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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005971
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240110BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L21/60 321E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106480
(22)【出願日】2022-06-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、「戦略的イノベーション創造プログラム/SIP第2期/IoE社会のエネルギーシステム/高パワー密度、高温動作可能なWBGチップ搭載パワーモジュール/ユニバーサル対応コア・パワーモジュールの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】堀 元人
(72)【発明者】
【氏名】池田 良成
(72)【発明者】
【氏名】平尾 章
(57)【要約】
【課題】温度変化が生じた際の信頼性向上及び絶縁不良低減が可能となる半導体装置を提供する。
【解決手段】絶縁回路基板1、半導体チップ3a,3b、プリント基板6、インターポーザ5a,5b及び封止部材9を備え、インターポーザ5a,5bが、半導体チップ3a,3bにはんだ層8a,8bを介して一端が接合された複数のポスト電極51a~51c,51jと、半導体チップ3a,3bに対向して半導体チップ3a,3bから離間して設けられ、はんだ層8a,8bの一部が充填された第1貫通穴56a,56bを有する絶縁層53aと、プリント基板6に対向して設けられ、絶縁層53aを介して複数のポスト電極51a~51c,51jの他端に接続された導体層54a,54bを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁回路基板と、
前記絶縁回路基板の一方の主面側に配置された半導体チップと、
前記絶縁回路基板の前記一方の主面に対向して設けられたプリント基板と、
前記半導体チップと前記プリント基板の間に設けられたインターポーザと、
前記半導体チップ、前記インターポーザ及び前記プリント基板を封止する封止部材と、
を備え、
前記インターポーザが、
前記半導体チップにはんだ層を介して一端が接合された複数のポスト電極と、
前記半導体チップに対向して前記半導体チップから離間して設けられ、前記はんだ層の一部が充填された第1貫通穴を有する絶縁層と、
前記プリント基板に対向して設けられ、前記絶縁層を介して前記複数のポスト電極の他端に接続された導体層と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
絶縁回路基板と、
前記絶縁回路基板の一方の主面側に配置された半導体チップと、
前記半導体チップにはんだ層を介して一端が接合された複数のポスト電極と、
前記絶縁回路基板の前記一方の主面と対向して設けられたプリント基板と、
前記半導体チップ及び前記プリント基板を封止する封止部材と、
を備え、
前記プリント基板が、
前記半導体チップに対向して前記半導体チップから離間して設けられ、前記はんだ層の一部が充填された第1貫通穴を有する絶縁層と、
前記絶縁層を介して前記複数のポスト電極の他端に接続された導体層と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁層が、前記複数のポスト電極がそれぞれ貫通する複数の第2貫通穴を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1貫通穴が、隣り合う前記第2貫通穴から等距離に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1貫通穴が、前記第2貫通穴に接していることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数のポスト電極が複数の前記第1貫通穴をそれぞれ貫通し、
前記複数のポスト電極と前記複数の第1貫通穴の隙間に前記はんだ層の一部が充填されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記導体層に複数の凹部が設けられ、前記複数のポスト電極の他端が前記複数の凹部にそれぞれ圧入されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体チップを内蔵する半導体装置(半導体モジュール)に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体チップ(以下、単に「半導体チップ」という。)は、例えば電力変換用のスイッチング素子として用いられている。
【0003】
特許文献1は、絶縁回路基板上の半導体チップと、半導体チップの上方に配置されたプリント基板と、半導体チップとプリント基板の間に配置されたインターポーザとを備え、インターポーザが、絶縁層と、絶縁層の上面に配置された導体層と、絶縁層を貫通し、導体層の下面に接続されたポスト電極とを備える半導体装置を開示する。
【0004】
特許文献2は、積層基板上の半導体チップと、半導体チップの上方に配置されたプリント回路基板と、半導体チップとプリント回路基板の間に配置されたインターポーザとを備え、インターポーザが、絶縁層と、絶縁層の半導体チップ側と対向する面に設けられるエミッタ用ポスト電極、ゲート用ポスト電極と、絶縁層の半導体チップ側と反対の面に設けられる主電極用回路層としてのエミッタ用銅パターン、制御電極用回路層としてのゲート用銅パターンとを有する半導体装置を開示する。
【0005】
特許文献3は、電力変換装置の製造時に、有孔絶縁部材を制御回路基板から離隔させた状態において、端子貫通穴を貫通した信号端子と接続端子とをはんだ付け接合する工程を行い、この工程では、例えばスルーホールの反対側開口端にはんだ付けを行う際、はんだが毛細管現象によりスルーホールを通って主回路部側開口端まで移動し、盛り上がることを開示する。
【0006】
特許文献4は、アウターリードの半田接触部分に少なくとも一つのスリットを形成して構成しても良く、アウターリードの半田接触部分に少なくとも一つの貫通穴を形成して構成しても良く、特に、表面積増加領域を貫通穴で構成することにより、半田が毛細管現象で貫通穴に供給されて、半田をより多くアウターリードに半田を供給することができ、半田の濡れ性が向上する半導体装置を開示する。
【0007】
特許文献5は、加熱によって、クリーム半田は溶融し、電極端子部に形成された小孔に毛細管現象によって開口部内に吸引され、電極端子部は電極パッドに接合され、電極端子部の銅箔厚さは35μm程度であるが、小孔がない場合には、溶融した半田は電極端子部の下面にしか付着しないため、場合によっては接合不良を生じるおそれがあるが、小孔を設けることによって、半田が開口部内に吸い上げられ、電極端子部の上、下面に付着するため、電極端子部と電極パッドとの接合具合が良好、且つ強固な接合状態となる半導体装置を開示する。
【0008】
特許文献6は、電子部品の外形に合わせて開口部が開口された絶縁性の板状部材と、板状部材の一方の面上に開口部を挟んで形成された一対の電極とを備えるインターポーザを開示する。
【0009】
特許文献7は、絶縁板及び回路板を備える積層基板と、おもて面に主電極及び制御電極を有し、裏面が回路板に固定された半導体チップと、第1の導電部材を含み主電極に対向して配置され、主電極が第1の導電部材に電気的に接続された第1の配線基板と、第2の導電部材を含み、制御電極に対向して配置され、開口を有する第2の配線基板と、一端が制御電極に電気的かつ機械的に接続され、他端が第2の導電部材に電気的かつ機械的に接続された導電ポストとを備え、第1の導電部材は第2の導電部材よりも厚く、第1の配線基板が開口の内側に配置されている半導体装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2022-22521号公報
【特許文献2】特開2021-82721号公報
【特許文献3】特開2009-266986号公報
【特許文献4】特開2000-228476号公報
【特許文献5】特開平11-220070号公報
【特許文献6】特開2020-155512号公報
【特許文献7】特開2017-92185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1及び2に記載の半導体装置において、半導体チップとインターポーザとをはんだを介して接合する際に、インターポーザのポスト電極に沿ってはんだが這い上がり、更にはんだが半導体チップの表面に濡れ広がる状態となる。はんだが這い上がることで、インターポーザの絶縁層とはんだの隙間が狭くなり、隙間に封止部材が入らなくなる。また、はんだが濡れ広がることで、はんだの表面積が増加し、はんだと封止部材の接触面積が増加する。一般的に封止部材である樹脂とはんだは密着性が悪いため、半導体装置に温度変化が生じた際に、封止部材とはんだの界面の拘束力が弱くなり、各接合部に直接応力がかかりやすくなり、剥離やクラックが生じ易くなる。また、はんだが濡れ広がり、半導体チップの端部まで達すると、絶縁不良を起こす可能性がある。
【0012】
上記課題に鑑み、本発明は、温度変化が生じた際の信頼性向上及び絶縁不良低減が可能となる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、(a)絶縁回路基板と、(b)絶縁回路基板の一方の主面側に配置された半導体チップと、(c)絶縁回路基板の一方の主面に対向して設けられたプリント基板と、(d)半導体チップとプリント基板の間に設けられたインターポーザと、(e)半導体チップ、インターポーザ及びプリント基板を封止する封止部材と、を備え、インターポーザが、半導体チップにはんだ層を介して一端が接合された複数のポスト電極と、半導体チップに対向して半導体チップから離間して設けられ、はんだ層の一部が充填された第1貫通穴を有する絶縁層と、プリント基板に対向して設けられ、絶縁層を介して複数のポスト電極の他端に接続された導体層と、を備える半導体装置であることを要旨とする。
【0014】
本発明の他の態様は、(a)絶縁回路基板と、(b)絶縁回路基板の一方の主面側に配置された半導体チップと、(c)半導体チップにはんだ層を介して一端が接合された複数のポスト電極と、(d)絶縁回路基板の一方の主面と対向して設けられたプリント基板と、(e)半導体チップ及びプリント基板を封止する封止部材と、を備え、プリント基板が、半導体チップに対向して半導体チップから離間して設けられ、はんだ層の一部が充填された第1貫通穴を有する絶縁層と、絶縁層を介して複数のポスト電極の他端に接続された導体層と、を備える半導体装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、温度変化が生じた際の信頼性向上及び絶縁不良低減が可能となる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る半導体装置の側面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置のインターポーザの平面図である。
図3図2のA-A方向から見た断面図である。
図4図2のB-B方向から見た断面図である。
図5】比較例に係る半導体装置の側面図である。
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための側面図である。
図7】第2実施形態に係る半導体装置のインターポーザの平面図である。
図8】第3実施形態に係る半導体装置のインターポーザの平面図である。
図9図8のA-A方向から見た断面図である。
図10】第4実施形態に係る半導体装置のインターポーザの平面図である。
図11】第5実施形態に係る半導体装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、第1~第5実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す第1~第5実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0018】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0019】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る半導体装置として、図1に示すように、半導体素子1つ分の機能を有する「1イン1」と呼ばれるパワー半導体モジュールを例示する。第1実施形態に係る半導体装置は、絶縁回路基板1と、絶縁回路基板1の一方の主面(上面)側に配置された半導体チップ3a,3bと、絶縁回路基板1の上面に対向し、半導体チップ3a,3bの上方に配置されたプリント基板6と、半導体チップ3a,3bとプリント基板6を導通させるインターポーザ5a,5bとを備える。絶縁回路基板1の上面及び側面、半導体チップ3a,3b、インターポーザ5a,5b及びプリント基板6は、封止部材9で封止されている。
【0020】
絶縁回路基板1は、絶縁基板11と、絶縁基板11の上面側に配置された導体層(上側導体層)12a,12bと、絶縁基板11の下面側に配置された導体層(下側導体層)13a,13bとを備える。絶縁回路基板1は、例えば直接銅接合(DCB)基板や活性ろう付け(AMD)基板等であってもよい。絶縁基板11は、例えば酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si)等からなるセラミクス基板や、高分子材料等を用いた樹脂絶縁基板で構成されている。上側導体層12a,12b及び下側導体層13a,13bは、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等の導体箔で構成されている。
【0021】
半導体チップ3a,3bは、絶縁回路基板1の上側導体層12aの上面に、はんだ又は焼結材等からなる接合層2a,2bを介して搭載されている。半導体チップ3a,3bとしては、例えばシリコン(Si)を用いた金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Si-MOSFET)又は炭化珪素(SiC)を用いたMOSFET(SiC-MOSFET)等が採用可能であるが、ここでは半導体チップ3a,3bがSi-MOSFETである場合を例示する。
【0022】
半導体チップ3a,3bは、例えば矩形の平面パターンを有する。半導体チップ3a,3bのサイズは、例えば10mm×10mm程度であるが、これに限定されない。半導体チップ3a,3bの厚さは例えば100μm程度であるが、これに限定されない。図1では図示を省略するが、半導体チップ3a,3bは、上面側に、制御電極(ゲート電極)及び第1主電極(ソース電極)をそれぞれ有し、下面側に第2主電極(ドレイン電極)をそれぞれ有する。
【0023】
図1では2個の半導体チップ3a,3bを例示するが、半導体チップの数は、半導体モジュールの電流容量等に応じて適宜設定可能であり、特に限定されない。例えば、1個の半導体チップを有していてもよく、3つ以上の半導体チップを有していてもよい。
【0024】
半導体チップ3a,3bの上面には、はんだ層8a~8dを介して、インターポーザ5a,5bがそれぞれ配置されている。はんだ層8a~8dは、例えば、錫-アンチモン(Sn-Sb)系、錫-銅(Sn-Cu)系、錫-銅-銀(Sn-Cu-Ag)系、錫-銀(Sn-Ag)系、錫-銀-銅(Sn-Ag-Cu)系、錫-銀-ビスマス-銅(Sn-Ag-Bi-Cu)系、錫-インジウム-銀-ビスマス(Sn-In-Ag-Bi)系、錫-亜鉛(Sn-Zn)系、錫-亜鉛-ビスマス(Sn-Zn-Bi)系、錫-ビスマス(Sn-Bi)系、錫-インジウム(Sn-In)系等の無鉛はんだ、又は錫-鉛(Sn-Pb)系等の鉛はんだ等のはんだで構成されている。
【0025】
インターポーザ5a,5bは、半導体チップ3a,3bごとに配置されている。インターポーザ5a,5bを用いて半導体チップ3a,3bとプリント基板6を導通させることにより、インターポーザ5a,5bを用いずに、例えばポスト電極を介して半導体チップ3a,3bとプリント基板6を導通させる構成と比較して、半導体チップ3a,3bの搭載位置がずれた場合でも、半導体チップ3a,3bとプリント基板6の接合が可能となる。
【0026】
図1に示したインターポーザ5aの平面図を図2に示す。図2では、導体層54a,54bの下方に隠れた絶縁層53aに設けられた貫通穴55a~55jと、貫通穴55a~55jを貫通する導体部材であるポスト電極51a~51jを破線で模式的に示している。図2のA-A方向から見たインターポーザ5aの周辺の断面図を図3に示し、図2のB-B方向から見たインターポーザ5aの周辺の断面図を図4に示す。
【0027】
図3及び図4に示すように、半導体チップ3aは、上面側にソース電極31及びゲート電極32を有する。図1図4に示すように、インターポーザ5aは、半導体チップ3aの上面に対向し、半導体チップ3aから離間して設けられた絶縁層53aと、絶縁層53aの上面に配置された導体層54a,54bと、絶縁層53aに設けられた貫通穴55a~55jを介して、導体層54a,54bの下面に接続されたポスト電極51a~51jとを備える。
【0028】
絶縁層53aの材料としては、例えばポリイミド等の樹脂が使用可能である。導体層54a,54bの材料としては、例えば銅(Cu)等の金属材料が使用可能である。ポスト電極51a~51jは、例えば棒状(ピン状)又は柱状であり、具体的には円柱、楕円柱、三角柱又は四角柱等の多角柱等であってもよい。ポスト電極51a~51jは、突起電極(バンプ)であってもよい。ポスト電極51a~51j及の材料としては、例えば銅(Cu)又は金(Au)等の金属材料が使用可能である。
【0029】
ポスト電極51a~51jの長さは、例えば0.5mm以上、1.5mm以下程度であるが、これに限定されない。ポスト電極51a~51jの直径は、例えば0.3mm以上、1mm以下程度であるが、これに限定されない。
【0030】
図1図3に示すように、ポスト電極51a~51jのうち、ソース用のポスト電極51a~51iの下端は、はんだ層8aを介して半導体チップ3aのソース電極31に接合される。ポスト電極51a~51iの上端は導体層54aに接続されている。ポスト電極51a~51iは3×3の行列状に配列されている。ポスト電極51a~51iの行列のピッチは例えば1mm以上、2mm以下程度であるが、これに限定されない。ポスト電極51a~51iの数や配置位置はこれに限定されない。一方、ゲート用のポスト電極51jの下端は、はんだ層8bを介して半導体チップ3aのゲート電極32に接合される。ポスト電極51jの上端は導体層54bに接続されている。
【0031】
図1図4に示すように、絶縁層53aには、ポスト電極51a~51iが貫通する貫通穴55a~55iに加えて、ポスト電極51a~51i及び貫通穴55a~55iの間に、貫通穴56a~56dが更に設けられている。図1では、絶縁層53aの側面に隠れた貫通穴56a,56bを模式的に示している。図2では、導体層54aの下方に隠れた貫通穴56a~56dを一点鎖線で模式的に示している。貫通穴56a~56dは、絶縁層53aを貫通し、導体層54aの下面を露出している。
【0032】
図2に示すように、貫通穴56aは、ポスト電極51a,51b,51d,51eから均等の距離だけ離間して設けられている。貫通穴56bは、ポスト電極51b,51c,51e,51fから均等の距離だけ離間して設けられている。貫通穴56cは、ポスト電極51d,51e,51g,51hから均等の距離だけ離間して設けられている。貫通穴56dは、ポスト電極51e,51f,51h,51iから均等の距離だけ離間して設けられている。なお、貫通穴56a~56dの配置位置はこれに限定されず、ポスト電極51a~51iの間に配置されていればよい。
【0033】
図2では、貫通穴56a~56dが貫通穴55a~55jと同様に円形の平面パターンを有する場合を例示するが、貫通穴56a~56dの形状は特に限定されず、貫通穴55a~55jの形状と異なっていてもよい。例えば、貫通穴56a~56dは、三角形、矩形又は楕円形の平面パターンを有していてもよい。図2では、貫通穴56a~56dが、貫通穴55a~55jと同じ大きさである場合を例示するが、貫通穴56a~56dは、貫通穴55a~55jと異なる大きさであってよく、例えば貫通穴55a~55jよりも大きくてもよく、或いは貫通穴55a~55jよりも小さくてもよい。図2では、4つの貫通穴56a~56dを例示するが、貫通穴56a~56dの個数は限定されず、ポスト電極51a~51iの本数や密度等に応じて適宜調整可能である。
【0034】
貫通穴56a~56dには、半導体チップ3aのソース電極31とポスト電極51a~51iを接合するはんだ層8aの一部が充填されている。半導体チップ3aのソース電極31とポスト電極51a~51iを接合する熱処理時に、はんだ層8aがポスト電極51a~51iを這い上がり、毛細管現象により貫通穴56a~56dに入り込み、導体層54aに到達している。はんだ層8aは、ポスト電極51a~51iの間にも設けられている。
【0035】
図1に示したインターポーザ5bは、インターポーザ5aと同様の構成を有している。図1に示すように、インターポーザ5bは、半導体チップ3bに対向し、半導体チップ3bから離間して設けられた絶縁層53bと、絶縁層53bの上面に配置された導体層54c,54dと、絶縁層53bを貫通し、導体層54a,54bの下面に接続されたポスト電極52a~52c,52jとを備える。
【0036】
ポスト電極52a~52c,52jのうち、ソース用のポスト電極52a~52cの下端は、はんだ層8cを介して半導体チップ3bのソース電極(不図示)に接合される。ポスト電極52a~52cの上端は導体層54cに接続されている。一方、ゲート用のポスト電極52jの下端は、はんだ層8bを介して半導体チップ3bのゲート電極(不図示)に接合される。ポスト電極52jの上端は導体層54dに接続されている。
【0037】
絶縁層53aには、ポスト電極52a~52cが貫通する貫通穴(不図示)に加えて、ポスト電極52a~52cの間に貫通穴57a,57bが設けられている。図1では、絶縁層53bの側面に隠れた貫通穴57a,57bを模式的に示している。貫通穴57a,57bには、半導体チップ3bのソース電極(不図示)とポスト電極52a~52cを接合するはんだ層8cの一部が充填されている。
【0038】
図1に示した半導体チップ3a,3bの上方には、インターポーザ5a,5bを介して、プリント基板6が配置されている。プリント基板6は、絶縁層61と、絶縁層61の上面側に配置された導体層(上側導体層)62a,62bと、絶縁層61の下面側に配置された導体層(下側導体層)63a~63dとを備える。
【0039】
絶縁層61は、例えばアルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si)等を主成分としたセラミクスや樹脂等の絶縁材料で構成されている。絶縁層61は、ポリイミド樹脂や、ガラス繊維とエポキシ樹脂との組み合わせ等からなる樹脂基板であってよい。
【0040】
上側導体層62a,62b及び下側導体層63a~63dは、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等からなる導体箔で構成されている。上側導体層62a,62b及び下側導体層63a~63dには、銅(Cu)やニッケル(Ni)、錫(Sn)等のメッキが施されていてもよい。
【0041】
下側導体層63aは、はんだ又は焼結材等の接合層(不図示)を介して、インターポーザ5aの導体層54aに接合させている。下側導体層63bは、はんだ又は焼結材等の接合層(不図示)を介して、インターポーザ5aの導体層54bに接合させている。下側導体層63cは、はんだ又は焼結材等の接合層(不図示)を介して、インターポーザ5bの導体層54cに接合させている。下側導体層63dは、はんだ又は焼結材等の接合層(不図示)を介して、インターポーザ5bの導体層54dに接合させている。
【0042】
上側導体層62aは、絶縁層61を貫通する貫通穴に設けられた導体部材(不図示)を介して、下側導体層63a,63cと電気的に接続されている。上側導体層62bは、絶縁層61を貫通する貫通穴に設けられた導体部材(不図示)を介して、下側導体層63b,63dと電気的に接続されている。
【0043】
プリント基板6の上側導体層62a、絶縁層61及び下側導体層63aを貫通するように、プリント基板6にソース側接続端子7aが挿入されている。ソース側接続端子7aは、銅(Cu)等の金属材料で構成されている。ソース側接続端子7aの下端は、絶縁回路基板1の上側導体層12bに、はんだ又は焼結材等の接合層(不図示)を介して接合されている。ソース側接続端子7aの上端は、封止部材9の上面から突出し、外部回路に接続される。ソース側接続端子7aは、半導体チップ3aのソース電極31及び半導体チップ3bのソース電極(不図示)からの電流を、インターポーザ5a,5b及びプリント基板6を介して外部回路に流す。
【0044】
プリント基板6の上側導体層62bには、ゲート用接続端子7bの下端が、はんだ又は焼結材等の接合層(不図示)を介して接合されている。ゲート用接続端子7bは、銅(Cu)等の金属材料で構成されている。ゲート用接続端子7bの上端は、封止部材9の上面から突出し、外部回路に接続される。ゲート用接続端子7bは、半導体チップ3a,3bのオン・オフを制御する制御信号を、プリント基板6及びインターポーザ5a,5bを介して半導体チップ3aのゲート電極32及び半導体チップ3bのゲート電極(不図示)へ供給する。
【0045】
絶縁回路基板1の上側導体層12aには、ドレイン側接続端子7cの下端が、はんだ又は焼結材等の接合層(不図示)を介して接続されている。ドレイン側接続端子7cは、銅(Cu)等の金属材料で構成されている。ドレイン側接続端子7cの上端は、封止部材9の上面から突出し、外部回路に接続される。ドレイン側接続端子7cは、上側導体層12aを介して半導体チップ3a,3bのドレイン電極(不図示)に電流を供給する。
【0046】
半導体チップ3a,3b、インターポーザ5a,5b及びプリント基板6の周囲は、封止部材9により封止され、周囲と電気的に絶縁されている。封止部材9の下面から、絶縁回路基板1が露出する。封止部材9としては、例えば熱硬化性樹脂等の樹脂材料が使用可能であり、具体的にはエポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂等が使用可能である。
【0047】
<比較例>
次に、比較例に係る半導体装置を説明する。比較例に係る半導体装置は、図5に示すように、インターポーザ5a,5bの絶縁層53a,53bに、ポスト電極51a~51c,52a~52cが貫通する貫通穴(不図示)のみが設けられ、はんだ層8a,8cの一部が充填された貫通穴が設けられていない点が、図1に示した実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0048】
比較例に係る半導体装置では、半導体チップ3a,3bとインターポーザ5a,5bとをはんだ層8a~8dを介して接合する際に、インターポーザ5a,5bのポスト電極51a~51c,52a~52cに沿ってはんだ層8a,8cが這い上がり、インターポーザ5a,5bの絶縁層53a,53bとはんだ層8a,8cとの間に隙間81~84が生じ、隙間81~84が狭い場合には封止部材9が入らなくなる。また、はんだ層8a,8cが半導体チップ3a,3bの表面に濡れ広がる幅W2が広くなるため、はんだ層8a,8cの表面積が増加し、はんだ層8a,8cと封止部材9との接触面積が増加する。
【0049】
よって、比較例に係る半導体装置の使用時において、ヒートサイクルやパワーサイクル等の温度変化が生じた際に、封止部材9とはんだ層8a,8cの界面の拘束力が弱くなり、各接合部に直接応力がかかりやすくなり、剥離やクラックが生じ易くなる。また、半導体チップ3a,3bの表面に濡れ広がったはんだ層8a,8cが半導体チップ3a,3bの端部まで達すると、絶縁不良を起こす可能性もある。
【0050】
これに対して、第1実施形態に係る半導体装置によれば、図1図4に示すように、インターポーザ5a,5bの絶縁層53a,53bが、複数のポスト電極51a~51i,52a~52cの間に、絶縁層53a,53bを貫通して導体層54a,54cを露出する貫通穴56a~56d,57a,57bを備える。これにより、半導体チップ3a,3bとインターポーザ5a,5bとをはんだ層8a~8dを介して接合する際に、貫通穴56a~56d,57a,57bが毛細管現象によりはんだ層8a,8cを引っ張るので、はんだ層8a,8cの余分な部分がポスト電極51a~51i,52a~52cを伝わり、貫通穴56a~56d,57a,57bに入り込む。この結果、はんだ層8a,8cと絶縁層53a,53bの間に隙間が生じることを防止することができる。また、はんだ層8a,8cの余分な部分がポスト電極51a~51i,52a~52cの中央部に集まり易くなるため、半導体チップ3a,3bの表面のはんだ層8a,8cの濡れ広がる幅W1(図1参照)を狭くすることができ、はんだ層8a,8cの濡れ広がりを抑制することが可能となる。よって、第1実施形態に係る半導体装置に温度変化が生じた際の信頼性向上及び絶縁不良低減が可能となる。
【0051】
<半導体装置の製造方法>
次に、図6を参照して、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法(組立方法)を説明する。まず、絶縁回路基板1を用意し、絶縁回路基板1上に接合層2a,2bを介して半導体チップ3a,3bを搭載する。更に、半導体チップ3a,3b上に、板状に成形された固形状のはんだ層8a~8dを搭載する。
【0052】
また、インターポーザ5a,5bを用意し、半導体チップ3a,3b上にはんだ層8a~8dを介してインターポーザ5a,5bを搭載する。インターポーザ5aの作製方法としては、金型を用いて、フィルム状の絶縁層53aに、ポスト電極51a~51jが貫通する貫通穴55a~55jと、はんだ層8aの一部が充填される貫通穴56a~56dを形成する。そして、絶縁層53aに導体箔を貼り付けて、エッチング等により導体箔をパターニングして、導体層54a,54bを形成する。或いは、エッチング等により導体層54a,54bを予め形成し、導体層54a,54bをフィルム状の絶縁層53aに貼り付けてもよい。その後、導体層54a,54bにメッキ処理を行い、絶縁層53a,53bの貫通穴55a~55jにポスト電極51a~51jを圧入することで、インターポーザ5aが作製される。インターポーザ5bの作製方法も、インターポーザ5aの作製方法と同様である。
【0053】
また、プリント基板6を用意し、インターポーザ5a,5b上にはんだ又は焼結材等の接合層(不図示)を介して搭載する。また、図6では図示を省略するが、図1に示したソース側接続端子7aを、プリント基板6に挿入し、絶縁回路基板1上にはんだ又は焼結材等の接合層(不図示)を介して搭載する。また、図1に示したゲート用接続端子7bを、プリント基板6上にはんだ又は焼結材等の接合層(不図示)を介して搭載する。また、図1に示したドレイン側接続端子7cを、絶縁回路基板1上にはんだ又は焼結材等の接合層(不図示)を介して搭載する。
【0054】
次に、絶縁回路基板1、半導体チップ3a,3b、インターポーザ5a,5b及びプリント基板6の積層体を、加熱炉に搬入する。加熱炉における熱処理により、絶縁回路基板1、半導体チップ3a,3b、インターポーザ5a,5b、プリント基板6、ソース側接続端子7a、ゲート用接続端子7b及びドレイン側接続端子7cを互いに接合する。この際、半導体チップ3a,3bとインターポーザ5a,5bとを接合するはんだ層8a,8cが溶融し、溶融したはんだ層8a,8cがポスト電極51a~51i,52a~52cを這い上がり、毛細管現象により、インターポーザ5a,5bの絶縁層53a,53bに設けた貫通穴56a~56d,57a,57bに引っ張られる。この結果、はんだ層8a,8cの一部が貫通穴56a~56d,57a,57bに充填されると共に、はんだ層8a,8cがポスト電極51a~51i,52a~52cの中央部に集中し、半導体チップ3a,3bの表面の濡れ広がりが抑制される。
【0055】
次に、半導体チップ3a,3b、インターポーザ5a,5b及びプリント基板6を封止部材9で封止する。このようにして、図1に示した半導体装置が完成する。
【0056】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置は、図7に示すように、インターポーザ5aの絶縁層53aのはんだ層8aの一部が充填される貫通穴56a~56dのサイズが、ポスト電極51a~51iが貫通する貫通穴55a~55iのサイズよりも大きく、貫通穴56a~56dが貫通穴55a~55i及びポスト電極51a~51iに接している点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0057】
貫通穴56aは、貫通穴55a,55b,55d,55e及びポスト電極51a,51b,51d,51eに接している。貫通穴56bは、貫通穴55b,55c,55e,55f及びポスト電極51b,51c,51e,51fに接している。貫通穴56cは、貫通穴55d,55e,55g,55h及びポスト電極51d,51e,51g,51hに接している。貫通穴56dは、貫通穴55e,55f,55h,55i及びポスト電極51e,51f,51h,51iに接している。図1に示したインターポーザ5bも、図7に示したインターポーザ5aと同様の構成を有する。第2実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0058】
第2実施形態に係る半導体装置によれば、インターポーザ5aの絶縁層53aの貫通穴56a~56dが貫通穴55a~55i及びポスト電極51a~51iに接している場合でも、貫通穴56a~56dが毛細管現象によりはんだ層8aを引っ張るので、はんだ層8aと絶縁層53aの隙間が生じることを抑制することができると共に、はんだ層8aの濡れ広がりを抑制することが可能となる。よって、第2実施形態に係る半導体装置の使用時において、温度変化が生じた際の信頼性向上及び絶縁不良低減が可能となる。
【0059】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態に係る半導体装置のインターポーザ5aの平面図であり、図8のA-A方向から見たインターポーザ5aの周囲の断面図を図9に示す。第3実施形態に係る半導体装置は、図8及び図9に示すように、インターポーザ5aの絶縁層53aに設けられた貫通穴56a~56iをポスト電極51a~51iが貫通し、ポスト電極51a~51iと貫通穴56a~56iの隙間にはんだ層8aの一部が充填されている点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0060】
第3実施形態に係る半導体装置では、貫通穴56a~56iが、ポスト電極51a~51iを貫通させる機能を有すると共に、毛細管現象によりはんだ層8aを引っ張る機能を有する。貫通穴56a~56iのサイズは、ポスト電極51a~51iのサイズよりも大きく、貫通穴56a~56iはポスト電極51a~51iから離間している。なお、ポスト電極51a~51iの外周面の一部が、貫通穴56a~56iに接していてもよい。
【0061】
図9に示すように、導体層54aには、ポスト電極51d~51fに対応する凹部57d~57fが設けられている。凹部57d~57fには、ポスト電極51d~51fが圧入されて固定されている。なお、図示を省略するが、導体層54aには、ポスト電極51a~51c,51g~51iに対応する凹部も設けられている。図1に示したインターポーザ5bも、図8及び図9に示したインターポーザ5aと同様の構成を有する。第3実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0062】
第3実施形態に係る半導体装置によれば、貫通穴56a~56iのポスト電極51a~51iとの隙間の部分が毛細管現象によりはんだ層8aを引っ張るので、はんだ層8aと絶縁層53aの隙間が生じることを抑制することができると共に、はんだ層8aの濡れ広がりを抑制することが可能となる。よって、第3実施形態に係る半導体装置の使用時において、温度変化が生じた際の信頼性向上及び絶縁不良低減が可能となる。
【0063】
更に、第3実施形態に係る半導体装置によれば、ポスト電極51a~51iが貫通する貫通穴と、はんだ層8aの一部が充填される貫通穴とを個別に設ける場合と比較して、絶縁層53aの貫通穴56a~56iの面積が小さくなるため、絶縁層53aの剛性を向上させることができる。
【0064】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る半導体装置は、図10に示すように、インターポーザ5aの絶縁層53bを2つのゲート用のポスト電極51j,51kが貫通し、ポスト電極51j,51kの間にはんだ層8bの一部が充填された貫通穴56eが設けられている点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0065】
絶縁層53bには、2つのポスト電極51j,51kが貫通する貫通穴55j,55kに加えて、貫通穴55j,55kの間にはんだ層8bを引っ張るための貫通穴56eが設けられている。図1に示したインターポーザ5bも、図10に示したインターポーザ5aと同様の構成を有する。第4実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0066】
第4実施形態に係る半導体装置によれば、ソース用の絶縁層53a側では、貫通穴56a~56dが毛細管現象によりはんだ層8aを引っ張るので、はんだ層8aと絶縁層53aの隙間が生じることを抑制することができると共に、はんだ層8aの濡れ広がりを抑制することが可能となる。一方、ゲート用の絶縁層53b側では、複数のポスト電極51j,51kの間に貫通穴56eを設けることにより、貫通穴56eが毛細管現象によりはんだ層8bを引っ張るので、はんだ層8bと絶縁層53bの隙間が生じることを抑制することができると共に、はんだ層8bの濡れ広がりを抑制することが可能となる。よって、第4実施形態に係る半導体装置の使用時において、温度変化が生じた際の信頼性向上及び絶縁不良低減が可能となる。
【0067】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る半導体装置は、図11に示すように、1つの半導体チップ3aを有し、半導体チップ3aとプリント基板6の間にインターポーザを有しない点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0068】
半導体チップ3aとプリント基板6とは、ポスト電極51a~51c,51jを介して導通する。プリント基板6は、絶縁層61と、絶縁層61の上面に配置された導体層(上側導体層)62a,62bと、絶縁層61の下面に配置された導体層(下側導体層)63a,63bとを備える。
【0069】
ポスト電極51a~51c,51jのうち、ソース用のポスト電極51a~51cは、絶縁層61及び上側導体層62aを貫通し、上側導体層62aに電気的に接続されている。一方、ゲート用のポスト電極51jは、絶縁層61、上側導体層62b及び下側導体層63bを貫通し、上側導体層62b及び下側導体層63bに電気的に接続されている。
【0070】
プリント基板6の絶縁層61には、ポスト電極51a~51c,51jが貫通する貫通穴(不図示)と、はんだ層8aの一部が充填される貫通穴64a,64bが設けられている。貫通穴64a,64bは、ポスト電極51a~51c,51jが貫通する貫通穴(不図示)から等距離に設けられている。第5実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0071】
第5実施形態に係る半導体装置によれば、プリント基板6の絶縁層61に設けた貫通穴64a,64bが毛細管現象によりはんだ層8aを引っ張るので、はんだ層8aと絶縁層61の隙間が生じることを抑制することができると共に、はんだ層8aの濡れ広がりを抑制することが可能となる。よって、第5実施形態に係る半導体装置の使用時において、温度変化が生じた際の信頼性向上及び絶縁不良低減が可能となる。
【0072】
なお、絶縁層61に設けた貫通穴64a,64bが、ポスト電極51a~51cが貫通する貫通穴(不図示)に接していてもよい。また、複数のポスト電極51a~51cが複数の貫通穴64a,64bをそれぞれ貫通し、複数のポスト電極51a~51cと複数の貫通穴64a,64bの隙間にはんだ層8aの一部が充填されていてもよい。この場合、上側導体層62aに複数の凹部が設けられ、複数のポスト電極51a~51cの他端が複数の凹部にそれぞれ圧入されていてもよい。
【0073】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1~第5実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0074】
例えば、第1~第5実施形態に係る半導体装置として、半導体素子1つ分の機能を有する「1イン1」と呼ばれるパワー半導体モジュールを例示したが、これに限定されない。例えば、半導体素子2つ分の機能を有する「2イン1」と呼ばれるパワー半導体モジュールにも適用可能である。
【0075】
また、第1~第5実施形態がそれぞれ開示する構成を、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わせることができる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0076】
1…絶縁回路基板
2a,2b…接合層
3a,3b…半導体チップ
5a,5b…インターポーザ
6…プリント基板
7a…ソース側接続端子
7b…ゲート用接続端子
7c…ドレイン側接続端子
8a~8d…はんだ層
9…封止部材
11…絶縁基板
12a,12b…上側導体層
13a,13b…下側導体層
31…ソース電極
32…ゲート電極
51a~51k…ポスト電極
52a~52c,52j…ポスト電極
53a,53b…絶縁層
54a~54d…導体層
55a~55j…貫通穴
56a~56i…貫通穴
57d~57f…凹部
61…絶縁層
62a,62b…上側導体層
63a~63d…下側導体層
64a,64b…貫通穴
81~84…隙間
W1,W2…幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11