(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059392
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】減圧乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 5/04 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
F26B5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167050
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】595088078
【氏名又は名称】ファインマシーンカタオカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100200621
【弁理士】
【氏名又は名称】堀部 峰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(72)【発明者】
【氏名】片岡 啓二
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA05
3L113AB06
3L113AB10
3L113AC10
3L113AC24
3L113AC35
3L113AC67
3L113AC76
3L113BA04
3L113CA10
3L113CB16
3L113CB22
3L113DA14
3L113DA17
(57)【要約】
【課題】カプセルの形状に特化した、効率的な真空乾燥をすることができる減圧乾燥機を提供する。
【解決手段】減圧乾燥機1は、躯体(基台)に設けた台座30を備えた底部20と、この底部に被嵌されるカプセル40と、で形成した減圧乾燥室を備え、前記減圧乾燥室の上部にヒーター50を、その下部に第2の反射板52dを備えており、前記第2の反射板52d、前記底部20にワーク200を収容可能とし、前記カプセル40を昇降可能とした構成である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体(基台)に設けた台座を備えた底部と、
この底部に被嵌されるカプセルと、
で形成した減圧乾燥室を備え、
前記減圧乾燥室の上部にヒーターを、その下部に反射板を備えており、
前記反射板と、前記底部にワークを収容可能とし、
前記カプセルを昇降可能とした減圧乾燥機。
【請求項2】
前記ヒーターは、赤外線カーボンランプヒーターである、請求項1に記載の減圧乾燥機。
【請求項3】
前記カプセルは、下面が開口した半球状の半截碗型の形状に形成されている、請求項1に記載の減圧乾燥機。
【請求項4】
前記底部の上面は、フラットな形状に形成されている、請求項1に記載の減圧乾燥機。
【請求項5】
前記カプセルを昇降可能な昇降機構を備える、請求項1に記載の減圧乾燥機。
【請求項6】
前記底部の縁部に設けられたシール材を備え、
前記シール材は、前記底部と、前記カプセルの下端部と、の間を密封する、請求項1に記載の減圧乾燥機。
【請求項7】
前記底部に排気口が形成され、
前記排気口と連通する真空ポンプを備える、請求項1に記載の減圧乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器内の減圧下において、飽和蒸気温度を、70℃以下にし、低温の水蒸気で、安全な状態で、水分凍結とか、乾燥処理終了後の大気開放時、又は大気中の湿度下に於いて、水分結露が発生せず、良質な乾燥を可能とした発明である。
【0003】
その特徴は、大気圧を確保しつつ、内側容器中を窒素雰囲気で保ち、半導体不良の原因の一つである、自然酸化膜の成長を止めて、安定した表面状態を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された減圧乾燥装置においては、装置を2重容器とし、外側容器、内側容器に圧力制御弁を設けたため、真空系の逆流事故による、汚染物質が内側容器内に侵入させないようにすることができる。また、逆に、ガス供給ポートから窒素ブローを行うため、ごみを排出することができ、常に清浄な空間で乾燥することができる。また、ランプヒーターを反射板で覆い、真空容器とすることにより断熱構造となり、外部への熱放出がなくなり、クリーンルームでの発塵のもとになる断熱材等を不要にすることができ、装置を簡易、清浄なものとすることができる。更に、ヒーター制御、真空ポンプの制御、処理終了後の窒素ブロー等、一切のコントロールを、圧力制御弁及びその信号のみで行うので、構成が安価で、かつ簡単な制御で運用できる装置構成とすることができる。
【0006】
しかしながら、カプセルの形状に特化した、効率的な真空乾燥ではない。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、請求項1~請求項7を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の実施の形態に係る減圧乾燥機は、
躯体(基台)に設けた台座を備えた底部と、
この底部に被嵌されるカプセルと、
で形成した減圧乾燥室を備え、
前記減圧乾燥室の上部にヒーターを、その下部に反射板を備えており、
前記反射板と、前記底部にワークを収容可能とし、
前記カプセルを昇降可能とした構成でもよい。
【0009】
前記ヒーターは、赤外線カーボンランプヒーターであってもよい。
【0010】
前記カプセルは、下面が開口した半球状の半截碗型の形状に形成されていてもよい。
【0011】
前記底部の上面は、フラットな形状に形成されてもよい。
【0012】
前記カプセルを昇降可能な昇降機構を備えてもよい。
【0013】
前記底部の縁部に設けられたシール材を備え、
前記シール材は、前記底部と、前記カプセルの下端部と、の間を密封してもよい。
【0014】
前記底部に排気口が形成され、
前記排気口と連通する真空ポンプを備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る減圧乾燥機においては、ワークを収納する内部空間を小さくすることができる。そして、その内部空間に設けられたヒーターでワークを加熱することができる。これにより、本発明においては、カプセルの形状に特化した、効率的な真空乾燥をすることができる減圧乾燥機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る減圧乾燥機の正面図である。
【
図3】実施の形態に係る減圧乾燥機の回路図である。
【
図4】実施の形態に係るカプセルを降ろした状態を示す正面図である。
【
図5】
図4におけるIII-III’断面図である。
【
図7】実施の形態に係る底部及び台座の平面図である。
【
図9】実施の形態に係る赤外線カーボンランプヒーターの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る減圧乾燥機1を図に基づいて説明する。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0018】
図1~
図5に示した減圧乾燥機1は、乾燥対象であるワーク200に含まれる水分を取り除くための装置である。減圧乾燥機1は、
図1、
図2に示すように、筐体10と、底部20と、台座30と、カプセル40と、ヒーター50と、昇降機構60と、配管室70と、真空ポンプ80と、制御部100と、を備える。減圧乾燥機1は、底部20とカプセル40からなる減圧乾燥室により、ワーク200を減圧乾燥する。
【0019】
筐体10には、底部20と、台座30と、カプセル40と、ヒーター50と、昇降機構60と、配管室70と、真空ポンプ80と、を備える。また、筐体10には、タッチパネル11と、真空圧力計12と、円筒部13と、を有する。
【0020】
タッチパネル11は、筐体10に設けられた操作盤である。タッチパネル11は、減圧乾燥機1を操作するために用いられる。
【0021】
真空圧力計12は、ワーク200の乾燥作業における減圧乾燥室内の圧力を表示する。
【0022】
円筒部13は、Z軸と平行な方向に伸びるスライドシフターである。円筒部13は、筐体10の上面に複数設けられている。円筒部13には、Z軸と平行な方向に伸び、筐体10の天面を貫通する貫通孔が形成されている。
【0023】
底部20は、
図6及び
図7に示すように、減圧乾燥室の床を構成する。底部20は、例えば、ステンレスにより形成されている。底部20は、底部本体21と、排気口22と、シール材23と、円孔24と、を有する。
【0024】
底部本体21は、上方(+Z軸方向)から見て、円盤状に形成されている。さらに、底部本体21の上面は、フラットな形状に形成されている。底部本体21は、台座30を設ける躯体(基台)となる。
【0025】
排気口22は、減圧乾燥室の外部と連通する孔である。排気口22は、底部20の中央に形成されている。しかしながら、これに限られない。排気口22は、減圧乾燥室内に位置するように形成されていればよい。排気口22は、減圧乾燥室内を減圧するとき、減圧乾燥室内の空気を外部に排出するための孔である。
【0026】
シール材23は、環状に形成され、底部20の外縁部に沿って設けられている。シール材23は、底部20の上面に設けられたパッキンである。しかしながら、これに限られない。シール材23は、減圧乾燥室の気密性を保つことができる部材であればよい。
【0027】
円孔24は、
図6及び
図7に示すように、底部20の上面に複数形成されている。複数の円孔24は、底部20の中心から放射線状に位置するように形成されている。しかしながら、これに限られない。円孔24は、底部20の中心から一定の距離に少なくとも3つ形成されていればよい。円孔24は、その内面の側壁に雌ネジ面が形成されている。
【0028】
台座30は、底部20の上面の中央部に設けられている。台座30は、ワーク200を支持する。台座30は、ワーク受け31と、ワークガイド32と、からなる。しかしながら、これに限られない。台座30は、ワーク200を載置するものであれば形状は問わない。
【0029】
ワーク受け31は、上端が丸みを帯びた柱状に形成され、底部20の上面に設けられている。ワーク受け31は、ワーク200が載置され、ワーク200を支持する。ワーク受け31は、底部20の中央を中心とした同一円上に4つ設けられている。しかしながら、これに限られない。ワーク受け31は、ワーク200を支持することができる位置に設けられていればよい。ワーク受け31は、下端に溝の設けられた雄ネジとなる部分を有し、雄ネジとなる部分を底部20の円孔24に差し込むことで固定される。尚、ワーク受け31の形状、固定方法は限定されない。
【0030】
ワークガイド32は、底部20の上面に設けられた上端が丸みを帯びた柱状の部材である。ワークガイド32は、ワーク200がワーク受け31に載置されるように、ワーク200をガイドする。ワークガイド32は、底部20の中央を中心とした同一円上に4つ設けられている。しかしながら、これに限られない。ワークガイド32は、ワーク200をガイドすることができる位置に設けられていればよい。ワークガイド32は、上部ガイド部材32aと、円形支柱32bと、を有する。
【0031】
上部ガイド部材32aは、上端が丸みを帯びた柱状に形成された部材である。上部ガイド部材32aは、下端に溝の設けられた雄ネジとなる部分を有する。上部ガイド部材32aは、ワーク受け31と同じ部材からなってもよい。
【0032】
円形支柱32bは、円柱状に形成され、底部20の上面に設けられている。円形支柱32bは、上部ガイド部材32aの高さを調節するために上部ガイド部材32aに取り付けられる。円形支柱32bは、下端に溝の設けられた雄ネジとなる部分を有する。さらに、円形支柱32bは、上面に内面の側壁に雌ネジ面が形成された孔が形成されている。円形支柱32bは、上面の孔に上部ガイド部材32aの雄ネジとなる部分が差し込まれる。さらに、円形支柱32bは、雄ネジとなる部分を底部20の円孔24に差し込むことで固定される。
【0033】
カプセル40は、
図5及び
図6に示すように、減圧乾燥室の天井面及び側面を構成する筐体10である。カプセル40は、底部20の上面に当接する。カプセル40は、例えば、ステンレスにより形成されている。カプセル40は、カプセル本体41と、鍔部42と、コネクタ43と、支柱44と、天板45と、を有する。
【0034】
カプセル本体41は、下面が開口した半球状の半截碗型の筐体である。しかしながら、これに限られない。カプセル本体41は、第1内部空間S1が上端に向かうほど収斂していればよい。カプセル本体41は、その内部空間である第1内部空間S1の内部に、台座30、及びワーク200を収納可能である。底部20とカプセル本体41からなる減圧乾燥室は、従来の角柱状の減圧乾燥室や、球状の減圧乾燥室よりも内部空間の体積を小さくすることができる。さらに、減圧乾燥室は球形に近いほど圧力に対する耐久性が向上するため、カプセル本体41は、半球状の半截碗型の筐体とすることで、耐久性を向上させることができる。
【0035】
カプセル本体41の下端部である開口の開口縁部は、
図5及び
図6に示すように、底部20のシール材23の上に載置され、底部20と、の間を密閉し、底部20とカプセル40からなる減圧乾燥室を密封する。
【0036】
鍔部42は、XY平面に平行な面から構成された板材である。鍔部42は、カプセル本体41の開口の開口縁部からカプセル本体41の外部空間へと延設されている。
【0037】
コネクタ43は、カプセル本体41の側面に設けられている。コネクタ43は、外部の電源に接続されている。
【0038】
支柱44は、
図1及び
図2に示すように、Z軸と平行な方向に伸びる柱状の部材である。支柱44は、下端が鍔部42に接続されている。支柱44は、カプセル本体41を囲むように4つ設けられている。しかしながら、これに限られない。支柱44は、2つ、3つ、又は5つ以上設けられていてもよい。
【0039】
天板45は、XY平面に平行な面から構成された板材である。天板45は、支柱44の上端に接続されている。
【0040】
ヒーター50は、フィラメントとしてカーボンを用いた赤外線カーボンランプヒーターである。ヒーター50は、減圧乾燥室内の温度を上げるために用いられる。ヒーター50は、水の吸収波長域である2.0μmから4.0μm、及び、金属の吸収波長域である1.0μmから2.0μmの波長を含む近・中赤外線において強い放射強度を示す。そして、ヒーター50を用いることで、水及び金属を短時間で加熱することができる。ヒーター50は、コネクタ43を介して、外部の電源からの電力の供給を受ける。
図4では、ヒーター50と、コネクタ43と、を繋ぐ配線は省略している。ヒーター50は、ヒーター取り付けユニット51と、ヒーターユニット52と、を有する。
【0041】
ヒーター取り付けユニット51は、カプセル本体41に取り付けられている。ヒーター取り付けユニット51は、取付具51aと、取り付けプレート51bと、を有する。
【0042】
取付具51aは、Z軸と平行な方向に伸びる柱状の部材である。取付具51aの上端は、カプセル本体41の天井面に固定されている。取付具51aは、取り付けプレート51bを吊設している。
【0043】
取り付けプレート51bは、XY面と平行な板材である。取り付けプレート51bの上面は、取付具51aに吊設されている。取り付けプレート51bの下面には、ヒーターユニット52が固定されている。ヒーターユニット52は、赤外線カーボンランプヒーターの放射する近・中赤外線をワーク200に照射する。ヒーターユニット52は、フィラメント52aと、電極52bと、第1の反射板52cと、第2の反射板52dと、を有する。
【0044】
フィラメント52aは、カーボンからなる。フィラメント52aは、X軸と平行な方向に伸びる。フィラメント52aは、X軸方向に並列するように4本設けられている。しかしながら、これに限られない。フィラメント52aは、1本から3本、又は、5本以上設けられてもよい。フィラメント52aの両端(X軸方向端部)には、それぞれ電極52bが設けられている。
【0045】
電極52bは、外部の電源からの電力の供給を受けるための端子である。電極52b…は、コネクタ43を介して、外部の電源からの電力の供給を受ける。
図8及び
図9では、ヒーター50と、コネクタ43と、を繋ぐ配線は省略している。
【0046】
第1の反射板52cは、
図6、又は
図8に示すように、フィラメント52aの上方を囲むように形成された板体である。第1の反射板52cは、4本のフィラメント52aにそれぞれ設けられている。第1の反射板52cは、フィラメント52aの発する赤外線を反射し、下方(-Z軸方向)へと向かわせる。
【0047】
第2の反射板52dは、取り付けプレート51bの各側端から垂下した板材である。第2の反射板52dは、カプセル40が底部20に当接した状態で、ヒーター50の熱が拡散しないように、ワーク200を囲繞する。これにより、ワーク200を効果的に加熱し、水分の蒸発を促進することができる。
【0048】
昇降機構60は、
図3~
図5に示すように、カプセル40を昇降させるための機構である。昇降機構60は、昇降部材61と、シリンダ62と、ロッド63と、を有する。
【0049】
昇降部材61は、カプセル40に上下方向(Z軸方向)の力を伝達する。昇降部材61は、シャフト61aと、連結部61bと、を有する。
【0050】
シャフト61aは、Z軸と平行な方向に伸びる形態である。シャフト61aの下端は、カプセル40の天板45に固定されている。シャフト61aは、筐体10の円筒部13を通して、筐体10の上方に伸びている。シャフト61aは、2つ設けられている。しかしながら、これに限られない。シャフト61aは、3つ以上設けられてもよい。
【0051】
連結部61bは、シャフト61aの上端に固定される。連結部61bは、複数のシャフト61aの上端を繋いでいる。
【0052】
シリンダ62は、物体を上下方向に移動させる部品である。シリンダ62は、筐体10の上面に設けられている。
【0053】
ロッド63は、Z軸と平行な方向に伸びる柱状の部材である。ロッド63の上端は、昇降部材61の連結部61bに固定されている。ロッド63の下端は、シリンダ62に接続されている。ロッド63は、シリンダ62により上下方向に移動させられる。そして、ロッド63の上下方向への移動により、昇降部材61もまた上下方向に移動させられる。
【0054】
配管室70は、カプセル40の下方に設けられ、かつ底部20の下側(減圧乾燥室の下側)に位置し、真空ポンプ80に連通させる配管及び機器を備える。配管室70は、その他、第1の配管71と、エア制御部72と、第2の配管73と、を有する。
【0055】
第1の配管71は、減圧乾燥室とエア制御部72を連通させる減圧配管である。第1の配管71の一端は、底部20の排気口22と連通している。
【0056】
エア制御部72は、減圧乾燥室から排気されたエアを誘導する手段であり、かつこのエア制御部72は、真空ポンプ80の働きで生成される真空をコントロール(解除を図る)真空破壊弁72aと、排気音を抑制するマフラー72bと、結露した水滴を収集するドレンボックス72cを備える。
【0057】
第2の配管73は、エア制御部72と真空ポンプ80とを連通させる減圧配管である。第2の配管73の一端は、真空ポンプ80と連通している。
【0058】
真空ポンプ80は、気体を排出し、減圧状態にするためのポンプである。真空ポンプ80は、配管室70を介して減圧乾燥室内の空気を排出するポンプである。
【0059】
制御部100は、
図3に示すように、フィルタレギュレータ101と、電磁弁102と、サイレンサ103と、スピードコントローラ104と、残圧排気弁105と、真空圧検知器106と、真空破壊弁72aと、を備える。
【0060】
制御部100は、フィルタレギュレータ101により、昇降シリンダと真空破壊弁(不図示)のパイロットエアのみ取り込まれる外気に含まれるゴミや水分を取り除き、ゴミや水分の侵入を抑制する。さらに、制御部100は、フィルタレギュレータ101により、外気の圧力を一定に保つ。
【0061】
制御部100は、電磁弁102により、カプセル40を昇降するとき、昇降機構60のシリンダ62の動作状態を切り替える。そして、制御部100は、サイレンサ103により、シリンダ62の排気音を抑制する。さらに、制御部100は、スピードコントローラ104により、シリンダ62のシリンダの昇降速度を制御する。必要により、残圧排気弁105を作用する。
【0062】
制御部100は、真空圧検知器106により、カプセル40内、第1の配管71、エア制御部72、及び第2の配管73の圧力調整を図る。また、制御部100は、底部20とカプセル40からなる減圧乾燥室を真空引きする場合、減圧乾燥室と真空ポンプ80との連繋を図ることも有る。
【0063】
次に、減圧乾燥機1の使用方法の一例について説明する。
【0064】
最初に、減圧乾燥機1は、
図2に示すように、カプセル40が持ち上げられた状態で使用される。台座30のワークガイド32でガイドするように、ワーク200をワーク受け31の上に載置する。
【0065】
次に、タッチパネル11を操作し、乾燥作業を開始させる。まず、昇降機構60が作動し、カプセル40を降下させる。
【0066】
降下したカプセル40が底部20のシール材23に当接し、ワーク200がカプセル40の内部空間に収納される。これにより、底部20とカプセル40は、密封された減圧乾燥室を構成する。
【0067】
さらに、ヒーター50が作動し、ワーク200が加熱される。
【0068】
その後、乾燥作業が開始される。真空ポンプ80が作動し、減圧乾燥室内の空気が排気され、減圧乾燥室内の圧力が減圧される。
【0069】
減圧乾燥室内の圧力が減圧されると、水の蒸発が促進される。ワーク200についた水分が蒸発するとき、ワーク200の熱が下がり、水分が蒸発しにくくなる。
【0070】
しかしながら、ヒーター50の放出する熱により、下がった熱が補われるため、ワーク200の熱が維持され、水分の蒸発が促進されたまま、乾燥することができる。
【0071】
減圧乾燥機1は、真空ポンプ80の作動を介して負圧が上昇源に達したときは、エア制御部72の真空破壊弁72aにより外気を取り込む。即ち、ユーザは、定期的に真空破壊弁72aから外気を取り込むように設定することができる。
【0072】
乾燥が終わったのち、自動的にヒーター50及び真空ポンプ80が停止し、真空破壊弁72aにより、減圧乾燥室内に外気が取り込まれる。
【0073】
最後に、ユーザは、自動的に昇降機構60が作動し、カプセル40が持ち上げられる。これにより、減圧乾燥機1からワーク200を取り出すことができる。
【0074】
以上、説明したように、本実施の形態1に係る減圧乾燥機1において、上面の形状がフラットな底部20と、第1内部空間が上端に向かうほど収斂するカプセル本体41と、からなる減圧乾燥室は、従来の角柱状の減圧乾燥室や、球状の減圧乾燥室よりも内部空間の体積を小さくすることができる。そのため、減圧乾燥機1では、真空ポンプ80により、従来よりも短時間で減圧乾燥室内を減圧することができる。
【0075】
さらに、減圧乾燥機1において、減圧乾燥室は、球形に近いほど圧力に対する耐久性が向上するため、従来の角柱状の減圧乾燥室よりも耐久性を向上させることができる。
【0076】
減圧乾燥機1において、ヒーター50は、フィラメント52aがカーボンからなるため、水の吸収波長域である2.0μmから4.0μm、及び、金属の吸収波長域である1.0μmから2.0μmの波長を含む近・中赤外線において強い放射強度を示す。そのため、減圧乾燥機1は、従来のニクロム線及びタングステンからなるフィラメントを用いた減圧乾燥機よりも水及び金属を短時間で加熱することができる。
【0077】
減圧乾燥機1において、カプセル本体41は、半球状の半截碗型の形状に形成されている。これにより、減圧乾燥機1は、底部20とカプセル本体41からなる減圧乾燥室の体積を小さくしつつ、カプセル本体41の上部の丸みを帯びた部分にヒーター50を設ける空間を確保することができる。
【0078】
さらに、減圧乾燥機1において、カプセル本体41は、直接手で作業することなく、昇降機構60により昇降させることができる。そのため、減圧乾燥機1では、減圧乾燥室の開閉時に、ヒーター50がワーク200に干渉する危険性を抑制することができる。
【0079】
減圧乾燥機1において、一つの実験例では、ワーク200についた水分が蒸発するとき、ワーク200の熱が下がるが、ヒーター50の放出する熱により、下がった熱が補われ、水分の蒸発が促進される。この減圧乾燥機1において、ヒーター50を使用しなかった場合の温度変化を調べた。この実験に使用したワークは、暖めたのち、水に沈め、水を切らない状態であった。ワーク200に含まれる水分の量は、ワーク200に水を含ませる前の重量と、水を含ませた後の重量を比較して測定された。この比較実験において、真空引きと真空破壊を繰り返し、22秒間の真空乾燥を行った。その結果、例えば、水を付けずにヒーター50で加熱したらワークの温度は6℃上昇し(真空無しの状態で)、一方、水を付けた状態で、ヒーター50で加熱せずに真空のワークの温度は8℃低下した。即ち、2℃の差である。
【0080】
また、減圧乾燥機1において、水分を含まないワーク200について、検討すると、真空乾燥を行うことなくヒーター50により加熱した場合、ワークの温度は約6.0℃上昇した。従って、ヒーター50を使用しなかった場合のワークの温度変化に比べ、ヒーター50により加熱した場合のワークの温度変化が大きいことを示している。
【0081】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0082】
上記実施の形態1では、
図5及び
図6に示すように、底部20には、シール材23を備える。
【0083】
上記実施の形態1では、
図6に示すように、本実施の形態1に係る排気口22は、カプセル40の底部20に形成されている。即ち、排気口22は、好ましくは、カプセル40に設けられている。
【0084】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0085】
1 減圧乾燥機
10 筐体
11 タッチパネル
12 真空圧力計
13 円筒部
20 底部
21 底部本体
22 排気口
23 シール材
24 円孔
30 台座
31 ワーク受け
32 ワークガイド
32a 上部ガイド部材
32b 円形支柱
40 カプセル
41 カプセル本体
42 鍔部
43 コネクタ
44 支柱
45 天板
50 ヒーター
51 ヒーター取り付けユニット
51a 取付具
51b 取り付けプレート
52 ヒーターユニット
52a フィラメント
52b 電極
52c 第1の反射板
52d 第2の反射板
60 昇降機構
61 昇降部材
61a シャフト
61b 連結部
62 シリンダ
63 ロッド
70 配管室
71 第1の配管
72 エア制御部
72a 真空破壊弁
72b マフラー
72c ドレンボックス
73 第2の配管
80 真空ポンプ
100 制御部
101 フィルタレギュレータ
102 電磁弁
103 サイレンサ
104 スピードコントローラ
105 残圧排気弁
106 真空圧検知器
200 ワーク
S1 第1内部空間