IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アクアインテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-移送装置 図1
  • 特開-移送装置 図2
  • 特開-移送装置 図3
  • 特開-移送装置 図4
  • 特開-移送装置 図5
  • 特開-移送装置 図6
  • 特開-移送装置 図7
  • 特開-移送装置 図8
  • 特開-移送装置 図9
  • 特開-移送装置 図10
  • 特開-移送装置 図11
  • 特開-移送装置 図12
  • 特開-移送装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059682
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】移送装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/40 20230101AFI20240423BHJP
【FI】
C02F1/40 F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018092
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2022163775の分割
【原出願日】2016-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】508165490
【氏名又は名称】アクアインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】増田 智也
(72)【発明者】
【氏名】大原 利隆
(57)【要約】
【課題】吐出させる流体の量を抑え、かつ、簡易な構造により、水面に浮遊した被移送物を移送することができる移送装置を提供する。
【解決手段】流路Sにつながり水中に没する吸込口5aが設けられた流路形成部材5と、流路S内に流体を吐出する吐出口7aと、水中に没する流入口3aが設けられ流路形成部材5を囲う仕切部材3とを備え、流入口3aは、水面に浮遊したスカムScを仕切部材3と流路形成部材5との間の周辺領域R1に流入させる開口であり、吸込口5aは、周辺領域R1に流入したスカムScを流路S内に吸い込む開口であり、流路Sは、流路S内に吸い込まれたスカムScが流体の吐出方向下流側に向かって移動する経路であり、流路形成部材5と仕切部材3は、吐出方向下流側に向かうに従い水面に近づくように傾斜した姿勢で配置されたものであり、吐出口7aは、流路形成部材5の傾斜した姿勢に沿って流体を吐出するものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を形成するものであって、該流路につながり水中に没する吸込口が設けられた流路形成部材と、
前記流路内に流体を吐出する吐出口と、
水中に没する流入口が設けられ、前記流路形成部材を囲う仕切部材とを備え、
前記流入口は、水面に浮遊した被移送物を、前記流路内に流体が吐出されることで前記仕切部材と前記流路形成部材との間の領域に流入させる開口として機能するものであり、
前記吸込口は、前記流路内に流体が吐出されることで、前記仕切部材と前記流路形成部材との間の領域に流入した前記被移送物を該流路内に吸い込む開口として機能するものであり、
前記流路は、該流路内に吸い込まれた前記被移送物が、該流路内に流体が吐出されることで該流体の吐出方向下流側に向かって移動する経路として機能するものであり、
前記流路形成部材と前記仕切部材は、前記吐出方向下流側に向かうに従い水面に近づくように傾斜した姿勢で配置されたものであり、
前記吐出口は、前記流路形成部材の傾斜した姿勢に沿って流体を吐出するものであることを特徴とする移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水面に浮遊した被移送物を移送する移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場の導水渠や沈殿池等には、水面に浮遊したスカム等の被移送物を、スカムピット等に向けて移送する移送装置が設けられている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
図13は、特許文献1記載の移送装置を上方から見た様子の模式図である。特許文献1に記載された移送装置6は、図の左側から右側に向けて汚水が流れていく導水渠9において、汚水の水面から100mm~200mm程度上方に設けられた複数のスプレーノズル61を備えている。これら複数のスプレーノズル61は、導水渠9の幅方向(図13では上下方向)に所定の間隔で配置されるとともに、スカムSc(被移送物)の移送方向(図13では左側から右側に向かう方向)にも所定の間隔で複数列配置されている。特許文献1に記載された移送装置6では、複数のスプレーノズル61から、不図示のスカムピット等に向かう移送方向に略水平に圧力水やエアーが吐出される。これにより、水面上にスカムピットに向かう気流や吹送流を発生させ、この気流等によって、水面に浮遊したスカムをスカムピット等に向けて移送するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-303883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された移送装置6では、スプレーノズル61から吐出される圧力水等が拡散してしまい、被移送物を移送できる気流等を水面上の広い範囲に発生させることは難しい。このため、図13では、スプレーノズル61から吐出される圧力水等が効力を及ぼすことができる範囲を一点鎖線で囲んだ白抜きで示すように、一つのスプレーノズル61によって被移送物(スカムSc)を移送できる水面上の範囲は限定的になってしまう。この結果、スカムScが浮遊する水面上(図では、水面上にまとまった状態で浮遊しているスカムにSc0の符号を付している)に、それぞれ間隔をあけて多数のスプレーノズル61を配置しなければならず、さらに、これら多数のスプレーノズル61に圧力水等を供給する多数の配管62も必要になる等、装置が大掛りになってしまう。その上、多数のスプレーノズル61から吐出させる圧力水等も大量に必要になる。また、スプレーノズル61からエアーを吐出する態様では、吐出したエアーによってスカムScが乾燥して固まってしまう場合がある。このように固まってしまったスカムScは水面上を動きにくくなるため、さらに多くのエアーを吐出させなければならないという問題もある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、吐出させる流体の量を抑え、かつ、簡易な構造により、水面に浮遊した被移送物を移送することができる移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の移送装置は、流路を形成するものであって、該流路につながり水中に没する吸込口が設けられた流路形成部材と、
前記流路内に流体を吐出する吐出口と、
水中に没する流入口が設けられ、前記流路形成部材を囲う仕切部材とを備え、
前記流入口は、水面に浮遊した被移送物を、前記流路内に流体が吐出されることで前記仕切部材と前記流路形成部材との間の領域に流入させる開口として機能するものであり、
前記吸込口は、前記流路内に流体が吐出されることで、前記仕切部材と前記流路形成部材との間の領域に流入した前記被移送物を該流路内に吸い込む開口として機能するものであり、
前記流路は、該流路内に吸い込まれた前記被移送物が、該流路内に流体が吐出されることで該流体の吐出方向下流側に向かって移動する経路として機能するものであり、
前記流路形成部材と前記仕切部材は、前記吐出方向下流側に向かうに従い水面に近づくように傾斜した姿勢で配置されたものであり、
前記吐出口は、前記流路形成部材の傾斜した姿勢に沿って流体を吐出するものであることを特徴とする移送装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吐出させる流体の量を抑え、かつ、簡易な構造により、水面に浮遊した被移送物を移送することができる移送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の移送装置が設けられた導水渠を上方から見た平面図である。
図2図1に示す導水渠のA-A線断面図である。
図3図1に示す移送装置のB-B線断面図である。
図4】(a)は、第1変形例の移送装置を示す図であり、(b)は、第2変形例の移送装置を示す図である。
図5】(a)は、第3変形例の移送装置を示す図であり、(b)は、第4変形例の移送装置を示す図である。
図6】(a)は、第5変形例の移送装置を示す図であり、(b)は、第6変形例の移送装置を示す図である。
図7】(a)は、第7変形例の移送装置を示す図であり、(b)は、第8変形例の移送装置を示す図である。
図8】第9変形例の移送装置を示す図である。
図9】第10変形例の移送装置を示す図である。
図10】第11変形例の移送装置を示す図である。
図11】本発明の第2実施形態の移送装置が設けられた伏せ越し構造の概略構成図である。
図12図11に示す伏せ越し管のC-C線断面図である。
図13】特許文献1記載の移送装置を上方から見た様子の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の移送装置は、水面に浮遊する被移送物を移送する様々な設備や構造等に採用することができ、例えば、下水処理場における導水渠や沈殿池、あるいは下水管の伏せ越し構造等に好適に適用することができる。本実施形態では、最初沈殿池や最終沈殿池の導水渠に設けられ、水面に浮遊するスカムを移送する移送装置を例に挙げて説明する。すなわち、本実施形態では、スカムが被移送物の一例に相当する。導水渠は、下水処理場における、沈砂池やばっ気槽等から受け入れた汚水を、複数の沈殿池に分配する水路であり、水面に浮遊するスカムは、スカムピットに回収される。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態の移送装置が設けられた導水渠を上方から見た平面図であり、図2は、図1に示す導水渠のA-A線断面図である。なお、図1では、導水渠9から汚水が分配される複数の沈殿池Pの一部も示している。
【0012】
図1に示すように、導水渠9は、上方から見て左右方向に長い長方形状の水路であり、不図示の沈砂池等から送られてきた汚水を受け入れる流水部91と、この流水部91とは塞止壁93で仕切られたスカムピット92を有している。流水部91は、汚水を図の左側から受け入れるものであり、受け入れた汚水は、図の右側に設けられたスカムピット92に向けて流れ、塞止壁93で塞き止められる。また、流水部91には、汚水が流水部91を流れる方向に並設された複数の沈殿池Pが、連通口94を介して接続されている。流水部91を流れていく汚水は、それぞれの連通口94からそれぞれの沈殿池Pに流れ込むことで分配され、それぞれの沈殿池Pに流れ込んだ汚水は、図の下方に向かって流れていく。
【0013】
図1および図2に示すように、流水部91には移送装置1が設けられている。この移送装置1を駆動させる前は、流水部91の汚水Wの水面WL(図2参照)には、その全域にスカムScが浮遊している。図1および図2では、詳しくは後述するように、移送装置1の吐出口7aから水が吐出されることによってスカムScが図の右側に移送され、塞止壁93の近傍に集められている様子を示している。すなわち、スカムScは、流水部91の長手方向に移送され、図1および図2では、左側から右側に向かう方向が、流体が吐出される吐出方向に相当し、スカムScが移送される移送方向にも相当する。なお、流水部91の短手方向、すなわち、吐出方向と水平面内で直交する方向を、以下、幅方向と称する場合がある。
【0014】
塞止壁93には、スカムピット92に連通した開口部93aが形成され、この開口部93aを閉塞するゲート931が設けられている。ゲート931は、例えば上下方向にスライドし、開口部93aを開閉可能なものである。このゲート931を、その上端が、塞止壁93で塞き止められた汚水Wの水面WLよりも下方に位置するようにスライドさせると、塞止壁93の近傍に集められたスカムScが汚水とともに、開口部93aからゲート931を乗り越えてスカムピット92に流れ込む。なお、スカムピット92に回収されたスカムは、不図示のスカム処理機に送られ、脱水処理などの所定の処理が行われる。
【0015】
続いて、図1図3を用いて、移送装置1を詳細に説明する。
【0016】
図3は、図1に示す移送装置1のB-B線断面図である。この図3では、紙面手前側に向かう方向が吐出方向になり、左右方法が幅方向になる。
【0017】
図1図3に示すように、移送装置1は、仕切部材3、流路形成部材5および吐出部材7を備えている。仕切部材3は、図1および図2に示すように、流水部91において、吐出方向に延在したものであり、全長が、流水部91の長手方向の長さよりも僅かに短く形成されている。また、仕切部材3は、図1に示すように、吐出方向と平行あるいは略平行に延在し、図2に示すように、水平あるいは略水平に延在したものである。この仕切部材3は、図3に示すように、流水部91を流れる汚水W中において、流路形成部材5周辺の周辺領域R1と、他の領域R2とを、周辺領域R1が内側になるように仕切るものであり、周辺領域R1につながり、汚水W中に没する流入口3aを有している。本実施形態の仕切部材3は、径が300mm以上400mm以下のステンレス製の円筒体の上方の略1/3を切り欠いた断面円弧状のものであり、切り欠いた部分に、上方に向かって開口した流入口3aが形成されている。この流入口3aの幅方向の開口長L3(図4(a)参照)は、275mm以上375mm以下に設定されている。また、仕切部材3は、上端部分に幅方向の中央側へ入り込んだ湾曲部31を有しており、周辺領域R1は、流入口3a側の部分が、流入口3aに近づくほど狭くなっている。
【0018】
図1および図2に示すように、流路形成部材5も、仕切部材3と同様に、流水部91において、吐出方向に延在したものであり、その全長が、仕切部材3と略同じ長さに形成されている。また、流路形成部材5も、図1に示すように、吐出方向と平行あるいは略平行に延在し、図2に示すように、水平あるいは略水平に延在したものである。この流路形成部材5は、図3に示すように、流路Sを形成するものであり、この流路Sと周辺領域R1とを仕切っている。また、流路形成部材5は、流路Sにつながり、汚水W中に没する吸込口5aを有している。本実施形態の流路形成部材5は、径が150mm以上200mm以下のステンレス製の円筒体の下方の略1/6を切り欠いた断面円弧状のものであり、切り欠いた部分に、下方に向かって開口した吸込口5aが形成されている。流路形成部材5は、吸込口5aが周辺領域R1内で開口し、上端部分51が、流入口3aと略同じ高さになるように、不図示の取付部材によって仕切部材3に取り付けられている。なお、本実施形態では、流路形成部材5の径方向の中心(図では符号Oを付して概念的に示している)を、仕切部材3の径方向の中心に一致させている。したがって、仕切部材3と流路形成部材5との径方向の間隔Di(本実施形態では75mm程度)はいずれの箇所においても略同じになる。
【0019】
吐出部材7は、その後端部分に給水管70が接続され、その先端部分に吐出口7aを備えたものであり、図2に示すように、吐出口7aが、吐出方向の上流側から流路形成部材5内(流路S)に挿入されている。給水管70から吐出部材7に供給された水は、水平方向あるいは略水平方向に吐出口7aから吐出される(図2における実線の右向きの矢印参照)。本実施形態では、吐出口7aから吐出される水の吐出圧は、0.3MPa以下に設定されている。なお、詳しくは後述するように、流路S内に水の流れが一旦生じればよいため、吐出口7aから吐出される水の圧力は、0.1MPa以下であっても十分な場合がある。また、吐出口7aから吐出される水の流量は、毎分300リットル以上3000リットル以下に調整される。ここで、吐出口7aから吐出する水は、汚水処理場に受け入れた汚水や水道水を使用してもよい。また、水以外の気体や気液混合体等の流体を、吐出口7aから吐出させてもよい。
【0020】
本実施形態の吐出部材7は、丸パイプ状の給水管の先端部分を扁平状につぶすことで、その先端に長孔形状の吐出口7aが形成されたものである。このように丸パイプを扁平状につぶして吐出口7aを形成する態様を採用すれば、その作製が容易になる。また、図3に示すように、吐出口7aの幅方向の開口長L1を、吸込口5aの幅方向の開口長L2よりも長く設定している。具体的には、本実施形態では、吸込口5aの幅方向の開口長L2は100mm程度、吐出口7aの幅方向の開口長L1は120mm程度、また、吐出口7aの高さH1は20mm程度である。吐出口7aをこのような扁平な形状にすることで、真円の形状のものよりも、流速を高めた範囲を広く確保することができる。なお、丸パイプ状の給水管の先端部分をつぶさず、この丸パイプ状の給水管をそのまま用いることで、真円状の吐出口7aを採用する態様の方が好ましい場合もある。
【0021】
ここで、流水部91の水面WLの高さは、沈砂池から受け入れる汚水の量等によって変動するため、この水面WLの高さの変動を考慮し、移送装置1を設ける高さ位置が設定される。具体的には、流水部91の水面WLの高さが変動した場合であっても、仕切部材3の流入口3aは、水面WLよりも低い位置であって、水面WLからの深さDp1が200mm以内、吐出口7aの高さ方向の中心は、水面WLからの深さDp2が50mm以上300mm以内、流路形成部材5の吸込口5aは、水面WLからの深さDp3が100mm以上400mm以内に収まるように設定されている。また、仕切部材3の流入口3aは、図2に一点鎖線で示す、塞止壁93における開口部93aの下端部分よりも、上方に位置している。
【0022】
移送装置1は、その位置を固定してもよいが、水面WLの高さの変動に合わせて、図2および図3の両矢印で示すように、移送装置1全体、あるいは、仕切部材3と流路形成部材5のうちのいずれか一方を、鉛直方向に移動させる態様としてもよい。こうすることで、流入口3aや吸込口5aの位置を水面WLの高さの変動に追従させ、水面WLから一定の深さに維持することができる。なお、吐出口7aは、流路形成部材5の鉛直方向の移動に合わせて鉛直方向に移動させてもよいし、吐出口7aは固定し、流路形成部材5だけを鉛直方向に移動させる態様としてもよい。また、移送装置1を固定し、流入口3aや吸込口5aの位置が、水面WLから一定の深さに維持されるように、流水部91が受け入れる汚水の量を制御する態様としてもよい。
【0023】
以上のように構成された移送装置1では、図1および図2に示すように、吐出口7aから水を吐出させることで、スカムScが移送される。具体的には、吐出口7aから流路形成部材5の流路S内に水が吐出されることで、吐出された水の流れに引き込まれて、図3に示すように、吸込口5aから流路S内に吸い込まれる方向の水の流れが生じる。これにより、流入口3aから周辺領域R1内に流れ込む水の流れが生じるとともに、周辺領域R1内では吸込口5aに向かう水の流れが生じる。この結果、流水部91の水面WLには、仕切部材3の流入口3aに集まる方向の流れ(流入口3a付近の水面WLには、流入口3aに向かう方向の流れが生じ、他の場所の水がこれを補うことで生じる流れ)が生じる。
【0024】
図1および図2では、スカムScの流れを模式的に示しており、水面上にまとまった状態で浮遊するスカムに符号Sc0を付すとともに薄い網掛けを付し、このスカムのまとまりSc0から分離したスカムScを一点鎖線で囲むとともに濃い網掛けを付している。流水部91の水面WL(図2および図3参照)の全域にまとまりとなって浮遊しているスカムは、水面に生じた、流入口3aに集まる方向の流れによって、その一部が崩れて小さな塊のスカムScとなって流入口3aから周辺領域R1内に流入する。これが繰り返されることによって、図1に示すように、水面WL上には、スカムが除去された領域(水面上の除去領域)が、仕切部材3の延在方向、すなわち移送方向に沿って生じる。また、スカムのまとまりSc0から分離したスカムScは、水面上の除去領域を移送方向に流れ、塞止壁93の近傍に集まる。また、スカムScは、水面上の除去領域を流れていく過程で、スカムのまとまりSc0に接触することでその一部を崩し、崩されたスカムScも、流入口3aから周辺領域R1内に流入し、あるいは水面上の除去領域を移送方向に流れていくといった作用が繰り返される。
【0025】
流入口3aに集まってきたスカムScは、図3にスカムScの流れを概念的に示すように、流入口3aから周辺領域R1内に流入し、周辺領域R1内を吸込口5aに向かって流れた後、吸込口5aから流路S内に吸い込まれる。ここで、吸込口5aの、水面WLからの深さを20mm以上に設定すると、スカムScを吸込口5aから、より円滑に流入させることができ好ましい。
【0026】
汚水W中において、周辺領域R1は、仕切部材3によって他の領域R2と仕切られているため、流入口3aから周辺領域R1内へのスカムScの流入が促進され、水面WLに浮遊したスカムScを効率的に周辺領域R1内に流入させることができる。さらに、周辺領域R1が他の領域R2と仕切部材3で仕切られることによって、周辺領域R1内を流入口3aから吸込口5aへ向かう水の流れが妨げられることがなくなり、周辺領域R1内に流入したスカムScは、周辺領域R1内を流れて円滑に吸込口5aから吸い込まれる。
【0027】
さらに、図1および図2に示すように、流路S内では、吸い込まれたスカムScが、吐出口7aから吐出された水の流れによってスカムピット92に向かって移動し、流路形成部材5における吐出方向の下流端52から吹き出される。流路形成部材5の下流端52から吹き出されたスカムScは、前述したように、塞止壁93の近傍に集まり、ゲート931を開放することで、塞止壁93の近傍に集められたスカムScが、汚水とともにスカムピット92に回収される。ここで、吐出口7aから水を吐出することで流路S内に一旦生じた水の流れは、流路Sが流路形成部材5によって囲まれているため減衰しにくく、スカムScを長い距離移送することができる。これらによって、吐出口7aや、吐出口7aに水を供給する供給管70等の個数が少なくて済み、簡易な構造を採用することができる。さらに、吐出口7aから吐出される水量も抑えることができる。
【0028】
なお、流路形成部材5が長い場合には、図1の一点鎖線で示すように、流路形成部材5の延在方向における途中部分にも、吐出部材7を設けてもよい。さらに、流水部91の幅方向の長さが長い場合には、流路形成部材5および仕切部材3を流水部91の幅方向に複数並置し、それぞれの流路形成部材5の流路S内に水を吐出する吐出部材7を設けてもよいが、図1の両矢印で示すように、移送装置1を幅方向に移動可能とする態様としてもよい。
【0029】
また、図2の二点鎖線で示すように、流路形成部材5と仕切部材3を、吐出方向の下流側に向かうに従い水面WLに近づくように傾斜した姿勢(吐出方向の下流側が高くなるように傾斜した姿勢)で配置し、流路形成部材5の傾斜した姿勢に沿って、吐出口7aから流路S内に水を吐出する態様としてもよい。この態様を採用すれば、吐出口7aから水を吐出することで流路S内に生じた水の流れがより減衰しにくくなり、スカムScをより長い距離移送することができる。なお、流路Sにおける、吐出口7aに近い部分は、相対的に強い水の流れが生じているため、流入口3aの位置が水面WLから多少深くなっても、水面WLに浮遊するスカムScが流入口3aから流入しにくくなるといった不具合は生じにくい。
【0030】
次に、図1図3に示す移送装置の変形例について、図4図10を用いて説明する。以下に説明する変形例においては、図1図3に示す実施形態との相違点を中心に説明し、図1図3に示す実施形態における構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。また、図4図10では、図3に対応した状態を示すとともに、図面を簡略化するため、吐出部材7については、吐出口7aのみを示し、仕切部材3および流路形成部材5については、断面形状を模式的に示している。
【0031】
図4(a)は、第1変形例の移送装置を示す図である。この変形例では、流路形成部材5の上端部分51が、仕切部材3の流入口3aよりも低くなるように、すなわち、流路形成部材5の上端部分51が、仕切部材3の流入口3aよりも、水面WLから深くなるように流路形成部材5と仕切部材3を配置している。これにより、仕切部材3と流路形成部材5との径方向の間隔Diは、吸込口5aに向かうにつれて狭くなり、周辺領域R1内を流れる水の流速は、吸込口5aに向かうにつれて速くなる。この結果、吸込口5aからスカムScをより確実に吸い込むことができる。
【0032】
また、一点鎖線で示すように、流路形成部材5に径の小さなパイプ材を用い、その上部側部分を切り欠いて形成した流入口3aの幅方向の開口長L3が、吸込口5aの幅方向の開口長L2よりも短い態様としてもよい。こうすることで、流入口3aに流入する水の流速が速くなり、流入口3aからスカムScをより円滑に流入させることができる。なお、図4(a)において一点鎖線で示す仕切部材3は、その径方向の中心を、流路形成部材5の径方向の中心に一致させているため、仕切部材3と流路形成部材5との径方向の間隔Diはいずれの箇所においても略同じになる。ただし、実線で示す仕切部材3と同様に、流路形成部材5の位置を下げ、間隔Diが、吸込口5aに向かうにつれて狭くなる態様としてもよい。
【0033】
図4(b)は、第2変形例の移送装置を示す図である。この変形例では、流路形成部材5の上端部分51が、仕切部材3の流入口3aよりも高くなるように、流路形成部材5と仕切部材3を配置している。これにより、流路Sにおける上部側部分S1は、流入口3aよりも上方に位置し、仕切部材3と流路形成部材5との径方向の間隔Diは、吸込口5aに向かうにつれて広くなる。この第2変形例では、周辺領域R1を広く確保することができる。
【0034】
また、一点鎖線で示すように、径の小さなパイプ材を用いて仕切部材3を形成し、その径方向の中心を、流路形成部材5の径方向の中心に一致させることで、仕切部材3と流路形成部材5との径方向の間隔Diをいずれの箇所においても同じになる態様としてもよい。なお、流路形成部材5を、その上端部分51が水面WL上に位置するように配置してもよいが、流路形成部材5における、水面WL上に突出した部分によって、水面WLにおける、幅方向の水の流れが遮られてしまうため、上端部分51が水中に没する位置に流路形成部材5を配置する態様が好ましい。さらに、流路形成部材5における上端部分51の、水面WLからの深さを、20mm以上に設定すれば、上端部分51にスカムScが載りにくくなり好ましい。
【0035】
図5(a)は、第3変形例の移送装置を示す図である。この第3変形例の移送装置1は、ともに扁平な形状の仕切部材3と流路形成部材5を備えている点が、図3に示す移送装置1と相違する。具体的には、仕切部材3は、その幅寸法W1の、1/2程度の高さ寸法を有するパイプの上端部分を切り欠いて形成したものである。また、流路形成部材5は、その幅寸法W2の、1/2程度の高さ寸法を有するパイプの下端部分を切り欠いて形成したものである。すなわち、本変形例における、仕切部材3と流路形成部材5は、吐出方向と水平面内で直交する幅方向の寸法が高さ方向の寸法よりも長い扁平な形状のものである。このように、扁平な形状の仕切部材3を採用すれば、流入口3aを幅方向に広くとることが容易になる。流入口3aを幅方向に広くすれば、水面WLのより広い範囲に浮遊したスカムScを、周辺領域R1内に流入させることができる。また、ともに扁平な形状の仕切部材3と流路形成部材5を採用することで、流水部91(図1参照)の汚水Wの流れを妨げにくくなり、汚水Wの流れに対する抵抗を軽減することも可能になる。
【0036】
なお、一点鎖線で示すように、流路形成部材5の位置を下げ、流路形成部材5の上端部分51が、仕切部材3の流入口3aよりも低くなるように配置してもよい。また、扁平な形状の仕切部材3に代えて、二点鎖線で示すように、前述した、図3に示す仕切部材3を用いてもよい。
【0037】
図5(b)は、第4変形例の移送装置を示す図である。この変形例の移送装置1は、図5(a)に示す第3変形例の移送装置1において、流路形成部材5の上端部分51が、仕切部材3の流入口3aよりも高くなるように、流路形成部材5と仕切部材3を配置している。これにより、流路Sにおける上部側部分S1は、流入口3aよりも上方に位置している。なお、扁平な形状の流路形成部材5に代えて、一点鎖線で示すように、前述した、図3に示す流路形成部材5を用いてもよい。
【0038】
図6(a)は、第5変形例の移送装置を示す図である。この変形例の移送装置1は、仕切部材3の形状が、図3に示す移送装置1と相違する。図6(a)に示すように、仕切部材3は、鉛直に立設した一対の壁部32と、これら一対の壁部32の下端部分を水平方向に連結する底部33とを有し、上方が開放された断面コ字状のものである。ここで、図3に示す実施形態や、図4図5に示す変形例のように、仕切部材3の内周面が円弧状のものであると、仕切部材3と流路形成部材5との大小関係や、仕切部材3における流入口3aの開口長L3(図4(a)参照)によっては、仕切部材3と流路形成部材5のうちの一方を鉛直方向に移動させる際に、仕切部材3と流路形成部材5が干渉してしまう場合がある。本変形例によれば、流路形成部材5の側方に、鉛直に立設した壁部32が位置するため、図の両矢印に示すように、仕切部材3と流路形成部材5のうちの一方を鉛直方向に移動させる際に、仕切部材3と流路形成部材5が干渉しにくくなる。これによって、仕切部材3と流路形成部材5のうちの一方を鉛直方向に移動させる際の自由度が向上する。また、仕切部材3の作製も容易になる。
【0039】
仕切部材3と流路形成部材5は、流路形成部材5の上端部分51が、仕切部材3の流入口3aと同じ高さになるように配置してもよいが、一点鎖線で示すように、流路形成部材5の上端部分51が、仕切部材3の流入口3aよりも低い位置に設定してもよい。なお、二点鎖線で示すように、仕切部材3は、壁部32の上端側部分321を、幅方向の外側に拡がるように湾曲させて形成してもよいし、壁部32と底部33との連結部分に、円弧状の隅部34を設けてもよい。
【0040】
図6(b)は、第6変形例の移送装置を示す図である。この変形例の移送装置1は、図6(a)に示す第5変形例の移送装置1において、仕切部材3の流入口3aが、流路形成部材5の上端部分51よりも低くなるように、流路形成部材5と仕切部材3を配置している。なお、一点鎖線で示すように、仕切部材3の底部33を、下方に凸となる円弧状に形成してもよい。
【0041】
図7(a)は、第7変形例の移送装置を示す図である。この変形例では、仕切部材3の形状が、図3に示す移送装置1と相違する。図7(a)に示すように、本変形例の仕切部材3は、上端部分に、幅方向の外側に拡がるように湾曲した第2湾曲部35を有している。これにより、仕切部材3の流入口3aが広がり、水面WLのより広い範囲に浮遊したスカムScを、流入口3aから周辺領域R1内に流入させることができる。また、一点鎖線で示すように、流路形成部材5の上端部分51が、仕切部材3の流入口3aよりも、低くなる位置に流路形成部材5を配置してもよい。
【0042】
図7(b)は、第8変形例の移送装置を示す図である。この変形例の移送装置1は、図7(a)に示す第7変形例の移送装置1において、流路形成部材5の上端部分51が、仕切部材3の流入口3aよりも高くなるように、仕切部材3と流路形成部材5を配置している。また、本変形例では、仕切部材3と流路形成部材5との径方向の間隔Diが最も狭い部分を、吸込口5aの幅方向の開口長L2と略同じに設定している。なお、一点鎖線で示すように、径の小さな仕切部材3を採用し、第2湾曲部35と流路形成部材5との径方向の間隔Diを、吸込口5aの幅方向の開口長L2よりも短くして、この間隔Diを通過する水の流速を速めるようにしてもよい。
【0043】
図8は、第9変形例の移送装置を示す図である。この変形例は、流路形成部材5の上端部分51と吐出口7aの水面WLからの深さを一定にした状態で、流入口3aにおける、水面WLからの深さDp1と開口長L3、および吸込口5aにおける、水面WLからの深さDp3と開口長L2を調整できるものである。
【0044】
図8(a)において、二点鎖線の四角で囲んで示すように、仕切部材3は、1/2円弧状の一対の仕切部材構成体30を有し、図8(a)および同図(b)に示すように、これら一対の仕切部材構成体30を、互いの一部を重ねることで仕切部材3が構成されている。図8(a)および同図(b)では、一対の仕切部材構成体30が重なる部分を、βの符号で示している。これら一対の仕切部材構成体30は、径方向の中心Oを回動中心として回動し、重なる部分βの大きさを変更することができる。
【0045】
図8(a)に示す仕切部材3の状態から、図8(b)に示すように、重なる部分βを小さくすると、流入口3aの、水面WLからの深さDp1が浅くなり、流入口3aの開口長L3が狭くなる。図示は省略するが、反対に、重なる部分βを大きくすると、流入口3aの、水面WLからの深さDp1が深くなり、流入口3aの開口長L3は広くなる。このように、一対の仕切部材構成体30が重なる部分βの大きさを変更することで、流入口3aの、水面WLからの深さDp1と開口長L3を調整することができる。なお、図8では、水面WLの高さが一定の場合に、流入口3aの、水面WLからの深さDp1を調整する態様を例に挙げて説明したが、水面WLの高さの変動に追従させて、流入口3aの、水面WLからの深さDp1が一定になるように調整する態様としてもよい。
【0046】
また、図8(a)および同図(b)に示すように、流路形成部材5は、円筒体の下方の略1/3を切り欠いた断面円弧状の流路形成部材本体50と、この流路形成部材本体50の切り欠いた部分の両端部分にそれぞれ設けられた、一対のスライド片53とを備えている。一対のスライド片53それぞれは、1/5円弧状のものであり、下端部分は、流路形成部材本体50から下方に突出し、これら下端部分の間に吸込口5aが形成されている。また、一対のスライド片53それぞれは、流路形成部材本体50の内周面50aに沿ってスライドし、これによって、吸込口5aの、水面WLからの深さDp3と開口長L2を調整することができる。
【0047】
具体的には、図8(a)に示す、流路形成部材5の状態から、図8(b)に、点線の円弧状の矢印で示すように、一対のスライド片53それぞれを、流路形成部材本体50の内側(上方)にスライドさせると、吸込口5aの、水面WLからの深さDp3が浅くなり、吸込口5aの開口長L2が広くなる。図示は省略するが、反対に、一対のスライド片53それぞれを、流路形成部材本体50の外側(下方)にスライドさせると、吸込口5aの、水面WLからの深さDp3が深くなり、吸込口5aの開口長L2が狭くなる。
【0048】
なお、図8に示す変形例における、仕切部材3の構成を、流路形成部材5に適用してもよいし、流路形成部材5の構成を、仕切部材3に適用してもよい。また、一対の仕切部材構成体30やスライド片53を、吐出方向において複数に分割し、それぞれ調整することで、例えば、流入口3aの、水面WLからの深さDp1や、吸込口5aの開口長L2等を、吐出方向の上流側と、吐出方向の下流側とで異ならせることもできる。
【0049】
図9は、第10変形例の移送装置を示す図である。この変形例の移送装置1は、流路形成部材5が、仕切部材3の、幅方向における一端(図では左側の端部)に接続した、いわゆる片持ち状態で仕切部材3に支持されたものである。二点鎖線の四角で囲んで示すように、概念的には、流路形成部材5と仕切部材3それぞれは、一部を互いに共通にした、点線で示す共通部4を有している。これにより、仕切部材3と流路形成部材5との径方向の間隔Diが確保しやすくなる。また、本変形例では、仕切部材3から流路形成部材5にかけて、内周面4aが連続した曲面で構成されている。これにより、仕切部材3の流入口3aから吸込口5aに向かう水の流れが内周面4aに沿ったスムーズな流れになり、流路形成部材5の吸込口5aからスカムScを円滑に吸い込むことができる。なお、流路形成部材5の上端部分51の高さ(水面WLからの深さ)を、仕切部材3の、幅方向における他端(図では右側の端部)の高さ(水面WLからの深さ)と異ならせてもよいが、図9に示すように、流路形成部材5の上端部分51の高さと、仕切部材3の、幅方向における他端の高さを同じにすれば、スカムScが、幅方向の両側から流入口3aに流入しやすくなり好ましい。
【0050】
図10は、第11変形例の移送装置を示す図である。この変形例では、仕切部材3を省略し、流路形成部材5を、その吸込口5aが上方を向く姿勢に配置している。本変形例では、流路形成部材5の流路S内に吐出口7aから水が吐出されると、吐出された水の流れに引き込まれて、図10に示すように、吸込口5aから流路S内に吸い込まれる方向の水の流れが生じる。これにより、図10にスカムScの流れを概念的に示すように、流水部91の水面WLに浮遊しているスカムScが吸込口5aに向かって集まり、吸込口5aから流路S内に吸い込まれる。流路S内に吸い込まれたスカムScは、吐出口7aから吐出された水の流れによって移送方向に移動する。
【0051】
なお、円弧状の両矢印で示すように、径方向の中心Oを回動中心として流路形成部材5を回動させ、直線の矢印で示す、吸込口5aが開口する方向を、角度αの範囲で変更できる態様としてもよい。また、流路形成部材5として、一点鎖線で示すように、図5(a)の第3変形例の移送装置1における、扁平状の流路形成部材5を用いてもよい。なお、図3に示す実施形態や、図4等に示す、仕切部材3を有する変形例においては、径方向の中心を回動中心として仕切部材3を回動させる態様を採用してもよい。
【0052】
次いで、設置する設備が異なる、本発明の移送装置の第2実施形態について説明する。以下に説明する第2実施形態においても、図1図3に示す実施形態における構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0053】
図11は、本発明の第2実施形態の移送装置が設けられた伏せ越し構造の概略構成図である。伏せ越し構造とは、下水管が河川や鉄道等を横切る場合、これら河川等よりも低い位置に伏せ越し管を設け、上流側管路と下流側管路との水位差によって下水を流す構造をいう。
【0054】
伏せ越し構造8は、図11において、河川Riの左側から右側に下水DRを流すものであり、図では白抜きの矢印で示すように、左から右に向かう方向が下水DRの流れる方向になる。この伏せ越し構造8は、図11に示すように、下水DRの流れの上流側から下流側にかけて記載順に、上流側管路81、上流側マンホール82、伏せ越し管83、下流側マンホール84および下流側管路85が設けられている。上流側管路81は、上流側マンホール82に接続しており、伏せ越し管83は、河川Riよりも低い位置において、上流側マンホール82と、下流側マンホール84とに接続している。下流側管路85は、上流側管路81が上流側マンホール82に接続した位置よりも低い位置において、下流側マンホール84に接続している。なお、上流側マンホール82の底と下流側マンホール84の底には、それぞれ土砂溜まり821,841が形成されている。
【0055】
上流側管路81を流れてきた下水DRは、上流側管路81と下流側管路85との水位差によって生じる、いわゆる逆サイホン作用によって、上流側マンホール82から、伏せ越し管83を流れ、さらに、下流側マンホール84から下流側管路85を流れていく。
【0056】
ここで、上流側管路81には、図1図3に示す移送装置1と同じ構成の移送装置1が設けられている。この移送装置1は、上流側管路81が上流側マンホール82に接続する領域付近に、流路形成部材5の下流端52が位置している。前述した図1図3に示す移送装置1と同様に、吐出口7aから水を吐出させると、下水DRの水面WLに浮遊したスカムScは、流路形成部材5に吸い込まれた後、上流側マンホール82に向かって移送され、流路形成部材5の下流端52から吹き出されることで、上流側マンホール82内の下水DRの水面WLに集められる。
【0057】
上流側マンホール82内の下水DRの水面WLに集められたスカムScは、上流側マンホール82の鉄蓋を開けて除去され、また、その一部は、下水DRの流れに引き込まれて伏せ越し管83に流入する。なお、土砂溜まり821に沈降した砂等も、下水DRの流れによって伏せ越し管83に流入する。伏せ越し管83には、図1図3に示す移送装置1と同じ構成の移送装置1と、沈降する砂等の沈降物を移送する沈降物移送装置2が設けられている。
【0058】
図12は、図11に示す伏せ越し管のC-C線断面図である。なお、図12では、伏せ越し管83における、幅方向の両側領域と、上下方向における中間領域は、省略している。
【0059】
図12に示すように、伏せ越し管83内は下水DRで満たされており、下水DRの水面WLは、伏せ越し管83の天井面831に接する状態になっている。移送装置1は、仕切部材3の流入口3a、および流路形成部材5の上端部分51における、水面WLすなわち天井面831からの深さDp1が、20mm以上に設定されている。水面WLからの深さDp1が、20mm未満であると、伏せ越し管83の天井面831と仕切部材3の流入口3aとの間や、伏せ越し管83の天井面831と流路形成部材5の上端部分51との間にスカムScが引っ掛かりやすくなり、好ましくない。
【0060】
吐出部材7の吐出口7aから流路形成部材5の流路S内に水が吐出されると、吸込口5aから流路S内に吸い込まれる方向の水の流れが生じ、流入口3aから周辺領域R1内に流れ込む水の流れが生じるとともに、周辺領域R1内では吸込口5aに向かう水の流れが生じる。この結果、水面WL(天井面831付近)には、仕切部材3の流入口3aに集まる方向の流れが生じ、天井面831付近に浮遊しているスカムScが集まってきて、流入口3aから周辺領域R1内に流入する。周辺領域R1内に流入したスカムScは、吸込口5aから流路S内に吸い込まれ、吸い込まれたスカムScが、下流側マンホール84まで移送される。これにより、スカムScが、伏せ越し管83の天井面831に付着して伏せ越し管83内に留まってしまうといった問題を解消することができる。
【0061】
伏せ越し管83の底側には、沈降物を移送する沈降物移送装置2が底面832上に設けられている。また、伏せ越し管83の底は改修され、クロスハッチングで示す、コンクリートで改修された部分によって、沈降物移送装置2に向かって下方に傾斜した、一対の傾斜面833が設けられている。沈降物移送装置2は、トラフ21と、底側流路形成部材25と、底側吐出部材27とを備えたものである。トラフ21は、伏せ越し管83の底側において、上流側マンホール82から下流側マンホール84(図11参照)に向かう方向に延在した溝Mを形成するものである。トラフ21の上方に向けて開口した部分が、溝Mの開口21aになり、この溝Mの開口21aには、傾斜面833の下端が接続している。底側流路形成部材25は、トラフ21と同じ方向に延在し、その全長が、トラフ21と略同じ長さに形成されている。底側流路形成部材25は、底側流路S2を形成するものであり、この底側流路S2と溝Mとを仕切っている。また、底側流路形成部材25は、底側流路S2につながり溝M内に位置する溝内吸込口25aを有している。底側吐出部材27は、底側吐出口27aを備えたものであり、この底側吐出口27aから、底側流路S2内に水が吐出される。
【0062】
伏せ越し管83に流れ込んだ下水DRに含まれている砂等の沈降物は、下水DRが下流側へ流れていく課程において沈降していき、傾斜面833に沿ってトラフ21に向かって流れ落ちる。傾斜面833から流れ落ちた沈降物は、トラフ21の開口21aから溝M内に入り込む。また、図11に示す、上流側マンホール82の土砂溜まり821に堆積した砂等も溝M内に入り込む場合もある。
【0063】
底側吐出口27aから底側流路S2内に水が吐出されると、吐出された水の流れに引き込まれて、溝Mの底に堆積した沈降物は、図12に示す曲線の矢印のように、溝内吸込口25aから底側流路S2内に吸い込まれる。さらに、その底側流路形成部材25の底側流路S2内では、吸い込まれた沈降物が、底側吐出口27aから吐出された水の流れによって吐出方向下流側(下流側マンホール84側)に向かって移動する。これにより、砂等の沈降物を伏せ越し管83内に残留させることなく、下流側マンホール84の土砂溜まり841等に移送することができる。
【0064】
本発明は上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことが出来る。
【0065】
なお、以上説明した各実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【0066】
また、これまでに説明した移送装置は、流路を形成するものであって、該流路につながり水中に没する吸込口が設けられた流路形成部材と、
前記流路内に流体を吐出する吐出口とを備え、
前記吸込口は、水面に浮遊した被移送物を、前記流路内に流体が吐出されることで該流路内に吸い込む開口として機能するものであり、
前記流路は、該流路内に吸い込まれた前記被移送物が、該流路内に流体が吐出されることで該流体の吐出方向下流側に向かって移動する経路として機能するものであることを特徴とする。
【0067】
さらに、この移送装置において、水中における、前記流路形成部材周辺の周辺領域と他の領域とを、該周辺領域が内側となるように仕切り、該周辺領域につながった流入口が設けられた仕切部材を備え、
前記流入口は、水面に浮遊した前記被移送物を、前記流路内に流体が吐出されることで前記周辺領域内に流入させる開口として機能するものであり、
前記吸込口は、前記流路内に流体が吐出されることで、前記周辺領域内に流入した前記被移送物を該流路内に吸い込む開口として機能するものであってもよい。
【0068】
また、これまでに説明した移送装置は、流路を形成するものであって、該流路につながり水中に没する吸込口が設けられ、水面に対して略平行に延在したパイプ状の流路形成部材と、
前記流路内に、前記流路形成部材の軸方向に向かって流体を吐出する吐出口とを備え、
前記吸込口は、前記流路形成部材の延在方向に延在し、水面に浮遊した被移送物を、前記流路内に流体が吐出されることで該流路内に吸い込む開口として機能するものであり、
前記流路は、該流路内に吸い込まれた前記被移送物が、該流路内に流体が吐出されることで該流体の吐出方向下流側に向かって移動する経路として機能するものであることを特徴とする。
【0069】
さらに、この移送装置において、水中における、前記流路形成部材周辺の周辺領域と他の領域とを、該周辺領域が内側となるように仕切り、該周辺領域につながった流入口が設けられ、水面に対して略平行に延在したパイプ状の仕切部材を備え、
前記流入口は、上方に向くように構成され、水面に浮遊した前記被移送物を、前記流路内に流体が吐出されることで前記周辺領域内に流入させる開口として機能するものであり、
前記吸込口は、前記周辺領域内で開口し、前記流路内に流体が吐出されることで、該周辺領域内に流入した前記被移送物を該流路内に吸い込む開口として機能するものであってもよい。
【0070】
さらに、この移送装置は、前記流体の吐出方向と水平面内で直交する方向に移動可能なものであってもよい。
【0071】
こうすることで、前記移送装置の数を増やすことなく、前記水面における、より広い範囲に浮遊する被移送物を前記流入口から前記周辺領域内に流入させ、移送することができる。
【0072】
また、これまでに説明した移送装置は、流路を形成するものであって、該流路につな
がり水中に没する吸込口が設けられ、水面に対して略平行に延在したパイプ状の流路形成部材と、該流路内に、該流路形成部材の軸方向に向かって流体を吐出する吐出口とを備えた移送装置であって、
前記吸込口は、上方を向くように構成され、前記流路形成部材の延在方向に延在し、水面に浮遊した被移送物を、前記流路内に流体が吐出されることで該流路内に吸い込む開口として機能するものであり、
前記流路は、該流路内に吸い込まれた前記被移送物が、該流路内に流体が吐出されることで該流体の吐出方向下流側に向かって移動する経路として機能するものであることを特徴とする。
【0073】
ここで、前記流路形成部材は、前記吸込口が前記水面より低い位置から該水面に向かって開口し、該水面から200mm以内の深さに位置するものであってもよい。なお、前記流路形成部材は、前記吸込口が前記水面以外の方向に向かって開口したものであってもよい。また、前記水面の高さが変化する場合には、前記流路形成部材は、鉛直方向に移動し、前記吸込口の高さを変更できるものであってもよい。さらに、前記流路は、前記吸込口側の部分が、該吸込口に近づくほど狭くなったものであってもよい。また、前記流路形成部材は、円筒体の一部を切り欠いた形状のものであってもよい。さらに、前記吐出口は、真円のものであってもよいし、扁平な形状のものであってもよく、また、該吐出口を、吐出方向に間隔をあけて複数設ける態様としてもよい。さらに、前記吐出口から吐出される前記流体は、液体であってもよいし気体であってもよく、気液混合体であってもよい。また、前記吐出口は、毎分300リットル以上3000リットル以下の流体を、0.3MPa以下の圧力で吐出するものであってもよい。
【0074】
この移送装置によれば、前記吐出口から前記流路内に流体が吐出されることで、吐出された流体の流れに引き込まれて、前記水面に浮遊した前記被移送物が、前記吸込口から該流路内に吸い込まれる。さらに、前記流路内では、吸い込まれた前記被移送物が、前記流体で生じた水の流れによって吐出方向下流側に向かって移動する。このように前記流路内に一旦生じた水の流れは、該流路が前記流路形成部材によって囲われているため、特許文献1記載の移送装置における、気流や吹送流と比べ、はるかに減衰しにくく、被移送物を長い距離移送することができる。さらに、水面上には、前記吸込口に吸い込まれる方向の流れが生じ、水面に浮遊した前記移送物を、広い範囲で前記流路内に吸い込むことができる。
【0075】
またさらに、水面上における、前記吸込口に吸い込まれる方向の流れによって、水面上に、前記被移送物が除去された領域が移送方向に延在した状態で生じる場合がある。以下、前記被移送物が除去された水面上の領域を、水面の除去領域と称する場合がある。受け入れた汚水を移送方向に流す、例えば導水渠等に前記移送装置を設けた場合には、受け入れた汚水の流れによって水面には移送方向に向かう流れも生じ、この流れによって、スカム(被移送物)が、水面の除去領域を移送方向にも流れる。また、水面の除去領域を流れるスカムが、水面上にまとまった状態で浮遊しているスカムに接触することでその一部が崩れ、崩れた部分は、前記吸込口から吸い込まれて前記流路内を移動し、あるいは、水面の除去領域を流れて移送方向に移動する。この結果、水面上にまとまった状態で浮遊しているスカムを、少しずつ崩しながら効率的に移送することができる。
【0076】
これらによって、前記吐出口や、該吐出口に流体を供給する配管等の個数が少なくて済み、簡易な構造を採用することができる。さらに、前記吐出口から吐出される流体の量も抑えることができる。なお、前述したように、前記流路内に水の流れが一旦生じればよいため、前記吐出口から吐出させる流体の圧力は、0.1MPa以下の弱い圧力であっても十分な場合がある。
【0077】
また、これまでに説明した移送装置は、流路を形成するものであって、該流路につながり水中に没する吸込口が設けられ、水面に対して略平行に延在したパイプ状の流路形成部材と、
前記流路内に、前記流路形成部材の軸方向に向かって流体を吐出する吐出口と、
水中における、前記流路形成部材周辺の周辺領域と他の領域とを、該周辺領域が内側となるように仕切り、該周辺領域につながった流入口が設けられ、水面に対して略平行に延在したパイプ状の仕切部材とを備え、
前記流入口は、上方に向くように構成され、水面に浮遊した被移送物を、前記流路内に流体が吐出されることで前記周辺領域内に流入させる開口として機能するものであり、
前記吸込口は、前記周辺領域内で下方を向いて開口し、前記流路内に流体が吐出されることで、該周辺領域内に流入した前記被移送物を該流路内に吸い込む開口として機能するものであり、
前記流路は、該流路内に吸い込まれた前記被移送物が、該流路内に流体が吐出されることで該流体の吐出方向下流側に向かって移動する経路として機能するものであることを特徴とする。
【0078】
ここで、前記仕切部材は、前記流入口が前記水面より低い位置から該水面に向かって開口し、該水面から200mm以内の深さに位置するものであってもよい。また、前記水面の高さが変化する場合には、前記仕切部材は、鉛直方向に移動し、前記吸込口の高さを変更できるものであってもよい。さらに、前記周辺領域は、前記流入口側の部分が、該流入口に近づくほど狭くなったものであってもよい。また、前記仕切部材は、上端部分に前記幅方向の中央側へ入り込んだ湾曲部を有するものであってもよい。さらに、前記流路形成部材は、前記吸込口が前記周辺領域内で開口し、上端部分が、前記流入口と略同じ高さに位置したもの、該流入口よりも下方に位置したもの、あるいは該流入口よりも上方に位置したもののいずれかであってもよい。また、前記仕切部材は、円筒体の上端部分を切り欠いた形状のものであってもよい。さらに、前記仕切部材と前記流路形成部材は、該仕切部材から該流路形成部材にかけて、内周面が連続した曲面で構成されているものであってもよい。また、前記流路形成部材は、前記仕切部材の、前記幅方向における一端側と他端側とのうち、該他端側と離間した状態で、一部を該仕切部材の一部と共通にして該一端側に接続したものであってもよい。
【0079】
前記仕切部材を備える態様を採用すれば、水中において、前記周辺領域が、該仕切部材によって他の領域と仕切られているため、前記流入口から前記周辺領域内への前記被移送物の流入が促進され、水面に浮遊した該被移送物を効率的に該周辺領域内に流入させることができる。さらに、前記周辺領域は、他の領域と前記仕切部材に仕切られることによって、前記流入口から前記吸込口へ向かう水の流れが妨げられることがなくなり、該周辺領域内に流入した前記被移送物は、該周辺領域内を流れて円滑に該吸込口から吸い込まれる。
【0080】
また、受け入れた水を移送方向に流す、例えば導水渠等に前記移送装置を設けた場合には、受け入れた水の流れによってスカム(被移送物)が、水面の除去領域を移送方向にも流れる。また、水面の除去領域を流れるスカムが、水面上にまとまった状態で滞留しているスカムに接触することでその一部が崩れ、崩れた部分は、前記流入口から前記周辺領域に流入した後、前記吸込口から吸い込まれて前記流路内を移動し、あるいは、水面の除去領域を流れて移送方向に移動する。この結果、水面上にまとまった状態で滞留しているスカムを、少しずつ崩しながら効率的に移送することができる。
【0081】
また、この移送装置において、前記流路形成部材は、前記流体の吐出方向と水平面内で直交する幅方向の寸法が高さ方向の寸法よりも長い扁平な形状のものであってもよい。
【0082】
このように、扁平な形状の流路形成部材を採用すれば、前記吸込口を前記幅方向に広くとることが容易になる。前記吸込口を前記幅方向に広くすれば、前記水面のより広い範囲に浮遊した前記被移送物を、前記流路内に吸い込むことができる。また、前記流路形成部材を扁平な形状にすることで装置全体を薄く構成し、浅い水路等にも好適に用いることができる。さらに、前記流路形成部材を扁平な形状にすることで、前記移送装置が設けられた導水渠等の汚水等の流れを妨げにくくなり、汚水等の流れに対する抵抗を軽減することも可能になる。
【0083】
また、この移送装置において、前記仕切部材は、前記流体の吐出方向と水平面内で直交する幅方向の寸法が高さ方向の寸法よりも長い扁平な形状のものであってもよい。
【0084】
このように、扁平な形状の仕切部材を採用すれば、前記流入口を前記幅方向に広くとることが容易になる。前記流入口を前記幅方向に広くすれば、前記水面のより広い範囲に浮遊した前記被移送物を、前記周辺領域内に流入させることができる。また、前記仕切部材を扁平な形状にすることで装置全体を薄く構成することができ、浅い水路等にも好適に用いることができる。さらに、前記仕切部材を扁平な形状にすることで、前記移送装置が設けられた導水渠等の汚水等の流れを妨げにくくなり、汚水等の流れに対する抵抗を軽減することも可能になる。
【0085】
また、これまでに説明した移送装置は、流路を形成するものであって、該流路につながり水中に没する吸込口が設けられた流路形成部材と、
前記流路内に流体を吐出する吐出口と、
水面に対して略平行に延在し水中に没する流入口が設けられ、前記流路形成部材を囲う仕切部材とを備え、
前記流入口は、水面に浮遊した被移送物を、前記流路内に流体が吐出されることで前記仕切部材と前記流路形成部材との間の領域に流入させる開口として機能するものであり、
前記吸込口は、前記流路内に流体が吐出されることで、前記仕切部材と前記流路形成部材との間の領域に流入した前記被移送物を該流路内に吸い込む開口として機能するものであり、
前記流路は、該流路内に吸い込まれた前記被移送物が、該流路内に流体が吐出されることで該流体の吐出方向下流側に向かって移動する経路として機能するものであり、
前記仕切部材と前記流路形成部材との間隔は、前記吸込口に向かうにつれて狭くなっていることを特徴とする。
【0086】
また、これまでに説明した移送装置は、流路を形成するものであって、該流路につながり水中に没する吸込口が下方に設けられた断面が円弧状の流路形成部材と、
前記流路内に流体を吐出する吐出口と、
水面に対して略平行に延在し水中に没する流入口が上方に設けられ、前記流路形成部材を囲う断面が円弧状の仕切部材とを備え、
前記流路形成部材は、前記仕切部材と略平行に延在したものであり、
前記流入口は、水面に浮遊した被移送物を、前記流路内に流体が吐出されることで前記仕切部材と前記流路形成部材との間の領域に流入させる開口として機能するものであり、
前記吸込口は、前記流路内に流体が吐出されることで、前記仕切部材と前記流路形成部材との間の領域に流入した前記被移送物を該流路内に吸い込む開口として機能するものであり、
前記流路は、該流路内に吸い込まれた前記被移送物が、該流路内に流体が吐出されることで該流体の吐出方向下流側に向かって移動する経路として機能するものであり、
前記仕切部材と前記流路形成部材との径方向の間隔は、前記吸込口に向かうにつれて狭くなっていることを特徴とする。
【符号の説明】
【0087】
1 移送装置
3 仕切部材
3a 流入口
5 流路形成部材
5a 吸込口
51 上端部分
7 吐出部材
7a 吐出口
9 導水渠
S 流路
Sc スカム
R1 周辺領域
W 汚水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13