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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059451
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20240423BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167132
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA45
2H200JA02
2H200JA26
2H200JA27
2H200JA28
2H200JA29
2H200JA30
2H200JB10
2H200JC03
2H200JC15
2H200JC16
2H200JC17
2H200JC18
2H200JC19
2H200JC20
2H200MA04
2H200MB04
2H200MB05
2H200MC02
2H200PA29
2H200PA30
2H200PB02
2H200PB05
2H200PB08
2H200PB25
2H200PB28
2H270LA01
2H270LA07
2H270LA09
2H270LA28
2H270LC02
2H270LC04
2H270LC06
2H270LC07
2H270MA26
2H270PA07
2H270PA08
2H270PA09
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】定電圧制御と定電流制御とに切り替え可能な構成において、紙種のみに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする場合と比して、トナー画像の転写不良を抑制することである。
【解決手段】画像形成装置は、周面にトナー画像を保持して周回する周回部材と、搬送される記録媒体と前記周回部材とを挟持部で挟み、電圧が印加されて前記周回部材が保持するトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に電圧を印加する転写方式を制御し、定電圧制御と定電流制御とに切り替え可能で、前記挟持部の軸方向の長さに対する記録媒体の前記軸方向の長さ割合が、予め決められた割合未満の場合に、転写方式を定電圧制御として画像を形成させる画像形成部に画像形成動作を開始させる制御部と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面にトナー画像を保持して周回する周回部材と、
搬送される記録媒体と前記周回部材とを挟持部で挟み、電圧が印加されて前記周回部材が保持するトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に電圧を印加する転写方式を制御し、定電圧制御と定電流制御とに切り替え可能で、前記挟持部の軸方向の長さに対する記録媒体の前記軸方向の長さ割合が、予め決められた割合未満の場合に、転写方式を定電圧制御として画像を形成させる画像形成部に画像形成動作を開始させる制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記長さ割合が予め決められた割合以上の場合には、
記録媒体の坪量が、予め決められた坪量未満の場合に、前記制御部は、転写方式を定電流制御とし、予め決められた坪量以上の場合に、前記制御部は、転写方式を定電圧制御として前記画像形成部に画像形成動作を開始させる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記長さ割合が予め決められた割合以上で、かつ、前記坪量が予め決められた範囲内の場合に、
装置内湿度が、予め決められた湿度以下の場合に、前記制御部は、転写方式を定電流制御とし、予め決められた湿度より大きい場合に、前記制御部は、転写方式を定電圧制御とする、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、画像形成動作を開始させる前に、前記挟持部で記録媒体を挟んでいない状態で、予め決められた電流量を印加して得られる電圧を第一転写電圧Vmとし、画像形成動作を開始させた後に、予め決められた環境変化が生じたときに、前記挟持部で記録媒体を挟んでいる状態で、予め決められた電流量を印加して得られる電圧を第二転写電圧Vpとし、式(1)で得られる分圧比γが、予め決められた分圧比以上の場合には、定電圧制御とし、予め決められた分圧比未満の場合には、定電流制御とする、
請求項1に記載の画像形成装置。
γ=(Vp-Vm)/Vm・・・(1)
【請求項5】
予め決められた環境変化は、装置内湿度の変化であって、
前記制御部は、装置内湿度の変化量が予め決められた値に達したときに、前記分圧比γを取得し、取得した分圧比γに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする、
請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置は、像担持体上の可視画像を記録材に転写する転写部材と、転写部材に転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と非画像形成時に転写部材の抵抗を検知して、画像形成時の転写バイアス印加手段の出力を決定する制御手段と記録材の種別を検知する検知手段とを有する。そして、検知手段から検知された記録材情報に応じて画像形成時の転写バイアス印加手段の出力を決定する制御に掛かる時間を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-266686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の課題は、定電圧制御と定電流制御とに切り替え可能な構成において、紙種のみに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする場合と比して、トナー画像の転写不良を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様に係る画像形成装置は、周面にトナー画像を保持して周回する周回部材と、搬送される記録媒体と前記周回部材とを挟持部で挟み、電圧が印加されて前記周回部材が保持するトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に電圧を印加する転写方式を制御し、定電圧制御と定電流制御とに切り替え可能で、前記挟持部の軸方向の長さに対する記録媒体の前記軸方向の長さ割合が、予め決められた割合未満の場合に、転写方式を定電圧制御として画像を形成させる画像形成部に画像形成動作を開始させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本開示の第2態様に係る画像形成装置は、第1態様に記載の画像形成装置において、前記長さ割合が予め決められた割合以上の場合には、記録媒体の坪量が、予め決められた坪量未満の場合に、前記制御部は、転写方式を定電流制御とし、予め決められた坪量以上の場合に、前記制御部は、転写方式を定電圧制御として前記画像形成部に画像形成動作を開始させることを特徴とする。
【0007】
本開示の第3態様に係る画像形成装置は、第2態様に記載の画像形成装置において、前記長さ割合が予め決められた割合以上で、かつ、前記坪量が予め決められた範囲内の場合に、装置内湿度が、予め決められた湿度以下の場合に、前記制御部は、転写方式を定電流制御とし、予め決められた湿度より大きい場合に、前記制御部は、転写方式を定電圧制御とすることを特徴とする。
【0008】
本開示の第4態様に係る画像形成装置は、第1態様に記載の画像形成装置において、前記制御部は、画像形成動作を開始させる前に、前記挟持部で記録媒体を挟んでいない状態で、予め決められた電流量を印加して得られる電圧を第一転写電圧Vmとし、画像形成動作を開始させた後に、予め決められた環境変化が生じたときに、前記挟持部で記録媒体を挟んでいる状態で、予め決められた電流量を印加して得られる電圧を第二転写電圧Vpとし、式(1)で得られる分圧比γが、予め決められた分圧比以上の場合には、定電圧制御とし、予め決められた分圧比未満の場合には、定電流制御とすることを特徴とする。
γ=(Vp-Vm)/Vm・・・(1)
【0009】
本開示の第5態様に係る画像形成装置は、第4態様に記載の画像形成装置において、予め決められた環境変化は、装置内湿度の変化であって、前記制御部は、装置内湿度の変化量が予め決められた値に達したときに、前記分圧比γを取得し、取得した分圧比γに基づいて定電圧制御又は定電流制御とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示の第1態様に係る画像形成装置によれば、定電圧制御と定電流制御とに切り替え可能な構成において、紙種のみに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする場合と比して、トナー画像の転写不良を抑制することができる。
【0011】
本開示の第2態様に係る画像形成装置によれば、長さ割合のみに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする場合と比して、トナー画像の転写不良を抑制することができる。
【0012】
本開示の第3態様に係る画像形成装置によれば、長さ割合と記録媒体の坪量のみに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする場合と比して、トナー画像の転写不良を抑制することができる。
【0013】
本開示の第4態様に係る画像形成装置によれば、環境が変化しても転写方式を替えない場合と比して、環境が変化に応じて適した転写方式とすることができる。
【0014】
本開示の第5態様に係る画像形成装置によれば、装置内温度の変化量に応じて分圧比を取得する場合と比して、適した時期に適した転写方式とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置に設けられたトナー画像形成部の概略構成図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置に設けられた転写部を示した概略構成図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の二次転写部近傍を正面から示した概略構成図である。
図5】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の二次転写部近傍を正面から示した概略構成図である。
図6】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の二次転写部近傍を側方から示した概略構成図である。
図7】(A)(B)本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の制御ユニットのハードウェア構成、及び機能構成を示したブロック図である。
図8】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の制御ユニットの判定部に設けられた判定表を示した図面である。
図9】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置において、転写方式を判定する流れを示したフロー図である。
図10】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置において、転写方式を判定する流れを示したフロー図である。
図11】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置において、転写方式を判定する流れを示したフロー図である。
図12】本開示の第2実施形態に係る画像形成装置の制御ユニットの機能構成を示したブロック図である。
図13】本開示の第2実施形態に係る画像形成装置の制御ユニットの判定部に設けられた判定表を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の一例を図1図11に従って説明する。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって装置奥行向を示す。
【0017】
(画像形成装置の全体構成)
画像形成装置10は、図1に示されるように、電子写真方式により画像を形成する画像形成部12と、シート部材P(記録媒体の一例)をシート部材Pの搬送経路16に沿って搬送する複数の搬送ロール(符号省略)を有する搬送装置18とを備えている。
【0018】
また、画像形成装置10は、画像が形成されたシート部材Pを冷却する冷却部20と、シート部材Pの湾曲を矯正する矯正部22と、シート部材Pに形成された画像を検査する画像検査部24と、各部を制御する制御ユニット36とを備えている。制御ユニット36については、詳細を後述する。
【0019】
さらに、画像形成装置10は、シート部材Pの両面に画像を形成させるために、表面に画像が形成されたシート部材Pを反転させて再度画像形成部12へ向けて搬送するための反転経路26を備えている。
【0020】
この構成において、画像形成装置10では、画像形成部12によって形成された画像(トナー画像)が、搬送経路16に沿って搬送されるシート部材Pの表面に形成される。さらに、画像が形成されたシート部材Pは、冷却部20、矯正部22、及び画像検査部24をこの順番で通って装置本体10aの外部へ排出される。
【0021】
一方、シート部材Pの裏面に画像を形成する場合に、表面に画像が形成されたシート部材Pが反転経路26に沿って搬送され、再度画像形成部12でシート部材Pの裏面に画像が形成される。
【0022】
〔画像形成部12〕
画像形成部12は、図1に示されるように、各色のトナー画像を夫々形成する複数のトナー画像形成部30と、トナー画像を周面に保持する転写ベルト50を備えると共にトナー画像をシート部材Pに転写する転写部14と、を備えている。さらに、画像形成部12は、転写部14によってシート部材Pに転写されたトナー画像をシート部材Pに定着する定着装置34を備えている。転写部14については、詳細を後述する。
【0023】
トナー画像形成部30は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー画像形成部30が備えられている。図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色を示している。なお、以後の説明では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)を区別する必要が無い場合に、符号に付するY、M、C、及びKを省略する。
【0024】
各色のトナー画像形成部30は、用いるトナーを除き基本的に同様の構成とされており、図2に示されるように、回転する円筒状の像保持体40と、像保持体40を帯電する帯電器42とを備えている。さらに、トナー画像形成部30は、帯電した像保持体40に露光光を照射して静電潜像を形成する露光装置44と、トナーを含んだ現像剤Gで静電潜像をトナー画像として現像する現像装置46とを備えている。なお、本実施形態で用いられる現像剤Gは、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤である。
【0025】
また、各色の像保持体40は、接地されており、周回移動する転写ベルト50(詳細は後述)に接触している。そして、図1に示されるように、転写ベルト50の周回方向(図中矢印A方向)において、上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナー画像形成部30が、この順番で水平方向に並んで配置されている。
【0026】
定着装置34は、図1に示されるように、複数のロール(符号省略)に巻き掛けられ、加熱される定着ベルト60と、定着ベルト60に向けてシート部材Pを加圧する加圧ロール62とを備えている。
【0027】
この構成において、周回する定着ベルト60と加圧ロール62とによって、トナー画像が転写されたシート部材Pが挟まれて搬送されることで、トナー画像がシート部材Pに定着される。
【0028】
〔搬送装置18〕
搬送装置18は、図1に示されるように、シート部材Pを収容する収容部70と、収容部70に収容されたシート部材Pを搬送経路16に沿って搬送する複数の搬送ロール(符号省略)とを備えている。
【0029】
(要部構成)
次に、転写部14、及び制御ユニット36等について説明する。
【0030】
〔転写部14〕
転写部14は、図3に示されるように、転写ベルト50と、転写ベルト50が巻き掛けられている複数のロール32と、像保持体40上のトナー画像を転写ベルト50の周面に転写する一次転写ロール52とを備えている。さらに、転写部14は、転写ベルト50に転写されたトナー画像をシート部材Pに転写する二次転写ロール54と、高圧電源68(図4参照)と、二次転写ロール54とロール32bとの間で生る転写電圧を計測する電圧計78とを備えている。転写ベルト50は、周回部材の一例である。
【0031】
-転写ベルト50-
転写ベルト50は、図3示されるように、無端状で、複数のロール32に巻き掛けられている。そして、転写ベルト50は、装置奥行方向から見て、装置幅方向に長い逆鈍角三角形状の姿勢とされている。本実施形態では、転写ベルト50は、一例として、ポリイミドにカーボンを分散した材料で形成されている。さらに、転写ベルト50の体積抵抗率は、12.5〔logΩcm〕とされている。
【0032】
-ロール32-
ロール32は、図3示されるように、複数設けられている。複数のロール32において、装置幅方向の一方側(図中右側)に配置されているロール32dは、図示せぬモータから回転力が伝達されて、転写ベルト50を矢印A方向(図中反時計方向)に周回させるようになっている。
【0033】
さらに、複数のロール32において、鈍角三角形状の姿勢とされた転写ベルト50の鈍角を成す下端側の頂部が巻き掛けられているロール32bは、転写ベルト50を挟んで後述する二次転写ロール54の反対側に配置されている。このロール32bに電圧が印加されるようになっている。本実施形態では、ロール32bは、一例として、外径28〔mm〕で、軸方向の長さが340〔mm〕の弾性ロールである。さらに、ロール32bの表面抵抗は、7.3〔logΩ/sq〕、ロール32bの表面硬度は、アスカーC硬度で53〔度〕とされている。
【0034】
また、複数のロール32において、転写ベルト50の周回方向(以下「ベルト周回方向」)において、ロール32bに対して上流側の隣のロール32tは、転写ベルト50に張力を付与するようになっている。
【0035】
-一次転写ロール52-
一次転写ロール52は、図3に示されるように、転写ベルト50を挟んで、各色の像保持体40の反対側に夫々配置されている。
【0036】
この構成において、各色の一次転写ロール52に転写電流が流れることで、一次転写ロール52と像保持体40との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界によって、像保持体40上のトナー画像が、転写ベルト50の周面に転写される。
【0037】
-二次転写ロール54-
二次転写ロール54は、図4に示されるように、接地されており、ロール32bとの間で転写ベルト50を挟んでいる。本実施形態では、二次転写ロール54は、一例として、外径28〔mm〕で、軸方向の長さが340〔mm〕の弾性ロールである。さらに、二次転写ロール54の抵抗は、6.3〔logΩ〕とされている。
【0038】
-高圧電源68-
高圧電源68は、ロール32bに直流電圧を印加して電流を流す機能を有している。そして、高圧電源68は、図4に示されるように、ロール32bに流れる電流をモニタリングすることができる電流計68aと、ロール32bに印加される電圧をモニタリングすることができる電圧計68bとを有している。
【0039】
この構成において、転写ベルト50と二次転写ロール54との間の二次転写部NTで挟まれながら搬送されるシート部材Pは、転写ベルト50に向けて押圧される。換言すれば、ロール32bと二次転写ロール54とで、シート部材Pと転写ベルト50とを挟んでいる。そして、二次転写ロール54とロール32bとの間に電圧が印加されることで、二次転写ロール54とロール32bとの間に電流が流れて転写電界が形成される。この転写電界によって、転写ベルト50の周面に保持されるトナー画像が、二次転写部NTで、搬送されるシート部材Pに転写される。二次転写部NTは、挟持部の一例である。
【0040】
このように、二次転写ロール54とロール32bとで、搬送されるシート部材Pと転写ベルト50とを挟み、転写ベルト50の周面に保持されるトナー画像をシート部材Pに転写する転写部材56が構成されている。また、二次転写部NTの軸方向の長さは、340〔mm〕とされている。
【0041】
〔その他〕
画像形成装置10は、図1に示されるように、画像形成装置10とユーザとの間で情報のやりとりを行うユーザインタフェース72を備えている。また、このユーザインタフェース72には、収容部70に収容されたシート部材Pの大きさ、坪量、及び紙種等の媒体情報について入力する入力部74が設けられている。
【0042】
〔制御ユニット36〕
制御ユニット36は、ユーザによって入力部74に入力された媒体情報等に基づいて、高圧電源68を制御するようになっている。なお、制御ユニット36による高圧電源68に対する制御については、後述する作用と共に説明する。
【0043】
-制御ユニット36のハードウェア構成-
制御ユニット36は、図7(A)に示されるように、CPU(Central Processing Unit)80、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)84、ストレージ86、及び通信インタフェース(I/F)88を有する。そして、各構成は、バス90を介して相互に通信可能に接続されている。CPU80は、制御部の一例である。
【0044】
CPU80は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU80は、ROM82またはストレージ86からプログラムを読み出し、RAM84を作業領域としてプログラムを実行する。CPU80は、ROM82またはストレージ86に記録されているプログラムにしたがって、各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、例えば、ROM82またはストレージ86には、転写方式を定電流制御とするか定電圧制御とするかを判定する判定プログラム等が格納されている。換言すれば、CPU80によって、転写方式を定電圧制御と定電流制御とに切り替え可能とされている。
【0045】
ROM82は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM84は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ86は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。通信インタフェース88は、制御ユニット36が画像形成装置10の各部と通信するためのインタフェースであり、たとえば、制御ユニット36が装置本体10aから着脱可能とされる場合には、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0046】
上記の処理プログラムを実行する際に、制御ユニット36は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。次に、制御ユニット36が実現する機能構成について説明する。
【0047】
-制御ユニット36の機能構成-
制御ユニット36は、図7(B)に示されるように、取得部92、導出部94、及び判定部96を有する。各機能構成は、CPU80がROM82またはストレージ86に記憶された処理プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0048】
取得部92は、装置本体10aに配置された相対湿度を測定するための湿度計58(図4参照)によって計測された装置内湿度情報、収容部70に収容されたシート部材Pの媒体情報、及び二次転写ロール54とロール32bとの間に生じる電圧情報を電圧計78から取得する。導出部94は、転写方式を定電流制御にするか定電圧制御にするかの判定指標となる分圧比γを導出する。判定部96は、媒体情報又は分圧比γに基づいて、転写方式を定電流制御にするか定電圧制御にするかを判定する。
【0049】
この判定部96は、ストレージ86に記憶された図8に示す判定表に基づいて、画像形成動作開始に、転写方式を定電流制御にするか定電圧制御にするかを判定する。判定表は、図8に示されるように、定電圧制御(図中V)にするか、定電流制御(図中A)にするかを判定する表である。この判定表について、以下に説明する。
【0050】
装置内湿度が、高湿度の場合、中湿度の場合、及び低湿度の場合に分けられている。また、夫々の湿度において、二次転写部NTの軸方向の長さに対するシート部材Pの軸方向の長さの割合を長さ割合とし、この長さ割合が、複数に分けられている。具体的には、長さ割合が0.6未満の場合、長さ割合が0.6以上0.9未満の場合、及び長さ割合が0.9以上の場合に分けられている。また、夫々の長さ割合において、シート部材Pの坪量が、複数に分かれている。
【0051】
この判定表より、長さ割合が0.6未満の場合には、装置内湿度、及びシート部材Pの坪量に係わらず、定電圧制御とされる。0.6は、予め決められた割合の一例である。
【0052】
また、この判定表より、高湿度、中湿度、及び低湿度で、かつ、長さ割合が0.6以上0.9未満では、薄紙、普通紙、厚紙1、厚紙2の場合には、定電流制御とされる。また、高湿度、中湿度、及び低湿度で、かつ、長さ割合が0.6以上0.9未満では、厚紙3、厚紙4の場合には、定電圧制御とされる。
【0053】
ここで、薄紙は、65〔g/m2〕未満のシート部材Pであり、普通紙は、坪量65〔g/m2〕以上105〔g/m2〕未満のシート部材Pであり、厚紙1は、坪量105〔g/m2〕以上175〔g/m2〕未満のシート部材Pである。さらに、厚紙2は、坪量175〔g/m2〕以上220〔g/m2〕未満のシート部材Pであり、厚紙3は、坪量220〔g/m2〕以上225〔g/m2〕未満のシート部材Pであり、厚紙4は、坪量225〔g/m2〕以上のシート部材Pである。
【0054】
つまり、長さ割合が0.6以上0.9未満では、坪量220〔g/m2〕未満の場合は、定電流制御とされる。一方、坪量220〔g/m2〕以上の場合は、定電圧制御とされる。長さ割合が0.6以上0.9未満では、坪量220〔g/m2〕は、予め決められた坪量の一例である。
【0055】
また、この判定表より、高湿度、中湿度、及び低湿度で、かつ、長さ割合が0.9以上では、薄紙、普通紙、厚紙1、厚紙2、厚紙3の場合には、定電流制御とされる。また、高湿度、中湿度、及び低湿度で、かつ、長さ割合が0.9以上では、厚紙4の場合には、定電圧制御とされる。
【0056】
つまり、長さ割合が0.9以上では、坪量225〔g/m2〕未満の場合は、定電流制御とされる。一方、坪量225〔g/m2〕以上の場合は、定電流制御とされる。長さ割合が0.9以上では、坪量225〔g/m2〕が予め決められた坪量の一例である。
【0057】
この図8に示す表は、以下に記載する事項に基づいて作成されている。
【0058】
図6(A)には、二次転写部NTの軸方向の長さに対するシート部材Pの長さの割合である長さ割合が、小さい場合が示されている。一方、図6(B)には、長さ割合が、大きい場合が示されている。図6(A)に示す長さ割合が小さい場合は、図6(B)に示される長さ割合が大きい場合と比して、シート部材Pを介さずロール32bから一次転写ロール52へ電流が流れる領域(図中領域L2)が広くなる。以下説明の便宜上、シート部材Pを介してロール32bから一次転写ロール52へ電流が流れる領域をL1と称し、シート部材Pを介さずロール32bから一次転写ロール52へ電流が流れる領域をL2と称する。
【0059】
このような構成においては、ロール32bに電圧を印加した場合に、シート部材Pによって抵抗が生じる。これにより、領域L2が広くなる場合、換言すれば、長さ割合が小さい場合(図6(A)参照)は、領域L2が狭い場合、換言すれば、長さ割合が大きい場合(図6(B)参照)と比して、領域L2に多くの電流が流れる。つまり、シート部材Pの両端部から漏れる電流が多くなる。このため、領域L2が広くなる場合、換言すれば、長さ割合が小さい場合は、定電圧制御が適している。
【0060】
一方、領域L2が狭くなる場合、換言すれば、長さ割合が大きい場合(図6(B)参照)は、領域L2が広くなる場合、換言すれば、長さ割合が小さい場合(図6(A)参照)と比して、領域L2を流れる電流と領域L1を流れる電流との差が小さい。このため、領域L2が狭くなる場合、換言すれば、長さ割合が大きい場合は、定電流制御が適している。
【0061】
また、坪量が大きい場合は、坪量が小さい場合と比して、シート部材Pによって生じる抵抗が大きくなる。換言すれば、坪量が大きい場合は、坪量が小さい場合と比して、シート部材Pの両端部から漏れる電流が多くなる。このため、坪量が大きい場合は、定電圧制御が適している。
【0062】
(作用)
次に、画像形成装置10に備えられた制御ユニット36の高圧電源68に対する作用について、図9図11に示すフロー図を用いて説明する。なお、収容部70に収容されたシート部材Pについては、ユーザによって媒体情報が、入力部74から入力されている。
【0063】
図1に示す画像形成装置10の主電源が切られている状態(オフされている状態)では、全ての部材の稼働が停止されている。
【0064】
そこで、ユーザが画像形成装置10の主電源を入れると(オンすると)、ステップS100で、図1に示す制御ユニット36は、画像形成動作を開始させる前に、高圧電源68を制御して、予め決められた電流値の電流(電流量)をロール32bに印加する。さらに、制御ユニット36の取得部92は、電流をロール32bに流したときに生じる二次転写ロール54とロール32bとの間で生る転写電圧(以下「第一転写電圧」と称する)を電圧計78から取得する。
【0065】
さらに、ユーザが画像形成装置10に対してシート部材Pに画像を形成する画像形成動作を指示すると、ステップS200へ移行する。
【0066】
ステップS200では、取得部92が、画像形成に用いられるシート部材Pの媒体情報を取得する。
【0067】
ステップS300では、判定部96が、取得部92が取得したシート部材Pの媒体情報と二次転写部NTの軸方向の長さとから前述した長さ割合を導出し、長さ割合が予め決められた割合未満か否かを判定する。
【0068】
具体的には、判定部96が、長さ割合が0.6未満か否かを判定する。長さ割合が0.6未満の場合は、ステップS400へ移行し、長さ割合が0.6以上の場合は、ステップS410へ移行する。
【0069】
ステップS400では、判定部96が定電圧制御と判定し、シート部材Pへの画像形成が開始される。
【0070】
ステップS500では、判定部96が、画像形成されたシート部材Pの枚数がユーザによって指示された枚数に達したか否かを判定する。指定された枚数に達していない場合には、ステップS610へ移行する。一方、指定された枚数に達した場合には、一連の動作が終了する。
【0071】
ステップS610では、取得部92は、装置本体10aに配置された湿度計58によって計測された装置内湿度情報を取得する。そして、前回転写方式を判定部96が判定してから、予め決められた湿度以上変化した場合には、ステップS710へ移行し、予め決められた湿度以上変化していない場合には、ステップS400へ移行して画像形成動作が維持される。
【0072】
ステップS710では、取得部92は、二次転写部NTでシート部材Pを挟んでいる状態で、二次転写ロール54とロール32bとの間で生る転写電圧(以下「第二転写電圧」と称する)を電圧計78から取得する。具体的には、ステップS400でシート部材Pに画像形成されたときに生じた第二転写電圧において最も新しい値を電圧計78から取得する。
【0073】
ステップS810では、導出部94は、第一転写電圧をVmとし、第二転写電圧をVpとし、下記式(1)で得られる分圧比γを導出する。
γ=(Vp-Vm)/Vm・・・(1)
【0074】
そして、判定部96は、式(1)で得られる分圧比γが、予め決められた分圧比以上か否かを判定する。予め決められた分圧比以上の場合には、ステップS910へ移行し、予め決められた分圧比未満の場合には、ステップS920へ移行する。
【0075】
ここで、式(1)の主旨について説明する。
【0076】
Vmは、シート部材Pがロール32bと一次転写ロール52との間に挟まれていない状態でのロール32bと一次転写ロール52との間に生じる電圧ある。つまり、Vmは、ロール32bと一次転写ロール52との部材抵抗によって生じる電圧(以下「部材電圧」と称する)である。
【0077】
Vpは、シート部材Pがロール32bと一次転写ロール52との間に挟まれている状態でのロール32bと一次転写ロール52との間に生じる電圧である。つまり、Vpは、部材抵抗に用紙抵抗が加味された合成抵抗によって生じる電圧(以下「合成電圧」と称する)である。
【0078】
そして、Vp-Vmが、シート部材Pに係る分圧となる。そうすると、部材電圧に対する分圧の比率である分圧比γは、シート部材Pの両端部から漏れる電流の割合と考えることができる。
【0079】
そこで、分圧比γが、予め決められた分圧比以上の場合は、シート部材Pの両端部から漏れる電流の割合が多く、定電圧制御が適している。一方、分圧比γが、予め決められた分圧比未満の場合は、シート部材Pの両端部から漏れる電流の割合が少なく、定電流制御が適している。
【0080】
そして、装置内の湿度変化に応じて部材抵抗及び合成抵抗が変化するため、前述した式(1)を用いて、定電圧制御か定電流制御かを判定する必要がある。
【0081】
ステップS910では、判定部96が定電圧制御と判定し、シート部材Pへ画像が形成される。
【0082】
ステップS1010では、判定部96が、画像形成されたシート部材Pの枚数がユーザによって指示された枚数に達したか否かを判定する。指定された枚数に達していない場合には、ステップS1110へ移行する。一方、指定された枚数に達した場合には、一連の動作が終了する。
【0083】
ステップS1110では、取得部92は、装置本体10aに配置された湿度計58によって計測された装置内湿度情報を取得する。そして、前回転写方式を判定部96が判定してから、予め決められた湿度以上変化した場合には、ステップS710へ移行し、予め決められた湿度以上変化していない場合には、ステップS910へ移行して画像形成動作が維持される。そして、前述した工程が繰り返される。
【0084】
一方、ステップS810で、分圧比γが、予め決められた分圧比未満の場合でステップS920へ移行した場合には、ステップS920では、判定部96が定電流制御と判定し、シート部材Pへ画像が形成される。
【0085】
ステップS1020では、判定部96が、画像形成されたシート部材Pの枚数がユーザによって指示された枚数に達したか否かを判定する。指定された枚数に達していない場合には、ステップS1120へ移行する。一方、指定された枚数に達した場合には、一連の動作が終了する。
【0086】
ステップS1120では、取得部92は、装置本体10aに配置された湿度計58によって計測された装置内湿度情報を取得する。そして、前回転写方式を判定部96が判定してから、予め決められた湿度以上変化した場合には、ステップS710へ移行し、予め決められた湿度以上変化していない場合には、ステップS920へ移行して画像形成動作が維持される。そして、前述した工程が繰り返される。
【0087】
一方、ステップS300において、長さ割合が0.6以上でステップS410へ移行した場合は、ステップS410では、判定部96が、シート部材Pの坪量が、予め決められた坪量未満か否かを判定する。
【0088】
具体的には、長さ割合が0.6以上0.9未満では、シート部材Pの坪量が220〔g/m2〕未満か否かを判定する。また、長さ割合が0.9以上では、シート部材Pの坪量が225〔g/m2〕未満か否かを判定する。
【0089】
シート部材Pの坪量が、予め決められた坪量未満の場合は、ステップS520へ移行し、シート部材Pの坪量が、予め決められた坪量より大きい場合は、ステップS530へ移行する。
【0090】
ステップS520では、判定部96が定電流制御と判定し、シート部材Pへ画像が形成される。
【0091】
ステップS620では、判定部96が、画像形成されたシート部材Pの枚数がユーザによって指示された枚数に達したか否かを判定する。指定された枚数に達していない場合には、ステップS625へ移行する。一方、指定された枚数に達した場合には、一連の動作が終了する。
【0092】
ステップS625では、取得部92は、装置本体10aに配置された湿度計58によって計測された装置内湿度情報を取得する。そして、前回転写方式を判定部96が判定してから、予め決められた湿度以上変化した場合には、ステップS710へ移行して前述した工程が実施される。また、予め決められた湿度以上変化していない場合には、ステップS520へ移行して画像形成動作が維持される。
【0093】
一方、ステップS410において、シート部材Pの坪量が予め決められた坪量より大きくステップS530へ移行した場合は、ステップS530では、判定部96が定電圧制御と判定し、シート部材Pへ画像が形成される。
【0094】
ステップS630では、判定部96が、画像形成されたシート部材Pの枚数がユーザによって指示された枚数に達したか否かを判定する。指定された枚数に達していない場合には、ステップS635へ移行する。一方、指定された枚数に達した場合には、一連の動作が終了する。
【0095】
ステップS635では、取得部92は、装置本体10aに配置された湿度計58によって計測された装置内湿度情報を取得する。そして、前回転写方式を判定部96が判定してから、予め決められた湿度以上変化した場合には、ステップS710へ移行して前述した工程が実施される。また、予め決められた湿度以上変化していない場合には、ステップS530へ移行して画像形成動作が維持される。
【0096】
(まとめ)
以上説明したように、画像形成装置10においては、長さ割合が、予め決められた割合未満である0.6未満の場合に、定電圧制御として画像形成動作を開始させる。このように、二次転写部NTにおいてシート部材Pを通過する電流と、シート部材Pの両端部から漏れる電流とを考慮して、定電圧制御又は定電流制御とする。このため、紙種のみに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする場合と比して、トナー画像の転写不良の発生が抑制される。
【0097】
また、画像形成装置10においては、長さ割合が予め決められた割合以上の場合には、シート部材Pの坪量が、予め決められた坪量未満の場合に、定電流制御とし、予め決められた坪量以上の場合に、定電圧制御とする。このため、長さ割合のみに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする場合と比して、トナー画像の転写不良の発生が抑制される。
【0098】
また、画像形成装置10においては、環境変化が生じた場合に、分圧比γを導出して定電圧制御又は定電流制御とする。このため、環境が変化しても転写方式を替えない場合と比して、環境変化に応じて適した転写方式となる。換言すれば、環境が変化した場合であっても、トナー画像の転写不良を抑制することができる転写方式となる。
【0099】
また、画像形成装置10においては、予め決められた環境変化とは、装置内湿度の変化量が予め決められた値に達したときである。このため、環境変化が装置内温度の変化量の場合と比して、適した時期に適した転写方式となる。
【0100】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態に係る画像形成装置の一例を図12図13に従って説明する。なお、第2実施形態については、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0101】
(構成)
第2実施形態に係る画像形成装置110の制御ユニット136には、図12に示されるように、取得部192、導出部194、及び判定部196を有する。
【0102】
また、判定部196には、図13に示されるように、定電圧制御(図中V)にするか、定電流制御(図中A)にするかを判定する判定表が保存されている。この判定表について、以下に説明する。
【0103】
装置内湿度については、高湿度の場合、中湿度の場合、及び低湿度の場合に分けられている。また、夫々の湿度において、長さ割合が、複数に分けられている。具体的には、長さ割合が0.6未満の場合、長さ割合が0.6以上0.9未満の場合、及び長さ割合が0.9以上の場合に分けられている。
【0104】
さらに、高湿度の場合、中湿度の場合、及び低湿度の夫々の場合の長さ割合において、シート部材の坪量が、複数範囲に分けられている。
【0105】
具体的には、長さ割合が0.6未満の場合には、装置内湿度、及びシート部材Pの坪量に係わらず、定電圧制御とされる。
【0106】
また、高湿度で、かつ、長さ割合が0.6以上0.9未満では、薄紙、普通紙の場合には、定電流制御とされる。また、高湿度で、かつ、長さ割合が0.6以上0.9未満では、厚紙1、厚紙2、厚紙3、厚紙4の場合には、定電圧制御とされる。さらに、高湿度で、かつ、長さ割合が0.9以上では、薄紙、普通紙、厚紙1の場合には、定電流制御とされる。また、高湿度で、かつ、長さ割合が0.9以上では、厚紙2、厚紙3、厚紙4の場合には、定電圧制御とされる。
【0107】
一方、中湿度で、かつ、長さ割合が0.6以上0.9未満では、薄紙、普通紙、厚紙1の場合には、定電流制御とされる。また、中湿度で、かつ、長さ割合が0.6以上0.9未満では、厚紙2、厚紙3、厚紙4の場合には、定電圧制御とされる。さらに、中湿度で、かつ、長さ割合が0.9以上では、薄紙、普通紙、厚紙1、厚紙2の場合には、定電流制御とされる。また、中湿度で、かつ、長さ割合が0.9以上では、厚紙3、厚紙4の場合には、定電圧制御とされる。
【0108】
一方、低湿度で、かつ、長さ割合が0.6以上0.9未満では、薄紙、普通紙、厚紙1、厚紙2の場合には、定電流制御とされる。また、低湿度で、かつ、長さ割合が0.6以上0.9未満では、厚紙3、厚紙4の場合には、定電圧制御とされる。さらに、低湿度で、かつ、長さ割合が0.9以上では、薄紙、普通紙、厚紙1、厚紙2、厚紙3の場合には、定電流制御とされる。また、低湿度で、かつ、長さ割合が0.9以上では、厚紙4の場合には、定電圧制御とされる。
【0109】
以下、図13に示す表の主旨について説明する。
湿度の変化によって、ロール32bと一次転写ロール52との部材抵抗が変化する。具体的には、湿度が下がると部材抵抗が上昇し、定電流制御に適する場合がある。これを考慮し、図14に示す表では、湿度の相違によって、定電圧制御か定電流制御かの判定が分かれる場合がある。
【0110】
(作用)
以上説明したように、画像形成装置110においては、長さ割合が予め決められた割合以上の場合で、かつ、シート部材Pの坪量が予め決められた範囲内において、装置内湿度が予め決められた湿度以下の場合に、定電流制御とし、予め決められた湿度より大きい場合に、定電圧制御する。
【0111】
具体的には、長さ割合が0.6以上0.9未満で、かつ、シート部材Pの坪量が105〔g/m2〕以上175〔g/m2〕未満において、装置内湿度が、中湿度以下の場合に、定電流制御とし、中湿度より高い高湿度の場合に、定電圧制御する。この場合には、中湿度が予め決められた湿度である。
【0112】
また、長さ割合が0.6以上0.9未満で、かつ、シート部材Pの坪量が175〔g/m2〕以上220〔g/m2〕未満において、装置内湿度が、低湿度以下の場合に、定電流制御とし、低湿度より高い中湿度、高湿度の場合に、定電圧制御する。この場合には、低湿度が予め決められた湿度である。
【0113】
また、長さ割合が0.9以上で、かつ、シート部材Pの坪量が220〔g/m2〕以上225〔g/m2〕未満において、装置内湿度が、低湿度以下の場合に、定電流制御とし、低湿度より高い中湿度、高湿度の場合に、定電圧制御する。この場合には、低湿度が予め決められた湿度である。
【0114】
(まとめ)
以上説明したように、長さ割合が0.6以上の場合で、かつ、シート部材Pの坪量が予め決められた範囲内において、装置内湿度が、予め決められた湿度以下の場合に、定電流制御とし、予め決められた湿度より大きい場合に、定電圧制御する、
【0115】
これにより、長さ割合とシート部材Pの坪量のみに基づいて定電圧制御か定電流制御かを判定する場合と比して、トナー画像の転写不良の発生が抑制される。
【0116】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、予め決められた環境変化が生じた場合に、転写方式を再度判定したが、再度判定しなくてもよい。しかし、この場合には、予め決められた環境変化が生じた場合に、転写方式を再度判定することで奏する作用は奏しない。
【0117】
また、上記実施形態では、装置内湿度の変化量が予め決められた値に達したときに、転写方式を再度判定したが、例えば、装置内の温度の変化量が予め決められた値に達したときに、転写方式を再度判定してもよい。しかし、この場合には、装置内湿度の変化量が予め決められた値に達したときに、転写方式を再度判定することで奏する作用は奏しない。
【0118】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、「高湿度」とは、例えば湿度70%より高くであり、「中湿度」とは、例えば湿度30%より高く70%以下であり、「低湿度」とは、例えば湿度30%以下である。
【0119】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、定電圧制御のときに用いられる電圧値、及び定電流制御のときに用いられる電流値については、例えば、転写部材56に印加される電圧値、及び転写部材56を流れる電流値をモニタリングし、そのモニタリングされた電圧値、及び電流値を用いてもよい。
【0120】
(((1)))
周面にトナー画像を保持して周回する周回部材と、
搬送される記録媒体と前記周回部材とを挟持部で挟み、電圧が印加されて前記周回部材が保持するトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に電圧を印加する転写方式を制御し、定電圧制御と定電流制御とに切り替え可能で、前記挟持部の軸方向の長さに対する記録媒体の前記軸方向の長さ割合が、予め決められた割合未満の場合に、転写方式を定電圧制御として画像を形成させる画像形成部に画像形成動作を開始させる制御部と、
を備える画像形成装置。
【0121】
上記構成によれば、定電圧制御と定電流制御とに切り替え可能な構成において、紙種のみに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする場合と比して、トナー画像の転写不良を抑制することができる。
【0122】
(((2)))
前記長さ割合が予め決められた割合以上の場合には、
記録媒体の坪量が、予め決められた坪量未満の場合に、前記制御部は、転写方式を定電流制御とし、予め決められた坪量以上の場合に、前記制御部は、転写方式を定電圧制御として前記画像形成部に画像形成動作を開始させる、
(((1)))に記載の画像形成装置。
【0123】
上記構成によれば、長さ割合のみに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする場合と比して、トナー画像の転写不良を抑制することができる。
【0124】
(((3)))
前記長さ割合が予め決められた割合以上で、かつ、前記坪量が予め決められた範囲内の場合に、
装置内湿度が、予め決められた湿度以下の場合に、前記制御部は、転写方式を定電流制御とし、予め決められた湿度より大きい場合に、前記制御部は、転写方式を定電圧制御とする、
(((1)))又は(((2)))に記載の画像形成装置。
【0125】
上記構成によれば、長さ割合と記録媒体の坪量のみに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする場合と比して、トナー画像の転写不良を抑制することができる。
【0126】
(((4)))
前記制御部は、画像形成動作を開始させる前に、前記挟持部で記録媒体を挟んでいない状態で、予め決められた電流量を印加して得られる電圧を第一転写電圧Vmとし、画像形成動作を開始させた後に、予め決められた環境変化が生じたときに、前記挟持部で記録媒体を挟んでいる状態で、予め決められた電流量を印加して得られる電圧を第二転写電圧Vpとし、式(1)で得られる分圧比γが、予め決められた分圧比以上の場合には、定電圧制御とし、予め決められた分圧比未満の場合には、定電流制御とする、
(((1)))~(((3)))の何れか一に記載の画像形成装置。
γ=(Vp-Vm)/Vm・・・(1)
【0127】
上記構成によれば、環境が変化しても転写方式を替えない場合と比して、環境が変化に応じて適した転写方式とすることができる。
【0128】
(((5)))
予め決められた環境変化は、装置内湿度の変化であって、前記制御部は、装置内湿度の変化量が予め決められた値に達したときに、前記分圧比γを取得し、取得した分圧比γに基づいて定電圧制御又は定電流制御とする、
(((4)))に記載の画像形成装置。
【0129】
上記構成によれば、装置内温度の変化量に応じて分圧比を取得する場合と比して、適した時期に適した転写方式とすることができる。
【符号の説明】
【0130】
10 画像形成装置
12 画像形成部
50 転写ベルト(周回部材の一例)
56 転写部材
80 CPU(制御部の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13