(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059590
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】電極振動検出モジュール及び電極振動検出方法
(51)【国際特許分類】
F27B 3/28 20060101AFI20240423BHJP
F27D 11/08 20060101ALI20240423BHJP
F27B 14/14 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F27B3/28
F27D11/08 A
F27B14/14
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023177992
(22)【出願日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】63/417,155
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523391515
【氏名又は名称】エーエムアイ インターナショナル エスエーピーアイ デ シー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】AMI INTERNATIONAL SAPI de C.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】エリック ガーザ サンチェス
(72)【発明者】
【氏名】ギエルモ フェルナンデス ディアズ
【テーマコード(参考)】
4K045
4K046
4K063
【Fターム(参考)】
4K045RB02
4K046AA03
4K046CD04
4K063AA04
4K063AA12
4K063FA53
4K063FA78
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電極振動検出モジュール(EVDM)、及び前記EVDMを使用して電気アーク炉(EAF)の電極の振動を検出する方法を提供する。
【解決手段】EVDMは、電極とEAF外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を受信及び/又は確認するものであり、その波形信号に少なくともある程度基づいて電極振動の条件を識別することと、アラームをトリガすること、及び/又はEAF内の電極の位置を調節することによってEAFの動作を修正することと、を行うように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気アーク炉(EAF)の電極電気的センサ及び電極アクチュエータと作用的に連通している電極振動検出モジュール(EVDM)であって、
(a)コンピュータプロセッサであって、(i)前記電極と前記EAFの外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を受信するステップと、(ii)EVDMウィンドウ時間及びサンプリング周波数に基づくEVDMキュー長さを有するEVDMキューを定義するステップであって、前記EVDMウィンドウ時間は、その間に前記波形信号の個々のサンプルが受信及び/又は確認され、それらの2乗平均平方根値(RMS値)がサンプリング周期ごとに(例えば、電力系の半周期ごとに)計算される、所定の時間帯又はユーザが選択する時間帯である、前記定義するステップと、を実施するように構成された前記コンピュータプロセッサと、
(b)ユーザが選択できる1つ以上のサブモジュールであって、前記1つ以上のサブモジュールは、前記コンピュータプロセッサ内で実施される(i)前記個々のサンプルの前記RMS値の比較、及び(ii)電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの比較に基づいて、前記電極振動検出に関連付けられた内部アラーム発生(IAO)をトリガするように構成されており、前記1つ以上のサブモジュールは、個々のIAO又は個々の非内部アラーム発生(NIAO)であるように画定された個々のサンプルごとに振動データを生成するように構成されている、前記1つ以上のサブモジュールと、
(c)前記1つ以上のサブモジュールからの個々のサンプルごとの前記振動データをキューに格納して蓄積し、前記振動データの最小パーセンテージが個々のIAOからなると画定された場合には外部振動アラーム(EVA)をトリガするように更に構成されている前記コンピュータプロセッサと、
を含むEVDM。
【請求項2】
前記EVAをトリガするのに必要な前記最小パーセンテージは、(例えば、ユーザインタフェースを通して)ユーザによって選択可能であり、又はユーザによって規定され、任意選択で、前記ユーザインタフェース上の「オンウィンドウ%」入力場所として識別される、請求項1に記載のEVDM。
【請求項3】
前記最小パーセンテージは10%から約100%の範囲であり、例えば、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、及び50%のいずれかであり、且つ/又は最大で約100、90、80、70、60、及び50%のいずれかである、請求項2に記載のEVDM。
【請求項4】
前記EVDMウィンドウ時間は、約500ミリ秒(ms)から約5000msまでを含んでよく、例えば、少なくとも約500、800、1000、1200、1500、1800、2000、2200、及び2500msのいずれかを含んでよく、且つ/又は最大で約5000、4500、4000、3500、3000、2800、及び2500msのいずれかを含んでよい、請求項1~3のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項5】
前記サンプリング周波数は10Hzより高く、或いは前記電力系の周波数に関連付けられているが、それらの周波数(例えば、50Hzの電力系の場合は100Hz、又は60Hzの電力系の場合は120Hz)に限定されない、請求項1~4のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項6】
EVDMウィンドウ時間は、ローリングEVDMウィンドウ時間であり、前記EVDMは、前記1つ以上のサブモジュールからの振動データで電気的プロファイルが変更された後に、それぞれの新しいEVDMキューを埋めることを開始する、請求項1~5のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項7】
前記コンピュータプロセッサは更に、振動データの個々のIAOのパーセンテージが所定の最大パーセンテージを下回った場合には前記EVAをオフにするように構成されており、前記所定の最大パーセンテージは、前記EVAをトリガするのに必要な、前記振動データの前記最小パーセンテージより小さい、請求項1~6のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項8】
前記EVAをオフにするのに必要な前記所定の最大パーセンテージは、(例えば、前記ユーザインタフェースを通して)ユーザによって選択可能であってよく、又はユーザによって規定されてよく、任意選択で、前記ユーザインタフェース上の「オフウィンドウ%」入力場所として識別される、請求項7に記載のEVDM。
【請求項9】
前記所定の最大パーセンテージは5%から約50%の範囲であり、例えば、少なくとも約5、10、20、及び25%のいずれかであり、且つ/又は最大で約50、45、40、35、30、及び25%のいずれかである、請求項8に記載のEVDM。
【請求項10】
前記1つ以上のサブモジュールのうちの複数個が、前記EAFの動作中の同じ時間帯に又は一部重なり合う時間帯に選択可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項11】
ユーザが選択できる前記1つ以上のサブモジュールは、例えば、ユーザインタフェースを通して実施され、任意選択で、前記1つ以上のサブモジュールのそれぞれが、前記ユーザインタフェース上の個々の「アラームモード」選択場所として識別される、請求項1~10のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項12】
前記1つ以上のサブモジュールは第1のサブモジュールを含み、前記第1のサブモジュールは、規定の周波数範囲の中で、電極振動検出に関連付けられた前記1つ以上の所定の電気的プロファイルの最小周波数値及び最大周波数値を有する周波数成分を検出するように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項13】
前記第1のサブモジュールは、(i)前記電極と前記EAF外殻の前記底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する前記波形信号から、フィルタリングされていない電気的値(例えば、個々の電流、電圧、インピーダンス、及び/又はアドミタンスの各RMS値)のセットを画定することと、(ii)前記規定の周波数範囲から外れた周波数があればこれを除去するように構成されたバンドパスフィルタによってフィルタリングされた、前記電極と前記EAF外殻の前記底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する前記信号から、サンプルごとにフィルタリングされた信号を画定することによって、フィルタリングされた電気的値(例えば、フィルタリングされた個々の電流、電圧、インピーダンス、及び/又はアドミタンスの各値)のセットを画定することと、それによって、(iii)サンプルごとに、1つ以上のフィルタリングされた個々の電気的特性と、それぞれに対応する1つ以上のフィルタリングされていない電気的特性と、のそれぞれの比を前記コンピュータプロセッサ内で計算すること、並びに(iv)所定閾値を上回ったそれぞれの比ごとに、電極振動検出に関連付けられたIAOをトリガすることと、を行うように構成されている、請求項12に記載のEVDM。
【請求項14】
前記規定の周波数範囲は、約1ヘルツ(Hz)から約10Hzまでを含み、前記最小周波数値は、少なくとも約1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8、及び5Hzのいずれかを含み、前記最大周波数値は、最大で約10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、及び5Hzのいずれかからを含む、請求項12~13のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項15】
前記フィルタリングされていない電気的値及び前記フィルタリングされた電気的値は、インピーダンス2乗平均平方根(RMS)及びアドミタンスRMSである、請求項13~14のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項16】
前記所定閾値は、(例えば、前記ユーザインタフェースを通して)ユーザが選択可能である又は規定する、請求項13~15のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項17】
前記所定閾値は約10%より大きく、例えば、少なくとも約10、13、15、17、20、25、30、33、35、38、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、及び95%のいずれかである、請求項13~16のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項18】
前記EVDMは、最小インピーダンスRMS閾値を有するか、又は最小インピーダンスRMS閾値を受信するように更に構成されており、前記EVDMがIAOをトリガすることが可能であるためには、前記フィルタリングされたインピーダンスRMS値が前記最小インピーダンスRMS閾値より大きくなければならない、請求項15~17のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項19】
前記1つ以上のサブモジュールは第2のサブモジュールを含み、前記第2のサブモジュールは、個々のサンプルごとの前記計算されたインピーダンスRMS値に基づいて開路サンプル及び/又は短絡サンプルを検出し、それらの数をカウントするように構成されており、個々の開路サンプルは、任意選択でユーザが設定できる開路閾値(例えば、30、35、又は40mΩ)を上回るインピーダンスRMSを有するものとして定義されており、個々の短絡サンプルは、任意選択でユーザが設定できる短絡閾値(例えば、7、6、5、4、3、又は2mΩ)を下回るインピーダンスRMSを有するものとして定義されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項20】
前記第2のサブモジュールは、第2のキュー長さを有する第2のサブモジュールキューを含み、前記第2のサブモジュールは、前記計算されたインピーダンスRMSの個々のサンプルを蓄積し、最古のサンプルを廃棄して前記キューを最大キュー長さでフルに保つように構成されており、前記第2のサブモジュールは更に、(i)前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の開路サンプルのパーセンテージ、並びに前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の短絡サンプルのパーセンテージを前記コンピュータプロセッサ内で計算することと、(ii)前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の開路サンプルの前記パーセンテージが、開路発生の閾値パーセンテージを超えているかどうかを前記コンピュータプロセッサ内で判定することと、(iii)前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の短絡サンプルの前記パーセンテージが、短絡発生の閾値パーセンテージを超えているかどうかを前記コンピュータプロセッサ内で判定することと、を行うように構成されている、請求項19に記載のEVDM。
【請求項21】
前記コンピュータプロセッサは更に、(i)前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の開路サンプルのパーセンテージが開路発生の閾値パーセンテージを超えている、と前記コンピュータプロセッサ内で判定されて、且つ(ii)前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の短絡サンプルのパーセンテージが短絡発生の閾値パーセンテージを超えている、と前記コンピュータプロセッサ内で判定された各サンプルに対して、電極振動検出に関連付けられたIAOをトリガするように構成されている、請求項20に記載のEVDM。
【請求項22】
前記第2のキュー長さは、前記第2のサブモジュールのサンプリング時間ウィンドウに基づいて前記コンピュータプロセッサ内で計算される、請求項20~21のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項23】
前記サンプリング時間ウィンドウは、1秒から約8秒までであり、例えば、少なくとも約1、2、3、及び4秒のいずれかであり、且つ/又は最大で約8、7、6、5、及び4秒である、請求項22に記載のEVDM。
【請求項24】
前記第2のサブモジュールの前記サンプリング周波数は10Hzより高く、或いは前記電力系の周波数に関連付けられているが、それらの周波数(例えば、50Hzの電力系の場合は100Hz、又は60Hzの電力系の場合は120Hz)に限定されない、請求項22~23のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項25】
開路発生の前記閾値パーセンテージは約20%から約50%までであり、例えば、少なくとも約20、25、30、及び35%のいずれかであり、且つ/又は最大で約50、45、40、及び35%のいずれかである、請求項22~24のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項26】
短絡発生の前記閾値パーセンテージは約20%から約50%までであり、例えば、少なくとも約20、25、30、及び35%のいずれかであり、且つ/又は最大で約50、45、40、及び35%のいずれかである、請求項22~25のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項27】
前記1つ以上のサブモジュールは第3のサブモジュールを含み、前記第3のサブモジュールは、前記コンピュータプロセッサ内で、短絡状態と開路状態との間の状態変化を検出し、その状態変化の総数をカウントするように構成されており、前記第3のサブモジュールは更に、(i)有限状態機械における現在の状態が「規制」状態と同じであるかどうかを判定することと、(ii)前記現在の状態が前記状態機械における直前状態と同じであるかどうかを判定することと、(iii)それに応じて蓄積変数を増加又は減少させることと、(iv)状態変化の前記総数が状態変化発生の閾値を超えているかどうかを前記コンピュータプロセッサ内で判定することと、を行うように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項28】
前記コンピュータプロセッサは更に、前記コンピュータプロセッサ内で、前記状態変化数がユーザの規定した前記状態変化閾値を超えていることを示していると判定された蓄積変数を有するサンプルごとに、電極振動検出に関連付けられたIAOをトリガするように構成されている、請求項27に記載のEVDM。
【請求項29】
前記第3のサブモジュールの前記サンプリング周波数は10Hzより高く、或いは前記電力系の周波数に関連付けられているが、それらの周波数(例えば、50Hzの電力系の場合は100Hz、又は60Hzの電力系の場合は120Hz)に限定されない、請求項27~28のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項30】
前記蓄積変数を増加させるupProportion変数は約0.0001から約0.01であり、例えば、少なくとも約0.0001、0.00025、0.0005、0.00075、0.001のいずれかであり、且つ/又は最大で約0.01、0.0075、0.0050、0.0025、及び0.001のいずれかである、請求項27~29のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項31】
前記蓄積変数を減少させるdownslope変数は約0.000001から約0.0001であり、例えば、少なくとも約0. 000001、0.0000025、0.000005、0.0000075、0.00001のいずれかであり、且つ/又は最大で約0.0001、0.000075、0.000050、0.000025、及び0.00001のいずれかである、請求項27~30のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項32】
状態変化発生に関してユーザが規定した前記状態変化閾値は約0.1から約0.6であり、例えば、少なくとも約0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、及び0.35のいずれかであり、且つ/又は最大で約0.60、0.55、0.50、0.40、及び0.35のいずれかである、請求項27~31のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項33】
Zrmsと比較して開路状態かどうかをチェックするための、ユーザが規定する開路値は約30から45であり、例えば、少なくとも約30、32、34、及び38のいずれかであり、且つ/又は最大で約45、42、40、及び38のいずれかである、請求項27~32のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項34】
Zrmsと比較して短絡状態かどうかをチェックするための、ユーザが規定する短絡値は約2から10であり、例えば、少なくとも約2、3、4、5、及び6のいずれかであり、且つ/又は最大で約10、9、8、7、及び6のいずれかである、請求項27~33のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項35】
電気アーク炉(EAF)の電極の振動を検出する方法であって、
(a)請求項1~34のいずれか一項に記載の、前記電極の電気的センサ及びアクチュエータと作用的に連通している電極振動検出モジュール(EVDM)を設けるステップと、
(b)前記電極と前記EAFの外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を前記EVDMのコンピュータプロセッサ内で受信するステップと、
(c)1つ以上のサブモジュールを選択するステップであって、前記1つ以上のサブモジュールは、前記コンピュータプロセッサ内で実施される(i)前記個々のサンプルの前記RMS値の比較、及び(ii)電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの比較に基づいて、前記電極振動検出に関連付けられた内部アラーム発生(IAO)をトリガするように構成されており、前記1つ以上のサブモジュールは、個々のIAO又は個々の非内部アラーム発生(NIAO)であるように画定された個々のサンプルごとに振動データを生成するように構成されている、前記1つ以上のサブモジュールを選択するステップと、
(d)1つ以上の選択されたサブモジュールからの個々のサンプルごとの前記振動データを蓄積し、最古のサンプルを廃棄して前記EVDMキューを最大キュー長さでフルに保ち、前記振動データの最小パーセンテージが個々のIAOからなると画定された場合には外部振動アラーム(EVA)をトリガするステップと、
を含む方法。
【請求項36】
耐火物で内張りされている炉床を含む内部部分を画定している炉本体と、前記内部部分内に延びる1つ以上の電極と、を含む電気アーク炉(EAF)を動作させる方法であって、
(i)請求項35に従って前記1つ以上の電極の振動を検出するステップと、
(ii)前記1つ以上の電極を持ち上げて、前記耐火物で内張りされている炉床から離すことにより、前記耐火物で内張りされている炉床に対する前記1つ以上の電極の位置を調節するステップと、
を含む方法。
【請求項37】
前記コンピュータプロセッサは、前記耐火物で内張りされている炉床に対する前記1つ以上の電極の位置を調節する前記ステップを開始するように構成されている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記コンピュータプロセッサは更に、前記1つ以上の電極の加熱回数に基づいて前記1つ以上の電極のレート及び/又は距離を変化させるように構成されている、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記コンピュータプロセッサは、前記耐火物で内張りされている炉床に対する前記1つ以上の電極の位置を調節する前記ステップの開始を、前記1つ以上の電極の加熱回数が、ユーザが規定した加熱回数閾値を下回るときには第1のレート及び/又は第1の距離で、又、前記1つ以上の電極の加熱回数が、ユーザが規定した加熱回数閾値を上回るときには第2のレート及び/又は第2の距離で行うように構成されており、前記第1のレートは前記第2のレートより高く、前記第1の距離は前記第2の距離より長い、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
(i)耐火物で内張りされている炉床を含む内部部分を画定している炉本体と、前記内部部分内に延びる1つ以上の電極と、を含む電気アーク炉(EAF)と、
(ii)請求項1~34のいずれか一項に記載の電極振動検出モジュール(EVDM)と、
を含む電気アーク炉(EAF)システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の発明の実施形態は、全般的には、電極振動検出モジュール(EVDM)、及びEVDMを使用して電気アーク炉(EAF)の電極の振動を検出する方法に関し、それらのモジュール及び方法では、EVDMは、電極とEAF外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を受信及び/又は確認するものであり、その波形信号に少なくともある程度基づいて電極振動の条件を識別することと、アラームをトリガすること、及び/又はEAF内の電極の位置を調節することによってEAFの動作を修正することと、を行うように構成されている。
【背景技術】
【0002】
従来の製鋼方法は、溶鉱炉(BOF)ルートに基づいており、そこでは、コークスを使用する溶鉱炉で鉄鉱石が還元及び溶融され、その後、BOF転炉で精錬される。コークスが燃えるとエネルギが発生し、鉄鉱石は、炭素及び一酸化炭素と反応することにより還元される。これに対し、ここ数年、世界中で、電気アーク炉(EAF)製鋼プロセスへの関心がBOF技術を超えて急速に高まっている。
【0003】
EAFプロセスの数々の利点の中で、より低排出であることに次いで挙げられるフレキシビリティは、EAFならではの論点である。このプロセスは、BOFルートに比べて極めてフレキシブルである。BOFルートでは最新の市況に応じて意のままに稼働をオンオフすることが不可能である。より高度な、よりフレキシブルな、よりクリーンなプロセスへと向かう流れは、各製鋼業者の個々のニーズに合わせて迅速に実施及び適合されることが可能な技術を必要としている。
【0004】
製鋼に使用されるEAFは、一般に、開閉式屋根で覆われた、耐火物で内張りされた容器を含み、1つ以上の電極がこの屋根を貫通して炉に入っている。この点において、EAFは、一般に外殻と炉床と屋根とを有するように考えられてよく、外殻は、側壁及び下部スチール「ボウル」からなり、炉床は、下部ボウルを内張りする耐火物からなり、屋根は、耐火物で内張りされているか水冷式であってよく、球体の一部分のように、又は錐台(円錐の一部分)のように成形されてよい。屋根は又、その中心部で三角形の耐火物を支持しており、1つ以上の電極がこれを貫通して中に入っている。
【0005】
典型的な交流式EAFは、三相電源から電力を供給されてよく、そのため、3つの電極を有する。電極は、断面が丸くてよく、典型的には、ねじカップリングを有するセグメントの形態であってよく、これにより、電極が摩耗したら新しいセグメントを追加することが可能である。この点において、装入材料(例えば、溶融されるくず鉄)と電極との間にアークが形成される。装入物(例えば、くず鉄)は、装入物を通り抜ける電流と、アークによって発生した放射エネルギと、の両方によって加熱されてよい。電気アーク温度は3,000℃(5,400°F)前後に達し、それによって、動作時に電極の下部が白熱して光り輝く。
【0006】
EAFは、典型的には、傾斜するプラットフォームの上に造られており、それによって、出来上がった溶鋼が別の搬送用容器に注ぎ込まれることが可能である。炉を傾斜させて溶鋼を注ぐ操作を「出鋼」と呼ぶ。元来、製鋼炉は全て、炉が傾斜したときに出鋼口が、押し流された耐火物で閉じられるが、最近の炉は、多くの場合、溶鋼に窒素及びスラグが含まれるのを抑える偏心炉底出鋼口(EBT)を有する。こうした炉の出鋼口は、炉床及び外殻を垂直方向に通り抜け、卵形の炉床の狭い「ノーズ」の中に中心を外れて設置される。これは、閉鎖されるときは、カンラン石等の耐火砂で満たされる。
【0007】
しかしながら、EAF技術においては、電極とEAF外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を通してEAFの1つ以上の電極の振動を監視及び/又は検出することが可能な方法及び/又はモジュールが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による幾つかの実施形態は、電気アーク炉(EAF)の電極の電気的センサ及びアクチュエータ(例えば、1つ以上の電極)と作用的に連通している電極振動検出モジュール(EVDM)を提供し、EVDMは、電極とEAF外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに電極を通る電流(電極電流)に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を受信及び/又は確認するものであり、その波形信号に少なくともある程度基づいて電極振動の条件を識別することと、アラームをトリガすること、及び/又はEAF内の電極の位置を調節することによってEAFの動作を修正することと、を行うように構成されている。本発明の幾つかの実施形態によれば、例えば、EVDMはコンピュータプロセッサを含み、このコンピュータプロセッサは、電極とEAF外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を受信し、これらの信号により、電極電流及び電極電圧の2乗平均平方根(RMS)値(RMS電流、RMS電圧)を、電力源の交流(AC)の半周期に対応するサンプリング周波数(RMSサンプリング周波数)において計算して、EVDMウィンドウ時間及びRMSサンプリング周波数に基づくEVDMキュー長さを有するEVDMキューを定義するように構成されている。本発明の幾つかの実施形態によれば、EVDMウィンドウ時間は、その間に個々のサンプルのRMS電流値及びRMS電圧値(RMS値)が受信及び/又は確認される、所定の時間帯又はユーザが選択する時間帯であってよい。EVDMは又、ユーザが選択できる1つ以上のサブモジュール(例えば、アラームモード)を含んでよく、この1つ以上のサブモジュールは、コンピュータプロセッサ内で実施される(i)個々のサンプルのRMS値の比較、及び(ii)電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの比較に基づいて、電極振動検出に関連付けられた内部アラーム発生(IAO)をトリガするように構成されている。本発明の幾つかの実施形態によれば、1つ以上のサブモジュールは、個々のIAO又は個々の非内部アラーム発生(NIAO)であるように画定された個々のサンプルごとに振動データを生成するように構成されてよい。コンピュータプロセッサは更に、EVDMキュー長さがフルになるまで、1つ以上のサブモジュールからの個々のサンプルごとの振動データを蓄積し、振動データの最小パーセンテージが個々のIAOからなると画定された場合には外部振動アラーム(EVA)をトリガするように構成されてよい。
【0010】
別の態様では、本発明は、EAFの電極(例えば、1つ以上の電極)の振動を検出する方法を提供し、本方法は、(a)電極の電気的センサ及びアクチュエータと作用的に連通しているEVDM(例えば、本明細書に記載及び開示のEVDM)を設けるステップと、(b)電極とEAF外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号をEVDMのコンピュータプロセッサ内で受信するステップと、(c)電極RMS電圧及び電極RMS電流をRMSサンプリング周波数において計算するステップと、(d)1つ以上のサブモジュール(例えば、アラームモード)を選択するステップであって、1つ以上のサブモジュールは、コンピュータプロセッサ内で実施される(i)個々のサンプルのRMS値の比較、及び(ii)電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの比較に基づいて、電極振動検出に関連付けられた内部アラーム発生(IAO)をトリガするように構成されてよい、1つ以上のサブモジュールを選択するステップと、を含んでよい。本発明の幾つかの実施形態によれば、1つ以上のサブモジュールは、個々のIAO又は個々の非内部アラーム発生(NIAO)であるように画定された個々のサンプルごとに振動データを生成するように構成されてよく、本方法は更に、(e)EVDMキュー長さがフルになるまで、1つ以上の選択されたサブモジュールからの個々のサンプルごとの振動データを蓄積し、振動データの最小パーセンテージが個々のIAOからなると画定された場合には外部振動アラーム(EVA)をトリガするステップを含んでよい。
【0011】
別の態様では、本発明は、耐火物で内張りされている炉床を含む内部部分を画定している炉本体と、内部部分内に延びる1つ以上の電極と、を含むEAFを動作させる方法を提供し、本方法は、(例えば、本明細書に記載及び開示の方法により)1つ以上の電極の振動を検出するステップと、1つ以上の電極を持ち上げて、耐火物で内張りされている炉床から離すことにより、耐火物で内張りされている炉床に対する1つ以上の電極の位置を調節するステップと、を含む。
【0012】
更に別の態様では、本発明はEAFシステムを提供し、EAFシステムは、(i)耐火物で内張りされている炉床を含む内部部分を画定している炉本体と、内部部分内に延びる1つ以上の電極と、を含むEAFと、(ii)電極振動検出モジュール(EVDM)(例えば、本明細書に記載及び開示のEVDM)と、を含む。本発明の幾つかの実施形態によれば、EVDMは、1つ以上の電極の電気的センサ及びアクチュエータと作用的に連通していてよい。
【0013】
以下では、本発明の、全てではないが幾つかの実施形態が示された添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。実際には、本発明は、多様な形態で実施されてよく、本明細書で説明される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が、適用可能な法的要件を満たすように提供される。類似の参照符号は、全体を通して類似の要素を指す。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】1つ以上のサブモジュール(例えば、内部アラーム)を選択するためのユーザインタフェースの一例1を示す。
【
図2】本発明の幾つかの実施形態によるEVDMの動作のフロー図を示す。
【
図3】本発明の幾つかの実施形態による、EVDMの第1のサブモジュール(例えば、内部アラームモード)の動作のフロー図を示す。
【
図4】本発明の幾つかの実施形態による、EVDMの第2のサブモジュール(例えば、内部アラームモード)の動作のフロー図を示す。
【
図5A】周期振動モード(例えば、第3のサブモジュール)に関連する概念の状態図を示す。ここでは、規制状態に入るたびに、又は状態が停滞するたびに、第3のサブモジュールは、変数sumSignalFractionを、変数「downslope」で決定される定数係数で減少させ、逆に、開路状態と短絡状態との間の状態変化(又は周期振動)があると、第3のサブモジュールは、変数sumSignalFractionから1.0までの距離にupProportionを掛けたものを使用して変数sumSignalFractionを増加させ、それによって、負の指数関数的減衰挙動で1.0に近づける。
【
図5B】upProportion=0.001による変数sumSignalFractionの増大を示す。この変数は、急速に増大してから徐々に緩やかになって1.0に収束するという形の負の指数関数的減衰挙動で1.0に近づく。
【
図5C】システムが規制状態に入る場合、又は、システムが現在の状態にとどまる場合には、変数sumSignalFractionが一定の下り坂を有することを示す。
【
図5D】本発明の幾つかの実施形態による、EVDMの第3のサブモジュール(例えば、内部アラームモード)の動作のフロー図を示す。
【
図6】電極プロファイルを設定するためのユーザインタフェースの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の、全てではないが幾つかの実施形態が示された添付図面を参照しながら、本発明の実施形態をより詳細に説明する。実際には、本発明は、多様な形態で実施されてよく、本明細書で説明される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が、適用可能な法的要件を満たすように提供される。本明細書、及び添付の特許請求項において使用される単数形「a」、「an」、「the」は、文脈が明らかに別の意味でない限り、複数の指示物を包含する。本明細書では、「及び/又は(and/or)」という語句は、関連付けられて列挙されたアイテムのうちの1つ以上のアイテムのあらゆる組み合わせを包含する。
【0016】
本発明の実施形態は、全般的には、電極振動検出モジュール(EVDM)、及びEVDMを使用して電気アーク炉(EAF)の電極の振動を検出する方法に関し、それらのモジュール及び方法では、EVDMは、電極とEAF外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を受信及び/又は確認するものであり、その波形信号に少なくともある程度基づいて電極振動の条件を識別することと、アラームをトリガすること、及び/又はEAF内の電極の位置を調節することによってEAFの動作を修正することと、を行うように構成されている。この点において、本発明の幾つかの実施例は、電極振動の度合いが大きくなりすぎて、電極の一部が破損したり、剥がれ落ちたり、且つ/又は、製造環境内のEAF構成要素を損傷しうる発火を起こしかねない電気アークが発生したりする前に、電極振動の開始を検出すること、アラームをトリガすること、及び/又は電極の位置を自動的に調節することが可能である。従って、本発明の幾つかの実施形態は、EAFを動作させる上での望ましい安全性強化及び電極寿命の強化を実現する。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態によれば、例えば、EVDMは、電極とEAF外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を受信し、EVDMウィンドウ時間及びサンプル周波数に基づくEVDMキュー長さを有するEVDMキューを定義するように構成されたコンピュータプロセッサを含む。本発明の幾つかの実施形態によれば、EVDMウィンドウ時間は、その間に波形信号の個々のサンプルが受信及び/又は確認される、所定の時間帯又はユーザが選択する時間帯であってよい。EVDMは又、ユーザが選択できる1つ以上のサブモジュール(例えば、アラームモード)を含んでよく、この1つ以上のサブモジュールは、コンピュータプロセッサ内で実施される(i)個々のサンプルのRMS値の比較、及び(ii)電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの比較に基づいて、電極振動検出に関連付けられた内部アラーム発生(IAO)をトリガするように構成されている。本発明の幾つかの実施形態によれば、1つ以上のサブモジュールは、個々のIAO又は個々の非内部アラーム発生(NIAO)であるように画定された個々のサンプルごとに振動データを生成するように構成されてよい。コンピュータプロセッサは更に、EVDMキュー長さがフルになるまで、1つ以上のサブモジュールからの個々のサンプルごとの振動データを蓄積し、振動データの最小パーセンテージが個々のIAOからなると画定された場合には外部振動アラーム(EVA)をトリガするように構成されてよい。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態によれば、EVAをトリガするのに必要な最小パーセンテージは、(例えば、ユーザインタフェースを通して)ユーザによって選択可能であり、又はユーザによって規定され、任意選択で、ユーザインタフェース上の「オンウィンドウ%」入力場所として識別される。例えば、EVAをトリガするのに必要な最小パーセンテージは、異なるシフト間での動作パラメータの一貫性を確保するために、ユーザ(例えば、操作者)によって調節されてよく、且つ/又は設備管理によって入力及びロックされてよい。本発明の幾つかの実施形態によれば、EVAをトリガするのに必要な最小パーセンテージは10%から約100%の範囲であり、例えば、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、及び50%のいずれかであり、且つ/又は最大で約100、90、80、70、60、及び50%のいずれかである。
【0019】
EVDMウィンドウ時間は、本発明の幾つかの実施形態によれば、(例えば、ユーザインタフェースを通して)ユーザによって選択又は規定されてよい。例えば、EVDMウィンドウ時間は、異なるシフト間での動作パラメータの一貫性を確保するために、ユーザ(例えば、操作者)によって調節されてよく、且つ/又は設備管理によって入力及びロックされてよい。本発明の幾つかの実施形態によれば、EVDMウィンドウ時間は、約500ミリ秒(ms)から約5000msまでを含んでよく、例えば、少なくとも約500、800、1000、1200、1500、1800、2000、2200、及び2500msのいずれかを含んでよく、且つ/又は最大で約5000、4500、4000、3500、3000、2800、及び2500msのいずれかを含んでよい。追加又は代替として、サンプリング周波数は、AC電力系統周波数に応じて120、100、60、又は50Hzであってよく、好ましい値は、60HzのAC系統の場合は120Hz、50HzのAC系統の場合は100Hzである。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態によれば、EVDMウィンドウ時間は、ローリングEVDMウィンドウ時間を含んでよく、この場合、EVDMは、キュー長さがその時点での最新のサンプルで満たされた状態を保持するために、新しいサンプルを挿入し、最古サンプルを除去する。電気的プロファイルが変更されると、EVDMは、現在のキューデータを廃棄して、新しいEVDMキューを埋めることを開始する。本発明の幾つかの実施形態によれば、ローリングEVDMウィンドウ時間は、複数の連続する個別EVDMデータを含んでよく、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態によれば、EVDMのコンピュータプロセッサは更に、振動データの個々のIAOのパーセンテージが所定の最大パーセンテージを下回った場合にはEVAをオフにするように構成されてよく、この場合、所定の最大パーセンテージは、EVAをトリガするのに必要な、振動データの最小パーセンテージより小さい。この点において、EVDMは、受け入れられない電極振動が検出されたときにアラームをトリガすることが可能であるだけでなく、電極の動作によって、電極振動につながる動作条件が適切に対処された場合には、そのようなアラームを無効にすることも可能である。本発明の幾つかの実施形態によれば、EVAをオフにするのに必要な所定の最大パーセンテージは、(例えば、ユーザインタフェースを通して)ユーザによって選択可能であってよく、又はユーザによって規定されてよく、任意選択で、ユーザインタフェース上の「オフウィンドウ%」入力場所として識別されてよい。例えば、EVAをオフにするのに必要な所定の最大パーセンテージは、異なるシフト間での動作パラメータの一貫性を確保するために、ユーザ(例えば、操作者)によって調節されてよく、且つ/又は設備管理によって入力及びロックされてよい。本発明の幾つかの実施形態によれば、EVAをオフにするのに必要な所定の最大パーセンテージは5%から約50%の範囲であってよく、例えば、少なくとも約5、10、20、及び25%のいずれかであり、且つ/又は最大で約50、45、40、35、30、及び25%のいずれかである。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態によれば、1つ以上のサブモジュール(例えば、アラームモード)のうちの複数個が並行して選択されてよい(例えば、同時に選択されてよく、又は一部重なり合う形で選択されてよく、後者の場合は、最初に第1のアラームモードが選択され、続いて第2のアラームモードが更に選択される)。この点において、1つ以上のサブモジュールのうちの複数個が、電極の動作中の同じ時間帯に又は一部重なり合う時間帯に選択可能であってよい。ユーザが選択できる1つ以上のサブモジュールは、例えば、ユーザインタフェースを通して実施されてよく、任意選択で、1つ以上のサブモジュールのそれぞれが、ユーザインタフェース上の個々の「アラームモード」選択場所として識別される。例えば、
図1は、1つ以上のサブモジュール(例えば、内部アラーム)を選択するためのユーザインタフェースの一例1を示しており、ここでは、個々のサブモジュール(例えば、内部アラームモード)3の様々な組み合わせに対応する様々な「振動アラームモード」バリエーション2が選択されてよい。
【0023】
図2は、本発明の幾つかの非限定的な実施形態によるEVDMの動作のフロー
図10を示す。
図2に示すように、EVDMウィンドウ時間はユーザによってミリ秒単位で規定され(11)、EVDMキュー長さはコンピュータプロセッサによって計算され(14)、
図2の式中の「1000」はミリ秒から秒への変換用である。上述のように、1つ以上のアラームモード(例えば、サブモジュール)がユーザによって選択されてよい(18)。
図2は、EVDMが3つのサブモジュール(例えば、内部アラーム)100、200、300を含む実施形態を示している。本明細書に開示及び記載の1つ以上のサブモジュール100、200、300は、コンピュータプロセッサ内で実施される(i)個々のサンプルのRMS値の比較、及び(ii)電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの比較に基づいて、電極振動検出に関連付けられた内部アラーム発生(IAO)をトリガするように構成されてよい。この点において、1つ以上のサブモジュール100、200、300は、個々のIAO又は個々の非内部アラーム発生(NIAO)20であるように画定された個々のサンプルごとに振動データを生成するように構成されてよい。コンピュータプロセッサは更に、1つ以上のサブモジュールからの個々のサンプルごとの振動データを、EVDMキュー長さがフルを超えるまで蓄積し(30)、超えた場合には最古サンプルを廃棄し(32)、所与のEVDMキュー長さのIAOの蓄積数が最小閾値を上回ったかどうかを判定し(40)、上回った場合は外部振動アラーム(EVA)をトリガする(45)ように構成されてよい(例えば、振動データの最小パーセンテージが個々のIAOからなると画定された場合)。
図2に更に示すように、EVDMのコンピュータプロセッサは、所与のEVDMキュー長さのIAOの蓄積数が所定の最大閾値を下回ったかどうかを判定し(50)、下回った場合はEVAをオフする(55)ように構成されてよい。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態によれば、1つ以上のサブモジュール(例えば、内部アラームモード)は第1のサブモジュールを含み、第1のサブモジュールは、規定の周波数範囲の中で、電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの最小周波数値及び最大周波数値を有する周波数成分(例えば、
図1の周波数モード100)を検出するように構成されている。例えば、第1のサブモジュールは、(i)電極とEAF外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値並びにそれらに対応するRMS値に対応する波形信号から、フィルタリングされていない電気的値(例えば、個々の電流、電圧、計算されたインピーダンス、及び/又は計算されたアドミタンスの各値)のセットを画定することと、(ii)規定の周波数範囲から外れた周波数があればこれを除去するように構成されたバンドパスフィルタによってフィルタリングされた、電極とEAF外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値並びにそれらに対応するRMS値に対応する波形信号から、サンプルRMS値ごとにフィルタリングされた信号を画定することによって、フィルタリングされた電気的値(例えば、フィルタリングされた個々の電流、電圧、計算されたインピーダンス、及び/又は計算されたアドミタンスの各値)のセットを画定することと、(iii)サンプルごとに、1つ以上のフィルタリングされた個々の電気的特性と、それぞれに対応する1つ以上のフィルタリングされていない電気的特性と、のそれぞれの比をコンピュータプロセッサ内で計算することと、(iv)所定閾値を上回ったそれぞれの比ごとに、電極振動検出に関連付けられたIAOをトリガすることと、を行うように構成されてよい。所定閾値は、例えば、ユーザが(例えば、ユーザインタフェースを通して)選択可能であってよい又は規定してよい。あくまで例として、所定閾値は約10%より大きく、例えば、少なくとも約10、13、15、17、20、25、30、33、35、38、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、及び95%のいずれかである。
【0025】
規定の周波数範囲は、例えば、1つ以上のデジタルバンドパスフィルタの使用によって規定されてよい。1つ以上のデジタルバンドパスフィルタによって設定される規定の周波数範囲は、約1ヘルツ(Hz)から約10Hzまでを含んでよく、最小周波数値は、少なくとも約1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8、及び5Hzのいずれかを含み、最大周波数値は、最大で約10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、及び5Hzのいずれかからを含む。本発明の幾つかの実施形態によれば、フィルタリングされていない電気的値及びフィルタリングされた電気的値は、インピーダンス2乗平均平方根(RMS)及びアドミタンスRMSである。EVDMは、本発明の幾つかの実施形態によれば、最小インピーダンスRMS閾値を有するか、又は最小インピーダンスRMS閾値を受信するように更に構成されてよい。EVDMがIAOをトリガすることが可能であるためには、フィルタリングされたインピーダンスRMS値が最小インピーダンスRMS閾値より大きくなければならない。
【0026】
図3は、本発明の幾つかの非限定的な実施形態による、EVDMの第1のサブモジュール100の動作のフロー
図101を示す。
図3に示すように、第1のサブモジュール100は、最小周波数及び最大周波数を有する所定の周波数ウィンドウを設けるように構成された2つのデジタルバンドパスフィルタ102を含んでよい。所定の周波数ウィンドウから外れる周波数は除去される。
図3に示すように、一方のデジタルバンドパスフィルタはインピーダンスの解析用に設けられており、もう一方のデジタルバンドパスフィルタはアドミタンスの解析用に設けられている(これについては後述)。第1のサブモジュール100は、最小周波数において少なくとも2つの時間帯を収容できるように、バンドパスフィルタ最小周波数を使用して第1のサブモジュール時間ウィンドウを(例えば、コンピュータプロセッサ内で)計算すること(103)と、第1のサブモジュール時間ウィンドウ及び第1のサブモジュールのサンプリングレートに基づいて、第1のサブモジュールキューの第1のサブモジュール最大キュー長さを(例えば、コンピュータプロセッサ内で)計算すること(104)と、を行うように構成されてよい。上述のように、第1のサブモジュールは、第1のサブモジュール時間ウィンドウの間にサンプルごとに、電極に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を取得する(107)ように構成されてよい。第1のサブモジュールは、コンピュータプロセッサにより、両信号をサンプリングして電圧RMS及び電流RMSを計算する(110)ように構成されてよい。
図3に示した実施形態では、第1のサブシステムは、コンピュータプロセッサ内でインピーダンス(例えば、インピーダンスRMS)を計算し(111)、インピーダンスRMS値を第1のサブモジュールキューに蓄積して(115)「Z信号」値を生成し、「Z信号」をその対応するデジタルバンドパスフィルタでフィルタリングして「フィルタリング済みZ」値を生成し(119)、「フィルタリング済みZ」値と「Z信号」値との比を計算して「Z信号比」値を生成し(123)、「フィルタリング済みZ」値のRMS絶対値を計算して「フィルタリング済みZ RMS」値を生成する(130)。更に、第1のサブシステムは、コンピュータプロセッサ内でアドミタンス(例えば、アドミタンスRMS)を計算し(113)、アドミタンスRMS値を第1のサブモジュールキューに蓄積して(117)「Y信号」値を生成し、「Y信号」をその対応するデジタルバンドパスフィルタでフィルタリングして「フィルタリング済みY」値を生成し(121)、「フィルタリング済みY」値と「Y信号」値との比を計算して「Y信号比」値を生成する(125)。本発明の幾つかの実施形態によれば、第1のサブモジュールは、蓄積サンプル数、即ち、「Z信号」値及び「Y信号」値の数を保つように構成されてよく、これは、キューがフルになったときに最古のサンプルを廃棄して、キュー長さを、コンピュータプロセッサ内で決定された最大キュー長さ以下に保つことによって行われる。「Z信号」値及び「Y信号」値の蓄積数がそれぞれ、第1のサブモジュール最大キュー長さ以上である場合、コンピュータプロセッサは、「Z信号比」を設定済み信号検出限界(例えば、所定閾値)と比較し、「Y信号比」を設定済み信号検出限界(例えば、所定閾値)と比較する(150)。「Z信号比」及び/又は「Y信号比」が設定済み信号検出限界(例えば、所定閾値)を超えていない場合は、振動が検出されない。これに対し、「Z信号比」及び「Y信号比」のそれぞれが設定済み信号検出限界(例えば、所定閾値)を超えている場合は、コンピュータプロセッサが、「フィルタリング済みZ RMS」値が設定済み最小インピーダンスRMS値を超えているかどうかを判定する(160)。設定済み最小インピーダンスRMS値は、(例えば、ユーザインタフェースを通して)ユーザによって選択又は規定されてよい。振動が検出されるためには(180)(そして例えば、IAOがトリガされるためには)、操作140、150、及び160のそれぞれにおいて肯定の判定がなされなければならない。任意選択の操作142は、最古の「Z」サンプル及び最古の「Y」サンプルを廃棄することを含んでよい。この点において、操作140、150、又は160のいずれかにおいて否定の判定がなされた場合は、この所与のサンプルに関して振動は検出されない(170)。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態によれば、1つ以上のサブモジュール(例えば、内部アラームモード)は第2のサブモジュールを含み、第2のサブモジュールは、個々のサンプルごとの計算されたインピーダンスRMS値に基づいて開路サンプル及び/又は短絡サンプルを検出し、それらの数をカウントするように構成されており、個々の開路サンプルは、任意選択でユーザが設定できる開路閾値(例えば、30、35、又は40mΩ)を上回るインピーダンスRMSを有するものとして定義されており、個々の短絡サンプルは、短絡閾値(例えば、7、6、5、4、3、又は2mΩ)を下回るインピーダンスRMSを有するものとして定義されており、これらは、任意選択で(例えば、ユーザインタフェースを通して)ユーザが設定できるEAF変圧器二次回路に依存する。
【0028】
第2のサブモジュールは、本発明の幾つかの実施形態によれば、第2のキュー長さを有する第2のサブモジュールキューを含んでよい。第2のサブモジュールは、サンプルごとに計算されたインピーダンスRMS値の個々のサンプルを、第2のサブモジュールキューがフルになるまで蓄積し、最古のサンプルを廃棄してキューを最大キュー長さでフルに保つことによって、その時点での最新サンプルを保つように構成されてよい。第2のキュー長さを満たすのに必要なサンプルの長さ又は数の計算は、キュー長さの全体的な計算に関して本明細書に記載された任意の方法で、コンピュータプロセッサ内で行われてよい。本発明の幾つかの実施形態によれば、第2のサブモジュールは更に、(i)第2のサブモジュールキューのうちの個々の開路サンプルのパーセンテージ、並びに第2のサブモジュールキューのうちの個々の短絡サンプルのパーセンテージをコンピュータプロセッサ内で計算することと、(ii)第2のサブモジュールキューのうちの個々の開路サンプルのパーセンテージが、開路発生の閾値パーセンテージを超えているかどうかをコンピュータプロセッサ内で判定することと、(iii)第2のサブモジュールキューのうちの個々の短絡サンプルのパーセンテージが、短絡発生の閾値パーセンテージを超えているかどうかをコンピュータプロセッサ内で判定することと、を行うように構成されてよい。本発明の幾つかの実施形態によれば、第2のサブモジュールは更に、(i)第2のサブモジュールキューのうちの個々の開路サンプルのパーセンテージが開路発生の閾値パーセンテージを超えている、とコンピュータプロセッサ内で判定されて、且つ(ii)第2のサブモジュールキューのうちの個々の短絡サンプルのパーセンテージが短絡発生の閾値パーセンテージを超えている、とコンピュータプロセッサ内で判定された各サンプルに対して、電極振動検出に関連付けられたIAOをトリガするように構成されてよい。
【0029】
上述のように、第2のキュー長さは、第2のサブモジュールのサンプリング時間ウィンドウに第2のサブモジュールのサンプリング周波数を掛けたものに基づいてコンピュータプロセッサ内で計算されてよい。この点において、第2のサブモジュールのサンプリング時間ウィンドウは、ユーザが(例えば、ユーザインタフェースを通して)選択又は定義してよい。あくまで例として、サンプリング時間ウィンドウは、1秒から約8秒までを含んでよく、例えば、少なくとも約1、2、3、及び4秒のいずれかを含んでよく、且つ/又は最大で約8、7、6、5、及び4秒を含んでよい。追加又は代替として、第2のサブモジュールのサンプリング周波数は、RMSサンプリング周波数と同じである。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態によれば、開路発生の閾値パーセンテージは約20%から約50%までを含んでよく、例えば、少なくとも約20、25、30、及び35%のいずれかであってよく、且つ/又は最大で約50、45、40、及び35%のいずれかであってよい。追加又は代替として、短絡発生の閾値パーセンテージは約20%から約50%までであり、例えば、少なくとも約20、25、30、及び35%のいずれかであり、且つ/又は最大で約50、45、40、及び35%のいずれかである。
【0031】
図4は、本発明の幾つかの実施形態による、EVDMの第2のサブモジュール(例えば、内部アラームモード)200の動作のフロー
図201を示す。
図4に示すように、第2のサブモジュール200は、第2のサブモジュール時間ウィンドウの間にサンプルごとに、電極に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を取得する(207)ように構成されてよい。第2のサブモジュールは、コンピュータプロセッサにより、両信号をサンプリングしてサンプルごとに電圧RMS値及び電流RMS値を計算する(210)ように構成されてよい。第2のサブモジュールは更に、コンピュータプロセッサ内で、サンプルごとにインピーダンスRMS値を計算し、これらの値を第2のサブモジュールキューに蓄積するように構成されてよく、第2のサブモジュールキューは、サンプル時間帯(第2の時間ウィンドウ)及びサンプリング周波数から計算される第2のキュー長さを有してよい。蓄積された、サンプルごとのインピーダンスRMS値は、第2のキュー長さがフルになるまで第2のサブモジュールキューにロード及び/又は保持されてよく、最古の値を廃棄されながら、キューが最大キュー長さでフルに保たれてよい(220)。次に、第2のサブモジュールは、第2のサブモジュールキューにある、個々のサンプルを開路サンプルを表すものとして識別する(例えば、ユーザが規定及び/又は選択した)規定のインピーダンスRMS閾値を超えているインピーダンスRMS値を有するサンプル(サンプルごとのインピーダンスRMS値)の数をカウントする(230)ように構成されてよい。更に第2のサブモジュールは、第2のサブモジュールキューにある、個々のサンプルを短絡サンプルを表すものとして識別する(例えば、ユーザが規定及び/又は選択した)規定のインピーダンスRMS閾値を下回るインピーダンスRMS値を有するサンプル(サンプルごとのインピーダンスRMS値)の数をカウントする(240)ように構成されてよい。
図4に示すように、第2のサブモジュールは、第2のサブモジュールキューのうちの個々の開路サンプルのパーセンテージを計算し、このパーセンテージが、電極振動を表す、ユーザが選択又は規定した設定済み信号比(例えば、開路発生の閾値パーセンテージ)を超えているかどうかをコンピュータプロセッサ内で計算する(250)ように構成されてよい。更に、第2のサブモジュールは、第2のサブモジュールキューのうちの個々の短絡サンプルのパーセンテージを計算し、このパーセンテージが、電極振動を表す、ユーザが選択又は規定した設定済み信号比(例えば、短絡発生の閾値パーセンテージ)を超えているかどうかをコンピュータプロセッサ内で計算する(260)ように構成されてよい。第2のサブモジュールは更に、コンピュータプロセッサ内で、個々の開路サンプルのパーセンテージが、電極振動を表す、ユーザが選択又は規定した設定済み信号比(例えば、開路発生の閾値パーセンテージ)を超えていて(250)、且つ、コンピュータプロセッサ内で、個々の短絡サンプルのパーセンテージが、電極振動を表す、ユーザが選択又は規定した設定済み信号比(例えば、短絡発生の閾値パーセンテージ)を超えていれば、IAO(例えば、振動が検出された)280をトリガするように構成されてよい。操作250及び260の少なくとも一方がそれぞれの設定済み信号比を超えていないと判定された場合は、振動が検出されない(270)。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態によれば、1つ以上のサブモジュール(例えば、内部アラームモード)は第3のサブモジュールを含み、第3のサブモジュールは、コンピュータプロセッサ内で、短絡状態と開路状態との間の状態変化を検出し、その状態変化の総数をカウントするように構成されている。本発明の幾つかの実施形態によれば、第3のサブモジュールは更に、コンピュータプロセッサ内で、状態変化の総数を、ユーザが規定した状態変化閾値と比較し、状態変化の総数が、ユーザが規定した状態変化閾値を超えている場合には、コンピュータプロセッサを通して、電極振動検出に関連付けられたIAOをトリガするように構成されてよい。第3のサブモジュールは、例えば、「周期振動モード」と呼ばれる。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態によれば、周期振動モード(例えば、第3のサブモジュール)は、有限状態機械(FSM)のように働き、3つの状態、即ち、(i)規制状態、(ii)短絡状態、及び(iii)開路状態を含む。規制状態を経由せずに、短絡状態から開路状態への切り換え、又は開路状態から短絡状態への切り換えが発生するたびに、第3のサブモジュールは、sumSignalFractionという変数を、直前のsumSignalFraction値との差の、1に対する比として計算される動的値だけ増加させる。それによって、変数sumSignalFractionは負の指数関数的減衰挙動で1に近づく。規制状態に入るたびに、又は現在の状態が保持されるたびに、第3のサブモジュールは、変数sumSignalFractionを、変数「downslope」で決定される定数係数で減少させる。
図5Aは、この概念の図解を示す。
図5Bは、upProportion=0.001による変数sumSignalFractionの増大を示す。この変数は、急速に増大してから徐々に緩やかになって1.0に収束するという形の負の指数関数的減衰挙動で1.0に近づく。上述のように、これの全てが、システムが「規制」状態に入らないことを示している。システムが規制状態に入る場合、又は、システムが現在の状態にとどまる場合には、変数sumSignalFractionは、
図5Cに示された一定の下り坂を有する。他のアラームと同様に、信号比が設定済みアクティベーション閾値を超えていれば、振動が検出される。
【0034】
図5Dは、本発明の幾つかの実施形態による、EVDMの第3のサブモジュール300(例えば、内部アラームモード)の動作のフロー
図301を示す。
図5Dでは、「設定済み」という語は、ユーザがあらかじめ個人化した設定モデルを通して変数が受け取られたことを表すために使用されている。「実状態」は、有限状態機械(FSM)における、3つの可変状態、即ち、規制状態、開路状態、短絡状態のうちの現在の状態を意味する。設定可能変数の範囲を以下の様式で示す。
設定される変数[下限~上限]
upProportion[0.0001~0.01] signalFractionが1に向かって増大する際の動的プロポーションレート。
downSlope[0.000001~0.0001] signalFractionが減少する際の一定レート。
閾値[0~1] 振動(IAO)があるかどうかを判定するためのアクティベーション閾値。
開路値[30~45] システムが開路状態かどうかをチェックするための、Zrmsと比較される値。
短絡値[2~10] システムが短絡状態かどうかをチェックするための、Zrmsと比較される値。
【0035】
図5Dに示すように、短絡値が設定されてminSignal変数が計算され(305)、その後、電極を通る電流及び電圧に対応する波形信号が取得される(307)。第3のサブモジュールは、両信号をサンプリングして、Vrms及びIrmsを計算する(309)。次に、309からの値を使用して、インピーダンスRMS(Zrms)が計算される(311)。ZrmsはminSignalと比較され(315)、ZrmsがminSignalより小さければ、実状態は短絡状態であると判定され(317)、一方、ZrmsがminSignalより大きければ、実状態は設定済み開路値を基準として評価され、その結果として、実状態は開路状態であると判定される。実状態が規制状態と異なるかどうかが判定され(330)、異なっていれば、直前状態が実状態と異なるかどうかが判定される(335)。ここで、
図5Dに示されている演算子「!=」は、当該技術分野では、不等価であるかどうかをチェックする演算子として理解されている。335で異なっていれば、sumSignalFractionに設定済みupProportionが適用され(350)、そうではなく、実状態が規制状態である場合、又は直前状態が実状態と同じである場合には、設定済みdownSlopeが適用される(340)。sumSignalFractionは値0より小さいかどうかが判定され(360)、その結果、小さいと判定されたら、sumSignalFractionはゼロにリセットされる(365)。実状態が規制状態であれば、直前状態変数には実状態が割り当てられる(375)。
図5Dに示された操作360、365、370、375、及び380に基づいて、振動が検出されない(390)又は検出される(395)。
【0036】
別の態様では、本発明は、EAFの電極(例えば、1つ以上の電極)の振動を検出する方法を提供し、本方法は、(a)電極の電気的センサ及びアクチュエータと作用的に連通しているEVDM(例えば、本明細書に記載及び開示のEVDM)を設けるステップと、(b)電極とEAF外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号をEVDMのコンピュータプロセッサ内で受信するステップと、(c)1つ以上のサブモジュール(例えば、アラームモード)を選択するステップであって、1つ以上のサブモジュールは、コンピュータプロセッサ内で実施される(i)個々のサンプルのRMS値の比較、及び(ii)電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの比較に基づいて、電極振動検出に関連付けられた内部アラーム発生(IAO)をトリガするように構成されてよい、1つ以上のサブモジュールを選択するステップと、を含んでよい。本発明の幾つかの実施形態によれば、1つ以上のサブモジュールは、個々のIAO又は個々の非内部アラーム発生(NIAO)であるように画定された個々のサンプルごとに振動データを生成するように構成されてよく、本方法は更に、(d)EVDMキュー長さがフルになるまで、1つ以上の選択されたサブモジュールからの個々のサンプルごとの振動データを蓄積し、最古のサンプルを廃棄してキューを最大キュー長さでフルに保ち、振動データの最小パーセンテージが個々のIAOからなると画定された場合には外部振動アラーム(EVA)をトリガするステップを含んでよい。
【0037】
別の態様では、本発明は、耐火物で内張りされている炉床を含む内部部分を画定している炉本体と、内部部分内に延びる1つ以上の電極と、を含むEAFを動作させる方法を提供し、本方法は、(例えば、本明細書に記載及び開示の方法により)1つ以上の電極の振動を検出するステップと、1つ以上の電極を持ち上げて、耐火物で内張りされている炉床から離すことにより、耐火物で内張りされている炉床に対する1つ以上の電極の位置を調節するステップと、を含む。
【0038】
本発明の幾つかの実施形態によれば、コンピュータプロセッサは、耐火物で内張りされている炉床に対する1つ以上の電極の位置を調節するステップを開始するように構成されてよい。例えば、コンピュータプロセッサは更に、1つ以上の電極の加熱回数に基づいて1つ以上の電極のレート及び/又は距離を変化させるように構成されてよく、加熱回数は、1つ以上の電極が金属くずの溶融に使用されたバッチの数と考えられてよい。追加又は代替として、コンピュータプロセッサは、耐火物で内張りされている炉床に対する1つ以上の電極の位置を調節するステップの開始を、1つ以上の電極の加熱回数が、ユーザが規定した加熱回数閾値を下回る(例えば、加熱回数が5、4、3、又は2回を下回る)ときには第1のレート及び/又は第1の距離で、又、1つ以上の電極の加熱回数が、ユーザが規定した加熱回数閾値を上回る(例えば、加熱回数が1、2、3、4、又は5回を上回る)ときには第2のレート及び/又は第2の距離で行うように構成されてよく、第1のレートは第2のレートより高く、第1の距離は第2の距離より長い。
【0039】
更に別の態様では、本発明はEAFシステムを提供し、EAFシステムは、(i)耐火物で内張りされている炉床を含む内部部分を画定している炉本体と、内部部分内に延びる1つ以上の電極と、を含むEAFと、(ii)電極振動検出モジュール(EVDM)(例えば、本明細書に記載及び開示のEVDM)と、を含む。本発明の幾つかの実施形態によれば、EVDMは、1つ以上の電極の電気的センサ及びアクチュエータと作用的に連通していてよい。
【0040】
本発明の実施形態に対するこれら及び他の修正及び変更は、添付の請求項により具体的に記載されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、当業者によって実施されてよい。更に、当然のことながら、様々な実施形態の態様は、全体的又は部分的に入れ替えされてよい。更に、当業者であれば理解されるように、上述の説明はあくまで例であり、本発明を、そのような添付の請求項に詳述されているように限定することは意図されていない。従って、添付の請求項の趣旨及び範囲は、本明細書に例示として含まれている記載に限定されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気アーク炉(EAF)の電極電気的センサ及び電極アクチュエータと作用的に連通している電極振動検出モジュール(EVDM)であって、
(a)コンピュータプロセッサであって、(i)前記電極と前記EAFの外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を受信するステップと、(ii)EVDMウィンドウ時間及びサンプリング周波数に基づくEVDMキュー長さを有するEVDMキューを定義するステップであって、前記EVDMウィンドウ時間は、その間に前記波形信号の個々のサンプルが受信及び/又は確認され、それらの2乗平均平方根値(RMS値)がサンプリング周期ごとに、例えば電力系の半周期ごとに、計算される、所定の時間帯又はユーザが選択する時間帯である、前記定義するステップと、を実施するように構成された前記コンピュータプロセッサと、
(b)ユーザが選択できる1つ以上のサブモジュールであって、前記1つ以上のサブモジュールは、前記コンピュータプロセッサ内で実施される(i)前記個々のサンプルの前記RMS値の比較、及び(ii)電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの比較に基づいて、前記電極振動検出に関連付けられた内部アラーム発生(IAO)をトリガするように構成されており、前記1つ以上のサブモジュールは、個々のIAO又は個々の非内部アラーム発生(NIAO)であるように画定された個々のサンプルごとに振動データを生成するように構成されている、前記1つ以上のサブモジュールと、
(c)前記1つ以上のサブモジュールからの個々のサンプルごとの前記振動データをキューに格納して蓄積し、前記振動データの最小パーセンテージが個々のIAOからなると画定された場合には外部振動アラーム(EVA)をトリガするように更に構成されている前記コンピュータプロセッサと、
を含むEVDM。
【請求項2】
前記EVAをトリガするのに必要な前記最小パーセンテージは、例えば、ユーザインタフェースを通して、ユーザによって選択可能であり、又はユーザによって規定される、請求項1に記載のEVDM。
【請求項3】
(i)前記最小パーセンテージは10%から約100%の範囲であり、例えば、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、及び50%のいずれかであり、且つ/又は最大で約100、90、80、70、60、及び50%のいずれかであり、
(ii)前記EVDMウィンドウ時間は、約500ミリ秒(ms)から約5000msまでを含んでよく、例えば、少なくとも約500、800、1000、1200、1500、1800、2000、2200、及び2500msのいずれかを含んでよく、且つ/又は最大で約5000、4500、4000、3500、3000、2800、及び2500msのいずれかを含んでよく、及び/又は、
(iii)前記サンプリング周波数は10Hzより高く、或いは前記電力系の周波数に関連付けられているが、それらの周波数、例えば50Hzの電力系の場合は100Hz、又は60Hzの電力系の場合は120Hz、に限定されない、請求項2に記載のEVDM。
【請求項4】
前記EVDMウィンドウ時間は、ローリングEVDMウィンドウ時間であり、前記EVDMは、前記1つ以上のサブモジュールからの振動データで電気的プロファイルが変更された後に、それぞれの新しいEVDMキューを埋めることを開始する、請求項1~3のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項5】
前記コンピュータプロセッサは更に、振動データの個々のIAOのパーセンテージが所定の最大パーセンテージを下回った場合には前記EVAをオフにするように構成されており、前記所定の最大パーセンテージは、前記EVAをトリガするのに必要な、前記振動データの前記最小パーセンテージより小さい、請求項1~4のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項6】
前記EVAをオフにするのに必要な前記所定の最大パーセンテージは、ユーザによって選択可能であってよく、又はユーザによって規定されてよい、請求項5に記載のEVDM。
【請求項7】
前記所定の最大パーセンテージは5%から約50%の範囲であり、例えば、少なくとも約5、10、20、及び25%のいずれかであり、且つ/又は最大で約50、45、40、35、30、及び25%のいずれかである、請求項6に記載のEVDM。
【請求項8】
前記1つ以上のサブモジュールは第1のサブモジュールを含み、前記第1のサブモジュールは、規定の周波数範囲の中で、電極振動検出に関連付けられた前記1つ以上の所定の電気的プロファイルの最小周波数値及び最大周波数値を有する周波数成分を検出するように構成されており、
前記第1のサブモジュールは、(i)前記電極と前記EAF外殻の前記底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する前記波形信号から、フィルタリングされていない電気的値、例えば個々の電流、電圧、インピーダンス、及び/又はアドミタンスの各RMS値、のセットを画定することと、(ii)前記規定の周波数範囲から外れた周波数があればこれを除去するように構成されたバンドパスフィルタによってフィルタリングされた、前記電極と前記EAF外殻の前記底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する前記信号から、サンプルごとにフィルタリングされた信号を画定することによって、フィルタリングされた電気的値、例えばフィルタリングされた個々の電流、電圧、インピーダンス、及び/又はアドミタンスの各値、のセットを画定することと、それによって、(iii)サンプルごとに、1つ以上のフィルタリングされた個々の電気的特性と、それぞれに対応する1つ以上のフィルタリングされていない電気的特性と、のそれぞれの比を前記コンピュータプロセッサ内で計算すること、並びに(iv)所定閾値を上回ったそれぞれの比ごとに、電極振動検出に関連付けられたIAOをトリガすることと、を行うように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のEVDM。
【請求項9】
前記フィルタリングされていない電気的値及び前記フィルタリングされた電気的値は、インピーダンス2乗平均平方根(RMS)及びアドミタンスRMSであり、
前記所定閾値は、例えば前記ユーザインタフェースを通して、ユーザが選択可能である又は規定し、
前記所定閾値は約10%より大きく、例えば、少なくとも約10、13、15、17、20、25、30、33、35、38、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、及び95%のいずれかであり、
前記EVDMは、最小インピーダンスRMS閾値を有するか、又は最小インピーダンスRMS閾値を受信するように更に構成されており、前記EVDMがIAOをトリガすることが可能であるためには、前記フィルタリングされたインピーダンスRMS値が前記最小インピーダンスRMS閾値より大きくなければならない、請求項8に記載のEVDM。
【請求項10】
電気アーク炉(EAF)の電極の振動を検出する方法であって、
(a)請求項1~9のいずれか一項に記載の、前記電極の電気的センサ及びアクチュエータと作用的に連通している電極振動検出モジュール(EVDM)を設けるステップと、
(b)前記電極と前記EAFの外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を前記EVDMのコンピュータプロセッサ内で受信するステップと、
(c)1つ以上のサブモジュールを選択するステップであって、前記1つ以上のサブモジュールは、前記コンピュータプロセッサ内で実施される(i)前記個々のサンプルの前記RMS値の比較、及び(ii)電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの比較に基づいて、前記電極振動検出に関連付けられた内部アラーム発生(IAO)をトリガするように構成されており、前記1つ以上のサブモジュールは、個々のIAO又は個々の非内部アラーム発生(NIAO)であるように画定された個々のサンプルごとに振動データを生成するように構成されている、前記1つ以上のサブモジュールを選択するステップと、
(d)1つ以上の選択されたサブモジュールからの個々のサンプルごとの前記振動データを蓄積し、最古のサンプルを廃棄して前記EVDMキューを最大キュー長さでフルに保ち、前記振動データの最小パーセンテージが個々のIAOからなると画定された場合には外部振動アラーム(EVA)をトリガするステップと、
を含む方法。
【請求項11】
耐火物で内張りされている炉床を含む内部部分を画定している炉本体と、前記内部部分内に延びる1つ以上の電極と、を含む電気アーク炉(EAF)を動作させる方法であって、
(i)請求項10に従って前記1つ以上の電極の振動を検出するステップと、
(ii)前記1つ以上の電極を持ち上げて、前記耐火物で内張りされている炉床から離すことにより、前記耐火物で内張りされている炉床に対する前記1つ以上の電極の位置を調節するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記コンピュータプロセッサは、前記耐火物で内張りされている炉床に対する前記1つ以上の電極の位置を調節する前記ステップを開始するように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コンピュータプロセッサは更に、前記1つ以上の電極の加熱回数に基づいて前記1つ以上の電極のレート及び/又は距離を変化させるように構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンピュータプロセッサは、前記耐火物で内張りされている炉床に対する前記1つ以上の電極の位置を調節する前記ステップの開始を、前記1つ以上の電極の加熱回数が、ユーザが規定した加熱回数閾値を下回るときには第1のレート及び/又は第1の距離で、又、前記1つ以上の電極の加熱回数が、ユーザが規定した加熱回数閾値を上回るときには第2のレート及び/又は第2の距離で行うように構成されており、前記第1のレートは前記第2のレートより高く、前記第1の距離は前記第2の距離より長い、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(i)耐火物で内張りされている炉床を含む内部部分を画定している炉本体と、前記内部部分内に延びる1つ以上の電極と、を含む電気アーク炉(EAF)と、
(ii)請求項1~9のいずれか一項に記載の電極振動検出モジュール(EVDM)と、
を含む電気アーク炉(EAF)システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
本発明の実施形態に対するこれら及び他の修正及び変更は、添付の請求項により具体的に記載されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、当業者によって実施されてよい。更に、当然のことながら、様々な実施形態の態様は、全体的又は部分的に入れ替えされてよい。更に、当業者であれば理解されるように、上述の説明はあくまで例であり、本発明を、そのような添付の請求項に詳述されているように限定することは意図されていない。従って、添付の請求項の趣旨及び範囲は、本明細書に例示として含まれている記載に限定されるべきではない。
〔付記1〕
電気アーク炉(EAF)の電極電気的センサ及び電極アクチュエータと作用的に連通している電極振動検出モジュール(EVDM)であって、
(a)コンピュータプロセッサであって、(i)前記電極と前記EAFの外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を受信するステップと、(ii)EVDMウィンドウ時間及びサンプリング周波数に基づくEVDMキュー長さを有するEVDMキューを定義するステップであって、前記EVDMウィンドウ時間は、その間に前記波形信号の個々のサンプルが受信及び/又は確認され、それらの2乗平均平方根値(RMS値)がサンプリング周期ごとに(例えば、電力系の半周期ごとに)計算される、所定の時間帯又はユーザが選択する時間帯である、前記定義するステップと、を実施するように構成された前記コンピュータプロセッサと、
(b)ユーザが選択できる1つ以上のサブモジュールであって、前記1つ以上のサブモジュールは、前記コンピュータプロセッサ内で実施される(i)前記個々のサンプルの前記RMS値の比較、及び(ii)電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの比較に基づいて、前記電極振動検出に関連付けられた内部アラーム発生(IAO)をトリガするように構成されており、前記1つ以上のサブモジュールは、個々のIAO又は個々の非内部アラーム発生(NIAO)であるように画定された個々のサンプルごとに振動データを生成するように構成されている、前記1つ以上のサブモジュールと、
(c)前記1つ以上のサブモジュールからの個々のサンプルごとの前記振動データをキューに格納して蓄積し、前記振動データの最小パーセンテージが個々のIAOからなると画定された場合には外部振動アラーム(EVA)をトリガするように更に構成されている前記コンピュータプロセッサと、
を含むEVDM。
〔付記2〕
前記EVAをトリガするのに必要な前記最小パーセンテージは、(例えば、ユーザインタフェースを通して)ユーザによって選択可能であり、又はユーザによって規定され、任意選択で、前記ユーザインタフェース上の「オンウィンドウ%」入力場所として識別される、付記1に記載のEVDM。
〔付記3〕
前記最小パーセンテージは10%から約100%の範囲であり、例えば、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、及び50%のいずれかであり、且つ/又は最大で約100、90、80、70、60、及び50%のいずれかである、付記2に記載のEVDM。
〔付記4〕
前記EVDMウィンドウ時間は、約500ミリ秒(ms)から約5000msまでを含んでよく、例えば、少なくとも約500、800、1000、1200、1500、1800、2000、2200、及び2500msのいずれかを含んでよく、且つ/又は最大で約5000、4500、4000、3500、3000、2800、及び2500msのいずれかを含んでよい、付記1~3のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記5〕
前記サンプリング周波数は10Hzより高く、或いは前記電力系の周波数に関連付けられているが、それらの周波数(例えば、50Hzの電力系の場合は100Hz、又は60Hzの電力系の場合は120Hz)に限定されない、付記1~4のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記6〕
EVDMウィンドウ時間は、ローリングEVDMウィンドウ時間であり、前記EVDMは、前記1つ以上のサブモジュールからの振動データで電気的プロファイルが変更された後に、それぞれの新しいEVDMキューを埋めることを開始する、付記1~5のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記7〕
前記コンピュータプロセッサは更に、振動データの個々のIAOのパーセンテージが所定の最大パーセンテージを下回った場合には前記EVAをオフにするように構成されており、前記所定の最大パーセンテージは、前記EVAをトリガするのに必要な、前記振動データの前記最小パーセンテージより小さい、付記1~6のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記8〕
前記EVAをオフにするのに必要な前記所定の最大パーセンテージは、(例えば、前記ユーザインタフェースを通して)ユーザによって選択可能であってよく、又はユーザによって規定されてよく、任意選択で、前記ユーザインタフェース上の「オフウィンドウ%」入力場所として識別される、付記7に記載のEVDM。
〔付記9〕
前記所定の最大パーセンテージは5%から約50%の範囲であり、例えば、少なくとも約5、10、20、及び25%のいずれかであり、且つ/又は最大で約50、45、40、35、30、及び25%のいずれかである、付記8に記載のEVDM。
〔付記10〕
前記1つ以上のサブモジュールのうちの複数個が、前記EAFの動作中の同じ時間帯に又は一部重なり合う時間帯に選択可能である、付記1~9のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記11〕
ユーザが選択できる前記1つ以上のサブモジュールは、例えば、ユーザインタフェースを通して実施され、任意選択で、前記1つ以上のサブモジュールのそれぞれが、前記ユーザインタフェース上の個々の「アラームモード」選択場所として識別される、付記1~10のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記12〕
前記1つ以上のサブモジュールは第1のサブモジュールを含み、前記第1のサブモジュールは、規定の周波数範囲の中で、電極振動検出に関連付けられた前記1つ以上の所定の電気的プロファイルの最小周波数値及び最大周波数値を有する周波数成分を検出するように構成されている、付記1~11のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記13〕
前記第1のサブモジュールは、(i)前記電極と前記EAF外殻の前記底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する前記波形信号から、フィルタリングされていない電気的値(例えば、個々の電流、電圧、インピーダンス、及び/又はアドミタンスの各RMS値)のセットを画定することと、(ii)前記規定の周波数範囲から外れた周波数があればこれを除去するように構成されたバンドパスフィルタによってフィルタリングされた、前記電極と前記EAF外殻の前記底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する前記信号から、サンプルごとにフィルタリングされた信号を画定することによって、フィルタリングされた電気的値(例えば、フィルタリングされた個々の電流、電圧、インピーダンス、及び/又はアドミタンスの各値)のセットを画定することと、それによって、(iii)サンプルごとに、1つ以上のフィルタリングされた個々の電気的特性と、それぞれに対応する1つ以上のフィルタリングされていない電気的特性と、のそれぞれの比を前記コンピュータプロセッサ内で計算すること、並びに(iv)所定閾値を上回ったそれぞれの比ごとに、電極振動検出に関連付けられたIAOをトリガすることと、を行うように構成されている、付記12に記載のEVDM。
〔付記14〕
前記規定の周波数範囲は、約1ヘルツ(Hz)から約10Hzまでを含み、前記最小周波数値は、少なくとも約1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8、及び5Hzのいずれかを含み、前記最大周波数値は、最大で約10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、及び5Hzのいずれかからを含む、付記12~13のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記15〕
前記フィルタリングされていない電気的値及び前記フィルタリングされた電気的値は、インピーダンス2乗平均平方根(RMS)及びアドミタンスRMSである、付記13~14のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記16〕
前記所定閾値は、(例えば、前記ユーザインタフェースを通して)ユーザが選択可能である又は規定する、付記13~15のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記17〕
前記所定閾値は約10%より大きく、例えば、少なくとも約10、13、15、17、20、25、30、33、35、38、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、及び95%のいずれかである、付記13~16のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記18〕
前記EVDMは、最小インピーダンスRMS閾値を有するか、又は最小インピーダンスRMS閾値を受信するように更に構成されており、前記EVDMがIAOをトリガすることが可能であるためには、前記フィルタリングされたインピーダンスRMS値が前記最小インピーダンスRMS閾値より大きくなければならない、付記15~17のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記19〕
前記1つ以上のサブモジュールは第2のサブモジュールを含み、前記第2のサブモジュールは、個々のサンプルごとの前記計算されたインピーダンスRMS値に基づいて開路サンプル及び/又は短絡サンプルを検出し、それらの数をカウントするように構成されており、個々の開路サンプルは、任意選択でユーザが設定できる開路閾値(例えば、30、35、又は40mΩ)を上回るインピーダンスRMSを有するものとして定義されており、個々の短絡サンプルは、任意選択でユーザが設定できる短絡閾値(例えば、7、6、5、4、3、又は2mΩ)を下回るインピーダンスRMSを有するものとして定義されている、付記1~11のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記20〕
前記第2のサブモジュールは、第2のキュー長さを有する第2のサブモジュールキューを含み、前記第2のサブモジュールは、前記計算されたインピーダンスRMSの個々のサンプルを蓄積し、最古のサンプルを廃棄して前記キューを最大キュー長さでフルに保つように構成されており、前記第2のサブモジュールは更に、(i)前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の開路サンプルのパーセンテージ、並びに前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の短絡サンプルのパーセンテージを前記コンピュータプロセッサ内で計算することと、(ii)前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の開路サンプルの前記パーセンテージが、開路発生の閾値パーセンテージを超えているかどうかを前記コンピュータプロセッサ内で判定することと、(iii)前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の短絡サンプルの前記パーセンテージが、短絡発生の閾値パーセンテージを超えているかどうかを前記コンピュータプロセッサ内で判定することと、を行うように構成されている、付記19に記載のEVDM。
〔付記21〕
前記コンピュータプロセッサは更に、(i)前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の開路サンプルのパーセンテージが開路発生の閾値パーセンテージを超えている、と前記コンピュータプロセッサ内で判定されて、且つ(ii)前記第2のサブモジュールキューのうちの個々の短絡サンプルのパーセンテージが短絡発生の閾値パーセンテージを超えている、と前記コンピュータプロセッサ内で判定された各サンプルに対して、電極振動検出に関連付けられたIAOをトリガするように構成されている、付記20に記載のEVDM。
〔付記22〕
前記第2のキュー長さは、前記第2のサブモジュールのサンプリング時間ウィンドウに基づいて前記コンピュータプロセッサ内で計算される、付記20~21のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記23〕
前記サンプリング時間ウィンドウは、1秒から約8秒までであり、例えば、少なくとも約1、2、3、及び4秒のいずれかであり、且つ/又は最大で約8、7、6、5、及び4秒である、付記22に記載のEVDM。
〔付記24〕
前記第2のサブモジュールの前記サンプリング周波数は10Hzより高く、或いは前記電力系の周波数に関連付けられているが、それらの周波数(例えば、50Hzの電力系の場合は100Hz、又は60Hzの電力系の場合は120Hz)に限定されない、付記22~23のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記25〕
開路発生の前記閾値パーセンテージは約20%から約50%までであり、例えば、少なくとも約20、25、30、及び35%のいずれかであり、且つ/又は最大で約50、45、40、及び35%のいずれかである、付記22~24のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記26〕
短絡発生の前記閾値パーセンテージは約20%から約50%までであり、例えば、少なくとも約20、25、30、及び35%のいずれかであり、且つ/又は最大で約50、45、40、及び35%のいずれかである、付記22~25のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記27〕
前記1つ以上のサブモジュールは第3のサブモジュールを含み、前記第3のサブモジュールは、前記コンピュータプロセッサ内で、短絡状態と開路状態との間の状態変化を検出し、その状態変化の総数をカウントするように構成されており、前記第3のサブモジュールは更に、(i)有限状態機械における現在の状態が「規制」状態と同じであるかどうかを判定することと、(ii)前記現在の状態が前記状態機械における直前状態と同じであるかどうかを判定することと、(iii)それに応じて蓄積変数を増加又は減少させることと、(iv)状態変化の前記総数が状態変化発生の閾値を超えているかどうかを前記コンピュータプロセッサ内で判定することと、を行うように構成されている、付記1~11のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記28〕
前記コンピュータプロセッサは更に、前記コンピュータプロセッサ内で、前記状態変化数がユーザの規定した前記状態変化閾値を超えていることを示していると判定された蓄積変数を有するサンプルごとに、電極振動検出に関連付けられたIAOをトリガするように構成されている、付記27に記載のEVDM。
〔付記29〕
前記第3のサブモジュールの前記サンプリング周波数は10Hzより高く、或いは前記電力系の周波数に関連付けられているが、それらの周波数(例えば、50Hzの電力系の場合は100Hz、又は60Hzの電力系の場合は120Hz)に限定されない、付記27~28のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記30〕
前記蓄積変数を増加させるupProportion変数は約0.0001から約0.01であり、例えば、少なくとも約0.0001、0.00025、0.0005、0.00075、0.001のいずれかであり、且つ/又は最大で約0.01、0.0075、0.0050、0.0025、及び0.001のいずれかである、付記27~29のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記31〕
前記蓄積変数を減少させるdownslope変数は約0.000001から約0.0001であり、例えば、少なくとも約0. 000001、0.0000025、0.000005、0.0000075、0.00001のいずれかであり、且つ/又は最大で約0.0001、0.000075、0.000050、0.000025、及び0.00001のいずれかである、付記27~30のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記32〕
状態変化発生に関してユーザが規定した前記状態変化閾値は約0.1から約0.6であり、例えば、少なくとも約0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、及び0.35のいずれかであり、且つ/又は最大で約0.60、0.55、0.50、0.40、及び0.35のいずれかである、付記27~31のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記33〕
Zrmsと比較して開路状態かどうかをチェックするための、ユーザが規定する開路値は約30から45であり、例えば、少なくとも約30、32、34、及び38のいずれかであり、且つ/又は最大で約45、42、40、及び38のいずれかである、付記27~32のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記34〕
Zrmsと比較して短絡状態かどうかをチェックするための、ユーザが規定する短絡値は約2から10であり、例えば、少なくとも約2、3、4、5、及び6のいずれかであり、且つ/又は最大で約10、9、8、7、及び6のいずれかである、付記27~33のいずれか一項に記載のEVDM。
〔付記35〕
電気アーク炉(EAF)の電極の振動を検出する方法であって、
(a)付記1~34のいずれか一項に記載の、前記電極の電気的センサ及びアクチュエータと作用的に連通している電極振動検出モジュール(EVDM)を設けるステップと、
(b)前記電極と前記EAFの外殻の底部との間で測定される電極電圧(電極電圧)並びに前記電極を通る電流に関連付けられた電圧値及び電流値に対応する波形信号を前記EVDMのコンピュータプロセッサ内で受信するステップと、
(c)1つ以上のサブモジュールを選択するステップであって、前記1つ以上のサブモジュールは、前記コンピュータプロセッサ内で実施される(i)前記個々のサンプルの前記RMS値の比較、及び(ii)電極振動検出に関連付けられた1つ以上の所定の電気的プロファイルの比較に基づいて、前記電極振動検出に関連付けられた内部アラーム発生(IAO)をトリガするように構成されており、前記1つ以上のサブモジュールは、個々のIAO又は個々の非内部アラーム発生(NIAO)であるように画定された個々のサンプルごとに振動データを生成するように構成されている、前記1つ以上のサブモジュールを選択するステップと、
(d)1つ以上の選択されたサブモジュールからの個々のサンプルごとの前記振動データを蓄積し、最古のサンプルを廃棄して前記EVDMキューを最大キュー長さでフルに保ち、前記振動データの最小パーセンテージが個々のIAOからなると画定された場合には外部振動アラーム(EVA)をトリガするステップと、
を含む方法。
〔付記36〕
耐火物で内張りされている炉床を含む内部部分を画定している炉本体と、前記内部部分内に延びる1つ以上の電極と、を含む電気アーク炉(EAF)を動作させる方法であって、
(i)付記35に従って前記1つ以上の電極の振動を検出するステップと、
(ii)前記1つ以上の電極を持ち上げて、前記耐火物で内張りされている炉床から離すことにより、前記耐火物で内張りされている炉床に対する前記1つ以上の電極の位置を調節するステップと、
を含む方法。
〔付記37〕
前記コンピュータプロセッサは、前記耐火物で内張りされている炉床に対する前記1つ以上の電極の位置を調節する前記ステップを開始するように構成されている、付記36に記載の方法。
〔付記38〕
前記コンピュータプロセッサは更に、前記1つ以上の電極の加熱回数に基づいて前記1つ以上の電極のレート及び/又は距離を変化させるように構成されている、付記37に記載の方法。
〔付記39〕
前記コンピュータプロセッサは、前記耐火物で内張りされている炉床に対する前記1つ以上の電極の位置を調節する前記ステップの開始を、前記1つ以上の電極の加熱回数が、ユーザが規定した加熱回数閾値を下回るときには第1のレート及び/又は第1の距離で、又、前記1つ以上の電極の加熱回数が、ユーザが規定した加熱回数閾値を上回るときには第2のレート及び/又は第2の距離で行うように構成されており、前記第1のレートは前記第2のレートより高く、前記第1の距離は前記第2の距離より長い、付記38に記載の方法。
〔付記40〕
(i)耐火物で内張りされている炉床を含む内部部分を画定している炉本体と、前記内部部分内に延びる1つ以上の電極と、を含む電気アーク炉(EAF)と、
(ii)付記1~34のいずれか一項に記載の電極振動検出モジュール(EVDM)と、
を含む電気アーク炉(EAF)システム。
【外国語明細書】