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特開2024-59644無接触温度制御用の装置、電磁放射波面の生成方法、及び温度場プロファイルを生成するための装置の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059644
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】無接触温度制御用の装置、電磁放射波面の生成方法、及び温度場プロファイルを生成するための装置の使用
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/10 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
G01J5/10 C
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014082
(22)【出願日】2024-02-01
(62)【分割の表示】P 2020557112の分割
【原出願日】2018-12-19
(31)【優先権主張番号】P.424096
(32)【優先日】2018-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(71)【出願人】
【識別番号】520244935
【氏名又は名称】ゲノムテック・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミロン・トカルスキー
(72)【発明者】
【氏名】マウゴジャータ・マウォドブラ-マズル
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリク・ヴァルデマル・ログシュチャク
(72)【発明者】
【氏名】マテウシュ・チョク
(57)【要約】
【課題】温度制御用の装置を提供する。
【解決手段】装置は、レーザーやダイオード等の電磁波源(1)又は超音波発生器を備え、電磁波源(1)はマイクロプロセッサを備えた専用コントローラ(3)に有線で接続され、専用コントローラ(3)は焦電検出器や熱電対検出器等の熱放射検出器(2)に有線で接続され、電磁波源と熱放射検出器が互いに0°から180°の間の角度αで配置されることを特徴とする。放射の波面プロファイルを生成するための方法と、その波面プロファイルを用いて温度場プロファイルを生成するための装置の使用も提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度制御用の装置であって、レーザーやダイオード等の電磁波源(1)又は超音波発生器を備え、前記電磁波源(1)又は超音波発生器はマイクロプロセッサを備えた専用コントローラ(3)に有線で接続され、前記専用コントローラ(3)は焦電検出器や熱電対検出器等の熱放射検出器(2)に有線で接続され、前記電磁波源と前記熱放射検出器が互いに0°から180°の間の角度αで配置されることを特徴とする装置。
【請求項2】
電磁放射波面プロファイルを生成するための方法であって、複数の電磁放射源を用いて、電磁放射が重ね合わさるように前記複数の電磁放射源を配置することによって、前記電磁放射源に伝えられる電力を最大電力を超えずに変更することによって、又は、前記電磁放射源の前方に一つ又は複数のレンズを配置することによって、波面プロファイルの形状が生成されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法を用いて生成された波面プロファイルを用いて温度場プロファイルを生成するための請求項1に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、無接触温度制御用の装置、電磁放射波面プロファイルの生成方法、そして、波面プロファイル、物質表面上の二次元的温度場プロファイル、物質内部の三次元的温度場プロファイルを時間の関数として用いて、温度場プロファイルを生成、成形及び制御するための装置の使用である。本発明は、産業プロセス、生物学的プロセス、化学的プロセス、物質検査、又は、時間経過と共に温度が一定又は可変であることと無接触方式で温度が得られることを要する他の産業に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
現在の技術的プロセスでは多くの研究領域において、所与の点における温度や温度分布の情報が非常に重要な要素となっている。温度測定方式は一般的に接触型と無接触型に分類される。接触型測定では、温度を知りたい所与の物質又は点に測定媒体を直接接触させる必要がある。無接触方法では、測定対象は、放出される赤外線の波長であり、測定される媒体に測定デバイスを接触させる必要が無い。その測定は、プランクの法則とウィーンの法則に基づいて進められる。プランクの法則は、理想黒体によって放射されるエネルギー量を記述する。他方、ウィーンの法則は、温度変化に対する波長変化に関する。
【0003】
測定方式にかかわらず、従来技術において温度測定方法が大いに報告及び開発されてきた。それら温度測定方法は用いられる物理現象が主に異なる。それにもかかわらず、新規温度決定方法が測定システムの構築に関して依然として追求されている。その精度は温度決定に関する非常に重要な事項である。現状で用いられている無接触方法は、所与の点における高精度測定を特徴とするものではない。また、温度測定を可能にするために研究対象を動かす必要がある。更に、最大限の量の放出赤外線を収集して、温度の適切な読み取りを可能にする物理現象の閾値を超えるためには、温度センサを測定対象に可能な限り近付けなければならない。
【0004】
実際の応用が直面している他の重要な問題は、対象の温度変化、つまり加熱である。加熱は、対象を熱源に直接近付けるか又は実際に接触させないと不可能であることが多い。これは、加熱器とサンプルとの間の物質適合性の問題を生じさせ得る。接触型の加熱に関する他の問題として、例えば生体サンプル(ウイルス、バクテリア)の場合に、対象を外部環境から隔離する必要性が挙げられる。接触型の加熱方法では、温度測定(熱を温度計に伝えること)の他に、熱を対象に伝える方法が重要な役割を果たす。これは、対象の過大加熱又は過小加熱を生じさせ得る。また、供給管を介して失われる熱が、温度測定システムの不正確さに繋がり、測定環境と測定デバイスの追加的な隔離を要する。
【0005】
物理量の測定と対象の加熱という行為は、それが技術的プロセスであるか研究プロセスのものであるかにかかわらず、不十分となることが多い。測定に加えて、所与の温度プロファイルの差を局所的に均すことを離散的な場合と二次元表面の両方で可能にすると共に、正確に定められた範囲内で一定の温度値を維持する必要もある。これが、この種のシステム(温度センサと加熱器)がフィードバックループで設計される理由であるが、加熱対象についての温度場プロファイルを選択的に生成及び修正することはできない。
【0006】
従来技術において、無接触での温度測定と温度分布の制御を可能にする方法が知られている。特許文献1に開示されている発明の対象は遠隔表面温度測定用のデバイスと方法である。そのデバイスは、放射源と、放射線に対して基板を回転させるテーブルと、制御ユニットと、温度測定ユニットで構成される。テーブル上に配置される基板、例えばシリコンウェーハが放射線での処理を受ける。処理を受ける箇所の温度は、光学システムを用いて遠隔測定される。温度測定は、光学システムを用いて処理の箇所近くで放出された赤外線を収集することによって進められる。次いで、赤外線が、偏光され、光ファイバ(又は光ファイバの束)を用いて、その波長を測定する分光計に伝えられる。温度はその波長とプランクの法則に基づいて決定される。アナログ温度信号がデジタル信号に変換され、次いで、ウェーハを処理するビームのパワーを制御するコントローラに伝えられる。
【0007】
また、特許文献2に開示されている発明は、複数の列状に分布するダイオード/レーザーのシステムが発生させるレーザー放射を用いる温度制御方式の表面処理方法に関する。放射を処理対象の表面に集中させ、その処理対象の温度を、赤外線に敏感なダイオードを用いて監視し、レーザー放射の強度分布を所要の温度プロファイルに調整する。レーザー放射の強度分布を所要の温度プロファイルに調整することは、処理されている表面から放出される波長をダイオードが測定してフィードバックループで各列のダイオード又はレーザーを制御及び/又は作動と作動停止させることによって達成される。
【0008】
特許文献3には、シリコンウェーハの高速熱処理用のデバイスが開示されている。開示されている解決策の特徴は、ディスク形状の多領域熱放射源に基づいた加熱システムである。その熱放射源は、中心に位置する一つのランプ及び同心円状の二つの円に配置されたランプで構成される。各ランプは個別に電力供給される。処理されるシリコン材は、熱放射源の全面で照らされる。温度測定は、ランプのコントローラに結合されたセンサを用いて進められる。コントローラは、ウェーハ表面に伝えられる熱エネルギーの量を調べ、所与の温度からの逸脱を示す場合には、所与の領域のランプのパワーを変更(減少又は増大)させることによって、ウェーハ表面の温度プロフィルを変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7744274号明細書
【特許文献2】欧州特許第0836905号明細書
【特許文献3】米国特許第6122440号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が取り組む技術的課題には、所与の点において一定値の電磁波束を提供するように遠隔方式で、つまり、対象を電磁波源(加熱器)及び温度計(検出器)に直接接触させずに、その点に適切な量の熱エネルギーを伝えることを可能にする温度制御方法を提供することが含まれる。また、照射面上又は所与の空間内の温度プロファイルの成形を可能にするように選択的に複数源からなるシステムから伝えられるエネルギーの量を制御することが可能となる。加熱器とセンサは、対象に局所的に入射する放射の振幅を変更することを可能にするようにフィードバックループで配置構成される。本発明は上述の技術的要求を驚異的に解決する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の態様は、温度制御用の装置であり、その装置は、レーザーやダイオード等の電磁波源又は超音波発生器を備え、電磁波源又は超音波発生器は、マイクロプロセッサを備えた専用コントローラに有線で接続され、専用コントローラは、焦電検出器や熱電対検出器等の熱放射検出器に有線で接続され、電磁波源と熱放射検出器が互いに0°と180°の間の角度αで配置されることを特徴とする。電磁波源と検出器とコントローラは、フィードバックシステムにおいて有線で互いに接続され、源のパワー、つまりは照射対象の温度の制御と安定化を提供する。
【0012】
本発明の第二の態様は、電磁放射の波面プロファイルを生成するための方法であり、複数の電磁放射源を用いて、電磁放射が重ね合わさるように複数の電磁放射源を配置することによって、電磁放射源に伝えられる電力を最大電力を超えずに変更することによって、又は、前記電磁放射源の前方に一つ又は複数のレンズを配置することによって、波面プロファイルの形状が生成されることを特徴とする。本発明の第一実施形態では、放出される電磁波束の値が等しい複数の電磁波源が電磁放射が重ね合わさるように配置される。電磁波源のこのような配置では、電磁放射の平面波の波面が生成される。本発明の他の実施形態では、複数の電磁波源が電磁放射が重ね合わさるように配置され、そのうちの少なくとも一つの電磁放射源が、放出される電磁波束の値に関して他の電磁放射源と異なり、平面波以外の波面が生成される。生成される波面は正又は負の形状(収束又は発散)を有し得る。本発明の他の実施形態では、単一の電磁放射源の前方に、電磁波を透過させるレンズが存在し、電磁波束を広げ、電磁放射波源に対向するレンズの壁の形状に従った電磁放射の波面プロファイルが生成される。
【0013】
本発明の第三の態様は、本発明の第二の態様に係る方法に従って生成される波面プロファイルを用いて温度場プロファイルを生成するための本発明の第一の態様に係る装置の使用である。検出器と電磁波源は、本発明の第一の態様のとおりに互いに配置及び接続される。検出器と電磁波源との間の接続が、それらの間のフィードバックループを形成する。電磁波源からのエネルギーは、本発明の第二の態様に係る方法に従って生成された波面の形状で空間内の点(座標Δx、Δy、Δz)又は平面上の点(座標Δx、Δy、Δz=0)又は平面(次元Δx、Δy)に伝えられる。電磁波として伝えられるエネルギーは空間内の点(座標Δx、Δy、Δz)又は平面上の点(座標Δx、Δy、Δz=0)、又は平面(次元Δx、Δy)で吸収される。電磁波の吸収は温度上昇を生じさせる。温度変化は検出器によって記録される。検出器のソフトウェアで、空間内の点(座標Δx、Δy、Δz)又は平面上の点(座標Δx、Δy、Δz=0)又は平面(次元Δx、Δy)で測定された温度の値と、所与の温度の値を比較する。両者の温度値が異なる場合には、専用コントローラが、電磁波源に伝えられる電力を変更する。これが、空間内の点(座標Δx、Δy、Δz)又は平面上の点(座標Δx、Δy、Δz=0)又は平面(次元Δx、Δy)に伝えられる電磁波束の強度を変更する。検出器が、もう一度、温度値の読取を行う。検出器で測定温度値が所定の温度値に対応するまで、温度の読取と電力変化のシーケンスを繰り返す。
【0014】
検出器と電磁波源の接続が、電磁波源によって放出される放射の振幅の選択的な制御を可能にする。従って、時間経過と共に物体に伝えられる電磁放射束の形式でのエネルギー量は一定のままであり、これは、温度の恒常性を意味する。電磁放射の重ね合わせの位置にある複数の独立した電磁波源に検出器を結合することで、各電磁波源の強度を個別に制御することが可能になり、波面プロファイルが成形され、その結果としての温度場プロファイルが生成される。
【0015】
本発明に係る温度制御方法は、熱源と温度センサを対象に対して制御して作製(設置)することが極めて小さな三次元空間や表面のため難しい応用において温度を制御及び調整するのに使用可能であり、良好な断熱性で物質の表面上や三次元空間内に大きな温度勾配を発生させる。本発明に係る方法の利点は、閉じた環境(例えば、ボトルや、密閉された微生物培養プラスチック管)の加熱及び温度測定を可能にすることである。更に、本発明に係る方法は、多くの科学技術分野に適用可能である。例えば、生物学では、無接触方式の制御された方法において時間経過と共に温度が一定又は可変であることを要するPCR反応や他のプロセスが挙げられる。本発明は、プログラム可能なプロファイルで人体の特定の領域の温度を正確に制御することによって、腫瘍細胞を破壊するための有用なツールとなり得る。本発明に係る方法に考えられる他の応用として、化学反応を制御及び開始すること、化学反応の平衡状態を研究すること等が挙げられる。物理学においては、物質研究、相転移、無接触炉等が挙げられる。本発明の他の利点は、ケーブル差込口やソケットに関する問題や、ヒータと温度センサの物質に対する湿度と温度の影響を無くすことである。
【0016】
本発明に係る温度制御方法は、空間内のあらゆる領域(例えば、真空中に配置され、石英管の中に入れられた坩堝)や、隔離環境に置かれたテーブル表面上において、数℃から数千℃の間の範囲内の温度の値を測定するのに使用可能である。
【0017】
本発明の実施形態は以下説明の図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】空間の任意の点又は三次元体積部分における物体の温度を制御するための方法を示す。
図2】温度プロファイルを実現するための放射エネルギーの複数の源の重ね合わせの使用を示す。
図3A】エネルギー源の振幅を用いた温度場プロファイルの成形を示す。
図3B】エネルギー源の振幅を用いた温度場プロファイルの成形を示す。
図4】温度場を成形するためのレンズの使用を示す。
図5】平面の横断面内での温度依存性を示す。
図6】多様な値の電流の関数として温度を示す。
図7】熱源に供給される電流に対する温度値の依存性を示す。
図8A】三次元投影における100mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図8B】二次元マップにおける100mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図9A】三次元投影における200mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図9B】二次元マップにおける200mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図10A】三次元投影における300mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図10B】二次元マップにおける300mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図11A】三次元投影における400mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図11B】二次元マップにおける400mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図12A】三次元投影における500mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図12B】二次元マップにおける500mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図13A】三次元投影における600mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図13B】二次元マップにおける600mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図14A】レンズを備えるシステムについての三次元投影における50mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図14B】レンズを備えるシステムについての二次元マップにおける50mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図15A】レンズを備えるシステムについての三次元投影における100mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図15B】レンズを備えるシステムについての二次元マップにおける100mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図16A】レンズを備えるシステムについての三次元投影における150mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図16B】レンズを備えるシステムについての二次元マップにおける150mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図17A】レンズを備えるシステムについての三次元投影における200mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図17B】レンズを備えるシステムについての二次元マップにおける200mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図18A】レンズを備えるシステムについての三次元投影における250mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図18B】レンズを備えるシステムについての二次元マップにおける250mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図19A】レンズを備えるシステムについての三次元投影における300mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図19B】レンズを備えるシステムについての二次元マップにおける300mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図20A】レンズを備えるシステムについての三次元投影における350mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図20B】レンズを備えるシステムについての二次元マップにおける350mAの電流に対する温度プロファイルを示す。
図21】レンズを備えるシステムについての熱源に供給される電流に対する温度値の依存性を示す。
図22】レンズを備えるシステムについての多様な値の電流の関数としての温度を示す。
図23】レンズを備えるシステムについての平面の横断面の温度依存性を示す。
図24】レンズを有するシステム(■)とレンズを有さないシステム(▲)についての温度プロファイルの比較を示す。
図25】レンズを有さない測定システムを示す。15はMLX90614検出器であり、16と17はLZ1‐00DB05ダイオード(最大動作電流1200mA)であり、18は電磁放射で照射される平面(酸化銅で覆われた銅製プレート)である。
図26】レンズを有する測定システムを示す。19はMLX90614検出器であり、20はUV(紫外線)ダイオードであり、21はレンズであり、22は電磁放射で照射される平面(ポリマープレート)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例1
図1は、マイクロプロセッサを備えた専用コントローラ(3)を用いて三次元空間の点(座標Δx、Δy、Δz)における温度を制御するための方法を示し、放射源(1)はレーザーやLEDダイオードや圧電セラミックトランスデューサであり得る。本発明に係る検出器(2)は焦電センサや熱電対センサであり得て、熱放射の最大値が赤外線範囲内にある放射を吸収する。
【0020】
例2
図2は、複数の放射エネルギー源(4、5、6)の重ね合わせを用いて時間の関数として空間内の三次元的温度場と物質表面上の二次元的温度場を成形及び制御するための複数源のシステムの使用を示す。
【0021】
例3
図3A図3Bに示される本発明の他の実施形態は、個々の放射エネルギー源(7、8、9)の強度を制御し、源の数を調整することによって温度場を生成するための方法を提供する。図3Aは、複数の電磁波源のうち一つがより大きな振幅で放射する様子を示し、図3Bは複数の電磁波源のうち一つの放射の振幅を小さくしている様子を示す。
【0022】
例4
本発明の更に他の実施形態は、放射エネルギー源(13)を有効に多重化するためのレンズ(14)の使用を可能にする。多種多様なレンズを用い且つ放射エネルギー源の数を調整することによって、三次元空間内又は表面上に事実上あらゆる温度プロファイルを形成し時間の関数として制御することができる(図4)。
【0023】
例5
図5は、電磁波源に印加した電流の関数として照射面の横断面の多数の点で測定した温度の値を示す。他方、図6は、電磁波源に印加した電流に依存する時間の関数として一点で測定した温度変化を示す。図7は、電磁波源を流れる電流の関数として測定温度の線形増加を示す。
【0024】
例6
図8Aから図13Bは、本発明に係る方法を用いた結果として得られた電磁波源に供給される多様な電流値についての平面上の温度プロファイルの形状を示す。
【0025】
例7
図14Aから図20Bは、レンズを備えるシステムにおいて本発明に係る方法を用いた結果として得られた電磁波源に供給される多様な電流値についての平面上の温度プロファイルの形状を示す。
【0026】
例8
図21は、レンズを備えるシステムにおいて電磁波源を流れる電流の関数として測定温度の線形増加を示す。他方、図22は、レンズを備えるシステムにおいて電磁波源に印加した電流に依存する時間の関数として一点で測定した温度変化を示す。図23は、源と照射面との間の波面プロファイルを成形するレンズを配置した際の電磁波源に印加した電流の関数として照射面の横断面の多数の点について測定した温度の値を示す。図24は、レンズを用いて修正した波面(■)とレンズ無しの波面(▲)の比較を示す。
【0027】
例9
図25は、平面波の波面を成形するためのMLX90614検出器(15)と、電磁放射源(16、17)(LZ1‐00DB05ダイオード、最大動作電流1200mA)と、電磁放射で照射される平面(18)(酸化銅で覆われた銅製プレート)を備える測定システムを示す。
【0028】
例10
図26は、レンズを用いて波面を成形するためのMLX90614検出器(19)と、電磁放射源(20)(UV(紫外線)ダイオード)と、レンズ(21)と、電磁波で照射される平面(22)(ポリマー製の平面プレート)を備える測定システムを示す。
【符号の説明】
【0029】
1、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、16、17、20 電磁波源
2、15、19 検出器
3 コントローラ
14、21 レンズ
18、22 照射面
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2024-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象(V)の温度を制御するための装置であって、
前記対象(V)を加熱するために前記対象(V)に向けて放射を発するように構成された放射源(1)と、
前記対象(V)から放出された熱放射を検出するように構成された熱放射検出器(2)と、
前記放射源(1)と前記熱放射検出器(2)とに接続されたコントローラ(3)と、を備え、
前記放射源(1)と前記熱放射検出器(2)と前記コントローラ(3)がフィードバックループで配置され、前記コントローラ(3)が、前記熱放射検出器(2)によって検出された熱放射に従って前記放射源(1)を作動させるように構成されている、装置。
【請求項2】
前記放射源(1)が、レーザーと、ダイオードと、圧電セラミックトランスデューサと、超音波発生器とのうちのいずれかを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記熱放射検出器(2)が、焦電検出器又は熱電対検出器を備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記放射源(1)が電磁放射を発するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記放射源(1)が紫外線範囲の電磁放射を発するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記放射源(1)によって発せられた放射の波面のプロファイルを修正するように構成された波面修正部(4~12、14)を備える請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記波面修正部(4~12、14)が少なくとも一つの追加放射源(4~12)を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記追加放射源(4~12)が、前記放射源(1)によって発せられた放射と重ね合わさる放射を生じさせるように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラ(3)が、重ね合わさった放射の波面のプロファイルを修正するように前記放射源(1)と前記追加放射源(4~12)を個別に作動させるように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記波面修正部がレンズ(14)を備える、請求項6から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記レンズ(14)が前記放射源(13)と前記対象(V)との間の経路に存在する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記レンズ(14)が前記放射源(1)と前記対象(V)との間の経路からずれている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記波面修正部が複数のレンズ(14)を備える、請求項10から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記放射源(1)が加熱器である、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記コントローラ(3)に対する前記熱放射検出器(2)と前記放射源(1)の接続が、前記放射源(1)によって放出される放射の振幅を選択的に制御して、時間経過と共に伝えられる放射束のエネルギー量が、定値で温度を制御するように制御されたままとなる、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記放射源(1)と前記熱放射検出器(2)が互いに0°から180°の間の角度で配置され、前記角度が、前記放射源(1)から前記対象(V)までの線分と前記熱放射検出器(2)から前記対象(V)までの線分との間の角度である、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
対象(V)の温度を制御するための方法であって、
前記対象(V)を加熱するために前記対象(V)に加熱用の放射を向けることと、
前記対象(V)から放出された熱放射を検出することと、
検出された熱放射に従って前記加熱用の放射を制御することと、を備える方法。
【請求項18】
前記加熱用の放射に追加加熱用の放射を重ね合わせること、又は、一つ又は複数のレンズに前記加熱用の放射を通すことによって、前記加熱用の放射の波面のプロファイルを成形することを備える請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記波面のプロファイルを平面に成形することを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複数の電磁放射源(1)を用いて、互いに重ね合わさる電磁放射の束を制御された値にすることによって、波面のプロファイルの形状を生成することを備える請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法によって発生させた波面を用いて温度場のプロファイルを生成するための請求項1から16のいずれか一項に記載の装置の方法。
【外国語明細書】