(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059647
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】TAM阻害剤として有用なピロロトリアジン誘導体の塩
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20240423BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240423BHJP
A61K 31/53 20060101ALN20240423BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/53
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014546
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2020517516の分割
【原出願日】2018-09-26
(31)【優先権主張番号】62/564,070
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/714,196
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505193450
【氏名又は名称】インサイト・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ジョンジアン・ジア
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジョン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】ヨンチュン・パン
(72)【発明者】
【氏名】ジアチェン・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】リー・チュン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】がんの治療におけるTAMキナーゼの調節のための化合物を提供する。
【解決手段】N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩である塩を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩である塩。
【請求項2】
マレイン酸に対するN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの化学量論比が1:1の塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
結晶性である、請求項1に記載の塩。
【請求項4】
実質的に単離された、請求項1に記載の塩。
【請求項5】
約211℃に吸熱ピークを有するDSC曲線を特徴とする、請求項1に記載の塩。
【請求項6】
DSC曲線が実質的に
図2で示される、請求項1に記載の塩。
【請求項7】
TGA曲線が実質的に
図3で示される、請求項1に記載の塩。
【請求項8】
2θで表して、約4.3°、約8.4°、約12.6°、約13.2°、及び約18.5°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する、請求項1に記載の塩。
【請求項9】
2θで表して、約4.3°、約8.4°、約12.6°、約13.2°、及び約18.5°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する、請求項1に記載の塩。
【請求項10】
2θで表して、約4.3°、約8.4°、約12.6°、約13.2°、及び約18.5°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する、請求項1に記載の塩。
【請求項11】
2θで表して、約4.3°、約8.4°、約12.6°、約13.2°、及び約18.5°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する、請求項1に記載の塩。
【請求項12】
2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約4.3°、約8.4°、約12.6°、約13.2°、及び約18.5°を備える、請求項1に記載の塩。
【請求項13】
XRPDプロファイルが実質的に
図1で示される、請求項1に記載の塩。
【請求項14】
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩である塩。
【請求項15】
硫酸に対するN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの化学量論比が1:0.5の塩である、請求項14に記載の塩。
【請求項16】
結晶性である、請求項14に記載の塩。
【請求項17】
実質的に単離された、請求項14に記載の塩。
【請求項18】
約289.4℃に吸熱ピークを有するDSC曲線を特徴とする、請求項14に記載の塩。
【請求項19】
DSC曲線が実質的に
図11で示される、請求項14に記載の塩。
【請求項20】
TGA曲線が実質的に
図12で示される、請求項14に記載の塩。
【請求項21】
2θで表して、約5.3°、約8.5°、約15.3°、約20.1°、及び約24.9°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する、請求項14に記載の塩。
【請求項22】
2θで表して、約5.3°、約8.5°、約15.3°、約20.1°、及び約24.9°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する、請求項14に記載の塩。
【請求項23】
2θで表して、約5.3°、約8.5°、約15.3°、約20.1°、及び約24.9°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する、請求項14に記載の塩。
【請求項24】
2θで表して、約5.3°、約8.5°、約15.3°、約20.1°、及び約24.9°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する、請求項14に記載の塩。
【請求項25】
2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約5.3°、約8.5°、約15.3°、約20.1°、及び約24.9°を備える、請求項14に記載の塩。
【請求項26】
XRPDプロファイルが実質的に
図10で示される、請求項14に記載の塩。
【請求項27】
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドリン酸塩、
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩、
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩、
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドサリチル酸塩、
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドメタンスルホン酸塩、及び
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドエタンスルホン酸塩
から選択される塩。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか1項に記載の塩と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項29】
TAMキナーゼの阻害方法であって、前記TAMキナーゼを請求項1~27のいずれか1項に記載の塩と接触させることを含む前記方法。
【請求項30】
AXLキナーゼ及びMERキナーゼの阻害方法であって、前記AXLキナーゼ及びMERキナーゼを請求項1~27のいずれか1項に記載の塩と接触させることを含む前記方法。
【請求項31】
患者のがんの治療方法であって、前記患者に治療有効量の請求項1~27のいずれか1項に記載の塩を投与することを含む前記方法。
【請求項32】
前記がんが、肝細胞癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、胃癌、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、食道癌、胆嚢癌、膵臓癌、甲状腺癌、皮膚癌、白血病、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性リンパ腫、成人T細胞白血病、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、有毛細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、神経膠芽腫、黒色腫、及び横紋筋肉腫から選択される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記がんが、肺癌、前立腺癌、結腸癌、乳癌、黒色腫、腎細胞癌、多発性骨髄腫、胃癌、または横紋筋肉腫である、請求項31記載の方法。
【請求項34】
請求項1に記載の塩の製造方法であって、式I:
【化1】
の化合物をマレイン酸と反応させて前記塩を形成することを含む前記製造方法。
【請求項35】
1当量の式Iの化合物を基準として約1当量のマレイン酸が用いられる、請求項34の方法。
【請求項36】
前記式Iの化合物をマレイン酸と反応させることが溶媒成分の存在下で行われる、請求項34に記載の製造方法。
【請求項37】
前記溶媒成分がメタノールを含む、請求項36に記載の製造方法。
【請求項38】
前記溶媒成分がジクロロメタンを含む、請求項36に記載の製造方法。
【請求項39】
前記溶媒成分がメタノール及びジクロロメタンを含む、請求項36に記載の製造方法。
【請求項40】
ジクロロメタンの実質的な部分を除去して前記塩を沈殿させることを更に含む、請求項39に記載の製造方法。
【請求項41】
前記反応させることの前に、溶媒成分中の式Iの化合物の溶液を形成することを更に含む、請求項36に記載の製造方法。
【請求項42】
前記溶液が、前記溶媒成分中の式Iの化合物のスラリーを約45℃~約55℃の温度に加熱することによって形成される、請求項41に記載の製造方法。
【請求項43】
前記式Iの化合物をマレイン酸と反応させることの前に、前記溶液を撹拌することと、前記溶液をろ過してろ液を形成することとを更に含む、請求項42に記載の製造方法。
【請求項44】
前記スラリーを約45℃~約55℃の温度に加熱して溶液を形成する前記ステップの後で、且つ前記溶液を撹拌する前記ステップの前に、前記溶液に活性炭及びシリカゲルを添加することを更に含む、請求項43に記載の製造方法。
【請求項45】
請求項14に記載の塩の製造方法であって、式II:
【化2】
の化合物を硫酸と反応させて前記塩を形成することを含む前記製造方法。
【請求項46】
1当量の式IIの化合物を基準として約0.6当量の硫酸が用いられる、請求項45に記載の製造方法。
【請求項47】
式IIの化合物を溶媒成分に添加して溶液を形成することと、
室温で硫酸を前記溶液に添加することと、
前記溶液を濃縮してスラリーを形成することと、
前記スラリーを約60℃~約70℃の温度で撹拌することと、
前記スラリーを約15℃~約25℃の温度に冷却して、前記塩を沈殿させることと
を含む、請求項45または46に記載の製造方法。
【請求項48】
前記溶媒成分がメタノールを含む、請求項47に記載の製造方法。
【請求項49】
前記溶媒成分がジクロロメタンを含む、請求項47に記載の製造方法。
【請求項50】
前記溶媒成分がメタノール及びジクロロメタンを含む、請求項47に記載の製造方法。
【請求項51】
前記硫酸が約1Mの水溶液である、請求項47に記載の製造方法。
【請求項52】
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩を製造することを含む、請求項45に記載の製造方法。
【請求項53】
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩である塩の製造方法が、式IIの化合物を、1当量の式IIの化合物を基準として約1当量の硫酸と反応させることを含む、請求項52に記載の製造方法。
【請求項54】
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩の前記製造方法が、
室温で式IIの化合物を第1の溶媒成分に添加して溶液を形成することと、
前記溶液を50℃~60℃の温度に加熱することと、
硫酸を前記溶液に添加することと、
溶媒を除去して前記硫酸塩を沈殿させることと
を含む、請求項52または53に記載の製造方法。
【請求項55】
第1の溶媒がメタノールを含む、請求項54に記載の製造方法。
【請求項56】
前記硫酸が水溶液として添加される、請求項54に記載の製造方法。
【請求項57】
前記N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩を第2の溶媒成分に添加してスラリーを形成するステップと、
前記スラリーを約30℃~約40℃の温度に加熱するステップと、
前記スラリーを撹拌するステップと、
生成したヘミ硫酸塩を収取するステップと
を更に含む、請求項52または53に記載の製造方法。
【請求項58】
第2の溶媒成分が水を含む、請求項57に記載の製造方法。
【請求項59】
非晶形態のヘミ硫酸塩を製造することであって、
室温で前記ヘミ硫酸塩を第3の溶媒成分に添加して溶液を形成するステップと、
前記溶液をろ過するステップと、
前記ろ液を濃縮するステップと、
得られた固体を乾燥して、前記非晶性のヘミ硫酸塩を生成させるステップと
を含む前記ヘミ硫酸塩を製造することを更に含む、請求項57に記載の製造方法。
【請求項60】
前記第3の溶媒成分がアセトン及びメタノールを含む、請求項59に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、TAMキナーゼの阻害剤として有用な、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド及びN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの塩の形態、ならびにそれらに関連する製造方法及び中間体を提供する。
【背景技術】
【0002】
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞外環境から細胞の細胞質及び核に信号を送信して、生存、成長、増殖、分化、接着、及び遊走などの細胞事象を制御する細胞表面タンパク質である。
【0003】
TAMサブファミリーは、Tyro3、AXL、及びMerを含む3種のRTKで構成される(Graham et al., 2014, Nature Reviews Cancer 14, 769-785;Linger et al., 2008, Advances in Cancer Research 100, 35-83)。TAMキナーゼは、2つの免疫グロブリン様ドメイン及び2つのフィブロネクチンIII型ドメインからなる細胞外リガンド結合ドメインを特徴とする。TAMキナーゼに対して2種のリガンド、growth arrest specific 6(GAS6)及びタンパク質S(PROS1)が特定されている。GAS6は3種全てのTAMキナーゼに結合してこれらを活性化できる一方、PROS1はMer及びTyro3のリガンドである(Graham et al., 2014, Nature Reviews Cancer 14, 769-785)。
【0004】
AXL(UFO、ARK、JTK11、TYRO7としても知られる)は当初、慢性骨髄性白血病の患者のDNAからトランスフォーミング遺伝子として特定された(O’Bryan et al., 1991, Mol Cell Biol 11, 5016-5031;Graham et al., 2014, Nature Reviews Cancer 14, 769-785;Linger et al., 2008, Advances in Cancer Research 100, 35-83)。GAS6はAXLに結合し、続いてAXLチロシンキナーゼの自己リン酸化及び活性化を誘導する。AXLは、PI3K-Akt、Raf-MAPK、PLC-PKCを含むいくつかの下流のシグナル伝達経路を活性化する(Feneyrolles et al., 2014, Molecular Cancer Therapeutics 13, 2141-2148;Linger et al., 2008, Advances in Cancer Research 100, 35-83)。
【0005】
MER(MERTK、EYK、RYK、RP38、NYK、及びTYRO12としても知られる)は当初、リンパ芽球様発現ライブラリーからリン酸化タンパク質として特定された(Graham et al., 1995, Oncogene 10, 2349-2359;Graham et al., 2014, Nature Reviews Cancer 14, 769-785;Linger et al., 2008, Advances in Cancer Research 100, 35-83)。GAS6及びPROS1の両方がMerに結合し、Merキナーゼのリン酸化及び活性化を誘導することができる(Lew et al、2014)。MERの活性化もAXLと同様に、PI3K-Akt及びRaf-MAPKを含む下流のシグナル伝達経路を伝達する(Linger et al., 2008, Advances in Cancer Research 100, 35-83)。
【0006】
TYRO3(DTK、SKY、RSE、BRT、TIF、ETK2としても知られる)は当初、PCRに基づくクローニングの検討によって特定された(Lai et al., Neuron 6, 691-70, 1991;Graham et al., 2014, Nature Reviews Cancer 14, 769-785;Linger et al., 2008, Advances in Cancer Research 100, 35-83)。両方のリガンド、GAS6及びPROS1がTYRO3に結合し、これを活性化することができる。TYRO3活性化の下流のシグナル伝達経路はTAM RTKの中では最も研究が進んでいないが、PI3K-Akt及びRaf-MAPK経路の両方が関与しているようである(Linger et al., 2008, Advances in Cancer Research 100, 35-83)。がん細胞においてはAXL、MER、及びTYRO3が過剰発現することが判明している。
【0007】
したがって、がんの治療におけるTAMキナーゼの調節のための化合物及びそれらの使用方法が求められている。
【発明の概要】
【0008】
本出願は、TAMの阻害剤として有用な、式I:
【化1】
の化合物の塩を提供する。
【0009】
本出願は式Iの化合物のマレイン酸塩を更に提供する。
【0010】
本出願は式Iの化合物の塩の製造方法を更に提供する。
【0011】
本出願は、TAMの阻害剤として有用な、式II:
【化2】
の化合物の塩を提供する。
【0012】
本出願は式IIの化合物のヘミ硫酸塩を更に提供する。
【0013】
本出願は式IIの化合物のリン酸塩を更に提供する。
【0014】
本出願は式IIの化合物のマレイン酸塩を更に提供する。
【0015】
本出願は式IIの化合物の塩酸塩を更に提供する。
【0016】
本出願は式IIの化合物のサリチル酸塩を更に提供する。
【0017】
本出願は式IIの化合物のメタンスルホン酸塩(すなわち、メシル酸塩)を更に提供する。
【0018】
本出願は式IIの化合物のエタンスルホン酸塩(すなわち、エシル酸塩)を更に提供する。
【0019】
本出願は式IIの化合物の塩の製造方法を更に提供する。
【0020】
本出願は、式I及びIIの化合物の上記塩のいずれかを含む医薬組成物を更に提供する。
【0021】
本出願は、TAMキナーゼの阻害方法であって、上記TAMキナーゼを式I及びIIの化合物の上記塩のいずれかに接触させることを含む上記方法も提供する。
【0022】
本出願は、AXLキナーゼ及びMERキナーゼの阻害方法であって、上記AXLキナーゼまたはMERキナーゼを式I及びIIの化合物の上記塩のいずれかに接触させることを含む上記方法も提供する。
【0023】
本出願は、患者のがんの治療方法であって、上記患者に治療有効量の式I及びIIの化合物の上記塩のいずれかを投与することを含む上記方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】化合物Iマレイン酸塩、形態Iを表すXRPDパターンを示す図である。
【
図2】化合物Iマレイン酸塩、形態Iを表すDSC曲線を示す図である。
【
図3】化合物Iマレイン酸塩、形態Iを表すTGAデータを示す図である。
【
図4】化合物IIリン酸塩を表すXRPDパターンを示す図である。
【
図5】化合物IIリン酸塩を表すDSC曲線を示す図である。
【
図6】化合物IIリン酸塩を表すTGAデータを示す図である。
【
図7】化合物IIマレイン酸塩を表すXRPDパターンを示す図である。
【
図8】化合物IIマレイン酸塩を表すDSC曲線を示す図である。
【
図9】化合物IIマレイン酸塩を表すTGAデータを示す図である。
【
図10】化合物IIヘミ硫酸塩を表すXRPDパターンを示す図である。
【
図11】化合物IIヘミ硫酸塩を表すDSC曲線を示す図である。
【
図12】化合物IIヘミ硫酸塩を表すTGAデータ示す図である。
【
図13】化合物II塩酸塩を表すXRPDパターンを示す図である。
【
図14】化合物II塩酸塩を表すDSC曲線を示す図である。
【
図15】化合物II塩酸塩を表すTGAデータを示す図である。
【
図16】化合物IIサリチル酸塩を表すXRPDパターンを示す図である。
【
図17】化合物IIサリチル酸塩を表すDSC曲線を示す図である。
【
図18】化合物IIサリチル酸塩を表すTGAデータを示す図である。
【
図19】化合物IIメタンスルホン酸塩を表すXRPDパターンを示す図である。
【
図20】化合物IIメタンスルホン酸塩を表すDSC曲線を示す図である。
【
図21】化合物IIメタンスルホン酸塩を表すTGAデータを示す図である。
【
図22】化合物IIエタンスルホン酸塩を表すXRPDパターンを示す図である。
【
図23】化合物IIエタンスルホン酸塩を表すDSC曲線を示す図である。
【
図24】化合物IIエタンスルホン酸塩を表すTGAデータを示す図である。
【
図25】化合物Iマレイン酸塩、形態IIを表すXRPDパターンを示す図である。
【
図26】化合物Iマレイン酸塩、形態IIIを表すXRPDパターンを示す図である。
【
図27】化合物Iマレイン酸塩、形態IIIを表すDSC曲線を示す図である。
【
図28】化合物Iマレイン酸塩、形態IIIを表すTGAデータを示す図である。
【
図29】化合物Iマレイン酸塩、形態IVを表すXRPDパターンを示す図である。
【
図30】化合物Iマレイン酸塩、形態IVを表すDSC曲線を示す図である。
【
図31】化合物Iマレイン酸塩、形態IVを表すTGAデータを示す図である。
【
図32】化合物Iマレイン酸塩、形態Vを表すXRPDパターンを示す図である。
【
図33】化合物Iマレイン酸塩、形態Vを表すDSC曲線を示す図である。
【
図34】化合物Iマレイン酸塩、形態Vを表すTGAデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
化合物及び塩
本出願は、TAMの阻害剤として有用な、式I:
【化3】
の化合物の塩またはそれらの薬学的に許容される水和物及び溶媒和物を提供する。
【0026】
したがって、いくつかの実施形態において、本出願は、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩(本明細書では、式Iの化合物のマレイン酸塩(maleate salt of the compound of Formula I)、化合物Iのマレイン酸塩(maleate salt of Compound I)、化合物Iマレイン酸塩(Compound I maleate salt)、またはそれらの任意の変化形とも呼ぶ)を提供する。
【0027】
いくつかの実施形態において、上記塩は、マレイン酸に対するN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの化学量論比が1:1の塩である。
【0028】
同一の物質の異なる形態が、例えば、吸湿性、溶解度、安定性などに関連する異なるバルク特性を有する。融点の高い形態は、多くの場合良好な熱力学的安定性を備えており、この良好な熱力学的安定性は該固体形態を含有する製剤の保存可能期間を延長するのに有利である。融点の低い形態は、多くの場合熱力学的安定性がより低いが、水溶性が向上し、薬物の生物学的利用能の向上に繋がるという点で有利である。吸湿性が低い形態は、熱及び湿度に対するそれらの安定性にとってより望ましく、長期保存時の劣化に対して耐性がある。
【0029】
本明細書に記載の固体形態(例えば、結晶形態)は特定の利点を有する場合があり、例えば、該形態は、取り扱いの容易さ、加工の容易さ、貯蔵安定性、及び精製の容易さなどの望ましい特性を有する場合がある。更に、上記結晶形態は、溶解プロフィール、保存可能期間、及び生物学的利用能などの医薬製品の性能特性の向上に有用な場合がある。
【0030】
いくつかの実施形態において、本明細書において提供される式Iの化合物のマレイン酸塩は結晶性である。本明細書では、「結晶性」または「結晶形態」とは、結晶性物質の特定の格子構成を指すことを意味する。同一の物質の異なる結晶形態は一般的に、それぞれの結晶形態に特徴的な異なる物理的特性に起因する異なる結晶格子(例えば、単位格子)を有する。場合によっては、格子構成が異なれば水または溶媒の含有量が異なる。
【0031】
上記異なる塩の形態は、粉末X線回折(XRPD)などの固体状態でのキャラクタリゼーション法によって特定することができる。示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、動的蒸気収着(DVS)などの他のキャラクタリゼーション法は、上記形態の特定に更に役立つのみならず、安定性及び溶媒/水の含有量の測定にも役立つ。
【0032】
XRPDの反射(ピーク)のパターンは一般的に、特定の結晶形態の指紋と考えられている。XRPDピークの相対強度は、とりわけ、試料調製技法、結晶径分布、用いる様々なフィルター、試料載置操作、及び使用する特定の機器に応じて大きく変化する場合があることは周知である。場合によっては、装置の種類または設定により、新たなピークが観測されるまたは既存のピークが消失する場合もある。本明細書では、用語「ピーク」とは、最大ピーク高さ/強度の少なくとも約4%の相対高さ/強度を有する反射をいう。更に、機器の違い及びその他の要因が2θ値に影響を与える場合がある。したがって、本明細書において報告されるものなどのピークの帰属は、プラスまたはマイナス約0.2°(2θ)の幅で変動する可能性があり、本明細書におけるXRPDの文脈では、用語「実質的に」及び「約」とは、上記の変動を包含することを意味する。
【0033】
同様に、DSC、TGA、または他の熱的な実験に関連する温度の読み取り値は、機器、特定の設定、試料調製などに応じて約±3℃の幅で変動する場合がある。したがって、DSC曲線が「実質的に」いずれかの図で示される、本明細書において報告される結晶形態または用語「約」は、かかる変動を考慮していると理解すべきものである。
【0034】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の塩及び化合物(例えば、式Iの化合物または式Iの化合物のマレイン酸塩)は実質的に単離されている。「実質的に単離されている」とは、当該の塩または化合物が、それが形成または検出された環境から少なくとも部分的にまたは実質的に分離されていることを意味する。部分的な分離には、例えば、本明細書に記載の塩が富化された組成物が含まれる場合がある。実質的な分離には、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%の本明細書に記載の塩、またはそれらの塩を含有する組成物が含まれる場合がある。化合物及びそれらの塩の単離方法は当技術分野において慣用である。
【0035】
式Iの化合物のマレイン酸塩は、例えば、形態I、形態II、形態III、形態IV、または形態Vを含む様々な結晶形態で調製することができる。
【0036】
式Iの化合物のマレイン酸塩、形態I:
本明細書においては、形態Iと呼ぶ式Iの化合物の結晶形態の実施形態(i)~(x)が提供され、該結晶形態は例1及び7に後述される。
【0037】
(i)いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩は、2θで表して、約4.3°、約8.4°、約12.6°、約13.2°、及び約18.5°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。
【0038】
(ii)いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩は、2θで表して、約4.3°、約8.4°、約12.6°、約13.2°、及び約18.5°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。
【0039】
(iii)いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩は、2θで表して、約4.3°、約8.4°、約12.6°、約13.2°、及び約18.5°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。
【0040】
(iv)いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩は、2θで表して、約4.3°、約8.4°、約12.6°、約13.2°、及び約18.5°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する。
【0041】
(v)いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩は、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約4.3°、約8.4°、約12.6°、約13.2°、及び約18.5°を備える。
【0042】
(vi)いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩は、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約4.3°、約8.4°、及び約13.2°を備える。
【0043】
(vii)いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩は、XRPDプロファイルが実質的に
図1で示される。
【0044】
(viii)いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩は、DSC曲線が約211℃に吸熱ピークを有する。
【0045】
(ix)いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩は、DSC曲線が実質的に
図2で示される。
【0046】
(x)いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩は、TGA曲線が実質的に
図3で示される。
【0047】
式Iの化合物のマレイン酸塩、形態II:
本明細書においては、形態IIと呼ぶ化合物Iの結晶形態が提供され、該結晶形態は例16及び17に後述される。
【0048】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIは、2θで表して、約3.8°、約7.8°、約23.5°、及び約26.0°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。
【0049】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIは、2θで表して、約3.8°、約7.8°、約23.5°、及び約26.0°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。
【0050】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIは、2θで表して、約3.8°、約7.8°、約23.5°、及び約26.0°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。
【0051】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIは、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約3.8°、約7.8°、約23.5°、及び約26.0°を備える。
【0052】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIは、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約3.8°、約7.8°、及び約23.5°を備える。
【0053】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIは、XRPDプロファイルが実質的に
図25で示される。
【0054】
式Iの化合物のマレイン酸塩、形態III:
本明細書においては、形態IIIと呼ぶ化合物Iの結晶形態が提供され、該結晶形態は例16及び18に後述される。
【0055】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、2θで表して、約3.8°、約7.7°、約12.1°、約18.9°、及び約20.6°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。
【0056】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、2θで表して、約3.8°、約7.7°、約12.1°、約18.9°、及び約20.6°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。
【0057】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、2θで表して、約3.8°、約7.7°、約12.1°、約18.9°、及び約20.6°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。
【0058】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、2θで表して、約3.8°、約7.7°、約12.1°、約18.9°、及び約20.6°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する。
【0059】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約3.8°、約7.7°、約12.1°、約18.9°、及び約20.6°を備える。
【0060】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約3.8°、約7.7°、約12.1°、及び約18.9°を備える。
【0061】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、XRPDプロファイルが実質的に
図26で示される。
【0062】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、DSC曲線が約165.4℃及び約195.4℃に吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、DSC曲線が約165.4℃に吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、DSC曲線が約195.4℃に吸熱ピークを有する。
【0063】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、DSC曲線が実質的に
図27で示される。
【0064】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIは、TGA曲線が実質的に
図28で示される。
【0065】
式Iの化合物のマレイン酸塩、形態IV:
本明細書においては、形態IVと呼ぶ化合物Iの結晶形態が提供され、該結晶形態は例16及び19に後述される。
【0066】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、2θで表して、約3.9°、約4.6°、約7.8°、約9.1°、及び約22.8°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。
【0067】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、2θで表して、約3.9°、約4.6°、約7.8°、約9.1°、及び約22.8°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。
【0068】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、2θで表して、約3.9°、約4.6°、約7.8°、約9.1°、及び約22.8°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。
【0069】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、2θで表して、約3.9°、約4.6°、約7.8°、約9.1°、及び約22.8°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する。
【0070】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約3.9°、約4.6°、約7.8°、約9.1°、及び約22.8°を備える。
【0071】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約3.9°、約4.6°、約7.8°、及び約9.1°を備える。
【0072】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、XRPDプロファイルが実質的に
図29で示される。
【0073】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、DSC曲線が約152.1℃及び約202.6℃に吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、DSC曲線が約152.1℃に吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、DSC曲線が約202.6℃に吸熱ピークを有する。
【0074】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、DSC曲線が実質的に
図30で示される。
【0075】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVは、TGA曲線が実質的に
図31で示される。
【0076】
式Iの化合物のマレイン酸塩、形態V:
本明細書においては、形態Vと呼ぶ化合物Iの結晶形態が提供され、該結晶形態は例16及び20に後述される。
【0077】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態Vは、2θで表して、約4.1°、約8.3°、約8.8°、約18.0°、及び約27.3°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態Vは、2θで表して、約4.1°、約8.3°、約8.8°、約18.0°、及び約27.3°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。
【0079】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態Vは、2θで表して、約4.1°、約8.3°、約8.8°、約18.0°、及び約27.3°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。
【0080】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態Vは、2θで表して、約4.1°、約8.3°、約8.8°、約18.0°、及び約27.3°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態Vは、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約4.1°、約8.3°、約8.8°、約18.0°、及び約27.3°を備える。
【0082】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態Vは、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約4.1°、約8.3°、約8.8°、及び約27.3°を備える。
【0083】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態Vは、XRPDプロファイルが実質的に
図32で示される。
【0084】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態Vは、DSC曲線が約200.1℃に吸熱ピークを有する。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態Vは、DSC曲線が実質的に
図33で示される。
【0086】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態Vは、TGA曲線が実質的に
図34で示される。
【0087】
本出願は、TAMの阻害剤として有用な、式II:
【化4】
の化合物の塩またはそれらの薬学的に許容される水和物及び溶媒和物を提供する。
【0088】
したがって、いくつかの実施形態において、本出願は、
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドリン酸塩、
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩、
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩、
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩、
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドサリチル酸塩、
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドメタンスルホン酸塩、及び
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドエタンスルホン酸塩
から選択される塩、
またはその薬学的に許容される溶媒和物及び水和物を提供する。
を提供する。
【0089】
いくつかの実施形態において、本出願は、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドリン酸塩(本明細書では、式IIの化合物のリン酸塩(phosphate salt of the compound of Formula II)、化合物IIリン酸塩(phosphate salt of Compound II)、化合物IIリン酸塩(Compound II phosphate salt)、またはそれらの任意の変化形とも呼ぶ)を提供する。
【0090】
いくつかの実施形態において、上記塩は、リン酸に対するN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの化学量論比が1:1の塩である。
【0091】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のリン酸塩は結晶性である。
【0092】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のリン酸塩は実質的に単離されている。
【0093】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のリン酸塩は、2θで表して、約5.3°、約9.1°、約14.9°、約15.8°、及び約19.3°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のリン酸塩は、2θで表して、約5.3°、約9.1°、約14.9°、約15.8°、及び約19.3°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のリン酸塩は、2θで表して、約5.3°、約9.1°、約14.9°、約15.8°、及び約19.3°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のリン酸塩は、2θで表して、約5.3°、約9.1°、約14.9°、約15.8°、及び約19.3°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のリン酸塩は、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約5.3°、約9.1°、約14.9°、約15.8°、及び約19.3°を備える。
【0094】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のリン酸塩は、XRPDプロファイルが実質的に
図4で示される。
【0095】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のリン酸塩は、DSC曲線が約257.2℃に吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のリン酸塩は、DSC曲線が実質的に
図5で示される。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のリン酸塩は、TGA曲線が実質的に
図6で示される。
【0096】
いくつかの実施形態において、本出願は、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩(本明細書では、式IIの化合物のマレイン酸塩(maleate salt of the compound of Formula II)、化合物IIのマレイン酸塩(maleate salt of Compound II)、化合物IIマレイン酸塩(Compound II maleate salt)、またはそれらの任意の変化形とも呼ぶ)を提供する。
【0097】
いくつかの実施形態において、上記塩は、マレイン酸に対するN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの化学量論比が1:1の塩である。
【0098】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のマレイン酸塩は結晶性である。
【0099】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のマレイン酸塩は実質的に単離されている。
【0100】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のマレイン酸塩は、2θで表して、約4.5°、約6.5°、約14.1°、約24.0°、及び約28.2°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のマレイン酸塩は、2θで表して、約4.5°、約6.5°、約14.1°、約24.0°、及び約28.2°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のマレイン酸塩は、2θで表して、約4.5°、約6.5°、約14.1°、約24.0°、及び約28.2°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のマレイン酸塩は、2θで表して、約4.5°、約6.5°、約14.1°、約24.0°、及び約28.2°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のマレイン酸塩は、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約4.5°、約6.5°、約14.1°、約24.0°、及び約28.2°を備える。
【0101】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のマレイン酸塩は、XRPDプロファイルが実質的に
図7で示される。
【0102】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のマレイン酸塩は、DSC曲線が約194.8℃及び/または約239.7℃に吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のマレイン酸塩は、DSC曲線が実質的に
図8で示される。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のマレイン酸塩は、TGA曲線が実質的に
図9で示される。
【0103】
いくつかの実施形態において、本出願は、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩(本明細書では、式IIの化合物のヘミ硫酸塩(hemi-sulfate salt of the compound of Formula II)、化合物IIのヘミ硫酸塩(hemi-sulfate salt of Compound II)、化合物IIヘミ硫酸塩(Compound II hemi-sulfate salt)、またはそれらの任意の変化形とも呼ぶ)を提供する。
【0104】
いくつかの実施形態において、上記塩は、硫酸に対するN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの化学量論比が1:0.5(すなわち、2:1)の塩である。
【0105】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩は結晶性である。
【0106】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩は実質的に単離されている。
【0107】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩は、2θで表して、約5.3°、約8.5°、約15.3°、約20.1°、及び24.9°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩は、2θで表して、約5.3°、約8.5°、約15.3°、約20.1°、及び24.9°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩は、2θで表して、約5.3°、約8.5°、約15.3°、約20.1°、及び24.9°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩は、2θで表して、約5.3°、約8.5°、約15.3°、約20.1°、及び24.9°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩は、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約5.3°、約8.5°、約15.3°、約20.1°、及び24.9°を備える。
【0108】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩は、XRPDプロファイルが実質的に
図10で示される。
【0109】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩は、DSC曲線が約289.4℃に吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩は、DSC曲線が実質的に
図11で示される。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩は、TGA曲線が実質的に
図12で示される。
【0110】
いくつかの実施形態において、本出願は、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩(本明細書では、式IIの化合物の塩酸塩(hydrochloride salt of the compound of Formula II)、化合物IIの塩酸塩(hydrochloride salt of Compound II)、化合物II塩酸塩(Compound II hydrochloride salt)、またはそれらの任意の変化形とも呼ぶ)を提供する。
【0111】
いくつかの実施形態において、上記塩は、塩酸に対するN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの化学量論比が1:1の塩である。
【0112】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物の塩酸塩は結晶性である。
【0113】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物の塩酸塩は実質的に単離されている。
【0114】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物の塩酸塩は、2θで表して、約6.5°、約9.7°、約14.9°、約21.5°、及び約23.9°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物の塩酸塩は、2θで表して、約5.3°、約9.1°、約14.9°、約15.8°、及び約19.3°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物の塩酸塩は、2θで表して、約5.3°、約9.1°、約14.9°、約15.8°、及び約19.3°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物の塩酸塩は、2θで表して、約5.3°、約9.1°、約14.9°、約15.8°、及び約19.3°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物の塩酸塩は、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約5.3°、約9.1°、約14.9°、約15.8°、及び約19.3°を備える。
【0115】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物の塩酸塩は、XRPDプロファイルが実質的に
図13で示される。
【0116】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物の塩酸塩は、DSC曲線が約190℃に吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物の塩酸塩は、DSC曲線が実質的に
図14で示される。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物の塩酸塩は、TGA曲線が実質的に
図15で示される。
【0117】
いくつかの実施形態において、本出願は、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドサリチル酸塩(本明細書では、式IIの化合物のサリチル酸塩(salicylate salt of the compound of Formula II)、化合物IIのサリチル酸塩(salicylate salt of Compound II)、化合物IIサリチル酸塩(Compound II salicylate salt)、またはそれらの任意の変化形とも呼ぶ)を提供する。
【0118】
いくつかの実施形態において、上記塩は、サリチル酸に対するN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの化学量論比が1:1の塩である。
【0119】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のサリチル酸塩は結晶性である。
【0120】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のサリチル酸塩は実質的に単離されている。
【0121】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のサリチル酸塩は、2θで表して、約7.3°、約14.4°、約15.7°、約19.9°、及び約21.9°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のサリチル酸塩は、2θで表して、約7.3°、約14.4°、約15.7°、約19.9°、及び約21.9°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のサリチル酸塩は、2θで表して、約7.3°、約14.4°、約15.7°、約19.9°、及び約21.9°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のサリチル酸塩は、2θで表して、約7.3°、約14.4°、約15.7°、約19.9°、及び約21.9°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のサリチル酸塩は、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約7.3°、約14.4°、約15.7°、約19.9°、及び約21.9°を備える。
【0122】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のサリチル酸塩は、XRPDプロファイルが実質的に
図16で示される。
【0123】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のサリチル酸塩は、DSC曲線が約181.7℃、約224.9℃、及び/または264.5℃に吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のサリチル酸塩は、DSC曲線が実質的に
図17で示される。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のサリチル酸塩は、TGA曲線が実質的に
図18で示される。
【0124】
いくつかの実施形態において、本出願は、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドメタンスルホン酸塩(本明細書では、式IIの化合物のメシル酸塩(mesylate salt of the compound of Formula II)、化合物IIのメシル酸塩(mesylate salt of Compound II)、化合物IIメシル酸塩(Compound II mesylate salt)、またはそれらの任意の変化形とも呼ぶ)を提供する。
【0125】
いくつかの実施形態において、上記塩は、メタンスルホン酸に対するN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの化学量論比が1:1の塩である。
【0126】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のメタンスルホン酸塩は結晶性である。
【0127】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のメタンスルホン酸塩は実質的に単離されている。
【0128】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のメタンスルホン酸塩は、2θで表して、約5.0°、約8.2°、約13.2°、及び約16.9°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のメタンスルホン酸塩は、2θで表して、約5.0°、約8.2°、約13.2°、及び約16.9°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のメタンスルホン酸塩は、2θで表して、約5.0°、約8.2°、約13.2°、及び約16.9°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のメタンスルホン酸塩は、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約5.0°、約8.2°、約13.2°、及び約16.9°を備える。
【0129】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のメタンスルホン酸塩は、XRPDプロファイルが実質的に
図19で示される。
【0130】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のメタンスルホン酸塩は、DSC曲線が約174.8℃に吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のメタンスルホン酸塩は、DSC曲線が実質的に
図20で示される。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のメタンスルホン酸塩は、TGA曲線が実質的に
図21で示される。
【0131】
いくつかの実施形態において、本出願は、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドエタンスルホン酸塩(本明細書では、式IIの化合物のエシル酸塩(esylate salt of the compound of Formula II)、化合物IIのエシル酸塩(esylate salt of Compound II)、化合物IIエシル酸塩(Compound II esylate salt)、またはそれらの任意の変化形とも呼ぶ)を提供する。
【0132】
いくつかの実施形態において、上記塩は、エタンスルホン酸に対するN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの化学量論比が1:1の塩である。
【0133】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエタンスルホン酸塩は結晶性である。
【0134】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエタンスルホン酸塩は実質的に単離されている。
【0135】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエタンスルホン酸塩は、2θで表して、約4.9°、約7.6°、約15.4°、約16.8°、及び約17.5°から選択される少なくとも1つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエタンスルホン酸塩は、2θで表して、約4.9°、約7.6°、約15.4°、約16.8°、及び約17.5°から選択される少なくとも2つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエタンスルホン酸塩は、2θで表して、約4.9°、約7.6°、約15.4°、約16.8°、及び約17.5°から選択される少なくとも3つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエタンスルホン酸塩は、2θで表して約4.9°、約7.6°、約15.4°、約16.8°、及び約17.5°から選択される少なくとも4つのXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエタンスルホン酸塩は、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約4.9°、約7.6°、約15.4°、約16.8°、及び約17.5°を備える。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエタンスルホン酸塩は、2θで表して、以下のXRPDピーク、すなわち、約4.9°、約7.6°、約15.4°、及び約17.5°を備える。
【0136】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエタンスルホン酸塩は、XRPDプロファイルが実質的に
図22で示される。
【0137】
いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエタンスルホン酸塩は、DSC曲線が約187.7℃に吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエシル酸塩は、DSC曲線が実質的に
図23で示される。いくつかの実施形態において、上記式IIの化合物のエシル酸塩は、TGA曲線が実質的に
図24で示される。
【0138】
製造方法
本出願は式I:
【化5】
の塩の製造方法を更に提供する。
【0139】
したがって、本明細書において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩である塩の製造方法であって、式Iの化合物をマレイン酸と反応させて上記塩を形成することを含む上記製造方法が提供される。上記式Iの化合物のマレイン酸塩の製造方法をスキーム1に示し、且つ例1に記載する。
【0140】
いくつかの実施形態において、1当量の式Iの化合物を基準として約1当量のマレイン酸が用いられる。
【0141】
いくつかの実施形態において、上記式Iの化合物をマレイン酸と反応させることは、溶媒成分の存在下でおこなわれる。
【0142】
いくつかの実施形態において、上記溶媒成分はメタノールを含む。
【0143】
いくつかの実施形態において、上記溶媒成分はジクロロメタンを含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、上記溶媒成分はメタノール及びジクロロメタンを含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、上記製造方法は、ジクロロメタンの実質的な部分を除去して、上記塩を沈殿させることを更に含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、上記製造方法は、ジクロロメタンの実質的な部分を除去して、上記塩を沈殿させることを更に含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、上記製造方法は、上記反応させることの前に、溶媒成分中の式Iの化合物の溶液を形成することを更に含む。
【0148】
更なる実施形態において、上記溶液は、上記溶媒成分中の式Iの化合物のスラリーを約45℃~約55℃の温度に加熱することによって形成される。
【0149】
更なる実施形態において、上記製造方法は、上記式Iの化合物をマレイン酸と反応させることの前に、上記溶液を撹拌することと、上記溶液をろ過してろ液を形成することとを更に含む。
【0150】
更なる実施形態において、上記製造方法は、上記スラリーを約45℃~約55℃の温度に加熱して溶液を形成する上記ステップの後で、且つ上記溶液を撹拌する上記ステップの前に、上記溶液に活性炭及びシリカゲルを添加することを更に含む。
【0151】
いくつかの実施形態において、上記N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩の製造方法は、
室温で式Iの化合物を溶媒成分に添加してスラリーを形成することと、
上記スラリーを約45℃~約55℃の温度に加熱して溶液を形成することと、
上記溶液を撹拌することと、
上記溶液をろ過してろ液を得ることと、
上記ろ液にマレイン酸を添加することと、
上記ろ液から溶媒を除去して上記塩を沈殿させることと
を含む。
【0152】
いくつかの実施形態において、上記溶媒成分はメタノールを含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、上記溶媒成分はジクロロメタンを含む。
【0154】
いくつかの実施形態において、上記溶媒成分はメタノール及びジクロロメタンを含む。
【0155】
いくつかの実施形態において、上記製造方法は、上記スラリーを約45℃~約55℃の温度に加熱して溶液を形成する上記ステップの後で、且つ上記溶液を撹拌する上記ステップの前に、上記溶液に活性炭を添加することを更に含む。
【0156】
いくつかの実施形態において、上記製造方法は、上記スラリーを約45℃~約55℃の温度に加熱して溶液を形成する上記ステップの後で、且つ上記溶液を撹拌する上記ステップの前に、上記溶液にシリカゲルを添加することを更に含む。
【0157】
いくつかの実施形態において、上記製造方法は、上記スラリーを約45℃~約55℃の温度に加熱して溶液を形成する上記ステップの後で、且つ上記溶液を撹拌する上記ステップの前に、上記溶液に活性炭及びシリカゲルを添加することを更に含む。
【0158】
本明細書において、化合物Iマレイン酸塩の飽和クロロホルム溶液を25±1℃で留去することを含む、形態IIのN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩の製造方法が提供される。上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIの製造方法は例16、表10に記載がある。
【0159】
本明細書において、化合物Iマレイン酸塩の飽和1,4-ジオキサン溶液を25±1℃で留去することを含む、形態IIIのN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩の製造方法が提供される。上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IIIの製造方法は例16、表10に記載がある。
【0160】
本明細書において、化合物Iマレイン酸塩の飽和n-BuOH溶液を50±1℃で留去することを含む、形態IVのN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩の製造方法が提供される。上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態IVの製造方法は例16、表10に記載がある。
【0161】
本明細書において、化合物Iマレイン酸塩の飽和ジクロロメタン溶液をヘプタンに添加し撹拌することを含む、形態VのN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩の製造方法が提供される。上記式Iの化合物のマレイン酸塩の形態Vの製造方法は例16、表10に記載がある。
【0162】
本出願は、式II:
【化6】
の塩の製造方法を更に提供する。
【0163】
したがって、本明細書において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩である塩の製造方法であって、式IIの化合物を硫酸と反応させて上記塩を形成することを含む上記製造方法が提供される。上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩の製造方法は例8、表2に記載がある。
【0164】
いくつかの実施形態において、1当量の式IIの化合物を基準として、約0.6当量の硫酸が用いられる。
【0165】
いくつかの実施形態において、上記製造方法は、
式IIの化合物を溶媒成分に添加して溶液を形成することと、
室温で硫酸を上記溶液に添加することと、
上記溶液を濃縮してスラリーを形成することと、
上記スラリーを約60℃~約70℃の温度で撹拌することと、
上記スラリーを約15℃~約25℃の温度に冷却して、上記塩を沈殿させることと
を含む。
【0166】
いくつかの実施形態において、上記溶媒成分はメタノールを含む。
【0167】
いくつかの実施形態において、上記溶媒成分はジクロロメタンを含む。
【0168】
いくつかの実施形態において、上記溶媒成分はメタノール及びジクロロメタンを含む。
【0169】
いくつかの実施形態において、上記硫酸は約1Mの水溶液である。
【0170】
いくつかの実施形態において、上記製造方法は、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩を製造することを更に含む。上記式IIの化合物の硫酸塩の製造方法をスキーム2に示し、且つ例2に記載する。
【0171】
いくつかの実施形態において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩である塩の上記製造方法は、式IIの化合物を、1当量の式IIの化合物を基準として約1当量の硫酸と反応させることを含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩の上記製造方法は、
室温で式IIの化合物を第1の溶媒成分に添加して溶液を形成することと、
上記溶液を50℃~60℃の温度に加熱することと、
硫酸を上記溶液に添加することと、
溶媒を除去して上記硫酸塩を沈殿させることと
を含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、第1の溶媒成分はメタノールを含む。
【0174】
いくつかの実施形態において、上記硫酸は水溶液として添加される。
【0175】
いくつかの実施形態において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩の上記製造方法は、
上記N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩を第2の溶媒成分に添加してスラリーを形成するステップと、
上記スラリーを約30℃~約40℃の温度に加熱するステップと、
上記スラリーを撹拌するステップと、
生成したヘミ硫酸塩を収取するステップと
を含む。
【0176】
いくつかの実施形態において、第2の溶媒成分は水を含む。
【0177】
本明細書において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩の非晶形態の製造方法が提供される。上記式IIの化合物のヘミ硫酸塩の非晶形態の製造方法をスキーム2に示し、且つ例2に記載する。
【0178】
いくつかの実施形態において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩の非晶形態の上記製造方法は、
室温で上記N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩を第3の溶媒成分に添加して溶液を形成するステップと、
上記溶液をろ過するステップと、
ろ液を濃縮するステップと、
生成した固体を乾燥して、上記非晶性ヘミ硫酸塩を生成させるステップと
を含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、第3の溶媒成分はアセトン及びメタノールを含む。
【0180】
本明細書において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドリン酸塩である塩の製造方法であって、式IIの化合物をリン酸と反応させて上記塩を形成することを含む上記製造方法が提供される。式IIの化合物のリン酸塩の製造方法は例8、表2に記載がある。いくつかの実施形態において、1当量の式IIの化合物を基準として約1.2当量のリン酸が用いられる。
【0181】
本明細書において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩である塩の製造方法であって、式IIの化合物をマレイン酸と反応させて上記塩を形成することを含む上記製造方法が提供される。式IIの化合物のマレイン酸塩の製造方法は例8、表2に記載がある。いくつかの実施形態において、1当量の式IIの化合物を基準として約1.5当量のマレイン酸が用いられる。
【0182】
本明細書において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩である塩の製造方法であって、式IIの化合物を塩酸と反応させて上記塩を形成することを含む上記製造方法が提供される。式IIの化合物の塩酸塩の製造方法は例8、表2に記載がある。いくつかの実施形態において、1当量の式IIの化合物を基準として約1.2当量の塩酸が用いられる。
【0183】
本明細書において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドサリチル酸塩である塩の製造方法であって、式IIの化合物をサリチル酸と反応させて上記塩を形成することを含む上記製造方法が提供される。式IIの化合物のサリチル酸塩の製造方法は例8、表2に記載がある。いくつかの実施形態において、1当量の式IIの化合物を基準として約1.2当量のサリチル酸が用いられる。
【0184】
本明細書において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドメタンスルホン酸塩である塩の製造方法であって、式IIの化合物をメタンスルホン酸と反応させて上記塩を形成することを含む上記製造方法が提供される。式IIの化合物のメタンスルホン酸塩の製造方法は例8、表2に記載がある。いくつかの実施形態において、1当量の式IIの化合物を基準として約1当量のメタンスルホン酸が用いられる。
【0185】
本明細書において、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドエタンスルホン酸塩である塩の製造方法であって、式IIの化合物をエタンスルホン酸と反応させて上記塩を形成することを含む上記製造方法が提供される。式IIの化合物のエタンスルホン酸塩の製造方法は例8、表2に記載がある。いくつかの実施形態において、1当量の式IIの化合物を基準として約1当量のメタンスルホン酸が用いられる。
【0186】
明確にするために別個の実施形態の文脈で記載される本開示の特定の特徴は、単一の実施形態中に組み合わせて提示されてもよい(当該の実施形態は、多項従属の形態で記載されるのと同様に組み合わせることが意図されていても)。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載される本開示の様々な特徴は、別個にまたは任意且つ適宜の部分的組み合わせで提示されてもよい。
【0187】
本開示の塩及び化合物はまた、中間体または最終的な塩もしくは化合物中に存在する原子の全ての同位体を含んでいてもよい。同位体は原子番号が同一であるが質量数が異なる原子である。例えば、水素の同位体は三重水素及び重水素である。
【0188】
いくつかの実施形態において、上記化合物または塩は、水及び溶媒などの他の物質と共存していてもよく(例えば水和物及び溶媒和物)、または単離されていてもよい。
【0189】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物、またはそれらの塩(例えば、式Iの化合物のマレイン酸塩または式IIの化合物のヘミ硫酸塩)は、実質的に単離されている。
【0190】
語句「薬学的に許容される」は、本明細書では、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症を伴うことなく、人間及び動物の組織と接触する使用に好適であり、妥当な利益/リスク比に見合った化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指すために用いられる。
【0191】
上記から分るように、本明細書において提供される化合物(それらの塩を含む)は、公知の有機合成技法を用いて製造することができ、多数の可能な合成経路のいずれかに従って合成することができる。本明細書に記載の製造方法は、当技術分野で公知の任意且つ適宜の方法に従って監視することができる。例えば、生成物の形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、1Hもしくは13C)、赤外分光法、または分光光度法(例えば、UV-可視光)などの分光学的手段によって、あるいは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)などのクロマトグラフィー、またはその他の関連技法によって監視することができる。
【0192】
本明細書では、用語「反応させる」とは、当技術分野で理解されるとおりに用いられ、一般に、分子レベルで化学反応剤を相互作用させて、化学的または物理的変換を実現するような方法で、上記化学反応剤を互いに接触させることをいう。いくつかの実施形態において、上記「反応させる」は2種の反応剤が関与し、第1の反応剤に対して1当量以上の第2の反応剤が使用される。本明細書に記載の製造方法の反応ステップは、特定された生成物を製造するのに好適な時間且つ好適な条件下で実施することができる。
【0193】
本明細書に記載の製造方法の反応は、有機合成の当業者によって容易に選択することができる適宜の溶媒中で行ってもよい。好適な溶媒は、当該の反応が行われる温度、例えば、当該溶媒の凝固温度から当該溶媒の沸騰温度の範囲であってよい温度で、出発物質(反応剤)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であってよい。所与の反応は、1種の溶媒または2種以上の溶媒の混合物中で行ってもよい。特定の反応ステップに応じて、該特定の反応ステップに好適な溶媒(または溶媒の混合物)を選択することができる。
【0194】
好適な溶媒としては、四塩化炭素、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム、クロロホルム、ブロモクロロメタン、ジブロモメタン、ブチルクロリド、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1-ジクロロエタン、2-クロロプロパン、1,2-ジクロロエタン、1,2-ジブロモエタン、ヘキサフルオロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、それらの混合物などのハロゲン化溶媒を挙げることができる。
【0195】
好適なエーテル溶媒としては、ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、フラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、t-ブチルメチルエーテル、それらの混合物などが挙げられる。
【0196】
好適なプロトン性溶媒としては、例として且つ限定することなく、水、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-、2-、もしくは3-ペンタノール、ネオペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、またはグリセリンを挙げることができる。
【0197】
好適な非プロトン性溶媒としては、例として且つ限定することなく、テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、N-メチルピロリジノン(NMP)、ホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、ヘキサクロロアセトン、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、スルホラン、N,N-ジメチルプロピオンアミド、テトラメチル尿素、ニトロメタン、ニトロベンゼン、またはヘキサメチルホスホルアミドを挙げることができる。
【0198】
好適な炭化水素溶媒としては、ベンゼン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、トルエン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、エチルベンゼン、m-、o-、もしくはp-キシレン、オクタン、インダン、ノナン、またはナフタレンが挙げられる。
【0199】
本明細書に記載の製造方法の反応は、当業者が容易に決定することができる適宜の温度において行うことができる。反応温度は、例えば、当該反応剤及び溶媒(存在する場合)の融点及び沸点、当該反応の熱力学(例えば、激しい発熱反応は低温で行う必要がある場合がある)、及び当該反応の動力学(例えば、高い活性化エネルギー障壁の場合は高温を必要とする場合がある)に依存することとなる。
【0200】
本明細書では、表現「周囲温度」及び「室温」または「rt」は当技術分野で理解されており、一般に、例えば、反応が行われる部屋のおおよその温度である反応温度などの温度、例えば、約20℃~約30℃の温度をいう。
【0201】
本明細書に記載の製造方法の反応は、空気中または不活性雰囲気下で行うことができる。一般的には、空気と実質的に反応する反応剤または生成物を含む反応は、当業者に周知の空気に敏感な合成の技法を使用して実施することができる。
【0202】
使用方法
本開示の塩(例えば、式I及びIIの化合物の塩)は、TAMキナーゼの活性を調節または阻害することができる。例えば、本開示の化合物を用いて、TAMキナーゼであって、該キナーゼの阻害を必要とする細胞、または個体もしくは患者における上記TAMキナーゼの活性を、阻害量の本開示の化合物を上記細胞、個体、または患者に投与することによって阻害することができる。
【0203】
いくつかの実施形態において、本開示の塩は、1種以上の他のキナーゼよりも上記TAMキナーゼに対して選択的である。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、他のキナーゼよりも上記TAMキナーゼに対して選択的である。いくつかの実施形態において、上記選択性は、2倍以上、3倍以上、5倍以上、10倍以上、25倍以上、50倍以上、または100倍以上である。
【0204】
本開示の塩は、AXL、MER、及びTYRO3の1種以上を阻害することができる。いくつかの実施形態において、上記塩は、1種のTAMキナーゼに対して別のTAMキナーゼよりも選択的である。「選択的」とは、別のTAMキナーゼなどの基準の酵素と比較して、当該化合物が、TAMキナーゼにより高い親和性で、もしくはTAMキナーゼをより高い能力で、それぞれ結合するかまたは阻害することを意味する。例えば、上記塩は、MER及びTYRO3よりもAXLに対して選択的であるか、AXL及びTYRO3よりもMERに対して選択的であるか、またはTYRO3よりもAXL及びMERに対して選択的である場合がある。いくつかの実施形態において、上記塩は、TAMファミリーメンバーの全て(例えば、AXL、MER、及びTYRO3)を阻害する。いくつかの実施形態において、上記塩は、TYRO3及び他のキナーゼよりもAXL及びMERに対して選択的である場合がある。いくつかの実施形態において、本明細書において、AXL及びMERキナーゼの阻害方法であって、上記AXL及びMERキナーゼを本明細書において提供される塩、またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む上記方法が提供される。
【0205】
本開示の化合物は、TAMキナーゼ阻害剤として、上記TAMキナーゼの異常な発現または異常な活性に伴う様々な疾患の治療に有用である。TAMキナーゼを阻害する(式I及びIIの)化合物の塩は、特に血管新生を阻害することにより、腫瘍において増殖を防止するまたはアポトーシスを誘導する手段を提供するのに有用となる。したがって、上記塩は、がんなどの増殖性障害の治療または予防に有用であることが判明することが予想される。特に、受容体チロシンキナーゼを活性化する変異体または受容体チロシンキナーゼの上方制御を伴う腫瘍は上記阻害剤に対して特に感受性である可能性がある。
【0206】
特定の実施形態において、本開示は、それを必要とする患者におけるTAMキナーゼによって媒介される疾患または障害の治療方法であって、本明細書において提供される塩(例えば、式I及びIIの化合物の塩)、またはその薬学的に許容される組成物を上記患者に投与するステップを含む上記方法を提供する。
【0207】
例えば、本開示の塩はがんの治療に有用である。がんの例としては、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、小腸の癌、結腸癌、直腸癌、肛門の癌、子宮内膜癌、胃癌、頭頸部癌(例えば、喉頭、下咽頭、鼻咽頭、中咽頭、唇、及び口腔の癌)、腎臓癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌、胆管細胞癌)、肺癌(例えば、腺癌、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌、小細胞性及び小細胞性癌、気管支癌、気管支腺腫、胸膜肺芽腫)、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、子宮癌、食道癌、胆嚢癌、膵臓癌(例えば外分泌膵臓癌)、胃癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌、カポジ肉腫、メルケル細胞皮膚癌)、及び脳癌(例えば、星細胞腫、髄芽腫、上衣腫、神経外胚葉腫、松果体腫瘍)が挙げられる。
【0208】
本開示の化合物によって治療可能な他の癌としては、骨癌、眼内癌、婦人科癌、内分泌系の癌、副腎の癌、軟部組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、下垂体癌、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、及びアスベストによって誘発される癌を含む環境的に誘発される癌が挙げられる。
【0209】
がんの更なる例としては、白血病またはリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性リンパ腫、成人T細胞白血病、B細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、ホジキンまたは非ホジキンリンパ腫、骨髄増殖性新生物(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、及び原発性骨髄線維症)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、有毛細胞リンパ腫、慢性骨髄性リンパ腫、急性リンパ芽球性リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びバーキットリンパ腫などの造血器悪性腫瘍が挙げられる。
【0210】
本開示の化合物によって治療可能な他の癌としては、眼の腫瘍、神経膠芽腫、黒色腫、横紋筋肉腫、リンパ肉腫、及び骨肉腫が挙げられる。
【0211】
本開示の塩はまた、腫瘍の転移の阻害に有用である場合もある。
【0212】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物を用いて治療可能な疾患及び適応症としては、血液癌、肉腫、肺癌、消化器癌、泌尿生殖器癌、肝臓癌、骨癌、神経系癌、婦人科癌、及び皮膚癌が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0213】
例示的な血液癌としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)(再発または難治性NHLを含む)、濾胞性リンパ腫(FL)、ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、骨髄増殖性疾患(例えば、原発性骨髄線維症(PMF)、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板増加症(ET))、骨髄異形成症候群(MDS)、T細胞急性リンパ芽球性リンパ腫(T-ALL)、多発性骨髄腫、皮膚T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、有毛細胞リンパ腫、慢性骨髄性リンパ腫、及びバーキットリンパ腫などのリンパ腫ならびに白血病が挙げられる。
【0214】
例示的な肉腫としては、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、血管肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、横紋肉腫、線維腫、脂肪腫、中胚葉腫、及び奇形腫が挙げられる。
【0215】
例示的な肺癌としては、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、気管支癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、軟骨過誤腫、及び中皮腫が挙げられる。
【0216】
例示的な消化器癌としては、食道の癌(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃の癌(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓の癌(管状腺癌、膵島細胞腺腫、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸の癌(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸の癌(腺癌、尿細管腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸直腸癌、及び胆管癌が挙げられる。
【0217】
例示的な泌尿生殖路癌としては、腎臓の癌(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、腎細胞癌)、膀胱及び尿道の癌(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌、尿路上皮癌)、前立腺の癌(腺癌、肉腫)、及び精巣の癌(精上皮腫、奇形腫、胚性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)が挙げられる。
【0218】
例示的な肝臓癌としては、肝細胞腫(肝細胞癌)、胆管細胞癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫が挙げられる。
【0219】
例示的な骨癌としては、例えば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫、脊索腫、骨軟骨性軟骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症)、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、巨細胞腫瘍が挙げられる。
【0220】
例示的な神経系癌としては、頭蓋骨の癌(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜の癌(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳の癌(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、神経膠芽腫、多形神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、及び脊髄の癌(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫)、ならびに神経芽細胞腫、レルミット・デュクロ病、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、及び脊髄軸腫瘍が挙げられる。
【0221】
例示的な婦人科癌としては、子宮の癌(子宮内膜がん)、子宮頸部の癌(子宮頸癌、腫瘍前子宮頸異形成)、卵巣の癌(卵巣癌(漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の癌)、顆粒膜卵胞細胞腫、セルトリ・ライディック細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部の癌(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣の癌(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状横紋筋肉腫(胎児性横紋筋肉腫))、及び卵管の癌(癌腫)が挙げられる。
【0222】
例示的な皮膚癌としては、黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、メルケル細胞皮膚癌、ほくろ形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、及びケロイドが挙げられる。
【0223】
例示的な頭頸部癌としては、神経膠芽腫、黒色腫、横紋筋肉腫、リンパ肉腫、骨肉腫、扁平上皮癌、腺癌、口腔癌、喉頭癌、鼻咽頭癌、鼻癌及び副鼻癌、甲状腺癌及び副甲状腺癌が挙げられる。
【0224】
いくつかの実施形態において、本開示は、それを必要とする患者における肝細胞癌の治療方法であって、式Iの化合物の塩もしくは式IIの化合物の塩、または式Iの化合物の塩もしくは式IIの化合物の塩を含む組成物を上記患者に投与するステップを含む上記方法を提供する。
【0225】
いくつかの実施形態において、本開示は、それを必要とする患者における横紋筋肉腫、食道癌、乳癌、または頭頸部癌の治療方法であって、式Iの化合物の塩もしくは式IIの化合物の塩、または式Iの化合物の塩もしくは式IIの化合物の塩を含む組成物を上記患者に投与するステップを含む上記方法を提供する。
【0226】
いくつかの実施形態において、本開示は、肝細胞癌、乳癌、膀胱癌、結腸直腸癌、黒色腫、中皮腫、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、精巣癌、甲状腺癌、扁平上皮がん、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、子宮癌、及び横紋筋肉腫から選択される癌の治療方法を提供する。
【0227】
TAM受容体チロシンキナーゼを標的とすることにより、ウイルス性疾患を治療するための治療手法を提供することができる(T Shibata, et al. The Journal of Immunology、2014、192、3569-3581)。本開示はウイルス感染症などの感染症の治療方法を提供する。この方法は、該方法を必要とする患者に、治療有効量の式Iの化合物の塩もしくは式IIの化合物の塩、または式Iの化合物の塩もしくは式IIの化合物の塩を含む組成物を投与することを含む。
【0228】
本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こすウイルスの例としては、ヒト免疫不全症ウイルス;ヒトパピローマウイルス;インフルエンザウイルス;A型、B型、C型、またはD型肝炎ウイルス;アデノウイルス;ポックスウイルス;単純ヘルペスウイルス;ヒトサイトメガロウイルス;重症急性呼吸器症候群ウイルス;エボラウイルス;マールブルグウイルス;及び麻疹ウイルスが挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態において、本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こすウイルスの例としては、肝炎(A型、B型、またはC型)ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-II、及びCMV、エプスタイン・バールウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス(例えば、ウエストナイルウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、ジカ熱ウイルス)、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デング熱ウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、及びアルボウイルス脳炎ウイルスが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0229】
いくつかの実施形態において、本開示は血栓形成の治療方法を提供する(J.M.E.M. Cosemans et al. J. of Thrombosis and Haemostasis 2010, 8, 1797-1808 and A. Angelillo-Scherrer et al. J. Clin. Invest. 2008, 118, 583-596)。
【0230】
併用療法
TAM関連疾患、障害、または疾病の治療に、1種以上の更なる医薬または治療方法、例えば、抗ウイルス剤、化学療法剤もしくは他の抗がん剤、免疫増強剤、免疫抑制剤、放射線、抗腫瘍及び抗ウイルスワクチン、サイトカイン療法剤(例えば、IL-2、GM-CSFなど)、ならびに/またはチロシンキナーゼ阻害剤などを、式Iの化合物または本明細書に記載の化合物と併用してもよい。上記医薬を、単一の剤形中で本塩(例えば、式I及びIIの化合物の塩)と組み合わせてもよく、または上記医薬を、別個の剤形として同時にもしくは逐次的に投与してもよい。
【0231】
本開示の塩との併用が企図される好適な抗ウイルス剤としては、ヌクレオシド及びヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤、及び他の抗ウイルス薬を挙げることができる。
【0232】
好適なNRTIの例としは、ジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddl)、ザルシタビン(ddC)、スタブジン(d4T)、ラミブジン(3TC)、アバカビル(1592U89)、アデフォビルジピボキシル[ビス(POM)-PMEA]、ロブカビル(BMS-180194)、BCH-10652、エミトリシタビン[(-)-FTC]、β-L-FD4(β-L-D4Cとも呼ばれ、名称はβ-L-2’,3’-ジクレオキシ-5-フルオロシチジン)、DAPD((-)-β-D-2,6-ジアミノプリンジオキソラン)、及びロデノシン(FddA)が挙げられる。一般的な好適なNNRTIとしては、ネビラピン(BI-RG-587)、デラビラジン(BHAP、U-90152)、エファビレンツ(DMP-266)、PNU-142721、AG-1549、MKC-442(1-(エトキシメチル)-5-(1-メチルエチル)-6-(フェニルメチル)-(2,4(1H,3H)-ピリミジンジオン)、ならびに(+)-カラノリドA(NSC-675451)及びBが挙げられる。一般的な好適なプロテアーゼ阻害剤としては、サキナビル(Ro 31-8959)、リトナビル(ABT-538)、インジナビル(MK-639)、ネルフナビル(AG-1343)、アンプレナビル(141W94)、ラスシナビル(BMS-234475)、DMP-450、BMS-2322623、ABT-378、AG-1 549が挙げられる。他の抗ウイルス剤としては、ヒドロキシ尿素、リバビリン、IL-2、IL-12、ペンタフシド、及びYissum Project 第11607号が挙げられる。
【0233】
がんの治療に本出願の塩と併用するのに好適な薬剤としては、化学療法剤、標的がん療法剤、免疫療法剤、または放射線療法が挙げられる。本開示の塩は、抗ホルモン剤との併用が乳癌及び他の腫瘍の治療に有効である場合がある。好適な例としては、タモキシフェン及びトレミフェンを含む、但しこれらに限定されない抗エストロゲン剤;レトロゾール、アナストロゾール、及びエキセメスタンを含む、但しこれらに限定されないアロマターゼ阻害剤;副腎皮質ステロイド(例えばプレドニゾン);プロゲスチン(例えば酢酸メガストロール);ならびにエストロゲン受容体アンタゴニスト(例えばフルベストラント)が挙げられる。前立腺癌及び他の癌の治療に用いられる好適な抗ホルモン剤も、本開示の化合物と併用してよい。これらの抗ホルモン剤としては、フルタミド、ビカルタミド、及びニルタミドを含む、但しこれらに限定されない抗アンドロゲン;ロイプロリド、オセレリン、トリプトレリン、及びヒストレリンを含む黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体;LHRHアンタゴニスト(例えばデガレリックス);アンドロゲン受容体遮断薬(例えばエンザルタミド);ならびにアンドロゲン産生を阻害する薬剤(例えばアビラテロン)が挙げられる。
【0234】
本開示の塩を、特に原発のまたは獲得した標的療法に対する耐性が生じた患者向けに、膜受容体キナーゼに対する他の薬剤と併用してもよく、または他の薬剤と逐次的に併用してもよい。これらの治療薬としては、EGFR、Her2、VEGFR、c-Met、Ret、IGFR1、PDGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、TrkA、TrkB、TrkC、ROS、c-Kit、もしくはFlt-3に対する、ならびにBcr-Abl及びEML4-Alkなどのがん関連融合タンパク質キナーゼに対する阻害剤または抗体が挙げられる。EGFRに対する阻害剤としては、ゲフィチニブ及びエルロチニブが挙げられ、EGFR/Her2に対する阻害剤としては、ダコミチニブ、アファチニブ、ラピチニブ、及びネラチニブが挙げられるが、これらに限定はされない。上記EGFRに対する抗体としては、セツキシマブ、パニツムマブ、及びネシツムマブが挙げられるが、これらに限定はされない。c-Metの阻害剤をTAM阻害剤と併用してもよい。c-Metの阻害剤としては、オナルツズマブ、チバンチニブ、及びINC-280が挙げられる。FGFRに対する薬剤としては、AZD4547、BAY1187982、ARQ087、BGJ398、BIBF1120、TKI258、ルシタニブ、ドビチニブ、TAS-120、JNJ-42756493、及びDebio 1347が挙げられるが、これらに限定はされない。Trkに対する薬剤としては、LOXO-101及びRXDX-101が挙げられるが、これらに限定はされない。Abl(またはBcr-Abl)に対する薬剤としては、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、及びポナチニブが挙げられ、Alk(またはEML4-ALK)に対する薬剤としてはクリゾチニブが挙げられる。
【0235】
血管新生阻害剤は、TAM阻害剤との併用でいくつかの腫瘍に有効な場合がある。これらの血管新生阻害剤としては、VEGFまたはVEGFRに対する抗体またはVEGFRのキナーゼ阻害剤が挙げられる。VEGFに対する抗体またはその他の治療用タンパク質としては、ベバシズマブ及びアフリベルセプトが挙げられる。VEGFRキナーゼの阻害剤及び他の抗血管新生阻害剤としては、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、セジラニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ブリバニブ、及びバンデタニブが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0236】
がんにおいては細胞内シグナル伝達経路の活性化が頻発し、これらの経路を構成する成分を標的とする薬剤が受容体を標的とする薬剤と併用され、効力を高め、耐性を低減してきた。本開示の化合物と併用することができる薬剤の例としては、PI3K-AKT-mTOR経路の阻害剤、Raf-MAPK経路の阻害剤、JAK-STAT経路の阻害剤、Pimキナーゼの阻害剤、ならびにタンパク質シャペロン及び細胞周期進行の阻害剤が挙げられる。
【0237】
PI3キナーゼに対する薬剤としては、ピララリシブ、イデラリシブ、ブパルリシブ、及びIPI-549が挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態において、上記PI3K阻害剤は、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kγ、またはPI3Kδに対して選択的である。ラパマイシン、シロリムス、テムシロリムス、及びエベロリムスなどのmTORの阻害剤をTAMキナーゼ阻害剤と併用してもよい。他の好適な例としては、ベムラフェニブ及びダブラフェニブ(Raf阻害剤)ならびにトラメチニブ、セルメチニブ、及びGDC-0973(MEK阻害剤)が挙げられるが、これらに限定はされない。1種以上のJAKの阻害剤(例えば、ルキソリチニブ、バリシチニブ、トファシチニブ)、Hsp90の阻害剤(例えば、タンスピマイシン)、サイクリン依存性キナーゼの阻害剤(例えば、パルボシクリブ)、PARPの阻害剤(例えば、オラパリブ)、及びプロテアソームの阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ)も、本開示の化合物と併用してよい。いくつかの実施形態において、上記JAK阻害剤は、JAK2及びJAK3よりもJAK1に対して選択的である。Pimキナーゼに対する薬剤としては、LGH447、INCB053914、及びSGI-1776が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0238】
本開示の塩との併用に好適な他の薬剤としては、肺癌及び他の固形腫瘍に用いられる白金系2剤併用剤(シスプラチンもしくはカルボプラチン+ゲムシタビン;シスプラチンもしくはカルボプラチン+ドセタキセル;シスプラチンもしくはカルボプラチン+パクリタキセル;シスプラチンもしくはカルボプラチン+ペメトレキセド)またはゲムシタビン+パクリタキセル結合粒子(Abraxane(登録商標))などの化学療法剤の組み合わせが挙げられる。
【0239】
好適な化学療法剤または他の抗がん剤としては、例えば、ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド(Cytoxan(商標))、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、及びテモゾロミドなどのアルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソ尿素、及びトリアゼンを含む、但しこれらに限定されない)が挙げられる。
【0240】
本開示の塩との併用に好適な他の薬剤としては、任意選択でカルムスチン(BCNU)及びシスプラチンなどの他の化学療法剤と併用されるダカルバジン(DTIC);DTIC、BCNU、シスプラチン、及びタモキシフェンから構成される「Dartmouthレジメン」;シスプラチン、ビンブラスチン、及びDTICの組み合わせ;またはテモゾロミドが挙げられる。本明細書において提供される化合物はまた、インターフェロンα、インターロイキン2、及び腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤などのサイトカインを含む免疫療法剤と併用してもよい。
【0241】
好適な化学療法剤または他の抗がん剤としては、例えば、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、及びゲムシタビンなどの、(葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体、及びアデノシンデアミナーゼ阻害剤を含む、但しこれらに限定されない)代謝拮抗剤が挙げられる。
【0242】
好適な化学療法剤または他の抗がん剤としては、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ara-C、パクリタキセル(TAXOL(商標))、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシンC、L-アスパラギナーゼ、インターフェロン(特にIFN-a)、エトポシド、及びテニポシドなどの特定の天然産物ならびにそれらの誘導体(例えば、ビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカイン、及びエピポドフィロトキシン)が更に挙げられる。
【0243】
他の細胞毒性剤としては、ナベルベン、CPT-11、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、シクロホスファミド、イフォサミド、及びdroloxafineが挙げられる。
【0244】
エピドフィロトキシンなどの細胞毒性剤;抗腫瘍性酵素;トポイソメラーゼ阻害剤;プロカルバジン;ミトキサントロン;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金配位錯体;生物学的応答修飾因子;増殖阻害剤;抗ホルモン治療剤;ロイコボリン;テガフール;ならびに造血成長因子も好適である。
【0245】
他の抗がん剤(複数可)としては、トラスツズマブ(Herceptin)などの抗体治療薬、CTLA-4、4-1BB、及びPD-1などの共刺激分子に対する抗体、またはサイトカイン(IL-10、TGF-βなど)に対する抗体が挙げられる。
【0246】
他の抗がん剤としては、CSF1R阻害剤(PLX3397、LY3022855など)及びCSF1R抗体(IMC-CS4、RG7155など)が挙げられる。
【0247】
他の抗がん剤としては、BET阻害剤(INCB054329、OTX015、CPI-0610など)、LSD1阻害剤(GSK2979552、INCB059872など)、HDAC阻害剤(パノビノスタット、ボリノスタットなど)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(アザシチジン及びデシタビン)、ならびに他の後成的モジュレータが挙げられる。
【0248】
他の抗がん剤としては、Bcl2阻害剤ABT-199、及び他のBcl-2ファミリータンパク質阻害剤が挙げられる。
【0249】
他の抗がん剤としては、LY2157299などのTGFβ受容体キナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0250】
他の抗がん剤としては、イブルチニブなどのBTK阻害剤が挙げられる。
【0251】
他の抗がん剤としては、βカテニン経路阻害剤、ノッチ経路阻害剤、及びヘッジホッグ経路阻害剤が挙げられる。
【0252】
他の抗がん剤としては、キナーゼ関連細胞増殖性障害の阻害剤が挙げられる。これらのキナーゼとしては、オーロラA、CDK1、CDK2、CDK3、CDK5、CDK7、CDK8、CDK9、エフリン受容体キナーゼ、CHK1、CHK2、SRC、Yes、Fyn、Lck、Fer、Fes、Syk、Itk、Bmx、GSK3、JNK、PAK1、PAK2、PAK3、PAK4、PDK1、PKA、PKC、Rsk、及びSGK挙げられるが、これらに限定はされない。
【0253】
他の抗がん剤としては、CCR2及びCCR4を含むケモカイン受容体に対するアンタゴニストなどの免疫細胞遊走を遮断する抗がん剤も挙げられる。
【0254】
他の抗がん剤としては、アジュバントまたは養子T細胞移入などの免疫系を増強する抗がん剤も挙げられる。
【0255】
抗がんワクチンとしては、樹状細胞、合成ペプチド、DNAワクチン、及び組換えウイルスが挙げられる。
【0256】
TAM関連疾患、障害、または疾病の治療に、1種以上の更なる免疫チェックポイント阻害剤を、本明細書に記載の塩と併用してもよい。例示的な免疫チェックポイント阻害剤としては、CD20、CD27、CD28、CD40、CD122、CD96、CD73、CD47、OX40、GITR、CSF1R、JAK、PI3Kδ、PI3Kγ、TAM、アルギナーゼ、CD137(4-1BBとしても知られる)、ICOS、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、LAG3、TIM3、VISTA、CD96、TIGIT、PD-1、PD-L1、及びPD-L2などの免疫チェックポイント分子に対する阻害剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記免疫チェックポイント分子は、CD27、CD28、CD40、ICOS、OX40、GITR、及びCD137から選択される刺激チェックポイント分子である。いくつかの実施形態において、上記免疫チェックポイント分子は、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、TIM3、CD96、TIGIT、及びVISTAから選択される阻害チェックポイント分子である。いくつかの実施形態において、本明細書において提供される塩を、KIR阻害剤、TIGIT阻害剤、LAIR1阻害剤、CD160阻害剤、2B4阻害剤、及びTGFRβ阻害剤から選択される1種以上の薬剤と併用してもよい。
【0257】
いくつかの実施形態において、上記免疫チェックポイント分子の阻害剤は、抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体である。
【0258】
いくつかの実施形態において、上記免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1の阻害剤、例えば抗PD-1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ(MK-3475としても知られる)、ピジリズマブ、SHR-1210、PDR001、またはAMP-224である。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはPDR001である。いくつかの実施形態において、上記抗PD1抗体はペンブロリズマブである。
【0259】
いくつかの実施形態において、上記免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-L1の阻害剤、例えば、抗PD-L1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1モノクローナル抗体は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A(RG7446としても知られる)、またはMSB0010718Cである。いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1モノクローナル抗体はMPDL3280A(アテゾリズマブ)またはMEDI4736(デュルバルマブ)である。
【0260】
いくつかの実施形態において、上記免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CTLA-4の阻害剤、例えば、抗CTLA-4抗体である。いくつかの実施形態において、上記抗CTLA-4抗体はイピリムマブまたはトレメリムマブである。
【0261】
いくつかの実施形態において、上記免疫チェックポイント分子の阻害剤は、LAG3の阻害剤、例えば、抗LAG3抗体である。いくつかの実施形態において、上記抗LAG3抗体はBMS-986016またはLAG525である。
【0262】
いくつかの実施形態において、上記免疫チェックポイント分子の阻害剤は、GITRの阻害剤、例えば、抗GITR抗体である。いくつかの実施形態において、上記抗GITR抗体は、TRX518、MK-4166、INCAGN01876、またはMK-1248である。
【0263】
いくつかの実施形態において、上記免疫チェックポイント分子の阻害剤は、OX40の阻害剤、例えば、抗OX40抗体またはOX40L融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、上記抗OX40抗体は、MEDI0562、INCAGN01949、GSK2831781、GSK-3174998、MOXR-0916、PF-04518600、またはLAG525である。いくつかの実施形態において、上記OX40L融合タンパク質はMEDI6383である。
【0264】
いくつかの実施形態において、上記免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD20の阻害剤、例えば、抗CD20抗体である。いくつかの実施形態において、上記抗CD20抗体はオビヌツズマブまたはリツキシマブである。
【0265】
本開示の塩を二重特異性抗体と併用してもよい。いくつかの実施形態において、上記二重特異性抗体のドメインの1つは、PD-1、PD-L1、CTLA-4、GITR、OX40、TIM3、LAG3、CD137、ICOS、CD3、またはTGFβ受容体を標的とする。
【0266】
がんなどの疾患の治療に、本開示の塩を1種以上の薬剤と併用してもよい。いくつかの実施形態において、上記薬剤は、アルキル化剤、プロテアソーム阻害剤、コルチコステロイド、または免疫調節剤である。アルキル化剤の例としては、シクロホスファミド(CY)、メルファラン(MEL)、及びベンダムスチンが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記プロテアソーム阻害剤はカーフィルゾミブである。いくつかの実施形態において、上記コルチコステロイドはデキサメタゾン(DEX)である。いくつかの実施形態において、上記免疫調節剤は、レナリドミド(LEN)またはポマリドミド(POM)である。
【0267】
本開示の塩を、がん性細胞、精製した腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、及び炭水化物分子を含む)、細胞、ならびに免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子でトランスフェクトされた細胞などの別の免疫原性剤と併用してもよい。使用可能な腫瘍ワクチンの非限定的な例としては、gp100、MAGE抗原、Trp-2、MARTI、及び/もしくはチロシナーゼのペプチドなどの黒色腫抗原のペプチド、またはサイトカインGM-CSFを発現するようにトランスフェクトされた腫瘍細胞が挙げられる。
【0268】
本開示の塩を、がんの治療用のワクチン接種プロトコルと併用してもよい。いくつかの実施形態において、上記腫瘍細胞はGM-CSFを発現するように形質導入される。いくつかの実施形態において、腫瘍ワクチンとしては、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(HBV及びHCV)、ならびにカポジヘルペス肉腫ウイルス(KHSV)などのヒトのがんに関係するウイルス由来のタンパク質が挙げられる。いくつかの実施形態において、本開示の塩を、腫瘍組織自体から単離された熱ショックタンパク質などの腫瘍特異的抗原と併用してもよい。いくつかの実施形態において、本開示の塩を樹状細胞免疫化と併用して、強力な抗腫瘍応答を活性化してもよい。
【0269】
本開示の塩を、FcαまたはFcγ受容体発現エフェクタ細胞を腫瘍細胞に対して標的化する二重特異性大環状ペプチドと併用してもよい。また、本開示の塩を、宿主の免疫応答性を活性化する大環状ペプチドと併用してもよい。
【0270】
本開示の塩をアルギナーゼ阻害剤、例えばCB-1158と併用してもよい。
【0271】
本開示の塩を1種以上の代謝酵素阻害剤と併用してもよい。いくつかの実施形態において、上記代謝酵素阻害剤は、阻害剤またはIDO1、TDO、もしくはアルギナーゼである。IDO1阻害剤の例としてはエパカドスタット及びNGL919が挙げられる。
【0272】
造血由来の様々な腫瘍の治療に、本開示の塩を骨髄移植と併用してもよい。
【0273】
本開示の塩を、抗凝固剤として、単剤で用いてもよく、またはアピキサバン、ダビガトラン、エドキサバン、フォンダパリネクス、ヘパリン、リバロキサバン、及びワルファリンを含む、但しこれらに限定されない他の抗凝固剤と併用してもよい。
【0274】
ほとんどのこれらの化学療法剤を安全且つ効果的に投与する方法は当業者に公知である。また、これらの化学療法剤の投与は標準的な文献に記載されている。例えば、多くの上記化学療法剤の投与は、“Physicians’ Desk Reference” (PDR, e.g., 1996 edition, Medical Economics Company, Montvale, NJ)に記載されており、その開示は、その全体が記載されているのと同様に、参照により本明細書に援用される。
【0275】
医薬製剤及び剤形
本明細書において提供される塩は、医薬として使用される場合、本明細書において提供される化合物、またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される担体との組み合わせを指す医薬組成物の形態で投与してもよい。これらの組成物は、製薬分野において周知の方法で製造することができ、局所治療または全身治療のいずれが所望されるか、及び治療を受ける領域に応じて、種々の経路で投与することができる。投与は局所投与(眼内投与及び鼻腔内、膣、及び直腸送達を含む粘膜への投与)、肺投与(例えば、噴霧器によるものを含む、粉末もしくはエアロゾルの吸入または吹送による;気管内投与、鼻腔内投与、上皮投与、及び経皮投与)、点眼、経口投与、または非経口投与であってよい。眼内送達の方法としては、局所投与(点眼)、結膜下、眼周囲、もしくは硝子体内注射、または外科的に結膜嚢に配置したバルーンカテーテルもしくは眼科用インサートによる導入を挙げることができる。非経口投与としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、もしく筋肉内注射または注入;あるいは頭蓋内投与、例えば、くも膜下腔内または脳室内投与が挙げられる。非経口投与は、単回ボーラス投与の形態であってもよく、または、例えば、連続灌流ポンプによるものであってもよい。局所投与用の医薬組成物及び製剤としては、経皮貼付剤、軟膏、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴剤、坐剤、スプレー剤、液剤、及び粉末剤を挙げることができる。従来の医薬担体;水性、粉末、もしくは油性の基剤;増粘剤などが必要であるまたは望ましい場合がある。
【0276】
本出願はまた、活性成分として本明細書において提供される1種以上の塩(例えば、式I及びIIの化合物の塩)を、1種以上の薬学的に許容される担体との組み合わせで含有する医薬組成物を含む。本開示の組成物の製造において、上記活性成分は、一般的に、賦形剤と混合され、賦形剤によって希釈され、または例えば、カプセル、小袋、紙、もしくは他の容器の形態でかかる担体内に封入される。上記賦形剤が希釈剤としての役割を果たす場合、該賦形剤は、当該活性成分のためのビヒクル、担体、もしくは媒体として作用する、固体、半固体、または液体の材料であってよい。したがって、本組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液剤、乳液剤、溶液剤、シロップ剤、エアロゾル剤(固体としてまたは液体媒体中の)、例えば10重量%までの上記活性化合物を含有する軟膏、軟質及び硬質ゼラチンのカプセル剤、坐剤、無菌注射液、及び無菌の包装した粉末の形態であってもよい。
【0277】
製剤の製造において、上記活性化合物(または本開示の塩形態)を、他の成分と混合する前に粉砕して、適当な粒径としてもよい。上記活性化合物が実質的に不溶性である場合、これを200メッシュ未満の粒径に粉砕してもよい。上記活性化合物が実質的に水溶性である場合、粉砕によって上記粒径を、製剤中での分布が実質的に均一となるように、例えば約40メッシュに調整してもよい。
【0278】
好適な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが挙げられる。上記製剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油などの滑沢剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁剤;ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピルなどの防腐剤;甘味料;ならびに香味料を更に含んでいてもよい。本開示の組成物を、当技術分野において公知の手順を用いることによって患者に投与した後に、上記活性成分を迅速に、持続的に、または遅延して放出するように製剤化してもよい。
【0279】
本組成物を、各一回分が約5~約100mg、より一般的には約10~約30mgの上記活性成分を含有する単位剤形に製剤化してもよい。用語「単位剤形」とは、ヒトの対象及び他の哺乳動物に対する単位の投薬として適した、物理的に個別の単位をいい、各単位は、適宜の医薬賦形剤と共に、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含有する。
【0280】
上記活性化合物は広い投薬量範囲にわたって有効であることができ、一般的に薬学的に有効な量で投与される。しかしながら、実際に投与される上記化合物の量は、通常、治療を受ける疾病、選択された投与経路、実際の投与される化合物、当該の個々の患者の年齢、体重、及び治療に対する応答、当該の患者の症状の重篤度などを含む関係する状況に応じて、医師によって決定されることになることが理解されよう。
【0281】
錠剤などの固体組成物の製造に関しては、上記主要な活性成分を医薬賦形剤と混合して、本開示の化合物の均質な混合物を含有する固体の製剤前組成物を形成する。これらの製剤前組成物を均質と呼ぶ場合、当該有効成分は一般的に、当該組成物を、錠剤、丸剤、及びカプセル剤などの等しく有効な単位剤形へと容易に細分することができるように、当該組成物全体にわたって均一に分散している。次いで、この固体の製剤前組成物は、例えば、0.1~約500mgの本開示の活性成分を含有する上記のタイプの単位剤形へと細分される。
【0282】
本開示の錠剤または丸剤を、作用が長期に及ぶ利点を与える剤形を提供するようにコーティングするかあるいは配合してもよい。例えば、上記錠剤または丸剤は、内側の投与成分と外側の投与成分とを含んでいてもよく、後者は前者の上を覆う外被の形態である。上記2成分を、胃における崩壊に耐えるように、且つ上記内側の成分が無傷で十二指腸へと通過する、または該成分の放出が遅延することが可能になるように働く腸溶性層によって分離してもよい。かかる腸溶性層またはコーティングには様々な材料を用いることができ、かかる材料は、多くのポリマー酸及びポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースなどの材料との混合物を含む。
【0283】
本開示の塩及び組成物を含むことができる、経口投与または注射による投与用の液体形態としては、水溶液剤、適宜に風味付けされたシロップ剤、水性または油性懸濁液剤、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油、または落花生油などの食用油、ならびにエリキシル及び類似の製薬用ビヒクルを含む風味付けされた乳液剤が挙げられる。
【0284】
吸入または吹送用の本組成物としては、薬学的に許容される水性溶媒もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液剤及び懸濁液剤、ならびに粉末剤が挙げられる。上記液体または固体の組成物は、上述のような適宜の薬学的に許容される賦形剤を含有していてもよい。いくつかの実施形態において、本組成物は、局所的または全身的効果を得るために、経口または経鼻呼吸器経路によって投与される。不活性ガスを使用することにより、上記溶液の組成物を噴霧してもよい。噴霧された溶液剤を噴霧装置から直接吸い込んでもよく、または噴霧装置をフェイスマスクテント、または間歇的陽圧呼吸器に接続してもよい。溶液、懸濁液、または粉末の組成物を、適宜の方法で上記製剤を送達する装置から、経口投与または経鼻投与してもよい。
【0285】
患者に投与される塩(例えば、式I及びIIの化合物の塩)または組成物の量は、投与されるもの、予防または治療などの投与の目的、患者の状態、投与方法などに応じて変化することとなる。治療用途において、既に疾患に罹患している患者には、組成物を、該疾患及びその合併症の症状を治癒または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で投与してもよい。有効な用量は、治療を受ける疾患の状態、ならびに上記疾患の重篤度、当該患者の年齢、体重、及び全般的な状態などの要因に依存する主治医の判断に依存することとなる。
【0286】
患者に投与される上記組成物は上述の医薬組成物の形態であってよい。これらの組成物を従来の滅菌技法によって滅菌してもよく、または滅菌ろ過してもよい。水溶液をそのまま使用するために包装するか、または凍結乾燥してもよく、この凍結乾燥製剤を投与に先立って滅菌水性担体と混ぜ合わせる。本化合物の製剤のpHは、一般的に3~11、より好ましくは5~9、最も好ましくは7~8となる。特定の上述の賦形剤、担体、または安定剤を使用すると、薬学的な塩が形成されることが理解されよう。
【0287】
本開示の化合物または塩の治療における用量は、例えば、当該治療を行う目的である特定の使用、当該化合物の投与方法、当該の患者の健康及び状態、ならびに処方を行う医師の判断に応じて変化する場合がある。本明細書において提供される化合物または塩の医薬組成物中の割合または濃度は、用量、化学的特性(例えば、疎水性)、及び投与経路を含む多くの因子に応じて変化する場合がある。例えば、非経口投与の場合、本明細書において提供される化合物または塩を、約0.1~約10% w/vの当該化合物または塩を含有する生理的緩衝水溶液で提供してもよい。いくつかの一般的な用量範囲としては、1日当り約1μg/kg-体重~約1g/kg-体重である。いくつかの実施形態において、上記用量範囲は、1日当り約0.01mg/kg-体重~約100mg/kg-体重である。上記用量は、当該疾患または障害の種類及び進行の程度、特定の患者の全般的な健康状態、選択された化合物の相対的な生物学的有効性、賦形剤の処方、ならびにその投与経路などの変数に依存する場合が多い。有効な用量は、イン・ビトロ試験または動物モデル試験システムから導出された用量-応答曲線から外挿することができる。
【0288】
本明細書において提供される化合物または塩を、抗ウイルス剤、ワクチン、抗体、免疫増強剤、免疫抑制剤、抗炎症剤などの任意の医薬を挙げることができる1種以上の更なる活性成分と組み合わせて製剤化することもできる。
【0289】
キット
本開示はまた、例えば、本明細書において言及されるTAM関連疾患もしくは障害、肥満、糖尿病、及び他の疾患の治療または予防に有用な医薬キットも含み、該キットは、治療有効量の本明細書において提供される塩(例えば、式I及びIIの化合物の塩)を含む医薬組成物を収納した1つ以上の容器を備える。当業者には容易に明らかなように、かかるキットは、必要に応じて、例えば、1種以上の薬学的に許容される担体が入った容器、予備の容器などの1つ以上の種々の従来の医薬キットの構成要素を更に備えていてもよい。本キット中に、同梱資料もしくはラベルとしての、当該成分の投与量、投与の手引き、及び/または当該成分の混合の手引きを示す説明書を備えていてもよい。
【実施例0290】
特定の実施例によって本発明をより詳細に説明する。以下の実施例は、例示を目的として提示するものであり、いかなる形態であっても本発明を限定することを意図しない。当業者であれば、変更または改変しても本質的に同様の結果を生じることになり得る様々な重要ではないパラメータを容易に認識しよう。本実施例の化合物は、以下に記載されるように、TAMキナーゼの阻害剤であることが見出された。
【0291】
全般的な方法
一部の調製した化合物の分取LC-MSによる精製は、Watersの質量の指示に基づく分取システム上で実施した。これらのシステムの運転に関する基本的な機器の設定、プロトコル、及び制御ソフトウェアは文献に詳細に記載されている。例えば、“Two-Pump At Column Dilution Configuration for Preparative LC-MS”, K. Blom, J. Combi. Chem., 4, 295 (2002);“Optimizing Preparative LC-MS Configurations and Methods for Parallel Synthesis Purification,” K. Blom, R. Sparks, J. Doughty, G. Everlof, T. Haque, A. Combs, J. Combi. Chem., 5, 670 (2003);及び“Preparative LC-MS Purification: Improved Compound Specific Method Optimization,” K. Blom, B. Glass, R. Sparks, A. Combs, J. Combi. Chem., 6, 874-883 (2004)を参照意されたい。分離した化合物を、通常、以下の条件下で分析用液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)に供して純度の確認を行い、該LCMSの条件は以下のとおり、すなわち、装置:Agilent 1100シリーズLC/MSD;カラム:Waters Sunfire(商標)C18 粒径5μm、2.1×5.0mm;移動相:A:0.025% TFA水溶液、B:アセトニトリル;勾配:3分間でBが2%~80%、流速2.0mL/分であった。
【0292】
一部の調製した化合物を、実施例に示すように、MS検出器を備えた逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)またはフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)による分取スケールでも分離した。一般的な分取逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)のカラムの条件は以下のとおりである。
pH=2での精製:Waters Sunfire(商標)C18 粒径5μm、19×100mmカラム、移動相A:0.1% TFA(トリフルオロ酢酸)水溶液及び移動相B:アセトニトリルで溶離;流速は30mL/分であり、分離勾配は文献に記載のthe Compound Specific Method Optimization protocolを用い、各化合物について最適化した[“Preparative LCMS Purification: Improved Compound Specific Method Optimization,” K. Blom, B. Glass, R. Sparks, A. Combs, J. Comb. Chem., 6, 874-883 (2004)を参照のこと]。通常、30×100mmカラムに用いた流速は60mL/分であった。
pH=10での精製:Waters XBridge C18 粒径5μm、19×100mmカラム、移動相A:0.15% NH4OH水溶液及び移動相B:アセトニトリルで溶離;流速は30mL/分であり、分離勾配は文献に記載のthe Compound Specific Method Optimization protocolを用い、各化合物について最適化した[“Preparative LCMS Purification: Improved Compound Specific Method Optimization,” K. Blom, B. Glass, R. Sparks, A. Combs, J. Comb. Chem., 6, 874-883 (2004)を参照のこと]。通常、30×100mmカラムに用いた流速は60mL/分であった。
【0293】
例1 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩(化合物Iマレイン酸塩、形態I)の合成
スキーム1
【化7】
ステップ1 5-ブロモ-7-(ピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン二塩酸塩(化合物2)
機械式撹拌機、マントルヒーター、熱電対、還流凝縮器、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、ジクロロメタン(DCM、8.0L)中の4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(化合物1、880g、2.221mol)を仕込んだ。この懸濁液に塩酸の2-プロパノール溶液(5.8N、2.7L、15.66mol、7.05当量)を添加した。この混合物を35℃に加熱した。4時間後に、この反応混合物をtert-ブチルメチルエーテル(TBME、4.5L)で希釈した。得られた混合物を室温に冷却し、ろ過し、TBME(2.0L)で洗浄した。このケーキを施設共用設備による真空下、フィルター上で24時間乾燥して、5-ブロモ-7-(ピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン二塩酸塩(化合物2、848g、103%)を淡褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 9.53 - 9.29 (m, 3H), 8.23 (s, 1H), 6.91 (s, 1H), 3.38 (tt, J = 11.8, 3.6 Hz, 1H), 3.30 (d, J = 12.4 Hz, 2H), 3.00 (dtd, J = 12.8, 10.1, 2.6 Hz, 2H), 2.07 (dd, J = 14.1, 3.8 Hz, 2H), 1.97 - 1.87 (m, 2H) ppm;
13C NMR (101 MHz, DMSO-d
6) δ 150.34, 139.32, 138.92, 113.24, 109.67, 95.70, 43.06, 30.57, 26.89 ppm;C
11H
14BrN
5 (MW 295.0), LCMS (EI) m/e 296.0 (M
+ + H)。
【0294】
ステップ2 1-(4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物3)
機械式撹拌機、熱電対、還流凝縮器、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、N-メチルピペリジノン(NMP、10L)中の5-ブロモ-7-(ピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン二塩酸塩(化合物2、1300g、3.522mol)を仕込んだ。この懸濁液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1593g、12.3mol)を添加した。この混合物を10℃に冷却し、その後イソブチリルクロリド(388g、3.645mol)を投入した。この反応混合物を室温で撹拌し、HPLCにより監視した。追加のイソブチリルクロリド(22.5g、0.211mol)を添加して、全ての出発物質を消費させた。反応が完結したところで、この反応混合物をセライトパッドに通してろ過した。得られたろ液を10℃に冷却し、水(26L)を徐々に加えて生成物を沈殿させた。この固体をろ取し、水(12L)で洗浄した。このケーキを施設共用設備による真空下、フィルター上で48時間乾燥して、1-(4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物3、1095g、85%)を淡褐色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.86 (s, 1H), 6.64 (s, 1H), 4.51 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 4.01 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.35 - 3.30 (m, 1H), 3.12 (t, J = 12.3 Hz, 1H), 2.91 - 2.84 (m, 1H), 2.64 (t, J = 12.1 Hz, 1H), 2.02 - 1.93 (m, 2H), 1.55 - 1.42 (m, 2H), 1.02 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.00 (d, J = 6.5 Hz, 3H) ppm;13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 174.50, 155.68, 148.37, 135.22, 111.36, 110.65, 87.27, 45.34, 41.67, 32.91, 31.30, 30.33, 29.49, 20.03, 19.87 ppm;C15H20BrN5O (MW 365.09), LCMS (EI) m/e 366.1 (M+ + H)。
【0295】
ステップ3 1-(4-(4-アミノ-5-(4-アミノフェニル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物5)
機械式撹拌機、マントルヒーター、熱電対、還流凝縮器、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、1-ブタノール(7.7L)及び水(1.4L)中の1-(4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物3、700g、1.911mol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(化合物4、502g、2.293mol)、及び炭酸カリウム(528g、3.822mol)を仕込んだ。この混合物に、室温で、クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(XPhos Pd G2、90g、115mmol)を添加した。この反応混合物を脱気し、窒素を再充填した後80℃まで加熱した。80℃で2時間後、この反応混合物にn-ヘプタン(8L)を加えた。得られたスラリーを室温に冷却した。固体をろ取し、水(6L)で洗浄した。このケーキを施設共用設備による真空下、フィルター上で72時間乾燥して、1-(4-(4-アミノ-5-(4-アミノフェニル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物5、648g、90%)を褐色固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.85 (s, 1H), 7.09 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.65 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.43 (s, 1H), 5.24 (s, 2H), 4.53 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 4.04 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.38 (ddd, J = 11.8, 8.2, 3.8 Hz, 1H), 3.16 (t, J = 12.7 Hz, 1H), 2.87 (p, J = 6.7 Hz, 1H), 2.71 - 2.66 (m, 1H), 2.08 - 2.00 (m, 2H), 1.61 - 1.58 (m, 2H), 1.02 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.00 (d, J = 6.5 Hz, 3H) ppm;13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 174.51, 156.31, 148.51, 147.65, 133.98, 130.35, 122.57, 119.37, 114.57, 109.67, 108.85, 45.48, 41.81, 32.97, 31.50, 30.56, 29.50, 20.06, 19.89 ppm;C21H26N6O (MW 378.48), LCMS (EI) m/e 379.2 (M+ + H)。
【0296】
ステップ4 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物I)
機械式撹拌機、熱電対、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、テトラヒドロフラン(THF、10L)中の1-(4-(4-アミノ-5-(4-アミノフェニル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物5、944g、2.494mol)、及び1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸塩酸塩(化合物6、801g、2.569mol)を仕込んだ。この反応混合物にトリエチルアミン(NEt3、0.695L、4.988mol)を添加した。反応が完結したところで、この反応混合物を2つの22L丸底フラスコ中に均等に分割した。それぞれのフラスコに室温で水(8L)を投入した。固体をろ取した。得られた湿潤ケーキを22Lの丸底フラスコに戻した。このフラスコにTHF(3.2L)及び水(10.5L)を投入した。このスラリーを55℃に加熱し、55℃で2時間撹拌した。固体を30℃でろ取し、水(8L)で洗浄した。このケーキを施設共用設備による真空下、フィルター上で72時間乾燥して、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物I、1425g、90%)を淡褐色固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.82 (s, 1H), 8.71(s, 1H), 8.64 (ddd, J = 4.8, 1.8, 0.8 Hz, 1H), 8.06 (td, J = 7.7, 1.9 Hz, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.77 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.60 - 7.53 (m, 2H), 7.43 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.58 (s, 1H), 4.78 (hept, J = 6.8 Hz, 1H), 4.54 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 4.06 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 3.40 (tt, J = 11.7, 3.5 Hz, 1H), 3.20 (t, J = 12.3 Hz, 1H), 2.91 (hept, J = 6.7 Hz, 1H), 2.69 (t, J = 12.3 Hz, 1H), 2.06 (dd, J = 27.7, 12.3 Hz, 2H), 1.61 (q, J = 11.8 Hz, 1H), 1.55 - 1.47 (m, 1H), 1.44 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.02 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.00 (d, J = 6.8 Hz, 3H) ppm;13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 174.51, 163.02, 160.31, 156.20, 150.18, 149.98, 149.18, 148.08, 147.79, 139.55, 137.51, 134.45, 131.24, 130.23, 125.09, 124.57, 120.46, 117.98, 109.90, 109.35, 105.27, 51.17, 45.46, 41.79, 32.97, 31.48, 30.54, 29.49, 21.09 (2 -CH3), 20.07, 19.89 ppm;C34H37N9O4 (MW 635.73), LCMS (EI) m/e 636.3 (M+ + H)。
【0297】
ステップ5 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩(化合物Iマレイン酸塩、形態I)
機械式撹拌機、加熱ジャケット、熱電対、還流凝縮器、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた50Lの反応器に、室温で、メタノール(MeOH、10L)及びジクロロメタン(DCM、20L)中のN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物I、1401g、2.204mol)を仕込んだ。このスラリーを50℃に加熱して、溶液を形成した。この溶液に活性炭(70g)及びシリカゲル(70g)を添加した。50℃で2時間撹拌した後、この混合物をセライトパッドに通してろ過した。ろ液にマレイン酸(269g、2.314mol)を添加した。DCMの大部分を大気圧下で留去した。固体が徐々に沈殿した。この固体を18℃でろ取し、MeOH(3L)で洗浄した。このケーキを施設共用設備による真空下、フィルター上で72時間乾燥して、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩(化合物Iマレイン酸塩、1425g、86%)を灰白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.83 (s, 1H), 8.71 (s, 1H), 8.65 - 8.63 (m, 1H), 8.06 (td, J = 7.8, 1.9 Hz, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.77 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.58 - 7.55 (m, 2H), 7.44 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.62 (s, 1H), 6.25 (s, 2H), 4.78 (hept, J = 6.7 Hz, 1H), 4.54 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 4.06 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 3.40 (tt, J = 11.6, 3.2 Hz, 1H), 3.20 (t, J = 12.3 Hz, 1H), 2.90 (hept, J = 6.6 Hz, 1H), 2.69 (t, J = 12.1 Hz, 1H), 2.09 -2.01 (m, 2H), 1.65 - 1.57 (m, 1H), 1.56 - 1.49 (m, 1H), 1.44 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.02 (d, J = 5.5 Hz, 3H), 1.00 (d, J = 5.5 Hz, 3H) ppm;13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 174.52, 167.21, 163.03, 160.33, 155.20, 150.18, 149.99, 149.18, 148.07, 146.26, 139.55, 137.67, 135.32, 131.34, 130.87, 130.22, 125.09, 124.57, 120.49, 119.30, 109.80, 109.47, 105.26, 51.17, 45.43, 41.76, 32.97, 31.45, 30.53, 29.50, 21.09 (2 -CH3), 20.06, 19.89 ppm;C34H37N9O4 (遊離塩基, MW 635.73), LCMS (EI) m/e 636.3 (M+ + H)。
【0298】
例2 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩(非晶性)(化合物IIヘミ硫酸塩)の合成
スキーム2
【化8】
ステップ1 5-ブロモ-7-(ピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン二塩酸塩(化合物2)
機械式撹拌機、マントルヒーター、熱電対、還流凝縮器、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、ジクロロメタン(DCM、8.0L)中の4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(化合物1、880g、2.221mol)を仕込んだ。この懸濁液に塩酸の2-プロパノール溶液(5.8N、2.7L、15.66mol、7.05当量)を添加した。この混合物を35℃で4時間加熱した。この反応混合物をtert-ブチルメチルエーテル(TBME、4.5L)で希釈し、室温に冷却した。このスラリーをろ過し、TBME(2.0L)で洗浄した。このケーキを施設共用設備による真空下、フィルター上で24時間乾燥して、5-ブロモ-7-(ピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン二塩酸塩(化合物2、848g、103%)を淡褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 9.53 - 9.29 (m, 3H), 8.23 (s, 1H), 6.91 (s, 1H), 3.38 (tt, J = 11.8, 3.6 Hz, 1H), 3.30 (d, J = 12.4 Hz, 2H), 3.00 (dtd, J = 12.8, 10.1, 2.6 Hz, 2H), 2.07 (dd, J = 14.1, 3.8 Hz, 2H), 1.97 - 1.87 (m, 2H) ppm;
13C NMR (101 MHz, DMSO-d
6) δ 150.34, 139.32, 138.92, 113.24, 109.67, 95.70, 43.06, 30.57, 26.89 ppm;C
11H
14BrN
5 (MW 295.0), LCMS (EI) m/e 296.0 (M
+ + H)。
【0299】
ステップ2 1-(4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物3)
機械式撹拌機、熱電対、還流凝縮器、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、N-メチルピペリジノン(NMP、10L)中の5-ブロモ-7-(ピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン二塩酸塩(化合物2、1300g、3.522mol)を仕込んだ。この懸濁液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1593g、12.3mol)を添加した。この混合物を10℃に冷却し、イソブチリルクロリド(388g、3.645mol)で処理した。この反応混合物を室温まで加温しながら撹拌し、HPLCにより監視した。追加のイソブチリルクロリド(22.5g、0.211mol)を添加して、全ての出発物質を消費させた。反応が完結したところで、この反応混合物をセライトパッドに通してろ過した。得られたろ液を10℃に冷却し、水(26L)を徐々に加えて生成物を沈殿させた。この固体をろ取し、水(12L)で洗浄した。このケーキを真空下、フィルター上で48時間乾燥して、1-(4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物3、1095g、85%)を淡褐色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.86 (s, 1H), 6.64 (s, 1H), 4.51 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 4.01 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.35 - 3.30 (m, 1H), 3.12 (t, J = 12.3 Hz, 1H), 2.91 - 2.84 (m, 1H), 2.64 (t, J = 12.1 Hz, 1H), 2.02 - 1.93 (m, 2H), 1.55 - 1.42 (m, 2H), 1.02 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.00 (d, J = 6.5 Hz, 3H) ppm;13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 174.50, 155.68, 148.37, 135.22, 111.36, 110.65, 87.27, 45.34, 41.67, 32.91, 31.30, 30.33, 29.49, 20.03, 19.87 ppm;C15H20BrN5O (MW 365.09), LCMS (EI) m/e 366.1 (M+ + H)。
【0300】
ステップ3 1-(4-(4-アミノ-5-(4-アミノフェニル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物5)
機械式撹拌機、マントルヒーター、熱電対、還流凝縮器、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、1-ブタノール(7.7L)及び水(1.4L)中の1-(4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物3、700g、1.911mol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(化合物4、502g、2.293mol)、及び炭酸カリウム(528g、3.822mol)を仕込んだ。この混合物を室温にて、クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(XPhos Pd G2、90g、115mmol)で処理した。この反応混合物を脱気し、窒素を再充填した後80℃まで加熱した。80℃で2時間後、この反応混合物をn-ヘプタン(8L)で希釈した。得られたスラリーを室温に冷却した。固体をろ取し、水(6L)で洗浄した。このケーキを真空下、フィルター上で72時間乾燥して、1-(4-(4-アミノ-5-(4-アミノフェニル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物5、648g、90%)を褐色固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.85 (s, 1H), 7.09 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.65 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.43 (s, 1H), 5.24 (s, 2H), 4.53 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 4.04 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.38 (ddd, J = 11.8, 8.2, 3.8 Hz, 1H), 3.16 (t, J = 12.7 Hz, 1H), 2.87 (p, J = 6.7 Hz, 1H), 2.71 - 2.66 (m, 1H), 2.08 - 2.00 (m, 2H), 1.61 - 1.58 (m, 2H), 1.02 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.00 (d, J = 6.5 Hz, 3H) ppm;13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 174.51, 156.31, 148.51, 147.65, 133.98, 130.35, 122.57, 119.37, 114.57, 109.67, 108.85, 45.48, 41.81, 32.97, 31.50, 30.56, 29.50, 20.06, 19.89 ppm;C21H26N6O (MW 378.48), LCMS (EI) m/e 379.2 (M+ + H)。
【0301】
ステップ4 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物II)
機械式撹拌機、熱電対、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、テトラヒドロフラン(THF、5L)中の1-(4-(4-アミノ-5-(4-アミノフェニル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オン(化合物5、450g、1.189mol)、及び1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸(化合物7、342g、1.248mol)を仕込んだ。この反応混合物をトリエチルアミン(NEt3、241g、2.278mol)、次いで2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスファート(V)(HATU、565g、1.486mol)で逐次的に処理した。反応が完結したところで、この反応混合物に室温で水(8L)を加えた。固体をろ取した。得られた湿潤ケーキを22Lの丸底フラスコに戻し、THF(2.7L)及び水(5.4L)でスラリー化した。このスラリーを55℃に加熱し、55℃で2時間撹拌した。30℃に冷却後、この固体をろ取し、水(8L)で洗浄した。このケーキを真空下、フィルター上で2日間乾燥して、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物II、717g、95%)を淡褐色固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.03 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 7.82 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.55 - 7.46 (m, 5H), 7.38 - 7.36 (m, 2H), 6.85 (s, 1H), 4.79 (hept, J = 6.8 Hz, 1H), 4.55 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 4.08 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.43 (tt, J = 11.8, 3.5 Hz, 1H), 3.21 (t, J = 12.4 Hz, 1H), 2.90 (hept, J = 6.7 Hz, 1H), 2.70 (t, J = 12.2 Hz, 1H), 2.02 (dd, J = 23.0, 13.5 Hz, 2H), 1.66 (q, J = 11.8, 11.3 Hz, 1H), 1.53 (q, J = 12.2, 11.7 Hz, 1H), 1.44 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.03 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.01 (d, J = 7.0 Hz, 3H) ppm;13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 174.55, 163.26, 160.65, 152.60, 150.48, 147.46, 142.27, 138.14, 137.56, 135.87, 130.21, 129.89, 129.50, 129.12, 129.05, 122.72, 120.55, 111.00, 108.35, 105.10, 50.94, 45.35, 41.67, 32.98, 31.40, 30.50, 29.49, 21.19 (2 -CH3), 20.06, 19.89 ppm;C35H38N8O4 (MW 634.74), LCMS (EI) m/e 635.3 (M+ + H)。
【0302】
ステップ5 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩(化合物II塩酸塩)
機械式撹拌機、熱電対、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、メタノール(MeOH、5.6L)中のN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物II、713g、1.123mol)を仕込んだ。この混合物を55℃に加熱し、硫酸(H2SO4、116g、1.179mol)の水(1L)溶液で処理した。55℃で30分間撹拌した後、減圧下で溶媒を2.8L留去した。この反応混合物を室温に冷却した。得られた固体をろ取し、MeOH(0.7L)で洗浄した。このケーキを真空下、フィルター上で2日間乾燥して、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩(化合物II塩酸塩、744g、90%)を黄色固体として得た。
【0303】
ステップ6 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩(化合物IIヘミ硫酸塩)
機械式撹拌機、熱電対、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、水(16L)中のN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩(化合物II塩酸塩、729g、0.995mol)を仕込んだ。このスラリーを35℃に加熱し、3日間撹拌した。固体をろ取し、水(10L)で洗浄した。この湿潤ケーキを真空下、フィルター上で乾燥して、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩(化合物IIヘミ硫酸塩、644g、95%)を灰白色固体として得た。
【0304】
ステップ7 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩、非晶性
2Lの丸底フラスコに、室温で、アセトン(500mL)及びメタノール(500mL)中のN-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩(化合物IIヘミ硫酸塩、40g、58.5mmol)を仕込んだ。この溶液をろ紙に通して、3Lの丸底フラスコ中にろ過した。このろ液を減圧下で濃縮し、ほとんどの溶媒を除去した。得られた発泡した固体を、施設共用設備による真空下、50℃の真空オーブン中で、窒素を掃引しながら乾燥して、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヘミ硫酸塩(化合物IIの非晶性のヘミ硫酸塩、38g、95%)を淡黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.01 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.07 (s, 1H), 7.80 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.55 - 7.45 (m, 5H), 7.38 - 7.36 (m, 2H), 6.74 (s, 1H), 4.79 (hept, J = 6.8 Hz, 1H), 4.55 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 4.07 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 3.42 (tt, J = 11.8, 3.3 Hz, 1H), 3.24 - 3.18 (m, 1H), 2.91 (hept, J = 6.7 Hz, 1H), 2.70 (t, J = 12.0 Hz, 1H), 2.07 - 1.99 (m, 2H), 1.68 - 1.51 (m, 2H), 1.44 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.03 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.01 (d, J = 7.0 Hz, 3H) ppm;13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 174.55, 163.26, 160.65, 152.60, 150.48, 147.46, 142.28, 138.14, 137.56, 135.87, 130.21, 129.89, 129.50, 129.12, 129.05, 122.72, 120.55, 111.00, 108.35, 105.10, 50.94, 45.35, 41.67, 32.98, 31.40, 30.50, 29.49, 21.19 (2 -CH3), 20.06, 19.89 ppm;C35H38N8O4 (MW 634.74), LCMS (EI) m/e 635.3 (M+ + H);酸滴定、硫酸塩:遊離塩基=0.50;硫黄の元素分析、計算値2.34%、実測値2.29%。
【0305】
例3 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物II)の別途合成
スキーム3
【化9】
ステップ1 1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-N-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物8)
機械式撹拌機、熱電対、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた5Lの四つ口丸底フラスコに、室温で、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、1.2L)中の1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸(化合物7、202g、0.736mol)及び4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(169g、0.773mol)を仕込んだ。この混合物に室温で2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスファート(V)(HATU、336g、0.884mmol)を添加した。15℃より低い内部温度に冷却した後、この混合物にトリエチルアミン(NEt
3、97g、0.957mol)を添加した。次いで、この反応混合物を15~25℃で4時間撹拌した。水(1.2L)をゆっくりと加えて、生成物を沈殿させた。固体をろ取し、水(3×0.6L)で洗浄した。このケーキを50℃の真空オーブン中で、窒素を穏やかに掃引しながら乾燥して、1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-N-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物8、363g、104%)を白色固体として得た。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 10.99 (s, 1H), 8.65 (s, 1H), 7.68 - 7.63 (m, 4H), 7.53 - 7.51 (m, 2H), 7.48 - 7.45 (m, 1H), 7.36 (dd, J = 8.2, 1.2 Hz, 2H), 4.78 (hept, J = 6.8 Hz, 1H), 1.43 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.29 (s, 12H) ppm;
13C NMR (150 MHz, DMSO-d
6) δ 163.24, 160.69, 150.46, 147.50, 141.32, 135.96, 135.83, 129.47, 129.09, 129.03, 124.09, 119.19, 105.10, 83.98, 50.89, 25.14, 21.18 ppm;C
26H
30BN
3O
5 (MW 475.35), LCMS (EI) m/e 476.3 (M
+ + H)。
【0306】
ステップ2 4-(4-アミノ-5-(4-(1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド)フェニル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(化合物9)
機械式撹拌機、還流凝縮器、熱電対、マントルヒーター、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、1,4-ジオキサン(6.0L)及び水(1.1L)中の4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(化合物1、557g、1.406mol)、1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-N-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物8、735g、1.546mol)、及びリン酸三カリウム(K3PO4、597g、2.811mol)を仕込んだ。この混合物を脱気し、窒素雰囲気で再充填した。この反応混合物にクロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(XPhos Pd G2、77g、98mmol)を添加した。この反応混合物を脱気し、窒素雰囲気で再充填し、80℃に加熱した。80℃で3時間撹拌した後、この反応混合物に水(6.0L)を1時間かけて加えた。得られた固体を20℃でろ取し、水(2×3.0L)及びn-ヘプタン(2×2.0L)で洗浄した。このケーキを22Lの丸底フラスコに戻し、室温で酢酸エチル(EtOAc、6.0L)及びメチルtert-ブチルエーテル(MTBE、2.2L)中でスラリー化した。この懸濁液を55℃に加熱し、2時間撹拌した。この混合物を20℃に冷却した後、固体をろ取し、MTBE(2×1.0L)で洗浄した。このケーキを真空下、ろ過用ロート上で2日間乾燥し、4-(4-アミノ-5-(4-(1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド)フェニル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(化合物9、827g、85%)を淡褐色固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.97 (s, 1H), 8.67 (s, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.78 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.54 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.48 - 7.46 (m, 1H), 7.43 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.38 - 7.36 (m, 2H), 6.58 (s, 1H), 4.79 (hept, J = 6.7 Hz, 1H), 4.08 - 4.03 (m, 2H), 3.34 - 3.28 (m, 1 H), 2.89 (s, 2H), 1.99 (d, J = 11.4 Hz, 2H), 1.56 (qd, J = 12.7, 4.1 Hz, 2H), 1.44 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.42 (s, 9H) ppm;13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 163.25, 160.57, 156.20, 154.33, 150.49, 147.78, 147.40, 135.56, 135.89, 134.56, 131.20, 130.24, 129.49, 129.12, 129.03, 120.42, 117.99, 109.88, 109.35, 105.16, 79.08, 50.91, 43.90, 32.71, 30.54, 28.59, 21.11 ppm;C36H40N8O5 (MW 664.76), LCMS (EI) m/e 665.3 (M+ + H)。
【0307】
ステップ3 N-(4-(4-アミノ-7-(ピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド二塩酸塩(化合物10)
機械式撹拌機、還流凝縮器、熱電対、マントルヒーター、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、ジクロロメタン(DCM、4.5L)中の4-(4-アミノ-5-(4-(1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド)フェニル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(化合物9、737g、1.053mol)を仕込んだ。この懸濁液に塩酸の2-プロパノール溶液(5.8N IPA溶液、1.474L、8.549mol、8.12当量)を添加した。この混合物を35~40℃に加熱した。35~40℃で3時間後、この反応混合物を15℃に冷却した。水(0.4L)を加え、この混合物を15℃で1時間撹拌した。この混合物をDCM(9.0L)で希釈した。固体をろ取し、DCM(2×0.2L)で洗浄した。このケーキを真空下、ろ過用ロート上で2日間乾燥し、N-(4-(4-アミノ-7-(ピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド二塩酸塩(630g、94%)を針状固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.03 (s, 1H), 9.31 - 9.21 (m, 3H), 8.68 (s, 1H), 8.29 (s, 1H), 7.83 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.55 - 7.46 (m, 5H), 7.38 - 7.37 (m, 2H), 6.80 (s, 1H), 4.83 (hept, J = 6.8 Hz, 1H), 3.50 (tt, J = 11.7, 3.4 Hz, 1H), 3.35 (d, J = 12.4 Hz, 2H), 3.08 (q, J = 12.5 Hz, 2H), 2.18 - 2.15 (m, 2H), 1.99 - 1.96 (m, 2H), 1.44 (d, J = 6.8 Hz, 6H) ppm;13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 163.26, 160.70, 150.47, 150.38, 147.52, 138.68, 138.59, 138.06, 135.86, 130.21, 129.50, 129.12, 129.05, 128.76, 126.12, 120.66, 111.81, 107.49, 105.09, 50.96, 43.19, 30.65, 27.07, 21.19 ppm;C31H32N8O3 (MW 564.64), LCMS (EI) m/e 565.3 (M+ + H)。
【0308】
ステップ4 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物II)
機械式撹拌機、熱電対、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、ジクロロメタン(DCM、17.6L)中のN-(4-(4-アミノ-7-(ピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド二塩酸塩(608g、0.954mol)を仕込んだ。この懸濁液に水酸化ナトリウム水溶液(NaOH、1N、3.815L、3.815mol)を添加した。室温で1時間撹拌した後、この混合物を0~5℃に冷却し、イソブチリルクロリド(107g、1.001mol)で処理した。この反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応が完結したところで、この混合物をセライトパッドに通してろ過した。有機相を分離し、水(2×2.5L)で洗浄し、減圧下で濃縮した。残渣にDCM(2.4L)及びメチルtert-ブチルエーテル(MTBE、9.7L)を加えた。この混合物を50℃に加熱し、1時間撹拌した。室温に冷却した後、得られた固体をろ取した。このケーキを真空下、フィルター上で24時間乾燥して、N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物II、548g、91%)を淡黄色固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.03 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 7.82 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.55 - 7.46 (m, 5H), 7.38 - 7.36 (m, 2H), 6.85 (s, 1H), 4.79 (hept, J = 6.8 Hz, 1H), 4.55 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 4.08 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.43 (tt, J = 11.8, 3.5 Hz, 1H), 3.21 (t, J = 12.4 Hz, 1H), 2.90 (hept, J = 6.7 Hz, 1H), 2.70 (t, J = 12.2 Hz, 1H), 2.02 (dd, J = 23.0, 13.5 Hz, 2H), 1.66 (q, J = 11.8, 11.3 Hz, 1H), 1.53 (q, J = 12.2, 11.7 Hz, 1H), 1.44 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.03 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.01 (d, J = 7.0 Hz, 3H) ppm;13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 174.55, 163.26, 160.65, 152.60, 150.48, 147.46, 142.27, 138.14, 137.56, 135.87, 130.21, 129.89, 129.50, 129.12, 129.05, 122.72, 120.55, 111.00, 108.35, 105.10, 50.94, 45.35, 41.67, 32.98, 31.40, 30.50, 29.49, 21.19 (2 -CH3), 20.06, 19.89 ppm;C35H38N8O4 (MW 634.74), LCMS (EI) m/e 635.3 (M+ + H)。
【0309】
例4 4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(スキーム1及び2の化合物1)の合成
スキーム4
【化10】
ステップ1 4-(4-アミノピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチル(化合物13)
機械式撹拌機、マントルヒーター、熱電対、還流冷却器、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた3Lの丸底フラスコに、室温で、1,4-ジオキサン(876mL)中の7-ブロモピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン(化合物11、100g、469mmol)及び4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチル(化合物12、174g、563mmol)を仕込んだ。この反応フラスコに炭酸カリウム(130g、939mmol)及び水(218g)を逐次的に添加した。この混合物を真空に曝すことにより脱気し、窒素雰囲気で再充填することを3回行った。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4、13.56g、11.7mmol)を添加した後、室温でこの反応混合物を脱気し、窒素で再充填することを3回行った。次いで、この反応混合物を85~90℃に加熱し、その温度で16時間撹拌した。反応が完結したところで、水(900mL)を30分で加え、その間内部温度は50℃を超えていた。この混合物を室温に冷却した。固体が徐々に沈殿した。この固体を18℃でろ取し、水(2×250mL)及びメチルtert-ブチルエーテル(MTBE、3×200mL)で洗浄した。湿潤ケーキを反応フラスコに戻し、MTBE(750mL)中、50℃で1時間撹拌した。この固体を室温でろ取した。このケーキを50℃の真空オーブン中で、窒素を掃引しながら72時間乾燥して、4-(4-アミノピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチル(化合物13、123.7g、84%)を褐色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6) δ 7.89 (s, 1H), 7.69 (s, 2H), 7.00 (s, 1H), 6.91 (d, J = 4.6 Hz, 1 H), 6.69 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 4.06 (s, 2H), 3.55 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 2.59 - 2.52 (m, 2H), 1.43 (s, 9H) ppm;C
16H
21N
5O
2 (MW 315.37), LCMS (EI) m/e 316.1 (M
+ + H)。
【0310】
ステップ2 4-(4-アミノピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(化合物14)
2-Lフラスコに、室温で、酢酸(1000mL)中の4-(4-アミノピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチル(化合物13、50.0g、159mmol)及び酸化白金(IV)(10.0g、44mmol)を仕込んだ。このフラスコを、50psiの水素ガス共存下にParr Shaker上に載置した。16時間後、この反応混合物をセライトパッド(50g)に通してろ過し、メタノール(500mL)で洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮した。残渣に室温でメチルtert-ブチルエーテル(MTBE、600mL)を加えた。このMTBE溶液に炭酸カリウム(約50g)の水(1200mL)溶液を添加して、pH値を6~7に調整した。固体をろ取し、水(2×300mL)及びn-ヘプタン(2×300mL)で洗浄した。このケーキを50℃の真空オーブン中で、窒素を掃引しながら16時間乾燥して、4-(4-アミノピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(化合物14、49.3g、98%)を淡褐色固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.82 (s, 1H), 7.59 (s, 2H), 6.81 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 6.44 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 4.05 (d, J = 11.3 Hz, 2H), 3.25 (tt, J = 11.8, 3.3 Hz, 1H), 2.88 (s, 2H), 1.95 (d, J = 11.9 Hz, 2H), 1.51 (qd, J = 12.6, 4.0 Hz, 2H), 1.42 (s, 9H) ppm;C16H23N5O2 (MW 317.39), LCMS (EI) m/e 318.1 (M+ + H)。
【0311】
ステップ3 4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(化合物1)
機械式撹拌機、熱電対、還流凝縮器、窒素流入口、及び窒素排出口を備えた22Lの五つ口丸底フラスコに、室温で、テトラヒドロフラン(THF、14.0L)中の4-(4-アミノピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(化合物14、730g、2.30mol)を仕込んだ。この混合物を0~5℃に冷却した。内部温度を15℃より低く維持しながら、この反応混合物にN-ブロモスクシンイミド(NBS、409g、2.30mol)を5分間で添加した。10℃より低い温度で1時間撹拌した後、一部の溶媒(9.0L)を減圧下で除去した。残りの溶液に、炭酸水素ナトリウム(140g、1.67mol)の水(14.0L)溶液を5分間かけて添加した。固体が沈殿した。この固体をろ取し、水(7.0L)及びn-ヘプタン(4L)で洗浄した。この湿潤ケーキを施設共用設備による真空下、フィルター上で48時間乾燥して、4-(4-アミノ-5-ブロモピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(化合物1、886g、97%)を褐色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.86 (s, 1H), 6.66 (s, 1H), 4.04 (d, J = 11.0 Hz, 2H), 3.30-3.23 (m, 1H), 2.86 (br.s, 2H), 1.92 (d, J = 12.4 Hz, 2H), 1.50 (qd, J = 12.8, 4.1 Hz, 2H), 1.41 (s, 9H) ppm;13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 155.68, 154.29, 148.35, 135.37, 111.31, 110.68, 87.29, 79.10, 43.97, 32.63, 30.37, 28.58 ppm;C16H22BrN5O2 (MW 395.10), LCMS (EI) m/e 396.1 (M+ + H)。
【0312】
例5 1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸(スキーム2及び3の化合物7)
ステップ1 2-((3-フェニルウレイド)メチレン)マロン酸ジエチル
【化11】
1,2-ジクロロエタン(20mL)中の(アミノメチレン)マロン酸ジエチル(6.0g、32mmol)及びフェニルイソシアナート(3.8mL、35mmol)の混合物に、室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(7.2mL、42mmol)を添加した。次いでこの反応混合物を70℃で終夜撹拌し、室温に冷却し、Et
2O(50mL)を加え、更に30分間撹拌した。得られた固体をろ取し、エーテルで洗浄し、乾燥して、生成物を白色固体として得た(4.88g、50%)。LCMS C
15H
19N
2O
5 (M+H)
+に対する計算値:m/z = 307.1。実測値:307.2。
【0313】
ステップ2 2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸エチル
【化12】
EtOH(20mL)中の、前ステップ由来の2-((3-フェニルウレイド)メチレン)マロン酸ジエチル(4.88g、15.9mmol)及び2.5M NaOEtのEtOH溶液(13mL、32mmol)を室温で1時間撹拌した。得られた混合物をEtOAcで希釈し、1Nクエン酸で洗浄/酸性化し、水、飽和食塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で脱水し、濃縮して粗生成物を白色固体として得て、これを次のステップに直接使用した(4.1g、99%)。LCMS C
13H
13N
2O
4 (M+H)
+に対する計算値:m/z = 261.1。実測値:261.1。
【0314】
ステップ3 1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸エチル
【化13】
DMF(20mL)中の、前ステップ由来の2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸エチル(1.50g、5.76mmol)、ヨウ化イソプロピル(1.2mL、12mmol)、及びCS
2CO
3(5.6g、17mmol)の混合物を50℃で5時間撹拌した。次いでこの反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、水、飽和食塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で脱水し、濃縮して粗生成物を得て、これを次のステップに直接使用した。LCMS C
16H
19N
2O
4 (M+H)
+に対する計算値:m/z = 303.1。実測値:303.1。
【0315】
ステップ4 1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸
【化14】
4.0M HClの1,4-ジオキサン溶液(9.8mL、39mmol)及び水(2.1mL)中の、前ステップ由来の1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸エチル(1.70g、5.62mmol)の混合物を60℃で4時間撹拌し、室温に冷却し、水を加えた。次いで得られた固体をろ取して(水洗)、生成物を白色固体として得た(1.1g、71%)。LCMS C
14H
15N
2O
4 (M+H)
+に対する計算値:m/z = 275.1。実測値:275.1。
【0316】
例6 1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸(スキーム1の化合物6)の合成
ステップ1 2-((3-ピリジン-2-イルウレイド)メチレン)マロン酸ジエチル
【化15】
室温の1,2-ジクロロエタン(9.0mL)中の2-(アミノメチレン)マロン酸ジエチル(3.0g、16.0mmol)及び2-イソシアナトピリジン(2.02g、16.8mmol)の混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.6mL、20.8mmol)を添加した。次いでこの反応混合物を70℃で終夜撹拌し、室温に冷却し、カラムクロマトグラフィー(CH
2Cl
2中0%~15%のMeOH)により直接精製して、生成物(3.18g、65%)を得た。LCMS C
14H
18N
3O
5 (M+H)
+に対する計算値:m/z = 308.1。実測値:308.1。
【0317】
ステップ2 1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸
【化16】
EtOH(25mL)中の2-((3-(ピリジン-2-イル)ウレイド)メチレン)マロン酸ジエチル(3.18g、10.4mmol)及び2.5M NaOEtのEtOH溶液(6.2mL、15.5mmol)の混合物を室温で3時間撹拌した。得られた混合物をEtOAcで希釈し、1Nクエン酸溶液(30mL)で洗浄/酸性化した。有機層を分離し、水層を3:1のCHCl3/イソプロピルアルコール(30mL×3)で更に抽出した。ひとつにまとめた有機層をNa
2SO
4上で脱水し、濃縮して、粗生成物である2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸エチルを得て、これを次のステップに直接使用した。LCMS C
12H
12N
3O
4 (M+H)
+に対する計算値:m/z = 262.1。実測値:262.2。
【0318】
DMF(35mL)中の、前ステップ由来の粗製2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸エチル(2.06mL、20.7mmol)及びCS2CO3(10.1g、31.0mmol)の混合物を70℃で3時間撹拌した。次いでこの反応混合物を室温に冷却し、3:1のCHCl3/イソプロピルアルコール(75mL)で希釈し、水、飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4上で脱水し、濃縮して、粗生成物である1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸エチルを得て、これを次のステップに直接使用した。LCMS C15H18N3O4 (M+H)+に対する計算値:m/z = 304.1。実測値:304.1。
【0319】
4M HClの1,4-ジオキサン溶液(20mL、82mmol)及び水(5.0mL)中の、前ステップ由来の粗製1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸エチルの混合物を80℃で5時間撹拌し、室温に冷却し、濃縮した。次いで得られた物質をカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中0%~15%のMeOH)により精製して、生成物をわずかに黄色味がかった固体として得た(1.50g、3ステップで47%)。LCMS C13H14N3O4 (M+H)+に対する計算値:m/z = 276.1。実測値:276.1。
【0320】
例7 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩(化合物Iマレイン酸塩、形態I)の固体状態のキャラクタリゼーション
化合物Iマレイン酸塩の粉末X線回折(XRPD)
粉末X線回折(XRPD)はRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、K
βフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は、開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。XRPDパターンを
図1に示し、XRPDデータを表1に示す。
【表1】
【0321】
化合物Iマレイン酸塩(形態I)の示差走査熱量測定(DSC)
DSCは、自動試料供給装置を備えたTA Instruments Differential Scanning Calorimetry, Model Q200から得た。DSCの装置条件は以下のとおり、すなわち、10℃/分で30~300℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びリッド;50mL/分の窒素気体流速であった。DSC曲線を
図2に示す。このDSC曲線により、開始温度202.9℃、ピーク温度211.0℃の主たる吸熱事象が明らかになり、これは当該化合物の融解及び分解温度であると考えられる。
【0322】
化合物Iマレイン酸塩(形態I)の熱重量分析(TGA)
TGAはTA Instrument Thermogravimetric Analyzer, Model Q500から得た。TGAの全般的な実験条件は、20℃/分で20℃~600℃の温度勾配;窒素パージ、40mL/分の気体流速、その後パージ流速を均衡化;60mL/分の試料パージ流速;白金製試料パンであった。TGA曲線を
図3に示す。150℃までに約0.7%の重量減少が観測され、水分及び残留溶媒の消失に伴うものと考えられた。この化合物は200℃を超えると顕著に分解を開始する。
【0323】
化合物Iマレイン酸塩(形態I)の溶解度
化合物Iマレイン酸塩の溶解度を25±1℃及び50±1℃で測定した。25±1℃における溶解度の試験の全般的な手順は以下のとおりである。すなわち、1)3mLの表1Aに掲げたそれぞれの溶媒を個々のバイアルにとり、2)化合物Iマレイン酸塩を添加して、25℃で濁った溶液を形成し、3)更に15~20mgの化合物Iマレイン酸塩を添加し、4)この混合物を25±1℃で48時間撹拌し、5)シリンジフィルターを用いて上清をろ過し、6)この飽和溶液をMeOHで希釈し、HPLCにより分析した。50±1℃における溶解度の試験の全般的な手順は以下のとおりである。すなわち、1)3mLの表1Aに掲げたそれぞれの溶媒を個々のバイアルにとり、2)化合物Iマレイン酸塩を添加して、50℃で濁った溶液を形成し、3)更に20~25mgの化合物Iマレイン酸塩を添加し、4)この混合物を50±1℃で24時間撹拌し、5)50±1℃に加温したシリンジフィルターを用いて上清をろ過し、6)この飽和溶液をMeOHで希釈し、HPLCにより分析した。結果を表1Aにまとめる。
【表2】
【0324】
その他の結晶性の塩
式Iの化合物の他の結晶性の塩、HCl塩、一硫酸塩、ヘミ硫酸塩、メシル酸塩、及びベシル酸塩などを見出し、調製した。
【0325】
例8 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの塩(化合物IIの塩)の調製
化合物IIの塩を下記の表2の手順に従って調製した。これらの塩をXRPD、DSC、及びTGAにより分析した(例9~15を参照のこと)。
【表3-1】
【表3-2】
【0326】
例9 化合物IIリン酸塩の固体状態のキャラクタリゼーション
化合物IIリン酸塩の粉末X線回折(XRPD)による検討
化合物IIリン酸塩をXRPDによってキャラクタライズした。XRPDはRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、Kβフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。
【0327】
化合物IIリン酸塩のXRPDパターンを
図4に示し、XRPDデータを表3に示す。
【表4】
【0328】
化合物IIリン酸塩の示差走査熱量測定(DSC)による検討
化合物IIリン酸塩をDSCによってキャラクタライズした。DSCは、自動試料供給装置を備えたTA Instruments Differential Scanning Calorimetry, Model Q200から得た。DSCの装置条件は以下のとおり、すなわち、10℃/分で30~350℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びリッド;ならびに50mL/分の窒素気体流速であった。
【0329】
化合物IIリン酸塩のDSC曲線を
図5に示す。このDSC曲線により、開始温度252.6℃、ピーク温度257.2℃の主たる吸熱事象が明らかになり、これは当該化合物の融解/分解であると考えられる。
【0330】
化合物IIリン酸塩の熱重量分析(TGA)による検討
化合物IIリン酸塩をTGAによってキャラクタライズした。TGAはTA Instrument Thermogravimetric Analyzer, Model Q500から得た。TGAの全般的な実験条件は、20℃/分で20℃~600℃の温度勾配;窒素パージ、40mL/分の気体流速、その後パージ流速を均衡化;60mL/分の試料パージ流速;白金製試料パンであった。
【0331】
化合物IIリン酸塩のTGA曲線を
図6に示す。200℃までに約1.8%の重量減少が観測され、水分または残留溶媒の消失に伴うものと考えられた。230℃を超えると顕著な重量減少が観測され、これは当該化合物の分解に伴うものであると考えられた。
【0332】
例10 化合物IIマレイン酸塩の固体状態のキャラクタリゼーション
化合物IIマレイン塩の粉末X線回折(XRPD)による検討
化合物IIマレイン酸塩をXRPDによってキャラクタライズした。XRPDはRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、Kβフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は、開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。
【0333】
化合物IIマレイン酸塩のXRPDパターンを
図7に示し、XRPDデータを表4に示す。
【表5】
【0334】
化合物IIマレイン酸塩の示差走査熱量測定(DSC)による検討
化合物IIマレイン酸塩をDSCによってキャラクタライズした。DSCは、自動試料供給装置を備えたTA Instruments Differential Scanning Calorimetry, Model Q200から得た。DSCの装置条件は以下のとおり、すなわち、10℃/分で30~300℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びリッド;ならびに50mL/分の窒素気体流速であった。
【0335】
化合物IIマレイン酸塩のDSC曲線を
図8に示す。このDSC曲線により、第1の事象の開始温度が183.4℃、ピーク温度が194.8℃、それに続く第2の事象の開始温度が233.4℃、ピーク温度が239.7℃である2つの主たる吸熱事象が明らかになった。
【0336】
化合物IIマレイン酸塩の熱重量分析(TGA)による検討
化合物IIマレイン酸塩をTGAによってキャラクタライズした。TGAはTA Instrument Thermogravimetric Analyzer, Model Q500から得た。TGAの全般的な実験条件は、20℃/分で20℃~600℃の温度勾配;窒素パージ、40mL/分の気体流速、その後パージ流速を均衡化;60mL/分の試料パージ流速;白金製試料パンであった。
【0337】
化合物IIマレイン酸塩のTGA曲線を
図9に示す。125℃までに約1.8%の重量減少が観測され、水分または残留溶媒の消失に伴うものと考えられた。175℃を超えると顕著な重量減少が観測され、これは当該化合物の分解に伴うものであると考えられた。
【0338】
例11 化合物IIヘミ硫酸塩の固体状態のキャラクタリゼーション
化合物IIヘミ硫酸塩の粉末X線回折(XRPD)による検討
化合物IIヘミ硫酸塩をXRPDによってキャラクタライズした。XRPDはRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、Kβフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は、開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。
【0339】
化合物IIヘミ硫酸塩のXRPDパターンを
図10に示し、XRPDデータを表5に示す。
【表6】
【0340】
化合物IIヘミ硫酸塩の示差走査熱量測定(DSC)による検討
化合物IIヘミ硫酸塩をDSCによってキャラクタライズした。DSCは、自動試料供給装置を備えたTA Instruments Differential Scanning Calorimetry, Model Q200から得た。DSCの装置条件は以下のとおり、すなわち、10℃/分で30~350℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びリッド;ならびに50mL/分の窒素気体流速であった。
【0341】
化合物IIヘミ硫酸塩のDSC曲線を
図11に示す。このDSC曲線により、開始温度283.8℃、ピーク温度289.4℃の主たる吸熱事象が明らかになり、これは当該化合物の融解/分解であると考えられる。
【0342】
化合物IIヘミ硫酸塩の熱重量分析(TGA)による検討
化合物IIヘミ硫酸塩をTGAによってキャラクタライズした。TGAはTA Instrument Thermogravimetric Analyzer, Model Q500から得た。TGAの全般的な実験条件は、20℃/分で20℃~600℃の温度勾配;窒素パージ、40mL/分の気体流速、その後パージ流速を均衡化;60mL/分の試料パージ流速;白金製試料パンであった。
【0343】
化合物IIヘミ硫酸塩のTGA曲線を
図12に示す。100℃までに約1.5%の重量減少が観測され、水分または残留溶媒の消失に伴うものと考えられた。200℃を超えると顕著な重量減少が観測され、これは当該化合物の分解に伴うものであると考えられた。
【0344】
例12 化合物II塩酸塩の固体状態のキャラクタリゼーション
化合物II塩酸塩の粉末X線回折(XRPD)による検討
化合物II塩酸塩をXRPDによってキャラクタライズした。XRPDはRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、Kβフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は、開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。
【0345】
化合物II塩酸塩のXRPDパターンを
図13に示し、XRPDデータを表6に示す。
【表7】
【0346】
化合物II塩酸塩の示差走査熱量測定(DSC)による検討
化合物II塩酸塩をDSCによってキャラクタライズした。DSCは、自動試料供給装置を備えたTA Instruments Differential Scanning Calorimetry, Model Q200から得た。DSCの装置条件は以下のとおり、すなわち、10℃/分で30~300℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びリッド;ならびに50mL/分の窒素気体流速であった。
【0347】
化合物II塩酸塩のDSC曲線を
図14に示す。このDSC曲線により、開始温度183.5℃、ピーク温度190.0℃の主たる吸熱事象が明らかになり、これは当該化合物の融解/分解であると考えられる。
【0348】
化合物II塩酸塩の熱重量分析(TGA)による検討
化合物II塩酸塩をTGAによってキャラクタライズした。TGAはTA Instrument Thermogravimetric Analyzer, Model Q500から得た。TGAの全般的な実験条件は、20℃/分で20℃~600℃の温度勾配;窒素パージ、40mL/分の気体流速、その後パージ流速を均衡化;60mL/分の試料パージ流速;白金製試料パンであった。
【0349】
化合物II塩酸塩のTGA曲線を
図15に示す。200℃までに約5.9%の重量減少が観測され、水分または残留溶媒の消失に伴うものと考えられた。200℃を超えると顕著な重量減少が観測され、これは当該化合物の分解に伴うものであると考えられた。
【0350】
例13 化合物IIサリチル酸塩の固体状態のキャラクタリゼーション
化合物IIサリチル酸塩の粉末X線回折(XRPD)による検討
化合物IIサリチル酸塩をXRPDによってキャラクタライズした。XRPDはRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、Kβフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は、開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。
【0351】
化合物IIサリチル酸塩のXRPDパターンを
図16に示し、XRPDデータを表7に示す。
【表8】
【0352】
化合物IIサリチル酸塩の示差走査熱量測定(DSC)による検討
化合物IIサリチル酸塩をDSCによってキャラクタライズした。DSCは、自動試料供給装置を備えたTA Instruments Differential Scanning Calorimetry, Model Q200から得た。DSCの装置条件は以下のとおり、すなわち、10℃/分で30~300℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びリッド;ならびに50mL/分の窒素気体流速であった。
【0353】
化合物IIサリチル酸塩のDSC曲線を
図17に示す。このDSC曲線により3つの主たる吸熱事象、すなわち、開始温度176.0℃、ピーク温度181.7℃の第1の吸熱事象、開始温度209.9℃、ピーク温度224.9℃の第2の吸熱事象、及び開始温度254.7℃、ピーク温度264.5℃の第3の吸熱事象が明らかになった。
【0354】
化合物IIサリチル酸塩の熱重量分析(TGA)による検討
化合物IIサリチル酸塩をTGAによってキャラクタライズした。TGAはTA Instrument Thermogravimetric Analyzer, Model Q500から得た。TGAの全般的な実験条件は、20℃/分で20℃~600℃の温度勾配;窒素パージ、40mL/分の気体流速、その後パージ流速を均衡化;60mL/分の試料パージ流速;白金製試料パンであった。
【0355】
化合物IIサリチル酸塩のTGA曲線を
図18に示す。第1のステップにおいて、250℃までに約8.1%の重量減少が観測された。300℃を超えると顕著な重量減少が観測され、これは当該化合物の分解に伴うものであると考えられた。
【0356】
例14 化合物IIメシル酸塩の固体状態のキャラクタリゼーション
化合物IIメシル酸塩の粉末X線回折(XRPD)による検討
化合物IIメシル酸塩をXRPDによってキャラクタライズした。XRPDはRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、Kβフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は、開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。
【0357】
化合物IIメシル酸塩のXRPDパターンを
図19に示し、XRPDデータを表8に示す。
【表9】
【0358】
化合物IIメシル酸塩の示差走査熱量測定(DSC)による検討
化合物IIメシル酸塩をDSCによってキャラクタライズした。DSCは、自動試料供給装置を備えたTA Instruments Differential Scanning Calorimetry, Model Q200から得た。DSCの装置条件は以下のとおり、すなわち、10℃/分で30~300℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びリッド;ならびに50mL/分の窒素気体流速であった。
【0359】
化合物IIメシル酸塩のDSC曲線を
図20に示す。このDSC曲線により、開始温度166.3℃、ピーク温度174.8℃の主たる吸熱事象が明らかになり、これは当該化合物の融解/分解であると考えられる。
【0360】
化合物IIメシル酸塩の熱重量分析(TGA)による検討
化合物IIメシル酸塩をTGAによってキャラクタライズした。TGAはTA Instrument Thermogravimetric Analyzer, Model Q500から得た。TGAの全般的な実験条件は、20℃/分で20℃~600℃の温度勾配;窒素パージ、40mL/分の気体流速、その後パージ流速を均衡化;60mL/分の試料パージ流速;白金製試料パンであった。
【0361】
化合物IIメシル酸塩のTGA曲線を
図21に示す。100℃までに約2.3%の重量減少が観測され、水分または残留溶媒の消失に伴うものと考えられた。200℃を超えると顕著な重量減少が観測され、これは当該化合物の分解に伴うものであると考えられた。
【0362】
例15 化合物IIエシル酸塩の固体状態のキャラクタリゼーション
化合物IIエシル酸塩の粉末X線回折(XRPD)による検討
化合物IIエシル酸塩をXRPDによってキャラクタライズした。XRPDはRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、Kβフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は、開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。
【0363】
化合物IIエシル酸塩のXRPDパターンを
図22に示し、XRPDデータを表9に示す。
【表10】
【0364】
化合物IIエシル酸塩の示差走査熱量測定(DSC)による検討
化合物IIエシル酸塩をDSCによってキャラクタライズした。DSCは、自動試料供給装置を備えたTA Instruments Differential Scanning Calorimetry, Model Q200から得た。DSCの装置条件は以下のとおり、すなわち、10℃/分で30~300℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びリッド;ならびに50mL/分の窒素気体流速であった。
【0365】
化合物IIエシル酸塩のDSC曲線を
図23に示す。このDSC曲線により、開始温度180.4℃、ピーク温度187.7℃の主たる吸熱事象が明らかになり、これは当該化合物の融解/分解であると考えられる。
【0366】
化合物IIエシル酸塩の熱重量分析(TGA)による検討
化合物IIエシル酸塩をTGAによってキャラクタライズした。TGAはTA Instrument Thermogravimetric Analyzer, Model Q500から得た。TGAの全般的な実験条件は、20℃/分で20℃~600℃の温度勾配;窒素パージ、40mL/分の気体流速、その後パージ流速を均衡化;60mL/分の試料パージ流速;白金製試料パンであった。
【0367】
化合物IIエシル酸塩のTGA曲線を
図24に示す。100℃までに約1.6%の重量減少が観測され、水分または残留溶媒の消失に伴うものと考えられた。200℃を超えると顕著な重量減少が観測され、これは当該化合物の分解に伴うものであると考えられた。
【0368】
例16 N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩の他の結晶形態(化合物Iマレイン酸塩、形態II~V)の調製
化合物Iマレイン酸塩形態II、III、IV、及びVの形成の実験手順を表10にまとめる。
【表11】
【0369】
例17 化合物Iマレイン酸塩、形態IIの固体状態のキャラクタリゼーション
化合物Iマレイン酸塩、形態IIの粉末X線回折(XRPD)
粉末X線回折(XRPD)はRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、Kβフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は、開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。
【0370】
化合物Iマレイン酸塩の形態IIのXRPDパターンを
図25に示し、XRPDデータを表11に示す。
【表12】
【0371】
例18 化合物Iマレイン酸塩、形態IIIの固体状態のキャラクタリゼーション
粉末X線回折(XRPD)はRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、Kβフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は、開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。
【0372】
化合物Iマレイン酸塩の形態IIIのXRPDパターンを
図26に示し、XRPDデータを表12に示す。
【表13】
【0373】
化合物Iマレイン酸塩、形態IIIの示差走査熱量測定(DSC)による検討
化合物Iマレイン酸塩の形態IIIをDSCによってキャラクタライズした。DSCは、自動試料供給装置を備えたTA Instruments Differential Scanning Calorimetry, Model Q200から得た。DSCの装置条件は以下のとおり、すなわち、10℃/分で30~300℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びリッド;ならびに50mL/分の窒素気体流速であった。
【0374】
化合物Iマレイン酸塩、形態IIIのDSC曲線を
図27に示す。このDSC曲線により、2つの吸熱事象、すなわち、開始温度143.9℃、ピーク温度165.4℃の第1の吸熱事象、及び開始温度186.3℃、ピーク温度195.4℃の第2の吸熱事象が明らかになった。
【0375】
化合物Iマレイン酸塩、形態IIIの熱重量分析(TGA)による検討
化合物Iマレイン酸塩の形態IIIをTGAによってキャラクタライズした。TGAはTA Instrument Thermogravimetric Analyzer, Model Q500から得た。TGAの全般的な実験条件は、20℃/分で20℃~600℃の温度勾配;窒素パージ、40mL/分の気体流速、その後パージ流速を均衡化;60mL/分の試料パージ流速;白金製試料パンであった。
【0376】
化合物Iマレイン酸塩、形態IIIのTGA曲線を
図28に示す。
【0377】
例19 化合物Iマレイン酸塩、形態IVの固体状態のキャラクタリゼーション
粉末X線回折(XRPD)はRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、Kβフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は、開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。
【0378】
化合物Iマレイン酸塩の形態IVのXRPDパターンを
図29に示し、XRPDデータを表13に示す。
【表14】
【0379】
化合物Iマレイン酸塩、形態IVの示差走査熱量測定(DSC)による検討
化合物Iマレイン酸塩の形態IVをDSCによってキャラクタライズした。DSCは、自動試料供給装置を備えたTA Instruments Differential Scanning Calorimetry, Model Q200から得た。DSCの装置条件は以下のとおり、すなわち、10℃/分で30~300℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びリッド;ならびに50mL/分の窒素気体流速であった。
【0380】
化合物Iマレイン酸塩、形態IVのDSC曲線を
図30に示す。このDSC曲線により、2つの吸熱事象、すなわち、開始温度145.7℃、ピーク温度152.1℃の第1の吸熱事象、及び開始温度188.3℃、ピーク温度202.6℃の第2の吸熱事象が明らかになった。
【0381】
化合物Iマレイン酸塩、形態IVの熱重量分析(TGA)による検討
化合物Iマレイン酸塩の形態IVをTGAによってキャラクタライズした。TGAはTA Instrument Thermogravimetric Analyzer, Model Q500から得た。TGAの全般的な実験条件は、20℃/分で20℃~600℃の温度勾配;窒素パージ、40mL/分の気体流速、その後パージ流速を均衡化;60mL/分の試料パージ流速;白金製試料パンであった。
【0382】
化合物Iマレイン酸塩、形態IVのTGA曲線を
図31に示す。
【0383】
例20 化合物Iマレイン酸塩、形態Vの固体状態のキャラクタリゼーション
粉末X線回折(XRPD)はRigaku MiniFlex X-ray Powder Diffractometer (XRPD)から得た。XRPDの全般的な実験手順は以下のとおりであった。すなわち、(1)銅由来の1.054056ÅのX線放射、Kβフィルター使用、(2)X線出力30KV、15mA、(3)試料粉末をゼロバックグラウンド試料ホルダー上に分散させた。XRPDの全般的な測定条件は、開始角3度、終了角45度;サンプリング0.02度;走査速度2度/分であった。
【0384】
化合物Iマレイン酸塩の形態VのXRPDパターンを
図32に示し、XRPDデータを表14に示す。
【表15】
【0385】
化合物Iマレイン酸塩、形態Vの示差走査熱量測定(DSC)による検討
化合物Iマレイン酸塩の形態VをDSCによってキャラクタライズした。DSCは、自動試料供給装置を備えたTA Instruments Differential Scanning Calorimetry, Model Q200から得た。DSCの装置条件は以下のとおり、すなわち、10℃/分で30~300℃;Tzeroアルミニウム試料パン及びリッド;ならびに50mL/分の窒素気体流速であった。
【0386】
化合物Iマレイン酸塩、形態VのDSC曲線を
図33に示す。このDSC曲線により、開始温度189.1℃、ピーク温度200.1℃の吸熱事象が明らかになった。
【0387】
化合物Iマレイン酸塩、形態Vの熱重量分析(TGA)による検討
化合物Iマレイン酸塩の形態VをTGAによってキャラクタライズした。TGAはTA Instrument Thermogravimetric Analyzer, Model Q500から得た。TGAの全般的な実験条件は、20℃/分で20℃~600℃の温度勾配;窒素パージ、40mL/分の気体流速、その後パージ流速を均衡化;60mL/分の試料パージ流速;白金製試料パンであった。
【0388】
化合物Iマレイン酸塩、形態VのTGA曲線を
図34に示す。
【0389】
例A
Axl自己リン酸化アッセイ
50mM Tris(pH7.5)、0.2mg/ml Axl、5mM ATP、20mM MgCl2、及び2mM DTTを含有する緩衝液中で組換えAxlタンパク質(Life Technologies, PV4275)を室温で1時間インキュベートすることにより、Axlの自己リン酸化を行った。
【0390】
TAM酵素アッセイ
キナーゼアッセイ緩衝液は、50mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、1mM EGTA、0.01% NP-40、及び2mM DTTを含有していた。0.1ulの試験化合物のDMSO溶液を、化合物プレートから白色の384穴アッセイプレート(Greiner LUMITRACプレート)に移した。DMSOの最終濃度は1.25%であった。5.1nMリン酸化Axl、または0.0625nM c-Mer(Carna Biosciences、08-108)、または0.366nM Tyro3(Life Technologies、PR7480A)をアッセイ緩衝液中で調製した。ペプチド基質ビオチン-EQEDEPEGDYFEWLE-アミド配列番号1(Quality Controlled Biochemicals, MA)の1mM原液を、2000uM ATPを含有するアッセイ緩衝液中で1uMに希釈した。4ulの酵素溶液(または酵素ブランク試験用のアッセイ緩衝液)を各プレートの然るべきウェルに添加し、次いで4ul/ウェルの基質溶液を添加して反応を開始させた。プレートを遮光し、室温で60分間インキュベートした。50mM Tris-HCl(pH7.8)、150mM NaCl、0.05% BSA、45mM EDTA、180nM SA-APC(PerkinElmer、CR130-100)、及び3nM Eu-W1024抗リン酸化チロシンPY20(PerkinElmer、AD0067)を含有する4ulの検出溶液を添加することによって反応を停止させた。このプレートを室温で1時間インキュベートし、HTRF(均一時間分解蛍光)シグナルをPHERAstar FSプレートリーダー(BMG labtech)上で測定した。各濃度について阻害の百分率を計算し、GraphPad Prismソフトウェアを用いた曲線近似からIC50値を導き出した。
【0391】
式I及びIIの化合物は、AXL、MER、及びTYRO3の1種以上の阻害剤であることが判明した。式I及びIIの化合物のトリフルオロ酢酸塩についてのIC
50データが米国特許出願第15/469,975号に開示され、該データを以下の表15に示す。記号「†」は≦5nMのIC
50を示し、「††」は>5nMであるが≦10nMのIC
50を示し、「†††」は>10nMであるが≦100nMのIC
50を示す。
【表16】
【0392】
例B BAF3-AXL、BAF3-MER、及びBAF3-TYRO3細胞の生成及び細胞増殖アッセイ
二量体化配列及びHAタグと融合したAXL、MER、またはTYRO3の細胞質ドメインを、ピューロマイシン耐性マーカーをもつpMSCVベクター中にクローニングして、3種の構築物(pMSCV-AXL、pMSCV-MER、及びpMSCV-TYRO3)を生成させる。電気穿孔法により、BAF3細胞を個別に上記3種の構築物でトランスフェクトする。IL3非依存性且つピューロマイシン耐性である単一のクローンを選択し、キャラクタライズする。AXL、MER、またはTYRO3の発現が安定している細胞を選択し、BAF3-AXL、BAF3-MER、及びBAF3-TYRO3細胞と名付ける。
【0393】
BAF3、BAF3-AXL、BAF3-MER、またはBAF3-TYRO3細胞株を10% FBSを含むRPMI1640(Gibco/Life Technologies, Carlsbad, CA)中で維持する。細胞生存率に対する被検化合物の効果を測定するために、1000細胞/ウェルを、384穴の組織培養プレート中、化合物の段階希釈液またはDMSOのみを含む増殖培地に播種し、5% CO2下、37℃で48時間インキュベートし、細胞生存率を、ATPアッセイ(CellTiter-Glo Assay, Promega)により、製造元の手順に従って測定する。データをDMSO対照に対する阻害率に変換し、IC50曲線をGraphPad Prismソフトウェアを使用して曲線近似する。
【0394】
例C BaF3-AXL ELISA及びBaF3-MER ELISA
BaF3-AXLまたはBaF3-MER細胞を10% FBS及びピューロマイシン(1μg/ml、Gibco/Life Technologies, Carlsbad, CA)を含むRPMI培地中で維持する。リン酸化AXLまたはリン酸化MERに対する被検化合物の効果を測定するために、細胞を、V底ポリプロピレンプレート(Greiner bio-one)中、培地中で希釈した被検化合物の存在下または非存在下で播種し(5×104細胞/ウェル)、5% CO2下、37℃で1時間インキュベートする。遠心分離により細胞を回収し、110μlの、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Halts PI, ThermoFisher)を含む氷冷溶解緩衝液(Cell Signaling)中、氷上で30分間溶解する。細胞溶解物を-80℃で保存し、ELISAを行う。Costarプレートを抗HA抗体(1μg/ml)と共に室温で1時間インキュベートすることによりELISAプレートを調製する。このプレートを洗浄し、3% BSAを含むPBSでブロックする。細胞溶解物をELISAプレートに加え、4℃で終夜インキュベートする。このプレートを洗浄し、DELFIAアッセイ緩衝液(PerkinElmer)中でLANCE Eu-W1024抗リン酸化チロシン抗体(PY-20)(PerkinElmer)と共に1時間インキュベートし、Pherastar(BMG Labtech)上で読み取る。データをDMSO対照に対する阻害率に変換し、GraphPad Prismを使用して、阻害剤濃度の対数に対する阻害率の曲線を近似することによりIC50を決定する。
【0395】
例D H1299リン酸化AXL ELISA
Axlを発現するヒト非小細胞肺癌細胞株であるH1299細胞(ATCC)を、10% FBS(Gibco/Life Technologies, Carlsbad, CA)を含む培地RPMI中で維持する。リン酸化AXLに対する被検化合物の効果を測定するために、上記細胞を96穴組織培養プレート(Costar)に播種し(30000細胞/ウェル)、5% CO2下、37℃で終夜インキュベートする。然るべき濃度の化合物を添加し、5% CO2下、37℃で1時間インキュベートする。rhGas6(R&D Systems、6μg/ml)を各ウェルに添加する。プレートを5% CO2下、37℃で15分間インキュベートする。細胞を回収し、110μLの、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Halts PI, ThermoFisher)を含む氷冷溶解緩衝液(Cell Signaling)中で溶解する。溶解物を氷上で1時間インキュベートし、-80℃で保存し、ELISAを行う。Costarプレートを抗HA抗体(1μg/ml)と共に室温で1時間インキュベートすることによりELISAプレートを調製する。このプレートを洗浄し、3% BSAを含むPBSでブロックする。細胞溶解物をELISAプレートに加え、4℃で終夜インキュベートする。このプレートを洗浄し、DELFIAアッセイ緩衝液(PerkinElmer)中でLANCE Eu-W1024抗リン酸化チロシン抗体(PY-20)(PerkinElmer)と共に1時間インキュベートし、Pherastar(BMG Labtech)上で読み取る。データをDMSO対照に対する阻害率に変換し、GraphPad Prismを使用して、阻害剤濃度の対数に対する阻害率の曲線を近似することによりIC50を決定する。
【0396】
例E 全血H1299リン酸化AXL ELISA
H1299細胞(ATCC)を、10% FBSを含む培地RPMI(Gibco/Life Technologies, Carlsbad, CA)中で維持する。リン酸化AXLに対する被検化合物の効果を測定するために、上記細胞を96穴組織培養プレート(Costar)に播種し(30000細胞/ウェル)、5% CO2下、37℃で終夜インキュベートする。正常なドナーから得た血液を被検化合物と1時間混合する。H1299細胞から培地を除去し、化合物を含む血液を各ウェルに添加する。5% CO2下、37℃で1時間インキュベートした後、rh-Gas6(4μg/ml、R&D Systems)を各ウェルに添加する。プレートを5% CO2下、37℃で15分間インキュベートする。細胞を回収し、110uLの、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Halts PI, ThermoFisher)を含む氷冷溶解緩衝液(Cell Signaling)中、氷上で1時間溶解する。プレートを-80℃で保存し、ELISAを行う。Costarプレートを抗HA抗体(1ug/ml)と共に室温で1時間インキュベートすることによりELISAプレートを調製する。このプレートを洗浄し、3% BSAを含むPBSでブロックする。細胞溶解物をELISAプレートに加え、4℃で終夜インキュベートする。このプレートを洗浄し、DELFIAアッセイ緩衝液(PerkinElmer)中でLANCE Eu-W1024抗リン酸化チロシン抗体(PY-20)(PerkinElmer)と共に1時間インキュベートし、Pherastar(BMG Labtech)上で読み取る。データをDMSO対照に対する阻害率に変換し、GraphPad Prismを使用して、阻害剤濃度の対数に対する阻害率の曲線を近似することによりIC50を決定する。
【0397】
例F G361リン酸化Akt CellInsight ELISA
Merを発現するヒト悪性黒色腫細胞株であるG361細胞(ATCC)を、10% FBSを含む培地RPMI(Gibco/Life Technologies, Carlsbad, CA)中で維持する。MERシグナル伝達経路に対する被検化合物の効果を測定するために、上記細胞を96穴CellBind表面プレート(Corning)に、100μLの容量中、2×104細胞/ウェルで播種し、5% CO2下、37℃で終夜インキュベートする。20μLの然るべき濃度の被験化合物を上記細胞に添加し、1時間インキュベートする。rhGas6(4μg/ml、R&D Systems)を各ウェルに添加し、20分間インキュベートする。50uLの4%パラホルムアルデヒド(Electron Microscopy Sciences)のPBS(Corning)溶液を室温で30分間添加することにより細胞を固定化する。プレートを洗浄し、50uLの0.2% tritonX-100(Sigma)のPBS溶液と共に室温で10分間インキュベートする。プレートを洗浄し、100uLのブロッキング緩衝液(0.1% BSAのPBS溶液)と共に30分間インキュベートする。プレートを洗浄し、0.1% BSA中で希釈した(1:300希釈)リン酸化AKT(Ser473)(D9E)ウサギmAb(Cell Signaling)と共に4℃で終夜インキュベートする。プレートを洗浄し、50uLのAlexaflour 488ヤギ抗ウサギIgG(H+L)のF(ab’)2フラグメント(Molecular Probes、1:1000希釈)及びHoechst 33342(ThermoFisher、1:2000希釈)のPBS溶液と共に、室温で2時間インキュベートする。プレートをPBSで洗浄し、CellInsight CX5(ThermoFisher)上で読み取る。
【0398】
本明細書に記載されているものに加えて、本発明の様々な変更は、前述の説明から当業者には明らかであろう。かかる変更も添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本出願で引用された全ての特許、特許出願、及び刊行物を含む各引用文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
N-(4-(4-アミノ-7-(1-イソブチリルピペリジン-4-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-3-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドマレイン酸塩である塩。