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特開2024-59616レーダデータを結合するためのシステムおよび方法
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  • 特開-レーダデータを結合するためのシステムおよび方法 図1
  • 特開-レーダデータを結合するためのシステムおよび方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059616
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】レーダデータを結合するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/87 20060101AFI20240423BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01S13/87
G01S7/40
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006989
(22)【出願日】2024-01-19
(62)【分割の表示】P 2021563207の分割
【原出願日】2020-03-26
(31)【優先権主張番号】62/840,926
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.アンドロイド
(71)【出願人】
【識別番号】521462978
【氏名又は名称】ツェンダー インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プグリエリ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チン ミン
(72)【発明者】
【氏名】プラドス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ナグパル,ビナヤック
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レーダデータを分析するためのシステムを提供する。
【解決手段】システムは、基準周波数信号を発生させるように構成された周波数発生器と、1つ以上のタイミング信号を発生させるように構成されたタイミングモジュールと、周波数発生器およびタイミングモジュールと通信状態にある複数のレーダモジュールとを含み得る。前記レーダモジュールは、(i)基準周波数信号および1つ以上のタイミング信号を受信し、(ii)基準周波数信号と1つ以上のタイミング信号に部分的に基づいてレーダ信号の第1セットを送信し、および、(iii)周囲環境から反射されたレーダ信号の第2のセットを受信するように構成され得る。システムは、位相およびタイムスタンプ情報を使用してコヒーレントにレーダ信号を結合させることにより、複数のレーダモジュールによって受信されたレーダ信号を処理するように構成されたプロセッサを含む場合がある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダデータを処理するためのシステムであって、該システムは:
基準周波数をもつ基準周波数信号を発生させるように構成された周波数発生器、
1つ以上のタイミング信号を発生させるように構成されたタイミングモジュール、および、
前記周波数発生器および前記タイミングモジュールと通信状態にある複数のレーダモジュールとを含み、ここで、前記複数のレーダモジュールは:(i)前記基準周波数信号および前記1つ以上のタイミング信号を受信し、(ii)(a)前記基準周波数信号および(b)前記1つ以上のタイミング信号に少なくとも部分的に基づいて複数の出射レーダパルスを含むレーダ信号の第1のセットを送信し、および、(iii)周囲環境における少なくとも1つの物体から反射された複数の到来レーダパルスを含むレーダ信号の第2のセットを受信するように構成される、システム。
【請求項2】
少なくとも(i)前記レーダ信号の第2のセットに関連付けられる位相情報、および(ii)前記レーダ信号の第2のセットに関連付けられるタイムスタンプ情報を使用して、(a)前記レーダ信号の第2のセットをコヒーレントに結合させること、(b)目標の特性を計算すること、または、(c)占有グリッドまたはレーダ像を生成すること、によって、前記複数のレーダモジュールからそれぞれ受信した前記レーダ信号の第2のセットを処理するように構成されたプロセッサをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記周波数発生装置、前記タイミングモジュール、および前記複数のレーダモジュールを含む少なくとも1つの筐体をさらに含み、ここで前記少なくとも1つの筐体は、乗り物に載置可能である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記周波数発生器は、予め定められるか実時間で調節可能である信号周波数を含む正弦波、矩形波、三角波、または鋸波を含む波動信号を発生させるように構成された回路を含み、ここで、前記回路は水晶発振器、シンプルパッケージ水晶発振器、温度補償水晶発振器、電圧制御水晶発振器、周波数制御水晶発振器、オーブン制御水晶発振器、リング発振器、インダクターキャパシタ(LC)発振器、または、抵抗器キャパシタ(RC)発振器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のレーダモジュールは、前記基準周波数に1つ以上の周波数逓倍係数を掛けるように構成される局部発振器を使用して、前記レーダ信号の第1のセットを発生させるように構成され、ここで、前記局部発振器は、整数N位相ロックループ、フラクショナルN位相ロックループ、または周波数逓倍器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記局部発振器は、前記複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールに搭載されて実装され、および、前記レーダモジュールは、レーダ送信機およびレーダ受信機を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記タイミングモジュールは、前記複数のレーダモジュールまたは前記プロセッサに対して前記1つ以上のタイミング信号を送信するように構成され、ここで、前記1つ以上のタイミング信号は、絶対時刻基準またはローカル時刻基準に基づいて生成される、共有クロック信号を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記タイミングモジュールは、前記複数のレーダモジュールまたは前記プロセッサに対して前記1つ以上のタイミング信号を送信するように構成され、ここで前記1つ以上のタイミング信号は、前記プロセッサ、または前記複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールのために、1つ以上の別個のタイミング信号を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のレーダモジュールは、前記1つ以上のタイミング信号に少なくとも部分的に基づいて前記レーダ信号の第1のセットの送信を誘発するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールは、前記プロセッサに前記複数の到来レーダパルスを転送する前に、前記1つ以上のタイミング信号に相関する1つ以上のタイムスタンプを用いて、前記レーダモジュールによってそれぞれ受信された前記複数の到来レーダパルスの少なくともサブセットを標識するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、(i)前記複数のレーダモジュールによって受信された前記複数の到来レーダパルスについて1つ以上のタイムスタンプを発生させるために、および、(ii)前記複数のレーダモジュールによって受信された前記複数の到来レーダパルスを日時でソートするために、前記タイミングモジュールによって発生される前記1つ以上のタイミング信号を使用するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記複数のレーダモジュールから受信される前記複数の到来レーダパルスを日時でソートするために、前記タイムスタンプ発生器によって生成された前記1つ以上のタイムスタンプを使用するように構成されることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記タイミングモジュールは、前記複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールに前記1つ以上の別個のタイミング信号を送信する前に、前記複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールに対して前記1つ以上のタイミング信号を修正するように構成されることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールは、(i)前記タイミングモジュールから受信した前記1つ以上のタイミング信号を修正するように、および、(ii)前記レーダモジュールにて生成された前記1つ以上の修正済みタイミング信号を使用して前記複数の出射レーダパルスの送信を誘発するように構成されることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つ以上の修正済みタイミング信号は、(a)前記共有クロック信号の周波数に1つ以上の周波数逓倍係数を掛けることにより、または(b)前記共有クロック信号に関するプログラム可能な遅延時間を実装することにより、少なくとも部分的に発生される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記複数の到来レーダパルスのサブセットの1つ以上の複素信号と、相対位相シフトまたは相対周波数シフトとを合計することによって、前記複数のレーダモジュールのサブセットによって受信された前記複数の到来レーダパルスのサブセットをコヒーレントに結合するように構成され、ここで前記相対位相シフトまたは前記相対周波数シフトは、前記複数のレーダモジュールの相対的な空間位置または相対的な空間配向の関数である、請求項2に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数のレーダモジュールは、前記プロセッサに前記レーダ信号の第2のセットを転送する前に、前記複数のレーダモジュールによって受信された前記レーダ信号の第2のセットを較正するように構成されることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のレーダモジュールは、(i)前記レーダ信号の第2のセットに、推定の較正パラメータに基づく補正を適用するように、または、(ii)前記レーダ信号の第2のセットに関する前記推定の較正パラメータを前記プロセッサに提供するように構成されることを特徴とする、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記推定の較正パラメータは、前記複数の到来レーダパルスのうちの2つ以上の到来レーダパルス間で観察された、位相、利得、遅延、またはバイアスにおける1つ以上の変動に部分的に由来することを特徴とする、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記推定の較正パラメータは、前記複数のレーダモジュールの相対的な空間位置または相対的な空間配向に部分的に由来することを特徴とする、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数のレーダモジュールは、前記複数のレーダモジュールによって受信された前記レーダ信号の第2のセットの2つ以上の到来レーダパルス間の位相差を識別するために、前記複数のレーダモジュールに対して可視である既知の物体を使用して、前記レーダ信号の第2のセットを較正するように構成されることを特徴とする、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記位相情報は、前記レーダ信号の第2のセットの2つ以上の到来レーダパルスの間で観察される1つ以上の位相差を含み、ここで、(i)1つのレーダモジュール内の異なる受信アンテナによって、(ii)前記複数のレーダモジュールの異なるレーダモジュールによって、または、(iii)前記乗り物が異なる空間位置または配向にある時に、前記2つ以上の到来レーダパルスが受信される、請求項2に記載のシステム。
【請求項23】
前記プロセッサは、少なくとも(i)前記位相情報を使用して、占有グリッドを生成するように構成されることを特徴とする、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記プロセッサは、(ii)前記複数のレーダモジュールの相対的な空間位置または配向を使用して、前記占有グリッドを生成するように、さらに構成されることを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記プロセッサは、前記占有グリッドを使用して、前記目標の特性を計算するように、さらに構成されることを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールは、(i)前記位相情報および(ii)前記タイムスタンプ情報を部分的に使用して、(a)前記信号の第2のセットから生の加工されていないデータを抽出するように、および、(b)コヒーレントな結合のために前記プロセッサに対して前記生の加工されていないデータを提供するように、構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
前記プロセッサは、少なくとも(i)前記位相情報を使用して、前記目標の前記特性を計算するように構成され、ここで前記目標の前記特性は、形態、寸法、位置、配向、到来角、速度、加速度、およびレーダ断面から成る群から選択される、請求項2に記載のシステム。
【請求項28】
前記レーダ信号の前記第1のセットは、第1のレーダモジュールによって送信され、および、前記レーダ信号の第2のセットは、第2のレーダモジュールにて受信されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
前記レーダ信号の第2のセットは、前記第1のレーダモジュールによって送信されるとともに、前記周囲環境における前記少なくとも1つの物体から反射したレーダ信号の第1のセットのサブセットに対応することを特徴とする、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記第2のレーダモジュールは、第3のレーダモジュールにて受信されたレーダ信号の付加的な第2のセットとのコヒーレントな結合のためにプロセッサに対して前記レーダ信号の第2のセットを提供する前に、前記レーダ信号の第2のセットを前処理するように構成される、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記乗り物は、陵上の乗り物、空中の乗り物、または水の乗り物であることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項32】
レーダデータを処理するための方法であって、該方法は:
(a)(i)周波数発生器、(ii)タイミングモジュール、および、(iii)前記周波数発生器および前記タイミングモジュールと通信状態にある複数のレーダモジュールを含むレーダシステムを提供する工程であって、ここで前記周波数発生器は、基準周波数をもつ基準周波数信号を発生させるように構成され、および、ここで前記タイミングモジュールは、1つ以上のタイミング信号を発生させるように構成される、工程と、
(b)前記複数のレーダモジュールにて前記基準周波数信号および前記1つ以上のタイミング信号を受信する工程と、
(c)前記基準周波数信号および前記1つ以上のタイミング信号に少なくとも部分的に基づいて複数の出射レーダパルスを含むレーダ信号の第1のセットを送信するために前記複数のレーダモジュールを使用する工程と、
(d)前記複数のレーダモジュールにて、周囲環境における少なくとも1つの物体から反射された複数の到来レーダパルスを含むレーダ信号の第2のセットを受信する工程とを含む、方法。
【請求項33】
少なくとも(i)前記レーダ信号の第2のセットに関連付けられる位相情報、および(ii)前記レーダ信号の第2のセットに関連付けられるタイムスタンプ情報を使用して、(a)前記レーダ信号の第2のセットをコヒーレントに結合させることにより、(b)目標の特性を計算することにより、または、(c)占有グリッドまたはレーダ像を生成することにより、前記複数のレーダモジュールからそれぞれ受信した前記レーダ信号の第2のセットを処理するために、プロセッサを使用する工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記レーダシステムは、前記周波数発生装置、前記タイミングモジュール、および前記複数のレーダモジュールを含む少なくとも1つの筐体を含み、ここで前記少なくとも1つの筐体は、乗り物に載置可能である、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記周波数発生器は、予め定められるか実時間で調節可能である信号周波数をもつ正弦波、矩形波、三角波、または鋸波を含む波動信号を発生させるように構成された回路を含み、ここで、前記回路は水晶発振器、シンプルパッケージ水晶発振器、温度補償水晶発振器、電圧制御水晶発振器、周波数制御水晶発振器、オーブン制御水晶発振器、リング発振器、インダクターキャパシタ(LC)発振器、または、抵抗キャパシタ(RC)発振器を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記複数のレーダモジュールは、前記基準周波数に1つ以上の周波数逓倍係数を掛けるように構成される局部発振器を使用して、前記レーダ信号の第1のセットを発生させるように構成され、ここで、前記局部発振器は、整数N位相ロックループ、フラクショナルN位相ロックループ、または周波数逓倍器を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記局部発振器は、前記複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールに搭載されて実装され、および、前記レーダモジュールは、レーダ送信機およびレーダ受信機を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記タイミングモジュールは、前記複数のレーダモジュールまたは前記プロセッサに対して前記1つ以上のタイミング信号を送信するように構成され、ここで、前記1つ以上のタイミング信号は、絶対時刻基準またはローカル時刻基準に基づいて生成される、共有クロック信号を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記タイミングモジュールは、前記複数のレーダモジュールまたは前記プロセッサに対して前記1つ以上のタイミング信号を送信するように構成され、前記1つ以上のタイミング信号は、前記プロセッサ、または前記複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールのために、1つ以上の別個のタイミング信号を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記複数のレーダモジュールは、前記1つ以上のタイミング信号に少なくとも部分的に基づいて前記レーダ信号の第1のセットの送信を誘発するように構成されることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールは、前記プロセッサに前記複数の到来レーダパルスを転送する前に、前記1つ以上のタイミング信号に相関する1つ以上のタイムスタンプを用いて、前記レーダモジュールによってそれぞれ受信された前記複数の到来レーダパルスの少なくともサブセットを標識するように構成される、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記プロセッサは、(i)前記複数のレーダモジュールによって受信された前記複数の到来レーダパルスについて1つ以上のタイムスタンプを発生させるために、および、(ii)前記複数のレーダモジュールによって受信された前記複数の到来レーダパルスを日時でソートするために、前記タイミングモジュールによって発生される前記1つ以上のタイミング信号を使用するように構成される、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記プロセッサは、前記複数のレーダモジュールから受信される前記複数の到来レーダパルスを日時でソートするために、前記タイムスタンプ発生器によって生成された前記1つ以上のタイムスタンプを使用するように構成されることを特徴とする、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記タイミングモジュールは、前記複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールに前記1つ以上の別個のタイミング信号を送信する前に、前記複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールに対して前記1つ以上のタイミング信号を修正するように構成されることを特徴とする、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールは、(i)前記タイミングモジュールから受信した前記1つ以上のタイミング信号を修正するように、および、(ii)前記レーダモジュールにて生成された前記1つ以上の修正済みタイミング信号を使用して前記複数の出射レーダパルスの送信を誘発するように構成されることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記1つ以上の修正済みタイミング信号は、(a)前記共有クロック信号の周波数に1つ以上の周波数逓倍係数を掛けることにより、または(b)前記共有クロック信号に関するプログラム可能な遅延時間を実装することにより、少なくとも部分的に発生される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記プロセッサは、前記複数の到来レーダパルスのサブセットの1つ以上の複素信号と、相対位相シフトまたは相対周波数シフトとを合計することによって、前記複数のレーダモジュールのサブセットによって受信された前記複数の到来レーダパルスのサブセットをコヒーレントに結合するように構成され、ここで前記相対位相シフトまたは前記相対周波数シフトは、前記複数のレーダモジュールの相対的な空間位置および/または相対的な空間配向の関数である、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
前記複数のレーダモジュールは、前記プロセッサに前記レーダ信号の第2のセットを転送する前に、前記複数のレーダモジュールによって受信された前記レーダ信号の第2のセットを較正するように構成されることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
前記複数のレーダモジュールは、(i)前記レーダ信号の第2のセットに、推定の較正パラメータに基づく補正を適用するように、または、(ii)前記レーダ信号の第2のセットに関する前記推定の較正パラメータを前記プロセッサに提供するように構成されることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記推定の較正パラメータは、前記複数の到来レーダパルスのうちの2つ以上の到来レーダパルス間で観察された、位相、利得、遅延、またはバイアスにおける1つ以上の変動に部分的に由来することを特徴とする、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記推定の較正パラメータは、前記複数のレーダモジュールの相対的な空間位置または相対的な空間配向に部分的に由来することを特徴とする、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記複数のレーダモジュールは、前記複数のレーダモジュールによって受信された前記レーダ信号の第2のセットの2つ以上の到来レーダパルス間の位相差を識別するために、前記複数のレーダモジュールに対して可視である既知の物体を使用して、前記レーダ信号の第2のセットを較正するように構成されることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記位相情報は、前記レーダ信号の第2のセットの2つ以上の到来レーダパルスの間で観察される1つ以上の位相差を含み、ここで、(i)1つのレーダモジュール内の異なる受信アンテナによって、(ii)前記複数のレーダモジュールの異なるレーダモジュールによって、または、(iii)前記乗り物が異なる空間位置または配向にある時に、前記2つ以上の到来レーダパルスが受信される、請求項33に記載の方法。
【請求項54】
前記プロセッサは、少なくとも(i)前記位相情報を使用して、占有グリッドを生成するように構成されることを特徴とする、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記プロセッサは、(ii)前記複数のレーダモジュールの相対的な空間位置または配向を使用して、前記占有グリッドを生成するように、さらに構成されることを特徴とする、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記プロセッサは、前記占有グリッドを使用して、前記目標の特性を計算するように、さらに構成されることを特徴とする、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールは、(i)前記位相情報および(ii)前記タイムスタンプ情報を部分的に使用して、(a)前記信号の第2のセットから生の加工されていないデータを抽出するように、および、(b)コヒーレントな結合のために前記プロセッサに対して前記生の加工されていないデータを提供するように、構成される、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記プロセッサは、少なくとも(i)前記位相情報を使用して、前記目標の前記特性を計算するように構成され、ここで前記目標の前記特性は、形態、寸法、位置、配向、到来角、速度、加速度、およびレーダ断面から成る群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項59】
前記レーダ信号の第1のセットは、第1のレーダモジュールによって送信され、および、前記レーダ信号の第2のセットは第2のレーダモジュールにて受信されることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項60】
前記レーダ信号の第2のセットは、前記第1のレーダモジュールによって送信されるとともに、前記周囲環境における前記少なくとも1つの物体から反射されるレーダ信号の第1のセットのサブセットに対応することを特徴とする、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記第2のレーダモジュールは、第3のレーダモジュールにて受信されたレーダ信号の付加的な第2のセットとのコヒーレントな結合のためにプロセッサに対して前記レーダ信号の第2のセットを提供する前に、前記レーダ信号の第2のセットを前処理するように構成される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記乗り物は、陵上の乗り物、空中の乗り物、または水の乗り物であることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年4月30日に出願された米国仮特許出願62/840,926号の優先権を主張するものであり、当該文献は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
無線探知および測距(RAdio Detection And Ranging)(レーダ)は、物体検知、距離測定、方向探知、およびマッピングを含む、多くの応用において使用することができる。従来、レーダは、物体の位置を突き止め、および地勢を画像化するために、空中の乗り物、人工衛星、および艦船において使用さてきれた。近年、レーダは、自動車において死角検知、衝突防止、および自動運転などの応用のためにますます一般になってきた。天候および視界の変化に影響される光学式センサ(カメラおよび光検知測距(Light Detection and Ranging)(LIDAR)システムなど)とは異なり、レーダは低照度条件、暗闇、およびあらゆるタイプの天候のもとで機能し得る。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、現在利用可能なレーダシステムについての様々な限界が認識される。レーダを利用するために、乗り物は、周囲環境の障害物および物体を検知するための多数のレーダセンサを装備し得る。しかしながら、典型的に、現在のレーダシステムの複数のレーダセンサは、互いに独立してデータを処理し得る。レーダデータを処理し結合するためのシステムおよび方法が、本明細書で提供される。レーダシステムのパフォーマンスおよびロバスト性は、周囲環境における物または障害物の認知、検知、および/または分類に先立って、複数のレーダセンサおよび/またはモジュールからのデータを結合させることにより改善され得る。またさらに、本明細書で開示するレーダシステムは、付近の物体または障害物を識別し、周囲環境の1枚以上の局所的な地図を生成するために、複数のレーダセンサおよび/またはモジュールからのレーダデータを処理し、およびコヒーレントに結合することに含まれる計算上のアンビギュイティを解決するように構成され得る。
【0004】
一態様では、本開示は、レーダデータを分析するためのシステムを提供する。システムは、基準周波数をもつ基準周波数信号を発生させるように構成された周波数発生器、1つ以上のタイミング信号を発生させるように構成されたタイミングモジュール、および、周波数発生器およびタイミングモジュールとの通信状態にある複数のレーダモジュールを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールは:(i)基準周波数信号および1つ以上のタイミング信号を受信し、(ii)(a)基準周波数信号および(b)1つ以上のタイミング信号上に少なくとも部分的に基づく複数の出射レーダパルスを含むレーダ信号の第1のセットを送信し、および(iii)周囲環境における少なくとも1つの物体から反射された複数の到来レーダパルスを含むレーダ信号の第2のセットを受信するように構成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも(i)レーダ信号の第2のセットに関連付けられる位相情報、および(ii)レーダ信号の第2のセットに関連付けられるタイムスタンプ情報を使用して、(a)レーダ信号の第2のセットをコヒーレントに結合させることにより、(b)目標の特性を計算することにより、または、(c)占有グリッドまたはレーダ像を生成することにより、複数のレーダモジュールから別々に受信したレーダ信号の第2のセットを処理するように構成されたプロセッサをさらに含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、システムは、周波数発生器、タイミングモジュール、および複数のレーダモジュールを含む、少なくとも1つの筐体を含む場合がある。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの筐体は乗り物に載置可能であり得る。いくつかの実施形態では、乗り物は陸上の乗り物、空中の乗り物、または水の乗り物を含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、周波数発生器は、正弦波、矩形波、三角波、または鋸波を含む波動信号を発生させるように構成された回路を含み得る。波動信号は、予め定められるか実時間で調節可能である信号周波数を有する場合がある。
【0008】
いくつかの実施形態では、回路は水晶発振器、シンプルパッケージ水晶発振器、温度制御水晶発振器、電圧制御水晶発振器、周波数制御水晶発振器、オーブン制御水晶発振器、リング発振器、インダクターキャパシタ(LC)発振器、または抵抗キャパシタ(RC)発振器を含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールが、局部発振器を使用してレーダ信号の第1のセットを発生させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、局部発振器は、1つ以上の周波数逓倍係数を基準周波数に掛けるように構成され得る。いくつかの実施形態では、局部発振器は、整数N位相ロックループ、フラクショナルN位相ロックループ、または周波数逓倍器を含み得る。いくつかの実施形態では、局部発振器は、複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールに搭載されて実装され得る。いくつかの実施形態では、レーダモジュールは、レーダ送信機および/またはレーダ受信機を含む場合がある。いくつかの実施形態では、局部発振器は、ボードまたはレーダ送信機および/またはレーダ受信機のチップ上に実装される場合がある。
【0010】
いくつかの実施形態では、タイミングモジュールは、複数のレーダモジュールまたはプロセッサに1つ以上のタイミング信号を送信するように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、1つ以上のタイミング信号は、絶対時刻基準またはローカル時刻基準に基づいて発生される共有クロック信号を含む場合がある。いくつかの実施形態では、1つ以上のタイミング信号は、プロセッサ、または複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールのために、1つ以上の別個のタイミング信号を含む場合がある。
【0011】
いくつかの実施形態では、タイミングモジュールは、複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールのために、別個のタイミング信号を発生させるように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、1つ以上のタイミング信号は、1つ以上の別個のタイミング信号を含む場合がある。
【0012】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールは、共有クロック信号または1つ以上のタイミング信号に少なくとも部分的に基づいてレーダ信号の第1のセットの送信を誘発するように構成される場合がある。
【0013】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールは、プロセッサに複数の到来レーダパルスを転送する前に、1つ以上のタイミング信号に関する1つ以上のタイムスタンプを用いて、レーダモジュールによってそれぞれ受信された複数の到来レーダパルスの少なくともサブセットを標識するように構成された、タイムスタンプ発生器を含む場合がある。
【0014】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、タイミングモジュールによって発生される共有クロック信号を使用して、複数のレーダモジュールによって受信された複数の到来レーダパルスについて1つ以上のタイムスタンプを発生させるように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、プロセッサは、タイミングモジュールによって発生される1つ以上のタイミング信号を使用して、複数のレーダモジュールによって受信された複数の到来レーダパルスについて1つ以上のタイムスタンプを発生させるように構成される場合がある。
【0015】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、複数のレーダモジュールから受信される複数の到来レーダパルスを日時でソートするために、タイムスタンプ発生器またはプロセッサによって発生された1つ以上のタイムスタンプを使用するように構成される場合がある。
【0016】
いくつかの実施形態では、タイミングモジュールは、絶対時刻基準またはローカル時刻基準に基づいた共有クロック信号を発生させるように構成される場合がある。
【0017】
いくつかの実施形態では、タイミングモジュールは、1つ以上のレーダモジュールに1つ以上の修正済みタイミング信号を送信する前に、1つ以上のレーダモジュールに対して1つ以上のタイミング信号を修正するように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、1つ以上の修正済みタイミング信号は、1つ以上の別個のタイミング信号を含む場合がある。
【0018】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールは、(i)タイミングモジュールから受信した1つ以上のタイミング信号を修正し、および、(ii)1つ以上のレーダモジュールにて発生された1つ以上の修正済みタイミング信号を使用して、複数の出射レーダパルスの送信を誘発するように、構成される場合がある。
【0019】
いくつかの実施形態では、1つ以上の修正済みタイミング信号は、(a)共有クロック信号の周波数に1つ以上の周波数逓倍係数を掛けることによって、および/または、(b)共有クロック信号に関するプログラム可能な時間遅延を実装することによって、少なくとも部分的に生成される場合がある。
【0020】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、複数の到来レーダパルスのサブセットの1つ以上の複素信号と、相対位相シフトまたは相対周波数シフトとを合計することによって、複数のレーダモジュールのサブセットによって受信された複数の到来レーダパルスのサブセットをコヒーレントに結合するように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、相対位相シフトまたは相対周波数シフトは、複数のレーダモジュールの相対的な空間位置および/または相対的な空間配向の関数であり得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールは、プロセッサにレーダ信号の第2のセットを転送する前に、複数のレーダモジュールによって受信されたレーダ信号の第2のセットを較正するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールは、(i)レーダ信号の第2のセットに推定の較正パラメータに基づく補正を適用するように、または、(ii)レーダ信号の第2のセット関する推定の較正パラメータをプロセッサに提供するように、構成される場合がある。いくつかの実施形態では、推定の較正パラメータは、複数の到来レーダパルスのうちの2つ以上の到来レーダパルス間で観察された、位相、利得、遅延、および/またはバイアスにおける1つ以上の変動に由来し得る。いくつかの実施形態では、推定の較正パラメータは、複数のレーダモジュールの相対的な空間位置または相対的な空間配向に部分的に由来し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールは、複数のレーダモジュールによって受信されたレーダ信号の第2のセットの2つ以上の到来レーダパルス間の位相差を識別するために、複数のレーダモジュールに対して可視である既知の物体を使用して、レーダ信号の第2のセットを較正するように構成される場合がある。
【0023】
いくつかの実施形態では、位相情報は、レーダ信号の第2のセットの2つ以上の到来レーダパルスの間で観察される1つ以上の位相差を含む場合があり、ここで、(i)1つのレーダモジュール内の異なる受信アンテナによって、(ii)複数のレーダモジュールの異なるレーダモジュールによって、および/または、(iii)乗り物が異なる空間位置または配向にある時に、2つ以上の到来レーダパルスが受信される。
【0024】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、少なくとも(i)位相情報を使用して、占有グリッドを生成するように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、プロセッサは、(ii)複数のレーダモジュールの相対的な空間位置または配向を使用して、占有グリッドを生成するように、さらに構成される場合がある。いくつかの実施形態では、プロセッサは、占有グリッドを使用して、目標の特性を計算するように、さらに構成される場合がある。
【0025】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールは、(i)位相情報および(ii)タイムスタンプ情報を部分的に使用して、(a)信号の第2のセットから生の加工されていないデータを抽出するように、および、(b)コヒーレントな結合のためにプロセッサに対して生の加工されていないデータを提供するように、構成される場合がある。
【0026】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、少なくとも(i)位相情報を使用して、目標の特性を計算するように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、目標の特性は、形態、寸法、位置、配向、到来角、速度、加速度、およびレーダ断面から成る群から選択され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、レーダ信号の第1のセットは、第1のレーダモジュールによって送信される場合があり、および、レーダ信号の第2のセットは第2のレーダモジュールにて受信される場合がある。いくつかの実施形態では、レーダ信号の第2のセットは、第1のレーダモジュールによって送信され、周囲環境における少なくとも1つの物体から反射されるレーダ信号の第1のセットのサブセットに対応する場合がある。いくつかの実施形態では、第2のレーダモジュールは、第3のレーダモジュールにて受信されたレーダ信号の付加的な第2のセットとのコヒーレントな結合のためにプロセッサに対してレーダ信号の第2のセットを提供する前に、レーダ信号の第2のセットを前処理するように構成される場合がある。
【0028】
別の態様では、本開示は、レーダデータを分析するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、(a)(i)周波数発生器、(ii)タイミングモジュール、および、周波数発生器およびタイミングモジュールと通信状態にある複数のレーダモジュールを含む、レーダシステムを提供し得る。いくつかの実施形態では、周波数発生器は、ある基準周波数の基準周波数信号を発生させるように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、タイミングモジュールは、1つ以上のタイミング信号を発生させるように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、方法は、(b)複数のレーダモジュールにて基準周波数信号および1つ以上のタイミング信号を受信する工程をさらに含む場合がある。いくつかの実施形態では、方法は、(c)基準周波数信号および1つ以上のタイミング信号に少なくとも部分的に基づいて複数の出射レーダパルスを含むレーダ信号の第1のセットを送信するために、複数のレーダモジュールを使用する工程をさらに含む場合がある。いくつかの実施形態では、方法は、(d)複数のレーダモジュールにて周囲環境における少なくとも1つの物体から反射された複数の到来レーダパルスを含むレーダ信号の第2のセットを受信する工程をさらに含む場合がある。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも(i)レーダ信号の第2のセットに関連付けられる位相情報、および(ii)レーダ信号の第2のセットに関連付けられるタイムスタンプ情報を使用して、(a)レーダ信号の第2のセットをコヒーレントに結合させること、(b)目標の特性を計算すること、または、(c)占有率グリッドまたはレーダ像を生成することによって、複数のレーダモジュールからそれぞれ受信したレーダ信号の第2のセットを処理するためにプロセッサを使用する工程をさらに含む場合がある。
【0030】
いくつかの実施形態では、レーダシステムは、周波数発生器、タイミングモジュール、および複数のレーダモジュールを含む少なくとも1つの筐体を含む場合がある。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの筐体は、乗り物に載置可能であり得る。いくつかの実施形態では、乗り物は陸上の乗り物、空中の乗り物、または水の乗り物であり得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、周波数発生器は、予め定められるか実時間で調節可能である信号周波数をもつ正弦波、矩形波、三角波、または鋸波を含む波動信号を発生させるように構成された回路を含む場合がある。いくつかの実施形態では、回路は、水晶発振器、シンプルパッケージ水晶発振器、温度制御水晶発振器、電圧制御水晶発振器、周波数制御水晶発振器、オーブン制御水晶発振器、リング発振器、インダクターキャパシタ(LC)発振器、または抵抗キャパシタ(RC)発振器を含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールは、基準周波数に1つ以上の周波数逓倍係数を掛けるように構成される局部発振器を使用して、レーダ信号の第1のセットを発生させるように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、局部発振器は、整数N位相ロックループ、フラクショナルN位相ロックループ、または周波数逓倍器を含む場合がある。いくつかの実施形態では、局部発振器は、複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールに搭載されて実装される場合がある。いくつかの実施形態では、レーダモジュールは、レーダ送信機およびレーダ受信機を含む場合がある。
【0033】
いくつかの実施形態では、タイミングモジュールは、複数のレーダモジュールまたはプロセッサに1つ以上のタイミング信号を送信するように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、1つ以上のタイミング信号は、絶対時刻基準またはローカル時刻基準に基づいて生成される、共有クロック信号を含む場合がある。
【0034】
いくつかの実施形態では、タイミングモジュールは、複数のレーダモジュールまたはプロセッサに1つ以上のタイミング信号を送信するように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、1つ以上のタイミング信号は、プロセッサ、または複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールのために、1つ以上の別個のタイミング信号を含む場合がある。
【0035】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールは、1つ以上のタイミング信号に少なくとも部分的に基づいてレーダ信号の第1のセットの送信を誘発するように構成される場合がある。
【0036】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールは、プロセッサに複数の到来レーダパルスを転送する前に、1つ以上のタイミング信号に関連する1つ以上のタイムスタンプを用いて、レーダモジュールによってそれぞれ受信された複数の到来レーダパルスの少なくともサブセットを標識するように構成されたタイムスタンプ発生器を含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、(i)複数のレーダモジュールによって受信された複数の到来レーダパルスについて1つ以上のタイムスタンプを発生させるために、および、(ii)複数のレーダモジュールによって受信された複数の到来レーダパルスを日時でソートするために、タイミングモジュールによって発生される1つ以上のタイミング信号を使用するように構成される場合がある。
【0038】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、複数のレーダモジュールから受信される複数の到来レーダパルスを日時でソートするために、タイムスタンプ発生器によって生成された1つ以上のタイムスタンプを使用するように構成される場合がある。
【0039】
いくつかの実施形態では、タイミングモジュールは、複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールに1つ以上の別個のタイミング信号を送信する前に、複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールに対して1つ以上のタイミング信号を修正するように構成される場合がある。
【0040】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールは、(i)タイミングモジュールから受信した1つ以上のタイミング信号を修正するように、および、(ii)レーダモジュールにて発生された1つ以上の修正済みタイミング信号を使用して複数の出射レーダパルスの送信を誘発するように、構成される。
【0041】
いくつかの実施形態では、1つ以上の修正済みタイミング信号は、(a)共有クロック信号の周波数に1つ以上の周波数逓倍係数を掛けることにより、または(b)共有クロック信号に関するプログラム可能な時間遅延を実装することにより、少なくとも部分的に発生される場合がある。
【0042】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、複数の到来レーダパルスのサブセットの1つ以上の複素信号と、相対位相シフトまたは相対周波数シフトとを合計することによって、複数のレーダモジュールのサブセットによって受信された複数の到来レーダパルスのサブセットをコヒーレントに結合するように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、相対位相シフトまたは相対周波数シフトは、複数のレーダモジュールの相対的な空間位置または相対的な空間的配向の関数であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールは、プロセッサにレーダ信号の第2のセットを転送する前に、複数のレーダモジュールによって受信されたレーダ信号の第2のセットを較正するように構成される場合がある。
【0044】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールは、(i)レーダ信号の第2のセットに、推定の較正パラメータに基づく補正を適用するように、または、(ii)プロセッサへのレーダ信号の第2のセットに、推定の較正パラメータを提供するように、構成される場合がある。いくつかの実施形態では、推定の較正パラメータは、複数の到来レーダパルスのうちの2つ以上の到来レーダパルス間で観察された、位相、利得、遅延、またはバイアスにおける1つ以上の変動に部分的に由来する。いくつかの実施形態では、推定の較正パラメータは、複数のレーダモジュールの相対的な空間位置または相対的な空間配向に部分的に由来する場合がある。
【0045】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールは、複数のレーダモジュールによって受信されたレーダ信号の第2のセットの2つ以上の到来レーダパルス間の位相差を識別するために、複数のレーダモジュールに対して可視である既知の物体を使用して、レーダ信号の第2のセットを較正するように構成される場合がある。
【0046】
いくつかの実施形態では、位相情報は、レーダ信号の第2のセットの2つ以上の到来レーダパルスの間で観察される1つ以上の位相差を含む場合がある。いくつかの実施形態では、(i)1つのレーダモジュール内の異なる受信アンテナによって、(ii)複数のレーダモジュールの異なるレーダモジュールによって、または、(iii)乗り物が異なる空間位置または配向にある時に、2つ以上の到来レーダパルスが受信される場合がある。
【0047】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、少なくとも(i)前記位相情報を使用して、占有グリッドを生成するように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、プロセッサは、(ii)複数のレーダモジュールの相対的な空間位置または配向を使用して、占有グリッドを生成するように、さらに構成される場合がある。いくつかの実施形態では、プロセッサは、占有グリッドを使用して、目標の特性を計算するように、さらに構成される場合がある。
【0048】
いくつかの実施形態では、複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールは、(i)前記位相情報および(ii)前記タイムスタンプ情報を部分的に使用して、(a)信号の第2のセットから生の加工されていないデータを抽出するように、および、(b)コヒーレントな結合のためにプロセッサに対して生の加工されていないデータを提供するように、構成される場合がある。
【0049】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、少なくとも(i)位相情報を使用して、目標の特性を計算するように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、目標の特性は、形態、寸法、位置、配向、到来角、速度、加速度、およびレーダ断面から成る群から選択され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、レーダ信号の第1のセットは、第1のレーダモジュールによって送信され得、および、レーダ信号の第2のセットは第2のレーダモジュールにて受信される場合がある。いくつかの実施形態では、レーダ信号の第2のセットは、第1のレーダモジュールによって送信されるとともに、周囲環境における少なくとも1つの物体から反射されるレーダ信号の第1のセットのサブセットに対応する場合がある。いくつかの実施形態では、第2のレーダモジュールは、第3のレーダモジュールに受信されたレーダ信号の付加的な第2のセットとのコヒーレントな結合のためにプロセッサに対してレーダ信号の第2のセットを提供する前に、レーダ信号の第2のセットを前処理するように構成される場合がある。
【0051】
本開示の別の態様は、1つ以上のコンピュータープロセッサによって実行されるとき、上記または本明細書の他の箇所に記載の方法のいずれかを実装する、機械実行可能なコードを含む非一時的なコンピュータ可読媒体を提供する。
【0052】
本開示の別の態様は、1つ以上のコンピュータープロセッサおよびコンピュータメモリを含むシステムを提供し、前記1つ以上のコンピュータープロセッサおよびコンピュータメモリは、前記システムに結合されている。コンピュータメモリは、1つ以上のコンピュータープロセッサによって実行されるときに上記または本明細書の他の箇所に記載の方法のいずれかを実施する、機械実行可能なコードを含む。
【0053】
本開示のさらなる態様および利益は、以下の詳細な説明から、当業者に容易に明らかとなり、ここでは、本開示の例示的な実施形態のみが示され、記載される。以下の記載から分かるように、本開示は他のおよび異なる実施形態であってもよく、そのそれぞれの詳細は、全てが本開示から逸脱することなく、様々な明白な点において修正が可能である。それに応じて、図面と記載は自然界で例示的なものであり、かつ限定的ではないと見なされるものとする。
【0054】
参照による組み込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に指示される程度に、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に包含される開示に矛盾して、参照によって組み込まれた刊行物および特許または特許出願については、本明細書は、そのように矛盾した資料のいずれに対しても取って代わり、および/または、優先するように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
発明の新規の特徴は、添付の請求項において具体的に示されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的実施形態を示す以下の詳細な説明、および添付の図面(本明細書では「図面」および「図」ともいう)を参照することによって得られるだろう。
【0056】
図1】いくつかの実施形態による、デーダデータを処理するためのシステムを概略的に例示する。
図2】いくつかの実施形態による、複数のレーダモジュールのサブセットからのレーダデータを処理するように構成されたシステムを概略的に例示する。
図3】本明細書において提供される方法を実施するようにプログラムまたは構成されるコンピュータシステムを概略的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の様々な実施形態が本明細書中に示され記述される一方で、そのような実施形態が一例としてしか提供されていないことは当業者にとって明白だろう。多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく当業者に想到されることもある。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、利用されることもあることを理解されたい。
【0058】
「少なくとも(at least)」、「より大きい(greater than)」、「以上(greater than or equal to)」という用語が2つ以上の数値列の最初の数値の前にある時は常に、「少なくとも」、「より大きい」、「以上」という用語は、その数値列の各数値に適用される。例えば、1、2、または3以上は、1以上、2以上、または3以上と同等である。
【0059】
「以下(no more than)」、「未満(less than)」、「以下(less than or equal to)」という用語が2つ以上の数値列の最初の数値の前にある時は常に、「以下(no more than)」、「未満」、「以下(less than or equal to)」という用語は、その数値列の各数値に適用される。例えば、3、2、または1以下は、3以下、2以下、または1以下と同等である。
【0060】
一態様では、本開示は、レーダデータを分析するためのシステムを提供する。システムは:基準周波数信号を発生させるように構成された周波数発生器、1つ以上のタイミング信号を発生させるように構成されたタイミングモジュール、および、周波数発生器およびタイミングモジュールと通信状態にある複数のレーダモジュールを含み得る。複数のレーダモジュールは、(i)基準周波数信号および1つ以上のタイミング信号を受信し、(ii)(a)基準周波数信号および(b)1つ以上のタイミング信号上に少なくとも部分的に基づく複数の出射レーダパルスを含むレーダ信号の第1のセットを送信し、および、(iii)周囲環境における少なくとも1つの物体から反射された複数の到来レーダパルスを含むレーダ信号の第2のセットを受信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、システムは、少なくとも(i)レーダ信号の第2のセットに関連付けられる位相情報、および(ii)レーダ信号の第2のセットに関連付けられるタイムスタンプ情報を使用して、(a)レーダ信号の第2のセットをコヒーレントに結合させること、(b)目標の特性を計算すること、または、(c)占有グリッドまたはレーダ像を生成すること、によって、複数のレーダモジュールからそれぞれ受信したレーダ信号の第2のセットを集約および処理するように構成されたプロセッサをさらに含み得る。
【0061】
システムは乗り物での使用のために構成される場合がある。乗り物は自己運転の、または自律型の乗り物であり得る。乗り物は、生きている主体(動物(例えば、人間))によって作動している場合がある。乗り物は、静止している、動いている、または運動の能力を有している場合がある。乗り物は、いかなる適切な陸上の乗り物、空中の乗り物、または水の乗り物であってもよい。陸上の乗り物は、地面にわったって、または地面に対して例えば、1メートル、2メートル、3メートル以内などのごく近傍で、移動するための、自動車両、または、(例えば、太陽光、熱、電気、風、石油などの)再生可能あるいは再生不可能なエネルギー源を使用するどのような他の乗り物でもよい。空中の乗り物は、空中、または宇宙を通って移動するための、自動車両、または(太陽光、熱、電気的、風、石油などの)再生可能あるいは再生不可能なエネルギー源を使用するどのような他の乗り物でもよい。水の乗り物は、水にわたって、または水を通って移動するための、自動車両、または(太陽光、熱、電気的、風、石油などの)再生可能あるいは再生不可能なエネルギー源を使用するどのような他の乗り物でもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、乗り物は陸地限定の乗り物であり得、および、陸地にわたって移動し得る。代替的に、または付加的に、乗り物は空中、水上または水中、地下、空中、および/または宇宙において、移動する能力を有し得る。乗り物は、自動車であり得る。乗り物は、陸地限定の乗り物、船舶、航空機、および/または宇宙船であり得る。乗り物は、平面上で自由に移動し得る。乗り物は、2以上の次元の中で自由に移動し得る。乗り物は、主として1つ以上の道路を走行し得る。場合により、本明細書に記載されるような乗り物は、空中または宇宙において作動する能力を有し得る。例えば、乗り物は、飛行機またはヘリコプタであり得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、乗り物は無人の乗り物であり得、人間の操作者を必要とせずに作動する場合がある。いくつかの実施形態では、乗り物は、乗客または操作者をまったく搭乗させない場合がある。いくつかの実施形態では、乗り物は、乗客が乗る場合がある宇宙を含み得る。いくつかの実施形態では、乗り物は、積荷または物体のための空間を含み得る。いくつかの実施形態では、乗り物は、該乗り物が環境と相互作用する(例えば、サンプルを収集する、物体を動かすなど)ことを可能にするツールを含む場合がある。いくつかの実施形態では、乗り物は、周囲環境に物を放出する(例えば、光、音、液体、および/または殺虫剤)ためのツールを含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、乗り物は、自律型または半自律型の乗り物であり得る。自律型の乗り物は、無人の乗り物であり得る。自律型の乗り物は、乗客または操作者を乗せている場合も、乗せていない場合もある。自律型の乗り物は、乗客が乗ってもよい空間を有する場合も、有さない場合もある。自律型の乗り物は、乗り物によって運ばれる積荷または物のための空間を有する場合も、有さない場合もある。自律型の乗り物は、該乗り物が環境と相互作用する(例えば、サンプルを収集する、物を動かすなど)ことを可能にするツールを有する場合も、有さない場合もある。自律型の乗り物は、環境に対して分散させるように放出するための物(例えば、光、音、液体、殺虫剤など)を有する場合も、有さない場合もある。自律型の乗り物は、人間の操作者を必要とせずに作動する場合がある。自律型の乗り物は、完全自律型の乗り物および/または一部自律型の乗り物であり得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、乗り物は、1人以上の乗客が搭乗することを許す場合がある。乗り物は、1人以上の乗客が乗り物に乗るための空間を含む場合がある。乗り物は、1人以上の乗客のための空間を備えた内部キャビンを有し得る。乗り物には乗り物の運転手のための空間を有し得る。いくつかの実施形態では、乗り物は、人間の操作者によって運転される機能を有し得る。代替的に、または付加的に、乗り物は、自動運転システムを使用して作動される場合がある。
【0066】
いくつかの実施形態では、乗り物は、人間の運転手が乗り物を運転し得るマニュアル運転モードと、自動制御装置が人間の運転手の介入を必要とせずに乗り物を作動させる信号を発生させ得る自動運転モードとの間で、切り替わる場合がある。いくつかの実施形態では、乗り物は、運転手が主として手動で乗り物を操縦し得るが、乗り物は一定の自動化手順を実行するか又は一定の手順を実行して運転手を支援し得る場面で(例えば、車線変更、合流、駐車、自動制動)運転手に支援を提供する場合がある。いくつかの実施形態では、乗り物は、ディフォルトの操作モードを有し得る。例えば、マニュアル運転モードがディフォルトの操作モードであっても、自動運転モードがディフォルトの操作モードであってもよい。
【0067】
システムは、周囲環境における1つ以上の目標を検知および/または分類するように構成される場合がある。対象の検知は乗り物の近辺における対象の存在を識別することを含んでいる場合がある。目標を分類することは、目標が静止しているか動いているかを判断すること、および/または、目標が乗り物の運動の経路を妨害するか、または部分的に妨害するように、配置されているか否かを判断することを含み得る。目標は、乗り物の外部のいかなるものでもあり得る。目標は、生物でも無生物でもあり得る。目標は、歩行者、動物、乗り物、建物、標識柱、歩道、歩道縁石、フェンス、木、または、所与の方向において移動する乗り物を妨害し得るいかなるものでもあり得る。目標は、静止している、動いている、または運動の能力を有している場合がある。
【0068】
目標は、乗り物の前方、後方、または側方に位置確認され得る。目標は、乗り物から、少なくとも約1メートル(m)、2m、3m、4m、5m、10m、15m、20m、25m、50m、75m、または100mの範囲内の位置にあり得る。目標は、地上、水中、または空中で位置確認され得る。目標は、当該乗り物の動作経路上、またはその付近で位置確認され得る。目標は、乗り物に対していかなる方向にも配向され得る。目標は、乗り物に対向して配向され配向される場合がある。または、0から約360度に及ぶ角度で乗り物から逸らされて配向され得る。場合により、目標は、陸上の乗り物の外部の複数の目標を含み得る。
【0069】
目標は、測定または検知され得る空間の配置または特徴を有し得る。空間配置情報は、当該陸上の乗り物に対する位置、速度、加速度、および/または、目標の他の運動学的特性に関する情報を含む場合がある。目標の特徴は、目標の寸法、形態、配向、および/または材料特性についての情報を含む場合がある。材料特性は、目標の反射率またはレーダ断面を含む場合がある。場合によっては、目標の特徴は、乗り物に対する目標の到来角の測定を含む場合がある。到来角は、目標から反射され、乗り物にて受信される到来レーダ信号に関連付けられる仰角および/または方位角に対応する場合がある。
【0070】
いくつかの実施形態では、目標は、少なくとも0.2メートルの寸法を有する場合があり、陸上の乗り物の側面方向にあり得、また、陸上の乗り物から少なくとも約1メートルにあり得る。いくつかの実施形態では、目標は、少なくとも0.2メートルの寸法を有する場合があり、陸上の乗り物の前方または後方にあり得、また、陸上の乗り物から少なくとも約1メートルにあり得る。
【0071】
周囲環境は乗り物が作動し得る場所および/または環境であり得る。周囲環境は、屋内または屋外空間であり得る。周囲環境は、都市、郊外、田舎の環境であり得る。周囲環境は、高高度または低高度の環境であり得る。周囲環境は、視程不良(夜間、激しい降水、霧、空気中の微粒子)である環境を含み得る。周囲環境は、乗り物の走行経路上にある目標を含む場合がある。周囲環境は、乗り物の走行経路の外側にある目標を含む場合がある。
【0072】
図1は、レーダデータを処理するためのシステム(100)の例を図示する。システム(100)は、周波数発生器(110)、タイミングモジュール(120)、および、複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)など、n番目のレーダモジュール(130-n)まで、含む場合があり、ここで、nは3を超える任意の整数であり得る。場合により、nは、4、5、6、7、8、9、10以上であり得、または10を超えてもよい。周波数発生器(110)およびタイミングモジュール(120)は、複数のレーダモジュールに動作可能に結合され得、および該複数のレーダモジュールと通信状態にあり得る。複数のレーダモジュールの各レーダモジュールは、周波数発生器によって発生された基準周波数信号、および共有クロック信号の少なくとも1つ、または、タイミングモジュールによって発生されたタイミング信号に基づいて、信号の第1のセットを送信するように構成される場合がある。本明細書に記載された実施形態のいずれかにおいて、タイミング信号は共有クロック信号を含む場合がある。いくつかの例では、タイミング信号は共有クロック信号に対応する(または関連付けられる)場合がある。代替的に、本明細書に記載された実施形態のいずれでも、共有クロック信号およびタイミング信号は、2つの異なる又は別個の信号であり得る。タイミング信号は、単一のタイミング信号、または複数のタイミング信号として提供される場合がある。場合によっては、複数のタイミング信号のうちの2つ以上のタイミング信号は、異なり得る。信号の第1のセットは、複数の出射レーダパルス(105)を含む場合がある。複数のレーダモジュールの各レーダモジュールは、周囲環境における目標(102)から反射された信号の第2のセットを受信するように構成される場合がある。信号の第2のセットは、複数のレーダモジュールの各レーダモジュールから送信された信号の第1のセットのサブセットであり得、および、目標(102)と相互作用する信号の第1のセットのサブセットおよび/または目標(102)から離れて反射する信号の第1のセットのサブセットに基づいて発生され得る。信号の第2のセットは、複数の到来レーダパルス(106)を含む場合がある。システム(100)は、複数のレーダモジュールの各レーダモジュールと動作可能に結合され且つ通信状態にあるプロセッサ(140)をさらに含み得る。複数のレーダモジュールの各々は、レーダ信号の第2のセット、および/または、複数のレーダモジュールの各々によってそれぞれ受信された複数の到来レーダパルス(106)を、プロセッサ(140)に提供するように構成される場合がある。プロセッサ(140)は、少なくとも(i)レーダ信号の第2のセットに関連付けられる位相情報、および(ii)レーダ信号の第2のセットに関連付けられるタイムスタンプ情報を使用して、(a)レーダ信号の第2のセットをコヒーレントに結合させること、(b)目標の特性を計算すること、または、(c)占有グリッドまたはレーダ像を生成すること、によって、複数のレーダモジュールからそれぞれ受信したレーダ信号の第2のセットを集約および処理するように構成され得る。場合によっては、プロセッサ(140)は、周波数発生器(110)およびタイミングモジュール(120)に動作可能に結合され得、およびそれらの周波数発生器(110)およびタイミングモジュール(120)と通信状態にあり得る。そのような場合、プロセッサ(140)は、周波数発生器(110)およびタイミングモジュール(120)にフィードバックデータを提供するように構成され得る。周波数発生器(110)およびタイミングモジュール(120)は、プロセッサ(140)からフィードバックデータを受信するように構成される場合がある。フィードバックデータは、プロセッサ(140)によって複数のレーダモジュールから受信されたレーダ信号の第2セットに部分的に由来する1つ以上の信号を含む場合がある。周波数発生器(110)およびタイミングモジュール(120)は、基準周波数信号、共有クロック信号、および/または複数のタイミング信号の1つのタイミング信号を調節、補正、および/または修正するために、プロセッサ(140)からのフィードバックデータを使用するように構成される場合がある。
【0073】
システムは、周波数発生器を含む場合がある。周波数発生器は、基準周波数信号を発生させるように構成される場合がある。基準周波数信号は、ある基準周波数をもつ波動信号であり得る。波動信号は、正弦波、矩形波、三角波、鋸波、またはその任意の結合を含み得る。場合によっては、基準周波数は予め定められた基準周波数であり得る。他の場合では、基準周波数は、1つ以上のレーダ信号が複数のレーダモジュールによって受信および/または送信されるとき、修正され得るか又は実時間において調節可能であり得る。
【0074】
周波数発生器は、ある基準周波数をもつ基準周波数信号を発生させるように構成された回路を含み得る。回路は水晶発振器、シンプルパッケージ水晶発振器、温度制御水晶発振器、電圧制御水晶発振器、周波数制御水晶発振器、オーブン制御水晶発振器、リング発振器、インダクターキャパシタ(LC)発振器、または抵抗キャパシタ(RC)発振器を含み得る。
【0075】
周波数発生器は、予め定められた基準周波数をもつ基準周波数信号を発生させるように構成される場合がある。予め定められた基準周波数は、少なくとも約1ヘルツ(Hz)、10Hz、100Hz、1キロヘルツ(kHz)、10kHz、100kHz、1メガヘルツ(MHz)、10MHz、100MHz、1ギガヘルツ(GHz)、10GHz、100GHz、200GHz、300GHzであり得、あるいはさらに大きい場合がある。予め定められた基準周波数は、約1ヘルツ(Hz)と約300ギガヘルツ(GHz)との間の任意の周波数であり得る。場合によっては、予め定められた基準周波数は、1メガヘルツ(MHz)、40MHz、または4ギガヘルツ(GHz)であり得る。予め定められた基準周波数は、1つ以上の出射レーダパルスの周波数よりも、および/または1つ以上の到来レーダパよりも、低い周波数であり得る。
【0076】
場合によっては、周波数発生器は予め定められたのではない基準周波数をもつ基準周波数信号を発生するように構成され得る。例えば、基準周波数は予め定められた基準周波数を、プロセッサからのフィードバックデータに基づいて実時間で調節する(例えば、増加および/または減少させる)ことにより発生される場合がある。フィードバックデータは、複数のレーダモジュールによって受信されたレーダ信号の第2セットに部分的に由来する1つ以上の信号を含む場合がある。周波数発生器は、参照周波数を調節、補正、および/または修正するために、プロセッサからのフィードバックデータを使用するように構成される場合がある。
【0077】
周波数発生器は、各々の複数のレーダモジュールの各々と通信状態にあり得る。周波数発生器は、有線接続または無線接続を介して複数のレーダモジュールと通信状態にあり得る。有線接続は、同軸ケーブル、導波路、またはツイストペアケーブルを含む、送信媒体であり得る。無線接続は、周波数発生器および/または複数のレーダモジュールの、中へと組み込まれた、および/または内部にある、接続ハードウェアを使用して確立される域内接続であり得る。接続ハードウェアは、無線発信機、無線受信機、アンテナ、および/または、周波数発生器および/または複数のレーダモジュールが基準周波数信号を処理、送信、または受信するのを可能にするように構成された他のハードウェアを含む場合がある。
【0078】
周波数発生器は、複数のレーダモジュールの各々に基準周波数信号を提供および/または分配するように構成される場合がある。基準周波数信号は、無線接続、有線接続(例えば、同軸ケーブル、導波路、および/またはツイストペアケーブル)、または本明細書に開示される他の電気的あるいは電磁気的送信媒体によって、周波数発生器から複数のレーダモジュールの各々に分配され得る。基準周波数信号は、レーダ信号の第1のセットを発生させるために、複数のレーダモジュールの各々によって使用され得る。
【0079】
場合によっては、周波数発生器は、1つ以上の基準周波数信号を含む複数の基準周波数信号を発生させるように構成される場合がある。1つ以上の基準周波数信号は同一である場合も、同一ではない場合もある。周波数発生器は、複数のレーダモジュールの各々に、複数の基準周波数信号の1つの基準周波数信号を提供および/または分配するように構成され得る。場合によっては、複数の基準周波数信号が1つ以上の別個の基準周波数信号を含む場合がある。そのような場合、周波数発生器は、複数のレーダモジュールの各々に別個の基準周波数信号を提供および/または分配するように構成される場合がある。1つ以上の別個の基準周波数信号が、有線接続または無線接続によって、周波数発生器から複数のレーダモジュールの各々に分配され得る。それぞれのレーダ信号の第1のセットを発生させるために、複数のレーダモジュールの各レーダモジュールによって、1つ以上の別個の基準周波数信号が使用され得る。
【0080】
システムは、タイミングモジュールを含む場合がある。タイミングモジュールは、(a)共有クロック信号または(b)複数のタイミング信号の少なくとも1つを発生させるように構成され得る。本明細書に記載された実施形態のいずれかにおいて、複数のタイミング信号は共有クロック信号を含む場合がある。いくつかの例では、複数のタイミング信号の1つのタイミング信号は、共有クロック信号に対応する(または関連付けられる)場合がある。代替的に、本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、共有クロック信号、および複数のタイミング信号は、異なる又は別個のタイプの信号であり得る。タイミングモジュールは、絶対時刻基準(例えば、GPSタイムレシーバ)またはローカル時刻基準(例えば、水晶発振器、シンプルパッケージ水晶発振器、温度制御水晶発振器、電圧制御水晶発振器、周波数制御水晶発振器、オーブン制御水晶発振器、リング発振器、インダクターキャパシタ(LC)発振器、または、抵抗キャパシタ(RC)発振器)に基づいて、共有クロック信号および/または複数のタイミング信号を発生させるように構成される場合がある。
【0081】
タイミングモジュールは、1つ以上のタイミング信号を発生させるように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、1つ以上のタイミング信号は、本明細書の別の箇所に記載されるような共有クロック信号を含む場合がある。代替的に、共有クロック信号は、1つ以上のタイミング信号とは異なるか、または別個であり得る。共有クロック信号は、プロセッサおよび/または複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールによって、共有される、および/または利用可能な、クロック信号であり得る。共有クロック信号は、クロック周波数にて、高状態と低状態との間で振れる波動信号(例えば、矩形波)であり得る。共有クロック信号のクロック周波数は、予め定められたクロック周波数である場合も、予め定められたクロック周波数ではない場合もある。
【0082】
場合によっては、共有クロック信号は、予め定められたクロック周波数を有し得る。予め定められたクロック周波数は、少なくとも約1ヘルツ(Hz)、10Hz、100Hz、1キロヘルツ(kHz)、10kHz、100kHz、1メガヘルツ(MHz)、10MHz、100MHz、1ギガヘルツ(GHz)、10GHz、100GHz、200GHz、300GHzであり得、あるいはさらに大きい場合がある。予め定められたクロック周波数は、約1ヘルツ(Hz)と約300ギガヘルツ(GHz)との間の任意の周波数であり得る。
【0083】
場合によっては、共有クロック信号のクロック周波数は予め定められるのではない場合がある。例えば、共有クロック信号は、予め定められたクロック周波数をプロセッサからのフィードバックデータに基づいて実時間で調節することにより発生される場合がある。フィードバックデータは、複数のレーダモジュールによって受信されたレーダ信号の第2セットに部分的に由来する1つ以上の信号を含む場合がある。タイミングモジュールは、共有クロック信号のクロック周波数を調節、補正、および/または修正するために、プロセッサからのフィードバックデータを使用するように構成される場合がある。
【0084】
タイミングモジュールは、複数のレーダモジュールのうちの1つ以上のレーダモジュールに共有クロック信号を提供および/または分配するように構成され得る。場合によっては、共有クロック信号は、レーダ信号の第1のセットの送信を誘発および/または開始するために、複数のレーダモジュールの各々によって使用され得る。レーダ信号の第1のセットは、異なる時間および/または異なるパルス繰返し周波数にて送信される場合がある。パルス繰り返し周波数は、レーダモジュールが1つ以上の連続の出射レーダパルスを繰り返し送信するレートであり得る。他の場合では、複数のレーダモジュールの個々のレーダモジュールによって受信された複数の到来レーダパルスを日時順に並べるために、共有クロック信号が使用され得る。複数の到来レーダパルスを日時順に並べることは、複数のレーダモジュールの各々によって受信された複数の到来レーダパルスの各到来レーダパルスに1つ以上のタイムスタンプを標識付ける、および/または割り当てることを含み得る。1つ以上のタイムスタンプは、1つ以上の到来レーダパルスが複数のレーダモジュールの各々によって受信される時間に対応する場合がある。1つ以上のタイムスタンプは、部分的に共有クロック信号に基づいて発生される場合がある。
【0085】
タイミングモジュールは、1つ以上のタイミング信号を含む複数のタイミング信号を発生させるように構成される場合がある。場合によっては、複数のタイミング信号が、共有クロック信号あるいは複数の共有クロック信号に少なくとも部分的に基づいて発生され得る。他の場合では、複数のタイミング信号が、共有クロック信号から独立して発生され得る。そのような場合、複数のタイミング信号は、共有クロック信号または複数の共有クロック信号を使用して発生される必要はない。複数のタイミング信号は、複数のレーダモジュールの2つ以上のレーダモジュールのために2つ以上のタイミング信号を含む場合がある。2つ以上のタイミング信号は、互いに同一であっても、同一でなくてもよい。
【0086】
タイミングモジュールによって生成された複数のタイミング信号は、1つ以上の別個のタイミング信号を含む場合がある。そのような場合、複数のレーダモジュールの異なるレーダモジュールは、異なる、または別個のタイミング信号を受信し得る。1つ以上別個のタイミング信号は、本質的に、互いに類似していても、類似していなくてもよい。1つ以上の別個のタイミング信号は、1つ以上のクロック周波数において、ハイ状態とロー状態との間で振れる1つ以上の波動信号(例えば、正弦波、矩形波、三角形波、あるいは鋸波)を含み得る。場合によっては、1つ以上のクロック周波数は、予め定められたクロック周波数であり得る。他の場合では、1つ以上のクロック周波数は、1つ以上のレーダ信号が複数のレーダモジュールによって受信および/または送信されるとき、修正され得るか又は実時間において調節可能であり得る。
【0087】
1つ以上の別個のタイミング信号は、1つ以上の予め定められたクロック周波数を有し得る。1つ以上の予め定められたクロック周波数は、少なくとも、約1ヘルツ(Hz)、10Hz、100Hz、1キロヘルツ(kHz)、10kHz、100kHz、1メガヘルツ(MHz)、10MHz、100MHz、1ギガヘルツ(GHz)、10GHz、100GHz、200GHz、300GHz、あるいは、さらに大きい周波数であり得る。予め定められたクロック周波数は、約1ヘルツ(Hz)と約300ギガヘルツ(GHz)との間の任意の周波数であり得る。
【0088】
場合によっては、複数のタイミング信号の1つ以上の別個のタイミング信号は、予め定められない1つ以上のクロック周波数を有し得る。そのような場合、タイミングモジュールは、1つ以上の別個のタイミング信号の1つ以上のクロック周波数を実時間で調節、補正、および/または修正するために、プロセッサからのフィードバックデータを使用するように構成され得る。フィードバックデータは、複数のレーダモジュールによって受信されたレーダ信号の第2のセットに部分的に由来する1つ以上の信号を含む場合がある。
【0089】
タイミングモジュールは、複数のレーダモジュールで発生された複数のタイミング信号の少なくともサブセットを修正することにより、1つ以上の別個のタイミング信号を発生させるように構成される場合がある。場合によっては、1つ以上の別個のタイミング信号を発生させることは、複数のレーダモジュールの別のレーダモジュールのための別のタイミング信号に関して1つのレーダモジュールのためのタイミング信号を遅らせることを含み得る。例えば、タイミングモジュールは第1のレーダモジュールによるレーダ信号の第1のセットの送信を誘発するために使用され得る第1の別個のタイミング信号を発生させるように構成される場合がある。タイミングモジュールは、第1のタイミング信号に関して時間遅延を実施することにより、第2の別個のタイミング信号を発生させるようにさらに構成される場合がある。第2の別個のタイミング信号は、第2のレーダモジュールによる別のレーダ信号の第1のセットの送信を誘発するために使用されてもよい。第1のレーダモジュールおよび第2のレーダモジュールは、異なる時間にレーダ信号のそれぞれの第1のセットを送信するために第1の別個のタイミング信号および第2の別個のタイミング信号を使用するように構成される場合がある。場合によっては、1つ以上の別個のタイミング信号は、複数のタイミング信号の1つのタイミング信号のクロック周波数を修正することにより発生され得る。例えば、レーダモジュールのための別個のタイミング信号は、別のレーダモジュールのための別のタイミング信号のクロック周波数に周波数逓倍係数を掛けることによって発生されてもよい。そのような場合、第1のレーダモジュールおよび第2のレーダモジュールは、異なるパルス繰返し周波数でレーダ信号のそれぞれの第1のセットを送信するために第1の別個のタイミング信号および第2の別個のタイミング信号を使用するように構成され得る。
【0090】
タイミングモジュールは、プロセッサおよび複数のレーダモジュールの各々と通信状態にあり得る。タイミングモジュールは、有線接続または無線接続を介してプロセッサおよび複数のレーダモジュールの各々と通信状態にあり得る。タイミングモジュールは、同軸ケーブル、導波路、ツイストペアケーブル、または本明細書に開示したいずれかの他の電気的または電磁気的送信媒体によって、プロセッサおよび/または複数のレーダモジュールに複数のタイミング信号を送信するように構成される場合がある。
【0091】
タイミングモジュールは、複数のレーダモジュールの各々に1つ以上の別個のタイミング信号を含む複数のタイミング信号を提供するように構成される場合がある。場合によっては、1つ以上の別個のタイミング信号は、レーダ信号の第1のセットの送信を誘発および/または開始するために、複数のレーダモジュールの各々によって使用され得る。レーダ信号の第1のセットは、異なる時間および/または異なるパルス繰返し周波数にて送信される場合がある。他の場合では、複数のレーダモジュールの個々のレーダモジュールによって受信された複数の到来レーダパルスを日時順に並べるために、1つ以上の別個のタイミング信号が使用され得る。複数の到来レーダパルスを日時順に並べることは、複数のレーダモジュールの各々によって受信された複数の到来レーダパルスの各到来レーダパルスに1つ以上のタイムスタンプを標識付ける、および/または割り当てることを含み得る。1つ以上のタイムスタンプは、1つ以上の到来レーダパルスが複数のレーダモジュールの各々によって受信される時間に対応する場合がある。1つ以上のタイムスタンプは、複数のタイミング信号の1つ以上の別個のタイミング信号に部分的に基づいて発生される場合がある。
【0092】
場合によっては、タイミングモジュールは、全地球型衛星航法システム(GNSS)受信器、全地球測位システム(GPS)受信器、慣性計測ユニット(IMU)、または光検知測距(ライダー)ユニットなどの1つ以上の付加的なセンサと通信状態にあり得る。1つ以上の付加的なセンサは、有線接続または無線接続を介してタイミングモジュールと通信状態にあり得る。そのような場合、タイミングモジュールは、1つ以上の追加センサに対して共有クロック信号および/または複数のタイミング信号を送信するように構成され得る。
【0093】
システムは、複数のレーダモジュールを含む場合がある。複数のレーダモジュールは、1つのレーダモジュールを含む場合がある。レーダモジュールは、レーダ送信機および/またはレーダ受信機を含む場合がある。レーダ送信機は、送信アンテナを含む場合がある。レーダ受信機は、受信アンテナを含む場合がある。送信アンテナは、電気的信号を電磁波に変換することができ、および電磁波を送信することができるいかなるアンテナ(ダイポール、指向性、パッチ、セクター、八木、パラボラ、グリッド)であってもよい。受信アンテナは、電磁波を受信することができ、および電波放射を波動する電気信号へと変換することができるいかなるアンテナ(ダイポール、指向性、パッチ、セクター、八木、パラボラ、グリッド)であってもよい。場合によっては、レーダモジュールは、1つ以上の送信アンテナおよび/または1つ以上の受信アンテナを含む場合がある。場合によっては、レーダモジュールは、複数のRXおよび/またはTXチャネルを有する場合がある。レーダモジュールは、周囲環境における1つ以上の目標を検知するために使用される場合がある。
【0094】
複数のレーダモジュールは、周波数発生器およびタイミングモジュールと通信状態にあり得る。複数のレーダモジュールは、有線接続または無線接続を介して周波数発生器およびタイミングモジュールと通信状態にあり得る。複数のレーダモジュールの各レーダモジュールは、周波数発生器からの基準周波数信号を受信するように構成される場合がある。複数のレーダモジュールの各レーダモジュールは、少なくとも1つ共有クロック信号またはタイミングモジュールによって発生された複数のタイミング信号の1つのタイミング信号をタイミングモジュールから受信するようにさらに構成される場合がある。場合によっては、タイミング信号は、本明細書の別の箇所に記載されるような別個のタイミング信号を含み得る。
【0095】
複数のレーダモジュールの各レーダモジュールは、複数の出射レーダパルスを含むレーダ信号の第1のセットを送信するように構成される場合がある。複数の出射レーダパルスは、1つのレーダパルスを含む場合がある。レーダパルスは、約1ヘルツ(Hz)から約300ギガヘルツ(GHz)にわたる周波数範囲内でレーダモジュールによって送信されるどんな電磁波または信号であってもよい。場合によっては、複数の出射レーダパルスは、24GHz、60GHz、または79GHzの周波数を有し得る。
【0096】
複数のレーダモジュールの各レーダモジュールは、周波数発生器によって発生され及び周波数発生器から受信された基準周波数信号に部分的に基づいて、レーダ信号の第1のセットを発生させるように構成される場合がある。例えば、複数のレーダモジュールは、基準周波数信号に関する基準周波数に1つ以上の周波数逓倍係数を掛けることによってレーダ信号の第1のセットを発生させるように構成される場合がある。
【0097】
場合によっては、複数のレーダモジュールは、部分的に局部発振器を使用することにより、それぞれのレーダ信号の第1のセットを発生させるように構成される場合がある。局部発振器は、基準周波数に1つ以上の周波数逓倍係数を掛けるように構成される場合がある。1つ以上の周波数逓倍係数は、約1000000以下、100000以下、10000以下、9000以下、8000以下、7000以下、6000以下、5000以下、4000以下、3000以下、2000以下、1000以下、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下、300以下、200以下、100以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下、0.75以下、0.67以下、0.5以下、0.33以下、0.25以下、0.2以下、0.1以下、またはそれ未満であり得る。場合によっては、1つ以上の周波数逓倍係数は、少なくとも約1.0、1.25、1.5、1.75、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、100000またはそれ以上であり得る。局部発振器は、整数N位相ロックループ、フラクショナルN位相ロックループ、または周波数逓倍器であり得る。
【0098】
場合によっては、局部発振器は、複数のレーダモジュールの各々に搭載され得る。そのような場合、局部発振器は、複数のレーダモジュールの各々のレーダ送信機および/またはレーダ受信機と同じ基板またはチップ上に実装され得る。他の場合では、局部発振器は、複数のレーダモジュールに対して遠隔に位置し、かつ有線接続または無線接続経由で複数のレーダモジュールと通信状態にあり得る。局部発振器は、複数のレーダモジュールのために共通の局部発振器として作動するように構成される場合がある。例えば、複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュール上に実装された局部発振器は、複数のレーダモジュールの別のレーダモジュールために局部発振器として作動するように構成される場合がある。
【0099】
複数のレーダモジュールは、レーダ信号の第1のセットおよび/または複数の出射レーダパルスを送信する前に、レーダ信号の第1のセットおよび/または複数の出射レーダパルスを変調するように構成される場合がある。変調は、部分的に変調信号を使用することにより、レーダ信号の第1のセットの1つ以上の特性(例えば、周波数、位相、遅延、および/または振幅)を変更することを含み得る。場合によっては、変調信号は、基準周波数信号、共有クロック信号、および/またはタイミングモジュールによって生成された複数のタイミング信号の1つのタイミング信号であり得る。他の場合では、変調信号は、複数のレーダモジュールの各々の局部発振器(例えば、整数N位相ロックループ、フラクショナルN位相ロックループ、または周波数逓倍器)によって発生されるどんな信号であってもよい。局部発振器は、複数のレーダモジュールの各々に、オンボードで実装されても、されなくてもよい。変調は、1つ以上の変調スキームを使用して実行され得る。1つ以上の変調スキームは、振幅変調、両側波帯変調、単側波帯変調、残留側波帯変調、直角位相、直交振幅変調、角度変調、周波数変調、位相変調、転置変調、パルス振幅変調、ウェーブレット変調、フラクタル変調、位相偏移キーイング、周波数偏移変調、振幅シフト・キーイング、二進移相変調、横軸位相偏移変調、ディファレンシャル横軸位相偏移変調、オフセット横軸位相偏移変調、最小偏位変調、ガウス最小偏位変調、および/または、その任意の組合せを含み得る。場合によっては、1つ以上の変調スキームは、チャープスペクトル拡散、直接シーケンスス・ペクトル拡散、周波数ホッピングスペクトル拡散、および/または、タイムホッピングスペクトル拡散などの、1つ以上のスペクトル拡散技術を実装する場合がある。他の場合では、1つ以上の変調スキームは、空間分割多重化、周波数分割多重化、時分割多重化、分極多重部軌道角運動量多重化、および/または符号分割多重化(例えば、符号分割多重アクセス(CDMA))などの、1つ以上の多重化技術を実装する場合がある。
【0100】
複数のレーダモジュールは、共有クロック信号または複数のタイミング信号に部分的に基づいて、レーダ信号の第1のセットの送信のレートおよび/または時間を制御するように構成される場合がある。共有クロック信号および/または複数のタイミング信号は、複数のレーダモジュールの各々に、複数の出射レーダパルスを含むそれぞれのレーダ信号の第1のセットをいつ送信するべきかを知らせる場合がある。共有クロック信号および/または複数のタイミング信号は、複数のレーダモジュールの各々に、複数の出射レーダパルスを含むそれぞれのレーダ信号の第1のセットをどれくらいの頻度で送信するべきかを知らせ得る。場合によっては、複数のレーダモジュールの各々は、所望の時間または所望のパルス繰り返し周波数にてそれぞれのレーダ信号の第1のセットを送信するように誘発するために、共有クロック信号または複数のタイミング信号の別個のタイミング信号を使用し得る。他の場合では、複数のレーダモジュールは、複数のレーダモジュールの各レーダモジュールによって受信された複数の到来レーダパルスを日時順に順番に並べるために、共有クロック信号または複数のタイミング信号の1つのタイミング信号を使用し得る。複数の出射レーダパルスを順に並べることは、複数のレーダモジュールの各々によって受信された複数の到来レーダパルスの各到来レーダパルスに1つ以上のタイムスタンプを付け割り当てることを含み得る。1つ以上のタイムスタンプは、1つ以上の到来レーダパルスが複数のレーダモジュールの各々によって受信される時間に対応する場合がある。1つ以上のタイムスタンプは、共有クロック信号および/または複数のタイミング信号の1つのタイミング信号に部分的に基づいて発生される場合がある。
【0101】
場合によっては、複数のレーダモジュールは、共有クロック信号またはタイミングモジュールによって発生された複数のタイミング信号を使用することによって複数の出射レーダパルスの送信を直接誘発するように構成される場合がある。複数のレーダのレーダモジュールの各々は、(i)タイミングモジュールから受信した複数のタイミング信号の1つ以上のタイミング信号を修正するように、および、(ii)複数のレーダモジュールの各々にて発生された複数の修正済みタイミング信号を使用して複数の出射レーダパルスの送信を誘発するように、構成される。複数の修正済みタイミング信号は、部分的に(a)共有クロック信号の周波数に1つ以上の周波数逓倍係数を掛けることによって、および/または、(b)共有クロック信号に関するプログラム可能な時間遅延を実装することによって、発生される場合がある。1つ以上の周波数逓倍係数は、約1000000以下、100000以下、10000以下、9000以下、8000以下、7000以下、6000以下、5000以下、4000以下、3000以下、2000以下、1000以下、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下、300以下、200以下、100以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下、0.75以下、0.67以下、0.5以下、0.33以下、0.25以下、0.2以下、0.1以下、またはそれ未満であり得る。場合によっては、1つ以上の周波数逓倍係数は、少なくとも約1.0、1.25、1.5、1.75、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、100000またはそれ以上であり得る。プログラム可能な時間遅延は、共有クロック信号および/またはタイミングモジュールによって発生された複数のタイミング信号の1つのタイミング信号に対して10秒、9秒、8秒、7秒、6秒、5秒、4秒、3秒、2秒、1秒、0.9秒、0.8秒、0.7秒、0.6秒、0.5秒、0.4秒、0.3秒、0.2秒、0.1秒、0.01秒、1ミリ秒(ms)、0.1ms、0.01ms、1マイクロ秒(μs)、0.1μs、0.01μs、1ナノ秒(ns)、またはそれ以下の時間遅延であり得る。場合によっては、プログラム可能な時間遅延は、複数のレーダモジュールの各々が、共有クロック信号および/またはタイミングモジュールによって発生された複数のタイミング信号の別のタイミング信号に対して複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールによって受信されたタイミング信号を修正する及び/または遅延させることによって、調節される場合がある。
【0102】
複数のレーダモジュールの各レーダモジュールは、周囲環境から反射する複数の到来レーダパルスを含むレーダ信号の第2のセットを受信するように構成される場合がある。複数の到来レーダパルスは、1つのレーダパルスを含む場合がある。レーダパルスは、約1ヘルツ(Hz)から約300ギガヘルツ(GHz)にわたる周波数範囲内でレーダモジュールによって受信されるどんな電磁波または信号であってもよい。場合によっては、第2のセットのレーダ信号はレーダ信号の第1のセットのサブセットであり得る。複数のレーダモジュールの各レーダモジュールは、送信アンテナによって送信され、かつ周囲環境における外部の目標と相互作用した後に受信アンテナへと反射される複数の出射レーダパルスのサブセットを受信するように構成される場合がある。いくつかの実施形態では、1つ以上の送受信アンテナによって送信され、かつ周囲環境における外部の目標と相互作用した後に複数のレーダモジュールの各レーダモジュールへと反射される複数の出射レーダパルスのサブセットを受信するために、1つ以上の受信アンテナが使用され得る。複数のレーダモジュールによって受信されるレーダ信号の第2のセットは、乗り物に対する目標の距離または範囲に関する情報を伝え得る。乗り物に対する目標の距離または範囲に関する情報は、1つ以上の到来レーダパルスの往復時間遅延、または1つ以上の到来レーダパルスの位相に基づく場合がある。往復時間遅延は、システムの帯域幅に相関する空間分解能を提供し得る。
【0103】
場合によっては、レーダ信号の第1のセットは、第1のレーダモジュールによって送信され、および、レーダ信号の第2のセットは第2のレーダモジュールにて受信される場合がある。第2のレーダモジュールは、複数のレーダモジュールの第1のレーダモジュールとは異なる別のレーダモジュールであり得る。第2のレーダモジュールは、第1のレーダモジュールに動作可能に結合され、および/または第1のレーダモジュールと通信状態にあり得る。場合によっては、レーダ信号の第2のセットは、レーダ信号の第1のセットに関連付けられ得る。レーダ信号の第2のセットは、第1のレーダモジュールによって送信され且つ周囲環境から反射したレーダ信号の第1のセットのサブセットに対応する場合がある。
【0104】
場合によっては、第2のレーダモジュールは、第3のレーダモジュールに受信されたレーダ信号の付加的な第2のセットとのコヒーレントな結合のためにプロセッサに対してレーダ信号の第2のセットを提供する前に、レーダ信号の第2のセットを前処理するように構成される場合がある。付加的なレーダ信号の第2のセットは、第3のレーダモジュールにて受信された別個のレーダ信号の第2のセットであり得る。第3のレーダモジュールは、第2のレーダモジュールと異なる場合がある。場合によっては、第2のセットのレーダ信号を前処理することは、第2のセットのレーダ信号の1つ以上の特性(例えば、周波数、位相、遅延、および/または振幅)を変調することを含み得る。他の場合では、レーダ信号の第2のセットを前処理することは、レーダ信号の第2のセットを復調することを含み得る。本明細書の他の箇所で記載されるように、第2のセットのレーダ信号を復調することは、レーダ信号の第2のセットおよび/またはレーダ信号の第2のセットの複数の到来レーダパルスから1つ以上の信号(例えば、情報を運ぶ電子信号)を抽出することを含む場合がある。
【0105】
1つ以上の到来レーダパルスの位相は、レーダ信号の第1および/または第2のセットの搬送周波数に相関する空間分解能を提供する場合がある。場合によっては、搬送周波数は79GHzであり得る。位相情報は、異なる空間点において受信された2つ以上の到来レーダパルスの間の位相差を使用して解決することができるアンビギュイティを包含する場合がある。例えば、2つ以上の到来レーダパルスが異なる送信および/または受信アンテナにて受信される場合がある。場合によっては、2つ以上の到来レーダパルスは、乗り物の異なる位置および/または配向において受信される場合がある。
【0106】
場合によっては、複数のレーダモジュールの各々は、複数のレーダモジュールの各々によってそれぞれ独立して受信されたレーダ信号の第2のセットおよび/または複数の到来レーダパルスを送受、受信、および処理するように構成され得る。レーダ信号の第2のセットおよび/または複数の到来レーダパルスを処理することは、レーダ信号の第2のセットおよび/または複数の到来レーダパルスを復調することを含む場合がある。第2のセットを復調することは、レーダ信号の第2のセットおよび/または複数の到来レーダパルスから1つ以上の信号(例えば、情報を運ぶ電子信号)を抽出することを含む場合がある。場合によっては、復調はダイレクトコンバージョン受信機を使用して実行される場合がある。ダイレクトコンバージョン受信機は、到来レーダパルスの周波数と同一または非常に近い周波数をもつ局部発振器によって引き起こされた同期検波を使用して、到来レーダパルスを復調する場合がある。そのような場合、レーダ信号の第2のセットおよび/または到来レーダパルスは、ベースバンド信号までミックスダウンされ得る。ベースバンド信号は、実数および虚数成分がある複素ベースバンド信号であり得る。複素ベースバンド信号は、共通モード信号および直角位相信号を含む場合がある。複数のレーダモジュールは、信号集約および/または信号処理のために、プロセッサに複素ベースバンド信号を送信するように構成される場合がある。複素ベースバンド信号は、アナログ形式あるいはデジタル形式のいずれかでプロセッサに送信され得る。複素ベースバンド信号は、アナログ形式あるいはデジタル形式のいずれかで、複数のレーダモジュールおよび/またはプロセッサによって処理され得る。他の場合では、復調は、スーパヘテロダイン受信機を使用して行なわれる場合がある。スーパヘテロダイン受信機は、到来レーダパルスの周波数を中間周波数に変換するように周波数ミキサーを使用することにより、到来レーダパルスを復調する場合がある。そのような場合、レーダ信号の第1のセットの復調は、レーダ信号の第2のセットを中間周波数へとシフトすることを含み得る。中間周波数は、レーダ信号の第2のセットの周波数を基準周波数と、または複数のレーダモジュールの各々の局部発振器によって発生された信号の周波数とミキシングすることにより、発生される場合がある。場合によっては、到来レーダパルスは非0の中間周波数へとミックスダウンされ得る。そのような場合、複数のレーダモジュールは、信号集約および/または信号処理のために、プロセッサに非0の中間周波数へとミックスダウンされた到来レーダパルスを送信するように構成され得る。非0の中間周波数にミックスダウンされた到来レーダパルスは、アナログ形式あるいはデジタル形式のいずれかでプロセッサに送信され得る。非0の中間周波数にミックスダウンされた到来レーダパルスは、アナログ形式あるいはデジタル形式のいずれかで、複数のレーダモジュールおよび/またはプロセッサによって処理され得る。
【0107】
本明細書に開示された実施形態のいずれかにおいて、システムは、複数のレーダモジュールからそれぞれ受信したレーダ信号の第2のセットを集約および/または処理するように構成されたプロセッサをさらに含む場合がある。プロセッサは、コンピュータープロセッサ、特定用途向けIC、グラフィック処理ユニット、またはフィールドプログラマブルゲートアレイを含み得る。レーダ信号の第2のセットの集約することは、複数のレーダモジュールの少なくともサブセットによって受信された複数の到来レーダパルスの1つ以上を集めることを含み得る。レーダ信号の第2のセットを処理することは、複数の到来レーダパルスの2つ以上を足し合わせること、レーダ信号の1つ以上の特性(例えば、周波数、位相、遅延、および/または振幅)に基づいて複数の到来レーダパルスの2つ以上をコヒーレントに結合させること、複数の到来レーダパルスの2つ以上に由来するデータを使用して、周囲環境における目標の1つ以上の特性または特徴を計算すること、および/または、占有グリッドを生成することを含み得る。
【0108】
プロセッサは、複数の到来レーダパルスの少なくともサブセットをコヒーレントに結合させることにより、複数のレーダモジュールから受信したレーダ信号の第2のセットを処理するように構成される場合がある。複数の到来レーダパルスの少なくともサブセットをコヒーレントに結合させることは、少なくとも(i)レーダ信号の第2のセットに関連付けられる位相情報(例えば、位相差)、および/または、(ii)レーダ信号の第2のセットに関連付けられるタイムスタンプ情報を使用して、2つ以上の到来レーダパルスを足し合わせることを含み得る。位相情報は、レーダ信号の第2のセットの2つ以上の到来レーダパルス間において観察された1つ以上の位相差を含む場合がある。本明細書に記載された実施形態のいずれかにおいて、位相差を求めるために使用される2つ以上の到来レーダパルスは、(i)1つのレーダモジュール内の異なる受信アンテナによって、(ii)複数のレーダモジュールの異なるレーダモジュールによって、および/または、(iii)乗り物が異なる空間位置または配向にある時に、受信された、2つ以上の到来レーダパルスに対応する場合がある。例えば、2つ以上の到来レーダパルスは、第1のレーダモジュールによって乗り物の1つの側から、および、第2のレーダモジュールによって乗り物の別の側から、受信され得る。あるいは、2つ以上の到来レーダパルスは、乗り物が第1の空間位置および/または第1の配向にある時に第1のレーダモジュールによって受信された第1の到来レーダパルス、および、乗り物が第2の空間位置および/または第2の配向にある時に第2のレーダモジュールによって受信された第2の到来レーダパルスを含む場合がある。タイムスタンプ情報は、複数の到来レーダパルスの1つ以上の到来レーダパルスが複数のレーダモジュールの各レーダモジュールによって受信される時の情報を含む場合がある。場合によっては、タイムスタンプ情報は、複数の出射レーダパルスの1つ以上の出射レーダパルスが複数のレーダモジュールの各レーダモジュールによって送信される時の情報を含む場合がある。タイムスタンプ情報は、プロセッサによって発生される場合がある。
【0109】
プロセッサは、複数のレーダモジュールのサブセットによって受信された複数の到来レーダパルスのサブセットをコヒーレントに結合させるように構成される場合がある。複数の到来レーダパルスのサブセットをコヒーレントに結合させることは、複数の到来レーダパルスのサブセットに由来する2つ以上の複素ベースバンド信号を合計することを含み得る。2つ以上の複素のベースバンド信号がコヒーレントに結合される前に、2つ以上の複素ベースバンド信号の少なくとも1つは、相対位相シフトまたは相対周波数シフトを用いて変調される場合がある。相対位相シフトは、複数のレーダモジュールのサブセットによって受信された、複数の到来レーダパルスのサブセットの2つ以上の到来レーダパルス間の位相差の測定であり得る。場合によっては、相対位相シフトは、送信アンテナによって送信されたレーダ信号の第1のセット、および受信アンテナによって受信されたレーダ信号の第2のセットとの間の位相差の測定であり得る。相対周波数シフトは、複数のレーダモジュールのサブセットによって受信された複数の到来レーダパルスのサブセットの2つ以上の到来レーダパルスの間における周波数の差の測定であり得る。
【0110】
相対位相シフトおよび/または相対周波数シフトは、複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールの相対的な空間位置および/または相対的な空間配向の関数であり得る。例えば、場合によっては、相対位相シフトおよび/または相対周波数シフトは、複数のレーダモジュールの2つ以上の間の1つ以上の相対的な一定距離の関数であり得る。1つ以上の相対的な一定距離は、任意の方角に、少なくとも約1ミリメートル(mm)、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、10センチメートル(cm)、100cm、または少なくとも約1メートルであり得る。1つ以上の相対的な一定距離は、予め定義された閾値に基づいて、許容差を有し得る。予め定義された閾値は、出射レーダパルスあるいは到来レーダパルスの波長のパーセンテージ、または、出射レーダパルスあるいは到来レーダパルスの波長のフラクションの割合に関連付けられる場合がある。他の場合では、相対周波数シフトおよび/または相対位相シフトは、複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールのアラインメントの第1の方向と、複数のレーダモジュールの別のレーダモジュールのアラインメントの第2の方向との間の角の関数であり得る。アラインメントの第1の方向とアラインメントの第2の方向との間の角は、XY平面、XZ平面、および/またはYZ平面において、約0度から約360度にわたり得る。アラインメントの第1の方向とアラインメントの第2の方向との間の角は、少なくとも約0度、10度、20度、30度、40度、45度、50度、60度、70度、80度、90度、100度、110度、120度、130度、135度、140度、150度、160度、170度、180度、190度、200度、210度、220度、225度、230度、240度、250度、260度、270度、280度、290度、300度、310度、315度、320度、330度、340度、350度、360度であり得、または、0度と360度との間の任意の角度であり得る。場合によっては、複数のレーダモジュールの相対的な空間位置および/または相対的な空間配向は、先験的に知られている場合がある。他の場合では、複数のレーダモジュールの相対的な空間位置および/または相対的な空間配向は、オンラインの、外部的な較正アルゴリズムによる推定の場合がある。
【0111】
上に記載されるように、場合によっては、レーダ信号の第1のセットは第1のレーダモジュールによって送信されてもよく、および、レーダ信号の第1のセットに関連付けられるレーダ信号の第2のセットは、第2のレーダモジュールにて受信されてもよい。第2のレーダモジュールは、第1のレーダモジュールと異なる、複数のレーダモジュールの別のレーダモジュールであり得る。レーダ信号の第2のセットは、第1のレーダモジュールによって送信され、そして周囲環境から反射したレーダ信号の第1のセットのサブセットに対応する場合がある。第2のレーダモジュールは、第3のレーダモジュールにて受信される1つ以上のレーダ信号とコヒーレントに結合するために、レーダ信号の第2のセットをプロセッサに提供する前に、レーダ信号の第2のセットを前処理するように構成される場合がある。第3のレーダモジュールは、第2のレーダモジュールと異なる場合がある。第3のレーダモジュールは、第1のレーダモジュールと異なる場合がある。プロセッサは、(i)前処理されたレーダ信号の第2のセットを(ii)複数のレーダモジュールあるいはそのサブセットによって受信された1つ以上の別個のレーダ信号とコヒーレントに結合するように構成される場合がある。
【0112】
プロセッサは、2つ以上のレーダ信号に由来するデータを使用して、周囲環境における目標の1つ以上の特性あるいは特徴を計算するように構成される場合がある。目標の特性あるいは特徴は、乗り物に相関する目標の形態、寸法、レーダ断面、到来角、位置、配向、速度、および/または加速度を含む場合がある。2つ以上のレーダ信号は、複数のレーダモジュールによって受信された複数の到来レーダパルスのサブセットを含む場合がある。2つ以上のレーダ信号は、複数のレーダモジュールによって受信された複数の到来レーダパルスのサブセットに位相シフトまたは周波数シフトを適用することにより導出される場合がある。
【0113】
プロセッサは、乗り物の近辺における1つ以上の目標の到来角を計算するために、生データを使用するように構成される場合がある。生データは、複数の到来レーダパルスの1つ以上の到来レーダパルスに関連付けられる未処理データを含む場合がある。生データは、位相、利得、遅延および/またはバイアスの変動および/または誤差を説明するための復調、較正、補正がなされていないデータを含む場合がある。到来角は、複数のレーダモジュールの2つの受信アンテナ間で測定された到来角と位相差の間の関係に部分的に基づいて計算され得る。前記関係は、以下の式で与えられる場合があり:
【0114】
【数1】

式中、θは到来角であり、Lは2つの受信アンテナの間の距離であり、λはレーダモジュールによって受信および/または送信されたレーダパルスに関連付けられる波長であり、Δφは2つの受信アンテナ間で測定された位相差である。
【0115】
プロセッサは、乗り物の近辺における1つ以上の目標の速度を計算するために、生データを使用するように構成される場合がある。速度は、レーダモジュールの受信アンテナによって受信された2つの到来レーダパルス間で測定された速度と位相差の間の関係に部分的に基づいて計算され得る。前記関係は、以下の式で与えられる場合があり:
【0116】
【数2】

式中、νは速度であり、λはレーダモジュールによって受信されたレーダパルスに関連付けられる波長であり、Δφはレーダモジュールの受信アンテナによって受信された2つの到来レーダパルス間で測定された位相差であり、および、Tは、レーダモジュールの受信アンテナによって受信された連続する到来レーダパルスの間の時間である。
【0117】
場合によっては、プロセッサは、目標の特性あるいは特徴を計算する前に、複数の到来レーダパルスの1つ以上を修正するように構成される場合がある。例えば、プロセッサは、(i)位相シフトあるいは振動数シフトを適用することにより、1つ以上の到来レーダパルスを修正するように、および/または、(ii)目標の到来角あるいは速度を計算する前に、2つ以上の到来レーダパルスをコヒーレントに結合させるように、構成され得る。
【0118】
場合によっては、プロセッサおよび/または複数のレーダモジュールの各々は、少なくとも位相情報を使用して、占有グリッドを生成するように構成され得る。占有グリッドは、レーダシステムが作動する周囲環境の視覚表示であり得る。占有グリッドは、空間における1つ以上の物が乗り物の位置および/または配向に関連して検知された場合を表し得る。占有グリッドは、周囲環境および乗り物の近辺における1つ以上の物の存在を表わす場合がある。占有グリッドは、乗り物の位置および/または配向に相関する1つ以上の物の位置および/または配向を示す場合がある。乗り物は、静止している場合も、動いている場合もある。場合によっては、占有グリッドは、周囲環境を通る乗り物の運動に基づいて生成および/または更新される場合がある。
【0119】
場合によっては、プロセッサおよび/または複数のレーダモジュールの各々は、複数のレーダモジュールの相対的な空間位置および/または相対的な空間配向を使用して、占有グリッドを生成するようにさらに構成される場合がある。複数のレーダモジュールの相対的な空間位置は、複数のレーダモジュールの2つ以上の間の1つ以上の相対的な一定距離を含んでいる場合がある。1つ以上の相対的な一定距離は、任意の方角に、少なくとも約1ミリメートル(mm)、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、10センチメートル(cm)、100cm、または少なくとも約1メートルであり得る。1つ以上の相対的な一定距離は、予め定義された閾値に基づいて、許容差を有し得る。予め定義された閾値は、出射レーダパルスあるいは到来レーダパルスの波長のパーセンテージ、または、出射レーダパルスあるいは到来レーダパルスの波長のフラクションの割合に関連付けられる場合がある。複数のレーダモジュールの相対的な空間配向は、複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールのアラインメントの第1の方向と、複数のレーダモジュールの別のレーダモジュールのアラインメントの第2の方向との間の角を必要とし得る。アラインメントの第1の方向とアラインメントの第2の方向との間の角は、XY平面、XZ平面、および/またはYZ平面において、約0度から約360度にわたり得る。アラインメントの第1の方向とアラインメントの第2の方向との間の角は、少なくとも約0度、10度、20度、30度、40度、45度、50度、60度、70度、80度、90度、100度、110度、120度、130度、135度、140度、150度、160度、170度、180度、190度、200度、210度、220度、225度、230度、240度、250度、260度、270度、280度、290度、300度、310度、315度、320度、330度、340度、350度、360度、あるいは0度と360度との間の任意の角度であり得る。
【0120】
場合によっては、プロセッサおよび/または複数のレーダモジュールの各々は、レーダ信号の第2のセットおよび/または複数の到来レーダパルスに関連付けられる往復遅延情報を使用して、1つ以上の占有グリッドを生成するように構成され得る。そのような場合、プロセッサおよび/または複数のレーダモジュールの各々は、1つ以上の占有グリッドを生成した後に、レーダ信号の第2のセットおよび/または複数の到来レーダパルスに関連付けられる位相情報を維持するように構成され得る。プロセッサおよび/または複数のレーダモジュールの各々は、(i)複数のレーダモジュールの相対的な空間位置および/または相対的な空間配向と、(ii)複数のレーダモジュールの各々によって受信された2つ以上の到来レーダパルスの間における1つ以上の位相差とを使用して、複数のレーダモジュールの各々によって発生された1つ以上の占有グリッドを、広域の占有グリッドへと結合させるように構成される場合がある。
【0121】
場合によっては、プロセッサは、複数のレーダモジュールからの生の未処理データを受信するように構成され得る。そのような場合、複数のレーダモジュールは、いかなる占有グリッドも生成せずに、(a)信号の第2のセットおよび/または複数の到来レーダパルスから生の未処理データを抽出するように、および、(b)レーダ信号の第2のセットおよび/または複数の到来レーダパルスに関連付けられる生の未処理データをプロセッサに提供するように、構成され得る。そのような場合、プロセッサは、複数のレーダモジュールから受信された生の未処理データを結合し、および、続いて、レーダ信号の第2のセットおよび/または複数の到来レーダパルスに関連付けられる生の未処理データに基づいて1つ以上の占有グリッドを生成するように構成され得る。プロセッサは、レーダ信号の第2のセットおよび/または複数の到来レーダパルスに関連付けられる位相情報および/またはタイムスタンプ情報に部分的に基づいて、生の未処理データを結合させるように構成される場合がある。
【0122】
場合によっては、プロセッサは、認知アルゴリズムを使用して、乗り物の近辺における目標の1つ以上の特徴あるいは特性を求めるように構成され得る。認知アルゴリズムは、(i)複数の到来レーダパルスのサブセットに由来する1つ以上の複素ベースバンド信号を処理するように、および/または、(ii)複数の到来レーダパルスのサブセットに由来する2つ以上の複素ベースバンド信号を結合するように、構成されるアルゴリズムであり得る。認知アルゴリズムは、周囲環境における目標の1つ以上の特徴(例えば、サイズ、形態、位置、配向、到来角、または反射率あるいはレーダ断面などの材料特性)または1つ以上の運動学的特性(例えば、速度あるいは加速度)を計算するように構成される場合がある。
【0123】
認知アルゴリズムは、プロセッサによって生成されたレーダ像を解釈および/または分析することにより、目標の1つ以上の特徴または1つ以上の運動学的特性を計算および/または導出するように構成される場合がある。レーダ像は、部分的に、複数のレーダモジュールの少なくともサブセットによって受信されたレーダ信号の第2のセットの少なくともサブセットをプロセッサによって集約および/または処理することにより生成される場合がある。レーダ像は、占有グリッドおよび/または局所地図であり得る。局所地図は、乗り物が作動し得る周囲環境の視覚的な表現であり得る。局所地図は、周囲環境を通る乗り物の動きとしての乗り物の場所、配向、姿勢、および/または運動学的特性に関連付けられる情報を含む場合がある。局所地図は、周囲環境における1つ以上の目標の場所、配向、姿勢、および/または運動学的特性に関するデータを含む場合がある。局所地図は、周囲環境における1つ以上の目標の場所および/または運動に相関する乗り物の位置および配向、および/または運動を視覚的に表わす場合がある。
【0124】
認知アルゴリズムは、目標の高位特性を計算するために、プロセッサによって計算および/または生成された出力情報(例えば、占有グリッド、および/または、目標の速度または到来角などの目標の特性)を使用するように構成される場合がある。例えば、認知アルゴリズムは、形態、寸法、材料特性(例えば、反射率)、および/または、目標のレーダ断面を計算するために、占有グリッド、および目標の速度および/または目標の到来角を使用するように構成される場合がある。場合によっては、認知アルゴリズムは、乗り物の運動の経路を妨害もしくは部分的に妨害し得る目標を回避するように周囲環境を通る乗り物の運動の経路を補正および/または調節する方法に関する1つ以上の決定を生成するために、占有グリッドおよび/または目標の1つ以上の特性または特徴を使用するように構成される場合がある。
【0125】
認知アルゴリズムは、システムによって検知された1つ以上の目標を分類するように構成される場合がある。例えば、認知アルゴリズムは、1つ以上の目標が移動しているか静止しているかを判定するように構成される場合がある。あるいは、認知アルゴリズムは、1つ以上の目標が周囲環境を通って移動する乗り物の運動経路を妨害もしくは部分的に妨害するかどうかを判定するように構成される場合がある。
【0126】
認知アルゴリズムは、1つ以上の特徴(例えば、寸法、形態、位置、配向、到来角、または、反射率あるいはレーダ断面などの材料特性など)、および/または、目標の1つ以上の運動学的特性(例えば、速度あるいは加速度)を追跡するように構成される場合がある。目標の1つ以上の特徴および/または1つ以上の運動学的特性を追跡することは、1つ以上の特徴および/または1つ以上の運動学的特性における、予め定められた時限にわたる変化を測定することを含み得る。場合によっては、認知アルゴリズムは、乗り物が周囲環境を通って移動する間、乗り物の近辺における1つ以上の目標の位置および/または動作を追跡するように構成される場合がある。
【0127】
認知アルゴリズムは、プロセッサによって計算されるのに先立って、測定値を精緻化、および/または目標の特徴または特性(例えば、目標の速度および/または到来角)を推定するように構成される場合がある。測定値を精緻化すること、または目標の特徴あるいは特性を推定することは、複数のレーダモジュールの1つ以上によって受信された複数の到来レーダパルスに基づいて、測定値または推定を更新することを含み得る。場合によっては、測定値を精緻化すること、または目標の特徴あるいは性質を推定することは、フィードバックデータに基づいて測定値または推定を更新することを含み得る。フィードバックデータは、複数のレーダモジュールからプロセッサによって受信されたレーダ信号の第2のセットに部分的に由来する1つ以上の信号を含む場合がある。
【0128】
場合によっては、プロセッサは、レーダ信号の第1のセットおよび/またはレーダ信号の第2のセットに関連付けられるタイムスタンプ情報を使用して、レーダ信号の第2のセットをコヒーレントに結合することによって、複数のレーダモジュールからそれぞれ受信したレーダ信号の第2のセットを処理するように構成される場合がある。タイムスタンプ情報は、複数のレーダモジュールの各レーダモジュールによって、複数の到来レーダパルスの1つ以上の到来レーダパルスが、いつ受信されるかについての情報を含む場合がある。場合によっては、タイムスタンプ情報は、複数のレーダモジュールの各レーダモジュールによって複数の出射レーダパルスの1つ以上の出射レーダパルスが、いつ送信されるかについての情報を含む場合がある。タイムスタンプ情報はプロセッサ、またはタイムスタンプ発生器によって生成される場合がある。
【0129】
場合によっては、複数のレーダモジュールが信号集合(例えば、複数の到来レーダパルスの集合および/または複数のレーダモジュールの各々によって、受信されたレーダ信号の第2のセットの集合)についてプロセッサに複数の到来レーダパルスを転送するように構成される場合がある。そのような場合、プロセッサは、タイミングモジュールによって発生される共有クロック信号を使用して、複数のレーダモジュールの各々によって受信された複数の到来レーダパルスに対してのタイムスタンプを発生させるように構成される場合がある。プロセッサによって生成されたタイムスタンプは、共有クロック信号の1つ以上のティックに関連して生成される場合がある。場合によっては、プロセッサは、複数のレーダモジュールの各々によって受信される複数の到来レーダパルスを時系列にソートするように、プロセッサによって生成されたタイムスタンプを使用するように構成される場合がある。
【0130】
他の場合では、複数のレーダモジュールの各々はタイムスタンプ発生器を含む場合がある。タイムスタンプ発生器は、複数のレーダモジュールの各々によってそれぞれ受信された複数の到来レーダモジュールの少なくとも1つのサブセットに、複数のレーダモジュールの各々に関連する共有クロック信号またはタイミング信号に関連するタイムスタンプで標識するように構成される場合がある場合によっては、タイムスタンプ発生器は、複数のレーダモジュールが信号集合について複数の到来レーダパルスをプロセッサに転送する前に、複数のレーダモジュールの各々によってそれぞれ受信された複数の到来レーダパルスの少なくとも1つのサブセットをタイムスタンプするように構成される場合がある。そのような場合、プロセッサは、複数のレーダモジュールの各々によって受信される複数の到来レーダパルスを時系列にソートするために、タイムスタンプ発生器によって生成されたタイムスタンプを使用するように構成される場合がある。
【0131】
場合によっては、複数のレーダモジュールが信号集合(例えば、複数の到来レーダパルスの集合および/または複数のレーダモジュールの各々によって受信されたレーダ信号の第2のセットの集合)についてプロセッサに複数の到来レーダパルスを転送するように構成される場合がある。場合によっては、複数のレーダモジュールは、プロセッサにレーダ信号の第2のセットを転送する前に、複数のレーダモジュールの各々によって受信されたレーダ信号の第2のセットを較正するように構成される場合がある。
【0132】
場合によっては、複数のレーダモジュールが推定の較正パラメータに基づいて、レーダ信号の第2のセットに対して補正を適用するように構成される場合がある。あるいは、複数のレーダモジュールがレーダ信号の第2のセットに対していかなる補正も適用せずに、プロセッサにレーダ信号の第2のセットに推定の較正パラメータを提供するように構成される場合がある。そのような場合、プロセッサは複数のレーダモジュールから受信された推定の較正パラメータを使用するレーダ信号の第2のセットを修正および/または補正するように構成される場合がある。推定の較正パラメータは、複数の到来レーダパルスのうちの2つ以上の到来レーダパルス間で観察された、位相、利得、遅延、周波数および/またはバイアスにおける1つ以上の変動に部分的に由来する場合がある。場合によっては、推定の較正パラメータは、複数のレーダモジュールの相対的な空間位置または相対的な空間配向に基づいて部分的に由来する場合がある。
【0133】
場合によっては、複数のレーダモジュールは、複数のレーダモジュールの各々によって受信されたレーダ信号の第2のセットの2つ以上の到来レーダパルス間の位相、利得、遅延、周波数および/またはバイアス差を識別するために、複数のレーダモジュールの各々に対して可視である既知の物体を使用してレーダ信号の第2のセットを較正するように構成される場合がある。各レーダモジュールは較正手順を使用する場合がある。較正手順は工場較正、ラボ較正、および/または、オンライン(例えば、実時間)較正アルゴリズムを含む場合がある。複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールに使用された較正手順は、複数のレーダモジュールの別のレーダモジュールに使用された較正手順と本質的に類似している場合も類似していない場合もある。複数のレーダモジュールの1つのレーダモジュールに使用された較正手順は、複数のレーダモジュールの別のレーダモジュールに使用された較正手順と異なる場合も異ならない場合もある。
【0134】
図2は、複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)の1つのサブセットからのレーダデータを処理するように構成されるシステムを例示する。複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)が、乗り物(104)のいかなる側面、または乗り物(104)(例えば、乗り物の前面側、後面側、側面側、上面側、または底面側)の1つ以上の側に対して取り付けられる場合がある。乗り物の前面側は、乗り物の移動の一般的な方向に直面している側である一方で、後面側(または背面側)は、乗り物の移動の一般的な方向に直面していない側であり得る。後面側は、乗り物の前面側と反対の場合がある。乗り物の前面側は乗り物の移動の順方向を指す場合がある。乗り物の後面側は乗り物の移動の後ろの方向(例えば、逆)を指す場合がある。側面側は乗り物の左側および/または右側を含む場合がある。乗り物は、乗り物の側面側に対して直角に動くようにおよび/または並進するように構成される場合もされない場合もある。場合によっては、複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)が乗り物(104)の2つの隣接する側の間で取り付けられる場合がある。複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)は、乗り物(104)の前、乗り物の後ろ、乗り物の側面側、乗り物の上、乗り物の下、または乗り物の近辺に、1つ以上の目標(102)を検知するように配向される場合がある。場合によっては、複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)の各々は、乗り物(104)の同じ側または異なる側に取り付けられるように構成される場合がある。例えば、1つ以上のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)は、乗り物(104)の上、底、前面側、後面側または側面側に取り付けられる場合がある。場合によっては、複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)の各々は、同じか異なる配向に取り付けられるように構成される場合がある。例えば、1つ以上のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)は、乗り物(104)の前、乗り物(104)の後ろ、乗り物(104)の側面側、乗り物(104)の上、および/または乗り物(104)の下の1つ以上の目標(102)を検知するように配向される場合がある。
【0135】
図2において例示されるように、複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)は、基準周波数信号、および複数のタイミング信号の共有クロック信号またはタイミング信号の少なくとも1つに部分的に基づいて、複数の出射レーダパルス(105-1、105-2、および105-3)を含むレーダ信号の第1のセットを送信するように構成される場合がある。基準周波数信号は、複数のレーダモジュールの各々に動作可能に連結され通信状態にある周波数発生器(110)によって、生成される場合がある。共有クロック信号および複数のタイミング信号のタイミング信号は、複数のレーダモジュールの各々に動作可能に連結され通信状態にあるタイミングモジュール(120)によって、生成される場合がある。複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)は、複数の到来レーダパルス(106-1)(106-2)および(106-3)を含むレーダ信号の第2のセットを受信するように構成される場合がある。複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)は、プロセッサ(140)に動作可能に連結されプロセッサ(140)と通信状態にあり得る。複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)は、複数のレーダモジュールの各々によってそれぞれ受信されたレーダ信号および/または複数の到来レーダパルス(106-1)、(106-2)および(106-3)の第2のセットをプロセッサ(140)に提供するように構成される場合がある。プロセッサ(140)は、少なくとも(i)レーダ信号の第2のセットと関連する位相情報、および(ii)レーダ信号の第2のセットと関連するタイムスタンプ情報を使用して、(a)コヒーレントにレーダ信号の第2のセットを結合すること、(b)目標の特性を計算すること、または(c)占有グリッドあるいはレーダ像を生成をすることによって、複数のレーダモジュールからそれぞれ受信されたレーダ信号の第2のセットを集約および/または処理するように構成され得る。場合によっては、プロセッサ(140)は、相対的位相シフトまたは相対的周波数シフトと、複数の到来レーダパルスのサブセット(106-1)および(106-2)の1つ以上の複合信号を合計することによって、複数のレーダモジュールの1つのサブセット(130-1)および(130-2)によって受信された複数の到来レーダパルスの1つのサブセット(106-1)および(106-2)をコヒーレントに結合するように構成される場合がある。場合によっては、複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)は、複数のレーダモジュール(130-1、130-2、および130-3)の各々によって受信された2つ以上の到来レーダパルス(106-1)(106-2)および(106-3)の間の位相差を識別するために、複数のレーダモジュールの1つ以上に対して可視である物体(例えば、目標(102))を使用して、レーダ信号の第2のセットを較正するように構成される場合がある。場合によっては、プロセッサ(140)は、周波数発生器(110)とタイミングモジュール(120)に動作可能に連結され通信状態にあり得る。そのような場合、プロセッサ(140)は周波数発生器(110)とタイミングモジュール(120)にフィードバックデータを提供するように構成される場合がある。周波数発生器(110)およびタイミングモジュール(120)はプロセッサ(140)からのフィードバックデータを受信するように構成される場合がある。フィードバックデータは、プロセッサ(140)によって複数のレーダモジュールから受信されたレーダ信号の第2のセットから部分的に由来した1つ以上の信号を含む場合がある。周波数発生器(110)およびタイミングモジュール(120)は、複数のタイミング信号の基準周波数信号、共有クロック信号および/またはタイミング信号を調節、補正および/または修正をするように、プロセッサ(140)からのフィードバックデータを使用するように構成される場合がある。
【0136】
本開示の別の異なる態様は、レーダデータを処理するための方法を提供する。方法は周波数発生器、タイミングモジュール、および周波数発生器とタイミングモジュールと通信状態にある複数のレーダモジュールを含むレーダシステムを提供する工程を含む場合がある。周波数発生器は基準周波数をもつ基準周波数信号を生成させるように構成される場合がある。タイミングモジュールは1つ以上のタイミング信号を生成させるように構成される場合がある。方法は複数のレーダモジュールにて基準周波数信号および1つ以上のタイミング信号を受信する工程をさらに含む場合がある。方法は、(a)基準周波数信号および(b)1つ以上のタイミング信号上に少なくとも部分的に基づいて、複数の出射レーダパルスを含むレーダ信号の第1のセットを送信する複数のレーダモジュールを使用する工程をさらに含む場合がある。方法は、複数のレーダモジュールにて、周囲環境の少なくとも1つの物体から反射された複数の到来レーダパルスを含むレーダ信号の第2のセットを受信する工程をさらに含む場合がある。場合によっては、方法は、(a)コヒーレントにレーダ信号の第2のセットを結合させること、(b)目標の特性を計算すること、あるいは少なくとも(i)レーダ信号の第2のセットと関連する位相情報と(ii)レーダ信号の第2セットと関連するタイムスタンプ情報を使用して(c)占有グリッドまたはレーダ像の生成をすることによって、複数のレーダモジュールからそれぞれ受信されたレーダ信号の第2のセットを集約および/または処理するためにプロセッサを使用する工程をさらに含む場合がある。
【0137】
コンピュータシステム
本開示の別の態様では、本開示の方法を実施するようにプログラムまたは構成されるコンピュータシステムを提供する。図3は、レーダデータを処理するための方法を実施するようにプログラムまたは構成されるコンピューターシステム(301)を示す。コンピューターシステム(301)は、周波数発生器を使用して、ある基準周波数の基準周波数信号を発生させ、タイミングモジュールを使用して、1つ以上のタイミング信号を発生させ、複数のレーダモジュールに基準周波数信号および1つ以上のタイミング信号を提供し、複数のレーダモジュールを使用して、(a)基準周波数信号および(b)1つ以上のタイミング信号に少なくとも部分的に基づく複数の出射レーダパルスを含むレーダ信号の第1のセットを送信し、および、複数のレーダモジュールを使用して、周囲環境における少なくとも1つの物体から反射された複数の到来レーダパルスを含むレーダ信号の第2のセットを受信するように構成され得る。場合によっては、コンピューターシステム(301)は、少なくとも(i)レーダ信号の第2のセットに関連付けられる位相情報、および(ii)レーダ信号の第2のセットに関連付けられるタイムスタンプ情報を使用して、(a)レーダ信号の第2のセットをコヒーレントに結合させること、(b)対象の特性を計算すること、または、(c)占有格子またはレーダ像を生成すること、によって、複数のレーダモジュールからそれぞれ受信したレーダ信号の第2のセットを集約および/または処理するように構成され得る。コンピューターシステム(301)は、電子デバイスに対して遠隔に位置したユーザー又はコンピュータシステムの電子デバイスであり得る。電子デバイスはモバイル電子デバイスであり得る。
【0138】
コンピュータシステム(301)は、中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」および「コンピュータプロセッサ」)(305)を含み得、中央処理装置は、シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサ、あるいは並列処理するための複数のプロセッサであり得る。コンピューターシステム(301)はまた、メモリ又はメモリ位置(310)(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置(315)(例えばハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース(320)(例えばネットワークアダプタ)、及び、キャッシュ、他のメモリ、データ記憶装置、及び/又は電子ディスプレイアダプタなどの周辺機器(325)を含む。メモリ(310)、記憶装置(315)、インターフェース(320)および周辺装置(325)は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU(305)と通信する。記憶装置(315)は、データを記憶するためのデータ記憶装置(またはデータリポジトリ)であってもよい。コンピュータシステム(301)は、通信インターフェース(320)を用いてコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)(330)に動作可能に連結され得る。ネットワーク(330)は、インターネット、インターネットおよび/またはエクストラネット、またはインターネットと通信しているイントラネットおよび/またはエクストラネット、であることができる。ネットワーク(330)は、場合によっては、電気通信および/またはデータネットワークである。ネットワーク(330)は、クラウドコンピューティングのような分散コンピューティングを可能にすることができる1つ以上のコンピューターサーバを含むことができる。ネットワーク(330)は、場合によっては、コンピューターシステム(301)を用いてピアツーピアネットワークを実施する場合があり、それにより、コンピューターシステム(301)に連結されるデバイスが、クライアント又はサーバーとして振る舞うことを可能にすることができる。
【0139】
CPU(305)は、プログラム又はソフトウェアにおいて具現化され得る、機械読取可能な指示のシーケンスを実行することができる。命令は、メモリ(310)などのメモリ位置に記憶され得る。命令は、CPU(305)に向けることができ、これは後に、本開示の方法を実施するようにCPU(305)をプログラム又は構成することができる。CPU(305)により実行される操作の例には、フェッチ、デコード、実行およびライトバックが含まれ得る。
【0140】
CPU(305)は、集積回路など回路の一部であり得る。システム(301)の1つ以上の他の構成要素を回路に含み得る。場合によっては、その回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0141】
記憶装置(315)は、ドライバ、ライブラリおよび保存済みプログラムなどのファイルを記憶することができる。記憶装置(315)は、ユーザーデータ、例えばユーザープレファレンス及びユーザープログラムを記憶することができる。コンピューターシステム(301)は、場合によっては、イントラネット又はインターネットを通じてコンピューターシステム(301)と通信状態にあるリモートサーバー上に位置するなど、コンピューターシステム(301)の外側にある1つ以上の付加的なデータ記憶装置を含み得る。
【0142】
コンピューターシステム(301)は、ネットワーク(330)を通じて1つ以上のリモートコンピューターシステムと通信することができる。例えば、コンピューターシステム(301)は、ユーザー(例えば、エンドユーザー、消費者、運転手、車両操作者など)のリモートコンピューターシステムと通信することができる。リモートコンピューターシステムの例として、パーソナルコンピューター(例えばポータブルPC)、スレートPCまたはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone、アンドロイド対応デバイス、Blackberry(登録商標))、または携帯情報端末が含まれる。ユーザーは、ネットワーク(330)を介してコンピューターシステム(301)にアクセスすることができる。
【0143】
本明細書に記載されるような方法は、例えばメモリ(310)又は電子記憶装置(315)などの、コンピュータシステム(301)の電子記憶装置位置に記憶される、機械(例えばコンピュータープロセッサ)で実行可能なコードによって実施されることができる。機械実行可能なまたは機械読取可能なコードは、ソフトウェアの形態で提供され得る。使用中に、コードはプロセッサ(305)によって実行されることができる。場合によっては、コードは、記憶装置(315)から取得され、プロセッサ(305)によってすぐにアクセスできるメモリ(310)に記憶されることができる。いくつかの状況では、電子記憶装置(315)を除外することができ、機械実行可能な命令は、メモリ(310)に記憶される。
【0144】
コードは、コードを実行するように適合されたプロセッサを有する機械と共に使用されるように予めコンパイルされて構成され得るか、あるいは実行時にコンパイルされ得る。コードは、予めコンパイルされる様式か、実行中にコンパイルされる様式でコードを実行可能なように選択できる、プログラミング言語で提供され得る。
【0145】
コンピュータシステム(301)などの、本明細書において提供されるシステムおよび方法の態様は、プログラミングで具現化され得る。この技術の様々な態様は、典型的には、機械(またはプロセッサ)実行可能なコードの形態、および/または、ある種の機械読取可能な媒体において担持されるか、あるいは具現化される関連データの形態の「商品」または「製品」とみなされ得る。機械実行可能なコードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスクなどの電子記憶装置に記憶されることができる。「記憶」型の媒体には、いかなる時にもソフトウェアプログラミングに非一時的な記憶を提供することができる、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどの、コンピュータ、プロセッサなど、またはそれらの関連するモジュールの有形メモリのいずれかまたは全てを含み得る。ソフトウェアの全てまたは一部は、インターネットまたは様々な他の通信ネットワークを通じて時々通信され得る。そのような通信は、例えば、1つのコンピュータまたはプロセッサから別のコンピュータまたはプロセッサへ、例えば、管理サーバーまたはホストコンピューターからアプリケーションサーバーのコンピュータープラットフォームへソフトウェアのロードを可能にし得る。したがって、ソフトウェア要素を保持し得る別のタイプの媒体には、ローカルデバイス間の有線および陸上光通信線ネットワーク、および様々なエアリンクを通じて使用されるような、光、電気、および電磁波が含まれる。有線リンクまたは無線リンク、光リンクなどの、このような波を運ぶ物理的要素もまた、ソフトウェアを保持する媒体とみなされてもよい。本明細書に使用されるように、非一時的な有形「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータまたは機械「読取可能な媒体」などの用語は、プロセッサに実行するように命令を提供する際に関与する任意の媒体を指す。
【0146】
従って、コンピュータ実行可能なコードなどの機械読取可能な媒体は、有形記憶媒体、搬送波媒体、又は物理的な送信媒体を含むがこれらに限定されない、多くの形態をとってもよい。不揮発性記憶媒体には、例えば、図面に示されるデータベースなどを実装するために使用されることもあるような、任意のコンピューター(複数可)などにおける、記憶装置のいずれかなどの光学ディスクまたは磁気ディスクが含まれる。揮発性記憶媒体には、そのようなコンピュータープラットフォームのメインメモリのような動的なメモリが含まれる。有形送信記憶媒体には、コンピュータシステム内にバスを含む線を含む同軸ケーブル、銅線および光ファイバが含まれる。搬送波送信媒体には、無線周波(RF)および赤外線(IR)データ通信中に生成されたものなどの、電気信号または電磁気信号、あるいは音波または光波の形態をとり得る。したがって、コンピュータ読取可能な媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理的な記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、データもしくは命令を伝達する搬送波、そのような搬送波を伝達するケーブルもしくはリンク、またはコンピュータがプログラミングのコードおよび/もしくはデータを読み取りできる任意の他の媒体が含まれる。コンピュータ読取可能な媒体のこれらの形態の多くは、プロセッサに実行するように1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを搬送するのに関係し得る。
【0147】
コンピューターシステム(301)は、例えば、レーダシステムによって検知された1つ以上の物体、障害物および/または目標をモニタするためのポータルを提供するために、ユーザーインターフェース(UI)(340)を含む電子ディスプレイ(335)を含むか、あるいは電子ディスプレイ(335)と通信し得る。場合によっては、ポータルは、プロセッサおよび/または複数のレーダモジュールによって生成された1つ以上の占有格子地図をレンダリング、閲覧、モニタおよび/または操作するために使用され得る。ポータルは、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)を通じて提供され得る。ユーザーまたはエンティティはまた、UIを介してポータルの様々な要素と対話し得る。UIの例には、限定することなく、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)およびウェブベースユーザーインターフェースが含まれる。
【0148】
本開示の方法およびシステムは、1つ以上のアルゴリズムによって実施されることができる。アルゴリズムは、中央処理装置(305)によって実行される際にソフトウェアによって実施され得る。アルゴリズムは、周波数発生器を使用して、基準周波数の基準周波数信号を発生させ、タイミングモジュールを使用して、1つ以上のタイミング信号を発生させ、複数のレーダモジュールに基準周波数信号および1つ以上のタイミング信号を提供し、複数のレーダモジュールを使用して、(a)基準周波数信号および(b)1つ以上のタイミング信号に少なくとも部分的に基づく複数の出射レーダパルスを含むレーダ信号の第1のセットを送信し、および、複数のレーダモジュールを使用して、周囲環境において少なくとも1つの物体から反射された複数の到来レーダパルスを含むレーダ信号の第2のセットを受信するように構成され得る。場合によっては、アルゴリズムは、少なくとも(i)レーダ信号の第2のセットに関連付けられる位相情報、および(ii)レーダ信号の第2のセットに関連付けられるタイムスタンプ情報を使用して、(a)レーダ信号の第2のセットをコヒーレントに結合させること、(b)目標の特性を計算すること、または、(c)占有格子またはレーダ像を生成すること、によって、複数のレーダモジュールからそれぞれ受信したレーダ信号の第2のセットを集約または処理するように構成され得る。
【0149】
本発明の好ましい実施形態が本明細書で示され記載されてきたが、こうした実施形態がほんの一例として提供されているに過ぎないということは当業者にとって明白である。本発明が本明細書内で提供された特定の実施例により限定されることは、意図されていない。本発明は前述の明細書を参照して記載されている一方、本明細書における実施形態の記載および例示は限定的な意味で解釈されることは意図されていない。多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく、当業者の心に思い浮かぶであろう。さらに、本発明の全ての態様は、様々な条件および変数に依存する、本明細書で述べられた特定の描写、構成、または相対的比率に限定されないことが理解されるだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。したがって、本発明は、任意のそのような代替案、修正、変形、または同等物にも及ぶことが考えられる。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求項とその均等物の範囲内の方法、および構造体がそれによって包含されるものであるということが意図されている。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダデータを処理するためのシステムであって、前記システムは、
複数のレーダモジュールと、
前記複数のレーダモジュールの各レーダモジュールに通信可能に結合された周波数発生器であって、基準周波数をもつ基準周波数信号を発生させるように構成される、周波数発生器と、
前記複数のレーダモジュールの各レーダモジュールに通信可能に結合されたタイミングモジュールであって、
絶対時刻基準またはローカル時刻基準に基づいて共有クロック信号を発生させるように、ならびに
前記共有クロック信号を含む1つ以上のタイミング信号を発生させるように
構成される、タイミングモジュールと
を含み、
前記複数のレーダモジュールの各レーダモジュールは、
前記タイミングモジュールから受信された前記1つ以上のタイミング信号を修正することによって、修正済みの1つ以上のタイミング信号を発生させるように、ならびに
基準周波数信号および前記修正済みの1つ以上のタイミング信号を使用して、複数の出射レーダパルスを含むレーダ信号の第1のセットを送信するように
構成される、システム。
【請求項2】
前記複数のレーダモジュールの各レーダモジュールに通信可能に結合されたプロセッサをさらに含み、
前記複数のレーダモジュールの各レーダモジュールは、周囲環境における少なくとも1つの物体から反射された複数の到来レーダパルスを含むレーダ信号の第2のセットを受信するようにさらに構成され、
前記プロセッサは、前記レーダ信号の第2のセットおよび前記複数の到来レーダパルスの1つ以上の特性に基づいて、処理済みのレーダ信号の第2のセットを発生させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
1つ以上の到来レーダパルスに関連付けられる位相情報および振幅情報に基づいて、前記複数の到来レーダパルスの前記1つ以上の到来レーダパルスをコヒーレントに結合させること、または
1つ以上の到来レーダパルスに関連付けられる振幅情報に基づいて、前記複数の到来レーダパルスの前記1つ以上の到来レーダパルスをインコヒーレントに結合させること
によって、前記処理済みのレーダ信号の第2のセットを発生させるように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記処理済みのレーダ信号の第2のセットに基づいて前記周囲環境内における1つ以上の物体の存在または特性を検知するために、解像度または感度を向上するようにさらに構成され、
前記1つ以上の物体は、前記少なくとも1つの物体を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記処理済みのレーダ信号の第2のセットに基づいて、前記周囲環境内における選択物体の存在または特性を検知するようにさらに構成され、
前記選択物体は、前記複数のレーダモジュールの1つ以上のレーダモジュールに対応する1つ以上の視野に跨る、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記処理済みのレーダ信号の第2のセットに基づいて、前記周囲環境内における可動物体の存在または特性を検知するようにさらに構成され、
前記可動物体は、前記複数のレーダモジュールの2つ以上のレーダモジュールに対応する2つ以上の視野の間を移動中または移動済みである、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ以上の特性は、前記複数の到来レーダパルスに関連付けられる位相、振幅、周波数、遅延、またはタイミングを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理済みのレーダ信号の第2のセットに基づいて、前記周囲環境の視覚表示を生成するように構成された視覚化モジュールをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記視覚表示は、前記複数のレーダモジュールの1つ以上のレーダモジュールのレーダ視野の視野から生成される前記周囲環境のデータ表示から得られるか、またはそれに関連付けられる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記複数のレーダモジュールの少なくとも1つのレーダモジュールの相対的な位置および配向を識別すること、ならびに、
前記複数のレーダモジュールを使用して得られた前記レーダデータの少なくとも一部を回転または並行移動させて、前記レーダデータとグローバル座標系をアライメントさせること
によって、前記複数のレーダモジュールを較正するようにさらに構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサに通信可能に結合される画像センサであって、前記周囲環境の画像データを得るように構成される、前記画像センサをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記画像センサの視野が前記複数のレーダモジュールの1つ以上のレーダモジュールの視野と少なくとも部分的に重なり合うように、前記画像センサと前記複数のレーダモジュールは互いにアライメントしている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記画像センサおよび前記複数のレーダモジュールは、前記周囲環境内における選択物体を検知し、前記選択物体を同一の物理的物体として識別するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記画像データに基づいて、前記複数の到来レーダパルスの少なくともサブセットを結合すること、または、前記複数のレーダモジュールに対する前記画像センサの位置または配向に少なくとも部分的に基づいて、前記レーダ信号の第2のセットに前記画像データを増強することによって、前記処理済みのレーダ信号の第2のセットを発生させるようにさらに構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記複数のレーダモジュールに対する前記画像センサの位置または配向を調節することによって、前記画像センサを較正するように、ならびに
前記画像センサに対する前記複数のレーダモジュールの少なくとも1つのレーダモジュールの位置または配向を調節することによって、前記複数のレーダモジュールを較正するように
さらに構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記画像センサは、カメラまたは光検知測距(light detection and ranging)(LIDAR)ユニットを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記処理済みのレーダ信号の第2のセットに基づいて、前記周囲環境の表示を実時間で生成するようにさらに構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記周囲環境の前記表示は、前記周囲環境内における1つ以上の選択物体の1つ以上の物理的特性または運動学的特性を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、
前記画像データと、前記周囲環境の前記表示をアライメントさせるように、ならびに
前記周囲環境の前記表示に対して前記画像データを回転または並行移動させるように
さらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムは、乗り物に取り付けられるように構成され、前記プロセッサは、前記処理済みのレーダ信号の第2のセットおよび前記周囲環境内における前記乗り物の移動に基づいて前記周囲環境の表示を前記生成するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【外国語明細書】