(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059638
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】レチクルストッカシステム及びそれを用いた方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20240423BHJP
B65D 85/48 20060101ALI20240423BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240423BHJP
G03F 1/66 20120101ALI20240423BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/48
B65G1/00 537
G03F1/66
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013349
(22)【出願日】2024-01-31
(62)【分割の表示】P 2022038174の分割
【原出願日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】63/160,066
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/249,155
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/684,879
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
(72)【発明者】
【氏名】荘 家和
(72)【発明者】
【氏名】薛 新民
(72)【発明者】
【氏名】▲温▼ 星閔
(57)【要約】
【課題】レチクルストッカシステム及びそれを用いた方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、レチクルストッカシステム及びそれを用いた方法を開示する。本発明のレチクルストッカシステム600は、複数の保管棚604を含み、複数の保管棚の各々が専用のレチクル保管ポッド100を載置するようになっている保管庫602と、保管庫と協働して専用のレチクル保管ポッドを移動させるように構成されたロボットアーム609と、を備え、専用のレチクル保管ポッドは、保管庫内での保管と移動の専用のものであり、保管庫は、クリーニングされた又は使用済みの1つ又は複数の専用のレチクル保管ポッドを配置するように構成されたバッファ領域を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持体が配置され、各支持体がレチクルの角部を支持するために用いられ、各前記支持体から一対の制限ブロックが上向きに延び、前記一対の制限ブロックが前記角部の両側面に各々位置するベース部と、
前記複数の支持体に各々対応して複数の弾性ホールドダウン機構が配置され、各弾性ホールドダウン機構が少なくとも1つの弾性アームを備え、前記弾性アームが、対応する前記支持体によって支持される前記レチクルの前記角部に作用する蓋体と、
を含むレチクル保管ポッドであって、
前記レチクルを収容するように前記蓋体を前記ベース部に被せた時、前記一対の制限ブロックは前記弾性アームの横方向移動を制限するレチクル保管ポッド。
【請求項2】
前記支持体は一対の傾斜面を有し、前記一対の傾斜面は前記角部の両側下縁部に各々係合される請求項1に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項3】
前記弾性ホールドダウン機構は、本体と、前記本体から異なる方向で延びる一対の弾性アームとを含み、各前記弾性アームが制限部と、前記制限部から延びる傾斜面とを有し、前記一対の弾性アームの2つの傾斜面は前記角部の両側上縁部に各々係合される請求項1に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項4】
前記一対の制限ブロックは、前記一対の弾性アームの2つの制限部を制限する請求項3に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項5】
前記一対の弾性アームの2つの傾斜面は、前記制限部から離れて延在し、互いに結合されている請求項3に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項6】
蓋体と、ベース部と、保持機構とを含み、前記蓋体と前記ベース部とが結合して収納スペースを画定し、前記保持機構がレチクルを前記収納スペースに保持するように構成される、内側ポッドと、
外側ポッドであって、外側蓋体と、外側ベース部とを含み、前記外側蓋体と前記外側ベース部とが結合して前記内側ポッドを前記外側ポッド内に収容する前記外側ポッドとを含むレチクル保管ポッドであって、
前記外側蓋体が、平らな頂面と、前記平らな頂面から下向きに延びる周側面を有し、前記周側面に少なくとも一対のハンドルが設けられ、前記一対のハンドルが前記平らな頂面の高さを超えないレチクル保管ポッド。
【請求項7】
前記外側ベース部の頂面には前記内側ポッドの前記ベース部を支持する複数の位置決めピンが設けられる請求項6に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項8】
前記外側蓋体には前記蓋体に作用して前記内側ポッドを保持する少なくとも1つのホールドダウン機構が設けられる請求項6に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項9】
前記ホールドダウン機構は、前記内側ポッドの前記蓋体に作用するホールドダウン柱である請求項8に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項10】
前記保持機構は、前記ベース部に設けられた少なくとも1つの支持体と、前記支持体に対応して前記蓋体に設けられた少なくとも1つの弾性ホールドダウン機構とを含み、前記外側蓋体と前記外側ベース部とが結合して前記内側ポッドを収容する時、前記ホールドダウン柱が前記弾性ホールドダウン機構に押し当てられることで、前記弾性ホールドダウン機構が前記レチクルを保持する請求項9に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項11】
前記ホールドダウン機構がホールドダウン凸リブであり、前記外側蓋体と前記外側ベース部とが結合して前記内側ポッドを収容する時、前記ホールドダウン凸リブが前記内側ポッドの前記蓋体の上面に押し当てられる請求項8に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項12】
前記蓋体の上面の、前記ホールドダウン凸リブに対応する箇所に凹溝が形成されており、前記外側蓋体と前記外側ベース部とが結合して前記内側ポッドを収容する時、前記ホールドダウン凸リブが、対応する前記凹溝内に押し当てられる請求項11に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項13】
前記ホールドダウン凸リブが、対応する前記凹溝内に押し当てられることで、前記蓋体を安定的に位置決めて前記ベース部上に結合させる請求項12に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項14】
前記保持機構は、前記ベース部に設けられた少なくとも1つの支持体と、前記支持体に対応して前記蓋体に設けられ、少なくとも1つの弾性アームを有する少なくとも1つのレチクルリテーナとを含み、前記蓋体と前記ベース部とが結合して前記レチクルを収容する時、前記支持体が前記レチクルの角部を支持し、前記レチクルリテーナの前記弾性アームが、対応する前記角部に係合されることで、前記保持機構が前記レチクルを保持する請求項6に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項15】
内側表面に複数のホールドダウン機構が設けられた外側ポッドへの格納に適し、蓋体と、ベース部と、複数の保持機構とを含み、前記蓋体と前記ベース部とが結合することで収納スペースを画定し、これらの保持機構が、レチクルを前記収納スペースに収容されるように保持するように構成される、内側ポッドを含むレチクル保管ポッドであって、
前記蓋体の上面の、前記複数のホールドダウン機構に各々対応する箇所に複数の凹溝が形成され、前記内側ポッドが前記外側ポッドに格納される時、前記蓋体のそれらの凹溝が前記ホールドダウン機構に各々対応して係合され、押さえ付け力が得られて前記内側ポッドを安定に位置決めることで、前記保持機構による前記レチクルの保持を強化させるレチクル保管ポッド。
【請求項16】
前記凹溝は、底面と、前記底面を囲繞する周側面とを有し、前記周側面が輪郭を有し、前記蓋体が前記凹溝の下面に前記保持機構を露出させる請求項15に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項17】
前記ホールドダウン機構は、前記凹溝に対応する前記輪郭を有するホールドダウン凸リブであり、前記内側ポッドが前記外側ポッドに格納される時、前記ホールドダウン凸リブが前記凹溝の前記底面に対応して押し当てられる請求項16に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項18】
外側ポッドを含み、前記外側ポッドが外側蓋体と、外側ベース部とを含み、前記外側蓋体と前記外側ベース部が結合して、異なる構造の第1内側ポッド又は第2内側ポッドのいずれかを前記外側ポッド内に安定して収容し、前記第1内側ポッド及び前記第2内側ポッドがレチクルを各々収容するために用いられるレチクル保管ポッドであって、
前記外側蓋体には、少なくとも1つの第1ホールドダウン機構及び少なくとも1つの第2ホールドダウン機構が設けられ、前記第1ホールドダウン機構及び前記第2ホールドダウン機構が前記異なる構造の前記第1内側ポッドの蓋体及び第2内側ポッドの蓋体に各々作用するレチクル保管ポッド。
【請求項19】
前記第1ホールドダウン機構及び前記第2ホールドダウン機構は、前記外側蓋体の下面から異なる高さで延在することで、前記第1ホールドダウン機構及び前記第2ホールドダウン機構がそれぞれ、前記異なる構造の前記第1内側ポッド及び前記第2内側ポッドの蓋体の対応する構造に係合される請求項18に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項20】
前記第1ホールドダウン機構がホールドダウン柱であり、前記第2ホールドダウン機構が馬蹄形輪郭を有するホールドダウン凸リブであり、かつ、前記ホールドダウン柱が前記ホールドダウン凸リブの馬蹄形輪郭の内側に位置する請求項18に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項21】
前記第1内側ポッドの前記蓋体の、前記第1ホールドダウン機構に対応する箇所に弾性ホールドダウン機構が設けられ、前記弾性ホールドダウン機構がホールドダウンピンを含み、前記第1内側ポッドが前記外側ポッドに収容される時、前記ホールドダウン柱が前記ホールドダウンピンに押し当てられることで前記第1内側ポッドの収容する前記レチクルを保持する請求項20に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項22】
前記弾性ホールドダウン機構が前記ホールドダウンピンを制限するキャップを含み、前記第1内側ポッドが前記外側ポッドに収容される時、前記ホールドダウン凸リブの馬蹄形の輪郭が前記キャップの横方向移動を制限する請求項21に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項23】
前記第2内側ポッドの前記蓋体の、前記第2ホールドダウン機構に対応する箇所に凹溝が設けられ、前記凹溝が底面と、前記底面を囲繞する周側面とを有し、かつ、前記周側面が前記ホールドダウン凸リブに対応する馬蹄形の輪郭を有し、前記第2内側ポッドが前記外側ポッドに収容される時、前記ホールドダウン凸リブが前記凹溝の前記底面に押し当てられ、かつ、前記ホールドダウン凸リブが前記蓋体の横方向移動を制限する請求項20に記載のレチクル保管ポッド。
【請求項24】
レチクル保管ポッドに用いられてレチクルを保持するレチクルの保持方法であって、
前記レチクル保管ポッドのベース部に、各支持体から一対の制限ブロックが上向きに延びる複数の支持体を配置するステップと、
前記複数の支持体に各々対応して、少なくとも1つの弾性アームを各々備えた複数の弾性ホールドダウン機構を前記レチクル保管ポッドの蓋体に配置するステップと、
前記蓋体と前記ベース部とが結合して前記レチクルを収容する時、各前記支持体が前記レチクルの角部を支持し、各前記弾性ホールドダウン機構の前記弾性アームが、対応する前記角部に作用し、かつ前記一対の制限ブロックが前記弾性アームの横方向移動を制限するステップと
を含むレチクルの保持方法。
【請求項25】
前記一対の制限ブロックは、前記角部の両側面に各々位置する請求項24に記載のレチクルの保持方法。
【請求項26】
前記弾性ホールドダウン機構が本体と、一対の弾性アームとを含み、各前記弾性アームが制限部と、前記制限部から延びる傾斜面とを有する請求項24に記載のレチクルの保持方法。
【請求項27】
前記蓋体と前記ベース部とが結合して前記レチクルを収容する時、前記一対の弾性アームの2つの傾斜面は前記角部の両側上縁部に各々係合される請求項26に記載のレチクルの保持方法。
【請求項28】
前記一対の弾性アームは、前記本体の異なる方向から延びる請求項26に記載のレチクルの保持方法。
【請求項29】
前記一対の弾性アームの末端は、一緒に連結される請求項26に記載のレチクルの保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチクル保管ポッド及びレチクル保持方法に関し、特に、外側ポッドと、内側ポッドとを含むレチクル保管ポッド、及び外側ポッドと内側ポッドの協働におけるレチクル保持方法に関する。前記レチクル保管ポッドは、レチクル保管システム及び方法に適用される。
【背景技術】
【0002】
現在極端紫外線(EUV)露光工程において、レチクルは、内側ポッド(EIP)と外側ポッド(EOP)とから成る従来のデュアルポッド構造のレチクルポッド(EUV POD)で保護する必要がある。レチクルを保管するには、レチクルを内側ポッドに入れ、内側ポッドを外側ポッド内に収納し、従来のレチクルポッド全体を窒素キャビネットに入れると共に窒素を充填して、レチクルを保管していた。
【0003】
また、従来のレチクルポッドは、レチクルを収容している内側ポッドが、長距離輸送中の振動及び偏移で生じるパーティクル汚染とレチクルの損傷を避けることができるように設計されている。また、従来のレチクルポッドは、様々な試験・検査を受けるため、異なる工程装置に適切にロードされるように構成され得るため、内側ポッドの構造が外側ポッドの構造に比べて複雑になり、コストも比較的高くなった。このような設計目的のレチクルポッドの内側ポッドを窒素キャビネットに長期間収納する場合、内側ポッドの使用利益に適合していなかった。
【0004】
図1及び
図2を合わせて参照すると、従来のレチクルポッド(10)は、デュアルポッド構造で、内側ポッド(11)と、外側ポッド(12)とを含み、内側ポッド(11)にレチクル(R)を格納し、外側ポッド(12)が内側ポッド(11)を収容する。内側ポッド(11)は、レチクル(R)を密封・収容するために、互いに適合するベース部(20)及び蓋体(30)を含む。外側ポッド(12)は、外側ベース部(40)と、外側蓋体(50)とを含み、外側ベース部(40)が内側ポッド(11)のための支持手段を有し、外側蓋体(50)と外側ベース部(40)が結合することで内側ポッド(11)の収容スペースを画定する。外側蓋体(50)の内側には通常、適切な押さえ付け手段を設けて外側蓋体(50)と外側ベース部(40)が結合された時に内側ポッド(11)を押さえ付けることができることで安定した収容を形成する。外側ベース部(40)は、一般的に外側蓋体(50)を外側ベース部(40)にロックするためのラッチ手段をさらに含む。このような工場でのレチクルポッド(10)の輸送は天井クレーンシステムによって行われるため、外側蓋体(50)の頂端には、クレーンアームで把持できるハンドル(52)が付いている。したがって、従来のレチクルポッド(10)は、ハンドル(52)の高さのため積み重ね保管には不利であり、かつハンドル(52)の高さに追加の保管スペースが取られる。
【0005】
また、一般的な設計では、従来の内側ポッドと従来の外側ポッドとの間に、対応する嵌合機構を有するため、従来の外側ポッドは対応する内側ポッドとのみ組み合わせることができるが、異なる機構設計の内側ポッドと適応的に組み合わせることができない。すなわち、互換性のある特定の外側ポッドと内側ポッドのみが、レチクルを安定して収容する効果を奏することができる。互換性のない外側ポッドと内側ポッドを使用すると、期待される安定性を実現できない。レチクル保管ポッドの手段は、製造コスト及び保管効率を考慮すると、従来の外側ポッド設計は、このような要件を満たすことができなかった。
【0006】
したがって、業界では、長期保管に適したレチクル保管ポッド及びその関連方法、並びに専用レチクル保管ポッドを貯蔵するためのレチクル保管システム及び方法が必要とされている。また、本発明の少なくとも2種の異なる機構設計の内側ポッドとの互換性がある単一の外側ポッドの技術を開発し、貯蔵コストを削減するのに役立つであろう。
【0007】
既知のレチクルポッドは、内側ポッドによって加えられる外力、すなわち、ホールドダウンピン(Hold Down Pin)を使用する固定機構を備えている。この機構は、内側ポッドが外側ポッドに収容されている場合にのみ、内側ポッド内のレチクルに作用できる。例えばホールドダウンピンの頂端が内側ポッドの頂部外側に露出している。外側ポッドを使用せずに内側ポッドのみを輸送する場合、レチクルの内側ポッドにおける安定性に欠けるため振動や衝突が発生しやすくなっていた。
【0008】
また、レチクルを専用レチクルストッカシステムに長期間保管する場合、レチクルをデュアルポッド構造のレチクルポッドから取り出すと共に専用ポッドに移す必要がある。このため、レチクルをレチクルストッカシステムに収納する前にも互換性のあるレチクルローディングシステム及び関連の方法も開発する必要がある。
【0009】
さらに、レチクルが半導体製造装置の高精密製造工程に適しており、製造コストの高いレチクルをストッカに長期間収納するためには、厳しい環境条件を満たさなければならない。したがって、レチクル長期保管向けのレチクルストッカの管路気体充填システム及び関連の方法、並びにストッカシステムをスケジューリングするのに適したレチクルストッカ管理システム及び関連の方法を開発する必要もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
より多くのレチクルを同じ空間内に格納するため、本発明は、レチクルの格納効率を高めるための貯蔵手段を提供する。具体的には、本発明は、既知のレチクルポッドとは異なる専用のレチクル保管ポッドを提供する。区別の目的で、本開示の説明において「レチクルポッド」という用語は、従来のレチクルポッドを意味し、「レチクル保管ポッド」という用語は効率が向上した貯蔵手段に応じて本発明により提示される専用のレチクルポッドを意味する。
【0011】
レチクル保管ポッドがレチクルローディングシステムとレチクルストッカシステムの保管棚の間でのみ輸送される場合、このような使用目的のレチクル保管ポッド設計は、外部パーティクルの侵入を防ぐための保護機構が必要なことを除き、複雑な構造と加工を必要とせず、製造コスト削減に役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、複数の支持体が配置され、各前記支持体がレチクルの角部を支持するために用いられ、各前記支持体から一対の制限ブロックが上向きに延び、前記一対の制限ブロックが前記角部の両側面に各々位置するベース部と、前記複数の支持体に各々対応して複数の弾性ホールドダウン機構が配置され、各弾性ホールドダウン機構が少なくとも1つの弾性アームを備え、前記弾性アームが、対応する前記支持体によって支持される前記レチクルの前記角部に作用する蓋体とを含むレチクル保管ポッドであって、前記レチクルを収容するように前記蓋体を前記ベース部に被せた時、前記一対の制限ブロックは前記弾性アームの横方向移動を制限するレチクル保管ポッドを提供することである。
【0013】
具体的な実施形態において、前記支持体は一対の傾斜面を有し、前記一対の傾斜面は前記角部の両側下縁部に各々係合される。
【0014】
具体的な実施形態において、前記弾性ホールドダウン機構は、本体と、前記本体から異なる方向で延びる一対の弾性アームとを含み、各弾性アームが制限部と、前記制限部から延びる傾斜面とを有し、前記一対の弾性アームの2つの傾斜面は前記角部の両側上縁部に各々係合される。
【0015】
具体的な実施形態において、前記一対の制限ブロックは、前記一対の弾性アームの2つの制限部を制限する。
【0016】
具体的な実施形態において、前記一対の弾性アームの2つの傾斜面は、前記制限部から離れて延在し、互いに結合されている。
【0017】
本発明の別の目的は、蓋体と、ベース部と、保持機構とを含み、前記蓋体と前記ベース部とが結合して収納スペースを画定し、前記保持機構がレチクルを前記収納スペースに保持するように構成される、内側ポッドと、外側ポッドであって、外側蓋体と、外側ベース部とを含み、前記外側蓋体と外側ベース部とが結合して前記内側ポッドを前記外側ポッド内に収容する前記外側ポッドとを含むレチクル保管ポッドであって、前記外側蓋体が、平らな頂面と、前記平らな頂面から下向きに延びる周側面を有し、前記周側面に少なくとも一対のハンドルが設けられ、前記一対のハンドルが前記平らな頂面の高さを超えないレチクル保管ポッドを提供することである。
【0018】
具体的な実施形態において、前記外側ベース部の頂面には前記内側ポッドの前記ベース部を支持する複数の位置決めピンが設けられる。
【0019】
具体的な実施形態において、前記外側蓋体には前記蓋体に作用して前記内側ポッドを保持する少なくとも1つのホールドダウン機構が設けられる。
【0020】
具体的な実施形態において、前記ホールドダウン機構は、前記内側ポッドの前記蓋体に作用するホールドダウン柱である。
【0021】
具体的な実施形態において、前記保持機構は、前記ベース部に設けられた少なくとも1つの支持体と、前記支持体に対応して前記蓋体に設けられた少なくとも1つの弾性ホールドダウン機構とを含み、前記外側蓋体と前記外側ベース部とが結合して前記内側ポッドを収容する時、前記ホールドダウン柱が前記弾性ホールドダウン機構に押し当てられることで、前記弾性ホールドダウン機構が前記レチクルを保持する。
【0022】
具体的な実施形態において、前記ホールドダウン機構がホールドダウン凸リブであり、前記外側蓋体と前記外側ベース部とが結合して前記内側ポッドを収容する時、前記ホールドダウン凸リブが前記内側ポッドの前記蓋体の上面に押し当てられる。
【0023】
具体的な実施形態において、前記蓋体の上面の、前記ホールドダウン凸リブに対応する箇所に凹溝が形成されており、前記外側蓋体と前記外側ベース部とが結合して前記内側ポッドを収容する時、前記ホールドダウン凸リブが、対応する前記凹溝内に押し当てられる。
【0024】
具体的な実施形態において、前記ホールドダウン凸リブが、対応する前記凹溝内に押し当てられることで、前記蓋体を安定的に位置決めて前記ベース部上に結合させる。
【0025】
具体的な実施形態において、前記保持機構は、前記ベース部に設けられた少なくとも1つの支持体と、前記支持体に対応して前記蓋体に設けられ、少なくとも1つの弾性アームを有する少なくとも1つのレチクルリテーナとを含み、前記蓋体と前記ベース部とが結合して前記レチクルを収容する時、前記支持体が前記レチクルの角部を支持し、前記レチクルリテーナの前記弾性アームが、対応する前記角部に係合されることで、前記保持機構が前記レチクルを保持する。
【0026】
本発明の別の目的は、内側表面に複数のホールドダウン機構が設けられた外側ポッドへの格納に適し、蓋体と、ベース部と、複数の保持機構とを含み、前記蓋体と前記ベース部とが結合することで収納スペースを画定し、これらの保持機構が、レチクルを前記収納スペースに収容されるように保持するように構成される、内側ポッドを含むレチクル保管ポッドであって、前記蓋体の上面の、前記複数のホールドダウン機構に各々対応する箇所に複数の凹溝が形成され、前記内側ポッドが前記外側ポッドに格納される時、前記蓋体のそれらの凹溝が前記ホールドダウン機構に各々対応して係合され、押さえ付け力が得られて前記内側ポッドを安定に位置決めることで、前記保持機構による前記レチクルの保持を強化させるレチクル保管ポッドを提供することである。
【0027】
具体的な実施形態において、前記凹溝は、底面と、前記底面を囲繞する周側面とを有し、前記周側面が輪郭を有し、前記蓋体が前記凹溝の下面に前記保持機構を露出させる。
【0028】
具体的な実施形態において、前記ホールドダウン機構は、前記凹溝に対応する前記輪郭を有するホールドダウン凸リブであり、前記内側ポッドが前記外側ポッドに格納される時、前記ホールドダウン凸リブが前記凹溝の前記底面に対応して押し当てられる。
【0029】
本発明の更なる目的は、外側ポッドを含み、前記外側ポッドが外側蓋体と、外側ベース部とを含み、前記外側蓋体と外側ベース部が結合して、異なる構造の第1内側ポッド又は第2内側ポッドのいずれかを前記外側ポッド内に各々安定して収容し、前記第1内側ポッド及び前記第2内側ポッドがレチクルを各々収容するために用いられるレチクル保管ポッドであって、前記外側蓋体には、少なくとも1つの第1ホールドダウン機構及び少なくとも1つの第2ホールドダウン機構が設けられ、前記第1ホールドダウン機構及び前記第2ホールドダウン機構が前記異なる構造の第1内側ポッドの蓋体及び第2内側ポッドの蓋体に各々作用するレチクル保管ポッドを提供することである。
【0030】
具体的な実施形態において、前記第1ホールドダウン機構及び前記第2ホールドダウン機構は、前記外側蓋体の下面から異なる高さで延在することで、前記第1ホールドダウン機構及び前記第2ホールドダウン機構がそれぞれ、前記異なる構造の第1内側ポッド及び第2内側ポッドの蓋体の対応する構造に係合される。
【0031】
具体的な実施形態において、前記第1ホールドダウン機構がホールドダウン柱であり、前記第2ホールドダウン機構が馬蹄形輪郭を有するホールドダウン凸リブであり、かつ、前記ホールドダウン柱が前記ホールドダウン凸リブの馬蹄形輪郭の内側に位置する。
【0032】
具体的な実施形態において、前記第1内側ポッドの前記蓋体の前記第1ホールドダウン機構に対応する箇所に弾性ホールドダウン機構が設けられ、前記弾性ホールドダウン機構がホールドダウンピンを含み、前記第1内側ポッドが前記外側ポッドに収容される時、前記ホールドダウン柱が前記ホールドダウンピンに押し当てられることで前記第1内側ポッドの収容する前記レチクルを保持する。
【0033】
具体的な実施形態において、前記弾性ホールドダウン機構が前記ホールドダウンピンを制限するキャップを含み、前記第1内側ポッドが前記外側ポッドに収容される時、前記ホールドダウン凸リブの馬蹄形の輪郭が前記キャップの横方向移動を制限する。
【0034】
具体的な実施形態において、前記第2内側ポッドの前記蓋体の、前記第2ホールドダウン機構に対応する箇所に凹溝が設けられ、前記凹溝が底面と、前記底面を囲繞する周側面とを有し、かつ、前記周側面が前記ホールドダウン凸リブに対応する馬蹄形の輪郭を有し、前記第2内側ポッドが前記外側ポッドに収容される時、前記ホールドダウン凸リブが前記凹溝の前記底面に押し当てられ、かつ、前記ホールドダウン凸リブが前記蓋体の横方向移動を制限する。
【0035】
本発明の別の目的は、レチクル保管ポッドに用いられてレチクルを保持するレチクルの保持方法であって、前記レチクル保管ポッドのベース部に、各支持体から一対の制限ブロックが上向きに延びる複数の支持体を配置するステップと、複数の支持体に各々対応して、少なくとも1つの弾性アームを各々備えた複数の弾性ホールドダウン機構を前記レチクル保管ポッドの蓋体に配置するステップと、前記蓋体と前記ベース部とが結合して前記レチクルを収容する時、各前記支持体が前記レチクルの角部を支持し、各弾性ホールドダウン機構の前記弾性アームが、対応する前記角部に作用し、かつ前記一対の制限ブロックが前記弾性アームの横方向移動を制限するステップとを含むレチクルの保持方法を提供することである。
【0036】
具体的な実施形態において、前記一対の制限ブロックは、前記角部の両側面に各々位置する。
【0037】
具体的な実施形態において、前記弾性ホールドダウン機構が本体と、一対の弾性アームとを含み、各弾性アームが制限部と、前記制限部から延びる傾斜面とを有する。
【0038】
具体的な実施形態において、前記蓋体と前記ベース部とが結合して前記レチクルを収容する時、前記一対の弾性アームの2つの傾斜面は前記角部の両側上縁部に各々係合される。
【0039】
具体的な実施形態において、前記一対の弾性アームは、前記本体の異なる方向から延びる。
【0040】
具体的な実施形態において、前記一対の弾性アームの末端は、一緒に連結される。
【0041】
本発明をよりよく理解するため、以下の図面及び説明を参照することができる。以下の図面を参照しつつ、非限定的かつ非網羅的な実施形態を説明する。図面中の構成要素は必ずしも実際のサイズに描かれているわけではなく、構造及び原理の説明に焦点を合わせて描かれていることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】従来のレチクル保管ポッドの分解側面図である。
【
図2】従来の内側ポッド及びレチクルの分解立体図である。
【
図3】本発明のレチクルストッカシステムのブロック図である。
【
図4】本発明のレチクルストッカシステムの立体図である。
【
図5A】本発明のレチクル保管ポッドの分解側面図である。
【
図5B】本発明の専用外側ポッドの外側蓋体の立体図である。
【
図5C】本発明の専用外側ポッドの外側ベース部の立体図である。
【
図5D】本発明の専用内側ポッドの分解立体図である。
【
図5E】本発明の専用内側ポッドの蓋体の上面図である。
【
図5F】本発明の専用内側ポッドの蓋体の底面図である。
【
図5G】
図5Eの一点鎖線に沿った本発明の専用内側ポッドの蓋体の断面図である。
【
図5H】本発明の専用内側ポッドのベース部の上面図である。
【
図5I】本発明の専用内側ポッドのベース部の底面図である。
【
図5J】5Hの一点鎖線に沿った本発明の専用内側ポッドのベース部の断面図である。
【
図5K】本発明の専用内側ポッドのベース部の立体図である。
【
図5M】本発明のベース部の別の角部の立体図である。
【
図5N】本発明の蓋体内側に設けられたレチクルリテーナを示す図である。
【
図6A】本発明の専用内側ポッドのレチクルリテーナと、対応する支持体とがレチクルの角部を制限することを示す図である。
【
図6B】本発明の支持体がレチクルリテーナの横方向移動を制限することを部分的に拡大した図である。
【
図7B】
図7Aの一点鎖線に沿った本発明の専用内側ポッドの断面図である。
【
図8A】本発明の専用外側ポッドの外側蓋体の底面図である。
【
図8B】専用内側ポッドの蓋体に作用するホールドダウン機構の拡大図である。
【
図9A】
図5Aのレチクル保管ポッドの結合時の断面図である。
【
図10A】従来のレチクル輸送内側ポッドの立体図である。
【
図10B】従来のレチクル輸送内側ポッドの蓋体の対応する機構に作用するホールドダウン機構を示す図である。
【
図10C】ホールドダウン機構及びレチクルポッドの内側ポッドの対応する機構の拡大図である。
【
図11A】専用内側ポッドを収容した本発明のレチクル保管ポッドの専用外側ポッドの断面図である。
【
図11B】非専用内側ポッドを収容した本発明のレチクル保管ポッドの専用外側ポッドの断面図である。
【
図12】本発明の専用内側ポッドの蓋体とレチクルポッドの内側ポッドの蓋体との重なり合う様子を示す図である。
【
図13】本発明のレチクルローディングシステムの外観立体図である。
【
図14】本発明のレチクルローディングシステムの概略図である。
【
図15】本発明のレチクル貯蔵方法のロードフローチャートである。
【
図16】本発明のレチクル貯蔵方法のアンロードフローチャートである。
【
図17】本発明のレチクルの移載の具体的なフローチャートである。
【
図18】本発明の具体的実施形態に係るレチクルローディングシステムを示す図である。
【
図19A】具体的な実施形態に係る、レチクルローディングシステムで使用されるレチクル挟持機構を示す図である。
【
図20】レチクル挟持機構と昇降台の協働を示す図である。
【
図21】レチクルローディングシステムの異常処理フロー図である。
【
図22】レチクルローディングシステムの別の異常処理フロー図である。
【
図23】レチクル挟持機構の異常処理フロー図である。
【
図24】本発明のレチクルローディングシステム及びレチクルストッカシステムのブロック図である。
【
図25】本発明のレチクルストッカシステムの上面図(レチクルストッカシステム内部の具体的な配置を示す)である。
【
図26A】本発明の具体的な実施形態に係る保管棚の立体図である。
【
図27A】レチクル保管ポッドがある場合の保管棚を示す図である。
【
図27B】レチクル保管ポッドがある場合の保管棚をその底部から見た図である。
【
図27C】レチクル保管ポッドがある場合の保管棚を別の視点から見た図である。
【
図28A】具体的実施形態に係る保管棚及びロボットアームの上面図(ロボットアームがレチクル保管ポッドの下に位置し、保管棚上のレチクル保管ポッドの底部にある位置決め溝を破線で示す)である。
【
図28B】ロボットアームが保管棚の下に入り、レチクル保管ポッドを持ち上げる場合の側面図である。
【
図28C】ロボットアームがレチクル保管ポッドを保管棚から取り出す場合の側面図である。
【
図29】保管棚の上流側給気管路及び流量制御手段を示す図である。
【
図30】2つの具体的実施形態に係る保管棚に接続する上流側給気管路を示す図である。
【
図31】レチクルストッカシステムのロボットアームの異常処理フロー図である。
【
図32】本発明の別の実施形態に係るレチクルローディング装置及びレチクルストッカシステムの概略図である。
【
図33】
図32の実施形態に係るレチクルロードフローチャートである。
【
図34】
図32の実施形態に係るレチクルアンロードフローチャートである。
【
図35】
図32の実施形態に係る具体的なレチクル移載フロー図である。
【
図37】本発明の別の実施形態に係るレチクルローディング装置及びレチクルストッカシステムの概略図である。
【
図38A】具体的実施形態に係る収納室を示す図である。
【
図38B】収納室内側の上向き載置面の配置を示す図である。
【
図38C】収納室内にあるシングルポッドを示す図である。
【
図38D】収納室の載置面機構がシングルポッドの底部を支持していることを示す図である。
【
図40】
図37の実施形態に係る具体的なレチクル移載フロー図である。
【
図41A】ストッカシステムのロボットアームと収納室のインタラクション実施形態を示し、ポッドを収納室に入れるフロー図である。
【
図41B】ストッカシステムのロボットアームと収納室のインタラクション実施形態を示し、収納室からポッドを取り出すフロー図である。
【
図42A】ストッカシステムのロボットアームと収納室の別のインタラクション実施形態を示し、ポッドを収納室に入れるフロー図である。
【
図42B】ストッカシステムのロボットアームと収納室の別のインタラクション実施形態を示し、収納室からポッドを取り出すフロー図である。
【
図43】本発明の実施形態に係るレチクルストッカ管路気体充填システムの概略図である。
【
図44】本発明の別の実施形態に係るレチクルローディング装置及びレチクルストッカシステムの概略図である。
【
図46B】
図44の実施形態に係る別のレチクルアンロードフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下は、図面を参照しつつ本発明をより完全に説明し、かつ特定の実施形態を例示する。しかし、請求する主題は、様々な異なる形態で具体的に実施され得、したがって、カバー又は出願の請求する主題の構成は、本明細書に開示された具体的実施形態に限定されない。具体的実施形態は、単なる例示である。同様に、本発明は、出願又はカバーされる請求の主題に対して合理的に広い範囲を提供することを意図している。
【0044】
本明細書で使用される用語「一実施形態において」は、必ずしも同じ特定の実施形態を指すとは限らず、本明細書で使用される用語「他のいくつか/特定の実施形態において」は、必ずしも異なる具体的実施形態を指すとは限らない。請求される主題は、具体的実施形態の全部或いは一の組み合わせを含むことが意図されている。
【0045】
以下の実施形態の説明に記載の「専用」という用語は、本発明が解決しようとする貯蔵問題に応じて提示される技術的手段、例えば、専用ポッド、専用外側ポッド又は専用内側ポッドに関する。「非専用」という用語は、貯蔵目的に応じて関連する技術的手段ではなく、既存又は他の新規のレチクルの内側ポッド又は外側ポッドであり得る。本明細書に記載の非専用ポッドは、
図1に示される従来のデュアルポッドなどの既存のレチクルポッドとして理解することができるが、非専用ポッドが既存のレチクルポッドにしかなり得ないという意味ではない。より具体的には、本明細書における非専用ポッドは、貯蔵目的のため使用されないレチクルポッドとして理解されるべきであり、例えば工場での一般的な輸送目的に適したレチクルポッドである。この点について、先ず説明しておく。
【0046】
図3は、本発明のレチクルストッカシステムのブロック図である。本発明は、レチクルポッド10内のレチクルを貯蔵するためのレチクル貯蔵手段を提供する。レチクル貯蔵システムは、レチクルローディングシステム200と、レチクルストッカシステム600とを含み、レチクルローディングシステム200はレチクルをレチクルポッド10とレチクル保管ポッド100との間で移載するか、レチクルを収納する内側ポッドをレチクルポッド10或いはレチクル保管ポッド100に入れるために用いられる。本明細書に記載のレチクルポッド10は、従来のレチクルポッド又は工場の天井クレーンシステムと協働するレチクルポッドを指し得ることを理解されたい。前記レチクル保管ポッド100は、従来のレチクルポッドとは異なり、本発明により提示され、本発明のレチクルストッカシステム600のために専用される保管手段である。
【0047】
レチクルローディングシステム200は、工場環境に接続された第1ポート202と、レチクルストッカシステム600に接続された第2ポート204とを備える。第1ポート202は、レチクルポッド10が工場環境とレチクルローディングシステム200から提供されるロード環境との間で移載されることを可能にし、第2ポート204はレチクル保管ポッド100がロード環境とレチクルストッカシステム600の貯蔵環境との間で移載されることを可能にする。第1ポート202及び第2ポート204は、工場環境、ロード環境及び貯蔵環境を独立して分離するための弁手段を含み得る。第1ポート202は、天井クレーンシステムと協働するようにさらに構成されてもよい。
【0048】
レチクルストッカシステム600は、複数のレチクル保管ポッド100を格納できる1つ又は複数のレチクル保管棚(図示せず)と、レチクル保管ポッド100をプレース及びピックアップするためのレチクルストッカ制御システム300と、各レチクル保管棚の気体環境に用いられるレチクルストッカの気体充填管路システム400と、全てのプロセスを担当するレチクルストッカ管理システム500とを含み、詳細については後で説明する。
【0049】
図4は、本発明のレチクルストッカシステム600の具体的外部構成を示し、レチクルローディングシステム200はレチクルストッカシステム600の一側に隣接するが、本発明はこれに限定されない。レチクルローディングシステム200の第1ポート202は、天井クレーンシステムと協働してレチクルポッド10を垂直にロード又はピックアップすることが容易にするため、基本的に上向きである。第2ポート(図示せず)は、レチクルローディングシステム200の側面に位置し、レチクル保管ポッド100を水平にロード又はピックアップするため、レチクルストッカシステム600に面している。
【0050】
レチクルローディングシステム200は、レチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100のための識別手段を有するように構成され、その識別手段は例えば内側ポッド及び/又は外側ポッド上のRFID或いは二次元コードを識別するために用いられ、RFID或いは二次元コードの情報はポッド又はレチクルの識別番号に関連付けられ得る。前記識別手段は、ポッド内のペリクル(Pellicle)が損傷しているかどうかをポッドの窓を通して検出することと、二次元コードを読み取ることをさらに含み得る。
【0051】
第1ポート202及び第2ポート204は、それぞれレチクルローディングシステム200内の異なる昇降手段に対応し、すなわち、レチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100がロード環境に入った後、それぞれの昇降手段によって保持される。前記ロード環境は、レチクルポッド10とレチクル保管ポッド100との間でレチクルを移載するためのレチクル挟持手段をさらに含む。昇降手段、挟持手段に関連する詳細は、以下の段落で説明される。
【0052】
レチクルローディングシステム200が使用できない場合(例えば、メンテナンス中)、レチクルストッカシステム600は、レチクル保管ポッド100を必要なレチクルと共に第2ポート204に送ることができる。レチクルストッカシステム600は、手動操作ドアを提供しており、作業員が前記手動操作ドアを通じてレチクル保管ポッド100を取り出し、レチクルを前記レチクル保管ポッド100の保護下で安全に取り出すことができる。レチクルストッカシステム600の頂部に、外気を取り入れてレチクルストッカシステム600の使用に供するためのファンフィルタユニット(Fan-Filter Unit,FFU)を配置し得る。また、対応する排気ユニットも必要である。
【0053】
図5Aは、本発明のレチクル保管ポッドの分解側面図である。本発明のレチクル保管ポッドは、専用内側ポッドと、専用外側ポッドとを含む。本発明の好ましい実施形態において、レチクル保管ポッド100は、デュアルポッド構造で、本発明のレチクルストッカシステム600の保管棚のため使用される。保管専用に使用されているにもかかわらず、本発明のレチクル保管ポッド100は、従来のレチクルポッド10と同様に、レチクルを保護する密封手段を有し、すなわちポッドの接触面は優れたシール性及びパーティクル遮断設計を有する。
【0054】
本発明のレチクルストッカシステム600のためのレチクル保管ポッド100は、専用外側ポッド102と、専用内側ポッド101とを含む。専用外側ポッド102は、専用内側ポッド101を収納し、専用内側ポッド101の内部にレチクルRを格納する。専用外側ポッド102は、外側蓋体150と外側ベース部160(ドアとも呼ばれる)とから成り、専用内側ポッド101は蓋体110とベース部130とから成る。
【0055】
図1の従来のレチクルポッド10と比較して、
図5Aの本発明のレチクル保管ポッド100の外側蓋体150は、天井クレーンシステムに合わせる必要がないため、従来のレチクルポッド10のハンドル52のようなものを省略して、レチクル保管ポッド100の全高は従来のレチクルポッド10の全高よりも低くなる。また、
図1の従来のレチクルポッド10と比較して、
図5Aの本発明の外側ベース部160の内側に設けられた位置決めピン161も比較的短いため、本発明の外側蓋体150及び外側ベース部160の高さは、
図1の従来のレチクルポッド10の外側蓋体50及び外側ベース部40の高さよりも小さくなる。本発明のレチクル保管ポッド100の全高を最小化するため、外側蓋体150の両側に設けられた一対のハンドル151は外側蓋体150の頂面より高くない。短くなる位置決めピン161は、専用内側ポッド101を収容する空間の高さも低くなることを可能にする。したがって、本発明のレチクル保管ポッド100の全高は、従来のレチクルポッド10の高さよりも著しく低く、本発明のレチクルストッカシステム600がより多くのレチクル保管ポッド100及びレチクルを収納できる。
【0056】
図5Bは、本発明の専用外側ポッドの外側蓋体150の立体図であり、天井クレーンシステムに合わせる構造設計が省略されている。外側蓋体150は、平らな頂面152と、前記平らな頂面152から下向きに延びる周側面とを有し、ハンドル151が周側面から延在し、平らな頂面152よりも実質的に高くない、又は平らな頂面152からわずかな高さしかない。
【0057】
図5Cは、本発明の専用外側ポッドの外側ベース部160の立体図であり、その底部に複数の気体バルブ162及び位置決め溝163が配置され、気体バルブ162は、特定の気体を専用外側ポッド102に供給するか、または、専用外側ポッド102から気体を排出するための特定の接続ポートと組み合わせることができ、位置決め溝163は専用外側ポッド102を装置中の特定の位置に位置決めするために用いられる。
【0058】
図5Dは、本発明の専用内側ポッド101の分解立体図であり、蓋体110と、ベース部130と、保持機構とを含む。蓋体110とベース部130が結合して収納スペースを画定し、保持機構は前記収納スペースに収容されるようにレチクルRを支持及び制限する。蓋体110の頂部は、基本的に平らな面で、かつフィルターメンブレンカバー112が設けられ、特定の形状及び配列の複数の凹溝114が形成され、本実施形態は4つの特定の形状及び配列の凹溝114を例として説明する。
【0059】
図5E~
図5Jを参照すると、
図1のレチクルポッド10の内側ポッド11の構造と比較して、本発明のレチクル保管ポッド100の専用内側ポッド101の保持機構は、レチクルRの面取り部に接触している。
図5F及び
図5Hに示すように、保持機構は、蓋体110の内側の4隅に設けられた弾性ホールドダウン機構(すなわち、レチクルリテーナ120)と、ベース部130の上側に設けられた4本の支持体134とを含み、弾性ホールドダウン機構及び支持体134の数量と位置の配置は蓋体110の頂部にある凹溝114の位置に合わせて設計する。したがって、これらのレチクルリテーナ120と支持体134の位置は互いに対応する。蓋体110とベース部130が結合してレチクル(R)を収容した時、4つの支持体134及び対応するレチクルリテーナ120はレチクルRの4つの角部(corners)に接触すると共に制限する。蓋体110の中央部に複数の気体通路が設けられ、上側にフィルターメンブレンカバー112が設けられてこれらの気体通路の上を覆う。具体的には、フィルターメンブレンカバー112は、
図5Gに示すように、蓋体110の頂面の中央陥凹部に取り付けられ、フィルターメンブレンカバー112が蓋体110の頂面から突出しないようにする。蓋体110の側面からそれぞれ外向きに延びる一対のハンドル111は、レチクルローディングシステム200の蓋開作業中に特定の機構と相互作用することができ、関連する詳細は以下の段落で説明される。
【0060】
また、蓋体110の頂部にある凹溝114の位置は、レチクルリテーナ120の位置に対応する。したがって、専用内側ポッド101が専用外側ポッド102に収容される場合、蓋体110の凹溝114が外側蓋体150の内側に設けられたホールドダウン機構と係合でき、蓋体110に押さえ付け力を得させ、これにより専用内側ポッド101の結合及びレチクルRの保持を補強し、関連する詳細を以下の段落で説明する。
【0061】
図1のレチクルポッド10の内側ポッド11と比較して、本発明のレチクル保管ポッド100の専用内側ポッド101は、レチクルRをより安定して収納する。専用外側ポッド102の外側蓋体150が専用内側ポッド101の蓋体110の頂面に外力を加えることにより、蓋体110の内側面に設けられた弾性ホールドダウン機構(すなわち、レチクルリテーナ120)がレチクルRの4つの角部を安定に押し付けるように促される。より具体的には、長距離輸送中にレチクルを固定するために、
図1のレチクルポッド10は、外側ポッド12の外側蓋体50で外力を内側ポッド11の蓋体30に設けられた弾性ホールドダウン機構に加え、前記弾性ホールドダウン機構がレチクルの上面に作用するようにさせる。換言すれば、
図1の外側蓋体50は、蓋体30に作用するものでない。
【0062】
図1のレチクルポッド10の内側ポッド11のベース部20と比較して、本発明のレチクル保管ポッド100の専用内側ポッド101のベース部130は、ベース部20の複雑構造を省略し、省略されたこれら複雑構造がベース部20の底面の反射レーザー彫刻、一部の窓枠及び段差状構造を含み得、本発明のベース部130は追加の加工作業を必要としないことで、コストを大幅に削減でき、かつベース部130の底面が位置決め溝132及び窓Wの配置を除いて平らな表面である。ベース部130は、レチクルR上の二次元コードとペリクル(Pellicle)を検出するための窓Wを備える。ベース部130の底面及び側辺は、連続した平らな面で、このような段差のない設計は、パージ及びクリーニングに便利である。
【0063】
また、ベース部130上のペリクル溝131の深さは、
図1のベース部20のペリクル溝の深さよりも深く、ポッド内の空気交換効率を向上させ、相対湿度(RH%)の低下率を高め、レチクルの長期保管に有利になる。
図6Aに示すように、ベース部130に周溝133が形成され、周溝133内のレチクルRの4つの角部に対応する位置に4つの支持体134が設けられる。蓋体110とベース部130が気密に結合された後、周溝133の構成はポッドに入るパーティクルの捕捉を助ける。
【0064】
図5Kは、本発明の専用内側ポッドのベース部130立体図であり、
図5L及び
図5Mが
図5K内の破線枠に従ってそれぞれ周溝内に配置された支持体134の拡大図である。
【0065】
図5Nは、本発明の蓋体110内側に設けられたレチクルリテーナ120を示す図である。本発明の蓋体110の弾性ホールドダウン機構は、
図5Nに示すレチクルリテーナ120によって実施することができる。レチクルリテーナ120は、本体121と、本体121の両側から異なる方向に延在する一対の弾性アーム122とを含み、各弾性アーム122の一端が本体121に連結され、他端が制限部123に連結される。制限部123の一端は、弾性アーム122に連結され、他端が傾斜面124に連結される。この2つの傾斜面124は、制限部123から上向きに傾斜して延び、かつ制限部123からはなれた2つの傾斜面124の末端が連結されている。具体的には、この2つの傾斜面124の末端は、押付部125に共に連結されるが、本発明はこれに限定されず、例えば押付部125は省略してもよい。
【0066】
レチクルリテーナ120の本体121にネジ穴が設けられて、レチクルリテーナ120は既知の締付手段により蓋体110の内側に固定されることができる。前記一対の弾性アーム122をつながる2つの傾斜面124は、レチクルの角部の両側上縁端にそれぞれ接触するために用いられる。本実施形態において、制限部123は、基本的に水平方向に延在する構造であり、
図5L及び
図5Mに示す支持体134に合わせることで、前記一対の弾性アーム122の横方向移動を制限することからレチクルの角部の揺れを制限する効果を奏する。
【0067】
図6Aは、レチクルの角部を制限及び支持する本発明の専用内側ポッドのレチクルリテーナ120及び対応する支持体134を示す図である。
図6Bは、レチクルリテーナ120の横方向移動を制限する本発明の支持体134の部分的拡大図である。
【0068】
本発明のベース部130の4つの支持体134は、それぞれベース部130の4つの角部の周溝133内に設けられ、それぞれレチクルRの対応する角部を支持するために用いられる。支持体134は、周溝133内から上向きに突起する2つの支持部を有し、各支持部にはレチクルRに面し、レチクルRに向かって下向きに傾斜する傾斜面135を有する。前記一対の傾斜面135は、
図6Aに示すように、基本的に直交しており、それぞれレチクルRの対応する角部の両側下縁部に接触し、係合する。支持体134の各支持部の頂端から制限ブロック136を上向きに延在する。制限ブロック136は、傾斜面135の頂端に位置し、レチクルRと干渉しない。レチクルRが支持体134の上に置かれた場合、各支持体134の2つの制限ブロック136は、それぞれレチクルRの角部の両側面に位置する。
図6A及び
図6Bに示すように、蓋体110とベース部130が結合されると、各支持体134の2つの制限ブロック136は、それぞれレチクルリテーナ120の制限部123の外側に位置し、前記一対の弾性アーム122に連結された制限部123の横方向移動を制限する。したがって、蓋体110とベース部130が結合されると、レチクルリテーナ120の2つの制限部123は、各支持体134の2つの支持部の間に制限され、前記一対の制限部123の横方向移動が制限されてレチクルリテーナ120の揺れを低減する。その他の可能な実施形態において、制限ブロック136は、制限部123の内側に配置され得る。好ましくは、
図6Bに示すように、ハードウェアの摩擦によるパーティクルの発生を防ぐため、制限部123と制限ブロック136との間に緩衝スペースがある。
【0069】
図7Aは、本発明の専用内側ポッドの立体図で、
図7Bは
図7Aの一点鎖線に沿った本発明の専用内側ポッドの断面図である。
図1のレチクルポッド10の内側ポッド11構造と比較して、本発明の専用内側ポッド101の蓋体110とベース部130との間に特定の結合方向はなく、蓋体110の頂面は、大面積の平らな面で、ステップ構造がなく、すなわち蓋体110全体は、凹溝及び稜角等の構造が大幅に減少されている。レーザーマーキング、窓、カウンターウェイトブロック、段付き構造などの設計も、ベース130の底面から大幅に減少又は排除されているため、本発明の専用内側ポッド101の蓋体110及びベース部130は加工工程を減らして製造を容易にし、歩留まりを向上するのに役立つ。また、ベース部130には、深さを増すペリクル溝131が形成され、専用内側ポッド101の収納スペースに内外空気のより良い交換効率を得させ、前記収納スペースの相対湿度RH%の制御を助ける。
【0070】
また、本発明の専用内側ポッド101の保持機構は、前記レチクルリテーナ120の一対の弾性アーム122に合わせるレチクルエッジの面取り部と、支持体134の一対の制限ブロック136でレチクルリテーナ120を制限する前記一対の制限部123とを含み、これによりレチクルを保持する。支持体134及びレチクルリテーナ120は、傾斜面135を通じてレチクルに接触することで、レチクルの上下面に痕が残らないようにし、レチクルの水平状態を維持し、レチクルをガイドするにも役立つ。蓋体110とベース部130との間の接触面は、既知手段を介して密封接触を形成できる。本実施形態において、ベース部130の接触面は、ベース部130の最高面よりも低く、ベース部130の接触面と最高面が周溝133で分離され、パーティクルがペリクル領域に入るのを防止することに役立つ。
【0071】
図8Aは、本発明の専用外側ポッド102の外側蓋体150の底面図で、4つのホールドダウン機構があることが分かる。
図8Bは、ホールドダウン機構の詳細及び専用内側ポッドの蓋体110に作用するホールドダウン機構を示し、外側蓋体150を省略して示されていない。
図9Aは、
図5Aのレチクル保管ポッド100の結合時の断面図である。
図9Bは、
図9Aの破線で示された領域の部分的拡大図である。
【0072】
本発明の専用外側ポッド102の内側にこれらのホールドダウン機構を配置する専用内側ポッド101を収容する時、外側蓋体150が押さえ付け外力を前記専用外側ポッド102に収容された専用内側ポッド101に加える。
図5B及び
図5Cを併せて参照すると、本発明の専用外側ポッド102は、外側蓋体150と、外側ベース部160とを含む。本発明によりさらに提供されるホールドダウン機構は、外側蓋体150及び外側ベース部160が異なる構造の内側ポッド、すなわち
図2の内側ポッド11又は
図5Dの専用内側ポッド101を収容するために用いられることができる。本実施形態において、前記異なる構造の内側ポッドは、本発明の専用内側ポッド101及びレチクルポッド10の内側ポッド11によって示され、両者が蓋体110、30の頂面に異なる配置があるが、本発明はこの2つの内側ポッドに限定されない。
【0073】
外側蓋体150の内側の下向きの表面に設けられた各ホールドダウン機構の位置は、異なる構造の専用内側ポッド101、11のレチクルの4つの角部を保持する位置にほぼ対応する。各ホールドダウン機構は、第1ホールドダウン機構と、第2ホールドダウン機構とを含み、前記第1ホールドダウン機構は押さえ付け力をレチクルポッド10の内側ポッド11の蓋体30のみに与えることができるが、本発明の専用内側ポッド101の蓋体110に加えることができないように構成される。対照的に、前記第2ホールドダウン機構は、押さえ付け力を本発明の専用内側ポッド101の蓋体110のみに与えることができるが、レチクルポッド10の内側ポッド11の蓋体30に加えることができないように構成される。また、本発明は、第1ホールドダウン機構及び第2ホールドダウン機構を別個の要素又は一体的に形成された単一の要素に限定しない。
【0074】
図8Aを参照すると、本発明のホールドダウン機構は、外側蓋体150の下向きの表面に配置され、レチクルの角部にほぼ対応する。本実施形態において、前記第1ホールドダウン機構は、馬蹄形のホールドダウンリブ153で、前記第2ホールドダウン機構がホールドダウン柱154で、両者が弾性材質であり得る。具体的には、馬蹄形のホールドダウンリブ153は曲がりくねったU字形の延長構造で、ホールドダウン柱154が馬蹄形のホールドダウンリブ153の内側に位置するか、または、ホールドダウン柱154は馬蹄形のホールドダウンリブ153に囲繞される。本実施形態のホールドダウン柱154は、Y字形構造であるが、本発明はこれに限定されない。
【0075】
図8Bを参照すると、第1ホールドダウン機構は、蓋体110の凹溝114に嵌合でき、馬蹄形のホールドダウンリブ153が所定のサイズ及び形状である。本発明のレチクル保管ポッド100の専用外側ポッド102に専用内側ポッド101を収容する時、専用外側ポッド102の外側蓋体150の内側面に配置された馬蹄形のホールドダウンリブ153はそれぞれ蓋体110の対応する凹溝114内に嵌め込まれ、かつ馬蹄形のホールドダウンリブ153の下面が凹溝114の底面に接触され、外側蓋体150の重量が馬蹄形のホールドダウンリブ153を介して蓋体110に作用するが、ホールドダウン柱154は、サイズのため凹溝114の底面に接触できない。
図9A及び
図9Bに示すように、専用内側ポッド101を収容するため、外側蓋体150が外側ベース部160と結合する時、馬蹄形のホールドダウンリブ153の垂直寸法はホールドダウン柱154の垂直寸法よりも大きいため、馬蹄形のホールドダウンリブ153の下端が凹溝114に嵌め込んで凹溝114の底面に当接でき、ホールドダウン柱154が凹溝114に吊り下げている。換言すれば、専用外側ポッド102が専用内側ポッド101を収容する時、ホールドダウン柱154は蓋体110に作用しない。また、凹溝114の側壁は、馬蹄形のホールドダウンリブ153の横方向移動を制限し、専用外側ポッド102での専用内側ポッド101の横揺れを防止することができる。
【0076】
図10Aは、レチクル輸送用の内側ポッド11の立体図である。
図10Bは、レチクルポッド10の内側ポッド11の蓋体30の対応する機構に作用するホールドダウン機構を示す図で、外側蓋体150を省略して示されない。
図10Cはホールドダウン機構及びレチクルポッド10の内側ポッド11の対応する機構の拡大図である。
【0077】
内側ポッド11の蓋体30上のレチクル角部にほぼ対応する位置に対応する弾性ホールドダウン機構が設けられる。弾性ホールドダウン機構は、ホールドダウンピン32と、前記ホールドダウンピン32を固定するキャップ34とを含む。具体的には、ホールドダウンピン32の頂端が蓋体30の頂部に露出し、ホールドダウンピン32の下端が蓋体30の内側に下向きに延びて内側ポッド11の収納スペースに露出する。内側ポッド11がレチクルを収容し、かつホールドダウンピン32の頂端に押さえ付け力が加えられると、ホールドダウンピン32は強制的に下降し、ホールドダウンピン32の下端をレチクルの上面に当接させることでレチクルを保持する。
【0078】
本発明のレチクル保管ポッド100の専用外側ポッド102が、
図10Aの内側ポッド11を収納する時、専用外側ポッド102の外側蓋体150の内側面に設けられたホールドダウン機構は、内側ポッド11の弾性ホールドダウン機構に作用することができる。具体的には、
図10Bに示すように、馬蹄形のホールドダウンリブ153及びホールドダウン柱154の垂直寸法が異なるため、ホールドダウン機構のホールドダウン柱154の底端はホールドダウンピン32の露出した頂端に当接でき、これにより外側蓋体150の重量がホールドダウン柱154を介してホールドダウンピン32の露出した頂面に押さえ付けることができ、馬蹄形のホールドダウンリブ153がキャップ34の周囲を囲繞して蓋体30に作用しない。
図10Cに示すように、馬蹄形のホールドダウンリブ153の内壁は、キャップ34の横方向移動を制限することで、専用外側ポッド102での内側ポッド11の横揺れを防ぐことができる。
【0079】
本実施形態のホールドダウン柱154のY字形構造の目的は、ホールドダウン柱154とキャップ34との間に構造的干渉を生じさせて、ホールドダウン柱154がホールドダウンピン32を過度に押さえ付けることにより、レチクルが不適切な力を受けるのを防ぐ。好ましくは、馬蹄形のホールドダウンリブ153とキャップ34との間に適切な緩衝スペースがあるため、ハードウェアの摩擦によるパーティクルの発生を防ぐことができる。
【0080】
図11Aは、専用内側ポッド101を収容する本発明のレチクル保管ポッドの専用外側ポッド102の断面図である。
図11Bは、非専用内側ポッド11を収容する本発明のレチクル保管ポッドの専用外側ポッド102の断面図である。すなわち、本発明により提供される専用外側ポッド102は、2つの構造から成るホールドダウン機構を含むため、貯蔵目的により提示される専用内側ポッド101を収容できるだけでなく、この技術分野で広く使用されている従来の内側ポッド11を収容することもできる。この2つの異なる構成及び使用目的の内側ポッド11、101にとって、このようなホールドダウン機構は均しく安定した収容の効果を奏することができる。
【0081】
図12は、本発明の専用内側ポッド101の蓋体110と非専用内側ポッド11の蓋体30との重なり合う様子を示す図である。凹溝114の体積は、弾性ホールドダウン機構のキャップ34の体積よりも大きく、弾性ホールドダウン機構のホールドダウンピン32の頂部の高さが凹溝114の底面より高く、図内に示す垂直の段差Hは、専用内側ポッド101又は非専用内側ポッド11が専用外側ポッド102に収容される場合、馬蹄形のホールドダウンリブ153が凹溝114の底面に押し当て、又は外側蓋体150のホールドダウン柱154の底面がホールドダウンピン32の頂端に押し当てる。換言すれば、専用内側ポッド及び非専用内側ポッドに合わせるため、本発明の外側蓋体150の内側に設けられた第1ホールドダウン機構(馬蹄形のホールドダウンリブ153)及び第2ホールドダウン機構(ホールドダウン柱154)の垂直寸法は、基本的には垂直の段差Hと同様の高さ差がある。
【0082】
図13は、本発明のレチクルローディングシステム200の外観立体図である。
図14は、本発明のレチクルローディングシステム200の配置概略図である。
【0083】
本発明のレチクルローディングシステム200は、E84規格をサポートし、レチクルポッド10のロード又はアンロードを可能にする第1ポート202と、
図4のレチクルストッカシステム600の接続通路に接続され、レチクル保管ポッド100のロード又はアンロードを可能にする第2ポート204とを備える。具体的には、工場の天井クレーンシステムは、第1ポート202と協働してレチクルポッド10をレチクルローディングシステム200にロードする又はレチクルローディングシステム200からレチクルポッド10を取り出すことができる。第2ポート204は、レチクルストッカシステム600内のロボットアームと協働してレチクル保管ポッド100をレチクルストッカシステム600環境とレチクルローディングシステム200環境との間で移載させることができる。本実施形態において、第2ポート204は、レチクルローディングシステム200の裏面に位置するため、
図13には見られない。
【0084】
レチクルローディングシステム200は、レチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100のための識別及び検査手段、例えばポッド又はレチクルに関するRFID読み取り手段、二次元コード読み取り手段、レチクルペリクル(Pellicle)検査手段を備えるよう構成される。
【0085】
第1ポート202及び第2ポート204は、それぞれ第1昇降手段及び第2昇降手段に対応する。本実施形態において、第1昇降手段Aは、主に昇降台を制御してレチクルポッド10を載置し、第2昇降手段Bが主に別の昇降台を制御してレチクル保管ポッド100を載置する。第1昇降手段Aは、昇降台を高所から低所までそれぞれA0、A1、及びA2の異なる垂直高さにとどまることができる。同様に、第2昇降手段Bは、昇降台を高所から低所までそれぞれB0、B1及びB2の異なる垂直高さにとどまることができる。
図14に示すように、高さA0及びB0に位置するレチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100は両方とも非開状態にあり、高さA1及びB1に位置するレチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100が両方とも開いた状態(図示せず)にあり、高さA2及びB2に位置するレチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100が両方とも開かれ、そのうちの1つがレチクルを露出する。より具体的には、レチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100は、高さA1及びB1に位置する時、開蓋手段により外側蓋体及び内蓋体を外側ベース部及び内側ベース部から分離される。より具体的には、レチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100が高さA2及びB2に位置する時、各々の外側ベース部及び内側ベース部のみが昇降台に残され、内外側蓋体がブロックされたため、高さA2及びB2まで降下せず、この時レチクルはレチクル移載環境206に位置することができる。
【0086】
レチクル移載環境206の条件は、レチクルの移載リスクが低いことを確保するため、高さA0、A1、B0及びB1とは異なることができる。レチクル移載環境206は、レチクルをベース部からピックアップ又はレチクルをベース部にプレースし、レチクルをレチクルポッド10のベース部とレチクル保管ポッド100のベース部との間で移載できるように構成されるレチクル挟持機構を含む。
【0087】
また、レチクルストッカシステム600内のロボットアームは、第2ポート204を経由してレチクルローディングシステム200内のレチクル保管ポッド100をピックアップすることができる。レチクルローディングシステム200が故障して作動不能になり、その内部にレチクル保管ポッド100がまだある場合、レチクルストッカシステム600のロボットアームは、レチクル保管ポッド100を一時的に取り出すことで、レチクルストッカシステム600の専用ポッドがレチクルローディングシステム200の修理により汚染されることはない。
【0088】
レチクルローディングシステム200内の環境にも一定の清浄度があることを確保するため、
図13に示すように、ストッカの上に吸気、ろ過及び排気のためのファンフィルタユニット(Fan-Filter Unit,FFU)が設けられる。
【0089】
図15及び
図16は、
図14の実施形態に係るレチクルのロード及びアンロードフローチャートである。
【0090】
ステップ1500A:第1ポート202を経由してレチクルを収容した内側ポッドと前記内側ポッドを収容した外側ポッドとを含むレチクルポッド10をロードする。前記レチクルは、使用されていないか、または使用済みであるため、保管する必要がある。前記内側ポッド及び外側ポッドは、それぞれ
図1の内側ポッド11及び外側ポッド12に相当し得る。
【0091】
ステップ1500B:レチクルストッカシステム600から、空の専用内側ポッドと専用内側ポッドを収容した専用外側ポッドとを含むレチクル保管ポッド100をロードする。レチクルストッカシステム600には複数のレチクル保管ポッド100が格納されている。前記ステップでは、空の専用ポッドがロードされる。前記専用内側ポッド及び専用外側ポッドは、
図5Aの専用内側ポッド101及び専用外側ポッド102に相当し得る。
【0092】
ステップ1502:レチクルローディングシステム200は、それぞれレチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100を検出し、レチクルポッド10の内側ポッド及び外側ポッドの開蓋動作を実行し、レチクル保管ポッド100の専用外側ポッド及び専用内側ポッドの開蓋動作を実行し、レチクルポッド10の外側ベース部及びレチクル保管ポッド100の外側ベース部をレチクル移載環境206に下降させる。具体的には、このステップは、
図14の第1昇降手段A及び第2昇降手段Bの高さA0~A2及びB0~B2をカバーすることができる。
【0093】
ステップ1504:レチクルポッド10のベース部からレチクルをピックアップし、レチクルをレチクル保管ポッド100のベース部に移載する。このステップの移載は、レチクル挟持機構によって実施され、レチクルはレチクル汚染のリスクが低減するように、高清浄度のレチクル移載環境206内で移動される。
【0094】
ステップ1506:レチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100を閉状態に戻す。この時、レチクルポッド10は空ポッドであり、レチクル保管ポッド100には保管待ちのレチクルが載置されている。
【0095】
ステップ1508:レチクルを格納したレチクル保管ポッド100をレチクルストッカシステム600によって指定された保管棚に輸送する。好ましくは、前記保管棚の指定は、保管棚と
図14の第2ポート204との間のロボットアームの最短移動経路に基づく。
【0096】
ステップ1510:気体充填手段を実行し、非反応性気体をレチクル保管ポッド100に充填して、レチクルの貯蔵を完了する。具体的には、前記保管棚は、レチクル保管ポッド100に接続された専用管路と、コネクタとを備え、レチクルストッカシステム600の専用外側ポッドに窒素気体を充填できる。換言すれば、貯蔵する専用内側ポッドは、特定の気体雰囲気下で保管される。
【0097】
ステップ1600A:第1ポート202から空の内側ポッドと前記内側ポッドを収容した外側ポッドとを含むレチクルポッド10をロードする。前記内側ポッド及び外側ポッドは、
図1の内側ポッド11及び外側ポッド12に相当し得る。
【0098】
ステップ1600B:レチクルストッカシステム600から、レチクルを収容した専用内側ポッドと前記内側ポッドを収容した専用外側ポッドとを含むレチクル保管ポッド100をレチクルローディングシステム200にロードする。前記専用内側ポッド及び専用外側ポッドは、
図5Aの専用内側ポッド101及び専用外側ポッド102に相当し得る。このステップにおけるレチクルは、レチクルストッカシステム600に事前に保管され、さまざまな応用で取り出される。
【0099】
ステップ1602:レチクルローディングシステム200は、レチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100をそれぞれ検出し、レチクルポッド10の内側ポッド及び外側ポッドを開き、レチクル保管ポッド100の内側ポッド及び外側ポッドを開き、レチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100の外側ベース部をレチクル移載環境206に下降する。
【0100】
ステップ1604:レチクル保管ポッド100のベース部からレチクルをピックアップし、レチクルをレチクルポッド10のベース部にプレースする。同様に、レチクルローディングシステム200は、レチクル挟持機構でレチクルをレチクル保管ポッド100のベース部からレチクルポッド10のベース部に移載し、レチクルはレチクル移載環境206で移動される。
【0101】
ステップ1606:レチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100を閉状態に戻す。この時、レチクルポッド10にはレチクルが載置されており、レチクル保管ポッド100は空ポッドである。
【0102】
ステップ1608:レチクルを収容したレチクルポッド10を、第1ポート202を経由してレチクルローディングシステム200から移出する。具体的には、第1ポート202は、天井クレーンシステムと協働してレチクルポッド10を取り出させることができる。空のレチクル保管ポッド100は、レチクルストッカシステム600の適宜な領域に送り返され、次回に使用されるように待機する。
【0103】
図17は、本発明のレチクル移載の具体的なフローチャートである。以下は、
図14と併せて説明し、左半分は第1昇降手段Aによって実行され、右半分が第2昇降手段Bによって実行され、残りは共同で実行する。
【0104】
ステップ1700A:第1ポート202から、内側ポッドと前記内側ポッドを収容した外側ポッドとを含むレチクルポッド10をレチクルローディングシステム200の第1昇降手段Aにロードする。具体的には、第1昇降手段Aの昇降台は、レチクルポッド10を受け取ると共に載置するように、高さA0で止まる。
【0105】
ステップ1700B:レチクルストッカシステム600は、接続通路を経由して、専用内側ポッドと前記内側ポッドを収容した専用外側ポッドとを含むレチクル保管ポッド100をレチクルローディングシステム200の第2昇降手段Bにロードする。具体的には、第2昇降手段Bの昇降台は、レチクル保管ポッド100を受け取ると共に載置するように、高さB0で止まる。
【0106】
ステップ1702A:レチクルポッド10の外側ポッドの蓋体を把持し、第1昇降手段Aの昇降台を高さA0から高さA1に下降させる過程で、外側ポッドの蓋体と外側ポッドベース部が分離される。昇降台が高さA1に位置する時、外側ポッドの蓋体が取り外され、外側ポッドのベース部及び内側ポッドのみは昇降台に残っている。
【0107】
ステップ1702B:レチクル保管ポッド100の外側ポッドの蓋体を把持し、第2昇降手段Bの昇降台を高さB0から高さB1に下降させる過程で、外側ポッドの蓋体と外側ポッドベース部が分離される。昇降台が高さB1に位置する時、外側ポッドの蓋体が取り外され、外側ポッドのベース部及び内側ポッドのみは昇降台に残っている。
【0108】
ステップ1704A:レチクルポッド10の内側ポッドの蓋体を把持し、第1昇降手段Aの昇降台を高さA1から高さA2に下降する過程で、内側ポッドの蓋体とベース部が分離される。昇降台が高さA2に位置する時、内側ポッドの蓋体が取り外され、外側ポッドのベース部及び内側ポッドのベース部のみは昇降台に残っている。昇降台が高さA0から高さA2に下降している間、レチクルローディングシステム200は、適時に内側ポッドの二次元コード、レチクルの二次元コードを読み取り、及び/又はペリクル状態を検出することができる。
【0109】
ステップ1704B:レチクル保管ポッド100の内側ポッドの蓋体を把持し、第2昇降手段Bの昇降台を高さB1から高さB2に下降させる過程で、内側ポッドの蓋体とベース部が分離される。昇降台が高さB2に位置する時、内側ポッドの蓋体が取り外され、外側ポッドのベース部及び内側ポッドのベース部のみは昇降台に残っている。昇降台が高さB0から高さB2に下降している間、レチクルローディングシステム200は、適時に内側ポッドの二次元コード、レチクルの二次元コードを読み取り、及び/又はペリクル状態を検出することができる。
【0110】
ステップ1706:レチクルローディングシステム200のレチクル挟持機構でレチクルをレチクルポッド10の内側ポッドのベース部とレチクル保管ポッド100の内側ポッドのベース部との間で移載する。レチクル挟持機構の具体的実施形態は、
図19A~
図19C及びその説明を参照できる。
【0111】
ステップ1708A:第1昇降手段Aの昇降台を高さA2から高さA1に上昇させる過程で、レチクルポッド10の内側ポッドの蓋体を内側ポッドのベース部に結合させる。
【0112】
ステップ1708B:第2昇降手段Bの昇降台を高さB2から高さB1に上昇させる過程で、レチクル保管ポッド100の内側ポッドの蓋体を内側ポッドのベース部に結合させる。
【0113】
ステップ1710A:第1昇降手段Aの昇降台を高さA1から高さA0に上昇させる過程で、レチクルポッド10の外側ポッドの蓋体を外側ポッドのベース部に結合させる。
【0114】
ステップ1710B:第2昇降手段Bの昇降台を高さB1から高さB0に上昇させる過程で、レチクル保管ポッド100の外側ポッドの蓋体を外側ポッドのベース部に結合させる。
【0115】
ステップ1712A:第1ポート202を経由してレチクルポッド10を移出する。第1昇降手段Aの昇降台は、高さA0よりも高く、レチクルポッド10をレチクルローディングシステム200の第1ポート202に露出させて、天井クレーンシステムのその後の動作を待つ。
【0116】
ステップ1712B:レチクルストッカシステム600の接続通路を経由してレチクル保管ポッド100をレチクルストッカシステム600にロードする。レチクルストッカシステム600のロボットアームは、レチクルローディングシステム200に入ると共に第2昇降手段Bからレチクル保管ポッド100をピックアップすることができる。
【0117】
上述の実施形態において、第1昇降手段A及び第2昇降手段Bは、それぞれレチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100に対して、以下のような専用のカスタマイズされた操作を実行することができ、例えば第1昇降手段Aはレチクル保管ポッド100の外側ポッドに対してロック及びアンロックを実行するように構成され得る。
【0118】
図18は、本発明の具体的実施形態に係るレチクルローディングシステムを示す図で、
図14に示すような第1昇降手段A及び第2昇降手段Bを有する。第1昇降手段Aは、外側ポッド蓋体支持面1800Aを有し、外側ポッド蓋体支持面1800Aが基本的にレチクルポッド10の外側ポッドの蓋体のみと接触し、すなわち外側ポッド蓋体支持面1800Aの中央には外側ポッドのベース部を落下させる中空部を有する。レチクルポッド10の外側ポッドのベース部は、昇降台1802Aによって載置される。したがって、レチクルポッド10の外側ポッドがロックされていない場合、昇降台1802Aの下降により、外側ポッドの蓋体及びベース部を分離させて、外側ポッドのベース部を内側ポッドと一緒に下降させることで、ポッドを開くという目的を達成する。ポッドを閉めることも同様で、昇降台1802Aが外側ポッド蓋体支持面1800Aとほぼ面一となる高さまで上昇する過程で、レチクルポッド10の外側ポッドの蓋体はベース部と結合される。
【0119】
第2昇降手段Bは、レチクル保管ポッド100を操作するための類似の構成を有し得る。
図18は、レチクルポッド10の外側ポッドの開状態のみを示し、レチクルポッド10の内側ポッドの開きがその他の機構の介入によっても開くことができる。レチクル保管ポッド100は、同じ機構によって開きや閉じることもできる。また、レチクルローディングシステム200に適切な識別装置又は感知ユニットを提供でき、レチクルポッド10及びレチクル保管ポッド100が開かれた時ポッド上の関連情報、例えばRFID及び二次元コードを適時に識別できる。
【0120】
図19A、
図19B及び
図19Cは、具体的な実施形態に係るレチクルローディングシステムで使用されるレチクル挟持機構1900を示す図である。レチクル挟持機構1900は、
図14に示すレチクル移載環境206内に配置され、レール1902と、挟持組立体1904とを備える。レール1902は、レチクルローディングシステム200の内側に固定され、
図20に示すように、挟持組立体1904がレール1902上で水平に移動できるように制御される。挟持組立体1904は、一対の挟持アーム1906と、一対の接触板1908とを備える。前記一対の接触板1908は、駆動されて互いに接近することができ、係合部1910を介してレチクルRの周囲と結合され、レチクルRを挟む目的を達成する。レチクル挟持機構1900には、垂直方向に移動する能力がないため、昇降台が下降することで、レチクルRをベース部から離れることができる。
【0121】
図20は、レチクル挟持機構1900と昇降台2000の協働を示す側面図である。
図20内の右図に示されるように、外側ポッド12の外側ベース部40、内側ポッド11のベース部20及びレチクル(図示せず)を載置した昇降台2000は、レチクル挟持機構1900の下に下降する。次に、挟持組立体1904は、昇降台2000に載置されたレチクルRの上方まで水平方向に移動する。
図20内の左図に示されるように、昇降台2000はレチクルが挟持されることができる高さまで上昇する。挟持組立体1904は、レチクルを挟んだ後、昇降台2000が下降する。挟持組立体1904gが別の昇降台(図示せず)の上に水平移動する。同様に、別の昇降台が、内側ポッドのベース部がレチクルを載置可能な高さまで上昇する。挟持組立体1904はレチクルを解放して移載を完了する。レチクル挟持機構1900が作動しない間に、挟持組立体1904は2つの昇降手段の間に移動されて、動作の干渉を防ぐことができる。
図20内の破線は、挟持組立体1904の移動過程中で同じ高さに保たれることを示している。
【0122】
図21は、レチクルローディングシステムの異常処理フローを示し、より具体的には、
図14の第1昇降手段A又は第2昇降手段Bの昇降台によるレチクルポッド10のロード異常処理フローである。
【0123】
レチクルポッド10のロード異常により稼働停止した場合、レチクルローディングシステム200は、異常状態を表示し、初期化キーが有効にされているかどうかを検出することができる。初期化キーが有効にされると、レチクルローディングシステム200の全体が初期化される。昇降台は、レチクルポッド10を高さA0に戻す。
【0124】
レチクル保管ポッド100のロード異常により稼働停止した場合、レチクルローディングシステム200は、異常状態を表示し、初期化キーがアクティブ化されているかどうかを検出することができる。初期化キーが有効にされると、レチクルローディングシステム200の全体が初期化される。昇降台は、レチクル保管ポッド100を高さB0に戻す。
【0125】
高さA2、B2にある第1昇降手段A及び第2昇降手段Bの昇降台が移載異常により稼働停止した場合、レチクルローディングシステム200は、異常状態を表示し、初期化キーが有効にされているかどうかを検出することができる。初期化キーが有効にされると、レチクルローディングシステム200の全体が初期化される。レチクル挟持機構1900は、レチクルをレチクルポッド10の内側ポッド又はレチクル保管ポッド100の内側ポッドにプレースする。第1昇降手段A及び第2昇降手段Bの昇降台は、それぞれ高さA0、B0に戻される。
【0126】
図22は、ペリクル状態のチェックをさらに含む、レチクルローディングシステム200の別の異常処理フローを示す。レチクルローディングシステム200は、レチクルをレチクルポッド10又はレチクル保管ポッド100に戻すか、またはレチクル保管ポッド100を指定した保管棚に戻すように、イジェクトキーが有効になって様々な動作が実行されているかどうかを検出することができる。
【0127】
図23は、レチクル挟持機構の異常処理フローを示す。レチクルがレチクルポッド10の内側ポッドからものであるか、レチクル保管ポッド100の内側ポッドからものであるかに応じて、レチクル挟持機構1900はレチクルをレチクルポッド10の内側ポッド又はレチクル保管ポッド100の内側ポッドに戻し、次にレチクルポッド10又はレチクル保管ポッド100を初期化フローで指定した位置に戻すことができる。
【0128】
図24は、本発明のレチクルローディングシステム及びレチクルストッカシステムのブロック図である。レチクルストッカシステム600は、1つ又は複数の保管庫602を含む。保管庫602は、垂直に積層された複数の保管棚604を含む。保管庫602は、上段領域及び下段領域に大まかに区分される。保管庫602の各保管棚604にレチクル保管ポッド100を置くことができ、レチクル保管ポッド100は、専用外側ポッドと専用内側ポッドとから成り、専用外側ポッドが専用内側ポッドの収容及び固定に適し、専用内側ポッドがレチクルの収容及び固定に適する。前記専用内側ポッド及び専用外側ポッドは、
図5Aに示す専用内側ポッド101及び専用外側ポッド102に対応することができる。
【0129】
保管庫602の一部の保管棚604は、バッファ領域(606、Buffer Zone)として構成されてよい。バッファ領域606は、クリーニングされたレチクル保管ポッド100又は使用済みのレチクル保管ポッド100を保管するために用いられる。クリーニングされたレチクル保管ポッド100は空ポッドであって、レチクルローディングシステム200に提供されて収納待ちのレチクルを受け取るのを待機する。使用済みのレチクル保管ポッド100は、レチクルローディングシステム200から送り返された空ポッドであって、レチクル移載過程中で低い清浄度の環境にさらされるため、汚染リスクを有する。
【0130】
レチクルストッカシステム600は、主に保管庫602に保管されているレチクル情報を管理し、保管庫602内の周囲温度及び湿度を監視するように構成される管理手段608を含む。例えば酸素検出ユニットで庫内環境の酸素濃度を検出する。好ましくは、保管庫602内の環境がClass10の清浄度を満たし、充填気体がClass 1の清浄度を満たす。レチクルストッカシステム600は、ロボットアーム609を制御してレチクル保管ポッドを指定した一般的な保管領域又はバッファ領域606の保管棚604に輸送するための制御手段610をさらに含む。レチクルストッカシステム600は、保管庫602の各種流量の制御に用いられ、特に各保管棚604の非反応気体に接続する流量制御手段612をさらに含む。例えばマスフローコントローラ(Mass Flow Controller)で1つ又は複数の窒素気体メイン管路の流量を制御する。流量制御手段612は、レチクルストッカシステム600の頂部に配置されたファンフィルタユニット(Fan-Filter Unit、FFU)及びレチクルストッカシステム600の底部に配置された換気モジュールをさらに含む。
【0131】
レチクルストッカシステム600は、バッファ領域606に近く、きれいなレチクル保管ポッド100を保管庫602に提供し、保管庫602から使用済みのレチクル保管ポッド100を受け取るための洗浄装置614をさらに含む。
【0132】
図25は、レチクルストッカシステム内部の具体的な配置を示している本発明のレチクルストッカシステム600の上面図である。保管庫602は、主にレチクルストッカシステム600の内側壁面に沿って配置され、ロボットアーム609がレチクルストッカシステム600の中央に位置し、これら保管庫602の各保管棚604にアクセスすることができる。
【0133】
図26Aは、本発明の具体的な実施形態に係る保管棚604の立体図である。
図26Bは、保管棚604の底部配置を示す図である。
【0134】
各保管棚604は、前端2600及び後端2602を有する平板棚体である。棚体は、上向きの載置面と、下向きの底面とを有する。棚体の前端2600に切欠部が形成され、前記切欠部は、ロボットアーム609の動作に必要なスペースを提供し、ロボットアーム609がスムーズにレチクル保管ポッド100を保管棚604にプレースするか、保管棚604からレチクル保管ポッド100をピックアップできるようにさせる。棚体の後端2602に上流端が窒素気体源に接続され、下流端が平板棚体の一対のノズル2606に接続され、同時に窒素気体を供給するための窒素気体充填管路2604が配置される。
【0135】
各保管棚604の載置面にはレチクル保管ポッド100の底部を支持するための3つのキネマティックカップリングピン2608(Kinematic Coupling Pin)が設けられ、ここで、2つのキネマティックカップリングピン2608は前端2600に近く、切欠部の両側に位置し、もう1つのキネマティックカップリングピン2608が棚体の後端2602に位置し、保管棚604は主にこの3つのキネマティックカップリングピン2608を介してレチクル保管ポッド100を支持及び位置決めする。具体的には、この3つのキネマティックカップリングピン2608は、それぞれ
図5Cに示す外側ベース部の位置決め溝163又は
図5Iに示すベース部130の位置決め溝132に対応し、保管棚604が専用ポッドの外側ポッド又は内側ポッドのどちらを支持するかによって決まる。
【0136】
保管棚604の載置面にレチクル保管ポッド100を制限するための止め部2610が設けられる。好ましくは、止め部2610にロボットアーム609のための識別情報を表示している。前記情報は、保管棚604の前端2600に表示することもできる。図に示すように、棚体の両側にレチクル保管ポッド100を制限する側壁が形成されている。保管棚604の棚体両側は、一対の連結アーム2612によって壁面又はフレームの垂直分岐に固定されることで、複数の保管棚604の垂直積層を構築する。前記キネマティックカップリングピン2608、止め部2610及び側壁は、摩擦によって発生する粒子を減らすために、PEEKプラスチック材質で作ることができる。
【0137】
図27Aは、レチクル保管ポッド100がある場合の保管棚604を示す。
図27Bはレチクル保管ポッド604がある場合の保管棚604の底部から見た図である。
図27Cは、レチクル保管ポッド100がある場合の保管棚604の別の視点から見た図である。
【0138】
図5Aに示すように、レチクル保管ポッド100は、専用内側ポッド101と、専用外側ポッド102とを含み、専用外側ポッド102は外側蓋体150と、外側ベース部160とを備える。外側ベース部160の底部に外側蓋体150と外側ベース部160をロック又はアンロックするためのラッチ機構2700が配置される。レチクル保管ポッド100が
図14に示すレチクルローディングシステム200の昇降台にロードされると、第2昇降手段Bに設けられた操作機構は、外側ベース部160のラッチ機構2700と協働して専用外側ポッド102をロック又はアンロックする。
【0139】
レチクル保管ポッド100が指定した保管棚604に置かれると、保管棚604のキネマティックカップリングピン2608は、レチクル保管ポッド100の底部の対応する位置決め溝163に嵌合してレチクル保管ポッド100を保管棚604に位置決めする。具体的には、保管棚604のキネマティックカップリングピン2608は、対応する位置決め溝163の外端、すなわちラッチ機構2700から離れる端に位置し、各位置決め溝163のラッチ機構2700に近い内端が切欠部から露出し、ロボットアーム609がレチクル保管ポッド100の底部に向けて接近する時、ロボットアーム609の位置決めピン2804を対応する位置決め溝163の近端に係合させることができる。
【0140】
図28Aは、具体的実施形態に係る保管棚604及びロボットアーム609の上面図である。ロボットアーム609がレチクル保管ポッド100の下に位置し、保管棚604上のレチクル保管ポッド100の底部にある位置決め溝163を破線で示す。
図28Bは、ロボットアーム609が保管棚604の下に入り、レチクル保管ポッド100を持ち上げる場合の側面図である。
図28Cは、ロボットアーム609がレチクル保管ポッド100を保管棚604から取り外す場合の側面図である。
【0141】
ロボットアーム609は、前端2800と、後端2802とを有し、前端2800は基本的に矢印形状の平板で、上向きの載置面に3つの位置決めピン2804があり、この3つの位置決めピン2804がレチクル保管ポッド100の底部にある位置決め溝163の内端に対応し、保管棚604のキネマティックカップリングピン2608が位置決め溝163の外端に対応して係合される。換言すれば、本発明のレチクル保管ポッド100の底部にある位置決め溝163は、少なくとも保管棚604の平板棚体の範囲から切欠部の範囲まで延在するが、本発明はこれに限定されない。後端2802は、伝動機構まで連結されるため、ロボットアーム609は少なくとも横方向及び縦方向に移動することができる。
【0142】
図28A及び
図28Bに示すように、ロボットアーム609がレチクル保管ポッド100に近づくと、ロボットアーム609の前端2800は、まず標的保管棚604の切欠部の下に延び、かつロボットアーム609の位置決めピン2804がレチクル保管ポッド100の底部にある対応する位置決め溝163に位置合わせさせる。
【0143】
ロボットアーム609が上昇して位置決めピン2804をレチクル保管ポッド100の底部にある位置決め溝163と係合させる。
図28Cに示すように、ロボットアーム609は、上昇し続け、レチクル保管ポッド100を保管棚604から少なくとも保管棚の前端2600の高さより持ち上げて、ロボットアーム609が保管棚604から後退することを可能にする。
【0144】
各レチクル保管ポッド100にアクセスできるロボットアーム609の作業に必要な最小スペースを確定した場合、上下の保管棚604間の高さを最小化にすることで、最大の貯蔵効率を得る。
【0145】
図29は、保管棚の上流側給気管路2900及び流量制御手段を示す。給気管路2900の下流は、
図26Aに示す気体充填管路2604に接続される。したがって、窒素気体は、保管棚604のノズル2606及び
図5Cに示すレチクル保管ポッド100の対応する2つの気体バルブ162を経由してポッド内に供給できる。レチクル保管ポッド100の別の2つの未接続の気体バルブ162は、ポッド内の気体を排出するため、保管棚604上にあるレチクル保管ポッド100のレチクル収容スペースに対流気体を有する。各給気管路2900上流の流量制御手段は、ボールバルブ2901、流量ディスプレイ2902、リストリクタ弁2903、フィルタ2904、温湿度計2905、機械式圧力計2906、電子式圧力計2907、圧力調整弁2908及び圧力計2910とエアバルブ2911とを有する主管路2909を含み得るが、本発明はこれに限定されない。
【0146】
図30は、2つの具体的実施形態に係る保管棚604に接続する上流側給気管路を示す図である。フローコントローラ3000を有する構成では、保管棚604上に設けられた1つ又は複数のセンサーは保管棚604上のレチクル保管ポッド100の有無に基づいて検出信号をフローコントローラ3000に送信して、フローコントローラ3000はこれに基づいて保管棚604に入る気体流量を制御できるようにさせる。例えば保管棚604の上に専用ポッドがある時、窒素気体を供給し、保管棚604の上に専用ポッドがない時、窒素気体供給をオフにする。ニードルバルブ3002の構成では、保管棚604に供給する気体流量を手動で調整でき、さらに連続給気状態に維持することもできる。使用する気体に関係なく、フィルタ3001により気体中の不純物の低下を確保する。
【0147】
図31は、ペリクル状態を検査すること、及びペリクル状態に応じて、随意的にレチクルポッド(非専用ポッド)或いはレチクル保管ポッド(専用ポッド)に特定の動作を選択的に行わせることで、指定位置に戻すことを含む、レチクルストッカシステム600のロボットアーム609の異常処理フローを示す。
【0148】
図32は、本発明の別の実施形態に係るレチクルローディング装置200’及びレチクルストッカシステム600’の概略図である。本実施形態の保管庫602の各保管棚604は、
図5Aに示すレチクル保管ポッド100の専用外側ポッド102のみを供給し、レチクル保管ポッド100の専用内側ポッド101を提供しないが、専用外側ポッド102は、レチクルローディングシステム200’から得られた内側ポッド、すなわち
図1に示す非専用のレチクルポッド10の内側ポッド11を収容できる。したがって、本実施形態のレチクルローディングシステム200’の目的は、レチクルを収容した内側ポッドを移載することである。また、残りの構成は、
図24の実施形態とほぼ同じで、関連の説明を省略する。レチクルローディングシステム200’及びレチクルストッカシステム600’の詳細は、後述で説明する。
【0149】
本実施形態のレチクルストッカシステム600’が専用内側ポッドを供給しない理由は、本発明のレチクル保管ポッド100の専用外側ポッド102が
図8Aに示すホールドダウン機構を備え、非専用内側ポッドとの互換性がある。
図8A及び
図11Bに示すように、保管庫602の専用外側ポッド102が非専用内側ポッド11を収容する場合、専用外側ポッド102の馬蹄形のホールドダウンリブ153がキャップ34を囲繞及び制限し、ホールドダウン柱154が内側ポッド11の蓋体30上のホールドダウンピン32に当接することで、非専用内側ポッド11及びレチクルの収納を実現できる。レチクルが移載過程中でポッド外の環境にさらされないため、パーティクル汚染のリスクを軽減できるという利点を有する。
【0150】
図33は、
図32の実施形態に係るレチクルロードフローチャートであり、左半分は第1昇降手段Aによって実行され、右半分が第2昇降手段Bによって実行される。
【0151】
ステップ3300A:天井クレーンシステム又は手動で第1ポート202から、レチクルを収容した内側ポッド11と外側ポッド12とを含むレチクルポッド10をレチクルローディングシステム200’にロードする。ロードされたレチクルポッド10は、第1昇降手段Aの昇降台によって高さA0で受け取られる。
【0152】
ステップ3300B:第2ポート204を経由して、レチクルストッカシステム600’から、専用ポッドの専用外側ポッド102をレチクルローディングシステム200’にロードする。ここでロードされた専用外側ポッド102は、内側ポッドを収容していない空ポッドである。具体的には、レチクルストッカシステム600’のロボットアーム609は、専用外側ポッド102を第2昇降手段Bの昇降台、すなわち高さB0の位置にプレースする。
【0153】
ステップ3302:レチクルポッド10及び専用外側ポッド102(例えばポッド体の上又はポッド体内に表示する情報及びレチクルペリクルの状態)を検出する。第1昇降手段A及び第2昇降手段Bの昇降台を高さA2、B2にそれぞれ下降させる。下降過程で、非専用外側ポッド12及び専用外側ポッド102は類似の機構によって開かれる。高さA2、B2にある第1昇降手段Aの昇降台は、外側ベース部40及び内側ポッド11のみを載置し、第2昇降手段Bの昇降台が専用ポッドの外側ベース部160のみを載置し、かつ両者はレチクル移載環境206にある。本実施形態は、内側ポッド11を開く必要がないため、前記レチクル移載環境206が、移載する内側ポッドの清浄度を満たすだけでよい。さらに、本実施形態は、内側ポッド11を開いてレチクルを移載する必要がないため、
図14の実施形態と比較して、第1昇降手段A及び第2昇降手段Bは高さA1、B1の的関連動作を省略できる。
【0154】
ステップ3304:レチクルローディングシステム200’の挟持機構は、内側ポッド11をピックアップして内側ポッド11を専用ポッドの外側ベース部160に移載する。前記挟持機構は、
図19Aの構成と似ることができるが、内側ポッド11に適する。前記挟持機構の動作は、
図20の説明と類似する。
【0155】
ステップ3306:内側ポッド11の移載が完了した後、第1昇降手段A及び第2昇降手段Bの昇降台が高さA0、B0まで上昇する過程で、非専用の外側ポッド12を閉じ、専用外側ポッド102を閉じて内側ポッド11を収容する。
【0156】
ステップ3308:内側ポッド11を収容した専用外側ポッド102を保管庫602の指定した保管棚604に格納する。レチクルストッカシステム600’は、ロボットアーム609の移動可能な最短経路に従って、標的保管棚604を指定することができる。
【0157】
ステップ3310:保管棚604は、専用外側ポッド102に窒素気体を充填する。同様に、本実施形態の専用外側ポッド102及び保管棚604は、気体充填を実現するために、
図27A及び
図27Bの実施形態のように構成され得る。
【0158】
図34は、
図32の実施形態に係るレチクルアンロードフローチャートであり、左半分は第1昇降手段Aによって実行され、右半分は第2昇降手段Bによって実行される。
【0159】
ステップ3400A:第1ポート202から非専用のレチクルポッド10の空の外側ポッド12をロードする。ロードされた外側ポッド12は内部に内側ポッドがなく、かつ高さA0で第1昇降手段Aの昇降台によって載置される。
【0160】
ステップ3400B:レチクルストッカシステム600’から、第2ポート204を経由して専用外側ポッド102をロードし、かつロードされた専用外側ポッド102がレチクルのある内側ポッド11を収容した。ロードされた専用外側ポッド102及び内側ポッド11は、高さB0で第2手段Bの昇降台によって載置される。
【0161】
ステップ3402:同様に、第1昇降手段A及び第2昇降手段Bによって非専用ポッドの外側ポッド12及び専用外側ポッド102と内側ポッド11を検出する。外側ポッド12及び専用外側ポッド102をそれぞれ開き、外側ポッド12の外側ベース部40及び専用外側ポッド102の外側ベース部160を高さA2、B2に下降して、内側ポッド11をレチクル移載環境206に位置させる。
【0162】
ステップ3404:内側ポッド11をピックアップし、内側ポッド11を外側ポッド12の外側ベース部40上に移載する。前記移載は、レチクル移載環境206又は清浄度が内側ポッド移載に適した他の環境で行われる。
【0163】
ステップ3406:第1昇降手段A及び第2昇降手段Bの昇降台が高さA2、B2から高さA0、B0まで上昇する過程で、非専用の外側ポッド12を閉じて、内側ポッド11を収容し、並びに専用外側ポッド102を閉じる。この時、閉られた専用外側ポッド102が空ポッドであり、非専用の内側ポッド11と外側ポッド12とがレチクルポッド10を構成する。
【0164】
ステップ3408:第1昇降手段Aは、レチクルポッド10を第1ポート202を経由してレチクルローディングシステム200’から移出して様々な処理環境に輸送する。
【0165】
図35は、
図32の実施形態に係る内側ポッド11移載フローチャートであり、左半分は第1昇降手段Aによって実行され、右半分が第2昇降手段Bによって実行される。
【0166】
ステップ3500A及び3500B:第1昇降手段Aは、高さA0でロードされた非専用レチクルポッド10の外側ポッド12を受け取り、第2昇降手段Bが高さB0でロードされたレチクル保管ポッド100の専用外側ポッド102を受け取る。非専用外側ポッド12及び専用外側ポッド102のいずれかは、レチクルのある内側ポッド11を収容し、かつ前記内側ポッド11は非専用外側ポッド12及び専用外側ポッド102の構造との互換性を有する。
【0167】
ステップ3502A及び3502B:第1昇降手段A及び第2昇降手段Bは、それぞれ非専用外側ポッド12及び専用外側ポッド102をアンロックするように動作する。アンロック後、第1昇降手段A及び第2昇降手段Bは、それぞれ非専用外側ポッド12及び専用外側ポッド102の外側蓋体を把持し、昇降台を高さA0、B0から高さA2、B2まで下降させることで、非専用外側ポッド12及び専用外側ポッド102が下降過程中に開かれる。
【0168】
ステップ3504A及び3504B:第1昇降手段A及び第2昇降手段Bは、それぞれ前記下降の間で非専用外側ポッド12、専用外側ポッド102、収容される内側ポッド11及び/又はレチクルに表示された例えば二次元コード或いはレチクルペリクル状態などの情報を識別するように動作する。識別結果が期待される目標と一致しない場合、レチクルローディングシステム200’は関連の的異常処理フローを実行することができる。
【0169】
ステップ3506:
図19Aのものに似るレチクル挟持機構1900で内側ポッド11を非専用外側ベース部40と専用外側ベース部160との間で移載する。例えば
図19Aのレチクル挟持機構1900の挟持アーム1906及び接触板1908は、内側ポッド11の寸法及び構造に適合するように改修されて内側ポッド11の移載を実現する。
【0170】
ステップ3508A及び3508B:第1昇降手段A及び第2昇降手段Bがそれぞれ昇降台を高さA2、B2から高さA0、B0に上昇させるように動作する過程で、非専用外側ポッド12及び専用外側ポッド102を閉じ、両者をそれぞれロックする。
【0171】
ステップ3510A及び3510B:空の非専用外側ポッド12又は内側ポッド11のあるレチクルポッド10は、第1ポート202を経由してレチクルローディングシステム200’から移出でき、空の専用外側ポッド102或いは非専用内側ポッド11を収容する専用外側ポッド102が第2ポート204を経由してレチクルストッカシステム600’に戻すことができる。
【0172】
図36は、内側ポッド11移載フローの概略図である。この間で、第1昇降手段A及び第2昇降手段Bの動作は、前記レチクル移載環境206又は清浄度を満たす他の環境で行われる。
【0173】
図に示すように、昇降台は、均しく内側ポッド挟持機構1900’の下に下降する。挟持機構1900’は、内側ポッド11の上に水平移動する。内側ポッド挟持機構1900’が昇降移動しない場合において、第1昇降手段Aの昇降台は、内側ポッド11をピックアップできる高さまで上昇される。内側ポッド11がピックアップされた後、昇降台を下降して分離が完了する。内側ポッド11は、第2昇降手段Bの昇降台上に水平移動される。第2昇降手段Bの昇降台は、上昇して内側ポッド11を受け取ると共にレチクル挟持機構1900’が解放して内側ポッド11の移載を実現する。
【0174】
図37は、本発明の別の実施形態に係るレチクルローディング装置200及びレチクルストッカシステム600”の概略図であり、ここで、レチクルストッカシステム600”は前述の実施形態の構成とほぼ同じであるが、主な相違点は保管庫602に複数の収納室604’を設けることである。各収納室604’は、専用デュアルポッド、例えば
図5Aに示すレチクル保管ポッド100を格納できる。代替手段として、各収納室604’は、シングルポッド3700を格納でき、このシングルポッド3700が主に蓋体とベース部とから成り、レチクルポッド10内から得たレチクルを収容するために用いられる。
【0175】
図38Aは、具体的実施形態に係る収納室604’を示す図である。
図38Bは、収納室604’内側の上向き載置面の配置を示す図である。
図38Cは、収納室604’にあるシングルポッド3700を示す図である。
図38Dは、シングルポッドの底部を支持する収納室604’の載置面機構を示す図である。
【0176】
これら収納室604’は、垂直積層の形態を確立するために、類似の手段で保管庫602の支持体に固定され得る。各収納室604’は、基本的に開口部を有するポッド体で、シングルポッド3700を収納できる保管スペースを提供する。開口部により、ロボットアーム609がシングルポッド3700にアクセスできるようになる。収納室604’の背面に2つのコネクタ3800が設けられ、その上流は窒素気体源に接続され、これにより窒素気体を収納室604’内に充填できる。収納室604’の内側の上向き載置面にシングルポッド3700を位置決めすると共に固定するための3つのキネマティックカップリングピン3802及び2つの補助ガイドピン3804が設けられる。別の実施形態において、収納室604’の開口部にシングルポッド3700の落下を防ぎ、収納室604’内の窒素状態を維持するように、ゲートが設けられることができる。
【0177】
【0178】
ステップ3900A:第1ポート202から例えばレチクルを収容する内側ポッド及び前記内側ポッドを収容する外側ポッドを含む前記レチクルポッド10などのデュアルポッドをレチクルローディングシステム200の第1昇降手段Aの昇降台にロードする。
【0179】
ステップ3900B:第2ポート204を経由してレチクルストッカシステム600”から1つの空のシングルポッド3700を第2昇降手段Bの昇降台にロードする。
【0180】
ステップ3902において、レチクルポッド10の内側ポッドに収容されるレチクルを取り出し、空のシングルポッドに移載する。
図24の実施形態と類似し、第1昇降手段Aの昇降台が高さA0から高さA2に下降する過程で外側ポッド及び内側ポッドが開いてレチクルを露出させ、第2昇降手段Bの昇降台が高さB0から高さB22に下降する過程でシングルポッド3700が開いて内側ベース部を露出させる。次に、レチクル挟持機構は、レチクルをレチクルポッド10の内側ポッドベース部からシングルポッド3700のベース部に移載する。最後に、第2昇降手段Bの昇降台が高さB2から高さB0に上昇する過程で、レチクルをシングルポッド3700に収容する。
【0181】
ステップ3904:レチクルを収容したシングルポッド3700をレチクルローディングシステム200からレチクルストッカシステム600”に輸送し、保管庫602の指定した収納室604’に移動する。好ましくは、前記指定した収納室604’は、ロボットアーム609の最短移動経路によって決定される。
【0182】
ステップ3906:ロボットアーム609によって収納室604’のゲートを開き、シングルポッド3700を収納室604’に入れ、ゲートを閉めた後窒素気体を収納室604’に充填し、レチクル保存を完了する。ゲートのない実施形態において、ロボットアーム609はゲートを開く必要がない。前記ゲートは、連続窒素気体充填で置き換えることができる。
【0183】
ステップ3908A:空のデュアルポッド(レチクルポッド10など)又は空のシングルポッド3700をレチクルローディングシステム200の第1昇降手段Aの昇降台にロードする。
【0184】
ステップ3908B:ロボットアーム609は、指定したレチクルのあるシングルポッド3700を指定した収納室604’から取り出し、レチクルローディングシステム200の第2昇降手段Bの昇降台にロードする。
【0185】
ステップ3910:第1昇降手段A及び第2昇降手段Bは、それぞれレチクルポッド10の内側ポッドベース部及びシングルポッド3700のレチクルをレチクル移載環境206に下降して、シングルポッドのレチクルをレチクルポッド10に移載する。
【0186】
ステップ3912:レチクルを収容したレチクルポッド10は、第1ポート204を経由して天井クレーンシステムによって取り出すと共に標的ステーションに輸送する。
【0187】
図40は、
図37の実施形態に係る具体的なレチクル移載フロー図であり、左半分は第1昇降手段Aによって実行されるステップであり、右半分が第2昇降手段Bによって実行されるステップである。ステップ4000A:第1ポート202からデュアルポッド(レチクルポッド10など)を第1昇降手段Aの昇降台にロードする。ステップ4000B:レチクルストッカシステム600”からシングルポッド3700を第2昇降手段Bの昇降台にロードする。ステップ4002A:外側ポッドの蓋体を把持して、外側ポッドをアンロックし、第1昇降手段Aの昇降台を高さA0から高さA1に下降させる。ステップ4002B:高さB0又は高さB1でシングルポッド3700の蓋体を把持し、シングルポッド3700のベース部を載置した昇降台を高さB0から高さB1に下降させる。ステップ4004A:内側ポッドのベース部を載置した昇降台を高さA1から高さA2に下降させる。ステップ4004B:シングルポッド3700のベース部を載置した昇降台を高さB1から高さB2に下降させる。ステップ4006:レチクル挟持機構は、レチクルを内側ポッドのベース部とシングルポッド3700のベース部との間で移載する。ステップ4008A:昇降台を高さA2から高さA1まで上昇させる過程で、内側ポッドを閉じる。ステップ4008B:昇降台を高さB2から高さB1まで上昇させる過程で、シングルポッド3700を閉じる。ステップ4010A:昇降台を高さA1から高さA0まで上昇させる過程で、外側ポッドを閉じると共にロックする。ステップ4010B:昇降台を高さB1から高さB0まで上昇させる。ステップ4012A:天井クレーンシステムによってデュアルポッドを取り出す。ステップ4012B:シングルポッド3700をレチクルストッカシステム600”に戻す。
【0188】
レチクルが最終的にシングルポッド又はデュアルポッドのどちらによって保管されるかに関係なく、貯蔵環境は、レチクルの保管にとって重要である。ゲートを備えた収納室は、貯蔵環境の状態を維持するため有益である。ゲートの操作選択は、ストッカシステムの内部配置によっても制限される。本発明のストッカシステムの収納室のゲートの操作機構の例を以下に示す。
【0189】
図41Aは、ストッカシステムのロボットアーム4100、4102と収納室4104のインタラクションフローを示す(ポッドPを収納室4104に入れる)。
図41Bは、ストッカシステムのロボットアーム4100、4102と収納室4104のインタラクションフローを示す(収納室4104からポッドPを取り出す)。示されている収納室4104は、ゲートを備え、ロボットアームの前端4102が収納室4104のゲートとインタラクションするよう構成することができる。例えばロボットアームの前端4102にゲートの底部ノッチまで伸ばし入れ、ゲートをめくり開けて収納室4104のスペースを露出する特定の機構を有するが、本発明はこれに限定されない。より具体的には、ロボットアームは、少なくとも2つの部分で構成されることができ、1つは把持機構4100で、もう1つはゲートのためのインタラクション機構4102で、2つの機構は独立して操作できる。
図41Aに示すように、ロボットアームの一部が先にゲートをめくり開けた後、他の部分がポッドPのプレースを実行する。プレースの部分が完了した後、ゲートは閉状態に戻される。
図41Bのフローは、逆である。
【0190】
図42Aは、ストッカシステムのロボットアームと収納室の別のインタラクション実施形態を示し、ポッドを収納室に入れるフロー図である。
図42Bは、ストッカシステムのロボットアームと収納室の別のインタラクション実施形態を示し、収納室からポッドを取り出すフロー図である。本実施形態のロボットアームは、2つの独立した部分、すなわち把持部4200及びプッシュ部4202を含む。把持部4200は、ポッドPを載置又は挟持し、収納室4204の空間にアクセスすることができるために用いられる。収納室4204は、枢動可能なゲート4206を備える。プッシュ部4202は、把持部4200に対して前方に延びてゲート4206上の板4208を押すことにより、ゲート4206がレバー方式で開かれる。把持部はポッドPを収納室4204に送り込むことができる。完了後、プッシュ部4208は後退してゲート4206を閉状態に戻す。
【0191】
図43は、本発明の実施形態に係るレチクルストッカ管路気体充填システムの概略図である。少なくとも1つの主管路4300の上流が窒素気体源4302に接続され、下流が複数の分岐管路4304に接続される。各分岐管路4304は、保管庫602内の対応する収納室604’に接続される。少なくとも1つのフローコントローラ4306は、主管路4300に接続される。保管庫602の指定した収納室604’にレチクルポッドを入れた時、フローコントローラ4306は、指定した収納室604’に窒素気体を充填するように、特定のエアバルブの開閉を決定する。例えばフローコントローラ4306は、主管路4306の気体流量を監視し、各分岐管路4304上の調節バルブ4308の開閉を制御するよう構成できる。調節バルブ4308は、各分岐管路4304の気体流速を調節するために用いられる。図に示すように、主管路4300の上流側は、パーティクルフィルタ4310、圧力計4312、圧力センサー4314、レギュレーター(regulator)4316及びボールバルブ4318を含み得るが、本発明はこれに限定されない。
【0192】
図44は、本発明の別の実施形態に係るレチクルローディング装置及びレチクルストッカシステムの概略図である。前述の実施形態と比較して、本実施形態のレチクルローディングシステム200”は単一の昇降手段Aのみでレチクルの移載を実現することが分かる。同様に、レチクルポッド10は、高さA0から高さA1に下降する過程で開かれ、最終的に内側ポッド11を露出する。高さA1にある内側ポッド11がロボットアーム609とのインタラクションによるピックアップされることが可能になるため、レチクル移載経路が短縮され、レチクル揺れのリスクを軽減する。
【0193】
図45Aは、
図44の実施形態に係るレチクルロードフロー図である。
図45Bは、
図44の実施形態に係るレチクルアンロードフロー図である。ステップ4500:レチクルを収容した内側ポッド11と、内側ポッド11を収容した外側ポッドとを含むデュアルポッド(レチクルポッド10など)を昇降台にロードする。ステップ4502:デュアルポッドの内側ポッド11をレチクル移載環境である高さA1に晒す。ステップ4504:内側ポッド11を保管庫602の指定した収納室604’に輸送する。ステップ4506:内側ポッド11を入れるために、指定した収納室604’のゲートを開ける。前記ゲートを閉めた後、窒素気体を収納室604’に充填すると、貯蔵を完了する。ステップ4508:デュアルポッドの、蓋体とベース部とを含む外側ポッド(
図1の外側ポッド12など)を昇降台にロードする。ステップ4510:昇降台を下降させる過程で外側ポッドが開き、ベース部を高さA1に置く。ステップ4512:保管庫602の指定した収納室604’から、レチクルを収容した内側ポッド11を取り出し、内側ポッドをアンロードして高さA1に位置するベース部にプレースする。ステップ4514:昇降台を上昇させる過程でデュアルポッドを閉じると共にロックする。ステップ4516:デュアルポッドを取り出す。
【0194】
図46Aは、
図44の実施形態に係る別のレチクルロードフロー図である。
図46Bは、
図44の実施形態に係る別のレチクルアンロードフロー図である。ステップ4600:ポートから、内側ポッド11及び前記内側ポッドを収容した外側ポッドを含むデュアルポッドを昇降台にロードする。ステップ4602:外側ポッドの蓋体を把持し、内側ポッド11と外側ポッドベース部とを載置した昇降台を高さA0から高さA1に下降させる過程で外側ポッドを開く。ステップ4604:昇降台が高さA0から高さA1に下降している間に、識別手段を通じて内側ポッド11上の二次元コードを読み取り、ペリクル状態を検出する。ステップ4606:ストッカシステム600”のロボットアームは、外側ポッドベース部に載置された内側ポッド11をピックアップし、デュアルポッドの外側ポッドのみがレチクルローディングシステム200”に残される。ステップ4608:昇降台が高さA1から高さA0に上昇する過程で、デュアルポッドの外側ポッドを閉じると共にロックする。ステップ4610:ポートからデュアルポッドの外側ポッドを取り出す。ステップ4612:ポートからデュアルポッドの外側ポッドを昇降台にロードして、レチクルストッカシステム600”内の内側ポッド11を受け取る。ステップ4614:外側ポッドの蓋体を把持し、外側ポッドベース部を載置した昇降台を高さA0から高さA1に下降させる過程で外側ポッドが開く。ステップ4616:レチクルストッカシステム600”のロボットアームは、指定した内側ポッド11を昇降台の外側ポッドベース部にプレースする。ステップ4618:昇降台が高さA1から高さA0まで上昇している間に、識別手段を通じて内側ポッド11上の二次元コードを読み取り、ペリクル状態を検出する。ステップ4620:昇降台を高さA1から高さA0まで上昇させる過程で、デュアルポッドが閉じられると共にロックされる。ステップ4622:ポートからデュアルポッドを取り出す。
【符号の説明】
【0195】
100 レチクル保管ポッド
101 専用内側ポッド
102 専用外側ポッド
10 レチクルポッド
11 内側ポッド
110 蓋体
111 ハンドル
112 フィルターメンブレンカバー
114 凹溝
12 外側ポッド
120 レチクルリテーナ
121 本体
122 弾性アーム
123 制限部
124 傾斜面
125 押付部
130 ベース部
131 ペリクル溝
132 位置決め溝
134 支持体
135 傾斜面
136 制限ブロック
1500~1510 ステップ
150 外側蓋体
151 ハンドル
152 平らな頂面
153 馬蹄形のホールドダウンリブ
154 ホールドダウン柱
1600~1608 ステップ
160 外側ベース部
161 位置決めピン
162 気体バルブ
163 位置決め溝
1700~1712 ステップ
1800A 外側ポッド蓋体支持面
1802A 昇降台
1900 レチクル挟持機構
1900’ レチクル挟持機構
1902 レール
1904 挟持組立体
1906 挟持アーム
1908 接触板
1910 係合部
2000 昇降台
200 レチクルローディングシステム
200’ レチクルローディングシステム
200” レチクルローディングシステム
202 第1ポート
204 第2ポート
206 レチクル移載環境
20 ベース部
2600 前端
2602 後端
2604 気体充填管路
2606 ノズル
2608 キネマティックカップリングピン
2610 止め部
2612 連結アーム
2700 ラッチ機構
2800 前端
2802 後端
2804 位置決めピン
2900 給気管路
2901 ボールバルブ
2902 流量ディスプレイ
2903 リストリクタ弁
2904 フィルタ
2905 温湿度計
2906 機械式圧力計
2907 電子式圧力計
2908 圧力調整弁
2909 主管路
2910 圧力計
2911 エアバルブ
3000 フローコントローラ
3001 フィルタ
3002 ニードルバルブ
300 フローコントローラ
30 蓋体
32 ホールドダウンピン
3300~3310 ステップ
3400~3408 ステップ
34 キャップ
3500~3510 ステップ
3700 シングルポッド
3900~3912 ステップ
3800 コネクタ
3802 キネマティックカップリングピン
3804 ガイドピン
4000~4012 ステップ
400 レチクルストッカの気体充填管路システム
40 外側ベース部
4100 ロボットアームの把持機構
4102 ロボットアームの前端(インタラクション機構)
4104 収納室
4200 把持部
4202 プッシュ部
4204 収納室
4206 ゲート
4208 板
4300 主管路
4302 窒素気体源
4304 分岐管路
4306 フローコントローラ
4308 調節バルブ
4310 パーティクルフィルタ
4312 圧力計
4314 圧力センサー
4316 レギュレーター
4318 ボールバルブ
4500~4516 ステップ
4600~4622 ステップ
500 レチクルストッカ管理システム
50 外側蓋体
52 ハンドル
600 レチクルストッカシステム
600’ レチクルストッカシステム
600” レチクルストッカシステム
602 保管庫
604 保管棚
604’ 収納室
606 バッファ領域
608 管理手段
609 ロボットアーム
610 制御手段
612 流量制御手段
614 洗浄装置
A 第1昇降手段
A0~A2 高さ
B 第2昇降手段
B0~B2 高さ
H 垂直の段差
P ポッド
R レチクル
W 窓
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチクルストッカシステムであって、
複数の保管棚を含み、前記複数の保管棚の各々が専用のレチクル保管ポッドを載置するようになっている保管庫と、
前記保管庫と協働して前記専用のレチクル保管ポッドを移動させるように構成されたロボットアームと、を備え、
前記専用のレチクル保管ポッドは、前記保管庫内での保管と移動の専用のものであり、
前記保管庫は、クリーニングされた又は使用済みの1つ又は複数の専用のレチクル保管ポッドを配置するように構成されたバッファ領域を含む、レチクルストッカシステム。
【請求項2】
さらに、レチクルローディングシステムに接続するように構成されたポートを備える、請求項1に記載のレチクルストッカシステム。
【請求項3】
さらに、前記バッファ領域に隣接するように構成された洗浄装置を備える、請求項1に記載のレチクルストッカシステム。
【請求項4】
さらに、レチクル情報を管理し、前記保管庫の温度と湿度を検出するように構成された管理手段を備える、請求項1に記載のレチクルストッカシステム。
【請求項5】
前記保管棚への非反応性気体の供給を制御するように構成された気体制御手段を備える、請求項1に記載のレチクルストッカシステム。
【請求項6】
1つ又は複数の専用のレチクル保管ポッドを保管するようになっているレチクルストッカシステムであって、
専用のレチクル保管ポッドを搭載するように構成され、前端と後端を有する平板体棚体である保管棚を備え、
前記保管棚の前記前端は、ロボットアームの前端と協働するように構成された切欠部を有し、
前記保管棚の前記後端は、前記専用のレチクル保管ポッドの一側を制限するように構成された止め部を有する、レチクルストッカシステム。
【請求項7】
前記保管棚の上面は、前記専用のレチクル保管ポッドを前記保管棚上に位置決めするように、前記専用のレチクル保管ポッドの底に結合される複数のカップリングピンを有する、請求項6に記載のレチクルストッカシステム。
【請求項8】
前記保管棚の上面は、前記専用のレチクル保管ポッドに非反応性気体を供給するように、前記専用のレチクル保管ポッドの底と接続する複数のノズルを有する、請求項6に記載のレチクルストッカシステム。
【請求項9】
前記止め部は、前記ロボットアームの前記前端と前記保管棚との相互作用中に読み取られるように構成された識別可能な情報を有する、請求項6に記載のレチクルストッカシステム。
【請求項10】
前記保管棚は、一対の連結アームを有し、前記保管棚は、前記一対の連結アームを介して空間内に位置決めされる、請求項7に記載のレチクルストッカシステム。
【請求項11】
シングルポッドである1つ又は複数の専用のレチクル保管ポッドを保管するようになっているレチクルストッカシステムであって、
蓋体とベース部から成るシングルポッドを収納するための開口部を有するポッド体である収納室を備え、
前記収納室の上面は、複数のキネマティックカップリングピンを有し、
前記収納室は、前記収納室を非反応性気体源に接続するための複数のコネクタを有する、レチクルストッカシステム。
【請求項12】
前記収納室の前記開口部には、ロボットアームの前端で操作して開くことができるゲートが設けられ、前記ゲートが開くと、前記収納室は、前記収納室に収納された前記シングルポッドへの前記ロボットアームの把持機構のアクセスが可能となる、請求項11に記載のレチクルストッカシステム。
【請求項13】
前記ゲートは、前記ゲートを開くために前記ロボットアームの前記先端で操作可能な板体を有し、前記ゲートが開くと、前記収納室は、前記収納室に収納された前記シングルポッドへの前記ロボットアームの把持機構のアクセスが可能となる、請求項12に記載のレチクルストッカシステム。
【請求項14】
レチクルローディング方法であって、
1つ又は複数の専用のレチクル保管ポッドを保管するようになっている保管庫を有するレチクルストッカシステムを配置するステップであって、前記専用のレチクル保管ポッドは、前記保管庫内での保管と移動の専用のものであるステップと、
ロボットアームにより、前記保管庫から空の専用のレチクル保管ポッドを取り出すステップと、前記空の専用のレチクル保管ポッドを前記レチクルストッカシステムから移出させ、前記システムの外にある前記空の専用のレチクル保管ポッドがレチクルを受け取るようにするステップと、
前記ロボットアームにより、前記レチクルが収容された前記専用のレチクル保管ポッドを受け取り前記保管庫の空いている場所に格納するステップと、を有する、レチクルローディング方法。
【請求項15】
さらに、前記保管庫内に複数の保管棚又は収納室を配置するステップと、
前記保管棚又は前記収納室において前記専用のレチクル保管ポッドにレチクルが保管されると、非反応性気体を前記保管棚又は収納室に供給するステップと、を有する、請求項14に記載のレチクルローディング方法。
【請求項16】
さらに、前記保管庫内に複数の保管棚を配置するステップと、
前記ロボットアームの前端により、前記レチクルが収容されている前記専用のレチクル保管ポッドを空の保管棚に移載するステップと、を有する、請求項14に記載のレチクルローディング方法。
【請求項17】
さらに、前記保管庫内に複数の収納室を配置するステップと、
前記ロボットアームの前端で前記収納室のゲートを操作して前記ゲートを開けるステップと、
前記ロボットアームの把持機構により、前記レチクルが収容されている前記専用のレチクル保管ポッドを空の収納室に移載するステップと、を有する、請求項14に記載のレチクルローディング方法。
【請求項18】
レチクルアンローディング方法であって、
1つ又は複数の専用のレチクル保管ポッドを保管するようになっている保管庫を有するレチクルストッカシステムを配置するステップと、
ロボットアームにより、前記保管庫からレチクルを収容している専用のレチクル保管ポッドを取り出すステップと、前記レチクルが収容されている前記専用のレチクル保管ポッドを前記レチクルストッカシステムから移出させ、前記専用のレチクル保管ポッドに収容されているレチクルが前記システムの外にアンロードされるようにするステップと、
前記ロボットアームにより、前記レチクルが収容されていない前記専用のレチクル保管ポッドを受け取り前記保管庫の空いている場所に格納するステップと、を有する、レチクルアンローディング方法。
【請求項19】
さらに、前記保管庫内に複数の保管棚を配置するステップと、
前記ロボットアームの前端により、前記レチクルが収容されていない前記専用のレチクル保管ポッドを空の保管棚に移載するステップと、を有する、請求項18に記載のレチクルアンローディング方法。
【請求項20】
さらに、前記保管庫内に複数の収納室を配置するステップと、
前記ロボットアームの前端で前記収納室のゲートを操作して前記ゲートを開けるステップと、
前記ロボットアームの把持機構により、前記レチクルを収容していない前記専用のレチクル保管ポッドを空の収納室に移載するステップと、を有する、請求項18に記載のレチクルアンローディング方法。