(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059478
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ランドリ機器
(51)【国際特許分類】
D06F 33/00 20200101AFI20240423BHJP
D06F 34/10 20200101ALI20240423BHJP
【FI】
D06F33/00 Z
D06F34/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167169
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(74)【代理人】
【識別番号】100129377
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 耕司
(72)【発明者】
【氏名】川邉 慶久
(72)【発明者】
【氏名】磯永 久史
(72)【発明者】
【氏名】林田 太一
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA05
3B167AC21
3B167AE05
3B167AE06
3B167AE12
3B167AE14
3B167BA13
3B167BA82
3B167GB03
3B167JA03
3B167LA23
3B167LC17
3B167LD20
3B167LF30
3B167LG02
3B167LG08
3B167MA01
(57)【要約】
【課題】ランドリ機器に電源を投入した際の安定性を向上させる。
【解決手段】本発明に係るランドリ機器は、互いに異なる機能を有する複数のオプション機器が搭載されるランドリ機器であって、ランドリ機器の主動作を制御するための主制御機器と、複数のオプション機器をそれぞれ制御するための複数のオプション用制御機器とを備え、複数のオプション用制御機器の少なくとも1つに対して、遅延回路を使用して遅延時間が設定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる機能を有する複数のオプション機器が搭載されるランドリ機器であって、
ランドリ機器の主動作を制御するための主制御機器と、
前記複数のオプション機器をそれぞれ制御するための複数のオプション用制御機器とを備え、
前記複数のオプション用制御機器の少なくとも1つに対して、遅延回路を使用して遅延時間が設定されることを特徴とするランドリ機器。
【請求項2】
前記複数のオプション用制御機器に対して、互いに異なる遅延回路を使用して互いに異なる遅延時間がそれぞれ設定されることを特徴とする請求項1に記載のランドリ機器。
【請求項3】
前記複数のオプション機器に設定される遅延時間は、前記主制御機器の起動時から遅延する時間であることを特徴とする請求項2に記載のランドリ機器。
【請求項4】
前記複数のオプション機器に設定される遅延時間は、所定遅延時間の互いに異なる整数倍にそれぞれ設定されることを特徴とする請求項2または3に記載のランドリ機器。
【請求項5】
前記遅延回路は、前記オプション用制御機器内に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のランドリ機器。
【請求項6】
前記遅延回路は、前記オプション用制御機器と別体に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のランドリ機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば互いに異なる機能を有する複数のオプション機器が搭載されたランドリ機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコインランドリ店舗に設置されるランドリ機器として、ネットワークを介して複数のランドリー機器にそれぞれ通信可能なサーバ装置と接続されるものがある。また、洗濯乾燥機として、ドラム内にオゾンを供給し、オゾン水により洗濯物をすすぐ除菌すすぎを可能とするものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-159224
【特許文献1】特開2019-170633
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のランドリ機器では、オプション機器として、ネットワークに接続可能とするための通信接続機器が搭載されており、その通信接続機器を制御する通信制御機器を有している。特許文献2の洗濯乾燥機では、オプション機器として、オゾンを発生するオゾン発生装置が搭載されており、そのオゾン発生装置を制御するオゾン制御機器を有している。
【0005】
このように、近年、ランドリ機器に対して複数のオプション機器が搭載されることが多くなっている。一般的に、制御機器への電源投入時には、一時的に大きな電力が必要となる。
【0006】
そのため、ランドリ機器へ電源を投入した場合に、主制御機器と複数のオプション機器用制御機器とが同時に起動してしまうと、一時的に電源容量が不足して電源の安全装置が働く場合がある。このようにランドリ機器の起動に失敗してしまうと、場合よっては修理対応となり、コインランドリ店舗の運営に影響が出てしまう。
【0007】
そこで、本発明は、複数のオプション機器を搭載したランドリ機器の起動が不安定になるのを防止することができるランドリ機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るランドリ機器は、互いに異なる機能を有する複数のオプション機器が搭載されるランドリ機器であって、ランドリ機器の主動作を制御するための主制御機器と、前記複数のオプション機器をそれぞれ制御するための複数のオプション用制御機器とを備え、前記複数のオプション用制御機器の少なくとも1つに対して、遅延回路を使用して遅延時間が設定されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るランドリ機器において、前記複数のオプション用制御機器に対して、互いに異なる遅延回路を使用して互いに異なる遅延時間がそれぞれ設定されることが好適である。
【0010】
本発明に係るランドリ機器において、前記複数のオプション機器に設定される遅延時間は、前記主制御機器の起動時から遅延する時間であることが好適である。
【0011】
本発明に係るランドリ機器において、前記複数のオプション機器に設定される遅延時間は、所定遅延時間の互いに異なる整数倍にそれぞれ設定されることが好適である。
【0012】
本発明に係るランドリ機器において、前記遅延回路は、前記オプション用制御機器内に設けられることが好適である。
【0013】
本発明に係るランドリ機器において、前記遅延回路は、前記オプション用制御機器と別体に設けられることが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るランドリ機器によれば、オプション用制御機器の少なくとも1つに遅延時間を設定することで、電源投入時において主制御機器に最大電流が流れる時刻と複数のオプション用制御機器に最大電流がそれぞれ流れる時刻とをずらすことができる。これにより、安価な方法でランドリ機器に電源を投入した際の安定性を向上させることができる。
【0015】
本発明に係るランドリ機器によれば、複数のオプション用制御機器に互いに異なる遅延時間をそれぞれ設定することで、電源投入時において主制御機器に最大電流がそれぞれ流れる時刻と複数のオプション用制御機器に最大電流がそれぞれ流れる時刻とを確実にずらすことができる。
【0016】
本発明に係るランドリ機器によれば、複数のオプション機器の遅延時間として主制御機器の起動時から遅延する時間を設定することで、ランドリ機器に電源を投入した際の安定性を確実に向上させることができる。
【0017】
本発明に係るランドリ機器によれば、複数のオプション機器に設定される遅延時間を、所定遅延時間の互いに異なる整数倍にそれぞれ設定することで、複数のオプション機器に対して互いに異なる遅延時間に容易に設定することができる。
【0018】
本発明に係るランドリ機器によれば、遅延回路がオプション用制御機器内に設けられるため、オプション用制御機器ごとに遅延時間を容易に設定することができる。
【0019】
本発明に係るランドリ機器によれば、遅延回路がオプション用制御機器と別体に設けられるため、既存のランドリ機器に対して遅延回路を後付けで取り付けることで、オプション用制御機器に遅延時間を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態のドラム式洗濯機1の斜視図である。
【
図2】
図1のドラム式洗濯機1の制御ブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、主制御機器51へ電源を投入した時の電流値の変化を示し、
図3(b)は、通信制御機器52へ電源を投入した時の電流値の変化を示し、
図3(c)は、オゾン制御機器53へ電源を投入した時の電流値の変化を示す図である。
【
図4】
図4(a)は、ドラム式洗濯機1の主制御機器51へ電源を投入した時の電流値の変化を示し、
図4(b)は、ドラム式洗濯機1の通信制御機器52へ電源を投入した時の電流値の変化を示し、
図4(c)は、ドラム式洗濯機1のオゾン制御機器53へ電源を投入した時の電流値の変化を示す図である。
【
図6】ドラム式洗濯機1に電源が投入される際の主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53の起動方法を説明する図である。
【
図7】ドラム式洗濯機1に電源が投入される際の電流値の変化を示す図である。
【
図8】ドラム式洗濯機1に電源が投入される際の主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53の別の起動方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態であるドラム式洗濯機について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態のドラム式洗濯機1は、例えばコインランドリ店舗に設置されるものである。ドラム式洗濯機1は、洗い工程、濯ぎ工程及び脱水工程の順に洗濯運転を実施可能である。ドラム式洗濯機1は、
図1に示すように、箱形状の筐体2を有し、筐体2の内部には、洗濯物を収容するための略円筒形状の内周面を有するドラム3が前後方向に延伸する主軸により軸支される。ドラム3は、略円筒形状の内周面を有する外槽内において水平軸を回転軸として回転可能である。筐体2の内部には、ドラム3を回転駆動させるためのモータ3a(
図2参照)が配置される。
【0023】
筐体2の前面には、ドラム3の前端に形成された開口と対向する衣類投入口6が形成される。筐体2には、衣類投入口6を開閉するドア8が設けられ、衣類投入口6は、ドア8により開閉され、ドア8が開放された状態でドラム3内に洗濯物の出し入れが可能となっている。
【0024】
筐体2の背面の上寄りには、外部の給水設備などに接続される給水口が設けられる。給水口には、給水管が接続されており、給水管の途中部に、給水バルブ10(
図2参照)が設けられる。筐体2の下部には、排水口が設けられる。排水口には、排水管が接続されており、排水管の途中部に、排水バルブ11(
図2参照)が設けられる。
【0025】
ドラム式洗濯機1は、通信ネットワークを介して通信可能なサーバ装置20(
図2参照)と接続される。そのため、筐体2の内部には、通信ネットワークを介してドラム式洗濯機1とサーバ装置20とを接続するための通信接続機器30(オプション機器)が搭載されている。
【0026】
また、ドラム式洗濯機1は、ドラム3内にオゾンを供給してオゾン水により洗濯物をすすぐ工程(いわゆる除菌すすぎ)を行うことができる。そのため、筐体2の内部には、オゾンを発生させるためのオゾン発生装置31(オプション機器)が搭載されている。オゾン発生装置31は、給水管に対してオゾンを供給可能に構成される。
【0027】
ドラム式洗濯機1の制御部50は、
図2に示すように、例えば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPU、ROMと、タイマと、RAMとを備えている。ドラム式洗濯機1の各工程における運転動作は、制御部50によって制御される。制御部50には、給水バルブ10と、排水バルブ11と、モータ3aと、通信接続機器30と、オゾン発生装置31とが接続されている。
【0028】
上述したように、互いに異なる機能を有するオプション機器として通信接続機器30及びオゾン発生装置31を搭載したドラム式洗濯機1において、制御部50は、ドラム式洗濯機1の主動作を制御する主制御機器51と、通信接続機器30を制御する通信制御機器52(オプション用制御機器)と、オゾン発生装置31を制御するオゾン制御機器53(オプション用制御機器)を有している。
【0029】
上述したように、主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53への電源投入時には、一時的に大きな電力が必要となる。
【0030】
まず、遅延回路を有していない状態の主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53へそれぞれ別々に電源を投入した際の電流値の変化を測定した。
【0031】
主制御機器51へ時刻0において電源を投入した場合、
図3(a)に示すように、時刻t0において電流値は最大値N0となり、その後、徐々に小さくなり、定常値C0となる。
【0032】
通信制御機器52へ時刻0において電源を投入した場合、
図3(b)に示すように、時刻t1において電流値は最大値N1となり、その後、徐々に小さくなり、定常値C1となる。
【0033】
オゾン制御機器53へ時刻0において電源を投入した場合、
図3(c)に示すように、時刻t2において電流値は最大値N2となり、その後、徐々に小さくなり、定常値C2となる。
【0034】
主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53のそれぞれにおいて、電源を投入した後で電流値が最大値となるまでの時間t0、t1、t2は、互いに異なる場合が多い。
【0035】
そのため、主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53へ電源を同時に投入した場合でも、それらを流れる電流値の合計が、電源の安全装置が働く上限電流値を超えなければ、電源の安全装置が働くことはない。よって、ドラム式洗濯機1が適正に起動される。
【0036】
ただし、上記の時間t0、t1、t2は、主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53の個体差によりばらつくため、上記の時間t0、t1、t2が一致することもあり得る。
【0037】
このような場合には、主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53へ電源を同時に投入した場合に、上記の時間t0、t1、t2が一致して、それらを流れる電流値の合計が上限電流値を超えてしまう場合がある。その場合、電源の安全装置が働いて、ドラム式洗濯機1の起動に失敗してしまう。
【0038】
そこで、本実施形態のドラム式洗濯機1では、電源の安全装置が働いてドラム式洗濯機1の起動に失敗するのを防止するために、通信制御機器52及びオゾン制御機器53の電源起動に、遅延時間をそれぞれ設けている。
【0039】
主制御機器51の電源起動には、遅延時間が設けられないため、主制御機器51へ時刻0において電源を投入した場合の電流値の変化は、
図4(a)に示すように、
図3(a)と同一であり、時刻t0において電流値は最大値N0となり、その後、徐々に小さくなり、定常値C0となる。
【0040】
通信制御機器52の電源起動には、遅延時間T1が設けられており、通信制御機器52へ時刻0において電源を投入した場合の電流値は、
図4(b)に示すように、時刻T1において電流値の増加が開始される。その後、時刻T1から時間t1が経過した時刻T1aにおいて最大値N1となり、その後、徐々に小さくなり、定常値C1となる。
【0041】
オゾン制御機器53の電源起動には、遅延時間T2が設けられており、オゾン制御機器53へ時刻0において電源を投入した場合の電流値は、
図4(c)に示すように、時刻T2において電流値の増加が開始される。その後、時刻T2から時間t2が経過した時刻T2aにおいて最大値N2となり、その後、徐々に小さくなり、定常値C2となる。
【0042】
本実施形態では、通信制御機器52及びオゾン制御機器53ごとに互いに異なる遅延時間T1、T2が設定される。通信制御機器52及びオゾン制御機器53に対して設定される遅延時間は、主制御機器51の起動時からそれぞれ遅延する時間である。
【0043】
例えば、遅延時間T1は、100msecであり、遅延時間T2は、200msecである。ドラム式洗濯機1は、2つのオプション機器を有しており、第1のオプション機器である通信制御機器52に対して、所定遅延時間100msecの1倍の遅延時間である100msecが設定される。また、第2のオプション機器であるオゾン制御機器53に対して、所定遅延時間100msecの2倍の遅延時間である200msecが設定される。
【0044】
遅延時間は、例えば、
図5に示す遅延回路において抵抗RとコンデンサCにより設定される。抵抗R及びコンデンサCとして、通信制御機器52及びオゾン制御機器53ごとに異なる値のものを実装することで、互いに異なる遅延時間を固有の値に設定することがきる。なお、遅延時間の長さは、適宜の長さに設定してもよい。
【0045】
すなわち、ドラム式洗濯機1において、通信制御機器52は、遅延時間T1を設定する第1遅延回路52aを有しており、オゾン制御機器53は、遅延時間T2を設定する第2遅延回路53aを有している。
【0046】
そのため、ドラム式洗濯機1の電源ICに電源が時刻0において入力されると、
図6及び
図7に示すように、遅延時間が設定されていない主制御機器51に電流が流れ始める。その後、主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53を流れる電流値の合計(そのとき、通信制御機器52及びオゾン制御機器53に電流は流れていない)は、時刻t0において一時的に大きくなる。
【0047】
電源投入時(時刻0)から通信制御機器52に対して設定された遅延時間T1が経過すると、通信制御機器52に電流が流れ始める。時刻T1では、主制御機器51に定常値C0の電流が流れており、定常値C0の電流値に対して、通信制御機器52に流れる電流値が加算される。その後、主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53を流れる電流値の合計(そのとき、オゾン制御機器53に電流は流れていない)は、時刻T1から時間t0が経過した時刻T1aにおいて一時的に大きくなる。
【0048】
電源投入時(時刻0)からオゾン制御機器53に対して設定された遅延時間T2が経過すると、オゾン制御機器53に電流が流れ始める。時刻T2では、主制御機器51に定常値C0の電流が流れ且つ通信制御機器52に定常値C1の電流が流れており、定常値C0+C1の電流値に対して、オゾン制御機器53に流れる電流値が加算される。その後、主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53を流れる電流値の合計は、時刻T2から時間t2が経過した時刻T2aにおいて一時的に大きくなる。
【0049】
このように、ドラム式洗濯機1では、主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53へ電源を同時に投入した場合でも、主制御機器51に最大電流が流れる時刻と、通信制御機器52に最大電流が流れる時刻と、オゾン制御機器53に最大電流が流れる時刻とがずれる。そのため、主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53を流れる電流値の合計が、電源の安全装置が働く上限電流値を超えない。
【0050】
なお、主制御機器51、通信制御機器52及びオゾン制御機器53のそれぞれにおいて、電源を投入した後で電流値が最大値となるまでの時間がt0,t1,t2である場合、通信制御機器52に対して設定された遅延時間T1は、t0以上であり、オゾン制御機器53に対して設定された遅延時間T2は、t0+t1以上である。
【0051】
以上説明したように本実施形態のドラム式洗濯機1は、互いに異なる機能を有する複数のオプション機器としての通信接続機器30及びオゾン発生装置31が搭載されるドラム式洗濯機であって、ドラム式洗濯機1の主動作を制御するための主制御機器51と、通信接続機器30を制御するための通信制御機器52と、オゾン発生装置31を制御するためのオゾン制御機器53とを備え、通信制御機器52及びオゾン制御機器53に対して、互いに異なる第1遅延回路52a及び第2遅延回路53aを使用して互いに異なる遅延時間T1,T2がそれぞれ設定される。
【0052】
このようにすれば、互いに異なる遅延回路を使用して通信制御機器52及びオゾン制御機器53に互いに異なる遅延時間T1,T2をそれぞれ設定することで、電源投入時において主制御機器51に最大電流が流れる時刻t0と、通信制御機器52に最大電流が流れる時刻t1と、オゾン制御機器53に最大電流が流れる時刻t2とを確実にずらすことができる。これにより、安価な方法でドラム式洗濯機1に電源を投入した際の安定性を向上させることができる。
【0053】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、複数のオプション機器に設定される遅延時間は、主制御機器の起動時から遅延する時間である。
【0054】
このようにすれば、複数のオプション機器の遅延時間として主制御機器の起動時から遅延する時間を設定することで、ランドリ機器に電源を投入した際の安定性を確実に向上させることができる。
【0055】
本実施形態のドラム式洗濯機1において複数のオプション機器に設定される遅延時間は、所定遅延時間の互いに異なる整数倍にそれぞれ設定される
【0056】
このようにすれば、複数のオプション機器に設定される遅延時間を、所定遅延時間の互いに異なる整数倍にそれぞれ設定することで、複数のオプション機器に対して互いに異なる遅延時間に容易に設定することができる。
【0057】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、第1遅延回路52aが通信制御機器52内に設けられ、第2遅延回路53aがオゾン制御機器53内に設けられる。
【0058】
このようにすれば、通信接続機器30及びオゾン発生装置31ごとに遅延時間を容易に
設定することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0060】
例えば上記実施形態では、オプション機器として通信接続機器30及びオゾン発生装置31が搭載されるドラム式洗濯機1について説明したが、それに限られない。オプション機器としては、例えば、洗剤などを自動で投入するための自動投入機器、カード決済するためのカード決済機器など、任意のオプション機器を使用することができる。そのため、本発明のランドリ機器に搭載されるオプション機器は、3つ以上でもよい。
【0061】
なお、3つ以上の第1~第Nオプション機器がランドリ機器に搭載される場合において、主制御機器に電源を投入した後で電流値が最大値となるまでの時間がt0、第nオプション機器(但し、nは1以上N以下の整数)のそれぞれに電源を投入した後で電流値が最大値となるまでの時間がそれぞれTnである場合も、上記実施形態と同様に、オプション機器の遅延時間を設定するのが好適である。
第1オプション機器の遅延時間T1:
主制御機器に流れる電流値が最大値となるまでの時間t0以上
第2オプション機器の遅延時間)T2:
(主制御機器に流れる電流値が最大値となるまでの時間t0+第1オプション機器に流れる電流値が最大値となるまでの時間t1)以上
第3オプション機器の遅延時間)T3:
(主制御機器に流れる電流値が最大値となるまでの時間t0+第1オプション機器に流れる電流値が最大値となるまでの時間t1+第2オプション機器に流れる電流値が最大値となるまでの時間t2)以上
以下、第4~第Nオプション機器の遅延時間の設定についても同様である。
すなわち、
第1~第Nオプション機器がランドリ機器に搭載される場合において、
第nオプション機器(但し、nは1以上N以下の整数)の遅延時間Tnは、
(主制御機器に流れる電流値が最大値となるまでの時間t0+第1~第(n-1)オプション機器に流れる電流値がそれぞれ最大値となるまでの時間の合計)以上に設定するのが好適である。
【0062】
上記実施形態では、通信接続機器30及びオゾン発生装置31をそれぞれ制御する通信制御機器52及びオゾン制御機器53の両方にそれぞれ遅延時間T1,T2が設定されるが、それに限られない。通信制御機器52及びオゾン制御機器53の何れか一方に遅延時間が設定されてもよい。すなわち、3つ以上のオプション機器を搭載するランドリ機器において、3つ以上のオプション機器をそれぞれ制御するための複数のオプション用制御機器の少なくとも1つに、遅延時間が設定された場合に、本発明の効果が得られる。
【0063】
上記実施形態では、第1遅延回路52aが通信制御機器52内に設けられ、第2遅延回路53aがオゾン制御機器53内に設けられるが、それに限られない。
図8に示すように、第1遅延回路52aが通信制御機器52と別体に設けられ、第2遅延回路53aがオゾン制御機器53と別体に設けられてもとよい。その場合、通信接続機器30及びオゾン発生装置31が搭載された既存のドラム式洗濯機に対して、第1遅延回路52a及び第2遅延回路53aを後付けで取り付けることで、通信制御機器52及びオゾン制御機器53に遅延時間を設定することができる。
【0064】
上記実施形態では、遅延時間が、
図5に示すような抵抗R及びコンデンサCを有する遅延回路を使用して設定されるが、それに限られない。遅延時間を設定するための遅延回路の構成は、任意である。上記実施形態において、ドラム式洗濯機1の電源ICは、主制御機器が搭載された基板上にあるが、それに限られない。電源ICは、外付の電源装置などでもよい。その場合、例えば、主制御機器が搭載された基板の電源に、外付の変圧するための電源装置を用いて、オプションがその電源装置を共用してもよい。
【0065】
上記実施形態では、通信制御機器52に対して所定遅延時間の1倍の遅延時間が設定され、オゾン制御機器53に対して所定遅延時間の2倍の遅延時間が設定されるが、それに限られない。通信制御機器52及びオゾン制御機器53に対して設定される遅延時間は、任意である。すなわち、複数のオプション機器を搭載するランドリ機器において、複数のオプション用制御機器にそれぞれ流れる電流値が最大となる時刻がずれるように遅延時間を設定すれば、本発明の効果が得られる。
【0066】
上記本実施形態では、ランドリ機器としてのドラム式洗濯機について説明したが、それに限られない、本発明のランドリ機器は、例えば洗濯乾燥機(ドラム式洗濯乾燥機)、乾燥機(ドラム式乾燥機)、縦型洗濯機など、ランドリ機器の種類は問わない
【符号の説明】
【0067】
1 ドラム式洗濯機(ランドリ機器)
30 通信接続機器(オプション機器)
31 オゾン発生装置(オプション機器)
51 主制御機器
52 通信制御機器(オプション用制御機器)
52a 第1遅延回路(遅延回路)
53 オゾン制御機器(オプション用制御機器)
53a 第2遅延回路(遅延回路)