(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059577
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】吸収性衛生用品における欠陥の予測検出方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20240423BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61F13/15 380
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023172012
(22)【出願日】2023-10-03
(31)【優先権主張番号】102022000021483
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】509349004
【氏名又は名称】ジーディーエム エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】GDM S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Battindarno, 91, I-40133 Bologna(IT)
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ピアントニ,マテオ
(72)【発明者】
【氏名】ザヴァロニ アレサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】カルアナ,パウロ
【テーマコード(参考)】
3B200
3C100
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200EA30
3C100AA22
3C100AA29
3C100AA57
3C100AA58
3C100AA70
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB27
3C100BB33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品における欠陥の自動化された予測検出方法を提供する。
【解決手段】製造ライン(1)に沿って処理されている吸収性衛生用品(2)に対してそれぞれの製造動作を行うように構成された少なくとも1つ製造装置(38、40、41、42、43)の現在の動作を示す動作パラメータの現在の値を検出し、検出された動作パラメータの現在の値とそれぞれの所定の参照値との比較を行い、それぞれの所定の参照値に従っていない少なくとも1つの異常な動作パラメータの存在下でライン(1)の複数の考えられる故障原因の中から前記少なくとも1つの異常な動作パラメータの原因となっている少なくとも1つの現在の故障原因を特定し、かつ前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因から開始してライン(1)に沿って処理されている吸収性衛生用品におけるあらゆる欠陥の予測を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造ライン(1)に沿って処理されている吸収性衛生用品(2)および/または前記製造ライン(1)からの出力時の完成した吸収性衛生用品における欠陥の自動化された予測検出方法であって、
・前記製造ライン(1)に沿って処理されている前記吸収性衛生用品(2)に対してそれぞれの製造動作を行うように構成された少なくとも1つの製造装置(38、40、41、42、43)の現在の動作を示す動作パラメータの現在の値を検出する工程と、
・前記検出された動作パラメータの前記現在の値とそれぞれの所定の参照値との比較を行う工程と、
・前記動作パラメータの中のその現在の値がそれぞれの所定の参照値に従っていない少なくとも1つの異常な動作パラメータの存在下で、前記ライン(1)の複数の考えられる故障原因の中から前記少なくとも1つの異常な動作パラメータの原因となっている少なくとも1つの現在の故障原因を特定する工程と
を含み、
前記少なくとも1つの現在の故障原因は、決定アルゴリズムを用いて、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータから開始し、以下の情報:前記少なくとも1つの異常な動作パラメータと前記ラインの前記複数の考えられる故障原因との相関に関する公知および/または自己学習データ、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータおよび/または前記ラインの前記複数の考えられる故障原因に関連づけて操作者によって手動で提供される現在および/または履歴情報、公知および/または自己学習論理規則のうちの少なくとも1つに基づいて特定し、かつ
前記欠陥の予測は、前記決定アルゴリズムを用いて、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因から開始し、かつ以下の情報:前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因と少なくとも1つの公知の可能な欠陥との相関に関する公知および/または自己学習データ、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因および/または前記少なくとも1つの公知の可能な欠陥に関連づけて操作者によって手動で提供される現在および/または履歴情報、公知および/または自己学習論理規則のうちの少なくとも1つに基づいて行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの異常な動作パラメータと前記ライン(1)の前記複数の考えられる故障原因との相関に関する前記自己学習データを強化するために、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータに関連づけて特定された前記少なくとも1つの現在の故障原因を記憶する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因と前記少なくとも1つの公知の可能な欠陥との前記相関に関する前記自己学習データを強化するために、前記予測された欠陥を記憶する工程を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記決定アルゴリズムを用いて、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因および前記予測された欠陥を解決するために取られる是正措置を規定する工程を含み、前記取られる是正措置は、前記特定された現在の故障原因に関与している前記製造装置(38、40、41、42、43)の1つ以上および/または前記製造ライン(1)の付属装置の1つ以上に関するものである、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記取られる前記是正措置を、前記特定された現在の故障原因に関与している前記1つ以上の製造装置(38、40、41、42、43)および/または前記1つ以上の付属装置に動作可能に関連づけられた1つ以上のアクチュエータ(46)のための制御信号に自動的に変換する工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記製造ライン(1)に沿って処理されている前記吸収性衛生用品(2)および/または前記製造ライン(1)からの出力時に前記吸収性衛生用品(2)の画像を取得する工程を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記欠陥の前記予測に加えて前記取得された画像を処理することによりさらなる欠陥を検出する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記検出される動作パラメータは、温度、圧力、振動、物体の位置、重量、量、真空レベル、空気噴流の状態、前記ライン(1)の切断装置(43)の衝撃エネルギーレベル、清浄度のレベル、所定の位置における材料の存在または量、処理されている前記吸収性衛生用品(2)の要素の供給張力、速度、トルク、電流のうちの少なくとも1つを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記決定アルゴリズムを用いて予測される前記欠陥は、シールの気密性、接着の気密性、材料の分布または量および吸収性の程度のうちの少なくとも1つに関する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記製造ラインに沿って処理されている前記吸収性衛生用品および/または前記ラインからの出力時の前記完成した吸収性衛生用品に直接関連する物品データを取得する工程も含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記物品データは、前記製造ラインに沿って処理されている前記物品の外観、形状、重量、位置決め、寸法および輪郭のうちの少なくとも1つおよび/または前記ラインからの出力時の前記完成した吸収性衛生用品に関する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記あらゆる欠陥の予測に加えて、前記物品データを処理することによりあらゆるさらなる欠陥を検出する工程を含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
・製造ライン(1)に沿って処理されている吸収性衛生用品(2)に対してそれぞれの製造動作を行うように構成された製造装置(38、40、41、42、43)と、
・前記製造装置(38、40、41、42、43)の少なくとも1つの現在の動作を示す動作パラメータの現在の値を検出するように構成されたセンサ(45)と、
・前記センサ(45)によって検出された前記動作パラメータの前記現在の値と前記メモリ(61)に記憶されているそれぞれの所定の参照値との比較を行い、かつ前記動作パラメータの中のその現在の値が前記それぞれの所定の参照値に従っていない少なくとも1つの異常な動作パラメータの存在下で、前記ライン(1)の複数の考えられる故障原因の中から前記少なくとも1つの異常な動作パラメータの原因となっている少なくとも1つの現在の故障原因を特定するように構成された、メモリ(61)およびプロセッサ(62)を備えた制御装置(60)と
を備え、
前記プロセッサ(62)は、決定アルゴリズムを用いて、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータから開始し、前記メモリ(61)に記憶されている以下の情報:前記少なくとも1つの異常な動作パラメータと前記ライン(1)の前記複数の考えられる故障原因との相関に関する公知および/または自己学習データ、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータおよび/または前記ライン(1)の前記複数の考えられる故障原因に関連づけてオペレータによって手動で提供される現在および/または履歴情報、公知および/または自己学習論理規則のうちの少なくとも1つに基づいて前記少なくとも1つの現在の故障原因を特定するように構成されており、
前記プロセッサ(62)は、前記決定アルゴリズムを用いて、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因から開始し、かつ前記メモリ(61)に記憶されている以下の情報:前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因と少なくとも1つの可能な欠陥との相関に関する公知および/または自己学習データ、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因および/または前記少なくとも1つの可能な欠陥に関連づけてオペレータによって手動で提供される現在および/または履歴情報、公知および/または自己学習論理規則のうちの少なくとも1つに基づいて、ライン(1)に沿って処理されている前記吸収性衛生用品および/またはライン(1)からの出力時の吸収性衛生用品において欠陥の予測を行うように構成されている、
吸収性衛生用品(12)の製造ライン(1)。
【請求項14】
前記製造装置(38、40、41、42、43)は、
・前記ライン(1)に沿って処理されている前記吸収性衛生用品(2)を支持して移動させるように構成された運搬部材(38)、
・処理されている前記吸収性衛生用品(2)の要素を供給し、かつそれらを前記運搬部材(38)の支持面(47)に少なくとも部分的に相互に重なり合っている状態で配置するように構成された供給装置(40)、
・好ましくは前記運搬部材(38)の前記支持面(47)に形成された保持穴の上で動作状態となる吸引装置を備える、前記運搬部材(38)の前記支持面(47)に配置された前記要素を適所に保持するように構成された保持部材(41)、
・一緒に処理されている前記吸収性衛生用品(2)の前記要素を固定するように構成された少なくとも1つの固定装置(42)、
・処理されている前記吸収性衛生用品(2)の要素および/または前記製造プロセスから得られる互いに接合された状態で処理されている前記吸収性衛生用品(2)の連続ストリップ(44)を個々の物品(2)に切断するように構成された少なくとも1つの切断装置(43)
のうちの少なくとも1つを備える、請求項13に記載の製造ライン(1)。
【請求項15】
前記センサ(45)は、温度センサ、圧力センサ、振動センサ、位置センサ、重量センサ、量センサ、流量センサ、真空レベルセンサ、空気噴流状態センサ、光センサ、張力センサ、速度センサ、トルクセンサ、電流センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項13および14のいずれか1項に記載の製造ライン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性衛生用品における欠陥の予測検出方法および吸収性衛生用品の製造ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性衛生用品は、例えば小児用おむつ、女性用生理用ナプキンまたはタンポンおよび失禁に悩まされている人々のためのパッドなどである。
【0003】
典型的にそのような物品は、高い構築複雑性を特徴とする製造ラインで製造され、同時におむつそれ自体が高い構造的複雑性を有する。このような理由で、製造は故障および不良品によって影響を受ける可能性がある。
【0004】
欧州特許第2678746号は、吸収性衛生用品の製造ラインの動作に対する是正的介入方法であって、
・ラインからの出力時に各物品の少なくとも1つの画像を検出すること、
・前記画像を用いて少なくとも1つのそれぞれの構成要素の位置決めおよび/または組み立ておよび/または形状を示す第1のパラメータを規定すること、
・前記第1のパラメータの少なくとも1つがそれぞれの許容範囲外である場合に製造欠陥を検出すること、
・それぞれの許容範囲外となった第1のパラメータの定義に関わっている第2のライン動作パラメータを特定すること、
・前記ライン動作パラメータを最適なライン動作を示すそれぞれの第3の参照パラメータと比較すること、
・その比較から異常な動作パラメータのマップを導出すること、
・異常な動作パラメータの各組み合わせが、予め設定および規定されている故障原因の事例研究の範囲内であるラインのそれぞれの故障原因を示しているか否かを確認すること、
・発見された各故障原因について製造欠陥を解消するために取られる是正措置を規定すること
が想定される方法を開示している。
【0005】
本出願人は、欧州特許第2678746号が製造ラインからの出力時に吸収性衛生用品の画像処理から開始して製造欠陥を検出する解決法を開示していることが分かった。
【0006】
そのような解決法に関して、本出願人は、特に信頼性、コストおよび効率の点で吸収性衛生用品の製造の品質制御を改良する必要性に気づいた。
【0007】
本出願人は、ラインの製造装置の動作を示す動作パラメータの現在の値を監視するためのシステムに基づき、あらゆる異常な動作パラメータを検出し、かつラインの現在の故障原因をそこから導き出すように構成された監視されている動作パラメータの現在の値の処理に基づき、かつ前記特定された現在の故障原因から開始して吸収性衛生用品において生じるか存在している可能性があるあらゆる欠陥の予測を行うことを可能にするさらなる処理に基づく自動化された予測検出方法により上記必要性を満たすことができることを見い出した。
【発明の概要】
【0008】
従って本発明は、その第1の態様では、製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品および/または製造ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品における欠陥の自動化された予測検出方法に関する。
【0009】
好ましくは、製造ラインにおいて処理されている吸収性衛生用品に対してそれぞれの製造動作を行うように構成された少なくとも1つの製造装置の現在の動作を示す動作パラメータの現在の値を検出することが提供される。
【0010】
好ましくは、検出された動作パラメータの現在の値とそれぞれの所定の参照値との比較を行うことが提供される。
【0011】
好ましくは、前記動作パラメータの中のその現在の値がそれぞれの所定の参照値に従っていない少なくとも1つの異常な動作パラメータの存在下で、当該ラインの複数の考えられる故障原因の中から前記少なくとも1つの異常な動作パラメータの原因となっている少なくとも1つの現在の故障原因を特定することが提供され、前記少なくとも1つの現在の故障原因は、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータから開始し、以下の情報:前記少なくとも1つの異常な動作パラメータと当該ラインの前記複数の考えられる故障原因との相関に関する公知および/または自己学習データ、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータおよび/または当該ラインの前記複数の考えられる故障原因に関連づけて操作者によって手動で提供される現在および/または履歴情報、公知および/または自己学習論理規則のうちの少なくとも1つに基づく決定アルゴリズムを用いて特定される。
【0012】
好ましくは、前記決定アルゴリズムを用いて、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因から開始し、かつ以下の情報:前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因と少なくとも1つの公知の可能な欠陥との相関に関する公知および/または自己学習データ、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因および/または前記少なくとも1つの公知の可能な欠陥に関連づけて操作者によって手動で提供される現在および/または履歴情報、公知および/または自己学習論理規則のうちの少なくとも1つに基づいて欠陥の予測を行うことが提供される。
【0013】
本発明はその第2の態様では、吸収性衛生用品の製造ラインに関する。
【0014】
好ましくは、本製造ラインは本製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品に対してそれぞれの製造動作を行うように構成された製造装置を備える。
【0015】
好ましくは、本製造ラインは製造装置の少なくとも1つの現在の動作を示す動作パラメータの現在の値を検出するように構成されたセンサを備える。
【0016】
好ましくは、本製造ラインはセンサによって検出された動作パラメータの現在の値とメモリに記憶されているそれぞれの所定の参照値との比較を行うように構成された、メモリおよびプロセッサを備えた制御装置を備える。
【0017】
前記動作パラメータの中のその現在の値がそれぞれの所定の参照値に従っていない少なくとも1つの異常な動作パラメータの存在下で、前記プロセッサは好ましくは本ラインの複数の考えられる故障原因の中から前記少なくとも1つの異常な動作パラメータの原因となっている少なくとも1つの現在の故障原因を特定するように構成されている。
【0018】
好ましくは、プロセッサは前記少なくとも1つの異常な動作パラメータから開始し、前記メモリに記憶されている以下の情報:前記少なくとも1つの異常な動作パラメータと本ラインの前記複数の考えられる故障原因との相関に関する公知および/または自己学習データ、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータおよび/または本ラインの前記考えられる故障原因に関連づけてオペレータによって手動で提供される現在および/または履歴情報、公知および/または自己学習論理規則のうちの少なくとも1つに基づく決定アルゴリズムを用いて、前記少なくとも1つの現在の故障原因を特定するように構成されている。
【0019】
好ましくは、プロセッサは前記決定アルゴリズムを用いて、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因から開始し、かつ以下の情報:前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因と少なくとも1つの公知の可能な欠陥との相関に関する公知および/または自己学習データ、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因および/または前記少なくとも1つの公知の可能な欠陥に関連づけて操作者によって手動で提供される現在および/または履歴情報、公知および/または自己学習論理規則のうちの少なくとも1つに基づいてあらゆる欠陥の予測を行うように構成されている。
【0020】
本出願人は本発明によれば、吸収性衛生用品において生じるか既に存在し得る欠陥の予測検出は、物品の製造装置の動作に直接関連づけられているパラメータに基づいて(すなわち、物品の製造装置の動作を監視するように構成されたセンサによって検出されたパラメータに基づいて)特定された製造ラインの現在の故障原因の検出から開始して行われることが分かった。これは全て、吸収性衛生用品に直接相関している物品データおよび物品の直接的な検査、特に物品の画像処理に基づく技術を使用していない。
【0021】
これは有利には、物品の目視検査から開始して検出可能でない欠陥であって、例えばマシンビジョン型の(すなわちに画像処理技術に基づく)従来の品質制御システムを用いてほとんど検出可能でない欠陥(例えば、接着またはシールの気密性あるいは物品の吸収性の程度に関するものなど)もラインにおいて自動的に予測することを可能にする。
【0022】
特に本発明は、高度かつ高価な検査装置の使用またはサンプル製品に対する製造ライン外での実験室制御の実行を必要とすることなくそのような欠陥を予測することを可能にする。例えばこれは有利には、従来の引張力試験により品質パラメータとしてシールまたは接着が破損するまで耐えることができる最大引張力を機械的に測定することにより、サンプル製品に対して典型的には製造ライン外で行われるシールまたは接着の気密性を試験するように構成された品質制御を行うのを回避することを可能にする。
【0023】
本出願人は、同物品の直接的な検査により行われる欠陥のあらゆる検出の上流で動作する方法を提供することにより、本発明は有利には、物品に対して欠陥を生じさせる可能性がある本ラインの故障原因に関するリアルタイム情報を有し、かつ従って考えられる不良品の存在を迅速に知らせ、かつ/または不良品の製造を防止するために本製造ラインに即座に介入するのを可能にすることが分かった。
【0024】
さらに本出願人は、本発明によれば、本ラインの現在の故障原因は吸収性衛生用品に対して行われる欠陥のあらゆる検出から独立して、製造装置の動作に直接関連づけられているパラメータに基づいて特定されることが分かった。
【0025】
これは有利には、製造された物品の品質に影響を与えない本ラインの故障が存在していることを考慮して、信頼できる正確な方法で本ラインの故障原因を特定するのを可能にする。これらは、例えば本ラインによって製造される吸収性衛生用品に対して必ずしも欠陥を生じさせない故障(機械の摩耗またはエネルギー効率の損失など)である。
【0026】
本出願人はさらに、吸収性衛生用品の製造ラインの高い構築複雑性および同物品の高い構造的複雑性を考慮して、異常な動作パラメータが本ラインの異なる考えられる故障原因により生じる可能性があることが分かった。複数の考えられる故障原因の中の異常な動作パラメータの現在原因となっている故障原因に遡ることは非即時動作となり、かつ吸収性衛生用品の本製造ラインで発見され得る最も頻繁な問題についての本ラインの動作の高い知識および異常な動作パラメータの所定の値に関連づけて過去に特定された故障原因の良好な過去の記憶を有する経験豊富なオペレータの介入を必要とする可能性がある。例えば、装置の不規則な振動に関連する異常な動作パラメータを特定する場合を検討する。この異常は例えば、装置それ自体の部品の摩耗または破損、物品において期待される以上または以下の厚さを有するシールまたは材料の存在を引き起こした上流装置の故障、および装置それ自体の部品の妨害またはミスアライメントなどの、本ラインの異なる故障原因によって生じる可能性がある。
【0027】
本発明によればこれは全て、経験豊富なオペレータの介入を伴うことなく、複数の考えられる故障原因の中から、異常な動作パラメータを現在引き起こしている1つの原因を自動的に追跡し、かつこのように特定された故障原因から開始して欠陥を予測するのを可能にする決定アルゴリズムのおかげで克服される。
【0028】
全体的に見て、特に信頼性、コストおよび効率に関して吸収性衛生用品の製造の品質制御を向上させるという上に記載されている目的が達成される。
【0029】
「処理されている吸収性衛生用品」または「処理されている物品」とは、吸収性衛生用品を形成している個々の材料および個々の要素を含む製造ライン内での相対的製造プロセスの任意の工程における半分処理された吸収性衛生用品を意味する。
【0030】
「完成した吸収性衛生用品」または「完成した物品」という用語は、製造プロセスの最後に得られる完成した吸収性衛生用品を意味する。
【0031】
「吸収性衛生用品」または「物品」とは、完成した吸収性衛生用品または処理されている吸収性衛生用品を意味する。
【0032】
製造ラインについて言及される「故障」とは、本製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品に対してそれぞれの製造動作を行うように構成されている製造装置および例えば工場内で特定のレベルの温度および/または湿度を維持するように構成された装置などの本製造ラインが収容されている工場内の適切な境界条件を維持するように構成された装置などの製造に関する付属装置の両方を含む、本製造ラインにおけるあらゆる動作中の装置に関し得る故障を意味する。
【0033】
そのような故障は、収性衛生用品において欠陥を生じさせ、かつ/または本ラインまたは故障している製造装置の停止(好ましくは自動)を引き起こす可能性がある。
【0034】
「欠陥」とは、予め定められた基準に対して吸収性衛生用品に存在しているか生じ得る不完全性を示すことを目的としている。
【0035】
製造ライン内での物品について言及される「前進方向」とは、そのライン内での物品の移動方向を示すことを目的としている。例えば運搬部材(例えばコンベヤベルトを備える)によって移動させる物品の場合、前記運搬部材の移動方向(前記コンベヤベルトの例において)を示すことを目的としている。
【0036】
本発明は上で考察されている態様では、以下に開示されている好ましい特性の少なくとも1つを有していてもよい。従ってこれらの特性は、明示的に別段の定めをした場合を除き、個々にまた互いに組み合わせられた状態で存在してもよい。
【0037】
本予測検出方法はコンピュータ実装方法である。
【0038】
本予測検出は好ましくは、製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品および/または本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品において生じ得る(がまだ存在していない)あらゆる欠陥およびそのような物品に既に存在している欠陥の両方の予測を含む。
【0039】
好ましくは、前記決定アルゴリズムを用いて予測されるあらゆる欠陥は、シールの気密性、接着の気密性、材料の分布または量および吸収性の程度のうちの少なくとも1つに関する。
【0040】
シールまたは接着の気密性の欠陥の有無は、シールが破損するまで耐えることができる最大応力(例えば引張力など)に関するものであってもよい。
【0041】
所定の参照値は、個々の値(この場合、比較はセンサによって検出された動作パラメータの現在の値がそれぞれの参照値よりも大きいまたは小さいことを確認するために行われる)または値の範囲(この場合、比較はセンサによって検出された動作パラメータの現在の値が参照値のそれぞれの範囲内または範囲外であることを確認するために行われる)によって表すことができる。
【0042】
一実施形態では、センサの1つ以上は動作パラメータの現在の値を検出するように構成されており、それぞれの所定の参照値に対するその異常は本ラインまたは関連する製造装置の停止(好ましくは自動)を生じさせる。好ましくは、プロセッサは、検出された動作パラメータの現在の値とそれぞれの参照値との前記比較を連続的に行う(すなわちトリガーする)ように構成されている。
【0043】
好ましくは、プロセッサは、本ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品および本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品に対して直接行われるあらゆる欠陥の検出とは独立して、前記比較を行うように構成されている。すなわちプロセッサは、そのような欠陥の検出が吸収性衛生用品に対して直接行われるか否かに関わらず前記比較を連続的に行うように構成されている。
【0044】
好ましい実施形態では、本ラインは本製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品および/または本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品に直接相関している物品データを取得するように構成された少なくとも1つの検査装置を備える。
【0045】
物品データは、例えば本製造ラインに沿って処理されている物品の外観、形状、重量、位置決め、寸法、輪郭および/または本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品に関するものであってもよい。
【0046】
前記少なくとも1つの検査装置は、例えば画像取得装置、重量センサ、近接センサ、光電子センサ、輪郭センサ、変位センサ、位置センサおよび量センサから選択されてもよい。
【0047】
好ましくは、プロセッサは前記少なくとも1つの検査装置によって取得された物品データを処理することにより、本製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品および/または本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品に対してあらゆるさらなる欠陥の検出を行うように構成されている。
【0048】
前記少なくとも1つ検査装置によって取得された物品データを処理することにより行われるさらなる欠陥のこの検出は、あらゆる欠陥の予測とは別々であり、有利には製造プロセスの品質制御の信頼性を高めるためにそれに追加して行うことができる。
【0049】
好ましい実施形態では、本ラインは本製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品の画像および/または本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品の画像を取得するように構成された画像取得装置(例えばカメラ)を備える。
【0050】
好ましくは、プロセッサは画像取得装置によって取得された画像を処理することにより、本製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品および/または本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品に対してあらゆるさらなる欠陥の検出を行うように構成されている。
【0051】
画像取得装置によって取得された画像を処理することにより行われるさらなる欠陥のこの検出は、あらゆる欠陥の予測とは別々であり、有利には製造プロセスの品質制御の信頼性を高めるためにそれに追加して行うことができる。
【0052】
好ましくは、プロセッサは、物品データを処理することまたは具体的には前記画像を処理することにより行われるあらゆるさらなる欠陥の前記検出とは独立して、センサによって検出された動作パラメータの現在の値とそれぞれの参照値との前記比較を連続的に行うように構成されている。すなわちプロセッサは、物品データを処理すること、または具体的には前記画像を処理することによりさらなる欠陥が検出されるか否かに関わらず前記比較をトリガーするように構成されている。特に物品データを処理すること、または具体的には前記画像を処理することによるさらなる欠陥の検出は、前記比較の実行開始のためには必要でない。但し物品データを処理すること、または具体的には前記画像を処理することにより検出されたさらなる欠陥に関するデータを前記決定アルゴリズムによって使用できるという事実を排除しない。
【0053】
好ましくは、プロセッサは前記少なくとも1つの異常な動作パラメータと本ラインの前記複数の考えられる故障原因との相関に関する自己学習データを強化するために、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータに関連づけて特定された前記少なくとも1つの現在の故障原因を前記メモリに記憶するように構成されている。
【0054】
好ましくは、プロセッサは前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因と前記少なくとも1つの公知の可能な欠陥との前記相関に関する自己学習データを強化するために、あらゆる予測された欠陥を前記メモリに記憶するように構成されている。
【0055】
好ましくは、プロセッサは前記決定アルゴリズムを用いて、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因および前記あらゆる予測された欠陥を解決するために取られる是正措置を規定するように構成されている。
【0056】
取られる是正措置は、特定された現在の故障に関与している製造装置の1つ以上または本製造ラインに関連づけられた付属装置(製造に関する)の1つ以上に関するものであってもよい。
【0057】
例えば付属装置は、例えば工場内で特定のレベルの温度および/または湿度を維持するように構成された装置などの、本製造ラインが収容されている工場内の適切な境界条件を維持するように構成された装置であってもよい。
【0058】
好ましくは、本ラインは取られる是正措置を実行するように構成されたアクチュエータを備える。
【0059】
好ましくは、プロセッサは取られる是正措置をアクチュエータのための制御信号に自動的に変換するように構成されている。
【0060】
好ましくは、アクチュエータは前記制御装置に動作可能に関連づけられている。
【0061】
好ましくは、アクチュエータは製造装置の少なくとも1つに動作可能に関連づけられている。
【0062】
好ましくは、アクチュエータはプロセッサから送られてくる制御信号に基づいて、製造装置の少なくとも1つの動作に介入するように構成されている。
【0063】
好ましくは、アクチュエータは本製造ライン内に存在している物品の製造に関する付属装置の1つ以上に動作可能に関連づけられている。
【0064】
好ましくは、アクチュエータはプロセッサから送られてくる制御信号に基づいて付属装置の1つ以上の動作に介入するように構成されている。
【0065】
好ましくは、製造装置は、
・本ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品を支持して移動させるように構成された運搬部材、
・処理されている吸収性衛生用品の要素(例えばストリップの形態)を供給し、かつそれらを運搬部材の支持面において少なくとも部分的に相互に重なり合っている状態で配置するように構成された供給装置、
・好ましくは運搬部材の支持面に形成された保持穴の上で動作状態となる吸引装置を備えた、運搬部材の支持面に配置された要素を適所に保持するように構成された保持部材、
・処理されている吸収性衛生用品の要素を(例えばシールおよび/または接着により)一緒に固定するように構成された少なくとも1つの固定装置、
・処理されている吸収性衛生用品および/または製造プロセスから得られる互いに接合された状態で処理されている吸収性衛生用品の連続ストリップを個々の物品に切断するように構成された少なくとも1つの切断装置
のうちの少なくとも1つを備える。
【0066】
好ましくは、当該センサは、温度センサ、圧力センサ、振動センサ(例えば加速度計)、位置センサ、重量センサ、量センサ、流量センサ(例えば流量計)、真空レベルセンサ、空気噴流状態センサ、光センサ、力センサ(例えばロードセル)、速度センサ、トルクセンサ、電流センサのうちの少なくとも1つを含む。
【0067】
好ましくは、複数のセンサによって検出される動作パラメータは、温度、圧力、振動、物体の位置、重量、量、真空レベル、空気噴流の状態、切断装置の衝撃エネルギーレベル、清浄度のレベル、所定の位置における材料の存在または量、処理されている吸収性衛生用品の要素の供給張力、速度、トルク(例えばモーターのトルク)および吸収される電流(例えばモーターによる)のうちの少なくとも1つを含む。
【0068】
好ましくは、前記決定アルゴリズムは人工知能、エキスパートシステムまたは予め設定および定義されている論理および相関によって実行される。
【0069】
好ましくは、前記決定アルゴリズムは好適な機械学習および/または統計アルゴリズムによって支援されている。
【0070】
好ましくは、いくつかの異常な動作パラメータの場合に、プロセッサは各個々の異常な動作パラメータから開始すると共に前記異常な動作パラメータの様々な可能な組み合わせから開始して前記少なくとも1つの現在の故障原因を特定するように構成されている。
【0071】
好ましくは、いくつかの故障原因を特定する場合に、プロセッサは、特定された各個々の故障原因から開始すると共に特定された故障原因の様々な可能な組み合わせから開始してあらゆるさらなる欠陥の予測を行うように構成されている。
【0072】
好ましい実施形態では、本製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品および/または本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品に直接相関している物品データを取得することが提供される。
【0073】
物品データは、例えば本製造ラインに沿って処理されている物品の外観、形状、重量、位置決め、寸法、輪郭および/または本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品に関するものであってもよい。
【0074】
好ましくは、前記物品データを処理することにより、本製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品および/または本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品においてあらゆる欠陥を検出することが提供される。
【0075】
好ましくは、前記物品データを処理することにより行われるあらゆる欠陥の前記検出とは独立して前記比較を(例えば予め規定されたケーデンスに従って)連続的に行うことが提供される。
【0076】
好ましい実施形態では、本製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品の画像および/または本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品の画像を取得することが提供される。
【0077】
好ましくは、前記画像を処理することにより、本製造ラインに沿って処理されている吸収性衛生用品および/または本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品においてあらゆるさらなる欠陥を検出することが提供される。
【0078】
好ましくは、前記比較を(例えば予め規定されたケーデンスに従って)連続的に行うことが提供される。
【0079】
好ましくは、前記画像を処理することにより行われるあらゆるさらなる欠陥の前記検出とは独立して、検出された動作パラメータの現在の値とそれぞれの所定の参照値との前記比較を(例えば予め規定されたケーデンスに従って)連続的に行うことが提供される。
【0080】
好ましくは、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータと本ラインの前記複数の考えられる故障原因との相関に関する自己学習データを強化するために、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータに関連づけて特定された前記少なくとも1つの現在の故障原因を記憶することが提供される。
【0081】
好ましくは、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因と前記少なくとも1つの公知の可能な欠陥との前記相関に関する自己学習データを強化するために、あらゆる予測される製造欠陥を記憶することが提供される。
【0082】
好ましくは、前記決定アルゴリズムを用いて、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因および前記あらゆる予測された欠陥を解決するために取られる是正措置を規定することが提供される。
【0083】
一般に検出される現在の故障原因は、特定された異常な動作パラメータに関連づけられた製造装置とは異なる製造装置または本製造ラインに関連づけられた他の付属装置(製造に関する)の1つ以上に関する。
【0084】
取られる是正措置は、特定された現在の故障原因に関与している製造装置および/または本製造ラインに関連づけられた他の付属装置の1つ以上に関するものであってもよい。
【0085】
好ましくは、製造装置または他の付属装置の1つ以上に介入することにより規定されている是正措置を実行することが提供される。
【0086】
好ましくは、当該物品は複数の要素を備える。
【0087】
好ましくは、前記要素は少なくとも部分的にストリップ状である。
【0088】
当該要素は、ベース要素およびさらなる要素に識別可能であってもよい。
【0089】
ベース要素は好ましくは、当該物品の内面および外面をそれぞれ画定することを目的とした透過性材料の第1のシートおよび不透過性材料の第2のシートを含む。
【0090】
第1のシートおよび第2のシートは典型的に相互に重なり合っており、それらの間には吸収性詰め物によって構成された第3の主要要素が挿入されている。
【0091】
数および形状が異なってもよいさらなる要素は、好ましくは前方および/または後方フラップ、捕捉および分散層または強化層あるいは第1のシートと第2のシートとの間にある吸収性衛生用品において典型的に想定される他の別個の要素を含む。
【0092】
好ましくは、本製造ライン内で処理されている吸収性衛生用品を前進方向に沿って移動させることができる。
【0093】
好ましくは、運搬部材は処理されている吸収性衛生用品を支持して前記前進方向に沿って移動させるように構成されている。
【0094】
一実施形態では、運搬部材は少なくとも1つのコンベヤベルトを備える。
【0095】
好ましくは、コンベヤベルトは本製造ライン内で処理されている物品の移動のために前進方向に沿って移動させることができる。
【0096】
コンベヤベルトは、少なくとも部分的に平らであり、かつ/または湾曲した支持面を有していてもよい。
【0097】
前進方向は少なくとも部分的に直線および/または湾曲状であってもよい。
【0098】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながらなされ、かつ指示的かつ非限定的な例として提供されているその好ましい実施形態の以下の詳細な開示からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性衛生用品の製造ラインを概略的に示す。
【
図2】
図1のラインによって製造することができる吸収性衛生用品の概略例を平面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0100】
図1は、本発明の一実施形態に係る吸収性衛生用品2の製造ライン1を概略的に示す。
【0101】
図2を参照すると、吸収性衛生用品2は実質的に矩形の形状を有する。具体例では物品2は小児用おむつであるが、本発明の趣旨において、文脈および以下に開示されている内容から即座に推定することができる変形形態によれば、物品2は女性用生理用ナプキンまたは老人失禁用パッドなどであってもよい。
【0102】
物品2はA’で示されているその長手軸に従って位置合わせされた状態で、ユーザの体の前方部分に着用可能な前部4と、ユーザの体の後方部分に着用可能な後部8と、前方部分と後方部分との間に配置され、かつユーザの脚の間に着用可能な中央部6とを含む。中央部6には、軸A’に対して対称的な2つの弓状部分によって画定されている凹部10すなわち脚線部が設けられている。
【0103】
吸収性衛生用品2は、ベース要素およびさらなる要素に識別可能な複数の要素によって形成されている。特にベース要素は、その要素が予め設定および定義されているスキームに従って配置されているベース物品2を画定するような方法で一緒に組み立てられている。同様に、完成した物品2を実現するために予め設定および定義されているスキームに従って、さらなる要素をその画定の間および/または後にベース物品に付ける。
【0104】
ベース要素は、物品2の内面および外面をそれぞれ画定することを目的とした透過性材料(不織布)の第1のシート12および不透過性材料の第2のシート14によって構成されている。
【0105】
シート12および14は相互に重なり合っており、それらの間には吸収性詰め物によって構成された第3の主要要素16が挿入されている。詰め物16は、その中に分散されたセルロース繊維および高吸水性ポリマー(SAP)顆粒によって形成されている。
【0106】
数および形状が異なってもよいさらなる要素は、
図2に示されている吸収性衛生用品2を参照しながら以下に開示されている。
【0107】
18は、第2の不透過性シート14の内面に固定され、かつ物品の前部4から軸A’に対して横方向に延在している、それぞれがそれぞれの丸い突出部20を有する2つの第1の成形された羽を示し、22は、物品2の後部8から延在している第1の羽18に平行な2つの成形された閉じ羽を示す。
【0108】
第2の閉じ羽22のそれぞれには、使用中に第2のシート14の外面の前部4に付けられた対応する前方ストリップ28に接着することを目的とした、軸A’に平行な展開部を有する接着ストリップ26が設けられた第3のフラップ24が付けられている。フラップ24が設けられた羽22は、前方ストリップ28と共に物品2を閉じるための手段を構成している。
【0109】
接着ストリップ26は変形形態によれば、ベルクロ(登録商標)ストリップで置き換えることができる。
【0110】
透過性材料の第1のシート12には、その長手方向縁部を厚くし、かつ拡大させるために側方に不透過性材料の2つのストリップ30がシールされている。ストリップ30にはそれらの中間部分に弾性部32が設けられている。
【0111】
さらなる追加の構成要素が、物品2の後部8において軸A’に対して横方向に第2のシート14の内面に付けられたゴムバンド34によって構成されている。
【0112】
吸収性詰め物16に接触しており、かつその輪郭に沿ってシールされている透過性材料の第1のシート12の内面には、吸収性詰め物16の表面の吸収力を均一にさせる機能を有する「捕捉層」として定められている吸収性材料のシート36が設けられている。
【0113】
図1を参照すると、製造ライン1はライン1に沿って処理されている吸収性衛生用品2に対してそれぞれの製造動作を行うように構成された公知の種類の複数の製造装置38、40、41、42、43を備える。
【0114】
そのような動作は、例えば支持および移動、ベース要素およびさらなる要素および/または当該要素それ自体を構成している材料の供給、個々の要素を作製するか既に付けられている要素を形成するための材料の切断、ベース要素およびさらなる要素の部分的もしくは全体的に相互に重なり合っている状態での配置、様々なベースおよびさらなる要素の接着および/またはシールによる固定、および製造プロセスから得られる互いに接合された状態で処理されている吸収性衛生用品2の連続ストリップ44の個々の物品への切断などを含んでもよい。
【0115】
図1に示されている実施形態では、製造装置は、ライン1に沿って処理されている吸収性衛生用品2を支持し、かつ前進方向Dに沿って移動させるように構成された運搬部材38を備える。
【0116】
図示されている実施形態では、前進方向Dは直線状である。
【0117】
運搬部材38は複数のコンベヤベルトを備えていてもよい。特に
図1にはそれぞれの支持面47を有する第1のコンベヤベルト48およびそれぞれの支持面49を有する第2のコンベヤベルト50が示されている。
【0118】
図示されている実施形態では、製造装置は、処理されている物品2のベース要素およびさらなる要素および/または当該要素それ自体を構成している材料を供給し、かつそれらを運搬部材38の支持面47において少なくとも部分的に相互に重なり合っている状態で配置するように構成された供給装置(単一のブロック40により、図に指示的かつ概略的に示されている)も備える。
【0119】
例えば
図1に示されている実施形態では、支持面47および49は平らである。
【0120】
図1に示されている実施形態では、製造装置は、第1のコンベヤベルト48の支持面47に配置された要素/材料を適所に保持し、かつ第2のコンベヤベルト50の運搬面49上の完成した物品2を適所に保持するように構成された保持部材(単一のブロック41により、図に指示的かつ概略的に示されている)も備える。例えば保持部材41は、第1のコンベヤベルト48の支持面47の少なくとも一部および第2のコンベヤベルト50の運搬面49の少なくとも一部に形成された保持穴(図示せず)上で動作状態となる吸引装置(図示せず)を備える。
【0121】
図1に示されている実施形態では、製造装置は、接着および/またはシールによりベースおよびさらなる要素を一緒に固定するように構成された少なくとも1つの固定装置(単一のブロック42により、図に指示的かつ概略的に示されている)も備える。
【0122】
前記少なくとも1つの固定装置42は超音波シール装置を含んでもよい。
【0123】
他の実施形態では、前記少なくとも1つの固定装置42は熱機械的シール装置を含んでもよい。
【0124】
追加または代わりとして、前記少なくとも1つの固定装置42は、接着剤のためのタンク(図示せず)に関連づけられた接着剤分注装置を備えた接着装置を含んでもよい。一実施形態では、前記接着剤分注装置は、外部一次接着剤タンクから好適な抜き出し機構を用いて接着剤を抜き出すように構成された小型の二次接着剤タンクをその内部に備えていてもよい。
【0125】
図1に示されている実施形態では、製造装置は上記切断動作を行うように構成された少なくとも1つの切断装置(単一のブロック43により、図に指示的かつ概略的に示されている)も備える。特に
図1は、吸収性衛生用品2をその後に分離するか容易に分離可能にすることができるような方法で、処理されている吸収性衛生用品2の連続ストリップ44の切断部または横方向(前進方向Dに対して)の弱化線を形成するように構成された装置を示す。
【0126】
製造装置40、41、42、43の1つ以上は、個々の装置または別個の装置として作られていてもよい。そのような個々の装置またはそのような別個の装置は、それぞれの回転軸の周りで回転可能な1つ以上の成形ドラム(図示せず)を備えていてもよい。そのような場合、第1のコンベヤベルト48と第2のコンベヤベルト50との間の少なくとも1つは、そのような成形ドラムの運搬面で全体または部分的に置き換えられていてもよい。
【0127】
従って、運搬部材38の支持面47および49は少なくとも部分的に平らであり、かつ/または湾曲していてもよい。さらに前進方向Dは少なくとも部分的に直線および/または湾曲状であってもよい。
【0128】
製造ライン1は、ライン1に沿って分散されたセンサ45も備える。センサ45は製造装置40、41、42、43、38に動作可能に関連づけられている。特にセンサ45は、それぞれの製造装置40、41、42、43、38の動作パラメータの現在の値を検出するように構成されている。
【0129】
それぞれの製造装置40、41、42、43、38の動作パラメータは、物品2を構成している様々な要素を位置決め、組み立ておよび/または成形するプロセスに関連づけられている。
【0130】
例えばセンサ45は、例えば前記少なくとも1つの固定装置42に関連づけられたタンク(図示せず)に含まれている接着剤の温度を測定するための1つ以上の温度センサ、例えば保持部材41の吸引装置によって作り出される真空レベルおよび/または前記少なくとも1つの固定装置42によって分注される接着剤の圧力を測定するように構成された1つ以上の圧力センサ、例えば製造装置38、40、41、42、43の部品(例えば、第1のコンベヤベルト48の支持面47など)の振動を測定するように構成された例えば加速度計などの1つ以上の振動センサ、製造装置38、40、41、42、43の1つ以上における物体の参照もしくは相互位置に対する物体の位置を測定するように構成された例えば1つ以上の位置センサを含んでもよい。例えば位置センサは、保持部材41の吸引装置のシャッタの適用点および/または開口/閉鎖に対して供給装置40のローラー(図示せず)の位置を測定するように構成されていてもよい。センサ45は、前記少なくとも1つの固定装置42に関連づけられた、例えばタンクに含まれている接着剤の重量または所定の位置における材料の存在/不存在/量を制御するように構成された1つ以上の重量センサ(例えばロードセル)、例えば保持部材41の吸引装置によって作り出される空気噴射の状態(動作/停止/強度)を検出するように構成された1つ以上の空気噴流状態センサ(例えば、保持部材41の吸引装置によって上流の空気の圧力を測定することによる)、例えば製造装置38、40、41、42、43において清浄度のレベルを検出するように構成された1つ以上の光センサ、例えば供給装置40によって供給された吸収性衛生用品の要素/材料の供給張力を検出し、かつ/または供給装置40における圧縮部材/ローラーが正確に動作しているか否かを確認するように構成された1つ以上の力センサ(例えばロードセル)をさらに含んでもよい。例えばロードセルを使用して、前記少なくとも1つの切断装置43の衝撃エネルギーレベルを検出することもできる。追加または代わりとしてセンサ45はトルク、温度および吸収された電流などの少なくとも1つの製造装置38、40、41、42、43に存在している1つ以上のモーターの動作パラメータを検出するように構成された1つ以上のセンサを含んでもよい。
【0131】
図1に示されている好ましい実施形態では、製造ライン1は、ライン1からの出力時の完成した吸収性衛生用品2の画像を取得するように構成された画像取得装置70(例えばカメラ)も備える。
【0132】
画像取得装置70は、各完成した(すなわち互いに接合された物品2の連続ストリップ44から既に分離されている)物品2の少なくとも1つの画像を検出するために、
図1に示すように第2のコンベヤベルト50に面して配置されていてもよく、あるいは変形形態(図示せず)によれば、画像取得装置70は、互いに接合された物品2の連続ストリップ44からまだ分離されていない場合に、各物品2の少なくとも1つの画像を検出するために第1のコンベヤベルト48に面して配置されていてもよい。両方の場合に画像取得装置70は、そのベースおよびさらなる要素の組成および組み立てに対して既に画定されている各物品2の少なくとも1つの画像を検出するために、ライン1の出力部に配置されている。
【0133】
製造ライン1は、メモリ61およびプロセッサ62を備える制御装置60も備える。
【0134】
プロセッサ62は、本発明の一実施形態に係る方法を実行するように構成されている。
【0135】
制御装置は、センサ45および画像取得装置70に(好適な有線および/または無線接続を用いて)動作可能に接続されている。
【0136】
図1に示されている好ましい実施形態では、プロセッサ62は、本ラインからの出力時の完成した吸収性衛生用品2中に存在しているあらゆる欠陥を検出するように構成されている。欠陥の検出は、当該技術分野で知られている好適なマシンビジョンアルゴリズムを用いて画像取得装置70によって取得された画像を処理することにより行われる。
【0137】
前記画像処理によって検出することができる典型的な欠陥は、吸収性詰め物16の誤った位置合わせ、前方ストリップ28の誤った向き、閉じ羽22の誤った位置決めおよび凹部10の切断の誤った実行を含んでもよい。これらの欠陥は一般に、物品2を構成している様々な要素の位置決め、組み立ておよび/または成形に関し、画像取得装置70によって取得された画像において直接見ることができ、かつそこから直接得ることができる。
【0138】
プロセッサ62はさらに、センサ45によって検出された動作パラメータの現在の値とメモリ61に記憶されているそれぞれの所定の参照値との比較を連続的に行うように構成されている。
【0139】
検出された現在の値の少なくとも1つがそれぞれの所定の参照値に従っていない場合に、プロセッサ62はそれぞれの動作パラメータを異常な動作パラメータとしてラベル付けし、ライン1の複数の考えられる故障原因の中から異常な動作パラメータの原因となっている少なくとも1つの現在の故障原因を特定するように構成されている。
【0140】
故障原因は、例えば工場内で特定のレベルの温度および/または湿度を維持するように構成された装置などの、製造ライン1が収容されている工場内で適切な境界条件を維持するように構成された装置などの製造装置38、40、41、42、43および製造に関する付属装置(図示せず)の両方を含む本製造ラインにおけるどの動作中の装置に関するものであってもよい。
【0141】
特定された現在の故障原因は、異常な動作パラメータが検出された製造装置38、40、41、42、43の1つ以上および/または製造装置38、40、41、42、43とは異なっていてもよい付属装置の1つ以上に関する。
【0142】
一般に異常な動作パラメータは、そのような異常な動作パラメータを生じさせた可能性がある複数の考えられる故障原因の中から特定することができる現在の故障原因に直接相関していない。
【0143】
プロセッサ62は、前記異常な動作パラメータから開始し、前記メモリに記憶されている以下の情報:前記少なくとも1つの異常な動作パラメータと本ラインの前記複数の考えられる故障原因との相関に関する公知および/または自己学習データ、前記少なくとも1つの異常な動作パラメータおよび/または本ラインの前記考えられる故障原因に関連づけてオペレータによって手動で提供される現在および/または履歴情報、公知および/または自己学習論理規則のうちの少なくとも1つに基づく決定アルゴリズムを用いて、前記少なくとも1つの現在の故障原因を特定するように構成されている。
【0144】
本発明によれば、センサ45によって検出された動作パラメータの現在の値とそれぞれの参照値との比較は、画像取得装置70によって取得された画像を処理することにより行われる欠陥の検出によって実行が開始されるものではない。プロセッサは実際には前記検出とは独立して、すなわち前記画像を処理することによって欠陥が検出されるか否かに関わらず比較を連続的に行うように構成されている。但しこれは、前記画像を処理することにより検出される欠陥に関連するデータを前記決定アルゴリズムによって使用できるという事実を排除しない。
【0145】
上記決定アルゴリズムは、人工知能、エキスパートシステムまたは予め設定および定義されている論理ならびに吸収性衛生用品の本製造ラインにおいて発見することができる最も頻繁な欠陥および問題の研究に基づくモデル化を利用する、当該技術分野で知られている技術を用いて実行することができる。
【0146】
また決定アルゴリズムは、好適な統計アルゴリズムおよび好適な機械学習アルゴリズムによって支援することができる。
【0147】
好ましくは、いくつかの異常な動作パラメータの場合に、プロセッサ62は各個々の異常な動作パラメータおよび前記異常な動作パラメータの様々な可能な組み合わせの両方から開始して現在の故障原因を特定するように構成されている。
【0148】
好ましくは、プロセッサ62は異常な動作パラメータと本ラインの考えられる故障原因との相関に関する自己学習データを強化するために、それぞれの異常な動作パラメータに関連づけて特定された現在の故障原因のそれぞれをメモリ61に記憶するように構成されている。
【0149】
本発明によれば、プロセッサ62は上記決定アルゴリズムを用いて、ライン1に沿って処理されている吸収性衛生用品および/またはライン1からの出力時の完成した吸収性衛生用品において生じるか既に存在し得る欠陥の予測を行うようにさらに構成されている。そのような予測は、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因から開始し、前記メモリに記憶されている以下の情報:前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因と少なくとも1つの可能な欠陥との相関に関する公知および/または自己学習データ、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因および/または前記少なくとも1つの可能な欠陥に関連づけてオペレータによって手動で提供される現在および/または履歴情報、公知および/または自己学習論理規則のうちの少なくとも1つに基づいて行う。
【0150】
例えばこの予測は、全ての考えられる故障原因を関連する欠陥に相関させたデータベースの助けを借りて行うことができる。このデータベースは、吸収性衛生用品の本製造ラインにおいて発見することができる最も頻繁な欠陥および問題に関連する公知および/または自己学習データの研究に基づくモデル化に基づいて、予め設定および定義することができる。
【0151】
プロセッサ62は、故障原因と可能な製造欠陥との前記相関に関する自己学習データを強化するために、このように予測されるあらゆる製造欠陥をメモリ61に記憶するようにも構成されている。
【0152】
本出願人は、本発明は有利には、当該物品の目視検査から開始して直接検出可能でない欠陥であって、画像取得装置70によって取得された画像の処理から開始してほとんど検出可能でない欠陥もラインにおいて自動的に予測することを可能にすることが分かった。
【0153】
従って本発明は、画像取得装置70によって取得された画像の処理から開始して行われる欠陥の検出の代わりとして、あるいは好ましくはそれに加えて欠陥の予測検出を行い、このように極めて信頼できる正確な方法で物品2の製造を制御することを可能にする。
【0154】
前記決定アルゴリズムを用いて予測することができる不可視欠陥の例は、シールの気密性、接着の気密性、吸収性詰め物16における材料の分散または量、および吸収性詰め物16の吸収性の程度に関するものであってもよい。
【0155】
前記少なくとも1つの現在の故障原因が特定されたら、プロセッサ62は、アラーム信号を生成する、ライン1が不良品を作っている可能性があるという警告信号を生成する、現在製造されている物品を廃棄する必要性に関する警告信号を生成する、製造ライン1または製造装置38、40、41、42、43の少なくとも1つを自動的に停止する、前記決定アルゴリズムを用いて、前記特定された少なくとも1つの現在の故障原因または前記あらゆる予測された欠陥を解決するために取られる是正措置を規定する、取られる是正措置を知らせる、一連の工程ごとの命令を(例えば表示装置(図示せず)を用いて)示して是正措置の実行中にオペレータをガイドする、という動作のうちの少なくとも1つを行うように構成されている。
【0156】
是正措置は、特定された現在の故障の現在関与している製造装置38、40、41、42、43の1つ以上および/または上記付属装置の1つ以上に関するものであってもよい。
【0157】
図1に示されている実施形態では、製造ライン1は製造装置38、40、41、42、43の1つ以上および/または前記付属装置の1つ以上に動作可能に関連づけられたアクチュエータ46を備える。アクチュエータ46はさらに、前記制御装置60に(好適な有線および/または無線接続を用いて)動作可能に接続されている。
【0158】
アクチュエータ46は、例えば保持部材41の吸引装置における空気の通過を調整するように構成されていてもよく、その開口/閉鎖レベルを自動的に制御することができるシャッタを備えていてもよい。
【0159】
追加または代わりとしてアクチュエータ46は、例えば調整可能な弁および/または圧力調整器および/または温度調節器を備えていてもよい。
【0160】
制御装置は、取られるそれぞれの是正措置を実行するようにプロセッサ62によって適当な制御信号をアクチュエータ46に送信することにより制御動作を行うようにも構成されている。従って是正措置は特定された故障を解決し、異常な動作パラメータをそれぞれの参照値に従う状態に戻し、かつ不良品の製造を回避するために、製造装置38、40、41、42、43および/または前記付属装置に対して機能するアクチュエータ46のための制御信号に自動的に変換する。
【0161】
適当なフィードバックシステムにより、プロセッサ62は取られる是正措置が異常な動作パラメータをそれぞれの参照値に従う状態に戻すのに事実上有効であることを確認することができる。
【0162】
例えば、好適な抜き出し機構を用いて外部一次接着剤タンクから接着剤を抜き出すように構成された小型の二次接着剤タンクがその内部に備えられている固定装置42の1つのおける接着剤分注装置の状況を検討する。二次接着剤タンクに関連づけられたセンサ45として機能している温度センサが異常な温度値を検出した場合、プロセッサ62は上記決定アルゴリズムを用いて、考えられる故障原因として二次接着剤タンクに関連づけられた加熱装置(例えばコイル)の破損または故障あるいは二次接着剤タンクにおける不適当な量の接着剤の存在を特定することができる。
【0163】
プロセッサ62が上記決定アルゴリズムを用いて、異常な温度値の現在原因となっている故障原因として二次接着剤タンクにおける不適当な量の接着剤の存在を特定した場合、プロセッサ62は例えば、当該物品が最適ではないがそれにも関わらず許容される気密性による接着を有する可能性があることを予測することができる(この場合、例えば当該物品は少なくとも中~低程度の品質基準での製造のために維持することができる)。
【0164】
代わりにプロセッサ62が上記決定アルゴリズムを用いて、異常な温度値の現在原因となっている故障原因として加熱装置の故障を特定した場合、プロセッサ62は例えば当該物品が許容されない気密性による接着を有する可能性があることを予測することができる(この場合、例えば当該物品は中~低程度の品質基準での製造のためでも廃棄されるであろう)。
【0165】
さらに、超音波固定装置42に関連づけられたセンサ45として機能している周波数計が異常な動作周波数を検出した場合、プロセッサ62は上記決定アルゴリズムを用いて、考えられる故障原因として固定装置42の2つのシーリングヘッド(ソノトロードおよびアンビル)間のミスアライメントという問題、一般にソノトロードまたは固定装置42の摩耗、破損または故障あるいはそれらのうちの1つの誤った設定という問題を特定することができる。
【0166】
プロセッサ62が上記決定アルゴリズムを用いて、異常な動作周波数の現在原因となっている故障原因として2つのシーリングヘッド(ソノトロードおよびアンビル)間のミスアライメントという問題を特定した場合、プロセッサは、例えば当該物品が最適ではないがそれにも関わらず許容される気密性でのシールを有する可能性があることを予測することができる(この場合、例えば当該物品は少なくとも中~低程度の品質基準での製造のために維持することができる)。
【0167】
代わりにプロセッサ62が上記決定アルゴリズムを用いて、異常な動作周波数の現在原因となっている故障原因として、ソノトロードの故障を特定した場合、プロセッサは例えば、当該物品が許容されない気密性でのシールを有する可能性があることを予測することができる(この場合、例えば当該物品は中~低程度の品質基準での製造のためでも廃棄されるであろう)。
【0168】
さらなる例として、詰め物16を構成している材料(例えば、高吸水性ポリマー顆粒を含むセルロース繊維)の供給装置40に関連づけられたセンサ45として機能している重量センサ(例えばロードセル)が第1のコンベヤベルト48の運搬面47に配置された不適当な重量のそのような材料を検出した場合を検討する。プロセッサ62は上記決定アルゴリズムを用いて、考えられる故障原因として供給タンク中のそのような材料の消耗または基準に準拠していないそのような材料の分注流を生じさせる供給装置40の故障を特定することができる。
【0169】
プロセッサ62が上記決定アルゴリズムを用いて、不適当な重量の現在原因となっている故障原因として供給装置40の故障を特定した場合、プロセッサは、例えば当該物品が最適ではないがそれにも関わらず許容される詰め物16を有する可能性があることを予測することができる(この場合、例えば当該物品は少なくとも中~低程度の品質基準での製造のために維持することができる)。
【0170】
代わりにプロセッサ62が上記決定アルゴリズムを用いて、不適当な重量の現在原因となっている故障原因として当該材料の消耗を特定した場合、プロセッサは例えば当該物品が許容されない詰め物16を有する可能性があることを予測することができる(この場合、例えば当該物品は中~低程度の品質基準での製造のためでも廃棄されるであろう。
【0171】
従って本発明のおかげで、異常な動作パラメータの現在原因となっている故障原因を特定したら、吸収性衛生用品における欠陥の存在の有無およびこの欠陥の程度を予測することが可能となる(例えば、当該物品を高品質基準での製造のためにのみ簡単に廃棄するべきか否かを決定するため)。
【0172】
また現在の故障原因が特定されたら、プロセッサ62はアラーム信号を生成し、かつ不良品の製造を防止または中断するために、特定された現在の故障原因を解決するために取られる是正措置を規定することができる。
【0173】
本開示から明らかとなるように、その様々な態様における本発明に関連する利点は多岐にわたる。
【0174】
本発明のおかげで、本ラインの現在の故障原因は、画像取得装置70によって取得された画像の処理によって行われる欠陥の検出とは独立して、製造装置の動作に直接関係があるパラメータに基づいて特定される。
【0175】
これは有利には、画像取得装置70によって取得された画像を処理することにより行われる欠陥の検出から開始して特定することができない、製造される物品の品質に影響を与えないか本ラインによって製造された物品の目視検査から開始してほとんど特定できない本ラインの故障が存在していることを考慮して、信頼できる正確な方法で本ラインの故障原因を特定するのを可能にする。
【0176】
本出願人は、同物品に対して直接行われる欠陥のあらゆる検出の上流で動作する制御方法を提供することにより、本発明は有利には、当該物品に対して製造欠陥を生じさせる可能性がある故障原因に関するリアルタイム情報を有し、かつ従って考えられる不良品の存在を迅速に知らせ、かつ/または不良品の製造を防止するために本製造ラインに即座に介入することを可能にすることも分かった。
【0177】
また本出願人は、視認可能でない欠陥であって、画像取得装置70によって取得された画像を処理することによって識別可能でない欠陥(例えば、接着もしくはシールの気密性または吸収性詰め物の吸収性の程度に関連するものなど)が存在していることが分かった。後者の欠陥はその特定のために、サンプル製品に対して本製造ライン外の実験室で行われる高度かつ高価な検査装置または制御を必要とする。
【0178】
本発明は、マシンビジョン技術(すなわち画像処理技術)を使用することなく動作する解決法を用いて不良品の予測評価を行うことにより、有利には高度かつ高価な検査装置の使用またはサンプル製品に対する本製造ライン外の実験室で行われる制御を必要とすることなく、不可視欠陥も本ラインにおいて自動的に予測することを可能にする。
【0179】
さらに本発明は有利には、経験豊富なオペレータの介入を必要とすることなく1つ以上の異常な動作パラメータの現在原因となっているラインの故障原因を複数の考えられる故障原因の中から自動的に特定することを可能にする。
【外国語明細書】