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  • 特開-印刷ロールの自動脱着システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005963
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】印刷ロールの自動脱着システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/12 20060101AFI20240110BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65H19/12 B
B41J29/38
B65H19/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106464
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】520495906
【氏名又は名称】株式会社カナオカホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】金岡 良延
(72)【発明者】
【氏名】早田 智章
【テーマコード(参考)】
2C061
3F064
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP10
2C061AS06
2C061HH03
2C061HK11
3F064AA01
3F064EA01
3F064EB01
3F064EB13
(57)【要約】
【課題】 ロール状の巻取紙の形状で供給された印刷用紙を自動脱着可能にする。
【解決手段】 印刷ロールの保管場所と、印刷装置1と、保管場所と印刷装置間で印刷ロールを搬送する自律走行搬送ロボット10と、印刷装置および自律走行搬送ロボットを制御する制御装置31を有し、印刷スケジュールに従って、自律走行搬送ロボットと印刷装置が協働して、所定の印刷原反ロールを自律走行搬送ロボットが保管場所から取り出して印刷装置に搬送して取り付け、印刷が終了して巻き取った印刷終了ロールを、自律走行搬送ロボットと印刷装置が協働して印刷装置から取り外して保管場所に搬送する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ロールの保管場所と、
印刷装置と、
保管場所と印刷装置間で印刷ロールを搬送する自律走行搬送ロボットと、
印刷装置および自律走行搬送ロボットを制御する制御装置を有し、
印刷装置の印刷スケジュールに従って、所定の印刷原反ロールを自律走行搬送ロボットが保管場所から取り出して印刷装置に搬送する工程、
自律走行搬送ロボットと印刷装置が協働して印刷原反ロールを印刷装置に取り付ける工程、
印刷が終了して巻き取った印刷終了ロールを、自律走行搬送ロボットと印刷装置が協働して印刷装置から取り外す工程、
印刷終了ロールを自律走行搬送ロボットが保管場所に搬送する工程、
を実行することを特徴とする印刷ロールの自動脱着システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、印刷装置に関し、ロール状の巻取紙の形状で供給された印刷用紙を自動脱着可能にしたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷工場などで使用する業務用の大型の印刷装置において、印刷用紙をロール状の巻取紙の形状で供給することが行なわれている(特許文献1)。
【0003】
前記印刷装置においては印刷用紙はロールに巻いた状態(以下「印刷ロール」と総称する)となり、印刷前の印刷用紙は印刷原反ロールとしてロールに巻いた状態で印刷装置に取り付けられ、印刷を完了した印刷用紙は再びロールに巻き取られて印刷終了ロールとして印刷装置から取り外される。よって、印刷工程において、印刷開始時の印刷原反ロールの印刷装置への取り付け、印刷終了時の印刷終了ロールの印刷装置からの取り外しが必要となり、この作業は人手または機械によりその都度行なっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-267447
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の印刷装置は例えばグラビア印刷やフレキソ印刷のように、長ロットで同一の印刷原反ロールを連続で使用するものが一般的であり、印刷開始時の印刷原反ロールの印刷装置への取り付け、印刷終了時の印刷終了ロールの印刷装置からの取り外しの頻度は少なく、これらの手間が与える影響はさほど顕在化しなかった。
【0006】
しかしながら、近年普及してきた業務用のインクジェット印刷においては、印刷に際して製版の必要がなくデジタルデータにより印刷用の画像を生成できるのでオンデマンド性に優れ、小ロットで多種の印刷用紙に印刷可能なので、印刷毎に違う印刷原反ロールを取り付け、印刷終了ロールを取り外ししないとならないので、従来の手法では印刷原反ロール毎の切替えに手間がかかり作業が遅くなる問題が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は前記の問題を解消した印刷ロールの自動脱着システムを提供することを目的として創作されたものである。
【0008】
すなわち、本願発明の印刷ロールの自動脱着システムは、
印刷ロールの保管場所と、
印刷装置と、
保管場所と印刷装置間で印刷ロールを搬送する自律走行搬送ロボットと、
印刷装置および自律走行搬送ロボットを制御する制御装置を有し、
印刷装置の印刷スケジュールに従って、所定の印刷原反ロールを自律走行搬送ロボットが保管場所から取り出して印刷装置に搬送する工程、
自律走行搬送ロボットと印刷装置が協働して印刷原反ロールを印刷装置に取り付ける工程、
印刷が終了して巻き取った印刷終了ロールを、自律走行搬送ロボットと印刷装置が協働して印刷装置から取り外す工程、
印刷終了ロールを自律走行搬送ロボットが保管場所に搬送する工程、
を実行することを特徴とする印刷ロールの自動脱着システム。
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の印刷ロールの自動脱着システムによれば、印刷装置の印刷スケジュールに従って、所定の印刷原反ロールを自律走行搬送ロボットが保管場所から取り出して印刷装置に取り付け、印刷完了後は巻き取った印刷終了ロールを自律走行搬送ロボットが保管場所に搬送するので、多種多様の印刷ロールの脱着を自動的に行なうことが可能となり、小ロットで多種の印刷用紙に印刷する場合に作業性を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願発明の印刷ロールの自動脱着システムのブロック図
図2】同上、印刷ロールの脱着の流れを示す概念図。
図3】同上、印刷ロールの脱着の流れを示す概念図。
図4】同上、印刷ロールのチャッキングコーンの要部の側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本願発明の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。図1は本願発明の印刷ロールの自動脱着システムのブロック図である。
【0012】
図中符号1は印刷装置であり、この印刷装置は制御装置2により、印刷機構6およびロール受渡機構7の駆動を制御するものであり、通信装置4によりネットワークNを介して後記する印刷サーバ30に接続される。図中符号3は記憶装置、図中符号5は後記する自律走行搬送ロボット10を検知するためのセンサである。
【0013】
図中符号10は印刷工場内の無人走行床20を印刷スケジュールに従って走行して印刷ロールを搬送する自律走行搬送ロボットであり、制御装置11により、走行機構12およびロール受渡機構13の駆動を制御するものであり、通信装置14によりネットワークNを介して後記する印刷サーバ30に接続される。図中符号16は記憶装置、図中符号15は前記した印刷装置1を検知するほか、無人走行床20に配された走行用の目印を検知するためのセンサである。
【0014】
図中符号20は自律走行搬送ロボット10の走行領域となる印刷工場内の無人走行床である。この無人走行床には自律走行搬送ロボット10が走行時に自車位置を認識するための走行用の目印が配される。走行用の目印としては光学的手段あるいは磁気的な手段により検出できるものが想定される。
【0015】
以上の印刷装置1および自律走行搬送ロボット10はネットワークNを介して印刷サーバ30と接続される。印刷サーバ30は操作盤32を介して制御装置31に入力された命令により、記憶装置34に印刷装置の印刷スケジュールが蓄積され、その印刷スケジュールに従って命令信号が送信される。この命令信号を受け取った印刷装置1は、印刷機構6の駆動やロール受渡機構7の駆動を行い、自律走行搬送ロボット10は、印刷ロールの搬送および受渡を行なう。図中符号33はネットワークNを介して印刷サーバ30を印刷装置1および自律走行搬送ロボット10に接続するための通信装置である。
【0016】
従来、印刷で使用する印刷原反ロールを印刷装置側まで自動搬送機で搬送することはできるが、巻出し部や巻取り部での準備作業は全て作業者の作業が必要であった。すなわち、次に使用する印刷原反ロールを巻出し部にセットして前の印刷原反ロールのフィルムにテープ貼りする繋ぎ作業や、印刷終了ロールを巻取り部から降ろして新しい紙管を取付けて印刷用紙をカットして新しい紙管に繋げる作業が自動化に難しかった。また、前の使用している印刷原反ロールが残り少なくなり、新しい印刷原反ロールに繋いで印刷機を通過させる作業は自動化が難しかった。本願発明の実施例においては下記の構成によりこれらを自動化している。
【0017】
図2および3は印刷装置1における印刷ロールの脱着の流れの一例を示す概念図である。この実施例においては巻出し部、巻取り部はターレット方式としている。A軸で使用していた印刷原反ロールが残り少なくなると、B軸の次に使用する印刷原反ロール(印刷実行プログラムで指示した原反)が自律走行搬送ロボット10でセット位置まで近寄り、印刷装置1側で自動チャッキングさせる。この印刷原反ロールには事前に作業者にてテープ貼りを済ませてあり、テープ貼り部が上を向いた状態でセットされる。印刷装置は停止してからA軸の印刷原反ロールの印刷用紙Pを次のB軸の印刷原反ロールのテープ位置にターレット8を回転させて適正な位置で自動に貼り付け、その後A軸の印刷用紙を自動でカットする。カットされたA軸の印刷原反ロールは余った印刷用紙Pを自動で巻上げておく。その時にA軸の下に自律走行搬送ロボット10が待機していてターレット8が自動で動き自律走行搬送ロボットにA軸の印刷原反ロールの巻残りを乗せる。印刷装置1は印刷原反ロールが外れると自動でターレット8を回転させて定位置に戻す。A軸で印刷原反残りロールを乗せた自律走行搬送ロボットは所定の位置に運び出す。印刷原反のテープ継ぎ部は印刷装置が自動で巻取り部まで基材を流して巻取りして停止させる。ここまでの作業がエラーなく完了した段階で印刷スタートモードに自動で入る。
【0018】
巻出し部の自動作業が終了して印刷が全て完了してからの巻取り作業を説明する。巻取り部もターレット方式とする。D軸に印刷終了ロールが位置する。C軸には次に使用する印刷終了ロール用の新しい紙管(事前に作業者にてテープ巻き済み)を自律走行搬送ロボット10がC軸のセット位置まで近寄り、印刷装置1側で自動チャッキングさせる。印刷装置1は自動でターレット9を回転させてD軸の終了ロールのフィルムをC軸の新しい紙管の貼られたテープにターレットを回転させて自動に貼り付ける。その後D軸の印刷済み側の印刷用紙を自動でカットする。カットされたD軸の印刷済み側の無地の余った印刷用紙を自動で巻上げておく。その時にC軸の下に自律走行搬送ロボット10が待機していてターレット9が自動で動き自律走行搬送ロボット10にC軸の印刷終了ロールを乗せる。印刷装置は印刷終了ロールが外れると自動でターレット9を回転させて定位置に戻す。C軸で印刷終了ロールを乗せた自律走行搬送ロボット10は所定の位置に運び出す。
【0019】
この実施例においては前の使用している印刷原反ロールが残り少なくなり新しい印刷原反ロールに繋いで印刷機を自動で通過させる。すなわち、印刷原反ロールの残り部と次の新しい印刷原反ロールのテープ繋ぎ部は巻出し部でテープ貼り位置を検知させて、自動で印刷装置を低速で走行させて、巻取り部の巻取りに巻き込まれた位置を検知させて自動停止させる。この自動作業が完了した信号を受けて印刷装置は自動印刷モードに入る。
【0020】
図4は前記の自動チャッキングのためのチャッキングコーン41を示すものであり、一対のチャッキングコーンが駆動軸により印刷原反ロールや印刷終了ロールの紙管40の両端に接離することにより、それに挿入されて掴持する。
【0021】
以上の実施例においては印刷原反ロールが1本毎に違う原反に変わるのでその準備作業は外段取りで行う。当日に使用する予定の原反は自動倉庫等の所定の専用置き場所に事前に置いておいて、前もって使用する原反の情報を印刷サーバ30の記憶装置34にインプットしておく。その際に使用予定の原反の情報(作業予定仕様書NO・原反種別・メーカー・銘柄・紙幅・厚み・直径・紙管サイズ)をQRコード(登録商標)などで簡単に入力する。
【0022】
印刷工場のオペレーターは前準備時に操作盤32から使用予定の原反を指示する。指示を受けた自律走行搬送ロボット10は指示通りに印刷原反ロール1本を乗せて指定された印刷装置1の着脱位置に行く。2本以上ある場合は本数を指示すれば作業はタイミング良く連続して作業をする。
【0023】
印刷装置の指定された位置に自律走行搬送ロボットが到着したら、印刷装置側でもセンサから自律走行搬送ロボットが到着したことを認識する。そこから自律走行搬送ロボットと印刷装置が協働して作業を自動モードで行う。
【0024】
自律走行搬送ロボットは乗せた印刷原反ロールを印刷装置に装着する時に、印刷原反ロールと印刷装置のセンター位置を自分で検知しながら印刷装置側に接近してチャッキングコーン41の位置に上昇させる。印刷装置側は自律走行搬送ロボットの動作を検知しながらチャッキングコーンの位置に停止した原反を検知する。自律走行搬送ロボットから信号を受けて印刷装置側は受取り自動モードの動作に入る。
【0025】
印刷装置側は印刷原反ロールの紙管位置を検知しながら装着位置になったら、自分で判断して駆動軸を動かして印刷原反ロールの紙管40内に挿入させる。完全に挿入して安全であることを自分で確認した上でターレット8を所定の位置に動かす。
【0026】
印刷工場のオペレーターは巻取り仕上り前に、次の加工が終わり巻取りになっている印刷終了ロールを取りに来るように自律走行搬送ロボットまたは自動倉庫などの印刷原反ロールの保管場所に受取り指示を出す。自律走行搬送ロボットは指示通りに指定された場所に行く。
【0027】
自律走行搬送ロボットは印刷装置のターレット位置が安全であることを認識した上でターレットの中に潜り込んで受取り位置に停止したら、印刷装置側がターレットを動かして巻取りを自律走行搬送ロボットが受け取れる位置に合せる。印刷装置も自律走行搬送ロボットも安全な位置であることを確認し一旦停止する。
【0028】
印刷装置側ターレットの駆動軸を開にして巻取りを自律走行搬送ロボットに降ろす。自律走行搬送ロボットは印刷終了ロールが乗っかって印刷装置の駆動軸が完全開になって安全であることを確認してから自律走行搬送ロボットを動かす。
【0029】
自律走行搬送ロボットは印刷終了ロールを乗せて指示された場所に搬送する。自動倉庫の場合は印刷終了ロールを自動で引き渡しして格納するか、または所定の専用置き場に置いて作業が終了する。
【符号の説明】
【0030】
1 印刷装置
2 制御装置
3 記憶装置
4 通信装置
5 センサ
6 印刷機構
7 ロール受渡機構
10 自律走行搬送ロボット
11 制御装置
12 走行機構
13 ロール受渡機構
14 通信装置
15 センサ
16 記憶装置
20 無人走行床
30 印刷サーバ
31 制御装置
32 操作盤
33 通信装置
34 記憶装置
40 紙管
41 チャッキングコーン
42 駆動軸
P 印刷用紙
図1
図2
図3
図4