(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005958
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】浴室用椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 9/00 20060101AFI20240110BHJP
A47K 3/12 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A47C9/00 Z
A47K3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106456
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】313014789
【氏名又は名称】新輝合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】山下 陽子
【テーマコード(参考)】
2D132
3B095
【Fターム(参考)】
2D132DA01
3B095CA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】雑菌が生じて不衛生になったり、黴が生えるおそれがない浴室用椅子を低コストで実現する。
【解決手段】プラスチック製のほぼ矩形の座面部材1と金属製の脚部材10からなり、脚部材は帯状の金属板を上向きコ字状に折り曲げるとともに、両上端を内方に折り返すことにより、下方を床への設置面、折り返えした個所を座面部材への取り付け部とし、座面部材は4辺からなる外周縁から外周端部2をフランジ状に垂設するとともに、椅子の左右方向の外周端部の内側にそれと平行する仕切りリブを垂設することにより、外周端部と仕切りリブ間に脚部材の取り付け部を内挿可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製のほぼ矩形の座面部材と金属製の脚部材からなり、脚部材は帯状の金属板を上向きコ字状に折り曲げるとともに、両上端を内方に折り返すことにより、下方を床への設置面、折り返えした個所を座面部材への取り付け部とし、座面部材は4辺からなる外周縁から外周端部をフランジ状に垂設するとともに、椅子の左右方向の外周端部の内側にそれと平行する仕切りリブを垂設することにより、外周端部と仕切りリブ間に脚部材の取り付け部を内挿可能とした挿入空間を設けたことを特徴とする浴室用椅子。
【請求項2】
脚部材は下方の前後の角個所に丸みをもたせるとともに、角個所に挟まれる底部の中央を上方に丘状に持ち上がるように折り曲げた請求項1記載の浴室用椅子。
【請求項3】
脚部材はステンレスまたはアルミニウム製である請求項1または2記載の浴室用椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、浴室で使用するための椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
人が浴室内で体や髪の毛を洗う際に腰掛けるための椅子が広く使用されている。この種の椅子はかっては木製であったが、現在はプラスチック製のものが主流となっている(特許文献1)。
【0003】
一方、人が座る座面部材はプラスチック製とし、それを支える脚部材を金属製とした椅子も提案されている(特許文献2、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第1179185号公報
【特許文献2】意匠登録第1611973号公報
【特許文献3】意匠登録第1481660号公報
【特許文献4】特開2001-253007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、底部が水に晒される浴室の床面に接する浴室用椅子はプラスチック製の場合、雑菌が生じて不衛生になったり、黴が生えるおそれがあった。
【0006】
前記の問題を解消するための公知発明としては、例えば抗菌性を有する機能性薄膜をコーティングすることが提案されているが(特許文献4)、コストを要する問題があった。
【0007】
また、プラスチック製の浴室用椅子は射出成形により一体成形されるが、強度を保つために単独の脚部ではなく、座面の外周縁から一体に垂設される側壁をもって脚部としているので、材料費が嵩んだり、金型代が嵩む問題があった。特に近年の浴室用椅子は従来のように低い座面のものではなく、楽に座れるように高い座面を有する大型のものが好まれているのでこの問題は無視できなかった。
【0008】
一方、座面部材はプラスチック製とし、それを支える脚部材を金属製とした発明においては脚部材は金属パイプを使用しているが、そのままでは鋭利な切断面を有するパイプ端部が露出して危険なので、パイプ端部にプラスチック製の栓を外嵌することが行なわれており(特許文献3)、プラスチック製であることよりそれが水に晒される浴室の床面に接して雑菌が生じて不衛生になったり、黴が生えるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は以上の従来技術の問題点を解消した浴室用椅子を提供することを目的として創作されたものであり、プラスチック製のほぼ矩形の座面部材と金属製の脚部材からなり、脚部材は帯状の金属板を上向きコ字状に折り曲げるとともに、両上端を内方に折り返すことにより、下方を床への設置面、折り返えした個所を座面部材への取り付け部とし、座面部材は4辺からなる外周縁から外周端部をフランジ状に垂設するとともに、椅子の左右方向の外周端部の内側にそれと平行する仕切りリブを垂設することにより、外周端部と仕切りリブ間に脚部材の取り付け部を内挿可能とした挿入空間を設けたことを特徴とする。
【0010】
なお、本願明細書において「上向きコ字状」とは、コの字を時計方向に90度回転させて開口が上を向いてるものを指す。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、前記の浴室用椅子において、脚部材は下方の前後の角個所に丸みをもたせるとともに、角個所に挟まれる底部の中央を上方に丘状に持ち上がるように折り曲げたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の浴室用椅子は次の効果を奏する。
(1) 金属製の脚部材からなるので、それが水に晒される浴室の床面に接しても雑菌が生じて不衛生になったり、黴が生えるおそれが防止される。
(2) 前記の脚部材はパイプではなく、脚部材は帯状の金属板を上向きコ字状に折り曲げるとともに、両上端を内方に折り返すことにより、下方を床への設置面としているので、パイプのように鋭利な切断面を有する端部が露出することがない。
(3) 座面部材は辺からなる外周縁から外周端部をフランジ状に垂設するとともに、椅子の左右方向の外周端部の内側にそれとと平行する仕切りリブを垂設しているので、外周端部と仕切りリブ間の空間が脚部材の取り付け部を内挿する作用を果たすだけでなく、それにより座面部材の強度が保たれるという複合的な作用を果たし、座面部材の厚みを薄くすることが可能となり材料費を節減できる。
(4) プラスチック製の座面部材と、帯状の金属板を折り曲げた脚部材の組み合わせからなるので座面の高さは脚部材により設定でき、座面の高さを高くして大型化しても、座面部材はそのままでよいので材料費が嵩むことがない。
(5) 脚部材は下方の前後の角個所に丸みをもたせるとともに、角個所に挟まれる底部の中央を上方に丘状に持ち上がるように折り曲げた場合は、加重が角個所に集中することがなく全体に分散されるので脚部材の厚みを薄くしても丈夫な椅子が実現でき材料費を節減でき、また、角個所に湯垢などの汚れが溜まることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本願発明の浴室用椅子の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1および
図2は本願発明の浴室用椅子の全体を示す斜視図である。本願発明の浴室用椅子はプラスチック製の座面部材1の底部に金属製の脚部材10を固着した構成よりなる。
【0015】
座面部材1は使用者が腰掛けられる形状および寸法からなり、ここではほぼ矩形に構成され、4辺からなる外周縁から外周端部2をフランジ状に垂設している。左右方向の外周端部2の内側にはそれと平行する仕切りリブ3が垂設される(
図4参照)。その結果、外周端部2と仕切りリブ3間には挿入空間4が生じ、ここに後記する脚部材10が内挿される。なお、図中符号6は座面部材1の中央に設けられた水抜き孔である。
【0016】
脚部材10は例えばステンレスやアルミニウム等の帯状の金属板を上向きコ字状に折り曲げるとともに、両上端を内方に折り返して折り返し部11、11を構成し、角個所13、13に挟まれる底部を床への設置面、折り返し部を座面部材への取り付け部としている。なお、この実施例においては脚部材10は下方の前後の角個所13、13に丸みをもたせるとともに、角個所に挟まれる底部の中央を上方に丘状に持ち上がるように折り曲げて丘部14を設けている。
【0017】
以上の脚部材10は折り返し部11、11を座面部材1の裏面の挿入空間4に挿入するとともに、折り返し部のネジ孔15、15を貫通した脚部材の取り付けボルト5、5により脚部材に固着される。
【符号の説明】
【0018】
1 座面部材
2 外周端部
3 仕切りリブ
4 挿入空間
5 取り付けボルト
6 水抜き孔
10 脚部材
11 折り返し部
13 角個所
14 丘部