IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 西川産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-快適空間 図1
  • 特開-快適空間 図2
  • 特開-快適空間 図3
  • 特開-快適空間 図4
  • 特開-快適空間 図5
  • 特開-快適空間 図6
  • 特開-快適空間 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059613
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】快適空間
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20240423BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20240423BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20240423BHJP
【FI】
A61M21/02 E
E04H1/12 302Z
G06Q10/02
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222942
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2019239533の分割
【原出願日】2019-12-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日 平成31年4月20日 放送番組、会見場所等 日本テレビホールディングス株式会社ズームイン!!サタデー(東京都港区東新橋一丁目6-1) [刊行物等] 公開日 令和01年5月16日 放送番組、会見場所等 株式会社フジテレビジョンめざましテレビ(東京都港区台場二丁目4番8号) [刊行物等] 開催日 令和01年10月26日、令和01年10月27日 集会名、開催場所 日本生理人類学会第80回大会(令和01年10月26日、令和01年10月27日実施)名古屋市立大学桜山キャンパス(名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1) [刊行物等] 発行日 令和01年10月26日、令和01年10月27日 刊行物(刊行物名、巻数、号数、該当ページ、発行所/発行元等) 日本生理人類学会第80回大会概要集P2-10第85頁 [刊行物等] 開催日 令和01年11月28日 集会名、開催場所 眠りのセミナー(京都府京都市南区西九条北ノ内町6ワコール新京都ビル)
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】西川 康行
(57)【要約】
【課題】睡眠に適した環境を提供すると共に、その場で身体を休めることができる快適空間を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る快適空間1は、光出力部91と、音出力部92と、環境制御部81と、部屋の内部に設けられて使用者が身体を休めることが可能な複数の寝具と、を備え、環境制御部81は、第1モード、第2モード及び第3モードの順で切り替わるように光出力部91及び音出力部92の制御を行い、第1モードにおいて光出力部91が出力する光の光量は、第2モードにおいて光出力部91が出力する光の光量よりも大きく、且つ第3モードにおいて光出力部91が出力する光の光量よりも小さく、第1モードにおいて音出力部92が出力する音の音量は、第2モードにおいて音出力部92が出力する音の音量よりも大きく、且つ第3モードにおいて音出力部92が出力する音の音量よりも小さい。
【選択図】図5


【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が使用する部屋の内部に設けられた快適空間であって、
うつ伏せになって休むことが可能な領域であり、テーブルと、前記テーブルを囲む複数の椅子が配置されており、前記テーブルに枕及びクッションの少なくともいずれかが配置されている第1領域と、
複数の寝具が設けられており、各前記寝具には前記使用者が横たわることが可能であり、各前記寝具が予約をした後に使用可能となる第2領域と、
を備える、快適空間。
【請求項2】
前記快適空間は、環境入力部、前記使用者の端末、制御部、光出力部、音出力部及び温度出力部を備える快適空間制御システムによって明るさ及び音量が制御され、
前記制御部は、前記環境入力部から前記快適空間の明るさ情報及び音量情報を受け付けると共に、前記端末から前記寝具の予約を受け付ける、
請求項1に記載の快適空間。
【請求項3】
前記制御部は、予約受付部及び表示制御部を含んでおり、
前記予約受付部は、前記表示制御部を介して、前記寝具の予約状況を示す表を前記端末の画面に表示する、
請求項2に記載の快適空間。
【請求項4】
前記表のセルをクリックして所定の操作を行うことによって前記快適空間の前記寝具を予約することが可能である、
請求項3に記載の快適空間。
【請求項5】
前記第1領域は、複数の前記使用者の間に隔壁を有しないオープンスペースであり、
長テーブルと、前記長テーブルの長辺に対向する複数の椅子と、前記長テーブルから立設する複数のパーティションとを備える第3領域をさらに備える、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の快適空間。
【請求項6】
前記使用者が横たわることが可能であって予約をした後に使用可能な寝具を備えた個室タイプの領域である第4領域をさらに備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の快適空間。
【請求項7】
前記寝具に載せられる布を収納する収納部を備える、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の快適空間。
【請求項8】
ソファが設けられた領域である第5領域をさらに備える、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の快適空間。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者がリラックスすることが可能な快適空間に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者をリラックスさせる快適空間としては従来から種々のものが知られている。特開2009-14222号公報には、睡眠環境の提供方法及び睡眠環境装置が記載されている。睡眠環境装置は、寝室のベッドの内部に組み込まれると共に微風を供給するベッドファンと、ベッドを利用する利用者の睡眠状態を判定する睡眠判定装置とを備える。睡眠判定装置は、利用者の睡眠状態を参照してベッドファンを制御する。
【0003】
睡眠環境の提供方法は、温度差による自然対流作用を利用して外気空間の冷えた空気を寝室の床付近に取り込む外気取り込みステップと、強制対流作用を利用して当該床付近から冷えた空気を吸い上げて当該冷えた空気を微風として利用者に供給する微風供給ステップとを備える。このように、外気の取り込みと微風の供給とを行うことによって、利用者への快適な睡眠の提供を図っている。
【0004】
特開2012-32066号公報には、環境調整システムが記載されている。環境調整システムは、脱衣場所における香り、音及び光を調整する。環境調整システムは、香りを供給する芳香手段と、音を供給する音響手段と、光を供給する照明手段とを備える。音響手段は、テンポが遅い音楽、テンポが速い音楽、及び周波数が調整された音楽を出力する。照明手段は、青白系の光、赤オレンジ系の光、及び明暗が調整された光を出力する。
【0005】
環境調整システムは、利用者の睡眠前に、芳香手段によってリラックス効果がある香りを供給し、音響手段によってテンポが遅い音楽を供給し、照明手段によって暗めの入眠効果がある光を供給する。環境調整システムは、利用者の覚醒時に、音響手段によってテンポが速い音楽を供給し、照明手段によって明るい光を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-14222号公報
【特許文献2】特開2012-32066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した睡眠環境装置では、外気の取り込みと微風の供給とを行うことによって使用者への快適な睡眠の提供を図っている。この場合、寝室の気温を適切に制御することが可能となる。しかしながら、快適な睡眠を実現させるためには、気温の制御だけでは不十分なことが多く、部屋の明るさ、及び部屋の音量の制御も必要となりうる。
【0008】
前述した環境調整システムでは、脱衣場所の照明手段及び音響手段の制御によって、使用者の睡眠前、及び使用者の覚醒時のそれぞれに適した照明及び音楽を供給する。しかしながら、この環境調整システムでは、使用者の睡眠中の照明及び音楽については考慮されていない。この環境調整システムは脱衣場所における照明及び音楽を制御するものであるため、たとえ使用者が快適だと感じたとしても使用者はその場で身体を休めることはできない。従って、睡眠に適した環境を提供すると共に、その場で身体を休めることができることが求められる。
【0009】
本開示は、睡眠に適した環境を提供すると共に、その場で身体を休めることができる快適空間を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一側面に係る快適空間は、使用者が使用する部屋の内部に設けられた快適空間である。快適空間は、うつ伏せになって休むことが可能な領域であり、テーブルと、テーブルを囲む複数の椅子が配置されており、テーブルに枕及びクッションの少なくともいずれかが配置されている第1領域と、複数の寝具が設けられており、各寝具には使用者が横たわることが可能であり、各寝具が予約をした後に使用可能となる第2領域と、を備える。
【0011】
快適空間は、環境入力部、使用者の端末、制御部、光出力部、音出力部及び温度出力部を備える快適空間制御システムによって明るさ及び音量が制御されてもよい。制御部は、環境入力部から快適空間の明るさ情報及び音量情報を受け付けると共に、端末から寝具の予約を受け付けてもよい。
【0012】
制御部は、予約受付部及び表示制御部を含んでもよい。予約受付部は、表示制御部を介して、寝具の予約状況を示す表を端末の画面に表示してもよい。
【0013】
前述した快適空間は、表のセルをクリックして所定の操作を行うことによって快適空間の寝具を予約することが可能であってもよい。
【0014】
第1領域は、複数の使用者の間に隔壁を有しないオープンスペースであってもよい。前述した快適空間は、長テーブルと、長テーブルの長辺に対向する複数の椅子と、長テーブルから立設する複数のパーティションとを備える第3領域をさらに備えてもよい。
【0015】
前述した快適空間は、使用者が横たわることが可能であって予約をした後に使用可能な寝具を備えた個室タイプの領域である第4領域をさらに備えてもよい。
【0016】
前述した快適空間は、寝具に載せられる布を収納する収納部を備えてもよい。
【0017】
前述した快適空間は、ソファが設けられた領域である第5領域をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、睡眠に適した環境を提供すると共に、その場で身体を休めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係る快適空間を模式的に示す平面図である。
図2図1の快適空間に配置された例示的な寝具を示す側面図である。
図3図1の快適空間の壁に設置された光出力部の例を示す断面図である。
図4】(a)は、図1の快適空間に配置された棚を模式的に示す側面図である。(b)は、(a)の棚に収納されている布を模式的に示す図である。
図5】一実施形態に係る快適空間制御システムの機能を示すブロック図である。
図6図5の快適空間制御システムの寝具予約機能を模式的に示す図である。
図7図1の快適空間における光出力及び音出力の制御を模式的に示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る快適空間の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、説明の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率及び角度は図面に記載のものに限定されない。
【0021】
本開示において、「快適空間」は、快適な環境を提供する空間を示しており、例えば、会社、職場、宿舎、駅、病院、商業施設、又はマッサージルームに設けられる空間であってもよい。「快適空間」は、昼寝空間及び仮眠空間を含む睡眠空間、休憩空間、リフレッシュ空間、リラックス空間、ヒーリング空間、リセット空間、並びに、マインドフルネスルームの少なくともいずれかを含んでいてもよい。「睡眠」は、数時間にわたる睡眠だけでなく、短時間の仮眠(例えば昼寝)を含む。
【0022】
「使用者」は、快適空間の使用者を示しており、例えば、部屋の内部に設けられた快適空間を使用する職員、客、患者又は生徒(学生)であってもよい。「部屋」は、快適空間が設けられる部屋であって壁によって区画形成された空間を示している。部屋の内部の全てが快適空間であってもよいし、部屋の内部の一部が快適空間であってもよい。本開示において、「寝具」は、休むときに使用者の身体に当てられるものを示しており、例えば、枕、布団、クッション、座布団、マットレス、ベッド、シーツ、ベッドパッド、ソファ、テーブル、椅子及び机を含んでいる。
【0023】
本実施形態に係る快適空間1は、例えば、部屋2の内部に設けられる。一例として、部屋2は、オフィスの一室であり、オフィスの職員が仮眠(例えば昼寝)をするための快適空間1を有する。快適空間1は、例えば、昼食後に職員が仮眠を行う空間であって、複数の職員によって共用される。快適空間1は、複数の使用者によって一定時間ごとに交代で使用される空間であってもよいし、複数の職員に快適な仮眠を提供するための空間であってもよい。
【0024】
ところで、職員が昼食後に短時間仮眠をとることは、その後の仕事のパフォーマンス及び生産性を向上させると言われている。例えば、昼食後に10分以上(又は15分以上)且つ30分以下の睡眠をとる場合、その後の仕事に対する集中力が格段に向上し、職務上のミスを低減できることも知られている。
【0025】
本実施形態では、複数の職員が仮眠をとる快適空間1について説明する。快適空間1及び部屋2は、例えば、平面視において長方形状とされている。一例として、部屋2は、平面視における部屋2の長手方向に延びる第1壁2b及び第2壁2cと、平面視における部屋2の短手方向に延びる第3壁2d及び第4壁2fとによって画成されている。例えば、部屋2の内部の全てが快適空間1とされていてもよい。快適空間1は、廊下3から快適空間1への出入りを可能とする出入口4を有する。一例として、廊下3に沿って部屋2の第1壁2bが設けられ、第1壁2bに出入口4が設けられている。
【0026】
例えば、快適空間1において、出入口4の内側にはパーティション5が設けられていてもよい。更に、快適空間1には、観葉植物又は香り出力部が配置されていてもよく、香り出力部は心地良い香りを出力する。一例として、香り出力部は、アロマの香りを快適空間1に出力する。香り出力部は、檜の香りを出力してもよい。
【0027】
快適空間1は、例えば、互いに種類が異なる複数の領域を備える。「領域」とは、使用者が休むことが可能な領域を示しており、「領域」では、使用者が休むことが可能である。「休むことが可能な領域」は、座って休む領域、及び、横になって休む領域の双方を含んでおり、寝具に身体を当てて身体をリラックスさせることを含んでいる。快適空間1に設けられた複数の寝具の全部又は一部は、例えば、予約されて使用される。すなわち、快適空間1の複数の寝具のいずれかを使用するには予約が必要である。
【0028】
本実施形態において、複数の領域は、領域A1,A2,A3,A4,A5を含んでいる。一例として、領域A1は、部屋2の平面視における中央を含む箇所に設けられ、領域A2は部屋2の第3壁2dに対向する位置に設けられる。例えば、領域A3は第2壁2cに対向する位置に設けられ、領域A4は第2壁2c及び第4壁2fを含む角部に設けられ、領域A5は第1壁2b及び第4壁2fを含む角部に設けられる。
【0029】
なお、領域A1,A2,A3,A4,A5の配置態様は上記の例に限られず適宜変更可能である。また、領域A1,A2,A3,A4,A5のいずれかが省略されてもよい。領域A1は、例えば、複数の使用者の間に隔壁を有しないオープンスペースであって、うつ伏せになって休むことが可能な領域である。
【0030】
領域A1には、テーブル11と、テーブル11を囲む複数の椅子12が配置されている。テーブル11は、例えば、平面視において長方形状とされており、テーブル11の長手方向に沿って複数の椅子12が配列されている。テーブル11には、枕及びクッションの少なくともいずれかが配置されていてもよい。この場合、各椅子12に着席した使用者はテーブル11にうつ伏せになったときに当該枕及びクッションを使って心地良い仮眠を堪能することが可能となる。
【0031】
例えば、領域A1に配置されるテーブル11の数は1以上且つ2以下であり、領域A1に配置される椅子12の数は2以上且つ16以下である。一例として、領域A1には、1つのテーブル11と、6つの椅子12が配置されている。しかしながら、領域A1におけるテーブル11の数、及び領域A1における椅子12の数は、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0032】
領域A2は、パーティション付きデスク(テーブル)を備える領域である。領域A2には、長テーブル21と、長テーブル21の長辺に対向する複数の椅子22と、長テーブル21から立設する複数のパーティション23とを備える。複数のパーティション23のそれぞれは、長テーブル21の長手方向における2つの椅子22の間に設けられる。すなわち、長テーブル21の長手方向に沿って椅子22及びパーティション23は交互に配置されている。これにより、領域A2を使用する使用者は、長テーブル21にうつ伏せになって休むときに隣の使用者と目を合わないようにすることが可能となる。
【0033】
領域A3は、寝具31を備える領域である。領域A3には、例えば、複数の寝具31が設けられており、各寝具31には使用者が横たわることが可能である。各寝具31は、例えば、予約をした後に使用可能となる。寝具31は、使用者の脚が載せられる第1部分32と、使用者の頭部が載せられる第2部分33とを備える。例えば、寝具31は、第1部分32が第2壁2c側を向くように配置されている。
【0034】
一例として、各寝具31は平面視において長方形状を呈する。例えば、平面視における各寝具31の長辺は第2壁2cに対して斜めに延びている。すなわち、各寝具31は第2壁2cに対して斜めに配置されている。領域A3に配置される寝具31の数は、2であるが、適宜変更可能である。
【0035】
図2は、例示的な寝具31を示す側面図である。図1及び図2に示されるように、寝具31は、ベッド34と、ベッド34の上に載せられる敷き寝具35と、敷き寝具35の上に載せられる枕36とを備える。寝具31は、更に、敷き寝具35の上に載せられる掛け寝具、又は抱き枕を備えていてもよい。敷き寝具35は、例えば、マットレス又は敷き布団である。枕36は、例えば、第1部分32から斜め上方に延びる第2部分33の上端部に載せられている。
【0036】
第1部分32は、例えば、ベッド34の長手方向の一方側に設けられると共に上面が水平方向に延びる部位である。第2部分33は、ベッド34の長手方向の他方側に設けられると共にベッド34の長手方向の端部に向かうに従って斜め上方に延びる部位である。第1部分32に対する第2部分33の傾斜角度θは、例えば、0°より大きく且つ60°以下であり、10°以上且つ45°以下であってもよい。一例として、傾斜角度θは30°である。なお、傾斜角度θの値は上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0037】
領域A4は、個室タイプの領域である。一例として、領域A4は女性の使用者のみが使用可能な領域(女性専用の領域)であってもよい。領域A4を使用する使用者の人数は、1人であってもよいし、複数人であってもよいが、図1では3人が使用可能である例を示している。領域A4は、例えば、第2壁2c、第4壁2f、第5壁2g及び第6壁2hによって画成されている。第5壁2gは第1壁2bに対向する隔壁であり、第6壁2hは第4壁2fに対向する隔壁である。第5壁2gは第4壁2fから平面視における部屋2の長手方向に延び出しており、第6壁2hは第2壁2cから平面視における部屋2の短手方向に延び出している。
【0038】
第6壁2hには、例えば、領域A4への出入口41が設けられており、領域A4は寝具42を備える。寝具42は、例えば、寝具31と同様、予約した後に使用可能であってもよい。領域A4には、例えば、複数の寝具42が設けられており、各寝具42には使用者が横たわることが可能である。一例として、寝具42の構成は、前述した寝具31の構成と同様であってもよい。すなわち、寝具42は、第1部分32、第2部分33、ベッド34、敷き寝具35及び枕36の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0039】
例えば、寝具42は、使用者の頭部が載せられる第2部分33が壁側を向くように配置されている。一例として、平面視における各寝具42の長辺は領域A4の壁に対して斜めに延びており、各寝具42は領域A4を画成する壁に対して斜めに配置されている。領域A4に配置されている寝具42の数は、一例として、3であるが、2以下又は4以上であってもよく適宜変更可能である。
【0040】
図3は、領域A4に設けられた光出力部44を模式的に示す縦断面図である。図1及び図3に示されるように、光出力部44は、空間45を介して第4壁2fに対向する壁部46と、第4壁2f及び壁部46の間に位置する光照射部47とを備える。光照射部47は、LED照明、蛍光灯及び白熱灯のいずれかであってもよい。
【0041】
光照射部47は、壁部46の第4壁2f側に配置されていることにより、領域A4の使用者から直接視認できないようになっている。光照射部47からの光Lは、第4壁2fと壁部46との間の空間45における上端及び下端から領域A4(領域A4の個室の中)に漏れるように照射される。これにより、領域A4に柔らかくて目に優しい光を照射することができる。
【0042】
なお、光出力部44は、領域A4以外の領域A1,A2,A3,A5に設けられていてもよいし、第4壁2f以外の壁(第1壁2b、第2壁2c、第3壁2d、第5壁2g又は第6壁2h)に設けられていてもよい。この場合も、各領域において上記と同様の効果を得ることが可能である。
【0043】
例えば、領域A4は、柱48を備える。柱48は、例えば、複数の寝具42の間に設けられている。一例として、柱48は、3つの寝具42によって形成される三角形の内部に設けられている。このように柱48が設けられることにより、寝具42を使用する複数の使用者の間で目を合わないようにすることが可能となる。なお、柱48に代えて、パーティションが設けられていてもよいし、柱48が省略されてもよい。
【0044】
領域A4の複数の寝具42のそれぞれは、例えば、寝具31と同様のベッド34を備える。領域A4において、複数のベッド34は、互いに隣接して配置されている一対のベッド34A,34Bを含んでいる。平面視において、一対のベッド34A,34Bは互いに非平行となるように配置されている。一例として、一対のベッド34A,34Bは、平面視において八の字状となるように配置されている。これにより、ベッド34A,34Bを使用する使用者が横向き寝をしても視線を合いにくくすることが可能である。
【0045】
領域A5は、例えば、ソファ51が設けられた領域である。一例として、領域A5は、第1壁2b、第4壁2f及び第5壁2gによって画成されている。領域A5は、例えば、部屋2の出入口4の近傍に設けられる。ソファ51は、例えば、第1壁2bに使用者の背中が向くように配置されており、ソファ51の前には第5壁2gが配置されている。第5壁2gのソファ51側には、例えば、額縁付き絵画52が固定されている。これにより、ソファ51に座った使用者は額縁付き絵画52を鑑賞しながらゆったりと身体を休めることが可能となる。
【0046】
快適空間1は、例えば、寝具31,42に載せられる布61を収納する収納部60を備える。図4(a)は収納部60を模式的に示す側面図である。図4(b)は布61を模式的に示す図である。図1図4(a)及び図4(b)に示されるように、収納部60は、例えば、オープンスペースであって寝具31が設けられる領域A3と、個室であって寝具42が設けられる領域A4との間に設けられている。この場合、寝具31の使用者、及び寝具42の使用者は、速やかに収納部60にアクセスすることが可能となる。なお、収納部60の配置位置及び配置態様は上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0047】
収納部60は、引き出しであってもよいし、棚であってもよい。収納部60には複数の布61が収納されており、例えば、使用者は収納部60を開けて布61を取り出すことが可能である。一例として、収納部60には、布61の他、除菌スプレーを含む備品が収納されている。収納部60には、除菌スプレー、除菌ウェットタオル及びアルコールタオルを含む除菌衛生用品が収納されていてもよい。この場合、複数の使用者が使用する快適空間1の除菌衛生を確実に行うことができる。
【0048】
更に、収納部60は、ごみ箱を含んでいてもよい。一例として、収納部60の一番上の引き出し62には複数の布61が収納されており、収納部60の上から2番目の引き出し63にはごみ箱が配置されており、収納部60の一番下の引き出し64には除菌衛生用品が収納されていてもよい。
【0049】
前述したように、布61は、寝具31,42に載せられる布であって、複数の使用者で共用する寝具31,42の衛生管理のために設けられる。一例として、布61は、使用者が使用する枕36に載せられる。また、布61は、敷き寝具35、ソファ51、テーブル11又は長テーブル21等、使用者の身体が載せられる寝具に載せられる布であってもよい。布61は、例えば、使い捨ての布であり、使用者が使い終わったらゴミ箱に捨てられる布であってもよい。一例として、布61は、不織布である。この場合、布61にかかるコストを低減させることが可能となる。
【0050】
以上のように構成される快適空間1は、例えば、快適空間制御システム70によって明るさ及び音量が制御される。図5は、快適空間制御システム70の機能の例を示すブロック図である。図1及び図5に示されるように、快適空間制御システム70は、快適空間1に設けられた環境入力部71、使用者の端末72、制御部80、光出力部91、音出力部92及び温度出力部93を備える。
【0051】
環境入力部71は、例えば、快適空間1に設けられた端末である。環境入力部71は、一例として、快適空間1の管理者に用いられる端末であって、快適空間1の明るさ及び音量を制御するために設けられる。環境入力部71にはパスワードロックがかかっていてもよい。この場合、管理者以外の環境入力部71の使用を制限することができる。本開示において、「端末」は、タブレット又はスマートフォン等の携帯端末、及びパーソナルコンピュータ又はノートパソコン等のコンピュータを含んでいる。環境入力部71は、一例として、タブレット端末である。
【0052】
使用者の端末72は、例えば、携帯電話及びタブレットを含む携帯端末である。端末72は、快適空間1の寝具31,42の使用を予約するために用いられる。環境入力部71及び端末72のそれぞれは、例えば、ネットワークモジュールを構成する通信部を含んでおり、無線LAN又はBluetooth(登録商標)等の無線通信インタフェースを含んでいてもよい。環境入力部71及び端末72のそれぞれは、前述した通信部を介して制御部80と通信可能である。
【0053】
制御部80は、例えば、コンピュータ(サーバであってもよい)を含んでいる。制御部80のコンピュータは、例えば、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを実行するプロセッサ(例えばCPU)と、ROM又はRAMによって構成される主記憶部と、ハードディスク又はフラッシュメモリで構成される補助記憶部と、ネットワークカード又は無線通信モジュールで構成される通信制御部と、を備える。
【0054】
制御部80が設けられるコンピュータの各構成要素は、プロセッサ又は主記憶部にソフトウェアを読み込ませて当該ソフトウェアを実行することによって実現される。プロセッサは、当該ソフトウェアに従って通信制御部を動作させ、主記憶部又は補助記憶部におけるデータの読み出し又は書き出しを行う。コンピュータの処理に必要なデータは、主記憶部又は補助記憶部に記憶される。
【0055】
制御部80は、例えば、環境入力部71から快適空間1の明るさ情報及び音量情報を受け付けると共に、端末72から寝具31,42の予約を受け付ける。「明るさ情報」は快適空間1の明るさの情報であって、「音量情報」は快適空間1の音量の情報である。一例として、制御部80は、機能的構成要素として、環境制御部81、予約受付部82、表示制御部83及び記憶部84を含む。
【0056】
表示制御部83は、環境入力部71及び端末72のそれぞれに出力される画面の内容を制御する。記憶部84は、制御部80が受信した情報、及び制御部80の内部において得られた情報を前述した主記憶部又は補助記憶部に記憶するデータベースである。記憶部84は、光出力部91が出力する光の光量に関する情報、音出力部92が出力する音の音量に関する情報を記憶していてもよく、光出力部91によるイルミネーションのコンテンツ、及び音出力部92による音楽のコンテンツを記憶していてもよい。
【0057】
環境制御部81は、環境入力部71に入力された明るさ情報及び音量情報に応じて快適空間1に設けられた光出力部91及び音出力部92を制御する。光出力部91は、例えば、快適空間1を照らして快適空間1の明るさを調整する照明を含んでおり、前述した光出力部44を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。音出力部92は、例えば、快適空間1に音楽を流して快適空間1の音量を調整するスピーカーを含んでいる。環境制御部81による光出力部91及び音出力部92の制御については後に詳述する。
【0058】
予約受付部82は、寝具31,42の予約を受け付ける。図6は、予約受付部82が表示制御部83を介して端末72に表示する画面の例を示している。図5及び図6に示されるように、予約受付部82は、例えば、表Dを端末72の画面に表示する。一例として、表Dは、時刻T1から時刻T2までの間、時刻T2から時刻T3までの間、時刻T3から時刻T4までの間、時刻T4から時刻T5までの間、時刻T5から時刻T6までの間、時刻T6から時刻T7までの間、時刻T7から時刻T8までの間、時刻T8から時刻T9までの間、及び、時刻T9から時刻T10までの間、のそれぞれにおいて寝具31,42が空いているか否か(寝具の予約状況)を示している。
【0059】
予約受付部82は、例えば、個室ベッドA,B、Cである3台の寝具42、及び広間ベッドA,Bである2台の寝具31、のそれぞれの予約状況を表示する。すなわち、予約受付部82は、時間ごと及び寝具ごとに予約状況を表示する。表Dの「XXXX」及び「AAAA」等は、予約者の氏名を示しており、例えば、表Dには、時刻T1から時刻T2までの間において個室ベッドAは「XXXX」に予約されていることが示されている。
【0060】
予約受付部82において、「XXXX」及び「AAAA」等が表示されていない表Dのセルが予約可能な時間帯であって、当該セルをクリックして所定の操作を行うことによって快適空間1の寝具を予約することが可能である。なお、寝具の予約者と、寝具の使用者とは、必ずしも一致していなくてもよく、使用者とは別の人が予約者であってもよい。また、予約受付部82が表示する表Dは、図6に示される態様に限られず、例えば、予約されているか否かのみを表示して予約者の情報(氏名等)を表示しないようにしてもよい。
【0061】
一例として、時刻T1は正午であり、時刻T2は12時20分であり、時刻T3は12時40分であり、時刻T4は13時であり、時刻T5は13時20分であり、時刻T6は13時40分であり、時刻T7は14時であり、時刻T8は14時20分であり、時刻T9は14時40分であり、時刻T10は15時である。この場合、20分おきに快適空間1の寝具31,42の使用者が入れ替わることとなる。なお、仮眠(昼寝)の時間は、正午から15時までの間であることが好ましい。15時以降に仮眠をとる場合、夜の睡眠が浅くなる可能性があるためである。
【0062】
使用者が20分間寝具31,42を使用することにより、寝具31,42によって使用者は快適なパワーナップ(積極的仮眠)をとることができる。なお、寝具31,42の使用者が入れ替わる時間は、20分に限られず、例えば、15分以上且つ30分以下であってもよく、適宜変更可能である。
【0063】
次に、環境制御部81による快適空間1の環境制御の例について説明する。以下では、時刻T1から時刻T2までに行われる環境制御部81の制御の例について説明するが、例えば、時刻T2から時刻T3までの間等、他の時間帯にも同様の制御が行われる。図7は、環境制御部81による快適空間1への光出力及び音出力のタイムチャートの例を示している。
【0064】
図7に示されるように、環境制御部81は、光出力部91及び音出力部92を、第1モード、第2モード及び第3モードのいずれかに切り替えることによって快適空間1の環境を制御する。環境制御部81は、第1モード、第2モード及び第3モードの順で切り替わるように光出力部91及び音出力部92の制御を行う。
【0065】
環境制御部81は、第1モード、第2モード及び第3モードにおいて光出力部91にプラネタリウムの画像を天井に表示させてもよい。この場合、天井のプラネタリウムを見ながら休ませることによって使用者をより確実に睡眠させることが可能となる。例えば、第1モードは入眠モードであり、第2モードは睡眠モードであり、第3モードは覚醒モードであってもよい。この場合、短時間でより効果的なパワーナップを取得することが可能である。
【0066】
第1モードは時刻T1から時刻t1までの間に実行され、第1モードの実行時間は、例えば、2分以上且つ5分以下である。第2モードは時刻t1から時刻t2までの間に実行され、第2モードの実行時間は、例えば、5分以上且つ12分以下である。第3モードは時刻t2から時刻t3までの間に実行され、第3モードの実行時間は、例えば、1分以上且つ5分以下である。
【0067】
例えば、第1モードの実行時間は、第2モードの実行時間よりも短く且つ第3モードの実行時間よりも長い。但し、第1モードの実行時間は第3モードの実行時間と同一であってもよい。環境入力部71の操作によって、第1モードの実行時間、第2モードの実行時間、及び第3モードの実行時間、が変更可能であってもよい。例えば、環境制御部81による第3モードの制御が終わった時刻t3から時刻T2までの間に、寝具31,42の使用者が交代する。時刻t3から時刻T2までの時間は、例えば、1分以上且つ5分以下である。
【0068】
例えば、第1モードにおいて光出力部91が出力する光の光量は、時間の経過と共に小さくなる。第1モードにおける光出力部91からの光の色彩は、例えば、暖色系(一例として橙色)である。第1モードにおいて音出力部92が出力する音の音量は、例えば、時間の経過と共に小さくなる。
【0069】
第1モードにおいて音出力部92が出力する音は、抑揚を含む波の音であってもよい。また、音出力部92が出力する音は、揺らぎを含むルナリズム(登録商標)の音であってもよい。このように環境制御部81が光出力部91及び音出力部92を制御することにより、快適空間1の使用者を効果的に入眠させることが可能となる。
【0070】
例えば、第2モードにおいて光出力部91が出力する光の光量は、最も小さい。第2モードにおいて光出力部91は消灯されてもよい。天井のプラネタリウムをよく見えるようにしてもよく、この場合、より確実に使用者を睡眠に誘うことができる。第2モードにおいて音出力部92が出力する音の音量は、例えば、最も小さい。
【0071】
第2モードにおいて音出力部92は、音を発しなくてもよいが、他の使用者の物音が気にならない程度の小さな音を出力してもよい。第2モードにおいて、音出力部92が出力する音は、例えば、せせらぎの音、砂嵐の音、滝の音、及びホワイトノイズの少なくともいずれかであってもよい。このように環境制御部81が光出力部91及び音出力部92を制御することにより、快適空間1の使用者の睡眠を適度に深めることが可能となる。
【0072】
例えば、第3モードにおいて光出力部91が出力する光の光量は、時間の経過と共に大きくなる。第3モードにおける光出力部91からの光の色彩は、例えば、暖色から白色に徐々に変化してもよい。また、第3モードにおける光出力部91からの光の色彩は、寒色系であってもよいし、昼光色(一例として青白い光)であってもよい。
【0073】
第3モードにおいて音出力部92が出力する音の音量は、例えば、時間の経過と共に大きくなる。このとき音出力部92が出力する音は、時間の経過と共にテンポが速い音に遷移してもよい。このように環境制御部81が光出力部91及び音出力部92を制御することにより、快適空間1の使用者を効果的に覚醒させることが可能となる。なお、温度出力部93は、光出力部91及び音出力部92と同様に環境制御部81によって制御されてもよい。また、温度出力部93は、光出力部91及び音出力部92からは独立したエアーコンディショナーであってもよい。
【0074】
次に、本実施形態に係る快適空間1から得られる作用効果について詳細に説明する。図1図5及び図7に示されるように、快適空間1は部屋2の内部に光出力部91及び音出力部92を備え、光出力部91及び音出力部92は環境制御部81によって制御される。環境制御部81は、第1モード、第2モード及び第3モードの順で切り替わるように光出力部91及び音出力部92の制御を行う。
【0075】
第1モードにおける光量及び音量のそれぞれは、第2モードにおける光量及び音量のそれぞれより大きく、且つ第3モードにおける光量及び音量のそれぞれよりも小さい。よって、部屋2の内部には、第1モードで中程度の光及び音が出力された後、第2モードで小さい光量の光と小さい音量の音が出力される。従って、第1モードから第2モードに遷移するときに部屋2の中の光量及び音量が小さくなるので、部屋2の内部において睡眠に適した環境を提供することができる。
【0076】
部屋2の中は第2モードで最も暗く且つ最も静かになるので、この間に心地よい睡眠をとることが可能となる。第2モードから第3モードに遷移するときに部屋2の中の光量及び音量が大きくなるので、部屋2を使用する使用者は確実に覚醒することができる。部屋2には複数の寝具31,42が配置されているので、複数の寝具31,42を部屋2の中で共用することによって心地よい快適空間1を複数人で共有することができる。従って、複数の人がその場で身体を休めることができる。
【0077】
音出力部92は、第1モード及び第2モードの少なくともいずれかにおいて波の音を出力してもよい。この場合、睡眠前(入眠時)及び睡眠中の少なくともいずれかに部屋2の中で波の音を出力することが可能となる。従って、心地良い波の音を聴きながら心地良く入眠及び睡眠できる。
【0078】
第3モードにおいて光出力部91が出力する光の光量は、時間の経過に伴って大きくなってもよい。この場合、使用者を覚醒させるために時間の経過に伴って部屋2の中を明るくすることができる。従って、より確実に使用者を覚醒させることができる。
【0079】
図1及び図2に示されるように、寝具31,42は、平面視において長方形状を呈するベッド34を含んでおり、ベッド34は、ベッド34の長手方向の一方側において水平方向に延びる第1部分32と、ベッド34の長手方向の他方側において第1部分32から斜め上方に延びる第2部分33と、を有してもよい。
【0080】
この場合、ベッド34は、その長手方向の一方側に水平方向に延びる第1部分32を有し、長手方向の他方側に第1部分32から斜め上方に延びる第2部分33を有する。従って、使用者は第1部分32に脚を載せると共に、第2部分33に上半身を載せることにより、上半身を傾斜させた状態で心地良い睡眠を堪能できる。
【0081】
また、第2部分33で上半身を傾斜させた状態で身体を休めることにより、食べ物の逆流を抑制することができる。更に、上半身を傾斜させた状態で身体を休めることにより、仮眠をとる場合において眠りが深くなりすぎないようにすることができる。従って、短時間の睡眠により適した環境を提供することができる。
【0082】
複数の寝具31,42のそれぞれは、ベッド34を含んでおり、ベッド34は、平面視において、部屋2を画成する壁(例えば、第2壁2c、第4壁2f、第5壁2g又は第6壁2h)に対して傾斜する方向に延びていてもよい。この場合、平面視において、ベッド34は壁に対して傾斜する方向に延びるように配置されている。従って、ベッド34を壁に密着しないように配置できるので、壁とベッド34との間に荷物を置くことができ、壁とベッド34との間の空間を有効利用することができる。
【0083】
複数の寝具31,42のそれぞれは、ベッド34を含んでおり、複数のベッド34は、互いに隣接して配置されている一対のベッド34A,34Bを含んでおり、平面視において、一対のベッド34A,34Bは互いに非平行となるように配置されていてもよい。この場合、一対のベッド34A,34Bのうち一方のベッド34Aの使用者が横向き寝をしたときに、他方のベッド34Bの使用者と目を合わせないようにすることができるので、他の使用者の目を気にすることなくより快適な睡眠を堪能することができる。
【0084】
複数の寝具31,42のそれぞれは、複数の使用者によって一定時間(例えば10分以上且つ30分以下、一例として20分)ごとに交代で使用されてもよい。この場合、各寝具31,42を複数の使用者で交代で使用することにより、複数の使用者で1つの寝具31,42を共用することができる。従って、より多くの使用者に睡眠に適した空間を提供することができる。
【0085】
快適空間1は、寝具31,42に載せられる布61を備え、布61は、使用者が寝具31,42を使用する度に取り替えられてもよい。この場合、寝具31,42に載せられる布61によって使用時に寝具31,42が汚れる事態を回避することができる。従って、複数の使用者によって1つの寝具31,42を共用するときに寝具31,42を清潔に維持することができる。
【0086】
布61は、使用者が一度使用した後に捨てられる使い捨ての布であってもよい。この場合、使い終わった布61が捨てられることにより、布61を洗濯する必要がないので快適空間1の提供を容易に行うことができる。すなわち、快適空間1の管理の負担を低減させることができる。
【0087】
以上、本開示に係る快適空間の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る快適空間は、前述した実施形態の内容に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。すなわち、快適空間の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0088】
例えば、前述の実施形態では、オフィスの職員が昼寝をするための快適空間1について説明した。しかしながら、本開示に係る快適空間は、病院の医者及び看護師が仮眠をするための快適空間であってもよいし、ショッピングモール等の商業施設の客(例えば子連れの父親)が仮眠をするための快適空間であってもよい。このように、本開示に係る快適空間が設けられる施設、及び使用者の種類は適宜変更可能である。
【0089】
また、前述の実施形態では、快適空間1の寝具31,42が予約制である例について説明した。しかしながら、本開示に係る快適空間の寝具は、予約制の寝具でなくてもよく、誰でもその場で使用できる予約不要の寝具であってもよい。また、快適空間は、睡眠のための空間でなくてもよく、例えば、マッサージルーム等、リラックスすることができるリラックス空間であってもよい。
【0090】
また、前述の実施形態では、オープンスペースの領域A1、デスクパーティション領域の領域A2、広間ベッドが配置された領域A3、個室タイプの領域A4、及びソファタイプの領域A5を備える快適空間1について説明した。しかしながら、本開示に係る快適空間は、領域A1~A5を備える態様に限られず適宜変更可能である。パーティションの数及び配置態様についても適宜変更可能である。更に、本開示に係る快適空間は、例えば、リラックスチェアと1人用のテーブルとが設けられたパーソナルゾーンを備えていてもよい。このように、本開示に係る快適空間のレイアウトは上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0091】
また、前述の実施形態では、環境入力部71、端末72、制御部80、光出力部91、音出力部92及び温度出力部93を備える快適空間制御システム70について例示した。しかしながら、快適空間制御システムの機能は、上記の例に限られず適宜変更可能である。更に、環境制御部81、予約受付部82、表示制御部83及び記憶部84を備える制御部80について例示した。しかしながら、快適空間制御システムの制御部の機能についても前述の例に限られず適宜変更可能である。更に、本開示に係る快適空間は、睡眠空間として用いられていない間に、勉強空間又はサイレントオフィスとして用いられてもよい。
【0092】
(実施例)
以下では、本開示に係る快適空間の実施例について説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。実施例に係る実験では、健康な男女9名(男性3名、女性6名、平均年齢22.6±2.4歳)の被験者に対し2日間15分の仮眠をとらせて当該仮眠前後の被験者のパフォーマンスを測定した。各被験者に対し、30分間で昼食をとらせ、課題Iを10分でさせた後に、後述する実施例1及び比較例1~3のパターンで15分の仮眠をとらせ、仮眠直後に課題IIを10分でさせて120分の通常業務をさせた後、課題IIIを10分で行わせた。
【0093】
課題I、課題II及び課題IIIのそれぞれでは、四則演算150問を解かせて、そのときの集中力をJINS MEME ES(株式会社ジンズ製)を装着させて測定した。この測定では、装着の間のまばたき及び視線移動をノーズパッドの3点式眼電位センサで測定し、集中度合を3段階(「深い集中」、「集中」、「集中外」)で評価した。本実験では、「集中力」を、測定時間全体に対する「深い集中」の時間と「集中」の時間との和の割合として算出した。そして、上記の四則演算を解き終わるまでの時間及び誤答の数を測定した。更に、課題I、課題II及び課題IIIのそれぞれでは、「疲れが残っている」、「眠気が残っている」、「身体がだるい」、「不快な気分である」、「ストレスを感じる」及び「胃が張る(むかむかする)」等を主観評価させた。この主観評価の質問は「OSA睡眠調査票」を基に作成した。また、実施例1、比較例1、比較例2及び比較例3の仮眠環境は以下のとおりとした。実施例1、比較例1、比較例2及び比較例3のそれぞれにおいて部屋の温度は24±1℃とした。
【0094】
(実施例1)
前述した快適空間1の寝具31で各被験者を上記のように仮眠させた。なお、寝具31において第1部分32に対する第2部分33の傾斜角度θを30°とし、快適空間1では前述した実施形態と同様の制御(第1モード、第2モード及び第3モードを含む光量及び音量の制御)を行った。
(比較例1)
一般的な仮眠ルームに傾斜角度を有しないマットを載置し、このマットにて各被験者を仮眠させた。仮眠中、照明は完全に消灯し、音量は静寂な49±2(dB)とした。
(比較例2)
オフィスルームに机及び椅子を用意して、各被験者をうつ伏せで仮眠させた。光量は40±5(lux)とし、音量は63±5(dB)とした。
(比較例3)
オフィスルームに机及び椅子を用意して各被験者を椅子に着席させ、仮眠させることなく読書させた。光量は40±5(lux)とし、音量は63±5(dB)とした。
【0095】
以上の条件で実施例1、比較例1、比較例2及び比較例3の結果を、上記の「集中力」、上記の四則演算の作業にかかる時間(問題を解き終わるまでの時間)、及び、上記四則演算の誤答数、ごとに説明する。
(集中力)
仮眠前(課題I)の集中力を「100」とした場合における仮眠直後(課題II)の集中力は、比較例3では85程度であったのに対し、実施例1では135程度、比較例1では115程度、比較例2では110程度であった。
仮眠前(課題I)の集中力を「100」とした場合における仮眠2時間後(課題III)の集中力は、比較例3では80程度であったのに対し、実施例1では125程度、比較例1では103程度、比較例2では110程度であった。
以上の結果より、昼食後の15分の仮眠(比較例3以外)は集中力の向上に有効であることが分かった。
(作業にかかる時間)
仮眠前(課題I)の作業にかかる時間(以下では当該時間とする)を「100」とした場合における仮眠直後(課題II)の当該時間は、比較例3では103程度、比較例2では102程度であったのに対し、実施例1及び比較例1では100未満であった。
仮眠前(課題I)の作業にかかる時間(以下では当該時間とする)を「100」とした場合における仮眠2時間後(課題III)の当該時間は、比較例2及び比較例3では99程度、比較例1では97程度、実施例1では96程度であった。
以上の結果より、仮眠直後はそれほど作業時間は短縮されないが、仮眠ルームで横たわって仮眠をとった実施例1及び比較例1では、仮眠2時間後に作業時間を短縮できることが分かった。
(誤答数)
仮眠前(課題I)の誤答数を「100」とした場合における仮眠直後(課題II)の誤答数は、比較例2では120程度、比較例1及び比較例3では105程度、実施例1では90程度であった。
仮眠前(課題I)の誤答数を「100」とした場合における仮眠2時間後(課題III)の誤答数は、比較例2では120程度、比較例1及び比較例3では105程度、実施例1では85程度であった。
以上の結果より、快適空間1で寝具31に横たわって15分間昼寝をさせた実施例1では、誤答を効果的に減らせることが分かった。
【0096】
次に、前述した主観評価の結果について説明する。
(疲れが残っているか否かについて)
仮眠前(課題I)の「疲れが残っている」の数を「100」とした場合における仮眠直後の「疲れが残っている」の割合は、比較例3で105程度、比較例2で95程度、比較例1で87程度、実施例1で90程度であった。これにより、仮眠ルールで横たわって仮眠を行った比較例1及び実施例1では「疲れが残っている」の割合を効果的に減らせることが分かった。
(眠気が残っているか否かについて)
仮眠前(課題I)の「眠気が残っている」の数を「100」とした場合における仮眠直後の「眠気が残っている」の割合は、比較例3で120程度、比較例2で95程度、比較例1で105程度、実施例1で90程度であった。これにより、快適空間1の寝具31で横たわって仮眠を行った実施例1では「眠気が残っている」の割合を効果的に減らせることが分かった。
(身体がだるいか否かについて)
仮眠前(課題I)の「身体がだるい」の数を「100」とした場合における仮眠直後の「身体がだるい」の割合は、比較例3で100程度、比較例2で97程度、比較例1で90程度、実施例1で85程度であった。これにより、横たわって仮眠させた比較例1及び実施例1で「身体がだるい」の割合を効果的に減らすことができ、特に、快適空間1の寝具31で横たわって仮眠を行った実施例1では「身体がだるい」の割合を顕著に減らせることが分かった。
(不快な気分であるか否かについて)
仮眠前(課題I)の「不快な気分である」の数を「100」とした場合における仮眠直後の「不快な気分である」の割合は、比較例3及び比較例2で100程度、比較例2で95程度、実施例1で80程度であった。これにより、快適空間1の寝具31で横たわって仮眠を行った実施例1では「不快な気分である」の割合を顕著に減らせることが分かった。
(ストレスを感じているか否かについて)
仮眠前(課題I)の「ストレスを感じている」の数を「100」とした場合における仮眠直後の「ストレスを感じている」の割合は、比較例3では105程度、比較例2では102程度、比較例1では90程度、実施例1では80程度であった。これにより、横たわって仮眠させた実施例1及び比較例1で「ストレスを感じている」を効果的に減らすことができ、特に、快適空間1の寝具31で横たわって仮眠を行った実施例1では「ストレスを感じている」の割合を顕著に減らせることが分かった。
(胃が張る(むかむかする)か否かについて)
仮眠前(課題I)の「胃が張る」の数を「100」とした場合における仮眠直後の「胃が張る」の割合は、比較例3では102程度、比較例2では101程度、比較例1では90程度、実施例1では80程度であった。これにより、横たわって仮眠させた実施例1及び比較例1で「胃が張る」を効果的に減らすことができ、特に、快適空間1の寝具31で横たわって仮眠を行った実施例1では「胃が張る」の割合を顕著に減らせることが分かった。
【0097】
以上より、一般的な仮眠ルールで15分間昼寝をさせる比較例1の場合でも、作業にかかる時間、疲れの残り具合、身体のだるさ、ストレス及び胃が張るかどうか、の点で良好な効果を得られることが分かった。しかしながら、比較例1の場合は、集中力、誤答数、及び眠気が残っているか否か、の点では良好な結果は得られなかった。これに対し、快適空間1の寝具31で横たわって昼寝させた実施例1の場合には、集中力、誤答数、及び眠気が残っているか否かの点においても良好な結果が得られた。実施例1の昼寝では、疲れ、眠気、だるさ、ストレス及び胃のむかつきを解消し、気分を快適にできると共に、集中力を高めることができ、更に、誤答数を減らして作業にかかる時間を短縮させることができ、昼寝後のパフォーマンスを顕著に高められることが分かった。
【符号の説明】
【0098】
1…快適空間、2…部屋、2b…第1壁(壁)、2c…第2壁(壁)、2d…第3壁(壁)、2f…第4壁(壁)、2g…第5壁(壁)、2h…第6壁(壁)、3…廊下、4…出入口、5…パーティション、11…テーブル、12…椅子、21…長テーブル、22…椅子、23…パーティション、31…寝具、32…第1部分、33…第2部分、34,34A,34B…ベッド、35…敷き寝具、36…枕、41…出入口、42…寝具、44…光出力部、45…空間、46…壁部、47…光照射部、48…柱、51…ソファ、52…額縁付き絵画、60…収納部、61…布、62,63,64…引き出し、70…快適空間制御システム、71…環境入力部、72…端末、80…制御部、81…環境制御部、82…予約受付部、83…表示制御部、84…記憶部、91…光出力部、92…音出力部、93…温度出力部、A1,A2,A3,A4,A5…領域、L…光、T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8,T9,T10,t1,t2,t3…時刻、θ…傾斜角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7