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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059423
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240423BHJP
   F24F 1/30 20110101ALI20240423BHJP
【FI】
F25B1/00 311B
F25B1/00 331E
F24F1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167086
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BC01
(57)【要約】
【課題】運転時の快適性を維持または向上しつつ、省エネルギー化にも寄与し易い空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置は、空気調和装置は、室内熱交換器と、室外熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、第1の膨張弁と、気液分離器と、開閉弁と、圧縮機と、四方弁と、第3の配管と、冷媒熱交換器と、第4の配管と、を備える。第3の配管は、一方側が第1の三方弁を介して気液分離器と開閉弁との間の第2の配管、または四方弁と室外熱交換器との間の第1の配管に接続され、他方側が第2の三方弁を介して開閉弁と室内熱交換器との間の第2の配管、または第1の膨張弁と室外熱交換器との間の第2の配管に接続される。冷媒熱交換器は、第3の配管において第1の三方弁と第2の三方弁との間を流れる冷媒と、第1の配管において四方弁から流れ出て圧縮機に戻る冷媒との間で熱交換を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機に設けられた室内熱交換器と、
室外機に設けられた室外熱交換器と、
前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、
前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、
前記第2の配管に設けられた第1の膨張弁と、
前記第2の配管において前記第1の膨張弁と前記室内熱交換器との間に設けられた気液分離器と、
前記第2の配管において前記気液分離器と前記室内熱交換器との間に設けられた開閉弁と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する圧縮機と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能な四方弁と、
一方側が第1の三方弁を介して前記気液分離器と前記開閉弁との間の第2の配管、または前記四方弁と前記室外熱交換器との間の前記第1の配管に接続され、他方側が第2の三方弁を介して前記開閉弁と前記室内熱交換器との間の前記第2の配管、または前記第1の膨張弁と前記室外熱交換器との間の前記第2の配管に接続される第3の配管と、
前記第3の配管において前記第1の三方弁と前記第2の三方弁との間を流れる前記冷媒と、前記第1の配管において前記四方弁から流れ出て前記圧縮機に戻る前記冷媒との間で熱交換を行う冷媒熱交換器と、
前記気液分離器で分離されたガス状の冷媒を、前記冷媒熱交換器と前記圧縮機との間の前記第1の配管に導入するための第4の配管と、
を備える、空気調和装置。
【請求項2】
前記四方弁と前記冷媒熱交換器との間に第2の膨張弁を備える、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第2の三方弁と、前記第1の膨張弁と前記室外熱交換器とを接続する前記第2の配管と、を接続する前記第3の配管に、第3の膨張弁を備える、請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンディショナのような空気調和装置は、冷凍サイクルにおける冷媒の凝縮および蒸発により、室内の温度を調節する。空気調和装置の運転時における空気調和に関する快適性を向上する一つの方法としては、室内機から吹き出される吹出し空気の温度を利用者が要求する設定温度に迅速に到達するようにすることである。つまり、冷房運転時には、室内機の吹出し温度を迅速に低くし、暖房運転時には、室内機の吹出し温度を迅速に高くすることで空気調和に関する快適性の向上が図れる。そのため、例えば、室内機および室外機における熱交換効率を向上させるような、種々の提案が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6352401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室内機および室外機における熱交換効率を向上させる一つの方法としては、室内機の室内熱交換器または室外機の室外熱交換器に向けて圧縮機から吐出されるガス状の冷媒の圧力を増大させることが考えられる。つまり、圧縮機の仕事量を増やすことで、運転時の空気調和に関する快適性を向上することが可能になる。しかしながら、圧縮機の仕事量の増加(空調快適性の向上)に伴い、消費電力の増大(省エネルギー化の低下)や運転時の騒音や振動の増加(運転快適性の低下)等の不都合が生じやすくなるという問題があった。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、運転時の快適性(空調快適性、運転快適性)を維持または向上しつつ、省エネルギー化にも寄与し易い空気調和装置、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和装置は、室内熱交換器と、室外熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、第1の膨張弁と、気液分離器と、開閉弁と、圧縮機と、四方弁と、第3の配管と、冷媒熱交換器と、第4の配管と、を備える。室内熱交換器は、室内機に設けられる。室外熱交換器は、室外機に設けられる。第1の配管は、前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。第2の配管は、前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる。第1の膨張弁は、前記第2の配管に設けられる。気液分離器は、前記第2の配管において前記第1の膨張弁と前記室内熱交換器との間に設けられる。開閉弁は、前記第2の配管において前記気液分離器と前記室内熱交換器との間に設けられる。圧縮機は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する。四方弁は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能である。第3の配管は、一方側が第1の三方弁を介して前記気液分離器と前記開閉弁との間の第2の配管、または前記四方弁と前記室外熱交換器との間の前記第1の配管に接続され、他方側が第2の三方弁を介して前記開閉弁と前記室内熱交換器との間の前記第2の配管、または前記第1の膨張弁と前記室外熱交換器との間の前記第2の配管に接続される。冷媒熱交換器は、前記第3の配管において前記第1の三方弁と前記第2の三方弁との間を流れる前記冷媒と、前記第1の配管において前記四方弁から流れ出て前記圧縮機に戻る前記冷媒との間で熱交換を行う。第4の配管は、前記気液分離器で分離されたガス状の冷媒を、前記冷媒熱交換器と前記圧縮機との間の前記第1の配管に導入する。
【0007】
また、空気調和装置は、例えば、前記四方弁と前記冷媒熱交換器との間に第2の膨張弁を備えてもよい。
【0008】
また、前記空気調和装置は、例えば、前記第2の三方弁と、前記第1の膨張弁と前記室外熱交換器とを接続する前記第2の配管と、を接続する前記第3の配管に、第3の膨張弁を備えてもよい。
【0009】
以上の空気調和装置によれば、例えば、圧縮機に戻す冷媒を冷媒熱交換器でガス化し、その圧力を増大させた状態で圧縮機へ戻すことができる。その結果、圧縮機の仕事量を軽減しつつ、圧縮機から室外熱交換器または室内熱交換器へ向けて吐出するガス状の冷媒の圧力の低下抑制または、維持、増大が可能となり、空調能力維持、向上が可能になる。また、室外熱交換器または室内熱交換器における能力の低下抑制または、維持、増大が可能となる。したがって、圧縮機の仕事量を軽減しつつ、空気調和に関する快適性や運転時の快適性を維持または向上が実現可能な空気調和装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図であり、併せて冷房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
図2図2は、実施形態に係る空気調和装置の制御装置およびその制御装置によって制御される構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図であり、併せて暖房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、いくつかの実施形態について、図1図3を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素および当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素およびその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0012】
図1は、実施形態に係る空気調和装置10の冷媒系統図を示す例示的かつ模式的な図である。空気調和装置10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和装置10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和装置であってもよい。
【0013】
図1に示すように、空気調和装置10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。
【0014】
空気調和装置10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0015】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22と、圧縮機23と、アキュムレータ24と、四方弁25と、第1の膨張弁31と、第2の膨張弁32、第3の膨張弁33、第1の三方弁34、第2の三方弁35、電磁弁36(開閉弁という場合もある)、第1のサービス弁37、第2のサービス弁38、気液分離器61、冷媒熱交換器62等を有する。また、室内機12は、室内熱交換器41と、室内送風ファン42とを有する。
【0016】
冷媒配管13は、例えば、銅またはアルミニウムのような金属で作られた管である。冷媒配管13は、第1の配管51と、第2の配管52と、第3の配管53、第4の配管54等を含む。
【0017】
第1の配管51は、室内熱交換器41と室外熱交換器21とを接続する。圧縮機23、アキュムレータ24、四方弁25、第2の膨張弁32、第1のサービス弁37、冷媒熱交換器62(被加熱側)は、第1の配管51に設けられる。第1の配管51は、第1の領域51a、第2の領域51b、第3の領域51c、第4の領域51dと、を有する。第1の領域51aは、四方弁25と室内熱交換器41とを接続する配管領域である。第2の領域51bは、冷媒熱交換器62(被加熱側)を介して、四方弁25とアキュムレータ24とを接続する配管領域である。第3の領域51cは、四方弁25と室外熱交換器21とを接続する配管領域である。第4の領域51dは、四方弁25と圧縮機23の吐出口23bとを接続する配管領域である。
【0018】
第2の配管52は、室外熱交換器21と室内熱交換器41とを接続する。第1の膨張弁31、電磁弁36、第2のサービス弁38、気液分離器61は、第2の配管52に設けられる。第2の配管52は、第5の領域52aと第6の領域52bを有する。第5の領域52aは、気液分離器61を介して、第1の膨張弁31と室内熱交換器41とを接続する配管領域である。第6の領域52bは、第1の膨張弁31と室外熱交換器21とを接続する配管領域である。
【0019】
第3の配管53は、第1の配管51と第2の配管52とを接続する。第3の膨張弁33、第1の三方弁34、第2の三方弁35、冷媒熱交換器62(加熱側)は、第3の配管53に設けられる。第3の配管53は、第7の領域53a、第8の領域53b、第9の領域53c、第10の領域53dを有する。第3の配管53は、一方側に第7の領域53aと第8の領域53bを有し、他方側に第9の領域53cと第10の領域53dを有する。第7の領域53aは、冷媒熱交換器62を、第1の三方弁34を介して気液分離器61と電磁弁36(開閉弁)との間の第2の配管52(第5の領域52a)に接続する配管領域である。また、第8の領域53bは、冷媒熱交換器62を、第1の三方弁34を介して四方弁25と室外熱交換器21との間の第1の配管51(第3の領域51c)に接続する配管領域である。また、第9の領域53cは、冷媒熱交換器62を、第2の三方弁35を介して電磁弁36(開閉弁)と室内熱交換器41との間の第2の配管52(第5の領域52a)に接続する配管領域である。第10の領域53dは、冷媒熱交換器62を、第2の三方弁35を介して第1の膨張弁31と室外熱交換器21との間の第2の配管52(第6の領域52b)に接続する配管領域である。
【0020】
第4の配管54は、気液分離器61と第1の配管51とを接続する。つまり、第4の配管54は、気液分離器61で分離されたガス状の冷媒を、冷媒熱交換器62でガス化された冷媒が流れる第1の配管51(第2の領域51bにおいて冷媒熱交換器62とアキュムレータ24との間の領域)に導入するための配管である。
【0021】
冷房運転において、冷媒は、第1の配管51を通って室内熱交換器41から室外熱交換器21へ流れ、第2の配管52を通って室外熱交換器21から室内熱交換器41へ流れる。また、暖房運転において、冷媒は、第1の配管51を通って室外熱交換器21から室内熱交換器41へ流れ、第2の配管52を通って室内熱交換器41から室外熱交換器21へ流れる。
【0022】
室外機11の室外熱交換器21は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として冷媒の吸熱を行い、または凝縮器として冷媒の放熱を行う。室外送風ファン22は、室外熱交換器21に対して送風し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室外送風ファン22は、室外熱交換器21と熱交換する気流を生成する。
【0023】
圧縮機23は、吸入口23aと吐出口23bとを有する。圧縮機23は、吸入口23aから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23bから吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。
【0024】
アキュムレータ24は、圧縮機23の吸入口23aに接続される。アキュムレータ24は、ガス状態の冷媒と液状態の冷媒とを分離する。これにより、圧縮機23は、アキュムレータ24を通過したガス状態の冷媒を吸入口23aから吸入することができる。アキュムレータ24は、圧縮機23と一体に構成されることで、圧縮機23の吸入口となることもできる。
【0025】
四方弁25は、室外熱交換器21と、室内熱交換器41と、圧縮機23の吐出口23bと、第2の膨張弁32および冷媒熱交換器62を介してアキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)と、に接続される。四方弁25は、暖房運転時と冷房運転時とで、室外熱交換器21、室内熱交換器41、圧縮機23の吐出口23b、第2の膨張弁32および冷媒熱交換器62を介したアキュムレータ24のそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0026】
冷房運転時において、四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bと室外熱交換器21とを接続する。さらに、冷房運転時において、四方弁25は、室内熱交換器41とアキュムレータ24とを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室外熱交換器21へ流れ、室内熱交換器41で熱交換が行われた(蒸発した)冷媒がアキュムレータ24へ流れる。なお、後述するが本実施形態の冷房運転において、室内熱交換器41では、冷媒の完全なガス化を行わず、冷媒の一部を液体のまま吐出する。そして、四方弁25は、第2の膨張弁32を介して液ガス状の冷媒を冷媒熱交換器62に流す。液状の冷媒は、冷媒熱交換器62でガス化(高圧化)され、アキュムレータ24を介して、圧縮機23に戻る。また、暖房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21とアキュムレータ24とを接続する。さらに、暖房運転時において、四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bと室内熱交換器41とを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室内熱交換器41へ流れ、室外熱交換器21で熱交換が行われた(蒸発した)冷媒がアキュムレータ24へ流れる。なお、暖房運転において、室外熱交換器21から吐出される冷媒は、アキュムレータ24に戻る前に、四方弁25を介して第2の膨張弁32および冷媒熱交換器62を通過する。その結果、液状の冷媒は、冷媒熱交換器62でガス化(高圧化)され、アキュムレータ24を介して、圧縮機23に戻る。冷媒熱交換器62の詳細に関しては後述する。
【0027】
第2の配管52に設けられた第1の膨張弁31、第1の配管51に設けられた第2の膨張弁32、第3の配管53に設けられた第3の膨張弁33は、例えば、電磁膨張弁である。なお、第1の膨張弁31、第2の膨張弁32、第3の膨張弁33は、他の膨張弁であってもよい。また、第2の膨張弁32、第3の膨張弁33は、他の弁であってもよい。第1の膨張弁31、第2の膨張弁32、第3の膨張弁33は、開度が制御されることで、通過する冷媒の量を調節する。なお、第2の膨張弁32と第3の膨張弁33のいずれか一方、または両方は、省略してもよい。
【0028】
第1の三方弁34は、第3の配管53の一方側において、冷媒熱交換器62と第2の配管52と第1の配管51と、接続される。第1の三方弁34は、冷房運転時と暖房運転時とで、冷媒熱交換器62を第2の配管52に接続される流路と、第1の配管51に接続される流路を切り替える。
【0029】
第2の三方弁35は、第3の配管53の他方側において、冷媒熱交換器62と第2の配管52の第5の領域52aと、第2の配管52の第6の領域52bと、接続される。第2の三方弁35は、冷房運転時と暖房運転時とで、冷媒熱交換器62を第5の領域52aに接続される流路と、第6の領域52bに接続される流路を切り替える。
【0030】
電磁弁36は、例えば、開閉弁であり、冷房運転時には開弁して、気液分離器61で分離された液状の冷媒が室内熱交換器41にながれることを許容する。また、暖房運転時には閉弁して、室内熱交換器41から流れ出る冷媒が直接気液分離器61に流れることを禁止して冷媒熱交換器62を経由して気液分離器61に流れるようする。電磁弁36は、流路の開閉または切り替えができれば、他の弁体であってもよい。
【0031】
第1の配管に設けられた第1のサービス弁37、第2の配管に設けられた第2のサービス弁38は、例えば、手動の開閉弁である。第1のサービス弁37および第2のサービス弁38は、例えば、工場等で、室外機11の製造時等に室外機11の第1の配管51~第4の配管54に冷媒が充填された状態で閉弁される。そして、空気調和装置10の設置時(室外機11および室内機12の設置時)に、第1のサービス弁37および第2のサービス弁38を開弁することで室外機11側に充填された冷媒を室内機12側にも充填し、設置作業を完了させる。したがって、第1のサービス弁37および第2のサービス弁38は設置作業が完了した後、通常運転開始前に開弁状態を維持するように固定される。
【0032】
気液分離器61は、冷房運転時に第1の膨張弁31側から流入する気液二相の液ガス冷媒を、暖房運転時に冷媒熱交換器62側(室内熱交換器41側)から流入する液ガス冷媒を、液体の媒体と気体の媒体に分離する。冷房運転時には、液体の冷媒は、室内熱交換器41側に送り出される。また、暖房運転時には、液体の冷媒は室外熱交換器21側に送り出される。なお、分離された気体の冷媒は、第4の配管54を通りアキュムレータ24(圧縮機23)に送られる。
【0033】
冷媒熱交換器62は、周知の二重管式熱交換器やプレート熱交換器等が利用可能であり、互いに独立した加熱側の領域(流路、配管)と被加熱側の領域(流路、配管)を流れる温度が異なる冷媒間で熱交換を行い、低温側の液状の冷媒の温度を上昇させ、冷媒のガス化を行う。ガス化した冷媒の圧力は増加し、この高圧化された冷媒がアキュムレータ24(圧縮機23)に戻される。例えば、冷房運転時には、圧縮機23から吐出される高圧、高温のガス状態の冷媒を第8の領域53bおよび第1の三方弁34を介して冷媒熱交換器62の加熱側の熱交換部に受け入れる。また、室内熱交換器41から吐出される液ガス状態の冷媒を四方弁25および第2の膨張弁32を介して冷媒熱交換器62の被加熱側に受け入れる。一方、暖房運転時には、室内熱交換器41から吐出される高圧、中温の冷媒を第9の領域53cおよび第2の三方弁35を介して冷媒熱交換器62の加熱側の熱交換部に受け入れる。また、室外熱交換器21から吐出される熱交換後の冷媒は、直接アキュムレータ24(圧縮機23)に戻すのではなく、四方弁25および第2の膨張弁32を介して冷媒熱交換器62の被加熱側に受け入れる。冷媒熱交換器62は、冷房運転時および暖房運転時のいずれにおいても被加熱側には、液状の冷媒を受け入れ、加熱側との熱交換により冷媒のガス化を促す。つまり、ガス化による冷媒圧力の高圧化を行い、アキュムレータ24(圧縮機23)側に戻す。
【0034】
室内機12の室内熱交換器41は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として吸熱し、または凝縮器として放熱する。室内送風ファン42は、室内熱交換器41に向かって送風し、室内熱交換器41と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室内送風ファン42は、室内熱交換器41と熱交換する気流を生成する。
【0035】
制御装置14は、室外機11および室内機12に設けられる上述した圧縮機23、室外送風ファン22、室内送風ファン42、各弁等の制御を行い、冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、および他の運転制御を行う。制御装置14は、例えば、室内機12に設けられる。この場合、制御装置14は、例えば、リモートコントローラから信号を入力されて制御されてもよいし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されて制御されてもよい。また、別の実施形態では、制御装置14を室外機11側に設けてもよい。また、室外機11側の制御用として室外制御装置、室内機12側の制御用として室内制御装置を別々に設けてもよい。制御装置14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。
【0036】
図2は、本実施形態の空気調和装置10の制御装置14およびその制御装置14によって制御される構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。図2に示すように、本実施形態の空気調和装置10は、室外ファン駆動回路81と、室内ファン駆動回路82と、インバータ回路83と、四方弁駆動回路84と、第1の膨張弁駆動回路85と、第2の膨張弁駆動回路86と、第3の膨張弁駆動回路87と、第1の三方弁駆動回路88、第2の三方弁駆動回路89と、電磁弁駆動回路90とを有する。
【0037】
室外ファン駆動回路81は、室外送風ファン22の駆動回路である。室内ファン駆動回路82は、室内送風ファン42の駆動回路である。インバータ回路83は、圧縮機23をインバータ制御し、圧縮機23の周波数を変更する。インバータ回路83は、例えば、PAM(Pulse Amplitude Modulation)方式のインバータ回路である。なお、インバータ回路83は、この例に限られない。
【0038】
四方弁駆動回路84は、四方弁25の駆動回路である。第1の膨張弁駆動回路85は、第1の膨張弁31の駆動回路である。第2の膨張弁駆動回路86は、第2の膨張弁32の駆動回路である。第3の膨張弁駆動回路87は、第3の膨張弁33の駆動回路である。第1の三方弁駆動回路88は、第1の三方弁34の駆動回路である。第2の三方弁駆動回路89は、第2の三方弁35の駆動回路である。電磁弁駆動回路90は、電磁弁36の駆動回路である。
【0039】
制御装置14は、温度センサT1~T8、および温度センサSuと、室外ファン駆動回路81と、室内ファン駆動回路82と、インバータ回路83と、四方弁駆動回路84と、第1の膨張弁駆動回路85と、第2の膨張弁駆動回路86と、第3の膨張弁駆動回路87と、第1の三方弁駆動回路88と、第2の三方弁駆動回路89と、電磁弁駆動回路90に接続される。制御装置14は、温度取得部91と、運転切替部92と、室外ファン制御部93と、室内ファン制御部94と、圧縮機制御部95と、弁制御部96とを備える。
【0040】
温度取得部91は、温度センサT1~T8および温度センサSuを用いて、冷凍サイクル内の各部分の温度を測定する。例えば、温度センサT1は、室内熱交換器41と四方弁25との間で室内熱交換器41の近傍の冷媒の温度(T1値)を検出する。温度センサT2は、室内熱交換器41の内部における冷媒の温度(T2値)を検出する。温度センサT3は、室外熱交換器21の内部における冷媒の温度(T3値)を検出する。温度センサT4は、室外熱交換器21と第1の膨張弁31との間で室外熱交換器21の近傍の冷媒の温度(T4値)を検出する。温度センサT5は、冷媒熱交換器62の内部における冷媒の温度(T5値)を検出する。温度センサT6は、第3の配管53の第10の領域53dにおいて、第3の膨張弁33と第2の三方弁35との間で第3の膨張弁33の近傍の冷媒の温度(T6値)を検出する。温度センサT7は、第1の膨張弁31と気液分離器61との間の冷媒の温度(T7値)を検出する。温度センサT8は、四方弁25と室外熱交換器21との間で室外熱交換器21の近傍の冷媒の温度(T8値)を検出する。温度センサSuは、アキュムレータの冷媒入口で冷媒の温度(Su値)を検出する。
【0041】
運転切替部92は、空気調和装置10における冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、および他の運転の切り替えを行う。
【0042】
室外ファン制御部93は、室外送風ファン22を制御する。例えば、室外ファン制御部93は、室外ファン駆動回路81を制御することで、室外送風ファン22のモータの回転数を制御する。
【0043】
室内ファン制御部94は、室内送風ファン42を制御する。例えば、室内ファン制御部94は、室内ファン駆動回路82を制御することで、室内送風ファン42のモータの回転数を制御する。
【0044】
圧縮機制御部95は、圧縮機23を制御する。例えば、圧縮機制御部95は、インバータ回路83を制御することで、インバータ制御により圧縮機23の周波数(運転周波数)を制御する。
【0045】
弁制御部96は、四方弁25、第1の膨張弁31、第2の膨張弁32、第3の膨張弁33、第1の三方弁34、第2の三方弁35、および電磁弁36を制御する。弁制御部96は、四方弁駆動回路84を制御することで、四方弁25のアクチュエータを駆動し、四方弁25の冷媒が流れる方向を変更させる。弁制御部96は、第1の膨張弁駆動回路85、第2の膨張弁駆動回路86および第3の膨張弁駆動回路87を制御することで、第1の膨張弁31、第2の膨張弁32および第3の膨張弁33の開度を変更させる。第1の膨張弁31、第2の膨張弁32および第3の膨張弁33の開度を変更することで、各弁を流れる冷媒の量を調節して、下流側に供給する冷媒の流量(圧力)調整等を行う。また、弁制御部96は、第1の三方弁駆動回路88および第2の三方弁駆動回路89を制御することで、第1の三方弁34のアクチュエータおよび第2の三方弁35のアクチュエータを駆動し、冷媒が流れる方向を変更させる。さらに、弁制御部96は、電磁弁駆動回路90を制御することで、電磁弁36の開弁状態と閉弁状態とを切り替え、冷媒が流れる配管を変更させる。
【0046】
以下に、本実施形態の空気調和装置10の冷房運転および暖房運転について説明する。なお、空気調和装置10は、冷房運転および暖房運転に限らず、除湿運転や除霜運転および除菌運転のような他の運転を行うことができる。また、空気調和装置10の冷房運転および暖房運転は、以下に説明される例に限られない。
【0047】
まず、冷房運転について図1に示される媒体の流れ態様に基づいて説明する。例えば、空気調和装置10の起動と冷房運転の開始が同時である場合、室外送風ファン22、圧縮機23、および室内送風ファン42は停止している。この場合、室外ファン制御部93、室内ファン制御部94、および圧縮機制御部95は、冷房運転の開始時に、室外送風ファン22、圧縮機23、および室内送風ファン42を起動する。
【0048】
冷房運転中において、室外ファン制御部93は、室外送風ファン22の回転数を調整する。室内ファン制御部94は、室内送風ファン42の回転数を調整する。圧縮機制御部95は、圧縮機23の周波数を調整する。例えば、室内ファン制御部94は、室内機12が設置された室内の気温またはリモートコントローラから入力された信号に応じて、室内送風ファン42を弱風(低速)運転ないし強風(高速)運転の間で制御する。
【0049】
冷房運転が開始されると、弁制御部96は、四方弁駆動回路84、第1の三方弁駆動回路88および第2の三方弁駆動回路89を制御し、四方弁25、第1の三方弁34および第2の三方弁35において冷媒が流れる方向を冷房用に変更させる。また、弁制御部96は、電磁弁駆動回路90を制御し、電磁弁36を開弁させる。これにより、室外熱交換器21と圧縮機23の吐出口23bとが接続されるとともに、室内熱交換器41とアキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とが冷媒熱交換器62を介して接続される。また、第1の三方弁34が第1の配管51の第3の領域51cに接続され、第1の配管51の第3の領域51cと冷媒熱交換器62の一方側とが接続される。また、第2の三方弁35が第2の配管52の第6の領域52bに接続され、第2の配管52の第6の領域52bと冷媒熱交換器62の他方側とが接続される。さらに、電磁弁36の開弁により、気液分離器61で分離された液状の冷媒が室内熱交換器41に流れるようになる。すなわち、制御装置14は、圧縮機23の吐出口23bから室外熱交換器21へ冷媒が流れるように四方弁25を制御する冷房運転を実行する。また、制御装置14は、四方弁25の制御により圧縮機23の吐出口23bから冷媒熱交換器62の加熱側の流路に冷媒が流れた後、第1の膨張弁31に冷媒が流れるとともに、室内熱交換器41から流れ出る冷媒が冷媒熱交換器62を経由してアキュムレータ24(圧縮機23)に戻るようにして、冷媒間の熱交換制御を実行可能とする。
【0050】
本実施形態の空気調和装置10における冷房運転の場合、上述したように、室外機11に設けられた冷媒熱交換器62において冷媒間で熱交換を行い、アキュムレータ24(圧縮機23)に戻すガス状の冷媒の圧力を増加することにより、圧縮機23の仕事量の軽減を行う。
【0051】
具体的には、本実施形態の空気調和装置10の場合、冷房運転時には、圧縮機23から吐出される高圧、高温の冷媒は、室外熱交換器21に流れるとともに、その一部を第8の領域53bおよび第1の三方弁34を介して冷媒熱交換器62の加熱側の熱交換部に流す。従前の空気調和装置の場合の冷媒は、室内機12側で、ある程度過熱度と取って室外機11に戻す。一方、本実施形態の室内機12(室内熱交換器41)では、過熱度SHは全く取らない。つまり、冷媒の完全なガス化を行わず、過熱度SHを例えば、-3℃程度で、冷媒を室外機11側に戻す。したがって、一部の冷媒が液体のまま四方弁25及び第2の膨張弁32を介して冷媒熱交換器62の被加熱側に流れる。第2の膨張弁32には、冷媒熱交換器62に流れる冷媒の量、つまり、冷媒熱交換器62における熱交換効率の調整を行う。
【0052】
ところで、本来であれば室内機12に流れ込む液状の冷媒は、室内熱交換器41で十分に蒸発させて冷風を室内に吹出すように制御するが、本実施形態の空気調和装置10は、冷媒熱交換器62に液状の冷媒を供給するために、室内熱交換器41で意図的に十分な蒸発を実行せず、液状の冷媒を室外機11側に戻し、冷媒熱交換器62で蒸発させるようにする。この場合、室内機12で蒸発させる冷媒が減少し冷房能力が低下することになる。そこで、本実施形態の場合、第2の配管52において、室内熱交換器41と第1の膨張弁31との間に気液分離器61を設け、室内熱交換器41に流す冷媒にガス状の冷媒が含まれにくく、望ましくは、含まれないようにして、液状の冷媒(満液状態の冷媒)が流れるようにする。冷房運転時の室内熱交換器41において、ガス状の冷媒は、熱交換に寄与しないため、室内熱交換器41に流れ込む冷媒からガス状の冷媒を除き、ほぼ液状の冷媒とすることにより、熱交換効率を向上させることがでる。つまり、冷媒熱交換器62に液状の冷媒を流すようにしても、室内熱交換器41に流れ込む液状の冷媒の量を増加させる(ガス状の冷媒を除く)ことにより、冷房運転能力を維持または増加させつつ、液状の冷媒を室内熱交換器41から流し出すことが可能になる。なお、気液分離器61の動作により室内熱交換器41に流し込む冷媒を液体状態とすることにより、室内熱交換器41の熱交換効率(冷房能力)を向上可能となる。つまり、室内熱交換器41の能力を下げることも可能となり、室内熱交換器41の小型化、つまり、室内機12の小型化にも寄与することできる。
【0053】
上述したように、室内熱交換器41から流れ出た液状の冷媒は四方弁25及び第2の膨張弁32を介して冷媒熱交換器62の被加熱側に流れる。そして、冷媒熱交換器62で、加熱側を流れる高温高圧の冷媒との間で熱交換が行われたガス化される。液状の冷媒が加熱されガス化されると、その体積が膨張し圧力を大きく増大させることができる。つまり、高圧のガス状の冷媒を、アキュムレータ24を介して圧縮機23に戻すことが可能になる。冷媒が高圧のガス状態で圧縮機23に戻るため、圧縮機23において、冷房運転時に必要とされる冷媒圧力まで増加させるための増加幅(圧縮量)を冷媒熱交換器62が存在しない場合に比べて減少させることができる。つまり、圧縮機23の仕事量を軽減させることが可能になり、省エネルギー化に寄与することができる。なお、本実施形態の空気調和装置10の場合、前述したように気液分離器61で液状の冷媒を室内熱交換器41に供給するようにしているため、冷媒熱交換器62に液状の冷媒を供給するようにしても冷房能力(冷房時の快適性)の低下を抑制可能である。したがって、冷房運転時の快適性を維持または向上しつつ、省エネルギー化にも寄与し易い空気調和装置10が提供できる。また、圧縮機23の仕事量を低減可能であるため、振動や騒音(運転音)等も軽減可能となり、運転快適性の向上にも寄与することができる。
【0054】
なお、冷媒熱交換器62の加熱側の配管を流れて熱交換処理された冷媒は、第3の配管の第10の領域53dを流れ、室外熱交換器21から流れ出た熱交換後の冷媒と合流して第1の膨張弁31を経由して、気液分離器61に流れる。気液分離器61で分離された液状の冷媒は、前述したように、室内熱交換器41側に全液状態で送られる。また、気液分離器61で分離されたガス状の冷媒は、第4の配管に流れ、冷媒熱交換器62でガス化された冷媒と合流してアキュムレータ24(圧縮機23)側に戻される。
【0055】
なお、上述したような快適性の維持(または向上)および省エネルギー化に寄与する制御を行う場合、制御装置14は、室内機12側の過熱度SH1を第1の膨張弁31の制御により制御する。つまり、温度センサT1が検出する冷媒温度が、例えば、SH1=T1=-4℃になるように、第1の膨張弁31の流量を制御する。また、制御装置14は、第2の膨張弁32を制御して、圧縮機23の過熱度SH2を制御する。圧縮機23の過熱度SH2は、温度センサSuの検出値であるSu値および温度センサT5の検出値であるT5値を用いて得ることが可能で、例えば、SH2=Su-T5≧2℃になるように第2の膨張弁32の流量を制御する。また、制御装置14は、第3の膨張弁33を制御して、冷媒熱交換器62の過冷却SC1を制御する。冷媒熱交換器62の過冷却SC1は、温度センサT6の検出値であるT6値および温度センサT5の検出値であるT5値を用いて得ることが可能で、例えば、SC1=T6-T5≒5℃になるように第3の膨張弁33の流量を制御する。また、制御装置14は、第1の膨張弁31を制御して、室内熱交換器41の過冷却SC2を制御する。室内熱交換器41の過冷却SC2は、温度センサT4の検出値であるT4値および温度センサT3の検出値であるT3値を用いて得ること可能で、例えば、SC2=T4-T3≒5℃になるように第1の膨張弁31の流量を制御してもよい。なお、この場合、制御装置14は、SH1=T1=-4℃になるようにする制御を優先して制御するようにしてもよい。
【0056】
続いて、暖房運転について図3に示される媒体の流れ態様に基づいて説明する。暖房運転の場合も例えば、空気調和装置10の起動と暖房運転の開始が同時である場合、室外送風ファン22、圧縮機23、および室内送風ファン42は停止している。この場合、室外ファン制御部93、室内ファン制御部94、および圧縮機制御部95は、暖房運転の開始時に、室外送風ファン22、圧縮機23、および室内送風ファン42を起動する。
【0057】
暖房運転中において、室外ファン制御部93は、室外送風ファン22の回転数を調整する。室内ファン制御部94は、室内送風ファン42の回転数を調整する。圧縮機制御部95は、圧縮機23の周波数を調整する。例えば、室内ファン制御部94は、室内機12が設置された室内の気温またはリモートコントローラから入力された信号に応じて、室内送風ファン42を弱風(低速)運転ないし強風(高速)運転の間で制御する。
【0058】
暖房運転が開始されると、弁制御部96は、四方弁駆動回路84、第1の三方弁駆動回路88および第2の三方弁駆動回路89を制御し、四方弁25、第1の三方弁34および第2の三方弁35において冷媒が流れる方向を暖房用に変更させる。また、弁制御部96は、電磁弁駆動回路90を制御し、電磁弁36を閉弁させる。これにより、室内熱交換器41と圧縮機23の吐出口23bとが接続されるとともに、室外熱交換器21とアキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とが冷媒熱交換器62を介して接続される。また、第1の三方弁34が、電磁弁36と気液分離器61との間の第2の配管52における第5の領域52aに接続され、気液分離器61と冷媒熱交換器62の一方側とが接続される。また、第2の三方弁35が、室内熱交換器41と電磁弁36との間の第2の配管52における第5の領域52aに接続され、室内熱交換器41と冷媒熱交換器62の他方側とが接続される。さらに、電磁弁36の閉弁により、室内熱交換器41と気液分離器61との直接的な接続が絶たれる。すなわち、制御装置14は、圧縮機23の吐出口23bから室内熱交換器41へ冷媒が流れるように四方弁25を制御する暖房運転を実行する。また、制御装置14は、四方弁25の制御により室外熱交換器21から流れ出る液状の冷媒が、冷媒熱交換器62の被加熱側を流れ、アキュムレータ24(圧縮機23)に戻るとともに、室内熱交換器41から流れ出る中温の冷媒が冷媒熱交換器62の加熱側の流路を経由して、冷媒間の熱交換制御を実行可能とする。本実施形態の空気調和装置10における暖房運転の場合も、上述したように、室外機11に設けられた冷媒熱交換器62において冷媒間で熱交換を行い、アキュムレータ24(圧縮機23)に戻すガス状の冷媒の圧力を増加することにより、圧縮機23の仕事量の軽減を行うことができる。
【0059】
具体的には、本実施形態の空気調和装置10の場合、暖房運転時には、圧縮機23から吐出される高圧、高温の冷媒は、室外熱交換器21に流れて熱交換を行い、室内機12が設置された室内に温風を吹出する。熱交換により中温、高圧になった液ガス混合の冷媒は、第2の三方弁35を経由して、冷媒熱交換器62の加熱側の配管を流れる。冷媒熱交換器62の加熱側の配管を流れ熱交換処理された冷媒は、第3の配管53の第7の領域53aを流れ、気液分離器61に流れる。気液分離器61で分離された液状の冷媒は、室外熱交換器21側に送られる。また、気液分離器61で分離されたガス状の冷媒は、第4の配管に流れ、冷媒熱交換器62でガス化された冷媒と合流してアキュムレータ24(圧縮機23)側に戻される。また、室外熱交換器21から流れ出る液状の冷媒は、四方弁25を経由して冷媒熱交換器62の被加熱側の配管に流れる。被加熱側の配管を流れる液状の冷媒は、冷房運転時と同様に、加熱側を流れる中温の冷媒との間で熱交換が行われたガス化される。液状の冷媒が加熱されガス化されると、その体積が膨張し圧力を大きく増大させることができる。つまり、高圧のガス状の冷媒を、アキュムレータ24を介して圧縮機23に戻すことが可能になる。冷媒が高圧のガス状態で圧縮機23に戻るため、圧縮機23において、暖房運転時に必要とされる冷媒圧力まで増加させるための増加幅(圧縮量)を冷媒熱交換器62が存在しない場合に比べて減少させることができる。つまり、圧縮機23の仕事量を軽減させることが可能になり、省エネルギー化に寄与でいる。また、暖房運転時においても、圧縮機23の仕事量を低減可能であるため、振動や騒音(運転音)等も軽減可能となり、運転快適性の向上にも寄与することができる。
【0060】
なお、本来の室内機において、暖房運転時の省エネルギー化のために、内部に補助的なサブ熱交換器を備え、室内機側で過大な過冷却を取って室外機側に戻すことが行われている場合がある。ただし、室内機側で液状の冷媒を増加させることは、室内熱交換器における熱交換率を低下させ、また温度の低い液状の冷媒が室内熱交換器の一部に溜まることがあり吹出し温度を下げてしまう場合があった。このような現象を抑制するために、室内熱交換器41に流す冷媒の圧力を増加させる(圧縮機の仕事量の増加)等の処理が必要になる場合があった。一方、本実施形態の空気調和装置10の場合、暖房運転時に室外機11側の冷媒熱交換器62において、従来室内熱交換器41で行っていた過冷却の一部を行っている。その結果、室内熱交換器41に温度の低い冷媒が溜まることを軽減可能となり、吹出し温度が低下するという不具合を抑制することができる。また、室内熱交換器41に供給する冷媒の圧力を必要以上に増加させることも抑制することができる。つまり、圧縮機23の仕事量を軽減することができる。さらに、冷房運転時と同様に、冷媒熱交換器62から高圧のガス状の冷媒を圧縮機23側に戻すことができる。この点においても、本実施形態の空気調和装置10は、圧縮機23の仕事量を軽減可能となり、省エネルギー化に寄与することができる。したがって、暖房運転時の快適性を維持または向上しつつ、省エネルギー化にも寄与し易い空気調和装置10が提供できる。また、冷媒の液化の一部を冷媒熱交換器62により室外機11側で実行することができるので、室内機12側にサブ熱交換器等の構成が不要になり、室内機12の小型化にも寄与することができる。
【0061】
なお、上述したような快適性の維持(または向上)および省エネルギー化に寄与する制御を行う場合、制御装置14は、第1の膨張弁31を制御して、室内機12側の過冷却SC3を制御する。室内機12側の過冷却SC3は、温度センサT7の検出値であるT7値および温度センサT5の検出値であるT5値を用いて得ることが可能で、例えば、SC3=T7-T5=5℃になるように第1の膨張弁31の流量を制御する。なお、この場合、室内熱交換器41は、例えば、過冷却度-5℃である熱交換器である。また、制御装置14は、第2の膨張弁32を制御して、圧縮機23の過熱度SH3を制御する。圧縮機23の過熱度SH3は、温度センサSuの検出値であるSu値および温度センサT5の検出値であるT5値を用いて得ることが可能で、例えば、SH3=Su-T5≧2℃になるように第2の膨張弁32の流量を制御する。また、制御装置14は、第1の膨張弁31を制御して、室外機11の過熱度SH4を制御する。室外機11側の過熱度SH4は、温度センサT8の検出値であるT8値および温度センサT3の検出値であるT3値を用いて得ることが可能で、例えば、SH4=T8-T3=-3℃になるように第1の膨張弁31の流量を制御する。この場合、制御装置14は、室内機12側の過冷却SC3の制御を優先するようにしてもよい。
【0062】
以上説明された実施形態に係る空気調和装置10は、室内熱交換器41と、室外熱交換器21と、第1の配管51と、第2の配管52と、第1の膨張弁31と、気液分離器61と、電磁弁36(開閉弁)と、圧縮機23と、四方弁25と、第3の配管53と、冷媒熱交換器62と、第4の配管54と、を備える。室内熱交換器41は、室内機12に設けられる。室外熱交換器21は、室外機11に設けられる。第1の配管51は、室内熱交換器41と室外熱交換器21とを接続し、冷媒が流れる。第2の配管52は、室外熱交換器21と室内熱交換器41とを接続し、冷媒が流れる。第1の膨張弁31は、第2の配管52に設けられる。気液分離器61は、第2の配管52において第1の膨張弁31と室内熱交換器41との間に設けられる。電磁弁36は、第2の配管52において気液分離器61と室内熱交換器41との間に設けられる。圧縮機23は、第1の配管51に設けられ、冷媒を吸入する吸入口23aと、冷媒を吐出する吐出口23bと、を有する。四方弁25は、第1の配管51に設けられ、冷媒が流れる方向を変更可能である。第3の配管53は、一方側が第1の三方弁34を介して気液分離器61と電磁弁36との間の第2の配管52、または四方弁25と室外熱交換器21との間の第1の配管51に接続され、他方側が第2の三方弁35を介して電磁弁36と室内熱交換器41との間の第2の配管52、または第1の膨張弁31と室外熱交換器21との間の第2の配管52に接続される。冷媒熱交換器62は、第3の配管53において第1の三方弁34と第2の三方弁35との間を流れる冷媒と、第1の配管51において四方弁25から流れ出て圧縮機23に戻る冷媒との間で熱交換を行い当該冷媒のガス化を行う。第4の配管54は、気液分離器61で分離されたガス状の冷媒を、冷媒熱交換器62でガス化された冷媒が流れる第1の配管51に導入する。この構成によれば、例えば、圧縮機23に戻す冷媒を冷媒熱交換器62でガス化し、その圧力を増大させた状態で圧縮機23へ戻すことができる。その結果、圧縮機23の仕事量を軽減しつつ、圧縮機23から室外熱交換器21または室内熱交換器41へ向けて吐出するガス状の冷媒の圧力の低下抑制または、維持、増大が可能となり、空調能力維持、向上が可能になる。また、室外熱交換器21または室内熱交換器41における能力の低下抑制または、維持、増大が可能となる。したがって、圧縮機23の仕事量を軽減しつつ、空気調和に関する快適性を維持または向上が実現可能な空気調和装置10を提供することができる。
【0063】
また、空気調和装置10は、例えば、四方弁25と冷媒熱交換器62との間に第2の膨張弁32を備えてもよい。この構成によれば、冷媒熱交換器62に流す冷媒の量を容易に制御可能となり、冷媒熱交換器62における熱交換効率を容易に制御可能となる。
【0064】
また、空気調和装置10は、例えば、第2の三方弁35と、第1の膨張弁31と室外熱交換器21とを接続する第2の配管52と、を接続する第3の配管53に、第3の膨張弁33を備えてもよい。この構成によれな、冷房運転時に第2の配管52に流れる冷媒の量を容易に制御可能となり、室内熱交換器41における熱交換効率の制御を容易に行うことができる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10…空気調和装置、11…室外機、12…室内機、13…冷媒配管、14…制御装置、21…室外熱交換器、23…圧縮機、25…四方弁、31…第1の膨張弁、32…第2の膨張弁、33…第3の膨張弁、34…第1の三方弁、35…第2の三方弁、36…電磁弁(開閉弁)、41…室内熱交換器、51…第1の配管、52…第2の配管、53…第3の配管、54…第4の配管、61…気液分離器、62…冷媒熱交換器。
図1
図2
図3