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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059515
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】繰り出し容器及び内側筒部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240423BHJP
   A45D 40/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B65D83/00 C
A45D40/00 R
A45D40/00 T
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167237
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】397024627
【氏名又は名称】株式会社シービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】山本 敏子
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014AC04
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、内側筒部材の消耗剤が外気に触れることを抑制できる、繰り出し容器及び内側筒部材を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明は、外側筒部材と内側筒部材と蓋部材を備え、内側筒部材は中央パッキンを備え、蓋部材には蓋パッキンを備え、内側筒部材の内筒部と中央パッキンとが接触しかつ蓋パッキンと内側筒部材の内側壁部材の上端部が接触した状態で外側筒部材の外側固定部と蓋部材の蓋側固定部とが連結固定されることにより、蓋パッキンと、内側壁部材と、内側筒部材の内側環状部材と、内筒部と、内側筒部材の中央部材と、中央パッキンとで囲まれた密閉空間が形成されることを特徴とする繰り出し容器。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側筒部材と内側筒部材と蓋部材を備え、
前記内側筒部材は中央パッキンを備え、
前記蓋部材には蓋パッキンを備え、
前記内側筒部材の内筒部と前記中央パッキンとが接触しかつ前記蓋パッキンと内側筒部材の内側壁部材の上端部が接触した状態で外側筒部材の外側固定部と蓋部材の蓋側固定部とが連結固定されることにより、前記蓋パッキンと、前記内側壁部材と、前記内側筒部材の内側環状部材と、前記内筒部と、前記内側筒部材の中央部材と、前記中央パッキンとで囲まれた密閉空間が形成されることを特徴とする繰り出し容器。
【請求項2】
前記外側筒部材の底部には、解除部材が収容される解除部材収容空間を備えることを特徴とする、請求項1に記載の繰り出し容器。
【請求項3】
前記解除部材は、前記外側筒部材から脱落しないように脱落防止片を備えることを特徴とする、請求項2に記載の繰り出し容器。
【請求項4】
請求項1に記載の繰り出し容器に使用される内側筒部材であって、
前記内側筒部材は中央パッキンと密閉部材とを備え、
前記密閉部材と、前記内側筒部材の前記内側壁部材と、前記内側筒部材の内側環状部材と、前記内側筒部材の前記内筒部と、前記内側筒部材の中央部材と、前記中央パッキンとで囲まれた密閉空間が形成されることを特徴とする内側筒部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り出し容器及び内側筒部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
棒状の化粧品等が収容された容器であって、外側筒部材を内側筒部材に対して回転させることで、棒状の化粧品等が容器から迫出すように露出したり、収納されたりする繰り出し容器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、繰り出し容器の外側筒部材(アウター管5)と内側筒部材(インナー管3)との固定状態を解除するプッシュボタン46を備えた繰り出し装置が開示されている。特許文献1の繰り出し容器は、プッシュボタン46を上側に押し上げることにより、リップ42が外側筒部材(アウター管5)から外れ、内側筒部材(インナー管3)が取り外せるような構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平09-512516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される繰り出し容器では、取り外し可能な構造となっていることから、外側筒部材(アウター管5)と内側筒部材(インナー管3)と蓋部材(クロージャーキャップ23)との間に隙間を有する状態となっている虞があり、内側筒部材(インナー管3)の消耗剤(塗布物4)が外気に触れてしまうことを避けたいものの場合、特許文献1の構造では採用しがたい。
【0006】
そこで、本発明の課題は、内側筒部材の消耗剤が外気に触れることを抑制できる、繰り出し容器及び内側筒部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、内側筒部材に中央パッキンと、蓋部材に蓋パッキンを備え、蓋パッキンと、内側壁部材と、内側筒部材の内側環状部材と、内筒部と、内側筒部材の中央部材と、中央パッキンとで囲まれた密閉空間が形成される繰り出し容器とすることで、上部空間に収容された消耗剤が外気と触れることを抑制することができることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の内側筒部材着脱具及び繰り出し容器である。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の繰り出し容器は、外側筒部材と内側筒部材と蓋部材を備え、内側筒部材は中央パッキンを備え、蓋部材には蓋パッキンを備え、内側筒部材の内筒部と中央パッキンとが接触しかつ蓋パッキンと内側筒部材の内側壁部材の上端部が接触した状態で外側筒部材の外側固定部と蓋部材の蓋側固定部とが連結固定されることにより、蓋パッキンと、内側壁部材と、内側筒部材の内側環状部材と、内筒部と、内側筒部材の中央部材と、中央パッキンとで囲まれた密閉空間が形成されることを特徴とする。
この繰り出し容器によれば、蓋パッキンと、内側壁部材と、内側筒部材の内側環状部材と、内筒部と、内側筒部材の中央部材と、中央パッキンとで囲まれた密閉空間が形成されることから、消耗剤が外気に触れることを抑制できる効果がある。
【0009】
また、本発明の繰り出し容器の一実施態様としては、外側筒部材の底部には、解除部材が収容される解除部材収容空間を備えることを特徴とする。
この繰り出し容器によれば、解除部材収容空間に解除部材が収容されることから、繰り出し容器が台等の平らな場所に置かれた場合であっても、誤って解除してしまうことを抑制できる。
【0010】
また、本発明の繰り出し容器の一実施態様としては、解除部材は、外側筒部材から脱落しないように脱落防止片を備えることを特徴とする。
この繰り出し容器によれば、解除部材が脱落防止片を有することにより、外側筒部材から脱落しにくくなり、使用中に紛失する虞を低減できる効果がある。
【0011】
さらに、本発明の内側筒部材の一実施態様としては、繰り出し容器に使用される内側筒部材であって、内側筒部材は中央パッキンと密閉部材とを備え、密閉部材と、内側筒部材の内側壁部材と、内側筒部材の内側環状部材と、内側筒部材の内筒部と、内側筒部材の中央部材と、中央パッキンとで囲まれた密閉空間が形成されることを特徴とする。
この内側筒部材によれば、交換用の内側筒部材として流通させる際に、消耗剤の収容された上部空間を密閉空間として維持することができることから、消耗剤が外気に触れることを抑制できる効果がある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蓋パッキンと、内側壁部材と、内側筒部材の内側環状部材と、内筒部と、内側筒部材の中央部材と、中央パッキンとで囲まれた密閉空間が形成される繰り出し容器とすることで、上部空間に収容された消耗剤が外気と触れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施態様に係る繰り出し容器の構成を示す概略図である。
図2】本発明の第1の実施態様に係る繰り出し容器の外側筒部材及び解除部材の構成を示す概略図である。
図3】本発明の第1の実施態様に係る繰り出し容器の内側容器の構成を示す概略図である。
図4】本発明の第1の実施態様に係る繰り出し容器の内側容器の分解した状態の構成を示す概略図である。
図5】本発明の第1の実施態様に係る繰り出し容器の蓋部材の断面図を示す概略図である。
図6】本発明の第1の実施態様に係る繰り出し容器において、密閉空間が確保されてた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施態様について図面を参照しながら説明する。本発明の繰り出し容器は、外側筒部材と内側筒部材と解除部材と蓋部材とを備える。なお、本発明の外側筒部材と解除部材とを備える構造は、内側筒部材着脱具に該当する。
なお、本発明の繰り出し容器は、解除部材を備えていなくてもよいが、解除部材を備えた場合を例示して説明する。繰り出し容器が解除部材を有することにより、消耗剤が使用された後に内側筒部材ごと交換可能とすることができる点で利便性が向上する。
また、本発明の内側筒部材の取り外し方法の発明については、以下の繰り出し容器の構成並びに固定状態の解除作業の説明に置き換えるものとする。また、この実施態様は、本発明を限定するものではない。
【0015】
〔第1の実施態様〕
図1は、本発明の第1の実施態様に係る繰り出し容器1の構成を示す概略図である。
[繰り出し容器]
本実施態様の繰り出し容器1は、外側筒部材2と内側筒部材3と解除部材4と蓋部材5を備える。
繰り出し容器1は、円柱状の容器であって、外側筒部材2を内側筒部材3に対して周方向に回転させると内側筒部材3に収容された化粧料等の消耗剤36が外側筒部材2及び内側筒部材3よりも上方に繰り出し使用可能な状態となったり、外側筒部材2の内部に収容状態となったりする容器である。
また、繰り出し容器1は、外側筒部材2と内側筒部材3とが周方向に回転可能かつ上下方向に抜けないように固定された状態で使用され、消耗剤36が使用されてなくなった場合、外側筒部材2と内側筒部材3との固定状態を解除部材4で解除し、新たな内側筒部材3に交換することが可能な容器である。
外側筒部材2と内側筒部材3と解除部材4との材質は特に限定されず、例えば、樹脂や金属又はこれらを組み合わせて適用が可能である。
なお、外側筒部材2と解除部材4とは、本発明の内側筒部材着脱具6に該当する。
【0016】
(外側筒部材)
図2に示すように、外側筒部材2は、外側壁部材21と、外側底部材22と、外側内部空間23と、解除部材収容空間24と外側固定部29(図1(A)図参照)を備える。
【0017】
<外側壁部材>
外側壁部材21は、筒状の部材であり、外側壁部材21の内壁から内部に突出して、筒状の部材の底を形成するように外側底部材22が設けられる。
<外側底部材>
外側底部材22は、中央連結部25と結合突起部26と結合部27と貫通孔28を備える。
【0018】
≪中央連結部≫
中央連結部25は、後述する内側筒部材3の中央被連結部357と連結し、外側筒部材2が周方向に回転させられた際に、内側筒部材3の中央部材35に回転させる力を伝える機能を有する。
中央連結部25は、上記機能を有するものであれば、特に構造は限定されないが、例えば、中央連結部25を上方に突出する円柱状に設け、その周面に周方向に凹凸が設けられた歯車の構造とし、中央被連結部357(図4参照)として、内側筒部材3の底部から上方に凹む円柱状の窪みを設け、その窪みの内壁の周面に周方向に凹凸を設け、上方から挿入して嵌合する構造や、中央連結部25と中央被連結部357とにローレット加工と呼ばれる回り止め加工を行うことが例示できる。
【0019】
≪結合突起部≫
結合突起部26は、結合部27を備え、外側底部材22から上方に突出する突出片として設けられる。
結合突起部26の上端部は、弾性的に外側筒部材2の直径方向に変化可能であり、外側筒部材2と内側筒部材3との固定状態を解除する際に、結合部27と内側筒部材3の被結合部323との引っ掛かりを解除するように変化する。
結合突起部26は、外側壁部材21との間に空間を確保するように間隔を開けて設けられる。また、結合突起部26は、外側筒部材2と内側筒部材3との固定状態において、中央連結部25との間に空間を確保するように間隔を開けて設けられる。これらの空間は、固定状態の解除の際に、弾性的に結合突起部26が変化した際の逃げ場となる空間である。
結合突起部26は、周方向に間隔を開けて複数配置される。結合突起部26を配置する個数は、特に限定されることはなく、2つ、3つ、4つ以上であってもよい。
結合突起部26の上部には、外側筒部材2の被結合部323と引っかかるように凸状の結合部27が設けられる。
【0020】
≪結合部≫
結合部27は、後述する内側筒部材3の被結合部323と嵌合状態となり、外側筒部材2と内側筒部材3とを周方向に回転可能かつ上下方向に移動しないように固定する。
【0021】
≪貫通孔≫
貫通孔28は、上下方向に貫通する孔であって、周方向に間隔を開けて配置され、後述する解除部材4の解除突起42が通過しかつ解除部材4の解除基部41が通過しない大きさの孔である。
貫通孔28は、固定状態において、解除部材4が押し上げられた際に解除突起42が被結合部323と接触するように被結合部323の下方に位置に配置される。
【0022】
<外側内部空間>
外側内部空間23は、外側壁部材21と外側底部材22とで囲まれかつ上部に開放された空間である。外側内部空間23は、内側筒部材3が上方から挿入され、収容可能な空間である。
【0023】
<解除部材収容空間>
解除部材収容空間24は、外側壁部材21と外側底部材22とで囲まれかつ下方に開放された空間である。解除部材収容空間24は、解除部材4が収納可能な空間であって、外側筒部材2と内側筒部材3とが固定された状態において、外側壁部材21の底部よりも突出しない状態で収容可能な空間であることが望ましい。
解除部材収容空間24を備えることにより、繰り出し容器1が平らな台などに置かれた場合、解除部材4が台と接触し、上方に押し上げられないような空間を有することで、意図せず固定状態を解除してしまうことを防止できる効果を有する。
【0024】
<外側固定部>
外側固定部29は後述する蓋部材5の蓋側固定部53と連結固定し、外側筒部材2と蓋部材5とが互いに離れないようになる機能を有すれば、どのような構造であってもよい。具体的には、例えば、外側壁部材21の外周面にねじ溝が設けられた構造が例示できる。
【0025】
(内側筒部材)
図3及び図4に示すように、内側筒部材3は、内側壁部材31と、内側底部材32と、上部空間33と、下部空間34と、中央部材35と、消耗剤36と、密閉部材37とを備える。
なお、図3は、外側筒部材2に取り付けられていない交換用の内側筒部材3の状態を示している。また、図4は、内側筒部材3の分解図であり、消耗剤36は図示していない。
【0026】
〈内側壁部材〉
内側壁部材31は、筒状の部材であり、内側壁部材31の内壁から内部に突出するように内側底部材32が設けられる。
【0027】
〈内側底部材〉
内側底部材32は、内側環状部材321と、被結合突起部322と、被結合部323と、内筒部324と、内筒環状部材325と、貫通孔326を備える。
【0028】
≪内側環状部材≫
内側環状部材321は、内側壁部材31の内壁から内部に突出するように、一つのつながった環状に設けられ、被結合突起部322と内筒部324とが設けられる。
【0029】
≪被結合突起部≫
被結合突起部322は、被結合部323を備え、内側環状部材321から下方に突出する突出片として設けられる。
被結合突起部322は、弾性的に変化可能であり、外側筒部材2と内側筒部材3との固定状態を解除する際に、被結合部323と外側筒部材2の結合部27との引っ掛かりを解除するように変化する。
被結合突起部322は、外側筒部材2と内側筒部材3との固定状態において、内側壁部材31との間に空間を確保するように間隔を開けて設けられる。また、被結合突起部322は、中央部材35との間に空間を確保するように間隔を開けて設けられる。これらの空間は、固定状態の解除の際に、弾性的に被結合突起部322が変化した際の逃げ場となる空間である。
被結合突起部322は、周方向に連続した一つの環状に配置される。
被結合突起部322の下部には、結合部27と引っかかるように凹状の被結合部323が設けられる。
【0030】
≪被結合部≫
被結合部323は、外側筒部材2の結合部27と固定状態となり、外側筒部材2と内側筒部材3とを周方向に回転可能かつ上下方向に移動しないように固定する。
被結合部323は、固定状態において、解除部材4が押し上げられた際に解除部材4の解除突起42の先端部が接触するように解除突起42の上方の位置に配置されるか、または、被結合突起部322を弾性的に変化させ、外側筒部材2と内側筒部材3の固定状態を解除させることができるような位置に配置される。
【0031】
≪内筒部≫
内筒部324は、内側環状部材321の軸心の側の部分から上方に突出するように、周方向に連続した一つの筒状に設けられる。内筒部324の内部の空間は、中央部材35が収容される空間であり、その空間には、内筒部324と後述する中央部材35の中央パッキン355とが周方向に擦り動くように配置される。
内筒部324の上部には、内筒環状部材325が設けられる。
なお、中央パッキン355は、内側環状部材321と擦り動く位置に配置されてもよい。
【0032】
≪内筒環状部材≫
内筒環状部材325は、貫通孔326を囲むように内筒部324の上部から内側方向に突出しかつ周方向に間隔を開けて、複数個の突出片として設けられる。なお、突出片の個数は、特に限定されないが、貫通孔326の直径が大きくなるように弾性変化するように設けられる。
内筒環状部材325は、中央部材35が下方から挿入された際に、後述する中央基部352の上部部分が通過する際、弾性的に押し広げられるように変化し、環状凹部353に嵌まり込むように弾性力で戻ることで、中央部材35を上下方向に抜けないように固定するためのものである。
【0033】
≪貫通孔≫
貫通孔326は、後述する中央部材35のねじ部材351と中央基部352の上部を通過させ、ねじ部材351が内筒環状部材325よりも上部に突出する位置となるように通過させるための孔である。
【0034】
〈上部空間33〉
上部空間33は、内側壁部材31と内側底部材32(内側環状部材321と内筒部324と中央部材35と中央パッキン355)とで囲まれかつ上部に開放された空間である。なお、上部空間33は、内側底部材32の内筒部324の内壁と、中央パッキン355とが周方向に擦り動く状態となっていることから、内側底部材32は、隙間のない密閉された状態として形成される。
上部空間33は、後述する中央部材35のねじ部材351と、中央基部352の環状凹部353よりも上部部分と、皿部材358とが収容される空間である。
【0035】
〈下部空間34〉
下部空間34は、後述する中央部材35の中央基部352の環状凹部353よりも下部部分が収容される空間である。また、下部空間34は、外側筒部材2と内側筒部材3とが固定された状態において、外側筒部材2の中央連結部25と、結合突起部26と、結合部27とが収容される空間でもある。
【0036】
〈中央部材35〉
中央部材35は、ねじ部材351と、中央基部352と、皿部材358とを備える。中央部材35は、ねじ部材351と中央基部352とが、内側底部材32の下方から挿入された後、消耗剤36を備えた皿部材358が上方からねじ部材351とねじ結合で設置され、消耗剤36が外側筒部材2及び内側筒部材3よりも上方に繰り出したり、内側筒部材3の内部に収容したりする機構を備える部材である。
【0037】
≪ねじ部材≫
ねじ部材351は、円柱状の棒状の部材であり、表面にねじ溝が設けられる。ねじ部材は、後述する皿部材358の雌ねじ部359と螺合する。
ねじ部材351は、中央基部352の上部から上方に突出するように設けられ、中央基部352の軸心と同軸に設けられる。
【0038】
≪中央基部≫
中央基部352は筒状の部材であって、環状凹部353と、パッキン凹部354と、中央パッキン355と、基部フランジ部356と、中央被連結部357とを備える。
【0039】
〔環状凹部〕
環状凹部353は、内筒環状部材325を収容する凹みであり、環状凹部353は、内筒環状部材325を受け入れることにより、中央部材35が上下方向に動き、脱落しないように固定する。
環状凹部353は、中央基部352の上部に設けられ、中央基部352の周面から内部に窪みかつ一つのつながった窪みとして環状に設けられる。
【0040】
〔パッキン凹部〕
パッキン凹部354は、中央パッキン355を収容する凹みであり、パッキン凹部354は、中央パッキン355を受け入れることにより、中央パッキン355が上下方向に動きにくくし、脱落しないように固定ための溝である。
パッキン凹部354は、環状凹部353よりも下方に設けられ、中央基部352の周面から内部に窪みかつ一つのつながった窪みとして環状に設けられる。
【0041】
〔中央パッキン〕
中央パッキン355は、内筒部324の内壁と接触し、隙間の無い状態とするための部材であり、上部空間33が密閉された空間とするための部材である。中央パッキン355は、弾力性を有し、外気を遮断することができる者であれば特に限定されないが、具体的にはシリコンゴム等が例示できる。
【0042】
〔基部フランジ部〕
基部フランジ部356は、中央部材35が上方に移動しないように動きを規制する部分である。
基部フランジ部356は、パッキン凹部354よりも下方に設けられ、中央基部352の表面から内側壁部材31の側に突出しかつ周方向に一つのつながった環状部材として設けられる。
また、中央基部352は、基部フランジ部356よりも上部に位置し、内筒部324の内部に収容されるように設けられ、基部フランジ部356は、内筒部324の下方の開口よりも大きく造形されることにより、中央部材35が内側底部材32に上方に脱落しないように、動きを規制する部材である。
基部フランジ部356は、下部空間34に収容され、外側筒部材2と内側筒部材3の固定状態を解除する際、被結合突起部322が弾性変化することを阻害しないように形成される。
【0043】
〔中央被連結部〕
中央被連結部357は、中央連結部25と連結し、外側筒部材2が周方向に回転させられた際に、中央部材35を回転させる力を伝える機能を有する。周方向への回転力を伝えることができればよく、中央部材35の底面から内部に凹む、凹み部を設け、その内周面に周方向に凹凸状の歯車を設け、中央連結部25と連結する構造や、中央被連結部357と中央連結部25とにローレット加工と呼ばれる回り止め加工がされる。
【0044】
≪皿部材≫
皿部材358は、上部に棒状の化粧料等の消耗剤36が設置される部材である。
皿部材358は、中央に貫通孔を有し、貫通孔の内壁には雌ねじ部359が設けられ、ねじ部材351が螺合する構造である。
皿部材358は、外側筒部材2が周方向に回転させられた際に、ねじ部材351が回転することで、上下方向に移動させられる。
なお、皿部材358及び消耗剤36は、上部空間33に収容される。また、皿部材358は、上下方向に動かされる際に、その動きを誘導するための図示しない誘導機構が設けられる。誘導機構は、例えば、皿部材358の外周面から内側壁部材31の方に突出する突出片と、その突出片が収容される内側壁部材31に上下方向に延びる溝が例示できる。
【0045】
〈消耗剤〉
消耗剤36は、人によって使用されるものであり、空気や湿気等の外気に触れることを抑制して保管することが求められる物質のものが該当する。具体的には棒状の口紅や棒状の制汗剤などの化粧料等が該当する。
【0046】
〈密閉部材〉
密閉部材37は、上部空間33に収容された消耗剤36が外気に触れないように密閉するための部材であり、交換用の内側筒部材3として流通している状態において、内側壁部材31の上部開口を外気が通過しないように塞ぐように設けられている。
密閉部材37は、具体的には、外気を遮断し、外側筒部材2に取り付けられた後、人が使用する際に、人が容易に取り除くことができる材質、構造のものであればよく、具体的にはアルミフィルムのような金属膜が例示できる。
【0047】
密閉部材37が上端部311に設けられ、内側筒部材3の上部の開口を外気が触れない状態であることから、密閉部材37と、内側筒部材3の内側壁部材31と、内側筒部材3の内側環状部材321と、内側筒部材3の内筒部324と、内側筒部材3の中央部材35と、中央パッキン355とで囲まれた密閉空間(上部空間)が形成され、交換用の内側筒部材として流通させる際に、消耗剤の収容された上部空間を密閉空間として維持することができることから、消耗剤が外気に触れることを抑制できる効果がある。
【0048】
(解除部材)
図2に示すように、解除部材4は、外側筒部材2と内側筒部材3とを固定する被結合部を押し上げるように解除するものであり、解除基部41と解除突起42と脱落防止片43とを備える。
【0049】
〈解除基部〉
解除基部41は、板状の部材であって、解除部材収容空間24に収容可能な大きさである。
【0050】

〈解除突起〉
解除突起42は、解除基部41の上面から上方に突出して設けられる。また、解除突起42は、周方向に間隔を開けて設けられており、外側筒部材2の貫通孔28を通過し、下部空間34に配置されるように設けられる。
解除突起42は、解除部材4が押し上げられた際に被結合突起部322の先端(下端)と接触するように被結合部323の下方に位置に配置されており、被結合突起部322を弾性的に変化させ、外側筒部材2と内側筒部材3の固定状態を解除させることができるような位置に配置される。
【0051】
〈脱落防止片〉
脱落防止片43は、解除突起42に設けられ、外側壁部材21の方向に突出する突出片である。脱落防止片43は、繰り出し容器1が持ち上げられた際に、脱落しないように貫通孔28の周囲の外側底部材22に受け止められることにより、外側筒部材2から脱落しない構造である。この構造により、解除部材4を紛失してしまう虞を抑制できる。
【0052】
(蓋部材)
図1のA図及び図5に示すように、蓋部材5は、蓋本体51と蓋パッキン52と蓋側固定部53とを備える。蓋部材5は、内側筒部材3の上部部分を覆うように配置され、密閉部材37の除去された消耗剤36が、外気に触れることを抑制するためものである。
【0053】
〈蓋本体〉
蓋本体51は、外側筒部材2と連結し、内側筒部材3の上部を覆う筒状の部材であって、上側を塞ぐように天部材511を有し、下方に開放部512を有する。また、蓋部材5の材質は特に限定されない。
【0054】
〈蓋パッキン〉
蓋パッキン52は、天部材511の蓋本体51の内部空間513の側に配置され、蓋側固定部53と外側固定部29とが連結固定された際に、内側筒部材3の上端部311と接触した状態となり消耗剤36が外気と接触することを抑制する密閉状態となる。
蓋パッキン52は、弾力性を有し、外気を遮断することができるものであれば特に限定されないが、具体的にはシリコンゴム等が例示できる。
【0055】
〈蓋側固定部〉
蓋側固定部53は、外側筒部材2の外側固定部29と着脱可能に連結固定し、外側筒部材2と蓋部材5とが互いに離れないようになる機能を有すれば、どのような構造であってもよい。具体的には、例えば、蓋本体51の内部空間側の開口部の内周面にねじ溝が設けられた構造が例示できる。
【0056】
(消耗剤の保管作業(密閉空間の作成作業)について)
次に、蓋部材5を外側筒部材2と連結固定し、上部空間33の収容された消耗剤36が、密閉空間を確保する場合について説明する。
図1の(A)図に示すように、蓋部材5が、密閉部材37の除去された内側筒部材3の上部を覆うように、外側筒部材2の上部から被せられる。
被せられた蓋部材5は、回転させられて蓋部材5の蓋側固定部53と外側筒部材2の外側固定部29とが連結固定することで、図6に示すように、蓋パッキン52が上端部311と接触した状態が維持される。これにより、蓋パッキン52と、内側壁部材31と、内側筒部材3の内側環状部材321と、内筒部324と、内側筒部材3の中央部材35と、中央パッキン355とで囲まれた密閉空間が形成され、消耗剤36が外気に触れることを抑制できる効果がある。
また、消耗剤36を使用する場合は、蓋部材5が外され、外側筒部材2を内側筒部材3に対して回転させることで、消耗剤36の出し入れが行われる。中央パッキン355を有することから、気密性を確保しつつ、消耗剤36の上下(出し入れ)の動きが滑らかに行うことができる。
【0057】
(固定状態の解除作業について)
次に、繰り出し容器1の外側筒部材2と内側筒部材3の固定状態を解除する場合について説明する。
図1の(A)図に示すように、外側筒部材2の結合部27と、内側筒部材3の被結合部323とが互いに嵌り合った状態であり、周方向に回転可能かつ上下方向に分離しない状態で固定されている。この状態を繰り出し容器固定状態とする。
次に、繰り出し容器固定状態から、外側筒部材2と内側筒部材3の固定状態を解除する場合、図1の(B)に示すように、解除部材4が繰り出し容器1の底部から押し込まれ、上方に移動させられるに伴い、解除突起42が被結合部323を押し上げるように(押し退けて)、被結合部323を弾性的に直径方向に変化させ、結合部27と被結合部323とが嵌り合った状態を解除する。この状態を固定解除工程とする。
その後、解除部材4がさらに押し上げられることにより、内側筒部材3の全体が持ち上げられて上方に移動し、人が内側筒部材3の上部を掴んで上方に引き抜きやすい状態となり、外側筒部材2と内側筒部材3とが分離される。
【0058】
そして、新たな内側筒部材3が、下方に押し込まれるように、外側筒部材2の外側内部空間23に収容されると、結合突起部26の結合部27と、被結合突起部322の被結合部323とが弾性的に変化し、嵌り合うことで固定状態とすることができる。
その後、密閉部材37が除去され、消耗剤36が使用できるようになる。
使用後の内側筒部材3が中央パッキン355ごと取り外され、新しい内側筒部材3が固定されることで、中央パッキン355も交換できることができ、内筒部324と中央パッキン355の気密性が新たに確保することができる状態となる。
【0059】
本実施の態様では、結合部27を被結合部323と引っかかるように凸状とし、被結合突起部322を結合部27と引っかかるように凹状としたが、結合部27を凹状とし、被結合部323を凸状にしてもよく、結合部27と被結合部323とが引っかかり合って固定される構造であればよい。
【0060】
また、本実施の態様では、解除部材4が、被結合突起部322の先端(下端)と接触するように被結合部323の下方に位置に配置された場合を例示したが、解除部材4が、被結合突起部322を弾性的に変化させ、外側筒部材2と内側筒部材3の固定状態を解除させるようにしてもよく、また、解除部材4が結合突起部26と接触し、結合突起部26を押し上げる(押し退ける)ように弾性的に変化させて、外側筒部材2と内側筒部材3の固定状態を解除させるようにしてもよい。
しかしながら、本実施の態様のように、解除部材4が押し上げるように被結合部323に接触するようにすることで、固定状態を解除しつつ、解除部材4の解除突起42の上端部が内側筒部材3の全体を支えながら上方に持ち上げることができ、交換が容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の繰り出し容器及び内側筒部材は、消耗剤として、棒状の口紅や棒状の制汗剤などの化粧料に使用でき、棒状の糊、チョークやクレヨンのような文房具、棒状の飴や棒状の食品に利用することができる。特に消耗剤が外気に触れることを抑制することが求められるものに好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 繰り出し容器,2 外側筒部材,3 内側筒部材,4 解除部材,5 蓋部材,21 外側壁部材,22 外側底部材,23 外側内部空間,24 解除部材収容空間,25 中央連結部,26 結合突起部,27 結合部,28 貫通孔,29 外側固定部,31 内側壁部材,32 内側底部材,33 上部空間,34 下部空間,35 中央部材,36 消耗剤,37 密閉部材,41 解除基部,42 解除突起,43 脱落防止片,51 蓋本体,52 蓋パッキン,53 蓋側固定部,311 上端部,321 内側環状部材,322 被結合突起部,323 被結合部,324 内筒部,325 内筒環状部材,326 貫通孔,351 ねじ部材,352 中央基部,353 環状凹部,354 パッキン凹部,355 中央パッキン,356 基部フランジ部,357 中央被連結部,358 皿部材,359 雌ねじ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6