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特開2024-59697ノンスリップ発泡フォームを含むタイル型装飾床材、及びその製造方法
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  • 特開-ノンスリップ発泡フォームを含むタイル型装飾床材、及びその製造方法 図1
  • 特開-ノンスリップ発泡フォームを含むタイル型装飾床材、及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059697
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ノンスリップ発泡フォームを含むタイル型装飾床材、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240423BHJP
   E04F 15/16 20060101ALI20240423BHJP
   E04F 15/02 20060101ALI20240423BHJP
   E04F 15/20 20060101ALI20240423BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B32B27/00 E
E04F15/16 C
E04F15/02 B
E04F15/20
B32B5/18
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019691
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2022518741の分割
【原出願日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0015906
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】519399958
【氏名又は名称】ドンシンポリマー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】593054941
【氏名又は名称】伸興化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オ,ドン ジン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】衝撃音吸収機能を有するプラスチック発泡フォームを積層した製品で、施工に際して、接着剤を使わないか、又は、少量の粘着剤を塗装した箇所上に施工する製品において、製品と底面の間での滑りを顕著に改善したタイル型装飾床材を提供する。
【解決手段】表面処理層101、透明層102、デザイン印刷層103、及び下地層106を含む底材部10と、プラスチック発泡フォーム層201、及び前記プラスチック発泡フォーム層の裏面に形成された微細エンボスを有する密着フィルム層202を含む微細エンボスプラスチックフォーム部20とを含み、前記プラスチック発泡フォーム層の密度は20~200kg/mであり、前記プラスチック発泡フォーム層の最下部及び前記密着フィルム層に、凹凸を交互に配列した微細エンボスを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理層、透明層、デザイン印刷層、及び下地層を含む底材部と、
プラスチック発泡フォーム層、及び前記プラスチック発泡フォーム層の裏面に形成された微細エンボスを有する密着フィルム層を含む微細エンボスプラスチックフォーム部とを含み、
前記プラスチック発泡フォーム層の密度は20~200kg/mであり、
前記プラスチック発泡フォーム層の最下部及び前記密着フィルム層に、凹凸を交互に配列した微細エンボスを有し、
前記微細エンボスは、深さ(a)を有する凹凸が、一定の間隔(b)で設けられ、下記式1を満たすことを特徴とするタイル型装飾床材。
〔式1〕
a≧1/3*b
ここで、0.08mm≦a≦0.8mmであり、0.2≦b≦2mmである。
【請求項2】
前記プラスチック発泡フォーム層は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、アゾジカルボンアミド発泡剤3~10重量部、促進剤0.2~1.5重量部、発泡安定剤0.1~1重量部、及びその他の添加剤を含み、クッション性が付与された層であることを特徴とする請求項1に記載のタイル型装飾床材。
【請求項3】
前記密着フィルム層は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.1~1重量部、加工調剤0.1~1重量部、及びその他の添加剤を含み、10~200μmの厚さを有するオレフィン系フィルムであることを特徴とする請求項1に記載のタイル型装飾床材。
【請求項4】
前記密着フィルム層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤30~60重量部、安定剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、10~200μmの厚さを有するPVCフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のタイル型装飾床材。
【請求項5】
前記表面処理層は、モノエステル20~40重量%、オリゴマー10~20重量%、ポリジアクリレート10~20重量%、シリコン0.5~5重量%、及びその他の添加剤を含み、紫外線によって硬化された5~20μmの厚さの層であることを特徴とする請求項1に記載のタイル型装飾床材。
【請求項6】
前記透明層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~50重量部、安定剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.1~1mmの厚さで形成された層であることを特徴とする請求項1に記載のタイル型装飾床材。
【請求項7】
前記デザイン印刷層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤1~20重量部、安定剤1~5重量部、充填材0~20重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.05~0.2mmの厚さで形成された層であることを特徴とする請求項1に記載のタイル型装飾床材。
【請求項8】
前記下地層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~60重量部、安定剤1~5重量部、充填材50~600重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.5~5mmの厚さで形成された層であることを特徴とする請求項1に記載のタイル型装飾床材。
【請求項9】
前記底材部は、更に、前記デザイン印刷層及び前記下地層の間に設けられる中地層を含み、
前記中地層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~60重量部、安定剤1~5重量部、充填材50~500重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.2~2mmの厚さで形成された層であることを特徴とする請求項1に記載のタイル型装飾床材。
【請求項10】
前記底材部は、更に、中地層、寸法補強層、及びバランス層からなる群より選ばれるいずれか1層以上を含み、前記中地層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~60重量部、安定剤1~5重量部、充填材50~500重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.2~2mmの厚さで形成された層であり、
前記寸法補強層は、PVCペースト樹脂100重量部に対して、可塑剤50~90重量部、安定剤1~5重量部、充填材10~150重量部、粘度調節剤2~10重量部、及びその他の添加剤を含む液状のペーストゾルに、ガラスファイバーマットを含浸して加熱硬化し、0.3~6mmの厚さに形成された層であり、
前記バランス層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~60重量部、安定剤1~5重量部、充填材50~500重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.3~3mmの厚さで形成された層であることを特徴とする請求項1に記載のタイル型装飾床材。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のタイル型装飾床材の製造方法であって、
下地層、デザイン印刷層、透明層、及び表面処理層を積層して、底材部を形成するステップと、
前記下地層の裏面に、プラスチック発泡フォーム層組成物を押出加工し、電子線架橋後、発泡又は化学発泡して、プラスチック発泡フォーム層を形成するステップと、
密着フィルム層組成物を押出加工すると共に、エンボスロールを用いて、微細エンボスを付与しつつ、前記プラスチック発泡フォーム層の裏面に付着して、密着フィルム層を形成するステップとを含むことを特徴とするタイル型装飾床材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンスリップ発泡フォームを含むタイル型装飾床材、及びその製造方法に係り、より詳しくは、建物の床やフローリングに適用される装飾床材の製品のうち、単位サイズで切断して施工されるタイル構造製品において、接着剤を使わない施工工程で、製品と底面の間の滑りを顕著に改善したタイル型装飾床材に関する。
【背景技術】
【0002】
ここでは、本発明に関する背景技術が提供されるが、これらが必ずしも公知技術を意味するものではない。
一般に、建物の床やフローリングには、床シートやタイルなどの床(装飾)材が施工される。床シートやタイルなどの底材としては、軽く、柔軟性があり、クッション性、及び吸音性などに優れる塩化ビニルを主材料として製造される。例えば、底材は、ポリ塩化ビニル(PVC)、又は塩化ビニルに他の素材を混合又は合紙して製造される。このような底材は、通常、透明層、印刷層、樹脂含浸寸法補強層、発泡層、及び下地層など、複数の層が積層されて構成され、透明層は、印刷層に印刷されたインク面を保護し、印刷層は、色やパターンを付与して装飾機能を有し、樹脂含浸寸法補強層は、PVCペーストゾルで含浸処理されたガラスファイバーであって、製品の寸法安全性を補強し、発泡層は、クッション性を付与し、下地層は、厚さの補強及び底面との安着機能を有する。
また、透明フィルム層上には、必要によって、耐磨耗性や耐スクラッチ性の向上のための表面処理層が更に形成される。このような底材は、用途によって、各層を加減して製作され、広範囲な分野で使われる。
【0003】
例えば、本発明の出願人が特許出願し登録を受けた下記の特許文献1には、上部PVC層と下部PVC層の間に、ガラスファイバーやロックウールをシート化して製造したガラスファイバーマット層を形成した後、熱加圧して製造した基材層の上部に、印刷層とPVC樹脂からなる透明フィルム層を順次形成し、基材層の下部に、PVC樹脂と可塑剤及び充填剤からなるバランス層を形成する装飾床材の製造方法が開示されている。このような構成の底材は、建物の床を仕上げ処理する過程で単独使用するか、これを様々な種類の被着物と接着剤で付着した後使用する。
また、近年には、接着剤の使用によるにおいを除去し、揮発性有機化合物などの影響を最小化するため、基材層の下部に滑りを防止するための機能層を形成することで、施工際の接着剤の使用を最小化する滑り止め機能の底材が開発されている。
【0004】
一方、一般の底材、特に、単位サイズで切断する床タイルの場合、床に接着剤を塗布し、その上にタイルを敷設して、底面とタイルを付着させ、寸法の変化を最小化しているが、近年、接着剤の有害性が指摘され、寸法の変化を最小化する底材を開発していることから、接着剤を使わないか、少量の粘着剤で施工の床上に製品を乗せるだけで施工されるルースレイ(Loose lay)製品が様々に開発されており、施工が容易でコストを節減し、接着剤の有害性がない製品として注目されている。
前記ルースレイ製品は、底材の裏面に底面と密着性に優れる素材を積層するのが一般であるが、ポリエチレンやポリプロピレンなどを組み合わせたオレフィン系発泡体を装着した製品で、衝撃音を吸収できるようにする製品では、発泡フォームが底面との密着性が劣るため、その滑りにより、ルースレイ施工ができず、接着剤の使用を余儀なくされることが現実であった。
【0005】
これを改善するために粘着機能付き処理剤を、プラスチックフォームの裏面に処理するか、又は粘着シートを積層するなどの様々な試みがなされているが、保管時に付着されるブロッキングを誘発するか、粘着成分が転移されるか、底材表面層に損傷を与えるという問題点があった。
これを改善するために、特許文献4では、底材の裏面に粘着層を積層し、剥離紙を付着して容易に施工することを特徴とする製品を開示しているが、粘着剤と剥離紙を付着することから、取り扱いが不便で、工程が複雑であり、また、別の設備が要求されて、コストが高くなるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許登録第10-0510836号公報
【特許文献2】韓国特許登録第10-0600841号公報
【特許文献3】韓国特許登録第10-1149890号公報
【特許文献4】韓国公開特許第10-2010-0081283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的とするところは、衝撃音吸収機能を有するプラスチック発泡フォームを積層した製品で、施工に際して、接着剤を使わないか、又は、少量の粘着剤を塗装した箇所上に施工する製品において、製品と底面の間での滑りを顕著に改善したタイル型装飾床材を提供することにある。
しかし、本発明の目的は、前記目的に限定されず、言及していない他の目的は、以下の記載から、当業者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のタイル型装飾床材は、表面処理層、透明層、デザイン印刷層、及び下地層を含む底材部と、プラスチック発泡フォーム層、及び前記プラスチック発泡フォーム層の裏面に形成された微細エンボスを有する密着フィルム層を含む微細エンボスプラスチックフォーム部とを含み、
前記プラスチック発泡フォーム層の密度は20~200kg/mであり、
前記プラスチック発泡フォーム層の最下部及び前記密着フィルム層に、凹凸を交互に配列した微細エンボスを有し、
前記微細エンボスは、深さ(a)を有する凹凸が、一定の間隔(b)で設けられ、下記式1を満たすことを特徴とする。
ここで〔式1〕は、a≧1/3*bであり、式中0.08mm≦a≦0.8mmであり、0.2≦b≦2mmである。
【0009】
前記プラスチック発泡フォーム層は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、アゾジカルボンアミド発泡剤3~10重量部、促進剤0.2~1.5重量部、発泡安定剤0.1~1重量部、及びその他の添加剤を含み、クッション性が付与された層であることができる。
【0010】
前記密着フィルム層は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.1~1重量部、加工調剤0.1~1重量部、及びその他の添加剤を含み、10~200μmの厚さを有するオレフィン系フィルムであることがよい。
前記密着フィルム層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤30~60重量部、安定剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、10~200μmの厚さを有するPVCフィルムであることができる。
前記表面処理層は、モノエステル(Monoester)20~40重量%、オリゴマー10~20重量%、ポリジアクリレート(Polydiacrylate)10~20重量%、シリコン0.5~5重量%、及びその他の添加剤を含み、紫外線によって硬化された5~20μmの厚さの層であることが好ましい。
【0011】
前記透明層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~50重量部、安定剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.1~1mmの厚さで形成された層であることがよい。
前記デザイン印刷層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤1~20重量部、安定剤1~5重量部、充填材0~20重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.05~0.2mmの厚さで形成された層であることが好ましい。
【0012】
前記下地層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~60重量部、安定剤1~5重量部、充填材50~600重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.5~5mmの厚さで形成された層であることができる。
前記底材部は、更に、前記デザイン印刷層及び前記下地層の間に設けられる中地層を含み、前記中地層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~60重量部、安定剤1~5重量部、充填材50~500重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.2~2mmの厚さで形成された層であることがよい。
【0013】
前記底材部は、更に、中地層、寸法補強層、及びバランス層からなる群より選ばれるいずれか1層以上を含み、前記中地層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~60重量部、安定剤1~5重量部、充填材50~500重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.2~2mmの厚さで形成された層であり、前記寸法補強層は、PVCペースト樹脂100重量部に対して、可塑剤50~90重量部、安定剤1~5重量部、充填材10~150重量部、粘度調節剤2~10重量部、及びその他の添加剤を含む液状のペーストゾルに、ガラスファイバーマットを含浸して加熱硬化し、0.3~6mmの厚さに形成された層であり、前記バランス層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~60重量部、安定剤1~5重量部、充填材50~500重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、0.3~3mmの厚さで形成された層であることが好ましい。
本発明のタイル型装飾床材の製造方法は、下地層、デザイン印刷層、透明層、及び表面処理層を積層して、底材部を形成するステップと、前記下地層の裏面に、プラスチック発泡フォーム層組成物を押出加工し、電子線架橋後、発泡又は化学発泡して、プラスチック発泡フォーム層を形成するステップと、密着フィルム層組成物を押出加工しつつ、前記プラスチック発泡フォーム層の裏面に付着して、密着フィルム層を形成するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、本発明のタイル型装飾床材は、装飾床材の製品のうち、単位サイズで切断して施工されるタイル構造の装飾床材において、下部に、化学発泡でプラスチックフォームを構成するクッション層を含み、該クッション層の最下部には、滑りを防止する微細凹凸エンボスを含み。これによって、プラスチックフォームのクッション層による歩行感改善と衝撃音吸収の効果があり、最下部の微細凹凸エンボスにより、接着剤を使わない施工工程で、製品と底面の間の滑りを顕著に改善した装飾床材を提供することができる。
特に、近年、接着剤の有害性を回避して開発された、接着剤を使わないか、少量の粘着剤を塗装した箇所上に施工するルースレイタイルの施工は、底面と底材の密着度の差異により、底材が押される現象を顕著に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例によるタイル型装飾床材の構造を示す図である。
図2】本発明の一実施例による密着フィルム層の微細エンボス構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、他の言及がない限り、技術的に通常の技術を有する者にとって、通常理解されることと同一の意味を有する。また、本明細書及び請求範囲の全般に亘り、他の言及がない限り、含む(comprise、comprises、comprising)という用語は、言及された物、ステップ、又は一群の物、及びステップを含むことを意味し、任意の他の物、ステップ、又は一群の物、及び一群のステップを排除する意味として使用されるわけではない。
以下、本発明を詳細に説明することに当たり、本明細書にて使われた用語は、特定の実施例を述べるためのことだけであり、添付する特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定しようとすることではないことを理解すべきである。
一方、本発明の様々な実施例は、明確な反対の指摘がない限り、その他のいずれの実施例とも結合可能である。特に、好適且つ有利であると指示する何等の特徴も、好適且つ有利であると指示したその他のいずれの特徴と結合可能である。以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例及びこれによる効果について、説明する。
【0017】
本発明の一実施例によるタイル型装飾床材は、底材部10と、微細エンボスプラスチックフォーム部20とを含む。図1に、本発明の一実施例によるタイル型装飾床材の具体例を示した。
前記底材部10は、表面処理層101と、透明層102と、デザイン印刷層103と、中地層104と、寸法補強層105と、下地層106と、バランス層107とを含む。前記底材部10は、表面処理層101、透明層102、デザイン印刷層103、及び下地層106を含み、中地層104、寸法補強層105、及びバランス層107を適切に追加して含むことができる。
【0018】
例えば、前記底材部10は、表面処理層101、透明層102、デザイン印刷層103、中地層104、下地層106、バランス層107に積層構成されるか、表面処理層101、透明層102、デザイン印刷層103、下地層106、バランス層107に積層構成されるか、表面処理層101、透明層102、デザイン印刷層103、下地層106に積層構成されるか、表面処理層101、透明層102、デザイン印刷層103、中地層104、寸法補強層105、下地層106、バランス層107に積層構成されるか、表面処理層101、透明層102、デザイン印刷層103、中地層104、寸法補強層105、下地層106に積層構成されることができる。
【0019】
本発明によるタイル型装飾床材は、底材部を形成した後、底材部の最下部に、プラスチック発泡フォーム層、及び微細エンボスを有する密着フィルム層を含む微細エンボスプラスチックフォーム部を形成することで製造される。例えば、底材部が、表面処理層、透明層、デザイン印刷層、及び下地層を含む場合、下地層、デザイン印刷層、透明層、及び表面処理層を積層して、底材部を形成した後、前記下地層の裏面に、プラスチック発泡フォーム層を形成し、プラスチック発泡フォーム層の裏面に、密着フィルム層を形成することで、製造が可能である。
前記表面処理層101は、耐スクラッチ性、耐汚染性、耐磨耗性、耐久性などの表面物性を改善するための層であって、モノエステル20~40重量%、オリゴマー10~20重量%、ポリジアクリレート10~20重量%、シリコン0.5~5重量%、及びその他の添加剤を含み、ロールコッター又はエアナイフコッターで塗装して、紫外線により、5~20μmの厚さでコートし、紫外線で硬化された層であることができる。
【0020】
前記透明層102は、底材のデザイン印刷パターンを保護し、底材の摩耗、摩擦、汚染、変形などの耐久性を維持する層であって、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~50重量部、安定剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、カレンダ工程で加工して形成された層であって、その厚さが0.1~1mmであることがよい。
前記デザイン印刷層103は、白色又は有色シートの表面に、転写印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、ロータリ印刷、又はフレクソ印刷して、デザインパターンを付与することで形成される層である。デザイン印刷層は、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤1~20重量部、安定剤1~5重量部、充填材0~20重量部、加工調剤1~5重量部、顔料0.5~5重量部、及びその他の添加剤を含み、カレンダ工程で加工し、その厚さが0.05~0.2mmで加工したシートを加熱合板して積層することができる。
【0021】
前記中地層104は、前記デザイン印刷層の凹凸を最小化し、平滑性を維持するために含まれ、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~60重量部、安定剤1~5重量部、充填材50~500重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、カレンダ工程で加工して形成された層であって。その厚さが0.2~2mmであることがよい。
前記寸法補強層105は、底材部の寸法変化を最小化するために、ガラスファイバーマットを活用して構成される。より具体的に、Eガラスで繊維化したガラス状繊維を、適正の単位長で切断して、白水に分散し、抄造してシート化し、その上にバインダーを処理して加熱乾燥したガラス状繊維マットを基材として、PVCペースト樹脂100重量部に対して、可塑剤50~90重量部、安定剤1~5重量部、充填材10~150重量部、粘度調節剤2~10重量部、及びその他の添加剤を含み、液状のペーストゾルで加工して、ガラス状繊維マットをペーストゾルに含浸して加熱硬化したシートであって、その厚さが0.3~6mm、望ましくは、0.3~1mmであることが好ましい。
【0022】
前記下地層106は、底材の重量感と厚さに寄与し、硬度を確保する層であって、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~60重量部、安定剤1~5重量部、充填材50~600重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、カレンダ工程で加工した層であって、その厚さが0.5~5mmである。
ここでの下地層は、各配合別に重量感を付与し、硬度を柔らかく又は固くし、発泡層を追加してクッション性を付与するなどの様々な構成と厚さで、その機能を付与することができる。
【0023】
前記バランス層107は、底材の反りを調整し、安着性を維持する層であって、PVC樹脂100重量部に対して、可塑剤10~60重量部、安定剤1~5重量部、充填材50~500重量部、加工調剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、カレンダ工程で加工した層であって、その厚さが0.3~3mmである。
前記微細エンボスプラスチックフォーム部20は、プラスチック発泡フォーム層201と、密着フィルム層202とを含む。プラスチック発泡フォーム層201の最下部に、単位面積を広くする微細凹凸エンボスを付与することで、底面と底材との付着性を高めて、滑りを防止することができる。
【0024】
前記プラスチック発泡フォーム層201は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、アゾジカルボンアミド発泡剤3~10重量部、促進剤0.2~1.5重量部、発泡安定剤0.1~1重量部、及びその他の添加剤を含み、押出加工し、電子線架橋後、発泡又は化学発泡をして形成された層であり、その厚さが0.3~2mmであり、密度が20~200kg/mであることがよい。
より具体的に、前記プラスチック発泡フォーム層201は、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、発泡剤、促進剤、発泡安定剤、その他の添加剤を含み、押出Tダイで発泡用母板を加工し、200~700kwの電圧で、1~5Mrad線量の電子線を照射してから、200℃~250℃の発泡オーブンを介して発泡するか、電子線照射を行うことなく、化学発泡をすることで構成され、ここに密着フィルム層202を積層しつつ、エンボスロールを用いて、微細エンボスを付与するので、付着とエンボスを同時に具現化することができる。
【0025】
前記密着フィルム層202は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.1~1重量部、加工調剤0.1~1重量部、及びその他の添加剤を含む10~200μmのオレフィン系フィルム、又はPVC樹脂100重量部に対して、可塑剤30~60重量部、安定剤1~5重量部、及びその他の添加剤を含み、その厚さが10~200μmであるPVCフィルムを、Tダイで押出加工しつつ同時に付着するか、Tダイで加工したフィルムを巻き取って再度合紙する形態で、前記プラスチック発泡フォーム層に付着する。
ここで、密着フィルム層202に粘着性を増やすニトリルブタジエンゴム(Nitrile-butadiene rubber、NBR)やエチレンビニルアセテート(Ethylene-vinyl acetate、EVA)、粘着性に優れるアクリル系樹脂などを添加して、その機能を極大化することができる。
【0026】
ここでのエンボスは、円状の金属ロールに微細陰陽刻を付与しており、金属ロールの表面温度は、80~160℃の温度を維持し、プラスチック発泡フォーム上に、オレフィン系樹脂フィルム又はPVCフィルムと圧着して付着し、それと同時に、エンボスを付与することになる。
また、エンボスは、単位面積を極大化するため、図2に示したとおり、プラスチック発泡フォーム層の裏面に、凹凸を機械方向と幅方向に交互に配列するので、凹部と凸部が全幅で繰り返して交互配列が可能になっている。
【0027】
前記微細エンボスの凹凸は、図2に示したとおり、深さ(a)を有する凹凸が、一定の間隔(b)で設けられる。ここで、凹凸の深さ(a)は、0.08~0.8mmの範囲内であり、間隔(b)の1/3よりも大きい。すなわち、本発明による微細エンボスは、下記式1を満たしている。
〔式1〕
a≧1/3*b
ここで、0.08mm≦a≦0.8mmであり、0.2≦b≦2mmである。
【0028】
前記式を満たす場合、微細エンボスプラスチックフォーム部20の単位面積を極大化して、滑り性を顕著に改善する装飾床材用プラスチックフォームを開発することが可能となった。
ここで、深さ(a)及び間隔(b)が前記範囲を外していると、凹凸を具現し難いか、単位面積が小さくて、滑り改善効果が不十分であり、凹凸の深さ(a)が間隔(b)の1/3以下の場合にも、エンボス(凹凸)の深度が低くて、単位面積が小さくなるので、滑り改善効果が劣ることになる。
【0029】
前記微細エンボスプラスチックフォーム部20と底材部10は、公知の接着方法で接着することになるが、底材部10の裏面に、アクリル又はウレタン系接着剤を、グラビア方式やスロットダイ方式で塗装し、加熱乾燥した後、微細エンボスプラスチックフォーム部20を付着するか、底材部10の裏面にホットメルトタイプの接着剤を、Tダイにより高温溶融して塗装し、硬化される前に、微細エンボスプラスチックフォーム部20を付着する方式、又はホットメルトタイプの接着剤をグラビア方式で、底材部10又は微細エンボスプラスチックフォーム部20にコートし、加熱乾燥した後、互いを合紙する方式など、様々ないずれの方式で合紙してもよく、ここで、微細エンボス凹凸がなくなるか、変化しないようにするのが重要である。
【0030】
本発明による装飾床材は、ポリ塩化ビニル樹脂やポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いて加工するタイル形状の底材の最下部に、微細エンボスを具現したプラスチックフォーム部を積層するので、プラスチッククッションによる歩行感と衝撃音吸収の効果に優れ、裏面の微細エンボスによる滑り性を改善して、接着剤を使用しないルースレイ施工でも、床と製品の密着度を高めて、滑りのない底材を提供することができる。
【0031】
〔実施例〕
下から、バランス層、下地層、中地層、デザイン印刷層、透明層、及び表面処理層を積層して、底材部を形成し、バランス層の裏面に、プラスチック発泡フォーム層(厚さ1.0mm)、及び密着フィルム層(厚さ10μm)を含む微細エンボスプラスチックフォーム部を積層した。
ここで、密度が100kg/m3であり、厚さが1.0mmであるオレフィン系発泡フォームに、オレフィン系樹脂で形成された密着フィルム層を積層することにおいて、金属ロールを用いて、様々な深さ(a)及び間隔(b)の微細エンボスを形成した。密着フィルム層に形成されたエンボスの条件は、下記表1に示した。
【0032】
上記のとおり製造された底材に対して、滑り性をテストした。試験方法は、底面と道路などの滑り試験の標準となっているBS-7976-2のペンデュラム(Pendulum)に準じた試験方法で、プラスチック発泡フォームが付着した面を表面として、ペンデュラムが滑る程度を比較し、スリップによる影響を極大化するため、スライダとの密着部の距離を6mmとして、測定されたペンデュラムテスト値(Pendulum Test Value)を、下記表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
上記各実施例に示した特徴、構造、効果などは、実施例が属する分野の通常の知識を有する者にとって、他の実施例に対しても組み合わせ又は変形して実施可能である。そこで、このような組み合わせと変形に関する内容は、本発明の範囲に含まれることと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0035】
10:底材部
20:微細エンボスプラスチックフォーム部
101:表面処理層
102:透明層
103:デザイン印刷層
104:中地層
105:寸法補強層
106:下地層
107:バランス層
201:プラスチック発泡フォーム層
202:密着フィルム層
a:深さ
b:間隔
図1
図2