(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059422
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】情報処理装置の機能を発揮させるプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240423BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167085
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守岡 太郎
(72)【発明者】
【氏名】新井 朗
(72)【発明者】
【氏名】山田 啓之
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】地域とのめぐり逢いを演出した、滞在先の施設又は当該施設で提供されるサービスの利用を提供することが可能なプログラムを提供する。
【解決手段】滞在先の施設又は当該施設で提供されるサービスを利用対象とする利用券を割り当てる情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記情報処理装置は、ユーザが指定した利用対象に関する所定の条件に基づいて、所定の数の提示用候補を設定する設定手段と、前記所定の数の提示用候補を示す表示用情報を、ユーザの通信装置における表示のために生成する第1生成手段と、前記所定の数の提示用候補から1つを選択する前に、ユーザの通信装置から、前記提示用候補に基づく前記利用券の割り当てについての申込を取得する取得手段と、前記申込を取得した後に、前記所定の数の提示用候補に対応する利用対象の候補のなかからユーザに割り当てる利用対象を選択する選択手段と、を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滞在先の施設又は当該施設で提供されるサービスを利用対象とする利用券を割り当てる情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記情報処理装置は、
ユーザが指定した利用対象に関する所定の条件に基づいて、所定の数の提示用候補を設定する設定手段と、
前記所定の数の提示用候補を示す表示用情報を、ユーザの通信装置における表示のために生成する第1生成手段と、
前記所定の数の提示用候補から1つを選択する前に、ユーザの通信装置から、前記提示用候補に基づく前記利用券の割り当てについての申込を取得する取得手段と、
前記申込を取得した後に、前記所定の数の提示用候補に対応する利用対象の候補のなかからユーザに割り当てる利用対象を選択する選択手段と、を有するプログラム。
【請求項2】
前記選択手段は、それぞれの利用対象の候補を割り当てたときの利益、及び、それぞれの利用対象の候補の割当計画との乖離の大きさの少なくともいずれかに基づいて重み付けした確率に従って、前記利用対象の候補のなかからユーザに割り当てる利用対象を選択する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記ユーザの通信装置における表示のために、前記選択した利用対象の情報と当該利用対象の周辺情報とを含む表示用情報を生成する第2生成手段を更に有する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記利用対象の周辺情報は、当該利用対象から所定の距離以内の周辺施設又は所定の距離以内で実施されるイベントの名称、及び、当該周辺施設を利用又は当該イベントに参加するための予約に関する情報の少なくともいずれかを含む、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第2生成手段は、複数の周辺情報から、前記周辺施設に対して付与されている評価値又は前記イベントに対して付与されている評価値に基づいて、表示する周辺情報を選択する、請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記選択手段は、それぞれの利用対象の候補について割当計画の量に足りていない利用対象の候補ほど、より大きなウェイトを付与し、割当計画の量を超えて割り当てられている利用対象の候補ほど、小さなウェイトを付与して重み付けした確率に従って、ユーザに割り当てる利用対象を選択する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記選択手段は、それぞれの利用対象の候補を割り当てたときの利益、及び、それぞれの利用対象の候補の割当計画との乖離の大きさの少なくともいずれかに基づいて優先順を決定し、決定した優先順に応じて次の利用対象の候補を選択する、ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置の機能を発揮させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「どっかに行きたい」というユーザを対象に、日程等のユーザが予め入力した条件に基づいて行先の空港及び航空便をシステムが自動的に決定する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、多くの企業にリモートワークが普及し、オフィス以外の場所で仕事する環境が整っている。このような環境変化により、ある地域(例えば都心)の職場に勤める従業員が数日の間、他の地域(例えば地方)に滞在してリモートワークを行うような活動が注目されている。企業は、このような活動に取り組むことで、転地効果による従業員のアウトプットの質向上等を期待することができ、また、地域の宿泊施設や飲食店の稼働率向上等に寄与することができるなど、様々な効果を期待することができる。このような活動をより効果的にすべく、従業員が滞在先の地域に興味を抱き、当該地域での滞在や活動を通して地域との関係を深化させるように、地域とのめぐり逢いを演出する技術が望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、地域とのめぐり逢いを演出した、滞在先の施設又は当該施設で提供されるサービスの利用を提供することが可能な技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するため、例えば本発明のプログラムは以下の構成を備える。すなわち、滞在先の施設又は当該施設で提供されるサービスを利用対象とする利用券を割り当てる情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記情報処理装置は、ユーザが指定した利用対象に関する所定の条件に基づいて、所定の数の提示用候補を設定する設定手段と、前記所定の数の提示用候補を示す表示用情報を、ユーザの通信装置における表示のために生成する第1生成手段と、前記所定の数の提示用候補から1つを選択する前に、ユーザの通信装置から、前記提示用候補に基づく前記利用券の割り当てについての申込を取得する取得手段と、前記申込を取得した後に、前記所定の数の提示用候補に対応する利用対象の候補のなかからユーザに割り当てる利用対象を選択する選択手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、地域とのめぐり逢いを演出した、滞在先の施設又は当該施設で提供されるサービスの利用を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの概要を説明する図
【
図2】本実施形態に係る情報処理装置の一例としての販売サーバの機能構成例を示すブロック図
【
図3】本実施形態に係る他の情報処理装置の一例としての在庫サーバの機能構成例を示すブロック図
【
図4】本実施形態に係る通信装置の機能構成例を示すブロック図
【
図5】本実施形態に係る利益ウェイトに基づく抽選ウェイトの算出について説明する図
【
図6A】本実施形態に係る計画乖離ウェイトの概要について説明する図
【
図6B】本実施形態に係る計画乖離ウェイトに基づく抽選ウェイトの算出について説明する図
【
図6C】本実施形態に係る利益ウェイトと計画乖離ウェイトに基づく抽選ウェイトの算出について説明する図
【
図7】本実施形態に係る宿泊券販売処理に係る一連の動作を示すフローチャート
【
図8】本実施形態に係る条件設定画面の一例を示す図
【
図9】本実施形態に係る宿泊候補画面の一例を示す図
【
図10】本実施形態に係る宿泊先通知画面の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<本実施形態に係るワーケーションについて>
本実施形態に係る情報処理システムは、施設の利用券をユーザに割り当てるシステムであり、一例として、以下に説明するワーケーションのための宿を従業員(ユーザ)に提供する際に用いることができる。なお、以下の実施形態では、宿の「利用券」の一例として宿の宿泊券をユーザに販売する(割り当てる)場合を例に説明する。しかし、「利用券」の概念には、単に対象の宿を宿泊のために利用する権利を表象するものに加えて、例えば、対象の宿で提供されるサービス(例えば食事、施設利用、イベント参加等)を追加的或いは代替的に利用する権利を表象するものも含まれる。
また、利用券は、物理的な券やチケットに限らず、例えば、スマートフォン上のアプリケーションのデータとして表されるものも含まれる。また、本実施形態の説明では、ワーケーションのために宿の宿泊券(利用券)をユーザに割り当てる場合を例に説明するが、本実施形態はワーケーション以外を目的とする宿泊券(利用券)の割り当てにも利用可能である。また、「割り当て」の概念には、販売に加えてその前段階の予約なども含まれる。
【0011】
ある地域(例えば都心)の職場に勤める従業員が普段の職場から離れ、別の地域(例えば地方)に滞在して普段の仕事を継続しつつ、滞在地域の施設やイベントを訪れる活動が注目されており、このような活動はワーケーションなどと呼ばれる。ワーケーションは、従業員、企業、地域のそれぞれに様々なメリットをもたらすことが期待されている。とりわけ、本実施形態に係るシステムによるワーケーションにより以下のメリットが期待される。従業員にとっては、例えば複数の従業員が同じワーケーションに参加した場合、非日常の共通体験と(その経験を通した)インフォーマルなコミュニケーションによって相互理解を深める良い機会となる。また、従業員のそれぞれが、ワーケーションを通して、転地効果によってアウトプットの質を向上させたり、地域の文化の中で多様な価値観を獲得することにもつながる。
【0012】
また、ワーケーションを従業員に提供する企業にとって、ワーケーションは、コミュニケーションを通した企業文化の継承、従業員のエンゲージメント向上、及び採用の活性化に繋がる活動として期待される。また、企業は、ワーケーションによって従業員に各地域を訪問させることにより、社会課題である地域活性化(SDGs)に貢献することができる。
【0013】
更に、ワーケーションを受け入れる地域にとって、ワーケーションは、宿泊施設や飲食店の(例えば閑散期の)稼働率を向上させたり、都市部の消費が活発な層の消費を誘発したり、当該地域の関係人口(すなわち当該地域のファン)を増加させたりする活動として期待される。
【0014】
本実施形態に係る情報処理システムは、後述するように、システムが選択した複数の宿泊先の候補を従業員に提示して、宿泊先に対する申込を受け付けたうえで、申込の後に、複数の宿泊先候補のなかからシステムが1つの宿泊先を選択して従業員に通知する。このようなシステムにより、従業員は思いがけない地域とめぐり逢うことができ、滞在先の地域に興味を抱き、当該地域での滞在や活動を通して地域との関係を深化させることができる。そして、例えば都市部の従業員を、地域の宿泊先(例えば地方の遊休宿泊施設)に送客することにより、従業員に宿泊、域外交通の利用、滞在先での飲食やイベント参加の機会を提供する。このように本実施形態に係るシステムは、都市部の従業員と地域コミュニティーを繋げ、地域の関係人口を増やして地域を活性化する仕組みを提供する。
【0015】
ワーケーションに参加する従業員は、一例として、初日である日曜日に例えば東京を出発して、午後は現地観光を行い、夕方に古民家の宿泊先にチェックインする。従業員は、例えば宿泊先周辺の飲食店で地産地消の夕食を堪能した後、更に宿泊先の古民家の居間で、従業員同士で会食を楽しむこともできる。二日目には、従業員は、朝食をとった後に、業務(リモートワーク)を開始する。従業員は、一人一部屋の空間で例えば資料を作成したり、必要に応じてリモート会議に参加することができる。従業員は、その日の業務が終了すると、宿泊先周辺の郷土料理店で地域の名物料理を楽しんだり、先輩の従業員と二次会でディスカッションを行ったりすることもできる。三日目には、従業員は宿泊先周辺を散策した後に、古民家で業務を開始し、その後、例えば所定の時刻までに宿泊先をチェックアウトする。東京への移動中に、例えば新幹線の車内でリモート会議に参加したり、リモートワークを行った後に帰宅することができる。
【0016】
ワーケーションは、業務の一環としてその活動機会が従業員に提供されるため、ワーケーションに係る費用の一部は企業が負担する。例えば、自宅と宿泊先の間の移動にかかる交通費は企業によって負担される。また、例えば、宿泊先の宿泊費用や、宿泊先でリモートワークを行うための通信費も企業によって負担される。一方、業務時間外における宿泊先の周辺施設での食費、地域の文化に触れるイベントへの参加費用、お土産代などは、従業員によって負担される。企業の規定に応じてその一部を企業が負担する場合もある。滞在後には、従業員は、自己の負担により、訪れた地域にふるさと納税によって貢献したり、個人で再度訪問したりするような関わりを継続することができる。
【0017】
なお、上述の説明では、都市部の従業員を、地域の宿泊先に送客する場合を例に説明しているが、本実施形態に係るシステムは、地方の従業員を都市部の宿泊先に送客したり、地方の従業員を他の地方の宿泊先に送客したりする場合にも用いることができる。
【0018】
<情報処理システムの構成>
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システムについて説明する。情報システム10は、例えば、販売サーバ100と在庫サーバ101と通信装置102とを含む。これらの装置のそれぞれは、ネットワーク104を介して接続され、例えば所定のインタネットプロトコルを用いて装置間で通信することができる。
【0019】
通信装置102は、ユーザ(例えば企業の従業員)が用いる、例えば携帯型装置であり、スマートフォン、パーソナルコンピュータ及びタブレット端末などの電子デバイスを含む。
【0020】
販売サーバ100は、情報処理装置の一例であり、後述する宿泊券販売処理の実行により、ユーザが通信装置102を介して設定した条件に従って、宿泊候補を決定し、その後、最終的な宿泊先を選択して通知するサービスを提供する。販売サーバ100においてコンピュータプログラムが実行されることによって提供されるサービスは、例えば、宿泊先を提案して宿泊券を販売するサービス業者(単に販売業者ともいう)によって管理される。ハードウェアとしての販売サーバ100は、販売業者によって管理されてもよいし、或いは、データセンタなどを運用する別の事業者によって管理されてもよい。
【0021】
在庫サーバ101は、情報処理装置の一例であり、宿泊先の予約処理を実行したり、在庫情報を販売サーバ100に提供したりするサービスを提供する。在庫サーバ101においてコンピュータプログラムが実行されることによって提供されるサービスは、例えば、古民家などの様々な宿を宿泊客に提供する事業者(旅行業者或いは宿泊施設提供業者)によって管理される。ハードウェアとしての在庫サーバ101は、宿を提供する事業者によって管理されてもよいし、或いは、データセンタなどを運用する別の事業者によって管理されてもよい。また、在庫サーバ101は、販売サーバ100と実質的に一体であってもよい。また、販売業者が在庫サーバ101によるサービスを管理してもよい。例えば、販売業者が、販売サーバ100及び在庫サーバ101によるサービスを管理し、宿泊を提供する宿主から在庫状況の入力を受け付けてもよい。
【0022】
なお、販売サーバ100及び在庫サーバ101によって実現される機能は、サーバと通信端末との間に配置され得るエッジノードによって実現されてもよい。
【0023】
<販売サーバの構成>
次に、
図2を参照して、情報処理装置の一例としての販売サーバ100の機能構成例について説明する。なお、図を参照して説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。更に、本実施形態では、販売サーバが単体の装置である場合を例に説明するが、販売サーバが複数の装置で構成されてもよいし、また、1つ以上の仮想マシンとして構成されてもよい。
【0024】
通信部201は、在庫サーバ101及び通信装置102のそれぞれとネットワークを介して通信可能な通信回路又は通信モジュールを含む。
【0025】
制御部202は、プロセッサ210と、メモリ211とを含む。プロセッサ210は1つ以上のプロセッサから構成されてよい。制御部202は、プロセッサ210によって、メモリ211又は記憶部204に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、販売サーバ100の各部の動作を制御する。また、制御部202に含まれる条件取得部212~表示情報生成部216は、例えば、プロセッサ210がプログラムを実行することにより実現される。
【0026】
メモリ211は、例えばDRAM等の揮発性の記憶媒体であり、制御部202がコンピュータプログラムを実行するためのパラメータや処理結果等を一時的に記憶する。電源部203は、販売サーバ100の各部が動作するための電力を提供するための電源である。
【0027】
記憶部204は、例えばハードディスクや半導体メモリ等の不揮発性の記憶媒体を含み、販売サーバ100の動作に必要な設定値や、コンピュータプログラム等を格納する。記憶部204に保持されるコンピュータプログラムは、販売サーバ100の諸機能を実現するためのオペレーティングシステムや種々の業務用アプリケーションを含む。記憶部204は、例えば、在庫情報220、イベント情報221、ユーザ情報222、及び施設情報223を含む。
【0028】
在庫情報220は、予約されていない宿泊の情報である。在庫の情報は、例えば、宿を識別する情報、宿泊日、宿泊可能な人数、宿の住所、付帯サービスの内容、宿泊の提供による売上の金額、仕入れ値の金額の情報などを含む。制御部202は、例えば、在庫サーバ101の在庫情報275を定期的に参照して、在庫情報を同期させる。
【0029】
イベント情報221は、宿の周辺で実施されるイベントの情報である。イベント情報221は、例えば、イベントの開催日時、イベントの開催場所(例えば住所又は位置情報)、イベントの内容、イベントの口コミ、イベントに対する評価値(星の数)などの情報を含む。イベント情報は更に、過去にイベントを訪問したユーザがどの宿に宿泊したかを示す情報を含んでもよい。この情報により、宿とイベントの関連性を分析して、宿にこれから宿泊するユーザに適切なイベント情報を提案することが可能になる。
【0030】
ユーザ情報222は、システムの利用者であるユーザ(従業員)の情報である。ユーザ情報222は、例えば、ユーザを識別する情報、ユーザが属する会社を識別する情報、ユーザが過去に宿泊した宿及び宿泊日の情報を含む。ユーザ情報222は、ユーザが過去に立ち寄った周辺施設の情報(施設の位置情報や日時)やイベントの情報(開催場所や訪問日時)を含んでもよい。
【0031】
施設情報223は、宿の周辺(宿から所定の距離の範囲内)に存在する、例えば飲食店、会議室、遊技場などの情報を含む。施設情報223は、例えば、施設の場所(例えば住所又は位置情報)、施設の用途、施設の紹介、施設の口コミ、施設に対する評価値(星の数)などの情報を含む。施設情報は更に、過去に施設を訪問したユーザがどの宿に宿泊したかを示す情報を含んでもよい。この情報により、宿と施設の関連性を分析して、宿にこれから宿泊するユーザに適切な施設情報を提案することが可能になる。
【0032】
条件取得部212は、通信装置102から、ユーザが通信装置102で指定した、宿泊先の条件を示す情報を受信(すなわち取得)して、例えばメモリ211に保持する。宿泊先の条件を示す情報は、例えば、宿泊の日程(開始日及び終了日)と、宿泊する人数とを含む。そのほか、宿泊先の条件を示す情報は、参加者の性別、年代構成(例えば20代男性3人、30代女性2人など)、従業員の属する社名などを含んでもよい。更に、フィルタリングのための情報として、宿泊先の条件を示す情報は、例えば、普段の職場或いは自宅から宿泊先まで移動距離の制限、希望する地方(例えば東北地方)の指定、付帯サービス(送迎サービス、昼食付など)の有無などを更に含んでもよい。宿泊先の条件を示す情報には、例えば、申込を行う従業員が所属する企業を特定する情報(例えば企業コード)を含んでもよい。
【0033】
候補設定部213は、条件を満たす宿泊候補のなかから、所定の数(例えば4つ)の宿泊候補を設定する。例えば、候補設定部213は、例えばメモリ211に保持された条件を満たす宿泊候補を、在庫情報220から検索する。上述のように、在庫情報220は、予約済みでない宿泊の情報である。候補設定部213は、検索結果が4つの宿泊候補を含まない場合、宿泊候補の設定を終了する。一方、候補設定部213は、検索結果が4つ以上の宿泊候補を含む場合、4つの宿泊候補を抽出する。候補設定部213は、例えば、検索結果に含まれる4つ以上の宿泊候補のなかから、4つの宿泊候補を例えばランダムに選択する。このようにすることで、ユーザには思いがけない宿泊候補が提供される。候補設定部213は、4つの宿泊候補をランダムに選択する代わりに、参加者の性別や年代構成に従って、宿泊候補にウェイトをかけたうえで、4つの宿泊候補を選択するようにしてもよい。
【0034】
申込処理部214は、ユーザの通信装置102から、宿泊候補に基づく宿泊券の販売についての申込を受け付けて、申込処理(宿泊券の代金の決済)を行う。申込を受け付ける時点では、ユーザには宿泊先の候補のみが提示されている状態であり、申込の内容にはこれらの候補の内容が含まれる。つまり、申込処理部214は、当該申込を、所定の数(例えば4つ)の宿泊候補から1つを選択する前に取得して、宿泊券の代金の決済を行う。決済を行うことにより、最終的な宿泊先は未確定であるものの、宿泊候補のいずれかに宿泊することができる権利を確保することができる。申込処理部214は、例えば、宿泊券の代金の決済を行って、従業員の属する企業に対して宿泊費用を請求する。
【0035】
宿泊先選択部215は、申込を取得した後に、所定の数(例えば4つ)の宿泊候補のなかから予約する宿泊先を1つ選択する。宿泊先選択部215によって宿泊先を1つ選択する処理(単に宿泊先選択処理ともいう)については、より詳細に後述する。宿泊先選択処理は、日程の開始日の所定日前になったことに応じて実行されてよい。このようにすれば、何処に宿泊するか分からない期待感を演出することができる。宿泊先が1つに選択されると、制御部202により、(在庫サーバ101に対して)当該宿泊の予約処理が要求され、宿泊が予約された状態となる(宿泊の在庫が減る)。
【0036】
表示情報生成部216は、通信装置102に表示される表示用情報を生成する。例えば、表示情報生成部216は、条件設定画面のための表示用画面、候補表示画面、宿泊先通知画面についての表示用情報を生成し、通信部251を介してこれらの表示用情報を通信装置102に送信する。表示情報生成部216によって生成される各画面の詳細については、別途後述する。
【0037】
<在庫サーバの構成>
次に、
図3を参照して、情報処理装置の一例としての在庫サーバ101の機能構成例について説明する。なお、図を参照して説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。更に、本実施形態では、在庫サーバ101が単体の装置である場合を例に説明するが、在庫サーバが複数の装置で構成されてもよいし、また、1つ以上の仮想マシンとして構成されてもよい。
【0038】
通信部251は、販売サーバ100及び通信装置102のそれぞれとネットワークを介して通信可能な通信回路又は通信モジュールを含む。
【0039】
制御部252は、プロセッサ260と、メモリ261とを含む。プロセッサ260は1つ以上のプロセッサから構成されてよい。制御部252は、プロセッサ260によって、メモリ261又は記憶部254に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、在庫サーバ101の各部の動作を制御する。
【0040】
メモリ261は、例えばDRAM等の揮発性の記憶媒体であり、制御部252がコンピュータプログラムを実行するためのパラメータや処理結果等を一時的に記憶する。電源部253は、在庫サーバ101の各部が動作するための電力を提供するための電源である。
【0041】
記憶部254は、例えばハードディスクや半導体メモリ等の不揮発性の記憶媒体を含み、在庫サーバ101の動作に必要な設定値や、コンピュータプログラム等を格納する。記憶部254に保持されるコンピュータプログラムは、販売サーバ100の諸機能を実現するためのオペレーティングシステムや種々の業務用アプリケーションを含む。記憶部254は、例えば、在庫情報275、及び購入履歴情報276を含む。
【0042】
在庫情報275は、在庫情報220と同様のデータ形式であってよい。購入履歴情報276は、後述の予約処理部262によって予約された宿の宿泊券の情報を記録する。在庫情報200にあった宿泊が予約(宿泊券が購入)されると、当該宿泊の情報が購入履歴情報276に記録される。購入履歴情報276は、例えば、宿泊を特定する情報(宿の識別情報や宿泊日)、購入者であるユーザを特定する情報、及び購入日時を含む。
【0043】
予約処理部262は、例えば、販売サーバ100から、宿泊候補から最終的にされた宿泊について予約の要求を受け付けて、当該宿泊について予約処理を実行する。予約処理部262は、例えば、在庫情報275のうちの対応する宿泊の情報を在庫情報275から削除し、購入履歴情報276を更新する。
【0044】
<通信装置110の構成>
次に、
図3を参照して、通信装置102の機能構成例について説明する。本実施形態では、通信装置の一例として、スマートフォンを用いる場合を例に説明する。なお、以降の図を参照して説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。
【0045】
通信部301は、例えば通信用回路等を含み、例えばLTE等の移動体通信を介してインターネットに接続したり、無線LAN通信を介してネットワークに接続したりして、販売サーバ100との通信を行う。
【0046】
制御部302は、プロセッサ310及びメモリ311を含み、例えば記憶部307に記憶されたコンピュータプログラムをプロセッサ310が実行することにより、通信装置110内の各部の動作を制御する。プロセッサ310は、1つ以上のプロセッサを含み、メモリ311は、例えばDRAMなどの揮発性メモリを含む。
【0047】
操作部303は、通信装置110の備えるボタンやタッチパネルを含み、ボタンや、表示部306に表示される各種操作用のGUIに対するユーザ操作を受け付ける。電源部304は、通信装置110の各部へ電力を提供する。
【0048】
撮像デバイス305は、例えば、撮像素子を含むカメラ機構であり、制御部302からの指示に応じて撮影を行う。例えば、ユーザは、宿泊した宿、宿泊地の周辺の施設、食事、イベント内容などを撮影することができる。通信装置102は、ユーザ操作に応じて、撮影された画像をSNSや宿泊地のコミュニティーなどに投稿することができる。
【0049】
表示部306は、例えばLCDやOLED等の表示デバイスを含む。表示部306は、制御部302の指示に応じて、販売サーバ100から受信する各種表示用情報に基づきGUIを表示する。表示用情報は、例えば、条件設定画面のための表示用画面、候補表示画面、宿泊先通知画面についての表示用情報を含む。制御部302は、例えば、ウェブブラウザ又は専用アプリケーションを実行して、販売サーバ100から受信した各種表示用情報を表示部306に表示させる。
【0050】
記憶部307は、例えば半導体メモリ等の不揮発性メモリを含み、制御部302が実行するプログラムや設定値を保持したりする。記憶部307に保持されるコンピュータプログラムは、通信装置110の諸機能を実現するためのオペレーティングシステムや種々のアプリケーションを含む。
【0051】
<宿泊先選択処理>
次に、宿泊先選択部215における宿泊先選択処理について説明する。上述のように、宿泊先選択処理は、所定の数(例えば4つ)の宿泊候補のなかから(予約する)宿泊先を1つ選択する処理である。本実施形態に係る宿泊先選択部215は、例えば、4つの宿泊候補(物件A~D)について、後述する抽選ウェイトと呼ばれるウェイト(重み)を算出し、4つの宿泊候補に抽選ウェイトの比率に応じた確率を割り当ててよい。宿泊先選択部215は、割り当てた確率に従って抽選する処理を行って、4つの宿泊候補のなかから1つを選択する。なお、選択した1つの宿泊候補の予約を試みた際に、当該宿泊が他のユーザに先を越されて(売り切れて)予約ができない場合も考えられる。このため、宿泊先選択部215は、抽選を再度実行して、別の宿泊候補を更に決定するようにしてもよい(再度抽選方式)。或いは、宿泊先選択部215は、抽選ウェイトに従って予め優先順を決定しておき、この優先順に従って順次宿泊候補を選択し、予約を順に試みる(事前リスト方式)。
【0052】
図5は、第1の方式による抽選ウェイトの算出方法の具体例を示している。第1方式は、各宿泊候補(物件A~D)の仕入れ値、売上、利益、利益ウェイトを、それぞれラベル(i)から(iv)に示している。
【0053】
本実施形態に係る販売業者は、サービスの利用企業に対して宿泊先の予約をバウチャー方式で提供する。バウチャー方式では、例えば宿泊先で利用可能なクーポン券、引換券などが提供される。4つの宿泊候補を提案した段階で申込を受け付けてユーザの決済を行うため、販売業者は、ユーザに一定の価格で宿泊先の予約を提供する。つまり、宿泊候補のそれぞれの売上は一定に設定される。一方で、宿の仕入れ原価は各々異なる。従って、宿泊先候補ごとに利益が異なる。そこで、第1方式では、宿泊先選択部215は、宿泊先候補ごとの利益を、売上から仕入れ値を差し引くことによって算出(計算式は(ii)-(i))し、例えば、算出した利益を利益ウェイトとして設定する。例えば、算出した利益ウェイトをそのまま抽選ウェイトにすれば、宿泊先選択部215は、宿泊候補の利益が大きいほど、優先的に選択し易くなる。このようにすることで、販売サーバ100は、地域とのめぐり逢いを演出した宿泊先を提供しつつ、利益が出やすい宿泊の販売を実現することができる。
【0054】
次に、
図6A~6Cを参照して、第2の方式である計画隔離ウェイトを用いた抽選ウェイトの算出について説明する。
図6Aは、本実施形態に係る計画乖離ウェイトの概要について説明する図である。
図6Aは、特定の宿の宿泊に関して時間と販売数の関係600を示している。販売業者は、例えば、宿主から、ある販売期間に対して、所定の数の販売数をコミットすることにより安価に宿泊を仕入れる場合がある。601は、販売期限の時点でコミットした販売数をちょうど売り切るペース(平均ペース)で販売数が累積する様子を示している。このようなペースでは、販売期限までに販売コミット数に到達しないリスクがあるため、マージン602の分だけ、より早く販売コミット数を達成するように計画する。603は、マージンを持つように計画された計画的な累積販売数を示している。あるタイミングt1における宿の累積販売数が604である場合、宿泊先選択部215は、実際の累積販売数604とt1の時点の計画的累積販売数603とを比較して、計画との乖離を算出する。タイミングt1の例では、実際の累積販売数604は計画を上回っている。あるタイミングt2における宿の累積販売数が605である場合、宿泊先選択部215は、累積販売数605とt2の時点の計画的累積販売数603とを比較して、計画との乖離を算出する。タイミングt2の例では、実際の累積販売数605は計画を下回っている。
【0055】
図6Bは、計画乖離ウェイトの算出方法の具体例を示している。ラベル(v)~(xv)は計画乖離ウェイトの算出に用いる項目を示している。販売期間は、
図6Aに示した販売期限までの日数である。マージンは
図6Aに示したマージン502に対応する。(vii)に示す販売期間は、実質的な販売期間であり、宿泊先選択部215は(v)の販売期間からマージンを差し引いて算出する。コミット数は、販売業者が宿主との間でコミットした販売数である。宿泊先選択部215は、現在の目標販売数(xi)(すなわち販売計画。割当計画ともいう)を、一日当たりの販売数と経過日数を積算して算出することができる。そして、宿泊先選択部215は、例えば、在庫サーバ101から購入履歴情報276に基づく販売実績を取得すると、過不足(xiii)を算出することができる。宿泊先選択部215は、算出した過不足に、予め定めた計画乖離定数(xiv)を乗算することにより、計画乖離ウェイトを算出する(例えば、(-1)*(xiii)*(xiv))。このようにすることで、宿泊先選択部215は、販売計画の量に足りていない宿泊候補ほど、より大きなウェイトを付与し、販売計画の量を超えて販売されている宿泊候補ほど、小さなウェイトを付与する。このようにすることで、販売サーバ100は、地域とのめぐり逢いを演出した宿泊先を提供しつつ、販売コミット数を満たし易い宿泊の販売を実現することができる。
【0056】
図6Cは、利益ウェイトと計画乖離ウェイトを用いて抽選ウェイトを算出する例を示している。宿泊先選択部215は、算出した利益ウェイト(iv)と計画乖離ウェイト(xv)とを合算し、予め定めた最小ウェイト(xvii)と比較して大きい値を抽選ウェイトとして決定する。このようにすることで、販売サーバ100は、地域とのめぐり逢いを演出した宿泊先を提供しつつ、利益が出やすい宿泊の販売と、販売コミット数を満たし易い宿泊の販売とを考慮することができる。
【0057】
<情報処理装置における宿泊券販売処理の一連の動作>
次に、販売サーバ100において実行される宿泊券販売処理の一連の動作について、
図7を参照して説明する。また、本処理は、制御部202のプロセッサ210が記憶部204に記録されるコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、本処理は、例えば、販売サーバによって提供される宿泊券販売サービスに、ユーザが自己の識別情報を入力してログインした後に実行される。また、ユーザのログイン後には、表示情報生成部216が条件設定画面のための表示用画面を生成して通信装置102に送信し通信装置120に当該画面を表示させる。表示用画面は、
図8で後述する801から804の情報を含んでよい。ユーザは、条件設定画面に対する操作により、宿泊に対する所望の条件を設定する。
【0058】
S701において、条件取得部212は、通信装置102から、ユーザが条件設定画面で指定した、宿泊先の条件を示す情報を取得する。条件取得部212は、取得した宿泊先の条件を示す情報を、例えばメモリ211にユーザの識別情報と共にキャッシュする。
【0059】
図8には、通信装置102に表示される条件設定画面800の一例を示している。条件設定画面800において、通信装置102は、日程の情報801をユーザから受け付ける。日程の情報801は、例えば宿泊の開始日と終了日を含む。また、通信装置102は、条件設定画面800において、宿泊に参加する人数802と、必要に応じて、ユーザの所属会社を識別する情報803を受け付ける。通信装置102は、条件設定画面800において、その他の絞り込み設定804を受け付けてもよい。その他の絞り込み設定804は、例えば、普段の職場或いは自宅から宿泊先まで移動距離の制限、希望する地方(例えば東北地方など)の指定など様々な設定を含んでよい。
【0060】
再び
図7を参照して説明する。S701における条件の取得に関して、ユーザが所望の宿泊候補が出るまで、同じ条件を繰り返し入力ことも考えられる。このような使用が様々なユーザによって実行されると販売サーバ100による検索処理の負荷が過大になりかねない。このため、条件取得部212は、同一のユーザから受け付けた条件をメモリ211に一定時間の間キャッシュし、所定時間を経過する前に同一のユーザから同一の条件を受け付けた場合、S702の検索処理を再実行させない。このような場合、販売サーバ100は、検索処理を実行すること無く、最初に得られた所定数(4つ)の宿泊候補を提示するように動作する。
【0061】
S702において、候補設定部213は、例えばメモリ211に保持された条件を満たす宿泊候補を、在庫情報220から検索する。S703において、候補設定部213は、検索結果によって得られた宿泊候補の数が所定以上であるかを判定する。候補設定部213は、検索結果によって得られた宿泊候補の数が所定以上である場合、S705に処理を進め、そうでない場合、本処理を終了する。
【0062】
S704において、候補設定部213は、検索結果に含まれる所定数(4つ)以上の宿泊候補のなかから、所定数(4つ)の宿泊候補を例えばランダムに選択する。このようにすることで、ユーザには思いがけない宿泊候補が提供される。そして、表示情報生成部216は、選択された4つの宿泊候補を示す候補表示画面の表示用情報を生成して、通信装置102に送信する。候補表示画面の表示用情報は、
図9に示す901から903の情報を含んでよい。
【0063】
図9は、本実施形態に係る候補表示画面900の一例を示している。候補表示画面900において、通信装置102は、宿泊先の条件を示す情報901を表示する。また、通信装置102は、候補表示画面900において、例えば4つの宿泊候補の情報を提示する。宿泊候補の情報902は、宿の存在する地域名、当該地域を示す画像或いは宿を示す画像を含んでよい。通信装置102は、候補表示画面900において、ユーザが宿泊候補に基づいて宿泊券の販売を申し込むためのボタン(「申し込む」ボタン903)を提示する。ユーザが「申し込む」ボタン903を押下すると、通信装置102は、宿泊券の販売についての申込を販売サーバ100に送信する。
【0064】
S705において、申込処理部214は、宿泊券の販売についての申込を通信装置102から受け付けたかを判定する。申込処理部214は、当該申込を通信装置102から受け付けたと判定した場合、処理をS706に進め、そうでない場合には本処理を終了する。
【0065】
S706において、申込処理部214は、申込処理(宿泊券の代金の決済)を実行する。申込処理部214は、S704においてユーザに提示した宿泊候補の情報を記憶部204に記憶させ、宿泊券の代金の決済を行う。宿泊券の代金の決済は、不図示の他の決済サーバとの間で行われてよい。申込処理部214は、申込を受け付けたことに応じて、当事者が正当な資格者であるかを確認してもよい。例えば、申込処理部214は、通信装置102に対して、ユーザID及びパスワードの取得、生体認証の実行などを要求してもよい。或いは、申込処理部214は、企業の識別情報を再入力させてもよい。更に、申込処理部214は、バウチャーの有効性確認を行うための所定の情報の入力を通信装置102に対して行わせてもよい。申込処理部214は、当事者が正当な資格者であると確認した場合に、決済を実行する。申込処理部214は、決済が完了すると、予め指定されたユーザのメールアドレス或いはユーザの属する企業の所定の連絡先アドレスに、決済の結果と、提示された宿泊候補の情報とを送信してもよい。
【0066】
S707において、宿泊先選択部215は、所定数(例えば4つ)の宿泊候補のなかから予約する宿泊先を1つ選択する。宿泊先選択部215は、上述した宿泊先選択処理により抽選ウェイトを計算し、抽選ウェイトを用いて予約する宿泊先を選択する。更に、制御部202は、選択した宿泊先の予約を実行してもよい。選択した宿泊先の予約は、例えば、当該予約を在庫サーバ101に要求することにより実行される。
【0067】
なお、販売サーバ100は、抽選ウェイトを、S704において所定数の宿泊候補を設定した際に、それぞれの宿泊候補について算出してもよい。但し、計画乖離ウェイトを用いて抽選ウェイトを算出する場合、宿泊先選択部215は、S707の処理の段階において抽選ウェイトを再計算すると良い。最新の計画乖離ウェイトを算出して用いることにより、最新の宿泊の販売状況に合わせたウェイトの算出を行うことができる。
【0068】
S708において、表示情報生成部216は、宿泊先通知画面の表示用情報を生成して通信装置102に表示させる。表示用情報は、後述の1002~104の情報を含んでよい。
図10は、宿泊先通知画面1000の一例を示している。宿泊先通知画面1000において、通信装置102は、宿泊先の条件を示す情報1001を表示する。また、通信装置102は、宿泊先通知画面1000において、例えば選択された宿泊先の情報1002を表示する。選択された宿泊先の情報1002は、宿泊先の名称、宿泊先の住所、宿泊先の位置を示す地図、宿泊先の外観の画像、宿泊先の部屋の画像などを含んでよい。
【0069】
更に、通信装置102は、宿泊先の周辺情報1003を表示する。宿泊先の周辺情報は、宿泊先から所定の距離以内の周辺施設又は所定の距離以内で実施されるイベントの名称、施設の用途、当該施設を利用又はイベントに参加するための予約サイトへのリンクなどの情報を含んでよい。宿泊先の周辺情報は、複数の周辺情報(周辺施設やイベント)のなかから、販売サーバ100が、当該施設や当該イベントに対して付与されている評価値(例えば星の数)、或いは、宿泊先に過去に滞在したユーザとの相関などの情報に基づいて優先順を付与し、選択した情報(リコメンドされる情報)であってよい。
【0070】
また、通信装置102は、選択した宿泊先に以前宿泊した参加者とのコミュニケーションを可能にする部材1004を表示してもよい。当該コミュニケーションを可能にする部材1004は、以前宿泊した参加者とのコミュニケーションを可能にするリンクやアプリケーション起動ボタンを含む。リンク先では、宿泊先の口コミを参照しながら、以前宿泊した参加者と例えばテキスト会話によるやりとりが可能なページが提供される。販売サーバ100が当該コミュニケーションを可能にするページを提供してもよい。更に、宿泊先通知画面1000は、上記に加えて、ユーザが宿泊先に移動する際に利用する交通機関(例えば飛行機や新幹線)の予約を行えるようにしてもよい。更に、宿泊先通知画面1000は、宿泊先の地域で購入可能なふるさと納税の返礼品の情報を表示するようにしてもよい。
【0071】
このように、宿泊先通知画面を提示することで、ユーザは、抽選によって選択された宿泊先を確認することができると同時に、当該宿泊先に関する情報、宿泊先の周辺施設の情報を直ぐに調べることができる。ユーザは、宿泊先及びその周辺環境に対する興味が高まっているため、これらの情報への容易なアクセスを提供することで、ユーザはワーケーションにおける計画を具体化したり、期待感を高めたりすることができる。
【0072】
上述の説明では、販売サーバ100の各種機能について説明したが、販売サーバ100の機能は上述の機能に限定されない。販売サーバ100は、ユーザの氏名、メールアドレス、会社の識別情報などの情報を登録したり、修正したりする機能を有してよい。また、販売サーバ100の管理者が、販売サーバ100に、サービス提携した宿の情報、周辺施設の情報、周辺のイベント情報などを登録したり、それらを削除したり、編集したりする機能を更に備えてよい。また、販売サーバ100は、宿泊先に滞在した期間中に使用した電子マネー、クレジットカード支払いなどの利用額を登録したり閲覧したりする機能を提供してもよい。販売サーバ100は、特定の宿に宿泊したユーザに対するアンケート結果を、通信装置102を介して収集してもよく、アンケートを生成、編集可能な機能を有してもよい。販売サーバ100は、ユーザ情報222に格納される位置情報やイベントへの参加日時等の情報、周辺施設やイベントに対する口コミ、アンケート結果などを分析、視覚化する機能を備えてもよい。
【0073】
以上説明したように、本実施形態では、宿の利用券を割り当てるための販売サーバ100において、ユーザが指定した所定の条件を満たす宿泊候補のなかから、所定の数の宿泊候補を設定し、所定の数の宿泊候補を示す表示用情報を、ユーザの通信装置102における表示のために生成するようにした。また、販売サーバ100は、所定の数の宿泊候補から1つを選択する前に、ユーザの通信装置102から、宿泊候補に基づく利用券の割り当てについての申込を取得し、申込を取得した後に、所定数の宿泊候補のなかから予約する宿泊先を選択するようにした。このようにすることで、地域とのめぐり逢いを演出した宿泊先を提供することができる。また、販売サーバ100は、それぞれの宿泊候補を販売したときの利益、及び、それぞれの宿泊候補の販売計画との乖離の大きさの少なくともいずれかに基づいて重み付けした確率に従って、予約する宿泊先を設定する。このようにすることで、販売サーバ100は、地域とのめぐり逢いを演出した宿泊先を提供しつつ、利益が出やすい宿泊の販売や販売コミット数を満たし易い宿泊の販売を実現することができる。
【0074】
なお、上述の実施形態では、販売サーバ100は、設定された宿に関する条件に基づいて所定の数の宿泊候補を設定し、候補表示画面に宿泊候補を表示する場合を例に説明した。つまり、提示用候補として宿泊候補を扱う場合を例に説明した。しかし、提示用候補は、宿泊候補以外であってもよい。具体的には、宿泊候補以外の提示用候補は、地域候補であってよい。例えば、札幌、福岡、那覇及び大阪などの異なる地域が地域候補として設定される。或いは、提示用候補は、日程候補であってもよい。日程候補は、例えば、出発日、宿泊日(連泊する場合は最初の宿泊日)などであり、異なる日付けが日程候補として設定される。
【0075】
提示用候補が地域候補である場合について説明する。販売サーバ100は、ユーザによって設定された宿に関する条件に基づいて、所定の数(例えば4つ)の提示用候補(すなわち地域候補)を設定する。例えば、販売サーバ100は、設定された宿に関する条件に基づいて在庫情報220から宿泊候補を検索して、ヒットした宿泊候補が存在する地域の情報(例えば、札幌、盛岡、仙台、金沢、福岡、那覇及び大阪)を取得する。販売サーバ100は、取得した地域の情報の中から、所定の数の異なる地域(例えば、札幌、福岡、那覇及び大阪)を地域候補として設定する。地域候補の設定は例えば取得した地域の情報のなかからランダムに設定することができる。販売サーバ100は、設定した地域候補を候補表示画面に表示する。このとき、販売サーバ100は、設定した地域候補の地域に存在する宿泊候補を検索してランダムに選択し、選択した1つ以上の宿泊候補を地域候補に関連付けて候補表示画面に更に表示してもよい。販売サーバ100は、例えば、4つの地域候補のそれぞれに、3つの宿泊候補を関連付けて表示してもよい。このような実施形態では、ユーザは、例えば4つの地域候補を候補表示画面で確認して、(地域候補から1つを特定する前に)地域候補に基づく宿の割当について申込を行う。申込を受け付けた後に、販売サーバ100は、例えば4つの地域候補に対応する宿泊候補のなかからユーザに割り当てる宿泊先を選択する。
【0076】
また、提示用候補が日程候補である場合、販売サーバ100は、ユーザによって設定された宿に関する条件に基づいて、所定の数(例えば4つ)の提示用候補(すなわち日程候補)を設定する。例えば、販売サーバ100は、設定された宿に関する条件に基づいて在庫情報220から宿泊候補を検索して、ヒットした宿泊候補が存在する日程の情報(例えば、12月30日、1月1日、1月8日、1月15日、2月1日及び2月8日)を取得する。販売サーバ100は、取得した日程の情報の中から、所定の数の異なる日程(例えば、1月1日、1月8日、2月1日及び2月8日)を日程候補として設定する。日程候補の設定は例えば取得した日程の情報のなかからランダムに設定することができる。販売サーバ100は、設定した日程候補を候補表示画面に表示する。このとき、販売サーバ100は、設定した日程候補で利用可能な宿泊候補を検索してランダムに選択し、選択した1つ以上の宿泊候補を日程候補に関連付けて候補表示画面に更に表示してもよい。販売サーバ100は、例えば、4つの日程候補のそれぞれに、1つの宿泊候補の名称と、当該宿の存在する地域名を関連付けて表示してもよい。このような実施形態では、ユーザは、例えば4つの日程候補を候補表示画面で確認して、(日程候補から1つを特定する前に)日程候補に基づく宿の割当について申込を行う。申込を受け付けた後に、販売サーバ100は、例えば4つの日程候補に対応する宿泊候補のなかからユーザに割り当てる宿泊先を選択する。
【0077】
なお、本実施形態では、割当対象として宿泊施設の利用権を例示したが、本発明における割当対象はこれに限定されるものではなく、宿泊施設以外の施設の利用権でもよい。さらに、施設自体の利用権にとどまらず、施設で提供されるサービス(例えば飲食、土産販売など)の利用権であってもよい。すなわち、本実施形態に係る利用券の割当対象は、滞在先の施設又は当該施設で提供されるサービスを利用対象とする利用権を含んでよい。
【0078】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
100…販売サーバ、101…在庫サーバ、102…通信装置、202…制御手段、212…条件取得部、213…候補設定部、214…申込処理部、215…宿泊先選択部、216…表示情報生成部