(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059622
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】積層体及びラミネートフィルムを製造する方法、積層体並びにラミネートフィルム
(51)【国際特許分類】
B42D 25/40 20140101AFI20240423BHJP
B42D 25/324 20140101ALI20240423BHJP
B42D 25/328 20140101ALI20240423BHJP
B42D 25/47 20140101ALI20240423BHJP
B44C 1/165 20060101ALI20240423BHJP
B42D 25/455 20140101ALI20240423BHJP
B42D 25/46 20140101ALI20240423BHJP
G02B 5/18 20060101ALN20240423BHJP
【FI】
B42D25/40 100
B42D25/324
B42D25/328
B42D25/47
B44C1/165 J
B42D25/455
B42D25/46
G02B5/18
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009923
(22)【出願日】2024-01-26
(62)【分割の表示】P 2020565862の分割
【原出願日】2019-05-20
(31)【優先権主張番号】102018112652.2
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019104181.3
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506151626
【氏名又は名称】オーファウデー キネグラム アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュタウプ ルネ
(57)【要約】
【課題】積層体及びラミネートインレイの製造方法、積層体、ラミネートインレイ、積層体を有するセキュリティ文書を提供する。
【解決手段】
本発明は、第1のラミネートフィルムを提供するステップと、キャリアフィルム及びキャリアフィルムから分離可能な装飾プライを有する転写フィルムを提供するステップと、放射線硬化型接着剤を含む装飾プライ及び/又は第1のラミネートフィルムを印刷するステップと、放射線硬化型接着層が装飾プライと第1のラミネートフィルムとの間に配置されるように第1のラミネートフィルムに転写フィルムを適用するステップと、放射線硬化型接着層を少なくとも部分的に硬化させるステップと、第1のラミネートフィルムから転写フィルムを剥離するステップと、積層体を形成するため、装飾層を備えた第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルムと、第2のラミネートフィルムと、を含む連続フィルムをラミネート加工するステップと、を含む。
【選択図】
図10b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体の製造方法であって、
第1の面及びこれと反対側の第2の面を有する第1のラミネートフィルムを提供するステップと、
少なくとも1つの転写フィルムを提供するステップであって、当該少なくとも1つの転写フィルムは、キャリアフィルム及び装飾プライを有し、当該装飾プライは、前記キャリアフィルムから剥離可能であり、前記キャリアフィルムの反対側に面する第1の面と、前記キャリアフィルムに面する第2の面と、を有する、少なくとも1つの転写フィルムを提供するステップと、
前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面及び前記少なくとも1つの転写フィルムの前記装飾プライの前記第1の面の少なくとも一方に放射線硬化型接着剤を印刷するステップであって、当該印刷は、一つ又は複数の第1の区域において、前記放射線硬化型接着剤が前記第1のラミネートフィルム及び前記装飾プライの少なくとも一方の前記第1の面に適用されて放射線硬化型接着層が形成され、一つ又は複数の第2の区域において、前記放射線硬化型接着剤が前記第1のラミネートフィルム及び前記装飾プライの少なくとも一方の前記第1の面に適用されないように行われ、前記放射線硬化型接着層が前記一つ又は複数の第1の区域だけに存在する、放射線硬化型接着剤を印刷するステップと、
前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面に前記少なくとも1つの転写フィルムを適用するステップであって、前記放射線硬化型接着層が設けられた前記一つ又は複数の第1の区域の少なくとも1つの部分領域及び前記放射線硬化型接着層が設けられていない前記一つ又は複数の第2の区域の少なくとも1つの部分領域が前記装飾プライの前記第1の面と前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面との間に配置されるように、前記少なくとも1つの転写フィルムを適用するステップと、
前記放射線硬化型接着層に未硬化部分を残さないように、単一のステップで、前記第1のラミネートフィルム及び前記装飾プライの少なくとも一方の前記第1の面における前記放射線硬化型接着層を完全に硬化させるステップと、
前記第1のラミネートフィルムから前記少なくとも1つの転写フィルムを剥離するステップであって、少なくとも所定の領域において少なくとも1つの前記第1の区域と重なる一つ又は複数の第1の部分領域において、前記装飾プライは剥離時に前記キャリアフィルムから剥離されて、前記第1のラミネートフィルムに残存し、一つ又は複数の第2の部分領域において、前記装飾プライは前記キャリアフィルムに残存し、前記キャリアフィルムとともに剥離される、前記少なくとも1つの転写フィルムを剥離するステップと、
前記積層体を形成するため、前記装飾プライを備えた前記一つ又は複数の第1の部分領域を有する前記第1のラミネートフィルムと、第2のラミネートフィルムと、を含む複数の連続フィルムをラミネート加工するステップと、
を含み、
第1の面領域において、前記装飾プライを備えた前記一つ又は複数の第1の部分領域及び前記放射線硬化型接着層が前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面と、前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面に面する前記第2のラミネートフィルムの第1の面との間に設けられるように、前記複数の連続フィルムをラミネート加工するステップの間に、前記第2のラミネートフィルムが前記第1のラミネートフィルムに適用され、
第2の面領域において、前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面及び前記第2のラミネートフィルムの前記第1の面が接触し、
前記第1の面領域及び前記第2の面領域の合計に対する前記第1の面領域の面積比は、80%以下であり、
前記複数の連続フィルムをラミネート加工するステップの間、前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面及び前記第2のラミネートフィルムの前記第1の面は、前記第2の面領域における少なくとも一部に亘って互いに溶解し、
前記装飾プライは、
前記装飾プライの全面領域に亘って適用されたHRI層と、
前記装飾プライの前記全面領域の一部の領域に亘って適用された金属層と、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数の連続フィルムをラミネート加工するステップの間、前記放射線硬化型接着層による前記第1の面領域における前記装飾プライの変形は、50%を超える割合で減少する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の連続フィルムをラミネート加工するステップ後、前記第1のラミネートフィルムと前記第2のラミネートフィルムとの間の接着が、ISO/IEC10373-1に記載された測定方法に準拠して、90°の剥離角度、300mm/分の剥離速度及び10mmのストリップ幅の条件下で測定したときに3.5Nを超えるように、前記第2の面領域に対する面の前記第1の面領域の面積比を選択する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ラミネートインレイを製造する方法であって、
第1の面及びこれと反対側の第2の面を有する第1のラミネートフィルムを提供するステップと、
少なくとも1つの転写フィルムを提供するステップであって、当該少なくとも1つの転写フィルムは、キャリアフィルム及び装飾プライを有し、当該装飾プライは、前記キャリアフィルムから剥離可能であり、前記キャリアフィルムの反対側に面する第1の面と、前記キャリアフィルムに面する第2の面と、を有する、少なくとも1つの転写フィルムを提供するステップと、
前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面及び前記少なくとも1つの転写フィルムの前記装飾プライの前記第1の面の少なくとも一方に放射線硬化型接着剤を印刷するステップであって、当該印刷は、一つ又は複数の第1の区域において、前記放射線硬化型接着剤が前記第1のラミネートフィルム及び前記装飾プライの少なくとも一方の前記第1の面に適用されて放射線硬化型接着層が形成され、一つ又は複数の第2の区域において、前記放射線硬化型接着剤が前記第1のラミネートフィルム及び前記装飾プライの少なくとも一方の前記第1の面に適用されないように行われる、放射線硬化型接着剤を印刷するステップと、
前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面に前記少なくとも1つの転写フィルムを適用するステップであって、前記放射線硬化型接着層が設けられた前記一つ又は複数の第1の区域の少なくとも1つの部分領域及び前記放射線硬化型接着層が設けられていない前記一つ又は複数の第2の区域の少なくとも1つの部分領域が前記装飾プライの前記第1の面と前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面との間に配置されるように、前記少なくとも1つの転写フィルムを適用するステップと、
前記放射線硬化型接着層を少なくとも部分的に硬化させるステップと、
前記第1のラミネートフィルムから前記少なくとも1つの転写フィルムを剥離するステップであって、少なくとも所定の領域において少なくとも1つの前記第1の区域と重なる一つ又は複数の第1の部分領域において、前記装飾プライは剥離時に前記キャリアフィルムから剥離されて、前記第1のラミネートフィルムに残存し、一つ又は複数の第2の部分領域において、前記装飾プライは前記キャリアフィルムに残存し、前記キャリアフィルムとともに剥離される、前記少なくとも1つの転写フィルムを剥離するステップと、
を含み、
第1の面領域において、前記装飾プライを備えた前記一つ又は複数の第1の部分領域及び前記放射線硬化型接着層が前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面と、前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面に面する前記第2のラミネートフィルムの第1の面との間に設けられるように、前記第2のラミネートフィルムが前記第1のラミネートフィルムに適用され、
第2の面領域において、前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面及び前記第2のラミネートフィルムの前記第1の面が接触し、
前記第1の面領域及び前記第2の面領域の合計に対する前記第1の面領域の面積比は、80%以下であり、
前記一つ又は複数の第1の部分領域及び前記一つ又は複数の第2の部分領域の少なくとも一方が0.1mm以上の幅を有し、
前記複数の第1の部分領域の間の最小隙間が1mmを超える大きさであり、
前記装飾プライは、
前記装飾プライの全面領域に亘って適用されたHRI層と、
前記装飾プライの前記全面領域の一部の領域に亘って適用された金属層と、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記放射線硬化型接着層を少なくとも部分的に硬化させるステップの後、前記放射線硬化型接着剤を印刷するステップにおいて、前記第1のラミネートフィルムより高い軟化温度を有する放射線硬化型接着剤が印刷される、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記放射線硬化型接着剤を印刷するステップは、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷及びインクジェット印刷のうち少なくとも1つを用いて行われ、
前記放射線硬化型接着層は染色される、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のラミネートフィルム及び前記少なくとも1つの転写フィルムの少なくとも一方は、照射の波長範囲について10%を超える透明度を有する、ことを特徴とする請求項4~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記一つ又は複数の第1の部分領域及び前記一つ又は複数の第2の部分領域は、0.1mm~0.6mmの幅を有する、ことを特徴とする請求項4~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1のラミネートフィルム及び前記第2のラミネートフィルムの少なくとも一方は、熱可塑性プラスチックからなる、ことを特徴とする請求項4~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第1のラミネートフィルム及び前記第2のラミネートフィルムの少なくとも一方は、30μm~400μmの厚さを有する、ことを特徴とする請求項4~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面に前記少なくとも1つの転写フィルムを適用する間、前記放射線硬化型接着層は、前記一つ又は複数の第1の部分領域において、前記装飾プライ及び前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面と接触し、前記一つ又は複数の第2の部分領域において、前記装飾プライ又は前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面と接触しない、ことを特徴とする請求項4~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記一つ又は複数の第1の部分領域は、一つ又は複数のモチーフ領域の形態で配置される、ことを特徴とする請求項4~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの転写フィルムを適用するステップ及び前記少なくとも1つの転写フィルムを剥離するステップは、複数回繰り返される、ことを特徴とする請求項4~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ラミネートインレイであって、
前記ラミネートインレイは、第1の面及びこれと反対側の第2の面を有する第1のラミネートフィルムを有し、
少なくとも1つの転写フィルムのキャリアフィルムから剥離された少なくとも1つの装飾プライ及び少なくとも部分的に硬化され、前記装飾プライと前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面との間に配置された放射線硬化型接着層は、一つ又は複数の第1の部分領域に設けられ、前記装飾プライは、一つ又は複数の第2の部分領域に設けられず、前記キャリアフィルムとともに剥離され、
第1の面領域において、前記装飾プライを備えた前記一つ又は複数の第1の部分領域及び前記放射線硬化型接着層が前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面と、前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面に面する前記第2のラミネートフィルムの第1の面との間に設けられるように、ラミネート加工の間に前記第2のラミネートフィルムが前記第1のラミネートフィルムに適用され、
第2の面領域において、前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面及び前記第2のラミネートフィルムの前記第1の面が接触し、
前記第1の面領域及び前記第2の面領域の合計に対する前記第1の面領域の面積比は、80%以下であり、
前記一つ又は複数の第1の部分領域及び前記一つ又は複数の第2の部分領域の少なくとも一方が0.1mm以上の幅を有し、
前記複数の第1の部分領域の間の最小隙間が1mmを超える大きさであり、
前記装飾プライは、
前記装飾プライの全面領域に亘って適用されたHRI層と、
前記装飾プライの前記全面領域の一部の領域に亘って適用された金属層と、
を含む、ことを特徴とするラミネートインレイ。
【請求項15】
積層体であって、
前記積層体は、前記積層体を形成するように互いに積層される、複数の連続フィルムを有し、前記複数の連続フィルムは、第1のラミネートフィルムと、第2のラミネートフィルムと、を含み、
前記第1のラミネートフィルムは第1の面及びこれと反対側の第2の面を有し、
少なくとも1つの転写フィルムのキャリアフィルムから剥離された少なくとも1つの装飾プライ及び少なくとも部分的に硬化され、前記装飾プライと前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面との間に配置された放射線硬化型接着層は、一つ又は複数の第1の部分領域に設けられ、前記装飾プライは、一つ又は複数の第2の部分領域に設けられず、前記キャリアフィルムとともに剥離され、
前記放射線硬化型接着層は一つ又は複数の第1の区域だけに存在し、
前記装飾プライと前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面との間に配置された前記放射線硬化型接着層は、前記放射線硬化型接着層に未硬化部分が残らないように、単一のステップで硬化され、
前記装飾プライは、接着剤が存在する箇所に転写され、
第1の面領域において、前記装飾プライを備えた前記一つ又は複数の第1の部分領域及び前記放射線硬化型接着層が前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面と、前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面に面する前記第2のラミネートフィルムの第1の面との間に設けられるように、ラミネート加工の間に前記第2のラミネートフィルムが前記第1のラミネートフィルムに適用され、
第2の面領域において、前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面及び前記第2のラミネートフィルムの前記第1の面が接触し、
前記第1の面領域及び前記第2の面領域の合計に対する前記第1の面領域の面積比は、80%以下であり、
前記ラミネート加工の間、前記第1のラミネートフィルムの前記第1の面及び前記第2のラミネートフィルムの前記第1の面は、前記第2の面領域における少なくとも一部に亘って互いに溶解し、
前記装飾プライは、
前記装飾プライの全面領域に亘って適用されたHRI層と、
前記装飾プライの前記全面領域の一部の領域に亘って適用された金属層と、
を含む、ことを特徴とする積層体。
【請求項16】
請求項15に記載の積層体を有するセキュリティ文書。
【請求項17】
請求項15に記載の積層体又は請求項16に記載のセキュリティ文書を製造するための請求項14に記載のラミネートインレイの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体及びラミネートインレイを製造する方法、積層体、ラミネートインレイ、及びそのような積層体を有する特に銀行カード、身分証、文書のデータページ、クレジットカード又は紙幣の形態をなすセキュリティ文書に関する。
【背景技術】
【0002】
ラミネート加工処理において、積層体を形成するため溶解されかつ/又は接着された複数のラミネートシートから、セキュリティ文書、特に銀行カード、クレジットカードなどを製造する方法が知られている。通常、これらのセキュリティ文書は、互いに対して積層される個々のフィルムの積層方向に対する横方向の範囲が当該積層方向よりもより大きい。ここで、これらのセキュリティ文書は、通常、標準化されたフォーマットのサイズ及び厚さ(例えばカードのサイズや厚さ)を有し、セキュリティエレメント、例えば電子チップ、エンボス加工部又はオーバプリントが積層体に埋め込まれるか、又は積層体に取り付けられる。そのようなセキュリティ文書は、積層プロセスにより、例えばプラスチックフィルムである連続するプライが互いに特に良好な接着性を有し、したがって、偽造防止及び外的環境の影響に対する耐性が特に高いという特徴を有する。
【0003】
そのようなセキュリティエレメントは、例えば、EP2886357B1に開示されている。このセキュリティエレメントは、ラミネート工程においてモノリシックブロック(monolithic block)を形成するように溶解された複数のラミネートシートを有する。さらに、ラミネート加工を実行する前にラミネートシートにワニス層が印刷される。次いで、ラミネートシートは、ワニス層が2つのラミネートシートの間の内側に配置され、セキュリティ機能部をもたらすようにラミネート工程によりラミネート加工され、積層体が形成される。セキュリティ機能部は、ラミネートシート間で積層されているため積層体を壊すことなく偽造することができず、特に環境の影響から特に良好に保護される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良された積層体、積層体を製造するための改良されたラミネートインレイ、及び、積層体を製造するための方法を明確にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、以下のステップを含む、積層体又はラミネートインレイを製造する方法により実現する。前記方法は、第1の面及びこれと反対側の第2の面を有し、特にポリカーボネートから形成された第1のラミネートフィルムを提供するステップと、少なくとも1つの転写フィルムを提供するステップであって、当該少なくとも1つの転写フィルムは、キャリアフィルム及び装飾プライを有し、当該装飾プライは、キャリアフィルムから剥離可能であり、キャリアフィルムの反対側に面する第1の面と、キャリアフィルムに面する第2の面と、を有する、少なくとも1つの転写フィルムを提供するステップと、第1のラミネートフィルムの第1の面及び/又は少なくとも1つの転写フィルムの装飾プライの第1の面に放射線硬化型接着剤を印刷するステップであって、当該印刷は、一つ又は複数の第1の区域において、放射線硬化型接着剤が第1のラミネートフィルム及び/又は装飾プライの第1の面に適用されて放射線硬化型接着層が形成され、一つ又は複数の第2の区域において、放射線硬化型接着剤が第1のラミネートフィルム及び/又は装飾プライの第1の面に適用されないように行われる、放射線硬化型接着剤を印刷するステップと、第1のラミネートフィルムの第1の面に少なくとも1つの転写フィルムを適用するステップであって、放射線硬化型接着層が設けられた一つ又は複数の第1の区域の少なくとも1つの部分領域及び放射線硬化型接着層が設けられていない一つ又は複数の第2の区域の少なくとも1つの部分領域が装飾プライの第1の面と第1のラミネートフィルムの第1の面との間に配置されるように、少なくとも1つの転写フィルムを適用するステップと、放射線硬化型接着層を少なくとも部分的に硬化させるステップと、第1のラミネートフィルムから少なくとも1つの転写フィルムを剥離するステップであって、少なくとも所定の領域において少なくとも1つの第1の区域と重なる一つ又は複数の第1の部分領域において、装飾プライは剥離時にキャリアフィルムから分離されて、第1のラミネートフィルムに残存し、一つ又は複数の第2の部分領域において、装飾プライはキャリアフィルムに残存し、キャリアフィルムとともに剥離される、少なくとも1つの転写フィルムを剥離するステップと、を含む方法。
【0006】
接着層のさらなる後硬化は、後処理に基づいて、例えばさらなる照射によって、又は例えばカチオン系の場合、経時的な独立したさらなる硬化反応によって行われる。
【0007】
積層体の製造のため、さらに、第1のラミネートフィルム及び装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域並びに少なくとも1つの第2のラミネートフィルムを含むラミネートインレイを有する複数の連続フィルムがラミネート加工されて積層体が形成される。
【0008】
さらに、前記目的は、特に前記方法により製造されたラミネートインレイにより実現する。ラミネートインレイは、第1の及びこれと反対側の第2の面を有し、特にポリカーボネートから形成された第1のラミネートフィルムを有する。少なくとも1つの転写フィルムのキャリアフィルムから剥離された少なくとも1つの装飾プライ及び少なくとも部分的に硬化され、装飾プライと第1のラミネートフィルムの第1の面との間に配置された放射線硬化型接着層は、一つ又は複数の第1の部分領域に設けられ、少なくとも1つの装飾プライは、一つ又は複数の第2の部分領域に設けられず、キャリアフィルムともに剥離される。
【0009】
さらに、前記目的は、特に前記方法により形成された積層体により実現する。積層体は、積層体を形成するように互いにラミネート加工された複数の連続フィルムを有し、複数の連続フィルムは、特にポリカーボネートからなる第1のラミネートフィルムと、少なくとも1つの第2のラミネートフィルムと、を含む。第1のラミネートフィルムは第1の面及びこれと反対側の第2の面を有する。少なくとも1つの転写フィルムのキャリアフィルムから剥離された少なくとも1つの装飾プライ及び少なくとも部分的に硬化され、装飾プライと第1のラミネートフィルムの第1の面との間に配置された放射線硬化型接着層は、一つ又は複数の第1の部分領域に設けられ、少なくとも1つの装飾プライは、一つ又は複数の第2の部分領域に設けられず、キャリアフィルムともに剥離される。
【0010】
さらに、この目的は、そのような積層体を有するセキュリティ文書及び積層体又はセキュリティ文書を製造するためのラミネートインレイにより実現する。
【0011】
本発明は、放射線硬化型接着層によってその後のラミネート加工における破断及び/又は劣化から保護される個別に構造化された装飾層が、所定の領域における放射線硬化型接着層のオーバプリント及び転写プロセスによってラミネートフィルムに形成されるという知識に基づいている。したがって、本発明の場合、放射線硬化型接着層は「二重の機能」を有する。他方、この接着層は、特に印刷方法及び/又は熱スタンピング方法によって適用され得ないか、あるいは不十分に適用されるか、あるいは必要な層の厚さ又は解像度では適用され得ない装飾層を、構造化された個別の方法でラミネートフィルムに適用するように機能する。さらに、驚くべきことに、放射線硬化型接着層は、ラミネート加工中に適用されたこれらの装飾層をさらに安定化させ、特に装飾層の光学的効果の低下を防ぐことが分かった。この安定化は、放射線硬化型接着剤が硬化するとき及び前記加工時の架橋反応中に、熱及び圧力の作用に対して非常に安定し、正確に見当合わせされて設けられ、ラミネート加工時の熱及び圧力の影響から、正確に見当合わせされた方法で装飾層を保護し、さらに装飾層に単位面積あたりの対応する均一な負荷をもたらす「安定化構造」が転写された装飾層の領域に提供されることにより実現する。これにより、前記安定化なしでそれ自体は非常に薄く、機械的に不安定でありかつ/又は温度の影響に敏感である装飾層の使用が可能となる。
【0012】
したがって、層の厚さが薄く脆弱であるために非常に小さな領域において装飾プライがキャリアフィルムから剥離されることにより転写時に高解像度が得られるように装飾プライを設計することができる。また、これに対応して、少なくとも部分的に存在する一つ又は複数の装飾層も高解像度で転写される。
【0013】
さらに、架橋反応を開始し、装飾層を構造化するために熱又は圧力を使用する必要がない。そのため、転写プロセス中に装飾層及びラミネートフィルムの熱負荷及び圧力負荷を非常に低く保つことができる。転写された装飾層に安定化構造を正確に見当合わせして提供すること及び第2の部分領域を提供することにより、対応する「結合ブリッジ」がさらにもたらされる。これにより、ラミネート方法を使用する利点が維持され、本発明によるラミネートインレイが使用される際に、安定した層結合を実現することができる。
【0014】
本発明の有利な実施例は従属請求項に記載されている。
【0015】
ラミネートフィルム及びラミネートインレイは、ラミネート加工により積層体、特にモノリシックな(一体構造の)積層体を形成するため、一つ又は複数のさらなる層、特にラミネートフィルムでラミネート加工される単層又は多層のフィルムを意味する。このフィルムは、好ましくは、少なくとも所定の領域における一方の面に熱可塑性プラスチックを含む単層又は多層のプラスチックフィルムにより形成され、したがって、ラミネート加工により少なくとも所定の領域において前記面をさらなるラミネートフィルムに「溶接(溶着)」することを可能にする。好ましくは、このフィルムは、一つ又は複数の層を有する。当該層は、熱可塑性材料、特に、好ましくは当該フィルムの主成分を形成するポリカーボネート、PVC又はPETからなる。
【0016】
さらに、低温で既に結合しているか、又は、例えばラミネート加工時に互いに良好な接着性を持たないポリエステルやポリカーボネートなどの材料を結合することが可能なさらなる層を使用してもよい。この例として、熱可塑性ポリウレタン又は反応型接着層がある。
【0017】
ラミネート加工方法とは、熱及び圧力を用いて2つ以上の層を互いに接合する方法を意味する。一つ又は複数の層は少なくとも所定の領域における層境界で溶解して、少なくとも所定の領域において互いに融合される。ラミネート加工方法において、複数のフィルムは、好ましくは、120°Cを超える温度まで加熱され、同時に圧力によって互いに押し付けられる。ラミネート加工中に必要な温度は、使用する材料によって異なり、例えば、PVCの場合はポリカーボネートの場合よりもはるかに低温となる。異なる材料を互いに接合する場合、例えば熱可塑性ポリウレタンなどのさらなる層が接着層として機能する。
【0018】
積層体とは、ラミネート加工方法により互いに結合された、特にラミネート加工方法によりモノリシックブロックするように結合、例えば溶解(融合)及び/又は接着された、2つ以上のフィルムの層複合体を有する層体を意味する。
【0019】
ラミネート加工ステップの間、装飾プライを含む一つ又は複数の第1の部分領域は、好ましくは、第1のラミネートフィルムと少なくとも1つの第2のラミネートフィルムの間の内側に配置される。第1のラミネートフィルム上に装飾プライが設けられていない一つ又は複数の第2の部分領域により、当該領域において、他の材料、特に転写プライがラミネート加工ステップ中における第1及び第2のラミネートフィルムの結合を妨げず、したがって、ラミネート加工を実行したときに第1及び第2のラミネートフィルム間に良好な層間接着がもたらされることが保証される。これは特に、第1及び第2のラミネートフィルムが同じ材料、特にPVC又はポリカーボネートからなる場合である。
【0020】
ラミネートインレイの製造及びラミネート方法は、ロールツーロール機械加工プロセス、ロールツーシート機械加工プロセス又はシートベースの機械加工プロセスで行われる。
【0021】
見当合わせ(位置合わせ)を用いる場合にさらに有利であり、これにより、第1のラミネートフィルム及び/又は少なくとも1つの転写フィルムに対する放射線硬化型接着剤の正確に見当合わせされた印刷、ラミネート加工を実行したときの第1のラミネートフィルムに対する転写フィルムの正確に見当合わせされた適用、かつ/並びに、ラミネートインレイに対する少なくとも1つの第2のラミネートフィルムの正確に見当合わせされた適用が実現する。
【0022】
見当又は見当合わせ(位置合わせ)あるいは見当精度又は見当合わせ精度とは、互いに対する2つ以上のエレメント及び/又は層の位置精度を意味する。見当精度(見当合わせ精度)は、可能な限り小さくすべき所定の許容範囲内の範囲である。複数のエレメント及び/又は層の互いに対する見当精度(見当合わせ精度)は、プロセスの信頼性を高めるために重要である。位置的に正確な配置は、特に感覚的、好ましくは光学的に検出可能な見当マーク又は見当合わせ(位置合わせ)マークにより実現することができる。見当マーク又は見当合わせマークは、特定の個別の要素又は領域又は層又は見当マーク又は見当合わせマーク自体を示すか、あるいは配置される要素又は領域又は層の一部である。
【0023】
本明細書において、見当又は見当合わせ(位置合わせ)とは、一つ又は複数の方法ステップが第1及び/又は第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数の転写フィルムにおける構造に対して見当合わせされ又は正確に見当合わせされて行われることを意味する。したがって、見当又は見当合わせ(位置合わせ)を実行することにより、生成された第1又は第2の部分領域が前記構造に対して見当合わせされ、正確に見当合わせされ、精度よく見当合わせされて配置され、したがって、互いに対して所定の位置に配置される。見当又は見当合わせ(位置合わせ)が実行されると、好ましくは転写フィルム又は複数の転写フィルム及び/又は第1のラミネートフィルム及び/又は第2のラミネートフィルムにおける見当合わせマークが検出される。これらの見当合わせマークは、例えば、オーバプリント及び/又は穿孔(ミシン目)からなる。構造の位置的な配置は、これらの見当合わせマークを検出することにより決定される。しかし、前記構造は、例えば、カメラ及び対応する画像処理ソフトウェアにより直接検出される。また、この構造は、有利には光学的に回折性の見当合わせマークと共に存在する光学回折機能部とし得る。これに依存して、さらに、特に放射線硬化型接着剤の印刷、第1のラミネートフィルムに対する一つ又は複数の転写フィルムの適用及び/又は第2のラミネートフィルムに対する第1のラミネートフィルム又はラミネートインレイの適用は、所望の構造が互いに対して位置的に正確に配置されるように、制御又は規制される。このため、例えば検出された見当合わせマークに基づいて、例えば転写フィルム及び/又は第1のラミネートフィルム及び/又は第2のラミネートフィルムを引き伸ばすことにより、かつ/あるいは、対応するように距離を変更することにより、かつ/あるいは、印刷ツールを追跡することにより、例えばフレキソ印刷の場合、装飾用の印刷シリンダの速度を適応させることにより、かつ/あるいは、例えばインクジェット印刷の場合、デジタル印刷の同期された活性化により、フィルムウェブの位置を対応するように調節することが有利である。その結果、所望とする位置的状態を実現して、構造が互いに対して位置的に正確に配置される。
【0024】
好ましくは、第1の面領域において、装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域及び放射線硬化型接着層が第1のラミネートフィルムの第1の面と、第1のラミネートフィルムに面する少なくとも1つの第2のラミネートフィルムの第1の面との間に設けられるように、ラミネート加工ステップの間に少なくとも1つの第2のラミネートフィルムが第1のラミネートフィルムに適用される。さらに、第1のラミネートフィルムの第1の面及び第2のラミネートフィルムの第1の面が第2の面領域において接触することが有利である。
【0025】
したがって、装飾プライが第1及び第2のラミネートフィルムの間に設けられた状態で一つ又は複数の第1の部分領域の全面領域により第1の面領域が形成される。装飾プライが第1及び第2のラミネートフィルムの間に設けられずに、一つ又は複数の第2の部分領域の全面領域により第2の面領域が形成される。
【0026】
次いで、ラミネート加工ステップの間、第1のラミネートフィルムの第1の面及び第2のラミネートフィルムの第1の面は、好ましくは、第2の面領域において溶解しかつ/又は互いに接着される。これにより、ラミネート加工ステップの間に、第1及び第2のラミネートフィルムにおいて確実な面結合が実現し、これに対応して、積層体において装飾プライが保護される。
【0027】
本実施例では、好ましくは、ラミネート加工ステップの間に実行されるラミネート方法の条件下で放射線硬化型接着層が実質的に寸法的に安定するように、放射線硬化型接着層がラミネート加工ステップ前に硬化される。
【0028】
例えば、ポリカーボネート、アモルファス(非晶性)PET又はPVCなどのアモルファス熱可塑性プラスチックと異なり、放射線硬化型接着剤は、通常のラミネート温度において十分な機械的安定性を保持する。温度が上昇するにつれて僅かに減少する可能性があるが、軟化した周囲のラミネート材料よりもはるかに高い状態で維持される。
【0029】
好ましくは、放射線硬化型接着層の変形は、ラミネート方法が実行される前及びラミネート方法が実行された後における接着層の成形を検出し、ラミネート方法を実施した後の開始形状からの偏差の平均割合を求めることにより判断される。
【0030】
さらに、ラミネート加工ステップの間、放射線硬化型接着層による少なくとも1つの第1の面領域における装飾プライの変形が50%を超える、特に80%を超える割合で減少する場合に有利である。装飾プライの変形は、放射線硬化型接着層の変形と同様に判断され、かつ、放射線硬化型接着層を使用した場合の装飾プライの変形と放射線硬化型接着層を使用しない場合の装飾プライの変形とを比較する。
【0031】
そのような放射線硬化型接着層の設計により、装飾プライの光学的劣化を大幅に防止することができ、したがって、積層体又はセキュリティ文書の光学的品質を大幅に向上することが試験により分かった。
【0032】
セキュリティ文書において、特に、第1及び第2の面領域の合計に対する第1の面領域の面積比は、80%以下、特に2%~80%、さらに好ましくは5%~50%である。これらの面積比によれば、一方では第1および第2のラミネートフィルム間の層間接着は、ラミネート加工後も十分に偽造を防止することができ、他方では光学設計の可能性が制限されないことが試験により分かった。
【0033】
さらに、ラミネート加工後の第1のラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムとの間の層間接着は、第1の面領域と第2の面領域との面積比に依存するだけでなく、第1及び第2の部分領域の設計に依存することが試験により分かった。また、一つ又は複数の第1の部分領域が8mm以下の幅、特に5mm以下の幅を有する場合に特に有利であることが分かった。
【0034】
さらに、複数の第1の部分領域間の最小隙間が1mmを超える大きさである場合に有利である。第1の部分領域の面密度が、1cm2の参照サイズの80%未満であるとさらに有利である。前記一つ又は複数の特性により、積層体を引きはがそうとする試みに対して、積層体の点状の剥離又は層間剥離が大幅に防止されることが試験により分かった。
【0035】
互いに離間した相対的に小さい面積を有する複数の第1の部分領域のさらなる利点は、積層体を形成するためのラミネート加工ステップ中のラミネートフィルムの材料の流れに起因する裂け目及び/又はカール及び/又は座屈が生じる可能性が減少することである。
【0036】
領域、部分領域又は面の領域の幅とは、各々の領域における対向する2つの縁部間の最も短い距離を意味する。長さとは、各々の領域における対向する2つの縁部間の最も長い距離を意味する。
【0037】
さらに、一つ又は複数の第1の部分領域及び/又は一つ又は複数の第2の部分領域が0.1mm以上の幅、特に0.2mm以上の幅を有すると有利であることが分かった。これにより、ラミネート加工ステップ中に作用する力によって装飾プライの対応する部分領域が互いに対して変位せず、したがって、装飾プライを介したグラフィックデザインはラミネート加工ステップ中に作用する力によって劣化しないことが試験により分かった。
【0038】
さらに、一つ又は複数の第1の部分領域及び/又は一つ又は複数の第2の部分領域が0.1mm~0.6mmの幅、好ましくは0.1mm~0.4mmの幅を有する場合に有利であることが分かった。第1及び/又は第2の部分領域の対応する設計により、第1及び第2の部分領域への積層体の面領域の「ラスタ化(rasterization)」を光学的に隠すことができ、したがって、積層体により大きな面積を有する継続的に出現するグラフィックデザインを形成することができる。
【0039】
さらに、一つ又は複数の第1の部分領域及び/又は第2の部分領域がラスタのラスタ要素を形成する場合に有利であることが分かった。ラスタ要素は、任意の所望とする形状をそれぞれ有してもよく、それぞれ異なるように設計されてもよく、例えば丸形、四角形、ひし形、絵文字等の単一形状を有していてもよい。ラスタ要素の横方向の範囲、つまりラスタ要素の幅及び長さは、好ましくは0.1mm~0.6mmとなるように選択される。しかし、より大きなラスタ要素を用いてもよい。好ましくは、ラスタ要素は、ラスタ内において規則的な一次元又は二次元の配置で配置される。しかし、個々のラスタ要素の配列が一定ではなく、変化、特に、フラクタルパターンに従ってランダム又は疑似ランダムに変化してもよい。好ましくは、ラスタは、10を超えるラスタ要素、さらに好ましくは20を超えるラスタ要素を有する。
【0040】
そのような第1及び第2の部分領域の設計により、第1及び第2のラミネートフィルムの間に特に良好な層間接着が実現する。これにより、第1及び第2の部分領域が対応するように互いに繰り返し続き、したがって、大きな面積領域であっても層間接着の損失を防ぐことができる。さらに、これにより、積層体における層間接着を損なうことなく、大きな面積のグラフィック表現を生成することができる。
【0041】
好ましくは、積層体の外縁により定められ、好ましくは積層体の全ての外縁により定められる一つ又は複数の第2の部分領域が設けられる。そのような配置により、積層体の縁部領域において特に高い層間接着が実現し、環境の影響に対する耐性及び偽造に対する保護がさらに向上する。好ましくは、これらの第2の部分領域は、2mmを超える幅、好ましくは4mmを超える幅を有する。
【0042】
さらに、接着、したがって、第1のラミネートフィルムを第2のラミネートフィルムから剥離するのに必要な剥離力(分離力)が3.5Nを超えるように、面領域に対する第1の面領域の面積比を選択することが有益であることが分かった。これは、好ましくは、90°の剥離角度、300mm/分の剥離速度、10mmのストリップ幅で測定した場合である。適切な測定方法は、例えばISO/IEC10373-1に記載されている。ここで、測定される剥離力の最小値は、好ましくは、少なくとも20mmの剥離距離に亘って決定される。距離の最初と最後の5mmは考慮されず、また、1mm未満の距離に亘る剥離力の降下又は他の変動も考慮されない。
【0043】
好ましくは、剥離角度は、対応するローラ、好ましくは10mmの直径を有するローラを使用することにより得られる。
【0044】
積層体における第1及び第2の部分領域の成形を確実にするため、ラミネートフィルムの製造中に、第1及び第2の部分領域の対応する模様が第1のラミネートフィルムに形成され、第1のラミネートフィルムの対応するセクションが第2のラミネートフィルムとともにラミネート加工されて積層体が形成される。
【0045】
放射線硬化型接着剤は、照射源からの照射により少なくとも部分的に誘導される、重合又は架橋反応によって硬化し、長鎖分子を形成する接着剤である。そのような接着剤は、例えば、反応性アクリレート、エポキシ又はエノールエーテル及び光開始剤を含む。光に曝されている間、光開始剤は、ラジカル又は反応性カチオン(超酸)を形成し、これにより長鎖分子の重合又は架橋反応を誘発する。放射線硬化型接着剤に応じて、架橋反応が生じる照射の波長が異なる。
【0046】
また、放射線硬化型接着剤は、異なる波長又は波長範囲で異なる反応を示す複数の異なる光開始剤を有していてもよい。これにより、放射線硬化型接着剤の硬化が目的の方法で段階的に実行され、以下に記載する利点がもたらされる。
【0047】
印刷ステップにおいて、好ましくは硬化ステップが行われた後の第1のラミネートフィルム及び/又は第2のラミネートフィルムより高い軟化温度を有し、特に第1のラミネートフィルム及び/又は第2のラミネートフィルムより少なくとも10K、好ましくは20K以上高い軟化温度を有する放射線硬化型接着剤が印刷される。これにより、ラミネート加工が実行されるとき、放射線硬化型接着層は第1又は第2のラミネートフィルムよりもはるかに寸法的に安定しており、したがって、ラミネート加工中の装飾プライに特に良好な機械的保護がもたらされる。
【0048】
種々のさらなる化学反応、例えば、熱反応の後に硬化する放射線硬化型ハイブリッドシステムを使用してもよい。
【0049】
これにより、特に、接着層の柔軟性を要件に適合させることができる。一方、ラミネート加工ステップ中の転写プライの劣化を回避して積層体を形成するのに十分な寸法安定性があり、他方、非常に脆く柔軟性のない層の場合に生じる虞のある破断又は亀裂が転写プライに生じないように十分な柔軟性がある。
【0050】
好ましくは、放射線硬化型接着剤の印刷は、0.2g/m2~20g/m2、好ましくは0.5g/m2~10g/m2、さらに好ましくは0.5g/m2~5g/m2の適用重量で行われる。さらに、第1のラミネートフィルム及び転写フィルムが見当合わせされて印刷されるように所望の層厚が実現する。第1のラミネートフィルム又は転写フィルムにおける放射線硬化型接着剤の層厚は、好ましくは、適用される放射線硬化型接着剤の総厚さ(100%)の10%~90%の間の値を有する。例えば、10%の放射線硬化型接着剤が転写フィルムに適用され、残りの90%が第1のラミネートフィルムに適用されてもよいし、又は、この逆としてもよい。
【0051】
そのような適用重量が用いられる場合、ラミネート加工を実行するときに装飾プライを保護するため放射線硬化型接着層が十分な機械的安定性を有し、他方では、装飾プライの転写が行われる縁部のシャープさはさほど減少しないことが試験から分かった。
【0052】
好ましくは、放射線硬化型接着剤の印刷は、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷又はインクジェット印刷により行われる。フレキソ印刷を使用することにより、転写される装飾プライの領域における縁部のシャープさが高くなることが試験から分かった。特に費用効果が高く、印刷速度の速い印刷は、特に連続的なロールツーロール法を使用することにより実現する。インクジェット印刷による印刷の利点は、特に、接着剤オーバプリントの個別化、したがって、転写される装飾プライによって生成される装飾の対応する個別化を実現することがことである。
【0053】
印刷方法に応じて、粘度の範囲を異ならせることが有利である。例えば、グラビア印刷では低粘度が望ましく、フレキソ印刷で中程度の粘度が望ましく、スクリーン印刷ではより高い粘度が望ましい。
【0054】
好ましくは、放射線硬化型接着剤は、特にフレキソ印刷による印刷中、400mPas~2000mPas、好ましくは500mPas~1200mPas、さらに好ましくは500mPas~800mPasの動粘度を有する。対応する粘度を設定することにより、オーバプリントの解像度及びその後の転写のための十分な印刷領域のエリアカバー率に関して、特に良好な印刷品質が実現することが試験により分かった。好ましくは、粘度は、DIN ISO3219:1994-10(「プラスチック-液体状態又はエマルジョン又は分散液としてのポリマー/樹脂-定義されたせん断速度の回転粘度計を使用した粘度の決定」"Plastics - Polymers/resins in the liquid state or as emulsions or - Determination of viscosity using a rotational viscometer with defined shear rate"、発行日1994年10月)に準拠した、例えばHAAKE Viscotester(登録商標)VT550(米国マサチューセッツ州ウォルサムに所在するサーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、さらに好ましくは、DIN53019に準拠したシリンダ測定装置NVのDINアダプタ及び測定カップNV[NV]を用いて測定される。
【0055】
接着剤成分は、例えば、モノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレート、オリゴマー及びモノマーである。接着剤の硬化は、例えば、通常の水銀灯を用いて行われる。必要な紫外線量は接着剤系によって異なる。通常、50mJ/cm2以上の紫外線量が必要である。また、UV水銀灯は鉄又はガリウムドープしたエミッタであってもよい。第1のラミネートフィルム及び/又は転写フィルムの望ましくない加熱をもたらすIR入力はフィルタ又は冷光反射器によって有利に低減される。さらに、UV-LEDエミッタを照射源として用いてもよい。照射の最大強度は、好ましくは、330nm~410nmの波長範囲である。さらに、短時間に高強度で発光するフラッシング発光器を照射源として用いてもよい。エミッタをセグメント化して使用してもよい。処理中、放射線が照射されるのはウェブの全幅ではなく、主に放射線硬化型接着剤が印刷された領域である。そのようなセグメント化は、例えばマスクにより又はUV-LEDエミッタの場合、選択セグメントのオンとオフを切り替えることによって実行され得る。第1のラミネートフィルム及び/又は転写フィルムは、処理中、有害な放射線に対して保護される。
【0056】
放射線硬化型接着層は、一つ又は複数の照射源による照射により少なくとも部分的に硬化する。以下に記載するように、1つの硬化ステップ又は複数の硬化ステップにより硬化が行われてもよい。照射は、好ましくは、500nm以下の波長範囲、特に紫外線光により行われる。特に、250nm及び/又は310nm及び/又は365nm及び/又は395nm及び/又は420nmの波長領域の使用は、放射線硬化型接着層の硬化に有効であることが分かっている。この領域で水銀灯又は高出力UV-LEDが市販されている場合、典型的な電力ピークはこの領域で見られる。業界で通例の光開始剤もこれらの波長領域用に設計されている。
【0057】
第1のラミネートフィルム及び/又は少なくとも1つの転写フィルムが、照射の少なくとも1つの波長範囲に対して10%を超える透明度を有する場合にさらに有利である。この波長範囲では少なくとも1つの光開始剤の感度が高い。これにより、十分な硬化を実現でき、影響を受けるエネルギー入力によってラミネートフィルム及び/又は装飾プライの劣化が生じない。
【0058】
硬化に使用される特定の発光スペクトルを考慮する必要がある。例えば、ピーク波長が365nmであり半値幅が30nmであるUV-LEDエミッタを使用する場合、この範囲、特にこの例では355nm~395nmの透明度が重要である。対応する材料の選択により、この波長範囲に亘って10%を超える透過度が得られることが好ましい。
【0059】
好ましくは、放射線硬化型接着剤は、第1のラミネートフィルムの第1の面及び/又は装飾層に対する放射線硬化型接着剤の印刷後又は印刷中で、第1のラミネートフィルムの第1の面に対する少なくとも1つの転写フィルムの適用前に1つの硬化ステップにおいて硬化される。そのような予備硬化(前硬化)により、ラミネートフィルムの第1の面及び/又は装飾プライにおける接着剤のオーバプリントの「流れ」を防止又は制限することができ、したがって、オーバプリントの輪郭をさらにシャープにすることができる。
【0060】
放射線硬化型接着剤の動粘度は、好ましくは、印刷中又は印刷後及び少なくとも1つの転写フィルムを第1のラミネートフィルムの第1の面に適用する前に、そのような予備硬化により20mPas~3000mPas、好ましくは50mPas~1000mPasの動粘度まで増加する。これにより、前述の利点が得られる。
【0061】
任意選択的に、印刷に適した範囲まで粘度を減少させるため、対応する印刷ステーションにおけるワニス槽において放射線硬化型接着剤を加熱してもよい。印刷後、ワニスが冷えて粘度が再び上昇する。少なくとも1つの転写フィルムの供給中、上昇した粘度により、薄い接着剤の場合よりも、印刷の細部が容易に保存される。例えば、30°C~80°C、好ましくは30°C~60°Cまで加熱される。好ましくは、放射線硬化型接着剤はこの硬化ステップにより10%~50%、さらに20%~30%程度まで予備硬化される。
【0062】
さらに、第1のラミネートフィルムの第1の面に対する少なくとも1つの転写フィルムの適用後又は適用中及び少なくとも1つの転写フィルムが第1のラミネートフィルムから剥がされる前に、硬化ステップにおいて、特に50%を超える、好ましくは80%を超える程度まで放射線硬化型接着層を硬化させることが有利である。非重合性モノマー及び/又はオリゴマーの割合は、50%未満、好ましくは20%未満である。上記の硬化により、装飾プライと第1のラミネートフィルムとの間の接着が向上し、これにより、一つ又は複数の第1の部分領域における装飾プライの剥離が向上する。しかし、対応する剥離層が転写フィルムに用いられ、放射線硬化型接着層及び装飾プライ及び/又は第1のラミネートフィルムの層間接着が十分である場合、前記硬化ステップを省略してもよい。
【0063】
接着層の完全な硬化は、以下に記載した点により前記硬化ステップではまだ達成されないことが好ましい。
【0064】
さらに好ましくは、放射線硬化型接着層は、第1のラミネートフィルムからの少なくとも1つの転写フィルムの剥離後又は剥離中で、かつ積層体を形成するためのラミネート加工ステップ前に、硬化ステップにおいて、80%を超える、特に80%~90%の硬化の程度で硬化される。そのような硬化ステップにより、ラミネート方法の要件に対する特に目的とした方法で放射線硬化型接着層の硬化の程度を設定することができる。これは、そのような硬化ステップが実行されるときに、キャリアフィルムが既に装飾層から剥離されており、放射線硬化型接着層の縁部領域が、ラミネートフィルムの第1及び第2の部分領域の境界で覆われておらず、したがって、対応してピンポイントに正確かつ精密に設定された方法で正確に照射を行うことができるためである。
【0065】
接着層の機械的及び/又は温度依存の特性は、硬化の程度、すなわち重合の程度だけでなく、接着剤の形成により決まる。したがって、一部分において接着剤の熱可塑性特性が存在し得る。
【0066】
放射線硬化型接着層を完全に硬化させずに、50%~90%程度硬化させることが有利である。したがって、ラミネート加工の実行中、放射線硬化型接着層を完全に硬化させると、接着層の縁部が破断することがあり、したがって、完全な保護機能が得られない、ということが試験により判明した。放射線硬化型接着層の不完全な硬化により、接着層の十分な柔軟性が得られ、したがって、積層体の光学的な品質が向上する。
【0067】
好ましくは、放射線硬化型接着層は、ラミネート加工ステップ後、硬化ステップにおいて、特に完全な硬化又は80%~95%程度で硬化される。
【0068】
さらに好ましくは、前記硬化ステップは、好ましくは、各々の硬化ステップに対応して配置又は配列され、割り当てられた照射源によって実行される。照射源の構造については、前述した説明を参照されたい。さらに、いくつかの硬化ステップを所望のように組み合わせて本発明の方法を実行してもよいし、1つの硬化ステップにより放射線硬化型接着層を硬化させてもよい。
【0069】
さらに、第1のラミネートフィルムの面及び/又は装飾プライの第1の面が3μm未満、好ましくは1.5μm未満、さらに好ましくは0.6μm未満の表面粗さRaを有する場合に特に有利である。そのような表面粗さの選択により、一方で、放射線硬化型接着層の縁部のシャープさが向上し、かつ/又は、転写プライの完全な転写が容易となり、他方で積層体の光学的外観がさらに向上することが試験により分かった。
【0070】
好ましくは、第1及び/又は第2のラミネートフィルムは、ポリカーボネートからなるか、又は、主成分としてポリカーボネートを有する。また、第1及び第2のラミネートフィルムは、複数の層からなり、さらに、PET、GABS、PVCの層を有してもよく、PET、GABS、PVCの1つから形成されてもよい。第1及び/又は第2のラミネートフィルムの厚さは、好ましくは、30μm~400μm、特に40μm~130μmである。第1及び第2のラミネートフィルムが少なくとも互いに面する面において、同じプラスチック材料又は大部分が対応するプラスチック材料からなる場合、例えば第1及び第2のラミネートフィルムがポリカーボネートからなる場合にさらに好ましい。異なるプラスチック層が第1及び第2のラミネートフィルム、例えばPET、PC(ポリカーボネート)に使用される場合、例えば熱可塑性ポリウレタン(PU)又はポリ塩化ビニル(PVC)又はアクリレートから形成され、ラミネート加工中に他のラミネートフィルムに面する側のラミネートフィルムの接着を向上させる接着促進層を使用することが有利である。
【0071】
また、有利には、積層体を形成するため、装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルムと、少なくとも1つの第2のラミネートフィルムと、を含む複数の連続フィルムをラミネート加工するステップの間、少なくとも1つの第2のラミネートフィルムは、ポリ塩化ビニルからなり、第1のラミネートフィルムの第1の面の側に配置され、かつ/又は、複数の連続フィルムは、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムを有する。特に第1のラミネートフィルムはポリカーボネートからなる。一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムは以下の一つ又は複数のフィルムを含む。ポリ塩化ビニルからなり、第1のラミネートフィルムの第2の面の側に配置される、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム、ポリカーボネートからなり、第1のラミネートフィルムの反対側に面する、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムの側に配置される、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム、ポリ塩化ビニルからなり、第1のラミネートフィルムの反対側に面する、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム及び/又は第2のラミネートフィルムの側に配置される、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルム、ポリ塩化ビニルを含み、第1のラミネートフィルムの反対側に面する、第2のラミネートフィルムの側に配置される、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム。
【0072】
ポリカーボネート(PC)又はポリ塩化ビニル(PVC)から形成されたフィルム並びに/あるいはポリカーボネート又はポリ塩化ビニルを含むフィルムは、好ましくは、主成分としてポリカーボネート又はポリ塩化ビニルを有し、特にさらなる成分を有するか、又は全体的にポリカーボネート又はポリ塩化ビニルからなる。
【0073】
特に少なくとも一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムは、好ましくは装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルムを形成するステップにより、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムの一つ又は複数の第1の部分領域において装飾プライを備える。好ましくは、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムは、対応するステップにおいて、第1のラミネートフィルムの代わりに使用され、特に装飾プライ、一つ又は複数の第1の部分領域及び/又は一つ又は複数の第2の部分領域は異なるように設計される。
【0074】
特に、積層体又はさらなるラミネートインレイを製造するための以下のステップを含んでいてもよい:一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの少なくとも1つのラミネートフィルムを提供するステップであって、特に、ポリカーボネートからなり、さらなる第1の面及びこれと反対側のさらなる第2の面を有する一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムを提供するステップ。
【0075】
さらなるキャリアフィルム及び当該さらなるキャリアフィルムから剥離可能なさらなる装飾プライを備え、さらなるキャリアフィルムの反対側に面するさらなる第1の面と、さらなるキャリアフィルムに面するさらなる第2の面と、を有する少なくとも1つのさらなる転写フィルムを提供するステップ。
【0076】
一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの少なくとも1つのラミネートフィルムのさらなる第1の面、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムのさらなる第1の面及び/又はさらなる装飾プライのさらなる第1の面に放射線硬化型接着剤を印刷するステップ。放射線硬化型接着剤は、一つ又は複数のさらなる第1の区域において、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの少なくとも1つのラミネートフィルムのさらなる第1の面、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムのさらなる第1の面及び/又はさらなる装飾プライのさらなる第1の面に適用され、一つ又は複数のさらなる第1の区域においてさらなる放射線硬化型接着層が形成される。一つ又は複数のさらなる第2の区域において、放射線硬化型接着剤は、好ましくは、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの少なくとも1つのラミネートフィルムのさらなる第1の面、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムのさらなる第1の面及び/又はさらなる装飾プライのさらなる第1の面に適用されない。
【0077】
一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの少なくとも1つのラミネートフィルムのさらなる第1の面、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムのさらなる第1の面に少なくとも1つのさらなる転写フィルムを適用するステップ。さらなる放射線硬化型接着層が設けられた一つ又は複数のさらなる第1の区域の少なくとも1つの部分領域及びさらなる放射線硬化型接着層が設けられていない一つ又は複数のさらなる第2の区域の少なくとも1つの部分領域が、さらなる装飾プライのさらなる第1の面と、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの少なくとも1つのラミネートフィルムのさらなる第1の面、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムのさらなる第1の面との間に配置されることが有利である。
【0078】
さらなる放射線硬化型接着層を少なくとも部分的に硬化するステップ。
【0079】
一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの少なくとも1つのラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムから少なくとも1つのさらなる転写フィルムを剥離するステップ。少なくとも所定の領域において少なくとも1つのさらなる第1の区域と重なる一つ又は複数のさらなる第1の部分領域において、さらなる装飾プライは、剥離時にさらなるキャリアフィルムから剥離され、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの少なくとも1つのラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムに残存し、かつ、一つ又は複数のさらなる第2の部分領域において、さらなる装飾プライがさらなるキャリアフィルムに残存し、さらなるキャリアフィルムとともに剥離されることが有利である。
【0080】
積層体の製造のため、以下のステップをさらに含んでもよい。特に、複数の連続フィルムをラミネート加工するステップであって、当該複数の連続フィルムは、積層体を形成するため、装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム、好ましくはさらなる装飾プライを備えた一つ又は複数の第2の部分領域を有する一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルム、及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム、を含む複数の連続フィルムを任意選択的にラミネート加工するステップ。
【0081】
放射線硬化型接着層についての細部は、好ましくはさらなる放射線硬化型接着層に対応するように適用されかつ/又は、第1のラミネートフィルムの装飾プライについての細部は、少なくとも1つの一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムのさらなる装飾プライ、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムに適用される。
【0082】
放射線硬化型接着層、装飾プライ並びに/あるいは第1のラミネートフィルムの一つ又は複数の第1及び第2の部分領域、第1及び第2の面並びに/あるいは一つ又は複数の第1及び第2の区域についての細部は、好ましくは、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの少なくとも1つのラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムの一つ又は複数のさらなる第1及び第2の部分領域、さらなる第1の面及びさらなる第2の面並びに/あるいは一つ又は複数のさらなる第1及び第2の区域に適用される。
【0083】
第1のラミネートフィルムの融合(溶解)、表面領域及び/又は面積比についての細部は、好ましくは、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムに適用される。特に、好ましくは、第2のラミネートフィルムの融合(溶解)、表面領域及び/又は面積比についての細部は、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム及び/又は第3のラミネートフィルムに適用される。
【0084】
さらに、ポリ塩化ビニル及び/又はポリカーボネートからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムが、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム上かつ/又はこれらの間に配置されてもよいし、特に、積層体を形成するため、装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルム及び少なくとも1つの第2のラミネートフィルムを含む複数の連続フィルムのラミネート加工中に積層体を形成するようにラミネート加工されてもよい。
【0085】
付加的な装飾プライは、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に、好ましくはポリカーボネートを含む、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムに適用されてもよい。これにより、特に一つ又は複数の付加的なラミネートインレイが形成される。また、第1のラミネートフィルム及び装飾プライについての細部及び/又は説明は、好ましくは、対応する付加的なラミネートフィルム及び対応する付加的な装飾プライにも適用される。このため、特に付加的なラミネートインレイは、付加的な放射線硬化型接着層、付加的な装飾プライを含む付加的な第1の部分領域、及び/又は付加的な第2の部分領域を有する。
【0086】
さらに、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1、第2、第3及び/又は第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムが、少なくとも面の一部又は全面に亘って透明、半透明及び/又は不透明であり、特に、透明は、人間の目に見える波長範囲で半透明及び/又は不透明であると好適である。
【0087】
透明は、好ましくは、50%~99%の透過率を意味する。さらに、半透明は、30%~50%の透過率を意味する。不透明は、好ましくは、0%~30%の透過率を意味する。
【0088】
また、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1、第2、第3及び/又は第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムは、UV範囲及び/又はIR範囲、特に9400nm~10600nmの波長範囲及び/又は946nm~1444nmの波長範囲、好ましくは1064nmの波長で、面の一部に亘って又は全面に亘って不透明、半透明及び/又は透明であり、かつ/又は不透明、半透明及び/又は透明に形成されてもよい。
【0089】
好ましくは、以下のフィルムから選択される少なくとも1つのラミネートフィルムはレーザ加工可能である:第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム、及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルム。特に、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム及び/又は第2のラミネートフィルムは、レーザ加工され得る。有利には、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム、及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムは、ラミネート加工後、積層体を形成するために、レーザ、特にNd:YAGレーザにより、機械加工、好ましくは個別化される。
【0090】
レーザ加工可能なラミネートフィルム、特に第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1、第2、第3及び/又は第4のラミネートフィルム、及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムは、好ましくは、前記面の少なくとも一部に亘って、レーザ波長範囲、例えば、946nm~1444nmの波長範囲、好ましくは1064nmの波長で不透明である。レーザ加工可能なプライの上方及び/又は下方に配置されたプライは、好ましくは、各々のレーザ波長の範囲において透明である。
【0091】
好ましくは、レーザ加工は、一つ又は複数の第1の部分領域及び/又は一つ又は複数のさらなる第1の部分領域を介して行われる。その結果、レーザ加工された部分領域は、特に第1のラミネートフィルムに亘る平面に垂直に、好ましくは第2のラミネートフィルムから第1のラミネートフィルムへの方向に見たときに、一つ又は複数の第1の部分領域における装飾プライ及び/又はさらなる第1の部分領域におけるさらなる装飾プライに亘ってかつ/又は装飾プライ及び/又はさらなる装飾プライの下方かつ/又は装飾プライ及び/又はさらなる装飾プライに隣接して正確に見当合わせされて配置され、かつ/あるいは付加的な第1の部分領域において付加的な装飾プライに配置される。
【0092】
特に装飾プライ及び/又はさらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライが1つのセキュリティ機能部を形成する場合、有利には、装飾プライ及び/又はさらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライに対して正確に見当合わせされ、偽造に対する特に高レベルの保護を保証するレーザ加工が可能となる。
【0093】
好ましくは、レーザ加工された部分領域はパターン化されて設計される。好ましくは、レーザ加工された部分領域は、レーザにより生成されたハーフトーンラスタ(halftone raster)を介してグレースケールイメージを有する。さらに、グレースケールイメージは、レーザ加工により、特にポリ塩化ビニルから形成されたフィルムからなる従来の積層体と比較して、特に高品質の解像度及び/又は多数のグレースケールを有することが可能となる。
【0094】
本明細書において、「グレースケールイメージ」とは、好ましくは、割り当てられたカラーチャネルの対応するグレースケール値又は明度値の形でそれぞれの色値をモチーフのそれぞれの画像点に割り当てるイメージを意味する。また、これらのグレースケール値又は明度値は、特に、バイナリラスタ点の微細なラスタ化によってそれぞれの場合に生成され得る。ラスタ点は、好ましくは、人間の目に対してグレースケール値又は明度値の印象を生成する。好ましくは、グレースケールイメージは、人間の観察者及び/又は観察装置により容易に検知される。例えば、セキュリティ文書上又セキュリティ文書内にこの文書の所有者の肖像画を成形することが想定される。
【0095】
特にポリカーボネートからなる第1のラミネートフィルム、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム、及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルム、特にポリカーボネートからなり、例えば、特にIRレーザ範囲において不透明であり、並びに/あるいは個別化可能性及び機械的及び/又は熱的抵抗を有する一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムが複数の機能を果たすという利点が生じる。
【0096】
例えば、他のフィルム及び/又はプラスチックプライ、例えば、ポリ塩化ビニルから形成されたフィルムはあまり有利には適していない。特に、グレースケールイメージの表現は、レーザ加工可能なPVCに対するレーザ加工による場合よりも、レーザ加工可能なPCに対するレーザ加工による場合の方が有利である。これは、レーザ加工可能なPVCによってモノクロ2値画像がより容易に生成されるためである。
【0097】
しかし、積層体を形成するため、装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルム及び少なくとも1つの第2のラミネートフィルムを含む複数の連続フィルムのラミネート加工の前及び/又は後にレーザ加工を実行してもよい。
【0098】
特に、プラスチックであるポリカーボネート(PC)及びポリ塩化ビニル(PVC)について、PVC/PC/PVC、及び/又は、PVC/PVC/PC/PVC/PVC、及び/又は、PVC/PC/PVC/PC/PVC、及び/又は、PVC/PVC/PC/PVC/PC/PVC/PVCの配列が可能である。例えば、以下の層構造が想定される。
-任意選択的な、PVCからなる一つ又は複数のラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム、
-PVCからなる第2のラミネートフィルム、
-第1のラミネートフィルム、
-PVCからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム、
-任意選択的な、PCからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム、
-任意選択的な、PVCからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルム、
-任意選択的な、PVCからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの付加的なラミネートフィルム。
【0099】
特に、第1のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムは、単層又は多層であってもよい。特に、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムがポリ塩化ビニルからなる一つ又は複数の層を有し、かつ/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムとの間の接着促進剤として作用することが望ましいことが分かっている。
【0100】
特に、積層体を形成するため、装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルム及び少なくとも1つの第2のラミネートフィルムを含む複数の連続フィルムのラミネート加工中に、ポリカーボネートからなる少なくとも2つのラミネートフィルムが、接着層及び/又はポリ塩化ビニルの少なくとも1つの層を介して互いに結合(接合)されることが有利である。
【0101】
つまり、特に、ポリカーボネートからなるフィルムの十分な結合、特に材料結合がラミネート加工中に望ましく得られないため、ポリカーボネートからなる2つのラミネートフィルムを好ましくは互いに直接隣接させるべきではない。したがって、特に安定した結合を実現するため、ポリカーボネートからなるフィルムがポリ塩化ビニルからなるフィルム及び/又は接着層と交互に配置されることが好ましい。
【0102】
好ましくは人間の目に見える波長範囲における透過特性について、以下の構造を有する配列が特に考えられる。
-一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの任意の透明な第4のラミネートフィルム、
-透明な第2のラミネートフィルム、
-印刷された不透明な第1のラミネートフィルム、
-一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの透明な第1のラミネートフィルム、
-一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの任意の透明な第3のラミネートフィルム、又は、
-透明な第2のラミネートフィルム
-透明な第1のラミネートフィルム
-印刷された一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの不透明な第1のラミネートフィルム、
-一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの透明な第2のラミネートフィルム、
-一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの透明な第3のラミネートフィルム。
【0103】
好ましくは透明でありかつ/又はポリ塩化ビニルから形成された一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルムを好ましくは最も外側に配置してもよい。
【0104】
好ましくは第1のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムについて、プラスチック材料の透明性及び/又は配列、特に対称的な配列が可能である。
【0105】
プラスチック材料の対称の配列の利点として、積層体の歪みが減少し、装飾プライの品質が向上する。これにより、例えば、高い見当合わせ精度が実現され、偽造に対する保護が強化される。
【0106】
しかし、非対称の配列であってもよい。好ましくは、少なくとも積層体の最も外側のフィルムは、ポリ塩化ビニルを含む。
【0107】
装飾プライ、特に装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライは、好ましくは、プラスチック材料の前記配列及び/又は転写特定を判断するために用いておらず、あるいは、前記配列において考慮していない。したがって、装飾プライの材料を考慮する場合には、前記配列の利点は全体的に非対称である材料の配列にも適用される。
【0108】
特にラミネートフィルムのプラスチック材料に関してさらに想定される配列は、例えば、
-PVCからなる第2のラミネートフィルム、
-PCからなる第1のラミネートフィルム、
-PVCからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム、
-PVCからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルム、である。
【0109】
特に、好ましくは人間の目に見える波長範囲におけるラミネートフィルムの転写特性について1つの想定される配列は、例えば、
-透明な第2のラミネートフィルム、
-透明な第1のラミネートフィルム、
-好ましくは印刷される不透明な一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム、
-透明な一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルム、である。
【0110】
特にラミネートフィルムのプラスチック材料についてさらに想定される配列は、例えば:
-PVCからなる第2のラミネートフィルム、
-PCからなる第1のラミネートフィルム、
-PVCからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム、
-PCからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム、
-PVCからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルム、
-PCからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム、
-PVCからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム、である。
【0111】
特に、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルムは単層又は多層であってもよい。特に、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルムがポリ塩化ビニルからなる一つ又は複数の層を有し、かつ又は、ポリカーボネートからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムとポリカーボネートからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムとの間の接着促進剤として作用する場合に有利であることが分かった。
【0112】
特に、好ましくは人間の目に見える波長範囲におけるラミネートフィルムの転写特性について1つの想定される配列は、例えば、
-透明な第2のラミネートフィルム、
-透明な第1のラミネートフィルム、
-好ましくは印刷される不透明な一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム、
-透明な一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム、
-透明な一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルム、
-透明な一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム、
-透明な一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム、である。
【0113】
特にポリ塩化ビニルからなるフィルム間に配置されたポリカーボネートからなる少なくとも1つのフィルムを備えたポリ塩化ビニルからなる少なくとも2つの外側フィルムを有することが有益である。全体的にポリカーボネートからなる積層体の利点と、全体的にポリ塩化ビニルからなる積層体の利点とを対応する積層体を介して比較した。特に、製造方法は、全体的にポリカーボネートからなる積層体と同一又は類似しているため、製造者、特にカード製造者は、ポリカーボネート用の製造処理に変更せずにポリカーボネートからなる積層体の利点を享受することができる。通常、ポリ塩化ビニルからなる積層体の処理サイクルの方が、ポリカーボネートからなる積層体の処理サイクルよりも短いため、生産性が維持される。さらに、特に全体的にポリカーボネートからなる積層体と比較して、材料費及び/又はエネルギーコストを削減することができる。これにより、特に費用効果が高く、使用されるエネルギー資源に関して、環境に優しい製造プロセスが可能になる。特に、ポリカーボネートからなる、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルム及び/又は第2のラミネートフィルムにより、積層体の機械的安定性が向上し、その結果、例えば、光学的に可変な要素を有する適用されるセキュリティエレメントは、特に鮮やかに見える。
【0114】
有利には、剥離層及び/又は保護層は、放射線硬化型接着層、さらなる放射線硬化型接着層及び/又は付加的な放射線硬化型接着層の反対側に面した、装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライの最も外側に配置される。剥離層及び/又は保護層は、好ましくは、装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライの最外層を形成し、かつ/あるいは、特に装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルム及び少なくとも1つの第2のラミネートフィルムを含む複数の連続フィルムが積層体を形成するためにラミネート加工されたときに、剥離層及び/又は保護層は、ポリ塩化ビニルからなるラミネートフィルム、特に第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムに結合され、特に直接接触し、かつ/又は材料結合により結合され、かつ/又は一緒にラミネート加工される。
【0115】
したがって、装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライ、特に剥離層の少なくとも1つの最外層並びに/あるいは装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライの保護層は、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特にポリ塩化ビニルからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムの軟化温度より低いか又は当該軟化温度領域の軟化温度を有し、かつ/あるいは、ラミネート温度以下又はラミネート温度領域で軟化することが好適である。
【0116】
好ましくは、VICAT A(10N)の試験方法に従って、特に好ましくは50K/hの加熱率で測定した装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライの少なくとも1つの最外層、特に装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライの剥離層及び/又は保護層の軟化温度は、好ましくは、ポリ塩化ビニルの軟化温度領域にあり、かつ/あるいは60°Cより高く、好ましくは80°Cより高く、特に好ましくは100°Cより高い。
【0117】
これにより、装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライの最外層、特に装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライの剥離層及び/又は保護層のポリ塩化ビニルからなるラミネートフィルム、特に第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム並びに/あるいは一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムとの良好な結合が保証される。
【0118】
有利には、装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライ、特に剥離層の最外層並びに/あるいは装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライの保護層により、装飾プライ、さらなる装飾プライ並びに/あるいは剥離層及び/又は保護層が設けられた付加的な装飾プライが保護される。その結果、特に光学的効果が維持され、特に処理に対する高い信頼性及び偽造に対する高レベルの保護が保証される。
【0119】
また、接着層、特に放射線硬化型接着層、さらなる放射線硬化型接着層及び/又は付加的な放射線硬化型接着層が50°C~150°C、特に60°C~140°Cの軟化温度で軟化してもよく、かつ/あるいは、特にVICAT A(10N)の試験方法に従って、好ましくは50K/hの加熱率で測定した接着層、好ましくは放射線硬化型接着層、さらなる放射線硬化型接着層及び/又は付加的な放射線硬化型接着層の軟化温度が50°C~150°C、好ましくは70°C~120°C、特に好ましくは80°C~110°Cであってもよい。
【0120】
軟化温度、特にVICAT A及びVICAT Bによる軟化温度とは、DIN EN ISO306(前身のDIN53460)に準拠したVICAT軟化温度VST(VICAT軟化温度)を意味する。
【0121】
測定に貫通針(1mm2の円形面積を有する)を使用する。これに、10N(VICAT A)又は50N(VICAT B)の試験荷重が加えられる。試験片は、3mm~6.4mmの許容厚さを有し、特に50K/h又は120K/hの加熱率で加熱される。貫通体が1mmの貫通深さに達到するとVSTに達する。
【0122】
境界条件の変化により、パラメータの4つの組み合わせ、好ましくは:VST/A/50、VST/A/120、VST/B/50、VST/B/120が得られる。「A」は10Nの試験荷重を表し、「B」は50Nの試験荷重を表す。50又は120は、好ましくは加熱率であり、[K/h]で表される。
【0123】
ラミネート温度、つまり特に積層プロセス中に積層体内に行き渡る所望の処理温度は、特にポリ塩化ビニルの軟化温度より高く、特にポリカーボネートの軟化温度より低い。ラミネート温度は、積層プロセス中に積層体内が特に最高温度に達する。
【0124】
さらに、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム、及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムは、ポリカーボネートを含み、軟化温度、好ましくはVICAT B(50N)による、特に50K/hの加熱率で、100°Cを超える軟化温度、好ましくは120°Cを超える軟化温度、特に好ましくは140°Cを超える軟化温度を有していてもよい。
【0125】
また、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1、第2、第3及び/又は第4のラミネートフィルム、及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムは、ポリ塩化ビニルを含み、好ましくはVICAT A(10N)による、特に50K/hの加熱率で、60°Cを超える、好ましくは80°Cを超える、特に好ましくは100°Cを超える軟化温度を有していてもよく、かつ/又は、好ましくはVICAT B(50N)による、特に50K/hの加熱率で、50°Cを超える、好ましくは80°Cを超える、特に好ましくは100°Cを超える軟化温度を有していてもよい。
【0126】
特にPVCからなるラミネートフィルムとPCからなるラミネートフィルムとの間の接着力について以下に説明する。
【0127】
特に剥離試験による、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特にポリ塩化ビニルからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムと、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特にポリカーボネートからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムとの間の境界面における接着力は、好ましくは、1N/cm~50N/cm、好ましくは3.5N/cm~30N/cm、特に好ましくは10N/cm~25N/cmである。
【0128】
特に、ポリカーボネートからなるラミネートフィルムと装飾プライとの間の接着力について以下に説明する。
【0129】
特に剥離試験による、装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライ、特に放射線硬化型接着層、さらなる放射線硬化型接着層及び/又は付加的な放射線硬化型接着層と、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特にポリカーボネートからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムとの間の境界面の接着力は、好ましくは1N/cm~30N/cm、好ましくは2N/cm~20N/cm、特に好ましくは3N/cm~15N/cmであり、かつ/又は、好ましくは2N/cmを超える、さらに好ましくは3.5N/cmを超える接着力であり、かつ/又は、特に4N/cm~5N/cmである。
【0130】
さらに好ましくは、前記数値範囲は装飾プライと、当該装飾プライと直接接触するポリカーボネートを含むラミネートフィルムとの間における接着力を説明する。また、前記接触は、接着層、特に放射線硬化型接着層及び/又はさらなる放射線硬化型接着層及び/又は付加的な放射線硬化型接着層を介して形成されてもよい。
【0131】
特に、ポリ塩化ビニルから形成されたラミネートフィルムと、装飾プライの保護層及び/又は剥離層との間の接着力について以下に説明する。
【0132】
特に、剥離試験による、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1、第2、第3及び/又は第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特にポリ塩化ビニルからなる第1及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムと、装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライ、特に装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライの剥離層及び/又は保護層との間の境界面の接着力は、1N/cmを超える、好ましくは2N/cmを超える、特に好ましくは3N/cmを超える接着力であり、かつ/又は、好ましくは3.5N/cmを超える接着力であり、かつ/又は、特に4N/cm~15N/cmである。
【0133】
以下において、特に、ポリ塩化ビニルから形成されるラミネートフィルムとポリカーボネートから形成されるラミネートフィルムとの間の接着力が、ポリ塩化ビニルから形成されるラミネートフィルム装飾プライとの間の接着力より大きく、かつ/又は、ポリカーボネートから形成されるラミネートフィルムと装飾プライとの間の接着力より大きく、かつ/又は、2つのプライ及び/又は装飾プライの層の間の接着力より大きい、ことについて説明している。
【0134】
さらに、特に剥離試験よる、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特にポリカーボネートからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムと、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特にポリ塩化ビニルトからなる一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムとの間の境界面における接着力は、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムと、好ましくは対応するラミネートフィルムに結合される装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライとの間の境界面の接着力よりも高くてもよく、かつ/あるいは、好ましくは対応するラミネートフィルムに結合される、2つのプライ間及び/又は装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライの層間における境界面の接着力よりも高くてもよい。
【0135】
また、特に剥離試験による、第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムと、好ましくは対応するラミネートフィルムに結合される、装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又付加的な装飾プライとの間の境界面における接着力は、好ましくは対応するラミネートフィルムに結合される、2つのプライ及び/又は装飾プライ、さらなる装飾プライ及び/又は付加的な装飾プライの層の間の境界面における接着力より高くてもよい。
【0136】
対応するラミネートフィルムとは、特に第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム、かつ/あるいは、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム、かつ/あるいは、ポリカーボネート及び/又はポリ塩化ビニルを含む、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムを意味する。
【0137】
これにより、装飾プライを掘り出そうとすると、装飾プライを引き裂く必要がある。これにより、偽造がより困難になり、したがって、特に偽造に対する保護が向上するため、例えば、装飾プライがセキュリティ機能部する場合に有利である。
【0138】
また、境界面は、好ましくは、2つのプライの結合の直前に境界面が配置されていた箇所に配置された面である。
【0139】
剥離試験は、好ましくは、ISO/IEC10373-1、段落5.3による測定法である。特に、任意選択的に事前調整されるカードは、幅10mmの試験片に切断される。
【0140】
例えば、装飾プライの一方の側における全てのプライは、好ましくは、5mm~10mmの長さで取り除かれる。したがって、例えば、鋭利なブレードにより、装飾プライ、特にセキュリティ機能部、好ましくはKINEGRAM(登録商標)、に亘るラミネートフィルムがコアから剥離され、すなわち、特にラミネートフィルム及びセキュリティ機能部、好ましくは、KINEGRAM(登録商標)を形成する装飾プライから剥離される。剥離(ストリッピング)は部分的に行われる。
【0141】
次いで、剥離された端部は、好ましくは、固定クランプ又は接着テープを介して、引張試験機のホルダに固定される。剥離され引張試験機に固定されたラミネートフィルムと剥離されていないラミネートフィルムが直角になることが好ましい。特に、第1のラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムとが直角になる。カードの底部、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムは、便宜上任意選択的に安定板上に固定される。
【0142】
引張測定中、剥離されたフィルム層、したがって、例えば対応する装飾プライを備えた少なくとも第1のラミネートフィルム及び一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムが、好ましくは、ローラに亘って案内される。好ましくは、接着力(剥離強度)をグラフにプロットして評価が行われる。好ましくは、測定の最初と最後の5mmを考慮しない。結果は、例えば、N/10mmで表される。
【0143】
また、好ましくはポリカーボネートを含むラミネートフィルムとポリ塩化ビニルを含むラミネートフィルムとの間の接着力を測定するため、装飾プライが設けられていない位置において測定を行ってもよい。
【0144】
さらに、積層体を形成するため、好ましくは装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルム及び少なくとも1つの第2のラミネートフィルムを有する複数の連続フィルムのラミネート加工ステップの間及び/又はその前に以下のステップを実行してもよい:ヒンジを提供するステップと、ヒンジ及び第1のラミネートフィルム、少なくとも1つの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に第1、第2、第3及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの一つ又は複数のラミネートフィルム、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1及び/又は第2のラミネートフィルムを結合、特にラミネート加工するステップ。ヒンジは、好ましくは、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムとの間に配置され、並びに/あるいは、ヒンジは、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムと、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルム及び/又は第2のラミネートフィルムとの間に配置される。特に、好ましくは、第1のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムに亘る平面に垂直に見たときに、ヒンジは、第1のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムに隣接して配置される。
【0145】
ヒンジは少なくともポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタン及び/又は織物テープから形成された1つのプライを備えることが好適である。ヒンジは、好ましくはポリ塩化ビニルでコーティングされている。その結果、特に、結合中、特にヒンジのラミネート加工中に、ポリ塩化ビニルは、隣接するラミネートフィルム、層及び/又はプライに直接結合され、特に、材料結合される。
【0146】
ヒンジは、好ましくは、積層体とさらに好ましくは平面体との間の結合をもたらす部分である。例えば、ヒンジは、特にハードカバーを有するパスポート冊子の継ぎ目、好ましくはパスポート冊子の残りのページに対して、データページ、好ましくはパスポート冊子のパスポートカードとしての積層体を結合させる部分である。したがって、特に、データページは、「ヒンジ」により、つまり好ましくは積層体又はデータページにおける柔軟で細い帯(ストリップ)を介して、パスポート冊子に取り付けられる。ヒンジは、パスポート冊子の継ぎ目領域における柔軟なヒンジ及び結合要素として機能する。好ましくは、特に全面に亘って形成され、かつ/又は貫通孔を有する、PVC及び/又はTPU(TPU=熱可塑性ポリウレタン)及び/又はTPE(TPE=熱可塑性エラストマー)からなる非繊維のヒンジ及び/又は織物、特に織布又は不織布のヒンジが使用される。
【0147】
ヒンジは、例えば、第1のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムに隣接して設けられてもよい。ヒンジと一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム及び/又は第4のラミネートフィルム、並びに/あるいは、ヒンジと第1のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムとは、好ましくは、少なくとも部分的に重なり、かつ/又は直接接触する。さらに、ヒンジと第1のラミネートフィルム、並びに/あるいは、ヒンジと一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルム及び/又は一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムとは、直接接触してもよいし、直接接触しなくてもよい。
【0148】
第1及び/又は第2のラミネートフィルムの第1及び/又は第2の面がESAO2813による角度60°での光沢度が90%以上、好ましくは98%以上である場合にさらに有利であることが分かった。そのような光沢度の選択により、装飾プライにおける光学的及び/又は機械的障害がラミネート加工中にさらに減少することが、試験から分かった。
【0149】
鮮明な印刷結果を実現する十分に滑らかで適切な表面をもたらすため、粗すぎる表面を前処理することが有益である。このため、薄く適用される接着層及び/又はプライマー層及び/又は接着促進層及び/又はホットスタンピング又はコールドスタンピングによる前エンボス加工及び/又は例えば熱処理及び/又はカレンダー加工が適切である。また、そのようなコーティング又は処理は、装飾プライに対して見当合わせされて適用される。そのため、装飾のない領域におけるラミネートの特性に影響が及ばない。
【0150】
放射線硬化型接着層が染色され、特に染料又は顔料で特に半透明に染色される場合にさらに有益である。放射線硬化型接着層により、付加的な光学効果を生成することができる。また、例えばUV照射下で蛍光を発するか、IR照射下で異なる波長で反射する効果顔料を導入してもよい。
【0151】
さらに、いくつかの第1の面領域が第1のラミネートフィルムに対する接着層の印刷により定まり、いくつかの第1の面領域が転写フィルムに対する接着層の印刷により定まる場合にさらに有利である。接着層は、異なる特性、例えば硬化後の異なる機械的特性を有していてもよいし、異なる顔料及び染料を有していてもよいし、顔料及び染料を有していなくてもよい。これにより、第1の面領域において部分的に転写された転写プライの一部に対して見当合わせされて異なる特性が生じる。
【0152】
一つ又は複数の第1の部分領域は、一つ又は複数のモチーフ領域として配設される。これらのモチーフ領域は、好ましくは、想像上及び/又は目に見える輪郭によって区切られる。モチーフ領域内に所望の数の第1の面領域及び第2の面領域を設けてもよい。
【0153】
一つ又は複数のモチーフ領域は、好ましくは、装飾プライに形成された一つ又は複数のモチーフを有する。装飾プライは、好ましくは、一つ又は複数のモチーフの外側で一つ又は複数の第1の部分領域においてそれぞれ透明に形成される。本明細書において、透明とは、好ましくは、人間の観察者に見える波長範囲で80%を超える、好ましくは90%を超える透明度を意味する。
【0154】
少なくとも1つの転写フィルムは、好ましくは、キャリアフィルムと装飾プライとの間に配置された剥離層を有する。これらの剥離層により、キャリアフィルムと装飾プライとの間の剥離力を所望のように設定することができる。その結果、特に装飾プライの転写領域に対するシャープな縁部及び高解像度が得られる。
【0155】
好ましくは、剥離層は、転写される転写プライの一部である。剥離は、好ましくは、キャリアフィルムと剥離層との間の一つ又は複数の薄いワックス層(0.01~0.2マイクロメートルの層厚)により実現する。その結果、剥離層がキャリアプライから剥離される。特に、積層体において第2のラミネートフィルムに対する良好な接着が得られるように剥離層が形成される。好ましくは、装飾プライは一つ又は複数の装飾層を有する。装飾層は、装飾プライの全面又は一部に亘って設けられている。
【0156】
好ましくは、一つ又は複数の装飾層は、一つ又は複数の以下の層である:「HRI層」(HRI=高屈折率)は、装飾層として用いられ得る。HRI層は、相対的に高屈折率の誘電体層であり、屈折率が高く、通常、400nm~700nmの可視波長範囲でほぼ透明である。好ましくは、そのようなHRI層の屈折率は1.6より高く、好ましくは1.8より高い。そのようなHRI層は、例えば真空蒸着法により適用されるZnS又はTiO2又はSiOxからなるまた、特にナノ粒子が豊富な高屈折率ポリマー層を用いてもよい。そのようなポリマー層は印刷され、かつ/又は蒸着されてもよい。
【0157】
装飾層は、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)又は銅(Cu)又はクロム(Cr)から形成された金属層である。この金属層は、不透明の金属層、半透明の金属層又は透明の金属層として、装飾プライに設けられてもよい。金属層の透明度は、金属層の層厚の対応する選択によりかつ/又は金属層の対応するラスタ化により設定される。さらに、装飾プライは、異なる材料及び/又は異なる透明度を有する複数の金属層を有してもよい。
【0158】
装飾層は、染料及び/又は顔料を含むワニス層とし得る。装飾プライは、異なる染料及び/又は顔料を含む異なるそのようなワニス層を有してもよい。これらのワニス層は、一方が他方の上方に配置され、かつ/又は互いに隣接して配置される。さらに、染料及び/又は顔料は、発光性及び/又はリン光性の染料及び/又は顔料とし得る。特に、磁場及び電場により配列が変わり、複雑な光学的に可変の効果を生じさせる、色変化効果を有する透明又は半透明又は不透明の光学的に可変の顔料、例えば薄いフィルム層の顔料又は液晶顔料の使用はさらに有利である。さらに、装飾層におけるサーモクロミック及び/又はエレクトロクロミックの染料及び/又は顔料の使用も有益である。
【0159】
さらに、装飾層は、導電層又は磁性層からなってもよい。そのような層は、導電性材料及び/又は磁性材料、例えば金属材料、導電性ポリマー、導電性又は磁性の顔料あるいはバインダーマトリックスに組み込まれた粒子からなる。
【0160】
装飾層は、ホログラムマスタを用いて透過及び/又は反射ホログラムが設けられた(刻印された)体積ホログラム層、例えばフォトポリマー層であってもよい。
【0161】
装飾層は、導入、特に成形された表面レリーフを含むレリーフ層であってもよい。
【0162】
好ましくは、このレリーフ層は、熱可塑性プラスチック及び/又はUV効果性プラスチックからなる。特に複製ツールによる熱複製及び/又はUV複製により対応する表面レリーフがレリーフ層内に成形される。また、表面レリーフは、レーザにより導入され得る。また、レリーフ層は、感光層であってもよい。レリーフ層を光に曝し、レリーフ層を様々な輝度のパターンに露光させ、次いで、感光性の種類に応じて、レリーフ層の露光領域又は非露光領域を特に溶剤により洗い流すること又は溶解することによって、レリーフ層内に表面レリーフが導入される。
【0163】
好ましくは、レリーフ層は、積層体を形成するため、装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルム及び少なくとも1つの第2のラミネートフィルムを有する複数の連続フィルムをラミネート加工する間は軟化しない。特に、レリーフ層の軟化温度はラミネート温度より高い。VICAT A(10N)の試験方法に準拠して、特に50K/hの加熱率で測定したレリーフ層の軟化温度は、好ましくは60°Cより高い、好ましくは100°Cより高い、特に好ましくは130°Cより高い。
【0164】
これにより、レリーフ層及び特にレリーフ層に成形された構造がラミネート加工中に安定したままとなる。例えば、成形されたレリーフ構造が保持されることにより装飾プライの輝きが保持され、特に高いレベルの偽造に対する保護が保証される。
【0165】
好ましくは、以下の表面レリーフの1つ又は以下の表面レリーフの2つ以上の組み合わせが表面レリーフのとして設けられる:回折表面レリーフ、ホログラフィック表面レリーフ、一次回折格子、ゼロ次回折構造、ブレーズド回折格子、無彩色表面レリーフ、レンズ及び/又はレンズラスタ、マイクロミラー配列、マイクロプリズム、マイクロファセット又は自由形状の面の形態の表面レリーフ、マット構造、特に等方性又は異方性のマット構造。
【0166】
好ましくは、レリーフ層は異なる部分領域を有し、当該部分領域に、特に一つ又は複数のレリーフパラメータが異なりかつ/又は前記複数の表面レリーフのうち異なる表面レリーフからなる異なる表面レリーフが成形される。また、前記複数の表面レリーフは互いに重なり合ってもよい。
【0167】
さらに好ましくは、装飾プライは、一つ又は複数の接着促進層及び/又はバリア層及び/又は安定層及び/又は保護層を有する。同様に、これらの層は全面に亘って又は部分的に装飾プライに存在し得る。
【0168】
好ましくは、安定層は、積層体を形成するための、装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルム及び少なくとも1つの第2のラミネートフィルムを含む複数の連続フィルムのラミネート加工中にごく僅かに軟化するに過ぎない。特に、安定層の軟化温度はラミネート温度より高い。特に、VICAT A(10N)の試験方法に従って、好ましくは50K/hの加熱率で測定した安定層の軟化温度は、好ましくは60°Cより高く、好ましくは100°Cより高く、特に好ましくは130°Cより高い。
【0169】
これにより、積層体を形成するための、装飾プライを備えた一つ又は複数の第1の部分領域を有する第1のラミネートフィルム及び少なくとも1つの第2のラミネートフィルムを含む複数の連続フィルムのラミネート加工中に安定層の安定性が維持される。特に、装飾プライの輝きが保存される。
【0170】
装飾プライは、特に全面に亘って適用された少なくとも1つの層及び部分的に形成された少なくとも1つの層の組み合わせを有することができる。例えば、全面に亘って形成される層は、透明の保護層及び/又は特に透明の安定層及び/又は特に透明の接着促進層及び/又は透明又は半透明のHRI層である。部分的に形成された層は、特に模様及び/又はグラフィック及び/又はコード及び/又は一つ又は複数の英数字からなる少なくとも1つのモチーフを形成する。例えば、少なくとも1つの部分的に形成された層は、金属層及び/又はカラー層及び/又はHRI層である。
【0171】
全面に亘って形成された装飾プライの層は、好ましくは、全体的に透明であり、部分的に形成された層と完全に重なるとともに、全ての側において重なるように形成されている。
【0172】
少なくとも1つの、好ましくは全ての平面寸法における各々のモチーフは、好ましくは、放射線硬化型接着層のモチーフ領域よりも小さく形成される。
【0173】
好ましくは、装飾プライは、放射線硬化型接着層のモチーフ領域が少なくとも1つの平面寸法で、好ましくは全ての側において装飾プライのモチーフを超えて突出するように、放射線硬化型接着に適用される。これは、各々のモチーフ領域に完全なモチーフが転写され、装飾プライの面領域が透明に形成されて突出していることを意味する。透明に形成されたこれらの面領域は、装飾層の転写後、特に実質的に光学的に出現せず、したがって、モチーフは実質的に可視の縁部を有さずに転写される。
【0174】
好ましくは、1つの転写フィルム及び/又は放射線硬化型接着剤だけでなく、2つ以上の転写フィルム及び/又は放射線硬化型接着剤がラミネートインレイ又は積層体の製造中に用いられる。したがって、前記少なくとも1つの転写フィルムを適用するステップ、少なくとも1つの転写フィルムを剥離するステップ及び任意選択的に放射線硬化型接着剤を印刷するステップは、好ましくは複数回繰り返される。これにより、各々の場合に必要となる異なる適用プロセスを考慮することなく、ラミネートインレイ又は積層体において、異なる転写フィルムの異なる装飾プライ及び/又は異なる放射線硬化型接着剤によりもたらされる異なる光学効果を互いに効率的かつ費用効果的に組み合わせることができる。
【0175】
異なる転写フィルムの装飾プライは、互いに隣接して、部分的に又は完全に重なって第1のラミネートフィルムに設けられていてもよい。
【0176】
したがって、少なくとも1つの転写フィルムとして2つ以上の転写フィルムを提供すること、2つ以上の転写フィルムを第1のラミネートフィルムの第1の面に適用すること及び第1のラミネートフィルムから転写フィルムを剥離することは有益である。この結果、一つ又は複数の第1の部分領域において、2つ以上の転写フィルムのうち少なくとも1つの転写フィルムの装飾プライがキャリアフィルムから剥離され、第1のラミネートフィルムの第1の面に残存する。放射線硬化型接着剤は、同時に又は順次に割り当てられた一つ又は複数の第1の区域におけるラミネートフィルムの第1の面上に印刷される。次いで、ラミネートフィルムが、同時に又は順次に第1のラミネートフィルムの第1の面に適用される。次に、転写フィルムのキャリアフィルムが、同時又は順次に剥離される。さらに、2つ以上の転写フィルムを第1のラミネートフィルムの第1の面に接着し、同時又は順次に、この転写フィルムをラミネートフィルムの第1の面に適用してもよい。
【0177】
2つ以上の転写フィルムが互いに異なる装飾プライ、特に装飾層又は装飾層の成形に関して異なる装飾プライを有する場合に特に有利である。したがって、例えば、第1の転写フィルムは、顔料及び/又は染料、特に光学的に可変の顔料及び/又は染料を含むワニス層を備えた装飾プライを有していてもよい。第2の転写フィルムは、導入された回折レリーフ構造を備えたレリーフ層及びHRI層を有していてもよい。さらに、第3の転写フィルムは、例えば一つ又は複数の半透明及び/又は不透明な金属層、特に成形された模様を有する装飾層を有していてもよい。また、第3の転写フィルムは、導入された回折レリーフ構造を備えたレリーフ層を付加的に有していてもよい。
【0178】
1つの第1の部分領域だけでなく、2つ以上の第1の部分領域、特に複数の第1の部分領域を含む群が各々の転写フィルムから剥離され、そのような第1の部分領域の群の異なる装飾プライを、互いに隣接しかつ/又は重なり合った第1のラミネートフィルムに転写することが特に有利である。好ましくは、これら2つ以上の群の第1の部分領域は、全モチーフの部分的なモチーフを形成するか、又は異なる光学デザインにおける情報の項目を繰り返す。これにより、異なる装飾プライにより生成される情報の項目は相互に「織り合わされ」、偽造に対する保護がさらに向上する。
【0179】
さらに、一つ又は複数のコート、特に見当合わせマーク、ワニス層、カラー層、顔料及び/又は染料、特に光学的に可変の顔料を含む層、発光性物質、導電性コート及び磁気コートが第1及び/又は第2のラミネートフィルムの第1の面並びに/あるいは装飾層に印刷される場合に有利である。これにより、偽造に対する保護がさらに向上する。
【0180】
さらに、ラミネートフィルムが、装飾プライの転写前に先行するステップにおいて適用された、例えばさらに適用される転写プライ及び/又はオーバプリント及び/又は開口及び/又はミシン目(孔)及び/又はマーキング等の種々特徴部を既に有していてもよい。これらの特徴部に放射線硬化型接着剤により装飾プライを見当合わせして適用することが特に有利である。
【0181】
さらに、装飾プライの転写後に続くステップにおいて、種々特徴部、例えばさらに適用される転写プライ及び/又はオーバプリント及び/又は開口及び/又はミシン目(孔)及び/又はマーキング等がラミネートフィルムに適用及び/又は導入されてもよい。これらの特徴部を装飾プライに繰り返し適用することが特に有利である。
【0182】
積層体又はラミネートフィルムの製造中に一つ又は複数の以下のステップを実行するとさらに有利である:特に放射線硬化型接着剤を印刷する前でかつ転写フィルムをラミネート加工又は適用する前に、第1及び/又は第2のラミネートフィルムの第1の面を洗浄するステップ、第1及び/又は第2のラミネートフィルムの第1の面並びに/あるいは装飾層にミシン目を導入するステップ、特に放射線硬化型接着層の印刷前又はラミネート加工を実行する前に、第1及び/又は第2のラミネートフィルムの第1の面並びに/あるいは装飾層に対して、特にコロナ処理及び/又はプラズマ処理により表面処理を行うステップ、積層体、第1のラミネートフィルム、第2のラミネートフィルム又はラミネートインレイを焼きなましするステップ、積層体、第1のラミネートフィルム及び/又は第2のラミネートフィルムの仕上げ処理を行いかつ/あるいは切断するステップ。
【0183】
以下、添付の図面に示す複数の実施例を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【
図2】
図2はラミネートインレイの概略的な構造を示している。
【
図3】
図3は転写フィルムの概略的な構造を示している。
【
図4】
図4はラミネートインレイを製造するための製造装置の概略的な構造を示している。
【
図5】
図5は
図4に示す装置に用いられるラミネートフィルムの概略的な構造を示している。
【
図6a】
図6aはラミネートフィルムに対する放射線硬化型接着剤の印刷を示す断面図である。
【
図6b】
図6bはラミネートフィルムに対する放射線硬化型接着剤の印刷を示す上面図である。
【
図7a】
図7aは転写フィルムの構造を示す断面図である。
【
図7b】
図7bは転写フィルムの構造を示す上面図である。
【
図8a】
図8aはラミネートフィルムに対する転写フィルムの適用を示す断面図である。
【
図8b】
図8bはラミネートフィルムに対する転写フィルムの適用を示す上面図である。
【
図9】
図9はラミネートフィルムと転写フィルムとの間に配置された放射線硬化型接着層の硬化を示す概略断面図である。
【
図10a】
図10aはラミネートフィルムからの転写フィルムの剥離を示す断面図である。
【
図10b】
図10bはラミネートフィルムからの転写フィルムの剥離を示す上面図である。
【
図11】
図11はセキュリティ文書の概略的な上面図を示している。
【
図12】
図12はセキュリティ文書の概略的な上面図を示している。
【
図13】
図13はセキュリティ文書の概略的な上面図を示している。
【
図14】
図14はラミネートインレイ、第1のラミネートフィルム、第2のラミネートフィルム及び1つのさらなるラミネートフィルムを有する積層体を示している。
【
図15】
図15はレーザにより形成されたハーフトーンラスタを介してグレースケールイメージを形成する、レーザ加工された部分領域ラミネートフィルムに設けられた積層体を示している。
【
図16】
図16はラミネートインレイ、さらなるラミネートインレイ、第1のラミネートフィルム、第2のラミネートフィルム及び複数のさらなるラミネートフィルムを有する積層体を示している。
【
図17】
図17はラミネートインレイ、第1のラミネートフィルム、第2のラミネートフィルム及び複数のさらなるラミネートフィルムを有する積層体を示している。
【発明を実施するための形態】
【0185】
図1は、積層体1の基本的な層構造を示している。積層体1は、特にカード、例えば銀行カード、身分証又はクレジットカード又は紙幣又はセキュリティ文書、例えばパスポート冊子のインサートページの形態で形成されている。
【0186】
積層体1は、積層体を形成するためラミネート方法によりラミネート加工された複数の連続フィルムを有する。前記フィルムのうち、複数のラミネートフィルム22~27及びラミネートインレイ2を
図1に示す。
【0187】
ラミネートインレイ2は、第1の面211と、この面の反対側に位置する第2の面212とを有するラミネートフィルム21を備える。ラミネートフィルム21の第1の面211における第1の部分領域31に、少なくとも1つの転写フィルムのキャリアフィルムから剥離された少なくとも1つの装飾プライと、放射線硬化型接着層とが設けられている。放射線硬化型接着層は装飾プライとラミネートフィルム21の第1の面211との間に配置され、少なくとも部分的に硬化する。少なくとも1つの装飾プライは、第2の部分領域32において、ラミネートフィルム21の第1の面211に設けられておらず、キャリアフィルムとともに剥離される。
【0188】
好ましくは、ラミネートフィルム21~27は熱可塑性プラスチックフィルムからなり、前記ラミネートフィルムは、使用されるラミネート方法の条件下で、少なくとも部分的に溶解する。その結果、ラミネート方法の間、重ねられたラミネートフィルムの面は、少なくとも一部、好ましくは全面に亘って互いに溶解(融合)する。これにより、積層体1の層間の層の結合が実現し、これにより、特に高度の偽造に対する保護及び環境の影響に対する耐性が得られる。
【0189】
ラミネートフィルム21~27の少なくともいくつか、好ましくはラミネートフィルム21~27の全てがポリカーボネートからなることが好ましい。したがって、好ましくは、積層体1は、主成分としてポリカーボネートを有する。そのような積層体は、引っかき傷、摩耗、化学物質に対する特に高い耐性と、特に優れた層間接着性を特徴とし、したがって、通常のセキュリティ文書と比較してはるかに優れた使用適合性を有する。しかし、一つ又は複数のラミネートフィルム21~27は他のプラスチック材料、例えば、PET、PET-G、ABS又はPVCから形成されてもよい。
【0190】
好ましくは、ラミネートフィルム21~27は、30μm~400μm、特に40μm~130μmの層厚を有する。
【0191】
したがって、例えば、ラミネートフィルム21,22,23,27は、それぞれ、ポリカーボネートフィルムからなり、50μmの層厚を有する。ラミネートフィルム24,26は、多層のプラスチックフィルムからなり、150μmの層厚を有する。ラミネートフィルム25は、多層のラミネートフィルムからなり、例えば350μmの層厚を有する。さらに、非接触データ通信用に統合された例えばトランスポンダチップ及び/又はアンテナであるセキュリティ機能部が設けられる。
【0192】
さらに、一つ又は複数のラミネートフィルム21~27は、面の一部に亘って印刷されてもよいし、隣接するラミネートフィルムに対する層間接着をさらに向上させる接着促進層を各々の面に備えていてもよい。他の実施例として又は付加的に、層間接着を向上させるため、各々の面にコロナ処理及び/又はプラズマ処理が施される。
【0193】
ラミネートフィルム22~27及びラミネートインレイ2は、例えば、
図1に示す順に互いに適用され、次いで、積層体1を形成するように熱及び圧力を用いてラミネート加工される。使用するラミネート方法及び処理に用する圧力及び温度は、層の配列及びラミネートフィルム21~27の構造に応じて選択される。好ましくは、ラミネート方法において、層は
図1に示した順で、ロールラミネータの加熱された2つのローラの間又はプレス機の加熱されたプレートの間に挿入され、例えばポリカーボネート(PC)の場合、積層体1を形成するため、10N/cm
2~400N/cm
2、好ましくは40N/cm
2~200N/cm
2の圧力かつ150°Cを超える温度、好ましくは160°C~210°Cの温度を用いてラミネート加工される。他の材料、例えばPVCなどは、これから逸脱した設定を有する場合がある。
【0194】
図1に示すように、装飾プライを含む第1の部分領域31及び放射線硬化型接着層がラミネートフィルム21とラミネートフィルム22の間に配設されるように、ラミネートインレイ2は積層されてラミネータに送られる。さらに好ましくは、
図1に示すように、第2の部分領域32において、2つのラミネートフィルム21,22の間にはさらなる層が設けられていない。ラミネート加工中に、第2の部分領域32において対向する面がラミネートフィルム21,22に接触し、ラミネートフィルム21,22の面は、好ましくは、第2の部分領域32において互いに溶解する。ラミネートフィルム21,22の溶解により、装飾プライ又は第1の部分領域31に設けられた装飾プライ及び放射線硬化型接着層は、さらに、ラミネートフィルム21,22内へと沈み込み、したがって、好ましくはポリカーボネートからなるモノリシックな(一体構造の)ボディ部に埋め込まれる。この工程中、少なくとも1つの装飾プライは、劣化、特に放射線硬化型接着層による過度の変形から保護される。
【0195】
これにより、前述のように、複数の装飾層を少なくとも1つの装飾プライに挿入することが可能となる。装飾層は固有の安定性が低いか、又は装飾層における光学効果はラミネート方法における圧力及び温度の負荷に特に影響を受けやすい。
【0196】
本実施例において、一つ又は複数の第1及び第2の部分領域32の合計に対する一つ又は複数の第1の部分領域31の面積比は、好ましくは、80%以下、特に3%~80%である。ラミネート加工後のラミネートフィルム21とラミネートフィルム22との間の接着が3.0Nmを超える、好ましくは5Nmを超えるように、第1の部分領域31と第2の部分領域32との面積比を選択することがさらに有利である。これは特に90°の剥離角度、300mm/分の剥離速度、10mmのストリップ幅で測定したものである。本実施例では、第1及び/又は第2の部分領域31,32は、好ましくは、0.1mm以上の幅、特に0.2mm以上の幅を有する。一つ又は複数の第1の部分領域31及び/又は第2の部分領域32が好ましくは複数のラスタ要素、好ましくは10を超える、さらに好ましくは20を超えるラスタ要素を含むラスタのラスタ要素を形成する場合にさらに有利である。
【0197】
上記方法により、ラミネート加工後に、ラミネートフィルム21,22の間に十分な結合ブリッジが形成され、日常の使用における積層体1の損傷及び積層体1の偽造に対する保護の妨害が防止され、良好な光学的な品質を有する装飾が積層体1にもたらされる。
【0198】
また、ラミネートインレイ2は、積層体1においてカバープライとして用いられる。有利には、転写プライは、内側に設けられて第1のラミネートフィルム21により保護される。したがって、観察者は、接着層を通して鏡面反転された転写プライを見ることとなる。また、複数の転写プライを異なるラミネートフィルムに設けてもよく、積層体の面からの距離を異ならせて設けてもよい。同様に、互いに対して有利に見当合わせして、複数の積層プライを第1のラミネートフィルム21の両側に適用してよい。
【0199】
図2は、ラミネートインレイ2の概略図を示している。ラミネートインレイ2は、ラミネートフィルム21、放射線硬化型接着層5及び装飾プライ40を有している。装飾プライ40は、一つ又は複数の第1の部分領域31に設けられているが、一つ又は複数の第2の部分領域32に設けられていない。
【0200】
図2に示すように、放射線硬化型接着層5は、好ましくは、第1の部分領域31において装飾プライ40と一致し、同じように広がっている。しかし、放射線硬化型接着層5は、装飾プライ40と完全に一致し、同じように広がっていなくてもよく、装飾プライ40よりも僅かに大きい面積又は小さい面積を有して形成されてもよい。したがって、例えば、放射線硬化型接着層5は、部分領域31を完全に満たさなくもよいし、第2の部分領域32に僅かに突出してもよい。
【0201】
第1の部分領域31に設けられた装飾プライ40は、少なくとも1つの装飾層を有し、一つ又は複数の異なる転写フィルムのキャリアフィルムから剥離(分離)される。
図2に示す実施例では、装飾プライ40は、複数の装飾層42、接着促進層46、保護層45及び任意選択的な分離層44又は接着促進層を有し、
図3に示す転写フィルム4から剥離される。
【0202】
転写フィルム4は、キャリアフィルム41及び装飾プライ40を有する。装飾プライ40は、少なくとも1つの装飾層42を有し、キャリアフィルムから剥離される。
図2及び
図3に示す実施例では、さらに、転写フィルム4は、任意選択的なさらなる層、つまり、一つ又は複数の剥離層43、分離層44及び/又は接着促進層、保護層45及び接着促進層46を有する。これらの層は省略してもよい。
【0203】
好ましくは、キャリアフィルム41は、プラスチックフィルムからなる。このプラスチックフィルムは、好ましくは、キャリアプライに配向された面において、特に低い表面粗さ、特に0.5μm未満の表面粗さを有する。好ましくは、キャリアフィルム41は、PETフィルムからなり、例えば15μm~200μm、例えば19μmの層厚を有する。
【0204】
剥離層43は、好ましくは、装飾プライ40とキャリアフィルム41との間の剥離力を低減させる複数の薄い層を有する。本実施例において、剥離層43は、例えば、0.05g/m2~0.2g/m2のワックス層あたりのそれぞれの厚さを有する一つ又は複数のワックス層からなる。剥離層43は、例えば、薄いワニス層からなり、0.5g/m2~1.5g/m2の適用重量で適用される。剥離層44は、装飾プライ40の一部として少なくとも部分的に装飾プライ40とともに転写され、かつ/又はキャリアフィルム41上に残存し、キャリアフィルム41とともに剥離される。
【0205】
分離層44及び/又は接着促進層は、付加的に装飾プライ40のキャリアフィルム41からの分離をサポートし、かつ/又は、後に転写された装飾プライ40のオーバプリント(刷り重ね)をサポートする。
【0206】
保護層45は、好ましくは、ワニス層からなる。ワニス層は、0.7g/m2~2.1g/m2の単位面積あたりの重量で適用され、特に一つ又は複数の架橋成分を含む。
【0207】
装飾層42は、好ましくは、前述した一つ又は複数の装飾層からなり、少なくとも部分的に又は全面に亘って形成され、したがって、例えば、少なくとも部分的に形成されたHRI層、金属層、ワニス層、染料及び/又は顔料、特に光学的に可変の顔料を含む層、体積(ボリューム)ホログラム層、導電層、磁性層及び/又は表面レリーフが導入されたレリーフ層からなる。
【0208】
図3に示す実施例において、例えば、レリーフ層が設けられている。このレリーフ層には、
図3に示すように、表面レリーフが成形されている。この表面レリーフは、所定の領域における異なるレリーフ構造、例えば異なる回折格子又は異なる種類のレリーフ構造からなる。例えば、第1の領域は、マット構造、特に異方性のマット構造を有する。第2の領域は、主に第1の光学的に可変の効果を生じさせる回折格子を有する。第3の領域は、例えば回転時にゼロ次回折構造として色変化効果を生じさせる回折格子を有する。第4の領域は、ブレーズド回折格子又はマイクロレンズ配列として形成され、無彩色の光学的に可変の効果を生じさせるレリーフ構造を有する。さらに、
図3に示すように、この装飾層の下方には、例えば、さらなる装飾層としてHRI層及び/又は金属層が設けられる。本実施例において、HRI層及び/又は金属層は全面又は面の一部に亘って透明、半透明又は不透明に形成され、したがって、反射光下及び/又は透過光下で観察したときに光学効果を生じさせる。さらに、レリーフ層の上方には、装飾層42として、染料及び/又は顔料、特に干渉層顔料の形態の光学的に可変の顔料を含むワニス層が設けられている。この層は、好ましくは、全面に亘って形成されておらず、部分的にパターン化されて形成されており、さらに、不透明、半透明又は透明の性質を有し、したがって、反射光又は透過光下で見たときに、各々の領域で一体的な又は異なる光学効果を生じさせる。
【0209】
接着促進層46は、例えば、プライマー層からなり、単位面積あたり0.02g/m2~1.0g/m2の適用重量で適用される。
【0210】
前述のように、保護層45及び接着促進層46を省略してもよい。
【0211】
装飾プライ40は、キャリアフィルム41の反対側に面する面401と、キャリアフィルム41に面する面402と、を有する。
【0212】
図2に示したラミネートインレイ2を製造するため、放射線硬化型接着剤は、ラミネートフィルム21の面211及び/又は転写フィルム4の装飾プライ40の面401に印刷される。このように、放射線硬化型接着剤は、一つ又は複数の第1の区域において、ラミネートフィルム21の面211及び/又は装飾プライの面401にそれぞれ適用され、一つ又は複数の第1の区域において放射線硬化型接着層5が形成される。対照的に、放射線硬化型接着剤は、一つ又は複数の第2の区域における装飾プライ40の面401及び/又はラミネートフィルム21の面211に適用されない。
【0213】
次いで、転写フィルム4は、ラミネートフィルム21の面211に適用される。放射線硬化型接着層5が適用されない一つ又は複数の第1の区域の少なくとも1つの部分領域は、放射線硬化型接着層5を含む、一つ又は複数の第1の区域の少なくとも1つの部分領域において、装飾プライ40の面401とラミネートフィルム21の面211との間に設けられる。次いで、好ましくは放射線硬化型接着層5の少なくとも部分的な硬化が生じる。これにより、放射線硬化型接着層5を含む第1の区域において、転写フィルム4とラミネートフィルム21との間の接着が向上する。次いで、転写フィルム4がラミネートフィルム21から剥離される。一つ又は複数の第1の部分領域31において、装飾プライは、剥離されたときにキャリアフィルム41から剥離されてラミネートフィルム21上に残存する。ラミネートフィルムの一つ又は複数の第2の部分領域32において、装飾プライは、キャリアフィルム41上に残存し、キャリアフィルム41とともに剥離される。
【0214】
装飾プライ40は、剥離時に、第1の区域及び第2の区域の領域における装飾プライ40の異なる接着特性により第1及び第2の区域間の境界領域において破断する。これにより、前述したように、第1の区域及び第1の部分領域31並びに第2の区域及び第2の部分領域32が実質的に一致する効果がもたらされるが、境界部における破断した縁部の進路により僅かなずれが生じる場合がある。
【0215】
上記の方法について、
図4~
図10bを参照して詳細に説明する。
図4は、ラミネートインレイ2を製造するための製造ステップ及びこのための製造装置6を示している。
【0216】
図4に示した製造装置6は、操出し装置61及び操出し装置62を有する。操出し装置は、供給ロールに巻かれた転写フィルム4又はラミネートフィルム21と、転写フィルム4又はラミネートフィルム21を供給ロールから送り出す駆動装置及び/又は制御装置と、をそれぞれ有する。
【0217】
図5は、操出し装置62により繰り出されたラミネートフィルム21の断面を示している。ラミネートフィルム21は、
図5に示すように2つの面211,212を有する。
【0218】
ラミネートフィルム21は、好ましくは、熱可塑性プラスチックから形成されたフィルムであり、好ましくは主成分としてポリカーボネート(PC)を含む。例えば、ラミネートフィルム21は、30μm~400μm、好ましくは40μm~130μmの厚さを有するポリカーボネートフィルムからなる。
【0219】
ラミネートフィルム21は、好ましくは、UV硬化型接着剤の十分に良好な印刷品質を可能にし、UV硬化型接着剤の硬化において、転写フィルム4の装飾プライに対する良好な結合及びその後のラミネート加工において、さらなるラミネートフィルムに対する良好な結合を可能にする少なくとも1つの面を有する。
【0220】
本明細書において、十分に良好な印刷品質は、特に線が0.2mmまでの幅、好ましくは0.1mmまでの幅で中断されることなく印刷されることを意味する。これにより、テキストは1ポイントまでのフォントサイズ、特に2ポイントまでのフォントサイズで作成される。さらに、表面の領域及び線は、開口又は二重の縁部(押しつぶされた縁部、特にフレキソ印刷の場合)又はシミが付いた縁部を生じさせることなく、被覆するように印刷されることが必要である。
【0221】
良好な印刷品質を実現するために、対応する目的に合わせてラミネートフィルムの表面粗さを設定することが不可欠であることが分かった。このため、ラミネートフィルム21が2μm未満、さらに好ましくは0.8μm未満の表面粗さRaを有するように、表面粗さを選択することが有利であることが分かった。
【0222】
ISO2813に準じて60°C以下の温度で98以上の光沢度を有する表面を選択することがさらに有利であることが分かった。ラミネートフィルム21は、ウェブガイド装置(図示せず)により印刷装置63に送られる。前述のように、面211は、好ましくは、良好な印刷品質を実現するように最適化される。
【0223】
さらに、印刷装置63に搬送する前に、一つ又は複数のさらなる機械加工ステーションを設置してもよい。これらの機械加工ステーションは、例えば、その後の機械加工プロセスのためにさらに面211の表面品質を向上させる機械加工ステーションである。したがって、例えば、表面品質、特に表面粗さを最適化する、圧延及び/又は焼鈍装置、洗浄装置、例えば、圧縮空気サポート部を有するクリーニングブラシ、コロナ処理及び/又はプラズマ処理による表面処理を実行する表面処理装置を設置してもよい。さらに、付加的な見当合わせマーク又は装飾エレメントをラミネートフィルム21の面211及び/又は212に適用するさらなる印刷装置、転写装置等を配設してもよい。
【0224】
印刷装置63は、好ましくは、フレキソ印刷装置である。しかし、印刷装置63は、グラビア印刷装置又はスクリーン印刷装置であってもよいし、あるいはデジタル印刷装置、例えばインクジェット印刷装置であってもよい。
【0225】
印刷装置63おける、ラミネートフィルム21に対する放射線硬化型接着剤の印刷を
図6a,6bに示す。
【0226】
図6aは、ラミネートフィルム21及び印刷装置63の印刷ローラの断面を概略的に示している。印刷装置63により放射線硬化型接着剤がラミネートフィルム21の面211に印刷される。
図6bは、印刷装置63により放射線硬化型接着剤が印刷されたラミネートフィルム21の上面を概略的に示している。
【0227】
図6a及び
図6bに示すように、放射線硬化型接着剤は、一つ又は複数の第1の区域51においてラミネートフィルム21の面211に適用されるが、一つ又は複数の第2の区域52ではラミネートフィルム21の面211に適用されない。
図6c,6bに示すように、好ましくは、第1の区域51は、模様、文字、数字、コード又はシンボル又は他の図形及び/又は英数字及び/又は符号化されたモチーフを有し、一つ又は複数の第2の区域52により囲まれている。
【0228】
前述のように、総表面積、つまり第1の区域51及び第2の区域52に対する第1の区域51の面積比が80%以下になるように選択されることが好ましい。さらに、第1の区域51及び/又は第2の区域52の寸法及び互いに対する配置及び成形は、前述のように、ラミネートインレイ2のラミネート加工後に対応する利点を実現しつつ積層体1を形成するために、第1及び/又は第2の部分領域31,32に対して形成されることが好ましい。
【0229】
紫外線照射源又はe-ビーム(電子ビーム)により硬化する接着剤は、好ましくは、放射線硬化型接着剤として用いられる。これらの接着剤は、好ましくは、反応性アクリレート、エポキシ又はエノールエーテル及び光開始剤を含む。光に曝されている間、光開始剤はラジカル又は反応性カチオン(超酸)を形成し、長鎖分子の重合又は架橋反応を誘発する。接着剤成分は、例えば、モノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレート、オリゴマー及びモノマーである。
【0230】
さらに、異なる波長で反応する光開始剤を含む接着剤は、放射線硬化型接着剤として使用してもよい。その結果、複数の連続的な硬化ステップにより所望のように接着剤が硬化する。
【0231】
250nm~420nmの波長、好ましくは350nm~400nmの波長で架橋反応が始まる放射線硬化型接着剤を用いることが好ましい。
【0232】
例えば、以下の成分を有する接着剤が放射線硬化型接着剤として使用される:
ウレタンアクリレートオリゴマー 40%
アクリレート単官能性2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート/(EOEOEA) 10%
アクリレート二官能性エトキシル化ヘダンジオールジアクリレート/(HD(5EO)DA 15%
脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー 20%
プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート 10%
開始剤(イニシエータ) 5%
【0233】
フレキソ印刷による適用の場合、好ましくは、UV硬化型接着剤は、400mPas~2000mPas、好ましくは500mPas~1200mPasの動粘度で印刷される。
【0234】
これにより、良好な印刷品質が得られる。
【0235】
さらに、印刷装置63は、印刷中又は印刷直後にUV硬化型接着剤を予備硬化させる硬化装置を有していてもよい。このために、50%を超える、好ましくは80%を超える接着剤の予備硬化を実行し、かつ/又は、予備硬化により放射線硬化型接着剤の動粘度を20mPas~3000mPas、好ましくは50mPas~1000mPasに増加させることが有益であることが分かった。上記手段により、印刷品質をさらに明確に改善することができ、又は転写フィルムの供給時における放射線硬化型接着剤の安定性を改善することができる。
【0236】
フレキソ印刷の使用に加えて、放射線硬化型接着剤は、グラビア印刷、スクリーン印刷又はデジタル印刷あるいはこれらの印刷方法の組み合わせにより印刷されてもよい。
【0237】
グラビア印刷の場合、目的のデザインがグラビアローラにコピーされる。次いで、公知のグラビア印刷に対応するグラビアローラを用いて、放射線硬化型接着剤がラミネートフィルム21に印刷される。グラビア印刷の場合、放射線硬化型接着剤の粘度は、好ましくは、1000mPas未満となるように選択される。この場合においても、前述のように、後続の工程において放射線硬化型接着剤のシミや汚れを可能な限り防止するため、予備硬化装置との組み合わせが有益である。
【0238】
さらに、インクジェットプリントヘッドにより放射線硬化型接着剤を印刷することも有利である。固定された印刷用ブロックを使用した印刷方法と比較して、個別のリアルタイム設計も可能である。また、予備硬化装置の使用が有益である。
【0239】
さらに、印刷装置63は、異なる印刷ツール、例えば、スクリーン印刷ツール及び/又はフレキソ印刷ツール及び/又はインクジェット印刷機構の組み合わせたものを有していてもよい。
【0240】
転写フィルム4は、操出し装置61により繰り出され、最初にウェブガイド装置(図示せず)を介して任意選択的な表面加工装置65に送られる。
【0241】
転写フィルム4は、例えば、
図7a,7bに示すように構成されている。転写フィルム4はキャリアフィルム41、任意選択的な剥離層44及び一つ又は複数の装飾層42からなる装飾プライ40を有する。
【0242】
装飾プライ40は、キャリアフィルム41の反対側の面401と、キャリアフィルム41に面する面402と、を有する。
【0243】
装飾層42は、
図2及び
図3を参照して説明したように形成される。好ましくは、装飾プライ40は、一つ又は複数の装飾層42が異なるように形成された領域421,422,433を有する。
図7bは、3つの領域421,422,433を有する転写フィルム4の上面を示しており、一つ又は複数の装飾層42は異なるように形成されている。したがって、例えば、傾斜及び/又は回転させたときに、異なる光学的に可変の外観、例えば異なる色変化を生じさせる異なる光学的レリーフ構造が領域421,422,433における1つの装飾層42に導入される。
【0244】
任意選択的な表面加工装置65は、例えば、コロナ処理及び/又はプラズマ処理により装飾プライ40の面401の表面品質を向上させる装置からなる。さらに、表面加工装置65に加えて又はこれに替えて、ラミネートフィルム21の前処理のために前述の機械加工ステーションを設けてもよい。
【0245】
任意選択的に、接着層5は、転写フィルム4に印刷されてもよいし、ラミネートフィルム及び転写フィルム4の双方に印刷されてもよい。2つの接着層は、組成及び/又は適用重量が異なるか、類似しているか又は同一である。
【0246】
次いで、ラミネートフィルム21及び転写フィルム4は、ウェブガイド装置(図示せず)を介してラミネート装置64に供給される。ラミネート装置64は、例えば、2つのローラからなる。これらのローラは、ローラ間のギャップを通して、ラミネートフィルム21の面211に印刷された放射線硬化型接着層5を転写フィルム4の装飾プライ40の面401に接触させる。
【0247】
これは
図8a,8bに示されている。
図8aは、ラミネートフィルム21及び転写フィルム4を接触させるラミネート装置64の2つのローラの断面を概略的に示している。放射線硬化型接着層5は、ラミネートフィルム21と装飾プライ40との間に配置される。第1の区域51の領域において装飾プライ40の面401及びラミネートフィルム21の面211を湿らせるように、接触圧を選択することが有利である。好ましくは、ラミネート加工中における放射線硬化型接着層のシミ(汚れ)を回避するようにラミネート装置64の接触圧が設定される。このため、ラミネート装置64の接触圧が0.05N/cm
2~100N/cm
2、さらに好ましくは1N/cm
2~10N/cm
2となるように選択することが有利である。
【0248】
さらに、ラミネートフィルム21に対する転写フィルム4の適用は、好ましくは、見当合わせ装置により制御される。この見当合わせ装置は、好ましくは、ラミネートフィルム21及び/又は転写フィルム4の距離又は張力を調整する調整手段を有する。調整手段並びに、例えば光学センサーによって検出される、接着剤のオーバプリント、ラミネートフィルム21及び/又は転写フィルム4の位置データにより、接着剤のオーバプリント及び転写フィルム4の割り当てられた領域がラミネート装置64によって互いに対して見当合わせされて互いに適用されるように、放射線硬化型接着層5を含むラミネートフィルム21及び異なるように形成された装飾領域を含む転写フィルム4の互いに対する位置が調節される。
【0249】
見当合わせされた転写のさらなるオプションとして、転写フィルム4又はラミネートフィルム21の移動速度に対する印刷ツール、例えば印刷ローラ又は印刷スクリーンの周速度を変更してもよい。トラッキングとして知られているこの変更は、転写フィルム4又はラミネートフィルム21の移動速度の-10パーミル~+10パーミル、好ましくは-5パーミル~+5パーミルとし得る。このトラッキングは、特に好ましくは、インクジェットにより、インク放出のタイミングを制御すること、つまりタイミングを遅延又は加速させることにより実行される。また、転写フィルム4又はラミネートフィルム21の距離の延長/適合及び印刷機構のトラッキングを用いてもよい。
【0250】
転写フィルム4が単一のウェブとしてではなく、互いに離間した個別のウェブにおける複数のウェブとして供給される場合、複数のウェブの相対位置が検出され、前述の適切な手段によって同期される。
【0251】
これは、例えば、
図8bに示されている。
図8bはラミネート装置64によりラミネートフィルム21にラミネート加工された後の転写フィルム4の上面を示している。図示するように、装飾プライ40の領域421,422,423は対応するように割り当てられた第1の区域51に重なっている。転写フィルム4は領域421,422,423において異なる装飾層を有し、第1の区域51に放射線硬化型接着層が設けられている。したがって、例えば、点状の第1の区域51が割当て領域423に重なり、十字形の第1の区域51が割当て領域422に重なり、文字の形態をなす第1の区域51が割当て領域421に重なっている。
【0252】
この見当合わせを実現するため、見当合わせマークが、好ましくは、印刷装置63によって放射線硬化型接着剤をオーバプリントする際に、例えばオーバプリント、開口(ミシン目)として適用される。対応する見当合わせマークは、好ましくは、転写フィルム4に適用されるか、又は転写フィルム4に既に設けられている。代替例では、見当合わせは、放射線硬化型接着層5又はラミネートフィルム21又は転写フィルム4の装飾エレメントの対応する画像を取得する際に行ってもよい。
【0253】
次いで、転写フィルム4及びラミネートフィルム21の層構造が硬化装置65に送られる。
【0254】
好ましくは、硬化装置65は、UVエミッタ又はe-ビームエミッタである。例えば、50mJ/cm2を超える紫外線量が生じるように水銀灯を使用することが有益である。これは、特に鉄又はガリウムでドープされた放射線である。さらに、UV-LEDエミッタが用いられ得る。さらに、材料ウェブの全幅に亘って照射を行わずに、放射線硬化型接着層5が設けられた所定の領域に対して選択的に照射を行ってもよい。これは、例えば、対応するマスクの使用又は例えばUVエミッタマトリックスの対応する活性化により実現することができる。
【0255】
図9は、硬化装置65による層構造への対応する照射を示している。したがって、例えば、キャリアフィルム41、任意選択的な剥離層44、装飾プライ40、放射線硬化型接着層5及びラミネートフィルム21からなる層構造は、硬化装置65の照射源によって、キャリアフィルム41の側から照射される。さらに、他方の側から照射を行ってもよいし、又は、
図9に示す層構造の両側において硬化装置65に複数の照射源を設けてもよい。
【0256】
さらに、放射線硬化型接着層5が、現在の状態で第1及び第2の区域51,52における十分な接着の差を既に保証している場合には、硬化装置65を省略してもよい。
【0257】
次いで、前記層構造が分離装置に送られる。分離装置は、好ましくは、一対のローラ及び/又はエアブラスト片及び/又は分離ブレード及び/又はナイフブレードを含む偏向器あるいはこれらの組み合わせからなり、これにより、制御された条件下で、ラミネートフィルム21から転写フィルム4を剥離させることができる。
【0258】
剥離中、装飾プライ40とラミネートフィルム21との間における、放射線硬化型接着層5を含む第1の区域51と、放射線硬化型接着層5を含まない第2の区域52との間の層間接着の相違により、装飾プライ40は、第1の部分領域31において、剥離時にキャリアフィルム41から剥離され、ラミネートフィルム21に残存し、装飾プライ40及びキャリアフィルム41は第2の部分領域32に残存し、キャリアフィルム41とともに剥がされる。
【0259】
これは
図10a及び
図10bに示されている。
図10aは剥離後の層構造の断面を示している。放射線硬化型接着層5及び装飾プライ40の層構造は、ラミネートフィルム21の面211において第1の部分領域31に設けられている。この層構造は巻取装置67の供給ロールに巻かれるラミネートインレイ2を形成する。剥離された転写フィルム4の残りの部分として、依然として装飾プライ40が第2の部分領域32に残っている。転写フィルムの残りの部分は、巻取装置66に供給され、そこで供給ロールに巻き取られる。任意選択的に、装飾プライ40を可能な限り使用するため、この残りの部分を再利用してもよい。
【0260】
図10bは、ラミネートインレイ2の上面を示している。前述の正確に見当合わせを行った放射線硬化型接着層5に対する転写フィルム4の適用により、ラミネートインレイ2の第1の部分領域31には、光学的に可変の効果をそれぞれ生じさせる異なるモチーフが生成される。
【0261】
図4に示した方法は、ロールツーロール機械加工プロセスであり、好ましくは0m/分~80m/分、好ましくは15m/分~45m/分の速度で進行する。しかし、別の実施例として、前記方法を、個々のシートが対応するように印刷され、ラミネート加工され、硬化され、剥離されるシート方法で実行してもよい。
【0262】
次いで、
図4の方法に従って製造されたラミネートインレイ2を、シートベースの方法によってさらに処理してもよい。このため、ラミネートフィルム21の幅は、少なくとも、本実施例において使用するシートフォーマットの幅又はこのシートフォーマットの倍数の幅に対応する。さらに、ラミネートフィルム21は、転写プロセスのためにより広い幅を有していてもよく、その後の機械加工プロセスでエッジを所望の幅に切断してもよい。幅が広い場合、その後の切断によりきれいな縁部が得られ、ウェブの縁部に対する印刷の許容誤差を補正可能であるという利点がある。ただし、ウェブの幅が容易に利用可能であるか又は標準のものが利用可能である場合には、物流上の理由から議論の余地がある。さらに、ラミネートフィルム21を正常に移動させるための工場の設計に応じて、輸送トラックを提供し、これを除去する必要がある。また、位置マーク又は見当合わせマーク及び情報の他の項目、制御トラック等をラミネートフィルム21に適用し、その後切断する必要がある。
【0263】
さらに、例えば、PET、PET-G、ABS及びPVCから形成されるプラスチックフィルムとともに積層するための接着を向上させるため、接着層を付加的にラミネートフィルム21に印刷してもよい。この印刷は片面又は両面に行ってもよいし、放射線硬化型接着剤を印刷する前及び/又は転写フィルムを剥がす前に行ってもよい。積層体を形成するため、さらなるラミネートフィルムでのラミネートインレイ2のラミネート加工時に、ロールツーロール方法及びシートベース方法を同様に使用してもよい。ここでも同様に、互いに積層されたフィルムに対して、対応する見当合わせを行うことが有利である。
【0264】
本実施例において、ラミネートインレイ2は、ラミネート加工されるラミネートフィルムと同じフォーマットの幅を有してもよい。さらに、例えば、個々の文書の幅と同じ幅を有する複数の個別のロールにより、ラミネートインレイ2が供給されてもよい。別の実施例では、供給中の横方向の許容誤差を覆うためあるいは必要に応じて見当合わせマーク又は他のテクニカルトラック用のスペースを残すために、ラミネートインレイ2を有するフィルムロールの幅は、ラミネート加工されるラミネートフィルムよりも僅かに大きい。
【0265】
供給用の個々のトラックの場合、個々のロールが、進行方向を横断しかつ進行方向に沿って、互いに対して見当合わせされて案内されることが特に有利である。
【0266】
また、ラミネートインレイ2は、例えばシート処理のため、対応する大きさにカットされ、さらなるラミネートフィルムとのラミネート加工前に仕上加工されてもよい。このため、さらなるラミネートフィルムのラミネート加工に使用するベルトラミネータの幅にフィルムの幅を適合させるため、ラミネートインレイ2は、例えば、シートフォーマットにカットされてもよいし、又はより幅の狭いウェブにカットされてもよい。ラミネート加工のため、ラミネートインレイ2は、一つ又は複数のラミネートフィルムと積層され、所望のセキュリティ文書に対応するラミネートパケットを形成する。ラミネート加工後、結合されたプレートから所望の文書フォーマットが打ち抜かれ、例えば個人化(パーソナライズ化)のためさらに処理される。
【0267】
ラミネート加工されるさらなる材料は、例えば、ヒートシール接着剤でコーティングされる、ポリエステルから形成されたキャリアからなる。ポリエステル製のキャリア及びヒートシール接着剤について、通常の厚さは、25μm~200μmである。装飾プライは接着層の表面に適用される。適用後、さらなる接着層に少なくとも部分的なオーバコートが設けられる。その結果、続の積層プロセスにおいて装飾プライの領域に文書基材に対する結合が実現する。このような構造は、特に不正操作の防止に適している。そのようなラミネートフィルムは、例えば、ロールラミネータの片面又は両面で紙ベースの文書をシールするために使用される。
【0268】
さらに、
図4に示した処理を、異なる転写フィルム4に複数回繰り返してもよいし、
図4に示した処理において、1つだけでなく、複数の転写フィルム4を同時に又は順次、ラミネートフィルム21と接触させてもよい。さらに、異なる放射線硬化型接着剤を用いてもよいし、染色した放射線硬化型接着剤を使い分けたりしてもよい。さらに適用された装飾プライ40は、ラミネートフィルム21の同一の側に適用されてもよいし、ラミネートフィルムの異なる側に適用されてもよい。有利には、異なる転写フィルム及び/又は放射線硬化型接着層に適用された装飾プライ40は、互いに対して見当合わせされ配置される。これは、前述のように、互いに対する、対応する印刷プロセスの見当合わせ及び/又は転写フィルムの見当合わせにより実現する。
【0269】
さらに、付加的な装飾層がさらなる印刷機構によりラミネートフィルム21及び/又は装飾プライ40に、好ましくは見当合わせされて印刷され、かつ/あるいはスタンピングプロセス、例えばホットスタンピングにより転写されてもよい。
【0270】
対応するラミネートインレイ2により形成されたセキュリティ文書である複数の積層体1が
図11~
図13に示されている。
図11~
図13は、
図1に示した積層体に対応する層構造を有する積層体1をそれぞれ示している。
【0271】
図11に示す積層体1の場合、第1の部分領域31は、連続する文字(連続する文字「UTO」)として成形されたラスタ要素を有するラスタの形態で形成されている。この積層体に設けられた装飾プライ40は回折構造からなる。この回折構造は、HRI層を備え、層構造として設けられたさらなるセキュリティエレメントとして全面に亘り背景を有するとともに、パスポートの写真35、レーザを用いた個人化(パーソナライズ)により形成された情報項目33,34を有する。第1の部分領域31は全面に亘って第2の部分領域32に囲まれている。
【0272】
図12に示す積層体1は異なる転写フィルム4の装飾プライ40を含む第1の部分領域311,312,313,314を有する。第1の部分領域311には、回折構造及びHRI層から形成される装飾プライ40が設けられる。第1の部分領域312は、HRI層だけを有する装飾プライ40を備える。第1の部分領域313は、HRI層を含む装飾プライ40を有する。放射線硬化型接着層は、デジタル印刷、特にインクジェット印刷により適用される。
【0273】
さらに、第1の部分領域313はデジタル印刷、特にインクジェット印刷により形成されるオーバプリント、特に個人化(パーソナライズ)されたオーバプリントを有していてもよい。このオーバプリントは、例えば、装飾プライ40又はラミネートフィルム21に印刷される。放射線硬化型接着層5は、好ましくは、少なくとも所定の領域において、このオーバプリントと重なる。
【0274】
第1の部分領域314は、さらなる回折構造に対して見当合わせされ構造化された金属層を有する。第1の部分領域311,312,313,314は、互いに対して及び他のセキュリティ機能部35,34,33に対して見当合わせされて配置される。この配置は前述の方法により実現する。
【0275】
本実施例において、部分領域311,314は、モチーフ領域をそれぞれ形成している。部分領域内に装飾プライ40の少なくとも1つのモチーフが設けられている。部分領域311における各々のモチーフ領域は破線の輪郭によって示され、その内部には、一例としてらせん状のモチーフが配置されている。
図12において、部分領域314において、例えば、長方形、円形及び八角形の境界線により各々のモチーフ領域の境界線が形成され、一例として文字U,T,Oの形態をなす少なくとも1つのモチーフが装飾プライ40に設けられる。
【0276】
モチーフ領域は、好ましくは、特に幾何学図形、ロゴ、英数字又は模様として形成され、その輪郭線は閉じられている。各モチーフ領域の内側には、好ましくは、英数字、コード、グラフィック、イメージ(画像)又は模様として形成された一つ又は複数のモチーフが設けられている。モチーフの外側において、装飾プライの部分領域311又は314は、好ましくは透明に形成され、例えば、これらの部分領域には不透明な装飾層は設けられていない。本実施例において、好ましくは、人間の観察者にとって装飾プライ40がその背景と区別がつかず、したがって人間の観察者にとって光学的に見えないように、装飾プライ40におけるモチーフの外側の透明性がもたらされる。
【0277】
第1の部分領域311において、
図13に示した積層体1は、染色された放射線硬化型接着層5上に設けられた装飾プライ40を有する。装飾プライ40はHRI層及び回折構造を備える。したがって、回折構造の色は、放射線硬化型接着層5により決定される。第1の部分領域312は、IR顔料を含むパターン化されたワニス層及び任意選択的なさらなる装飾層を有する装飾プライ40を備える。本実施例においても、第1の部分領域311,312は互いに対してかつさらなるセキュリティ機能部33,34,35に対して見当合わせ配置されている。これは、前述の方法により実現する。
【0278】
図14は、ラミネートインレイ2、特に前述の第1のラミネートフィルムであるラミネートフィルム21、特に前述の第2のラミネートフィルム22、特に前述の一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第1のラミネートフィルムであるラミネートフィルム71を有する積層体1を示している。有利には、ラミネートフィルム21はポリカーボネートを含む。ラミネートフィルム71及びラミネートフィルム22は、好ましくは、ポリ塩化ビニルを含む。
【0279】
図14に示す層構造は、特に、ラミネートフィルム23~27が示されておらず、代わりにラミネートフィルム71が示されている点を除いて
図1に示した層体1と同じである。しかし、積層体を形成するため、少なくとも1つのラミネートフィルム23~27が設けられかつ/又はラミネート加工されることが想定されている。
【0280】
ラミネートフィルム21は、好ましくは、特に人間の目に見える波長範囲で不透明である。ラミネートフィルム22,71は、好ましくは、特に人間の目に見える波長範囲で透明である。さらに、ラミネートフィルム21は、人間の目に対して白色であり、かつ/又は印刷されてもよい。
【0281】
ラミネートインレイ2、特にラミネートインレイ2の第1の部分領域31における装飾プライの設計に関して、特に
図1及び/又は
図2を参照されたい。
【0282】
図15に示す積層体1は、特にレーザにより形成されたハーフトーンラスタを介して好ましくはグレースケールイメージを形成する、レーザ加工された部分領域100がラミネートインレイ2、特にラミネートフィルム21に設けられている点を除いて
図14の積層体1と同じである。レーザ加工された部分領域100は、例えば、ラミネートフィルム21に亘る平面に垂直に見たときに、好ましくはラミネートフィルム22からラミネートフィルム21への方向に見たときに、第1の部分領域31の下方で当該部分領域に隣接して正確に見当合わせされて配置されている。
【0283】
図16は、ラミネートインレイ2、特にさらなるラミネートインレイであるラミネートインレイ3、ラミネートフィルム21,22,71及び一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの特に第3のラミネートフィルムであるラミネートフィルム73を有する積層体1を示している。
【0284】
図16に示す層構造は、特に、ラミネートフィルム23~27が示されておらず、代わりにラミネートフィルム71~73が示されている点を除いて
図1に示した積層体1と同じである。しかし、積層体1を形成するため、少なくとも1つのラミネートフィルム23~27が設けられかつ/又はラミネート加工されることが想定されている。
【0285】
ラミネートインレイ3は、さらなる装飾プライを含む特に一つ又は複数のさらなる第1の部分領域である第1の部分領域311と、特に一つ又は複数のさらなる第2の部分領域である第2の部分領域321と、を有する。
【0286】
ラミネートインレイ3の第1の部分領域311における、ラミネートインレイ3、特に装飾プライ、好ましくはさらなる装飾プライの設計については特に
図1及び/又は
図2を参照されたい。
【0287】
図16に示すように、さらなるラミネートインレイ3の第1の部分領域311及び第2の部分領域321は、
図16において上方に示したラミネートインレイ2の第1の部分領域31及び第2の部分領域32とオフセットするように設計されている。
【0288】
さらに、ラミネートインレイ3の第1の部分領域311における装飾プライと、当該装飾プライの上方に示したラミネートインレイ2の第1の部分領域31における装飾プライが異なるように設計されてもよい。
【0289】
ラミネートフィルム21及びラミネートフィルム72は、好ましくは、ポリカーボネートからなり、かつ/又はポリカーボネートを含む。ラミネートフィルム22,71,73は、好ましくは、ポリ塩化ビニルからなり、かつ/又はポリ塩化ビニルを含む。
【0290】
ラミネートフィルム71は、好ましくは、特に人間の目に見える波長範囲で不透明である。ラミネートフィルム71,21,73及び/又は22は、好ましくは、人間の目に見える波長範囲で透明である。
【0291】
有利には、ラミネートフィルム71は、単層又は多層であり、特にラミネートフィルム21とラミネートフィルム72との間における接着促進剤として作用する。
【0292】
ラミネートフィルム21,71及び/又は72は、好ましくは、少なくとも部分的にラミネートインレイ2及び/又はラミネートインレイ3の部分領域31及び/又は311を通してレーザにより加工される。その結果、特に、レーザ加工された部分領域は、ラミネートインレイ2及び/又はラミネートインレイ3の部分領域31及び/又は311に亘って、当該部分領域の下方及び/又は当該部分領域に隣接して、正確に見当合わせされて配置される。
【0293】
さらに、好ましくは、さらなるラミネートフィルムからなり付加的な装飾プライを有する付加的なラミネートインレイを積層体1、特にラミネートフィルム21の反対側となる、ラミネートフィルム22及び/又はラミネートフィルム73の側に配置してもよい。
【0294】
また、
図16では、特にラミネートインレイ2及び/又はラミネートインレイ3の反対側となる、ラミネートフィルム22及び/又はラミネートフィルム73の側、並びに/あるいは付加的なラミネートインレイに配置され、ポリ塩化ビニルを含みかつ/又はポリ塩化ビニルからなり、かつ/又は特に人間の目に見える波長範囲で透明であるさらなるラミネートフィルムが想定されている。
【0295】
図17に示された積層体1は、積層体1が特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第3のラミネートフィルムであるラミネートフィルム73と、特に一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第4のラミネートフィルムであるラミネートフィルム74と、をさらに有する点を除いて、
図14及び/又は
図15に示した積層体1と同じである。
【0296】
図17は、特に、ラミネートフィルム23~27が図示されておらず、代わりにラミネートフィルム71,73が図示され、特に層構造においてラミネートフィルム74がさらに示されている点を除いて、
図1に示した積層体1の層構造を示している。
【0297】
好ましくは、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムは、一つ又は複数のさらなるラミネートフィルムの第2のラミネートフィルムを有していなくてもよく、これにより、特に、積層体1は、ラミネートインレイ2を含む。
【0298】
ラミネートフィルム73,74は、好ましくは、ポリ塩化ビニルからなり、かつ/又はポリ塩化ビニルを含む。ラミネートフィルム73,74は、好ましくは、特に人間の目に見える波長範囲で透明である。
【0299】
好ましくは、さらに、付加的な装飾プライを有し、さらなるラミネートフィルムから形成された付加的なラミネートインレイを積層体1、特にラミネートフィルム21の反対側となるラミネートフィルム73及び/又はラミネートフィルム74の側に配設してもよい。
【0300】
また、
図17において、特に、ラミネートフィルム21の反対側となるラミネートフィルム73及び/又はラミネートフィルム74の側及び/又は付加的なラミネートインレイに配設され、かつポリ塩化ビニルを含みかつ/又はポリ塩化ビニルからなり、かつ/又は特に人間の目に見える波長範囲で透明であるさらなるラミネートフィルムを設けてもよい。
【符号の説明】
【0301】
1 積層体
2 ラミネートインレイ
4 転写フィルム
5 放射線硬化型接着層
6 製造装置
21 ラミネートフィルム
22,23,24,25,26,27 ラミネートフィルム
71,72,73,74 ラミネートフィルム
31 部分領域
32 部分領域
311 部分領域
321 部分領域
33,34,35 セキュリティ機能部
40 装飾プライ
41 キャリアフィルム
42 装飾層
43 剥離層
44 分離層/接着促進層
45 保護層
46 接着促進層
51 区域
52 区域
61,62 操出し装置
63 印刷装置
64 ラミネート装置
65 表面加工装置
66,67 巻取装置
211,212 面
401,402 面
311,312,313,314 部分領域
421,422,423,433 領域
100 レーザ加工された部分領域