(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059510
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】帯状濾材を用いたドラム型濾過装置
(51)【国際特許分類】
B01D 33/048 20060101AFI20240423BHJP
B01D 33/06 20060101ALI20240423BHJP
B24B 55/03 20060101ALI20240423BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20240423BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B01D33/14
B01D33/18
B24B55/03
B23Q11/10 E
B23Q11/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167220
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】平田 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】小貝 宣夫
【テーマコード(参考)】
3C011
3C047
4D116
【Fターム(参考)】
3C011BB31
3C011EE09
3C047GG13
3C047GG17
3C047GG18
4D116BC65
4D116BC67
4D116DD01
4D116FF12B
4D116KK01
4D116QA04C
4D116QA04F
4D116RR04
4D116RR16
4D116RR22
4D116UU01
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の内周側のスペースを増加させることなく、濾過効率が得られる無端環状の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置を提供する。
【解決手段】ドラム36から帯状濾材46を通して落下するクリーン液CFが受樋部材86により受けられると、クリーン液CFの液面が円形部材32a、32bの下側外周に半周にわたって沿わせられた帯状濾材46に接しないように受樋部材86の開口端92からクリーン液CFがクリーンタンク14へ流出させられる。これにより、受樋部材86を高くする必要がなく無端環状のメッシュベルト38および無端環状の帯状濾材46の内周側のスペースを増加させることがないし、受樋部材86内のクリーン液CFの液面が円形部材32a、32bの下側外周に半周にわたって沿わせた帯状濾材帯状濾材46に接しないので、クリーン液の濾過効率が得られる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平なドラム支持軸により回転可能に支持された一対の円形部材が所定の長さの連結部材を介して相互に連結されたドラムと、前記一対の円形部材の下側外周に半周にわたって沿わせる無端環状のメッシュベルトを備えたフィルタ送り装置と、前記メッシュベルトと前記一対の円形部材との間に挟まれた状態で前記フィルタ送り装置により送られる無端環状の帯状濾材と、前記帯状濾材により濾過されたクリーン液を貯留するクリーンタンクとを、備える帯状濾材を用いたドラム型濾過装置であって、
前記無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の内周側において前記ドラムの下方位置に設けられ、前記ドラムから前記帯状濾材を通して落下するクリーン液を受け、前記クリーン液の液面が前記帯状濾材に接しないように前記クリーンタンクへ流出させる開口端が形成された受樋部材を、備える
ことを特徴とする帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項2】
前記受樋部材は、前記ドラムの回転軸線方向の幅寸法よりも長く形成された矩形且つ長手状の底板と、前記底板の長手方向に平行な側縁からそれぞれ立設された一対の長手方向縁板を備えている
ことを特徴とする請求項1の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項3】
前記受樋部材は、前記長手方向の両端部のうちの一方である基端部の端縁から立設されて前記一対の長手方向縁板を接続する基端縁板を備え、前記長手方向の両端部のうちの一方である先端部の端縁には、前記開口端が形成されている
ことを特徴とする請求項2の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項4】
前記受樋部材の底板は、水平に配置されている
ことを特徴とする請求項2の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項5】
前記受樋部材には、前記長手方向の両端部のうちの一方である基端部から前記開口端に向かって前記クリーン液を噴射するフラッシングノズルが、設けられている
ことを特徴とする請求項2の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項6】
前記受樋部材の幅寸法は、前記ドラムの径よりも小さく、前記ドラムから前記帯状濾材を通して落下するクリーン液のうち、前記受樋部材により受けられないクリーン液を受けて前記受樋部材内へ流し入れるように傾斜した一対の集液板が、前記受樋部材に併設されている
ことを特徴とする請求項1の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムの下側半周に沿って連続的に送られる帯状濾材を備え、その帯状濾材にクーラントを通過させることで、クーラントに含まれる異物を除去する無端環状の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車部品、ベアリングなどの製造に際して用いられる研削盤、切削盤等の機械加工において、ドラムの下側半周に沿って連続的に送られる帯状濾材に、機械加工や研削加工に用いた使用後の汚れたクーラント(ダーティ液)を通過させることで、ダーティ液中から異物を除去することで清浄化したクリーン液を得て再利用可能とする帯状濾材を用いたドラム型濾過装置が、提案されている。たとえば、特許文献1の
図1から
図9に記載された帯状濾材を用いたドラム型濾過装置がそれである。
【0003】
上記帯状濾材を用いたドラム型濾過装置には、回転可能な水平支持軸に所定の間隔をあけて固定された一対の円形部材と、その一対の円形部材の下側半周にわたって沿わせる無端環状のメッシュベルトを備えた濾材送り装置と、メッシュベルトと各円形部材との間に挟まれた状態で連続的に送られる帯状濾材とが備えられ、帯状濾材が一対の円形部材およびメッシュベルトとともに周方向へ送られつつ、汚れたダーティ液が帯状濾材の内周側から外周側へ通されることで、清浄化されたクーラント(クリーン液)が得られるようになっている。
【0004】
ところで、特許文献1の
図1から
図9に記載の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置においては、ダーティ液を濾過する帯状濾材は、未使用の帯状濾材が巻回されたロールから引き出されて、メッシュベルトと各円形部材との間に挟まれた状態で連続的に送られた後、使用済の帯状濾材が回収ボックス内に回収されるようになっている。この帯状濾材は使い捨てであるため、ドラム型濾過装置の稼働費用が高くなり、使用済の帯状濾材を廃棄することによる環境負荷が大きくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに対して、特許文献1の
図10には、ドラム型濾過装置の稼働費用が低くでき、使用済の帯状濾材を廃棄することによる環境負荷を小さくすることができる、無端環状(エンドレス)の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置が、記載されている。このドラム型濾過装置には、クリーン液を回収するタンクを、スペース的な余裕があれば、無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の内周側に設置することが提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の
図10に示されるように、一対の円形部材の下側半周と、その一対の円形部材の下側半周に巻かれた無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の一部とが、タンク内に収容された構造であるため、タンク内に貯留されたクリーン液に一対の円形部材の下側半周に巻かれた無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の一部が浸漬される。このため、一対の円形部材の下側半周に巻かれた無端環状の帯状濾材の一部のうち、帯状濾材の円形部材側と帯状濾材のタンク側との液圧差がない面積が多くなり、濾過効率が得られないという問題があった。
【0008】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の内周側のスペースを増加させることなく、濾過効率が得られる無端環状の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、以上の事情を背景としてドラム型濾過装置について種々検討を重ねた結果、無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の内周側に設置されてクリーン液を回収するタンクに替えて、クリーン液を受けてクリーンタンクへ流出させる浅い箱型の樋部材を設けると、一対の円形部材の下側半周に巻かれた無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の一部が、樋部材内のクリーン液に浸漬されないため、無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の内周側のスペースを増加させることなく、濾過効率が得られる無端環状の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置が得られる点を見出した。本発明は、このような知見に基づいて為されたものである。
【0010】
すなわち、第1発明の要旨とするところは、(a)水平なドラム支持軸により回転可能に支持された一対の円形部材が所定の長さの連結部材を介して相互に連結されたドラムと、前記一対の円形部材の下側外周に半周にわたって沿わせる無端環状のメッシュベルトを備えたフィルタ送り装置と、前記メッシュベルトと前記一対の円形部材との間に挟まれた状態で前記フィルタ送り装置により送られる無端環状の帯状濾材と、前記帯状濾材により濾過されたクリーン液を貯留するクリーンタンクとを、備える帯状濾材を用いたドラム型濾過装置であって、(b)前記無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の内周側において前記ドラムの下方位置に設けられ、前記ドラムから前記帯状濾材を通して落下するクリーン液を受けて、前記クリーン液の液面が前記帯状濾材に接しないように開口端から前記クリーンタンクへ流出させる受樋部材を、備えることにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置によれば、前記ドラムから前記帯状濾材を通して落下するクリーン液が前記受樋部材により受けられると、前記クリーン液の液面が前記円形部材の下側外周に半周にわたって沿わせられた前記帯状濾材に接しないように前記受樋部材の開口端からクリーン液が前記クリーンタンクへ流出させられる。これにより、受樋部材を高くする必要がなく無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の内周側のスペースを増加させることがないし、受樋部材内のクリーン液の液面が前記円形部材の下側外周に半周にわたって沿わせられた前記帯状濾材に接しないので、クリーン液の濾過効率が得られる。
【0012】
ここで、好適には、前記受樋部材は、前記ドラムの回転軸線方向の幅寸法よりも長く形成された矩形且つ長手状の底板と、前記底板の長手方向に平行な側縁からそれぞれ立設された一対の長手方向縁板を備えている。これにより、前記受樋部材の長手方向の両端部のうちの少なくとも一方に前記開口端が設けられるので、前記受樋部材内のクリーン液を滞留させないで前記開口端から流出させることができる。
【0013】
また、好適には、前記受樋部材は、前記長手方向の両端部のうちの一方である基端部の端縁から立設されて前記一対の長手方向縁板を接続する基端縁板を備え、前記長手方向の両端部のうちの一方である先端部の端縁には、縁板が立設されていないか或いは立設されていても前記クリーン液が通過可能に不連続していて、前記開口端が形成されている。これにより、前記受樋部材内に受けられたクリーン液は、専ら、前記開口端から流出させられる。
【0014】
また、好適には、前記受樋部材の底板は、水平に配置されている。これにより、無端環状のメッシュベルトおよび無端環状の帯状濾材の内周側のスペースを増加させることがない。
【0015】
また、好適には、前記受樋部材には、前記受樋部材の前記基端部から前記開口端に向かって前記クリーン液を噴射するフラッシングノズルが、設けられている。これにより、前記受樋部材内に滞留しやすいスラッジが前記開口端から流出させられるので、受樋部材の定期清掃の周期を長くすることができる。
【0016】
また、好適には、前記受樋部材の基端部の端縁に立設された基端側縁板には、前記フラッシングノズルが固定されている。これにより、前記受樋部材と共にフラッシングノズルをドラム型濾過装置から取り外すことができる。
【0017】
また、好適には、前記受樋部材の幅寸法は、前記ドラムの径よりも小さく、前記ドラムから前記帯状濾材を通して落下するクリーン液のうち、前記受樋部材により受けられないクリーン液を受けて前記受樋部材内へ流し入れるように傾斜した一対の集液板が、前記受樋部材に併設されている。これにより、前記帯状濾材の前記長手方向に直交する幅寸法を、前記ドラムから前記帯状濾材を通して落下するクリーン液を全部受ける寸法とする場合に比較して、小さくできるので、ドラム型濾過装置を小型化できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置の構成をその断面を用いて説明する模式図である。
【
図2】
図1のドラム型濾過装置のドラムを回転可能に支持する支持軸および受樋部材を説明する図であって、
図1のII-II視断面図である。
【
図3】
図2流入緩衝箱の構成を説明する断面図である。
【
図4】
図1のドラム型濾過装置の受樋部材を説明する平面図である。
【
図5】
図4の受樋部材に設けられたフラッシュノズルを示す平面図である。
【
図6】
図4の受樋部材に設けられるフラッシュノズルの他の例を示す平面図である。
【
図7】
図4の受樋部材に設けられるフラッシュノズルの他の例を示す平面図である。
【
図8】
図4の受樋部材に設けられたフラッシュノズルの他の例を示す平面図である。
【
図9】本発明の他の実施例の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置のスラッジ脱液分離装置の構成をその断面を用いて説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化して描いた模式図であり、各部の形状、寸法比等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例0020】
図1は、本発明の一実施例の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置(以下、濾過装置という)10の側面図であって、濾過装置10の幅方向の中央を通る垂直面で切断した断面で示す模式図である。
図1において、濾過装置10は、前壁12cと、後壁12dと、前壁12cおよび後壁12dを連結する左右一対の側壁12a、12bと、前壁12c、後壁12d、および一対の側壁12a、12bにより囲まれた空間の開口を上側から閉じる上壁12eと、底壁12fと、を有するケース12を、浄化後のクーラントすなわちクリーン液CFを貯留するクリーンタンク14上に備えている。
【0021】
底壁12fの後壁12d側の端部には切欠16が形成されており、その切欠16下には、上側に開口してスラッジSGを収容するためのスラッジ収容容器18が、配設されている。ケース12内には、ケース12内をドラム36およびフィルタ送り装置40等を収容する前側空間S1と、スラッジ脱液分離装置22を収容する後側空間S2とに仕切るための隔壁12gが設けられている。
【0022】
濾過装置10は、ドラム36を回転可能に支持するために、一対の側壁12a、12b間に水平に掛け渡された円筒状のドラム支持軸30と、ドラム支持軸30により回転可能に支持された一対の円形部材32a、32bが所定の長さの長手状の連結部材34を介して一定の間隔を隔てて相対向する状態で相互に連結された円筒状のドラム36と、一対の円形部材32a、32bの下側外周に半周にわたって沿わせた無端環状のメッシュベルト38を備えたフィルタ送り装置40とを、備えている。ドラム36の回転中心線CLは、円筒状のドラム支持軸30の中心線でもある。
【0023】
フィルタ送り装置40は、ドラム36を囲むように設けられ、且つ無端環状のメッシュベルト38が巻き掛けられた駆動ローラ42および3本の従動ローラ44a、44b、44cを備え、駆動ローラ42が電動機Mにより回転駆動されると、無端環状のメッシュベルト38およびドラム36が回転させられる。これにより、メッシュベルト38と一対の円形部材32a、32bとの間に一部が挟まれた無端環状の帯状濾材46が、フィルタ送り装置40により送られるようになっている。無端環状の帯状濾材46は、たとえば不織布、織布、濾紙などの濾材からなる帯状フィルタである。また、メッシュベルト38は、多数の網目を有する金属メッシュ或いは合成繊維或いは炭素繊維製や、複合材料製のメッシュである。
【0024】
上記3本の従動ローラ44a、44b、44cのうち、従動ローラ44cは駆動ローラ42と同等以上の高さに位置させられており、一対の従動ローラ44a、44bは、ドラム36の下方へドラム36よりも所定距離隔てた高さ位置に水平方向に所定距離隔てて位置させられている。フィルタ送り装置40からスラッジ脱液分離装置22へ送られた帯状濾材46は、一対の従動ローラ44a、44bの下側へ回帰し、従動ローラ44cを経て再びメッシュベルト38と一対の円形部材32a、32bとの間に挟まれる。
【0025】
円筒状のドラム支持軸30は、クーラントが用いられている研磨盤や研削盤から排出されるダーティ液DFを、ドラム36内において帯状濾材46上に流入させる。これにより、ドラム36内において帯状濾材46上に滞留するダーティ液DFが帯状濾材46を通して下方へ通過させられるので、帯状濾材46の外周面にはスラッジSGが堆積させられる。
【0026】
図2は、ドラム36を回転可能に支持するドラム支持軸30を説明する図であって、
図1のII-II視の垂直断面図である。
図2では、メッシュベルト38および帯状濾材46がドラム36に巻かれていない状態を示している。
図2に示すように、水平な回転軸線C1と同心に位置するように、円筒状のドラム支持軸30の先端部(右端部)30aおよび基端部(左端部)30bが一対の側壁12a、12bにそれぞれ締結された右左一対の支持フランジ48a、48bにより貫通状態で支持され、支持フランジ48a、48bのうちのドラム支持軸30の先端部30a側の支持フランジ48aにドラム支持軸30の径方向に螺進するように設けられた押しねじ50により、ドラム支持軸30が着脱可能にケース12に取り付けられている。ドラム支持軸30の基端部30bには、図示しない研削盤から排出されたクーラントすなわちダーティ液DFを導くダーティ配管52が接続されており、ドラム支持軸30の長手方向(回転軸線C1方向)の中間部30cに形成された長手状の排出口30dからダーティ液DFがケース12内に流入させられるようになっている。
【0027】
ドラム36は、ドラム支持軸30上において、一対の円形部材32a、32bと一対の側壁12a、12bとの間に一対の円筒状のカラー52a、52bが介在させられることにより、一対の側壁12a、12bから離隔するように位置決めされている。
【0028】
ドラム支持軸30の中間部30cには、流入緩衝箱54が長手状の排出口30dを覆うように取り付けられている。流入緩衝箱54は、流入緩衝箱54から回転軸線C1方向に突き出す耳部56a、56bがボルト60によりドラム支持軸30に締結されることにより、着脱可能に固定されている。ワイヤWは、
図1に示す液面センサ68とモータ制御装置70とを接続する電線である。
【0029】
図3は、流入緩衝箱54の内部を説明する、
図2のIII-III視断面図である。
図3に示すように、流入緩衝箱54は、水平方向にドラム支持軸30の排出口30dより長い長手状の上板54e、底板54f、前板54c、および後板54dと、それらにより囲まれた長手状の空間を右左から閉じる一対の端板54a、54bと、を有する直方体を成している。また、流入緩衝箱54は、ダーティ液DFの流れる方向を変換する斜板62と、ダーティ液DFの流速を抑制する所定高さの堰板64と、を備えている。
【0030】
流入緩衝箱54の斜板62は、前板54cの下端縁から後板54d側へ斜め下方に突設され、ドラム支持軸30の排出口30dから流れ落ちるダーティ液DFを受けてその方向を後板54d側へ向う方向に変換する。流入緩衝箱54の堰板64は、斜板62から落下し且つ後板54dから反転して底板54f上を流動するダーティ液DFの流れに対して交差する方向たとえば回転軸線C1に平行な方向に底板54fに設けられ、底板54f上をそれに沿って流れるダーティ液DFの流速を抑制する。斜板62および堰板64は、流入緩衝箱54の長手寸法と同等の長手形状を有している。よって、斜板62および堰板64は排出口30dの長手寸法L1よりも大きい幅寸法L2を有している。
【0031】
流入緩衝箱54には、前板54cの下端縁と堰板64との間に、長手状に開口し、堰板64を超えたダーティ液DFを流出させる流出口66が形成されている。流入緩衝箱54において、ドラム支持軸30に形成された排出口30dから排出されたダーティ液DFは、斜板62により受けられて方向変換させられ、さらに後板54dに衝突して方向が反転させられることで流速が緩和され、さらに堰板64により滞留させられて乱流が消去された後、その堰板64を超えて流出口66から流出させられる。これにより、流入緩衝箱54の流出口66から流出させられるダーティ液DFは、ドラム36の下側半周に巻き付けられた往路側帯状部材46f上に滞留しているダーティ液DFの液面Lに、緩やかに流入させられるようになっている。
【0032】
図1に戻って、フィルタ送り装置40は、ドラム支持軸30に設けられ、ドラム36内において帯状濾材46上に滞留するダーティ液DFの液面を検出する液面センサ68と、駆動ローラ42の回転を制御するモータ制御装置70とを備え、液面センサ68により検出された液面が予め設定された液面高さとなるように電動機Mによる駆動ローラ42の回転量を調節して、帯状濾材46の送り速度を適切に制御する。
【0033】
スラッジ脱液分離装置22は、後側空間S2内において、フィルタ送り装置40から略水平方向に送出された帯状濾材46の外周面に堆積したスラッジSGを連続的に挟圧する一対の挟圧ローラ72と、挟圧ローラ72の斜め下方に位置し、垂直方向に所定の間隔を隔てた一対の案内ローラ74および76と、一対の案内ローラ74および76の間に位置する帯状濾材46の外周面に堆積するスラッジSGであって挟圧ローラ72により脱液され後のケーキ状のスラッジSGを帯状濾材46の外周面から分離する回転ブラシ78と、回転ブラシ78よりも下流側位置において帯状濾材46内周面からの空気或いはクーラント等の流体の噴射により帯状濾材46の外周面に付着したスラッジSGを分離する噴射ノズル80とを、備える。帯状濾材46の外周面上のスラッジSGの挟圧により挟圧ローラ72から帯状濾材46を通して落下したクリーン液CFは、側壁12aおよび12bの一方に貫通して形成された側面開口82からクリーン液案内通路84を介してクリーンタンク14内に流入させられる。
【0034】
一対の挟圧ローラ72の間で帯状濾材46を挟圧するために、一対の挟圧ローラ72は、好適には、一対の挟圧ローラ72のうちのすくなくとも一方のローラが径方向に弾性変形可能な材質例えば合成ゴム等の弾性部材を備えるように構成される。或いは、一対の挟圧ローラ72のうちの一方の軸受が他方の軸受に向かって付勢されるローラ付勢機構が備えられる。
【0035】
図1、
図2に示すように、ドラム36の下方において、無端環状の帯状濾材46のうちの、メッシュベルト38と一対の円形部材32a、32bとの間に挟まれて送られた回転ブラシ78までの往路側帯状濾材46fと、スラッジ脱液分離装置22の回転ブラシ78を通過したドラム36までの復路側帯状濾材46bとの間であって、無端環状のメッシュベルト38の内周側のスペースには、ドラム36内において帯状濾材46上に滞留するダーティ液DFが往路側帯状濾材46fを通して下方へ落下したクリーン液CFを受ける受樋部材86が、濾過装置10の側壁12aおよび側壁12bにそれぞれ貫通して形成された一対の取付穴88に嵌め入れられることにより、水平に配設されている。
【0036】
受樋部材86は、側壁12aおよび側壁12bの間隔よりも大きい長手寸法を有し、取り付け状態では、受樋部材86の先端および基端が側壁12aおよび側壁12b形成された一対の取付穴88から外側へそれぞれ突き出している。受樋部材86は、一対の取付穴88に対して抜き差し可能とされている。
【0037】
図1に示すように、受樋部材86は、ドラム36の径よりも十分に小さい前後方向の幅寸法で、且つ、
図2、
図4に示すように、ドラム36の回転軸線C1方向の幅よりも十分に大きい矩形の水平な底板86aと、底板86aの側端縁からそれぞれ立設された所定高さの一対の長手方向縁板86bと、底板86aの基端縁から立設された長手方向縁板86bと同じ高さの基端側縁板86cと、受樋部材86の幅方向の等間隔で且つ受樋部材86の先端側端縁である開口端92に向かって基端側縁板86cに固定された複数個(本実施例では5個)のフラッシュノズル90とを備えている。フラッシュノズル90は、受樋部材86の先端側端縁である開口端92に向かってクリーン液CFを噴射し、受樋部材86上のスラッジを移動させる。
【0038】
受樋部材86は、比較的浅い箱状のトレー形状を成している。受樋部材86は、その先端側端縁に沿って縁板が立設されておらず、或いはその先端側端縁に沿って縁板があっても高さが長手方向縁板86bに対して不連続で低く設定されていて、受樋部材86が受けたクリーン液CFを通過させる開口端92を有している。受樋部材86が受けたクリーン液CFは、先端側の開口端92を通過して落下し、クリーン液通路94を通してクリーンタンク14内へ落下させられるので、メッシュベルト38の内側の狭いスペースであっても、受樋部材86内のクリーン液CFの液面はドラム36の下側半周に巻き付けられた往路側帯状濾材46fに接することがないように、ドラム36の下側半周に巻き付けられた往路側帯状濾材46fと受樋部材86との間に空間が形成されている。
【0039】
受樋部材86は、無端環状のメッシュベルト38および帯状濾材46内においてドラム36直下の狭いスペース内においては水平配置されるか、せいぜい緩い傾斜でしか配置されることはできないことから、スラッジSGが溜まり易いため、電動ポンプ96により圧送されたクリーンタンク14内のクリーン液CFがフラッシュノズル90から受樋部材86の先端側端縁に向かって噴射される。これにより、受樋部材86の高さが小さくでも、クリーン液CFがクリーンタンク14内へ流されるので、ドラム36とクリーンタンク14との間の空間を小さくでき、濾過装置10をコンパクトに構成することができる。
【0040】
受樋部材86の長手方向に直交する幅寸法は、ドラム36の径よりも小さく、ドラム36から往路側帯状濾材46fを通して下方へ落下したクリーン液CFのうち、受樋部材86により受けられないクリーン液を受けて受樋部材86へ流し込むように下方へ向かうほど互いに接近する互いに傾斜した一対の集液板98が、ドラム型濾過装置10の前後方向において受樋部材86の両側に位置した併設状態で、一対の側壁12a、12bに固設されている。一対の集液板98は、下方に向かうほど互いに接近するように傾斜させられている。
【0041】
図5は、フラッシュノズル90を拡大して示す平面図である。このフラッシュノズル90は、クリーン液CFを受樋部材86の先端側端縁に向かって直線状に噴射するので、複数個のフラッシュノズル90からは、5本の円形断面の噴射線が平行に形成される。このフラッシュノズル90に替えて、
図6に示すフラッシュノズル100、
図7に示すフラッシュノズル102、
図8に示すフラッシュノズル104が用いられてもよい。フラッシュノズル100は、クリーン液CFを放射状に噴射する。この場合には、フラッシュノズル100の個数を減少させることができる。フラッシュノズル102は、クリーン液CFを偏平な断面で噴射する。この場合には、スラッジSGを移動させるに有効な噴射が得られるので、噴射するクリーン液CFを少なくできる。フラッシュノズル104は、クリーン液CFを櫛状に偏平に並んだ幅広な噴射線で噴射する。この場合には、フラッシュノズル104の個数を減少させることができ、噴射するクリーン液CFを少なくできる。
【0042】
上述のように、本実施例の濾過装置10によれば、ドラム36から帯状濾材46を通して落下するクリーン液CFが受樋部材86により受けられると、クリーン液CFの液面が円形部材32a、32bの下側外周に半周にわたって沿わせられた帯状濾材46に接しないように受樋部材86の開口端92からクリーン液CFがクリーンタンク14へ流出させられる。これにより、受樋部材86を高くする必要がなく無端環状のメッシュベルト38および無端環状の帯状濾材46の内周側のスペースを増加させることがないし、受樋部材86内のクリーン液CFの液面が円形部材32a、32bの下側外周に半周にわたって沿わせた帯状濾材帯状濾材46に接しないので、クリーン液の濾過効率が得られる。
【0043】
また、本実施例の濾過装置10によれば、受樋部材86は、ドラム36の回転軸線方向の幅寸法よりも長く形成された矩形且つ長手状の底板86aと、底板86aの長手方向に平行な側縁からそれぞれ立設された一対の長手方向縁板86bとを備えている。これにより、受樋部材86の長手方向の両端部のうちの少なくとも一方に開口端92が設けられるので、受樋部材86内のクリーン液CFを滞留させないで開口端92から流出させることができる。
【0044】
また、本実施例の濾過装置10によれば、受樋部材86は、長手方向の両端部のうちの一方である基端部の端縁から立設されて一対の長手方向縁板86bを接続する基端縁板86cを備え、長手方向の両端部のうちの一方である先端部の端縁には、縁板が立設されていないか、或いは立設されていても前記クリーン液が通過可能に縁板の高さが不連続に低くされていて、開口端92が形成されている。これにより、受樋部材86内に受けられたクリーン液CFは、専ら、開口端92から流出させられる。
【0045】
また、本実施例の濾過装置10によれば、受樋部材86の底板86aは、水平に配置されている。これにより、無端環状のメッシュベルト38および無端環状の帯状濾材46の内周側のスペースを増加させることがない。
【0046】
また、本実施例の濾過装置10によれば、受樋部材86には、受樋部材86の基端部から開口端に向かってクリーン液CFを噴射するフラッシングノズル90が、設けられている。これにより、受樋部材86内に滞留しやすいスラッジSGが開口端92から流出させられるので、受樋部材86の定期清掃の周期を長くすることができる。
【0047】
また、本実施例の濾過装置10によれば、受樋部材86の基端部の端縁に立設された基端側縁板86cには、複数個のフラッシングノズル90が固定されている。これにより、受樋部材86と共にフラッシングノズル90をドラム型濾過装置10から取り外すことができる。
【0048】
また、本実施例の濾過装置10によれば、受樋部材86の幅寸法は、ドラム36の径よりも小さく、ドラム36から帯状濾材46を通して落下するクリーン液CFのうち、受樋部材86により受けられないクリーン液CFを受けて受樋部材86内へ流し入れるように傾斜した一対の集液板98が、受樋部材86に併設されている。これにより、帯状濾材86の長手方向に直交する幅寸法を、ドラム36から帯状濾材46を通して落下するクリーン液CFを全部受ける寸法とする場合に比較して、小さくできるので、ドラム型濾過装置10を小型化できる利点がある。
本実施例のスラッジ脱液分離装置24では、往路側帯状濾材46fが案内ローラ108に到達する前に、往路側帯状濾材46fの外周面に付着したスラッジSGが挟圧ローラ72により脱液されて、ケーキ状とされる。また、往路側帯状濾材46fが案内ローラ108を通過する過程の鋭角の回曲でスラッジに亀裂が形成されるので、回転ブラシ78および噴射ノズル80による帯状濾材46からのスラッジSGの剥離効率が高められる。
また、前述の実施例において、受樋部材86には、5個のフラッシュノズル90が設けられていたが、必ずしも5個でなくてもよく、4個以下であってもよいし、設けられていなくてもよい