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特開2024-59502ガスクロマトグラフ支援装置およびガスクロマトグラフ支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059502
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフ支援装置およびガスクロマトグラフ支援方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20240423BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01N30/86 Q
G01N30/26 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167197
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】福島 大貴
(57)【要約】
【課題】ガスクロマトグラフにおける資源の消費量を削減することが可能なガスクロマトグラフ支援装置およびガスクロマトグラフ支援方法を提供する。
【解決手段】GC支援装置100は、節約量評価部18、消費量評価部19および出力部21を含み、ガスクロマトグラフとともに用いられる。節約量評価部18は、ガスクロマトグラフを停止させることによる資源の節約量を評価する。消費量評価部19は、ガスクロマトグラフを停止状態から復帰させることによる資源の消費量を評価する。出力部21は、節約量および消費量に関する評価値を使用者に提示する。または、出力部21は、評価値に基づいてガスクロマトグラフの動作状態を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスクロマトグラフとともに用いられるガスクロマトグラフ支援装置であって、
前記ガスクロマトグラフを停止させることによる資源の節約量を評価する節約量評価部と、
前記ガスクロマトグラフを停止状態から復帰させることによる前記資源の消費量を評価する消費量評価部と、
前記節約量および前記消費量に関する評価値を使用者に提示するか、または前記評価値に基づいて前記ガスクロマトグラフの動作状態を制御する出力部とを備える、ガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項2】
前記節約量と前記消費量との比較結果を前記評価値として算出する算出部をさらに備える、請求項1記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記算出部により算出された前記評価値が所定の条件を満たす場合、前記ガスクロマトグラフを停止状態にする、請求項2記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項4】
使用者の指定に基づいて、前記資源のうち、第1の資源と第2の資源とのいずれか一方についての前記評価値に重み付けを設定する重み設定部をさらに備える、請求項2または3記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項5】
前記ガスクロマトグラフの予想停止時間を決定する停止時間決定部と、
前記ガスクロマトグラフにおける単位時間当たりの前記資源の節約量を単位節約量として決定する単位節約量決定部とをさらに備え、
前記節約量評価部は、前記予想停止時間と前記単位節約量とに基づいて、前記節約量を評価する、請求項1~3のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項6】
前記ガスクロマトグラフの使用者のスケジュールを示すスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得部をさらに備え、
前記停止時間決定部は、前記スケジュール情報に基づいて前記予想停止時間を決定する、請求項5記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項7】
前記ガスクロマトグラフに含まれる構成要素を特定する特定部と、
前記構成要素の仕様を示す仕様情報を取得する仕様情報取得部とをさらに備え、
前記停止時間決定部は、前記構成要素および前記仕様情報にさらに基づいて前記予想停止時間を決定する、請求項6記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項8】
前記ガスクロマトグラフの動作履歴を示す履歴情報を取得する履歴情報取得部をさらに備え、
前記停止時間決定部は、前記履歴情報における前記ガスクロマトグラフの過去の停止時間に基づいて前記予想停止時間を決定する、請求項5記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項9】
前記ガスクロマトグラフに含まれる構成要素を特定する特定部と、
前記構成要素の仕様を示す仕様情報を取得する仕様情報取得部とをさらに備え、
前記単位節約量決定部は、前記構成要素および前記仕様情報に基づいて前記単位節約量を決定する、請求項5記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項10】
前記ガスクロマトグラフの予想復帰時間を決定する復帰時間決定部と、
前記ガスクロマトグラフにおける単位時間当たりの前記資源の消費量を単位消費量として決定する単位消費量決定部とをさらに備え、
前記消費量評価部は、前記予想復帰時間と前記単位消費量とに基づいて、前記消費量を評価する、請求項1~3のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項11】
前記ガスクロマトグラフに含まれる構成要素を特定する特定部と、
前記構成要素の仕様を示す仕様情報を取得する仕様情報取得部とをさらに備え、
前記復帰時間決定部は、前記構成要素および前記仕様情報に基づいて前記予想復帰時間を決定する、請求項10記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項12】
前記ガスクロマトグラフの動作履歴を示す履歴情報を取得する履歴情報取得部をさらに備え、
前記復帰時間決定部は、前記履歴情報における前記ガスクロマトグラフの過去の復帰時間に基づいて前記予想復帰時間を決定する、請求項10記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項13】
前記ガスクロマトグラフに含まれる構成要素を特定する特定部と、
前記構成要素の仕様を示す仕様情報を取得する仕様情報取得部とをさらに備え、
前記単位消費量決定部は、前記構成要素および前記仕様情報に基づいて前記単位消費量を決定する、請求項10記載のガスクロマトグラフ支援装置。
【請求項14】
ガスクロマトグラフの使用を支援するガスクロマトグラフ支援方法であって、
前記ガスクロマトグラフを停止させることによる資源の節約量を評価し、
前記ガスクロマトグラフを停止状態から復帰させることによる前記資源の消費量を評価し、
前記節約量および前記消費量に関する評価値を使用者に提示するか、または前記評価値に基づいて前記ガスクロマトグラフの動作状態を制御し、
コンピュータにより実行される、ガスクロマトグラフ支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフ支援装置およびガスクロマトグラフ支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料に含まれる物質を異なる成分ごとに分離する分析装置としてガスクロマトグラフが知られている。ガスクロマトグラフにおいては、試料気化室で気化された分析対象の試料が、キャリアガスとともに分離カラムに導入される。分離カラムに導入された試料は、化合物ごとに分離され、検出器により検出される。検出器による検出信号に基づいて、ガスクロマトグラムが生成される。
【0003】
ガスクロマトグラフには、ガスまたは電力等の資源の消費量を削減するための機能が設けられることがある。例えば、特許文献1に記載されたガスクロマトグラフ装置には、省エネモードが設けられる。使用者は、分析の終了後、次の分析を実行するまでの待機期間に、省エネモードの実行を指示する。これにより、ガスクロマトグラフ装置の損傷を引き起こすことなく、キャリアガス使用量および電力消費量を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-95072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ガスクロマトグラフにおける資源の消費量をより削減することが求められている。ここで、ガスクロマトグラフの不使用期間に、電源をオフにすることにより資源の消費量を削減することが可能である。しかしながら、電源をオンにした後のガスクロマトグラフの立ち上がり時には、大量の資源が消費されるため、電源をオフにすると、かえって資源の消費量が増加することがある。そのため、使用者には、電源をオフにするか否かの判断を行うことは容易ではない。
【0006】
本発明の目的は、ガスクロマトグラフにおける資源の消費量を削減することが可能なガスクロマトグラフ支援装置およびガスクロマトグラフ支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ガスクロマトグラフとともに用いられるガスクロマトグラフ支援装置であって、前記ガスクロマトグラフを停止させることによる資源の節約量を評価する節約量評価部と、前記ガスクロマトグラフを停止状態から復帰させることによる前記資源の消費量を評価する消費量評価部と、前記節約量および前記消費量に関する評価値を使用者に提示するか、または前記評価値に基づいて前記ガスクロマトグラフの動作状態を制御する出力部とを備える、ガスクロマトグラフ支援装置に関する。
【0008】
本発明の他の態様は、ガスクロマトグラフの使用を支援するガスクロマトグラフ支援方法であって、前記ガスクロマトグラフを停止させることによる資源の節約量を評価し、前記ガスクロマトグラフを停止状態から復帰させることによる前記資源の消費量を評価し、前記節約量および前記消費量に関する評価値を使用者に提示するか、または前記評価値に基づいて前記ガスクロマトグラフの動作状態を制御する、コンピュータにより実行されるガスクロマトグラフ支援方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガスクロマトグラフにおける資源の消費量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るGC支援装置を含む分析システムの構成を示す図である。
図2】スケジュール情報の一例を示す図である。
図3】仕様情報の一例を示す図である。
図4】仕様情報の他の例を示す図である。
図5図1のGC支援装置の機能部の構成を示す図である。
図6】予想停止時間および予想復帰時間の一例を示す図である。
図7】GC支援装置によりGC支援プログラムに基づいて実行されるGC支援処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図8】変形例に係るGC支援装置の機能部の構成を示す図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係るGC支援装置の構成を示す図である。
図10】第2の実施の形態におけるGC支援処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図11】他の実施の形態に係るGC支援装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1の実施の形態
(1)分析システムの構成
以下、本発明の実施の形態に係るGC(ガスクロマトグラフ)支援装置およびGC支援方法について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るGC支援装置を含む分析システムの構成を示す図である。図1に示すように、分析システム300は、GC支援装置100およびGC200を備える。分析システム300は、複数のGC200を備えてもよい。
【0012】
GC支援装置100は、CPU(中央演算処理装置)110、RAM(ランダムアクセスメモリ)120、ROM(リードオンリメモリ)130、記憶部140、操作部150、表示部160および入出力I/F(インターフェイス)170およびバス180を含む。CPU110、RAM120、ROM130、記憶部140、操作部150、表示部160および入出力I/F170はバス180に接続される。GC支援装置100は、例えばパーソナルコンピュータにより実現されてもよい。
【0013】
RAM120は、CPU110の作業領域として用いられる。ROM130にはシステムプログラムが記憶される。記憶部140は、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体を含み、後述するGC支援処理において用いられる種々の情報を記憶する。また、記憶部140は、GC支援プログラムを記憶する。CPU110が記憶部140に記憶されたGC支援プログラムをRAM120上で実行することにより、GC支援処理が行われる。
【0014】
GC支援プログラムは、記憶部140に代えて、コンピュータが読み取り可能なCD(Compact Disc)-ROMまたはUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の外部記憶媒体141に記憶されていてもよい。あるいは、GC支援プログラムは、外部記憶媒体141に格納された形態で提供され、記憶部140にインストールされてもよい。
【0015】
操作部150は、キーボード、マウスまたはタッチパネル等の入力デバイスである。表示部160は、液晶表示装置等の表示デバイスである。使用者は、操作部150を用いてCPU110に各種指定を行うことができる。表示部160は、CPU110による処理結果を表示可能である。入出力I/F170は、GC200の後述する処理装置260に接続される。
【0016】
GC200は、複数の構成要素を含む。GC200の構成要素の各々には、当該構成要素を特定するための固有の識別子が付与されている。図1の例では、GC200の構成要素は、ガス供給部210、試料供給部220、試料気化室230、カラム恒温槽240、検出器250および処理装置260である。
【0017】
ガス供給部210は、例えばガスボンベ、ポンプ、流量調整弁および流路切替弁により構成される。ガス供給部210は、試料気化室230または検出器250にキャリアガスを供給する。キャリアガスは、例えばヘリウムガス等の不活性ガスであってもよいし、水素ガスであってもよい。
【0018】
試料供給部220は、例えばオートサンプラまたはオートインジェクタを含む。分析対象の液体状の試料が収容された容器から所定量の試料を吸引し、吸引された試料を試料気化室230に供給する。分析対象の試料には、所定の前処理が行われていてもよい。試料供給部220により供給された試料は、試料気化室230内で気化される。気化された試料は、ガス供給部210により供給されたキャリアガスとともにカラム恒温槽240の分離カラム241に導入される。
【0019】
カラム恒温槽240は、分離カラム241を収容し、当該分離カラム241を所定の一定温度に維持する。分離カラム241は、試料気化室230から導入された試料を化学的性質または組成の違いにより成分ごとに分離する。検出器250は、分離カラム241により分離された試料の成分を検出し、検出強度に対応する検出信号を処理装置260に出力する。
【0020】
処理装置260は、例えばCPU、RAM、ROMおよびメモリにより構成される。処理装置260は、GC200の各構成要素の動作を制御する。また、処理装置260は、検出器250により出力される検出信号を処理することにより、分離カラム241における各成分の保持時間と、検出強度との関係を示すガスクロマトグラムを生成する。なお、GC支援装置100は、処理装置260の一部により構成されていてもよい。
【0021】
(2)スケジュール情報および仕様情報
GC200は、分析状態、待機状態および停止状態の3つの動作状態を有する。分析状態においては、上記の試料の分析が行われる。待機状態においては、電源がオンされているものの、資源(本例ではキャリアガスまたは電力)の消費量が分析状態よりも低く維持される。停止状態においては、電源がオフされている。そのため、資源はほとんど消費されない。
【0022】
本実施の形態では、GC支援装置100は、GC支援処理を実行することにより、GC200により消費される資源が低減されるように、GC200の使用を支援する。GC支援装置100の記憶部140には、GC支援処理において用いられる情報として、スケジュール情報および仕様情報が記憶される。スケジュール情報および仕様情報は、記憶部140ではなく、他の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0023】
スケジュール情報は、GC200の使用者の勤務スケジュールを示す。図2は、スケジュール情報の一例を示す図である。図2に示すように、平日においては、使用者の始業時刻は9時であり、終業時刻は18時である。一方、休日においては、使用者は勤務を行わない。
【0024】
仕様情報は、GC200の構成要素として使用可能な種々の装置の仕様を示す。仕様は、主として、復帰時間および単位時間当たりの資源消費量を含む。仕様は、装置の識別子、寸法または動作温度等の他の情報をさらに含んでもよい。復帰時間は、装置が起動してから、当該装置が一定の安定度で動作可能になるまでの時間である。
【0025】
資源消費量は、装置において消費される資源の量である。資源消費量は、待機時の単位時間当たりの資源消費量と、復帰時の単位時間当たりの資源消費量とを含む。待機時の単位時間当たりの資源消費量は、GC200が待機状態にある場合に、装置において単位時間当たりに消費される資源の量である。復帰時の単位時間当たりの資源消費量は、復帰時間中に、装置において単位時間当たりに消費される資源の量である。
【0026】
資源消費量は、分析時の単位時間当たりの資源消費量をさらに含んでもよい。分析時の単位時間当たりの資源消費量は、GC200が分析状態にある場合に、装置において単位時間当たりに消費される資源の量である。基本的に、復帰時の単位時間当たりの資源消費量および分析時の単位時間当たりの資源消費量は、待機時の単位時間当たりの資源消費量よりも大きい。
【0027】
図3は、仕様情報の一例を示す図である。図3の例では、GC200の検出器250として使用可能な種々の検出器の仕様情報が示される。仕様情報は、検出器の復帰時間、単位時間当たりのガス消費量および単位時間当たりの電力消費量を示す。
【0028】
図3に示すように、FID(水素炎イオン化検出器)またはTCD(熱伝導度型検出器)の復帰時間は、比較的短い。FPD(炎光光度検出器)またはECD(電子捕捉検出器)の復帰時間は、比較的長い。BID(バリア放電イオン化検出器)、FTD(アルカリ熱イオン化検出器)またはPDD(パルス放電型光イオン化検出器)の復帰時間は、非常に長い。
【0029】
図3に示した復帰時間は一例であり、復帰時間は、検出器に要求される安定度またはメンテナンスの状態に応じて異なる。例えば、検出器に高い安定度が要求される場合には、復帰時間は長くなる。一方、検出器に高い安定度が要求されない場合には、復帰時間は短くなる。したがって、仕様情報においては、検出器の複数の安定度にそれぞれ対応して、複数の復帰時間が示されてもよい。また、仕様情報においては、複数のメンテナンスの状態にそれぞれ対応して、複数の復帰時間が示されてもよい。
【0030】
図4は、仕様情報の他の例を示す図である。図4の例では、GC200のカラム恒温槽240として使用可能な種々のカラム恒温槽の仕様情報が示される。仕様情報は、カラム恒温槽の復帰時間および単位時間当たりの電力消費量を示す。カラム恒温槽においては、基本的に、容積が大きいほど復帰時間が長くなるとともに、電力消費量が大きくなる。
【0031】
また、カラム恒温槽においては、設定温度が高いほど復帰時間が長くなるとともに、電力消費量が大きくなる。したがって、仕様情報においては、カラム恒温槽の複数の設定温度にそれぞれ対応して、複数の復帰時間が示されてもよく、複数の電力消費量が示されてもよい。
【0032】
(3)GC支援装置
図5は、図1のGC支援装置100の機能部の構成を示す図である。図5に示すように、GC支援装置100は、機能部10として、スケジュール情報取得部11、仕様情報取得部12、特定部13、停止時間決定部14、単位節約量決定部15、復帰時間決定部16、単位消費量決定部17、節約量評価部18、消費量評価部19、算出部20および出力部21を含む。図1のCPU110が記憶部140等に記憶されたGC支援プログラムを実行することにより、機能部10が実現される。機能部10の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0033】
スケジュール情報取得部11は、記憶部140等に記憶されたスケジュール情報を取得する。仕様情報取得部12は、記憶部140等に記憶された仕様情報を取得する。特定部13は、入出力I/F170を通して、GC200から各構成要素に付与された識別子を取得する。特定部13は、取得された識別子に基づいて、GC200に含まれる構成要素を特定する。
【0034】
停止時間決定部14は、GC200を停止状態にすることが可能であると予測される時間を予想停止時間として決定する。本例では、予想停止時間は、スケジュール情報取得部11により取得されたスケジュール情報に基づいて決定される。例えば、使用者の終業時刻よりも後の時刻が予想停止時間の開始時点に決定され、使用者の翌勤務日の始業時刻よりも前の時刻が予想停止時間の終了時点に決定されてもよい。
【0035】
単位節約量決定部15は、GC200における単位時間当たりの資源の節約量を単位節約量として決定する。GC200が待機状態にある場合には、GC200に含まれる各構成要素において、図3または図4のY欄に示される量の資源が単位時間当たりに消費される。したがって、GC200を停止状態にすることにより、同量の資源が節約可能である。
【0036】
そこで、本例では、単位節約量は、仕様情報取得部12により取得された仕様情報および特定部13により特定された構成要素に基づいて決定される。具体的には、仕様情報取得部12により取得された仕様情報において、特定部13により特定された構成要素に対応するY欄の値が決定される。GC200に含まれる全構成要素について決定されたY欄の値の合計が単位節約量となる。
【0037】
復帰時間決定部16は、GC200が起動してからが一定の安定度で動作可能になるまでに要すると予測される時間を予想復帰時間として決定する。本例では、予想停止時間は、仕様情報取得部12により取得された仕様情報および特定部13により特定された構成要素に基づいて決定される。具体的には、仕様情報取得部12により取得された仕様情報において、特定部13により特定された構成要素に対応するX欄(図3または図4参照)の値が決定される。GC200に含まれる全構成要素について決定されたX欄の値のうち、最も大きい値が予想復帰時間となる。
【0038】
単位消費量決定部17は、GC200における単位時間当たりの資源の消費量を単位消費量として決定する。本例では、単位消費量は、仕様情報取得部12により取得された仕様情報および特定部13により特定された構成要素に基づいて決定される。具体的には、仕様情報取得部12により取得された仕様情報において、特定部13により特定された構成要素に対応するZ欄の値が決定される。GC200に含まれる全構成要素について決定されたZ欄の値の合計が単位消費量となる。
【0039】
節約量評価部18は、GC200を停止状態にすることによる資源の節約量を評価する。節約量は、停止時間決定部14により決定された予想停止時間と、単位節約量決定部15により決定された単位節約量との積算により評価される。消費量評価部19は、GC200を停止状態から復帰させることによる資源の消費量を評価する。消費量は、復帰時間決定部16により決定された予想復帰時間と、単位消費量決定部17により決定された単位消費量との積算により評価される。
【0040】
算出部20は、節約量評価部18により評価された節約量と、消費量評価部19により評価された消費量との比較結果を評価値として算出する。比較結果は、節約量に対する消費量の減算であってもよいし、節約量に対する消費量の除算であってもよい。なお、評価値は、ガスおよび電力の各々について算出される。また、ガスおよび電力の各々についての評価値に対する所定のしきい値が設けられる。評価値がしきい値以上である場合、GC200を停止状態にすることにより資源を節約することができる。一方、評価値がしきい値未満である場合、GC200を停止状態にしないことにより資源を節約することができる。
【0041】
出力部21は、算出部20により算出された評価値を使用者に提示する。本例では、出力部21は、評価値を表示部160に表示させることにより、評価値を使用者に提示する。使用者は、出力部21により提示された評価値を認識することにより、GC200を停止状態にすると資源が節約されるか否かを容易に判断することができる。
【0042】
(4)予想停止時間および予想復帰時間
図6は、予想停止時間および予想復帰時間の一例を示す図である。本例では、予想停止時間はスケジュール情報に基づいて決定される。図2のスケジュール情報によれば、平日における使用者の始業時刻は9時であり、終業時刻は18時である。そのため、図6に示すように、平日においては、使用者の終業時刻である18時の5時間後の時刻である23時が予想停止時間の開始時点に決定される。
【0043】
このように、予想停止時間の開始時点は、使用者の終業時刻よりも十分に後の時点であってもよい。この場合、使用者の勤務の終了後、GC200は、一定時間動作可能に維持される。そのため、使用者は、比較的長時間を要する分析(例えば連続バッチ分析)をGC200に開始させた状態で、勤務を終了することができる。
【0044】
使用者の翌業務日の始業時刻である9時よりも前の時刻が予想停止時間の終了時点に決定される。したがって、予想停止時間の開始時点が金曜日である場合には、予想停止時間の終了時点は、翌週の月曜日である。予想停止時間の終了時点は、仕様情報取得部12により取得された仕様情報および特定部13により特定された構成要素にさらに基づいて決定されてもよい。
【0045】
例えば、上記のように、仕様情報および構成要素に基づいて、GC200の予想復帰時間が復帰時間決定部16により決定される。そこで、予想停止時間の終了時点は、使用者の翌業務日の始業時刻よりも予想復帰時間だけ前の時点に決定されてもよい。この場合、予想停止時間をより正確に決定することができる。本例では、後述するように、予想復帰時間は4時間に決定される。そのため、使用者の始業時刻である9時の4時間前の時刻である5時が予想停止時間の終了時点に決定される。
【0046】
予想復帰時間は仕様情報および構成要素に基づいて決定される。上記のように、図1のGC200の構成要素は、ガス供給部210、試料供給部220、試料気化室230、カラム恒温槽240、検出器250および処理装置260である。各構成要素の仕様情報に基づいて、これらの構成要素の復帰時間のうち、最も長い復帰時間がGC200の予想復帰時間として決定される。
【0047】
本例では、GC200の検出器250として、ECDが用いられる。この場合、GC200の構成要素の復帰時間のうち、検出器250の復帰時間が最も長い。なお、図3に示すように、ECDの復帰時間は4時間である。したがって、GC200の予想復帰時間は4時間に決定される。
【0048】
使用者は、GC200を停止状態にすると資源の消費量が削減されると判断した場合には、GC200を停止状態にすることを選択する。この場合、GC200は、例えばタイマ機能により、予想停止時間の開始時点である23時に停止状態になる。また、GC200は、使用者の始業時刻である9時の4時間前の時刻である5時に起動し、使用者の始業時刻までに復帰する。これにより、復帰時の資源の消費量が大きい場合でも、資源の消費量を削減することができる。
【0049】
一方、使用者は、GC200を停止状態にすると資源の消費量がかえって増加すると判断した場合には、GC200を停止状態にせずに、待機状態にすることを選択する。この場合、GC200は、例えばタイマ機能により、予想停止時間の開始時点である23時に待機状態になる。これにより、資源の消費量を削減することができる。
【0050】
(5)GC支援処理
図7は、GC支援装置100によりGC支援プログラムに基づいて実行されるGC支援処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。以下、図5のGC支援装置100と、図7のフローチャートとを用いてGC支援処理を説明する。
【0051】
まず、スケジュール情報取得部11は、スケジュール情報を取得する(ステップS1)。仕様情報取得部12は、仕様情報を取得する(ステップS2)。特定部13は、GC200の構成要素を特定する(ステップS3)。ステップS1~S3は、いずれが先に実行されてもよいし、同時に実行されてもよい。
【0052】
次に、停止時間決定部14は、ステップS1で取得されたスケジュール情報に基づいて、GC200の予想停止時間を決定する(ステップS4)。単位節約量決定部15は、ステップS2で取得された仕様情報およびステップS3で特定された構成要素に基づいて、GC200における資源の単位節約量を決定する(ステップS5)。
【0053】
また、復帰時間決定部16は、ステップS1で取得されたスケジュール情報に基づいて、GC200の予想復帰時間を決定する(ステップS6)。単位消費量決定部17は、ステップS1で取得されたスケジュール情報に基づいて、GC200における資源の単位消費量を決定する(ステップS7)。
【0054】
ステップS4~S7は、いずれが先に実行されてもよいし、同時に実行されてもよい。特に、ステップS4は、ステップS1よりも後の時点であれば、ステップS2,S3よりも先の時点で実行されてもよい。一方、ステップS5~S7は、ステップS2,S3よりも後の時点であれば、ステップS1よりも先の時点で実行されてもよい。
【0055】
続いて、節約量評価部18は、ステップS4で決定されたGC200の予想停止時間と、ステップS5で決定された資源の単位節約量とに基づいて、資源の節約量を評価する(ステップS8)。消費量評価部19は、ステップS6で決定されたGC200の予想復帰時間と、ステップS7で決定された資源の単位消費量とに基づいて、資源の消費量を評価する(ステップS9)。
【0056】
ステップS8,S9は、いずれが先に実行されてもよいし、同時に実行されてもよい。特に、ステップS8は、ステップS4,S5よりも後の時点であれば、ステップS6,S7よりも先の時点で実行されてもよい。一方、ステップS9は、ステップS6,S7よりも後の時点であれば、ステップS4,S5よりも先の時点で実行されてもよい。
【0057】
その後、算出部20は、ステップS8で評価された資源の節約量と、ステップS9で評価された資源の消費量とに関する評価値を算出する(ステップS10)。本例では、評価値は、資源の節約量と、資源の消費量との比較結果である。最後に、出力部21は、ステップS10で算出された評価値を使用者に提示し(ステップS11)、GC支援処理を終了する。
【0058】
(6)効果
本実施の形態に係るGC支援装置100においては、GC200を停止させることによる資源の節約量が節約量評価部18により評価される。GC200を停止状態から復帰させることによる資源の消費量が消費量評価部19により評価される。節約量および消費量に関する評価値が出力部21により使用者に提示される。
【0059】
この構成によれば、使用者は、出力部21により提示された評価値を認識することにより、GC200を停止状態にすると資源が節約されるか否かを容易に判断することができる。これにより、GC200における資源の消費量を削減することができる。
【0060】
評価値は、節約量と消費量との比較結果をとして算出部20により算出される。この場合、GC200を停止させることによる資源の消費量の増減が評価値により示される。これにより、GC200を停止させることにより資源が節約されるか否かをより容易に判断することが可能になる。
【0061】
GC200を停止させることによる資源の節約量は、停止時間決定部14により決定された予想停止時間と、単位節約量決定部15により決定された単位節約量とに基づいて評価される。GC200を停止状態から復帰させることによる資源の消費量は、復帰時間決定部16により決定された予想復帰時間と、単位消費量決定部17により決定された単位消費量とに基づいて評価される。これらの場合、資源の節約量および消費量を容易に評価することができる。
【0062】
予想停止時間は、スケジュール情報取得部11により取得されたスケジュール情報に基づいて決定される。この場合、使用者のスケジュールに基づいて予想停止時間を容易に決定することができる。また、予想停止時間は、特定部13により特定されたGC200に含まれる構成要素と、仕様情報取得部12により取得された構成要素の仕様を示す仕様情報とに基づいて決定されてもよい。この場合、GC200に含まれる構成要素の仕様に基づいて予想停止時間をより正確に決定することができる。
【0063】
予想復帰時間、単位節約量および単位消費量は、特定部13により特定されたGC200に含まれる構成要素と、仕様情報取得部12により取得された構成要素の仕様を示す仕様情報とに基づいて決定される。この場合、GC200に含まれる構成要素の仕様に基づいて、単位節約量、単位消費量および予想復帰時間を容易に決定することができる。
【0064】
(7)変形例
本実施の形態において、資源の節約量および消費量は、ガスおよび電力の各々について評価される。したがって、ガスおよび電力の各々について評価値が算出され、算出された評価値が使用者に提示される。ここで、ガスについての評価値と、電力についての評価値とが整合しないことがある。
【0065】
例えば、ガスについての評価値はしきい値以上であるが、電力についての評価値はしきい値未満であることがある。この場合、GC200を停止状態にすると、ガスの消費量が削減されるが、電力の消費量が増加することとなる。あるいは、電力についての評価値はしきい値以上であるが、ガスについての評価値はしきい値未満であることがある。この場合、GC200を停止状態にすると、電力の消費量が削減されるが、ガスの消費量が増加することとなる。
【0066】
そこで、GC支援装置100には、以下の変形が行われてもよい。図8は、変形例に係るGC支援装置100の機能部10の構成を示す図である。以下、図8のGC支援装置100について、図5のGC支援装置100と異なる点を説明する。図8に示すように、GC支援装置100の機能部10は、重み設定部22をさらに含む。
【0067】
重み設定部22は、使用者の指定に基づいて、ガスと電力とのいずれか一方についての評価値に重み付けを設定する。ここで、ガスおよび電力の供給コストは、社会情勢により変化する。そのため、使用者は、供給コストを考慮して、より節約することを所望する資源を重み付け設定の対象として指定することができる。当該指定は、例えば操作部150を操作することにより行われる。算出部20は、重み設定部22により重み付けが設定された資源についての節約量と消費量との比較結果に所定の重み係数を乗ずることにより、当該資源についての評価値を算出する。
【0068】
すなわち、変形例におけるGC支援処理においては、ステップS10よりも前の時点で、重み設定部22がガスと電力とのいずれか一方についての評価値に重み付けを設定する処理が追加される。重み付けが設定されていない資源については、算出部20は、ステップS10において、ステップS8で決定された節約量と、ステップS9で決定された消費量との比較結果を当該資源についての評価値として算出する。
【0069】
一方で、重み付けが設定された資源については、算出部20は、ステップS10において、ステップS8で決定された節約量と、ステップS9で決定された消費量との比較結果に所定の重み係数を乗じた値を当該資源についての評価値として算出する。このGC支援処理によれば、使用者は、ガスについての評価値と、電力についての評価値とが整合しない場合において、所望の資源を優先的に節約するための判断を容易に行うことができる。
【0070】
2.第2の実施の形態
(1)分析システムの構成
第2の実施の形態に係るGC支援装置100およびGC支援方法について、第1の実施の形態に係るGC支援装置100およびGC支援方法と異なる点を説明する。図9は、本発明の第2の実施の形態に係るGC支援装置100の構成を示す図である。なお、本実施の形態においても、図8と同様に、GC支援装置100は重み設定部22を含んでもよい。
【0071】
図9に示すように、出力部21は、入出力I/F170を介して図1のGC200に接続される。また、出力部21は、算出部20により算出された評価値に基づいて、GC200の動作状態を制御する。具体的には、出力部21は、算出部20により算出された評価値が所定の条件を満たす場合、予想停止時間の開始時点にGC200を停止状態にする。この制御においては、使用者は、GC200を停止状態にするか否かの判断を行う必要がない。そのため、算出部20により算出された評価値は、使用者に提示されなくてもよい。
【0072】
(2)GC支援処理
図10は、第2の実施の形態におけるGC支援処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。図10に示すように、本実施の形態におけるGC支援処理は、図7のGC支援処理のステップS11に代えて、ステップS12~S14を含む。具体的には、図7のGC支援処理と同様に、ステップS1~S10が順次実行される。ステップS10の後、出力部21は、ステップS10で算出された評価値が所定のしきい値以上であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0073】
評価値がしきい値以上である場合には、GC200を停止状態にすることにより資源の消費量が削減される。この場合、出力部21は、所定の時刻にGC200を停止状態に制御し(ステップS13)、GC支援処理を終了する。一方、評価値がしきい値未満である場合には、GC200を停止状態にすることにより資源の消費量が増加する。この場合、出力部21は、所定の時刻にGC200を待機状態に制御し(ステップS14)、GC支援処理を終了する。
【0074】
(3)効果
本実施の形態に係るGC支援装置100においては、GC200を停止させることによる資源の節約量が節約量評価部18により評価される。GC200を停止状態から復帰させることによる資源の消費量が消費量評価部19により評価される。節約量および消費量に関する評価値に基づいて、GC200の動作状態が出力部21により自動的に制御される。これにより、GC200における資源の消費量を削減することができる。
【0075】
具体的には、算出部20により算出された評価値が所定の条件を満たす場合、GC200が出力部21により停止状態にされる。この場合、簡単な制御でGC200における資源の消費量を削減することができる。
【0076】
3.他の実施の形態
(1)上記実施の形態において、予想停止時間は、スケジュール情報取得部11により取得されたスケジュール情報に基づいて決定される。また、予想復帰時間、単位節約量および単位消費量は、特定部13により特定されたGC200に含まれる構成要素と、仕様情報取得部12により取得された構成要素の仕様を示す仕様情報とに基づいて決定される。しかしながら、実施の形態はこれに限定されない。
【0077】
予想停止時間、予想復帰時間、単位節約量および単位消費量の少なくとも一部は、規定値として予め設定されていてもよい。あるいは、予想停止時間は、過去に記録されたGC200の停止時間またはその統計値に基づいて決定されてもよい。同様に、予想復帰時間は、過去に記録されたGC200の復帰時間または統計値に基づいて決定されてもよい。これらの場合、GC支援装置100は、スケジュール情報取得部11、仕様情報取得部12および特定部13の一部または全部を含まなくてもよい。
【0078】
図11は、他の実施の形態に係るGC支援装置100の構成を示す図である。以下、図11のGC支援装置100について、図5のGC支援装置100と異なる点を説明する。図11に示すように、本実施の形態に係るGC支援装置100は、スケジュール情報取得部11に代えて履歴情報取得部23を含む。また、記憶部140には、GC200の動作履歴を示す履歴情報が記憶されている。動作履歴は、GC200の過去の停止時間および過去の復帰時間を含む。履歴情報は、記憶部140ではなく、他の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0079】
履歴情報取得部23は、記憶部140等に記憶された履歴情報を取得する。停止時間決定部14は、履歴情報取得部23により取得された履歴情報におけるGC200の過去の停止時間に基づいて予想停止時間を決定する。この場合、GC200の過去の停止時間に基づいて予想停止時間を容易に決定することができる。復帰時間決定部16は、履歴情報取得部23により取得された履歴情報におけるGC200の過去の復帰時間に基づいて予想復帰時間を決定する。この場合、GC200の過去の復帰時間に基づいて予想復帰時間を容易に決定することができる。
【0080】
また、GC200の復帰時には、GC200の安定度(例えば検出器250により出力される信号の安定度)が測定されてもよい。また、GC200の安定度が一定になるまでの時間がGC200の復帰時間として測定されてもよい。さらに、測定された復帰時間に基づいて、記憶部140等に記憶されたGC200の過去の復帰時間が更新されてもよい。この場合、直近のGC200の復帰時間に基づいて予想復帰時間をより正確に決定することができる。
【0081】
なお、本実施の形態に係るGC支援装置100においても、図8のGC支援装置100と同様に、機能部10は重み設定部22を含んでもよい。また、第2の実施の形態と同様に、節約量および消費量に関する評価値に基づいて、GC200の動作状態が出力部21により自動的に制御されてもよい。
【0082】
(2)上記実施の形態において、ガスおよび電力の両方について評価値が算出されるが、実施の形態はこれに限定されない。ガスについての節約が所望されない場合には、電力についての評価値のみが算出され、ガスについての評価値は算出されなくてもよい。あるいは、電力についての節約が所望されない場合には、ガスについての評価値のみが算出され、電力についての評価値は算出されなくてもよい。
【0083】
(3)第1の実施の形態において、節約量評価部18により評価された節約量と消費量評価部19により評価された消費量との比較結果が評価値として用いられるが、実施の形態はこれに限定されない。節約量と消費量との各々が評価値として用いられてもよい。この場合、節約量と評価値とは比較可能に使用者に提示されればよく、GC支援装置100は算出部20を含まなくてもよい。
【0084】
4.態様
上記の複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0085】
(第1項)一態様に係るガスクロマトグラフ支援装置は、
ガスクロマトグラフとともに用いられるガスクロマトグラフ支援装置であって、
前記ガスクロマトグラフを停止させることによる資源の節約量を評価する節約量評価部と、
前記ガスクロマトグラフを停止状態から復帰させることによる前記資源の消費量を評価する消費量評価部と、
前記節約量および前記消費量に関する評価値を使用者に提示するか、または前記評価値に基づいて前記ガスクロマトグラフの動作状態を制御する出力部とを備えてもよい。
【0086】
この構成によれば、使用者は、出力部により提示された評価値を認識することにより、ガスクロマトグラフを停止状態にすると資源が節約されるか否かを容易に判断することができる。または、評価値に基づいて、ガスクロマトグラフの動作状態が出力部により自動的に制御される。これにより、ガスクロマトグラフにおける資源の消費量を削減することができる。
【0087】
(第2項)第1項に記載のガスクロマトグラフ支援装置は、
前記節約量と前記消費量との比較結果を前記評価値として算出する算出部をさらに備えてもよい。
【0088】
この場合、ガスクロマトグラフを停止させることによる資源の消費量の増減が評価値により示される。これにより、ガスクロマトグラフを停止させることにより資源が節約されるか否かをより容易に判断することが可能になる。
【0089】
(第3項)第2項に記載のガスクロマトグラフ支援装置において、
前記出力部は、前記算出部により算出された前記評価値が所定の条件を満たす場合、前記ガスクロマトグラフを停止状態にしてもよい。
【0090】
この場合、簡単な制御でガスクロマトグラフにおける資源の消費量を削減することができる。
【0091】
(第4項)第2項または第3項に記載のガスクロマトグラフ支援装置において、
使用者の指定に基づいて、前記資源のうち、第1の資源と第2の資源とのいずれか一方についての前記評価値に重み付けを設定する重み設定部をさらに備えてもよい。
【0092】
この構成によれば、使用者は、第1の資源についての評価値と、第2の資源についての評価値とが整合しない場合において、所望の資源を優先的に節約するための判断を容易に行うことができる。
【0093】
(第5項)第1項~第4項のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフ支援装置は、
前記ガスクロマトグラフの予想停止時間を決定する停止時間決定部と、
前記ガスクロマトグラフにおける単位時間当たりの前記資源の節約量を単位節約量として決定する単位節約量決定部とをさらに備え、
前記節約量評価部は、前記予想停止時間と前記単位節約量とに基づいて、前記節約量を評価してもよい。
【0094】
この場合、ガスクロマトグラフを停止させることによる資源の節約量を容易に評価することができる。
【0095】
(第6項)第5項に記載のガスクロマトグラフ支援装置は、
前記ガスクロマトグラフの使用者のスケジュールを示すスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得部をさらに備え、
前記停止時間決定部は、前記スケジュール情報に基づいて前記予想停止時間を決定してもよい。
【0096】
この場合、使用者のスケジュールに基づいて予想停止時間を容易に決定することができる。
【0097】
(第7項)第6項に記載のガスクロマトグラフ支援装置は、
前記ガスクロマトグラフに含まれる構成要素を特定する特定部と、
前記構成要素の仕様を示す仕様情報を取得する仕様情報取得部とをさらに備え、
前記停止時間決定部は、前記構成要素および前記仕様情報にさらに基づいて前記予想停止時間を決定してもよい。
【0098】
この場合、ガスクロマトグラフに含まれる構成要素の仕様に基づいて予想停止時間をより正確に決定することができる。
【0099】
(第8項)第5項~第7項のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフ支援装置は、
前記ガスクロマトグラフの動作履歴を示す履歴情報を取得する履歴情報取得部をさらに備え、
前記停止時間決定部は、前記履歴情報における前記ガスクロマトグラフの過去の停止時間に基づいて前記予想停止時間を決定してもよい。
【0100】
この場合、ガスクロマトグラフの過去の停止時間に基づいて予想停止時間を容易に決定することができる。
【0101】
(第9項)第5項~第8項のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフ支援装置は、
前記ガスクロマトグラフに含まれる構成要素を特定する特定部と、
前記構成要素の仕様を示す仕様情報を取得する仕様情報取得部とをさらに備え、
前記単位節約量決定部は、前記構成要素および前記仕様情報に基づいて前記単位節約量を決定してもよい。
【0102】
この場合、ガスクロマトグラフに含まれる構成要素の仕様に基づいて単位節約量を容易に決定することができる。
【0103】
(第10項)第1項~第9項のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフ支援装置は、
前記ガスクロマトグラフの予想復帰時間を決定する復帰時間決定部と、
前記ガスクロマトグラフにおける単位時間当たりの前記資源の消費量を単位消費量として決定する単位消費量決定部とをさらに備え、
前記消費量評価部は、前記予想復帰時間と前記単位消費量とに基づいて、前記消費量を評価してもよい。
【0104】
この場合、ガスクロマトグラフを停止状態から復帰させることによる資源の消費量を容易に評価することができる。
【0105】
(第11項)第10項に記載のガスクロマトグラフ支援装置は、
前記ガスクロマトグラフに含まれる構成要素を特定する特定部と、
前記構成要素の仕様を示す仕様情報を取得する仕様情報取得部とをさらに備え、
前記復帰時間決定部は、前記構成要素および前記仕様情報に基づいて前記予想復帰時間を決定してもよい。
【0106】
この場合、ガスクロマトグラフに含まれる構成要素の仕様に基づいて予想復帰時間を容易に決定することができる。
【0107】
(第12項)第10項または第11項に記載のガスクロマトグラフ支援装置は、
前記ガスクロマトグラフの動作履歴を示す履歴情報を取得する履歴情報取得部をさらに備え、
前記復帰時間決定部は、前記履歴情報における前記ガスクロマトグラフの過去の復帰時間に基づいて前記予想復帰時間を決定してもよい。
【0108】
この場合、ガスクロマトグラフの過去の復帰時間に基づいて予想復帰時間を容易に決定することができる。
【0109】
(第13項)第10項~第12項のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフ支援装置は、
前記ガスクロマトグラフに含まれる構成要素を特定する特定部と、
前記構成要素の仕様を示す仕様情報を取得する仕様情報取得部とをさらに備え、
前記単位消費量決定部は、前記構成要素および前記仕様情報に基づいて前記単位消費量を決定してもよい。
【0110】
この場合、ガスクロマトグラフに含まれる構成要素の仕様に基づいて単位消費量を容易に決定することができる。
【0111】
(第14項)他の態様に係るガスクロマトグラフ支援方法は、
ガスクロマトグラフの使用を支援するガスクロマトグラフ支援方法であって、
前記ガスクロマトグラフを停止させることによる資源の節約量を評価し、
前記ガスクロマトグラフを停止状態から復帰させることによる前記資源の消費量を評価し、
前記節約量および前記消費量に関する評価値を使用者に提示するか、または前記評価値に基づいて前記ガスクロマトグラフの動作状態を制御し、
コンピュータにより実行されてもよい。
【0112】
この構成によれば、使用者は、提示された評価値を認識することにより、ガスクロマトグラフを停止状態にすると資源が節約されるか否かを容易に判断することができる。または、評価値に基づいて、ガスクロマトグラフの動作状態が自動的に制御される。これにより、ガスクロマトグラフにおける資源の消費量を削減することができる。
【符号の説明】
【0113】
10…機能部,11…スケジュール情報取得部,12…仕様情報取得部,13…特定部,14…停止時間決定部,15…単位節約量決定部,16…復帰時間決定部,17…単位消費量決定部,18…節約量評価部,19…消費量評価部,20…算出部,21…出力部,22…重み設定部,23…履歴情報取得部,100…GC支援装置,110…CPU,120…RAM,130…ROM,140…記憶部,141…外部記憶媒体,150…操作部,160…表示部,170…入出力I/F,180…バス,200…GC,210…ガス供給部,220…試料供給部,230…試料気化室,240…カラム恒温槽,250…検出器,260…処理装置,300…分析システム
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11