(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059523
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】生理を管理する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/04 20060101AFI20240423BHJP
G01N 33/49 20060101ALI20240423BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20240423BHJP
A61F 13/42 20060101ALI20240423BHJP
A41B 9/12 20060101ALI20240423BHJP
A61F 13/84 20060101ALI20240423BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01N27/04 B
G01N33/49 Z
A61F13/49 220
A61F13/42 F
A61F13/42 Z
A41B9/12 E
A61F13/84
G01N27/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167246
(22)【出願日】2022-10-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】520147647
【氏名又は名称】株式会社Be-A Japan
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【弁理士】
【氏名又は名称】影山 剛士
(74)【代理人】
【識別番号】100177987
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 真緒
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 久美
【テーマコード(参考)】
2G045
2G060
3B128
3B200
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045CA25
2G045FA34
2G045JA01
2G060AA07
2G060AC01
2G060AE11
2G060AF07
2G060HD01
3B128EA02
3B128EC00
3B128KA00
3B200AA03
3B200AA15
3B200AA17
3B200CA03
3B200DF04
3B200DF20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生理の管理をより簡易かつ効率的に実行できること。
【解決手段】本開示による方法は、プロセッサが、吸水ショーツの着用に係る情報を取得することと、前記吸水ショーツに付された測定部に基づく経血量測定処理により、前記吸水ショーツが吸収した経血量に係る情報を取得することと、前記経血量に係る情報を紐付けて出力することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサが、
吸水ショーツに付された測定部に基づく経血量測定処理により、前記吸水ショーツが吸収した経血量に係る情報を取得することと、
前記経血量に係る情報を紐付けて出力することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記測定部は、前記吸水ショーツの本体部に備えられた吸水体に接するように付された電極部を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電極部に接続し、前記吸水ショーツが吸収した経血量に係る情報を送信する通信部を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電極部の抵抗値を、前記吸水体に吸水される経血量に置換して、前記経血量に係る情報を生成する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記経血量に係る情報を、所定期間毎に取得し、前記所定期間毎に取得した経血量に係る情報の合計値を出力する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記吸水ショーツに付された識別部に基づく識別処理により、前記吸水ショーツの着用に係る情報を取得する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特に、生理の経血を管理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用品として従来は使い捨てだったナプキンに代わり、繰り返し洗濯して使用できる下着タイプの吸収ショーツの開発が進められている。例えば、特許文献1には、洗濯しやすい生理用の吸収ショーツに係る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生理の管理をより簡易かつ効率的に行われていることが求められている。
【0005】
そこで、本開示は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、生理の管理をより簡易かつ効率的に実行できることが可能な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、プロセッサが、吸水ショーツに付された測定部に基づく経血量測定処理により、前記吸水ショーツが吸収した経血量に係る情報を取得することと、前記経血量に係る情報を紐付けて出力することを含む方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、生理の管理をより簡易かつ効率的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る生理管理システム1の構成例を示す図である。
【
図2】同実施形態に係るサーバ10を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】同実施形態に係るサーバ10のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】同実施形態に係る吸水ショーツの詳細の一例を示す図である。
【
図5】同実施形態に係る着用情報DB101の一例を示すテーブルである。
【
図6】同実施形態に係る生理情報DB102の一例を示すテーブルである。
【
図7】同実施形態に係る生理の管理方法の一例を示すフローチャート図である。
【
図8】同実施形態に係るユーザ端末20に表示される情報画面の一例である。
【
図9】同実施形態に係るユーザ端末20に表示される情報画面の他の一例である。
【
図10】同実施形態に係るユーザ端末20に表示される情報画面のさらに他の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態に係る生理管理システム1の構成例を示す図である。図示するように、本実施形態に係る生理管理システム1は、クラウドサーバ10(以下、サーバ10と称する)と、ユーザ端末20と、下着30を備える。サーバ10と、ユーザ端末20とは、ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。なお、本構成は一例であり、ある構成が他の構成を兼ね備えていたり、他の構成が含まれていたりしてもよい。また、本実施形態ではサーバ10が後述する主機能を有する構成であるが、かかる主機能の一部または全部はユーザ端末20が有する構成であってもよい。すなわち、生理管理システム1は、サーバ10またはユーザ端末20のいずれかのみで構成されていてもよいし、サーバ10とユーザ端末20とが共同で構成するものであってもよい。
【0011】
本実施形態においてネットワークNWはインターネットを想定している。ネットワークNWは、例えば、公衆電話回線網、携帯電話回線網、無線通信網、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0012】
サーバ10は、例えば、ユーザの生理の状況や体調、生理に関わるスケジュール等を管理し、またはかかる管理情報に基づきユーザに情報を出力する処理を行うためのコンピュータである。かかるサーバ10は、例えば、ユーザの生理情報に関する収集や収集したデータに基づくサービスを提供する組織により管理されてもよい。
【0013】
また、例えば、サーバ10は、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウドコンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0014】
ユーザ端末20は、例えば、自身の生理情報の管理等を行うユーザが使用する端末である。かかる端末は、ユーザにより操作され得る。例えば、ユーザ端末20は、スマートフォン、タブレットコンピュータまたはパーソナルコンピュータ等であり得る。
【0015】
下着30は、例えば女性用の生理用の吸水ショーツである。かかる吸水ショーツの構造および特性は、例えば特許第6725958号に開示されるものであってもよい。吸水ショーツは、使い捨てのものであってもよいし、繰り返し使用できるものであってもよい。
【0016】
下着30にはタグ31が付されている。タグ31は識別部の一例である。タグ31は、例えばRFIDやNFC(Near Field Communication)等に基づくタグであってよい。例えば、タグ31はユーザ端末20と通信可能に設けられ得る。具体的には、タグ31にユーザ端末20をかざすことで、タグ31のユーザ端末20による読み取りと識別処理が行われる。ここでいう識別処理とは、ユーザ端末20によりタグ31が付された下着30の(ショーツID等の)識別に係る処理を意味する。ユーザ端末20によるタグ31の識別処理の結果は、サーバ10に送信され得る。
【0017】
なお、識別部の例は上述したタグ31に限定されない。例えば、下着30にセンサおよびデバイスが組み込まれている場合に、センサがユーザの下着30の着用等を検出した場合に、デバイスがユーザ端末20やサーバ10に対して、通信により上述した識別処理の結果を送信し得る。センサの種類は特に限定されず、ユーザと下着30との接触または非接触の検出や、ユーザから排出される体液等の検出など、ユーザによる下着30の着用を特定可能なものであればよい。例えば、かかるデバイスは、下着30に縫い込まれ、センサにより少なくとも水分を検出するデバイスであってもよい。この場合識別処理は、当該センサが所定の水分量を検出することにより、着用したことを特定するものであってもよい。なお、タグ31はQRコード(登録商標)など、画像認識により識別処理を可能とするものであってもよいが、プライバシー保護の観点から、画像認識以外の方法でタグ31の読み取りが可能な方式を用いることが好ましい。ただし、画像認識による識別処理は本技術の範疇に含まれ得る。
【0018】
また、識別処理は、使用者であるユーザを識別する使用者情報の認証結果に基づき、ユーザが下着30を着用したことを識別する処理であってもよい。使用者情報の認証は、例えば、初めて着用する下着30の識別処理の際にユーザの認証を行って下着30とユーザ情報とを紐づけておき、2回目以降において識別処理を行う際に、下着30のタグ31を読み取ったときに、ユーザ情報と紐づけられているユーザ端末20による読み取りでのみ識別処理が行われるよう、タグ31とユーザ情報との照会が行われることで実現され得る。これにより、下着30に関してユーザのみがユーザ情報にアクセスすることができ、セキュリティが向上し得る。また、かかる下着30を複数人で使用する場合は、かかる使用者情報の認証が行われてもよい。これにより、下着30が誰による使用なのかを識別することができる。なお、本識別処理は、後述の経血量の測定において、下着の使用者を識別する必要が無い場合においては、省略することもできる。
【0019】
また、下着30には、通信部33(トランスミッター)が付されている。通信部33は、後述する測定部により測定された抵抗値等、下着30の使用者による経血量に係る情報をユーザ端末20に送信する。
【0020】
本実施形態に係る生理管理システム1の概要について説明する。ユーザは、例えば、生理のある日においてタグ31が付された下着30を着用する。その際に、ユーザはユーザ端末20をタグ31に近づけて識別処理を行う。そうすると、例えば、ユーザ端末20には、ユーザが下着30を着用したことを示す画面(もしくは着用したか否かを確認する画面)が表示され得る。また、例えば、かかる識別処理により、ユーザが下着30を着用したことが分かるため、サーバ10は、かかる識別処理の結果に基づいて、ユーザが生理の状態にあることを記録し得る。さらに、ユーザが、通信部33の電源をオンにして、ユーザ端末20の設定画面において、ユーザ端末20と通信部33との間の通信(例えば、Bluetooth(登録商標))を確立すると、通信部33と接続する測定部は、一定期間毎に(例えば、通信部33の充電量を維持する目的で)、下着30の経血量を測定する測定処理を行う。通信部33は、測定された経血量に係る情報を、ユーザ端末20に送信し、ユーザ端末20を経由して、サーバ10は、経血量に係る情報を取得し、ユーザ端末20に出力するために、当該情報を送信する。以下、本実施形態の詳細について説明する。
【0021】
図2は、本実施形態に係るサーバ10を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。コンピュータは、少なくとも、制御部11、メモリ12、ストレージ13、通信部14および入出力部15等を備える。これらはバス16を通じて相互に電気的に接続される。
【0022】
制御部11は、サーバ10全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理/測定処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えば制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、ストレージ13に格納されメモリ12に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0023】
メモリ12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリまたはHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ12は、制御部11のワークエリア等として使用され、また、サーバ10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0024】
ストレージ13は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ13に構築されていてもよい。
【0025】
通信部14は、サーバ10をネットワークに接続する。通信部14は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、Wi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、近距離または非接触通信等の方式で、外部機器と直接またはネットワークアクセスポイントを介して通信する。
【0026】
入出力部15は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0027】
バス16は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0028】
本実施形態に係るユーザ端末20を実現するコンピュータやスマートフォン等の端末のハードウェア構成は、
図2に示すサーバ10のハードウェア構成例と同様であるため、説明を省略する。
【0029】
図3は、本実施形態に係るサーバ10のソフトウェア構成例を示す図である。サーバ10は、着用情報DB101、生理情報DB102、着用情報取得部103、ユーザ情報管理部104、経血量情報取得部105、および出力部106を備える。着用情報取得部103、ユーザ情報管理部104、経血量情報取得部105、および出力部107は、制御部11がストレージ13に記憶されているプログラムをメモリ12に読み出して実行することにより実現され得る。また、着用情報DB101および生理情報DB102は、メモリ12およびストレージ13が提供する記憶領域の一部として実現され得る。なお、着用情報DB101及び整理情報DB102は、サーバ10以外の一または複数のサーバが提供する外部の記憶領域の一部として実現されてもよい。
【0030】
着用情報DB101は、タグ31の識別処理に基づいて、着用情報取得部103が取得した着用情報を格納するデータベースである。
【0031】
生理情報DB102は、後述する下着30に付された測定部の測定処理に基づいて、経血量情報取得部105が取得した経血量情報を格納するデータベースである。
【0032】
図4は、本実施形態に係る吸水ショーツの詳細の一例を示す図である。
図4に示すように、下着30は、吸水ショーツの本体部37に備えられた、経血や尿を吸水保持可能な吸水体38を有する。ここで、吸収体2は、本体部37の内側(肌側)に取り付けられる。吸収体2は、吸水素材を有し、経血や尿などの身体から排出される液体を吸収し、本体37にしみ出すことを防ぐことができる。また、吸収体38は、複数の素材の多層構造で構成することもできるが、例えば、吸収機能を有する素材として、例えば綿、綿パイル、抗菌による防臭アクリル、吸水アクリル、吸水ポリエステル、キュプラ、レーヨン等のニットや不織布等を用いることができ、レーヨンとアクリルからなる混合素材を用いることもできる。吸収体38の吸水力は、経血や尿の量の程度に応じて適宜調整することができ、例えば10ml~300mlの液体を吸収できることが好ましい。また、下着30は、吸水体38に付された、下着30の使用者の経血量を測定する測定部32を有する。測定部32は、通信部33を装着するための台座部34と、台座部34に、ホック等を介して接続されるリボン電極35と、リボン電極35に対して縫合等の方法により接続される、例えば、ナイロンを芯材とし、その周辺を銀等の導電性の金属で被膜した、複数の糸状の繊維36とを有する。測定部32は、吸水体38に接する、電極35及び繊維36に通電される電気の抵抗値に基づいて、吸水体38に吸水される経血量を測定することができる。このように、測定部として、繊維やリボン電極のように肌にやさしい素材を用いることで、下着30の使用者は、いつものように下着を履いているだけで経血量を測定することができ、通信部33及び台座部34を備える位置についても、下着30の前面上部であるため、使用者は、特に違和感なく下着30を着用し、かつ、通信部(トランスミッター)を装着することが可能である。また、通信部(トランスミッター)を下着30に対して着脱可能とすることで、使用者は、トランスミッターを普段は取り外し、下着30を洗濯することができる。
【0033】
図5は、本実施形態に係る着用情報DB101の一例を示すテーブルである。
図5に示す着用情報のテーブル1000は、下着30を着用する使用者のユーザIDと、下着30の製品IDであるショーツIDと、識別時刻との情報を含みうる。なお、着用情報としては、
図4に示した例以外の情報が含まれてもよい。
【0034】
ここで、ユーザIDとは、下着30を使用し、ユーザ端末20にインストールされたアプリケーションを使用するユーザを一意に識別する識別しである。ショーツIDとは、ユーザ端末20によりタグ31を読み取ることで取得可能な、タグ31が付された下着30を一意に識別する識別子である。識別時刻は、識別処理が行われた時刻である。
【0035】
かかるテーブル1000は、ユーザごとに紐づけて管理され、各ユーザとショーツIDとを紐づけて管理し得る。これにより、ユーザが使用する下着を特定し、識別時刻により、ユーザが下着を着用したことを管理することができる。
【0036】
生理情報DB102は、ユーザの生理に関する情報(生理情報)を管理するデータベースである。例えば、生理情報DB102は、生理情報として、ユーザの生理の経血量、生理のスケジュールに関する情報であるスケジュール情報等を格納する。
【0037】
図6は、本実施形態に係る生理情報DB102の一例を示すテーブルである。
図6に示すスケジュール情報のテーブル1010は、ユーザIDと、経血量と、測定時刻との情報を含みうる。経血量は、上述の通り、電極を流れる電気の抵抗値を所定の計算式に基づいて算出された数値をさすが、抵抗値として管理されてもよい。なお、生理情報としては、
図6に示した例以外の情報が含まれてもよい。
【0038】
図7は、本実施形態に係る生理の管理方法の一例を示すフローチャート図である。
【0039】
まず、ユーザは、下着30の着用の際に、ユーザ端末20を用いて下着30に付されているタグ31(識別部)を読み取る(ステップS101)。タグ31を読み取ると、ユーザ端末20において、識別処理を行うかどうか(下着30を着用するかどうか)の確認画面が表示される。かかる処理は、タグ31を読み取った際にユーザ端末20において動作するアプリケーション(ウェブサーバを介するものも含む)により行われるものでありうる。
【0040】
次に、着用情報取得部102は、識別処理により、下着30の着用の情報を取得し、ユーザ情報管理部104は、下着30を識別するショーツID及び識別処理を行った識別時刻に係る情報を着用情報として、下着30を着用し、アプリケーションを使用するユーザを識別するユーザIDに紐づけて記録する(ステップS102)。また、かかるチェックイン日は、生理のあった日として記録され得る。
【0041】
次に、ユーザは、下着30に備えられた台座部34に通信部33(トランスミッター)を装着し、トランスミッター33の電源をオン(例えば、電源ボタンを長押し)にすると、ユーザ端末20にインストールされたアプリケーションの設定画面において、ユーザ端末20とトランスミッター33との間の通信(例えば、Bluetooth)を確立するよう設定を行う。続いて、トランスミッター33から、ユーザ端末20を介して、経血量測定を開始する旨の情報が送信され、経血量情報取得部102は、その旨の情報を取得する(ステップS103)。ここで、トランスミッター33の電源がオンになることで、トランスミッター33に接する電極35を介して、導電性の繊維36に電流が流れる。測定部32は、下着30の本体部37に付された吸水体38に縫い込まれた繊維36を流れる電気の抵抗値を測定すると、経血量情報取得部105は、測定された抵抗値に係る情報、または、抵抗値に基づいて、抵抗値と経血量の値との相関を表す計算式に基づいて算出された経血量に係る情報を、測定時刻とともにユーザ端末20を介して取得する(ステップS104)。トランスミッター33の充電量を考慮し、例えば、所定期間(100秒間)継続的に測定された経血量に係る情報を、一定の期間(例えば、1分)を置いて取得することもできる。ユーザ情報管理部104は、取得された経血量に係る情報を、生理情報DBに、ユーザID及び測定時刻に紐づけて記録する。
【0042】
このように取得された経血量に係る情報について、出力部106は、ユーザ端末20で表示可能なように、画面情報として生成し、ユーザ端末20に対して送信する。経血量を測定し、ユーザに対し提示することで、ユーザは、経血量を知ることができるとともに、貧血等の体調不良に備えることができたり、経血量と月経前症候群、不妊症、更年期障害といった婦人科系疾患との相関を、サーバ10に蓄積された経血量と各疾患との相関を機械学習により学習モデルを生成し、入力された経血量に係る情報を基に、各疾患のリスクを推測することができたりすることができる。
【0043】
図8乃至
図10は、ユーザ端末20に表示される、経血量に係る情報の一例を示す図である。
【0044】
図8に示すように、特定の日付に測定された経血量の合計値を表示させることができる。また、測定された経血量とともに、識別処理において識別されたショーツが吸水可能な経血量に係る情報を表示させることもできる。また、吸水可能な経血量(例えば、前例でいうと、300ml)に対する、測定された経血量の割合が高まると、出力部106は、新しいショーツに変えることをすすめる旨の通知を送信することができる。また、
図8に示すように、カレンダー表示において、ユーザが指定した日付に対応する経血量に係る情報を表示させることもできる。その中で経血量の多い日(例えば、所定の量を上回る日)を、他の日と識別可能な形態(日付をハイライトしたり、異なる色により表示させる等)で表示させることができる。
【0045】
また、
図9に示すように、生理周期毎に経血量の合計値を表示させ、また、各周期の日付別の経血量を、ユーザが一目で理解できるよう、記号や図形に置換して表示させることもできる。さらに、
図10に示すように、各日付の時間別に経血量を表示させることもできる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る生理管理システム1によれば、生理用の下着30に付されたタグ31を読み取ることで、ユーザの生理のタイミングを自動的に記録することができる。これにより、ユーザは生理用の下着を利用しながら、生理の管理を効率的かつ簡便に行うことができる。また、かかる生理管理システム1によれば、従来困難であったユーザの生理の経血量の測定を実現できるだけでなく、ユーザは下着を履いているだけで負担無く経血量を測定できるので、さらに生理の管理を効率的かつ簡便に行うことができる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0048】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、サーバ10の制御部11およびストレージ13は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。
【0049】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係るサーバ10の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0050】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0051】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0052】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(項目1)
プロセッサが、
吸水ショーツに付された測定部に基づく経血量測定処理により、前記吸水ショーツが吸収した経血量に係る情報を取得することと、
前記経血量に係る情報を紐付けて出力することと、
を含む方法。
(項目2)
前記測定部は、前記吸水ショーツの本体部に備えられた吸水体に接するように付された電極部を有する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記電極部に接続し、前記吸水ショーツが吸収した経血量に係る情報を送信する通信部を有する、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記電極部の抵抗値を、前記吸水体に吸水される経血量に置換して、前記経血量に係る情報を生成する、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記経血量に係る情報を、所定期間毎に取得し、前記所定期間毎に取得した経血量に係る情報の合計値を出力する、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記吸水ショーツに付された識別部に基づく識別処理により、前記吸水ショーツの着用に係る情報を取得する、項目1に記載の方法。
【符号の説明】
【0053】
1 生理管理システム
10 サーバ
20 ユーザ端末
30 下着(吸水ショーツ)
31 タグ(識別部)
101 着用情報DB
102 生理情報DB
103 着用情報取得部
104 ユーザ情報管理部
105 経血量情報取得部
106 出力部
【手続補正書】
【提出日】2023-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサが、
吸水ショーツに付された測定部に基づく経血量測定処理により、前記吸水ショーツが吸収した経血量に係る情報を取得することと、
前記経血量に係る情報を紐付けて出力することと、
を含み、
前記経血量に係る情報を、所定期間毎に取得し、前記所定期間毎に取得した経血量に係る情報の合計値を出力する、方法。
【請求項2】
前記測定部は、前記吸水ショーツの本体部に備えられた吸水体に接するように付された電極部を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電極部に接続し、前記吸水ショーツが吸収した経血量に係る情報を送信する通信部を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電極部の抵抗値を、前記吸水体に吸水される経血量に置換して、前記経血量に係る情報を生成する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記吸水ショーツに付された識別部に基づく識別処理により、前記吸水ショーツの着用に係る情報を取得する、請求項1に記載の方法。