(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059580
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】2重のグラファイト層を含むパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ、及びパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリを組み込んだ冷却板
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20240423BHJP
H01L 23/373 20060101ALI20240423BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H01L23/36 M
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023172570
(22)【出願日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】17/968,162
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【弁理士】
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ファン ティエンチュー
(72)【発明者】
【氏名】フォン チョウ
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA02
5E322AA05
5E322AA10
5E322AA11
5E322DA00
5E322DB12
5E322FA04
5F136BB01
5F136BB18
5F136DA27
5F136FA01
5F136FA23
5F136FA82
5F136GA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンパクトなパッケージサイズを維持しつつ、パワーエレクトロニクスデバイスの冷却を改善する。
【解決手段】パワーエレクトロニクスアセンブリは、パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ146と、パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリを組み込んだ冷却板102と、を含む。冷却板は、Sセル121及びパワーエレクトロニクスデバイス140を含むパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ146を含む。Sセルは、第1のグラファイト層と、第2のグラファイト層と、第1のグラファイト層及び第2のグラファイト層を覆う金属層と、を含み、凹部は、金属層の外面内に形成され、パワーエレクトロニクスデバイスは、外面の凹部内に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却板を備えるパワーエレクトロニクスアセンブリであって、前記冷却板は、
Sセルを備えるパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリであって、前記Sセルは、
第1のグラファイト層と、
第2のグラファイト層と、
前記第1のグラファイト層及び前記第2のグラファイト層を覆う金属層と、を備え、前記金属層の外面内に凹部が形成されている、前記パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリと、
前記Sセルの前記外面の前記凹部内に配置されたパワーエレクトロニクスデバイスと、
を備える、
パワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項2】
前記第1のグラファイト層は、第1の軸線に沿って低い熱伝導性を提供し且つ第2の軸線及び第3の軸線に沿って高い熱伝導性を提供するような向きであって、
前記第2のグラファイト層は、前記第2の軸線に沿って低い熱伝導性を提供し且つ前記第1の軸線及び前記第3の軸線に沿って高い熱伝導性を提供するような向きである、
請求項1に記載のパワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項3】
前記Sセルの熱分配は、前記第1の軸線及び前記第2の軸線に沿って実質的に等しい、
請求項2に記載のパワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項4】
前記Sセルは、正方形形状を有する、
請求項2に記載のパワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のグラファイト層及び前記第2のグラファイト層は各々、0.2mm以上0.3mm以下の厚さを有する、
請求項2に記載のパワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項6】
複数のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリは、前記冷却板の面内に形成されたそれぞれの凹部内に組み込まれている、
請求項1に記載のパワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項7】
電気絶縁層は、各Sセルと前記冷却板との間に介在している、
請求項6に記載のパワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項8】
Sセルであって、
第1のグラファイト層と、
第2のグラファイト層と、
前記第1のグラファイト層及び前記第2のグラファイト層を覆う金属層と、を備え、前記金属層の外面内に凹部が形成されている、前記Sセルと、
前記Sセルの前記外面の前記凹部内に配置されたパワーエレクトロニクスデバイスと、
を備える、
パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のグラファイト層は、第1の軸線に沿って低い熱伝導性を提供し且つ第2の軸線及び第3の軸線に沿って高い熱伝導性を提供するような向きであって、
前記第2のグラファイト層は、前記第2の軸線に沿って低い熱伝導性を提供し且つ前記第1の軸線及び前記第3の軸線に沿って高い熱伝導性を提供するような向きである、
請求項8に記載のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ。
【請求項10】
前記Sセルの熱分配は、前記第1の軸線及び前記第2の軸線に沿って実質的に等しい、
請求項9に記載のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ。
【請求項11】
前記Sセルは、正方形形状を有する、
請求項9に記載のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ。
【請求項12】
前記第1のグラファイト層及び前記第2のグラファイト層は各々、0.2mm以上0.3mm以下の厚さを有する、
請求項9に記載のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ。
【請求項13】
前記金属層と前記第1のグラファイト層との間に設けられた第1のろう付け層と、
前記第1のろう付け層と反対側で前記金属層と前記第2のグラファイト層との間に設けられた第2のろう付け層と、
を更に備える、
請求項8に記載のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ。
【請求項14】
前記第1のグラファイト層と前記第2のグラファイト層との間に設けられたグラファイト接合層を更に備える、
請求項13に記載のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ。
【請求項15】
冷却板を備えるパワーエレクトロニクスアセンブリであって、前記冷却板は、複数のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリを備え、前記パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリは、
Sセルであって、
第1の軸線に沿って低い熱伝導性を提供し且つ第2の軸線及び第3の軸線に沿って高い熱伝導性を提供するような向きである第1のグラファイト層と、
前記第2の軸線に沿って低い熱伝導性を提供し且つ前記第1の軸線及び前記第3の軸線に沿って高い熱伝導性を提供するような向きである第2のグラファイト層と、
前記第1のグラファイト層及び前記第2のグラファイト層を覆う金属層と、を備え、前記金属層の外面内に凹部が形成されている、前記Sセルと、
前記Sセルの前記外面の前記凹部内に配置されたパワーエレクトロニクスデバイスと、
を備え、前記複数のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリは、前記冷却板の面内に形成されたそれぞれの凹部内に組み込まれている、
パワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項16】
前記Sセルの熱分配は、前記第1の軸線及び前記第2の軸線に沿って実質的に等しい、
請求項15に記載のパワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項17】
前記Sセルは、正方形形状を有する、
請求項15に記載のパワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項18】
前記第1のグラファイト層及び前記第2のグラファイト層は各々、0.2mm以上0.3mm以下の厚さを有する、
請求項15に記載のパワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項19】
電気絶縁層は、各Sセルと前記冷却板との間に介在している、
請求項15に記載のパワーエレクトロニクスアセンブリ。
【請求項20】
前記電気絶縁層は、絶縁金属基板誘電フィルムを含む、
請求項19に記載のパワーエレクトロニクスアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は概して、パワーエレクトロニクスアセンブリに関し、より具体的には、コンパクトなパッケージサイズを達成しつつ全体的な熱抵抗が低いパワーエレクトロニクスアセンブリについての装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両においてエレクトロニクスの使用が増加しているため、エレクトロニクスシステムをよりコンパクトにする必要がある。当該エレクトロニクスシステムの構成要素の1つは、インバータ内のスイッチとして使用されるパワーエレクトロニクスデバイスである。パワーエレクトロニクスデバイスは、熱が生成されるため多くの冷却を必要とする。
【0003】
更に、従来はシリコンで構成されていたパワーエレクトロニクスデバイスは現在、シリコンカーバイドで構成される傾向にある。シリコンカーバイドを使用することにより、定めるデバイス設置面積がより小さくなるため、より大きい熱流束が生じる。更に、パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリは、熱拡散を促進するための1つ以上のグラファイト層を含む。しかしながら、このようなグラファイト層は、各軸線に沿って均一な熱拡散能力を提供しない。
【0004】
これらの理由などから、コンパクトなパッケージサイズを維持しつつ、パワーエレクトロニクスデバイスの冷却を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、パワーエレクトロニクスアセンブリは、冷却板を含み、当該冷却板は、Sセル及びパワーエレクトロニクスデバイスを含むパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリを含む。Sセルは、第1のグラファイト層と、第2のグラファイト層と、第1のグラファイト層及び第2のグラファイト層を覆う金属層と、を含み、金属層の外面内に凹部が形成されている。パワーエレクトロニクスデバイスは、Sセルの外面の凹部内に配置されている。
【0006】
別の実施形態では、パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリは、Sセルとパワーエレクトロニクスデバイスとを含む。Sセルは、第1のグラファイト層と、第2のグラファイト層と、第1のグラファイト層及び第2のグラファイト層を覆う金属層と、を含み、金属層の外面内に凹部が形成されている。パワーエレクトロニクスデバイスは、Sセルの外面の凹部内に配置されている。
【0007】
更に別の実施形態では、パワーエレクトロニクスアセンブリは、冷却板を含み、当該冷却板は、Sセル及びパワーエレクトロニクスデバイスを含む複数のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリを含む。Sセルは、第1の軸線に沿って低い熱伝導性を提供し且つ第2の軸線及び第3の軸線に沿って高い熱伝導性を提供するような向きである第1のグラファイト層と、第2の軸線に沿って低い熱伝導性を提供し且つ第1の軸線及び第3の軸線に沿って高い熱伝導性を提供するような向きである第2のグラファイト層と、第1のグラファイト層及び第2のグラファイト層を覆う金属層と、を含み、金属層の外面内に凹部が形成されている。パワーエレクトロニクスデバイスは、Sセルの外面の凹部内に配置されている。複数のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリは、冷却板の面内に形成されたそれぞれの凹部内に組み込まれている。
【0008】
本明細書で記載される実施形態によって提供されるこれらの特徴及び追加の特徴は、図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面に記載される実施形態は本質的に、実例的で例示的なものであって、特許請求の範囲によって定められる主題を限定することを意図したものではない。以下の図面と併せて読むと、実例的な実施形態の以下の詳細な説明を理解することができ、当該図面では、同様の構造は、同様の参照番号を用いて示される。
【
図1】
図1は、本明細書で記載及び説明される1つ以上の実施形態に係る、例示的なパワーエレクトロニクスアセンブリの斜視図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、本明細書で記載及び説明される1つ以上の実施形態に係る、
図1のパワーエレクトロニクスアセンブリの分解斜視図を概略的に示す。
【
図3】
図3は、本明細書で記載及び説明される1つ以上の実施形態に係る、複数のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリを含む
図1のパワーエレクトロニクスアセンブリの冷却板の斜視図を概略的に示す。
【
図4】
図4は、本明細書で記載及び説明される1つ以上の実施形態に係る、Sセル及びパワーエレクトロニクスデバイスを含む
図3のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリの分解斜視図を概略的に示す。
【
図5】
図5は、本明細書で記載及び説明される1つ以上の実施形態に係る、
図4のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリの断面斜視図を概略的に示す。
【
図6】
図6は、本明細書で記載及び説明される1つ以上の実施形態に係る、
図4のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリの断面端面図を概略的に示す。
【
図7】
図7は、本明細書で記載及び説明される1つ以上の実施形態に係る、
図4のSセルの第1のグラファイト層の例示的な結晶構造及び第2のグラファイト層の例示的な結晶構造を概略的に示す。
【
図8】
図8は、本明細書で記載及び説明される1つ以上の実施形態に係る、
図4のSセルの第1のグラファイト層の別の例示的な結晶構造及び第2のグラファイト層の別の例示的な結晶構造を概略的に示す。
【
図9】
図9は、本明細書で記載及び説明される1つ以上の実施形態に係る、複数のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリを含む別の冷却板の斜視図を概略的に示す。
【
図10】
図10は、本明細書で示され記載される1つ以上の実施形態に係る、
図1のパワーエレクトロニクスアセンブリの断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で記載される実施形態は概して、パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ、及び冷却板に接続された回路基板アセンブリを有するパワーエレクトロニクスアセンブリを対象とし、冷却板は、冷却板内に形成されたそれぞれの凹部内に設けられたパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリを含む。パワーエレクトロニクスデバイスは、各パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリのSセル内に形成された凹部内に組み込まれ得る。
【0011】
本開示のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリは、本明細書でSセルと呼ばれる実装基板に取り付けられたパワーエレクトロニクスデバイスを含む。以下でより詳細に記載されるように、Sセルは、向上した熱拡散能力を提供するペアのグラファイト層を含む。更に、本開示の実施形態は、パワーエレクトロニクスデバイスを冷却板から電気的に絶縁する1つ以上の電気絶縁層を含む。電気絶縁がSセル自体によって提供されるため、例えば、Sセルの電気絶縁層により、プリント回路基板と冷却板との間の電気絶縁層を除去することが可能になる。
【0012】
以下でより詳細に記載されるように、本開示のSセルは、冷却板に向かう熱流束フローを促すグラファイト層により、向上した熱特性を提供する。本明細書で記載されるSセルは、コンパクトなパッケージ内に積層金属と、グラファイトと、1つ以上の電気絶縁層と、を含む。グラファイト層は各々、グラファイト層の3つの軸線にわたる熱拡散能力を均衡させるように90度の結晶オフセットを有する。Sセルを接合する本明細書で記載される接合材料は特に、Sセルを電気的に絶縁する能力も維持しつつ、他の接合技術に対して熱伝導性を増大させるように構成されている。本明細書で記載されるデバイス、システム、及び装置は、Sセルから冷却板への熱流束を改善し、それによって、回路基板アセンブリについての熱拡散性能及び冷却性能を増大させる。
【0013】
本明細書で記載される冷却板、パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ、回路基板アセンブリ、パワーエレクトロニクスアセンブリ、及び同種のものは、電化車両、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、任意の電気モータ、発電機、産業用ツール、家庭電化製品、及び同種のものにおいて使用され得るが、これらに限定されない。本明細書で記載される様々なアセンブリは、電気モータ及び/又はバッテリに電気的に接続されてもよく、直流(DC)電力を交流(AC)電力に変換するように動作可能であるインバータ回路として構成されてもよい。
【0014】
本明細書で使用される「パワーエレクトロニクスデバイス」は、DC電力をAC電力に変換し、逆もまた同様に変換するために使用される任意の電気構成要素を意味する。実施形態は、AC‐ACコンバータ及びDC‐DCコンバータ用途においても採用され得る。パワーエレクトロニクスデバイスの非限定的な例には、パワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、サイリスタ、及びパワートランジスタが含まれる。
【0015】
本明細書で使用される「完全に組み込まれる」というフレーズは、構成要素の各面が基板によって囲まれていることを意味する。例えば、パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリが回路基板によって完全に組み込まれる場合、それは、回路基板の材料が回路基板の各面を覆うことを意味する。構成要素の1つ以上の面が露出している場合、構成要素は、「部分的に組み込まれている」。
【0016】
本明細書で使用される「Sセル」は、パワーエレクトロニクスデバイスに取り付けられるように動作可能な実装基板であって、金属層、グラファイト層、及び電気絶縁層のうちの1つ以上を含む。
【0017】
パワーエレクトロニクスアセンブリ、パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ、及び冷却板の様々な実施形態が以下で詳細に記載される。同じ部分又は同様の部分を指すために、可能な限り、図面全体を通じて同じ参照番号を使用する。
【0018】
ここで、
図1及び
図2を参照すると、例示的なパワーエレクトロニクスアセンブリ100が概して、組立図及び分解図でそれぞれ示されている。
図1及び
図2に示されるパワーエレクトロニクスアセンブリ100は、冷却板102と回路基板アセンブリ106とを含む。冷却板102は、パワーエレクトロニクスデバイス140(
図3参照)から熱流束を除去することができる任意のデバイスであってもよく、パワーエレクトロニクスデバイス140は、冷却板102の穴103に接続されるか若しくは組み込まれ、及び/又は回路基板アセンブリ106の基板材料に接続されるか若しくは組み込まれている。冷却板102についての非限定的な例には、ヒートシンク、単相液冷、2相液冷、及びベーパチャンバが含まれる。
【0019】
図1及び
図2は、単相液冷デバイスとして構成された冷却板102を示す。冷却板102は、冷却板102内で流体チャンバ115(
図9)に流体接続された流体入口132及び流体出口134を含む。
図1及び
図2は、冷却板102の同じ側にある流体入口132及び流体出口134を示しているが、本開示は、このような実施形態に限定されない。すなわち、他の実施形態では、流体入口132及び流体出口134は、例えば、隣接面などの冷却板102の他の面に位置し得る。
【0020】
依然、
図1及び
図2を参照して、回路基板アセンブリ106は、冷却板102の第1の面107に接続されている(例えば、ラミネーション又は任意の他の好適な手段などによって取り付けられている)。
図1及び
図2は、冷却板102の貫通孔105及び回路基板アセンブリ106の貫通孔109を通って延びる締結具101(例えば、ボルト及びナット)によって冷却板102の第1の面107に取り付けられるものとして、回路基板アセンブリ106を示す。他の実施形態では、貫通孔105、109及び締結具101は、以下に記載されるように省略され得ることを理解されたい。
【0021】
実施形態では、回路基板アセンブリ106は、3Dプリント層であり得る。このような実施形態では、回路基板アセンブリ106の3Dプリント層は、全体的な熱抵抗を低減することを理解されたい。実施形態では、回路基板アセンブリ106は、冷却板102にラミネートされ得る。しかしながら、回路基板アセンブリ106を冷却板102に取り付ける他の付加製造プロセスも想定され、本開示の範囲内に含まれる。加えて、本明細書でより詳細に記載されるように、ビア接続又はビアは、回路基板アセンブリ106及びパワーエレクトロニクスデバイス140(
図4)の様々な構成要素間にレーザ穿孔を使用して作られ得る。すなわち、ビアは、回路基板アセンブリ106を貫いて各導電層及びパワーエレクトロニクスデバイス140の上面まで穿孔される。本明細書でより詳細に記載されるように、ビアは次いで、例えば、
図10に示されるようなパワーエレクトロニクスデバイス140、電気導電層110、及び同種のものなどの構成要素間の電気接続を確立するように電気めっき法により銅で充填される。
【0022】
ここで、
図3を参照すると、冷却板102は、本明細書でより詳細に記載されるように、冷却板102の第1の面107内に形成されたそれぞれの穴103内に位置する複数のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ146を含むように示されている。非限定的な例として、冷却板102は、電気自動車のインバータ回路用の6つのパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ146を受け入れるために、冷却板102の第1の面107内に形成されて3つずつ2行に配置された6つの穴103を含み得る。しかしながら、用途に応じて任意の数のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ146が利用され得ることを理解されたい。同様に、パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ146は、
図3に示されたものよりも多い数又は少ない数の行などの任意の好適な配置で冷却板102の第1の面107に位置し得る。
【0023】
各パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ146は、冷却板102の穴103内に受け入れられるSセル121と、Sセル121に接続された(例えば、取り付けられた)パワーエレクトロニクスデバイス140と、を含む。上述のように、Sセル121は、パワーエレクトロニクスデバイス140が接合される基板である。Sセル121は、パワーエレクトロニクスデバイス140の底面における電極への接続を行うための電気導電面領域を提供する。本明細書でより詳細に記載されるように、Sセル121は、熱拡散機能及び電気絶縁を更に提供する。しかしながら、いくつかの実施形態では、電気絶縁層180は、追加の電気絶縁を提供するようにSセル121と冷却板102の穴103の底壁104との間に介在し得る。
【0024】
電気絶縁層180は、回路基板アセンブリ106と冷却板102との間の熱抵抗を低下させるようにSセル121と冷却板102の底壁104との間で冷却板102の各穴103内に堆積されて
図3に示されている。電気絶縁層180は概して、電気絶縁を提供する任意の層、例えば、セラミック又は同種のものであり得る。実施形態では、電気絶縁層180は、絶縁金属基板(IMS)誘電フィルムを含む。IMS誘電フィルムは、固体フィルム層であり得る。他の実施形態では、電気絶縁層180は、サーマルグリス層であり得る。電気絶縁層180は、専用の貫通孔を有していなくてもよいことに留意されたい。
【0025】
ここで、
図4及び
図5を参照すると、それぞれ、例示的なSセル121の分解上方斜視図及び組立断面図が示されている。Sセル121は、複数の積層された層を含む。特に、
図4及び
図5に示されるSセル121は、金属層122と、金属層122内に組み込まれた第1のグラファイト層124A及び第2のグラファイト層124Bと、を含む。しかしながら、本明細書で述べられるように、追加のグラファイト層が設けられ得ることを理解されたい。第1のグラファイト層124Aは、第2のグラファイト層124Bの上に位置している。しかしながら、第1のグラファイト層124A及び第2のグラファイト層124Bは交換可能であることを理解されたい。金属層122は、内面125と、内面125と反対側の外面128と、を含む。実施形態では、金属層122は、第1の金属層と第2の金属層とを含み、グラファイト層124A、124Bは、第1の金属層と第2の金属層との間に位置している。実施形態では、金属層122は、ペアの金属層を含むのではなく一体のモノリシックな構造であり得る。金属層122は、金属層122の外面128内に形成された凹部127を含む。凹部127は、パワーエレクトロニクスデバイス140を受け入れるような寸法である。以下でより詳細に記載されるように、金属層122は、パワーエレクトロニクスデバイス140の底面における電極が(例えば、直接接続及び/又は電気接続ビアを介して)接続される電気導電面を提供する。
図4及び
図5に示されるSセル121の様々な層は単なる例示であることを理解されたい。
【0026】
図4及び
図5に示される実施形態におけるSセル121は、
図4及び
図5に示される座標軸線のz軸線に沿って対称なSセル121を提供するように金属層122内に組み込まれたグラファイト層124A、124Bを含むことに留意されたい。Sセル121の対称性は、高温接合プロセス中のSセル121に対する力を均衡させる。金属層122及びグラファイト層124A、124Bは、異なる熱膨張係数を有するため、接合プロセス中の熱誘起応力を均衡させるために対称的な基板スタックを有することが望ましい場合がある。
【0027】
金属層122は、任意の好適な金属又は合金で作られ得る。非限定的な例として、銅及びアルミニウムが金属層122として使用され得る。本明細書で記載されるように、Sセル121の金属層122は、金属層122の外面128内に形成された凹部127を有する。凹部127は、例えば、化学エッチング若しくは機械加工、又は任意の他の好適なプロセスによって形成され得る。凹部127は、パワーエレクトロニクスデバイス140を受け入れるようなサイズ及び形状を有する。外面128は概して、(金属層122の第1の主要な表面又は面として構成された)内面125と反対側の金属層122の第2の主要な表面又は面であり得る。すなわち、金属層122は、平面層であり得、それによって、内面125は、グラファイト層124A、124Bに面し、反対側の外面128は、パワーエレクトロニクスデバイス140及び回路基板アセンブリ106(
図10)に面する。
【0028】
図4及び
図5に示されるように、Sセル121は、Sセル121の長さ寸法がSセル121の幅寸法よりも大きくなるような矩形形状となるように設計されている。しかしながら、本明細書で述べられるように、Sセル121の形状は、矩形に限定されない。例えば、Sセル121は、本開示の範囲から逸脱することなく、例えば、正方形であり得る。
【0029】
ここで、
図6を参照すると、Sセル121の断面図が示されており、ここで、第1のグラファイト層124A及び第2のグラファイト層124Bは、金属層122内で覆われて示されている。更に、Sセル121は、金属層122と第1のグラファイト層124Aとの間に設けられた第1のろう付け層190と、第1のろう付け層190と反対側で金属層122と第2のグラファイト層124Bとの間に設けられた第2のろう付け層192と、を含む。第1のろう付け層190及び第2のろう付け層192は、組み立てられたときに第1のろう付け層190がパワーエレクトロニクスデバイス140(
図5)に面し、第2のろう付け層192が冷却板102(
図3)に面するように、金属層122の内面125に隣接してSセル121の対向する平面上に設けられることを理解されたい。Sセル121は、第1のグラファイト層124Aと第2のグラファイト層124Bとの間に設けられたグラファイト接合層194を更に含む。第1のろう付け層190、第2のろう付け層192、及びグラファイト接合層194は各々、横方向(すなわち、図面に示される座標軸線のy軸線に平行な方向)及び横方向に対して垂直な長手方向(すなわち、図面に示される座標軸線のx軸線に平行な方向)にSセル121の金属層122の対向する側の間で延びていることを理解されたい。
【0030】
実施形態では、金属層122は、0.1mm以上0.5mm以下で内面125と外面128との間で延びる第1の厚さT1を有する。実施形態では、金属層122は、0.2mm以上0.3mm以下で内面125と外面128との間で延びる第1の厚さT1を有する。実施形態では、金属層122の外面128内に形成された凹部127(
図4)以外の金属層122の第1の厚さT1は、Sセル121の全周にわたって一定である。実施形態では、第1のグラファイト層124Aは、0.25mm以上0.75mm以下の第2の厚さT2を有する。実施形態では、第1のグラファイト層124Aは、0.4mm以上0.6mm以下の第2の厚さT2を有する。実施形態では、第2のグラファイト層124Bは、0.25mm以上0.75mm以下の第3の厚さT3を有する。実施形態では、第2のグラファイト層124Bは、0.4mm以上0.6mm以下の第3の厚さT3を有する。したがって、第1のグラファイト層124A及び第2のグラファイト層124Bを超えて延びるSセル121の合計の厚さは、0.7mm以上3mm以下(すなわち、金属層122の第1の厚さT1の2倍、第1のグラファイト層124Aの第2の厚さT2、及び第2のグラファイト層124Bの第3の厚さT3の和)である。
【0031】
図6の実施形態に示されるグラファイト層124A、124Bは、Sセル121にわたる熱拡散及び冷却板102(例えば、
図10参照)に向かう熱拡散の両方を促進するために設けられている。グラファイトの結晶構造は、グラファイトに高い熱伝導性を提供し、冷却板102に向かう熱流束の伝導を有用にすることを理解されたい。しかしながら、グラファイトは、等温プロファイルを有していない。むしろ、グラファイトは、非等温プロファイルを有し、2つの軸線に沿って高い伝導性を有し、第3の軸線において低い熱伝導性を有する。グラファイトの非等温プロファイルを考慮するために、各グラファイト層124A、124Bは、グラファイト層124A、124Bの3つの軸線の各々に沿って、均衡した熱伝導性を提供するように、他のグラファイト層124A、124Bの2つの軸線とは異なる2つの軸線にわたって高い熱伝導性を有する。
【0032】
非限定的な例として、
図7に示されるように、第1のグラファイト層124A及び第2のグラファイト層124Bの結晶構造が示されている。具体的には、第1のグラファイト層124Aは、x軸線(面内方向)及びz軸線(面内方向)に沿って高い熱伝導性を有し、y軸線(面外方向)において低い熱伝導性を有する。本明細書に記載されるように、低い熱伝導性に対する言及は、高い熱伝導性と比較して低減された熱拡散能力を提供することを理解されたい。したがって、熱は、高い熱伝導性を有する別の軸線に沿って拡散する熱と比較して、低い熱伝導性を有する軸線に沿って、限定された距離で拡散する。第1のグラファイト層124Aのy軸線が第2のグラファイト層124Bのx軸線に対応するように、第1のグラファイト層124Aに対してz軸線周りに第2のグラファイト層124Bを90度回転させている。したがって、第1のグラファイト層124A及び第2のグラファイト層124Bの組み合わされた熱拡散能力は、単一のグラファイト層のみがSセル内で利用される場合の互いに不釣合いなものではなく、x軸線及びy軸線に沿って実質的に等しい(すなわち、5%、10%、20%、又は30%の範囲内である)。これにより、単一のグラファイト層のみが利用され並びに/又は第1のグラファイト層124A及び第2のグラファイト層124Bの結晶構造が同じ方向を向く(すなわち、グラファイト層124A、124Bの低い熱伝導性が同じ軸線に沿って及んでいる)実施形態と比較して、パワーエレクトロニクスデバイス140について、高い熱流束及びはるかに低い温度プロファイルが達成される。
【0033】
本明細書で述べられるように、第1のグラファイト層124A及び第2のグラファイト層124Bは交換可能であることを理解されたい。したがって、第1のグラファイト層124A又は第2のグラファイト層124Bのいずれかを他方に対して回転させ得る。別の非限定的な例として、
図8に示されるように、第2のグラファイト層124Bの結晶構造は、x軸線(面内方向)及びz軸線(面内方向)に沿って高い熱伝導性を有し、y軸線(面外方向)において低い熱伝導性を有する。同様に、第2のグラファイト層124Bのy軸線が第1のグラファイト層124Aのx軸線に対応するように、第1のグラファイト層124Aに対してz軸線周りに第2のグラファイト層124Bを90度回転させている。したがって、第1のグラファイト層124A及び第2のグラファイト層124Bの組み合わされた熱拡散能力は、x軸線及びy軸線に沿って等しいままである。
【0034】
このことは、Sセル121が、Sセル121にわたって不釣合いな熱拡散を提供することなく、矩形とは対照的な正方形となることを可能にする追加の利点を、グラファイト層124A、124Bを互いに対して回転させることによって提供する。第1のグラファイト層124A及び第2のグラファイト層124Bの結晶構造が同じ方向を向く実施形態では、Sセル121は通常、Sセル121の幅ではなくSセル121の長さに沿った熱拡散又は逆の場合の熱拡散を改善するように矩形形状である。
【0035】
したがって、
図9に示されるように、パワーエレクトロニクスアセンブリ100’の実施形態は、冷却板102と複数のSセル121とを含み、各々が、
図3及び
図4に示されるような矩形外形ではなく正方形外形を有するように示されている。
図9に示されるように、Sセル121にわたる熱拡散は、Sセル121の幅及びSセル121の長さの両方にわたって等しくなるように示されている。全く対照的に、グラファイト層124A、124Bのうちの一方を他方に対して回転させず、又は単一のグラファイト層のみがSセル121内で利用される実施形態では、熱拡散は、対応するSセル121の長さ及び幅のうちの対応するものに沿って著しく大きくなる。
【0036】
本明細書で示されていないが、パワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ146は、ペアのグラファイト層124A、124Bよりも多くのグラファイト層を含み得ることを理解されたい。例えば、パワーデバイスアセンブリ146は、任意の好適な配置で位置する3つ、4つ、又は4つを超える数のグラファイト層、例えば、1つ以上の下方のグラファイト層と、下方のグラファイト層上に設けられ、下方のグラファイト層の結晶構造が上方のグラファイト層のものと異なるように1つ以上の下方のグラファイト層に対して90度回転させた1つ以上の上方のグラファイト層と、を含み得る。別の非限定的な例として、第1の向きに配置された結晶構造を有するグラファイト層が、第1の向きとは異なる第2の向き、すなわち、90度のオフセットで配置された結晶構造を有するグラファイト層間に介在するように、グラファイト層は交互になり得る。
【0037】
図4を再び参照すると、Sセル121及びパワーエレクトロニクスデバイス140を含むパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ146の分解図が示されている。
図4は、Sセル121の凹部127に対するパワーエレクトロニクスデバイス140及び接合層143を示す。例えば、接合層143は、はんだ層であり得る。別の例として、接合層143は、過渡液相接合層143であり得る。パワーエレクトロニクスデバイス140は、パワーエレクトロニクスデバイス140の上面に、複数の大きい電極141と複数の小さい電極142とを含む。大きい電極141は、電源電極であり得る一方、小さい電極142は、信号電極であり得る。
図4では見ることができないが、パワーエレクトロニクスデバイス140は、パワーエレクトロニクスデバイス140の底面に1つ以上の電極を更に含むことに留意されたい。パワーエレクトロニクスデバイス140の底面における1つ以上の電極は、パワーエレクトロニクスデバイス140を凹部127内に配置することによって金属層122に電気的に接続される。したがって、パワーエレクトロニクスデバイス140の底部電極への電気接続は、金属層122によって行われ得る。
【0038】
ここで、
図10を参照すると、パワーエレクトロニクスアセンブリ100の断面図が示されている。回路基板アセンブリ106は、電気絶縁材料で作られた基板111を含む。電気絶縁材料は、プリント回路基板の製造において使用される材料、例えば、FR‐4であり得るが、これに限定されない。回路基板アセンブリ106は、組み込まれた電気導電層110、複数のビア112(電気伝導ビア及びサーマルビアの両方)を更に含む。本明細書で簡潔に述べられるように、ビア112は、例えば、パワーエレクトロニクスデバイス140、電気導電層110、及び同種のものなどの構成要素間の電気接続を確立する。いくつかの実施形態では、回路基板アセンブリ106は、回路基板アセンブリ106内に完全に又は部分的に組み込まれた複数のパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ146を含み得る。しかしながら、
図10に示される実施形態は、本明細書でより詳細に記載されるように、冷却板102の穴103内に配置されたSセル121内に受け入れられるパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリ146を示す。
【0039】
貯蔵部(図示せず)から(移動矢印135として示される)冷却流体は、流体入口132を通って流体チャンバ115内に流れて、流体出口134を通って流体チャンバ115から出ていき、当該冷却流体は、例えば、熱交換器(図示せず)を通って流れ、冷却流体から熱を除去した後、貯蔵部に返される。示されていないが、フィンのアレイは、冷却流体135への熱伝達用の追加の面領域を提供するために流体チャンバ115に設けられ得る。
【0040】
上記から、パワーエレクトロニクスアセンブリ及びパワーエレクトロニクスアセンブリを製造する方法が本明細書で定められることを理解されたい。具体的には、本明細書で開示されるパワーエレクトロニクスアセンブリは、冷却板を含むパワーエレクトロニクスアセンブリを含む。冷却板は、Sセル及びパワーエレクトロニクスデバイスを含むパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリを含む。Sセルは、第1のグラファイト層と、第2のグラファイト層と、第1のグラファイト層及び第2のグラファイト層を覆う金属層と、を含む。凹部は、金属層の外面内に形成されている。パワーエレクトロニクスデバイスは、Sセルの外面の凹部内に配置されている。実施形態では、第1のグラファイト層は、第1の軸線に沿って低い熱伝導性を提供し且つ第2の軸線及び第3の軸線に沿って高い熱伝導性を提供するような向きであって、第2のグラファイト層は、第2の軸線に沿って低い熱伝導性を提供し且つ第1の軸線及び第3の軸線に沿って高い熱伝導性を提供するような向きである。したがって、Sセルの熱分配は、第1の軸線及び第2の軸線に沿って実質的に等しい。
【0041】
ここで、本開示の実施形態は、Sセルを収容した冷却板を含むパワーエレクトロニクスデバイスアセンブリに接続された回路基板アセンブリを有するパワーエレクトロニクスアセンブリを対象とすることを理解されたい。パワーエレクトロニクスデバイスは、Sセル内及び/又は回路基板アセンブリ内に組み込まれ得る。このようなパワーエレクトロニクスアセンブリは、コンパクトであって、Sセルを電気的に絶縁する能力を維持しつつ熱伝導性の増大を提供し、それによって、Sセルから冷却板への熱流束を改善し、それによって、従来のパッケージに対する回路基板アセンブリの熱拡散性能及び冷却性能を増大させる。
【0042】
「実質的」及び「約」という用語は、任意の定量的な比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る、内在する不確実性の程度を表すために本明細書で利用され得ることに留意されたい。これらの用語はまた、定量的な表現が、問題となる主題の基本的な機能の変化をもたらすことなく、述べられた基準から変わり得る程度を表すために本明細書で利用される。
【0043】
特定の実施形態が本明細書で説明及び記載されているが、様々な他の変更及び修正が、請求された主題の範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解されたい。更に、請求された主題の様々な態様が本明細書で記載されているが、このような態様は、組み合わされて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、請求された主題の範囲内にある全てのこのような変更及び修正を包含することが意図される。
【0044】
請求された主題の範囲から逸脱することなく、本明細書で記載される実施形態に対して様々な修正及び変形がなされ得ることが当業者に明らかであろう。したがって、本明細書は、このような修正及び変形が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で生じるならば、本明細書で記載される様々な実施形態の修正及び変形を包含することが意図される。
【外国語明細書】