部材111cに固定されているといえる。
【0028】
(2)断熱材
断熱材は、保護枠111dの内鍋収容部Daの側壁および誘導加熱コイル113の外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が内鍋収容部Daの外側に流出するのを抑制する役割を担っている。
【0029】
(3)誘導加熱コイル
誘導加熱コイル113は、内鍋130を誘導加熱する誘導加熱源であって、図2に示されるように保護枠111dの内鍋収容部Daの底壁および側壁下端部の外側に配設されている。
【0030】
(4)保温ヒータ
保温ヒータHTは、保温運転時に使用される円環状のヒータであって、図2に示されるように、保護枠111dの内鍋収容部Daの側壁の上下方向中間部の外側に配設されている。
【0031】
(5)フェライトコア組立体
フェライトコア組立体は、誘導加熱コイル113の周囲に配設されている。フェライトコア組立体にはフェライトコアが収容され、このフェライトコアは、通電時に誘導加熱コイル113から発生する電磁波が外部に漏れ出るのを抑制する役目を担っている。
【0032】
(6)サーミスタ
サーミスタ114は、温度センサであって、図2に示されるように、保護枠111dの内鍋収容部Daの底壁の中央部に形成された開口を通って、上方に向かって突出している。なお、このサーミスタ114は、コイルバネ等の付勢部材によって上方に付勢されている。すなわち、このサーミスタ114は、上下方向に沿って出没自在な状態とされている。また、このサーミスタ114は、内鍋検知センサ(図示せず)に組み込まれている。内鍋検知センサは、炊飯器内に内鍋130が存在するか否かを判断するためのものであって、サーミスタ114が下端位置まで下がると、検知信号を制御回路基板119のマイクロコンピュータに送信する。マイクロコンピュータは、検知信号を受信すると、炊飯器内に内鍋130が存在すると判断する。なお、マイクロコンピュータが、炊飯器内に内鍋130が存在しないと判断した場合、炊飯運転が開始されない。ところで、このサーミスタ114は、略円盤状のカバー部材によって支持されている。このカバー部材は、保護枠111dの内鍋収容部Daの底壁に固定されている。
【0033】
(7)送風ファン
送風ファン115は、上述の通り、筐体111の底壁Abの吸気口Ab1の直上に、回転軸が略上下方向に沿うようにして配設されている(図2参照)。すなわち、この送風ファン115が駆動されると、外部の空気が吸気口Ab1から吸い込まれて筐体内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンク116を通って電源回路基板118および制御回路基板119などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0034】
(8)ヒートシンク
ヒートシンク116は、外部の空気と効率よく熱交換を行わせる部品である。
【0035】
(9)操作パネル
操作パネル117は、炊飯器100の運転方法を決定して実行するためのものであって、図1および図2に示されるように、主に、パネル本体117aおよび押圧ボタンBT等から構成されている。操作パネル117は、上述の通り、肩部材111cの前枠部Caの上側に配設されている。
【0036】
(10)電源回路基板
電源回路基板118は、電源回路を構成する基板であって、いくつかの発熱部品を実装している。また、電源回路基板118は、図2に示されるように筐体111の前側空間に収容され、電源回路基板支持部材111fに支持されている。
【0037】
(11)制御回路基板
制御回路基板119は、制御回路を構成する基板であって、マイクロコンピュータ等の電子部品を実装している。また、制御回路基板119は、図2に示されるように肩部材111cの前枠部Caの内側且つ操作パネル117の下側に配設され、制御回路基板支持部材111eに支持されている。
【0038】
(12)自動巻取式電源コードユニット
自動巻取式電源コードユニット120は、電源コードPC(図1参照)および自動巻取機構(図示せず)等から構成されており、図2に示されるように筐体111の後側空間に収容されている。電源コードPCは、差込プラグおよび電気線から構成されている(図1参照)。差込プラグは、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0039】
2.内鍋
内鍋130は、図2に示されるように、上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの後枠部Cbの開口Cb1に挿通されると共に保護枠111dの内鍋収容部Daに所定の隙間をもって収容される。内鍋130が保護枠111dの内鍋収容部Daに収容されるとき、上述の通り、内鍋130の取っ手部が凹部Cb2に嵌め込まれる。なお、内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)であって、誘導加熱コイル113によって誘導加熱され得る。
【0040】
3.蓋体
蓋体140は、図1および図2に示されるように、主に、外装体141、開閉ボタン142、圧力調整機構143、補強部材(図示せず)、内蓋145およびレバー部材146から構成されており、ヒンジ機構150を介して本体110に回動自在に取り付けられている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0041】
(1)外装体
外装体141は、図1および図2に示されるように、上側外装部材141aおよび下側外装部材141bから構成される略直方体状の部材であって、開閉ボタン142、圧力調整機構143、補強部材およびレバー部材146等を収容している。
【0042】
上側外装部材141aは、平面視において略方形状の板部材であって(図1参照)、ポリプロピレン(PP)等の汎用樹脂等から形成されている。上側外装部材141aは、図1および図2に示されるように、下側外装部材141bの上側を覆っている。また、図1および図2に示されるように、上側外装部材141aの前部には、開閉ボタン142の上面を露出させるための開口が形成され、上側外装部材141aの後部には、内鍋130内で発生した蒸気を外部に排出するための蒸気孔BOが形成されている。
【0043】
下側外装部材141bは、平面視において略方形状の板部材であって、ポリプロピレン(PP)等の汎用脂等から形成されている。図2に示されるように、下側外装部材141bの下面には、内蓋145が着脱自在に配設される。また、下側外装部材141bの上面には、補強部材が取り付けられる。
【0044】
(2)開閉ボタン
開閉ボタン142は、蓋体140を開閉するための角丸長方形状のボタンであって、図2に示されるようにレバー部材146の上側に配設されている。なお、この開閉ボタン142は、コイルバネ(図示せず)によって上方に向かって付勢されている。
【0045】
(3)圧力調整機構
圧力調整機構143は、蓋体140が閉状態とされ圧力炊飯運転されている状態において、内鍋130の内部の圧力を1気圧以上(例えば、1.03~1.3気圧など)に調整する。また、この圧力調整機構143は、圧力炊飯運転中、蓋体140が開状態とならないようにレバー部材146の回動を規制する。なお、本実施の形態において、この圧力調整機構としては、特に限定されず、従前のものが採用されてもかまわない。
【0046】
(4)補強部材
補強部材は、下側外装部材141bの剛性を高めるためのものであって、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のエンジニアリングプラスチック等から形成されている。そして、この補強部材は、略角枠形状を呈する部材であって、外装体141の下側外装部材141bに取り付けられる。
【0047】
(5)内蓋
内蓋145は、図2に示されるように内鍋130の上部を覆って内鍋130を密閉するための部材である。
【0048】
(6)レバー部材
レバー部材146は、当接板部(図示せず)と、当接板部の前側から下方に延びる左右一対の延設板部(図示せず)と、各延設板部の下部から後方に向かって延びる爪部(図示せず)とから形成される金属板部材であって、外装体141に軸支されていると共に、当接板部の後端でコイルバネ(図示せず)によって上方に向かって付勢されている。なお、ここで、使用者によって開閉ボタン142が押し下げられると、開閉ボタン142は、レバー部材146の当接板部のうち回動軸の後側の部位に当接する。
【0049】
そして、使用者が蓋体140を閉状態としようとするとき、使用者は開閉ボタン142を操作する必要がなく、そのまま蓋体140を本体110に向かって倒し込めばよい。このとき、レバー部材146の爪部が、肩部材111cに形成される傾斜面(図示せず)に接触しながら下方に移動していく。この間、レバー部材146は、コイルバネの付勢力に逆らって前方に向かって回動する。そして、爪部が、肩部材111cに形成される爪受孔(図示せず)まで達すると、コイルバネの付勢力により爪部がその爪受孔に嵌り込む。このようにして蓋体140が閉状態となる。一方、蓋体140を開状態とするとき、使用者は、開閉ボタン142を押し下げる。すると、開閉ボタン142の下端部位がレバー部材146の当接部に当接し、レバー部材146がコイルバネの付勢力に逆らって前方に向かって回動する。このとき、爪受孔に嵌り込んでいた爪部が爪受孔から引き出される。そして、ヒンジ機構150の付勢力により蓋体140が上方に持ち上げられ、蓋体140が開状態となる。
【0050】
4.ヒンジ機構
ヒンジ機構150は、上述の通り、蓋体140が本体110に対して回動自在となるように蓋体140を本体110に取り付けており、締結板金(図示せず)、回動軸151(図2参照)およびトーションバネ(図示せず)から構成されている。締結板金は、ヒンジ機構150を本体110の保護枠111dのフランジ部Dbに取り付けるための部材である。なお、締結板金には、回動軸151が挿通される軸受け孔が形成されている。回動軸151は、蓋体140を軸中心に回動させるためのものである。トーションバネは、蓋体140を開方向に向かって付勢している。
【0051】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、肩部材111cは外側から視認可能であり、肩部材111cを胴体111aに対して係止させるための係止部が肩部材111cに形成されていない。このため、この炊飯器100では、肩部材111cに係止部を形成せずに肩部材111cの形状を比較的単純にすることで、肩部材111cにヒケやウエルドラインなどが生じるおそれを低減することができる。また、この炊飯器100では、制御回路基板支持部材111eは外側から視認不可能であり、制御回路基板支持部材111eを胴体111aに対して係止させるための係止部が制御回路基板支持部材111eに形成されている。このため、この炊飯器100では、制御回路基板支持部材111eに係止部を形成して制御回路基板支持部材111eの形状が比較的複雑になることで、制御回路基板支持部材111eにヒケやウエルドラインなどが生じたとしても、制御回路基板支持部材111eを隠すことができる。以上より、この炊飯器100では、外観が損なわれるおそれを低減することができる。
【0052】
(2)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、胴体111aの側壁Aaの爪受け部Aa1および制御回路基板支持部材111eの爪部Ecによって、制御回路基板支持部材111eが胴体111aに対して係止されている。このため、この炊飯器100では、できるだけ容易に制御回路基板支持部材111eおよび胴体111aの係止状態を解除することができる。
【0053】
(3)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、制御回路基板支持部材111eおよび保護枠111dのフランジ部Dbを介して電源回路基板支持部材111fが肩部材111cに固定されている。また、電源回路基板支持部材111fが胴体111aの底壁Abに締結されている。このため、この炊飯器100では、胴体111aおよび肩部材111cの間に隙間ができるだけ生じないようにすることができる。したがって、この炊飯器100では、外観が損なわれるおそれをより低減することができる。
【0054】
(4)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、制御回路基板支持部材111eのリブEdが、制御回路基板支持部材111eが胴体111aに対して係止されている状態において胴体111aの側壁Aaの内面に接触し、胴体111aの側壁Aaを外側に張り出している。このため、この炊飯器100では、胴体111aが内方に凹むことをできるだけ抑制することができる。したがって、この炊飯器100では、外観が損なわれるおそれをさらに低減することができる。
【0055】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、胴体111aの側壁Aaの爪受け部Aa1および制御回路基板支持部材111eの爪部Ecによって、制御回路基板支持部材111eが胴体111aに対して係止されていた。しかし、胴体111aの側壁Aaの爪受け部Aa1および制御回路基板支持部材111eの爪部Ec以外の係止構造によって、制御回路基板支持部材111eが胴体111aに対して係止されてもよい。
【0056】
(B)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、制御回路基板支持部材111eおよび保護枠111dのフランジ部Dbを介して電源回路基板支持部材111fが肩部材111cに固定されていた。しかし、電源回路基板支持部材111fは、肩部材111cに固定されなくてもよい。また、電源回路基板支持部材111fは、制御回路基板支持部材111eまたは保護枠111dのフランジ部Dbを介することなく肩部材111cに固定されてもよい。
【0057】
(C)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、電源回路基板支持部材111fは胴体111aの底壁Abに締結されていた。しかし、電源回路基板支持部材111fは、胴体111aの底壁Ab以外の部材に締結されてもよい。
【0058】
(D)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、制御回路基板支持部材111eにリブEdが形成されていた。しかし、制御回路基板支持部材111eにリブEdが形成されていなくてもよい。
【0059】
(E)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、肩部材111cは、蓋体140が閉じられた状態でも一部が外側から視認可能であった。しかし、肩部材111cは、蓋体140が閉じられた状態では視認不可能であってもよい。言い換えれば、肩部材111cは、蓋体140が開かれた状態でのみ視認可能であってもよい。
【0060】
(F)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、胴体111aの側壁Aaの爪受け部Aa1および制御回路基板支持部材111eの爪部Ecはそれぞれ3つずつ形成されていた。しかし、胴体111aの側壁Aaの爪受け部Aa1および制御回路基板支持部材111eの爪部Ecは、それぞれ1つずつ形成されてもよいし、それぞれ2つずつ形成されてもよいし、それぞれ4つ以上形成されてもよい。
【0061】
(G)
先の実施の形態に係る炊飯器100では言及しなかったが、胴体111aに対して係止されるのは制御回路基板支持部材111eである必要はない。すなわち、肩部材111cの内側に配置されると共に肩部材111cに固定されている部材が、胴体111aに対して係止されていればよい。
【0062】
(H)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、肩部材111c、保護枠111dのフランジ部Db、制御回路基板支持部材111eおよび電源回路基板支持部材111fは、ビスによって締結されていた。また、電源回路基板支持部材111fは、ビスによって胴体111aの底壁Abに締結されていた。また、保護枠111dの内鍋収容部Daは、ビスによって胴体111aの底壁Abに締結されていた。しかし、ビスを使用する方法以外の方法によって各部材が締結されてもよい。
【0063】
(I)
先の実施の形態では本発明が炊飯器100に適用されたが、本発明は例えばホームベーカリーなどの他の容器体に適用されてもよい。
【0064】
なお、上記変形例(A)~(I)は各例単独で適用されてもよいし、複数の例が組み合わされて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
100 :炊飯器(容器体)
111a :胴体(本体)
111c :肩部材
111e :制御回路基板支持部材(第1内側部品)
111f :電源回路基板支持部材(第2内側部品)
Aa :側壁(本体の側壁部)
Ab :底壁(本体の底部)
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8