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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005947
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240110BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 303
B41J2/175 503
B41J2/175 501
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106438
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】白野 太一
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 真也
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA22
2C056FA10
2C056HA28
2C056HA29
2C056HA37
2C056KB13
2C056KB19
2C056KB35
2C056KC04
(57)【要約】
【課題】液体吐出ヘッドをヘッドホルダに装着する際の作業性を向上させる。
【解決手段】記録ヘッドユニット6を着脱可能に保持するキャリッジ4は、チューブジョイント5を有する。チューブジョイント5は、一端部がインクカートリッジに接続された供給チューブの他端部を保持可能である。また、チューブジョイント5は、記録ヘッドユニット6のサブタンク7に接続されることで供給チューブ92を介してインクカートリッジ91に貯留されたインクを記録ヘッドユニット6に供給可能とする。ガイドレール3は、キャリッジ4の下方に位置している。キャリッジ4は、ガイドレール3と上下方向に重なり且つガイドレール3と当接可能な重複部分43を有しており、チューブジョイント5は、キャリッジ4における重複部分43に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出口を有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを着脱可能に保持するヘッドホルダと、
液体を貯留するタンクと、
一端部が前記タンクに接続された供給チューブと、
フレームと、を備えており、
前記ヘッドホルダはジョイント部を有しており、前記ジョイント部は、前記供給チューブの前記一端部とは反対側の他端部を保持可能であり、前記液体吐出ヘッドに接続されることで前記供給チューブを介して前記タンクに貯留された液体を前記液体吐出ヘッドに供給可能とし、
前記フレームは、前記ヘッドホルダの下方に位置しており、
前記ヘッドホルダは、前記フレームと上下方向に重なり且つ前記フレームと当接可能な重複部分を有しており、
前記ジョイント部は、前記ヘッドホルダにおける前記重複部分に配置されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記ジョイント部は、前記ヘッドホルダと前記フレームとが当接した状態で水平方向に沿ってスライド可能に構成されており、水平方向にスライドすることで前記液体吐出ヘッドに接続されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記液体吐出ヘッドにより液体が吐出される被吐出媒体を水平方向に沿った搬送方向に搬送する搬送部をさらに備えており、
前記ジョイント部は、前記搬送方向にスライドすることで前記液体吐出ヘッドに接続されることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体吐出ヘッドにより液体が吐出される被吐出媒体を水平方向に沿った搬送方向に搬送する搬送部をさらに備えており、
前記ジョイント部は、前記搬送方向及び上下方向の両方に直交する直交方向にスライドすることで前記液体吐出ヘッドに接続されることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記ジョイント部は、上下方向に沿ってスライド可能に構成されており、下方にスライドすることで前記液体吐出ヘッドに接続されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
液体の圧力変動を吸収する第1ダンパ室及び第2ダンパ室をさらに備えており、
前記第1ダンパ室は、前記液体吐出ヘッドに設けられており、
前記第2ダンパ室は、前記ジョイント部に設けられており、
前記液体吐出ヘッドが前記ヘッドホルダに装着されたとき、前記第1ダンパ室は前記第2ダンパ室よりも下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記液体吐出ヘッドと前記ジョイント部とを接続するL字状の接続部材をさらに備えていることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
水平な所定方向に関して前記第1ダンパ室を挟んで前記第2ダンパ室とは反対側に配置されており且つ前記第1ダンパ室に接続されており、上下方向に延びるエアトラップ室をさらに備えており、
前記第1ダンパ室は、前記所定方向に関して前記第2ダンパ室側の一端部が前記第2ダンパ室よりも下方に位置しており、且つ、前記一端部が前記所定方向に関して前記エアトラップ室側の他端部よりも下方に位置するように傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記第1ダンパ室は、水平な所定方向に関して前記第2ダンパ室側の一端部が、前記第2ダンパ室における前記所定方向に関して前記第1ダンパ室側の端部と同じ高さに位置しており、且つ、前記一端部が前記所定方向に関して前記一端部とは反対側の他端部よりも上方に位置するように傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
液体を吐出する吐出口を有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを着脱可能に保持するヘッドホルダと、
前記ヘッドホルダに対して前記液体吐出ヘッドを固定する固定部材と、
フレームと、を備えており、
前記フレームは、前記ヘッドホルダの下方に位置しており、
前記ヘッドホルダは、前記フレームと上下方向に重なり且つ前記フレームと当接可能な重複部分を有しており、
前記固定部材は、前記ヘッドホルダにおける前記重複部分に取り付けられることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項11】
前記フレームは、前記ヘッドホルダを走査方向に沿ってガイドするガイド部材であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記フレームは、前記液体吐出ヘッドにより液体が吐出される被吐出媒体を搬送するローラを保持するローラホルダであることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記液体吐出ヘッドにより液体が吐出される被吐出媒体を搬送する搬送部をさらに備えており、
前記フレームは、前記搬送部による前記被吐出媒体の搬送方向に関して前記複数の吐出口よりも下流側に配置されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記液体吐出ヘッドにより液体が吐出される被吐出媒体を搬送する搬送部をさらに備えており、
前記フレームは、前記搬送部による前記被吐出媒体の搬送方向に関して前記複数の吐出口よりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドホルダに対して着脱可能な液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、主走査方向に移動可能なキャリッジ(ヘッドホルダ)に対して着脱可能な記録ヘッド(液体吐出ヘッド)を備えたインクジェット記録装置(液体吐出装置)が開示されている。かかる記録ヘッドには、供給チューブを介して、キャリッジとは別の場所に配置されたインクタンクからインクが供給されるようになっている。
【0003】
キャリッジには、供給チューブの一端を保持する相互接続部材(ジョイント部)が取り付けられている。相互接続部材は、キャリッジに載せられた記録ヘッドに対して接離可能に構成されている。相互接続部材を記録ヘッドに当接する位置に移動させることで、相互接続部材を記録ヘッドに接続し、供給チューブを介して記録ヘッドにインクを供給可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-230416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような液体吐出装置においては、液体吐出ヘッドをヘッドホルダに装着する際に、供給チューブの一端を保持するジョイント部と液体吐出ヘッドとを接続する作業等が必要となる。このような作業を行う際に、ヘッドホルダにおける作業を行う箇所の姿勢が不安定であると、作業が行い難い。
【0006】
本発明の目的は、液体吐出ヘッドをヘッドホルダに装着する際の作業性を向上させることが可能な画像記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点によると、本発明の液体吐出装置は、液体を吐出する吐出口を有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドを着脱可能に保持するヘッドホルダと、液体を貯留するタンクと、一端部が前記タンクに接続された供給チューブと、フレームと、を備えており、前記ヘッドホルダはジョイント部を有しており、前記ジョイント部は、前記供給チューブの前記一端部とは反対側の他端部を保持可能であり、前記液体吐出ヘッドに接続されることで前記供給チューブを介して前記タンクに貯留された液体を前記液体吐出ヘッドに供給可能とし、前記フレームは、前記ヘッドホルダの下方に位置しており、前記ヘッドホルダは、前記フレームと上下方向に重なり且つ前記フレームと当接可能な重複部分を有しており、前記ジョイント部は、前記ヘッドホルダにおける前記重複部分に配置されている。
【0008】
第2の観点によると、本発明の液体吐出装置は、液体を吐出する吐出口を有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドを着脱可能に保持するヘッドホルダと、前記ヘッドホルダに対して前記液体吐出ヘッドを固定する固定部材と、フレームと、を備えており、前記フレームは、前記ヘッドホルダの下方に位置しており、前記ヘッドホルダは、前記フレームと上下方向に重なり且つ前記フレームと当接可能な重複部分を有しており、前記固定部材は、前記ヘッドホルダにおける前記重複部分に取り付けられる。
【発明の効果】
【0009】
第1の観点によると、ヘッドホルダにおけるジョイント部が配置される重複部分は、フレームと当接可能である。また、第2の観点によると、ヘッドホルダにおける固定部材が取り付けられる重複部分は、フレームと当接可能である。したがって、本発明の液体吐出装置によると、液体吐出ヘッドをヘッドホルダに装着する際に、ジョイント部と液体吐出ヘッドとを接続する作業(第1の観点)や、固定部材によりヘッドホルダに対して液体吐出ヘッドを固定する作業(第2の観点)を行うときに、ヘッドホルダにおける作業箇所である重複部分の姿勢を安定させることができる。よって、液体吐出ヘッドをヘッドホルダに装着する際の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態にかかるプリンタの概略構成図である。
図2図1に示すガイドレール、キャリッジ及び記録ヘッドユニットのII-II線断面図である。
図3】チューブジョイントの本体部の斜視図である。
図4】(a)はサブタンクの本体部の斜視図であり、(b)は接続部材の斜視図である。
図5】チューブジョイント、サブタンク及びインクジェットヘッドの内部に形成されたインク流路を示す図である。
図6】記録ヘッドユニットをキャリッジに装着する手順を示す図であり、(a)は記録ヘッドユニット嵌め込み前の状態を示し、(b)は記録ヘッドユニット嵌め込み後の状態を示し、(c)は装着完了の状態を示す。
図7】第2実施形態にかかるプリンタを説明する図であり、(a)はサブタンクの本体部、チューブジョイント及び固定部材の分解斜視図であり、(b)は記録ヘッドユニットをキャリッジに装着した状態を示す図である。
図8】第3実施形態にかかるプリンタの記録ヘッドユニットをキャリッジに装着した状態を示す図である。
図9】(a)は第1実施形態の第1変形例にかかるチューブジョイントとサブタンクとの接続を説明する図であり、(b)は第1実施形態の第2変形例にかかるチューブジョイントとサブタンクとの接続を説明する図である。
図10】(a)は第1実施形態の第3変形例にかかるダンパ室を示す図であり、(b)は第1実施形態の第4変形例にかかるダンパ室を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態にかかるプリンタ1(本発明の「液体吐出装置」に相当する)について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明においては、図1の紙面手前側を上方、紙面向こう側を下方として上下方向を定義する。また、図1の紙面上側を後方、紙面下側を前方として前後方向を定義する。
【0012】
プリンタ1は、図1に示すように、ガイドレール2、3、キャリッジ4、チューブジョイント5、記録ヘッドユニット6、給紙ローラ11、排紙ローラ12等と、これらを収容する筐体9と、を主に備えている。
【0013】
ガイドレール2、3は、いずれも板金部材で構成されている。2本のガイドレール2、3は、いずれも走査方向に沿って延びている。走査方向は、水平且つ前後方向と直交する方向である。走査方向は、図1の紙面左右方向に沿う方向である。2本のガイドレール2、3は、前後方向に互いに離隔して配置されている。ガイドレール2は、ガイドレール3よりも後方に配置されている。ガイドレール2、3は、その走査方向の両端部が一対のサイドフレーム15a、15bによって支持されている。サイドフレーム15a、15bは、筐体9に取り付けられている。すなわち、ガイドレール2、3は、サイドフレーム15a、15bを介して筐体9に対して支持されている。2本のガイドレール2、3の下方には、その上面に被記録媒体である記録用紙Pが載置されるプラテン10が配置されている。
【0014】
キャリッジ4は、2本のガイドレール2、3に取り付けられている。キャリッジ4は、2本のガイドレール2、3にガイドされつつ走査方向に往復移動可能である。キャリッジ4の走査方向に関する移動範囲は、プラテン10と対向する対向領域を含んでいる。キャリッジ4は、走査方向に関してプラテン10の一方側から他方側まで移動する。また、キャリッジ4には、一対のプーリ(不図示)に巻き掛けられた無端状の駆動ベルト(不図示)が取り付けられている。モータ(不図示)によってプーリが回転駆動されることで駆動ベルトが走行し、これによりキャリッジ4が走査方向に往復移動することになる。
【0015】
チューブジョイント5は、キャリッジ4に取り付けられている。チューブジョイント5は、一端部が4つのインクカートリッジ91にそれぞれ接続された4本の供給チューブ92の他端部を保持可能である。インクカートリッジ91は、その内部にインクが貯留されており、本発明の「タンク」に相当する。4つのインクカートリッジ91は、筐体9内の前方側の端部に設けられたカートリッジ装着部90に装着される。カートリッジ装着部90には、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色に対応する4つのインクカートリッジ91が装着される。
【0016】
記録ヘッドユニット6は、キャリッジ4に着脱可能に保持されている。すなわち、キャリッジ4は、本発明の「ヘッドホルダ」に相当する。記録ヘッドユニット6は、チューブジョイント5と接続可能なサブタンク7と、インクジェットヘッド8と、これらサブタンク7及びインクジェットヘッド8を収容するケース61と、を有している(図2参照)。後で詳述するように、キャリッジ4に取り付けられたチューブジョイント5と、記録ヘッドユニット6を構成するサブタンク7及びインクジェットヘッド8との内部にはインク流路30(図5参照)が形成されている。このインク流路30には、チューブジョイント5に接続された供給チューブ92を介してインクカートリッジ91からインクが供給される。インク流路30に供給されたインクは、インクジェットヘッド8の下面であるノズル面20Y(図2参照)に開口する複数の吐出口34から吐出される。
【0017】
給紙ローラ11及び排紙ローラ12は、モータ(不図示)によってそれぞれ同期して回転駆動される。給紙ローラ11及び排紙ローラ12は協働して、プラテン10に載置された記録用紙Pを搬送する。給紙ローラ11及び排紙ローラ12による記録用紙Pの搬送方向は、水平且つ走査方向と直交する方向である。より詳細には、搬送方向は後方から前方に向かう方向である。給紙ローラ11及び排紙ローラ12は、本発明の「搬送部」に相当する。
【0018】
プリンタ1においては、給紙ローラ11及び排紙ローラ12によって記録用紙Pを搬送方向に搬送しつつ、キャリッジ4とともにインクジェットヘッド8を走査方向に移動させながら吐出口34からインクを吐出させることにより、記録用紙Pに所望の画像等を印刷する。
【0019】
(ガイドレール2、3及びキャリッジ4の構成)
続いて、図2をさらに参照しつつ、ガイドレール2、3及びキャリッジ4の構成についてより詳細に説明する。
【0020】
図2に示すように、板金部材で構成されたガイドレール2は、その厚み方向が上下方向と略平行となる姿勢で配置されている。ガイドレール2は、キャリッジ4の下方に位置している。ガイドレール2の前後方向の両端部には、上方に折り曲げられた屈曲部2a、2bが設けられている。同様に、板金部材で構成されたガイドレール3は、その厚み方向が上下方向と略平行となる姿勢で配置されている。ガイドレール3は、キャリッジ4の下方に位置している。ガイドレール3の前後方向の両端部には、上方に折り曲げられた屈曲部3a、3bが設けられている。
【0021】
キャリッジ4における後方側の端部には、下方に開口されており、且つ、走査方向に沿って延びる溝41が形成されている。溝41には、ガイドレール2の屈曲部2bが嵌め込まれている。また、キャリッジ4には、溝41が形成されている部分よりも前方側の部分に、下方に開口されており、且つ、走査方向に沿って延びる溝42が形成されている。溝42には、ガイドレール3の後方側の端部に設けられた屈曲部3aが嵌め込まれている。
【0022】
キャリッジ4における前後方向に関して溝41が形成されている部分と溝42が形成されている部分との間には、上下方向に貫通する開口47が形成されている。すなわち、キャリッジ4の開口47は、前後方向に関して2本のガイドレール2、3の間に位置している。開口47には、記録ヘッドユニット6が嵌め込まれる。開口47に記録ヘッドユニット6が嵌め込まれたとき、ガイドレール3は、搬送方向に関してインクジェットヘッド8における複数の吐出口34が開口するノズル面20Yの下流側に位置する。
【0023】
キャリッジ4の前方側の端部は、ガイドレール3と上下方向に重なる重複部分43となっている。すなわち、ガイドレール3は、本発明の「フレーム」に相当する。重複部分43は、ガイドレール3の上方に位置している。重複部分43は、溝42の内壁面がガイドレール3の屈曲部3aが当接可能である。重複部分43には、上方を向いており且つ水平方向に延びる面43aが設けられている。チューブジョイント5は、キャリッジ4における重複部分43の面43aに取り付けられている。
【0024】
キャリッジ4の重複部分43における前方側の端部には、レバー44が設けられている。レバー44は、第1部材45及び第2部材46を有している。第1部材45は、走査方向と平行な方向に沿って延びる軸45aを中心に回動可能である。第1部材45の軸45aは、重複部分43に取り付けられている。第1部材45は、軸45aが設けられている部分を一端部として、走査方向と直交する面(以降、「直交面」と称する)と平行な延在方向に沿って延びている。第2部材46は、走査方向と平行な方向に沿って延びる軸46aを中心に回動可能である。第2部材46の軸46aは、直交面と平行な方向に延びる第1部材45の延在方向に関して、第1部材45における軸45aが設けられている一端部とは反対側の他端部に取り付けられている。第2部材46は、軸46aが設けられている部分を一端部として、直交面と平行な延在方向に沿って延びている。
【0025】
第2部材46には、係合部46bが設けられている。係合部46bは、直交面と平行な方向に延びる第2部材46の延在方向に関して、第2部材46における軸46aが設けられている一端部とは反対側の他端部近傍に設けられている。係合部46bは、記録ヘッドユニット6のケース61に設けられた開口61aと係合可能である。開口61aは、上下方向に貫通している。開口61aは、キャリッジ4の重複部分43の上方であって、重複部分43の後方側の端部と上下に重なる位置に位置している。
【0026】
レバー44は、ユーザに操作されることで、第1位置(図2図6(c)参照)と第2位置(図6(a)、(b)参照)とを取り得る。レバー44は、第1位置であるときは、走査方向と直交する直交面における第1部材45の延伸方向が上下方向となり第2部材46の延伸方向が前後方向となる。レバー44が第1位置であるとき、第2部材46は、キャリッジ4の重複部分43の上方において重複部分43と上下に対向している。レバー44が第1位置であるとき、レバー44の第2部材46に設けられた係合部46bは、第2部材46の下面から下方に突出している。レバー44が第1位置であるとき、係合部46bは、キャリッジ4の開口47に嵌め込まれた記録ヘッドユニット6のケース61に設けられた開口61aと係合する。
【0027】
ユーザにより、第1位置にあるレバー44における係合部46bの近傍が上方に持ち上げられると、開口61aと係合部46bとの係合が解除される。さらにユーザにより、レバー44が前方側に引っ張られると、レバー44は、図6(a)、(b)に示すような第2位置となる。レバー44が第2位置にあるとき、第1部材45は、走査方向と直交する直交面における延伸方向の他端部(第2部材46の軸46aが取り付けられている部分)が延在方向の一端部(重複部分43に取り付けられている部分)よりも前方側に位置している。すなわち、レバー44の位置が第1位置と第2位置との間で変化することで、第1部材45は、直交面における延在方向が上下方向となる直立位置と、延在方向の他端部が延在方向の一端部よりも前方に位置するように上下方向に対して傾斜した傾斜位置と、の間で移動する。
【0028】
キャリッジ4における重複部分43に取り付けられたチューブジョイント5は、連動機構(不図示)により、レバー44の第1部材45が直立位置と傾斜位置との間で移動するのに連動して前後方向(すなわち、水平な搬送方向)に沿ってスライドする。具体的には、レバー44の第1部材45が傾斜位置から直立位置に移動することで、すなわちレバー44が第2位置から第1位置に移動することで、チューブジョイント5は前方側から後方側にスライドする。また、レバー44の第1部材45が直立位置から傾斜位置に移動することで、すなわちレバー44が第1位置から第2位置に移動することで、チューブジョイント5は後方側から前方側にスライドする。
【0029】
(チューブジョイント5の構成)
ここで、図3及び図5をさらに参照しつつ、チューブジョイント5の構成について説明する。図5に示すように、チューブジョイント5は、本体部50と、本体部50の表面に溶着されたフィルム58a、58b、59a、59bと、で構成されている。フィルム58a、58b、59a、59bは、樹脂材料からなり可撓性を有する。
【0030】
図5に示すように、チューブジョイント5の本体部50は、上下方向に沿って延びる第1部分51と、第1部分51の下端部から後方側に延びる第2部分52と、からなる。フィルム58a、58bは、本体部50における第1部分51の前方側の面及び後方側の面にそれぞれ溶着される。フィルム59a、59bは、本体部50における第2部分52の下方側の面及び上方側の面にそれぞれ溶着される。図2に示すように、チューブジョイント5は、本体部50における第2部分52の下面が重複部分43の面43aと対向する姿勢でキャリッジ4に取り付けられている。
【0031】
図3に示すように、本体部50の第1部分51における走査方向の一方側の壁面には、インクカートリッジ91に接続された供給チューブ92の端部が接続されるカートリッジ側接続部51aが設けられている。カートリッジ側接続部51aは、上下方向に沿って並んで4つ設けられている。4つのカートリッジ側接続部51aは、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色に対応している。
【0032】
図3及び図5に示すように、本体部50の第2部分52における後方側の側壁には、記録ヘッドユニット6を構成するサブタンク7に接続されるヘッド側接続部52aが設けられている。ヘッド側接続部52aは、第2部分52における後方側の側壁から後方に向かって突出している。ヘッド側接続部52aは、走査方向に沿って並んで4つ設けられている。4つのヘッド側接続部52aは、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色に対応している。
【0033】
チューブジョイント5には、供給チューブ92を介してインクカートリッジ91から供給された4色のインクを、サブタンク7に形成された4つの下流側供給流路32にそれぞれ供給する4つの上流側供給流路31が形成されている。チューブジョイント5においては、インクカートリッジ91から供給されたブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクのうちの2色のインク(以降の説明においては、「第1インク群」と称する)は、ダンパ室を経由してサブタンク7の下流側供給流路32に送られる。すなわち、4つの上流側供給流路31のうち2つの上流側供給流路31は、ダンパ室を含んでいる。
【0034】
チューブジョイント5には、上流側供給流路31の一部である2つのダンパ室53、54(本発明の「第2ダンパ室」に相当する)が形成されている。図3に示すように、ダンパ室53は、本体部50における第1部分51に形成された前方に開口した凹部により構成される。ダンパ室54は、本体部50における第2部分52に形成された下方に開口した凹部により構成される。
【0035】
チューブジョイント5には、供給チューブ92を介してインクカートリッジ91から供給された第1インク群に属する2色のインクを対応するダンパ室53、54にそれぞれ送る2本の流路55と、各ダンパ室53、54のインクをサブタンク7に送る2本の流路56と、が形成されている。図3においては、第1インク群に属する2色のインクのうちのダンパ室54を経由するインクの流路の接続構成が例示されている。
【0036】
インクカートリッジ91から供給されたインクをダンパ室54に送る流路55は、図3に示すように、主に本体部50における第1部分51に形成された前方に開口した凹溝により構成される。流路55は、カートリッジ側接続部51aの1つに接続された供給チューブ92とダンパ室54とを接続する。ダンパ室54のインクをサブタンク7に送る流路56は、主に本体部50における第2部分52に形成された下方に開口した凹溝により構成される。流路56は、ダンパ室54とサブタンク7内に設けられた4つの下流側供給流路32のうちの1つとを接続する。
【0037】
上述のように、本体部50における第1部分51の前方側の面及び第2部分52の下方側の面には、フィルム58a、59aが溶着される。これにより、図3に示すように、本体部50における第1部分51に形成された前方に開口する凹部及び凹溝、並びに、第2部分52に形成された下方に開口する凹部や凹溝が、インクの流路として機能する。
【0038】
なお、図3に示すように、ダンパ室53、54を構成する凹部と流路55、56を構成する凹溝とは、深さはほぼ同じである。しかしながら、ダンパ室53、54を構成する凹部の流路幅は流路55、56を構成する凹溝の流路幅よりも十分に大きくなっている。これにより、第1インク群に属する2色のインクに対応する上流側供給流路31は、ダンパ室53、54において局部的に容積が大きくなった流路形状を有する。このように、上流側供給流路31に容積が大きく且つ可撓性のフィルム58a、59aで覆われたダンパ室53、54が設けられることによって、上流側供給流路31(インク流路30)内のインクに生じる圧力変動がダンパ室53、54で吸収される。
【0039】
チューブジョイント5においては、インクカートリッジ91から供給された4色のインクのうち第1インク群に属さない2色のインク(以降の説明においては、「第2インク群」と称する)は、ダンパ室を経由することなく、サブタンク7の下流側供給流路32に送られる。図3においては、第2インク群に属する2色のうちの1色に対応する上流側供給流路31を破線で例示している。かかる上流側供給流路31は、主に本体部50における第1部分51に形成された後方に開口した凹溝、及び、第2部分52に形成された上方に開口した凹溝により構成される。
【0040】
上述のように、本体部50における第1部分51の後方側の面及び第2部分52の上方側の面には、フィルム58b、59bが溶着される。これにより、本体部50における第1部分51に形成された後方に開口する凹溝、及び、第2部分52に形成された上方に開口する凹溝が、インクの流路として機能する。
【0041】
(記録ヘッドユニット6の構成)
続いて、図4をさらに参照しつつ、記録ヘッドユニット6の構成について説明する。記録ヘッドユニット6は、図2に示すように、サブタンク7及びインクジェットヘッド8と、これらサブタンク7及びインクジェットヘッド8を収容するケース61と、を有している。
【0042】
図5に示すように、サブタンク7は、本体部70と、本体部70の表面に溶着されたフィルム79a、79bと、で構成されている。フィルム79a、79bは、樹脂材料からなり可撓性を有する。サブタンク7の本体部70は、前後方向に沿って延びる第1部分71と、第1部分71の後端部から下方に延びる第2部分72と、からなる。フィルム79a、79bは、本体部70における第1部分71の上方側の面及び下方側の面にそれぞれ溶着されている。
【0043】
本体部70の第1部分71における前方側の側壁には、チューブジョイント5に設けられた4つのヘッド側接続部52aにそれぞれ接続される4つの接続部71aが設けられている。接続部71aは、第1部分71における前方側の側壁から前方に向かって突出している。図4(a)に示すように、4つの接続部71aは、走査方向に沿って並んでいる。図5に示すように、接続部71aにはゴム製の接続部材85が取り付けられている。接続部材85は、図4(b)に示すように、基部85aと基部85aから前方に向かって延びる4つの筒状部85bとからなる。4つの筒状部85bは、いずれも前後方向に沿って延びている。接続部材85の4つの筒状部85b内に、サブタンク7の4つの接続部71aがそれぞれ嵌め込まれる。
【0044】
サブタンク7には、チューブジョイント5に形成された4つの上流側供給流路31から供給された4色のインクを、インクジェットヘッド8に形成された4つのヘッド内流路33にそれぞれ供給する4つの下流側供給流路32が形成されている。接続部材85を介してチューブジョイント5の4つのヘッド側接続部52aとサブタンク7の4つの接続部71aとが接続されることで、チューブジョイント5に形成された4つの上流側供給流路31とサブタンク7に形成された4つの下流側供給流路32とがそれぞれ接続される。
【0045】
サブタンク7の本体部70における第2部分72には、4つの下流側供給流路32の一部を構成する4つの連結流路78が形成されている。連結流路78は上下方向に沿って延びている。図5に示すように、連結流路78の下端部は、インクジェットヘッド8のインク供給口33aに接続されている。
【0046】
サブタンク7においては、4つの上流側供給流路31から供給された4色のインクのうち第2インク群に属するインクは、ダンパ室を経由して連結流路78に送られる。すなわち、4つの下流側供給流路32のうち2つの下流側供給流路32は、ダンパ室を含んでいる。
【0047】
サブタンク7には、下流側供給流路32の一部である2つのダンパ室73、74(本発明の「第1ダンパ室」に相当する)が形成されている。図4(a)及び図5に示すように、ダンパ室73は、本体部70における第1部分71に形成された上方に開口した凹部により構成される。図5に示すように、ダンパ室74は、本体部70における第1部分71に形成された下方に開口した凹部により構成される。
【0048】
図5に示すように、2つのダンパ室73、74は、少なくとも一部が上下方向に関して重なるように配置されている。2つのダンパ室73、74は、前後方向に関してチューブジョイント5のダンパ室53、54と連結流路78とによって挟まれている。2つのダンパ室73、74は、チューブジョイント5のダンパ室53、54よりも下方に位置していない。すなわち本実施形態においいては、サブタンク7の2つのダンパ室73、74のうち下方に位置するダンパ室74の下端の高さ位置H1は、チューブジョイント5の2つのダンパ室53、54のうち下方に位置するダンパ室54の下端の高さ位置H2と同じである。高さ位置H1は、高さ位置H2よりも上であってもよい。
【0049】
図4に示すように、サブタンク7には、チューブジョイント5に形成された上流側供給流路31から供給された第2インク群に属する2色のインクを対応するダンパ室73、74にそれぞれ送る2本の流路75と、各ダンパ室73、74のインクを連結流路78に送る2本の流路76と、が形成されている。すなわち、ダンパ室73、74は、流路75によって上流側供給流路31に接続されている。また、ダンパ室73、74は、流路76によって連結流路78と接続されている。図4においては、第2インク群に属する2色のインクのうちのダンパ室73を経由するインクの流路の接続構成が例示されている。
【0050】
上流側供給流路31から供給されたインクをダンパ室73に送る流路75と、ダンパ室73のインクを連結流路78に送る流路76とは、図4に示すように、いずれも主に本体部70における第1部分71に形成された上方に開口した凹溝により構成される。流路75は、接続部71aの1つに接続された上流側供給流路31とダンパ室73とを接続する。流路76は、ダンパ室73と4つの連結流路78のうちの1つとを接続する。
【0051】
サブタンク7においては、第1インク群に属するインクは、ダンパ室を経由することなく、連結流路78に送られる。図4においては、第1インク群に属する2色のうちの1色に対応する下流側供給流路32の一部(上流側供給流路31と連結流路78とを接続する部分)を破線で例示している。かかる流路は、主に本体部70における第1部分71に形成された下方に開口した凹溝により構成される。
【0052】
本体部70の第1部分71には、下流側供給流路32内の気泡をインクジェットヘッド8へ移動する前に排出するための排気部81が4色のインクに対応して4つ設けられている。また、本体部70の第1部分71には、4つの連結流路78と4つの排気部81とをそれぞれ接続する4つの排気流路82が形成されている。図4においては、1つの排気流路82のみを図示している。排気流路82は、本体部70における第1部分71に形成された上方に開口した凹溝により構成される。
【0053】
上述のように、本体部70における第1部分71の上方側の面及び下方側の面にフィルム79a、79bが溶着される。これにより、本体部70における第1部分71に形成された上方に開口する凹部及び凹溝、並びに、下方に開口する凹部や凹溝が、インクの流路として機能する。
【0054】
なお、図4(a)に示すように、ダンパ室73(74)を構成する凹部と流路75、76を構成する凹溝とは、深さはほぼ同じであるが、ダンパ室73(74)を構成する凹部の流路幅は流路75、76を構成する凹溝の流路幅よりも十分に大きくなっている。これにより、第2インク群に属する2色のインクに対応する下流側供給流路32は、ダンパ室73、74において局部的に容積が大きくなった流路形状を有する。このように、下流側供給流路32に容積が大きく且つ可撓性のフィルム79a、79bで覆われたダンパ室73、74が設けられることによって、下流側供給流路32(インク流路30)内のインクに生じる圧力変動がダンパ室73、74で吸収される。
【0055】
サブタンク7内の下流側供給流路32で成長した気泡は、上下方向に沿って延びる連結流路78の上部に溜まる。すなわち、連結流路78は、本発明の「エアトラップ室」に相当する。ポンプ(不図示)により排気部81に負圧を作用させることにより、連結流路78の上部に溜まった気泡が、排気流路82を介して排気部81から排出される。
【0056】
図5に示すように、インクジェットヘッド8内にはそれぞれ複数の吐出口34(図1参照)に繋がる4つのヘッド内流路33が形成されている。インクジェットヘッド8の下面は複数の吐出口34が開口するノズル面20Yとなっている。インクジェットヘッド8の上面には、4つのヘッド内流路33にそれぞれインクを供給する4つのインク供給口33aが形成されている。上述のように、4つのインク供給口33aには、サブタンク7における第2部分72に形成された4つの連結流路78の下端部がそれぞれ接続される。
【0057】
チューブジョイント5に形成された上流側供給流路31と、サブタンク7に形成された下流側供給流路32と、インクジェットヘッド8に形成されたヘッド内流路33と、によりインク流路30が構成されている。チューブジョイント5に設けられたヘッド側接続部52aとサブタンク7に設けられた接続部71aとが接続されることで、供給チューブ92を介してインクカートリッジ91から上流側供給流路31に供給されたインクが、下流側供給流路32を経由してヘッド内流路33まで送られる。
【0058】
図2に示すように、記録ヘッドユニット6は、インクジェットヘッド8がサブタンク7の下方に配置された状態でサブタンク7及びインクジェットヘッド8をケース61に収容することで構成されている。
【0059】
(記録ヘッドユニット6の装着手順)
次に、図6をさらに参照しつつ、記録ヘッドユニット6をキャリッジ4に装着する手順について説明する。
【0060】
まず、図6(a)に示すように、キャリッジ4の開口47に上方から記録ヘッドユニット6を嵌め込む。このとき、キャリッジ4のレバー44は、第2位置となっている。図6(b)に示すように、記録ヘッドユニット6がキャリッジ4の開口47に嵌め込まれたとき、サブタンク7の接続部71aに取り付けられた接続部材85は、キャリッジ4の重複部分43の面43a上に位置する。このとき、接続部材85の4つの筒状部85bは、チューブジョイント5の4つのヘッド側接続部52aと、前後方向に関してそれぞれ対向する。接続部材85の筒状部85bは、チューブジョイント5のヘッド側接続部52aよりも後方側に位置している。
【0061】
その後、図6(c)に示すように、レバー44を第2位置から第1位置とし、レバー44の係合部46bを記録ヘッドユニット6のケース61に設けられた開口61aに係合させる。レバー44が第2位置から第1位置に移動するのに伴って、チューブジョイント5が前方側から後方側にスライドする。このとき、キャリッジ4の重複部分43は、ガイドレール3とは接触している。これにより、接続部材85の4つの筒状部85bに、チューブジョイント5の4つのヘッド側接続部52aがそれぞれ接続される。すなわち、接続部材85を介してチューブジョイント5とサブタンク7とが接続される。
【0062】
(第1実施形態の特徴)
以上のように、本実施形態のプリンタ1は、記録ヘッドユニット6と、記録ヘッドユニット6を着脱可能に保持するキャリッジ4と、インクカートリッジ91と、一端部がインクカートリッジ91に接続された供給チューブ92と、ガイドレール2、3と、を備えている。キャリッジ4はチューブジョイント5を有しており、チューブジョイント5は、供給チューブ92の一端部とは反対側の他端部を保持可能であり、記録ヘッドユニット6のサブタンク7に接続されることで供給チューブ92を介してインクカートリッジ91に貯留されたインクを記録ヘッドユニット6に供給可能とする。ガイドレール3は、キャリッジ4の下方に位置している。キャリッジ4は、ガイドレール3と上下方向に重なり且つガイドレール3と当接可能な重複部分43を有しており、チューブジョイント5は、キャリッジ4における重複部分43に配置されている。
【0063】
上述の構成によると、キャリッジ4におけるチューブジョイント5が配置される重複部分43は、ガイドレール3と当接可能である。したがって、記録ヘッドユニット6をキャリッジ4に装着する際に、チューブジョイント5と記録ヘッドユニット6とを接続する作業を行うときに、キャリッジ4における作業箇所である重複部分43の姿勢を安定させることができる。よって、記録ヘッドユニット6をキャリッジ4に装着する際の作業性を向上させることができる。
【0064】
また、上述の実施形態のプリンタ1では、チューブジョイント5は、キャリッジ4の重複部分43とガイドレール3とが当接した状態で水平方向に沿ってスライド可能に構成されており、水平方向にスライドすることで記録ヘッドユニット6のサブタンク7に接続される。したがって、チューブジョイント5を水平方向にスライドさせて記録ヘッドユニット6に接続する際に、ガイドレール3によりキャリッジ4の重複部分43の姿勢が安定する。よって、記録ヘッドユニット6をキャリッジ4に装着する際の作業性を確実に向上させることができる。
【0065】
さらに、上述の実施形態のプリンタ1では、チューブジョイント5は、記録用紙Pの搬送方向にスライドすることで記録ヘッドユニット6に接続される。したがって、チューブジョイント5が走査方向にスライドする場合に比べて、走査方向に関するキャリッジ4の長さを短くすることができる。
【0066】
加えて、上述の実施形態のプリンタ1では、キャリッジ4の重複部分43と当接するガイドレール3は、キャリッジ4を走査方向に沿ってガイドする部材である。したがって、キャリッジ4をガイドする部材によって、キャリッジ4の重複部分43の姿勢を安定させることができる。
【0067】
<第2実施形態>
次に、図7を参照しつつ、本発明の第2実施形態にかかるプリンタについて説明する。本実施形態のプリンタは、サブタンク107の構成が主に第1実施形態にかかるプリンタ1と異なっている。以下、第1実施形態と共通する構成については、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0068】
図7(a)に示すように、本実施形態のサブタンク107は、本体部70における前後方向に沿って延びる第1部分71の上面に、チューブジョイント105の4つのヘッド側接続部52aが差し込まれる4つの接続部71aが設けられている。第1部分71における4つの接続部71aが設けられている部分よりも前方側には、ダンパ室173を構成する上方に開口した凹部が形成されている。第1部分71における4つの接続部71aが設けられている部分よりも後方側には、ダンパ室174を構成する上方に開口した凹部が形成されている。また、第1部分71には、ダンパ室173、174を構成する凹部とそれぞれ上下に重なるように配置されており、ダンパ室を構成する下方に開口する2つの凹部が形成されている。つまり、本実施形態のサブタンク107には、ダンパ室173、174を含む4つのダンパ室が形成されている。これら4つのダンパ室は、4つの下流側供給流路32の一部をそれぞれ構成する。
【0069】
なお、図7(a)においては図示を省略しているが、サブタンク107には、チューブジョイント105に形成された上流側供給流路31から供給された4色のインクを対応するダンパ室にそれぞれ送る流路、各ダンパ室のインクを連結流路78に送る流路、結流路78と排気部81と接続する流路等が形成されている。
【0070】
本実施形態のチューブジョイント105には、ダンパ室は形成されていない。チューブジョイント105のヘッド側接続部52aは、チューブジョイント105における下側の側壁から下方に向かって突出している。チューブジョイント105は、ヘッド側接続部52aがサブタンク107の接続部71aに差し込まれるように、サブタンク107における第1部分71の上面に配置可能である。図7(b)に示すように、サブタンク107における第1部分71のチューブジョイント105が配置される部分は、キャリッジ4における重複部分43の面43a上に配置されている。
【0071】
本実施形態においては、固定部材190によってキャリッジ4に対して記録ヘッドユニット6を固定している。図7(a)に示すように、固定部材190は略コの字形状のスプリングである。図7(b)に示すように、固定部材190はキャリッジ4における重複部分43に取り付けられる。固定部材190は、キャリッジ4の重複部分43と、重複部分43の面43a上に配置されたサブタンク107と、サブタンク7の上面に配置されたチューブジョイント105とを、上下に挟み込む。
【0072】
(第2実施形態の特徴)
以上のように、本実施形態では、キャリッジ4における固定部材190が取り付けられる重複部分43は、ガイドレール3と当接可能である。したがって、記録ヘッドユニット6をキャリッジ4に装着する際に、固定部材190によりキャリッジ4に対して記録ヘッドユニット6を固定する作業を行うときに、キャリッジ4における作業箇所である重複部分43の姿勢を安定させることができる。よって、記録ヘッドユニット6をキャリッジ4に装着する際の作業性を向上させることができる。
【0073】
<第3実施形態>
次に、図8を参照しつつ、本発明の第3実施形態にかかるプリンタについて説明する。本実施形態のプリンタは、キャリッジ4の重複部分43が当接する部材が主に第1実施形態にかかるプリンタ1と異なっている。以下、第1実施形態と共通する構成については、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0074】
図8に示すように、本実施形態においては、キャリッジ4は、走査方向に沿って延びるガイドシャフト202によって貫通されながら支持されている。キャリッジ4は、ガイドシャフト202にガイドされつつ走査方向に往復移動可能である。
【0075】
給紙ローラ11は、モータ(不図示)により駆動される駆動ローラ11aと、駆動ローラ11aの上方に配置されており、駆動ローラ11aに従動して回転する拍車ローラ11bと、で構成されている。また、排紙ローラ12は、モータ(不図示)により駆動される駆動ローラ12aと、駆動ローラ12aの上方に配置されており、駆動ローラ12aに従動して回転する拍車ローラ12bと、で構成されている。拍車ローラ11bは、ローラホルダ213によって保持されている。拍車ローラ12bは、ローラホルダ214によって保持されている。ローラホルダ213、214は、キャリッジ4の下方に位置している。ローラホルダ213は搬送方向に関してノズル面20Yよりも上流側に位置しており、ローラホルダ214は搬送方向に関してノズル面20Yよりも下流側に位置している。
【0076】
キャリッジ4における搬送方向に関してノズル面20Yよりも下流側の部分は、ローラホルダ214と上下方向に重なる重複部分43となっている。重複部分43には、上方を向いており且つ水平方向に延びる面43aが設けられている。チューブジョイント205は、キャリッジ4における重複部分43の面43aに取り付けられている。チューブジョイント205は、重複部分43の面43a上で搬送方向に沿ってスライド可能に構成されている。チューブジョイント205は、搬送方向に沿ってスライドすることで記録ヘッドユニット6に接続される。
【0077】
(第3実施形態の特徴)
本実施形態においては、記録ヘッドユニット6をキャリッジ4に装着する際に、チューブジョイント205と記録ヘッドユニット6とを接続する作業を行うときに、キャリッジ4の重複部分43に下向きの力が加わると、キャリッジ4の重複部分43がローラホルダ214と当接する。これにより、ガイドシャフト202を中心としてキャリッジ4が図8中反時計回り方向に回転するのを避けることができる。よって、重複部分43の姿勢を安定させ、記録ヘッドユニット6をキャリッジ4に装着する際の作業性を向上させることができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0079】
上述の第1実施形態では、チューブジョイント5は、搬送方向にスライドすることで記録ヘッドユニット6に接続される場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、図9(a)に示す第1実施形態の第1変形例においては、チューブジョイント305のヘッド側接続部52aは、チューブジョイント305における走査方向の一方側の側壁から、走査方向の一方側に向かって突出している。また、サブタンク307の接続部71aは、サブタンク207における走査方向の他方側の側壁から、走査方向の他方側に向かって突出している。サブタンク307における接続部71aが設けられている部分は、キャリッジ4における重複部分43の面43a上に配置されており、走査方向に関してチューブジョイント305の一方側に位置している。本変形例においては、チューブジョイント305は、走査方向の一方側にスライドすることでサブタンク307(記録ヘッドユニット6)に接続される。本変形例のような構成により、搬送方向に関するキャリッジ4の長さを短くすることができる。
【0080】
さらに、図9(b)に示す第1実施形態の第2変形例においては、チューブジョイント405のヘッド側接続部52aは、チューブジョイント405における下側の側壁から、下方に向かって突出している。チューブジョイント405は、不図示のスライド機構により上下にスライド可能となるように重複部分43に取り付けられている。また、サブタンク407の接続部71aは、サブタンク407における上側の側壁から、上方に向かって突出している。サブタンク407における接続部71aが設けられている部分は、キャリッジ4における重複部分43の面43a上に配置されており、チューブジョイント405の下方に位置している。本変形例においては、チューブジョイント405は、下方にスライドすることでサブタンク407(記録ヘッドユニット6)に接続される。チューブジョイント405を下方にスライドさせてサブタンク407に接続する場合には、水平方向にスライドさせる場合に比べて、キャリッジ4の重複部分43に加わる下向きの力が大きい。本変形例の構成では、重複部分43はガイドレール3により支持されているので、重複部分43の姿勢が安定する。したがって、記録ヘッドユニット6をキャリッジ4に装着する際の作業性を確実に向上させることができる。
【0081】
また、上述の第1実施形態では、サブタンク7の2つのダンパ室73、74は、チューブジョイント5のダンパ室53、54よりも下方に位置していない場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、図10(a)に示す第1実施形態の第3変形例においては、サブタンク507の2つのダンパ室73、74のうち下方に位置するダンパ室74の下端の高さ位置H1は、チューブジョイント505の2つのダンパ室53、54のうち下方に位置するダンパ室54の下端の高さ位置H2よりも下である。これにより、2つのダンパ室73、74は、チューブジョイント505のダンパ室53、54よりも下方に位置している。より詳細には、ダンパ室73は、一部分がダンパ室54と同じ高さに位置しているが、大部分がダンパ室53、54よりも下方に位置している。ダンパ室74は、全体がダンパ室53、54よりも下方に位置している。サブタンク507のダンパ室73、74は、前後方向に関してチューブジョイント505のダンパ室53、54側の一端部(図10(a)中右側の端部)が、前後方向に関して連結流路78側の他端部(図10(a)中左側の端部)よりも下方に位置するように傾斜している。チューブジョイント505とサブタンク507とは、L字形状でゴム製の接続部材85によって接続されている。
【0082】
上述の第1実施形態の第3変形例においては、記録ヘッドユニット6を構成するサブタンク507の2つのダンパ室73、74が、チューブジョイント505のダンパ室53、54よりも下方に位置しているので、記録ヘッドユニット6の重心を比較的下方とすることができる。記録ヘッドユニット6の重心が高い場合には、ノズル面20Yが走査方向に関して傾きやすい。本変形例では、記録ヘッドユニット6の重心を下げ、ノズル面20Yが走査方向に関して傾くのを抑制することができる。また、本変形例では、サブタンク507のダンパ室73、74は、チューブジョイント505のダンパ室53、54側の一端部が、連結流路78側の他端部よりも下方に位置するように傾斜している。したがって、連結流路78を大きく確保してエアトラップ室としての機能を保ちつつ、記録ヘッドユニット6の重心を下げることができる。さらに、本変形例では、L字形状の接続部材85によってチューブジョイント505とサブタンク507とを接続するので、サブタンク507の形状を複雑化させることなく、チューブジョイント505とサブタンク507とを接続することができる。加えて、チューブジョイント505とサブタンク507との接続部分の信頼性が高く、インクが漏れる懸念が少ない。
【0083】
また、図10(b)に示す第1実施形態の第4変形例においては、サブタンク607の2つのダンパ室73、74のうち下方に位置するダンパ室74の下端の高さ位置H1は、チューブジョイント605の2つのダンパ室53、54のうち下方に位置するダンパ室54の下端の高さ位置H2よりも下である。これにより、2つのダンパ室73、74は、チューブジョイント605のダンパ室53、54よりも下方に位置している。より詳細には、ダンパ室73、74は、一部分がダンパ室54と同じ高さに位置しているが、大部分がダンパ室53、54よりも下方に位置している。サブタンク607のダンパ室73、74は、前後方向に関してチューブジョイント605のダンパ室53、54側の一端部(図10(b)中右側の端部)が、チューブジョイント605のダンパ室54における前後方向に関してサブタンク607のダンパ室73、74側の端部(図10(b)中左側の端部)と同じ高さに位置している。また、ダンパ室73、74は、前後方向に関してダンパ室53、54側の一端部が、前後方向に関して連結流路78側の他端部(図10(b)中左側の端部)よりも上方に位置するように傾斜している。チューブジョイント605とサブタンク607とは、I字形状でゴム製の接続部材85によって接続されている。
【0084】
上述の第1実施形態の第4変形例においては、第1実施形態の第3変形例と同様に、記録ヘッドユニット6の重心を下げ、ノズル面20Yが走査方向に関して傾くのを抑制することができる。また、本変形例では、サブタンク607のダンパ室73、74は、チューブジョイント605のダンパ室53、54側の一端部が、連結流路78側の他端部よりも上方に位置するように傾斜している。したがって、比較的低コストであるI字形状の接続部材85によってチューブジョイント605とサブタンク607とを接続することができる。よって、記録ヘッドユニット6の重心を下げつつ、低コスト化を実現可能である。
【0085】
上述の第1実施形態の第3変形例及び第4変形例においては、サブタンク507、607のダンパ室73、74が水平方向に対して傾斜している場合について説明したが、これには限定されない。サブタンク507、607のダンパ室73、74を傾斜させることなく、チューブジョイント505、605のダンパ室53、54よりも下方に配置してもよい。
【0086】
加えて、上述の第1及び第2実施形態では、キャリッジ4の重複部分43がキャリッジ4をガイドするガイドレール3と当接可能である場合について、第3実施形態では、キャリッジ4の重複部分43が拍車ローラ12bを保持するローラホルダ214と当接可能である場合について説明したが、これらには限定されない。キャリッジ4の重複部分43が当接する部材は、ガイドレール3やローラホルダ214以外であってもよい。
【0087】
また、上述の第1及び第2実施形態では、キャリッジ4の重複部分43が当接するガイドレール3は搬送方向に関してノズル面20Yよりも下流側に位置している場合について、第3実施形態では、キャリッジ4の重複部分43が当接するローラホルダ214は搬送方向に関してノズル面20Yよりも下流側に位置している場合について説明したが、これには限定されない。これらキャリッジ4の重複部分43と当接する部材は、搬送方向に関してノズル面20Yよりも上流側に位置していてもよい。
【0088】
本発明は、インクを吐出するヘッドを備えるプリンタだけでなく、インク以外の液体を吐出するヘッドを備える装置全般に適用され得る。また、位置が固定された状態のヘッドからインクを吐出するライン式のプリンタに適用することもできる。
【符号の説明】
【0089】
1 プリンタ(液体吐出装置)
3 ガイドレール(フレーム、ガイド部材)
4 キャリッジ(ヘッドホルダ)
5 チューブジョイント(ジョイント部)
6 記録ヘッドユニット(液体吐出ヘッド)
11 給紙ローラ(搬送部)
12 排紙ローラ(搬送部)
34 吐出口
43 重複部分
53、54 ダンパ室(第2ダンパ室)
73、74 ダンパ室(第1ダンパ室)
78 連結流路(エアトラップ室)
85 接続部材
91 インクカートリッジ(タンク)
92 供給チューブ
190 固定部材
202 ガイドシャフト(フレーム、ガイド部材)
214 ローラホルダ(フレーム)
図1
図2
図3
図4
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図7
図8
図9
図10