(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059686
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】新規の、無駄のない、環境に配慮した造粒方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/14 20060101AFI20240423BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K9/20
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024018491
(22)【出願日】2024-02-09
(62)【分割の表示】P 2021510003の分割
【原出願日】2019-08-27
(31)【優先権主張番号】18191620.6
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19182664.3
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】高崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 敦司
(72)【発明者】
【氏名】片山 拓馬
(57)【要約】 (修正有)
【課題】環境に配慮した造粒プロセスであって、とりわけ、医薬品製造の目的に適用可能な造粒プロセスを提供する。
【解決手段】流動層造粒プロセスであって、以下のステップa)1種または複数の成分を流動層造粒機に移し、混合するステップ、b)流動粉体層に、適量の造粒液を噴霧して加え、混合するステップ、c)この混合物に、適量の1種または複数の吸湿剤を加え、混合するステップ、およびd)任意で、この混合物に、1種または複数の追加の成分を同時または順次に加え、それぞれ同時または順次に加えた後に混合するステップを含み、流入空気温度が前記プロセス全体を通して60℃未満である、プロセスである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動層造粒プロセスであって、以下のステップ
a)1種または複数の成分を流動層造粒機に移し、混合するステップ、
b)流動粉体層に、適量の造粒液を噴霧して加え、混合するステップ、
c)この混合物に、適量の1種または複数の吸湿剤を加え、混合するステップ、および
d)任意で、この混合物に、1種または複数の追加の成分を同時または順次に加え、それぞれ同時または順次に加えた後に混合するステップ
を含み、流入空気温度が前記プロセス全体を通して60℃未満である、プロセス。
【請求項2】
ステップa)において、前記成分が、活性医薬成分および薬学的に許容される賦形剤からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ステップa)において、前記成分が、1種または複数の活性医薬成分および1種または複数の薬学的に許容される賦形剤である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップa)において、前記薬学的に許容される賦形剤が、充填剤および結合剤からなる群から選択される、請求項2または3に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップb)において、前記造粒液が、水および結合剤溶液からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップb)において、前記造粒液の量が、10%未満(m/m)である、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
ステップc)において、前記1種または複数の吸湿剤が、水不溶性吸湿剤からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
ステップc)において、前記1種または複数の吸湿剤の総量が、2.5%超(m/m)である、請求項1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
ステップd)において、前記追加の成分が、薬学的に許容される賦形剤からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップd)において、第1の追加の薬学的に許容される賦形剤が、崩壊剤からなる群から選択され、第2の追加の薬学的に許容される賦形剤が、滑沢剤からなる群から選択される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記流入空気温度が、15℃~35℃の範囲内である、請求項1~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のプロセスのための流動層造粒機の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に医薬品製造におけるプロセスのステップとして有用な、新規の流動層造粒に関する。
【背景技術】
【0002】
造粒は、微粒子をより大きな凝集物に変える、サイズ拡大プロセスであり、これは、例えば、医薬品産業および食品産業において用いられる。
湿式造粒は、造粒技術の1つであり、容易に流動する顆粒であって、均一に分散された活性成分(有効成分)を含む顆粒をもたらすことから、医薬品産業で広く用いられている。さらにこれは、不都合となる可能性がある圧縮特性をマスキングし、また薬物製品の開発中に生じ得るばらつきまたは様々な供給業者から活性成分(有効成分)を入手することによって生じ得るばらつきを平衡化する。特に、高剪断造粒(HSG)および流動層造粒(FBG)は、このプロセスで一般的に用いられる(Faure et al., Eur. J. Pharm. Biopharm. 2001, 52, 269-277; Morin et al., AAPS PharmSciTech 2014, 15, 1039-1048)。
直接圧縮プロセスまたは乾式造粒プロセスと比較したHSGの問題点は、凝集段階後に、トレー乾燥機または流動層乾燥機のような個別の装置での乾燥ステップを、さらに必要とする点である。加えて、造粒機の壁への付着物の形成および機械的応力による顆粒の崩壊は、乾燥ステップにおけるプロセスの課題である。
【0003】
FBGは、造粒から乾燥プロセスまでを同じ装置内で行われる。これによって、移し替えによる損失を抑え、操作者が刺激性物質および/または毒性物質に曝される機会を減らすことができる。FBG造粒機は、高剪断造粒機と比較して低剪断装置であることから、プロセス中に顆粒が崩壊する可能性が低い。これは、その顆粒の高い多孔度の一因でもある。FBGの粒子成長は、霧状の結合剤液滴が流動する顆粒に衝突することで生じ、この衝突によって、結合剤の均一な分散が可能となる。しかし、流動層造粒機は、当初高価であり、この造粒方法のために、多くのパラメーターの最適化に加えて、長い噴霧時間を必要とする。また、造粒および乾燥は、連続して行われ、時間を要することがある。
HSGおよびFBGにおける乾燥のために使用されるマイクロ波エネルギーによって誘発される製品の熱応力が増大する可能性に加えて、直接圧縮および乾式造粒と比較して、いずれの造粒も製造コストがより高くなる。
したがって、水分活性化乾式造粒(MADG)は、興味深い方法であり、単純な製造プロセスの代替方法となる可能性がある。MADGは、最初にUllahらによって記載された(Pharm. Technol. 1987, 11, 48-54; Pharm. Technol. 2009, 33, 42-51; Pharm. Technol. 2009, 33, 62-70)。造粒を意図した全成分を最初に予め混合すること、および圧縮の直前に崩壊剤または潤滑剤のような追加の機能性賦形剤と最終的に混合することを伴う、その全プロセスは、従来の高剪断造粒機内で完了し得る。したがって、顆粒の中間生成物を、プロセスのステップ間に他の装置へ移し替えることは、FBGの場合と同様に回避され、これによって処理時間を節約することができる。
【0004】
MADGは、2つの段階に分けることができる:凝集段階および吸湿段階。初めに、活性医薬成分(API)、水溶性充填剤、および結合剤を、造粒機内で予め混合し、次に、少量の水で該結合剤を活性化させて顆粒を形成する。通常、MADGは、従来のHSGプロセスと比較して、必要とされる造粒液が極めて少ない(加えた水を除いた最終混合物の質量に対する質量比5%未満(m/m)、例えば、1~4%(m/m))。吸湿段階中に、吸収性粉末のような水不溶性充填剤成分を続けて加えることによって、顆粒内の水分を減少させ、該混合物全体を通して均一に分散させる。
高剪断造粒機は、造粒および混合のための適切な機械的剪断を可能にし、加えて水噴霧機能を有するため、主にMADGのために使用される。造粒プロセス中に、顆粒は機械的な力を受けることから、高剪断造粒機を用いて製造された顆粒は、流動層造粒機を用いて製造されたものより密度が高い。これに対し、流動層造粒機は、迅速に崩壊するための多孔質顆粒を製造するために望ましい。加えて、流動層造粒機は、造粒水を均一に噴霧するといった利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】使用される装置および材料、加えて行われる操作に関するGFBGの製造フローを示す図である。
【
図2A】実施例AおよびBによるFBG顆粒のSEM像を示す図である。
【
図2B】実施例AおよびBによるGFBG-1顆粒のSEM像を示す図である。
【
図3】GFBG-1、MADG-1、FBG、およびHSG(nの平均=10、SD)における圧縮力の関数としての錠剤の引張強度を示す図である。
【
図4】GFBG-1、MADG-1、FBG、およびHSG(nの平均=6、最小/最大)における引張強度の関数としての錠剤の崩壊時間を示す図である。
【
図5】GFBG-1およびFBG(nの平均=10、SD)から得た錠剤の多孔度を示す図である。
【
図6A】GFBG-1およびFBG(nの平均=3、SD)から得た引張強度が約3MPaである錠剤の初期の濡れを示す図である。
【
図6B】GFBG-1およびFBG(nの平均=3、SD)から得た引張強度が約3MPaである錠剤の毛細管現象による濡れを示す図である。
【
図7A】造粒のために様々な量の水を使用したMADG-2(nの平均=10、SD)における圧縮力の関数としての錠剤の引張強度を示す図である。
【
図7B】造粒のために様々な量の水を使用したGFBG-2(nの平均=10、SD)における圧縮力の関数としての錠剤の引張強度を示す図である。
【
図8A】造粒のために様々な量の水を使用したMADG-2(nの平均=6、最小/最大)における引張強度の関数としての錠剤の崩壊プロファイルを示す図である。
【
図8B】造粒のために様々な量の水を使用したGFBG-2(nの平均=6、最小/最大)における引張強度の関数としての錠剤の崩壊プロファイルを示す図である。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様において、本発明は、流動層造粒プロセスであって、以下のステップ
a)1種または複数の成分を流動層造粒機に移し、混合するステップ、
b)流動粉体層に、適量の造粒液を噴霧して加え、混合するステップ、
c)この混合物に、適量の1種または複数の吸湿剤を加え、流動下で混合するステップ、および
d)任意で、この混合物に、1種または複数の追加の成分を同時または順次に加え、それぞれ同時または順次に加えた後に混合するステップ
を含み、流入空気温度が前記プロセス全体を通して60℃未満である、プロセスに関する。
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様に記載のプロセスのための流動層造粒機の使用に関する。
本発明の追加の態様は、前述および以下の説明および実施例から直接的に当業者にとって明らかとなるであろう。
【0007】
一般用語および定義
本明細書で具体的に定義されていない用語には、本開示および文脈を踏まえて、当業者がそれらに与えるであろう意味が与えられるべきである。しかし、本明細書で使用する場合、反対に指定されない限り、以下の用語は示された意味を有し、以下の慣例は準拠される。
「薬学的に許容される」という語句は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは複雑な事態を伴うことなく、医学的良識の範囲内で、ヒトまたは動物の組織と接触する使用に適しており、妥当な利益/リスク比に見合った化合物、賦形剤、材料、組成物、および/または剤形を指すために本明細書で採用される。
医薬品剤形、例えば、固体経口剤形を調製するために適した薬学的に許容される賦形剤は、当業者の知るところであり、不活性の希釈剤、担体、充填剤、崩壊剤、アジュバント、界面活性剤、結合剤、吸湿剤、滑沢剤、甘味剤、および/または着色剤を含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、時間を節約し、環境に配慮した造粒プロセスであって、例えば、医薬品製造に適した造粒プロセスを可能にする。
本発明の第1の態様において、MADGの概念をFBGに適用することができ、これによってグリーン流動層造粒(green fluidized bed granulation)(GFBG)と呼ばれるプロセスに繋がることが見出された:
【0009】
GFBGはMADGに基づいており、すなわち、これは凝集および吸湿の段階を包含し、その全プロセスは、高剪断造粒機の代わりに流動層造粒機内で行われる(
図1参照)。GFBGは、混合、噴霧、および吸湿プロセスのみからなるのに対して、従来のFBGにおける個別の加熱および乾燥ステップは省略されてもよい。また、従来のFBGの場合と異なり、結合剤溶液の調製という別のプロセスのステップが必要とされないように、GFBGでは、造粒液として水が有利に使用されることがある。
MADGの場合と同様に、GFBGにおいて、造粒は、成分、例えば、APIならびに水溶性で、非吸収性の、濡れやすい充填剤、例えば、ラクトース一水和物もしくはマンニトール、および/または結合剤、例えば、ポリビドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、コポビドン、マルトデキストリン、マルトース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na CMC)、もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む乾燥粉末賦形剤を予め混合すること、およびその混合物に造粒液、例えば、水または水性、アルコール性、もしくはヒドロアルコール性結合剤溶液をその後噴霧することによってもたらされる。従来の湿式造粒と比較して、極めて少量に抑えられた造粒液のみが必要とされ、通常、加えた溶媒を除いた最終混合物の質量に対する質量比が、10%未満(m/m)、好ましくは1~7%(m/m)、より好ましくは2~5%(m/m)、例えば、3%(m/m)または4%(m/m)である。さらに、微結晶セルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素のような吸湿剤は、顆粒内の水分を減少させ、その水分を混合物全体に分散させるために加えられる。この吸湿剤の合計質量分率(m/m)は、吸湿混合物の2.5%超、好ましくは10%超、より好ましくは20%超であってもよい。吸湿剤の質量分率の上限は、とりわけ、特定の混合物の特性および、例えば、錠剤へとさらに加工可能とするための必要条件次第であり、例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%(m/m)であってもよい。GFBG中の流入空気温度は、60℃未満、好ましくは50℃未満、より好ましくは40℃未満、最も好ましくは15℃~35℃の範囲内、例えば、20℃~30℃、例えば、約25℃で維持されてもよい。このため、造粒機内の混合物の温度は、GFBGプロセス全体を通して、50℃未満、好ましくは40℃未満、より好ましくは30℃未満、最も好ましくは15℃~25℃の範囲内、例えば、約20℃であってよい。例えば、使用される装置、適用される配合、および想定されるバッチサイズに応じて、当業者が、前述および以下の説明に加えて、彼らの一般的知識から、GFBGプロセスを首尾よく実行するために必要な追加のパラメーター、例えば、噴霧液滴サイズ、噴霧面および噴霧速度、流入空気の流速、ならびにプロセス時間を導き出すことは、難しくないであろう。
【0010】
本発明に記載のGFBGプロセスは、MADG、FBG、およびHSGと比較して、製造性に加えて、顆粒および錠剤の特性に関して、錠剤製造の観点から調査されてきた。
第1の試験は、実施例Aに記載されるように、医薬品プラセボ配合物のPM、GFBG-1、MADG-1、FBG、およびHSGを用いて例示的に行われ、この各配合物は、実施例Bのプロセスに従って、バッチサイズ720gで製造された:
錠剤の製造性に関しては、GFBG-1、MADG-1、FBG、およびHSGの製造プロセスのいずれにおいても、全く問題は認められなかった。
【0011】
最終混合物を製造するためのGFBG-1プロセス時間は、20分間をはるかに下回り、これは、MADG-1に匹敵した。このプロセス時間は、FBGおよびHSGのプロセス時間よりも著しく短い(実施例Cを参照)。重要な点として、FBGプロセス時間は、複雑で基本的な造粒プロセスが原因となって、これ以上の短縮は不可能である。例えば、FBGプロセスには、結合剤の噴霧化、流動化、顆粒表面を結合剤で濡らしてそれを広げること、凝集、圧密、結合剤の固化、ならびに乾燥など、多くの主要パラメーターが存在する。
GFBGは、FBGおよびHSGと比較して、最短のプロセス時間を可能にするだけでなく、製造機の数を減少させる(実施例C)。
【0012】
顆粒の特性(実施例D参照)に関しては、GFBG-1顆粒のかさ密度は、FBG顆粒のかさ密度よりも高かった。これは、打錠の際に、顆粒の流動性および圧縮性に対して好ましい影響を及ぼす可能性がある。またこれは、GFBGでは、FBGにおけるよりも、打錠において著しく浅い充填深さを採用することが可能であるため(実施例Bの錠剤では8.5と12.7mm)、サイズの大きな錠剤の打錠プロセス中に問題が生じるリスクを、低下させる可能性がある。注目すべきことに、走査型電子顕微鏡(SEM)によって明らかにされた通り、より緩く凝集し、より不規則な形状をしたFBG顆粒よりも、GFBG-1顆粒は、より高密度で、より球状の外観を示す(
図2Aおよび
図2B)。さらに、この形態は、打錠の際に、顆粒の流動性および圧縮性に良い影響を与える可能性がある。GFBG-1顆粒のHausner比は、MADG-1のHausner比とほぼ同じであり、すなわち、許容される流動性であることを示す。したがって、圧縮中の錠剤質量のばらつきに関する問題は、全く認められない。
【0013】
錠剤の特性(実施例E参照)に関しては、GFBG-1顆粒の圧縮によって、錠剤の硬度および寸法から算出されたMADG-1と同程度の引張強度を有する錠剤が得られた。GFBG-1錠剤については、低い圧縮力においてさえも十分な引張強度(>1.5MPa)が得られたが(
図3)、物理的混合(PM)からは、その打錠プロセス中の不十分な顆粒流動および粘着によって、錠剤を製造することができなかった。
さらに、広範囲の引張強度において、GFBG-1錠剤は、他の製造方法を介して得られた同等の配合および同等の引張強度の錠剤と比較して、最短の崩壊時間を示した(
図4)。錠剤の崩壊は、濡れ性(初期の濡れおよび毛細管現象による濡れ)および多孔度に関連するため、引張強度が約3MPaであるGFBG-1およびFBG錠剤におけるこれらのパラメーターを検討した。結果として、GFBG-1錠剤は、わずかに低い多孔度(
図5)および初期の濡れ度(
図6A)を示した。これに対し、GFBG-1を用いた錠剤の毛細管現象による濡れ度は、FBGを用いた錠剤の毛細管現象による濡れ度よりも大幅に高く(3.6倍)(
図6B)、これは恐らく、FBGの湿式造粒プロセス中に微結晶セルロースの多孔度が失われることが原因である。この毛細管現象によるより高い濡れ度は、GFBG-1を用いて得られた錠剤の崩壊時間に対して良い影響を与える可能性がある。
【0014】
第2の試験では、例示的に、様々な量の水を用いて、実施例Aに記載の医薬品プラセボ配合物のGFBG-2およびMADG-2から顆粒を調製し、それぞれ実施例Bのプロセスに従って、圧縮して錠剤とした。
顆粒の特性(実施例D参照)に関しては、同量の水を用いて製造したGFBG-2とMADG-2の比較によって、GFBG-2顆粒の方が、乾燥減量値が低く、水分活性が著しく低く、乾燥減量における差異よりも、水分活性(自由水含有量の指標)における差異の方がより大きいことが明らかとなる。これは、吸湿プロセス中に顆粒の過剰な自由水を減少させると思われるGFBGプロセスで用いられる流入空気の流動によって理論的に説明される。固体薬物製品中の水分活性が低いことは、微生物の増殖傾向がより低く、感湿性の活性医薬成分の加水分解傾向がより低いことに関連するため、一般的に有利である。また、高い水分活性は、外観、錠剤硬度、または溶出などの物理化学的パラメーターに悪影響を与える可能性がある。
さらに、GFBG-2およびMADG-2顆粒を錠剤に圧縮することによって、GFBG-2における錠剤質量のばらつきがより減少し、これは、例えば、薬物製品の含量の均一性基準を満たすために望ましい。
【0015】
造粒のために使用した水の量の関数として、様々な圧縮力を用いて製造された錠剤を、その引張強度に関して検討した。
MADG-2錠剤では、水の質量比が2.5%(m/m)を超えたところで、引張強度の大幅な低下が認められ、5.0%(m/m)の水を用いて製造された顆粒からは、妥当な錠剤引張強度が全く得られなかった(
図7A)。これに対し、GFBG-2錠剤では、非常に良好な引張強度が、2.0%(m/m)~5.0%(m/m)の範囲の全ての水の量において認められ、水の比率が最大の場合で、最大の圧縮力15kNにおいてほんのわずかな低下が認められた(
図7B)。このため、水の量に関しては、GFBG-2の造粒は、MADG-2の造粒よりも大きな安全域(safety window)を有すると思われる。
【0016】
また、広範囲の引張強度において、GFBG-2錠剤は、対応するMADG-2錠剤よりも短い崩壊時間を示す(
図8Aおよび8B)。さらに、これは、MADG-2錠剤と比較してGFBG-2錠剤の毛細管現象による濡れ度が大幅に高い(2.4倍)ことによって説明され得る(約3mPaの引張強度および0.5の水分活性を有する錠剤の結果を示す実施例E参照)。
このため、追加の加熱および乾燥ステップを必要としないGFBGは、無駄のない、環境に配慮した造粒プロセスであって、とりわけ、医薬品製造の目的に適用可能な造粒プロセスをもたらす。完全なプロセスを実行するためには、1台の装置である流動層造粒機のみが必要とされ、これによって、処理時間が節約され、プロセスのステップ間に移し替える間の清掃労力に加えて、有害な可能性のある化合物への曝露リスクが最小限に留まる。このため、GFBGは、極めて強力な化合物の固体経口剤形を製造するための理想的な造粒プロセスであると思われる。
【0017】
さらに、加熱および乾燥を必要としないことで、流動層造粒機は、より簡素で安価であり、より堅牢で故障傾向の少ない様式で設計されてもよい。さらに、GFBGは、現行のFBGまたはHSG方法よりもエネルギー消費が少ないだけでなく、著しく短いプロセス時間を実現すると思われる。結果として、製造費は最小限に抑えられる。また、加熱、湿気、および/または機械的応力への曝露による成分、特にAPIの潜在的な安定性の問題が減少すると思われる。GFBGを用いた得られた顆粒の特性、例えば、形態、粒度分布、流動性、および密度に関しては、例えば、錠剤に加工することに関する基準を有利に満たす。また、その比較的低い水分活性は、有利であると思われる。許容される質量のばらつき、引張強度、および崩壊時間を有する錠剤への加工可能性に関して、GFBG顆粒は、例えば、MADGと比較して、使用される造粒液の量に関してより高いロバスト性および許容性を示すことがある。このような顆粒の圧縮によって得られた錠剤は、迅速な崩壊、低い圧縮力においてさえも十分な引張強度、低い水分活性、望ましい多孔度および濡れ、ならびに少ない質量のばらつきなどの望ましい物理化学的特性を明示すると思われる。
【0018】
本発明の第1の態様の一実施形態によると、流動層造粒プロセスであって、以下のステップ
a)1種または複数の成分を流動層造粒機に移し、混合するステップ、
b)流動粉体層に、適量の造粒液を噴霧して加え、混合するステップ、
c)この混合物に、適量の1種または複数の吸湿剤を加え、混合するステップ、および
d)任意で、この混合物に、1種または複数の追加の成分を同時または順次に加え、それぞれ同時または順次に加えた後に混合するステップ
を含み、流入空気温度が前記プロセス全体を通して60℃未満である、プロセスが提供される。
【0019】
別の実施形態によると、
ステップa)、b)、c)、およびd)からなる流動層造粒プロセスが提供される。
別の実施形態によると、
流動層造粒プロセスのステップa)において、前記成分は、活性医薬成分および薬学的に許容される賦形剤からなる群から選択され、
好ましくは、前記成分は、1種または複数の活性医薬成分および1種または複数の薬学的に許容される賦形剤であり、
より好ましくは、前記薬学的に許容される賦形剤は、充填剤、特に水溶性充填剤、例えば、ラクトース一水和物もしくはマンニトール、および/または結合剤、例えば、ポリビドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、コポビドン、マルトデキストリン、マルトース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na CMC)、もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)
からなる群から選択される。
【0020】
別の実施形態によると、
流動層造粒プロセスのステップb)において、前記造粒液は、水および結合剤溶液からなる群から選択され、好ましくは、水および結合剤水溶液からなる群から選択され、より好ましくは、水である。
別の実施形態によると、
流動層造粒プロセスのステップb)において、前記造粒液の量は、10%未満(m/m)、好ましくは、1~7%(m/m)、より好ましくは、2~5%(m/m)、例えば、3%(m/m)または4%(m/m)である。
別の実施形態によると、
流動層造粒プロセスのステップc)において、前記1種または複数の吸湿剤は、水不溶性吸湿剤、例えば、微結晶セルロースおよび/またはコロイド状二酸化ケイ素からなる群から選択される。
【0021】
別の実施形態によると、
流動層造粒プロセスのステップc)において、前記1種または複数の吸湿剤の総量は、2.5%超(m/m)、好ましくは、10%超(m/m)、より好ましくは、20%超(m/m)である。
別の実施形態によると、
流動層造粒プロセスのステップd)において、前記追加の成分は、薬学的に許容される賦形剤からなる群から選択され、
好ましくは、第1の追加の薬学的に許容される賦形剤は、崩壊剤、例えば、クロスポビドンからなる群から選択され、第2の追加の薬学的に許容される賦形剤は、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される。
【0022】
別の実施形態によると、
前記流入空気温度は、好ましくは、50℃未満、より好ましくは、40℃未満、最も好ましくは、15℃~35℃の範囲内、例えば、20℃~30℃、例えば、約25℃である。
別の実施形態によると、
流動層造粒プロセスのステップa)、b)、c)、およびd)において、造粒機内の混合物の温度は、50℃未満、好ましくは、40℃未満、より好ましくは、30℃未満、最も好ましくは、15℃~25℃の範囲内、例えば、約20℃である。
さらなる実施形態は、上記の定義および実施形態のいずれかまたはそれぞれを互いに組み合わせることによって説明される。
本発明の第2の態様において、その様々な実施形態を含む本発明の第1の態様に記載のプロセスのために、流動層造粒機を有利に使用することができることが見出されている。
【0023】
実施例および実験データ
以下の実施例は、本発明の例示のみを目的とし、いかなる場合においても、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0024】
【0025】
上記表中の賦形剤の量は、質量分率として提示されている。
PM、GFBG-1、MADG-1、FBG、およびHSGの組成物は、それぞれバッチサイズ720gで製造される。GFBG-2配合物は、バッチサイズ700gで製造される。MADG-2においては、バッチサイズ250gが使用される。
【0026】
B)配合物調製のためのプロセス
- PM(物理的混合物)の調製
ラクトース一水和物(Granulac200、Meggle)、ポリビドン(Povidone K12、BASF)、微結晶セルロース(Avicel PH102 SCG、FMC)、コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil200、Degussa)、クロスポビドン(Kollidon CL、BASF)、およびステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム植物性、Faci)を10分間混合する(ターブラミキサー(Turbla mixer)、T2F、株式会社シンマルエンタープライゼス)。この顆粒はPMとして使用される。
【0027】
- GFBG-1/-2プロセス
GFBG-1およびGFBG-2は、流動層造粒機(MP-01、パウレック)内で処理される。流動気流速度は0.3~0.4m
3/分であり、流入空気温度は21℃である。初めに、流動層造粒機内で、微粒グレードのラクトース一水和物を、結合剤であるポリビドンと混合し(1分間)、真中に置かれたトップスプレーノズルを用いて、造粒機内に水を7分間噴霧して造粒する(ノズル直径0.8mm、噴霧空気圧0.3MPa、噴霧速度3g/分)。造粒水の量は、GFBG-1では3%(m/m)であるのに対し、GFBG-2では、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、および5.0%(m/m)の量が使用される。5分間の吸湿段階で、吸湿剤である微結晶セルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素を加える。最後に、崩壊剤であるクロスポビドンおよび予め分級した潤滑剤であるステアリン酸マグネシウムを、それぞれ1.5分間および0.5分間かけて造粒機に直接加える。造粒機内の混合物の温度は、造粒プロセス全体を通して22℃未満である。最終混合物を、円錐形の分級機(1.0mmラスプ篩(rasp sieve)、Quadro Comil U5、パウレック)で分級する。
GFBGの製造フローは
図1にも叙述される。
【0028】
- MADG-1プロセス
MADG-1は、4Lの造粒ボウルを備えた高剪断造粒機(Diosna P1/6、Diosna)内で処理される。処理パラメーターは、凝集(1分間)および塊化(3分間)の段階全体を通して一定に保たれる:インペラ500rpm、チョッパー1200rpm。初めに、微粒グレードのラクトース一水和物を、結合剤であるポリビドンと混合し、造粒ボウル内に水を15秒間噴霧して造粒する(ノズル直径0.3mm、噴霧空気圧2.5バール)。造粒水の量は、MADG-1では2%である。2分間の吸湿段階で、チョッパーを停止した際に、吸湿剤である微結晶セルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素を加える。最後に、インペラ速度を250rpmに低下させた状態で、崩壊剤であるクロスポビドンおよび予め分級した潤滑剤であるステアリン酸マグネシウムを、それぞれ1.5分間および0.5分間かけて造粒機に直接加える。最終混合物を、円錐形の分級機(1.0mmラスプ篩、Quadro Comil U5、パウレック)で分級する。
【0029】
- MADG-2プロセス
MADG-2は、1Lの造粒ボウルを備えた高剪断造粒機(Diosna P1/6、Diosna)内で処理される。処理パラメーターは、凝集(1分間)および塊化(3分間)の段階全体を通して一定に保たれる:インペラ500rpm、チョッパー1200rpm。初めに、少量の赤色酸化鉄(Univar Ltd.)を含有する微粒グレードのラクトース一水和物を、結合剤であるポリビドンと混合し、造粒ボウル内に水を15秒間噴霧して造粒する(ノズル直径0.3mm、噴霧空気圧2.5バール)。加えた水の量は、0.0%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、および5.0%(m/m)である。2分間の吸湿段階で、チョッパーを停止した際に、吸湿剤である微結晶セルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素を加える。最後に、インペラ速度を250rpmに低下させた状態で、崩壊剤であるクロスポビドンおよび予め分級した潤滑剤であるステアリン酸マグネシウムを、それぞれ1.5分間および0.5分間かけて造粒機に直接混合する。最終混合物を、円錐形の分級機(1.0mmラスプ篩、Quadro Comil U5、パウレック)で分級する。
【0030】
- FBGプロセス
結合剤であるポリビドン(Povidone K25、BASF)を、プロペラミキサーを用いて、ガラス容器内の水に30分間溶解する。結合剤溶液中の固形分は10%であった。初めに、微粒グレードのラクトース一水和物および微結晶セルロース(Avicel PH101、FMC)を、1分間かけて流動層造粒機に加え、真中に置かれたトップスプレーノズルを用いて、結合剤溶液を噴霧して造粒する(MP-01、パウレック:流動気流速度0.3~0.4m3/分、流入空気温度75℃、ノズル直径0.8mm、噴霧空気圧0.3MPa、噴霧速度5g/分)。この湿式顆粒を、流動層造粒機(MP-01、パウレック:流動気流速度0.3~0.4m3/分、流入空気温度75℃)内で乾燥させ、円錐形の分級機(1.0mmラスプ篩、Quadro Comil U5、パウレック)で分級する。最後に、崩壊剤であるクロスポビドンおよび予め分級した潤滑剤であるステアリン酸マグネシウムを、それぞれ5分間および2分間かけて顆粒と混合する(ターブラミキサー、T2F、株式会社シンマルエンタープライゼス)。
【0031】
- HSGプロセス
初めに、微粒グレードのラクトース一水和物および微結晶セルロースを、結合剤であるポリビドンと混合し、水20%(m/m)を加えて造粒する。湿式顆粒を2mmメッシュに通す。この湿式顆粒を、流動層造粒機(MP-01、パウレック:流動気流速度0.3~0.4m3/分、流入空気温度75℃)内で乾燥させ、円錐形の分級機(1.0mmラスプ篩、Quadro Comil U5、パウレック)で分級する。最後に、崩壊剤であるクロスポビドンおよび予め分級した潤滑剤であるステアリン酸マグネシウムを、それぞれ5分間および2分間かけて顆粒と混合する(ターブラミキサー、T2F、株式会社シンマルエンタープライゼス)。
【0032】
- 錠剤の調製
GFBG-1/-2、MADG-1/-2、HSG、およびFBGプロセスの最終混合物を、偏心プレス(Korsch EK0、Korsch)(FlexiTab、Manesty)で約2.5kN、5.0kN、7.5kN、10.0kN、および15.0kNの様々な圧縮力において、直径8mmおよび質量200mgの平面錠剤に圧縮する。
【0033】
C)処理パラメーター
- 最終混合物を製造するためのプロセス時間(720gの規模)
【表2】
- 最終混合物を製造するための機器の数
【表3】
【0034】
D)顆粒の特性
- 粒度分布
最終混合物の粒度分布は、以下のメッシュ:500μm、355μm、250μm、180μm、125μm、90μm、75μm、および63μmを採用した篩分析(ロボットシフターRPS-95、セイシン)によって、振動レベル4およびパルス間隔1秒で、篩分け時間5分間に測定される(n=1)。d50に対する補間ノードを、ソフトウェアEasysieve(Retsch)を使用して繰り返し適用する。
【0035】
- かさ密度、タップ密度、流動性
最終混合物のかさ密度およびタップ密度は、粉体特性測定システム(タップ密度計SVM121、ERWEKA)の100mL試料カップに1250タップすることによって求められる(n=1)。流動性の代用としてのHausner比は、タップ密度とかさ密度の比率として算出される:(タップρ/かさρ)。流動性は、優(1.00~1.11)から、良(1.12~1.18)、可(1.19~1.25)、使用可(1.26~1.34)までのUS Pharmacopeial Convention基準に従って分類される。
【0036】
- 流動時間
予め計量した試料(100g)の流動時間は、顆粒流量試験器(GTB、ERWEKA)を使用して測定される。
【0037】
- 乾燥減量
約5gの最終混合物を、水分計HG63-P(Mettler Toledo、OH)を使用して、105℃で10分間加熱する(n=1)。
- 水分活性
最終混合物の水分活性は、水分活性測定装置(LabMaster-aw basic、Novasina、Switzerland)を使用して求められる。測定前に、約5gの試料を25℃に加温する(n=1)。測定中も、温度を一定に保つ。
- 走査型電子顕微鏡(SEM)像
顆粒のSEM像は、光学顕微鏡TM3000(株式会社日立ハイテク)を使用して得られる。顆粒をプレートに載せる。サンプルを、スパッタリングコーティング装置(MSP-miniマグネトロンスパッタ、真空デバイス)を使用して、Auでコーティングする。
【0038】
【0039】
E)錠剤の特性
- 硬度および厚さ
錠剤の硬度および錠剤の厚さは、錠剤硬度計(MultiTest50、SOTAX)を使用して測定される(n=10)。引張強度は2F/(π*D*T)として算出される:式中、Fは硬度、ならびにDおよびTは、それぞれ錠剤の直径および厚さである。
- 崩壊時間
錠剤の崩壊時間は、崩壊試験器(NT-400、富山産業株式会社)を使用して、37℃で30往復/分にて測定される(n=6)。補助盤(discs)を追加しない。試験媒体は水である。
- 多孔度
錠剤の多孔度(ε)は、方程式ε=1-(m/ρ true*V)を採用して算出され、式中、mおよびVは、それぞれ錠剤の質量および体積である。真密度(ρ true)を、水銀浸透多孔度計(Amico)を使用して測定する(n=1)。
【0040】
- 濡れ性
濡れ性の測定は、表面張力計(K21、KRUSS GmbH)を用いて、25℃で実施され、時間に対する吸収された液体の質量を測定した。錠剤を試験するため、錠剤をステンレス管に直接入れる。吸湿剤または錠剤を詰めたステンレス管を水の中に下ろし、水がステンレス管と接触した際の時間を記す。時間に対する賦形剤または錠剤に透過した水の重量を記録する。20ミリ秒毎にデータを収集する。濡れ性を評価するため、このプロファイルに基づいて、初期の濡れおよび毛細管現象による濡れ(g/秒)を算出する。濡れ挙動は、2つの現象に分けられる:初期の濡れおよび毛細管現象による濡れ。初期の濡れは、錠剤表面の濡れとして定義される。その後、水が錠剤の中に浸透し、これを毛細管現象による濡れとして定義する。初期の濡れは、線形回帰の最初の5ポイントを使用して算出されるが、毛細管現象による濡れは、平衡状態における線形回帰を使用して算出される。
【0041】
【外国語明細書】