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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059642
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】肝臓疾患を検出する方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6886 20180101AFI20240423BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALI20240423BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240423BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240423BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20240423BHJP
   C12Q 1/6841 20180101ALI20240423BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20240423BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C12Q1/6886 Z
C12Q1/6883 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6841 Z
C12Q1/04
G01N33/53 Y
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024013945
(22)【出願日】2024-02-01
(62)【分割の表示】P 2021513265の分割
【原出願日】2019-09-11
(31)【優先権主張番号】62/729,787
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(71)【出願人】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】ティン,デイビッド ティー.
(72)【発明者】
【氏名】バン,イルン
(72)【発明者】
【氏名】モセッソ,ケリー
(72)【発明者】
【氏名】アリー,マーティン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】慢性肝臓疾患患者において高精度で肝細胞癌腫などの肝臓疾患の存在を検出し、肝臓疾患の段階を決定するための非侵襲的方法を提供する。
【解決手段】循環上皮細胞の血中濃度ならびにその遺伝子発現に基づいて肝臓疾患および症状を診断、決定またはモニタリングする方法を開示する。
【選択図】図3-3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の循環上皮細胞(CEC)中の肝細胞癌腫(HCC)分類子遺伝子の発現レベルを
測定するステップを含む方法であって、前記HCC分類子遺伝子が、TESC、OSBP
2、SLC6A8、SEPT5、F2RL3、E2F1、EZH2、CDC20、CCN
A2、CCNB1、PLXNB3、CDC6、MYBL2、APOBEC3B、SPP1
、AKR1B10、TOP2A、ASPM、SLC6A9、RECQL4、NUSAP1
、PLVAP、FMO1、PDZK1IP1およびFBXO32のうちの1つ以上を含む
、方法。
【請求項2】
前記HCC分類子遺伝子が、TESC、OSBP2、SLC6A8、SEPT5、F2
RL3、E2F1、EZH2、CDC20、CCNA2、CCNB1、PLXNB3、C
DC6、MYBL2、APOBEC3B、SPP1、AKR1B10、TOP2A、AS
PM、SLC6A9、RECQL4、NUSAP1、PLVAP、FMO1、PDZK1
IP1およびFBXO32のうちの1つ以上からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記HCC分類子遺伝子が、TESC、OSBP2、SLC6A8、SEPT5、F2
RL3、E2F1、EZH2、CDC20、CCNA2、CCNB1、PLXNB3、C
DC6、MYBL2、APOBEC3B、SPP1、AKR1B10、TOP2A、AS
PM、SLC6A9、RECQL4、NUSAP1、PLVAP、FMO1、PDZK1
IP1およびFBXO32からなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記HCC分類子遺伝子が、ACTG2、ADM2、AFP、AGR2、ALDH3A
1、ALPK3、AMIGO3、ANKRD65、ANLN、AP1M2、ARHGAP
11A、ARHGEF39、ASF1B、ASPHD1、AURKA、AXIN2、BA
IAP2L2、BEX2、C15orf48、C1orf106、C1QTNF3、C6
orf223、CA12、CA9、CAMK2N2、CAP2、CBX2、CCDC17
0、CCDC28B、CCDC64、CCNE2、CCNF、CD109、CD34、C
DC25A、CDC7、CDCA5、CDCA8、CDH13、CDK1、CDKN2A
、CDKN2C、CDT1、CELF6、CENPF、CENPH、CENPL、CEN
PU、CENPW、CKB、CNNM1、COL15A1、COL4A5、COL7A1
、COL9A2、CRIP3、CSPG4、CTNND2、CXorf36、CYP17
A1、DLK1、DMKN、DSCC1、DTL、DUOX2、ECT2、EEF1A2
、EFNA3、EPHB2、EPPK1、ETV4、FABP4、FAM111B、FA
M3B、FAM83D、FANCD2、FANCI、FBXL18、FERMT1、FG
F19、FLNC、FLVCR1、FOXD2-AS1、FOXM1、FXYD2、GA
BRE、GAL3ST1、GCNT3、GINS1、GJC1、GMNN、GNAZ、G
OLGA2P7、GPC3、GPR64、GPSM1、HRCT1、IGF2BP2、I
GSF1、IGSF3、IQGAP3、ITGA2、ITPKA、KIAA0101、K
IF11、KIFC1、KIFC2、KNTC1、KRT23、LAMA3、LEF1、
LGR5、LINC00152、LINGO1、LPL、LRRC1、LYPD1、MA
D2L1、MAGED4、MAGED4B、MAPK12、MAPK8IP2、MAPT
、MCM2、MDGA1、MDK、MFAP2、MISP、MKI67、MMP11、M
NS1、MPZ、MSC、MSH5、MTMR11、MUC13、MUC5B、MYH4
、NAALADL1、NAV3、NCAPG、NDUFA4L2、NEB、NKD1、N
MB、NOTCH3、NOTUM、NPM2、NQO1、NRCAM、NT5DC2、N
TS、OBSCN、OLFML2A、OLFML2B、PAQR4、PEG10、PI3
、PLCE1、PLCH2、PLK1、PLXDC1、PODXL2、POLE2、PP
AP2C、PRC1、PTGES、PTGFR、PTHLH、PTK7、PTP4A3、
PTTG1、PYCR1、RACGAP1、RBM24、RHBG、RNF157、RO
BO1、RP4-800G7.2、RPS6KL1、RRM2、S100A1、SCGN
、5-Sep、SERPINA12、SEZ6L2、SFN、SGOL2、SLC22A
11、SLC51B、SLC6A2、SNCG、SOAT2、SP5、SPARCL1、
SPINK1、STIL、STK39、SULT1C2、TCF19、TDGF1、TH
Y1、TK1、TMC5、TMEM132A、TMEM150B、TNFRSF19、T
NFRSF25、TONSL、TPX2、TRIM16、TRIM16L、TRIM31
、TRIM45、TTC39A、UBD、UBE2C、UBE2T、UGT2B11、U
SH1C、VSIG10L、WDR62、WDR76、およびZWINTからなる群から
選択される1つ、2つ、3つ以上の追加的な遺伝子をさらに含む、請求項1に記載の方法
【請求項5】
慢性肝臓疾患(CLD)を有する対象においてHCCの存在を検出する方法であって、
(a)前記対象のCECにおいて請求項1~4のいずれか一項に記載のHCC分類子遺伝
子の発現レベルを測定するステップと;
(b)前記対象のCEC中の前記HCC分類子遺伝子の前記発現レベルをHCC分類子遺
伝子の参照発現レベルと比較し、それによってHCCの存在を決定するステップと
を含む方法。
【請求項6】
HCC分類子遺伝子の前記発現レベルを使用してHCCスコアが算出され、前記算出さ
れたHCCスコアが参照スコアと比較され、HCCの存在が、前記参照スコアより高いH
CCスコアの存在に基づいて決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記HCCスコアが、ランダムフォレスト分析を使用して算出される、請求項6に記載
の方法。
【請求項8】
HCC分類子遺伝子の前記発現レベルが、多変量ロジスティック回帰モデル化手法を使
用してHCC分類子遺伝子の前記参照発現レベルと比較される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
循環上皮細胞(CEC)中のHCC分類子遺伝子の前記発現レベルが:
(a)前記対象から血液を含む試料を得るステップと;
(b)サイズに基づく排除によって前記試料から赤血球、血小板および血漿を除去するス
テップと;
(c)磁気泳動によって前記試料から白血球(WBC)を除去するステップと;
(d)RNA配列決定、qRT-PCR、RNA in situハイブリダイゼーショ
ン、タンパク質マイクロアレイ、または質量分析およびタンパク質プロファイリングを使
用して前記CEC中の一組の遺伝子の発現を測定するステップと
によって測定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
検出される前記HCCが、早期段階のHCCである、請求項5~9のいずれか一項に記
載の方法。
【請求項11】
検出される前記HCCが、後期段階のHCCである、請求項5~9のいずれか一項に記
載の方法。
【請求項12】
(a)超音波画像診断、ダイナミックCT、MRI画像診断、針生検および/または生
検により患者中のHCCの存在を確認するまたは確認したステップと;
(b)前記患者においてHCCの存在が確認された場合に、HCC組織の外科的切除、前
記HCC組織の高周波アブレーション、前記HCC組織の塞栓形成;HCC組織の塞栓形
成、化学療法および/または凍結療法によってHCCについて前記対象を処置するまたは
処置したステップと
をさらに含む、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
HCCの発症についてCLDを有する対象をモニタリングする方法であって、
(a)初期の時点で請求項6または7に記載の方法を実行するステップと、HCCスコア
が参照スコアより低い場合に、次いで、
(b)1つまたは複数のその後の時点で請求項6または7に記載の方法を実行するステッ
プと
を含む方法。
【請求項14】
ステップ(b)が、HCCの存在が決定されるまで1つまたは複数のその後の時点で実
行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記初期およびその後の各時点が、約3ヵ月、6ヵ月または1年間隔である、請求項1
3または14に記載の方法。
【請求項16】
CLDを有する対象において早期段階の肝臓線維症と後期段階の肝臓線維症の存在を区
別する方法であって、
(a)前記対象の血液試料中のCECの濃度を検出するステップと;
(b)前記対象の血液試料中のCECの前記濃度を参照値と比較するステップと;
(c)前記対象が、前記参照値より低い前記血液試料中のCECの濃度を有する場合に、
前記対象を、早期段階の線維症と診断するステップと;
(d)前記対象が、前記参照値より高い前記血液試料中のCECの濃度を有する場合に、
前記対象を、後期段階の線維症と診断するステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記対象が、B型肝炎を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
CECの前記濃度が、免疫蛍光法によって測定される、請求項16または17に記載の
方法。
【請求項19】
CECの前記濃度が、グリピカン3(GPC3)および/またはサイトケラチン(CK
)を検出することによって測定される、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
進行した線維症の発症についてCLDを有する対象をモニタリングする方法であって、
(a)請求項16~19のいずれか一項に記載の方法を実行するステップと;前記対象の
血液試料中のCECの濃度が参照値より低い場合に、次いで、
(b)1つまたは複数のその後の時点で、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法
を実行するステップと
を含む方法。
【請求項21】
ステップ(b)が、前記対象が後期段階の線維症と診断されるまで1つまたは複数のそ
の後の時点で実行される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
初期およびその後の各時点が、約3ヵ月、6ヵ月または1年間隔である、請求項16~
20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
線維症またはHCCの前記進行を防止するために処置されているCLDを有する対象を
モニタリングする方法であって、
(a)請求項16~19のいずれか一項に記載の方法を実行するステップと;前記対象の
血液試料中のCECの濃度が参照値より低い場合に、次いで、1つまたは複数のその後の
時点で請求項16~19のいずれか一項に記載の方法を実行するステップと;
(b)初期の時点で請求項6または7に記載の方法を実行し、HCCスコアの発現レベル
が、参照スコアより低い場合に、次いで、1つまたは複数のその後の時点で請求項6また
は7に記載の方法を実行するステップと
を含む方法。
【請求項24】
ステップ(a)が、前記対象が後期段階の線維症と診断されるまで1つまたは複数のそ
の後の時点で実行され、および/またはステップ(b)が、HCCの存在が決定されるま
で1つまたは複数のその後の時点で実行される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項23に記載のステップ(a)またはステップ(b)を実行する第1の初期および
その後の各時点が、約3ヵ月、6ヵ月または1年間隔であり、第2の初期およびその後の
各時点が、約3ヵ月、6ヵ月または1年間隔である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記血液中の前記CECが、マイクロ流体デバイスを使用して精製または富化される、
請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記マイクロ流体デバイスが、iChipデバイスである、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発の記載
本発明は、国立衛生研究所によって授与された補助金番号DK007191、EB01
2493、CA172738およびDK078772の下で政府支援により行われた。政
府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、循環上皮細胞(CEC)を単離し、分析することによって対象において肝臓
疾患を検出し、特徴付ける方法に関する。
【背景技術】
【0003】
液体生検とは、実質器官に由来し、血流に入った細胞物質を試料採取することを指す。
循環上皮細胞(CEC)は、限局性がんの環境(Stott SL, et al. Sci Transl Med 2010
;2:25ra23; Lucci A, et al. Lancet Oncol 2012;13:688-95)および新生物発生前の膵臓
病変でも(Rhim AD, et al. Gastroenterology 2014;146:647-51; Franses JW, et al. O
ncologist 2017)液体生検によって検出され得、その存在は、発癌現象に限定されないこ
とを示唆している。
【0004】
CECの単離は、血流中のその希少性、および細胞捕捉に使用される抗原の多様な発現
のため技術的な難題である。例えば、EpCAM依存的なVeridexプラットフォー
ムは、2つの独立した研究において肝細胞癌腫(HCC)CEC検出率35%および41
%しかなかった(Kelley RK, et al. BMC Cancer 2015;15:206; Sun YF, et al. Hepatol
ogy 2013;57:1458-68)。この制約を克服するために、細胞生存率および高品質のRNA
内容物を保ちながらCECを単離するiChipと呼ばれる抗原非依存的細胞選別デバイ
スが開発された。HCCにおけるCECを富化し、検出するアッセイを作製するためにi
Chipデバイスは、確立されている肝臓特異的マーカーに基づくRNAシグネチャーと
これまで組み合わされてきた(Kalinich M, et al. Proc Natl Acad Sci USA 2017;114:1
123-1128)。
【0005】
HCCの非侵襲的診断のための他の手法は、高い検出率を達成するのに失敗してきた。
例えば、最近の研究は、無細胞DNAと血液に基づくタンパク質バイオマーカーとを組み
合わせることによるHCCの検出が、おそらく一般的な反復突然変異およびHCCに固有
の特異的タンパク質マーカーの不足のためHCCの予測について44%の精度しかもたら
さなかったことを示している(Cohen JD, et al. Science 2018を参照)。
【0006】
非侵襲的方法を使用することによる特定の肝臓疾患の診断における別の難題は、CEC
が異なる2つの疾患に存在し得るため、CECの定量分析が2つの疾患同士を区別するの
に必要な情報を提供し得ないことである。
【0007】
現在まで、慢性肝臓疾患(CLD)がある対象においてHCCなどの肝臓疾患を正確に
検出する、または異なる肝臓疾患同士もしくは異なる段階の肝臓疾患同士を区別するため
に利用可能な非侵襲的な血液に基づく方法は存在しない。
【0008】
したがって、CLD患者において高精度でHCCなどの肝臓疾患の存在を検出し、肝臓
疾患の段階を決定するための非侵襲的方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、少なくとも一部において、肝CEC(hCEC)が、発癌現象に限定されず
、慢性肝臓疾患(CLD)などの非がん疾患または症状を有する対象にも存在し得るとい
う発見に基づく。さらに、本発明は、少なくとも一部において、CLDの対象においてh
CECを定量的または定性的に分析して、肝細胞癌腫(HCC)などのがんの存在を正確
に検出しおよび/または肝臓線維症などの肝臓疾患もしくは症状の異なる段階(例えば、
早期または後期段階)を正確に特徴付け得るという発見に基づく。
【0010】
一態様において、本発明は、対象の循環上皮細胞(CEC)中の肝細胞癌腫(HCC)
分類子遺伝子の発現レベルを測定する方法に関し、HCC分類子遺伝子は、TESC、O
SBP2、SLC6A8、SEPT5、F2RL3、E2F1、EZH2、CDC20、
CCNA2、CCNB1、PLXNB3、CDC6、MYBL2、APOBEC3B、S
PP1、AKR1B10、TOP2A、ASPM、SLC6A9、RECQL4、NUS
AP1、PLVAP、FMO1、PDZK1IP1およびFBXO32のうちの1つ以上
を含む。
【0011】
一部の実施形態において、HCC分類子遺伝子は、TESC、OSBP2、SLC6A
8、SEPT5、F2RL3、E2F1、EZH2、CDC20、CCNA2、CCNB
1、PLXNB3、CDC6、MYBL2、APOBEC3B、SPP1、AKR1B1
0、TOP2A、ASPM、SLC6A9、RECQL4、NUSAP1、PLVAP、
FMO1、PDZK1IP1およびFBXO32のうちの1つ以上からなる。
【0012】
一部の実施形態において、HCC分類子遺伝子は、TESC、OSBP2、SLC6A
8、SEPT5、F2RL3、E2F1、EZH2、CDC20、CCNA2、CCNB
1、PLXNB3、CDC6、MYBL2、APOBEC3B、SPP1、AKR1B1
0、TOP2A、ASPM、SLC6A9、RECQL4、NUSAP1、PLVAP、
FMO1、PDZK1IP1およびFBXO32からなる。
【0013】
一部の実施形態において、HCC分類子遺伝子は、ACTG2、ADM2、AFP、A
GR2、ALDH3A1、ALPK3、AMIGO3、ANKRD65、ANLN、AP
1M2、ARHGAP11A、ARHGEF39、ASF1B、ASPHD1、AURK
A、AXIN2、BAIAP2L2、BEX2、C15orf48、C1orf106、
C1QTNF3、C6orf223、CA12、CA9、CAMK2N2、CAP2、C
BX2、CCDC170、CCDC28B、CCDC64、CCNE2、CCNF、CD
109、CD34、CDC25A、CDC7、CDCA5、CDCA8、CDH13、C
DK1、CDKN2A、CDKN2C、CDT1、CELF6、CENPF、CENPH
、CENPL、CENPU、CENPW、CKB、CNNM1、COL15A1、COL
4A5、COL7A1、COL9A2、CRIP3、CSPG4、CTNND2、CXo
rf36、CYP17A1、DLK1、DMKN、DSCC1、DTL、DUOX2、E
CT2、EEF1A2、EFNA3、EPHB2、EPPK1、ETV4、FABP4、
FAM111B、FAM3B、FAM83D、FANCD2、FANCI、FBXL18
、FERMT1、FGF19、FLNC、FLVCR1、FOXD2-AS1、FOXM
1、FXYD2、GABRE、GAL3ST1、GCNT3、GINS1、GJC1、G
MNN、GNAZ、GOLGA2P7、GPC3、GPR64、GPSM1、HRCT1
、IGF2BP2、IGSF1、IGSF3、IQGAP3、ITGA2、ITPKA、
KIAA0101、KIF11、KIFC1、KIFC2、KNTC1、KRT23、L
AMA3、LEF1、LGR5、LINC00152、LINGO1、LPL、LRRC
1、LYPD1、MAD2L1、MAGED4、MAGED4B、MAPK12、MAP
K8IP2、MAPT、MCM2、MDGA1、MDK、MFAP2、MISP、MKI
67、MMP11、MNS1、MPZ、MSC、MSH5、MTMR11、MUC13、
MUC5B、MYH4、NAALADL1、NAV3、NCAPG、NDUFA4L2、
NEB、NKD1、NMB、NOTCH3、NOTUM、NPM2、NQO1、NRCA
M、NT5DC2、NTS、OBSCN、OLFML2A、OLFML2B、PAQR4
、PEG10、PI3、PLCE1、PLCH2、PLK1、PLXDC1、PODXL
2、POLE2、PPAP2C、PRC1、PTGES、PTGFR、PTHLH、PT
K7、PTP4A3、PTTG1、PYCR1、RACGAP1、RBM24、RHBG
、RNF157、ROBO1、RP4-800G7.2、RPS6KL1、RRM2、S
100A1、SCGN、5-Sep、SERPINA12、SEZ6L2、SFN、SG
OL2、SLC22A11、SLC51B、SLC6A2、SNCG、SOAT2、SP
5、SPARCL1、SPINK1、STIL、STK39、SULT1C2、TCF1
9、TDGF1、THY1、TK1、TMC5、TMEM132A、TMEM150B、
TNFRSF19、TNFRSF25、TONSL、TPX2、TRIM16、TRIM
16L、TRIM31、TRIM45、TTC39A、UBD、UBE2C、UBE2T
、UGT2B11、USH1C、VSIG10L、WDR62、WDR76、およびZW
INTからなる群から選択される1つ、2つ、3つ以上の追加的な遺伝子も含む。
【0014】
一態様において、本発明は、慢性肝臓疾患(CLD)の対象においてHCCの存在を検
出する方法に関し、本方法は、(a)対象のCECにおいて本明細書に記載されるHCC
分類子遺伝子の発現レベルを測定するステップと;(b)対象のCEC中のHCC分類子
遺伝子の発現レベルをHCC分類子遺伝子の参照発現レベルと比較し、それによってHC
Cの存在を決定するステップとを含む。
【0015】
一部の実施形態において、HCC分類子遺伝子の発現レベルを使用してHCCスコアが
算出され、算出されたHCCスコアが参照スコアと比較され、HCCの存在が、参照スコ
アより高いHCCスコアの存在に基づいて決定される。
【0016】
一部の実施形態において、HCCスコアは、ランダムフォレスト分析を使用して算出さ
れる。
【0017】
一部の実施形態において、HCC分類子遺伝子の発現レベルは、多変量ロジスティック
回帰モデル化手法を使用してHCC分類子遺伝子の参照発現レベルと比較される。
【0018】
一部の実施形態において、循環上皮細胞(CEC)中のHCC分類子遺伝子の発現レベ
ルは、(a)対象から血液を含む試料を得るステップと;(b)サイズに基づく排除によ
って試料から赤血球、血小板および血漿を除去するステップと;(c)磁気泳動によって
試料から白血球(WBC)を除去するステップと;(d)RNA配列決定、qRT-PC
R、RNA in situハイブリダイゼーション、タンパク質マイクロアレイ、また
は質量分析およびタンパク質プロファイリングを使用してCEC中の一組の遺伝子の発現
を測定するステップとによって測定される。
【0019】
一部の実施形態において、検出されるHCCは、早期段階のHCCまたは後期段階のH
CCである。
【0020】
一部の実施形態において、CLDを有する対象においてHCCの存在を検出する方法は
、(a)超音波画像診断、ダイナミックCT、MRI画像診断、針生検および/または生
検により患者中のHCCの存在を確認するまたは確認したステップと;(b)患者におい
てHCCの存在が確認された場合に、そのHCC組織の外科的切除、そのHCC組織の高
周波アブレーション、そのHCC組織の塞栓形成;HCC組織の塞栓形成、化学療法およ
び/または凍結療法によってHCCについて対象を処置するまたは処置したステップも含
む。
【0021】
一態様において、本発明は、HCCの発症についてCLDを有する対象をモニタリング
する方法に関し、本方法は、(a)初期の時点で本明細書に記載のCLDを有する対象に
おいてHCCの存在を検出するステップと、HCCスコアが参照スコアより低い場合に、
次いで、(b)1つまたは複数のその後の時点で検出ステップを実行するステップとを含
む。一部の実施形態において、検出ステップは、HCCの存在が決定されるまで1つまた
は複数のその後の時点で実行される。一部の実施形態において、初期およびその後の各時
点は、約3ヵ月、6ヵ月または1年間隔である。
【0022】
一態様において、本発明は、CLDを有する対象において早期段階の肝臓線維症と後期
段階の肝臓線維症の存在を区別する方法に関し、本方法は、(a)対象の血液試料中のC
ECの濃度を検出するステップと;(b)対象の血液試料中のCECの濃度を参照値と比
較するステップと;(c)参照値より低い血液試料中のCECの濃度を有する対象を、早
期段階の線維症と診断するステップと;(d)参照値より高い血液試料中のCECの濃度
を有する対象を、後期段階の線維症と診断するステップとを含む。
【0023】
一部の実施形態において、対象はB型肝炎を有する。一部の実施形態において、CEC
の濃度は、免疫蛍光法によって測定される。一部の実施形態において、CECの濃度は、
グリピカン3(GPC3)および/またはサイトケラチン(CK)を検出することによっ
て測定される。
【0024】
一態様において、本発明は、進行した線維症の発症についてCLDを有する対象をモニ
タリングする方法に関し、本方法は、(a)本明細書に記載されるCLDを有する対象に
おいて早期段階の肝臓線維症と後期段階の肝臓線維症の存在を区別する方法を実行するス
テップと;対象の血液試料中のCECの濃度が参照値より低い場合に、次いで、(b)1
つまたは複数のその後の時点でCLDを有する対象において早期段階の肝臓線維症と後期
段階の肝臓線維症の存在を区別する方法を実行するステップとを含む。
【0025】
一部の実施形態において、CLDを有する対象において早期段階の肝臓線維症と後期段
階の肝臓線維症の存在を区別する方法は、対象が後期段階の線維症と診断されるまで1つ
または複数のその後の時点で実行される。一部の実施形態において、初期およびその後の
各時点は、約3ヵ月、6ヵ月または1年間隔である。
【0026】
一態様において、本発明は、線維症またはHCCの進行を防止するために処置されてい
るCLDを有する対象をモニタリングする方法に関し、方法は、(a)本明細書に記載さ
れるCLDを有する対象において早期段階の肝臓線維症と後期段階の肝臓線維症の存在を
区別する方法を実行するステップと;対象の血液試料中のCECの濃度が参照値より低い
場合に、次いで、1つまたは複数のその後の時点でCLDを有する対象において早期段階
の肝臓線維症と後期段階の肝臓線維症の存在を区別する方法を実行するステップと;(b
)本明細書に記載のCLDを有する対象においてHCCの存在を検出する方法を実行し、
HCCスコアの発現レベルが参照スコアより低い場合に、次いで、1つまたは複数のその
後の時点で検出方法を実行するステップとを含む。
【0027】
一部の実施形態において、CLDを有する対象において早期段階の肝臓線維症と後期段
階の肝臓線維症の存在を区別する方法は、対象が後期段階の線維症と診断されるまで1つ
もしくは複数のその後の時点で実行され、および/またはCLDを有する対象においてH
CCの存在を検出する方法は、HCCの存在が決定されるまで1つもしくは複数のその後
の時点で実行される。一部の実施形態において、CLDを有する対象において早期段階の
肝臓線維症と後期段階の肝臓線維症の存在を区別する方法またはCLDを有する対象にお
いてHCCの存在を検出する方法を実行する第1の初期およびその後の各時点は、約3ヵ
月、6ヵ月もしくは1年間隔であり、第2の初期およびその後の各時点は、約3ヵ月、6
ヵ月もしくは1年間隔である。
【0028】
一部の実施形態において、対象の血液中のCECは、マイクロ流体デバイスを使用して
精製または富化される。一部の実施形態において、マイクロ流体デバイスは、iChip
デバイスである。
【0029】
別段の規定がない限り、本明細書に使用される全ての技術的および科学的用語は、本発
明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。方法お
よび材料は、本発明に使用するために本明細書に記述され;当業者に公知の他の、適切な
方法および材料も使用され得る。材料、方法および例は、単なる例示であり、限定するこ
とを意図するものではない。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、配列
、データベース登録および他の参照の全ては、その全体を参照により組み込む。加えて、
米国特許出願公開第2016/0312298号明細書は、特にその全体を参照により本
明細書に組み込み、一部の実施形態において、本明細書に記述される方法は、その出願に
記載される方法と組み合わせて使用され得る。矛盾がある場合、定義を含めて本明細書が
優先される。
【0030】
本発明の他の特徴および優位性は、以下の詳細な説明および図、ならびに請求項から明
らかになる。
【0031】
特許または出願ファイルは、色付きで作成された少なくとも1つの図面を含有する。色
付きの図面を含むこの特許または特許出願公開のコピーは、要請および必要な料金の支払
いがあれば事務局によって提供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、造血細胞を除去するために使用したiChip抗原非依存的細胞選別デバイス(iChipデバイス)の略図である。試料を、iChipデバイスで処理してCECについて試料を富化し、そのCECは、免疫蛍光法またはRNA配列決定によって分析され得る。
図2-1】図2Aは、CLDの対象の末梢血からの免疫蛍光標識されたhCECの蛍光顕微鏡検査画像を示す図である。HCCまたはCLDの患者からの血液試料を、iChipデバイスを使用して処理してCECを単離し、DAPI、CD45、グリピカン3(GPC3)および広スペクトルサイトケラチン(CK-WS)染色した。白血球細胞(WBC)を比較のために示す。
図2-2】図2Bは、健康なドナー(HD)もしくはCLD、HCCの患者、またはHCCについて処置され、悪性疾患の所見がない患者(HCC NED)からのiChipデバイス処理した血液試料における免疫蛍光標識されたhCECの検出を表すグラフである。p値は、マンホイットニー検定によって算出された。図2Cは、早期段階の肝臓線維症のCLD患者および進行した線維症の患者におけるhCECの検出を表すグラフである。p値は、マンホイットニー検定によって算出された。
図3-1】図3Aは、対照血液、HepG2細胞1~50個でスパイクした対照血液中のhCECのRNA-seq、およびHepG2単一細胞RNA-seqから得られたHepG2遺伝子発現シグネチャーのヒートマップである。
図3-2】図3Bは、CLD患者、HCC患者からのhCECおよびフロー選別したWBCのRNA-seqから得られた肝臓特異的遺伝子シグネチャーのヒートマップである(B、B細胞;C、細胞障害性T細胞;H、ヘルパーT細胞;M、単球;N、NK細胞;G、顆粒白血球)。ヒートマップ単位は、log(リード100万個当たりのリード数+1)として示される。
図3-3】図3Cは、本明細書に記載されるランダムフォレストアルゴリズムの概略を示す図である。
図3-4】図3Dは、CLD、早期段階のHCCおよび後期段階のHCCにおけるHCCスコア(ランダムフォレスト分類子の票割合)を示すグラフである。p値は、マンホイットニー検定によって算出された。
図4-1】図4Aは、健康なドナー(HD)もしくはCLDの患者(CLD)、HCCの患者、または以前にHCCを有したが、HCCについて処置された後に悪性疾患の所見を示さない患者(HCC NED)由来のiChipデバイス処理血液試料中のグリピカン3陽性(GPC3)CECの検出を示すグラフである。p値は、マンホイットニー検定によって算出された。
図4-2】図4Bは、健康なドナー(HD)もしくはCLDの患者(CLD)、HCCの患者(HCC)、または以前にHCCを有したが、HCCについて処置された後に悪性疾患の所見を示さない患者(HCC NED)由来のiChipデバイス処理血液試料中の広スペクトルサイトケラチンを発現するCEC(CK+細胞)の検出を示すグラフである。p値は、マンホイットニー検定によって算出された。
図4-3】図4Cは、線維症段階(F1またはF2と定義される早期段階およびF3またはF4と定義される進行した線維症)によって層化されたHBV CLD患者(HCCなし)におけるhCEC(CK+またはGPC3+である細胞)の検出を示すグラフである。p値は、マンホイットニー検定によって算出された。
図4-4】図4Dは、肝臓疾患の病因によって層化されたCLD患者におけるCEC濃度を示すグラフである:非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);B型肝炎ウイルス(HBV);C型肝炎ウイルス(HCV);自己免疫性肝炎(AIH);原発性硬化性胆管炎(PSC)。p値は、マンホイットニー検定によって算出された。
図5-1】図5Aは、CLD患者、処置を受けたが、採血時に依然として活性な疾患を有したHCC患者(HCC On Tx)、および処置ナイーブである活性なHCCの患者(HCC No Tx)におけるCECのHCCスコア(ランダムフォレスト分類子の票割合)を示すグラフである。示したp値は、マンホイットニー検定によって算出された。
図5-2】図5Bは、多変量ロジスティック回帰モデリングによって作製されたHCC分類子に対する受診者動作特性(ROC)曲線を示すグラフである。
図5-3】図5Cは、HCCランダムフォレスト分類子に対するROC曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、少なくとも一部において、hCECが、発癌現象に限定されず、慢性肝臓疾
患(CLD)などの非がん疾患または症状を有する対象にも存在し得るという発見に基づ
く。さらに、本発明は、少なくとも一部において、CLDの対象においてhCECを定量
的または定性的に分析して、肝細胞癌腫(HCC)などのがんの存在を正確に検出しおよ
び/または肝臓線維症などの肝臓疾患もしくは肝臓症状の段階(例えば、早期または後期
段階)を正確に特徴付け得るという発見に基づく。
【0034】
本明細書において実証された通り、血流中を循環している、疾患のある肝臓由来の細胞
(すなわち、hCEC)は、HCCおよびCLDの診断に使用するために定量的(例えば
、免疫蛍光法による)ならびに定性的(例えば、遺伝子発現プロファイルまたはHCC分
類子遺伝子の発現レベル)の両方で検出される。この液体生検の重要な適用には、HCC
、CLDなどの肝臓疾患もしくは症状の検出または診断、病因決定、肝臓線維症病期分類
、およびHCC調査もしくはモニタリングがある。本発明は、CLDなどの肝臓症状があ
る患者の診断およびモニタリングに適用され得る。
【0035】
本明細書では、疾患または症状に関して語句「正確に診断する」および「正確に検出す
る」とは、高い感度(すなわち、真の陽性率、または疾患もしくは症状が存在する場合に
疾患もしくは症状を検出する)または高い特異度(すなわち、真の陰性率、または疾患も
しくは症状が存在しない場合に疾患もしくは症状を検出しない)で疾患または症状の存在
を予測することを指す。一部の実施形態において、語句「正確に診断する」および「正確
に検出する」は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少な
くとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少な
くとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少な
くとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%および少なくとも約99.9
%の真の陽性率で疾患または症状の存在を検出できることも意味し得る。一部の実施形態
において、語句「正確に診断する」および「正確に検出する」は、少なくとも約50%、
少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、
少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、
少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、
少なくとも約99%および少なくとも約99.9%の真の陰性率で疾患または症状の存在
を検出できることを意味し得る。
【0036】
本明細書では、2つの疾患または症状に関して語句「正確に区別する」とは、第2の疾
患もしくは症状も存在するかしないかにかかわらず、高い感度(すなわち、第1の疾患ま
たは症状が存在する場合に第1の疾患または症状を検出する、すなわち、真の陽性率)ま
たは高い特異度(すなわち、第1の疾患または症状が存在しない場合に第1の疾患または
症状を検出しない、すなわち、真の陰性率)で第1の疾患もしく第1の症状の存在を検出
することを指し得る。一部の実施形態において、語句「正確に区別する」は、少なくとも
約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも
約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも
約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも
約98%、少なくとも約99%および少なくとも約99.9%の真の陽性率で疾患または
症状の存在を検出できることを意味し得る。一部の実施形態において、語句「正確に区別
する」は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも
約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも
約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも
約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%および少なくとも約99.9%の真
の陰性率で疾患または症状の存在を検出できることを意味し得る。
【0037】
本明細書では、疾患もしくは症状の異なる段階に関して語句「正確に区別する」とは、
症状もしくは疾患の特定の段階が予測され得るように、高い感度(すなわち、疾患または
症状がその段階で存在する場合に疾患または症状の段階を検出する、すなわち、真の陽性
率)または高い特異度(すなわち、疾患または症状がその段階で存在しない場合に疾患ま
たは症状の段階を検出しない、すなわち、真の陰性率)で特定の段階の疾患(例えば、肝
臓における進行した線維症)の存在を検出することを指し得る。一部の実施形態において
、語句「正確に区別する」は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約
60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約
80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約
96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%および少なくと
も約99.9%の真の陽性率で疾患または症状の段階の存在を検出できることを意味し得
る。一部の実施形態において、語句「正確に診断する」は、少なくとも約50%、少なく
とも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なく
とも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なく
とも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なく
とも約99%および少なくとも約99.9%の真の陰性率で疾患または症状の存在を検出
できることを意味し得る。
【0038】
本明細書では、用語「循環上皮細胞(CEC)」は、組織(例えば、病変組織、腫瘍組
織または非腫瘍組織)から脱落し、血液中に存在する、すなわち循環している上皮起源の
細胞を指し得る。血液の他の成分からCECを同定しおよび/または単離するために使用
され得る細胞マーカー(例えばマーカー遺伝子)については、本明細書において後述する
。一部の実施形態において、肝臓疾患(例えば、HCCおよび/またはCLD)がある対
象由来のCECは、主に、例えば、肝細胞において発現される遺伝子(例えば、GPC3
およびCK)でCECを免疫蛍光染色することによって決定される肝CEC(hCEC)
である。
【0039】
本明細書では、用語「慢性肝臓疾患(CLD)」とは、肝臓実質の進行性破壊および再
生に関係する肝臓の疾患過程を指す。一部の実施形態において、CLDは、線維化肝硬変
に至る可能性がある。他の一部の実施形態において、CLDは、門脈圧亢進(例えば、腹
水症、脾機能亢進、およびより下部食道静脈瘤および直腸静脈瘤)、肺肝症候群、肝腎症
候群、脳症またはHCCなどの合併症をもたらし得る。CLDは、6ヵ月間、1年間、2
年間、3年間、4年間、5年間または5年間より長くの期間にわたって続く肝臓の疾患も
指し得る。CLDは、B型肝炎、C型肝炎、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウ
イルス、黄熱病ウイルス、アルコール性肝臓疾患および/またはメトトレキサート、アミ
オダロン、ニトロフラントインもしくはアセトアミノフェン由来の薬物誘発性肝臓疾患に
よって引き起こされる可能性がある。他の実施形態において、CLDは、非アルコール性
脂肪肝臓疾患、血色素症、ウィルソン病または原発性胆汁胆管炎もしくは原発性硬化性胆
管炎などの自己免疫反応によって引き起こされる可能性がある。
【0040】
本明細書では、用語「モニタリング」または「調査」とは、疾患または症状の存在につ
いて対象もしくは患者(例えば、症状を発症する危険性がある対象)を定期的に評価する
ことを指す。一部の実施形態において、定期的なアセスメントは、約毎日、約1日おき、
約1週間に1回、約1週間おきに1回、約1ヶ月毎、約2ヵ月毎、約3ヵ月毎、約4ヵ月
毎、約5ヵ月毎、約6ヵ月毎、約7ヵ月毎、約8ヵ月毎、約9ヵ月毎、約1年毎、約18
ヵ月毎、約2年毎、約3年毎、約4年毎、約5年毎、約6年毎、約7年毎、約8年毎、約
9年毎または約10年毎に起こり得る。疾患または症状の存在に対する対象または患者の
この反復アセスメントは、(1)疾患または症状が、対象もしくは患者において検出され
る;(2)患者が、疾患または症状を発症する危険性がもはやなくなる;(3)モニタリ
ングを受けている対象もしくはモニタリングを行っている者の裁量で;または(4)他の
理由のため反復アセスメントの中断が余儀なくされるまで継続することができる。対象が
疾患または症状の存在について評価される間隔は、モニタリングの過程で調整され得る。
【0041】
本明細書では用語「集合学習方法」とは、訓練し、次いでそれを使用して予測を作り得
るランダムフォレストなどの教師あり学習アルゴリズムを指す。
【0042】
本明細書では、用語「肝細胞癌腫(HCC)」とは、CLDの対象に一般的な原発性肝
臓がんの一種を指す。HCCは、HBV感染の陰性マーカーを持つ患者および肝細胞ゲノ
ムに組み込まれたHBV DNAを有する患者を含めて、様々な病因の硬化性肝臓疾患を
根底に持つ患者に発症し得る。HCCの疫学、病因および発癌現象については、Ghouri Y
A, et al., J Carcinog 2017; 16:1に記載されており、それを参照により本明細書に組み
込む。
【0043】
本明細書では、語句「早期段階のHCC」は、ミラノ基準内にあるHCCを指し得る。
本明細書では、語句「後期段階のHCC」は、ミラノ基準外にあるHCCを指し得る。ミ
ラノ基準は、HCCの対象が以下の基準:HCCが、5cm未満の1つの病変またはそれ
ぞれ3cm未満の最大3つの病変である;肝外徴候がない;著しい脈管浸潤の所見がない
、を満たすことを必要とする。言い換えれば、「早期段階のHCC」は、全てのミラノ基
準を満たし、「後期段階のHCC」は、全てのミラノ基準を満たさない。
【0044】
本明細書では、用語「早期段階の肝臓線維症」および「後期段階の肝臓線維症」はそれ
ぞれ、METAVIR分類によって定義されるF1またはF2段階およびF3またはF4
段階を指す。
【0045】
本明細書に記述される方法を使用して、ランダムフォレスト分類子などの集合学習方法
に基づく分類子を使用して患者のCEC中にある一組の遺伝子の発現を検出し、分析する
ことによって非癌疾患症状、例えばCLDの患者において、がん、例えばHCCの存在を
正確に診断または予測することができる。
【0046】
一部の実施形態において、CLDの対象(例えば、B型肝炎の対象またはB型肝炎ウイ
ルスに感染している対象)由来のhCECを(例えば、定性的に)分析して、HCCの対
象とそうでない対象とを正確に区別することができる。他の実施形態において、CLDの
対象由来のhCECを定量的測定して、早期段階の肝臓線維症の対象と後期段階の肝臓線
維症の対象とを正確に区別することができる。
【0047】
本明細書において実証されるように、がん、例えばHCCの存在、および非がん疾患ま
たは症状、例えばCLDの存在は、CECの存在の増大と関連する。CECの存在の増大
は、処置されて疾患の臨床的所見がないがん(例えば、HCC)の以前の存在(例えば、
治療的処置を受け、疾患の臨床的所見が無いHCC患者における)とも関連する。
【0048】
したがって、本方法は、様々な統計的およびコンピュータ予測方法(例えば、ランダム
フォレスト分類子などの集合学習方法または多変量ロジスティック回帰などの統計的方法
)を使用して一組の遺伝子(例えば、HCC分類子遺伝子)を検出ならびに分析して、が
ん、例えば、HCCの存在を検出するステップを含み得る。
【0049】
本方法は、一部の実施形態において、早期段階でがんの存在を検出することができ、そ
のがんは、この方法を使わなければ、超音波画像診断、ダイナミックCT、MRI画像診
断、針生検または生検などの現在公知の方法を使用して検出することが困難な場合がある
【0050】
一部の実施形態において、微小流体(例えば、「ラボオンチップ」またはiChipデ
バイス)を本方法に使用して、CECを分離、精製、富化、または調製することができる
。そのようなデバイスは、微小流体フローサイトメトリー、連続的なサイズに基づく分離
、クロマトグラフィーまたは磁気泳動分離のために成功裏に使用されてきた。例えば、i
Chipデバイスおよびそのようなデバイスの他の様々な実施形態は、米国特許出願公開
第2016/0312298号明細書(参照により本明細書に組み込む)に記載されてお
り、これを使用して、細胞の混合物からhCECを分離し、またはhCECの富化された
集団を調製することができる。特に、そのようなデバイスを使用して、全血などの複雑な
混合物からhCECを単離することができる。
【0051】
一部の実施形態において、デバイスは、初期の試料混合物と比較して所望の細胞を少な
くとも75%、例えば、80%、90%、95%、98%、または99%保持し、一方で
1つまたは複数の望ましくない細胞型と比較して少なくとも100、例えば、1000、
10,000、100,000もしくはさらに1,000,000の倍数に所望の細胞の
集団を富化する。一例において、検出モジュールは、分離または富化デバイスと流体連結
され得る。検出モジュールは、本明細書に開示される任意の検出の方法または当技術分野
で公知の他の方法を使用して作動し得る。例えば、検出モジュールには、顕微鏡、細胞計
数器、磁石、biocavityレーザ[例えば、Gourley et al., J. Phys. D: Appl.
Phys., 36: R228-R239 (2003)を参照]、質量分析計、PCRデバイス、RT-PCRデ
バイス、マイクロアレイ、in situ RNAハイブリダイゼーションを実行するた
めのデバイスまたはハイパースペクトル画像化システム[例えば、Vo-Dinh et al., IEEE
Eng. Med. Biol. Mag., 23:40-49 (2004)を参照]がある。一部の実施形態において、コ
ンピュータ端末が、検出モジュールに接続され得る。例えば、検出モジュールは、目的の
細胞、タンパク質または核酸、例えば、HCC分類子遺伝子の転写産物もしくはコードさ
れているタンパク質に選択的に結合する標識を検出することができる。
【0052】
一部の実施形態において、微小流体システムは、(i)CEC(例えば、hCEC)の
分離または富化のためのデバイス;(ii)富化されたCECの溶解のためのデバイス;
および(iii)遺伝子転写産物(例えば、HCC分類子遺伝子の転写産物)またはコー
ドされているタンパク質の検出のためのデバイスを含む。
【0053】
一部の実施形態において、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスを使用して調製され
たCECの集団を使用して、公知の分子生物学的技術、例えば、上述のおよびSambrook,
Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition (Cold Spring Harbor Labora
tory Press; 3rd edition (Jan. 15, 2001));およびShort Protocols in Molecular Bi
ology, Ausubel et al., eds. (Current Protocols; 52 edition (Nov. 5, 2002))に記
載の技術を使用して遺伝子転写産物またはタンパク質の発現が分析される。
【0054】
一般的に、CEC(例えば、CTC)の富化された集団においてがん診断に有用な分類
子遺伝子もしくはコードされているタンパク質の発現を検出および/または定量化するた
めのデバイスは、本明細書に記載されており、がん、例えば、上皮起源の腫瘍の早期検出
、例えば、肝臓、膵臓、肺、乳、前立腺、腎臓、卵巣または大腸がんの早期検出に使用さ
れ得る。
【0055】
本明細書に記載される語句「差異的発現分析」は、試料(例えば細胞、例えば、CEC
、例えば、hCEC)中の個々の遺伝子(例えば、個々のHCC分類子遺伝子)の発現レ
ベルおよび/または複数の遺伝子(例えば、複数のHCC分類子遺伝子)の発現パターン
に対してコンピュータもしくは統計的分析を実行することを指し得る。用語「差異的発現
」とは、過剰発現(参照値より高いレベルで遺伝子を発現する)または過小発現(参照値
より低いレベルで遺伝子を発現する)を意味し得る。一部の実施形態において、差異的発
現分析は、参照値(例えば、病的でない対応する細胞もしくは組織に由来する試料中の1
つもしくは複数の遺伝子の発現レベルまたはパターン)と試料中の発現レベルまたはパタ
ーンを比較することができる。他の実施形態において、発現レベルまたはパターンは、1
つまたは複数の対照遺伝子の発現レベルに対して標準化することができ、または非相対的
様式(例えば、容積当たりの転写産物コピー数または絶対的コピー数)で定量化されても
よい。遺伝子発現レベルは、RNA配列決定、qRT-PCR、in situ RNA
ハイブリダイゼーション、タンパク質マイクロアレイ、ならびに/または質量分析および
タンパク質プロファイリングなどの公知の方法のいずれかによって測定され得る。他の公
知の生化学または分子生物学的技術を使用して、遺伝子の発現を検出することができる。
一部の実施形態において、RNA配列決定およびqRT-PCRは、遺伝子発現レベルを
測定するのに好ましい方法である。
【0056】
差異的発現分析は、公知の統計的またはコンピュータ方法(例えば、ランダムフォレス
ト分類子などの集合学習方法または多変量ロジスティック回帰などの統計的方法)のいず
れか1つによって実行され得る。
【0057】
一態様において、本発明は、対象の循環上皮細胞(CEC)中の肝細胞癌腫(HCC)
分類子遺伝子の発現レベルを測定するステップを含む方法を提供する。対象のCECによ
るHCC分類子遺伝子の過剰発現は、対象におけるHCCの存在の高度な予測として決定
された(例えば、実施例1~4を参照)。一部の実施形態において、HCC分類子遺伝子
は、TESC、OSBP2、SLC6A8、SEPT5、F2RL3、E2F1、EZH
2、CDC20、CCNA2、CCNB1、PLXNB3、CDC6、MYBL2、AP
OBEC3B、SPP1、AKR1B10、TOP2A、ASPM、SLC6A9、RE
CQL4、NUSAP1、PLVAP、FMO1、PDZK1IP1およびFBXO32
のうちの1つ、2つ、3つ以上(例えば、全部)を含む。一部の実施形態において、HC
C分類子遺伝子は、TESC、OSBP2、SLC6A8、SEPT5、F2RL3、E
2F1、EZH2、CDC20、CCNA2、CCNB1、PLXNB3、CDC6、M
YBL2、APOBEC3B、SPP1、AKR1B10、TOP2A、ASPM、SL
C6A9、RECQL4、NUSAP1、PLVAP、FMO1、PDZK1IP1の全
てを含むことができる。他の実施形態において、HCC分類子遺伝子は、HCCにおいて
過剰発現される1つまたは複数の他の遺伝子、例えば、ACTG2、ADM2、AFP、
AGR2、ALDH3A1、ALPK3、AMIGO3、ANKRD65、ANLN、A
P1M2、ARHGAP11A、ARHGEF39、ASF1B、ASPHD1、AUR
KA、AXIN2、BAIAP2L2、BEX2、C15orf48、C1orf106
、C1QTNF3、C6orf223、CA12、CA9、CAMK2N2、CAP2、
CBX2、CCDC170、CCDC28B、CCDC64、CCNE2、CCNF、C
D109、CD34、CDC25A、CDC7、CDCA5、CDCA8、CDH13、
CDK1、CDKN2A、CDKN2C、CDT1、CELF6、CENPF、CENP
H、CENPL、CENPU、CENPW、CKB、CNNM1、COL15A1、CO
L4A5、COL7A1、COL9A2、CRIP3、CSPG4、CTNND2、CX
orf36、CYP17A1、DLK1、DMKN、DSCC1、DTL、DUOX2、
ECT2、EEF1A2、EFNA3、EPHB2、EPPK1、ETV4、FABP4
、FAM111B、FAM3B、FAM83D、FANCD2、FANCI、FBXL1
8、FERMT1、FGF19、FLNC、FLVCR1、FOXD2-AS1、FOX
M1、FXYD2、GABRE、GAL3ST1、GCNT3、GINS1、GJC1、
GMNN、GNAZ、GOLGA2P7、GPC3、GPR64、GPSM1、HRCT
1、IGF2BP2、IGSF1、IGSF3、IQGAP3、ITGA2、ITPKA
、KIAA0101、KIF11、KIFC1、KIFC2、KNTC1、KRT23、
LAMA3、LEF1、LGR5、LINC00152、LINGO1、LPL、LRR
C1、LYPD1、MAD2L1、MAGED4、MAGED4B、MAPK12、MA
PK8IP2、MAPT、MCM2、MDGA1、MDK、MFAP2、MISP、MK
I67、MMP11、MNS1、MPZ、MSC、MSH5、MTMR11、MUC13
、MUC5B、MYH4、NAALADL1、NAV3、NCAPG、NDUFA4L2
、NEB、NKD1、NMB、NOTCH3、NOTUM、NPM2、NQO1、NRC
AM、NT5DC2、NTS、OBSCN、OLFML2A、OLFML2B、PAQR
4、PEG10、PI3、PLCE1、PLCH2、PLK1、PLXDC1、PODX
L2、POLE2、PPAP2C、PRC1、PTGES、PTGFR、PTHLH、P
TK7、PTP4A3、PTTG1、PYCR1、RACGAP1、RBM24、RHB
G、RNF157、ROBO1、RP4-800G7.2、RPS6KL1、RRM2、
S100A1、SCGN、5-Sep、SERPINA12、SEZ6L2、SFN、S
GOL2、SLC22A11、SLC51B、SLC6A2、SNCG、SOAT2、S
P5、SPARCL1、SPINK1、STIL、STK39、SULT1C2、TCF
19、TDGF1、THY1、TK1、TMC5、TMEM132A、TMEM150B
、TNFRSF19、TNFRSF25、TONSL、TPX2、TRIM16、TRI
M16L、TRIM31、TRIM45、TTC39A、UBD、UBE2C、UBE2
T、UGT2B11、USH1C、VSIG10L、WDR62、WDR76、およびZ
WINTのうちの1つまたは複数を含むこともできる。
【0058】
別の態様において、本発明は、慢性肝臓疾患(CLD)を有する対象においてHCCの
存在を検出する方法を提供する。本方法は、(a)対象のCECにおいてHCC分類子遺
伝子の発現レベルを測定するステップと;(b)対象のCEC中のHCC分類子遺伝子の
発現レベルをHCC分類子遺伝子の参照発現レベルと比較し、それによってHCCの存在
を決定するステップとを含み得る。
【0059】
別の態様において、本発明は、HCCの発症についてCLDを有する対象をモニタリン
グする方法を提供する。本方法は、(a)初期の時点で対象のCECにおいてHCC分類
子遺伝子の発現レベルを測定し、対象のCEC中のHCC分類子遺伝子の発現レベルをH
CC分類子遺伝子の参照発現レベルと比較するステップと;HCC分類子遺伝子の発現レ
ベルが、参照レベルより低い場合に、次いで、(b)その後の時点、任意選択で追加の時
点、例えば、HCC分類子遺伝子の発現レベルが、参照レベルより高くなるまで、ステッ
プを再び実行するステップとを含み得る。このアセスメントは、参照スコアまたは他の参
照測定基準値と比較して対象のCECにおいてHCCスコア(例えば、RF分類子の票割
合)またはHCC分類子遺伝子の差異的発現の程度を示す他の測定基準を第1に算出する
ことによって形成され得る。
【0060】
別の態様において、本発明は、CLDを有する対象において早期段階の肝臓線維症と後
期段階の肝臓線維症の存在を区別する方法を提供する。本方法は、(a)対象の血液試料
中のCECの濃度を検出するステップと;(b)対象の血液試料中のCECの濃度を参照
値と比較するステップと;(c)対象のCECの血中濃度が参照値より低い場合に、対象
を、早期段階の線維症と診断するステップと;(d)対象のCECの血中濃度が参照値よ
り高い場合に、対象を、後期段階の線維症と診断するステップとを含み得る。
【0061】
別の態様において、本発明は、進行した線維症の発症についてCLDを有する対象をモ
ニタリングする方法を提供する。本方法は、(a)対象の血液試料中のCECの濃度を検
出し、血液CEC濃度を参照値と比較するステップと;対象の血液試料中のCECの濃度
が参照値より低い場合に、次いで、(b)1つまたは複数のその後の時点、例えば、対象
の血液試料中のCECの濃度が参照値より高くなるまで、同じ検出および比較ステップを
実行するステップとを含み得る。
【0062】
一部の実施形態において、好ましくはランダムフォレスト分析を使用してHCC分類子
遺伝子の発現レベルを使用してHCCスコアが算出され、本方法は、HCCスコアを参照
スコアと比較し、HCCの存在が、参照スコアより高いHCCスコアの存在に基づいて決
定されるステップを含む。
【0063】
一部の実施形態において、HCC分類子遺伝子の発現レベルは、多変量ロジスティック
回帰モデル化手法を使用してHCC分類子遺伝子の参照発現レベルと比較される。
【0064】
一部の実施形態において、循環上皮細胞(CEC)中のHCC分類子遺伝子の発現レベ
ルは、(a)対象から血液を含む試料を得るステップと;(b)サイズに基づく排除によ
って試料から赤血球、血小板および血漿を除去するステップと;(c)磁気泳動によって
試料から白血球(WBC)を除去するステップと;(d)RNA配列決定、qRT-PC
R、RNA in situハイブリダイゼーション、タンパク質マイクロアレイ、また
は質量分析およびタンパク質プロファイリングを使用してCEC中の一組の遺伝子の発現
を測定するステップとによって測定される。
【0065】
一部の実施形態において、検出されるHCCは、早期段階のHCCまたは後期段階のH
CCである。
【0066】
一部の実施形態において、本方法は、(a)超音波画像診断、ダイナミックCT、MI
R画像診断、針生検および/または生検により患者中のHCCの存在を確認するまたは確
認したステップと;(b)患者においてHCCの存在が確認された場合、そのHCC組織
の外科的切除、そのHCC組織の高周波アブレーション、そのHCC組織の塞栓形成;H
CC組織の塞栓形成、化学療法および/または凍結療法によってHCCについて対象を処
置するまたは処置したステップも含む。
【0067】
一部の実施形態において、血液CEC濃度を測定および比較するためのまたはHCC分
類子遺伝子を測定および比較するための初期ならびにその後の各時点は、約3ヵ月、6ヵ
月または1年間隔である。一部の実施形態において、対象はB型肝炎を有するまたはB型
肝炎を有さない。一部の実施形態において、CECの濃度は、免疫蛍光法によって測定さ
れる。一部の実施形態において、CECの濃度は、グリピカン3(GPC3)および/ま
たはサイトケラチン(CK)を検出することによって測定される。
【0068】
肝臓疾患の診断および処置
CLDまたはHCCなどの肝臓疾患が対象において検出されると、CLDまたはHCC
などの疾患の存在は、他の方法を使用して確認されてもよい。
【0069】
HCCの診断または検出
HCCは、全血球計算(CBC)、電解質、肝臓機能検査(LFT)、凝固検査[例え
ば、国際標準比(INR)および部分的トロンボプラスチン時間(PTT)]およびアル
ファフェトプロテイン(AFP)決定法を含めた従来の方法を使用して血液試料を分析す
ることによってさらに確認または診断され得る。
【0070】
様々な画像化技術を使用してHCCを診断することができる。例えば、超音波検査法は
、磁気共鳴映像法(MRI)の費用または放射線およびコンピュータ断層撮影(CT)に
必要とされる潜在的に腎毒性がある造影剤への曝露なしにスクリーニングの比較的安価な
方法を提供する。スクリーニング方法としての超音波検査法は、硬化性集団において感度
60%および特異度97%を有することが報告されており、費用効率が高いことは実証さ
れている。この低い感度のため、超音波検査の結果は、さらなる画像診断研究および潜在
的には生検により確認されるべきである。
【0071】
HCCは、CT画像診断を使用して、好ましくは三相造影スキャンの門脈静脈相に対す
る造影を迅速に洗浄することにより動脈相を早期強化して検出され得る。HCCは、MR
Iを使用しても検出され得る。
【0072】
HCCは、特に、低レベルのアルファフェトプロテインで2cmより大きいHCC、ま
たはアブレーション処置もしくは移植が禁忌である対象の場合には生検によって検出され
得る。
【0073】
AFPが上昇し、画像診断特性が一致する患者においては、患者は、生検なしにHCC
を推定して処置され得る。患者は、断面画像診断で肝外疾患(主に肺転移)の査定を好ま
しくは受けることもでき;このことは、治癒的な局所領域療法を妨げることになる。
【0074】
HCCの処置
HCCは、肝臓移植を含めた当技術分野で公知の多数の方法を使用して処置され得る、
しかしながら、ドナー器官の供給が限られるため、多くの対象にとって選択肢としての移
植の利用可能性は限定されている。HCCは、切除、高周波アブレーション(RFA)を
使用して処置され得る。ソラフェニブ(または、ソラフェニブが失敗した場合には、レゴ
ラフェニブ、ニボルマブもしくはレンバチニブ)による全身性療法を使用して、移植まで
患者を橋渡しし、またはHCCの再発を遅延させることができる。切除または移植後に再
発を経験する患者では、積極的な外科的処置が最良の予後に関連すると思われる。
【0075】
HCCは、経カテーテル動脈の化学塞栓術によって処置され得、これは、腫瘍への栄養
動脈に選択的にカニューレを挿入し、ドキソルビシン、シスプラチンまたはマイトマイシ
ンCを含めた化学療法を高い局所用量で送達する。全身毒性を防止するために、栄養動脈
をゲル泡またはコイルで閉塞して、流出を防止する。
【0076】
HCCは、化学療法によって処置され得る、しかしながら、HCCは全身性化学療法に
はほとんど応答しない。例えば、最大の有効性を有すると思われるドキソルビシンに基づ
く投薬計画は、奏功率20~30%であり、生存に対する影響は極めて小さい。
【0077】
小児肝硬変分類Cおよび移植が禁忌の患者の場合、HCCは、疼痛管理、腹水症、浮腫
および門脈系脳症管理に集中することによって管理され得る。
【0078】
HCCは、外科的に処置され得る。現在、効果的な化学療法がないことおよび放射線療
法に対するHCCの非感受性を考慮すると、完全な腫瘍摘出が、長期の治癒に対する唯一
の選択肢である。肝部分切除による腫瘍の切除は、根底にある肝硬変の程度により限定さ
れた数の患者(一般に<15~30%)において達成され得る。
【0079】
肝硬変の診断および処置
慢性肝臓疾患には肝硬変があり得、肝硬変は、線維症、および構造的に異常な小結節へ
の正常肝臓構造の変換によって特徴付けられる。肝硬変への肝臓損傷の進行は、数週間か
ら数年間にかけて起こり得る。線維症に加えて、肝硬変の合併症には、門脈圧高進症、腹
水症、肝腎症候群および肝性脳症があるが、これに限定されない。
【0080】
肝硬変は、C型肝炎、アルコール性肝臓疾患、NASH;およびB型肝炎において起こ
り得る。肝線維症は、肝臓における細胞外基質の産生と分解の通常は均衡のとれている工
程における変化により起こり得る。肝硬変において、星状細胞は、様々な傍分泌因子によ
りコラーゲン形成細胞へと活性化され得る。そのような因子は、肝臓損傷後に肝細胞、ク
ップファー細胞および類洞内皮によって放出され得る。例えば、サイトカイン形質転換増
殖因子ベータ1(TGFベータ1)のレベルの増大が、慢性C型肝炎の患者および肝硬変
の患者に観察される。TGFベータ1は、活性化型星状細胞を刺激してI型コラーゲンを
産生させる。
【0081】
肝硬変の診断
肝硬変の重症度は、チャイルドターコットピュー(CTP)システムを使用して一般に
評価され、このシステムは、脳症、腹水症の存在および/または重症度、血液中のビリル
ビンのレベルおよびアルブミンレベルならびにプロトロンビン時間といった臨床的変数を
考慮することによって肝硬変の重症度を評価するスコアリングシステムである。
【0082】
肝硬変の重症度は、透析が必要だった回数、クレアチニンの血液中レベル、ビリルビン
レベル、ナトリウムおよびプロトロンビン時間の臨床的変数を考慮することによって、終
期肝臓疾患(MELD)スコアリングシステムのモデルを使用しても評価され得る。
【0083】
肝硬変の処置
重篤なCLD(例えば、非代償性肝硬変)の対象は、肝臓移植を使用して処置され得る
。肝臓移植は、85~90%の1年生存率および70%を超える5年生存率を有する。肝
臓移植後の生活の質は、大部分の場合、良いまたは優れている。しかしながら、ドナー器
官の供給が限られるため、多くの対象にとって選択肢としての移植の利用可能性は限定さ
れている。
【0084】
いくつかの療法:自己免疫性肝炎を処置するためのプレドニゾンおよびアザチオプリン
、B型肝炎およびC型肝炎を処置するためのインターフェロンおよび他の抗ウイルス薬、
血色素沈着症に対する静脈切開、原発性胆汁性肝硬変に対するウルソデオキシコール酸、
ならびにウィルソン病に対するトリエンチンおよび亜鉛が、CLDの対象において肝硬変
の発症を防止または遅延させるのに利用可能である。NASHは、非アルコール性脂肪肝
臓疾患(NAFLD)の進行形態であり、NASHは、アロステリックアセチルCoAカ
ルボキシラーゼ(ACC)阻害剤(例えば、NDI-010976/GS-0976)、
オベチコール酸、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ロベ
グリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、ネトグリタゾン、リボグ
リタゾン、トログリタゾン、バラグリタゾン)、エラフィブラノール(GFT505)、
オベチコール酸(OCA)、アポトーシスシグナル調節キナーゼ1(ASK1)阻害剤(
セロンセルチブ)、二重CCR2/CCR5阻害剤セニクリビロック(CVC、またTB
R-652またはTAK-652)およびビタミンEを使用する処置について評価されて
いる。
【0085】
慢性肝臓疾患が肝硬変に進行した場合、これらの療法はあまり効果的でない。一旦肝硬
変が発症すると、処置は、肝硬変に起因する合併症の管理に向けられる。例えば、肝硬変
関連の亜鉛欠乏症は、味覚障害を改善し、食欲を刺激するために、硫酸亜鉛220mgで
経口で1日2回処置され得る。さらに、亜鉛は、筋けいれんの処置に効果的であり、肝性
脳症に対する補助的療法である。CLD(例えば、胆汁うっ滞性肝臓疾患またはC型肝炎
)の対象において痒みは、コレスチラミン、抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミ
ン、ヒドロキシジン)ならびに乳酸アンモニウム12%皮膚クリーム(Lac-ヒドリン
)、ウルソデオキシコール酸、ドキセピンおよびリファンピンで処置され得る。ナルトレ
キソンは効果的であるが、しばしば許容性が不十分である。ガバペンチンは、不確かな療
法である。重篤な痒みの患者は、紫外線療法または血奨交換の機関を必要とし得る。CL
Dの男性対象における性機能低下は、局所的テストステロン製剤で処置され得る。CLD
(特に慢性胆汁うっ滞または原発性胆汁性肝硬変)の対象における骨粗鬆症は、カルシウ
ムおよびビタミンD補助剤で処置され得る。加えて、CLDの患者は、A型肝炎に対して
ワクチン接種され得る。
【実施例0086】
本発明は、請求項に記載される本発明の範囲を限定しない以下の例においてさらに記載
される。
【0087】
方法
以下の材料および方法を、以下に述べる実施例に使用した。
【0088】
臨床的プロトコール
患者の医療データを患者の許可を得て患者の電子診療記録から収集し、任意の所与の採
血で患者から血液最高20mLを2本の10mL EDTA管に得て、患者当たり血液お
よそ8~15mLを処理した。
【0089】
iChipデバイスを使用する全血由来CECの微小流体精製
抗ヒトCD45抗体(クローン2D1、R&D Systems、BAM1430)お
よび抗ヒトCD66b抗体(Abd Serotec、80H3)に対するビオチン化一
次抗体を、それぞれ100fg/WBCおよび37.5fg/WBCで全血(総容積5~
10mL)にスパイクし、室温で20分間振とうしながらインキュベートした。Dyna
beads MyOne Strepavidin T1(Life Technolo
gies、65602)磁気ビーズを次いで添加し、室温でさらに20分間振とうしなが
らインキュベートした。総血液容積(5~10mL)を、前述のとおりiChipデバイ
スに次いで流した。
【0090】
CECの免疫蛍光染色
iChipデバイス処理した血液試料のアリコート中の細胞を、2%パラホルムアルデ
ヒドで10分間固定し、次いでShandon EZ Megafunnel(Ther
moFisher A78710001)を使用するサイトスピンによって2000rp
mで5分間スライドガラスに塗布した。スライドを、PBSで洗浄し、PBS中の5%ロ
バ血清+0.3% Triton-Xにより室温(RT)で1時間ブロッキングした。広
スペクトルサイトケラチン(WS CK、Abcam ab9377)、グリピカン3(
Abcam ab81263)およびCD45(Becton Dickenson 5
55480)に対する一次抗体(それぞれPBS、0.1% BSA、0.3% Tri
ton-X中に1:50希釈)を次いで添加し、室温で1時間インキュベートした。一次
抗体のそれぞれに対して作られた二次抗体(それぞれPBS、0.1% BSA、0.3
% Triton-X中に1:200希釈)を蛍光標識のために次いで使用して、遮光し
て室温で1時間インキュベートした:それらは1)サイトケラチン-ロバ抗ウサギAle
xa-647(Jackson ImmunoResearch 711-605-15
2);2)グリピカン3-ロバ抗ヒツジCy3(Jackson ImmunoRese
arch 713-165-003);3)CD45-ロバ抗マウスAlexa-488
(Jackson ImmunoResearch 715-545-150)であった
。細胞核を、DAPI(PBS中に5μg/mL、Life Technologies
)で対比染色した。スライドを、ProLong Gold Antifade Rea
gent(Life Technologies)を使用して封入した。染色した細胞を
、画像取得に適当なフィルターキューブおよび自動化画像分析のためのBioViewプ
ラットフォームを使用して蛍光顕微鏡(TiEまたはEclipse 90i、Niko
n)によって撮像した。検出した全ての候補CECを再検討し、完全な形態、DAPI核
対比染色剤によるCECマーカー(WS CK Alexa-647および/またはGP
C3 Cy3)の局在および白血球マーカー(CD45 Alexa-488)の不在に
基づいてスコアリングした。
【0091】
HepG2細胞スパイク
HepG2細胞を、アメリカンタイプカルチャーコレクション推奨の培養条件に沿って
培養した。iChipデバイスによる処理の前に、個々の細胞をEppendorf T
ransferMan NK2顕微操作装置を使用して微量ピペット採取し、健康なドナ
ー由来の血液4mLに導入した。
【0092】
CECのRNA配列決定
iChipデバイス処理した血液試料のアリコートをペレット化し、RNAlater
(ThermoFisher Scientific)中で、-80℃で急速冷凍した。
RNAを抽出し(RNEasy Micro、Qiagen)、RNA-seqのために
以下の通りに処理した。増幅したcDNAを、製造業者のプロトコールにしたがってSM
ARTer Ultra Low Input RNA Kit(v3またはv4)fo
r Sequencing(Clontech Laboratories)を使用して
、各試料のRNAから生成した。簡潔には、ERCC RNA Spike-In Mi
x(Life Technologies)の1:50,000希釈1μLを各試料に添
加した。RNA分子の第1鎖合成を、ポリdTに基づく3’-SMART CDSプライ
マーII A、続いて逆転写酵素による伸長および鋳型切り替えを使用して実行した。第
2鎖合成および増幅PCRを18サイクル行い、増幅したcDNAを1×Agencou
rt AMPure XP bead cleanup(Beckman Coulte
r)で精製した。製造業者のプロトコールにしたがってNextera(登録商標)XT
DNA Library Preparation kit(Illumina)を使
用して、試料をバーコード化し、断片化した。増幅したcDNA 1ngを使用して、酵
素的にタグメンテーションし、続いて12サイクル増幅し、個々のライブラリを固有にデ
ュアルインデックスバーコード化した。PCR産物を、1.8×Agencourt A
MPure XP bead cleanupで精製した。溶出されたcDNAライブラ
リは、Nextera XTプロトコールにおいてビーズに基づくライブラリ標準化ステ
ップを受けなかった。ライブラリの確認および定量化を、KAPA SYBR(登録商標
)FAST Universal qPCR Kit(Kapa Biosystems
)を使用して定量的PCRによって実行した。個々のライブラリを等濃度でプールし、プ
ール濃度をKAPA SYBR(登録商標)FAST Universal qPCR
Kitを使用して決定した。ライブラリのプールを、2×100塩基対キットおよび二重
フローセルを使用してHiSeq 2500のRapid Run Modeで、3つの
複製でその後配列決定した。3つの配列決定したペアエンドリードを組み合わせ、初期設
定でSTAR v2.4.0hアライナーを使用してhttp://genome.uc
sc.eduのhg38ゲノムに対して整列させた。マップされなかったまたは複数の場
所にマップされたリードを廃棄した。重複リードを、picardツール1.8.4中の
MarkDuplicatesツールを使用して指定し、除去した。一意的に整列された
リードを、一般公開されているHomo_sapiens.GRCh38.79.gtf
注釈表に対して交差ストリクトモードでhtseq-countを使用して計数した。デ
ータを、R統計プログラミング言語へ次いで取り込んで分析した。全てのRNA-seq
生データを、NCBI GEO:アクセッションGSE117623に提出した。
【0093】
白血球のフロー選別
HCC患者のサブセットについて、iChipデバイス処理した血液試料を、2つの等
しいアリコートに分けた:一方のアリコートを、上記の通りペレット化し、急速冷凍した
;第2のアリコートをフロー選別して、混入している白血球(単球、顆粒白血球、NK細
胞、細胞障害性T細胞、ヘルパーT細胞およびB細胞)のサブタイプを単離した。細胞を
、Cytofix(BD Biosciences 554655)で固定した。以下の
抗体を使用した:CD45(Beckman Coulter IM0782U)、CD
56(Beckman Coulter IM2073U)、CD16(Biolege
nd 360712)、CD14(Biolegend 301808)、CD3(Bi
olegend 317330)、CD19(Biolegend 302216)、C
D4(Biolegend 300556)、CD8(Biolegend 30101
6)、CD66b(Biolegend 305112)。上記の通り、フロー選別した
細胞をペレット化し、RNAlater中で急速冷凍し、RNA-seqに供した。
【0094】
[実施例1]
ランダムフォレスト分類子を使用するCLD患者の分類の概要
RNA-seq生データは、64個のCLDおよび52個のHCC試料に対して59,
074個の転写産物のリードカウントからなった。そのうち、総リード数250kより多
い試料だけを残し、44個のCLDおよび39個のHCC試料が残った。データセット中
の特徴のリストを、HCC状態を予測するのに関連する可能性が一層高い特徴へと絞るた
めに、RNA-seq発現データを、The Cancer Genome Atlas
(TCGA)肝臓がんプロジェクト(LIHC)から入手した。そのデータは、正常肝臓
およびHCC組織両方の発現カウントを含有する。Rの多重仮説検定用のベンジャミニホ
ッホバーグ補正を含むDESeq2パッケージ(バージョン1.16.1)を使用してこ
のデータセットに対して差異的発現分析を実行して、正常肝臓組織に対してHCCにおい
て過剰発現している転写産物を同定した。フロー選別によって得たバルク白血球(WBC
)サブセットに対するRNA-seqデータと組み合わせたこの分析を使用して、調整後
p値<0.05、log変化倍率>2、合計WBCサブセットにおいてWBC<50r
pm、および健康な肝臓組織における平均発現>0.5rpmの転写産物のリストを構築
した。このリストを使用して、生データセット中の59,074個の特徴を、HCCを予
測する可能性が一層高い248個の転写産物のセットに絞った。248個の転写産物の組
は、ACTG2、ADM2、AFP、AGR2、AKR1B10、ALDH3A1、AL
PK3、AMIGO3、ANKRD65、ANLN、AP1M2、APOBEC3B、A
RHGAP11A、ARHGEF39、ASF1B、ASPHD1、ASPM、AURK
A、AXIN2、BAIAP2L2、BEX2、C15orf48、C1orf106、
C1QTNF3、C6orf223、CA12、CA9、CAMK2N2、CAP2、C
BX2、CCDC170、CCDC28B、CCDC64、CCNA2、CCNB1、C
CNE2、CCNF、CD109、CD34、CDC20、CDC25A、CDC6、C
DC7、CDCA5、CDCA8、CDH13、CDK1、CDKN2A、CDKN2C
、CDT1、CELF6、CENPF、CENPH、CENPL、CENPU、CENP
W、CKB、CNNM1、COL15A1、COL4A5、COL7A1、COL9A2
、CRIP3、CSPG4、CTNND2、CXorf36、CYP17A1、DLK1
、DMKN、DSCC1、DTL、DUOX2、E2F1、ECT2、EEF1A2、E
FNA3、EPHB2、EPPK1、ETV4、EZH2、F2RL3、FABP4、F
AM111B、FAM3B、FAM83D、FANCD2、FANCI、FBXL18、
FBXO32、FERMT1、FGF19、FLNC、FLVCR1、FMO1、FOX
D2-AS1、FOXM1、FXYD2、GABRE、GAL3ST1、GCNT3、G
INS1、GJC1、GMNN、GNAZ、GOLGA2P7、GPC3、GPR64、
GPSM1、HRCT1、IGF2BP2、IGSF1、IGSF3、IQGAP3、I
TGA2、ITPKA、KIAA0101、KIF11、KIFC1、KIFC2、KN
TC1、KRT23、LAMA3、LEF1、LGR5、LINC00152、LING
O1、LPL、LRRC1、LYPD1、MAD2L1、MAGED4、MAGED4B
、MAPK12、MAPK8IP2、MAPT、MCM2、MDGA1、MDK、MFA
P2、MISP、MKI67、MMP11、MNS1、MPZ、MSC、MSH5、MT
MR11、MUC13、MUC5B、MYBL2、MYH4、NAALADL1、NAV
3、NCAPG、NDUFA4L2、NEB、NKD1、NMB、NOTCH3、NOT
UM、NPM2、NQO1、NRCAM、NT5DC2、NTS、NUSAP1、OBS
CN、OLFML2A、OLFML2B、OSBP2、PAQR4、PDZK1IP1、
PEG10、PI3、PLCE1、PLCH2、PLK1、PLVAP、PLXDC1、
PLXNB3、PODXL2、POLE2、PPAP2C、PRC1、PTGES、PT
GFR、PTHLH、PTK7、PTP4A3、PTTG1、PYCR1、RACGAP
1、RBM24、RECQL4、RHBG、RNF157、ROBO1、RP4-800
G7.2、RPS6KL1、RRM2、S100A1、SCGN、5-Sep、SERP
INA12、SEZ6L2、SFN、SGOL2、SLC22A11、SLC51B、S
LC6A2、SLC6A8、SLC6A9、SNCG、SOAT2、SP5、SPARC
L1、SPINK1、SPP1、STIL、STK39、SULT1C2、TCF19、
TDGF1、TESC、THY1、TK1、TMC5、TMEM132A、TMEM15
0B、TNFRSF19、TNFRSF25、TONSL、TOP2A、TPX2、TR
IM16、TRIM16L、TRIM31、TRIM45、TTC39A、UBD、UB
E2C、UBE2T、UGT2B11、USH1C、VSIG10L、WDR62、WD
R76、ZWINTであった。
【0095】
全ての分析に使用した最終的なデータセットは、上で同定した248個の転写産物に対
するlog(1+RPM)および83個の試料からなった。分類アルゴリズムの成績を
審査するために10倍交差検定の10回繰り返しを実施した。検定について以下に段階的
に記載する:
1.特徴選択.対立仮説H:μCLD<μHCCを用いる片側t検定を、R統計パッ
ケージ(バージョン3.4.2)を使用するTCGA差異的発現分析によって同定した2
48個の転写産物それぞれに対する訓練セットで行った。p値0.05未満のものだけを
保持した。
2.ランダムフォレスト分類子.特徴選択ステップから残した転写産物全てを使用して
、ランダムフォレストを訓練し、その訓練は、RのrandomForestパッケージ
(バージョン4.6-12)を使用して構築された。パラメータmtryを、その初期設
定値sqrt(p)のままにした。ここでpは、データセット中の特徴の数であり、n
ree=500木を構築した。サンプリングを疾患の状態によって層化した。コンパレー
タ分類子として、特徴選択ステップからのp値によって最も有意な10個の遺伝子を使用
して多変量ロジスティック回帰モデルを作製した。
3.予測.試験セット中の各試料についてがんの分類に対して投票したランダムフォレ
ストにおいて木の割合をランダムフォレスト出力から得、それを使用してpROCパッケ
ージ(バージョン1.10.0)でROC曲線を構築した。
【0096】
[実施例2]
免疫蛍光法によるCECの検出
CECを免疫蛍光法(IF)によって最初に検出した。血液試料を、健康な供血者10
名、通常の臨床的調査を受けたが、HCCの所見がなかったCLD患者39名、HCCの
患者54名、および治療処置を受け、疾患の臨床的所見がなかった(NED)HCC患者
10名から得た(表1~表4を参照)。iChipデバイスは、赤血球、血小板および血
漿のサイズに基づく除外を実行し、続いて標識された白血球(WBC)を磁気泳動した(
Ozkumur E, et al. Sci Transl Med 2013;5:179ra47に記載されているとおり)(図1
参照)。次いで、CECを、HCCにおいて発現されるが、CLD肝臓組織においても発
現される腫瘍胎児性タンパク質であるグリピカン3(Wang HL, et al. Arch Pathol Lab
Med 2008;132:1723-8に記載されている)または上皮マーカーであるサイトケラチンに対
するIF染色によって列挙した(図2Aを参照)。全血10mL当たり細胞5個の閾値を
使用すると、CECは、CLD患者(79%)、HCC患者(81%)、およびNED患
者(90%)の類似の割合で同定されたが、健康なドナーでは20%しか同定されなかっ
た(図2Bおよび図4A図4Bを参照;p<0.01、各群対健康ドナー)。iChi
pデバイスを使用する精製と免疫蛍光定量との組み合わせは、HCCおよびCLD患者に
おいて類似の濃度を持つCEC検出に対する高い感度を実証した。CLD患者のうち、進
行した線維症(METAVIR F3またはF4)の患者は、進行した線維症のない患者
(0.7個細胞/mL、p<0.01、図2Cを参照)と比較してより高濃度のCEC(
中央値5.1個細胞/mL)を有した。CLD研究集団は、調査を受けるのにHCCの危
険性が十分高い患者だけからなったので、進行した線維症のないサブグループ内の各患者
のCLDの病因は、B型肝炎感染であった。分析をB型肝炎誘導性CLDの患者のみに限
定した場合でも傾向が存続したので、線維症段階に関連するCEC濃度の差異は、CLD
の病因のためではないと思われた(進行した線維症ありの中央値5.0個細胞/mL、進
行した線維症なしの中央値0.7個細胞/mL、p=0.06、図4Cを参照)。それ以
外の場合、CLD病因によってCEC濃度に差異はなかった(図4Dを参照)。
【0097】
[実施例3]
RNA配列決定によるCECの検出
RNA配列決定(RNA-seq)を実行してCECを検出した。この手法の感度を決
定するために、0、1、3、5、10または50個のHepG2 HCC細胞を、健康な
ドナー血液4mLにスパイクし、RNA-seqのためにiChipデバイスで処理した
。HepG2特異的遺伝子発現は、全血において単一細胞から検出可能であった(図3A
を参照)。CECを、64名のCLDおよび52名のHCC患者由来の臨床的血液試料に
おいて同定した。第1に、17個の肝臓特異的遺伝子シグネチャーを、Genotype
Tissue Expression(GTEx)発現データに基づいて作製した。肝
臓特異的遺伝子が、両方の患者群の試料中に同定されたが、iChipデバイス処理血液
からフロー選別されたWBCサブタイプには存在しなかった(図3Bを参照)。したがっ
て、肝臓特異的シグネチャーは、混入したWBCにおけるこれら遺伝子の異常な発現では
なく希少なCECを同定した。
【0098】
[実施例4]
HCCを検出するための分類子の生成
CECが、根本的な疾患状態に応じて表現型的に異なり得ることを示すために、遺伝子
発現プロファイリングを実行して、CLD対HCCの環境においてCEC間で、定量的で
はなく定性的な差異を同定した(図3Cを参照)。The Cancer Genome
Atlas(TCGA)データベースを使用して、肝臓組織と比較してHCCにおいて
過剰発現した遺伝子248個を同定し、WBCにおいて発現した遺伝子を除外した。ラン
ダムフォレスト(RF)機械学習手法を使用してこれらの遺伝子に基づいて分類子を生成
し、それによりCLDをHCC CECと区別した。より具体的には、ランダムフォレス
トにおける各決定木は、CLDまたはHCCとして試料を分類する「票」を投じた。最終
的な分類子は25個の遺伝子を使用し、それを表5に挙げる。特に、分類子において最も
有益な3つの遺伝子(TESC、SLC6A8、SPP1)は、がん転移に関係し、もう
1つ(E2F1)は、確立された細胞増殖マーカーである(Kang J, et al. Tumour Biol
2016;37:13843-13853;Loo JM, et al. Cell 2015;160:393-406;およびSangaletti S,
et al. Cancer Res 2014;74:4706-19を参照)。
【0099】
交差検定した分類子は、特異度(すなわち、真の陰性率)95%、感度(すなわち、真
の陽性率)85%、ならびに早期および後期段階のHCC両方の同定(ミラノ基準による
)で、CLDとHCC試料の間に優れた分離をもたらした(図3Dおよび図5A図5C
を参照)。この例において達成された精度(感度および特異度)のレベルは、HCCの予
測について44%の精度しか達成されなかった(一般的な反復突然変異およびHCCに固
有の特異的タンパク質マーカーの不足のためであり得る)無細胞DNAと血液に基づくタ
ンパク質バイオマーカーを組み合わせた最近の研究(Cohen JD, et al. Science 2018)
と比較してより高い。
【0100】
【表1-1】
【0101】
【表1-2】
【0102】
【表2-1】
【0103】
【表2-2】
【0104】
【表2-3】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
【表5-1】
【0108】
【表5-2】
【0109】
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と組み合わせて記載されてきたが、前述の説明は、添付の特
許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示することを意図し、限定することを
意図しないことは理解されるべきである。他の態様、優位性および修飾は、以下の特許請
求の範囲内にある。
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0109】
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と組み合わせて記載されてきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示することを意図し、限定することを意図しないことは理解されるべきである。他の態様、優位性および修飾は、以下の特許請求の範囲内にある。

本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.対象の循環上皮細胞(CEC)中の肝細胞癌腫(HCC)分類子遺伝子の発現レベルを測定するステップを含む方法であって、前記HCC分類子遺伝子が、TESC、OSBP2、SLC6A8、SEPT5、F2RL3、E2F1、EZH2、CDC20、CCNA2、CCNB1、PLXNB3、CDC6、MYBL2、APOBEC3B、SPP1、AKR1B10、TOP2A、ASPM、SLC6A9、RECQL4、NUSAP1、PLVAP、FMO1、PDZK1IP1およびFBXO32のうちの1つ以上を含む、方法。
2.前記HCC分類子遺伝子が、TESC、OSBP2、SLC6A8、SEPT5、F2RL3、E2F1、EZH2、CDC20、CCNA2、CCNB1、PLXNB3、CDC6、MYBL2、APOBEC3B、SPP1、AKR1B10、TOP2A、ASPM、SLC6A9、RECQL4、NUSAP1、PLVAP、FMO1、PDZK1IP1およびFBXO32のうちの1つ以上からなる、上記1に記載の方法。
3.前記HCC分類子遺伝子が、TESC、OSBP2、SLC6A8、SEPT5、F2RL3、E2F1、EZH2、CDC20、CCNA2、CCNB1、PLXNB3、CDC6、MYBL2、APOBEC3B、SPP1、AKR1B10、TOP2A、ASPM、SLC6A9、RECQL4、NUSAP1、PLVAP、FMO1、PDZK1IP1およびFBXO32からなる、上記1または2に記載の方法。
4.前記HCC分類子遺伝子が、ACTG2、ADM2、AFP、AGR2、ALDH3A1、ALPK3、AMIGO3、ANKRD65、ANLN、AP1M2、ARHGAP11A、ARHGEF39、ASF1B、ASPHD1、AURKA、AXIN2、BAIAP2L2、BEX2、C15orf48、C1orf106、C1QTNF3、C6orf223、CA12、CA9、CAMK2N2、CAP2、CBX2、CCDC170、CCDC28B、CCDC64、CCNE2、CCNF、CD109、CD34、CDC25A、CDC7、CDCA5、CDCA8、CDH13、CDK1、CDKN2A、CDKN2C、CDT1、CELF6、CENPF、CENPH、CENPL、CENPU、CENPW、CKB、CNNM1、COL15A1、COL4A5、COL7A1、COL9A2、CRIP3、CSPG4、CTNND2、CXorf36、CYP17A1、DLK1、DMKN、DSCC1、DTL、DUOX2、ECT2、EEF1A2、EFNA3、EPHB2、EPPK1、ETV4、FABP4、FAM111B、FAM3B、FAM83D、FANCD2、FANCI、FBXL18、FERMT1、FGF19、FLNC、FLVCR1、FOXD2-AS1、FOXM1、FXYD2、GABRE、GAL3ST1、GCNT3、GINS1、GJC1、GMNN、GNAZ、GOLGA2P7、GPC3、GPR64、GPSM1、HRCT1、IGF2BP2、IGSF1、IGSF3、IQGAP3、ITGA2、ITPKA、KIAA0101、KIF11、KIFC1、KIFC2、KNTC1、KRT23、LAMA3、LEF1、LGR5、LINC00152、LINGO1、LPL、LRRC1、LYPD1、MAD2L1、MAGED4、MAGED4B、MAPK12、MAPK8IP2、MAPT、MCM2、MDGA1、MDK、MFAP2、MISP、MKI67、MMP11、MNS1、MPZ、MSC、MSH5、MTMR11、MUC13、MUC5B、MYH4、NAALADL1、NAV3、NCAPG、NDUFA4L2、NEB、NKD1、NMB、NOTCH3、NOTUM、NPM2、NQO1、NRCAM、NT5DC2、NTS、OBSCN、OLFML2A、OLFML2B、PAQR4、PEG10、PI3、PLCE1、PLCH2、PLK1、PLXDC1、PODXL2、POLE2、PPAP2C、PRC1、PTGES、PTGFR、PTHLH、PTK7、PTP4A3、PTTG1、PYCR1、RACGAP1、RBM24、RHBG、RNF157、ROBO1、RP4-800G7.2、RPS6KL1、RRM2、S100A1、SCGN、5-Sep、SERPINA12、SEZ6L2、SFN、SGOL2、SLC22A11、SLC51B、SLC6A2、SNCG、SOAT2、SP5、SPARCL1、SPINK1、STIL、STK39、SULT1C2、TCF19、TDGF1、THY1、TK1、TMC5、TMEM132A、TMEM150B、TNFRSF19、TNFRSF25、TONSL、TPX2、TRIM16、TRIM16L、TRIM31、TRIM45、TTC39A、UBD、UBE2C、UBE2T、UGT2B11、USH1C、VSIG10L、WDR62、WDR76、およびZWINTからなる群から選択される1つ、2つ、3つ以上の追加的な遺伝子をさらに含む、上記1に記載の方法。
5.慢性肝臓疾患(CLD)を有する対象においてHCCの存在を検出する方法であって、
(a)前記対象のCECにおいて上記1~4のいずれかに記載のHCC分類子遺伝子の発現レベルを測定するステップと;
(b)前記対象のCEC中の前記HCC分類子遺伝子の前記発現レベルをHCC分類子遺伝子の参照発現レベルと比較し、それによってHCCの存在を決定するステップと
を含む方法。
6.HCC分類子遺伝子の前記発現レベルを使用してHCCスコアが算出され、前記算出されたHCCスコアが参照スコアと比較され、HCCの存在が、前記参照スコアより高いHCCスコアの存在に基づいて決定される、上記5に記載の方法。
7.前記HCCスコアが、ランダムフォレスト分析を使用して算出される、上記6に記載の方法。
8.HCC分類子遺伝子の前記発現レベルが、多変量ロジスティック回帰モデル化手法を使用してHCC分類子遺伝子の前記参照発現レベルと比較される、上記5に記載の方法。
9.循環上皮細胞(CEC)中のHCC分類子遺伝子の前記発現レベルが:
(a)前記対象から血液を含む試料を得るステップと;
(b)サイズに基づく排除によって前記試料から赤血球、血小板および血漿を除去するステップと;
(c)磁気泳動によって前記試料から白血球(WBC)を除去するステップと;
(d)RNA配列決定、qRT-PCR、RNA in situハイブリダイゼーション、タンパク質マイクロアレイ、または質量分析およびタンパク質プロファイリングを使用して前記CEC中の一組の遺伝子の発現を測定するステップと
によって測定される、上記1~8のいずれかに記載の方法。
10.検出される前記HCCが、早期段階のHCCである、上記5~9のいずれかに記載の方法。
11.検出される前記HCCが、後期段階のHCCである、上記5~9のいずれかに記載の方法。
12.(a)超音波画像診断、ダイナミックCT、MRI画像診断、針生検および/または生検により患者中のHCCの存在を確認するまたは確認したステップと;
(b)前記患者においてHCCの存在が確認された場合に、HCC組織の外科的切除、前記HCC組織の高周波アブレーション、前記HCC組織の塞栓形成;HCC組織の塞栓形成、化学療法および/または凍結療法によってHCCについて前記対象を処置するまたは処置したステップと
をさらに含む、上記5~11のいずれかに記載の方法。
13.HCCの発症についてCLDを有する対象をモニタリングする方法であって、
(a)初期の時点で上記6または7に記載の方法を実行するステップと、HCCスコアが参照スコアより低い場合に、次いで、
(b)1つまたは複数のその後の時点で上記6または7に記載の方法を実行するステップと
を含む方法。
14.ステップ(b)が、HCCの存在が決定されるまで1つまたは複数のその後の時点で実行される、上記13に記載の方法。
15.前記初期およびその後の各時点が、約3ヵ月、6ヵ月または1年間隔である、上記13または14に記載の方法。
16.CLDを有する対象において早期段階の肝臓線維症と後期段階の肝臓線維症の存在を区別する方法であって、
(a)前記対象の血液試料中のCECの濃度を検出するステップと;
(b)前記対象の血液試料中のCECの前記濃度を参照値と比較するステップと;
(c)前記対象が、前記参照値より低い前記血液試料中のCECの濃度を有する場合に、前記対象を、早期段階の線維症と診断するステップと;
(d)前記対象が、前記参照値より高い前記血液試料中のCECの濃度を有する場合に、前記対象を、後期段階の線維症と診断するステップと
を含む方法。
17.前記対象が、B型肝炎を有する、上記16に記載の方法。
18.CECの前記濃度が、免疫蛍光法によって測定される、上記16または17に記載の方法。
19.CECの前記濃度が、グリピカン3(GPC3)および/またはサイトケラチン(CK)を検出することによって測定される、上記16~18のいずれかに記載の方法。
20.進行した線維症の発症についてCLDを有する対象をモニタリングする方法であって、
(a)上記16~19のいずれかに記載の方法を実行するステップと;前記対象の血液試料中のCECの濃度が参照値より低い場合に、次いで、
(b)1つまたは複数のその後の時点で、上記16~19のいずれかに記載の方法を実行するステップと
を含む方法。
21.ステップ(b)が、前記対象が後期段階の線維症と診断されるまで1つまたは複数のその後の時点で実行される、上記20に記載の方法。
22.初期およびその後の各時点が、約3ヵ月、6ヵ月または1年間隔である、上記16~20のいずれかに記載の方法。
23.線維症またはHCCの前記進行を防止するために処置されているCLDを有する対象をモニタリングする方法であって、
(a)上記16~19のいずれかに記載の方法を実行するステップと;前記対象の血液試料中のCECの濃度が参照値より低い場合に、次いで、1つまたは複数のその後の時点で上記16~19のいずれかに記載の方法を実行するステップと;
(b)初期の時点で上記6または7に記載の方法を実行し、HCCスコアの発現レベルが、参照スコアより低い場合に、次いで、1つまたは複数のその後の時点で上記6または7に記載の方法を実行するステップと
を含む方法。
24.ステップ(a)が、前記対象が後期段階の線維症と診断されるまで1つまたは複数のその後の時点で実行され、および/またはステップ(b)が、HCCの存在が決定されるまで1つまたは複数のその後の時点で実行される、上記23に記載の方法。
25.上記23に記載のステップ(a)またはステップ(b)を実行する第1の初期およびその後の各時点が、約3ヵ月、6ヵ月または1年間隔であり、第2の初期およびその後の各時点が、約3ヵ月、6ヵ月または1年間隔である、上記24に記載の方法。
26.前記血液中の前記CECが、マイクロ流体デバイスを使用して精製または富化される、上記1~25のいずれかに記載の方法。
27.前記マイクロ流体デバイスが、iChipデバイスである、上記26に記載の方法。
【外国語明細書】