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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005942
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240110BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106429
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓介
(72)【発明者】
【氏名】久保 智幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祥爾
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸昌
(72)【発明者】
【氏名】花丸 健志朗
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 好輝
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB04
2C056EB07
2C056EB29
2C056FA04
2C056FA10
2C056HA52
2C057AF61
2C057AG44
2C057AK09
2C057BA04
2C057BA14
2C057DD09
(57)【要約】
【課題】記録ヘッドユニットに設けられた容量素子単体の不具合を正確に検出可能とする。
【解決手段】キャリッジに取り付けられた中継基板70に、第1コンデンサ64の他方側の端子に接続可能な接続配線106を設ける。記録ヘッドユニット6に設けられた第1コンデンサ64は、接続配線106に接続されていないときはグランド配線102から切り離された第1状態となり、接続配線106に接続されたときは接続配線106を介して電源供給配線101とグランド配線102との間に接続された第2状態となる。第1コンデンサ64が接続配線106に接続されていないとき、プローブにより第1コンデンサ64の両端の端子にそれぞれ接続された第2配線101bと配線105bとの間に電圧を印加可能に構成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドユニットと、
前記記録ヘッドユニットを支持するヘッド支持部と、
電源端子に接続された電源供給配線と、
グランド端子に接続されたグランド配線と、を備えており、
前記記録ヘッドユニットは、
前記電源供給配線の一部と、
前記グランド配線の一部と、
前記電源供給配線により電圧が供給される駆動回路と、
前記駆動回路により駆動電圧が付与され、且つ、前記グランド配線が接続された記録素子と、
容量素子と、を備えており、
前記ヘッド支持部は、前記容量素子の少なくとも一方側の端子に接続可能な接続配線を備えており、
前記容量素子は、前記接続配線に接続されていないときは前記電源供給配線及び前記グランド配線の少なくとも一方から切り離された第1状態となり、前記接続配線に接続されたときは前記接続配線を介して前記電源供給配線と前記グランド配線との間に接続された第2状態となり、
前記容量素子が前記接続配線に接続されていないとき、プローブにより前記容量素子の両端の端子にそれぞれ接続された一対の配線間に電圧を印加可能に構成されていることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記容量素子が前記接続配線に接続されていないとき、プローブにより前記記録ヘッドユニットに設けられた前記電源供給配線と前記グランド配線との間に電圧を印加可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記記録素子は、液体を吐出するノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、圧電体を含んでおり前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電素子と、を有していることを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記記録ヘッドユニットは、前記容量素子の静電容量よりも小さな静電容量を有しており、且つ、前記電源供給配線と前記グランド配線との間に接続された小容量素子をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記電源端子及び前記グランド端子が設けられた基板、をさらに備えており、
前記記録ヘッドユニットは、
前記記録素子を有するヘッドと、
前記駆動回路が実装された第1配線部材と、
前記容量素子が実装され、且つ、前記電源供給配線及び前記グランド配線の一部が設けられた第2配線部材と、を有しており、
前記基板と前記第2配線部材とは電気的に着脱可能に構成されており、前記基板と前記第2配線部材とが電気的に接続されることで、前記ヘッドと前記基板とが前記第1配線部材と前記第2配線部材とを介して電気的に接続され、
前記接続配線は前記基板に設けられており、
前記容量素子は、前記基板と前記第2配線部材とが電気的に接続されていないときは第1状態となり、前記基板と前記第2配線部材とが電気的に接続されているときは第2状態となることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記容量素子は、前記第1状態であるとき、前記一方側の端子が前記グランド配線から切り離されており、
前記接続配線は、前記第2配線部材において前記容量素子の前記一方側の端子に接続された配線の前記容量素子側とは反対側の端部と、前記グランド配線における前記基板に設けられた部分と、を接続可能であることを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記容量素子は、前記第1状態であるとき、前記一方側の端子が前記電源供給配線から切り離されており、
前記接続配線は、前記第2配線部材において前記容量素子の前記一方側の端子に接続された配線の前記容量素子側とは反対側の端部と、前記電源供給配線における前記基板に設けられた部分と、を接続可能であることを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記記録ヘッドユニットの少なくとも一部を被覆可能であり、絶縁性を有する部材で構成されたカバーをさらに有しており、
前記容量素子は、前記第1状態であるとき、前記一方側の端子が前記グランド配線から切り離されており、
前記記録ヘッドユニットは、前記グランド配線に接続されたグランド接続配線をさらに有しており、
前記接続配線は、前記カバーに形成された導電性のパターンであり、前記カバーが前記記録ヘッドユニットを被覆するとき、前記容量素子の前記一方側の端子に接続された配線の前記容量素子側とは反対側の端部と、前記グランド接続配線の前記グランド配線側とは反対側の端部と、を接続可能であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記記録ヘッドユニットの少なくとも一部を被覆可能であり、絶縁性を有する部材で構成されたカバーをさらに有しており、
前記容量素子は、前記第1状態であるとき、前記一方側の端子が前記電源供給配線から切り離されており、
前記記録ヘッドユニットは、前記電源供給配線に接続された電源接続配線をさらに有しており、
前記接続配線は、前記カバーに形成された導電性のパターンであり、前記カバーが前記記録ヘッドユニットを被覆するとき、前記容量素子の前記一方側の端子に接続された配線の前記容量素子側とは反対側の端部と、前記電源接続配線の前記電源供給配線側とは反対側の端部と、を接続可能であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項10】
記録ヘッドユニットと、
前記記録ヘッドユニットを支持するヘッド支持部と、
電源端子に接続された電源供給配線と、
グランド端子に接続されたグランド配線と、
一端部が前記電源供給配線及び前記グランド配線のいずれか一方に接続された接続配線と、を備えており、
前記記録ヘッドユニットは、
前記電源供給配線の一部と、
前記グランド配線の一部と、
前記電源供給配線により電圧が供給される駆動回路と、
前記駆動回路により駆動電圧が付与され、且つ、前記グランド配線が接続された記録素子と、
容量素子と、
前記容量素子の両方の端子にそれぞれ接続された第1配線及び第2配線と、を備えており、
前記第1配線は、前記容量素子側とは反対側の端部が前記電源供給配線及び前記グランド配線のうち前記接続配線が接続されている側とは反対側に接続されており、
前記接続配線は、少なくとも前記一端部とは反対側の他端部を含む部分が前記ヘッド支持部に設けられており、前記他端部が前記第2配線の前記容量素子側とは反対側の端部に接続可能であり、
前記第2配線が前記接続配線に接続されていないとき、プローブにより前記容量素子の両端の端子にそれぞれ接続された前記第1配線と前記第2配線との間に電圧を印加可能に構成されていることを特徴とする画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドユニットを備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置に備えられる記録ヘッドユニットの一例として、特許文献1には、インクジェットプリントヘッドを備えたヘッドユニットが開示されている。かかるインクジェットプリントヘッドは、複数のインク室が設けられており、電圧印加による圧電部材の歪み変形動作により各インク室に圧力変化を与えて、各インク室からインクを吐出するように構成されている。ヘッドユニットは、インクジェットプリントヘッドと、インクジェットプリントヘッドを駆動する駆動回路と、を一体化したものである。
【0003】
また、特許文献1のヘッドユニットには、駆動回路への電源供給ライン間に接続されたコンデンサ(容量素子)が設けられている。かかるコンデンサは、インクジェットプリントヘッドを高速駆動する場合に駆動回路に瞬時に電流を供給することを可能とするものであって、駆動回路に近接して配置することが効果的である。特許文献1においては、ヘッドユニットにコンデンサを設けることで、コンデンサを駆動回路に近接して配置できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3637246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記録ヘッドユニットの製造工程においては、記録ヘッドユニット組立後に、部品の脱落、回路の破損、回路の接続状態等を調べるための電気検査を実施する。上述のように記録ヘッドユニットに駆動回路への電源供給ライン間に接続された状態で容量素子が組み込まれている場合、記録ヘッドユニット全体の電気検査を実施しても、容量素子単体の不具合を検出することは困難である。
【0006】
本発明の目的は、記録ヘッドユニットに設けられた容量素子単体の不具合を正確に検出可能な画像記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像記録装置は、記録ヘッドユニットと、前記記録ヘッドユニットを支持するヘッド支持部と、電源端子に接続された電源供給配線と、グランド端子に接続されたグランド配線と、を備えており、前記記録ヘッドユニットは、前記電源供給配線の一部と、前記グランド配線の一部と、前記電源供給配線により電圧が供給される駆動回路と、前記駆動回路により駆動電圧が付与され、且つ、前記グランド配線が接続された記録素子と、容量素子と、を備えており、前記ヘッド支持部は、前記容量素子の少なくとも一方側の端子に接続可能な接続配線を備えており、前記容量素子は、前記接続配線に接続されていないときは前記電源供給配線及び前記グランド配線の少なくとも一方から切り離された第1状態となり、前記接続配線に接続されたときは前記接続配線を介して前記電源供給配線と前記グランド配線との間に接続された第2状態となり、前記容量素子が前記接続配線に接続されていないとき、プローブにより前記容量素子の両端の端子にそれぞれ接続された一対の配線間に電圧を印加可能に構成されている。
【0008】
別の観点によると、本発明の画像記録装置は、記録ヘッドユニットと、前記記録ヘッドユニットを支持するヘッド支持部と、電源端子に接続された電源供給配線と、グランド端子に接続されたグランド配線と、一端部が前記電源供給配線及び前記グランド配線のいずれか一方に接続された接続配線と、を備えており、前記記録ヘッドユニットは、前記電源供給配線の一部と、前記グランド配線の一部と、前記電源供給配線により電圧が供給される駆動回路と、前記駆動回路により駆動電圧が付与され、且つ、前記グランド配線が接続された記録素子と、容量素子と、前記容量素子の両方の端子にそれぞれ接続された第1配線及び第2配線と、を備えており、前記第1配線は、前記容量素子側とは反対側の端部が前記電源供給配線及び前記グランド配線のうち前記接続配線が接続されている側とは反対側に接続されており、前記接続配線は、少なくとも前記一端部とは反対側の他端部を含む部分が前記ヘッド支持部に設けられており、前記他端部が前記第2配線の前記容量素子側とは反対側の端部に接続可能であり、前記第2配線が前記接続配線に接続されていないとき、プローブにより前記容量素子の両端の端子にそれぞれ接続された前記第1配線と前記第2配線との間に電圧を印加可能に構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像記録装置によると、容量素子がヘッド支持部に設けられた接続配線に接続されていないとき、容量素子は、電源供給配線及びグランド配線の少なくとも一方から切り離された状態となっている。またこのとき、プローブにより容量素子の両端にそれぞれ接続された配線の間に電圧を印加可能である。よって、容量素子がヘッド支持部に設けられた接続配線に接続されていないとき、容量素子単体の電気検査を実施することができる。したがって、容量素子単体の不具合を正確に検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかるプリンタの概略構成図である。
図2】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図3図1に示すガイドレール、キャリッジ及び記録ヘッドユニットのIII-III線断面図である。
図4】インクジェットヘッドの一部分解斜視図である。
図5図4に示す流路ユニット及びアクチュエータユニットのV-V線部分断面図である。
図6】インクジェットヘッドを駆動する電気回路を示す図である。
図7】インクジェットヘッドの電気検査の手順を示す図であり、(a)は第2コンデンサ以外の電気部品を検査する状態、(b)は第2コンデンサを検査する状態を示す。
図8】記録ヘッドユニットをキャリッジに装着する手順を示す図であり、(a)は記録ヘッドユニット嵌め込み前の状態を示し、(b)は記録ヘッドユニット嵌め込み後の状態を示し、(c)は装着完了の状態を示す。
図9】第1変形例におけるインクジェットヘッドを駆動する電気回路を示す図である。
図10】(a)は第2変形例及び第3変形例における接続配線を示す図であり、(b)は第2変形例におけるインクジェットヘッドを駆動する電気回路を示す図であり、(c)は第3変形例におけるインクジェットヘッドを駆動する電気回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な一実施形態にかかるプリンタ1(本発明の「画像記録装置」に相当する)について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明においては、図1の紙面手前側を上方、紙面向こう側を下方として上下方向を定義する。また、図1の紙面上側を後方、紙面下側を前方として前後方向を定義する。
【0012】
(プリンタ1の全体構成)
まず、図1及び図2を参照しつつ、プリンタ1の全体構成について説明する。プリンタ1は、図1に示すように、ガイドレール2、3、キャリッジ4、チューブジョイント5、記録ヘッドユニット6、給紙ローラ11、排紙ローラ12、制御部17等と、これらを収容する筐体9と、を主に備えている。
【0013】
ガイドレール2、3は、いずれも板金部材で構成されている。2本のガイドレール2、3は、いずれも走査方向に沿って延びている。走査方向は、水平且つ前後方向と直交する方向である。走査方向は、図1の紙面左右方向に沿う方向である。2本のガイドレール2、3は、前後方向に互いに離隔して配置されている。ガイドレール2は、ガイドレール3よりも後方に配置されている。2本のガイドレール2、3の下方には、その上面に記録用紙Pが載置されるプラテン10が配置されている。
【0014】
キャリッジ4は、2本のガイドレール2、3に取り付けられている。キャリッジ4は、2本のガイドレール2、3にガイドされつつ走査方向に移動可能である。キャリッジ4の走査方向に関する移動範囲は、プラテン10と対向する対向領域を含んでいる。キャリッジ4は、走査方向に関してプラテン10の一方側から他方側まで移動する。キャリッジ4には、一対のプーリ(不図示)に巻き掛けられた無端状の駆動ベルト(不図示)が取り付けられている。キャリッジ駆動モータ95(図2参照)によってプーリが回転駆動されることで駆動ベルトが走行し、これによりキャリッジ4が走査方向に往復移動する。
【0015】
チューブジョイント5は、キャリッジ4に取り付けられている。チューブジョイント5には、4つのインクカートリッジ91にそれぞれ接続されたチューブ92の端部が接続される。4つのインクカートリッジ91は、筐体9内の前方側の端部に設けられたカートリッジ装着部90に装着される。カートリッジ装着部90には、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色に対応する4つのインクカートリッジ91が装着される。チューブジョイント5には、チューブ92を介して4つのインクカートリッジ91からの4色のインクがそれぞれ供給される。
【0016】
記録ヘッドユニット6は、キャリッジ4に着脱可能に支持されている。すなわち、キャリッジ4は、本発明の「ヘッド支持部」に相当する。後で詳述するように、記録ヘッドユニット6は、チューブジョイント5と接続可能なサブタンク7と、インクジェットヘッド8と、これらサブタンク7及びインクジェットヘッド8を収容するケース16と、有している(図3参照)。サブタンク7がチューブジョイント5と接続することで、4つのインクカートリッジ91からの4色のインクが、チューブジョイント5及びサブタンク7を介して、インクジェットヘッド8の4つのヘッド内流路28(図3参照)にそれぞれ供給される。
【0017】
インクジェットヘッド8の下面であるノズル面20Y(図5参照)には、複数のノズル22が開口している。インクジェットヘッド8のヘッド内流路28に供給されたインクは、ドライバIC97(図2参照:本発明の「駆動回路」に相当する)が駆動されることにより、インクジェットヘッド8の複数のノズル22から吐出される。
【0018】
給紙ローラ11及び排紙ローラ12は、搬送モータ96(図2参照)によってそれぞれ同期して回転駆動される。給紙ローラ11及び排紙ローラ12は協働して、プラテン10に載置された記録用紙Pを搬送する。給紙ローラ11及び排紙ローラ12による記録用紙Pの搬送方向は、水平且つ走査方向と直交する方向であり、後方から前方に向かう方向である。
【0019】
図2に示すように、制御部17は、CPU(Central Processing Unit)81、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)82、メモリ83及びこれらが実装された制御基板80を含む。これらCPU81、ASIC82、メモリ83は内部バスによって接続される。メモリ83は、ROM(Read Only Memory)83a、RAM(Random Access Memory)83b、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)83cを含む。ROM83aには、プリンタ1の各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。CPU81は、プログラムをRAM83bやEEPROM83cを使いつつ実行する。
【0020】
ASIC82は、インクジェットヘッド8のドライバIC97、キャリッジ駆動モータ95及び搬送モータ96と電気的に接続されている。また、ASIC82は、制御基板80に実装された電源98と電気的に接続されている。ASIC82は、これらドライバIC97、キャリッジ駆動モータ95、搬送モータ96、電源98等に制御信号を出力し、これらの動作を制御する。
【0021】
制御部17は、外部機器(例えばPCやスマートフォン)から送信された記録データに基づいて、ドライバIC97、キャリッジ駆動モータ95、搬送モータ96等を制御して、搬送処理と記録処理とを交互に実行し、記録用紙Pに画像等を記録させる。具体的には、搬送処理においては、搬送モータ96を制御して給紙ローラ11及び排紙ローラ12によって記録用紙Pを搬送方向に搬送する。記録処理においては、ドライバIC97及びキャリッジ駆動モータ95を制御して、キャリッジ4と共にインクジェットヘッド8を走査方向に移動させながらノズル22からインクを吐出させる。
【0022】
(ガイドレール2、3及びキャリッジ4の構成)
続いて、図3をさらに参照しつつ、ガイドレール2、3及びキャリッジ4の構成についてより詳細に説明する。
【0023】
図3に示すように、板金部材で構成されたガイドレール2は、その厚み方向が上下方向と略平行となる姿勢で配置されている。ガイドレール2の前後方向の両端部には、上方に折り曲げられた屈曲部2a、2bが設けられている。ガイドレール2の前方側の端部に設けられた屈曲部2bは、上端部が前方側に折り曲げられている。すなわち、屈曲部2bは、上下方向に延びる部分と前後方向に延びる部分とで構成されている。
【0024】
同様に、板金部材で構成されたガイドレール3は、その厚み方向が上下方向と略平行となる姿勢で配置されている。ガイドレール3の前後方向の両端部には、上方に折り曲げられた屈曲部3a、3bが設けられている。
【0025】
キャリッジ4における後方側の端部には、下方に開口されており、且つ、走査方向に沿って延びる溝41が形成されている。溝41には、ガイドレール2の屈曲部2bが嵌め込まれている。また、キャリッジ4には、溝41が形成されている部分よりも前方側の部分に、下方に開口されており、且つ、走査方向に沿って延びる溝42が形成されている。溝42には、ガイドレール3の後方側の端部に設けられた屈曲部3aが嵌め込まれている。
【0026】
キャリッジ4における前後方向に関して溝41が形成されている部分と溝42が形成されている部分との間には、上下方向に貫通する開口47が形成されている。すなわち、キャリッジ4の開口47は、前後方向に関して2本のガイドレール2、3の間に位置している。開口47には、記録ヘッドユニット6が嵌め込まれる。
【0027】
キャリッジ4の前方側の端部は、ガイドレール3と上下方向に重なる重複部分43となっている。重複部分43は、ガイドレール3の上方に位置している。重複部分43には、上方を向いており且つ水平方向に延びる面43aが設けられている。チューブジョイント5は、キャリッジ4における重複部分43の面43aに取り付けられている。
【0028】
キャリッジ4は、重複部分43における前方側の端部に設けられたレバー44と、レバー44に取り付けられた中継基板70とを有している。レバー44は、第1部材45及び第2部材46を有している。第1部材45及び第2部材46は、いずれも樹脂製であり絶縁性を有する。中継基板70は、第2部材46に取り付けられている。
【0029】
第1部材45は、走査方向と平行な方向に沿って延びる軸45aを中心に回動可能である。第1部材45の軸45aは、重複部分43に取り付けられている。第1部材45は、軸45aが設けられている部分を一端部として、走査方向と直交する面(以降、「直交面」と称する)と平行な延在方向に沿って延びている。第2部材46は、走査方向と平行な方向に沿って延びる軸46aを中心に回動可能である。第2部材46の軸46aは、直交面と平行な方向に延びる第1部材45の延在方向に関して、第1部材45における軸45aが設けられている一端部とは反対側の他端部に取り付けられている。第2部材46は、軸46aが設けられている部分を一端部として、直交面と平行な方向に沿って延びている。
【0030】
中継基板70は、制御部17の制御基板80とFFC(Flexible Flat Cable:フレキシブルフラットケーブル)等の接続部材(不図示)を介して接続されている。中継基板70は、本発明の「基板」に相当する。中継基板70は、制御基板80とインクジェットヘッド8のドライバIC97とを中継する。制御基板80に実装された電源98から出力された電圧及びASIC82から出力された制御信号は、中継基板70を介してドライバIC97に供給される。
【0031】
後で詳述するように、ドライバIC97はCOF(Chip On Film:チップオンフィルム)50に実装されており、COF50にはFPC60が電気的に接続されている。ドライバIC97は、COF50及びFPC60を介して中継基板70と電気的に接続可能となっている。中継基板70には、FPC60のコネクタ67と接続可能なコネクタ74が設けられている。コネクタ74及びコネクタ67により中継基板70とFPC60とが接続されることで、中継基板70の出力端子73(図6参照)とFPC60の入力端子66(図6参照)とが電気的に接続される。
【0032】
記録ヘッドユニット6のケース16には、FPC60の入力端子66が設けられた部分を支持する支持部分16aが設けられている。記録ヘッドユニット6がキャリッジ4の開口47に嵌め込まれているとき、ケース16の支持部分16aは、キャリッジ4の重複部分43の上方であって、重複部分43の後方側の端部と上下に対向する位置に位置している。
【0033】
レバー44は、ユーザに操作されることで、第1位置(図3図8(c)参照)と第2位置(図8(a)、(b)参照)とを取り得る。レバー44は、第1位置であるときは、直交面における第1部材45の延在方向が上下方向となり第2部材46の延在方向が前後方向となる。レバー44が第1位置であるとき、第2部材46は、記録ヘッドユニット6のケース16に設けられた支持部分16aの上方において支持部分16aと上下に対向している。すなわち、レバー44の第2部材46は、記録ヘッドユニット6のケース16に設けられた支持部分16aを覆う。レバー44が第1位置であるとき、第2部材46における中継基板70が取り付けられた面は下方を向いており、中継基板70に設けられたコネクタ74は中継基板70の表面から下方に向かって突出している。レバー44が第1位置であるとき、中継基板70のコネクタ74は、記録ヘッドユニット6のケース16に設けられた支持部分16aに支持されたFPC60のコネクタ67と接続される。
【0034】
ユーザにより、第1位置にあるレバー44の第2部材46が上方に持ち上げられると、コネクタ74とコネクタ67との接続が解除される。さらにユーザにより、レバー44が前方側に引っ張られると、レバー44は、図8(a)、(b)に示すような第2位置となる。レバー44が第2位置にあるとき、第1部材45は、直交面における延在方向の他端部(第2部材46の軸46aが取り付けられている部分)が延在方向の一端部(重複部分43に取り付けられている部分)よりも前方側に位置している。すなわち、レバー44の位置が第1位置と第2位置との間で変化することで、第1部材45は、直交面における延在方向が上下方向となる直立位置と、延在方向の他端部が延在方向の一端部よりも前方に位置するように上下方向に対して傾斜した傾斜位置と、の間で移動する。
【0035】
キャリッジ4における重複部分43に取り付けられたチューブジョイント5は、連動機構(不図示)により、レバー44の第1部材45が直立位置と傾斜位置との間で移動するのに連動して前後方向にスライドする。具体的には、レバー44の第1部材45が傾斜位置から直立位置に移動することで、すなわちレバー44が第2位置から第1位置に移動することで、チューブジョイント5は前方側から後方側にスライドする。これにより、チューブジョイント5とサブタンク7とを接続することができる。また、レバー44の第1部材45が直立位置から傾斜位置に移動することで、すなわちレバー44が第1位置から第2位置に移動することで、チューブジョイント5は後方側から前方側にスライドする。これにより、チューブジョイント5とサブタンク7との接続を解除することができる。
【0036】
(チューブジョイント5の構成)
ここで、チューブジョイント5の構成について説明する。図3に示すように、チューブジョイント5は、上下方向に沿って延びる部分と、上下方向に沿って延びる部分の下端部から後方側に延びる部分と、からなる。すなわち、チューブジョイント5は、側面視で逆L字形状を有している。チューブジョイント5は、前後方向に沿って延びる部分の下面が重複部分43の面43aと対向する姿勢でキャリッジ4に取り付けられている。
【0037】
チューブジョイント5の上下方向に沿って延びる部分における走査方向の一方側の壁面には、カートリッジ側接続部5aが設けられている。カートリッジ側接続部5aには、インクカートリッジ91に接続されたチューブ92の端部が接続される。カートリッジ側接続部5aは、上下方向に沿って並んで4つ設けられている。4つのカートリッジ側接続部5aは、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色に対応している。
【0038】
チューブジョイント5の前後方向に沿って延びる部分における後方側の側壁には、ヘッド側接続部5bが設けられている。ヘッド側接続部5bは、記録ヘッドユニット6を構成するサブタンク7に接続される。ヘッド側接続部5bは、走査方向に沿って並んで4つ設けられている。4つのヘッド側接続部5bは、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色に対応している。
【0039】
チューブジョイント5には、4つのインク流路(不図示)が形成されている。この4つのインク流路には、4つのカートリッジ側接続部5aにそれぞれ接続されたチューブ92からインクが供給される。そして、チューブジョイント5のインク流路のインクは、ヘッド側接続部5bに接続されたサブタンク7に形成されたインク流路(不図示)に供給される。
【0040】
(記録ヘッドユニット6の構成)
続いて、記録ヘッドユニット6の構成について説明する。記録ヘッドユニット6は、図3に示すように、サブタンク7と、インクジェットヘッド8と、これらサブタンク7及びインクジェットヘッド8を収容するケース16と、を有している。
【0041】
(サブタンク7)
図3に示すように、サブタンク7は、前後方向に沿って延びる部分と、前後方向に沿って延びる部分の後端部から下方に延びる部分と、からなる。サブタンク7の前後方向に沿って延びる部分における前方側の側壁には、4つの接続部7aが設けられている。4つの接続部7aは、走査方向に沿って並んでいる。接続部7aにはゴム製の接続部材85が取り付けられている。4つの接続部7aは、接続部材85を介してチューブジョイント5に設けられた4つのヘッド側接続部5bにそれぞれ接続される。
【0042】
サブタンク7には、4つのインク流路(不図示)が形成されている。この4つのインク流路には、接続部材85を介してサブタンク7に接続されたチューブジョイント5に形成された4つのインク流路(不図示)からインクがそれぞれ供給される。
【0043】
サブタンク7における上下方向に沿って延びる部分の下端部は、インクジェットヘッド8の上面20Xに位置している。サブタンク7に形成された4つのインク流路は、サブタンク7における上下方向に沿って延びる部分の下端部においてそれぞれ開口している。サブタンク7の4つのインク流路のインクは、インクジェットヘッド8の上面20Xに形成されたインク供給口28aを介して、インクジェットヘッド8に形成された4つのヘッド内流路28にそれぞれ供給される。
【0044】
(インクジェットヘッド8)
次に、図4及び図5をさらに参照しつつ、インクジェットヘッド8の詳細な構成について説明する。インクジェットヘッド8は、流路ユニット20、アクチュエータユニット30、COF50及びFPC60を備えている。流路ユニット20及びアクチュエータユニット30は、本発明の「ヘッド」に相当する。COF50は、本発明の「第1配線部材」に相当する。FPC60は、本発明の「第2配線部材」に相当する。
【0045】
図4に示すように、流路ユニット20の上面20Xには、サブタンク7の4つのインク流路のインクがそれぞれ流入する4つのインク供給口28aが走査方向に沿って並んでいる。図5に示すように、流路ユニット20の下面は、複数のノズル22が開口したノズル面20Yとなっている。
【0046】
流路ユニット20の内部には、4つのヘッド内流路28が形成されている。図5においては、1つのヘッド内流路28のみを示している。各ヘッド内流路28は、複数の個別流路26と、複数の個別流路26に共通して設けられた1つの共通流路27と、で構成される。すなわち、流路ユニット20には、4つの共通流路27が設けられている。4つの共通流路27は、インク供給口28aを介してサブタンク7の4つのインク流路にそれぞれ連通している。個別流路26は、ノズル22毎に個別に設けられており、ノズル22に連通する圧力室23を有している。個別流路26は、共通流路27の出口から圧力室23を経てノズル22に至る流路である。サブタンク7からインク供給口28aを介して共通流路27に送り込まれたインクは、各個別流路26に供給されてノズル22から吐出される。流路ユニット20の上面20Xには、複数の圧力室23が開口している。
【0047】
アクチュエータユニット30は、圧電層31、32と共通電極33と複数の個別電極34とを有している。圧電層31、32は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料からなる。PZT等の圧電材料は、誘電率の高い、高誘電率材料である。圧電層31、32は、本発明の「圧電体」に相当する。圧電層31は、流路ユニット20の上面20Xに複数の圧力室23を覆うように配置され、圧電層32は、圧電層31の上面に配置され、複数の圧力室23にわたって連続的に延びている。なお、圧電層31の代わりに、例えば合成樹脂材料等、圧電材料以外の絶縁性材料からなる層を配置してもよい。
【0048】
共通電極33は、圧電層31と圧電層32との間において複数の圧力室23にわたって連続的に延びている。共通電極33は、後述するようにグランド端子72(図6参照)に接続されており、グランド電位に保持されている。複数の個別電極34は、複数の圧力室23に個別に設けられている。複数の個別電極34は、各圧力室23と上下に重なる位置に設けられている。複数の個別電極34は、後述するようにドライバIC97に接続されている。複数の個別電極34には、ドライバIC97により個別にパルス信号が出力されることにより、駆動電圧が付与される。個別電極34に駆動電圧が印加されることで、個別電極34の電位はグランド電位と正電位(例えば20~30V程度)との間で切り替わる。
【0049】
圧電層32における共通電極33と各個別電極34とに挟まれた部分は、上下方向に分極されている。アクチュエータユニット30は、各圧力室23と上下に重なる部分が、圧電素子30Xとなっている。圧電素子30Xは、個別電極34への電圧の印加に応じて変形可能である。圧電素子30Xの変形により圧力室23の容積が変化し、圧力室23内のインクに圧力が付与されてノズル22からインクが吐出される。なお、1つの個別流路26と、その個別流路26に対応する圧電素子30Xとを合わせたものを、それぞれ記録素子8Xとする。
【0050】
COF50は、アクチュエータユニット30の共通電極33及び複数の個別電極34と電気的に接続されている。図4に示すように、COF50は、帯状の配線部材である。なお、図4においては、COF50に設けられた配線の図示は省略している。以降の説明においては、まっすぐに伸ばした状態のCOF50の長手方向の両端部を、単に「両端部」と称する。COF50は、アクチュエータユニット30上面に配置された中央部分51と、中央部分51における搬送方向の両端部から上方に引き出された2つの引出部分52と、を有する。2つの引出部分52は、中央部分51の上方において中央部分51と上下に重なるように曲げられている。これにより、COF50の両端部は、中央部分51の上方において中央部分51と上下に重なる位置に位置している。COF50の両端部は、搬送方向に関して離隔して配置されている。
【0051】
2つの引出部分52のそれぞれに、ドライバIC97が実装されている。2つのドライバIC97のうち、一方はアクチュエータユニット30において搬送方向の一方に位置する複数の圧電素子30Xと電気的に接続され、他方はアクチュエータユニット30において搬送方向の他方に位置する複数の圧電素子30Xと電気的に接続される。
【0052】
FPC60は、帯状の配線部材である。なお、図4においては、FPC60に設けられた配線の図示は省略している。FPC60は、COF50と接続される第1接続部分61と、中間部分62と、中継基板70と接続される第2接続部分63と、を有している。まっすぐに伸ばした状態のFPC60における長手方向の一端部が第1接続部分61となっており、他端部が第2接続部分63となっている。FPC60の第1接続部分61と第2接続部分63との間の部分が、中間部分62となっている。
【0053】
第1接続部分61は、COF50の上方においてCOF50と上下に重なる位置に配置されている。第1接続部分61は、COF50の両端部に跨るように配置されている。第1接続部分61は、COF50の両端部と半田により接続されている。第1接続部分61には、第2コンデンサ65(本発明の「小容量素子」に相当)が実装されている。
【0054】
中間部分62は、途中部分で折り曲げられており、折り曲げ部分を挟んで第1部分62aと第2部分62bとに分かれている。第1部分62aは、第1接続部分61における走査方向の一方側の端部から上方に引き出されている。第2部分62bは、走査方向に関して第1部分62aの他方側に位置する。第2部分62bは、その面が上下方向と直交する姿勢となっている。
【0055】
第2部分62bは、途中部分において上下の面が逆となるように折り曲げられている。すなわち第2部分62bは、折り曲げ部分を挟んで一方側で上面となっている側が、他方側では下面となる。第2部分62bにおける折り曲げ部分よりも第2接続部分63側の部分は、搬送方向に沿って延びている。第2部分62bにおける折り曲げ部分よりも第2接続部分63側の部分には、第1コンデンサ64(本発明の「容量素子」に相当)が実装されている。
【0056】
第2接続部分63には、中継基板70コネクタ74と接続可能なコネクタ67が設けられている。第2接続部分63は、記録ヘッドユニット6のケース16に設けられた支持部分16aに支持される。
【0057】
(インクジェットヘッド8を駆動する電気回路)
次に、図6を参照しつつ、インクジェットヘッド8を駆動する電気回路について説明する。図6は、インクジェットヘッド8の1つの記録素子8Xを駆動する1つの回路ループを示す。記録素子8Xに含まれる圧電素子30Xは、高誘電率材料である圧電層32が共通電極33と個別電極34とで挟まれた要素であり、一種のコンデンサとみなすことができる。
【0058】
COF50に実装されたドライバIC97には、電源供給配線101を介して電圧が供給される。電源供給配線101は、中継基板70に設けられた第1配線101aと、FPC60に設けられた第2配線101bと、COF50に設けられた第3配線101cと、からなる。第1配線101aは、中継基板70に設けられた電源端子71と出力端子73とを接続している。電源端子71には、電源98から出力された電圧が入力される。第2配線101bは、FPC60に設けられた入力端子66と第3配線101cの一端部とを接続している。第3配線101cの第2配線101bに接続されている側とは反対の他端部は、ドライバIC97に接続されている。
【0059】
コネクタ74及びコネクタ67により中継基板70とFPC60とが接続されたとき、中継基板70の出力端子73及びFPC60の入力端子66を介して、中継基板70の第1配線101aとFPC60の第2配線101bとが電気的に接続される。これにより、ドライバIC97に電源供給配線101を介して電源98から出力された電圧が供給可能となる。
【0060】
COF50及びアクチュエータユニット30には、ドライバIC97と圧電素子30Xの個別電極34とを接続する駆動電圧付与配線103が形成されている。ドライバIC97は、駆動電圧付与配線103を介して個別電極34に駆動電圧を付与する。
【0061】
圧電素子30Xの共通電極33には、グランド配線102が接続されている。グランド配線102は、中継基板70に設けられた第1配線102aと、FPC60に設けられた第2配線102bと、COF50及びアクチュエータユニット30に設けられた第3配線102cと、からなる。第1配線102aは、中継基板70に設けられたグランド端子72と出力端子73とを接続している。グランド端子72は、グランドと接続されている。第2配線102bは、FPC60に設けられた入力端子66と第3配線102cの一端部とを接続している。第3配線102cの第2配線102bに接続されている側とは反対の他端部は、圧電素子30Xの共通電極33に接続されている。
【0062】
コネクタ74及びコネクタ67により中継基板70とFPC60とが接続されたとき、中継基板70の出力端子73及びFPC60の入力端子66を介して、中継基板70の第1配線102aとFPC60の第2配線102bとが電気的に接続される。これにより、圧電素子30Xの共通電極33はグランド電位となる。
【0063】
上述のようにFPC60には、第1コンデンサ64及び第2コンデンサ65が実装されている。第1コンデンサ64は、例えば電解コンデンサである。第2コンデンサ65は、例えばセラミックコンデンサである。第2コンデンサ65の静電容量と、圧電素子30Xの静電容量は、いずれも第1コンデンサ64の静電容量よりも小さい。第1コンデンサ64は、インクジェットヘッド8を高速駆動する場合にドライバIC97に瞬時に電流を供給することを可能とする役割を有している。第2コンデンサ65は、電源98からのノイズを除去する役割を有している。
【0064】
FPC60には、第2コンデンサ65の2つの端子にそれぞれ接続された配線104a、104bが設けられている。配線104aは、一端部が第2コンデンサ65の一方の端子に接続されており、他端部が電源供給配線101における第2配線101bの途中部分に接続されている。配線104bは、一端部が第2コンデンサ65の他方の端子に接続されており、他端部がグランド配線102における第2配線102bの途中部分に接続されている。これにより、第2コンデンサ65は、電源供給配線101とグランド配線102との間に接続される。
【0065】
FPC60には、第1コンデンサ64の2つの端子にそれぞれ接続された配線105a、105bが設けられている。配線105aは、一端部が第1コンデンサ64の一方の端子に接続されており、他端部が電源供給配線101における第2配線101bの途中部分に接続されている。より詳細には、配線105aの他端部は、第2配線101bにおける配線104aが接続されている部分と入力端子66との間に接続されている。配線105aは、本発明の「第1配線」に相当する。配線105bは、一端部が第1コンデンサ64の他方の端子に接続されており、他端部が入力端子66に接続されている。配線105bは、本発明の「第2配線」に相当する。中継基板70には、一端部がグランド配線102における第1配線102aの途中部分に接続され、他端部が出力端子73に接続された接続配線106が設けられている。
【0066】
中継基板70とFPC60とが接続されていないとき、すなわち第1コンデンサ64が配線105bを介して接続配線106に接続されていないときは、第1コンデンサ64はグランド配線102から切り離された第1状態となる。コネクタ74及びコネクタ67により中継基板70とFPC60とが接続されたとき、中継基板70の出力端子73及びFPC60の入力端子66を介して、中継基板70の接続配線106とFPC60の配線105bとが電気的に接続される。すなわち、接続配線106は、配線105bの第1コンデンサ64側とは反対側の端部と第1配線102aとを接続する。これにより、第1コンデンサ64は、配線105bと接続配線106とを介してグランド配線102に接続される。すなわち。第1コンデンサ64は、電源供給配線101とグランド配線102との間に接続された第2状態となる。
【0067】
(インクジェットヘッド8の電気検査の手順)
ここで、図7をさらに参照しつつ、インクジェットヘッド8の電気検査の手順の一例について説明する。かかる電気検査は、記録ヘッドユニット6の製造工程において行われものであり、中継基板70とFPC60とが接続されていない状態で行われる。すなわち、このとき第1コンデンサ64は、グランド配線102から切り離された第1状態である。かかる電気検査は、部品の脱落、回路の破損、回路の接続状態等を調べるためのものである。
【0068】
まず、図7(a)に示すように、FPC60の第2配線101bが接続された入力端子66と、第2配線102bが接続された入力端子66と、にプローブ109をそれぞれ接触させる。このとき、電源供給配線101とグランド配線102との間に電圧が印加される。これにより、第1コンデンサ64以外の電気部品、すなわち第2コンデンサ65、ドライバIC97、記録素子8X等の電気検査を実施することができる。
【0069】
次に、図7(b)に示すように、FPC60の第2配線101bが接続された入力端子66と、配線105bが接続された入力端子66と、にプローブ109をそれぞれ接触させる。このとき、第1コンデンサ64の両端の端子にそれぞれ接続された一対の配線間、すなわち第2配線101bと配線105bとの間に電圧が印加される。これにより、第1コンデンサ64単体の電気検査を実施することができる。
【0070】
なお、図7(a)に示す第1コンデンサ64以外の電気部品の電気検査と、図7(b)に示す第1コンデンサ64単体の電気検査と、の順番は逆であってもよい。すなわち、第1コンデンサ64単体の電気検査を先に行い、その次に第1コンデンサ64以外の電気部品の電気検査を行ってもよい。
【0071】
(記録ヘッドユニット6の装着手順)
次に、図8をさらに参照しつつ、記録ヘッドユニット6をキャリッジ4に装着する手順について説明する。
【0072】
まず、図8(a)に示すように、キャリッジ4の開口47に上方から記録ヘッドユニット6を嵌め込む。このとき、キャリッジ4のレバー44は、第2位置となっている。図8(b)に示すように、記録ヘッドユニット6がキャリッジ4の開口47に嵌め込まれたとき、サブタンク7に取り付けられた接続部材85は、キャリッジ4の重複部分43の面43a上に位置する。その後、図8(c)に示すように、レバー44を第2位置から第1位置とし、レバー44の第2部材46に取り付けられた中継基板70のコネクタ74とFPC60のコネクタ67とを接続する。これにより、記録ヘッドユニット6のインクジェットヘッド8を構成するアクチュエータユニット30と中継基板70とが、COF50及びFPC60を介して電気的に接続される。
【0073】
また、レバー44が第2位置から第1位置に移動するのに伴って、チューブジョイント5が前方側から後方側にスライドする。これにより、接続部材85を介してチューブジョイント5とサブタンク7とが接続される。
【0074】
(実施形態の特徴)
以上のように、本実施形態のプリンタ1では、キャリッジ4に支持される記録ヘッドユニット6は、電源端子71に接続された電源供給配線101の一部と、グランド端子72に接続されたグランド配線102の一部と、電源供給配線101により電圧が供給されるドライバIC97と、ドライバIC97により駆動電圧が付与され、且つ、グランド配線102が接続された記録素子8Xと、第1コンデンサ64と、を備えている。キャリッジ4は、第1コンデンサ64の他方側の端子に接続可能な接続配線106を備えており、第1コンデンサ64は、接続配線106に接続されていないときはグランド配線102から切り離された第1状態となり、接続配線106に接続されたときは接続配線106を介して電源供給配線101とグランド配線102との間に接続された第2状態となり、第1コンデンサ64が接続配線106に接続されていないとき、プローブ109により第1コンデンサ64の両端の端子にそれぞれ接続された第2配線101bと配線105bとの間に電圧を印加可能に構成されている。
【0075】
上述の構成により、第1コンデンサ64がキャリッジ4に設けられた接続配線106に接続されていないとき、第1コンデンサ64は、グランド配線102から切り離された第1状態となっている。またこのとき、プローブ109により第1コンデンサ64の両端にそれぞれ接続された第2配線101bと配線105bとの間に電圧を印加可能である。よって、第1コンデンサ64がキャリッジ4に設けられた接続配線106に接続されていないとき、第1コンデンサ64単体の電気検査を実施することができる。したがって、第1コンデンサ64単体の不具合を正確に検出可能である。
【0076】
また、上述の実施形態のプリンタ1は、第1コンデンサ64が接続配線106に接続されていないとき、プローブ109によりインクジェットヘッド8に設けられた電源供給配線101とグランド配線102との間に電圧を印加可能に構成されている。したがって、第1コンデンサ64がキャリッジ4に設けられた接続配線106に接続されていないとき、プローブ109によりインクジェットヘッド8に設けられた電源供給配線101とグランド配線102との間に電圧を印加することで、インクジェットヘッド8の第1コンデンサ64以外の電気部品(例えば記録素子8XやドライバIC97)の電気検査を実施することができる。したがって、インクジェットヘッド8の第1コンデンサ64以外の電気部品の不具合を検出可能である。
【0077】
さらに、上述の実施形態のプリンタ1では、記録素子8Xは、インクを吐出するノズル22と、ノズル22に連通する圧力室23と、圧電層31、32を含んでおり圧力室23内のインクに圧力を付与する圧電素子30Xと、を有している。すなわち、記録素子8Xは、電荷を蓄えることができる圧電層31、32を有している。第1コンデンサ64の静電容量が記録素子8Xの静電容量に比べて十分に大きい場合には、電気検査において容量測定を行うとき、第1コンデンサ64と記録素子8Xとを同時に検査すると記録素子8Xの容量値が正しいかの判断が困難である。本構成では、第1コンデンサ64と記録素子8Xとを別々に検査することができるので、記録素子8Xの容量測定を適正に行うことができる。
【0078】
加えて、上述の実施形態のプリンタ1では、インクジェットヘッド8は、第1コンデンサ64の静電容量よりも小さな静電容量を有しており、且つ、電源供給配線101とグランド配線102との間に接続された第2コンデンサ65を備えている。第1コンデンサ64の静電容量が第2コンデンサ65の静電容量に比べて十分に大きい場合には、電気検査において容量測定を行うとき、第1コンデンサ64と第2コンデンサ65とを同時に検査すると第2コンデンサ65が正しく実装されているかの判断が困難である。本構成では、第1コンデンサ64と第2コンデンサ65とを別々に検査することができるので、第2コンデンサ65が正しく実装されているかを適正に検出できる。
【0079】
さらに、上述の実施形態のプリンタ1は、電源端子71及びグランド端子72が設けられた中継基板70を備えている。記録ヘッドユニット6は、記録素子8Xが設けられた流路ユニット20及びアクチュエータユニット30と、ドライバIC97が実装されたCOF50と、第1コンデンサ64が実装され、且つ、電源供給配線101及びグランド配線102の一部が設けられたFPC60と、を有している。中継基板70とFPC60とは電気的に着脱可能に構成されており、中継基板70とFPC60とが電気的に接続されることで、アクチュエータユニット30と中継基板70とがCOF50とFPC60とを介して電気的に接続される。接続配線106は中継基板70に設けられており、第1コンデンサ64は、中継基板70とFPC60とが電気的に接続されていないときは第1状態となり、中継基板70とFPC60とが電気的に接続されているときは第2状態となる。したがって、中継基板70とFPC60とを電気的に接続することで第1コンデンサ64を第2状態とし、第1コンデンサ64により画像記録時にドライバIC97に瞬時に電流を供給することが可能となる。
【0080】
また、上述の実施形態のプリンタ1では、第1コンデンサ64は、第1状態であるとき、他方側の端子がグランド配線102から切り離されている。接続配線106は、FPC60において第1コンデンサ64の他方側の端子に接続された配線105bの第1コンデンサ64側とは反対側の端部と、グランド配線102における中継基板70に設けられた部分と、を接続可能である。したがって、中継基板70とFPC60とを接続することで、中継基板70に設けられた接続配線106を介して第1コンデンサ64の他方側の端子をグランド配線102に接続することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0082】
上述の実施形態では、第1コンデンサ64は、接続配線106に接続されていないときはグランド配線102から切り離された第1状態となる場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、図9に示すように、上述の実施形態の第1変形例にかかるプリンタ201においては、第1コンデンサ64は、接続配線106に接続されていないときは電源供給配線101から切り離された第1状態となる。
【0083】
プリンタ201においては、FPC60に設けられた配線105aは、一端部が第1コンデンサ64の一方の端子に接続されており、他端部が入力端子66に接続されている。また、配線105bは、一端部が第1コンデンサ64の他方の端子に接続されており、他端部がグランド配線102における第2配線102bの途中部分に接続されている。中継基板70に設けられた接続配線106は、電源供給配線101における第1配線101aの途中部分と出力端子73とを接続する。本変形例においては、配線105aは本発明の「第2配線」に相当し、配線105bは本発明の「第1配線」に相当する。
【0084】
プリンタ201においては、中継基板70とFPC60とが電気的に接続されていないとき、すなわち第1コンデンサ64が配線105aを介して接続配線106に接続されていないときは、第1コンデンサ64は電源供給配線101から切り離された第1状態となる。コネクタ74及びコネクタ67により中継基板70とFPC60とが電気的に接続されたとき、第1コンデンサ64は、配線105aと接続配線106とを介して電源供給配線101に接続される。すなわち。第1コンデンサ64は、電源供給配線101とグランド配線102との間に接続された第2状態となる。
【0085】
プリンタ201においてインクジェットヘッド8の電気検査を実施する場合には、例えば、FPC60の第2配線101bが接続された入力端子66と、配線105aが接続された入力端子66と、第2配線102bが接続された入力端子66と、にプローブ109を接触させる。そして、第2配線101bと第2配線102bとの間と、配線105aと第2配線102bとの間とに同時に異なる電圧を印加する。例えば、第2配線101bと第2配線102bとの間に20Vの電圧を印加し、配線105aと第2配線102bとの間に10Vの電圧を印加する。すなわち、第2コンデンサ65、ドライバIC97、記録素子8X等の電気検査と、第1コンデンサ64単体の電気検査とを、同時に実施することができる。したがって、これらの検査を別々に行う場合に比べて検査時間を短縮することができる。
【0086】
また、第1コンデンサ64単体の電気検査を行うことができない場合、すなわち第1コンデンサ64の電気検査をドライバIC97と一緒に行う場合には、電気検査において、ドライバIC97の定格電流以上の電流を流すことはできない。したがって、第1コンデンサ64への充電時間が長くなり、検査時間が長くなる。第1変形例にかかるプリンタ201においては、第1コンデンサ64に対してドライバIC97の定格電流以上の電流を流すことが可能である。したがって、短時間で第1コンデンサ64への充電が完了するので、検査時間を短縮することができる。
【0087】
また、上述の実施形態では、接続配線106がキャリッジ4における中継基板70に設けられている場合について説明したが、接続配線106はキャリッジ4における中継基板70以外の部分に設けられていてもよい。すなわち例えば、上述の実施形態の第2変形例にかかるプリンタ301(図10(b)参照)及び第3変形例にかかるプリンタ401(図10(c)参照)においては、接続配線106は、図10(a)に示すように、キャリッジ4におけるレバー44を構成する樹脂製の第2部材46に形成された導電性パターンである。レバー44の第2部材46は、レバー44が第1位置であるとき、記録ヘッドユニット6のケース16に設けられた支持部分16aを覆うものであり、本発明の「カバー」に相当する。
【0088】
図10(b)に示すように、プリンタ301においては、FPC60に設けられた配線105bは、一端部が第1コンデンサ64の他方の端子に接続されており、他端部が端子68aに接続されている。さらに、FPC60には、第2配線102bの途中部分と端子68bとを接続するグランド接続配線107が設けられている。FPC60における端子68a、68bが設けられた部分は、ケース16の支持部分16aに支持される。レバー44が第1位置に位置しておりレバー44の第2部材46が支持部分16aを覆うとき、第2部材46に形成された接続配線106は端子68a、68bの間を電気的に接続する。すなわち、第1コンデンサ64が接続配線106に接続される。これにより、配線105bの第1コンデンサ64側とは反対側の端部と、グランド接続配線107のグランド配線102側とは反対側の端部と、が電気的に接続される。本変形例においては、グランド接続配線107と接続配線106とが本発明の「接続配線」に相当する。
【0089】
プリンタ301においては、第1コンデンサ64は、接続配線106に接続されていないときは他方側の端子がグランド配線102から切り離された第1状態となる。また、第1コンデンサ64は、接続配線106に接続されたときは接続配線106を介して電源供給配線101とグランド配線102との間に接続された第2状態となる。
【0090】
プリンタ301においてインクジェットヘッド8の電気検査を行う場合には、例えば、まずFPC60の第2配線101bが接続された入力端子66と第2配線102bが接続された入力端子66とにプローブ109を接触させ、第2コンデンサ65、ドライバIC97、記録素子8X等の電気検査を実施する。さらに、FPC60の第2配線101bが接続された入力端子66と端子68aとにプローブ109を接触させ、第1コンデンサ64単体の電気検査を実施する。電気検査の順番は、これに限定されるものではない。
【0091】
図10(c)に示すように、プリンタ401においては、FPC60に設けられた配線105aは、一端部が第1コンデンサ64の一方の端子に接続されており、他端部が端子68aに接続されている。さらに、FPC60には、第2配線101bの途中部分と端子68bとを接続する電源接続配線108が設けられている。FPC60における端子68a、68bが設けられた部分は、ケース16の支持部分16aに支持される。また、配線105bは、一端部が第1コンデンサ64の他方の端子に接続されており、他端部が第2配線102bの途中部分に接続されている。レバー44が第1位置に位置しておりレバー44の第2部材46が支持部分16aを覆うとき、第2部材46に形成された接続配線106は端子68a、68bの間を電気的に接続する。すなわち、第1コンデンサ64が接続配線106に接続される。これにより、配線105aの第1コンデンサ64側とは反対側の端部と、電源接続配線108の電源供給配線101側とは反対側の端部と、が電気的に接続される。本変形例においては、電源接続配線108と接続配線106とが本発明の「接続配線」に相当する。
【0092】
プリンタ401においては、第1コンデンサ64は、接続配線106に接続されていないときは一方側の端子が電源供給配線101から切り離された第1状態となる。また、第1コンデンサ64は、接続配線106に接続されたときは接続配線106を介して電源供給配線101とグランド配線102との間に接続された第2状態となる。
【0093】
プリンタ401においてインクジェットヘッド8の電気検査を行う場合には、例えば、まずFPC60の第2配線101bが接続された入力端子66と第2配線102bが接続された入力端子66とにプローブ109を接触させ、第2コンデンサ65、ドライバIC97、記録素子8X等の電気検査を実施する。さらに、FPC60の第2配線102bが接続された入力端子66と端子68aとにプローブ109を接触させ、第1コンデンサ64単体の電気検査を実施する。電気検査の順番は、これに限定されるものではない。
【0094】
さらに、上述の実施形態で及び変形例は、第1コンデンサ64の一方の端子に接続可能な接続配線106を備えている説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、一端部が電源供給配線101に接続された接続配線と一端部がグランド配線102に接続された接続配線とが中継基板70に設けられており、これら2本の接続配線が第1コンデンサ64の2つの端子に接続された配線105a、105bにそれぞれ接続可能であってもよい。
【0095】
また、上述の実施形態では、第1コンデンサ64が電解コンデンサであり、第2コンデンサ65がセラミックコンデンサである場合について説明したが、これには限定されない。第1コンデンサ64は、電荷をためることができる容量素子であればよい。第2コンデンサ65は、静電容量が第1コンデンサ64よりも小さい容量素子であればよい。第2コンデンサ65は、設けられていなくてもよい。
【0096】
さらに、上述の実施形態では、第1コンデンサ64が接続配線106に接続されていないとき、FPC60の第2配線101bが接続された入力端子66と、第2配線102bが接続された入力端子66と、にプローブ109を接触させ、プローブ109により電源供給配線101とグランド配線102との間に電圧を印加可能に構成されている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、第2配線102bが接続された入力端子66は、プローブ109を接触させられないような構成となっていてもよい。
【0097】
また、上述の実施形態では、記録ヘッドユニット6は、ドライバIC97が実装されたCOF50と、第1コンデンサ64が実装されたFPC60と、を有している場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、ドライバIC97及び第1コンデンサ64は同一の配線部材に実装されていてもよい。
【0098】
さらに、上述の実施形態では、電源端子71及びグランド端子72が中継基板70に設けられている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、電源端子71及びグランド端子72は、中継基板70以外の基板や配線部材等に設けられていてもよい。また、電源端子71及びグランド端子72は、異なる部材に設けられていてもよい。
【0099】
さらに、上述の実施形態では、シリアル式のプリンタ1について説明したが、ライン式のプリンタに本発明を適用することもできる。上述の実施形態では、走査方向に移動可能であり記録ヘッドユニット6を支持するキャリッジ4に接続配線106が設けられている。本発明をライン式のプリンタに適用する場合には、ライン式の記録ヘッドユニットを支持する部分に配線部材が設けられる。
【0100】
加えて、上述の実施形態では、圧電素子30Xにより圧力室23内のインクに圧力を付与してノズル22からインクを吐出するインクジェットヘッド8について説明したが、インクジェットヘッドのインクの吐出方式はこれには限定されない。すなわち例えば、圧力室内のインクを加熱素子で加熱して、圧力室内に気泡を発生させることによって、ノズルからインクを吐出させる方式であってもよい。
【0101】
また本発明は、ノズルからインクを吐出するヘッドを備えるインクジェットプリンタだけでなく、例えばLEDで感光体を露光することにより静電潜像が形成されるLED式のプリンタに適用することもできる。
【符号の説明】
【0102】
1 プリンタ(画像記録装置)
4 キャリッジ(ヘッド支持部)
6 記録ヘッドユニット
8X 記録素子
22 ノズル
23 圧力室
20 流路ユニット(ヘッド)
30 アクチュエータユニット(ヘッド)
30X 圧電素子
31、32 圧電層(圧電体)
44 レバー(カバー)
50 COF(第1配線部材)
60 FPC(第2配線部材)
64 第1コンデンサ(小容量素子)
65 第2コンデンサ(容量素子)
70 中継基板(基板)
71 電源端子
72 グランド端子
97 ドライバIC(駆動回路)
101 電源供給配線
102 グランド配線
106 接続配線
109 プローブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10