(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059430
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167104
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横川 創造
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA01
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA03
4M118CA05
4M118CB13
4M118DD04
4M118FA06
4M118FA26
4M118FA27
4M118FA28
4M118GA02
4M118GA09
4M118GB07
4M118GB09
4M118GB11
4M118GC08
4M118GC14
4M118GC20
4M118GD03
4M118GD04
(57)【要約】
【課題】感度の向上と共に色バランスを改善することが可能な光検出装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態の第1の光検出装置は、対向する第1の面および第2の面を有し、互いに異なる波長を選択的に光電変換する複数の第1の画素および第2の画素が行列状に配置された半導体基板と、互いに異なる屈折率を有する媒質が第1の面側に第1の画素および第2の画素それぞれに平面且つ離散的に設けられ、第1の画素では入射光を第1の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して第1の波長成分を選択的に第1の画素に導き、第2の画素では入射光を第2の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して第2の波長成分を選択的に第2の画素に導く波長分離構造と、第1の面側に設けられ、第1の画素および第2の画素のうち光感度が相対的に低い一方の画素の実効的な画素開口サイズを他方の画素よりも大きくする開口調整構造とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の面および第2の面を有し、互いに異なる波長を選択的に光電変換する複数の第1の画素および第2の画素が行列状に配置された半導体基板と、
互いに異なる屈折率を有する媒質が前記第1の面側に前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに平面且つ離散的に設けられ、前記第1の画素では入射光を第1の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第1の波長成分を選択的に前記第1の画素に導き、前記第2の画素では入射光を第2の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第2の波長成分を選択的に前記第2の画素に導く波長分離構造と、
前記第1の面側に設けられ、前記第1の画素および前記第2の画素のうち光感度が相対的に低い一方の画素の実効的な画素開口サイズを他方の画素よりも大きくする開口調整構造と
を備えた光検出装置。
【請求項2】
前記波長分離構造は、前記第1の画素および前記第2の画素に対する共通層として形成される第1の媒質と、前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに設けられた第2の媒質とを有し、
前記第2の媒質は前記入射光の所定の波長以下の大きさの柱状構造を有し、前記第1の媒質よりも高い屈折率を有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記第2の媒質は、前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに1または複数設けられると共に、前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに異なる径を有する、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第1の媒質は、前記入射光に対して1.5以下の屈折率を有する、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第1の媒質は、シリコン酸化物、フッ素を添加したシリコン酸化物、フッ素樹脂、多孔質シリカまたはそれらの混合素材からなる、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第2の媒質は、前記入射光に対して1.7以上の屈折率を有する、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記第2の媒質は、酸化チタン、酸化アルミニウム、シリコン窒化物、アモルファスシリコンまたはそれらの混合素材からなる、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記開口調整構造は、前記一方の画素に選択的に設けられる集光素子からなる、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記集光素子は、前記波長分離構造よりも光入射側に配置されるオンチップレンズである、請求項8に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記集光素子は、前記第1の面と前記波長分離構造との間に配置されるインナーレンズである、請求項8に記載の光検出装置。
【請求項11】
複数の前記第1の画素および前記第2の画素は、それぞれ、前記半導体基板において、行方向および列方向に複数隣接配置されており、
前記集光素子は、隣接配置された複数の前記第1の画素からなる第1の画素群または隣接配置された複数の第2の画素からなる第2の画素群のうち、光感度が相対的に低い一方の画素群に1つずつ設けられている、請求項8に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記開口調整構造は、前記第1の面と前記波長分離構造との間において、隣り合う前記第1の画素と前記第2の画素との境界に設けられ、前記第1の画素および前記第2の画素のそれぞれに開口を有する枠体からなり、
前記一方の画素の開口サイズは、前記他方の開口サイズよりも大きく、
前記開口には、それぞれ、前記第1の画素および前記第2の画素それぞれにおいて光電変換される波長を選択的に透過するカラーフィルタが充填されている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記枠体は、前記カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる、請求項12に記載の光検出装置。
【請求項14】
対向する第1の面および第2の面を有し、互いに異なる波長を選択的に光電変換する複数の第1の画素および第2の画素が行列状に配置された半導体基板と、
互いに異なる屈折率を有する媒質が前記第1の面側に前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに平面且つ離散的に設けられ、前記第1の画素では入射光を第1の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第1の波長成分を選択的に前記第1の画素に導き、前記第2の画素では入射光を第2の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第2の波長成分を選択的に前記第2の画素に導く波長分離構造と、
前記第1の面側において、前記第1の画素および前記第2の画素のうち光感度が相対的に低い画素に設けられた集光素子と
を備えた光検出装置。
【請求項15】
前記集光素子は、前記波長分離構造よりも光入射側に配置されるオンチップレンズである、請求項14に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記集光素子は、前記第1の面と前記波長分離構造との間に配置されるインナーレンズである、請求項14に記載の光検出装置。
【請求項17】
対向する第1の面および第2の面を有し、互いに異なる波長を選択的に光電変換する複数の第1の画素および第2の画素が行列状に配置された半導体基板と、
互いに異なる屈折率を有する媒質が前記第1の面側に前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに平面且つ離散的に設けられ、前記第1の画素では入射光を第1の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第1の波長成分を選択的に前記第1の画素に導き、前記第2の画素では入射光を第2の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第2の波長成分を選択的に前記第2の画素に導く波長分離構造と、
前記第1の面と前記波長分離構造との間において、隣り合う前記第1の画素と前記第2の画素との境界に設けられ、前記第1の画素および前記第2の画素のそれぞれに開口を有する枠体と、前記開口内に充填された、前記第1の画素および前記第2の画素それぞれにおいて光電変換される波長を選択的に透過するカラーフィルタとからなるカラーフィルタ層とを備え、
前記開口のサイズは光感度が相対的に低い画素の開口が他の画素の開口よりも大きい
光検出装置。
【請求項18】
前記枠体は、前記カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる、請求項17に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波長分離構造を有する光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、ナノポスト構造により光を散乱または回折させ、空間的に波長分離することにより光利用効率の向上を図ったイメージセンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光検出装置では、色バランスの改善が求められている。
【0005】
感度の向上と共に色バランスを改善することが可能な光検出装置を提供することが望ましい。
【0006】
本開示の一実施形態としての第1の光検出装置は、対向する第1の面および第2の面を有し、互いに異なる波長を選択的に光電変換する複数の第1の画素および第2の画素が行列状に配置された半導体基板と、互いに異なる屈折率を有する媒質が第1の面側に第1の画素および第2の画素それぞれに平面且つ離散的に設けられ、第1の画素では入射光を第1の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して第1の波長成分を選択的に第1の画素に導き、第2の画素では入射光を第2の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して第2の波長成分を選択的に第2の画素に導く波長分離構造と、第1の面側に設けられ、第1の画素および第2の画素のうち光感度が相対的に低い一方の画素の実効的な画素開口サイズを他方の画素よりも大きくする開口調整構造とを備えたものである。
【0007】
本開示の一実施形態としての第2の光検出装置は、対向する第1の面および第2の面を有し、互いに異なる波長を選択的に光電変換する複数の第1の画素および第2の画素が行列状に配置された半導体基板と、互いに異なる屈折率を有する媒質が第1の面側に第1の画素および第2の画素それぞれに平面且つ離散的に設けられ、第1の画素では入射光を第1の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して第1の波長成分を選択的に第1の画素に導き、第2の画素では入射光を第2の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して第2の波長成分を選択的に第2の画素に導く波長分離構造と、第1の面側において、第1の画素および第2の画素のうち光感度が相対的に低い画素に設けられた集光素子とを備えたものである。
【0008】
本開示の一実施形態としての第3の光検出装置は、対向する第1の面および第2の面を有し、互いに異なる波長を選択的に光電変換する複数の第1の画素および第2の画素が行列状に配置された半導体基板と、互いに異なる屈折率を有する媒質が第1の面側に第1の画素および第2の画素それぞれに平面且つ離散的に設けられ、第1の画素では入射光を第1の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して第1の波長成分を選択的に第1の画素に導き、第2の画素では入射光を第2の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して第2の波長成分を選択的に第2の画素に導く波長分離構造と、第1の面と波長分離構造との間において、隣り合う第1の画素と第2の画素との境界に設けられ、第の画素および第2の画素のそれぞれに開口を有する枠体と、開口内に充填された、第1の画素および第2の画素それぞれにおいて光電変換される波長を選択的に透過するカラーフィルタとからなるカラーフィルタ層とを備えたものであり、開口のサイズは光感度が相対的に低い画素の開口が他の画素の開口よりも大きい。
【0009】
本開示の一実施形態としての第1の光検出装置では、互いに異なる波長を選択的に光電変換する複数の第1の画素および第2の画素が行列状に配置された半導体基板の光入射面となる第1の面側に波長分離構造および開口調整構造を設けるようにした。波長分離構造は、互いに異なる屈折率を有する媒質が第1の画素および第2の画素それぞれに平面且つ離散的に設けられており、第1の画素では入射光を第1の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して第1の波長成分を選択的に第1の画素に導き、第2の画素では入射光を第2の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して第2の波長成分を選択的に第2の画素に導く。開口調整構造は、第1の面側に設けられ、第1の画素および第2の画素のうち光感度が相対的に低い一方の画素の実効的な画素開口サイズを他方の画素よりも大きくする。本開示の一実施形態としての第2の光検出装置では、開口調整構造として、第1の画素および第2の画素のうち光感度が相対的に低い画素に集光素子を設けるようにした。本開示の一実施形態としての第3の光検出装置では、第1の面と波長分離構造との間に、隣り合う第1の画素と第2の画素との境界に設けられ、第の画素および第2の画素のそれぞれに開口を有する枠体と、開口内に充填された、第1の画素および第2の画素それぞれにおいて光電変換される波長を選択的に透過するカラーフィルタとからなるカラーフィルタ層を開口調整構造として、光感度が相対的に低い画素の開口サイズを他の画素の開口サイズよりも大きくした。これにより、相対的に光感度が低い画素における量子効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
【
図2】
図1に示した光検出装置の全体構成を表すブロック図である。
【
図4】
図1に示した光検出装置の平面レイアウトの一例を表す模式図である。
【
図5】
図4に示した平面レイアウトを有する光検出装置を模式的に表した斜視図である。
【
図6】参考例1としての光検出装置の断面模式図である。
【
図7】参考例2としての光検出装置の断面模式図である。
【
図8】
図6に示した光検出装置におけるR,G,Bの量子効率を表す特性図である。
【
図9】
図7に示した光検出装置におけるR,G,Bの量子効率を表す特性図である。
【
図10】
図1に示した光検出装置におけるR,G,Bの量子効率を表す特性図である。
【
図11】本開示の変形例1に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
【
図12】本開示の変形例2に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
【
図13】本開示の変形例3に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
【
図14】本開示の変形例3に係る光検出装置の構成の他の例を表す断面模式図である。
【
図15】本開示の変形例3に係る光検出装置の構成の他の例を表す断面模式図である。
【
図16】本開示の変形例4に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
【
図17】本開示の第2の実施の形態に係る光検出装置の構成の一例を表す断面模式図である。
【
図18】
図17に示した光検出装置の平面レイアウトの一例を表す模式図である。
【
図19】
図1に示した光検出装置を有する電子機器の構成例を表すブロック図である。
【
図20A】
図1等に示した光検出装置を用いた光検出システムの全体構成の一例を表す模式図である。
【
図21】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図23】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図24】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示における一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.第1の実施の形態(開口調整構造としてオンチップレンズを用いた例)
2.変形例
2-1.変形例1(開口調整構造としてインナーレンズを用いた例)
2-2.変形例2(開口調整構造としてインナーレンズを用いた他の例)
2-3.変形例3(開口調整構造としてオンチップレンズおよびインナーレンズを用いた例)
2-4.変形例4(同色画素が隣接するレイアウトにおけるオンチップレンズのレイアウト例)
3.第2の実施の形態(開口調整構造としてカラーフィルタ層を用いた例)
4.適用例
5.応用例
【0012】
<1.第1の実施の形態>
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る光検出装置(光検出装置1)の断面構成の一例を模式的に表したものである。
図2は、
図1に示した光検出装置1の全体構成の一例を表したものである。光検出装置1は、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等であり、撮像エリアとして、複数の画素が行列状に2次元配置された画素部(画素部100A)を有している。光検出装置1は、このCMOSイメージセンサ等において、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0013】
[光検出装置の概略構成]
光検出装置1は、光学レンズ系(例えば、レンズ群1001、
図19参照)を介して被写体からの入射光(像光)を取り込んで、撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力するものである。光検出装置1は、半導体基板11上に、撮像エリアとしての画素部100Aを有すると共に、この画素部100Aの周辺領域に、例えば、垂直駆動回路111、カラム信号処理回路112、水平駆動回路113、出力回路114、制御回路115および入出力端子116を有している。
【0014】
画素部100Aには、例えば、複数の単位画素Pが行列状に2次元配置されている。複数の単位画素Pは、撮像レンズによって結像された被写体像をフォトダイオードPDにおいて光電変換して画像生成用の信号を生成するものである。
【0015】
単位画素Pには、例えば、画素行毎に画素駆動線Lread(具体的には行選択線およびリセット制御線)が配線され、画素列毎に垂直信号線Lsigが配線されている。画素駆動線Lreadは、画素からの信号読み出しのための駆動信号を伝送するものである。画素駆動線Lreadの一端は、垂直駆動回路111の各行に対応した出力端に接続されている。
【0016】
垂直駆動回路111は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、画素部100Aの各単位画素Pを、例えば、行単位で駆動する画素駆動部である。垂直駆動回路111によって選択走査された画素行の各単位画素Pから出力される信号は、垂直信号線Lsigの各々を通してカラム信号処理回路112に供給される。カラム信号処理回路112は、垂直信号線Lsig毎に設けられたアンプや水平選択スイッチ等によって構成されている。
【0017】
水平駆動回路113は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、カラム信号処理回路112の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動するものである。この水平駆動回路113による選択走査により、垂直信号線Lsigの各々を通して伝送される各画素の信号が順番に水平信号線121に出力され、当該水平信号線121を通して半導体基板11の外部へ伝送される。
【0018】
出力回路114は、カラム信号処理回路112の各々から水平信号線121を介して順次供給される信号に対して信号処理を行って出力するものである。出力回路114は、例えば、バッファリングのみを行う場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正および各種デジタル信号処理等が行われる場合もある。
【0019】
垂直駆動回路111、カラム信号処理回路112、水平駆動回路113、水平信号線121および出力回路114からなる回路部分は、半導体基板11上に直に形成されていてもよいし、あるいは外部制御ICに配設されたものであってもよい。また、それらの回路部分は、ケーブル等により接続された他の基板に形成されていてもよい。
【0020】
制御回路115は、半導体基板11の外部から与えられるクロックや、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、光検出装置1の内部情報等のデータを出力するものである。制御回路115はさらに、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを有し、当該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に垂直駆動回路111、カラム信号処理回路112および水平駆動回路113等の周辺回路の駆動制御を行う。
【0021】
入出力端子116は、外部との信号のやり取りを行うものである。
【0022】
[単位画素の回路構成]
図3は、
図2に示した光検出装置1の単位画素Pの読み出し回路の一例を表したものである。単位画素Pは、例えば、
図3に示したように、1つの光電変換部12と、転送トランジスタTRと、フローティングディフュージョンFDと、リセットトランジスタRSTと、増幅トランジスタAMPと、選択トランジスタSELとを有している。
【0023】
光電変換部12はフォトダイオード(PD)である。光電変換部12は、アノードが接地電圧線に接続され、カソードが転送トランジスタTR1のソースに接続されている。
【0024】
転送トランジスタTR1は、光電変換部12とフローティングディフュージョンFDとの間に接続されている。転送トランジスタTRのゲート電極には、駆動信号TRsigが印加される。この駆動信号TRsigがアクティブ状態になると、転送トランジスタTRの転送ゲートが導通状態となり、光電変換部12に蓄積されている信号電荷が、転送トランジスタTRを介してフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0025】
フローティングディフュージョンFDは、転送トランジスタTRと増幅トランジスタAMPとの間に接続されている。フローティングディフュージョンFDは、転送トランジスタTRにより転送される信号電荷を電圧信号に電荷電圧変換して、増幅トランジスタAMPに出力する。
【0026】
リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDと電源部との間に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲート電極には、駆動信号RSTsigが印加される。この駆動信号RSTsigがアクティブ状態になると、リセットトランジスタRSTのリセットゲートが導通状態となり、フローティングディフュージョンFDの電位が電源部のレベルにリセットされる。
【0027】
増幅トランジスタAMPは、そのゲート電極がフローティングディフュージョンFDに、ドレイン電極が電源部にそれぞれ接続されており、フローティングディフュージョンFDが保持している電圧信号の読み出し回路、所謂ソースフォロア回路の入力部となる。即ち、増幅トランジスタAMPは、そのソース電極が選択トランジスタSELを介して垂直信号線Lsigに接続されることで、垂直信号線Lsigの一端に接続される定電流源とソースフォロア回路を構成する。
【0028】
選択トランジスタSELは、増幅トランジスタAMPのソース電極と、垂直信号線Lsigとの間に接続される。選択トランジスタSELのゲート電極には、駆動信号SELsigが印加される。この駆動信号SELsigがアクティブ状態になると、選択トランジスタSELが導通状態となり、単位画素Pが選択状態となる。これにより、増幅トランジスタAMPから出力される読み出し信号(画素信号)が、選択トランジスタSELを介して、垂直信号線Lsigに出力される。
【0029】
[単位画素の構成]
図4は、
図1に示した光検出装置1の平面レイアウトの一例を模式的に表したものであり、
図1は、
図4に示したI-I’線に対応する光検出装置1の断面構成を表している。
図5は、
図4に示した平面レイアウトの光検出装置1を模式的に表した斜視図である。光検出装置1は、上記のように、例えば裏面照射型の光検出装置であり、画素部100Aに行列状に2次元配置された複数の単位画素Pは、それぞれ、例えば、受光部10と、受光部10の光入射側S1に設けられた導光部20と、受光部10の光入射側S1とは反対側に設けられた多層配線層30とが積層された構成を有している。
【0030】
受光部10は、対向する第1面11S1および第2面11S2を有する半導体基板11と、半導体基板11に埋め込み形成された複数の光電変換部12とを有している。半導体基板11は、例えば、シリコン基板で構成されている。光電変換部12は、例えばPIN(Positive Intrinsic Negative)型のフォトダイオード(PD)であり、半導体基板11の所定領域にpn接合を有している。光電変換部12は、上記のように、単位画素P毎に1つ埋め込み形成されている。
【0031】
受光部10は、さらに、素子分離部13を有している。
【0032】
素子分離部13は、隣り合う単位画素Pの間に設けられている。換言すると、素子分離部13は単位画素Pの周囲に設けられており、画素部100Aにおいて格子状に設けられている。素子分離部13は、隣り合う単位画素Pを電気的、且つ、光学的に分離するためのものであり、例えば、半導体基板11の第1面11S1側から第2面11S2側に向かって延伸している。素子分離部13は、例えば、p型の不純物を拡散することが形成することができる。この他、素子分離部13は、例えば、半導体基板11に第1面11S1側から開口を形成し、その開口の側面および底面を固定電荷層14で被覆し、絶縁層を埋め込んだSTI(Shallow Trench Isolation)構造やFFTI(Full Trench Isolation)構造としてもよい。また、STI構造内およびFFTI構造内には、エアギャップを形成するようにしてもよい。
【0033】
半導体基板11の第1面11S1には、さらに半導体基板11の第1面11S1での反射防止を兼ねた固定電荷層14が設けられている。固定電荷層14は、正の固定電荷を有する膜でもよし、負の固定電荷を有する膜でもよい。固定電荷層14の構成材料としては、半導体基板11のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する半導体材料または導電材料が挙げられる。具体的には、例えば、例えば、酸化ハフニウム(HfOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化タンタル(TaOx)、酸化チタン(TiOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化プラセオジム(PrOx)、酸化セリウム(CeOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化プロメチウム(PmOx)、酸化サマリウム(SmOx)、酸化ユウロピウム(EuOx)、酸化ガドリニウム(GdOx)、酸化テルビウム(TbOx)、酸化ジスプロシウム(DyOx)、酸化ホルミウム(HoOx)、酸化ツリウム(TmOx)、酸化イッテルビウム(YbOx)、酸化ルテチウム(LuOx)、酸化イットリウム(YOx)、窒化ハフニウム(HfNx)、窒化アルミニウム(AlNx)、酸窒化ハフニウム(HfOxNy)および酸窒化アルミニウム(AlOxNy)等が挙げられる。固定電荷層14は、単層膜としてもよいし、異なる材料からなる積層膜としてもよい。
【0034】
導光部20は、受光部10の光入射側S1に、例えば、カラーフィルタ層23と、透明層24とを有し、光入射側S1から入射した光を受光部10側へと導く。カラーフィルタ層23は、例えば、隔壁21とカラーフィルタ22とからなる。透明層24は、層内に、例えば単位画素P毎に設けられた分光部25を含む波長分離層26を有し、光入射側S1の表面にはオンチップレンズ24Lが設けられている。
【0035】
隔壁21は、隣り合う単位画素Pの境界に設けられ、単位画素P毎に開口21Hを有する枠体である。換言すると、隔壁21は、素子分離部13と同様に、単位画素Pの周囲に設けられており、画素部100Aにおいて格子状に設けられている。隔壁21は、光入射側S1から斜め入射した光が隣接する単位画素Pへ漏れ込むのを防ぐためのものである。隔壁21は、例えば、カラーフィルタ22よりも屈折率の低い材料を用いて形成することができる。
【0036】
隔壁21は、光学的黒レベルを決定する単位画素Pの遮光を兼ねていてもよい。また、隔壁21は、画素部100Aの周辺領域に設けられる周辺回路へのノイズの発生を抑制するための遮光を兼ねていてもよい。その場合、隔壁21は、例えば、遮光性を有する材料を用いて形成することができる。このような材料としては、例えば、タングステン(W)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)またはそれらの合金が挙げられる。この他、TiN等の金属化合物が挙げられる。隔壁21は、例えば単層膜または積層膜として形成するようにしてもよい。積層膜とする場合には、例えば、Ti、タンタル(Ta)、W、コバルト(Co)またはモリブデン(Mo)あるいはそれらの合金、窒化物、酸化物または炭化物からなる層を下地層として設けるようにしてもよい。
【0037】
カラーフィルタ22は、所定の波長の光を選択的に透過するものであり、例えば、赤色光(R)を選択的に透過させる赤色フィルタ22Rと、緑色光(G)を選択的に透過させる緑色フィルタ22Gと、青色光(B)を選択的に透過させる青色フィルタ22Bとを有する。各色フィルタ22R,22G,22Bは、隔壁21の開口21Hにそれぞれ充填されている。具体的には、各色フィルタ22R,22G,22Bは、例えば
図4に示したように、2行×2列で配置された4つの単位画素Pに対して、緑色フィルタ22Gが対角線上に2つ配置され、赤色フィルタ22Rおよび青色フィルタ22Bが、直交する対角線上に1つずつ配置されている。各色フィルタ22R,22G,22Bが設けられた単位画素Pでは、例えば、それぞれの光電変換部12において対応する色光が選択的に光電変換されるようになっている。
【0038】
即ち、画素部100Aでは、それぞれ、赤色光(R)を選択的に受光して光電変換する単位画素P(赤色画素Pr)、緑色光(G)を選択的に受光して光電変換する単位画素P(緑色画素Pg)および青色光(B)を選択的に受光して光電変換する単位画素P(青色画素Pb)が、ベイヤー状に配列されている。赤色画素Pr、緑色画素Pgおよび青色画素Pbは、それぞれ、赤色光(R)成分の画素信号、緑色光(G)成分の画素信号、青色光(B)成分の画素信号を生成する。光検出装置1は、RGBの画素信号を得ることができる。
【0039】
カラーフィルタ22は、シアン、マゼンタおよび黄色をそれぞれ選択的に透過するフィルタを有していてもよい。各色フィルタ22R,22G,22Bが設けられた単位画素Pでは、例えば、それぞれの光電変換部12において対応する色光が検出されるようになっている。カラーフィルタ22は、例えば、樹脂材料に顔料や染料を分散させることで形成することができる。カラーフィルタ22の膜厚は、その分光スペクトルによる色再現性やセンサ感度を考慮して、色毎に異なる膜厚としてもよい。
【0040】
透明層24は、光を透過する透明層である。透明層24は、光入射側S1から入射する光(入射光)に対して、例えば1.5以下の屈折率を有している。透明層24は、例えば、シリコン酸化物(SiO2)、フッ素を添加したシリコン酸化物(SiOF)、フッ素樹脂、多孔質シリカまたはそれらの混合素材を用いて形成されている。
【0041】
透明層24の層内には、上記のように、分光部25を含む波長分離層26が設けられている。波長分離層26は、本開示の「波長分離構造」の一具体例に相当するものである。波長分離構造は、互いに屈折率が異なる第1の媒質および第2の媒質を有し、本実施の形態では、例えば単位画素P毎に設けられた分光部25が「第2の媒質」に相当するものであり、分光部25の周囲の透明層24が「第1の媒質」に相当する。
【0042】
波長分離層26は、単位画素P毎に平面且つ離散的に設けられた、例えば1または複数設けられた分光部25によって、各単位画素Pにおいて入射光を所定の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して所定の波長成分を選択的に各分光部25が設けられた単位画素Pに導き、それ以外の波長成分を他の単位画素Pに導く。波長分離層26は、分光部25の屈折率とその周囲の媒質(透明層24)の屈折率との差によって、入射する光に位相遅延を生じさせ、波面に影響を与える。波長分離層26は、分光部25によって入射光を分光する領域(分光領域)ともいえる。
【0043】
分光部25は、単位画素P毎に、例えば1または複数設けられた微小な構造体であり、例えば、入射光の所定の波長以下の大きさの柱状構造(ピラー構造)を有する。分光部25は、入射光に含まれる各波長域の光が所望の方向に分岐して進むように、分光部25の大きさ、形状および屈折率等が定められる。分光部25の位相差に関わるパラメータは、媒質の屈折率と分光部25の高さおよび直径がある。例えば、各色画素Pr,Pg,Pbに設けられる分光部25は、それぞれ、例えば50nm以上500nm以下の直径を有する。分光部25の高さは、入射光の波長の1周波数分程度あればよく、例えば500nm以上1500nm以下である。
【0044】
各色画素Pr,Pg,Pbに設けられた各分光部25では、光の波長に応じて異なる位相遅延量が生じることに起因して、波長域毎に光の伝搬方向が変わる。例えば、赤色画素Prに入射した光のうち、赤色光(R)はそのまま赤色画素Prの光電変換部12へ向けて導かれ、それ以外の波長の光は赤色画素Prと隣り合う緑色画素Pgおよび青色画素Pbの光電変換部12へ向かって伝搬する。例えば、緑色画素Pgに入射した光のうち、緑色光(G)はそのまま緑色画素Pgの光電変換部12へ向けて導かれ、それ以外の波長の光は緑色画素Pgと隣り合う赤色画素Prおよび青色画素Pbの光電変換部12へ向かって伝搬する。例えば、青色画素Pbに入射した光のうち、青色光(B)はそのまま青色画素Pbの光電変換部12へ向けて導かれ、それ以外の波長の光は青色画素Pbと隣り合う赤色画素Prおよび緑色画素Pgの光電変換部12へ向かって伝搬する。
【0045】
分光部25は、周囲の透明層24の屈折率よりも高い屈折率を有しており、例えば、光入射側S1から入射する光(入射光)に対して1.7以上の屈折率を有している。分光部25は、透明層24の屈折率よりも高い屈折率を有する材料を用いて形成されている。分光部25は、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、シリコン窒化物(Si3N4)、アモルファスシリコン(α-Si)またはそれらの混合素材を用いて形成されている。
【0046】
なお、各色画素Pr,Pg,Pbに設けられる分光部25は、同じ材料を用いて形成してもよいし、異なる材料を用いて形成してもよい。
【0047】
透明層24の光入射側S1の表面には、集光素子としてオンチップレンズ24Lが、例えば青色画素Pbに選択的に設けられている。このオンチップレンズ24Lが、本開示の「開口調整構造」の一具体例に相当するものである。開口調整構造は、所定の直径を有する分光部25が設けられた各色画素Pr,Pg,Pbのうち光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)の実効的な画素開口サイズを他の色画素(例えば、赤色画素Prおよび緑色画素Pg)よりも大きくするものである。オンチップレンズ24Lを青色画素Pbに選択的に設けることにより、青色画素Pbにおける青色光(B)の感度が向上し、各色画素Pr,Pg,Pbの感度バランスを調整することができる。
【0048】
オンチップレンズ24Lは、透明層24と同じ材料を用いて形成してもよいし、異なる材料を用いて形成してもよい。オンチップレンズ24Lは、透明層24において挙げた材料の他に、例えば、シリコン窒化物(Si3N4)、シリコン酸窒化物(SiON)およびアモルファスシリコン(α-Si)等の無機材料が挙げられる。この他、オンチップレンズ24Lは、エピスルフィド系樹脂、チエタン化合物やその樹脂等の高屈折率の有機材料を用いて形成してもよい。オンチップレンズ24Lの形状は、特に限定されるものではなく、半球形状や半円筒状等の各種レンズ形状を採用することができる。
【0049】
多層配線層30は、受光部10の光入射側S1とは反対側、具体的には、半導体基板11の第2面11S2側に設けられている。多層配線層30は、例えば、複数の配線層31,32,33が、層間絶縁層34を間に積層された構成を有している。多層配線層30には、例えば、上述した読み出し回路の他に、垂直駆動回路111、カラム信号処理回路112、水平駆動回路113、出力回路114、制御回路115および入出力端子116等が形成されている。
【0050】
配線層31,32,33は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)またはタングステン(W)等を用いて形成されている。この他、配線層31,32,33は、ポリシリコン(Poly-Si)を用いて形成するようにしてもよい。
【0051】
層間絶縁層34は、例えば、酸化シリコン(SiOx)、TEOS、窒化シリコン(SiNx)および酸窒化シリコン(SiOxNy)等のうちの1種よりなる単層膜、あるいはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜により形成されている。
【0052】
[作用・効果]
本実施の形態の光検出装置1では、単位画素P毎に平面且つ離散的に、例えば1または複数設けられた分光部25を含む波長分離層26が層内に設けられた透明層24の光入射側S1の表面にオンチップレンズ24Lを、光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)に選択的に設けるようにした。これにより、青色画素Pbにおける青色光(B)の感度が向上する。以下、これについて説明する。
【0053】
近年、微細化が進むことによる画素の感度低下に対する対策としてナノポスト構造により光を散乱させ、空間的に波長分離することにより、各色の実効的な集光エリアを単画素よりも大きくする技術が注目されている。ナノポスト構造は周囲の媒質に対して高い屈折率を有しており、ナノポスト構造と媒質との間に波長に応じた位相差が生じる。そのためナノポストの半径や長さ、配置を最適化することで、画素ユニットを構成する各色画素に対応する可視波長帯を分配することができる。これにより、一般的なカラーフィルタでRGBの色情報を取得するフルカラーイメージセンサと比較して高い感度を実現することができる。
【0054】
しかしながら、ナノポスト構造は光波長に対してサブ波長スケール(例えば、直径数10nm~数100nm)の微細構造である。そのため、感度を最大化しつつ、さらに、例えばRGB3色の感度比率をバランスよく向上させるためには、ナノポスト構造の緻密なサイズ制御、位置制御が必要となり、製造難易度の上昇やコストアップの弊害が生じる。
【0055】
例えば、前述したナノポスト構造により光利用効率の向上を図ったイメージセンサでは、単位画素に対して中央に相対的に太めの直径を有するナノポストを配置し、画素境界には異なる直径を有する細いナノポストを配置するレイアウトになっている。これらのナノポスト構造はナノポストにより生じる位相差の波長依存性を用いて入射光を色毎に、空間的に異なる位置に分離するが、分離する距離は小さい。そのため、CMOSイメージセンサの画素サイズが小さいほど適応しやすい。具体的には画素サイズが1.0μm以下の微細な画素で効果を奏する。
【0056】
一例として0.8×0.8μmの画素の中央に1本のナノポストを配置する場合、行方向および列方向にそれぞれ隣り合うナノポストとの間隔は0.8μmとなる。更に、間にナノポストを配置すると、その感覚は0.4μmと非常に狭くなる。但し、ナノポストは孤立しているため少なくとも100nm程度の間隔もしくは直径でナノポストを配置する必要がある。更に、周囲の媒質とナノポストとの相対的な屈折率差分を利用して所望の波長に対して2piの位相差を設けるためには、ナノポストの高さは500nm~1500nm程度とある程度の高さが必要となる。したがって、細いナノポストの場合には直径と高さのアスペクト比率は1:10程度と大きくなり、製造上の技術課題が大きい。
【0057】
これに対して本実施の形態では、半導体基板11の第1面11S1側(光入射側S1)に設けられた透明層24の層内に、波長分離構造として、単位画素P毎に、例えば1つずつ分光部25を有する波長分離層26を設け、透明層24の光入射側S1の表面にオンチップレンズ24Lを、光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)に選択的に設け、青色画素Pbの実効的な画素開口サイズを大きくした。
【0058】
図6は、参考例1としての光検出装置1000Aの断面構成を模式的に表したものである。
図7は、参考例2としての光検出装置1000Bの断面構成を模式的に表したものである。光検出装置1000Aは、光検出装置1と同様に、受光部1010と、受光部1010の光入射側S1に設けられた導光部1020と、受光部1010の光入射側S1とは反対側に設けられた多層配線層1030とが積層されている。受光部1010は、対向する第1面1011S1および第2面1011S2を有する半導体基板1011と、半導体基板1011に埋め込み形成された複数の光電変換部1012と、隣り合う光電変換部1012の間に設けられた素子分離部1013とを有する。導光部1020は、隔壁1021と各色フィルタ1022R,1022G,1022Bを有するカラーフィルタ1022とからなるカラーフィルタ層1023を有し、カラーフィルタ層1023上には、各色画素Pr,Pg,Pbそれぞれにオンチップレンズ1024Lが設けられている。多層配線層1030は、複数の配線層1031,1032,1033が、層間絶縁層1034を間に積層されている。光検出装置1000Bは、光検出装置1000Aのカラーフィルタ層1023上に透明層1024が設けられており、透明層1024の層内には、光検出装置1と同様に、色画素Pr,Pg,Pb毎に1つずつ分光部1025を有する波長分離構造1026が設けられている。
【0059】
図8は、光検出装置1000Aにおける赤色光(R)、緑色光(G)および青色光(B)の量子効率を表したものである。
図9は、光検出装置1000Bにおける赤色光(R)、緑色光(G)および青色光(B)の量子効率を表したものである。
図10は、光検出装置1における赤色光(R)、緑色光(G)および青色光(B)の量子効率を表したものである。
図8および
図9から、各色画素Pr,Pg,Pbに1つずつ分光部1025を有する波長分離構造1026を設けることにより、RGBの感度が向上する一方で、RGBのバランスが崩れている。これに対して、光検出装置1000Bにおいて光感度が相対的に低い青色画素Pbの、透明層24の光入射側S1の表面に選択的にオンチップレンズ24Lを設けた光検出装置1(
図10)では、青色光(B)に対する量子効率が向上し、赤色光(R)に対する量子効率が低下し、RGBのバランスが改善される。
【0060】
これにより、シンプルな波長分離構造によりRGBの感度を向上させつつ、開口調整構造としてオンチップレンズ24Lを、光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)に選択的に設けるという簡易な手段で、感度のばらつきが補正される。
【0061】
以上により、本実施の形態の光検出装置1では、感度の向上と共に色バランスを改善することが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態の光検出装置1では、単位画素P毎に、例えば1つずつ分光部25を有するシンプルな波長分離構造で感度を向上させ、光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)に選択的にオンチップレンズ24Lを設けるというシンプルな開口調整構造で感度のばらつきを補正するようにしたので、ナノポスト構造のみで感度を最大化しつつ、RGB3色の感度比率バランス向上させるイメージセンサと比較して、製造難易度および製造コストを低減することが可能となる。
【0063】
次に、本開示の変形例1~4および第2の実施の形態について説明する。以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0064】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
図11は、本開示の変形例1に係る光検出装置(光検出装置1A)の断面構成の一例を模式的に表したものである。光検出装置1Aは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記第1の実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0065】
上記第1の実施の形態では、光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)に選択的にオンチップレンズ24Lを設けることで色バランスを改善した例を示した。これに対して、本変形例の光検出装置1Aでは、オンチップレンズ24Lの代わりに、カラーフィルタ層23と透明層24との間に、インナーレンズ層27を設けるようにした。インナーレンズ層27の表面には、各色画素Pr,Pg,Pbそれぞれにインナーレンズ27Lが設けられている。これらの点を除き、光検出装置1Aは上記第1の実施の形態に係る光検出装置1と実質的に同様の構成を有する。
【0066】
インナーレンズ層27は、本開示の「開口調整構造」の一具体例に相当するものである。インナーレンズ層27は、例えば、画素部100Aの全面を覆うように設けられており、その表面には、例えばギャップレスに設けられた複数のインナーレンズ27Lを有している。インナーレンズ27Lは、その上方から入射した光を光電変換部12へ導くためのものであり、
図11に示したように、各色画素Pr,Pg,Pbそれぞれに設けられている。
【0067】
インナーレンズ27Lを含むインナーレンズ層27は、例えば、シリコン酸化物(SiO2)、シリコン窒化物(Si3N4)、シリコン酸窒化物(SiON)およびアモルファスシリコン(α-Si)等の無機材料を用いて形成することができる。この他、インナーレンズ層27は、エピスルフィド系樹脂、チエタン化合物やその樹脂等の高屈折率の有機材料を用いて形成してもよい。インナーレンズ27Lの形状は、特に限定されるものではなく、半球形状や半円筒状等の各種レンズ形状を採用することができる。
【0068】
このように、本変形例の光検出装置1Aでは、カラーフィルタ層23と透明層24との間に、各色画素Pr,Pg,Pbそれぞれにインナーレンズ27Lを有するインナーレンズ層27を設けるようにした。これにより、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(2-2.変形例2)
図12は、本開示の変形例2に係る光検出装置(光検出装置1B)の断面構成の一例を模式的に表したものである。光検出装置1Bは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記第1の実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0070】
上記変形例1では、各色画素Pr,Pg,Pbそれぞれにインナーレンズ27Lを有するインナーレンズ層27を設ける例を示した。これに対して、本変形例の光検出装置1Bでは、光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)のインナーレンズ層27の表面に選択的にインナーレンズ27Lが設けられている。これらの点を除き、光検出装置1Bは上記変形例1に係る光検出装置1Aと実質的に同様の構成を有する。
【0071】
このように、本変形例の光検出装置1Bでは、光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)のインナーレンズ層27の表面に選択的にインナーレンズ27Lを設けるようにした。このような構成においても、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
(2-3.変形例3)
図13は、本開示の変形例3に係る光検出装置(光検出装置1C)の断面構成の一例を模式的に表したものである。
図14は、本開示の変形例3に係る光検出装置1Cの断面構成の他の例を模式的に表したものである。光検出装置1Cは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記第1の実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0073】
上記第1の実施の形態および変形例1,2は、適宜組み合わせることができる。即ち、本開示の「開口調整構造」としてオンチップレンズ24Lおよびインナーレンズ27L(インナーレンズ層27)の両方を用いることができる。例えば、
図13に示したように、カラーフィルタ層23と透明層24との間に、各色画素Pr,Pg,Pbそれぞれにインナーレンズ27Lを有するインナーレンズ層27を設け、さらに、光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)に選択的にオンチップレンズ24Lを設けるようにしてもよい。例えば、
図14に示したように、カラーフィルタ層23と透明層24との間に、光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)に選択的にインナーレンズ27Lを有するインナーレンズ層27を設け、さらに、光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)に選択的にオンチップレンズ24Lを設けるようにしてもよい。
【0074】
また、オンチップレンズ24Lとインナーレンズ27Lを色画素Pr,Pg,Pbのいずれかに選択的に設ける場合には、必ずしも同じ色画素(例えば、青色画素Pb)に両方設ける必要はない。例えば、
図15に示したように、オンチップレンズ24Lは青色画素Pbに選択的に設け、インナーレンズ27Lは赤色画素Prに選択的に設けるようにしてもよい。
【0075】
このような構成においても、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(2-4.変形例4)
図16は、本開示の変形例4に係る光検出装置(光検出装置1D)の断面構成の一例を模式的に表したものである。光検出装置1Dは、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器に用いられるCMOSイメージセンサ等であり、上記第1の実施の形態と同様に、例えば所謂裏面照射型の光検出装置である。
【0077】
上記第1の実施の形態では、1つの色画素Pr,Pg,Pbがベイヤー状に配列された例を示したが、画素部100Aにおける各色画素Pr,Pg,Pbの配列はこれに限定されるものではない。例えば、同色の色画素Pr,Pg,Pbが複数、例えば2行×2列や3行×3列に配置された色画素群を色画素ユニット(赤色画素ユニットUr,緑色画素ユニットUg,青色画素ユニットUb)とし、これら色画素ユニット(赤色画素ユニットUr,緑色画素ユニットUg,青色画素ユニットUb)をベイヤー状に配列するようにしてもよい。その際には、オンチップレンズ24Lは、
図16に示したように、隣接配置された光感度が相対的に低い色画素ユニット(例えば、青色画素ユニットUb)に対して1つ配置する。換言すると、同色画素が隣接配置されてなる色画素ユニットUr,Ug,Ubがベイヤー状に配置された光検出装置1Dでは、隣接配置された色画素(例えば、2行×2列で隣接配置された青色画素Pb)において共有するようにオンチップレンズ24Lは色画素ユニットに対して1つ配置される。
【0078】
このような構成においても、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
<3.第2の実施の形態>
図17は、本開示の第2の実施の形態に係る光検出装置(光検出装置2)の断面構成の一例を模式的に表したものである。
図18は、
図17に示した光検出装置2の平面レイアウトの一例を模式的に表したものであり、
図17は、
図18に示したII-II’線に対応する光検出装置2の断面構成を表している。
【0080】
本実施の形態の光検出装置2は、オンチップレンズ24Lを設けず、カラーフィルタ層43を本開示の「開口調整構造」の一具体例として用いたものである。この点を除き、光検出装置2は上記第1の実施の形態に係る光検出装置1と実質的に同様の構成を有する。
【0081】
カラーフィルタ層43は、上記第1の実施の形態と同様に、例えば、隔壁41とカラーフィルタ42とからなる。
【0082】
隔壁41は、隣り合う単位画素Pの境界に設けられ、単位画素P毎に開口41Hを有する枠体である。換言すると、隔壁41は、素子分離部13と同様に、単位画素Pの周囲に設けられており、画素部100Aにおいて格子状に設けられている。隔壁41は、光入射側S1から斜め入射した光が隣接する単位画素Pへ漏れ込むのを防ぐためのものである。例えば、カラーフィルタ42よりも屈折率の低い材料を用いて形成することができる。
【0083】
隔壁41は、光学的黒レベルを決定する単位画素Pの遮光を兼ねていてもよい。また、隔壁41は、画素部100Aの周辺領域に設けられる周辺回路へのノイズの発生を抑制するための遮光を兼ねていてもよい。その場合、隔壁41は、例えば、遮光性を有する材料を用いて形成することができる。このような材料としては、例えば、タングステン(W)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)またはそれらの合金が挙げられる。この他、TiN等の金属化合物が挙げられる。隔壁41は、例えば単層膜または積層膜として形成するようにしてもよい。積層膜とする場合には、例えば、Ti、タンタル(Ta)、W、コバルト(Co)またはモリブデン(Mo)あるいはそれらの合金、窒化物、酸化物または炭化物からなる層を下地層として設けるようにしてもよい。
【0084】
本実施の形態では、隔壁41の開口41Hは、各色画素Pr,Pg,Pbの光感度に応じて異なる大きさとなっている。例えば、
図17および
図18に示したように、光感度が相対的に低い青色画素Pbの開口41Hbは、赤色画素Prおよび緑色画素Pgの開口41Hr,41Hgよりも大きく、光感度が相対的に高い赤色画素Prの開口41Hrは、緑色画素Pgおよび青色画素Pbの開口41Hg,41Hbよりも小さい。つまり、各色画素Pr,Pg,Pbにおける開口41Hr,41Hg,41Hbの大きさは、41Hr<41Hg<41Hbとなっている。
【0085】
カラーフィルタ42は、所定の波長の光を選択的に透過するものであり、例えば、赤色光(R)を選択的に透過させる赤色フィルタ42Rと、緑色光(G)を選択的に透過させる緑色フィルタ42Gと、青色光(B)を選択的に透過させる青色フィルタ42Bとを有する。各色フィルタ42R,42G,42Bは、隔壁41の開口41Hにそれぞれ充填されている。具体的には、各色フィルタ42R,42G,42Bは、例えば
図18に示したように、2行×2列で配置された4つの単位画素Pに対して、緑色フィルタ42Gが対角線上に2つ配置され、赤色フィルタ42Rおよび青色フィルタ42Bが、直交する対角線上に1つずつ配置されている。各色フィルタ42R,42G,42Bが設けられた単位画素Pでは、例えば、それぞれの光電変換部12において対応する色光が選択的に光電変換されるようになっている。
【0086】
即ち、画素部100Aでは、それぞれ、赤色光(R)を選択的に受光して光電変換する単位画素P(赤色画素Pr)、緑色光(G)を選択的に受光して光電変換する単位画素P(緑色画素Pg)および青色光(B)を選択的に受光して光電変換する単位画素P(青色画素Pb)が、ベイヤー状に配列されている。赤色画素Pr、緑色画素Pgおよび青色画素Pbは、それぞれ、赤色光(R)成分の画素信号、緑色光(G)成分の画素信号、青色光(B)成分の画素信号を生成する。光検出装置2は、RGBの画素信号を得ることができる。
【0087】
カラーフィルタ42は、シアン、マゼンタおよび黄色をそれぞれ選択的に透過するフィルタを有していてもよい。各色フィルタ42R,42G,42Bが設けられた単位画素Pでは、例えば、それぞれの光電変換部12において対応する色光が検出されるようになっている。カラーフィルタ42は、例えば、樹脂材料に顔料や染料を分散させることで形成することができる。カラーフィルタ42の膜厚は、その分光スペクトルによる色再現性やセンサ感度を考慮して、色毎に異なる膜厚としてもよい。
【0088】
このように、本実施の形態では、半導体基板11の第1面11S1側(光入射側S1)に設けられた透明層24の層内に、波長分離構造として、単位画素P毎に、例えば1つずつ分光部25を有する波長分離層26を設け、カラーフィルタ層43において単位画素P毎に形成される隔壁41の開口41Hの大きさを、各色画素Pr,Pg,Pbのうち光感度が相対的に低い色画素(例えば、青色画素Pb)ほど大きく、光感度が相対的に高い色画素(例えば、赤色画素Pr)ほど小さくした。これにより、シンプルな波長分離構造によりRGBの感度を向上させつつ、簡易な手段で、感度のばらつきが補正される。
【0089】
以上により、本実施の形態の光検出装置2では、感度の向上と共に色バランスを改善することが可能となる。
【0090】
また、本実施の形態の光検出装置2では、単位画素P毎に、例えば1つずつ分光部25を有するシンプルな波長分離構造で感度を向上させ、カラーフィルタ層43において単位画素P毎に形成される隔壁41の開口41Hの大きさを、各色画素Pr,Pg,Pbのうち光感度が相対的に低い色画素ほど大きく、光感度が相対的に高い色画素ほど小さくするというシンプルな開口調整構造で感度のばらつきを補正するようにしたので、ナノポスト構造のみで感度を最大化しつつ、RGB3色の感度比率バランス向上させるイメージセンサと比較して、製造難易度および製造コストを低減することが可能となる。
【0091】
<4.適用例>
(適用例1)
上記光検出装置1等は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話等、撮像機能を備えたあらゆるタイプの電子機器に適用することができる。
図19は、電子機器1000の概略構成を表したものである。
【0092】
電子機器1000は、例えば、レンズ群1001と、光検出装置1と、DSP(Digital Signal Processor)回路1002と、フレームメモリ1003と、表示部1004と、記録部1005と、操作部1006と、電源部1007とを有し、バスライン1008を介して相互に接続されている。
【0093】
レンズ群1001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで光検出装置1の撮像面上に結像するものである。光検出装置1は、レンズ群1001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号としてDSP回路1002に供給する。
【0094】
DSP回路1002は、光検出装置1から供給される信号を処理する信号処理回路である。DSP回路1002は、光検出装置1からの信号を処理して得られる画像データを出力する。フレームメモリ1003は、DSP回路1002により処理された画像データを一時的に保持するものである。
【0095】
表示部1004は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、光検出装置1で撮像された動画または静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。
【0096】
操作部1006は、ユーザによる操作に従い、電子機器1000が所有する各種の機能についての操作信号を出力する。電源部1007は、DSP回路1002、フレームメモリ1003、表示部1004、記録部1005および操作部1006の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給するものである。
【0097】
(適用例2)
図20Aは、光検出装置1を備えた光検出システム2000の全体構成の一例を模式的に表したものである。
図20Bは、光検出システム2000の回路構成の一例を表したものである。光検出システム2000は、赤外光L2を発する光源部としての発光装置2001と、光電変換素子を有する受光部としての光検出装置2002とを備えている。光検出装置2002としては、上述した光検出装置1を用いることができる。光検出システム2000は、さらに、システム制御部2003、光源駆動部2004、センサ制御部2005、光源側光学系2006およびカメラ側光学系2007を備えていてもよい。
【0098】
光検出装置2002は光L1と光L2とを検出することができる。光L1は、外部からの環境光が被写体(測定対象物)2100(
図20A)において反射された光である。光L2は発光装置2001において発光されたのち、被写体2100に反射された光である。光L1は例えば可視光であり、光L2は例えば赤外光である。光L1は、光検出装置2002における光電変換部において検出可能であり、光L2は、光検出装置2002における光電変換領域において検出可能である。光L1から被写体2100の画像情報を獲得し、光L2から被写体2100と光検出システム2000との間の距離情報を獲得することができる。光検出システム2000は、例えば、スマートフォン等の電子機器や車等の移動体に搭載することができる。発光装置2001は例えば、半導体レーザ、面発光半導体レーザ、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)で構成することができる。発光装置2001から発光された光L2の光検出装置2002による検出方法としては、例えばiTOF方式を採用することができるが、これに限定されることはない。iTOF方式では、光電変換部は、例えば光飛行時間(Time-of-Flight;TOF)により被写体2100との距離を測定することができる。発光装置2001から発光された光L2の光検出装置2002による検出方法としては、例えば、ストラクチャード・ライト方式やステレオビジョン方式を採用することもできる。例えばストラクチャード・ライト方式では、あらかじめ定められたパターンの光を被写体2100に投影し、そのパターンのひずみ具合を解析することによって光検出システム2000と被写体2100との距離を測定することができる。また、ステレオビジョン方式においては、例えば2以上のカメラを用い、被写体2100を2以上の異なる視点から見た2以上の画像を取得することで光検出システム2000と被写体との距離を測定することができる。なお、発光装置2001と光検出装置2002とは、システム制御部2003によって同期制御することができる。
【0099】
<5.応用例>
(内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0100】
図21は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0101】
図21では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0102】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0103】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0104】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0105】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統
括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0106】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0107】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0108】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0109】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0110】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0111】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0112】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を
照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織に
その試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0113】
図22は、
図21に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0114】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0115】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0116】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するため
の1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0117】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0118】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0119】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0120】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0121】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0122】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0123】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0124】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0125】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0126】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0127】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0128】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0129】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0130】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部11402に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、検出精度が向上する。
【0131】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0132】
(移動体への応用例)
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0133】
図23は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0134】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図23に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0135】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0136】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0137】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0138】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0139】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0140】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0141】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0142】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0143】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図23の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0144】
図24は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0145】
図24では、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0146】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0147】
なお、
図24には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0148】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0149】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0150】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0151】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0152】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、上記第1,第2の実施の形態およびその変形例1~4に係る光検出装置(例えば、光検出装置1)は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの少ない高精細な撮影画像を得ることができるので、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
【0153】
以上、第1,第2の実施の形態、変形例1~4および適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した変形例1~4は、上記第1の実施の形態の変形例として説明したが、各変形例および第2の実施の形態の構成を適宜組み合わせることができる。例えば、本開示の「開口調整構造」をカラーフィルタ層23とオンチップレンズ24Lやインナーレンズ27Lとを組み合わせた構成としてもよい。
【0154】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0155】
なお、本開示は以下のような構成をとることも可能である。以下の構成の本技術によれば、これにより、相対的に光感度が低い画素における量子効率が向上する。よって、感度の向上と共に色バランスを改善することが可能となる。
(1)
対向する第1の面および第2の面を有し、互いに異なる波長を選択的に光電変換する複数の第1の画素および第2の画素が行列状に配置された半導体基板と、
互いに異なる屈折率を有する媒質が前記第1の面側に前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに平面且つ離散的に設けられ、前記第1の画素では入射光を第1の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第1の波長成分を選択的に前記第1の画素に導き、前記第2の画素では入射光を第2の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第2の波長成分を選択的に前記第2の画素に導く波長分離構造と、
前記第1の面側に設けられ、前記第1の画素および前記第2の画素のうち光感度が相対的に低い一方の画素の実効的な画素開口サイズを他方の画素よりも大きくする開口調整構造と
を備えた光検出装置。
(2)
前記波長分離構造は、前記第1の画素および前記第2の画素に対する共通層として形成される第1の媒質と、前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに設けられた第2の媒質とを有し、
前記第2の媒質は前記入射光の所定の波長以下の大きさの柱状構造を有し、前記第1の媒質よりも高い屈折率を有する、前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記第2の媒質は、前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに1または複数設けられると共に、前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに異なる径を有する、前記(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記第1の媒質は、前記入射光に対して1.5以下の屈折率を有する、前記(2)または(3)に記載の光検出装置。
(5)
前記第1の媒質は、シリコン酸化物、フッ素を添加したシリコン酸化物、フッ素樹脂、多孔質シリカまたはそれらの混合素材からなる、前記(2)乃至(4)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(6)
前記第2の媒質は、前記入射光に対して1.7以上の屈折率を有する、前記(2)乃至(5)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(7)
前記第2の媒質は、酸化チタン、酸化アルミニウム、シリコン窒化物、アモルファスシリコンまたはそれらの混合素材からなる、前記(2)乃至(6)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(8)
前記開口調整構造は、前記一方の画素に選択的に設けられる集光素子からなる、前記(1)乃至(7)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(9)
前記集光素子は、前記波長分離構造よりも光入射側に配置されるオンチップレンズである、前記(8)に記載の光検出装置。
(10)
前記集光素子は、前記第1の面と前記波長分離構造との間に配置されるインナーレンズである、前記(8)または(9)に記載の光検出装置。
(11)
複数の前記第1の画素および前記第2の画素は、それぞれ、前記半導体基板において、行方向および列方向に複数隣接配置されており、
前記集光素子は、隣接配置された複数の前記第1の画素からなる第1の画素群または隣接配置された複数の第2の画素からなる第2の画素群のうち、光感度が相対的に低い一方の画素群に1つずつ設けられている、前記(8)乃至(10)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(12)
前記開口調整構造は、前記第1の面と前記波長分離構造との間において、隣り合う前記第1の画素と前記第2の画素との境界に設けられ、前記第1の画素および前記第2の画素のそれぞれに開口を有する枠体からなり、
前記一方の画素の開口サイズは、前記他方の開口サイズよりも大きく、
前記開口には、それぞれ、前記第1の画素および前記第2の画素それぞれにおいて光電変換される波長を選択的に透過するカラーフィルタが充填されている
前記(1)乃至(11)のうちのいずれか1つに記載の光検出装置。
(13)
前記枠体は、前記カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる、前記(12)に記載の光検出装置。
(14)
対向する第1の面および第2の面を有し、互いに異なる波長を選択的に光電変換する複数の第1の画素および第2の画素が行列状に配置された半導体基板と、
互いに異なる屈折率を有する媒質が前記第1の面側に前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに平面且つ離散的に設けられ、前記第1の画素では入射光を第1の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第1の波長成分を選択的に前記第1の画素に導き、前記第2の画素では入射光を第2の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第2の波長成分を選択的に前記第2の画素に導く波長分離構造と、
前記第1の面側において、前記第1の画素および前記第2の画素のうち光感度が相対的に低い画素に設けられた集光素子と
を備えた光検出装置。
(15)
前記集光素子は、前記波長分離構造よりも光入射側に配置されるオンチップレンズである、前記(14)に記載の光検出装置。
(16)
前記集光素子は、前記第1の面と前記波長分離構造との間に配置されるインナーレンズである、前記(14)または(15)に記載の光検出装置。
(17)
対向する第1の面および第2の面を有し、互いに異なる波長を選択的に光電変換する複数の第1の画素および第2の画素が行列状に配置された半導体基板と、
互いに異なる屈折率を有する媒質が前記第1の面側に前記第1の画素および前記第2の画素それぞれに平面且つ離散的に設けられ、前記第1の画素では入射光を第1の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第1の波長成分を選択的に前記第1の画素に導き、前記第2の画素では入射光を第2の波長成分とそれ以外の波長成分とに分離して前記第2の波長成分を選択的に前記第2の画素に導く波長分離構造と、
前記第1の面と前記波長分離構造との間において、隣り合う前記第1の画素と前記第2の画素との境界に設けられ、前記第1の画素および前記第2の画素のそれぞれに開口を有する枠体と、前記開口内に充填された、前記第1の画素および前記第2の画素それぞれにおいて光電変換される波長を選択的に透過するカラーフィルタとからなるカラーフィルタ層とを備え、
前記開口のサイズは光感度が相対的に低い画素の開口が他の画素の開口よりも大きい
光検出装置。
(18)
前記枠体は、前記カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる、前記(17)に記載の光検出装置。
【符号の説明】
【0156】
1,1A,1B,1C,1D,2…光検出装置、10…受光部、11…半導体基板、12…光電変換部、13…素子分離部、14…固定電荷層、20…導光部、21…隔壁、22…カラーフィルタ、22B…青色フィルタ、33G…緑色フィルタ、22R…赤色フィルタ、23…カラーフィルタ層、24…透明層、24L…オンチップレンズ、25…分光部、26…波長分離層、27…インナーレンズ層、27L…インナーレンズ、30…多層配線層、31,32,33…配線層、34…層間絶縁層、11S1…第1面、11S2…第2面、S1…光入射側。